JP2004037476A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高感度であり、残留電位・フォトメモリーが低く、繰り返し特性・画像安定性・環境安定性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】支持体上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が特定の構造の基を有し、かつ重量平均分子量(Mw)が5000以上9000以下である熱可塑性樹脂を含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が特定の構造の基を有し、かつ重量平均分子量(Mw)が5000以上9000以下である熱可塑性樹脂を含有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体に用いられる材料として、有機光導電物質が、その無公害性や高生産性といった利点を有するため広く利用されている。有機光導電物質を使用したこれら有機電子写真感光体は、電気的および機械的特性の双方を満足するために、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層した積層型(機能分離型)の電子写真感光体として利用される場合が多い。
【0003】
当然のことながら、電子写真感光体には、それが適用される電子写真プロセスに応じた感度や、低残留電位、光学的特性(低フォトメモリーなど)を備えていることが要求される。
【0004】
電子写真感光体の感度は、電荷発生層での電荷発生効率、電荷発生層から電荷輸送層への電荷注入効率、および、電荷輸送層での電荷移動度に支配される。
【0005】
そこで、感度の向上を目的として、電荷発生効率の高い電荷発生物質、電荷移動度の大きい電荷輸送物質、さらには、電荷注入効率の高い電荷発生物質と電荷輸送物質の組み合わせ(マッチング)、あるいは、増感剤などの開発が盛んに行われている。
【0006】
例えば、電荷発生効率が比較的高い電荷発生物質としては、フタロシアニン顔料やアゾ顔料が頻繁に使用されているが、無機光導電性物質の電荷発生効率がほぼ100%であるのに対して、有機光導電性物質では30〜40%であるため、電荷発生効率を上げる目的で様々な試みが行われている。
【0007】
その1つとして、アクセプター性化合物の添加がある。
【0008】
例えば、特開昭53−37424号公報、特開昭53−83745号公報などには、無金属フタロシアニンや銅フタロシアニンを用いた電子写真感光体の感光層中に、テトラシアノエチレンや2,4,7−トリニトロフルオレノンを添加することにより、電子写真感光体の半減露光量で表される感度を向上させる技術が開示されている。
【0009】
また、特公昭53−89434号公報には、添加剤として多環芳香族ニトロ化合物を含有させることで、感度を向上させる技術が開示されている。
【0010】
また、特開昭57−13257号公報には、感光層に増感剤としてニトロ無水フタル酸を含有させることで、感度を向上させる技術が開示されている。
【0011】
また、特開昭63−55555号公報には、p−ベンゾキノン、アントラキノン、1,4−ナフトキノン、モノクロロ−p−ベンゾキノンなどの添加することで、感度を向上させる技術が開示されている。
【0012】
また、特開平3−163559号公報には、電荷発生層にフタル酸またはその誘導体の添加することで、感度を向上させる技術が開示されている。
【0013】
また、特開平7−271067号公報には、電荷輸送層にジフェノキノン誘導体、クマレート誘導体およびフタルイミド誘導体を添加することで感度を向上させる技術が開示されている。
【0014】
また、ターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレンなどの公知の増感剤を、電荷発生物質と併用して使用する場合がある。
【0015】
しかし、これらの技術は、電荷発生効率の向上はみられるものの、帯電性が悪化したり、繰り返し使用特性が低下し、耐久性に問題を生じたり、環境安定性が低下するなどの欠点を有していた。
【0016】
なお、電荷移動度に関しても、比較的高移動度であるトリフェニルアミン化合物などが挙げられるが、近年のプロセススピードの増加で、より高感度の電荷輸送物質が強く要求されている。
【0017】
その解決策の1つとして、高感度化のために電荷輸送物質などの低分子量成分が比較的大量に添加される場合が多いが、このような方法を採ると、絶縁材料である結着樹脂の比率が低下し、電子写真感光体の帯電性が低下したり、機械的強度が低下したりしてしまう。
【0018】
電荷注入効率に関しては、高電場域では高くても50%の効率、低電場域では10%以下であり、これを高くすることにより、一層の高感度化が可能と考えられる。
【0019】
電荷発生層から電荷輸送層へ電荷を効率よく注入するためには、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを電荷発生物質のそれよりも小さくして、エネルギー障壁を無くす必要がある。
【0020】
上述した理由かどうか明確ではないが、特開平7−199502号公報では、電荷輸送層に特定の脂肪族鎖を有する化合物を添加することで、感度が向上するとある。しかし、その感度自体はまだ不十分であるといわざるを得ない。
【0021】
また、特開平02−007060号公報および2001−356497号公報には、フマル酸エステル部位を有するポリエステル樹脂が開示されているが、これらの化合物はフマル酸エステル部位が多いため、感光層中の層間の密着性(例えば、電荷輸送層と電荷発生層の密着性)が低下し、感度の向上は不十分である。
【0022】
このように、有機電子写真感光体の高感度化、残留電位・フォトメモリーの低減、繰り返し特性・画像安定性・環境安定性の向上には多くの問題が残されており、現状の電子写真感光体を改良した高性能の電子写真感光体が当該技術分野で強く要請されているのが実情である。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度であり、残留電位・フォトメモリーが低く、繰り返し特性・画像安定性・環境安定性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、電子写真感光体の感光層に、特定の構造を有する化合物を含有させることで、上記目的を果たすことができることを見いだした。
【0025】
すなわち、本発明は、支持体上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層が下記式(1)で示される構造を有する基を有する熱可塑性樹脂を含有し、
該熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)が5000以上9000以下である
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【外3】
【0026】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0027】
【発明の実施の形態】
電子写真感光体の感光層が、上記式(1)で示される構造を有する基を有し、重量平均分子量(Mw)が5000以上9000以下である熱可塑性樹脂(以下、「上記特定の熱可塑性樹脂」とも表現する。)を含有することで電位特性(感度、残留電位)が大きく向上する。つまり、高感度であり、残留電位・フォトメモリーが低く、繰り返し電位特性・画像安定性・環境安定性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
【0028】
上記特定の熱可塑性樹脂を感光層に含有する電子写真感光体の電荷発生効率・電荷注入効率(電界領域:1〜120V/μm)は、それを含有しない電子写真感光体の効率より高い。
【0029】
したがって、上記特定の熱可塑性樹脂は、電荷発生物質に対して電荷発生そのものの向上、キャリア対の生成を促すといった増感作用を、さらには、電荷輸送物質への電荷注入を助ける効果を有していると考えられる。
【0030】
そして、電荷の発生あるいは注入に対するエネルギー的なギャップを埋められ、電荷の滞留が抑えられるため、繰り返し特性、画像安定性が持続し、環境安定性が向上すると考えられる。
【0031】
なお、電荷発生効率・電荷注入効率が高くなる理由としては、上記特定の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)が5000以上9000以下と比較的高いこと、また、上記式(1)で示される構造を有する基の電荷密度が高いことにより、上記特定の熱可塑性樹脂が、電荷発生物質、さらには、感光層中の層間の密着性を高め、かつ、上記式(1)で示される構造が増感作用を促して、電荷発生注入効率を高めていると考えている。
【0032】
以下に、上記特定の熱可塑性樹脂、および、それを含有する感光層について、詳細に説明する。
【0033】
本発明の電子写真感光体に使用される上記特定の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、上述のとおり、5000以上9000以下であるが、重量平均分子量(Mw)が5000未満であると、感光層中の層間における密着性が低下し、繰り返し電位特性が悪化し、一方、9000を超えると、感度の向上が見られない。
【0034】
上記特定の熱可塑性樹脂は、上記式(1)で示される構造を有する基を、主鎖中に有してもよく、側鎖に有してもよいが、その中でも、下記式(2)で示される構造を有する基を側鎖に有する熱可塑性樹脂が、電荷発生物質への増感作用が高くなるため好ましい。
【外4】
【0035】
上記式(2)中、R21は、単結合、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のシクロアルキレン基、または、置換または無置換のアリーレン基を示し、R22は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のエーテル結合を有する基、置換または無置換のシクロアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を示す。
【0036】
上記アルキレン基としては、メチレン、エチレンン基が挙げられ、上記シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基が挙げられ、上記アリーレン基としては、フェニル基が挙げられる。
【0037】
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基が挙げられ、上記エーテル結合を有する基としては、−CH2−O−CH2CH3、−CH2−O−CH2CH2CH3、−CH2−O−CH2CH=CH2、−CH2−O−CH=CH2CH3が挙げられ、上記シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基が挙げられる。
【0038】
上記各基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
【0039】
なお、「単結合」とは、後述の樹脂(1−2)のように、基を介さずに直接結合している場合を意味する。
【0040】
上記式(1)で示される構造を有する基は、上記特定の熱可塑性樹脂の全質量に対して10〜50質量%であることが、増感作用および密着性が優れるため好ましい。10質量%より少ないと増感作用が低下することがあり、50質量%より多いと密着性が低下し、繰り返し電位特性が悪化することがある。
【0041】
また、感光層中の上記特定の熱可塑性樹脂と電荷発生物質の割合は、電荷発生物質に対して20〜150質量%であることが好ましく、20質量%より少ないと感度の向上が小さく、150質量%より多いと感度の向上は大きいが電荷発生物質の比率が小さいため、繰り返し電位安定性が低下することがある。
【0042】
また、上記特定の熱可塑性樹脂の構造は、成膜性という観点から、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂からなる群より選択される樹脂が上記式(1)で示される構造を有する基を有するという構造であることが好ましい。その中でも、さらには、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂がより好ましい。
【0043】
また、本発明で用いる電荷発生物質としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、フォトメモリーの観点から、フタロシアニン顔料が好ましく、その中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、オキシチタニウムフタロシアニンが特に好ましい。これらの顔料と組み合わせることで、低フォトメモリーはもちろんのこと、環境変動も抑えることができる。
【0044】
また、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの中では、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンが、上記特定の熱可塑性樹脂への分散安定性に優れるため好ましい。
【0045】
また、オキシチタニウムフタロシアニンの中では、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θの9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンがより好ましい。
【0046】
以下に、上記式(1)で示される構造を有する基を有する熱可塑性樹脂の例(繰り返し構造単位の例)を示す。
【0047】
なお、樹脂例のうち共重合体のものは、便宜上、ブロック共重合体のように記載したが、後述の実施例で使用したものは総てランダム共重合体であり、繰り返し構造単位の右の下付け数字は共重合比を意味する。
【0048】
ただし、本発明は、共重合の状態(ランダム共重合、ブロック共重合など)には限定されない。
【0049】
また、以下に挙げる樹脂例を1種または複数以上混合して用いてもよい。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
これらの中でも、高感度という観点から、樹脂(1−1)、樹脂(1−2)、樹脂(1−5)、樹脂(1−6)、樹脂(1−7)、樹脂(1−8)、樹脂(1−9)、樹脂(1−11)、樹脂(1−12)、樹脂(1−13)が好ましく、さらには、樹脂(1−6)、樹脂(1−7)、樹脂(1−9)、樹脂(1−11)、樹脂(1−12)、樹脂(1−13)がより好ましい。
【0054】
続いて、本発明により得られる熱可塑性樹脂の合成法について説明する。
【0055】
樹脂(1−1)は、定法で合成された−CH2−CH=CH2を有する重合体とアルコキシシラン(トリエトキシシラン)とを触媒の存在下で反応させることにより前駆体が得られ、さらに、カップリング剤として下記式(3)で示される構造を有する化合物を加えることで得られる。
【外5】
【0056】
樹脂(1−2)、樹脂(1−3)、樹脂(1−4)、樹脂(1−5)などは、上記式(1)で示される構造を有する基を有するエステル(フマル酸エステル)と、水酸基を有するテトラメチルビフェノール、C型ビスフェノール、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどとを触媒存在下、公知のエステル交換法で合成する。この場合、アルコールをエステル基1個に対して1〜10倍モル量を用いる。
【0057】
その他の合成法としては、フマル酸とエーテルとの縮合が挙げられる。
【0058】
なお、ここで使用される溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミドや、塩基性のピリジン類、ピコリン、コリジンなどが挙げられる。
【0059】
以下、本発明に用いる電子写真感光体の層構成について説明する。
【0060】
本発明の電子写真感光体の感光層は、感光層が電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有する単層型であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層に分離した積層型であってもよいが、電子写真特性的には積層型が好ましく、さらには、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した層構成がより好ましい。
【0061】
本発明の効果は、上記特定の熱可塑性樹脂と電荷発生物質との相互作用で得られるので、上記特定の熱可塑性樹脂は、電荷発生物質を含有する層(例えば、積層型感光層の場合は電荷発生層)に用いることが、電荷発生物質との接触割合を高くできるため好ましい。
【0062】
また、電荷発生物質を含有する層に隣接する層、例えば、積層型感光層の電荷輸送層に上記特定の熱可塑性樹脂を用いても、上記特定の熱可塑性樹脂の電荷発生層へのマイグレートがあるため、十分な増感作用を発揮することができる。
【0063】
本発明で用いる支持体としては、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成型したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したものなどが挙げられる。
【0064】
LBPなど画像入力がレーザー光の場合は、散乱による干渉縞防止、または、支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。
【0065】
これは、カーボンブラック、金属粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。
【0066】
導電層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0067】
また、支持体または導電層の上に、接着機能を有する中間層を設けてもよい。
【0068】
中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンなどが挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。
【0069】
中間層の膜厚は、0.05〜5μmが好ましく、0.3〜1μmがより好ましい。
【0070】
積層型感光層の場合、支持体、導電層または中間層の上には電荷発生層が形成されることが好ましい。
【0071】
電荷発生層は、結着樹脂を電荷発生物質に対して10%〜200%および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成することが好ましい。なお前記結着樹脂は上記特定の熱可塑性樹脂でもあるいは公知の熱可塑性樹脂でもよい。
【0072】
なお、上記特定の熱可塑性樹脂は、電荷発生層用分散液に後で添加しても、本発明の効果は十分に得られる。
【0073】
電荷発生物質としては、フタロシアニン、トリスアゾ、ジスアゾ、モノアゾ系の各顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としてはオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、銅フタロシアニンが好ましい。
【0074】
電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。成膜時の乾燥温度は50℃〜150℃であることが好ましく、材料の劣化を防ぐため80℃〜120℃がより好ましい。
【0075】
前記した公知の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは、単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合して用いてもよい。
【0076】
電荷輸送層としては電荷輸送物質や熱可塑性樹脂の他に、上記特定の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。電荷輸送物質としては、正孔輸送物質としてアミン化合物の他に、例えばピレン、アントラセンなどの多環芳香族化合物、カルバゾール系、インドール系、オキサゾール系、チアゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系、トリアゾール系化合物などの複素環化合物、ヒドラゾン系化合物、トリアリールメタン系化合物、スチルベン系化合物が挙げられる。
【0077】
電子輸送物質としては2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル、テトラシアノキノジメタンおよびアルキル置換ジフェノキノンなどの電子受容性物質が挙げられる。
【0078】
本発明においては、電荷輸送物質としては、トリフェニルアミン系、ベンジジン系が本発明で使用する顔料とのマッチングが良好で、かつ添加剤との相溶性がよいため好ましい。
【0079】
また、電荷輸送層中に酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
電荷輸送層が表面層の場合、必要に応じて潤滑材や微粒子を使用してもよい。
なお電荷輸送層で使用する熱可塑性樹脂としては、前記した公知の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。また電荷輸送物質は、熱可塑性樹脂に対して、1〜100質量%が好ましく、さらには30質量%〜100質量%がより好ましい。
【0080】
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmが好ましく、さらには15〜30μmがより好ましい。成膜時の乾燥温度は50℃〜180℃が好ましく、クラック防止のため100℃〜150℃がより好ましい。
【0081】
なお、本発明より得られる特定の熱可塑性樹脂を含有する層を形成する場合、いずれの層においても乾燥温度は120℃以下が好ましく、乾燥時間は60分以下が好ましい。
【0082】
単層型の感光層の場合、膜厚は、10〜50μmが好ましく、さらには20 〜30μmがより好ましい。
【0083】
電子写真感光体の製造工程において、使用する溶剤としては、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、単独で用いても複数の溶剤を用いてもよい。
【0084】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0085】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0086】
電子写真感光体1は、回転過程において、(一次)帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0087】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期取りされて給送された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。
【0088】
像転写を受けた転写材7は、電子写真感光体面から分離されて定着手段8へ導入されて定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0089】
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0090】
なお、(一次)帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0091】
また、帯電手段3や現像手段5が電子写真感光体のクリーニング機能を併せ持つ場合は、クリーニング手段は必ずしも必要ではない。
【0092】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、(一次)帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。
【0093】
例えば、(一次)帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9の少なくとも1つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体のレール12などの案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0094】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動および液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
【0095】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンターおよびレーザー製版など電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0096】
次に、本発明で使用する分析装置について説明する。
【0097】
本発明による化合物の重量平均分子量(Mw)はGPC(ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー)により測定されるポリスチレン換算値とした。
【0098】
重量平均分子量測定は常法にしたがって行う。
【0099】
試料をTHF中に入れ、数時間放置した後十分に振とうしてTHFとよく混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)さらに12時間以上静置する。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−5東ソー社製、エキクロディスク25CRゲルマンサイエンス社製などが利用できる)を通過させたものをGPCの試料とする。試料濃度は樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調製する。
【0100】
作製した試料は以下の方法で測定される。
【0101】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約10μl注入して測定する。
【0102】
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
【0103】
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー(株)製あるいは、昭和電工(株)製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
【0104】
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0105】
カラムとしては、市販のポリスチレンゲルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば、昭和電工製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー(株)製TSKgelG1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSK guard columnの組み合わせを挙げることができる。
【0106】
なお粉末X線回折の測定にはCuKα線を用い、次の条件で行った。
【0107】
使用測定機:マック・サイエンス社製、全自動X線回折装置MXP18
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:2deg./min
サンプリング間隔:0.020deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):40deg.
ダイバージェンススリット:0.5deg.
スキャッタリングスリット:0.5deg.
レシービングスリット:0.3deg.
湾曲モノクロメーター使用
【0108】
【実施例】
以下、実施例にしたがって、本発明をより一層詳細に説明する。
【0109】
なお、「部」は「質量部」を意味する。
【0110】
〔実施例1〕
直径30mm、長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を、支持体上に浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分熱硬化して、膜厚15μmの導電層を形成した。
【0111】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
結着樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール=0.2/0.8 20部
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部を、メタノール65部およびn−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を、浸漬コーティング法で塗布し100℃で10分乾燥し、膜厚0.5μmの中間層を形成した。
【0112】
次に、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン4部を、シクロヘキサノン95部にブチラール樹脂(ブチラール化度63モル%、重量平均分子量100000)2部を溶かした液に加え、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で温度21±3℃の雰囲気下で20時間分散した。
【0113】
その後、酢酸エチル60部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。
【0114】
これを中間層上に塗布し、90℃で10分乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0115】
続いて、次のように電荷輸送層を形成した。
【0116】
ポリアリレート樹脂(PAR−C:重量平均分子量80000)40部をモノクロロベンゼン150部、ジクロロメタン60部に混合、溶解させた後、上記特定の熱可塑性樹脂10部、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質25部とを加えて溶解させて電荷輸送層用塗料とし、上記電荷発生層上に浸漬塗布後、80℃で30分乾燥し、その後、120℃で20分乾燥し、膜厚18μmの電荷輸送層を設け、電子写真感光体とした。
【外6】
【0117】
(初期特性評価)
・評価機
レーザージェット4000(ヒューレットパッカード社製)
プロセススピード:94.2mm/s
レーザー光量:0.20μJ/cm2(露光装置に可変抵抗を設け、印加電圧を調整した。)
帯電:直流電圧に交流電圧を重畳させた接触帯電(高圧電源基板に改造を施し、外部電源を用いた。周波数1kHz、ピーク間電圧1kV)
得られた電子写真感光体を上記評価機に装着し、温度23℃、湿度50%RHの常温常湿環境(N/N:23℃、50%RH)下で暗部電位Vd=−600Vに設定し、明部電位Vlおよび残留電位Vrを測定した。Vdに関しては、より帯電能を評価しやすい暗減衰量を見た。すなわち、Vdを測定した直後に印加電圧およびドラム回転を切り、10秒間放置した後のVdを評価し、差をとって評価した。なお電子写真感光体の電子写真特性を測定するため現像位置にプローブを取り付けた電位測定冶具を用いて測定した。
【0118】
暗減衰量は絶対値が小さいほど帯電能が良いことを示し、明部電位Vl、残留電位Vrは小さいほど特性が良いことを示す。
【0119】
(耐久評価)
N/Nで2000枚の通紙耐久試験を行い、2000枚後のVlを測定し、初期と耐久後の電位変動量を評価した。なお、電位変動量については、以下の式より算出した。
【0120】
明部電位変動量(ΔVl)=初期明部電位−通紙耐久後の明部電位
耐久通紙画像はA4で、印字率4%の格子パターンとした。
【0121】
シーケンスは連続プリントモードとした。
【0122】
トナーがなくなったならば補給した。
【0123】
明部電位変動量ΔVlについては、絶対値が小さいほど繰り返し特性が良好であり、摩耗量については値が小さいほど膜強度が高い。
【0124】
(画像評価)
耐久後、A4用紙で画像先端がベタ黒、後半がベタ白画像の画像出しを行い、評価を行った。ゴースト画像の評価基準は次のとおりである。
◎:画像後半のベタ白画像部分のゴースト部のかぶりが1%未満
○:画像後半のベタ白画像部分のゴースト部のかぶりが1%以上3%未満
△:画像後半のベタ白画像部分のゴースト部のかぶりが3%以上5%未満
×:画像後半のベタ白画像部分のゴースト部のかぶりが5%以上
なお、△および×は、本発明の効果が十分に得られていないと判断した。
【0125】
かぶり評価には、反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.LTD(株)製、REFLECTOMETERMODEL TC−6DS)を用いた(プリント後の反射濃度最悪値をDS、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDr、DS−Drをかぶり量とした)。
【0126】
(フォトメモリーの評価)
耐久後の電子写真感光体の一部に3000lux、20分間の白色蛍光灯の光を当て、4分間放置後明部電位を測定し、光を当てる前から明部電位がどれだけ下がったかを測定し、その変化量をフォトメモリー値とした。
【0127】
(環境変動)
N/N(23℃、50%RH)、L/L(15℃、10%RH)、H/H(30℃、80%RH)の環境下で、上記と同様の評価を行った。
【0128】
〔実施例2〜10〕
実施例1において、特定の熱可塑性樹脂を、表4に示す樹脂にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0129】
実施例1〜10の結果を表4に示す。
【0130】
【表4】
【0131】
〔実施例11〕
実施例1において、電荷発生層と電荷輸送層を次のように変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0132】
すなわち、実施例1の電荷発生層用分散液に、表5で示す構造を有する特定の熱可塑性樹脂6部を添加し、電荷輸送層として上記特定の熱可塑性樹脂を含まない層を形成した以外は実施例1と同様である。
【0133】
〔実施例12〜20〕
実施例11において、特定の熱可塑性樹脂を、表5に示す樹脂にそれぞれ変更した以外は、実施例11と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0134】
実施例11〜20の結果を表5に示す。
【0135】
【表5】
【0136】
〔実施例21〕
実施例1における電荷発生層用分散液において、分散後に樹脂(1−12)7.2部を添加して攪拌して電荷発生層とし、かつ、電荷輸送層では上記特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0137】
〔実施例22〕
実施例21において、樹脂(1−12)を樹脂(1−13)に変更した以外は、実施例21と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0138】
〔実施例23、24〕
実施例21における電荷発生層において、特定の熱可塑性樹脂の添加量を表6に示すように変更した以外は、実施例21と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0139】
〔実施例25〕
実施例14において、電荷発生層の乾燥条件を130℃、10分に変更した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0140】
実施例21〜25の結果を表6に示す。
【0141】
【表6】
【0142】
〔実施例26〕
実施例14において、電荷発生物質をCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形(I型と呼ばれる)のオキシチタニウムフタロシアニンに変更した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0143】
〔実施例27〕
実施例14において、電荷発生物質をCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.5°および27.3°に強いピークを有する結晶形(Y型と呼ばれる)のオキシチタニウムフタロシアニンに変更した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0144】
〔実施例28〕
実施例14において、電荷発生物質をCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン(特開2000−089493号公報記載のP−1)に変更した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0145】
〔実施例29〕
実施例14において、電荷発生物質を下記式で示される構造を有するアゾ顔料に変更し、次のように電荷発生層を形成した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0146】
すなわち、下記式で示される構造を有するアゾ顔料4部とテトラヒドロフラン86部、直径1mmのガラスビーズ150部を入れ、ペイントシェーカーで7時間分散した。
【0147】
次いで、樹脂(1−6)のテトラヒドロフラン10%溶液20部を加え、さらに4時間分散し、テトラヒドロフラン40部を加え、電荷発生層用分散液とし、混合した後、添加剤6を4.5部添加し、攪拌した液を浸漬法で塗布し90℃で10分乾燥し0.5μmの電荷発生層を形成した。
【外7】
【0148】
実施例26〜29の結果を表7に示す。
【0149】
【表7】
【0150】
〔比較例1〕
実施例1において、上記特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0151】
〔比較例2〕
実施例11において、特定の熱可塑性樹脂を下記式で示される繰り返し構造単位を有する樹脂(Mw:5500)に変更した以外は、実施例11と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【外8】
【0152】
〔比較例3〕
実施例11において、特定の熱可塑性樹脂を下記式で示される繰り返し構造単位を有する樹脂(Mw:5700)に変更した以外は、実施例11と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【外9】
【0153】
〔比較例4〕
実施例1において、特定の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)を4500に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0154】
〔比較例5〕
実施例1において、特定の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)を7200に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0155】
〔比較例6〕
実施例24において、特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は、実施例24と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0156】
〔比較例7〕
実施例25において、特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は、実施例25と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0157】
〔比較例8〕
実施例26において、特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は、実施例26と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0158】
〔比較例9〕
実施例27において、特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は、実施例27と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0159】
比較例1〜9の結果を表8に示す。
【0160】
【表8】
【0161】
〔実施例30、31〕
実施例14において、評価環境を、それぞれ、温度15℃、湿度10%RH(L/L)、温度30℃、湿度80%RH(H/H)に変更した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0162】
[比較例10、11]
比較例1において、評価環境を、それぞれ、温度15℃、湿度10%RH(L/L)、温度30℃、湿度80%RH(H/H)に変更した以外は、比較例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0163】
実施例30、31、比較例10、11の結果を表9に示す。
【0164】
【表9】
【0165】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、高感度であり、残留電位・フォトメモリーが低く、繰り返し特性・画像安定性・環境安定性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 軸
3 (一次)帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 レール
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体に用いられる材料として、有機光導電物質が、その無公害性や高生産性といった利点を有するため広く利用されている。有機光導電物質を使用したこれら有機電子写真感光体は、電気的および機械的特性の双方を満足するために、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層した積層型(機能分離型)の電子写真感光体として利用される場合が多い。
【0003】
当然のことながら、電子写真感光体には、それが適用される電子写真プロセスに応じた感度や、低残留電位、光学的特性(低フォトメモリーなど)を備えていることが要求される。
【0004】
電子写真感光体の感度は、電荷発生層での電荷発生効率、電荷発生層から電荷輸送層への電荷注入効率、および、電荷輸送層での電荷移動度に支配される。
【0005】
そこで、感度の向上を目的として、電荷発生効率の高い電荷発生物質、電荷移動度の大きい電荷輸送物質、さらには、電荷注入効率の高い電荷発生物質と電荷輸送物質の組み合わせ(マッチング)、あるいは、増感剤などの開発が盛んに行われている。
【0006】
例えば、電荷発生効率が比較的高い電荷発生物質としては、フタロシアニン顔料やアゾ顔料が頻繁に使用されているが、無機光導電性物質の電荷発生効率がほぼ100%であるのに対して、有機光導電性物質では30〜40%であるため、電荷発生効率を上げる目的で様々な試みが行われている。
【0007】
その1つとして、アクセプター性化合物の添加がある。
【0008】
例えば、特開昭53−37424号公報、特開昭53−83745号公報などには、無金属フタロシアニンや銅フタロシアニンを用いた電子写真感光体の感光層中に、テトラシアノエチレンや2,4,7−トリニトロフルオレノンを添加することにより、電子写真感光体の半減露光量で表される感度を向上させる技術が開示されている。
【0009】
また、特公昭53−89434号公報には、添加剤として多環芳香族ニトロ化合物を含有させることで、感度を向上させる技術が開示されている。
【0010】
また、特開昭57−13257号公報には、感光層に増感剤としてニトロ無水フタル酸を含有させることで、感度を向上させる技術が開示されている。
【0011】
また、特開昭63−55555号公報には、p−ベンゾキノン、アントラキノン、1,4−ナフトキノン、モノクロロ−p−ベンゾキノンなどの添加することで、感度を向上させる技術が開示されている。
【0012】
また、特開平3−163559号公報には、電荷発生層にフタル酸またはその誘導体の添加することで、感度を向上させる技術が開示されている。
【0013】
また、特開平7−271067号公報には、電荷輸送層にジフェノキノン誘導体、クマレート誘導体およびフタルイミド誘導体を添加することで感度を向上させる技術が開示されている。
【0014】
また、ターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレンなどの公知の増感剤を、電荷発生物質と併用して使用する場合がある。
【0015】
しかし、これらの技術は、電荷発生効率の向上はみられるものの、帯電性が悪化したり、繰り返し使用特性が低下し、耐久性に問題を生じたり、環境安定性が低下するなどの欠点を有していた。
【0016】
なお、電荷移動度に関しても、比較的高移動度であるトリフェニルアミン化合物などが挙げられるが、近年のプロセススピードの増加で、より高感度の電荷輸送物質が強く要求されている。
【0017】
その解決策の1つとして、高感度化のために電荷輸送物質などの低分子量成分が比較的大量に添加される場合が多いが、このような方法を採ると、絶縁材料である結着樹脂の比率が低下し、電子写真感光体の帯電性が低下したり、機械的強度が低下したりしてしまう。
【0018】
電荷注入効率に関しては、高電場域では高くても50%の効率、低電場域では10%以下であり、これを高くすることにより、一層の高感度化が可能と考えられる。
【0019】
電荷発生層から電荷輸送層へ電荷を効率よく注入するためには、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを電荷発生物質のそれよりも小さくして、エネルギー障壁を無くす必要がある。
【0020】
上述した理由かどうか明確ではないが、特開平7−199502号公報では、電荷輸送層に特定の脂肪族鎖を有する化合物を添加することで、感度が向上するとある。しかし、その感度自体はまだ不十分であるといわざるを得ない。
【0021】
また、特開平02−007060号公報および2001−356497号公報には、フマル酸エステル部位を有するポリエステル樹脂が開示されているが、これらの化合物はフマル酸エステル部位が多いため、感光層中の層間の密着性(例えば、電荷輸送層と電荷発生層の密着性)が低下し、感度の向上は不十分である。
【0022】
このように、有機電子写真感光体の高感度化、残留電位・フォトメモリーの低減、繰り返し特性・画像安定性・環境安定性の向上には多くの問題が残されており、現状の電子写真感光体を改良した高性能の電子写真感光体が当該技術分野で強く要請されているのが実情である。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度であり、残留電位・フォトメモリーが低く、繰り返し特性・画像安定性・環境安定性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、電子写真感光体の感光層に、特定の構造を有する化合物を含有させることで、上記目的を果たすことができることを見いだした。
【0025】
すなわち、本発明は、支持体上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層が下記式(1)で示される構造を有する基を有する熱可塑性樹脂を含有し、
該熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)が5000以上9000以下である
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【外3】
【0026】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0027】
【発明の実施の形態】
電子写真感光体の感光層が、上記式(1)で示される構造を有する基を有し、重量平均分子量(Mw)が5000以上9000以下である熱可塑性樹脂(以下、「上記特定の熱可塑性樹脂」とも表現する。)を含有することで電位特性(感度、残留電位)が大きく向上する。つまり、高感度であり、残留電位・フォトメモリーが低く、繰り返し電位特性・画像安定性・環境安定性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
【0028】
上記特定の熱可塑性樹脂を感光層に含有する電子写真感光体の電荷発生効率・電荷注入効率(電界領域:1〜120V/μm)は、それを含有しない電子写真感光体の効率より高い。
【0029】
したがって、上記特定の熱可塑性樹脂は、電荷発生物質に対して電荷発生そのものの向上、キャリア対の生成を促すといった増感作用を、さらには、電荷輸送物質への電荷注入を助ける効果を有していると考えられる。
【0030】
そして、電荷の発生あるいは注入に対するエネルギー的なギャップを埋められ、電荷の滞留が抑えられるため、繰り返し特性、画像安定性が持続し、環境安定性が向上すると考えられる。
【0031】
なお、電荷発生効率・電荷注入効率が高くなる理由としては、上記特定の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)が5000以上9000以下と比較的高いこと、また、上記式(1)で示される構造を有する基の電荷密度が高いことにより、上記特定の熱可塑性樹脂が、電荷発生物質、さらには、感光層中の層間の密着性を高め、かつ、上記式(1)で示される構造が増感作用を促して、電荷発生注入効率を高めていると考えている。
【0032】
以下に、上記特定の熱可塑性樹脂、および、それを含有する感光層について、詳細に説明する。
【0033】
本発明の電子写真感光体に使用される上記特定の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、上述のとおり、5000以上9000以下であるが、重量平均分子量(Mw)が5000未満であると、感光層中の層間における密着性が低下し、繰り返し電位特性が悪化し、一方、9000を超えると、感度の向上が見られない。
【0034】
上記特定の熱可塑性樹脂は、上記式(1)で示される構造を有する基を、主鎖中に有してもよく、側鎖に有してもよいが、その中でも、下記式(2)で示される構造を有する基を側鎖に有する熱可塑性樹脂が、電荷発生物質への増感作用が高くなるため好ましい。
【外4】
【0035】
上記式(2)中、R21は、単結合、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のシクロアルキレン基、または、置換または無置換のアリーレン基を示し、R22は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のエーテル結合を有する基、置換または無置換のシクロアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を示す。
【0036】
上記アルキレン基としては、メチレン、エチレンン基が挙げられ、上記シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基が挙げられ、上記アリーレン基としては、フェニル基が挙げられる。
【0037】
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基が挙げられ、上記エーテル結合を有する基としては、−CH2−O−CH2CH3、−CH2−O−CH2CH2CH3、−CH2−O−CH2CH=CH2、−CH2−O−CH=CH2CH3が挙げられ、上記シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基が挙げられる。
【0038】
上記各基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
【0039】
なお、「単結合」とは、後述の樹脂(1−2)のように、基を介さずに直接結合している場合を意味する。
【0040】
上記式(1)で示される構造を有する基は、上記特定の熱可塑性樹脂の全質量に対して10〜50質量%であることが、増感作用および密着性が優れるため好ましい。10質量%より少ないと増感作用が低下することがあり、50質量%より多いと密着性が低下し、繰り返し電位特性が悪化することがある。
【0041】
また、感光層中の上記特定の熱可塑性樹脂と電荷発生物質の割合は、電荷発生物質に対して20〜150質量%であることが好ましく、20質量%より少ないと感度の向上が小さく、150質量%より多いと感度の向上は大きいが電荷発生物質の比率が小さいため、繰り返し電位安定性が低下することがある。
【0042】
また、上記特定の熱可塑性樹脂の構造は、成膜性という観点から、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂からなる群より選択される樹脂が上記式(1)で示される構造を有する基を有するという構造であることが好ましい。その中でも、さらには、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂がより好ましい。
【0043】
また、本発明で用いる電荷発生物質としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、フォトメモリーの観点から、フタロシアニン顔料が好ましく、その中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、オキシチタニウムフタロシアニンが特に好ましい。これらの顔料と組み合わせることで、低フォトメモリーはもちろんのこと、環境変動も抑えることができる。
【0044】
また、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの中では、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンが、上記特定の熱可塑性樹脂への分散安定性に優れるため好ましい。
【0045】
また、オキシチタニウムフタロシアニンの中では、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θの9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンがより好ましい。
【0046】
以下に、上記式(1)で示される構造を有する基を有する熱可塑性樹脂の例(繰り返し構造単位の例)を示す。
【0047】
なお、樹脂例のうち共重合体のものは、便宜上、ブロック共重合体のように記載したが、後述の実施例で使用したものは総てランダム共重合体であり、繰り返し構造単位の右の下付け数字は共重合比を意味する。
【0048】
ただし、本発明は、共重合の状態(ランダム共重合、ブロック共重合など)には限定されない。
【0049】
また、以下に挙げる樹脂例を1種または複数以上混合して用いてもよい。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
これらの中でも、高感度という観点から、樹脂(1−1)、樹脂(1−2)、樹脂(1−5)、樹脂(1−6)、樹脂(1−7)、樹脂(1−8)、樹脂(1−9)、樹脂(1−11)、樹脂(1−12)、樹脂(1−13)が好ましく、さらには、樹脂(1−6)、樹脂(1−7)、樹脂(1−9)、樹脂(1−11)、樹脂(1−12)、樹脂(1−13)がより好ましい。
【0054】
続いて、本発明により得られる熱可塑性樹脂の合成法について説明する。
【0055】
樹脂(1−1)は、定法で合成された−CH2−CH=CH2を有する重合体とアルコキシシラン(トリエトキシシラン)とを触媒の存在下で反応させることにより前駆体が得られ、さらに、カップリング剤として下記式(3)で示される構造を有する化合物を加えることで得られる。
【外5】
【0056】
樹脂(1−2)、樹脂(1−3)、樹脂(1−4)、樹脂(1−5)などは、上記式(1)で示される構造を有する基を有するエステル(フマル酸エステル)と、水酸基を有するテトラメチルビフェノール、C型ビスフェノール、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどとを触媒存在下、公知のエステル交換法で合成する。この場合、アルコールをエステル基1個に対して1〜10倍モル量を用いる。
【0057】
その他の合成法としては、フマル酸とエーテルとの縮合が挙げられる。
【0058】
なお、ここで使用される溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミドや、塩基性のピリジン類、ピコリン、コリジンなどが挙げられる。
【0059】
以下、本発明に用いる電子写真感光体の層構成について説明する。
【0060】
本発明の電子写真感光体の感光層は、感光層が電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有する単層型であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層に分離した積層型であってもよいが、電子写真特性的には積層型が好ましく、さらには、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した層構成がより好ましい。
【0061】
本発明の効果は、上記特定の熱可塑性樹脂と電荷発生物質との相互作用で得られるので、上記特定の熱可塑性樹脂は、電荷発生物質を含有する層(例えば、積層型感光層の場合は電荷発生層)に用いることが、電荷発生物質との接触割合を高くできるため好ましい。
【0062】
また、電荷発生物質を含有する層に隣接する層、例えば、積層型感光層の電荷輸送層に上記特定の熱可塑性樹脂を用いても、上記特定の熱可塑性樹脂の電荷発生層へのマイグレートがあるため、十分な増感作用を発揮することができる。
【0063】
本発明で用いる支持体としては、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成型したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したものなどが挙げられる。
【0064】
LBPなど画像入力がレーザー光の場合は、散乱による干渉縞防止、または、支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。
【0065】
これは、カーボンブラック、金属粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。
【0066】
導電層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0067】
また、支持体または導電層の上に、接着機能を有する中間層を設けてもよい。
【0068】
中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンなどが挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。
【0069】
中間層の膜厚は、0.05〜5μmが好ましく、0.3〜1μmがより好ましい。
【0070】
積層型感光層の場合、支持体、導電層または中間層の上には電荷発生層が形成されることが好ましい。
【0071】
電荷発生層は、結着樹脂を電荷発生物質に対して10%〜200%および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成することが好ましい。なお前記結着樹脂は上記特定の熱可塑性樹脂でもあるいは公知の熱可塑性樹脂でもよい。
【0072】
なお、上記特定の熱可塑性樹脂は、電荷発生層用分散液に後で添加しても、本発明の効果は十分に得られる。
【0073】
電荷発生物質としては、フタロシアニン、トリスアゾ、ジスアゾ、モノアゾ系の各顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としてはオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、銅フタロシアニンが好ましい。
【0074】
電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。成膜時の乾燥温度は50℃〜150℃であることが好ましく、材料の劣化を防ぐため80℃〜120℃がより好ましい。
【0075】
前記した公知の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは、単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合して用いてもよい。
【0076】
電荷輸送層としては電荷輸送物質や熱可塑性樹脂の他に、上記特定の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。電荷輸送物質としては、正孔輸送物質としてアミン化合物の他に、例えばピレン、アントラセンなどの多環芳香族化合物、カルバゾール系、インドール系、オキサゾール系、チアゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系、トリアゾール系化合物などの複素環化合物、ヒドラゾン系化合物、トリアリールメタン系化合物、スチルベン系化合物が挙げられる。
【0077】
電子輸送物質としては2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル、テトラシアノキノジメタンおよびアルキル置換ジフェノキノンなどの電子受容性物質が挙げられる。
【0078】
本発明においては、電荷輸送物質としては、トリフェニルアミン系、ベンジジン系が本発明で使用する顔料とのマッチングが良好で、かつ添加剤との相溶性がよいため好ましい。
【0079】
また、電荷輸送層中に酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
電荷輸送層が表面層の場合、必要に応じて潤滑材や微粒子を使用してもよい。
なお電荷輸送層で使用する熱可塑性樹脂としては、前記した公知の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。また電荷輸送物質は、熱可塑性樹脂に対して、1〜100質量%が好ましく、さらには30質量%〜100質量%がより好ましい。
【0080】
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmが好ましく、さらには15〜30μmがより好ましい。成膜時の乾燥温度は50℃〜180℃が好ましく、クラック防止のため100℃〜150℃がより好ましい。
【0081】
なお、本発明より得られる特定の熱可塑性樹脂を含有する層を形成する場合、いずれの層においても乾燥温度は120℃以下が好ましく、乾燥時間は60分以下が好ましい。
【0082】
単層型の感光層の場合、膜厚は、10〜50μmが好ましく、さらには20 〜30μmがより好ましい。
【0083】
電子写真感光体の製造工程において、使用する溶剤としては、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、単独で用いても複数の溶剤を用いてもよい。
【0084】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0085】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0086】
電子写真感光体1は、回転過程において、(一次)帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0087】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期取りされて給送された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。
【0088】
像転写を受けた転写材7は、電子写真感光体面から分離されて定着手段8へ導入されて定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0089】
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0090】
なお、(一次)帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0091】
また、帯電手段3や現像手段5が電子写真感光体のクリーニング機能を併せ持つ場合は、クリーニング手段は必ずしも必要ではない。
【0092】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、(一次)帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。
【0093】
例えば、(一次)帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9の少なくとも1つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体のレール12などの案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0094】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動および液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
【0095】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンターおよびレーザー製版など電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0096】
次に、本発明で使用する分析装置について説明する。
【0097】
本発明による化合物の重量平均分子量(Mw)はGPC(ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィー)により測定されるポリスチレン換算値とした。
【0098】
重量平均分子量測定は常法にしたがって行う。
【0099】
試料をTHF中に入れ、数時間放置した後十分に振とうしてTHFとよく混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)さらに12時間以上静置する。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−5東ソー社製、エキクロディスク25CRゲルマンサイエンス社製などが利用できる)を通過させたものをGPCの試料とする。試料濃度は樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調製する。
【0100】
作製した試料は以下の方法で測定される。
【0101】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約10μl注入して測定する。
【0102】
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
【0103】
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー(株)製あるいは、昭和電工(株)製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
【0104】
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0105】
カラムとしては、市販のポリスチレンゲルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば、昭和電工製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー(株)製TSKgelG1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSK guard columnの組み合わせを挙げることができる。
【0106】
なお粉末X線回折の測定にはCuKα線を用い、次の条件で行った。
【0107】
使用測定機:マック・サイエンス社製、全自動X線回折装置MXP18
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:2deg./min
サンプリング間隔:0.020deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):40deg.
ダイバージェンススリット:0.5deg.
スキャッタリングスリット:0.5deg.
レシービングスリット:0.3deg.
湾曲モノクロメーター使用
【0108】
【実施例】
以下、実施例にしたがって、本発明をより一層詳細に説明する。
【0109】
なお、「部」は「質量部」を意味する。
【0110】
〔実施例1〕
直径30mm、長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を、支持体上に浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分熱硬化して、膜厚15μmの導電層を形成した。
【0111】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
結着樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール=0.2/0.8 20部
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部を、メタノール65部およびn−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を、浸漬コーティング法で塗布し100℃で10分乾燥し、膜厚0.5μmの中間層を形成した。
【0112】
次に、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン4部を、シクロヘキサノン95部にブチラール樹脂(ブチラール化度63モル%、重量平均分子量100000)2部を溶かした液に加え、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で温度21±3℃の雰囲気下で20時間分散した。
【0113】
その後、酢酸エチル60部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。
【0114】
これを中間層上に塗布し、90℃で10分乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0115】
続いて、次のように電荷輸送層を形成した。
【0116】
ポリアリレート樹脂(PAR−C:重量平均分子量80000)40部をモノクロロベンゼン150部、ジクロロメタン60部に混合、溶解させた後、上記特定の熱可塑性樹脂10部、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質25部とを加えて溶解させて電荷輸送層用塗料とし、上記電荷発生層上に浸漬塗布後、80℃で30分乾燥し、その後、120℃で20分乾燥し、膜厚18μmの電荷輸送層を設け、電子写真感光体とした。
【外6】
【0117】
(初期特性評価)
・評価機
レーザージェット4000(ヒューレットパッカード社製)
プロセススピード:94.2mm/s
レーザー光量:0.20μJ/cm2(露光装置に可変抵抗を設け、印加電圧を調整した。)
帯電:直流電圧に交流電圧を重畳させた接触帯電(高圧電源基板に改造を施し、外部電源を用いた。周波数1kHz、ピーク間電圧1kV)
得られた電子写真感光体を上記評価機に装着し、温度23℃、湿度50%RHの常温常湿環境(N/N:23℃、50%RH)下で暗部電位Vd=−600Vに設定し、明部電位Vlおよび残留電位Vrを測定した。Vdに関しては、より帯電能を評価しやすい暗減衰量を見た。すなわち、Vdを測定した直後に印加電圧およびドラム回転を切り、10秒間放置した後のVdを評価し、差をとって評価した。なお電子写真感光体の電子写真特性を測定するため現像位置にプローブを取り付けた電位測定冶具を用いて測定した。
【0118】
暗減衰量は絶対値が小さいほど帯電能が良いことを示し、明部電位Vl、残留電位Vrは小さいほど特性が良いことを示す。
【0119】
(耐久評価)
N/Nで2000枚の通紙耐久試験を行い、2000枚後のVlを測定し、初期と耐久後の電位変動量を評価した。なお、電位変動量については、以下の式より算出した。
【0120】
明部電位変動量(ΔVl)=初期明部電位−通紙耐久後の明部電位
耐久通紙画像はA4で、印字率4%の格子パターンとした。
【0121】
シーケンスは連続プリントモードとした。
【0122】
トナーがなくなったならば補給した。
【0123】
明部電位変動量ΔVlについては、絶対値が小さいほど繰り返し特性が良好であり、摩耗量については値が小さいほど膜強度が高い。
【0124】
(画像評価)
耐久後、A4用紙で画像先端がベタ黒、後半がベタ白画像の画像出しを行い、評価を行った。ゴースト画像の評価基準は次のとおりである。
◎:画像後半のベタ白画像部分のゴースト部のかぶりが1%未満
○:画像後半のベタ白画像部分のゴースト部のかぶりが1%以上3%未満
△:画像後半のベタ白画像部分のゴースト部のかぶりが3%以上5%未満
×:画像後半のベタ白画像部分のゴースト部のかぶりが5%以上
なお、△および×は、本発明の効果が十分に得られていないと判断した。
【0125】
かぶり評価には、反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.LTD(株)製、REFLECTOMETERMODEL TC−6DS)を用いた(プリント後の反射濃度最悪値をDS、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDr、DS−Drをかぶり量とした)。
【0126】
(フォトメモリーの評価)
耐久後の電子写真感光体の一部に3000lux、20分間の白色蛍光灯の光を当て、4分間放置後明部電位を測定し、光を当てる前から明部電位がどれだけ下がったかを測定し、その変化量をフォトメモリー値とした。
【0127】
(環境変動)
N/N(23℃、50%RH)、L/L(15℃、10%RH)、H/H(30℃、80%RH)の環境下で、上記と同様の評価を行った。
【0128】
〔実施例2〜10〕
実施例1において、特定の熱可塑性樹脂を、表4に示す樹脂にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0129】
実施例1〜10の結果を表4に示す。
【0130】
【表4】
【0131】
〔実施例11〕
実施例1において、電荷発生層と電荷輸送層を次のように変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0132】
すなわち、実施例1の電荷発生層用分散液に、表5で示す構造を有する特定の熱可塑性樹脂6部を添加し、電荷輸送層として上記特定の熱可塑性樹脂を含まない層を形成した以外は実施例1と同様である。
【0133】
〔実施例12〜20〕
実施例11において、特定の熱可塑性樹脂を、表5に示す樹脂にそれぞれ変更した以外は、実施例11と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0134】
実施例11〜20の結果を表5に示す。
【0135】
【表5】
【0136】
〔実施例21〕
実施例1における電荷発生層用分散液において、分散後に樹脂(1−12)7.2部を添加して攪拌して電荷発生層とし、かつ、電荷輸送層では上記特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0137】
〔実施例22〕
実施例21において、樹脂(1−12)を樹脂(1−13)に変更した以外は、実施例21と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0138】
〔実施例23、24〕
実施例21における電荷発生層において、特定の熱可塑性樹脂の添加量を表6に示すように変更した以外は、実施例21と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0139】
〔実施例25〕
実施例14において、電荷発生層の乾燥条件を130℃、10分に変更した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0140】
実施例21〜25の結果を表6に示す。
【0141】
【表6】
【0142】
〔実施例26〕
実施例14において、電荷発生物質をCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形(I型と呼ばれる)のオキシチタニウムフタロシアニンに変更した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0143】
〔実施例27〕
実施例14において、電荷発生物質をCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.5°および27.3°に強いピークを有する結晶形(Y型と呼ばれる)のオキシチタニウムフタロシアニンに変更した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0144】
〔実施例28〕
実施例14において、電荷発生物質をCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有する結晶形のクロロガリウムフタロシアニン(特開2000−089493号公報記載のP−1)に変更した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0145】
〔実施例29〕
実施例14において、電荷発生物質を下記式で示される構造を有するアゾ顔料に変更し、次のように電荷発生層を形成した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0146】
すなわち、下記式で示される構造を有するアゾ顔料4部とテトラヒドロフラン86部、直径1mmのガラスビーズ150部を入れ、ペイントシェーカーで7時間分散した。
【0147】
次いで、樹脂(1−6)のテトラヒドロフラン10%溶液20部を加え、さらに4時間分散し、テトラヒドロフラン40部を加え、電荷発生層用分散液とし、混合した後、添加剤6を4.5部添加し、攪拌した液を浸漬法で塗布し90℃で10分乾燥し0.5μmの電荷発生層を形成した。
【外7】
【0148】
実施例26〜29の結果を表7に示す。
【0149】
【表7】
【0150】
〔比較例1〕
実施例1において、上記特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0151】
〔比較例2〕
実施例11において、特定の熱可塑性樹脂を下記式で示される繰り返し構造単位を有する樹脂(Mw:5500)に変更した以外は、実施例11と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【外8】
【0152】
〔比較例3〕
実施例11において、特定の熱可塑性樹脂を下記式で示される繰り返し構造単位を有する樹脂(Mw:5700)に変更した以外は、実施例11と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【外9】
【0153】
〔比較例4〕
実施例1において、特定の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)を4500に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0154】
〔比較例5〕
実施例1において、特定の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)を7200に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0155】
〔比較例6〕
実施例24において、特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は、実施例24と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0156】
〔比較例7〕
実施例25において、特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は、実施例25と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0157】
〔比較例8〕
実施例26において、特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は、実施例26と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0158】
〔比較例9〕
実施例27において、特定の熱可塑性樹脂を使用しなかった以外は、実施例27と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0159】
比較例1〜9の結果を表8に示す。
【0160】
【表8】
【0161】
〔実施例30、31〕
実施例14において、評価環境を、それぞれ、温度15℃、湿度10%RH(L/L)、温度30℃、湿度80%RH(H/H)に変更した以外は、実施例14と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0162】
[比較例10、11]
比較例1において、評価環境を、それぞれ、温度15℃、湿度10%RH(L/L)、温度30℃、湿度80%RH(H/H)に変更した以外は、比較例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。
【0163】
実施例30、31、比較例10、11の結果を表9に示す。
【0164】
【表9】
【0165】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、高感度であり、残留電位・フォトメモリーが低く、繰り返し特性・画像安定性・環境安定性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 軸
3 (一次)帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 レール
Claims (13)
- 前記感光層が、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有し、該電荷発生層が、前記熱可塑性樹脂を含有する請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記式(1)で示される構造を有する基が、前記熱可塑性樹脂全質量に対して10〜50質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記熱可塑性樹脂が、前記電荷発生物質に対して20〜150質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂からなる群より選択される樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生物質が、フタロシアニン顔料である請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記フタロシアニン顔料が、ヒドロキシガリウムフタロシアニンである請求項7に記載の電子写真感光体。
- 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンが、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンである請求項8に記載の電子写真感光体。
- 前記フタロシアニン顔料が、オキシチタニウムフタロシアニンである請求項7に記載の電子写真感光体。
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンである請求項10に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段および現像手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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