JP2004036637A - ダイナミックダンパ - Google Patents
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Abstract
【課題】ダンパ特性を調整することができ且つ製作の容易なダイナミックダンパ構造を提供する。
【解決手段】取付部材4と質量体5と弾性体6とからなり、取付部材4は振動体8に結合される結合部11と、質量体5及び弾性体6を収容する収容部12とを備え、収容部12において、質量体5は取付部材4に接触しないように弾性体6にくるまれ、弾性体6は質量体5及び取付部材4のいずれとも非接着にされ、収容部12は、弾性体6に予圧縮が与えられるように、該弾性体6を介して質量体5を加圧保持するための加圧保持部12cを備えている。
【選択図】 図2
【解決手段】取付部材4と質量体5と弾性体6とからなり、取付部材4は振動体8に結合される結合部11と、質量体5及び弾性体6を収容する収容部12とを備え、収容部12において、質量体5は取付部材4に接触しないように弾性体6にくるまれ、弾性体6は質量体5及び取付部材4のいずれとも非接着にされ、収容部12は、弾性体6に予圧縮が与えられるように、該弾性体6を介して質量体5を加圧保持するための加圧保持部12cを備えている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はダイナミックダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイナミックダンパは、質量体を振動体に弾性体を介して支持して副振動系を構成することにより、振動体の所定振動数における振動レベルを低減させるものとして知られている。その一例を図6に示す。これは、振動体への取付孔dを有する取付板aに質量体bが弾性体cを介して取り付けられたものである。このようなダイナミックダンパは、取付板aと質量体bとの間に未加硫ゴムを設け、これを金型に入れて未加硫ゴムの加硫を行なうことにより製作されている。
【0003】
また、特開平4−46246号公報には、振動体に固着せしめる取付板と、この取付板に装着される金属ケースとを備え、質量体を弾性体でくるんでなるダンパ本体を金属ケース内に充填したダイナミックダンパが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示すようなダイナミックダンパでは、金型にて製作されることから、同図のA寸法が固定され、取付板a及び質量体bの寸法のバラツキが弾性体cによって吸収されることになる。このため、弾性体cの特性が個々のダイナミックダンパで異なるものになり、ダイナミックダンパの特性(固有振動数)にバラツキを生ずるという問題がある。
【0005】
また、ダイナミックダンパの製作にあたっては、上記未加硫ゴムの加硫のために、取付板a及び質量体bの脱脂洗浄(油の除去)、それら接着面への加硫接着剤の塗布、金型による加熱加圧を必要とし、製作に手間と時間がかかるという問題がある。さらに、弾性体cが取付板a及び質量体bに加硫接着していることから、当該ダイナミックダンパを廃棄処分にする際、これを分解することができず、取付板aや質量体bの再利用が難しく、また、弾性体cを形成しているゴムの再生も難しい。
【0006】
一方、上記公報に記載のダイナミックダンパの場合は、取付板や金属ケースの脱脂、加硫接着剤の塗布は不要になるが、金属ケースとダンパ本体との間の寸法誤差によってダンパ性能にバラツキを生ずる。
【0007】
すなわち、本発明の課題は、ダンパ特性を調整することができるダイナミックダンパ構造を提供することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、ダイナミックダンパの製作を容易にすることにある。
【0009】
また、本発明の課題は、ダイナミックダンパの耐久性を向上させることにある。
【0010】
また、本発明の課題は、ダイナミックダンパを廃棄処分にする際のダンパ構成部品のリサイクルを容易にすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、取付部材と質量体と弾性体とからなり、該取付部材が振動を抑制すべき振動体に結合されるダイナミックダンパであって、
上記取付部材は、上記振動体に結合される結合部と、上記質量体及び弾性体を収容する収容部とを備え、
上記収容部において、上記質量体は上記取付部材に接触しないように弾性体にくるまれ、
上記弾性体は上記質量体及び取付部材のいずれとも非接着にされ、
上記収容部は、上記弾性体に予圧縮が与えられるように、該弾性体を介して上記質量体を加圧保持する加圧保持部を備えていることを特徴とする。
【0012】
従って、本発明によれば、加圧保持部による加圧力の調節によって弾性体に与える予圧縮の程度を調整する、つまりはダンパ特性(固有振動数)を左右する弾性体の動ばね定数を調整することができ、ダンパ特性のバラツキ防止に有利になる。また、弾性体は、予圧縮が与えられることにより、その耐久性が高まる。
【0013】
また、弾性体は質量体及び取付部材のいずれとも非接着にされて質量体と共に取付部材の収容部に収容するようにしたから、弾性体の質量体及び取付部材に対する加硫接着は不要になり、ダイナミックダンパの製作が簡単になる。
【0014】
しかも、上記加圧保持部による加圧力を解除することによって、質量体と弾性体とを取付部材から取り外すことができ、且つ質量体と弾性体とを分離することができる。よって、質量体及び取付部材はそのまま再利用することが可能になり、また、弾性体についても、それ単独で粉砕し再生ゴムとすることができる。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1において、
上記取付部材は、板材よりなり、中央に上記結合部を有し、その周囲に上記収容部が形成され、
上記結合部には上記振動体に結合するためのねじ挿入孔が形成され、
上記収容部は、上記結合部より外側へ延設された延設部と、該延設部より立ち上がった立上り部と、該立上り部より内方へ延びた周縁部とによって、上記結合部を取り巻くように内方へ向かって開口した溝形に形成され、
上記溝形の収容部は全周に亘って連続又は非連続にされ、
上記質量体は環状に形成されており、
上記質量体が、上記連続又は非連続の溝形収容部に、上記立上り部に対して内嵌めされた状態で収容され、且つ該質量体と収容部の内面との間には、上記弾性体が質量体及び収容部内面のいずれとも非接着にして介装され、
上記溝形収容部の周縁部が、上記延設部との間隔を調節されて、上記弾性体を介して上記質量体を加圧保持する加圧保持部となっていることを特徴とする。
【0016】
従って、環状の質量体及び弾性体は、溝形収容部を構成する延設部と周縁部とによって軸方向の移動が規制され、また、立上り部によって横方向(軸と直交する方向)への移動が規制されて、取付部材からの脱落が防止されることになる。また、溝形収容部の周縁部を、対向する延設部に近づけるように変形することにより、上記弾性体に予圧縮を与えることができ、該弾性体を介して上記質量体を加圧保持するための加圧力を高める、つまりは弾性体の動ばね定数を高めて当該ダイナミックダンパの固有振動数を高める方向に調整することができる。そうして、上記溝形収容部の周縁部を延設部から離れるように変形させて溝を開き、質量体及び弾性体を当該溝形収容部から取り出すことができる。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1において、
上記取付部材は、中央に上記結合部を有し、その周囲に上記収容部が形成されたものであって、
上記結合部は、上記振動体に結合するためのねじを挿入する筒状に形成され、
上記収容部は、上記筒状結合部の両端よりそれぞれ外側に張り出した相対するフランジを両側壁とし上記筒状結合部の外周面を溝底とする外側へ開口した環状の溝形に形成され、
上記両フランジの各々は全周に亘って連続又は非連続にされ、
上記質量体は環状に形成されており、
上記質量体が、上記筒状結合部に外嵌めされた状態で上記溝形収容部に収容され、且つ該質量体と収容部の内面との間には、上記弾性体が質量体及び収容部内面のいずれとも非接着にして介装され、
上記両フランジの少なくとも一方が、他方との間隔を調節されて、上記弾性体を介して上記質量体を加圧保持する加圧保持部となっていることを特徴とする。
【0018】
従って、環状の質量体及び弾性体は、溝形収容部を構成する両フランジによって軸方向の移動が規制され、また、筒状結合部によって横方向への移動が規制されて、取付部材からの脱落が防止されることになる。また、両フランジの少なくとも一方を他方に近づけるように変形することにより、上記弾性体に予圧縮を与えることができ、該弾性体を介して上記質量体を加圧保持するための加圧力を高める、つまりは弾性体の動ばね定数を高めて当該ダイナミックダンパの固有振動数を高める方向に調整することができる。そうして、上記両フランジの少なくとも一方を変形させて溝を開き、質量体及び弾性体を当該溝形収容部から取り出すことができる。
【0019】
請求項4に係る発明は、取付部材と質量体と弾性体とからなり、該取付部材が振動を抑制すべき振動体に結合されるダイナミックダンパであって、
上記取付部材は、上記振動体に結合するためのねじを挿入する筒状に形成され、該筒状取付部材に全周に亘って上記弾性体が固着しており、
上記質量体は環状に形成され、
上記弾性体を固着した取付部材は、上記環状質量体にその一端の開口から他端の内径が小さくなった部位に向かって圧入されて、該弾性体に予圧縮が与えられ、
上記環状質量体の一端の開口部が内側にカシメられて上記弾性体に係合していることを特徴とする。
【0020】
従って、弾性体は、圧入によって予圧縮が与えられているから、その耐久性が高いものになる。そうして、環状質量体は、その一端の開口部が内側にカシメられ、他端側の内径が小さくなっているから、弾性体を固着した取付部材から外れることがない。しかも、当該ダイナミックダンパは、圧入とカシメとによって質量体を取付部材に弾性体を介して保持する構造であるから、質量体と弾性体を加硫接着する必要がなく、ダンパの製作が簡単になる。また、上記カシメを解除することによって質量体を弾性体及び取付部材から分離することができ、質量体の再利用が可能になる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、請求項1〜3の各発明によれば、取付部材に収容部を形成し、該収容部に質量体と弾性体とを非接着状態で収容し、加圧保持部によって弾性体に予圧縮を与えるとともに、該弾性体を介して質量体を加圧保持するようにしたから、ダンパ特性のバラツキ防止に有利になるとともに、耐久性の向上に有利になり、また、加硫接着が不要になるから、ダンパの製作が簡単になり、しかも、リサイクル可能になるという効果が得られる。
【0022】
また、請求項4に係る発明によれば、周面に弾性体を固着して筒状取付部材が環状質量体の一端開口から他端の内径が小さくなった部位に向かって圧入されて、該弾性体に予圧縮が与えられ、該環状質量体の一端の開口部が内側にカシメられて上記弾性体に係合しているから、耐久性の高いダイナミックダンパが得られるとともに、質量体を弾性体に加硫接着させる必要がないから、当該ダンパの製作が簡単になるとともに、リサイクル性が高まるという効果が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1において、1はダイナミックダンパ、2は該ダイナミックダンパ1が取付ねじ3によって取り付けられた防振ブッシュ(振動体)である。ダイナミックダンパ1は、取付部材4と、質量体5と、弾性体6とによって構成されている。防振ブッシュ2は、図2に示すように、外筒7と内筒8とを防振ゴム9によって連結したものであって、外筒7は例えば自動車のサスペンションリンクに結合され、その場合、内筒8は車体に結合される。
【0025】
取付部材4は、内筒8に結合される結合部11と、質量体5及び弾性体6を収容する収容部12とを備えている。
【0026】
すなわち、取付部材4は、板材よりなり、中央に結合部11を有し、その周囲に収容部12が形成されている。結合部11には内筒8に結合するためのねじ挿入孔13が形成されており、該結合部11は内筒8の筒孔及びねじ挿入孔13に通した取付ねじ3によって該内筒8の端面に結合されている。なお、図2では結合部11のみを内筒8に結合した状態を示しているが、結合部11は上記車体と共に内筒8に結合される。
【0027】
収容部12は、結合部11より半径方向外側へ延設された延設部12aと、該延設部12aより立ち上がった立上り部12bと、該立上り部12bより内方へ延びた周縁部12cとによって、結合部11を取り巻くように内方へ向かって開口した溝形に形成されている。本実施形態の場合、収容部12の溝は全周に亘って連続しているが、非連続であってもよい。
【0028】
質量体5は、環状に形成されていて、上記溝形収容部12に、上記立上り部12bに対して内嵌めされた状態で収容され、且つ該質量体5と収容部12の内面との間には、弾性体6が質量体5及び収容部12の内面のいずれとも非接着にして介装されている。
【0029】
すなわち、質量体5はその断面形状が矩形になっている。一方、弾性体6は環状に形成された上弾性体6aと、同じく環状に形成された下弾性体6bとよりなる。上弾性体6aは、断面逆L字状であって質量体5が取付部材4に接触しないように該質量体5の上面から外周面の上部にわたる部分を覆っている。下弾性体6bは、断面L字状であって質量体5が取付部材4に接触しないように該質量体5の底面及び外周面の下部を覆っている。
【0030】
上記溝形収容部12の周縁部12cは、質量体5及び弾性体6の組付前は図2に鎖線で示すように立上り部12bの立上り方向に延ばされているが、質量体5及び弾性体6が上記延設部12aに載せられた後に、同図に矢符で示すように全周にわたって内側にカシメられている(折り曲げられている)。すなわち、このカシメにより、上記周縁部12cは加圧保持位置に位置付けられ、それによって質量体5は弾性体6を介して収容部12に加圧保持され、この加圧により、弾性体6には軸方向の予圧縮が与えられている。
【0031】
この場合、上記周縁部12cは、弾性体6を介して質量体5を加圧保持する変形可能な、換言すれば加圧力調節可能な加圧保持部となっている。つまり、そのカシメ量(折曲げ量)を調節することによって延設部12aとの間隔が調節されて、上記加圧力、換言すれば、弾性体6の予圧縮量が調節される。
【0032】
従って、本実施形態の場合、質量体5及び弾性体6は、溝形収容部12を構成する延設部12aと周縁部12cとによって軸方向の移動が規制され、また、立上り部12bによって軸と直交する方向への移動が規制されて、取付部材4からの脱落が防止される。また、弾性体6が破損した場合でも、質量体5が取付部材4から脱落することがない。
【0033】
そうして、収容部12の周縁部12cによって弾性体6に与える予圧縮の程度を調整する、つまりはダンパ特性(固有振動数)を左右する弾性体6の動ばね定数を調整することができ、ダンパ特性のバラツキ防止に有利になる。例えば、周縁部12cを対向する延設部12aに近づけるように変形することにより、弾性体6を介して質量体5を加圧保持するための加圧力を高める、つまりは弾性体6の動ばね定数を高めて当該ダンパの固有振動数を高める方向に調整することができる。また、弾性体6は、予圧縮が与えられることにより、その耐久性が高まることになる。
【0034】
また、ダイナミックダンパ1は、弾性体6を質量体5及び取付部材4のいずれとも非接着にして、質量体5を収容部12に弾性体6を介して加圧保持する構造であるから、弾性体6の質量体5及び取付部材4に対する加硫接着は不要になり、ダイナミックダンパの製作が簡単になる。また、周縁部12cを延設部12aから離れるように変形させて収容部12の溝を開き、質量体5及び弾性体6を当該収容部12から取り出すことができ、且つ質量体5と弾性体6とを分離することができる。よって、質量体5はそのまま再利用することが可能になり、また、弾性体6についても、それ単独で粉砕し再生ゴムとすることができる。
【0035】
(実施形態2)
本実施形態については図3に示されている。実施形態1との相違点は弾性体6が質量体5の全周面を覆っていることであり、他は実施形態1と同じである。本実施形態の場合、質量体5が弾性体6によって覆われているから、腐食防止に有利であり、また、予め弾性体6が質量体5に設けられているから、取付部材4への組付が容易になる。
【0036】
(実施形態3)
本実施形態については図4に示されている。実施形態1との大きな相違点は取付部材4にある。
【0037】
すなわち、本実施形態のダイナミックダンパ1では、取付部材4は、中央に結合部11を有し、その周囲に収容部12が形成されたものであって、結合部11は、上記内筒等の振動体に結合するためのねじを挿入する筒状に形成されている。収容部12は、筒状結合部11の両端よりそれぞれ外側に張り出した相対する上フランジ12dと下フランジ12eとを両側壁とし上記筒状結合部11の外周面12fを溝底とする外側へ開口した環状の溝形に形成されている。上記両フランジ12d,12eの各々は全周に亘って連続している。但し、不連続であってもよい。
【0038】
ダイナミックダンパ1を構成する質量体5は実施形態1同じく環状に形成されており、この質量体5が、上記筒状結合部11に外嵌めされた状態で上記溝形収容部12に収容されている。また、質量体5と収容部12の内面との間には、弾性体6が質量体5及び収容部12の内面のいずれとも非接着にして介装されている。弾性体6は、質量体5が取付部材4に接触しないように、該質量体5の底面、内周面及び上面の内周寄りの部分を覆っている。
【0039】
そうして、上フランジ12dは、質量体5及び弾性体6の組付前は図4に鎖線で示すように筒状結合部11と同径の筒状になっているが、質量体5及び弾性体6が筒状結合部11に外嵌めされて下フランジ12eに載せられた後に、同図に矢符で示すように外側にカシメられている(折り曲げられている)。このカシメにより、上フランジは加圧保持位置に位置付けられ、質量体5は弾性体6を介して収容部12に加圧保持され、この加圧により、弾性体6には軸方向の予圧縮が与えられている。
【0040】
この場合、上フランジ12dは、弾性体6を介して質量体5を加圧保持するための変形可能な、換言すれば加圧力調節可能な加圧保持部となっている。つまり、そのカシメ量を調節することによって上フランジ12dと下フランジ12eとの間隔が調節されて、上記加圧力、換言すれば、上記弾性体6の予圧縮量が調節される。
【0041】
また、上記筒状結合部11は、上記質量体5及び弾性体6が外嵌めされた後にその径が拡大するように塑性変形されており、これにより、上記弾性体6に径方向の予圧縮が与えられている。
【0042】
従って、本実施形態の場合、質量体5及び弾性体6は、溝形収容部12を構成する両フランジ12d,12eによって軸方向の移動が規制され、また、筒状結合部11によって軸と直交する方向への移動が規制されて、取付部材4からの脱落が防止されることになる。また、弾性体6が破損した場合でも、質量体5が取付部材4から脱落することがない。
【0043】
そうして、収容部12の上フランジ12dによって弾性体6に与える予圧縮の程度を調整する、つまりはダンパ特性(固有振動数)を左右する弾性体6の動ばね定数を調整することができ、ダンパ特性のバラツキ防止に有利になる。また、弾性体6は、予圧縮が与えられることにより、その耐久性が高まることになる。
【0044】
また、ダイナミックダンパ1は、弾性体6を質量体5及び取付部材4のいずれとも非接着にして、質量体5を収容部12に弾性体6を介して加圧保持する構造であるから、弾性体6の質量体5及び取付部材4に対する加硫接着は不要になり、ダイナミックダンパ1の製作が簡単になる。また、上フランジ12dを起こすことによって収容部12の溝を開き、質量体5及び弾性体6を当該収容部12から取り出すことができ、且つ質量体5と弾性体6とを分離することができる。よって、質量体5はそのまま再利用することが可能になり、また、弾性体6についても、それ単独で粉砕し再生ゴムとすることができる。
【0045】
(実施形態4)
本実施形態については図5に示されている。すなわち、本実施形態のダイナミックダンパ1では、取付部材4は、上記内筒等の振動体に結合するためのねじを挿入する筒状に形成され、該筒状取付部材4に全周に亘って弾性体6が固着している。但し、弾性体6は、肉厚の厚い厚肉部6cと、これに続く肉厚の薄い薄肉部6dとからなり、厚肉部6cは筒状取付部材4の一端側(図5の上側)に形成され、薄肉部6dは筒状取付部材4の他端側に形成されている。
【0046】
一方、質量体5は上記薄肉部6dに外嵌めされる環状の本体部5aと、該本体部5aに続いて内径が段差部を介して拡大して本体部5aよりも薄肉になった筒状支持部5bとからなる。すなわち、質量体5は外径は全長にわたって同じであるが、環状本体部5aの内径が筒状支持部5bに比べて小さくなっている。
【0047】
そうして、上記弾性体6を固着した取付部材4は、その薄肉部6dの方を先にして、上記質量体5にその筒状支持部5b側の開口から内径が小さくなった環状本体部5aに向かって圧入され、これにより、該弾性体6に予圧縮が与えられている。さらに、質量体5の筒状支持部5bの開口部が図5に矢符で示すように全周にわたって内側にカシメられて弾性体6の厚肉部6cに係合している。
【0048】
従って、弾性体6は、圧入によって予圧縮が与えられているから、その耐久性が高いものになる。そうして、環状質量体5の筒状支持部5bの開口部が内側にカシメられてなるカシメ部5cと環状本体部5aとによって弾性体6の厚肉部6cを軸方向に挟んだ形になっているから、当該質量体5が、弾性体6を固着した取付部材4から外れることがない。
【0049】
しかも、当該ダイナミックダンパ1は、圧入とカシメとによって質量体5を取付部材4に弾性体6を介して保持する構造であるから、質量体5と弾性体6を加硫接着する必要がなく、ダンパの製作が簡単になる。また、上記カシメを解除することによって質量体5を弾性体6及び取付部材4から分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るダイナミックダンパを振動体に取り付けた状態を示す斜視図。
【図2】同状態を示す縦断面図。
【図3】本発明の実施形態2に係るダイナミックダンパの縦断面図。
【図4】本発明の実施形態3に係るダイナミックダンパの縦断面図。
【図5】本発明の実施形態4に係るダイナミックダンパの縦断面図。
【図6】ダイナミックダンパの従来例を示す側面図。
【符号の説明】
1 ダイナミックダンパ
2 防振ブッシュ
3 取付ねじ
4 取付部材
5 質量体
6 弾性体
7 外筒
8 内筒(振動体)
9 防振ゴム
11 結合部
12 収容部
13 ねじ挿入孔
12a 延設部
12b 立上り部
12c 周縁部(加圧保持部)
12d 上フランジ(加圧保持部)
12e 下フランジ
12f 溝底面(筒状結合部11の外周面)
【発明の属する技術分野】
本発明はダイナミックダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイナミックダンパは、質量体を振動体に弾性体を介して支持して副振動系を構成することにより、振動体の所定振動数における振動レベルを低減させるものとして知られている。その一例を図6に示す。これは、振動体への取付孔dを有する取付板aに質量体bが弾性体cを介して取り付けられたものである。このようなダイナミックダンパは、取付板aと質量体bとの間に未加硫ゴムを設け、これを金型に入れて未加硫ゴムの加硫を行なうことにより製作されている。
【0003】
また、特開平4−46246号公報には、振動体に固着せしめる取付板と、この取付板に装着される金属ケースとを備え、質量体を弾性体でくるんでなるダンパ本体を金属ケース内に充填したダイナミックダンパが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示すようなダイナミックダンパでは、金型にて製作されることから、同図のA寸法が固定され、取付板a及び質量体bの寸法のバラツキが弾性体cによって吸収されることになる。このため、弾性体cの特性が個々のダイナミックダンパで異なるものになり、ダイナミックダンパの特性(固有振動数)にバラツキを生ずるという問題がある。
【0005】
また、ダイナミックダンパの製作にあたっては、上記未加硫ゴムの加硫のために、取付板a及び質量体bの脱脂洗浄(油の除去)、それら接着面への加硫接着剤の塗布、金型による加熱加圧を必要とし、製作に手間と時間がかかるという問題がある。さらに、弾性体cが取付板a及び質量体bに加硫接着していることから、当該ダイナミックダンパを廃棄処分にする際、これを分解することができず、取付板aや質量体bの再利用が難しく、また、弾性体cを形成しているゴムの再生も難しい。
【0006】
一方、上記公報に記載のダイナミックダンパの場合は、取付板や金属ケースの脱脂、加硫接着剤の塗布は不要になるが、金属ケースとダンパ本体との間の寸法誤差によってダンパ性能にバラツキを生ずる。
【0007】
すなわち、本発明の課題は、ダンパ特性を調整することができるダイナミックダンパ構造を提供することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、ダイナミックダンパの製作を容易にすることにある。
【0009】
また、本発明の課題は、ダイナミックダンパの耐久性を向上させることにある。
【0010】
また、本発明の課題は、ダイナミックダンパを廃棄処分にする際のダンパ構成部品のリサイクルを容易にすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、取付部材と質量体と弾性体とからなり、該取付部材が振動を抑制すべき振動体に結合されるダイナミックダンパであって、
上記取付部材は、上記振動体に結合される結合部と、上記質量体及び弾性体を収容する収容部とを備え、
上記収容部において、上記質量体は上記取付部材に接触しないように弾性体にくるまれ、
上記弾性体は上記質量体及び取付部材のいずれとも非接着にされ、
上記収容部は、上記弾性体に予圧縮が与えられるように、該弾性体を介して上記質量体を加圧保持する加圧保持部を備えていることを特徴とする。
【0012】
従って、本発明によれば、加圧保持部による加圧力の調節によって弾性体に与える予圧縮の程度を調整する、つまりはダンパ特性(固有振動数)を左右する弾性体の動ばね定数を調整することができ、ダンパ特性のバラツキ防止に有利になる。また、弾性体は、予圧縮が与えられることにより、その耐久性が高まる。
【0013】
また、弾性体は質量体及び取付部材のいずれとも非接着にされて質量体と共に取付部材の収容部に収容するようにしたから、弾性体の質量体及び取付部材に対する加硫接着は不要になり、ダイナミックダンパの製作が簡単になる。
【0014】
しかも、上記加圧保持部による加圧力を解除することによって、質量体と弾性体とを取付部材から取り外すことができ、且つ質量体と弾性体とを分離することができる。よって、質量体及び取付部材はそのまま再利用することが可能になり、また、弾性体についても、それ単独で粉砕し再生ゴムとすることができる。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1において、
上記取付部材は、板材よりなり、中央に上記結合部を有し、その周囲に上記収容部が形成され、
上記結合部には上記振動体に結合するためのねじ挿入孔が形成され、
上記収容部は、上記結合部より外側へ延設された延設部と、該延設部より立ち上がった立上り部と、該立上り部より内方へ延びた周縁部とによって、上記結合部を取り巻くように内方へ向かって開口した溝形に形成され、
上記溝形の収容部は全周に亘って連続又は非連続にされ、
上記質量体は環状に形成されており、
上記質量体が、上記連続又は非連続の溝形収容部に、上記立上り部に対して内嵌めされた状態で収容され、且つ該質量体と収容部の内面との間には、上記弾性体が質量体及び収容部内面のいずれとも非接着にして介装され、
上記溝形収容部の周縁部が、上記延設部との間隔を調節されて、上記弾性体を介して上記質量体を加圧保持する加圧保持部となっていることを特徴とする。
【0016】
従って、環状の質量体及び弾性体は、溝形収容部を構成する延設部と周縁部とによって軸方向の移動が規制され、また、立上り部によって横方向(軸と直交する方向)への移動が規制されて、取付部材からの脱落が防止されることになる。また、溝形収容部の周縁部を、対向する延設部に近づけるように変形することにより、上記弾性体に予圧縮を与えることができ、該弾性体を介して上記質量体を加圧保持するための加圧力を高める、つまりは弾性体の動ばね定数を高めて当該ダイナミックダンパの固有振動数を高める方向に調整することができる。そうして、上記溝形収容部の周縁部を延設部から離れるように変形させて溝を開き、質量体及び弾性体を当該溝形収容部から取り出すことができる。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1において、
上記取付部材は、中央に上記結合部を有し、その周囲に上記収容部が形成されたものであって、
上記結合部は、上記振動体に結合するためのねじを挿入する筒状に形成され、
上記収容部は、上記筒状結合部の両端よりそれぞれ外側に張り出した相対するフランジを両側壁とし上記筒状結合部の外周面を溝底とする外側へ開口した環状の溝形に形成され、
上記両フランジの各々は全周に亘って連続又は非連続にされ、
上記質量体は環状に形成されており、
上記質量体が、上記筒状結合部に外嵌めされた状態で上記溝形収容部に収容され、且つ該質量体と収容部の内面との間には、上記弾性体が質量体及び収容部内面のいずれとも非接着にして介装され、
上記両フランジの少なくとも一方が、他方との間隔を調節されて、上記弾性体を介して上記質量体を加圧保持する加圧保持部となっていることを特徴とする。
【0018】
従って、環状の質量体及び弾性体は、溝形収容部を構成する両フランジによって軸方向の移動が規制され、また、筒状結合部によって横方向への移動が規制されて、取付部材からの脱落が防止されることになる。また、両フランジの少なくとも一方を他方に近づけるように変形することにより、上記弾性体に予圧縮を与えることができ、該弾性体を介して上記質量体を加圧保持するための加圧力を高める、つまりは弾性体の動ばね定数を高めて当該ダイナミックダンパの固有振動数を高める方向に調整することができる。そうして、上記両フランジの少なくとも一方を変形させて溝を開き、質量体及び弾性体を当該溝形収容部から取り出すことができる。
【0019】
請求項4に係る発明は、取付部材と質量体と弾性体とからなり、該取付部材が振動を抑制すべき振動体に結合されるダイナミックダンパであって、
上記取付部材は、上記振動体に結合するためのねじを挿入する筒状に形成され、該筒状取付部材に全周に亘って上記弾性体が固着しており、
上記質量体は環状に形成され、
上記弾性体を固着した取付部材は、上記環状質量体にその一端の開口から他端の内径が小さくなった部位に向かって圧入されて、該弾性体に予圧縮が与えられ、
上記環状質量体の一端の開口部が内側にカシメられて上記弾性体に係合していることを特徴とする。
【0020】
従って、弾性体は、圧入によって予圧縮が与えられているから、その耐久性が高いものになる。そうして、環状質量体は、その一端の開口部が内側にカシメられ、他端側の内径が小さくなっているから、弾性体を固着した取付部材から外れることがない。しかも、当該ダイナミックダンパは、圧入とカシメとによって質量体を取付部材に弾性体を介して保持する構造であるから、質量体と弾性体を加硫接着する必要がなく、ダンパの製作が簡単になる。また、上記カシメを解除することによって質量体を弾性体及び取付部材から分離することができ、質量体の再利用が可能になる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、請求項1〜3の各発明によれば、取付部材に収容部を形成し、該収容部に質量体と弾性体とを非接着状態で収容し、加圧保持部によって弾性体に予圧縮を与えるとともに、該弾性体を介して質量体を加圧保持するようにしたから、ダンパ特性のバラツキ防止に有利になるとともに、耐久性の向上に有利になり、また、加硫接着が不要になるから、ダンパの製作が簡単になり、しかも、リサイクル可能になるという効果が得られる。
【0022】
また、請求項4に係る発明によれば、周面に弾性体を固着して筒状取付部材が環状質量体の一端開口から他端の内径が小さくなった部位に向かって圧入されて、該弾性体に予圧縮が与えられ、該環状質量体の一端の開口部が内側にカシメられて上記弾性体に係合しているから、耐久性の高いダイナミックダンパが得られるとともに、質量体を弾性体に加硫接着させる必要がないから、当該ダンパの製作が簡単になるとともに、リサイクル性が高まるという効果が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1において、1はダイナミックダンパ、2は該ダイナミックダンパ1が取付ねじ3によって取り付けられた防振ブッシュ(振動体)である。ダイナミックダンパ1は、取付部材4と、質量体5と、弾性体6とによって構成されている。防振ブッシュ2は、図2に示すように、外筒7と内筒8とを防振ゴム9によって連結したものであって、外筒7は例えば自動車のサスペンションリンクに結合され、その場合、内筒8は車体に結合される。
【0025】
取付部材4は、内筒8に結合される結合部11と、質量体5及び弾性体6を収容する収容部12とを備えている。
【0026】
すなわち、取付部材4は、板材よりなり、中央に結合部11を有し、その周囲に収容部12が形成されている。結合部11には内筒8に結合するためのねじ挿入孔13が形成されており、該結合部11は内筒8の筒孔及びねじ挿入孔13に通した取付ねじ3によって該内筒8の端面に結合されている。なお、図2では結合部11のみを内筒8に結合した状態を示しているが、結合部11は上記車体と共に内筒8に結合される。
【0027】
収容部12は、結合部11より半径方向外側へ延設された延設部12aと、該延設部12aより立ち上がった立上り部12bと、該立上り部12bより内方へ延びた周縁部12cとによって、結合部11を取り巻くように内方へ向かって開口した溝形に形成されている。本実施形態の場合、収容部12の溝は全周に亘って連続しているが、非連続であってもよい。
【0028】
質量体5は、環状に形成されていて、上記溝形収容部12に、上記立上り部12bに対して内嵌めされた状態で収容され、且つ該質量体5と収容部12の内面との間には、弾性体6が質量体5及び収容部12の内面のいずれとも非接着にして介装されている。
【0029】
すなわち、質量体5はその断面形状が矩形になっている。一方、弾性体6は環状に形成された上弾性体6aと、同じく環状に形成された下弾性体6bとよりなる。上弾性体6aは、断面逆L字状であって質量体5が取付部材4に接触しないように該質量体5の上面から外周面の上部にわたる部分を覆っている。下弾性体6bは、断面L字状であって質量体5が取付部材4に接触しないように該質量体5の底面及び外周面の下部を覆っている。
【0030】
上記溝形収容部12の周縁部12cは、質量体5及び弾性体6の組付前は図2に鎖線で示すように立上り部12bの立上り方向に延ばされているが、質量体5及び弾性体6が上記延設部12aに載せられた後に、同図に矢符で示すように全周にわたって内側にカシメられている(折り曲げられている)。すなわち、このカシメにより、上記周縁部12cは加圧保持位置に位置付けられ、それによって質量体5は弾性体6を介して収容部12に加圧保持され、この加圧により、弾性体6には軸方向の予圧縮が与えられている。
【0031】
この場合、上記周縁部12cは、弾性体6を介して質量体5を加圧保持する変形可能な、換言すれば加圧力調節可能な加圧保持部となっている。つまり、そのカシメ量(折曲げ量)を調節することによって延設部12aとの間隔が調節されて、上記加圧力、換言すれば、弾性体6の予圧縮量が調節される。
【0032】
従って、本実施形態の場合、質量体5及び弾性体6は、溝形収容部12を構成する延設部12aと周縁部12cとによって軸方向の移動が規制され、また、立上り部12bによって軸と直交する方向への移動が規制されて、取付部材4からの脱落が防止される。また、弾性体6が破損した場合でも、質量体5が取付部材4から脱落することがない。
【0033】
そうして、収容部12の周縁部12cによって弾性体6に与える予圧縮の程度を調整する、つまりはダンパ特性(固有振動数)を左右する弾性体6の動ばね定数を調整することができ、ダンパ特性のバラツキ防止に有利になる。例えば、周縁部12cを対向する延設部12aに近づけるように変形することにより、弾性体6を介して質量体5を加圧保持するための加圧力を高める、つまりは弾性体6の動ばね定数を高めて当該ダンパの固有振動数を高める方向に調整することができる。また、弾性体6は、予圧縮が与えられることにより、その耐久性が高まることになる。
【0034】
また、ダイナミックダンパ1は、弾性体6を質量体5及び取付部材4のいずれとも非接着にして、質量体5を収容部12に弾性体6を介して加圧保持する構造であるから、弾性体6の質量体5及び取付部材4に対する加硫接着は不要になり、ダイナミックダンパの製作が簡単になる。また、周縁部12cを延設部12aから離れるように変形させて収容部12の溝を開き、質量体5及び弾性体6を当該収容部12から取り出すことができ、且つ質量体5と弾性体6とを分離することができる。よって、質量体5はそのまま再利用することが可能になり、また、弾性体6についても、それ単独で粉砕し再生ゴムとすることができる。
【0035】
(実施形態2)
本実施形態については図3に示されている。実施形態1との相違点は弾性体6が質量体5の全周面を覆っていることであり、他は実施形態1と同じである。本実施形態の場合、質量体5が弾性体6によって覆われているから、腐食防止に有利であり、また、予め弾性体6が質量体5に設けられているから、取付部材4への組付が容易になる。
【0036】
(実施形態3)
本実施形態については図4に示されている。実施形態1との大きな相違点は取付部材4にある。
【0037】
すなわち、本実施形態のダイナミックダンパ1では、取付部材4は、中央に結合部11を有し、その周囲に収容部12が形成されたものであって、結合部11は、上記内筒等の振動体に結合するためのねじを挿入する筒状に形成されている。収容部12は、筒状結合部11の両端よりそれぞれ外側に張り出した相対する上フランジ12dと下フランジ12eとを両側壁とし上記筒状結合部11の外周面12fを溝底とする外側へ開口した環状の溝形に形成されている。上記両フランジ12d,12eの各々は全周に亘って連続している。但し、不連続であってもよい。
【0038】
ダイナミックダンパ1を構成する質量体5は実施形態1同じく環状に形成されており、この質量体5が、上記筒状結合部11に外嵌めされた状態で上記溝形収容部12に収容されている。また、質量体5と収容部12の内面との間には、弾性体6が質量体5及び収容部12の内面のいずれとも非接着にして介装されている。弾性体6は、質量体5が取付部材4に接触しないように、該質量体5の底面、内周面及び上面の内周寄りの部分を覆っている。
【0039】
そうして、上フランジ12dは、質量体5及び弾性体6の組付前は図4に鎖線で示すように筒状結合部11と同径の筒状になっているが、質量体5及び弾性体6が筒状結合部11に外嵌めされて下フランジ12eに載せられた後に、同図に矢符で示すように外側にカシメられている(折り曲げられている)。このカシメにより、上フランジは加圧保持位置に位置付けられ、質量体5は弾性体6を介して収容部12に加圧保持され、この加圧により、弾性体6には軸方向の予圧縮が与えられている。
【0040】
この場合、上フランジ12dは、弾性体6を介して質量体5を加圧保持するための変形可能な、換言すれば加圧力調節可能な加圧保持部となっている。つまり、そのカシメ量を調節することによって上フランジ12dと下フランジ12eとの間隔が調節されて、上記加圧力、換言すれば、上記弾性体6の予圧縮量が調節される。
【0041】
また、上記筒状結合部11は、上記質量体5及び弾性体6が外嵌めされた後にその径が拡大するように塑性変形されており、これにより、上記弾性体6に径方向の予圧縮が与えられている。
【0042】
従って、本実施形態の場合、質量体5及び弾性体6は、溝形収容部12を構成する両フランジ12d,12eによって軸方向の移動が規制され、また、筒状結合部11によって軸と直交する方向への移動が規制されて、取付部材4からの脱落が防止されることになる。また、弾性体6が破損した場合でも、質量体5が取付部材4から脱落することがない。
【0043】
そうして、収容部12の上フランジ12dによって弾性体6に与える予圧縮の程度を調整する、つまりはダンパ特性(固有振動数)を左右する弾性体6の動ばね定数を調整することができ、ダンパ特性のバラツキ防止に有利になる。また、弾性体6は、予圧縮が与えられることにより、その耐久性が高まることになる。
【0044】
また、ダイナミックダンパ1は、弾性体6を質量体5及び取付部材4のいずれとも非接着にして、質量体5を収容部12に弾性体6を介して加圧保持する構造であるから、弾性体6の質量体5及び取付部材4に対する加硫接着は不要になり、ダイナミックダンパ1の製作が簡単になる。また、上フランジ12dを起こすことによって収容部12の溝を開き、質量体5及び弾性体6を当該収容部12から取り出すことができ、且つ質量体5と弾性体6とを分離することができる。よって、質量体5はそのまま再利用することが可能になり、また、弾性体6についても、それ単独で粉砕し再生ゴムとすることができる。
【0045】
(実施形態4)
本実施形態については図5に示されている。すなわち、本実施形態のダイナミックダンパ1では、取付部材4は、上記内筒等の振動体に結合するためのねじを挿入する筒状に形成され、該筒状取付部材4に全周に亘って弾性体6が固着している。但し、弾性体6は、肉厚の厚い厚肉部6cと、これに続く肉厚の薄い薄肉部6dとからなり、厚肉部6cは筒状取付部材4の一端側(図5の上側)に形成され、薄肉部6dは筒状取付部材4の他端側に形成されている。
【0046】
一方、質量体5は上記薄肉部6dに外嵌めされる環状の本体部5aと、該本体部5aに続いて内径が段差部を介して拡大して本体部5aよりも薄肉になった筒状支持部5bとからなる。すなわち、質量体5は外径は全長にわたって同じであるが、環状本体部5aの内径が筒状支持部5bに比べて小さくなっている。
【0047】
そうして、上記弾性体6を固着した取付部材4は、その薄肉部6dの方を先にして、上記質量体5にその筒状支持部5b側の開口から内径が小さくなった環状本体部5aに向かって圧入され、これにより、該弾性体6に予圧縮が与えられている。さらに、質量体5の筒状支持部5bの開口部が図5に矢符で示すように全周にわたって内側にカシメられて弾性体6の厚肉部6cに係合している。
【0048】
従って、弾性体6は、圧入によって予圧縮が与えられているから、その耐久性が高いものになる。そうして、環状質量体5の筒状支持部5bの開口部が内側にカシメられてなるカシメ部5cと環状本体部5aとによって弾性体6の厚肉部6cを軸方向に挟んだ形になっているから、当該質量体5が、弾性体6を固着した取付部材4から外れることがない。
【0049】
しかも、当該ダイナミックダンパ1は、圧入とカシメとによって質量体5を取付部材4に弾性体6を介して保持する構造であるから、質量体5と弾性体6を加硫接着する必要がなく、ダンパの製作が簡単になる。また、上記カシメを解除することによって質量体5を弾性体6及び取付部材4から分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るダイナミックダンパを振動体に取り付けた状態を示す斜視図。
【図2】同状態を示す縦断面図。
【図3】本発明の実施形態2に係るダイナミックダンパの縦断面図。
【図4】本発明の実施形態3に係るダイナミックダンパの縦断面図。
【図5】本発明の実施形態4に係るダイナミックダンパの縦断面図。
【図6】ダイナミックダンパの従来例を示す側面図。
【符号の説明】
1 ダイナミックダンパ
2 防振ブッシュ
3 取付ねじ
4 取付部材
5 質量体
6 弾性体
7 外筒
8 内筒(振動体)
9 防振ゴム
11 結合部
12 収容部
13 ねじ挿入孔
12a 延設部
12b 立上り部
12c 周縁部(加圧保持部)
12d 上フランジ(加圧保持部)
12e 下フランジ
12f 溝底面(筒状結合部11の外周面)
Claims (4)
- 取付部材と質量体と弾性体とからなり、該取付部材が振動を抑制すべき振動体に結合されるダイナミックダンパであって、
上記取付部材は、上記振動体に結合される結合部と、上記質量体及び弾性体を収容する収容部とを備え、
上記収容部において、上記質量体は上記取付部材に接触しないように弾性体にくるまれ、
上記弾性体は上記質量体及び取付部材のいずれとも非接着にされ、
上記収容部は、上記弾性体に予圧縮が与えられるように、該弾性体を介して上記質量体を加圧保持する加圧保持部を備えていることを特徴とするダイナミックダンパ。 - 請求項1において、
上記取付部材は、板材よりなり、中央に上記結合部を有し、その周囲に上記収容部が形成され、
上記結合部には上記振動体に結合するためのねじ挿入孔が形成され、
上記収容部は、上記結合部より外側へ延設された延設部と、該延設部より立ち上がった立上り部と、該立上り部より内方へ延びた周縁部とによって、上記結合部を取り巻くように内方へ向かって開口した溝形に形成され、
上記溝形の収容部は全周に亘って連続又は非連続にされ、
上記質量体は環状に形成されており、
上記質量体が、上記連続又は非連続の溝形収容部に、上記立上り部に対して内嵌めされた状態で収容され、且つ該質量体と収容部の内面との間には、上記弾性体が質量体及び収容部内面のいずれとも非接着にして介装され、
上記溝形収容部の周縁部が、上記延設部との間隔を調節されて、上記弾性体を介して上記質量体を加圧保持する加圧保持部となっていることを特徴とするダイナミックダンパ。 - 請求項1において、
上記取付部材は、中央に上記結合部を有し、その周囲に上記収容部が形成されたものであって、
上記結合部は、上記振動体に結合するためのねじを挿入する筒状に形成され、
上記収容部は、上記筒状結合部の両端よりそれぞれ外側に張り出した相対するフランジを両側壁とし上記筒状結合部の外周面を溝底とする外側へ開口した環状の溝形に形成され、
上記両フランジの各々は全周に亘って連続又は非連続にされ、
上記質量体は環状に形成されており、
上記質量体が、上記筒状結合部に外嵌めされた状態で上記溝形収容部に収容され、且つ該質量体と収容部の内面との間には、上記弾性体が質量体及び収容部内面のいずれとも非接着にして介装され、
上記両フランジの少なくとも一方が、他方との間隔を調節されて、上記弾性体を介して上記質量体を加圧保持する加圧保持部となっていることを特徴とするダイナミックダンパ。 - 取付部材と質量体と弾性体とからなり、該取付部材が振動を抑制すべき振動体に結合されるダイナミックダンパであって、
上記取付部材は、上記振動体に結合するためのねじを挿入する筒状に形成され、該筒状取付部材に全周に亘って上記弾性体が固着しており、
上記質量体は環状に形成され、
上記弾性体を固着した取付部材は、上記環状質量体にその一端の開口から他端の内径が小さくなった部位に向かって圧入されて該弾性体に予圧縮が与えられ、
上記環状質量体の一端の開口部が内側にカシメられて上記弾性体に係合していることを特徴とするダイナミックダンパ。
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JP2006258223A (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-28 | Bizen Hatsujo Kk | ダイナミックダンパー |
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