JP2004035731A - 防曇性に優れた樹脂シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ショ糖脂肪酸エステルと、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、ジグリセリン脂肪酸エステルとの混合物により表面が被覆されている防曇性樹脂シート。好ましくはショ糖脂肪酸エステル(A)とポリグリセリン脂肪酸エステル(B)とジグリセリン脂肪酸エステル(C)の固形分比率(重量比)が特定範囲の混合物により表面が被覆されてなる防曇性樹脂シート
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防曇性能に特に優れた樹脂シート及び容器に関する。さらに詳しくは、食品容器用蓋として用いられた場合、蓋内面に付着する水滴が特に少なく、従来より非常に優れた防曇効果を発揮する樹脂シート及び容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂シートは、透明性、耐水性に優れ、成形性にも優れていることから各種食料品等の包装材として広く使用されている。 しかし、二軸延伸ポリスチレン系樹脂シートの様に反面その表面が極めて疎水性であるシートは、気温や湿度の変化に応じて凝結する水分(水蒸気)が樹脂表面を均―に濡らすことなく微小水滴の集合体を形成し、いわゆる曇りを発生することが多い。 このような曇りの発生は、食品用包装材分野においては収納物を見分けることが困難となるので、各種容器の商品価値を著しく低下させる。これは、透明性を特徴とする容器の重大な欠点であるばかりでなく、不均―に凝集、付着した水分は、容器に収納された食品にも影響を与え、品質の不良化、 腐敗の一因となる。
従来、このような曇り現象を防ぐため、ショ糖脂肪酸エステルが安全性の高い防曇剤として広く使用されている(特公昭63−62538、特開昭57−80431、特公昭61−36864、特開平5−98054号各公報)。また、特開平9−12751、特開平10−60420、特開平10−139906特開平10−183106号各公報には、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する防曇性スチレン系樹脂シート・フィルムが提案されている。また一方、特開平10−139907、特開平11−166061、特開平11−277688号各公報にはショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルを併用する防曇性スチレン系樹脂シート・フィルムが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、食品容器用蓋はその美麗性を向上させるため、天面部面積をより広くしたり、深絞りとなる傾向があり、樹脂シートには従来よりもより優れた防曇性能や、長時間持続する防曇性能を有することが求められている。例えば、作りたての白飯や赤飯、天ぷら、フライ等の温かい食品を容器に入れる場合(高温防曇)は、食品から発生する湯気により蓋が曇らず、よりスッキリと見え、かつ防曇効果の持続性のある容器が要求されている。また一方で、寿司や刺身等を入れた容器は5〜10℃程度で保管される場合(低温防曇)が多く、長時間に渡って内容物である寿司や刺身等を非常にスッキリと見せることが要求されている。
【0004】
しかしながら、例えば二軸延伸ポリスチレン系樹脂シートの場合はその大部分が熱板を用いた直接加熱方式の成形機で容器形状に成形されるのが現状である。この時、防曇剤塗布面が熱板と接触するため、接触により塗布面が荒れたり、防曇剤の一部が熱板へ転写したり、更には容器形状に伸ばされる際、防曇剤層が分断されたりして、成形品の防曇性能はシートの時より低下してしまう傾向にある。よって、成型品で防曇性能を評価した場合、曇りは発生しないまでも水滴が不均一に付着し、内容物がスッキリと見えなくなっていた。ここで、シート被覆量(固形分量)を多くすると、このよな防曇性能の低下はある程度抑えられるが、シートがベトベトし、従って熱板汚れが顕著になり、またシートをロール状に巻いた際の防曇剤の裏写りが多くなり、場合によっては成型品外観が白くなってしまう等の問題が発生する。
近年の公報に見られるショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの併用は少ない被覆量で、高温防曇、低温防曇の両方で内容物をスッキリと見栄えよく見せる点では良いが、持続性を持たせるという点では今一歩不十分である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、直接加熱方式の成形機で成形された容器でも特に優れた防曇性能、つまり長時間に渡って高温物充填時及び低温保管時に内容物をスッキリと見栄え良く見せることができる、樹脂シート用の防曇剤ならびに防曇処方について鋭意検討を行った。その結果、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びジグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせた防曇剤を、特定量被覆させた樹脂シートは、容器にして高温物を充填した際及び低温保管した際共に水滴付着が極めて少なく、内容物がスッキリと見え、かつ両防曇性能の持続性が非常に良い、これまでにない特に優れた防曇性能を有することを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ショ糖脂肪酸エステルと、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、ジグリセリン脂肪酸エステルとの混合物により表面が被覆されている防曇性樹脂シートに存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、 本発明を詳細に説明する。
本発明の防曇剤の第一成分はショ糖脂肪酸エステル(A)である。その構成脂肪酸の70重量%以上が炭素数12〜18の脂肪酸であり、且つモノエステルを60モル%以上含有するものが好ましい。その構成脂肪酸は飽和、不飽和に係わらず、また2種以上の混合物であってもよく、HLBが9〜16のものが好ましい。具体的な構成脂肪酸としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノレイン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヒドロキンデカン酸等が挙げられる。さらに具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸の単独又は2種以上を全構成脂肪酸の70重量%以上含有するものが好ましく、残りはカプリン酸やカプリル酸等の炭素数10以下および/又はステアリン酸やアラキジン酸等の炭素数18以上の飽和脂肪酸を、或いはミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸を含んでいてもよい。
【0007】
HLB値はGriffinの多価アルコール脂肪酸エステルの場合の一般式
【0008】
【数3】
HLB=20*(1−S/A) …(式3)
(ここで、Sはエステルのケン化価、Aはエステルを構成する脂肪酸の中和価である)より算出する方法や、例えば工業図書(株)発行「分散・乳化系の化学(北原文雄・古澤邦夫共著)」60〜64頁記載の方法で求めることができる。
【0009】
本発明の防曇剤の第二成分はポリグリセリン脂肪酸エステル(B)である。その構成脂肪酸の70重量%以上が炭素数12〜18の飽和及び/又は不飽和脂肪酸であることが好ましい。さらに、好ましくは飽和脂肪酸である。又、重縮合度(重縮合度に分布がある場合は最も多い成分の重縮合度)が4〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。又、モノエステルを50モル%以上含有するものが好ましい。具体的な構成脂肪酸としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノレイン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヒドロキンデカン酸等が挙げられる。さらに具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸の単独又は2種以上を全構成脂肪酸の70重量%以上含有するものが好ましく、残りはカプリン酸やカプリル酸等の炭素数10以下および/又はステアリン酸やアラキジン酸等の炭素数18以上の飽和脂肪酸を、或いはミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸を含んでいてもよい。又、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)はHLBが9〜16のものが好ましい。又、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)中にはジグリセリン脂肪酸エステルを含んでいてもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)中のジグリセリン脂肪酸エステルの含有量としては、下記の条件を満たすのが好ましい。
【0010】
【数4】
A:(B+C)=90〜20:10〜80 …(式1)
であり、かつ
【0011】
【数5】
C/(B+C)=0.1〜0.9 …(式2)
(A:ショ糖脂肪酸エステル重量、B:ポリグリセリン脂肪酸エステル重量、C:ジグリセリン脂肪酸エステル総重量)。
【0012】
本発明の防曇剤の第三成分はジグリセリン脂肪酸エステル(C)である。この存在こそが、少ない被覆量で防曇性能(スッキリ感)と防曇持続性の両方を発揮させる鍵である。ジグリセリン脂肪酸エステルとしては重縮合度(重縮合度に分布がある場合は最も多い成分の重縮合度)が2、且つモノエステルが80モル%以上のものが好ましい。モノエステルの割合が90モル%以上のものが更に好ましい。また構成脂肪酸としては70重量%以上が炭素数12〜18の飽和及び/又は不飽和脂肪酸が好ましく、さらに好ましくは飽和脂肪酸である。具体的な構成脂肪酸としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノレイン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヒドロキンデカン酸等が挙げられる。さらに具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸の単独又は2種以上を全構成脂肪酸の70重量%以上含有するものが好ましく、残りはカプリン酸やカプリル酸等の炭素数10以下および/又はステアリン酸やアラキジン酸等の炭素数18以上の飽和脂肪酸を、或いはミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸を含んでいてもよい。又、ジグリセリン脂肪酸エステル(C)はHLB9以上が好ましい。とりわけ、HLB9以上のジグリセリンモノラウレートが特に好ましい。ここで、蒸留等によりモノエステルの比率を高めることで、ジグリセリン脂肪酸エステル(C)でありながらHLB9以上が可能となり、水への溶解性も向上する。又、ジグリセリン脂肪酸エステル(C)は主成分としてジグリセリン脂肪酸エステルを含有するもので、ジグリセリン脂肪酸エステル含有量は好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0013】
これら三成分が、ショ糖脂肪酸エステル(A)とポリグリセリン脂肪酸エステル(B)とジグリセリン脂肪酸エステル(C)の固形分比率(重量比)で式1と式2をともに満たすようにシートを被覆する。
式1で、ショ糖脂肪酸エステル(A)の固形分比率が90より多くなると、高温での防曇性能は良好ながら、低温での防曇性能が低下してしまう。逆に同比率が20を下回るとシートのベトベト感が激しくなってしまう。また、式2でジグリセリン脂肪酸エステル(C)の固形分比率が0.1より少ないと防曇性能(スッキリ感)ならびに防曇持続性の両方が達成できず、逆に0.9より多くなるとシートの白化が激しくなる。
【0014】
本発明の防曇性樹脂シートには、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとジグリセリン脂肪酸エステルの他に各種陰イオン性界面活性剤が被覆されていてもよい。 陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸(C8〜C22)塩(Na、K、NH4)、アルキル(C10〜C20)スルホン酸塩(Na、K、NH4)、アルキル(C9〜C20)ベンゼンスルホン酸塩(Na、K、NH4)、アルキルナフタリンスルホン酸塩(Na)、ソジウムジアルキル(C4〜C16)スルホサクシネート、ポリオキシエチレン脂肪アルコール(C12〜C20)エーテルサルフェート(Na、NH4)、ポリオキシエチレン(4〜50モル)アルキル(C7以上)フェニルエーテルサルフェート(Na、NH4)、ポリオキシエチレン(4〜10モル)アルキル(C12〜C13以上)ホスフェート等のポリオレフィン等衛生協議会の『ポリオレフィン等合成樹脂製食品 容器包装等に関する自主基準第4版』記載物質が挙げられる。該自主基準の制限内で、かつ本発明の効果を損なわない範囲であれば、単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中では特にラウリン酸カリウムが好ましい。
これら陰イオン性界面活性剤の添加量は、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとジグリセリン脂肪酸エステルの固形分合計量に対して、固形分で20重量部以下であるのが好ましい。
【0015】
本発明で対象とする樹脂シートとしては、二軸延伸ポリスチレン樹脂シートが最も好ましいが、樹脂シートの種類に限定されるものではなく、二軸延伸ポリスチレン樹脂シートと同様な用途で透明樹脂シートとして利用されうる、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)シート、ポリ塩化ビニルシート、ポリプロピレンシートなどにも適用できる。
【0016】
かかる樹脂シートは、公知の方法でシートにされ、シートの厚みは通常100〜700μmである。該シートは熱成形され容器として使用される。 本発明においては、樹脂を押出成形し、さらに必要に応じて延伸を行ない、防曇剤等を塗布後乾燥し、ロール状に巻き取るか又は直ちに熱成形に供する。この際、シート表面に直ちに防曇剤を塗布してよいが、予め、コロナ放電処理、高周波処理等の表面処理を行い、シート表面の塗れ性を高めておいた方が、防曇剤が良好に被覆されるので望ましい。好ましくは、コロナ放電処理によりシートの表面張力を50〜60mN/mに調整するのがよい。
【0017】
防曇剤はシート表面に塗布して用いられる。この場合、0.5〜3重量%の防曇剤溶液として、乾燥後の被覆量の下限が固形分換算で5mg/m2以上、好ましくは10mg/m2、さらに好ましくは20mg/m2以上になるように塗布する。又、乾燥後の被覆量の上限が固形分換算で、100mg/m2以下、好ましくは60mg/m2以下、より好ましくは40mg/m2以下になるように塗布する。防曇剤の乾燥後の被覆量が5mg/m2未満の場合は、良好なスッキリ感は得られず、100mg/m2を超えるとベタツキによるシート同士のブロッキングや透明性の低下が生じ、表面白化を起こすことがある。
防曇剤の塗布方法としては、噴霧、ロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、浸漬法等の既知の方法が用いられるが、噴霧、ロールコーター法が好ましい。また、防曇剤溶液に用いる溶媒としては、例えば、水、アルコール等の、防曇剤を溶解し且つ樹脂シートを溶解しない溶媒で、しかも適用分野によっては安全を満たす溶媒を適宜選択して用いるのがよい。
【0018】
防曇剤の被覆量の定量分析は、シートをアルコール等で洗浄して洗液を集め、重量法、ガスクロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法等で行うことができる。また防曇剤の組成が一定であれば、被覆量既知のシートを標準サンプルとして検量線を作成し、FT−IR(ATR法)でシート表面を直接分析する方法等で行うこともできる。
【0019】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、防曇剤に離型剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、粘度調節剤、消包剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、抗菌剤等を常法により適宜併用することができる。
【0020】
なお、シートの一方の面を防曇剤で被覆し、かつ、もう一方の面を離形剤で被覆してもよい。離形剤にはジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルヒドロジエンポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(C2〜C4)ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油や分子量200〜9500のポリエチレングリコール、或いは分子量1900以上のポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックポリマー等のポリオレフィン等衛生協議会発行『ポリオレフィン等合成樹脂製食品 容器包装等に関する自主基準 第4版』記載物質が挙げられる。該自主基準の制限内で、かつ本発明の効果を損なわない範囲であれば、単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記離形剤には防曇剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、粘度調節剤、消包剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、抗菌剤等を常法により適宜併用してもよい。
【0021】
樹脂シートを容器に成形するには真空成形法、真空圧空成形法、圧空成形法等の公知の熱成形方法で行えば良い。樹脂シートが例えば二軸延伸ポリスチレン系樹脂シートの場合には、主として熱板加熱式圧空成形機を用いる接触加熱式圧空成形法で容器形状に成形される。
熱成形によって得られた容器は、主に食品向けの透明な軽量包装容器として利用される。具体的には、かぶせ蓋、勘合蓋等の蓋成型品、蓋部と本体部が繋がった通称フードパック成形品、カップ成型品、トレイ成型品等がある。蓋成型品は弁当蓋、寿司蓋、ケーキ蓋等に利用され、フードパック成形品は総菜、青果物、菓子等の包装に、カップやトレイ成型品は麺類、菓子等に利用される。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。 実施例及び比較例で使用したショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステルは以下の通りである。
【0023】
1.ショ糖脂肪酸エステル
(A1)ショ糖ラウリン酸エステル HLB15 固形分40%
(A2)ショ糖オレイン酸エステル HLB15 固形分40%
2.ポリグリセリン脂肪酸エステル:
(B1)ヘキサグリセリンラウリン酸エステル HLB14 固形分100%
(B2)デカグリセリンラウリン酸エステル HLB15.5固形分100%
3.ジグリセリン脂肪酸エステル:
(C1)ジグリセリンラウリン酸エステル HLB9 固形分100%
(モノエステル90%以上)
(C2)ジグリセリンラウリン酸エステル HLB7.3 固形分100%
【0024】
また、実施例及び比較例における寿司蓋成型品を用いた防曇性評価及びシートを用いた透明性、ベタツキの評価は、以下の方法及び基準に従っておこなった。(特に断りのない限り「○」以上が本発明の合格レベルである。)
【0025】
≪防曇性評価≫
防曇性評価は、防曇剤で被覆された二軸延伸ポリスチレンシートの被覆面を内面にして熱板加熱式圧空成形機で成形した寿司蓋成型品を用いた。大きさは次の通りである。
・開口部;215mm長×135mm巾×30mm深さ
・天面部;190mm長×110mm巾
【0026】
<高温初期スッキリ感>
80℃のお湯150ccを入れた容器(210mm長×130mm幅×15mm深さ)に試料の蓋成形品を被せ、23℃雰囲気中に保管し、10分後の蓋成形品のスッキリ感を肉眼観察し、官能評価した。
評価基準
◎ :水滴の付着が少なく、スッキリ感が非常に良い。
○ :水滴の付着はあるが、スッキリ感は感じられる。
△ :水滴の付着が多く、スッキリ感があまり良くない。
× :水滴の付着が非常に多く、スッキリ感が悪い。
【0027】
<高温スッキリ感持続性>
高温スッキリ感評価開始から1時間後に、蓋成形品のスッキリ感を再度官能評価した。
評価基準
◎ :スッキリ感の非常に良い状態が持続している。
○ :水滴の付着はあるが、スッキリ感が感じられる状態で持続している。
△ :スッキリ感がやや劣る。
× :スッキリ感が悪い。
【0028】
<低温初期スッキリ感>
23℃の水150ccを入れた容器(210mm長×130mm幅×15mm深さ)に試料の蓋成形品を被せ、5℃雰囲気中に保管し、30分後の蓋成形品のスッキリ感を肉眼観察し、官能評価した。
評価基準
◎ :水滴の付着が少なく、スッキリ感が非常に良い。
○ :水滴の付着はあるが、スッキリ感は感じられる。
△ :水滴の付着が多く、スッキリ感があまり良くない。
× :水滴の付着が非常に多く、スッキリ感が悪い。
【0029】
<低温スッキリ感持続性>
低温スッキリ感評価開始から3時間後に、蓋成形品のスッキリ感を再度官能評価した。
評価基準
◎ :スッキリ感の非常に良い状態が持続している。
○ :水滴の付着はあるが、スッキリ感が感じられる状態で持続している。
△ :スッキリ感がやや劣る。
× :スッキリ感が悪い。
【0030】
≪透明性評価≫
シートの透明性をNDH−300A(日本電色工業株式会社製)により測定した曇価(ヘーズ)H(%)と、肉眼観察した外観の双方で評価し、評価の低い方の結果をシート透明性の評価結果とした。
評価基準
◎:H<1.5または塗り班が全く見られない。
○:1.5≦H<2またはごく僅かな塗り斑が見られる。
△:2≦H<3または塗り斑が少し目立つ。
×:3≦Hまたは塗り斑がかなり目立つ。
【0031】
≪ベタツキ評価≫
シート表面を指先で触り、ベタツキ具合いを官能評価した。
評価基準
◎:ベタツキがない。
○:ベタツキが少なく許容できる。
×:ベタツキが大きく許容できない。
【0032】
<実施例1〜5、比較例1〜7>
片方の面に54mN/m以上のコロナ処理を施した300μm厚の二軸延伸ポリスチレンシートを用意した。前記ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びジグリセリン脂肪酸エステルを、表中の“塗布液中の固形分比”となるよう、水100重量部に対して表中の“塗布液組成”の割合で溶かし込んだ水溶液を調製し、次にこの防曇剤水溶液をコロナ処理面にバーコーターにて塗布し、乾燥させ、評価用の防曇剤被覆シートとした。防曇剤被覆量は面積既知シートの被覆面側をメタノールで洗浄し、洗液を集めて濃縮した後、高速液体クロマトグラフィー方で定量した。その結果を“乾燥後の被覆量”として表に示す。
次に、防曇剤被覆シートから寿司蓋成型品を作成し、前述した方法で防曇性(高温初期スッキリ感、高温スッキリ感持続性、低温初期スッキリ感、低温スッキリ感持続性)の評価を行った。結果を表に併せて示す。
また、前述した方法で防曇剤被覆シートの透明性及びベタツキの評価を行った結果も表に併せて示す。
【0033】
<実施例6>
表中の“塗布液中の固形分比”となるよう、水100重量部に対して表中の“塗布液組成”の割合で、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びジグリセリン脂肪酸エステルを溶かし込んで水溶液を調整する際、水100重量部に対して0.4重量部の陰イオン性界面活性剤(ラウリン酸カリウム:固形分約20%)を追添した。その後のシート塗布及び防曇剤の定量、寿司蓋成型品の作成と防曇性評価、ならびにシートの透明性、ベタツキ評価、は上記と同様に行った。評価結果を表に併せて示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明の防曇性樹脂シートは、容器にして高温物を充填したり或いは低温保管した際に、水滴付着が極めて少なく内容物がスッキリと見え、かついずれの場合でも防曇性能(スッキリ感)の持続性が非常に良いので、これまでにない優れた食品包装容器用シートとして最適である。
Claims (8)
- ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとジグリセリン脂肪酸エステルとの混合物により表面が被覆されてなる防曇性樹脂シート
- ジグリセリン脂肪酸エステル(C)がHLB9以上であることを特徴とする請求項1又は2の防曇性樹脂シート
- ジグリセリン脂肪酸エステル(C)がジグリセリンモノエステルであることを特徴とする請求項1ないし3いずれかの防曇性樹脂シート
- ジグリセリン脂肪酸エステル(C)がジグリセリンラウレートであることを特徴とする 請求項1ないし4いずれかの防曇性樹脂シート
- コロナ放電処理後に、ショ糖脂肪酸エステル(A)とポリグリセリン脂肪酸エステル(B)とジグリセリン脂肪酸エステル(C)との混合物により表面を被覆する請求項1ないし5のいずれかの防曇性樹脂シート
- 樹脂シートが二軸延伸ポリスチレン系樹脂シートである請求項1ないし6のいずれかの防曇性樹脂シート
- 請求項1ないし7いずれかの防曇性樹脂シートを成形してなる容器
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