JP2004035622A - プロピレン系樹脂組成物、及びその成形体 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物、及びその成形体 Download PDF

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中山 耕一
Yukito Zanka
残華 幸仁
Ryoji Uboshi
鳥星 良次
Yuji Fujita
藤田 祐二
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Abstract

【課題】導電性と成形加工性のバランスに優れるプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体の提供。
【解決手段】MFRが100〜800g/10分で、GPCで測定される(Mw/Mn)が2.8以上であるプロピレン単独重合体部分と、プロピレン含量が50〜85重量%であるプロピレン・エチレン共重合体部分とからなり、MFRが70〜500g/10分であるプロピレン・エチレンブロック共重合体100重量部に対して、導電性カーボンを0.1〜25重量部含有するプロピレン系樹脂組成物であって、温度200℃、剪断速度10/秒における剪断粘度(ηa)と剪断速度1000/秒における剪断粘度(ηb)の比(ηa/ηb)が30以上、MFRが0.1〜100g/10分であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性に優れたプロピレン系樹脂組成物に関する。詳しくは、本発明は、導電性と成形加工性のバランスに優れたプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンは、主に射出成形用材料として、家電部品に代表される工業部品分野で、幅広く使用されている。
これらの部品には、主に意匠性付与の目的で塗装が施されるケースが多いが、塗装効率向上・排出VOC削減等の観点から、その塗装方式は、静電塗装法が主流となってきている。
元来、ポリプロピレンは、電気絶縁性材料であり、塗料樹脂成分との反応性にも乏しいため、ポリプロピレン樹脂単体では、静電塗装は不可能である。かかる欠点を解決するため、例えば、特開昭58−76265号公報や特開昭61−218639号公報等で示された導電性プライマーを成形品表面に塗布し、ポリプロピレン基材に静電塗装を施す方法が提案されている。
しかしながら、この導電性プライマーは、導電性を付与するために配合されている導電性フィラーの分散性に難があり、静電塗装が可能であるものの、塗装後の塗装面の品質に課題があった。
一方、ポリプロピレンに導電性カーボンを添加し、導電性を付与する方法も知られているが、導電性カーボンの添加に伴い、ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性が大幅に低下してしまうため、主に射出成形用途では、その成形加工性に問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解消し、導電性と成形加工性のバランスに優れる、プロピレン系樹脂組成物、及びその成形体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、導電性と成形加工性のバランスに優れた、プロピレン系樹脂組成物に関して鋭意検討した結果、特定の構造を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体に、導電性カーボンを配合することにより、導電性と成形加工性のバランスに優れたプロピレン系樹脂組成物とすることが可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、メルトフローレート(JIS K7210、試験温度230℃、試験荷重21.18N、以下MFRと記す。)が100〜800g/10分で、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.8以上であるプロピレン単独重合体部分と、プロピレン含量が50〜85重量%であるプロピレン・エチレン共重合体部分とからなり、MFRが70〜500g/10分であるプロピレン・エチレンブロック共重合体100重量部に対して、導電性カーボンを0.1〜25重量部含有するプロピレン系樹脂組成物であって、温度200℃、剪断速度10/秒における剪断粘度(ηa)と温度200℃、剪断速度1000/秒における剪断粘度(ηb)の比(ηa/ηb)が30以上、MFRが0.1〜100g/10分であることを特徴とする、プロピレン系樹脂組成物が提供される。
【0006】
また、本発明の第2の発明によれば、導電性カーボンが、粒子径10〜100nm、DBP吸収量50〜600ml/100g、比表面積100〜1500m/gのカーボンブラックであることを特徴とする第1の発明に記載のプロピレン系樹脂組成物が提供される。
【0007】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明に記載のプロピレン系樹脂組成物を使用してなり、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、中空成形、及び、押出成形からなる群から選ばれる成形加工方法により、賦型されるプロピレン系樹脂組成物の成形体が提供される。
【0008】
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明に記載の成形体に、電気絶縁性のプライマー成分を塗布した後に静電塗装法により塗装された塗装成形体が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
1.プロピレン系樹脂組成物
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン・エチレンブロック共重合体と導電性カーボンとからなる。以下に各成分について説明する。
【0010】
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体
本発明のプロピレン系樹脂組成物で使用されるプロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレン単独重合体部分とプロピレン・エチレン共重合体部分からなるプロピレン・エチレンブロック共重合体である。
【0011】
上記プロピレン単独重合体部分のMFRは、100〜800g/10分、好ましくは200〜600g/10分、さらに好ましくは200〜400g/10分である。また、プロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRは、70〜500g/10分、好ましくは100〜300g/10分、さらに好ましくは100〜200g/10分である。
プロピレン単独重合体部分のMFRとブロック共重合体のMFRの組合せが上記範囲を逸脱した場合、成形加工性や耐衝撃性が不良となる。
ここでいうMFRは、JIS K7210に準拠し、試験温度230℃、試験荷重21.18N、で測定される値である。
プロピレン単独重合体部分のMFRは、プロピレン単独重合体部分の重合時に水素濃度を制御することにより調整することができる。また、プロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRは、プロピレン単独重合体部分の分子量調整、及び/又はプロピレン・エチレン共重合体部分の分子量を重合条件(重合温度、水素濃度、重合時間など)により制御することにより調整できる。
【0012】
ここで、プロピレン単独重合体部分の重量平均分子量は、GPCにより測定する重量平均分子量である。具体的には、次の条件で行う。
装置   :Waters社製HLC/GPC 150C
カラム温度:135℃
溶媒   :o−ジクロロベンゼン
流量   :1.0ml/min
カラム  :東ソー株式会社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1
注入量  :0.15ml(濾過処理無し)
溶液濃度 :5mg/3.4ml
試料調整 :o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整し、140℃で1〜3時間溶解させる。
検量線  :ポリスチレン標準サンプルを使用する。
検量線次数:1次
PP分子量:PS×0.639
【0013】
また、上記プロピレン単独重合体部分のGPCで測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2.8以上、好ましくは2.8〜10、さらに好ましくは3〜8である。Mw/Mnが2.8未満では、高剪断領域の流動性が不良となるため、相応しくない。
プロピレン単独重合体部分のMw/Mnは、連続重合においては単独重合体を多段に分けて重合したり、バッチ式重合では重合初期と後期の水素濃度を変えることにより、調整することができる。
【0014】
上記プロピレン・エチレン共重合体部分のプロピレン含量は、50〜85重量%、好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは50〜75重量%である。共重合体部分のプロピレン含量が上記範囲を逸脱した場合、共重合体部分の分散性が悪化したり、ガラス転移温度が上昇するなど、低温下における衝撃特性の改良効果が悪化することがあるため、不適切である。
プロピレン・エチレン共重合体部分のプロピレン含量は、プロピレン・エチレン共重合体部分の重合時にプロピレンとエチレンの濃度比を制御することにより、調整することができる。
【0015】
また、上記プロピレン・エチレン共重合体部分の分子量については、特に制約はないが、分散性や耐衝撃性を考慮し、重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20万〜300万、より好ましくは30万〜250万、さらに好ましくは40万〜200万である。
【0016】
プロピレン・エチレンブロック共重合体中のプロピレン単独重合体部分の量とプロピレン・エチレン共重合体部分の量は、ポリプロピレン単独重合体部分がマトリックス相となる範囲で選択する必要がある。プロピレン単独重合体部分の量は、好ましくは50〜99重量%、より好ましくは70〜97重量%、さらに好ましくは80〜95重量%であり、プロピレン・エチレン共重合体部分の量は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。この共重合体部分の濃度は、赤外分光スペクトル法、13C−NMR法、昇温溶出分別法等の常法に従って測定される値である。
プロピレン・エチレン共重合体部分の量は、プロピレン単独重合体部分の重合量とプロピレン・エチレン共重合体部分の重合量の比率を重合時間などにより制御し、調整することができる。
【0017】
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、従来公知の任意の方法により重合することができるが、例えば気相重合法、塊状重合法、溶液重合法、スラリー重合法などを挙げることができ、1つの反応器でバッチ式に重合したり、複数の反応器を組み合わせて連続式に重合してもよい。具体的には、最初にプロピレンの単独重合により結晶性ポリプロピレン単独重合体部分を形成し、次に、プロピレンとエチレンとのランダム共重合によってプロピレン・エチレンランダム共重合体部分を形成して製造するのが好ましい。
【0018】
重合触媒は、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物、バナジウム化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルコキシアルミニウム−マグネシウム錯体のような有機アルミニウム−マグネシウム錯体や、アルキルアルミニウム或いはアルキルアルミニウムクロリドなどの有機金属化合物との組合せによるいわゆるチーグラー型触媒、もしくはWO−91/04257号公報等に示されるようなメタロセン系触媒が挙げられる。なお、メタロセン系触媒と称せられる触媒は、アルモキサンを含まなくてもよいが、好ましくはメタロセン化合物とアルモキサンとを組み合わせた触媒、いわゆるカミンスキー系触媒のことである。
【0019】
(2)導電性カーボン
本発明のプロピレン系樹脂組成物で使用される導電性カーボンは、通常の着色用や充填用配合剤として用いられる無定形構造で導電性の極めて劣るカーボンではなく、表面層がグラファイト構造を有する導電性カーボンである。導電性カーボンの形状は、ストラクチャーを形成したり、チューブ状であるなどして、断面径に対する長さの比が大きく、又、細孔が多く非表面積が大きいことが導電化効率の観点から必要である。導電性カーボンは、一次粒子径が10〜100nm、比表面積が100〜1500m/g、細孔率を示すDBP吸油量が50〜600cm/100gのカーボンブラックや、直径10〜100nm、管長0.1〜1000ミクロンのカーボンナノチューブ、炭素数60〜540のフラーレン、から選ばれた少なくとも1種の導電性カーボンであり、中でもカーボンブラックが最も好ましい。
【0020】
特に、本発明で用いることのできるカーボンブラックは、粒子径が、好ましくは10〜100nm、より好ましくは15〜60nm、さらに好ましくは20〜40nmであり、DBP吸収量は、好ましくは50〜600ml/100g、より好ましくは80〜550ml/100g、さらに好ましくは100〜500ml/100gであり、比表面積は、好ましくは100〜1500m/g、より好ましくは150〜1500m/g、さらに好ましくは200〜1500m/gである。
粒子径、DBP吸収量、比表面積がそれぞれ上記範囲を逸脱すると、ストラクチャーの発達が不十分となったり、カーボン単体の導電性が低下したり、カーボン同士の相互作用が増大したりして、その結果、導電性カーボンの分散性が低下したり、樹脂組成物の導電効率や流動性が低下してしまうため、好ましくない。粒子径は、透過型電子顕微鏡により測定する。
DBP吸収量は、ジブチルフタレートアブソーブドメーターにより、JIS K6221に準拠して測定する。
比表面積は、液体窒素吸着法(ASTM D3037)に準拠して測定する。
【0021】
これら導電性カーボンブラックは、市販のものから適宜選んで使用することができる。例えば、三菱化学社から市販されているファーネス法カーボンブラック「三菱カーボン#3150」や、ケッチェンブラックインターナショナル社から市販されているシェル法カーボンブラック「ケッチェンEC」等を挙げることができる。これらの導電性カーボンは、必要に応じて、2種以上併用してもよい。
【0022】
本発明のプロピレン系樹脂組成物における導電性カーボンは、プロピレン・エチレンブロック共重合体100重量部に対して、0.1〜25重量部、好ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは1〜25重量部、となるように配合される。上記範囲を逸脱すると、十分な導電性が得られなかったり、成形加工性が大幅に低下してしまうため、それぞれ好ましくない。
【0023】
(3)任意成分
本発明のプロピレン系樹脂組成物には、上述した成分の他に、必要に応じて、本発明の効果が著しく損なわれない範囲内で、その他の成分が配合されていてもよい。この様なその他の配合成分としては、着色するための顔料、フェノール系、イオウ系、リン系などの酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン等光安定剤、紫外線吸収剤、有機アルミ・タルク等の各種核剤、分散剤、中和剤、発泡剤、銅害防止剤、滑剤、難燃剤、等を挙げることができる。
【0024】
2.プロピレン系樹脂組成物の製造
本発明のプロピレン系樹脂組成物の製造法は、特に制限無く、従来公知の方法で、各配合成分を混合し、溶融混練することにより製造される。
すなわち、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、各配合成分を上記配合割合で配合し、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機を用いて混練・造粒することによって、本発明のプロピレン系樹脂組成物が得られる。
【0025】
3.プロピレン系樹脂組成物の特徴
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、導電性と成形加工性のバランスに優れたプロピレン系樹脂組成物である
プロピレン系樹脂組成物の温度200℃、剪断速度10/秒における剪断粘度(ηa)と温度200℃、剪断速度1000/秒における剪断粘度(ηb)の比(ηa/ηb)は、30以上、好ましくは30〜80、さらに好ましくは30〜70である。剪断粘度の比(ηa/ηb)が30未満では、大型成形品を射出成形した際に、フローマークやバリが発生するといった、成形不具合が生じやすい。
ここで、温度200℃、剪断速度10/秒における剪断粘度(ηa)及び1000/秒における剪断粘度(ηb)は、次の方法で求められる値である。
動的粘弾性測定装置(東洋精機社製キャピログラフ)を用い、試料12gを温度200℃のシリンダーへ入れて溶融し6分間保持する。管径(D)1mm、長さ(L)10mm、L/D=10のオリフィスを用い、剪断速度が、10/秒及び1000/秒となる押し出し速度に調整し、温度200℃における剪断粘度(ηa及びηb)を測定する。
温度200℃、剪断速度10/秒及び1000/秒における剪断粘度の比(ηa/ηb)は、前述の、プロピレン・エチレンブロック共重合体を重合する際、プロピレン単独重合体部分のMw/Mnを操作して増大させ、更に本発明で規定されている導電性カーボンを添加することにより、剪断粘度の比を増大せしめることができる。
【0026】
また、プロピレン系樹脂組成物のMFRは、0.1〜100g/10分、好ましくは10〜100g/10分、より好ましくは10〜80g/10分、さらに好ましくは10〜50g/10分である。MFRが上記範囲を逸脱した場合、射出成形等の成形時に流動不良となったり、バリが発生したりしてしまうため、好ましくない。
ここでいうMFRは、JIS K7210に準拠し、試験温度230℃、試験荷重21.18N、で測定される値である。
【0027】
さらに、プロピレン系樹脂組成物の体積固有抵抗値VR(Ωcm)は、好ましくは1010Ωcm以下、より好ましくは10〜10Ωcm、さらに好ましくは10〜10Ωcmである。体積固有抵抗値が1010Ωcmを超えると、十分な導電性能を得ることができず、導電性プライマーを使用せずに静電塗装を施すことができない。
ここで体積固有抵抗値VR(Ωcm)は、絶縁抵抗試験器を用いて、試験片に銀ペーストを塗布し、印加電圧10Vの条件で、測定される値である。具体的には、射出成形にて、厚み3mmの平板シート(340mm×100mm)を成形し、平板シートの長手方向に、幅20mmとなるように切削する。切削シートの中央部に、電極間距離が90mmとなるように、予め酢酸ブチルに溶解させた銀ペーストを、刷毛を用いて塗布する。このように銀ペーストを塗布した短冊状の試験片を、絶縁抵抗試験器(横河ヒューレットパッカード社製4329Aハイレジスタンスメーター)を用いて、印加電圧10Vの条件で、体積固有抵抗値を測定する。
【0028】
4.プロピレン系樹脂組成物の成形体
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、公知の各種方法による成形に用いることができる。例えば射出成形(ガス射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、中空成形、カレンダー成形、インフレーション成形、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形等にて成形することによって各種成形体を得ることができる。このうち、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形による成形体が好ましい。
上記の成形方法により得られた本発明の成形体は、導電性に優れる静電塗装が可能であり、成形体表面に好ましくは電気絶縁性のプライマー成分を塗布した後に静電塗装法により塗装された塗装成形体を得ることができる。
【0029】
本発明のプロピレン系樹脂組成物を用いて得られた塗装成形体は、導電性と成形加工性に優れることに加え、さらに剛性、耐衝撃性、耐熱性において優れた物性バランスを有しており、各種工業部品分野において、特に薄肉化、高機能化、大型化され、さらに静電塗装が可能であり、塗装面の品質に優れた各種成形品として用いることができる。例えばテレビケース、洗濯機槽、冷蔵庫部品、エアコン部品、掃除機部品などの家電機器部品、便座、便座蓋、水タンクなどのトイレタリー周りの部品、浴槽、浴室の壁、天井などの部品、排水パンなどの浴室周りの部品などの各種工業部品用成形品として、実用に十分な性能を有している。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。
なお、実施例に於ける各種物性の測定方法及び用いた原材料は以下の通りである。
【0031】
1.物性測定方法
(1)MFR:JIS K7210に準拠し、230℃、21.18N荷重で行った。
(2)体積固有抵抗:射出成形にて、厚み3mmの平板シート(340mm×100mm)を成形し、長手方向に幅20mmとなるように切削する。切削シートの中央部に、電極間距離が90mmとなるように、予め酢酸ブチルに溶解させた銀ペーストを、刷毛を用いて塗布する。このように銀ペーストを塗布した短冊状の試験片を、横河ヒューレットパッカード社製4329Aハイレジスタンスメーターで、印加電圧10Vの条件で、体積固有抵抗値を測定した。
(3)剪断粘度:東洋精機社製キャピログラフを用い、管径1mm、L/D=10のオリフィスで、温度200℃の条件で剪断速度を10/秒及び1000/秒に設定して、剪断粘度ηa及びηaを測定した。
(4)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn):前述の方法により測定した。
(5)曲げ弾性率(単位:MPa):JIS K7171に準拠して試験速度2mm/min、23℃下で測定した。
(6)曲げ強度(単位:MPa):JIS K7171に準拠して試験速度2mm/min、23℃下で測定した。
(7)アイゾッド衝撃強度(単位:kJ/m):JIS K7110に準拠し、23℃で測定した。
(8)荷重たわみ温度(単位:℃):JIS K7191−1に準拠して、エッジワイズタイプにて、0.45MPaと1.8MPaの条件で測定した。
(9)プロピレン・エチレンブロック共重合体中の共重合体成分:三菱化学社製CFC−T−102L昇温溶出分別装置を用いた昇温溶出分別法により、表1に示した条件で測定した。なお、40℃以下の溶出成分をプロピレン・エチレン共重合体成分とした。
【0032】
【表1】
Figure 2004035622
【0033】
(10)成形外観:射出成形にて、厚み3mmの平板シート(340mm×100mm)を射出速度一定の条件で成形し、バリ、及びフローマークの発生状況を目視観察し、次の基準で判断した。
(i)バリ発生
○:平板エッヂ面から測ったバリの長さが、0.2mm未満
×:平板エッヂ面から測ったバリの長さが、0.2mm以上
(ii)フローマーク
○:平板表面に対して30°の角度から観察し、トラシマ模様が認められないもの
×:平板表面に対して30°の角度から観察し、トラシマ模様が認められるもの
【0034】
2.原材料
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体
次の製造例1〜4に示す方法で製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体を用いた。物性値を表2に示す。
【0035】
製造例1
マグネシウム担持型の四塩化チタン触媒(チーグラーナッタ触媒)を用い、第1段でプロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)を、第2段でエチレンとプロピレンを共重合したエチレンプロピレン共重合体(EPR)をそれぞれ重合する2段反応プロセスにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体(ブロックPP)を重合した。この際、第1反応器で重合するホモポリプロピレンはMFRが240g/10分となるように水素濃度を調節した。また、第2反応器では、EPR中のエチレンとプロピレンの共重合比率が、エチレン:プロピレン=35:65(wt%)となるように共重合モノマーの供給量を調節し、その重量平均分子量(Mw)は120万となるように水素濃度を調節した。又、ブロックPP中のEPR含量が、最終的に8%となるように第2反応器の重合量(滞留時間)を調節した。得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP−1)のMFR、分子量(Mw)、EPR濃度([EPR])、プロピレン含量を分析した結果を表2に示す。
【0036】
製造例2
第1反応器の水素濃度を調節し、ホモポリプロピレンのMFRが430g/10分となるようにした以外は、製造例1と同様の方法によりプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP−2)を製造した。得られたブロックPPを分析した結果を表2に示す。
【0037】
製造例3
第1反応器の水素濃度を調節し、ホモポリプロピレンのMFRが150g/10分となるようにした以外は、製造例1と同様の方法によりプロピレン・エチレンブロック共重合体を製造した。得られたブロックPP(BPP−3)を分析した結果を表2に示す。
【0038】
製造例4
製造例1と同様の触媒・重合プロセスで、第1反応器のホモポリプロピレンのMFRが100g/10分となるように水素濃度を調整し、第2反応器で、プロピレン含量が45重量%、Mwが40万となるようにEPRを重合し、プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。得られたブロックPPを有機過酸化物と共に溶融混練し、表2に示すプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP−4)とした。
【0039】
【表2】
Figure 2004035622
【0040】
(2)導電性カーボン
表3に示すカーボンを導電性カーボンとして使用した。
【0041】
【表3】
Figure 2004035622
【0042】
実施例1
製造例1で製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体(BBP−1)100重量部、導電性カーボンとしてケッチェンブラックインターナショナル社製「ケッチェンEC」を7重量部と、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1重量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.3重量部を混合し、2軸押出機(日本製鋼所製TEX30α)を用いて、スクリュー回転数300rpm、押出レート15kg/hで溶融混練し、プロピレン系樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットを用いて、金型温度40℃、シリンダ温度220℃の条件で射出成形し、プロピレン系樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。評価結果を表4に示す。
【0043】
実施例2
製造例2で製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP−2)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、各種物性の評価をした。評価結果を表4に示す。
【0044】
実施例3
導電性カーボンの配合比率を、5.3重量部とした以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、各種物性の評価をした。評価結果を表4に示す。
【0045】
実施例4
導電性カーボンとして表3に示したカーボンナノチューブ(CNT)を用い、その配合比率を2重量部とした以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、各種物性の評価をした。評価結果を表4に示す。
【0046】
実施例5
導電性カーボンとして、表3に示したCB−Aを用い、その配合比率を11重量部とした以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、各種物性の評価をした。評価結果を表4に示す。
【0047】
実施例6
導電性カーボンの配合比率を13.6重量部とした以外は、実施例5と同様の方法により実験を行い、各種物性の評価をした。評価結果を表4に示す。
【0048】
比較例1
製造例3で製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP−3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、各種物性の評価をした。評価結果を表4に示す。
【0049】
比較例2
製造例4で製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP−4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、各種物性の評価をした。評価結果を表4に示す。
【0050】
比較例3
製造例3で製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP−3)を用いた以外は、実施例3と同様の方法により実験を行い、各種物性の評価をした。評価結果を表4に示す。
【0051】
比較例4
製造例3で製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP−3)を用いた以外は、実施例6と同様の方法により実験を行い、各種物性の評価をした。評価結果を表4に示す。
【0052】
比較例5
導電性カーボンを配合すること無く、製造例3で製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP−3)100重量部を溶融混練し、各種物性を評価した。評価結果を表4に示す。
【0053】
比較例6
導電性カーボンを配合すること無く、製造例1で製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP−1)100重量部を溶融混練し、各種物性を評価した。評価結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
Figure 2004035622
【0055】
【発明の効果】
特定の構造を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体に導電性カーボンが配合された本発明のプロピレン系樹脂組成物は、導電性と成形加工性のバランスに優れ、大型の射出成形品が容易に成形可能であり、且つ、非導電性のプライマーを塗布するだけで静電塗装が可能となるため、塗装面の面品質向上をもたらす。更に、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、高剪断条件下での成形加工性が良好であるため、特に、射出大型成形品の薄肉化に有用な材料である。
この様な優れた成形特性は、射出成形に於いて成形温度の低温化、成形サイクルの短縮を実現し、その結果、近年の社会的課題となっている、エネルギー資源の節約、地球環境の保護にも役立つため、その工業的価値は大きい。
【0056】
本発明のプロピレン系樹脂組成物を用いて得られた塗装成形体は、導電性と成形加工性に優れることに加え、さらに剛性、耐衝撃性、耐熱性において優れた物性バランスを有している。本発明の塗装成形体は各種工業部品分野において、薄肉化、高機能化、大型化され、特に静電塗装が可能であり、塗装面の品質に優れた各種成形品として用いることができる。

Claims (4)

  1. メルトフローレート(JIS K7210、試験温度230℃、試験荷重21.18N、以下MFRと記す。)が100〜800g/10分で、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.8以上であるプロピレン単独重合体部分と、プロピレン含量が50〜85重量%であるプロピレン・エチレン共重合体部分とからなり、MFRが70〜500g/10分であるプロピレン・エチレンブロック共重合体100重量部に対して、導電性カーボンを0.1〜25重量部含有するプロピレン系樹脂組成物であって、温度200℃、剪断速度10/秒における剪断粘度(ηa)と温度200℃、剪断速度1000/秒における剪断粘度(ηb)の比(ηa/ηb)が30以上、MFRが0.1〜100g/10分であることを特徴とする、プロピレン系樹脂組成物。
  2. 導電性カーボンが、粒子径10〜100nm、DBP吸収量50〜600ml/100g、比表面積100〜1500m/gのカーボンブラックであることを特徴とする、請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂組成物を使用してなり、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、中空成形、及び、押出成形からなる群から選ばれる成形加工方法により、賦型されるプロピレン系樹脂組成物の成形体。
  4. 請求項3に記載の成形体に、電気絶縁性のプライマー成分を塗布した後に静電塗装法により塗装された塗装成形体。
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