JP2004033184A - 葉たばこ取卸装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】乾燥室内に備えられたレール状の吊具受けに案内レールを接続し、その案内レールを手前下方に傾けてから葉たばこを懸吊する吊具を案内レールに沿って下方に移動させてから、案内レールから取り卸すようにして、低コストと低労力で安全にしかも作業能率の向上を図ることができる葉たばこ取卸装置を提供することである。
【解決手段】葉たばこZの乾燥室2内で葉たばこZを懸吊する吊具5を移動自在に敷設されたレール2aに接続される案内レール4aと、この案内レール4aを支持する支持アーム4eと、この支持アーム4eを回動可能に支承する支承アーム4gを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】葉たばこZの乾燥室2内で葉たばこZを懸吊する吊具5を移動自在に敷設されたレール2aに接続される案内レール4aと、この案内レール4aを支持する支持アーム4eと、この支持アーム4eを回動可能に支承する支承アーム4gを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吊具に懸吊されて乾燥室に収容されている葉たばこを、乾燥室から吊具ごと取り卸す際に使用される葉たばこ取卸装置に係わり、特に高所に収容されている葉たばこを少ない労力で安全、容易に取り卸すことができる葉たばこ取卸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、たばこ生産農家で収穫された葉たばこは、農家内あるいはその近辺に設置された乾燥室に1週間程度収容され、十分に乾燥される。
たばこ畑から収穫された葉たばこは束ねられた後、ミシン葉編機と呼ばれる装置を用いてその葉柄部に沿って糸をミシン縫合した状態で、乾燥室内に備えられた吊具受けに吊り込まれる。
【0003】また、近時ではミシン葉編機によってミシン縫合せず、図7(a)に示されるようなラックと呼ばれる金属製の車輪付吊具5を用いて、図7(b)で示されるように葉たばこZを挟んだ状態で乾燥室内に備えられたレール状の吊具受けに吊り込む場合も多くなってきている。車輪付吊具5は上向本体5cと下向本体5bから構成され、下向本体5bには多数の針5aが植設されており、この針5aを葉たばこZに突き刺すことによって保持するのである。車輪付吊具5には、両側部に車輪5dが備えられており乾燥室内に設置される吊具受レール上をスムースに移動させることができる。
【0004】一般的な乾燥室は、スペースを有効に活用するため上下2段に葉たばこを収容する構造となっており、乾燥室の大きさにもよるが各段には吊具が数十連程度並べられる。
コンピュータ制御によって乾燥室内で1週間程度乾燥された葉たばこは、今度は乾燥室から吊具ごと取り卸される。従って、取り卸しの際には、作業者の腰の位置近傍に配置された1段目の吊具受けと、頭の位置近傍に配置された2段目の吊具受けから編み込まれた葉たばこと共に吊具を一連ずつ順次取り卸す必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術においては、腰の高さに配置された1段目の吊具受けから吊具ごと取り卸すことは容易である一方、頭の高さに位置する2段目の吊具受けから葉たばこを吊具ごと取り卸す作業は、葉たばこが乾燥しているとはいえ6kg程度の重量があり、7kgほどの吊具重量と併せて取り卸すのはかなりの重労働となる課題があった。就農離れが進み高齢者に頼る農家では、なおさらこの取卸作業が負担となっていた。
【0006】しかも、作業者の頭の高さから取り卸すので、一人で作業することが困難かつ危険であり、踏み台などを利用して1連ずつ何度も踏み台の昇降を繰り返す必要があった。二人で作業する際には踏み台を利用しなくてもよい場合もあるが、これでは作業の能率が悪く、作業が長時間に亘るという課題も有していた。
【0007】本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、乾燥室内に備えられたレール状の吊具受けに案内レールを接続し、その案内レールを手前下方に傾けてから葉たばこを懸吊する吊具を案内レールに沿って下方に移動させ、案内レールから取り卸すようにして、低コストと低労力で安全にしかも作業能率の向上を図ることができる葉たばこ取卸装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である葉たばこ取卸装置は、葉たばこの乾燥室内で葉たばこを懸吊する吊具を移動自在に敷設されたレールに接続される案内レールと、この案内レールを支持する支持アームと、この支持アームを回動可能に支承する支承アームとを有するものである。
上記構成の葉たばこ取卸装置においては、乾燥室内に敷設されたレールから吊具を乾燥室外側方向へ引き出して案内レールに乗せ、その後、案内レールが下方へ移動するように支持アームを回動させると、吊具が取り卸し容易な高さまで降りるという作用を有する。
【0009】また、請求項2に記載の発明である葉たばこ取卸装置は、請求項1に記載の葉たばこ取卸装置において、支持アームに伸縮自在のダンパー手段を備えたものである。
上記構成の葉たばこ取卸装置においても請求項1と同様の作用を有するが、特にダンパー手段が急激な回動を制止して動作が緩和されるという作用も有する。
【0010】さらに、請求項3に記載の発明である葉たばこ取卸装置は、請求項1又は請求項2に記載の葉たばこ取卸装置において、支承アームを取設して定着物あるいは地面に固定する取付手段を有するものである。
上記構成の葉たばこ取卸装置においては、請求項1及び請求項2と同様の作用を有するとともに、葉たばこ取卸装置の一部に取付手段を介挿して乾燥室に敷設されたレールとの接続性あるいは乾燥室などの定着物や地面への設置性を高める作用を有するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る葉たばこ取卸装置の実施の形態を図1に基づき説明する。(請求項1乃至請求項3に対応)
図1は本実施の形態に係る葉たばこ取卸装置の斜視図である。図1において、図7に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、その構成については説明を省略する。本実施の形態における取卸装置1は、回転レール装置4と仮受棚3とからなっている。回転レール装置4は、左右一対の案内レール4a,4aを備えており、これらの案内レール4a,4aは、一対のブレード4h,4hを介してフレーム4bで接続されている。案内レール4aの下部には支持アーム4eが符号Sで示される支点を介して回動自在に支承アーム4gに連結されている。支承アーム4gの上部には仮受棚3のフック受け3cに係合させるためのフック4dが設けられている。さらに、支承アーム4gには符号Tの支点を介して回動自在に案内レール4aと連結されるガススプリング4cが設置されている。
【0012】仮受棚3は、案内レール4aと乾燥室2内に設置される吊具受上段レール2aの間に接続される上レール3aと、乾燥室2内に吊具受上段レール2aの下方に設置される吊具受下段レール(図示せず)に接続される下レール3bを備えている。また、これらの上レール3aと下レール3bの間は本体3dで接続され、上レール3aと下レール3bとの距離は位置調整機構6を用いて調整することができる。
仮受棚3は、乾燥室2の吊具受上段レール2a及び吊具受下段レール2bに接続されて固定可能であるが、本体3dに接続用のアタッチメントを用いて固定してもよい。また、接続の方法としては、上レール3aや下レール3bを中空にしておき、その中に吊具受上段レール2aと吊具受下段レール2bを挿入するようにしたり、その逆にしてもよい。
【0013】仮受棚3を固定した後に回転レール装置4の支承アーム4gに設けられたフック4dをフック受け3cに係合して回転レール装置4を仮受棚3に固定する。その際には、上レール3aに案内レール4aを当接し、吊具受上段レール2aから案内レール4aまで車輪付吊具5が車輪5dによって移動できるようにする。なお、図1に図示された仮受棚3は、本来一対として構成される仮受棚3の一方のみを示すものであり、奥側に存在すべき同じ構成の他方のものは省略されている。
【0014】本実施の形態においては、仮受棚3を乾燥室2内に敷設された吊具受上段レール2a及び吊具受下段レール2bに設置するようにしたが、仮受棚3を用いず回転レール装置4に設けられたフック4dを直接的に乾燥室2に係合するようにしてもよい。その際には、仮受棚3に設けられているフック受け3cと同様な構造を例えば乾燥室2の入口に設置するとよい。このようにすれば、仮受棚3を省略する構成とすることができる。このような場合には、フック4dを用いることなく係合可能な構造を有するものであれば代用してよいのは言うまでもない。なお、仮受棚3は、上レール3aと下レール3bをそれぞれ吊具受上段レール2aと吊具受下段レール(図示せず)に接続して固定することによって回転レール装置4をより堅固に固定することができるように設置されるものである。
【0015】さらに、仮受棚3の上レール3aと下レール3bを設けることなく、仮受棚3の本体3dの上下部を吊具受上段レール2aあるいは案内レール4a及び吊具受下段レール2bに接続して固定し、吊具受上段レール2aと案内レール4aを連結するようにしてもよい。また、仮受棚3に上レール3aと下レール3bとは別に乾燥室2との係合用の手段を設けて乾燥室2に取設してもよい。
あるいは、仮受棚3を乾燥室2側に固定するような構成ではなく、地面に堅固に固定できるような脚を仮受棚3に設けることによって単独で定着可能な構成としておき、上レール3aと下レール3bを、吊具受上段レール2aと吊具受下段レール2bにそれぞれ連結するのではなく、単に当接させるような構成としてもよい。仮受棚3単独で定着可能な構成とすれば、仮受棚3を乾燥室2側に固定する必要がないため上レール3aと下レール3bを乾燥室2側のレールに連結する必要もない。このような場合であればさらに上レール3aと下レール3bを設けることなく、前述のとおり仮受棚3の本体3dの上下部を吊具受上段レール2aあるいは案内レール4a及び吊具受下段レール2bに接続して固定し、吊具受上段レール2aと案内レール4aを連結するようにしてもよい。
【0016】次に、図2乃至図6を参照しながら本実施の形態に係る葉たばこ取卸装置の使用について説明する。図2乃至図6において、図1に示される物と同一物については同一符号を付しその構成の説明は省略する。図2は、本実施の形態の葉たばこ取卸装置の側面図であり、仮受棚3を乾燥室2内に敷設された吊具受上段レール2aと吊具受下段レール2bに連結し、さらに仮受棚3に回転レール装置4をフック4dを介して設置した状態を示すものである。
図に示されるように乾燥室2内には上下2段に葉たばこを懸吊する車輪付吊具5が連接して配置されている。作業者7は、葉たばこを十分乾燥した後に乾燥室2の扉を開け、吊具受下段レール2bと吊具受上段レール2aに載置された車輪付吊具5,5を交互に乾燥室2外に引き出す。吊具受下段レール2bは作業者7の腰くらいの高さに位置しているものの、吊具受上段レール2aは頭の高さとなってしまうので、車輪付吊具5を回転レール装置4まで引っ張り出してその自重で回転レール装置4の案内レール4aを手前に下げて車輪付吊具5を取り卸し易い位置で作業できるようにするものである。
【0017】図3は乾燥室の扉を開けて葉たばこの取卸作業を開始する前に、仮受棚を設置する状態を示す概念図である。図3において、作業者7は、まず、仮受棚3を吊具受上段レール2aと吊具受下段レール2bに連結する。連結の際には、予め位置調整機構6を用いて上レール3aと下レール3bの間の幅を吊具受上段レール2aと吊具受下段レール2bの間の幅に調節しておく。
【0018】図4は仮受棚を設置した後に、回転レール装置を設置する状態を示す概念図である。図4において、作業者7は、設置された仮受棚3に設けられたフック受け(図示せず)に回転レール装置4に設けられたフック4dを係合させて回転レール装置4を取り付ける。すなわち、回転レール装置4は、フック4dを介して仮受棚3に着脱自在の構造となっている。取付けの際には、上レール3aは案内レール4aに当接するが、上レール3aあるいは案内レール4aを中空の構造とすることによって一方を他方に挿入するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、仮受棚3をまず設置してその後に回転レール装置4を取り付けるように示したが、仮受棚3のフック受け3cに回転レール装置4のフック4dを係合して組み合わせておき、その後仮受棚3と回転レール装置4を組み合わせた状態で乾燥室2側に設置してもよい。
【0019】図5は回転レール装置を設置した後に、吊具受上段レールに載置された車輪付吊具を葉たばこごと引き出している状態を示す概念図である。回転レール装置4は設置されると、その案内レール4aは上レール3a及び吊具受上段レール2aと水平状態となるように支持アーム4e及びガススプリング4cで支持されている。
車輪付吊具5は、吊具受上段レール2aから上レール3aを介して案内レール4aまで引き出される。この状態では車輪付吊具5がまだ乾燥室2側に近い位置にあるため、車輪付吊具5と葉たばこZの自重によって案内レール4aが下がることはない。しかし、車輪付吊具5をもう少し引き出すと自重によって案内レール4aが下降する。
【0020】図6は案内レールが下降して作業者が車輪付吊具を取り卸す状態を示す概念図である。作業者7が車輪付吊具5をより引き出すことによって、その重みで案内レール4aは、支点Sと支点Tを回動の軸として下降する。しかも下降した後の位置が、作業者7にとって容易に持ち運びができる腰の位置に相当しており作業の効率を向上させることができる。
また、案内レール4aは、当初の水平状態から図6に示されるようなほぼ垂直状態まで回動するため、車輪付吊具5の慣性によって車輪付吊具5が案内レール4aの端部から飛び出したり、あるいは急落下して作業者7がけがをしたりすることのないようにガススプリング4cを設けて、長い圧縮ストロークに亘ってほぼ一定の制動力が働くようにしている。また、このようにゆっくりと車輪付吊具5が移動するため、葉たばこに対する衝撃も少なく出荷前に商品価値を損ねるようなこともない。しかも、作業者7が車輪付吊具5を取り卸した後には、ガススプリング4cは案内レール4aに対して復元力を与えて元の水平位置までゆっくり戻すため、作業者7が逐一案内レール4aを戻す必要がない。
【0021】仮受棚3や回転レール装置4を設置することによっても吊具受下段レール2bの乾燥室2の外側端部を塞ぐようなことがないため、吊具受上段レール2aに載置された車輪付吊具5を取り卸した後には、仮受棚3や回転レール装置4を取り外すことなく吊具受下段レール2bに載置された車輪付吊具5を取り卸すことが可能である。
上下に連接配置された車輪付吊具5をすべて取り卸した後には、図4と図3を参照して説明した取り付け方法とは逆の方法で、まず回転レール装置4を取り外し、次に仮受棚3を取り外すようにする。
【0022】以上説明したとおり、本実施の形態に係る葉たばこ取卸装置によれば、低コストの簡単な装置を取り付けるだけで、低労力、安全かつ高効率に加えて大切な葉たばこを損傷しないような作業を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、レールを棒状あるいはパイプ状のものとして説明したが、このような形状にとらわれる必要はなく、例えば直角状のいわゆるアングル形状のレールやU字型形状のレールでもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の葉たばこ取卸装置においては、葉たばこを懸吊する吊具を乾燥室から取り卸す際に吊具の自重によって、案内レールを支持する支持アームが回動して案内レールが下降するため、乾燥室の上部に配置された吊具を少ない労力で安全に取り卸すことができる。また低コストで簡単な装置であるためたばこ生産農家の負担になることもなく経済的である。
【0024】また、特に請求項2に記載の葉たばこ取卸装置においては、ダンパー手段によって案内レールの下降時に制動力が働くため、吊具が急落下することがなくさらに安全に吊具を取り卸すことができる。しかも、取り卸した後にはダンパー手段の復元力によって案内レールが元の位置まで戻るため作業者の労力も軽減される。
【0025】最後に、請求項3に記載の葉たばこ取卸装置においては、請求項1あるいは請求項2に記載の葉たばこ取卸装置の効果に加えて、取付手段を備えることによって乾燥室に敷設されたレールとの接続性を向上させたりあるいは乾燥室などの定着物や地面への設置性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る葉たばこ取卸装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態の葉たばこ取卸装置の側面図である。
【図3】葉たばこの取卸作業を開始する前に仮受棚を設置する状態を示す概念図である。
【図4】仮受棚を設置した後に回転レール装置を設置する状態を示す概念図である。
【図5】吊具受上段レールに載置された車輪付吊具を葉たばこごと引き出している状態を示す概念図である。
【図6】案内レールが下降して作業者が車輪付吊具を取り卸す状態を示す概念図である。
【図7】(a)は従来から使用されているラックと呼ばれる金属製の車輪付吊具を示す外形図であり、(b)はそのラックに葉たばこを挟んだ状態を示す概念図である。
【符号の説明】
1…取卸装置 2…乾燥室 2a…吊具受上段レール 2b…吊具受下段レール 3…仮受棚 3a…上レール 3b…下レール 3c…フック受け 3d…本体 4…回転レール装置 4a…案内レール 4b…フレーム 4c…ガススプリング 4d…フック 4e…支持アーム 4f…ブラケット 4g…支承アーム 4h…ブレード 5…車輪付吊具 5a…針 5b…下向本体 5c…上向本体 5d…車輪 6…位置調整機構 S…支点 T…支点 Z…葉たばこ 7…作業者
【発明の属する技術分野】
本発明は、吊具に懸吊されて乾燥室に収容されている葉たばこを、乾燥室から吊具ごと取り卸す際に使用される葉たばこ取卸装置に係わり、特に高所に収容されている葉たばこを少ない労力で安全、容易に取り卸すことができる葉たばこ取卸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、たばこ生産農家で収穫された葉たばこは、農家内あるいはその近辺に設置された乾燥室に1週間程度収容され、十分に乾燥される。
たばこ畑から収穫された葉たばこは束ねられた後、ミシン葉編機と呼ばれる装置を用いてその葉柄部に沿って糸をミシン縫合した状態で、乾燥室内に備えられた吊具受けに吊り込まれる。
【0003】また、近時ではミシン葉編機によってミシン縫合せず、図7(a)に示されるようなラックと呼ばれる金属製の車輪付吊具5を用いて、図7(b)で示されるように葉たばこZを挟んだ状態で乾燥室内に備えられたレール状の吊具受けに吊り込む場合も多くなってきている。車輪付吊具5は上向本体5cと下向本体5bから構成され、下向本体5bには多数の針5aが植設されており、この針5aを葉たばこZに突き刺すことによって保持するのである。車輪付吊具5には、両側部に車輪5dが備えられており乾燥室内に設置される吊具受レール上をスムースに移動させることができる。
【0004】一般的な乾燥室は、スペースを有効に活用するため上下2段に葉たばこを収容する構造となっており、乾燥室の大きさにもよるが各段には吊具が数十連程度並べられる。
コンピュータ制御によって乾燥室内で1週間程度乾燥された葉たばこは、今度は乾燥室から吊具ごと取り卸される。従って、取り卸しの際には、作業者の腰の位置近傍に配置された1段目の吊具受けと、頭の位置近傍に配置された2段目の吊具受けから編み込まれた葉たばこと共に吊具を一連ずつ順次取り卸す必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術においては、腰の高さに配置された1段目の吊具受けから吊具ごと取り卸すことは容易である一方、頭の高さに位置する2段目の吊具受けから葉たばこを吊具ごと取り卸す作業は、葉たばこが乾燥しているとはいえ6kg程度の重量があり、7kgほどの吊具重量と併せて取り卸すのはかなりの重労働となる課題があった。就農離れが進み高齢者に頼る農家では、なおさらこの取卸作業が負担となっていた。
【0006】しかも、作業者の頭の高さから取り卸すので、一人で作業することが困難かつ危険であり、踏み台などを利用して1連ずつ何度も踏み台の昇降を繰り返す必要があった。二人で作業する際には踏み台を利用しなくてもよい場合もあるが、これでは作業の能率が悪く、作業が長時間に亘るという課題も有していた。
【0007】本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、乾燥室内に備えられたレール状の吊具受けに案内レールを接続し、その案内レールを手前下方に傾けてから葉たばこを懸吊する吊具を案内レールに沿って下方に移動させ、案内レールから取り卸すようにして、低コストと低労力で安全にしかも作業能率の向上を図ることができる葉たばこ取卸装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である葉たばこ取卸装置は、葉たばこの乾燥室内で葉たばこを懸吊する吊具を移動自在に敷設されたレールに接続される案内レールと、この案内レールを支持する支持アームと、この支持アームを回動可能に支承する支承アームとを有するものである。
上記構成の葉たばこ取卸装置においては、乾燥室内に敷設されたレールから吊具を乾燥室外側方向へ引き出して案内レールに乗せ、その後、案内レールが下方へ移動するように支持アームを回動させると、吊具が取り卸し容易な高さまで降りるという作用を有する。
【0009】また、請求項2に記載の発明である葉たばこ取卸装置は、請求項1に記載の葉たばこ取卸装置において、支持アームに伸縮自在のダンパー手段を備えたものである。
上記構成の葉たばこ取卸装置においても請求項1と同様の作用を有するが、特にダンパー手段が急激な回動を制止して動作が緩和されるという作用も有する。
【0010】さらに、請求項3に記載の発明である葉たばこ取卸装置は、請求項1又は請求項2に記載の葉たばこ取卸装置において、支承アームを取設して定着物あるいは地面に固定する取付手段を有するものである。
上記構成の葉たばこ取卸装置においては、請求項1及び請求項2と同様の作用を有するとともに、葉たばこ取卸装置の一部に取付手段を介挿して乾燥室に敷設されたレールとの接続性あるいは乾燥室などの定着物や地面への設置性を高める作用を有するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る葉たばこ取卸装置の実施の形態を図1に基づき説明する。(請求項1乃至請求項3に対応)
図1は本実施の形態に係る葉たばこ取卸装置の斜視図である。図1において、図7に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、その構成については説明を省略する。本実施の形態における取卸装置1は、回転レール装置4と仮受棚3とからなっている。回転レール装置4は、左右一対の案内レール4a,4aを備えており、これらの案内レール4a,4aは、一対のブレード4h,4hを介してフレーム4bで接続されている。案内レール4aの下部には支持アーム4eが符号Sで示される支点を介して回動自在に支承アーム4gに連結されている。支承アーム4gの上部には仮受棚3のフック受け3cに係合させるためのフック4dが設けられている。さらに、支承アーム4gには符号Tの支点を介して回動自在に案内レール4aと連結されるガススプリング4cが設置されている。
【0012】仮受棚3は、案内レール4aと乾燥室2内に設置される吊具受上段レール2aの間に接続される上レール3aと、乾燥室2内に吊具受上段レール2aの下方に設置される吊具受下段レール(図示せず)に接続される下レール3bを備えている。また、これらの上レール3aと下レール3bの間は本体3dで接続され、上レール3aと下レール3bとの距離は位置調整機構6を用いて調整することができる。
仮受棚3は、乾燥室2の吊具受上段レール2a及び吊具受下段レール2bに接続されて固定可能であるが、本体3dに接続用のアタッチメントを用いて固定してもよい。また、接続の方法としては、上レール3aや下レール3bを中空にしておき、その中に吊具受上段レール2aと吊具受下段レール2bを挿入するようにしたり、その逆にしてもよい。
【0013】仮受棚3を固定した後に回転レール装置4の支承アーム4gに設けられたフック4dをフック受け3cに係合して回転レール装置4を仮受棚3に固定する。その際には、上レール3aに案内レール4aを当接し、吊具受上段レール2aから案内レール4aまで車輪付吊具5が車輪5dによって移動できるようにする。なお、図1に図示された仮受棚3は、本来一対として構成される仮受棚3の一方のみを示すものであり、奥側に存在すべき同じ構成の他方のものは省略されている。
【0014】本実施の形態においては、仮受棚3を乾燥室2内に敷設された吊具受上段レール2a及び吊具受下段レール2bに設置するようにしたが、仮受棚3を用いず回転レール装置4に設けられたフック4dを直接的に乾燥室2に係合するようにしてもよい。その際には、仮受棚3に設けられているフック受け3cと同様な構造を例えば乾燥室2の入口に設置するとよい。このようにすれば、仮受棚3を省略する構成とすることができる。このような場合には、フック4dを用いることなく係合可能な構造を有するものであれば代用してよいのは言うまでもない。なお、仮受棚3は、上レール3aと下レール3bをそれぞれ吊具受上段レール2aと吊具受下段レール(図示せず)に接続して固定することによって回転レール装置4をより堅固に固定することができるように設置されるものである。
【0015】さらに、仮受棚3の上レール3aと下レール3bを設けることなく、仮受棚3の本体3dの上下部を吊具受上段レール2aあるいは案内レール4a及び吊具受下段レール2bに接続して固定し、吊具受上段レール2aと案内レール4aを連結するようにしてもよい。また、仮受棚3に上レール3aと下レール3bとは別に乾燥室2との係合用の手段を設けて乾燥室2に取設してもよい。
あるいは、仮受棚3を乾燥室2側に固定するような構成ではなく、地面に堅固に固定できるような脚を仮受棚3に設けることによって単独で定着可能な構成としておき、上レール3aと下レール3bを、吊具受上段レール2aと吊具受下段レール2bにそれぞれ連結するのではなく、単に当接させるような構成としてもよい。仮受棚3単独で定着可能な構成とすれば、仮受棚3を乾燥室2側に固定する必要がないため上レール3aと下レール3bを乾燥室2側のレールに連結する必要もない。このような場合であればさらに上レール3aと下レール3bを設けることなく、前述のとおり仮受棚3の本体3dの上下部を吊具受上段レール2aあるいは案内レール4a及び吊具受下段レール2bに接続して固定し、吊具受上段レール2aと案内レール4aを連結するようにしてもよい。
【0016】次に、図2乃至図6を参照しながら本実施の形態に係る葉たばこ取卸装置の使用について説明する。図2乃至図6において、図1に示される物と同一物については同一符号を付しその構成の説明は省略する。図2は、本実施の形態の葉たばこ取卸装置の側面図であり、仮受棚3を乾燥室2内に敷設された吊具受上段レール2aと吊具受下段レール2bに連結し、さらに仮受棚3に回転レール装置4をフック4dを介して設置した状態を示すものである。
図に示されるように乾燥室2内には上下2段に葉たばこを懸吊する車輪付吊具5が連接して配置されている。作業者7は、葉たばこを十分乾燥した後に乾燥室2の扉を開け、吊具受下段レール2bと吊具受上段レール2aに載置された車輪付吊具5,5を交互に乾燥室2外に引き出す。吊具受下段レール2bは作業者7の腰くらいの高さに位置しているものの、吊具受上段レール2aは頭の高さとなってしまうので、車輪付吊具5を回転レール装置4まで引っ張り出してその自重で回転レール装置4の案内レール4aを手前に下げて車輪付吊具5を取り卸し易い位置で作業できるようにするものである。
【0017】図3は乾燥室の扉を開けて葉たばこの取卸作業を開始する前に、仮受棚を設置する状態を示す概念図である。図3において、作業者7は、まず、仮受棚3を吊具受上段レール2aと吊具受下段レール2bに連結する。連結の際には、予め位置調整機構6を用いて上レール3aと下レール3bの間の幅を吊具受上段レール2aと吊具受下段レール2bの間の幅に調節しておく。
【0018】図4は仮受棚を設置した後に、回転レール装置を設置する状態を示す概念図である。図4において、作業者7は、設置された仮受棚3に設けられたフック受け(図示せず)に回転レール装置4に設けられたフック4dを係合させて回転レール装置4を取り付ける。すなわち、回転レール装置4は、フック4dを介して仮受棚3に着脱自在の構造となっている。取付けの際には、上レール3aは案内レール4aに当接するが、上レール3aあるいは案内レール4aを中空の構造とすることによって一方を他方に挿入するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、仮受棚3をまず設置してその後に回転レール装置4を取り付けるように示したが、仮受棚3のフック受け3cに回転レール装置4のフック4dを係合して組み合わせておき、その後仮受棚3と回転レール装置4を組み合わせた状態で乾燥室2側に設置してもよい。
【0019】図5は回転レール装置を設置した後に、吊具受上段レールに載置された車輪付吊具を葉たばこごと引き出している状態を示す概念図である。回転レール装置4は設置されると、その案内レール4aは上レール3a及び吊具受上段レール2aと水平状態となるように支持アーム4e及びガススプリング4cで支持されている。
車輪付吊具5は、吊具受上段レール2aから上レール3aを介して案内レール4aまで引き出される。この状態では車輪付吊具5がまだ乾燥室2側に近い位置にあるため、車輪付吊具5と葉たばこZの自重によって案内レール4aが下がることはない。しかし、車輪付吊具5をもう少し引き出すと自重によって案内レール4aが下降する。
【0020】図6は案内レールが下降して作業者が車輪付吊具を取り卸す状態を示す概念図である。作業者7が車輪付吊具5をより引き出すことによって、その重みで案内レール4aは、支点Sと支点Tを回動の軸として下降する。しかも下降した後の位置が、作業者7にとって容易に持ち運びができる腰の位置に相当しており作業の効率を向上させることができる。
また、案内レール4aは、当初の水平状態から図6に示されるようなほぼ垂直状態まで回動するため、車輪付吊具5の慣性によって車輪付吊具5が案内レール4aの端部から飛び出したり、あるいは急落下して作業者7がけがをしたりすることのないようにガススプリング4cを設けて、長い圧縮ストロークに亘ってほぼ一定の制動力が働くようにしている。また、このようにゆっくりと車輪付吊具5が移動するため、葉たばこに対する衝撃も少なく出荷前に商品価値を損ねるようなこともない。しかも、作業者7が車輪付吊具5を取り卸した後には、ガススプリング4cは案内レール4aに対して復元力を与えて元の水平位置までゆっくり戻すため、作業者7が逐一案内レール4aを戻す必要がない。
【0021】仮受棚3や回転レール装置4を設置することによっても吊具受下段レール2bの乾燥室2の外側端部を塞ぐようなことがないため、吊具受上段レール2aに載置された車輪付吊具5を取り卸した後には、仮受棚3や回転レール装置4を取り外すことなく吊具受下段レール2bに載置された車輪付吊具5を取り卸すことが可能である。
上下に連接配置された車輪付吊具5をすべて取り卸した後には、図4と図3を参照して説明した取り付け方法とは逆の方法で、まず回転レール装置4を取り外し、次に仮受棚3を取り外すようにする。
【0022】以上説明したとおり、本実施の形態に係る葉たばこ取卸装置によれば、低コストの簡単な装置を取り付けるだけで、低労力、安全かつ高効率に加えて大切な葉たばこを損傷しないような作業を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、レールを棒状あるいはパイプ状のものとして説明したが、このような形状にとらわれる必要はなく、例えば直角状のいわゆるアングル形状のレールやU字型形状のレールでもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の葉たばこ取卸装置においては、葉たばこを懸吊する吊具を乾燥室から取り卸す際に吊具の自重によって、案内レールを支持する支持アームが回動して案内レールが下降するため、乾燥室の上部に配置された吊具を少ない労力で安全に取り卸すことができる。また低コストで簡単な装置であるためたばこ生産農家の負担になることもなく経済的である。
【0024】また、特に請求項2に記載の葉たばこ取卸装置においては、ダンパー手段によって案内レールの下降時に制動力が働くため、吊具が急落下することがなくさらに安全に吊具を取り卸すことができる。しかも、取り卸した後にはダンパー手段の復元力によって案内レールが元の位置まで戻るため作業者の労力も軽減される。
【0025】最後に、請求項3に記載の葉たばこ取卸装置においては、請求項1あるいは請求項2に記載の葉たばこ取卸装置の効果に加えて、取付手段を備えることによって乾燥室に敷設されたレールとの接続性を向上させたりあるいは乾燥室などの定着物や地面への設置性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る葉たばこ取卸装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態の葉たばこ取卸装置の側面図である。
【図3】葉たばこの取卸作業を開始する前に仮受棚を設置する状態を示す概念図である。
【図4】仮受棚を設置した後に回転レール装置を設置する状態を示す概念図である。
【図5】吊具受上段レールに載置された車輪付吊具を葉たばこごと引き出している状態を示す概念図である。
【図6】案内レールが下降して作業者が車輪付吊具を取り卸す状態を示す概念図である。
【図7】(a)は従来から使用されているラックと呼ばれる金属製の車輪付吊具を示す外形図であり、(b)はそのラックに葉たばこを挟んだ状態を示す概念図である。
【符号の説明】
1…取卸装置 2…乾燥室 2a…吊具受上段レール 2b…吊具受下段レール 3…仮受棚 3a…上レール 3b…下レール 3c…フック受け 3d…本体 4…回転レール装置 4a…案内レール 4b…フレーム 4c…ガススプリング 4d…フック 4e…支持アーム 4f…ブラケット 4g…支承アーム 4h…ブレード 5…車輪付吊具 5a…針 5b…下向本体 5c…上向本体 5d…車輪 6…位置調整機構 S…支点 T…支点 Z…葉たばこ 7…作業者
Claims (3)
- 葉たばこの乾燥室内で葉たばこを懸吊する吊具を移動自在に敷設されたレールに接続される案内レールと、この案内レールを支持する支持アームと、この支持アームを回動可能に支承する支承アームとを有することを特徴とする葉たばこ取卸装置。
- 前記支持アームは、伸縮自在のダンパー手段を備えることを特徴とする請求項1記載の葉たばこ取卸装置。
- 前記支承アームを取設して定着物あるいは地面に固定する取付手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の葉たばこ取卸装置。
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---|---|
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008220300A (ja) * | 2007-03-14 | 2008-09-25 | Furuta Netsuki Kk | 補助レールを設けた葉たばこ簡易取卸装置 |
CN103462200A (zh) * | 2013-10-09 | 2013-12-25 | 贵州省烟草科学研究院 | 一种基于散叶插针密集烘烤的倾斜120度定量装烟技术 |
CN104413541A (zh) * | 2013-09-09 | 2015-03-18 | 尹传锋 | 移动挂式烤烟架 |
CN107041566A (zh) * | 2017-04-06 | 2017-08-15 | 安徽省农业科学院烟草研究所 | 一种烤烟散叶插扦烘烤装烟设备 |
-
2002
- 2002-07-08 JP JP2002198877A patent/JP2004033184A/ja active Pending
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