JP2004031863A - 面発光型半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ素子の信頼性に影響を与える歪や、レーザ光の散乱損失が抑制され、且つ寄生容量が小さい酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】上部DBRを構成する多層膜のうち、多重量子井戸活性層に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、p−Al0.95Ga0.05As層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚40nmの第1の電流狭窄層25、p−AlAs層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚20nmの第2の電流狭窄層26、及びp−Al0.95Ga0.05As層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚40nmの第3の電流狭窄層27が、順次に積層されている。
【選択図】 図2
【解決手段】上部DBRを構成する多層膜のうち、多重量子井戸活性層に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、p−Al0.95Ga0.05As層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚40nmの第1の電流狭窄層25、p−AlAs層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚20nmの第2の電流狭窄層26、及びp−Al0.95Ga0.05As層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚40nmの第3の電流狭窄層27が、順次に積層されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子に関し、特に、レーザ素子の信頼性に影響を与える歪や、レーザ光の散乱損失が抑制され、且つ寄生容量が小さい酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
面発光型半導体レーザ素子では、電流効率を高め、しきい値電流を下げるために、活性層に注入される電流の領域を限定する電流狭窄構造が採用されている。電流狭窄構造には、イオン打込みによるものと、活性層の近傍に形成されたAl(Ga)As層のAlを選択的に酸化させた酸化狭窄型とがあるが、酸化狭窄型は、イオン打込みによるものに比べて高速なレーザ動作に適し、光通信分野において主流になりつつある。
【0003】
ここで、従来の酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子の一例を説明する。図4は本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す斜視断面図である。面発光型半導体レーザ素子30は、n−GaAs基板31上に、順次に形成された、下部半導体多層膜反射鏡(下部DBR)32、ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層33、GaAs量子井戸活性層34、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層35、上部半導体多層膜反射鏡(上部DBR)37、及びp−GaAsキャップ層38の積層構造を備えている。
【0004】
下部DBR32は、各層の膜厚がλ/4n(λ:発振波長、n:屈折率)のn−GaAs膜とn−Al0.9Ga0.1As膜の35ペアが積層された多層膜によって構成され、上部DBR37は、各層の膜厚がλ/4nのp−GaAs膜とp−Al0.9Ga0.1As膜の25ペアが積層された多層膜によって構成されている。
【0005】
積層構造のうち、p−GaAsキャップ層38、上部DBR37、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層35、GaAs量子井戸活性層34、ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層33、及び下部DBR32の上部は、円筒状溝39により、直径40〜45μmのメサポスト構造40として形成されている。
【0006】
上部DBR37を構成する多層膜のうち、量子井戸活性層34に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、p−AlAs層の一部領域が選択的に酸化された電流狭窄層36が形成されている。電流狭窄層36は、p−AlAs層のAlが酸化された、円筒状溝39に接する環状のAl酸化領域36Bが電流狭窄領域を成し、Alが酸化されずに残った、内側の直径約15〜20μmの円形の非酸化領域36Aが電流注入領域を成す。
【0007】
円形状溝39の溝壁、及びメサポスト構造40上を含めて、全面にSiNx膜41が成膜されている。メサポスト構造40上面のSiNx膜41は、直径30μmの円形部分が除去されて、p−GaAsキャップ層38を露出させている。そこには、内径が20μmで外径が30μmのリング状のAuZn金属膜がp側電極42として形成されている。
【0008】
更に、p側電極42及びその周辺のSiNx膜41を覆って接続したTi/Pt/Au積層金属パッドが、p側電極42の引出し用電極43として形成されている。p側電極42の引き出し用電極43は、中央に円形開口を有する。また、n−GaAs基板31の裏面には、AuGeNi金属膜がn側電極44として形成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子では、Al酸化領域で半導体結晶が酸化する際にその膜厚に応じた体積で収縮するため、Al酸化領域の近傍に歪が生じる。上記歪のうち電流が流れる経路の近傍のものは、レーザ素子の通電中に、電流が流れる経路に結晶欠陥を増殖させ、レーザ素子の信頼性に影響を与えるという問題がある。
【0010】
また、酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子では、レーザ光を通過させる非酸化領域とレーザ光を遮断するAl酸化領域との境界部が、λ/4nの厚みを有するレーザ光との接触面となり、上記境界面でレーザ光の散乱損失が発生するという問題もある。このため、上記歪やレーザ光の散乱損失を抑制するためには、電流狭窄層の膜厚を小さくすることが望ましい。
【0011】
しかし、Al酸化領域は上下を誘電体に挟まれた絶縁体であるため、Al酸化領域は、同領域の面積と厚さに応じた静電容量、即ち寄生容量を持つ。Al酸化領域の寄生容量は、εを同領域の誘電率、Sを同領域の面積、dを同領域の厚さとすると、式C=εS/dで表されるため、単純に電流狭窄層の厚さdを小さくしようとすると、寄生容量の増大をもたらし、レーザ素子の動的特性が低下する。
【0012】
そこで、本発明の目的は、レーザ素子の信頼性に影響を与える歪や、レーザ光の散乱損失が抑制され、且つ寄生容量が小さい酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の問題を解決するために、電流狭窄層のAl酸化領域が、メサポスト構造の内側に行くほど厚さが小さくなる形状として形成することにより、上記目的を達成するレーザ素子を実現することを着想し、種々の実験の末、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、上記目的を達成する本発明の第1発明に係る面発光型半導体レーザ素子は、基板と、該基板上に設けられ夫々が低屈折率層及び高屈折率層から成るペア層を複数形成した上部及び下部半導体多層膜反射鏡と、該半導体多層膜反射鏡の間に配設された活性層と、前記上部半導体多層膜反射鏡中に設けられた、Alを含む半導体層の一部領域(Al酸化領域)を選択的に酸化してなる電流狭窄層とを有し、電流注入により前記基板と垂直にレーザ光を放射する面発光型半導体レーザ素子において、
前記Alを含む半導体層は、膜厚方向の中央部でAl組成が最も高いことを特徴としている。
【0015】
Alを含む半導体層が、膜厚方向の中央部でAl組成が最も高いことにより、Alを含む半導体層は一般的にAl組成が大きいほど酸化速度が速いため、メサポスト構造の内側に行くほどAl酸化領域の厚さが小さくなり、膜厚方向の中央部で突出した形状として形成することができる。
【0016】
上記形状では、メサポスト構造の内側でAl酸化領域の厚さが小さくなるため、この領域の酸化による収縮を低減し、レーザ素子の信頼性に影響を与える、電流が流れる経路の近傍における歪を抑制できる。また、非酸化領域とAl酸化領域との境界部におけるレーザ光の接触面積を小さくし、レーザ光の散乱損失を抑制することができる。更に、上記構成により、Al酸化領域の膜厚が小さくなる領域をメサポスト構造の内側の狭い領域に限定し、寄生容量を小さくすることができる。
【0017】
第1発明は好適には、前記Alを含む半導体層は、上面及び下面から膜厚方向の中央部に向かって単調にAl組成が増加する。上記構成により、Al酸化領域を、メサポスト構造の内側向きのテーパ形状に形成し、より良好な上述の効果を得ることができる。
【0018】
第1発明の好ましい例では、前記Alを含む半導体層が、相互に隣接する複数のAlxGa1−xAs層から成り、活性層に近いAlxGa1−xAs層から順次に、Al組成をx1,x2,x3,・・・,xm,・・・,xn、膜厚をd1,d2,d3,・・・,dm,・・・,dnとすると、
x1<x2<x3<・・・<xm>・・・>xn、且つ、
d1>d2>d3>・・・>dm<・・・<dn
が成立する。
【0019】
AlxGa1−xAs層は、作製の際に、Al組成xを小さくすると酸化速度が急激に小さくなり、実用的な酸化速度が得られない。一方、AlxGa1−xAs層の膜厚dmは、大きいほど酸化速度が大きくなる。このため、上記の式のようにAl組成xmの小さい膜ほど、膜厚dmを大きくすることにより、AlxGa1−xAs層を酸化して電流狭窄層を形成する工程の際に、実用的な酸化速度を得ることができる。
【0020】
また、本発明の第2発明に係る面発光型半導体レーザ素子は、基板と、該基板上に設けられ夫々が低屈折率層及び高屈折率層から成るペア層を複数形成した上部及び下部半導体多層膜反射鏡と、該半導体多層膜反射鏡の間に配設された活性層と、前記上部半導体多層膜反射鏡中に設けられた、Alを含む半導体層の一部領域を選択的に酸化してなる電流狭窄層とを有し、電流注入により前記基板と垂直にレーザ光を放射する面発光型半導体レーザ素子において、
前記Alを含む半導体層は、上面のAl組成が最も高いことを特徴としている。
【0021】
第2発明では、Alを含む半導体層が、上面のAl組成が最も高いことにより、メサポスト構造の内側に行くほどAl酸化領域の厚さが小さくなり、上面で突出した形状として形成することができ、第1発明と同様の効果を得ることができる。
【0022】
第2発明は好適には、前記Alを含む半導体層は、下面から上面に向かって単調にAl組成が増加する。第2発明の好ましい例では、前記Alを含む半導体層が、相互に隣接する複数のAlxGa1−xAs層から成り、活性層に近いAlxGa1−xAs層から順次に、Al組成をx1,x2,x3,・・・,xm,・・・,xn、膜厚をd1,d2,d3,・・・,dm,・・・,dnとすると、
x1<x2<x3<・・・<xm<・・・<xn、且つ、
d1>d2>d3>・・・>dm>・・・>dn
が成立する。第1発明と同様の効果が得られる。
【0023】
更に、本発明の第3発明に係る面発光型半導体レーザ素子は、基板と、該基板上に設けられ夫々が低屈折率層及び高屈折率層から成るペア層を複数形成した上部及び下部半導体多層膜反射鏡と、該半導体多層膜反射鏡の間に配設された活性層と、前記上部半導体多層膜反射鏡中に設けられた、Alを含む半導体層の一部領域を選択的に酸化してなる電流狭窄層とを有し、電流注入により前記基板と垂直にレーザ光を放射する面発光型半導体レーザ素子において、
前記Alを含む半導体層は、下面のAl組成が最も高いことを特徴としている。
【0024】
第3発明では、Alを含む半導体層が、下面のAl組成が最も高いことにより、メサポスト構造の内側に行くほどAl酸化領域の厚さが小さくなり、下面で突出した形状として形成することができ、第1発明と同様の効果を得ることができる。
【0025】
第3発明は好適には、前記Alを含む半導体層が、上面から下面に向かって単調にAl組成が増加する。第3発明の好ましい例では、前記Alを含む半導体層が、相互に隣接する複数のAlxGa1−xAs層から成り、活性層に近いAlxGa1−xAs層から順次に、Al組成をx1,x2,x3,・・・,xm,・・・,xn、膜厚をd1,d2,d3,・・・,dm,・・・,dnとすると、
x1>x2>x3>・・・>xm>・・・>xn、且つ、
d1<d2<d3<・・・<dm<・・・<dn
が成立する。第1発明と同様の効果が得られる。
【0026】
第1〜第3発明では、xLを前記半導体多層膜反射鏡中の低屈折率層のAl組成比率とすると、
x1>xL、xn>xL
が成立する。また、第1〜第3発明では、発振波長をλ、半導体層の屈折率をnvとすると、
d1+d2+d3+・・・+dm+・・・+dn=λ/4nV
が成立する。
【0027】
第1〜第3発明は、レーザ光の散乱損失が比較的大きい、発振波長が1.3μm〜1.6μmの範囲にある面発光型半導体レーザ素子に適用することにより、レーザ光の散乱損失を効果的に抑制し、良好な効果を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照し、実施形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。
実施形態例
図1は、第1発明に係わる実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す斜視断面図で、図2は図1の電流狭窄構造を更に詳細に示す断面図である。
【0029】
面発光型半導体レーザ素子10は、発振波長が1300nmの酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子であって、図1に示すように、膜厚200μm程度のn−GaAs基板11上に、順次に形成された、下部DBR12、ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層13、多重量子井戸活性層14、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層15、上部DBR17、及びp−GaAsキャップ層18の積層構造を備えている。
【0030】
下部DBR12は、各層の膜厚がλ/4nVのn−GaAs膜とn−Al0.9Ga0.1As膜の35ペアが積層された多層膜によって構成され、上部DBR17は、各層の膜厚がλ/4nV(λ:発振波長、nV:屈折率)のp−GaAs膜とp−Al0.9Ga0.1As膜の25ペアが積層された多層膜によって構成されている。また、多重量子井戸活性層14は、3層の膜厚7nmのGaAs井戸層と、GaAs井戸層の間に形成された膜厚20nmのGa0.67In0.33N0.007As0.993障壁層とから構成されている。
【0031】
積層構造のうち、p−GaAsキャップ層18、上部DBR17、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層15、多重量子井戸活性層14、ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層13、及び下部DBR12の上部は、円筒状溝19により、直径45μmのメサポスト構造20として形成されている。
【0032】
上部DBR17を構成する多層膜のうち、多重量子井戸活性層14に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、図2に示すように、p−Al0.95Ga0.05As層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚40nmの第1の電流狭窄層25、p−AlAs層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚20nmの第2の電流狭窄層26、及びp−Al0.95Ga0.05As層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚40nmの第3の電流狭窄層27が、順次に積層されている。
【0033】
第1〜第3の電流狭窄層25、26、27は、夫々、円筒状溝19に接する環状のAl酸化領域25B、26B、27Bが電流狭窄領域を成し、電流狭窄構造16のAl酸化領域16Bを構成する。一方、内側の円形の非酸化領域25A、26A、27Aが電流注入領域を成し、電流狭窄構造16の非酸化領域16Aを構成する。
【0034】
また、Al酸化領域16Bは、Al酸化領域26Bが内側に突出したテーパ状で、非酸化領域26Aの直径が10μmになるように形成されている。非酸化領域25A、27Aは、直径13μmで、非酸化領域26Aより僅かに広く形成されている。電流狭窄構造16は、上記構成により、多重量子井戸活性層14に注入される電流の領域を限定する。
【0035】
電流狭窄構造16は、Al酸化領域16Bの断面が上記テーパ状に形成されることにより、テーパ状の先端部のAl酸化領域16B(26B)の酸化による収縮を低減し、電流が流れる経路の近傍における歪を抑制することができる。また、レーザ光との接触面積が、非酸化領域26AとAl酸化領域26Bとの狭い境界部に限られるため、レーザ光の散乱損失を抑制することができる。更に、Al酸化領域16Bの膜厚が小さくなるのは、メサポスト構造20の内側の狭い領域に限られ、これ以外の領域ではAl酸化領域16Bは十分大きな膜厚を有するため、寄生容量を小さくすることができる。
【0036】
円形状溝19の溝壁、及びメサポスト構造20上を含めて、全面にSiNx膜21が成膜されている。メサポスト構造20上面のSiNx膜21は、直径25μmの円形部分が除去されて、p−GaAsキャップ層18を露出させている。そこには、内径が20μmで外径が25μmのリング状のAuZn金属膜がp側電極22として形成されている。
【0037】
更に、p側電極22及びその周辺のSiNx膜21を覆って接続したTi/Pt/Au積層金属パッドが、p側電極22の引出し用電極23として形成されている。p側電極22の引出し用電極23は、中央に円形開口を有する。また、n−GaAs基板11の裏面には、AuGeNi金属膜がn側電極24として形成されている。
【0038】
面発光型半導体レーザ素子10は、上記構成により、電流狭窄構造16による歪やレーザ光の散乱損失が抑制され、且つ寄生容量が小さい面発光型半導体レーザ素子を実現している。
【0039】
次に、本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10の製造方法を説明する。図3は、本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の製造方法に係わる一製造工程段階を示す断面図である。先ず、有機金属気相成長法(MOCVD法)により、図1に示すように、n−GaAs基板11上に、各層の膜厚がλ/4nVのn−GaAs膜とn−Al0.9Ga0.1As膜の35ペアからなる多層膜を成長させて下部DBR12を形成する。
【0040】
次いで、下部DBR12上に、ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層13、多重量子井戸活性層14、及びノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層15を成長させる。多重量子井戸活性層14は、3層の膜厚7nmのGaAs井戸層と、GaAs井戸層の間に形成された膜厚20nmのGa0.67In0.33N0.007As0.993障壁層により形成する。
【0041】
更に、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層15上に、各層の厚さがλ/4nVのp−GaAs膜とp−Al0.9Ga0.1As膜の25ペアからなる多層膜を成長させて上部DBR17を形成する。
【0042】
上部DBR17のうち多重量子井戸活性層14に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、図3に示すように、膜厚40nmのp−Al0.95Ga0.05As膜25a、膜厚20nmのp−AlAs膜26a、及び膜厚40nmのp−Al0.95Ga0.05As膜27aを順次に成長させる。続いて、上部DBR17上に膜厚10nmのp−GaAsキャップ層18を成長させる。
【0043】
次に、p−GaAsキャップ層18上にプラズマCVD法によりSiNx膜(図示せず)を成膜し、更にその上にフォトレジスト膜(図示せず)を成膜する。次いで、直径約45μmの円形パターンをフォトリソグラフィ技術でフォトレジスト膜に転写し、円形レジスト・エッチングマスク(図示せず)を形成する。
【0044】
続いて、円形レジスト・エッチングマスクを用い、CF4ガスをエッチングガスとする反応性イオンエッチング(RIE)法によりSiNx膜をエッチングする。更に、リン酸、過酸化水素水、水の混合液をエッチング液として、パターンニングされたSiNx膜をエッチングマスクとして、上部DBR17、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層15、多重量子井戸活性層14、及びノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層13の上部をエッチングして、円筒状溝19を形成する。これにより、柱状のメサポスト構造20ができる。
【0045】
次に、400℃の水蒸気雰囲気中で約25分間の酸化処理を行い、p−Al0.95Ga0.05As層25a、p−AlAs膜26a、及びp−Al0.95Ga0.05As層27aをメサポスト構造20の側壁から中心に向かって選択的に酸化する。上記酸化処理により、図2に示すように、メサポスト構造20の溝壁に沿ってAl酸化領域25B、26B、27Bを生成すると共に、メサポスト構造20の中央領域を元のp−AlAs、又はp−Al0.95Ga0.05Asのままに残し、夫々非酸化領域25A、26A、27Aとして形成する。
【0046】
この際、p−AlAs層26aは、p−Al0.95Ga0.05As層25a、27aよりAl組成が大きいため酸化速度が速く、p−Al0.95Ga0.05As層25a、27aよりメサポスト構造20の内側まで酸化され、中央の直径約10μmの円形領域を非酸化領域26Aとして残す。
【0047】
一方、p−Al0.95Ga0.05As層25a、27aは夫々膜厚40nmで成膜され、p−AlAs層26aの膜厚20nmと比べて十分大きい膜厚を有する。このため、p−Al0.95Ga0.05As層25a、27aは、p−AlAs層26aと比べて酸化速度は遅いものの十分大きな酸化速度を有し、メサポスト構造20の内側に向かって、p−AlAs層26aが酸化される位置に近い位置まで酸化される。
【0048】
次いで、SiNx膜をRIE法により完全に除去した後に、改めて、プラズマCVD法によってSiNx膜21を全面に成膜する。メサポスト構造20の上面のSiNx膜21を直径25μmの円形に除去し、そこにp側電極22として内径が20μmで外径が25μmのリング状のAuZn電極を形成する。
【0049】
更に、p側電極の引き出し用電極23としてTi/Pt/Auパッドを、p側電極22上及びその周辺のSiNx膜21上に形成する。また、n−GaAs基板11の裏面を研磨して基板厚さを200μm程度に調整した後、裏面にAuGeNi電極を蒸着してn側電極24とする。最後に、窒素雰囲気中で約400℃でアニール処理を施すことにより面発光型半導体レーザ素子10を完成することができる。
【0050】
本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10の性能を評価するために、面発光型半導体レーザ素子10を試作し、種々の測定を行った。レーザ素子の容量値は1.35pFであり、信号強度が半分に低下する周波数f−3dBは、図5に示すように、22GHzであった。また、レーザ素子の信頼性を調べるために、素子を長時間通電した際の規格化光出力を調べたところ、図6に示すように、85℃で15mAの動作条件下における10000時間の通電で、規格化光出力はほぼ一定の値を保った。よって、本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10は、レーザ素子の容量値、周波数f−3dB及び素子の信頼性について、良好な結果が得られたものと評価できる。
【0051】
比較例
実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10との比較を行うために、従来の面発光型半導体レーザ素子の一例を比較例のレーザ素子として試作した。比較例の面発光型半導体レーザ素子(図示なし)は、発振波長が1300nmの酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子であって、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10とは、以下の点を除いて同様の構成をしている。
【0052】
即ち、上部DBR17を構成する多層膜のうち、多重量子井戸活性層14に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、膜厚40nmのp−Al0.9Ga0.1As層、膜厚20nmの電流狭窄層、及び膜厚40nmのp−Al0.9Ga0.1As膜が順次に積層された構成を有する。電流狭窄層は、p−AlAs層の一部領域が選択的に酸化されることにより形成され、円筒状溝に接する環状のAl酸化領域と、内側の直径10μmの円形の非酸化領域からなる。
【0053】
従って、比較例の面発光型半導体レーザ素子の製造に当たっては、実施形態例の上部DBR17を形成する工程において、上部DBR17のうち多重量子井戸活性層14に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、膜厚40nmのp−Al0.9Ga0.1As層、膜厚20nmのp−AlAs層、及び膜厚40nmのp−Al0.9Ga0.1As層を順次に成長させることを除いては、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10と同様の製造方法により製造することができる。
【0054】
このような、比較例の面発光型半導体レーザ素子を試作し、実施形態例と同様の測定を行ったところ、まず、素子の容量値は2.2pFであり、信号強度が半分に低下する周波数f−3dBは、図5に示すように、10GHzであった。また、素子を長時間通電した際の規格化光出力を調べたところ、図6に示すように、85℃で15mAの動作条件下における10000時間の通電で、規格化光出力はほぼ一定の値を保った。
【0055】
上述の実施形態例及び比較例の試験結果より、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10は、比較例の面発光型半導体レーザ素子と比較して、レーザ素子の容量値、及び周波数f−3dBの値について良好な値が得られ、これにより、レーザ素子の寄生容量が小さくなっているものと評価できる。また、レーザ素子の信頼性について、比較例の面発光型半導体レーザ素子と同様の良好な結果が得られ、これにより、本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10は、レーザ素子の歪及びレーザ光の散乱損失が抑制されているものと評価できる。
【0056】
長距離光ファイバ通信系に使用される1.3μm帯や1.55μm帯の長波長のレーザ素子では、発振波長λの増加に伴いλ/4nVが大きくなるが、本発明を適用することにより、上記境界部におけるレーザ光の接触面積を効果的に低減し、レーザ光の散乱損失を抑制することができる。また、シングルモード伝送に対応した、狭い非酸化領域を備えた面発光型半導体レーザ素子では、レーザ光の散乱損失の光学特性への影響度が大きいが、本発明を適用することにより、光学特性への影響を抑制することができる。
【0057】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の面発光型半導体レーザ素子は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施した面発光型半導体レーザ素子も、本発明の範囲に含まれる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、電流狭窄層について、膜厚方向の中央部でAl組成を最も高く形成し、或いは、上面のAl組成を最も高く形成し、或いは、下面のAl組成を最も高く形成したことにより、メサポスト構造の内側でAl酸化領域の厚さが小さくなるため、この領域における酸化収縮を低減し、電流が流れる経路の近傍における歪を抑制でき、且つ、非酸化領域とAl酸化領域との境界部におけるレーザ光の接触面積を小さくし、レーザ光の散乱損失を抑制することができる。
【0059】
また、これらの構成により、Al酸化領域の膜厚が小さくなる領域をメサポスト構造の内側の狭い領域に限定したことにより、寄生容量を小さくすることができる。このため、信頼性が高く、且つ動作特性に優れた酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子を実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す斜視断面図である。
【図2】図2は、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の電流狭窄構造の層構造を示す断面図である。
【図3】図3は、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の製造方法に係わる一製造工程段階を示す断面図である。
【図4】図4は、従来の面発光型半導体レーザ素子の断面図である。
【図5】図5は、実施形態例及び比較例の面発光型半導体レーザ素子の周波数特性を示すグラフである。
【図6】図6は、実施形態例及び比較例の面発光型半導体レーザ素子の信頼性試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 実施形態例の面発光型半導体レーザ素子
11 n−GaAs基板
12 n型多層膜からなる下部DBR
13 ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層
14 多重量子井戸活性層
15 ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層
16 電流狭窄構造
16A 非酸化領域
16B Al酸化領域
17 p型多層膜からなる上部DBR
18 p−GaAsキャップ層
19 円筒状溝
20 メサポスト構造
21 SiNx膜
22 p側電極
23 p側電極の引き出し用電極
24 n側電極
25 第1の電流狭窄層
25A 非酸化領域
25B Al酸化領域
25a p−Al0.95Ga0.05As層
26 第2の電流狭窄層
26A 非酸化領域
26B Al酸化領域
26a p−AlAs層
27 第3の電流狭窄層
27A 非酸化領域
27B Al酸化領域
27a p−Al0.95Ga0.05As層
30 従来の面発光型半導体レーザ素子
31 n−GaAs基板
32 n型多層膜からなる下部DBR
33 ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層
34 GaAs量子井戸活性層
35 ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層
36 電流狭窄層
37 p型多層膜からなる上部DBR
38 p−GaAsキャップ層
39 円筒状溝
40 メサポスト構造
41 SiNx膜
42 p側電極
43 p側電極の引き出し用電極
44 n側電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子に関し、特に、レーザ素子の信頼性に影響を与える歪や、レーザ光の散乱損失が抑制され、且つ寄生容量が小さい酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
面発光型半導体レーザ素子では、電流効率を高め、しきい値電流を下げるために、活性層に注入される電流の領域を限定する電流狭窄構造が採用されている。電流狭窄構造には、イオン打込みによるものと、活性層の近傍に形成されたAl(Ga)As層のAlを選択的に酸化させた酸化狭窄型とがあるが、酸化狭窄型は、イオン打込みによるものに比べて高速なレーザ動作に適し、光通信分野において主流になりつつある。
【0003】
ここで、従来の酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子の一例を説明する。図4は本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す斜視断面図である。面発光型半導体レーザ素子30は、n−GaAs基板31上に、順次に形成された、下部半導体多層膜反射鏡(下部DBR)32、ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層33、GaAs量子井戸活性層34、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層35、上部半導体多層膜反射鏡(上部DBR)37、及びp−GaAsキャップ層38の積層構造を備えている。
【0004】
下部DBR32は、各層の膜厚がλ/4n(λ:発振波長、n:屈折率)のn−GaAs膜とn−Al0.9Ga0.1As膜の35ペアが積層された多層膜によって構成され、上部DBR37は、各層の膜厚がλ/4nのp−GaAs膜とp−Al0.9Ga0.1As膜の25ペアが積層された多層膜によって構成されている。
【0005】
積層構造のうち、p−GaAsキャップ層38、上部DBR37、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層35、GaAs量子井戸活性層34、ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層33、及び下部DBR32の上部は、円筒状溝39により、直径40〜45μmのメサポスト構造40として形成されている。
【0006】
上部DBR37を構成する多層膜のうち、量子井戸活性層34に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、p−AlAs層の一部領域が選択的に酸化された電流狭窄層36が形成されている。電流狭窄層36は、p−AlAs層のAlが酸化された、円筒状溝39に接する環状のAl酸化領域36Bが電流狭窄領域を成し、Alが酸化されずに残った、内側の直径約15〜20μmの円形の非酸化領域36Aが電流注入領域を成す。
【0007】
円形状溝39の溝壁、及びメサポスト構造40上を含めて、全面にSiNx膜41が成膜されている。メサポスト構造40上面のSiNx膜41は、直径30μmの円形部分が除去されて、p−GaAsキャップ層38を露出させている。そこには、内径が20μmで外径が30μmのリング状のAuZn金属膜がp側電極42として形成されている。
【0008】
更に、p側電極42及びその周辺のSiNx膜41を覆って接続したTi/Pt/Au積層金属パッドが、p側電極42の引出し用電極43として形成されている。p側電極42の引き出し用電極43は、中央に円形開口を有する。また、n−GaAs基板31の裏面には、AuGeNi金属膜がn側電極44として形成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子では、Al酸化領域で半導体結晶が酸化する際にその膜厚に応じた体積で収縮するため、Al酸化領域の近傍に歪が生じる。上記歪のうち電流が流れる経路の近傍のものは、レーザ素子の通電中に、電流が流れる経路に結晶欠陥を増殖させ、レーザ素子の信頼性に影響を与えるという問題がある。
【0010】
また、酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子では、レーザ光を通過させる非酸化領域とレーザ光を遮断するAl酸化領域との境界部が、λ/4nの厚みを有するレーザ光との接触面となり、上記境界面でレーザ光の散乱損失が発生するという問題もある。このため、上記歪やレーザ光の散乱損失を抑制するためには、電流狭窄層の膜厚を小さくすることが望ましい。
【0011】
しかし、Al酸化領域は上下を誘電体に挟まれた絶縁体であるため、Al酸化領域は、同領域の面積と厚さに応じた静電容量、即ち寄生容量を持つ。Al酸化領域の寄生容量は、εを同領域の誘電率、Sを同領域の面積、dを同領域の厚さとすると、式C=εS/dで表されるため、単純に電流狭窄層の厚さdを小さくしようとすると、寄生容量の増大をもたらし、レーザ素子の動的特性が低下する。
【0012】
そこで、本発明の目的は、レーザ素子の信頼性に影響を与える歪や、レーザ光の散乱損失が抑制され、且つ寄生容量が小さい酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の問題を解決するために、電流狭窄層のAl酸化領域が、メサポスト構造の内側に行くほど厚さが小さくなる形状として形成することにより、上記目的を達成するレーザ素子を実現することを着想し、種々の実験の末、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、上記目的を達成する本発明の第1発明に係る面発光型半導体レーザ素子は、基板と、該基板上に設けられ夫々が低屈折率層及び高屈折率層から成るペア層を複数形成した上部及び下部半導体多層膜反射鏡と、該半導体多層膜反射鏡の間に配設された活性層と、前記上部半導体多層膜反射鏡中に設けられた、Alを含む半導体層の一部領域(Al酸化領域)を選択的に酸化してなる電流狭窄層とを有し、電流注入により前記基板と垂直にレーザ光を放射する面発光型半導体レーザ素子において、
前記Alを含む半導体層は、膜厚方向の中央部でAl組成が最も高いことを特徴としている。
【0015】
Alを含む半導体層が、膜厚方向の中央部でAl組成が最も高いことにより、Alを含む半導体層は一般的にAl組成が大きいほど酸化速度が速いため、メサポスト構造の内側に行くほどAl酸化領域の厚さが小さくなり、膜厚方向の中央部で突出した形状として形成することができる。
【0016】
上記形状では、メサポスト構造の内側でAl酸化領域の厚さが小さくなるため、この領域の酸化による収縮を低減し、レーザ素子の信頼性に影響を与える、電流が流れる経路の近傍における歪を抑制できる。また、非酸化領域とAl酸化領域との境界部におけるレーザ光の接触面積を小さくし、レーザ光の散乱損失を抑制することができる。更に、上記構成により、Al酸化領域の膜厚が小さくなる領域をメサポスト構造の内側の狭い領域に限定し、寄生容量を小さくすることができる。
【0017】
第1発明は好適には、前記Alを含む半導体層は、上面及び下面から膜厚方向の中央部に向かって単調にAl組成が増加する。上記構成により、Al酸化領域を、メサポスト構造の内側向きのテーパ形状に形成し、より良好な上述の効果を得ることができる。
【0018】
第1発明の好ましい例では、前記Alを含む半導体層が、相互に隣接する複数のAlxGa1−xAs層から成り、活性層に近いAlxGa1−xAs層から順次に、Al組成をx1,x2,x3,・・・,xm,・・・,xn、膜厚をd1,d2,d3,・・・,dm,・・・,dnとすると、
x1<x2<x3<・・・<xm>・・・>xn、且つ、
d1>d2>d3>・・・>dm<・・・<dn
が成立する。
【0019】
AlxGa1−xAs層は、作製の際に、Al組成xを小さくすると酸化速度が急激に小さくなり、実用的な酸化速度が得られない。一方、AlxGa1−xAs層の膜厚dmは、大きいほど酸化速度が大きくなる。このため、上記の式のようにAl組成xmの小さい膜ほど、膜厚dmを大きくすることにより、AlxGa1−xAs層を酸化して電流狭窄層を形成する工程の際に、実用的な酸化速度を得ることができる。
【0020】
また、本発明の第2発明に係る面発光型半導体レーザ素子は、基板と、該基板上に設けられ夫々が低屈折率層及び高屈折率層から成るペア層を複数形成した上部及び下部半導体多層膜反射鏡と、該半導体多層膜反射鏡の間に配設された活性層と、前記上部半導体多層膜反射鏡中に設けられた、Alを含む半導体層の一部領域を選択的に酸化してなる電流狭窄層とを有し、電流注入により前記基板と垂直にレーザ光を放射する面発光型半導体レーザ素子において、
前記Alを含む半導体層は、上面のAl組成が最も高いことを特徴としている。
【0021】
第2発明では、Alを含む半導体層が、上面のAl組成が最も高いことにより、メサポスト構造の内側に行くほどAl酸化領域の厚さが小さくなり、上面で突出した形状として形成することができ、第1発明と同様の効果を得ることができる。
【0022】
第2発明は好適には、前記Alを含む半導体層は、下面から上面に向かって単調にAl組成が増加する。第2発明の好ましい例では、前記Alを含む半導体層が、相互に隣接する複数のAlxGa1−xAs層から成り、活性層に近いAlxGa1−xAs層から順次に、Al組成をx1,x2,x3,・・・,xm,・・・,xn、膜厚をd1,d2,d3,・・・,dm,・・・,dnとすると、
x1<x2<x3<・・・<xm<・・・<xn、且つ、
d1>d2>d3>・・・>dm>・・・>dn
が成立する。第1発明と同様の効果が得られる。
【0023】
更に、本発明の第3発明に係る面発光型半導体レーザ素子は、基板と、該基板上に設けられ夫々が低屈折率層及び高屈折率層から成るペア層を複数形成した上部及び下部半導体多層膜反射鏡と、該半導体多層膜反射鏡の間に配設された活性層と、前記上部半導体多層膜反射鏡中に設けられた、Alを含む半導体層の一部領域を選択的に酸化してなる電流狭窄層とを有し、電流注入により前記基板と垂直にレーザ光を放射する面発光型半導体レーザ素子において、
前記Alを含む半導体層は、下面のAl組成が最も高いことを特徴としている。
【0024】
第3発明では、Alを含む半導体層が、下面のAl組成が最も高いことにより、メサポスト構造の内側に行くほどAl酸化領域の厚さが小さくなり、下面で突出した形状として形成することができ、第1発明と同様の効果を得ることができる。
【0025】
第3発明は好適には、前記Alを含む半導体層が、上面から下面に向かって単調にAl組成が増加する。第3発明の好ましい例では、前記Alを含む半導体層が、相互に隣接する複数のAlxGa1−xAs層から成り、活性層に近いAlxGa1−xAs層から順次に、Al組成をx1,x2,x3,・・・,xm,・・・,xn、膜厚をd1,d2,d3,・・・,dm,・・・,dnとすると、
x1>x2>x3>・・・>xm>・・・>xn、且つ、
d1<d2<d3<・・・<dm<・・・<dn
が成立する。第1発明と同様の効果が得られる。
【0026】
第1〜第3発明では、xLを前記半導体多層膜反射鏡中の低屈折率層のAl組成比率とすると、
x1>xL、xn>xL
が成立する。また、第1〜第3発明では、発振波長をλ、半導体層の屈折率をnvとすると、
d1+d2+d3+・・・+dm+・・・+dn=λ/4nV
が成立する。
【0027】
第1〜第3発明は、レーザ光の散乱損失が比較的大きい、発振波長が1.3μm〜1.6μmの範囲にある面発光型半導体レーザ素子に適用することにより、レーザ光の散乱損失を効果的に抑制し、良好な効果を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照し、実施形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。
実施形態例
図1は、第1発明に係わる実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す斜視断面図で、図2は図1の電流狭窄構造を更に詳細に示す断面図である。
【0029】
面発光型半導体レーザ素子10は、発振波長が1300nmの酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子であって、図1に示すように、膜厚200μm程度のn−GaAs基板11上に、順次に形成された、下部DBR12、ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層13、多重量子井戸活性層14、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層15、上部DBR17、及びp−GaAsキャップ層18の積層構造を備えている。
【0030】
下部DBR12は、各層の膜厚がλ/4nVのn−GaAs膜とn−Al0.9Ga0.1As膜の35ペアが積層された多層膜によって構成され、上部DBR17は、各層の膜厚がλ/4nV(λ:発振波長、nV:屈折率)のp−GaAs膜とp−Al0.9Ga0.1As膜の25ペアが積層された多層膜によって構成されている。また、多重量子井戸活性層14は、3層の膜厚7nmのGaAs井戸層と、GaAs井戸層の間に形成された膜厚20nmのGa0.67In0.33N0.007As0.993障壁層とから構成されている。
【0031】
積層構造のうち、p−GaAsキャップ層18、上部DBR17、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層15、多重量子井戸活性層14、ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層13、及び下部DBR12の上部は、円筒状溝19により、直径45μmのメサポスト構造20として形成されている。
【0032】
上部DBR17を構成する多層膜のうち、多重量子井戸活性層14に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、図2に示すように、p−Al0.95Ga0.05As層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚40nmの第1の電流狭窄層25、p−AlAs層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚20nmの第2の電流狭窄層26、及びp−Al0.95Ga0.05As層の一部領域を選択的に酸化した、膜厚40nmの第3の電流狭窄層27が、順次に積層されている。
【0033】
第1〜第3の電流狭窄層25、26、27は、夫々、円筒状溝19に接する環状のAl酸化領域25B、26B、27Bが電流狭窄領域を成し、電流狭窄構造16のAl酸化領域16Bを構成する。一方、内側の円形の非酸化領域25A、26A、27Aが電流注入領域を成し、電流狭窄構造16の非酸化領域16Aを構成する。
【0034】
また、Al酸化領域16Bは、Al酸化領域26Bが内側に突出したテーパ状で、非酸化領域26Aの直径が10μmになるように形成されている。非酸化領域25A、27Aは、直径13μmで、非酸化領域26Aより僅かに広く形成されている。電流狭窄構造16は、上記構成により、多重量子井戸活性層14に注入される電流の領域を限定する。
【0035】
電流狭窄構造16は、Al酸化領域16Bの断面が上記テーパ状に形成されることにより、テーパ状の先端部のAl酸化領域16B(26B)の酸化による収縮を低減し、電流が流れる経路の近傍における歪を抑制することができる。また、レーザ光との接触面積が、非酸化領域26AとAl酸化領域26Bとの狭い境界部に限られるため、レーザ光の散乱損失を抑制することができる。更に、Al酸化領域16Bの膜厚が小さくなるのは、メサポスト構造20の内側の狭い領域に限られ、これ以外の領域ではAl酸化領域16Bは十分大きな膜厚を有するため、寄生容量を小さくすることができる。
【0036】
円形状溝19の溝壁、及びメサポスト構造20上を含めて、全面にSiNx膜21が成膜されている。メサポスト構造20上面のSiNx膜21は、直径25μmの円形部分が除去されて、p−GaAsキャップ層18を露出させている。そこには、内径が20μmで外径が25μmのリング状のAuZn金属膜がp側電極22として形成されている。
【0037】
更に、p側電極22及びその周辺のSiNx膜21を覆って接続したTi/Pt/Au積層金属パッドが、p側電極22の引出し用電極23として形成されている。p側電極22の引出し用電極23は、中央に円形開口を有する。また、n−GaAs基板11の裏面には、AuGeNi金属膜がn側電極24として形成されている。
【0038】
面発光型半導体レーザ素子10は、上記構成により、電流狭窄構造16による歪やレーザ光の散乱損失が抑制され、且つ寄生容量が小さい面発光型半導体レーザ素子を実現している。
【0039】
次に、本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10の製造方法を説明する。図3は、本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の製造方法に係わる一製造工程段階を示す断面図である。先ず、有機金属気相成長法(MOCVD法)により、図1に示すように、n−GaAs基板11上に、各層の膜厚がλ/4nVのn−GaAs膜とn−Al0.9Ga0.1As膜の35ペアからなる多層膜を成長させて下部DBR12を形成する。
【0040】
次いで、下部DBR12上に、ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層13、多重量子井戸活性層14、及びノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層15を成長させる。多重量子井戸活性層14は、3層の膜厚7nmのGaAs井戸層と、GaAs井戸層の間に形成された膜厚20nmのGa0.67In0.33N0.007As0.993障壁層により形成する。
【0041】
更に、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層15上に、各層の厚さがλ/4nVのp−GaAs膜とp−Al0.9Ga0.1As膜の25ペアからなる多層膜を成長させて上部DBR17を形成する。
【0042】
上部DBR17のうち多重量子井戸活性層14に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、図3に示すように、膜厚40nmのp−Al0.95Ga0.05As膜25a、膜厚20nmのp−AlAs膜26a、及び膜厚40nmのp−Al0.95Ga0.05As膜27aを順次に成長させる。続いて、上部DBR17上に膜厚10nmのp−GaAsキャップ層18を成長させる。
【0043】
次に、p−GaAsキャップ層18上にプラズマCVD法によりSiNx膜(図示せず)を成膜し、更にその上にフォトレジスト膜(図示せず)を成膜する。次いで、直径約45μmの円形パターンをフォトリソグラフィ技術でフォトレジスト膜に転写し、円形レジスト・エッチングマスク(図示せず)を形成する。
【0044】
続いて、円形レジスト・エッチングマスクを用い、CF4ガスをエッチングガスとする反応性イオンエッチング(RIE)法によりSiNx膜をエッチングする。更に、リン酸、過酸化水素水、水の混合液をエッチング液として、パターンニングされたSiNx膜をエッチングマスクとして、上部DBR17、ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層15、多重量子井戸活性層14、及びノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層13の上部をエッチングして、円筒状溝19を形成する。これにより、柱状のメサポスト構造20ができる。
【0045】
次に、400℃の水蒸気雰囲気中で約25分間の酸化処理を行い、p−Al0.95Ga0.05As層25a、p−AlAs膜26a、及びp−Al0.95Ga0.05As層27aをメサポスト構造20の側壁から中心に向かって選択的に酸化する。上記酸化処理により、図2に示すように、メサポスト構造20の溝壁に沿ってAl酸化領域25B、26B、27Bを生成すると共に、メサポスト構造20の中央領域を元のp−AlAs、又はp−Al0.95Ga0.05Asのままに残し、夫々非酸化領域25A、26A、27Aとして形成する。
【0046】
この際、p−AlAs層26aは、p−Al0.95Ga0.05As層25a、27aよりAl組成が大きいため酸化速度が速く、p−Al0.95Ga0.05As層25a、27aよりメサポスト構造20の内側まで酸化され、中央の直径約10μmの円形領域を非酸化領域26Aとして残す。
【0047】
一方、p−Al0.95Ga0.05As層25a、27aは夫々膜厚40nmで成膜され、p−AlAs層26aの膜厚20nmと比べて十分大きい膜厚を有する。このため、p−Al0.95Ga0.05As層25a、27aは、p−AlAs層26aと比べて酸化速度は遅いものの十分大きな酸化速度を有し、メサポスト構造20の内側に向かって、p−AlAs層26aが酸化される位置に近い位置まで酸化される。
【0048】
次いで、SiNx膜をRIE法により完全に除去した後に、改めて、プラズマCVD法によってSiNx膜21を全面に成膜する。メサポスト構造20の上面のSiNx膜21を直径25μmの円形に除去し、そこにp側電極22として内径が20μmで外径が25μmのリング状のAuZn電極を形成する。
【0049】
更に、p側電極の引き出し用電極23としてTi/Pt/Auパッドを、p側電極22上及びその周辺のSiNx膜21上に形成する。また、n−GaAs基板11の裏面を研磨して基板厚さを200μm程度に調整した後、裏面にAuGeNi電極を蒸着してn側電極24とする。最後に、窒素雰囲気中で約400℃でアニール処理を施すことにより面発光型半導体レーザ素子10を完成することができる。
【0050】
本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10の性能を評価するために、面発光型半導体レーザ素子10を試作し、種々の測定を行った。レーザ素子の容量値は1.35pFであり、信号強度が半分に低下する周波数f−3dBは、図5に示すように、22GHzであった。また、レーザ素子の信頼性を調べるために、素子を長時間通電した際の規格化光出力を調べたところ、図6に示すように、85℃で15mAの動作条件下における10000時間の通電で、規格化光出力はほぼ一定の値を保った。よって、本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10は、レーザ素子の容量値、周波数f−3dB及び素子の信頼性について、良好な結果が得られたものと評価できる。
【0051】
比較例
実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10との比較を行うために、従来の面発光型半導体レーザ素子の一例を比較例のレーザ素子として試作した。比較例の面発光型半導体レーザ素子(図示なし)は、発振波長が1300nmの酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子であって、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10とは、以下の点を除いて同様の構成をしている。
【0052】
即ち、上部DBR17を構成する多層膜のうち、多重量子井戸活性層14に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、膜厚40nmのp−Al0.9Ga0.1As層、膜厚20nmの電流狭窄層、及び膜厚40nmのp−Al0.9Ga0.1As膜が順次に積層された構成を有する。電流狭窄層は、p−AlAs層の一部領域が選択的に酸化されることにより形成され、円筒状溝に接する環状のAl酸化領域と、内側の直径10μmの円形の非酸化領域からなる。
【0053】
従って、比較例の面発光型半導体レーザ素子の製造に当たっては、実施形態例の上部DBR17を形成する工程において、上部DBR17のうち多重量子井戸活性層14に最も近い層は、p−Al0.9Ga0.1As膜に代えて、膜厚40nmのp−Al0.9Ga0.1As層、膜厚20nmのp−AlAs層、及び膜厚40nmのp−Al0.9Ga0.1As層を順次に成長させることを除いては、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10と同様の製造方法により製造することができる。
【0054】
このような、比較例の面発光型半導体レーザ素子を試作し、実施形態例と同様の測定を行ったところ、まず、素子の容量値は2.2pFであり、信号強度が半分に低下する周波数f−3dBは、図5に示すように、10GHzであった。また、素子を長時間通電した際の規格化光出力を調べたところ、図6に示すように、85℃で15mAの動作条件下における10000時間の通電で、規格化光出力はほぼ一定の値を保った。
【0055】
上述の実施形態例及び比較例の試験結果より、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10は、比較例の面発光型半導体レーザ素子と比較して、レーザ素子の容量値、及び周波数f−3dBの値について良好な値が得られ、これにより、レーザ素子の寄生容量が小さくなっているものと評価できる。また、レーザ素子の信頼性について、比較例の面発光型半導体レーザ素子と同様の良好な結果が得られ、これにより、本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10は、レーザ素子の歪及びレーザ光の散乱損失が抑制されているものと評価できる。
【0056】
長距離光ファイバ通信系に使用される1.3μm帯や1.55μm帯の長波長のレーザ素子では、発振波長λの増加に伴いλ/4nVが大きくなるが、本発明を適用することにより、上記境界部におけるレーザ光の接触面積を効果的に低減し、レーザ光の散乱損失を抑制することができる。また、シングルモード伝送に対応した、狭い非酸化領域を備えた面発光型半導体レーザ素子では、レーザ光の散乱損失の光学特性への影響度が大きいが、本発明を適用することにより、光学特性への影響を抑制することができる。
【0057】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の面発光型半導体レーザ素子は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施した面発光型半導体レーザ素子も、本発明の範囲に含まれる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、電流狭窄層について、膜厚方向の中央部でAl組成を最も高く形成し、或いは、上面のAl組成を最も高く形成し、或いは、下面のAl組成を最も高く形成したことにより、メサポスト構造の内側でAl酸化領域の厚さが小さくなるため、この領域における酸化収縮を低減し、電流が流れる経路の近傍における歪を抑制でき、且つ、非酸化領域とAl酸化領域との境界部におけるレーザ光の接触面積を小さくし、レーザ光の散乱損失を抑制することができる。
【0059】
また、これらの構成により、Al酸化領域の膜厚が小さくなる領域をメサポスト構造の内側の狭い領域に限定したことにより、寄生容量を小さくすることができる。このため、信頼性が高く、且つ動作特性に優れた酸化狭窄型の面発光型半導体レーザ素子を実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す斜視断面図である。
【図2】図2は、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の電流狭窄構造の層構造を示す断面図である。
【図3】図3は、実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の製造方法に係わる一製造工程段階を示す断面図である。
【図4】図4は、従来の面発光型半導体レーザ素子の断面図である。
【図5】図5は、実施形態例及び比較例の面発光型半導体レーザ素子の周波数特性を示すグラフである。
【図6】図6は、実施形態例及び比較例の面発光型半導体レーザ素子の信頼性試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 実施形態例の面発光型半導体レーザ素子
11 n−GaAs基板
12 n型多層膜からなる下部DBR
13 ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層
14 多重量子井戸活性層
15 ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層
16 電流狭窄構造
16A 非酸化領域
16B Al酸化領域
17 p型多層膜からなる上部DBR
18 p−GaAsキャップ層
19 円筒状溝
20 メサポスト構造
21 SiNx膜
22 p側電極
23 p側電極の引き出し用電極
24 n側電極
25 第1の電流狭窄層
25A 非酸化領域
25B Al酸化領域
25a p−Al0.95Ga0.05As層
26 第2の電流狭窄層
26A 非酸化領域
26B Al酸化領域
26a p−AlAs層
27 第3の電流狭窄層
27A 非酸化領域
27B Al酸化領域
27a p−Al0.95Ga0.05As層
30 従来の面発光型半導体レーザ素子
31 n−GaAs基板
32 n型多層膜からなる下部DBR
33 ノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド層
34 GaAs量子井戸活性層
35 ノンドープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層
36 電流狭窄層
37 p型多層膜からなる上部DBR
38 p−GaAsキャップ層
39 円筒状溝
40 メサポスト構造
41 SiNx膜
42 p側電極
43 p側電極の引き出し用電極
44 n側電極
Claims (12)
- 基板と、該基板上に設けられ夫々が低屈折率層及び高屈折率層から成るペア層を複数形成した上部及び下部半導体多層膜反射鏡と、該半導体多層膜反射鏡の間に配設された活性層と、前記上部半導体多層膜反射鏡中に設けられた、Alを含む半導体層の一部領域を選択的に酸化してなる電流狭窄層とを有し、電流注入により前記基板と垂直にレーザ光を放射する面発光型半導体レーザ素子において、
前記Alを含む半導体層は、膜厚方向の中央部でAl組成が最も高いことを特徴とする面発光型半導体レーザ素子。 - 前記Alを含む半導体層は、上面及び下面から膜厚方向の中央部に向かって単調にAl組成が増加する、請求項1に記載の面発光型半導体レーザ素子。
- 前記Alを含む半導体層が、相互に隣接する複数のAlxGa1−xAs層から成り、活性層に近いAlxGa1−xAs層から順次に、Al組成をx1,x2,x3,・・・,xm,・・・,xn、膜厚をd1,d2,d3,・・・,dm,・・・,dnとすると、
x1<x2<x3<・・・<xm>・・・>xn、且つ、
d1>d2>d3>・・・>dm<・・・<dn
が成立する、請求項2に記載の面発光型半導体レーザ素子。 - 基板と、該基板上に設けられ夫々が低屈折率層及び高屈折率層から成るペア層を複数形成した上部及び下部半導体多層膜反射鏡と、該半導体多層膜反射鏡の間に配設された活性層と、前記上部半導体多層膜反射鏡中に設けられた、Alを含む半導体層の一部領域を選択的に酸化してなる電流狭窄層とを有し、電流注入により前記基板と垂直にレーザ光を放射する面発光型半導体レーザ素子において、
前記Alを含む半導体層は、上面のAl組成が最も高いことを特徴とする面発光型半導体レーザ素子。 - 前記Alを含む半導体層は、下面から上面に向かって単調にAl組成が増加する、請求項4に記載の面発光型半導体レーザ素子。
- 前記Alを含む半導体層が、相互に隣接する複数のAlxGa1−xAs層から成り、活性層に近いAlxGa1−xAs層から順次に、Al組成をx1,x2,x3,・・・,xm,・・・,xn、膜厚をd1,d2,d3,・・・,dm,・・・,dnとすると、
x1<x2<x3<・・・<xm<・・・<xn、且つ、
d1>d2>d3>・・・>dm>・・・>dn
が成立する、請求項5に記載の面発光型半導体レーザ素子。 - 基板と、該基板上に設けられ夫々が低屈折率層及び高屈折率層から成るペア層を複数形成した上部及び下部半導体多層膜反射鏡と、該半導体多層膜反射鏡の間に配設された活性層と、前記上部半導体多層膜反射鏡中に設けられた、Alを含む半導体層の一部領域を選択的に酸化してなる電流狭窄層とを有し、電流注入により前記基板と垂直にレーザ光を放射する面発光型半導体レーザ素子において、
前記Alを含む半導体層は、下面のAl組成が最も高いことを特徴とする面発光型半導体レーザ素子。 - 前記Alを含む半導体層が、上面から下面に向かって単調にAl組成が増加する、請求項7に記載の面発光型半導体レーザ素子。
- 前記Alを含む半導体層が、相互に隣接する複数のAlxGa1−xAs層から成り、活性層に近いAlxGa1−xAs層から順次に、Al組成をx1,x2,x3,・・・,xm,・・・,xn、膜厚をd1,d2,d3,・・・,dm,・・・,dnとすると、
x1>x2>x3>・・・>xm>・・・>xn、且つ、
d1<d2<d3<・・・<dm<・・・<dn
が成立する、請求項8に記載の面発光型半導体レーザ素子。 - xLを前記半導体多層膜反射鏡中の低屈折率層のAl組成比率とすると、
x1>xL、xn>xL
が成立する、請求項3、6、9の何れかに記載の面発光型半導体レーザ素子。 - 発振波長をλ、半導体層の屈折率をnVとすると、
d1+d2+d3+・・・+dm+・・・+dn=λ/4nV
が成立する、請求項3、6、9、10の何れかに記載の面発光型半導体レーザ素子。 - 発振波長が、1.3μm〜1.6μmの範囲である、請求項1〜11の何れかに記載の面発光型半導体レーザ素子。
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