JP2004031828A - 多層プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁性基材に設けた貫通孔に導電性物質を充填してなるバイアホールを有し、そのバイアホールに電気的に接続される配線パターンを含んだ導体回路が形成されてなる回路基板が複数層に積層されてなる多層プリント配線板において、複数の回路基板の少なくとも1層には、その絶縁性基材の表面のうちバイアホールと電気接続されている導体回路が形成されていない領域に、ダミーパターンが形成されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多層プリント配線板に係り、更に詳しくは、多層プリント配線板を構成する片面回路基板または両面回路基板上に形成するIVH(インタースティシャルビアホール)や配線パターンの不均一な構造に起因する信頼性低下を防止する構造を有する多層プリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としては、特開平6−283866号、特開平10−13028号などがある。特開平6−283866号には、低線膨張性ポリイミド樹脂層の片面に回路を設けて、貫通孔に金属物質を充填されているプリント配線板が開示されている。特開平10−13028号には、絶縁性硬質基板に導電性ペーストが充填されたバイアホールを形成された回路基板について開示されている。それらの従来の多層プリント配線板は、図7(a)に示すように、絶縁性樹脂基材10の一面に導体回路12を形成し、その絶縁性樹脂基材10の他方の表面から導体回路12に達する通孔に導電性物質を充填してバイアホール14を形成してなる片面回路基板Aの複数枚を積層し、またはそのような片面回路基板の複数枚と両面回路基板とを積層して、加熱プレスによって一体化する方法で製造される。
従来のプリント配線板の表裏を貫通させるスルーホールを形成して、該スルーホールを介して内層回路との電気的な接続を行うものと比べると、層間接続の配設の自由度が増すので、層数を減らしたりすることが可能となり、高密度、小型化されたプリント配線板を得ることができるのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の多層プリント配線板を構成する片面回路基板A上には、絶縁性樹脂基材10を貫通する微細孔にめっきや導電性ペーストが充填されてなるバイアホール(IVH)14が形成されると共に、これらのバイアホールに電気的接続される導体パッドを含んだ所定の配線パターン12が形成されている。
これらの導体パッドやバイアホール間の距離や配列が均等でないため、各片面回路基板上への形成密度に差異が生じてしまう。そのために、片面回路基板の複数層を積層し、加熱プレスして多層化する際には、図7(a)、(b)において点線で示すような、導体パッドやバイアホールなどからなる配線パターンが形成されていない部分(以下、「配線パターン非形成領域」という)では、その面積または幅が大きくなっている領域においては、樹脂−樹脂間で接合が行なわれるので、樹脂−導体−樹脂間の接合が行なわれるような他の部分に較べて、強度が低下する惧れがあり、そのような領域では、図8に示すようなクラックなどを引き起こしてしまうという問題がある。
また、樹脂−樹脂間の接合が行なわれる領域では、樹脂−導体−樹脂間の接合が行なわれる部分に比べると、接合部に隙間が形成され易いために、その隙間内に空気が入り込み易く、そのような場合には、信頼性試験における高温高湿条件やヒートサイクル条件によって、入り込んだ空気が膨張し、その結果、図9に示すような外方に向かう応力が発生するために、層間絶縁層が膨らんで、その周辺の回路にも膨らみが伝達されてしまう。その結果、周辺回路の割れや断線などを引き起こして、電気接続性を低下させてしまうなどの不具合が生じることがある。
【0004】
さらに、積層された回路基板を加熱プレスする際に、上記配線パターン非形成領域に圧力が集中する結果、その領域の上層に設けた導体回路にもクラックや断線が生じることがあり、電気的接続性とその接続信頼性の低下を招いてしまうという問題もある。特に、多層プリント配線板の内層の片面回路板において、そのような不具合が発生しやすい。
【0005】
そこで、本発明は、上述したような従来技術が抱える問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、多層プリント配線板を構成する片面回路基板に設けたバイアホール間の距離や配列が均等でないことに起因する、加熱プレス時における強度低下を防止し、配線パターン非形成領域への圧力集中を防止することができ、電気接続性や接続信頼性に優れる多層プリント配線板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、以下に示す内容を要旨構成とする発明を完成させた。すなわち、
本発明の多層プリント配線板は、
絶縁性基材に設けた貫通孔に導電性物質を充填してなるバイアホールを有し、そのバイアホールに電気的に接続される配線パターンを含んだ導体回路が形成されてなる回路基板が複数層に積層されてなる多層プリント配線板において、
前記複数の回路基板の少なくとも1層には、その絶縁性基材の表面のうち前記バイアホールと電気接続されている導体回路が形成されていない領域に、ダミーパターンが形成されていることを特徴とする。
【0007】
そのようなダミーパターンは、積層される各回路基板上に形成されるバイアホールのサイズや位置、および配線パターンの形状やその配置を考慮して決定される、すなわち、バイアホール間の距離や配列が不均一であり、配線パターンの引き回しが非対称の場合であっても、配線パターンが形成されていないような絶縁性基材の特定の領域(空隙)にダミーパターンを形成することによって、複数層の片面回路基板を積層し、加熱プレスする際に、各基板に加わる圧力の均一化を図ることができるので、強度低下を招くことがなく、基板の反りや、クラック、割れ、断線等の発生を防止することができる。
【0008】
本発明にかかる多層プリント配線板において、ダミーパターンは、金属層から形成されていることが望ましい。
上記ダミーパターンを形成する金属としては、銅、銅合金、ニッケル、スズ、貴金属、半田から選ばれる少なくとも一種の金属から形成されるのが望ましく、特に、導体回路を形成する金属と同一の金属から形成されることが好ましい。その理由としては、配線パターンの形成と同時に形成できるので強度的にもほぼ同一となり、整合性の確保が容易となるからである。
【0009】
また、上記ダミーパターンは、図1(a)および図2(a)に例示するように、必要とされる領域のすべてに亘って形成するか、あるいは図1(b)および図2(b)に例示するように、分割して形成するか、あるいは図2(c)に例示されるように、必要とされる領域の外周部分にのみ枠状に形成されてもよい。
必要に応じては片面だけでなく、両面に形成することもでき、その場合でも、図1および図2に例示するようなパターン形成が望ましい。
【0010】
上記ダミーパターンは、円形または楕円形に形成されることが望ましい。その理由としては、角部が形成されないので、そのような角部を基点として発生しやすい応力の影響がないからである。
【0011】
また上記ダミーパターンは、電気接続されている導体層間の空隙を埋めるべく形成されていることが望ましい。すなわち、各回路基板を板面上方からみたときに、配線パターンが形成されていない導体層領域があるが、そのような領域を埋めるべくダミーパターンを形成することにより、多層回路基板全体に亘って導体層が均一に形成されることになる。
【0012】
特に、各回路基板上に形成された配線パターンおよびダミーパターンを含めた導体回路を、垂直上方から下方に投影した場合に、それらの導体回路の重ね合った影の部分の面積が、回路基板の面積に対して70%以上の場合には、基板の反りを効果的に防止することができる。
【0013】
たとえば、図3(a)〜(d)に模式的に示すように、多層プリント配線板の第1層目の回路基板に形成された配線パターン101および102以外の部分、特に中央部に大きな配線パターン非形成領域が存在する場合(図3(a)参照)には、第2層目の回路基板に対して、第1層目の大きな配線パターン非形成領域に対応して、その中央部にダミーパターン202を形成すると共に、そのダミーパターン202の周辺に、配線パターン201や204を形成し((図3(b)参照)、さらに、第3層目の回路基板に対しては、第2層目の回路基板の配線パターン非形成領域にほぼ対応する部分に、配線パターン301および302を形成し((図3(c)参照)、第1層目〜第3層目の回路基板をそれぞれ垂直上方から下方に投影した場合に、それらの配線パターンおよびダミーパターンの影の重ね合った部分(((図3(d)参照)の面積が、回路基板の面積に対して70%以上となるように、各回路基板上に形成するダミーパターンのサイズや形状が決定されることが望ましい。
【0014】
本願発明において「ダミーパターン」とは、配線パターンに電気的に接続されていないパターンのことを意味しており、電気的に接続されている配線パターンの間に位置して、それらの配線パターンに囲まれた状態に形成されている。
【0015】
そして、ダミーパターンと配線パターンとの間隔は、70μm以上であることが望ましく、必要に応じて、導電性物質が充填されているが、電気的接続に寄与しないようなバイアホールを形成し、そのようなバイアホールに接続されるようにダミーパターンを形成してもよい。
【0016】
そのようなダミーパターンを形成することによって、基板の積層方向の強度を向上させることが可能となり、その場合、充電性物質はメッキ処理により形成されることが望ましい。基板の積層方向の強度、絶縁層内での横方向での強度の双方を確保できるからである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる多層プリント配線板は、絶縁性基材の少なくとも片面に導体回路が形成されるとともに、絶縁性基材を貫通して導体回路に達する開口内に導電性物質が充填されてなるバイアホールを有する回路基板を積層してなる多層プリント配線板において、その少なくとも1層の回路基板における配線パターンの引き回しによって形成された基板上の空隙、すなわち配線パターンが形成されていない領域の一部または全部に、電気的接続に寄与しないダミーパターンが形成されていることを特徴とする。
【0018】
上記回路基板を構成する絶縁性基材としては、有機系の絶縁性基材であれば使用でき、具体的には、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、ガラス布エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド基材、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂基材、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂基材、FR−4、FR−5から選ばれるリジッド(硬質)の積層基材、あるいは、ポリフェニレンエーテル(PPE)フィルム、ポリイミド(PI)などのフィルムからなるフレキシブル基材から選ばれる1種であることが望ましい。
【0019】
特に、完全に硬化した樹脂材料から形成される硬質の樹脂基材を用いることが望ましく、ガラス布エポキシ樹脂基材が最も好ましい。このような樹脂材料の採用によって、樹脂基材上に導体回路を形成するための金属箔を加熱プレスによって圧着させる際に、プレス圧による絶縁性基材の最終的な厚みの変動がなくなるので、ビアホールの位置ずれを最小限度に抑えて、ビアランド径を小さくできる。
したがって、配線ピッチを小さくして配線密度を向上させることができる。また、基材の厚みを実質的に一定に保つことができるので、後述するようなビアホール形成用の開口をレーザ加工によって形成する場合には、そのレーザ照射条件の設定が容易となる。
【0020】
また、熱可塑性樹脂、液晶ポリマーが含有された絶縁層を用いてもよい。それらの樹脂であれば同様の効果を得ることができる。
なお、本発明で用いられる樹脂は、350℃を越えると、その樹脂層が溶解、炭化してしまうような樹脂が用いられる。
【0021】
上記絶縁性基材の一方の表面に設けたバイアホールランドを含む配線パターン(導体回路)は、銅箔等の金属箔を適切な樹脂接着剤を介して絶縁性基材に貼り付け、所定の工程を経た後、適切なエッチング処理を施すことによって形成される。
【0022】
このような絶縁性基材上への銅箔の貼付に代えて、絶縁性基材上に予め銅箔が貼付けた片面銅張積層板を用いることもでき、その銅箔は密着性改善のために マット処理されていてもよい。片面銅張積層板を使用することが最も好ましい実施の形態である。
【0023】
上記片面銅張積層板は、エポキシ樹脂基材、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂をガラスクロスに含浸させてBステージとしたプリプレグと銅箔を積層して加熱加圧プレスすることにより得られる基板である。この片面銅張積層板は、リジッドな基板であり、扱いやすくコスト的にも最も有利である。また、絶縁性絶縁性樹脂基材の表面に、金属を蒸着した後、電解めっき処理を施して、金属層を形成することもできる。
【0024】
上記絶縁性樹脂基材の厚さは、10〜200μm、好ましくは15〜100μmであり、20〜80μmが最適である。これらの範囲より薄くなると強度が低下して取扱が難しくなり、逆に厚すぎると微細なバイアホールの形成および導電性材料による充填が難しくなるからである。
【0025】
一方、上記導体回路を形成する銅箔の厚さは、5〜36μm、好ましくは8〜30μmであり、12〜25μmがより好適である。その理由は、後述するようにバイアホール形成用開口孔をレーザ加工によって設ける際に、薄すぎると貫通してしまうからであり、逆に厚すぎるとエッチングにより、ファインパターンを形成し難いからである。
【0026】
バイアホール形成用開口は、絶縁性基材を貫通して銅箔に達する微細な開口であり、絶縁性基材の表面に予め光透過性の樹脂フィルムを粘着させ、その樹脂フィルム上からレーザ照射を行って形成されることが望ましい。
【0027】
上記レーザ照射によって開口が設けられた樹脂フィルムは、絶縁性基材の表面から銅箔に達する開口内に導電性ペーストを充填してバイアホールを形成する場合には、印刷用マスクとしての機能を果たすものである。
【0028】
上記樹脂フィルムは、たとえば、粘着剤層の厚みが1〜20μmであり、フィルム自体の厚みが10〜50μmであるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(以下、「PETフィルム」と言う)から形成されるのが好ましい。
【0029】
上記レーザ加工機としては、炭酸ガスレーザ加工機や、UVレーザ加工機、エキシマレーザ加工機等を使用できる。特に、炭酸ガスレーザ加工機は、加工速度が速く、安価に加工できるため工業的に用いるには最も適しており、本発明に最も望ましいレーザ加工機である。
【0030】
このような炭酸ガスレーザによって、上記範囲の厚さを有する絶縁性樹脂基材に形成される開口径は、50〜200μmの範囲であることが望ましく、その際のレーザ照射条件は、パルスエネルギーが0.5〜100mJ、パルス幅が1〜100μs、パルス間隔が0.5ms以上、ショット数が3〜50であることが望ましい。
【0031】
上記開口径に制限を設けた理由は、50μm未満では開口内に導電性ペーストを充填し難くなると共に、接続信頼性が低くなるからであり、200μmを超えると、高密度化が困難になるからである。
【0032】
上記開口内に導電性物質を充填してバイアホールを形成する前に、開口の内壁面に残留する樹脂残滓を取り除くためのデスミア処理、例えば、酸や過マンガン酸、クロム酸などの酸化剤などに浸漬する化学的除去方法、あるいは、プラズマ放電やコロナ放電などを用いた物理的除去方法によって処理することが接続信頼性確保の点から望ましい。
【0033】
特に、絶縁性基材上に保護フィルムが貼付けられた状態で行う場合には、たとえば、プラズマ放電やコロナ放電等を用いたドライデスミア処理によることが望ましい。ドライデスミア処理のうち、プラズマクリーニング装置を使用したプラズマクリーニングがとくに好ましい。
【0034】
上記バイアホール形成用開口はレーザ加工で形成したが、ドリル加工、パンチング加工等の機械的方法で穴開けすることも可能である。
【0035】
上記デスミア処理を行った開口内に導電性物質を充填してバイアホールを形成する方法には、めっき処理によるめっき充填方法や導電性ペーストの充填による方法がある。特に、めっき充填による場合には、絶縁性基材上の銅箔にめっきが析出しないように、予め保護フィルムを貼付してめっき液との接触を阻止する措置を取り、その上で開口内にめっきを充填してバイアホールとする。
【0036】
上記めっき充填は、電解めっき処理または無電解めっき処理のいずれによっても行うことができるが、電解めっき処理が望ましい。
【0037】
電解めっきとしては、例えば、Sn、Pb、Ag、Au、Cu、Zn、In、Bi、半田またはスズ合金等を使用できるが、特に、電解銅めっきが最適である。
【0038】
電解めっき処理により充填する場合は、絶縁性基材に形成された銅箔をめっきリードとして電解めっきを行う。この銅箔(金属層)は、絶縁性基材の第1の表面の全域に亘って形成されているため、電流密度が均一となり、電解めっきを開口内に均一な高さで充填することができる。
ここで、電解めっき処理の前に、開口内の金属層の表面を酸などで活性化処理しておくとよい。
【0039】
また、電解めっき処理を施した後、開口の外側に盛り上がった電解めっき(金属)を研磨などで除去して、平坦化することもできる。研磨は、ベルトサンダーやバフ研磨等を使用できる。
【0040】
また、めっき処理による導電性物質充填の代わりに、導電性ペーストを充填する方法、あるいは電解めっき処理又は無電解めっき処理によって開口の一部を充填し、残存部分に導電ペーストを充填して行うこともできる。
【0041】
上記導電性ペーストとしては、銀、銅、金、ニッケル、各種はんだから選ばれる1種または2種以上の金属粒子からなる導電性ペーストを使用できる。
【0042】
また、上記金属粒子としては、金属粒子の表面に異種金属をコーティングしたものも使用できる。具体的には、銅粒子の表面に金または銀のような貴金属を被覆した金属粒子を使用することができる。
なお、導電性ペーストとしては、金属粒子に、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂を加えた有機系導電性ペーストが望ましい。
【0043】
上記絶縁性基材の一方の表面に設けるバイアホールランドを含む導体回路は、バイアホール形成用開口に導電性物質を充填して充填バイアホールを形成した後、絶縁性基材に貼付された銅箔を適切なエッチング処理することによって形成されることが望ましい。
【0044】
すなわち、銅箔面に感光性ドライフィルムを貼付するか、液状感光性レジストを塗布した後、バイアホール開口よりも若干口径の大きいパッドパターンを含んだ所定の配線パターンを有するマスクパターンを載置し、露光・現像処理することによってめっきレジスト層を形成した後、エッチングレジスト非形成部分の銅箔をエッチング処理することによって形成される。
【0045】
このようなエッチング処理に際して、絶縁性基材の他方の表面をポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)等のエッチング保護フィルムで被覆し、バイアホール形成用開口に充填した導電性金属が腐食されないようにすることが望ましい。
【0046】
上記導体回路をなす配線パターンは、その厚みが5〜30μmであることが望ましく、12μmであることが最も好ましい。また、線幅と線間距離との比(L/D)は、50μm/50μm〜100μm/100μmであることが望ましい。さらに、配線パターン上に形成されるパッドは、その口径が150〜500μmであることが望ましく、特に、350μmであることが好ましい。
【0047】
本発明においては、上記配線パターンの引き回しによって形成された空隙、すなわち、絶縁性基材表面の配線パターン非形成領域に形成されるダミーパターンは、銅、銅合金、ニッケル、スズ、貴金属、半田から選ばれる少なくとも一種の金属から形成されるのが望ましく、特に、配線パターンを形成する金属と同一の金属から形成されることが好ましい。
【0048】
その理由としては、配線パターンと同時に形成できるので、強度が実質的に配線パターンと同じであり、整合性を容易に確保できるからである。特に、絶縁性基材上に電気的接続に寄与する配線パターンを形成する工程と同じ工程で形成されることが好ましい。
すなわち、上記ダミーパターンは、配線パターンと同一の銅層から形成されるのが好ましく、その厚さは、5〜40μmの範囲が好ましい。
【0049】
また、上記ダミーパターンの形状は、円形または楕円形であることが望ましく、角部がないので応力集中の影響を受けることがないという有益性がある。しかしながら、円形または楕円形に限られるものではないことは勿論である。
【0050】
上記絶縁性基材を貫通した開口内に形成したバイアホールの直上に位置して形成される導電性バンプは、めっき処理または導電性ペーストを印刷することによって形成されることが望ましい。
【0051】
上記めっき充填は、電解めっき処理または無電解めっき処理のいずれによっても行うことができるが、電解めっき処理が望ましい。
電解めっきとしては、例えば、Sn、Pb、Ag、Au、Cu、Zn、In、Bi、半田またはスズ合金等を使用できるが、この実施形態においては、電解スズめっきが最適である。
【0052】
上記導電性バンプの高さとしては、3〜30μmの範囲が望ましい。その理由は、3μm未満では、バンプの変形により、バンプの高さのばらつきを許容することができず、また、30μmを越えるとマイグレーションやウイスカーの発生が増加するからである。特に、5μmの高さとすることが最も好ましい。
【0053】
また、導電性バンプは、めっき処理の代わりに、メタルマスクを用いたスクリーン印刷によって、導電性ペーストをバイアホール上に印刷することによって形成することもできる。
【0054】
この導電性ペーストからなるバンプは、半硬化状態であることが望ましい。導電性ペーストは、半硬化状態でも硬く、熱プレス時に軟化した有機接着剤層を貫通させることができるからである。また、熱プレス時に変形して接触面積が増大し、導通抵抗を低くすることができるだけでなく、バンプの高さのばらつきを是正することができるからである。
【0055】
この他に、例えば、低融点金属であるはんだペーストを印刷する方法や、はんだめっきを行う方法、あるいははんだ溶融液に浸漬する方法によって導電性バンプを形成することができる。
【0056】
上記低融点金属としては、Pb−Sn系はんだ、Ag−Sn系はんだ、インジウムはんだ等を使用することができる。
【0057】
上記絶縁性基材の導電性バンプ側の表面には接着剤層が形成されることが望ましく、この接着剤層は、絶縁性基材の表面全体に樹脂を塗布し、乾燥させて、未硬化状態としたものであることが望ましい。
【0058】
上記接着剤層は、有機系接着剤から形成することが望ましく、その有機系接着剤としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリフェニレンエーテル(PPE:Polyphenylen ether)、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂との複合樹脂、エポキシ樹脂とシリコーン樹脂との複合樹脂、BTレジンから選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが望ましい。
ここで、有機系接着剤の溶剤としては、NMP、DMF、アセトン、エタノールを用いることができる。
【0059】
上記有機系接着剤である未硬化樹脂の塗布方法は、カーテンコータ、スピンコータ、ロールコータ、スプレーコータ、スクリーン印刷などを使用できる。
上記接着剤層の厚さは、5〜50μmが望ましい。接着剤層は、取扱が容易になるため、予備硬化(プレキュア)しておくことが好ましい。
【0060】
以下、本発明にかかる多層プリント配線板の製造方法の一例について、図4〜図6を参照にして説明する。
(1) 本発明にかかる多層プリント配線板を製造するに当たって、絶縁性樹脂基材20の片面に銅箔が22が貼付けられた、いわゆる片面銅張積層板を出発材料として用いる(図4(a)参照)。
【0061】
使用する絶縁性基材20としては、完全に硬化した樹脂材料から形成され、たとえば、ガラス布エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド基材、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基材から選ばれるリジッド(硬質)な積層基材が使用される。特に、ガラス布エポキシ樹脂基材が好ましい。
また、絶縁性基材20の一方の表面に形成された銅箔22は、密着性改善のため、マット処理されていてもよい。
【0062】
上記片面銅張積層板は、エポキシ樹脂をガラスクロスに含潰させてBステージとしたプリプレグと、銅箔とを積層して加熱プレスすることにより得られることが好ましい。その理由は、銅箔22がエッチングされた後の取扱中に、配線パターンやビアホールの位置がずれることがなく、位置精度に優れるからである。
【0063】
上記絶縁性基材20の厚さは、20〜600μmが望ましい。その理由は、絶縁性を確保するためである。20μm未満の厚さでは、強度が低下して取扱が難しくなるとともに電気的絶縁性に対する信頼性が低くなり、600μmを超えると、微細なビアホールの形成および導電性物質の充填が難しくなるからである。
【0064】
一方、銅箔22の厚さは、5〜18μmが望ましい。その理由は、レーザ加工で絶縁性基材にビアホール形成用開口を形成する際に、薄すぎると貫通してしまうからであり、逆に厚すぎるとエッチングにより、ファインパターンを形成し難いからである。
【0065】
(2)次に、絶縁性基材20の銅箔22形成面と反対側の表面に保護フィルム24を貼付する。
この保護フィルム24は、表面に粘着層を設けたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが使用され得る。
【0066】
(3)ついで、絶縁性基材20の保護フィルム24上からレーザ照射を行って、保護フィルム24および絶縁性基材20を貫通して銅箔22に至るビアホール形成用開口26を形成する(図4(b)参照)。この開口26の形成は、パルス発振型炭酸ガスレーザ加工装置によって行われる。
【0067】
(4) 次に、上記開口26にデスミア処理を施し、さらに絶縁性基材20の銅箔22形成面に保護フィルム24を貼付した後、銅箔22をめっきリードとする電解銅めっき処理を施して、開口26内に電解銅めっきを充填して、充填ビアホール30を形成する(図4(c)参照)。このめっき処理により、開口26の上部に後述する導電性ペーストを充填するわずかの隙間を残して電解銅めっきが充填される。
【0068】
(5) 上記(4)にて電解銅めっきが充填されなかった開口28の隙間あるいは凹みに対して、貫通孔が形成されている保護フィルム24を印刷用マスクとして導電性ペーストを充填し、絶縁性基材20の表面から保護フィルム24の厚みに相当する分だけ突出した導電性バンプ34を形成する(図4(d)参照)。
【0069】
(6) 次いで、絶縁性基材20の保護フィルム24上に、さらにエッチング保護フィルム29を貼付けた後、上記バイアホール位置に対応するバイアホールランドを含んだ所定の配線パターン36に相当するマスクパターンで披覆した後、エッチング処理を行って、導体回路40を形成する(図4(e)参照)。
【0070】
この処理工程においては、先ず、銅箔22の表面に感光性ドライフィルムレジストを貼付した後、バイアホールランドを含んだ所定の配線パターンに沿って露光、現像処理してエッチングレジスト層38を形成し、エッチングレジスト非形成部分の銅箔22をエッチングして、バイアホールランドを含んだ配線パターン36からなる導体回路40を形成する。
【0071】
(7) 次いで、絶縁性基材20の導電性バンプ34側の表面に樹脂接着剤を塗布し、乾燥化した状態の未硬化樹脂からなる樹脂接着剤層42を形成する(図4(f)参照)。
【0072】
本発明にかかる多層プリント配線板は、上記(1)〜(7)の工程にしたがって製造された片面回路基板44の複数層を積層し、加熱プレスすることによって、あるいは、予め製造された両面回路基板に対して、上記片面回路基板44の複数枚を積層し、加熱プレスすることによって形成することができる。
【0073】
本発明の多層プリント配線板においては、各片面回路基板上に形成されるバイアホール30や配線パターン36の設計段階において、バイアホール間の距離や配置が不均等となり、そのような配線の引き回しによって配線パターン間に比較的に大きな隙間が生じてしまう場合があるので、図4(f)において点線で示すように、配線パターン間の隙間に、配線パターン36と電気的に接続されないダミーパターン37を形成して、積層・加熱プレス時にそのような隙間に圧力が集中しないように構成される、すなわち、多層化した場合でも各ビアホール30に均等な圧力がかかるように構成されることが好ましい。
【0074】
具体的には、複数の回路基板間を電気的接続するバイアホールが、断面方向において全て一直線上にあるようなビアスタック構造とならないようにし、そのようなビアが存在する場合には、そのビアの上下の層で、配線パターン間で短絡しないように、配線パターン間の隙間にダミーパターンを設ける。
このようなダミーパターンは、全ての層に設けるほうが好ましく、特に、内層の回路基板に設けることが好ましい。
【0075】
このようなダミーパターン37を配線パターン36と同一の銅から形成する場合には、上記(6)の工程において、上記絶縁性基材20の一面に貼り付けられた銅箔22の表面に感光性ドライフィルムレジストを貼付した後、所定の配線パターン36およびダミーパターン37に対応するマスクパターンを有するフォトマスクを載置して、露光、現像処理によりエッチングレジストを形成し、エッチングレジスト非形成部分の銅層をエッチングして、バイアホールランドを含んだ配線パターン36およびダミーパターン37を形成する。
【0076】
上記(1)〜(7)の処理工程にしたがって作製された、ダミーパターンが形成されていない1層目、3層目の片面回路基板A、Cと、ダミーパターンが形成された2層目の片面回路基板Bとを、図5に示すように、同一方向に積層し、その積層体を1度のプレス成形により一体化して多層プリント配線板が形成されることが望ましい。
【0077】
上記積層・一体化は、加熱温度150〜200℃、加圧力1〜10MPaの条件のもとで行われるのが好ましく、このような条件のもとで、加圧と同時に加熱することで、各片面回路基板の接着剤層32が硬化し、隣接する片面回路基板との間で強固な接着が行われる。なお、加熱プレスとしては、例えば真空熱プレスを用いることが好適である。
【0078】
上述した実施の形態では、ダミーパターンが形成されていない1層、3層の片面回路基板と、ダミーパターンを有する2層の片面回路基板とを用いて3層に多層化したが、4層以上を超える多層化にも適用できる。その際に、積層される複数の回路基板のそれぞれのバイアホールや配線パターンの配置状態に応じて、積層プレス時の応力分布がほぼ均一になるように、ダミーパターンをどの回路基板の、どのような位置に、どのような形態で設けるかが決定される。
【0079】
【実施例】
(実施例1)
(1) まず、回路基板の作製は、エポキシ樹脂をガラスクロスに含潰させてBステージとしたプリプレグと、銅箔とを積層して加熱プレスすることにより得られる片面銅張積層板を出発材料として用いる(図4(a)参照)。
この絶縁性基材20の厚さは75μm、銅箔22の厚さは12μmであり、この積層板の銅箔形成面と反対側の表面に、厚みが10μmの粘着剤層を有し、かつフィルム自体の厚みが12μmであるようなPETフィルム24をラミネートする。
【0080】
(2) ついで、PETフィルム24上から炭酸ガスレーザ照射を行って、PETフィルム24および絶縁性基材20を貫通して銅箔22に至るビアホール形成用開口26を形成し、さらにその開口26内を酸素プラズマ放電によってデスミア処理した(図4(b)参照)。
【0081】
この実施例においては、ビアホール形成用の開口の形成には、三菱電機製の高ピーク短パルス発振型炭酸ガスレーザ加工機を使用し、全体として厚さ22μmのPETフィルムを樹脂面にラミネートした、基材厚75μmのガラス布エポキシ樹脂基材に、マスクイメージ法でPETフィルム側からレーザビーム照射して100穴/秒のスピードで、70μmφのビアホール形成用開口26を形成した。
【0082】
(3) デスミア処理を終えた絶縁性基材20の銅箔貼付面に他のPETフィルム24を貼り付け、以下のような条件で、銅箔22をめっきリードとする電解銅めっき処理を施して、開口26内に電解銅めっきを充填してビアホール30を形成した(図4(c)参照)。
〔電解銅めっき水溶液〕
硫酸 :180 g/l
硫酸銅 : 80 g/l
添加剤 : 1 ml/l
(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 :2 A/dm2
時間 :30 分
温度 :25 ℃
【0083】
(4) さらに、以下のような条件で、電解半田めっき処理を施して、開口26に充填された銅めっき層上に半田めっき層を形成して、絶縁性基材20の表面から5μmだけ突出する半田バンプ34を形成する(図4(e)参照)。
〔電解半田めっき溶液〕
Sn(BF4)2 :25g/l
Pb(BF4)2 :12g/l
添加剤 :5ml/l
(電解半田めっき条件)
温度 :20℃
電流密度 :0.4A/dm2
【0084】
(5)絶縁性基材20の銅箔貼付面からPETフィルム24を剥離させ、絶縁性基材20の半田バンプ側の表面にエッチング保護フィルム29を貼付した状態で、銅箔22の表面に感光性ドライフィルムレジストを貼付した後、所定のマスクパターンを有するフォトマスクを載置して、露光、現像処理によりエッチングレジスト38を形成し、エッチングレジスト非形成部分の銅層をエッチングして、ランド径が150μmのバイアホールランドを含んだ所定の配線パターン36を有する導体回路40あるいは所定の配線パターンだけでなくダミーパターン37をも有する導体回路40を形成した(図4(e)参照)。
【0085】
(6) 上記絶縁性基材に20に貼付したエッチング保護フィルム29を剥離させた後、絶縁性基材20の半田バンプ34側の全面にエポキシ樹脂接着剤を塗布し、プレキュアして、各回路基板を接着して多層化するための接着剤層42を形成した(図4(f)参照)。
【0086】
(7) 上記(1)〜(6)にしたがって2層の片面回路基板AおよびBを作製するとともに、上記(1)〜(3)および(5)にしたがって1層の片面回路基板Cを作製する。
この実施例においては、図5に示すように、3層の片面回路基板を積層・プレスした多層プリント配線板を製造するが、片面回路基板AおよびBは、最も上層に位置して配置される回路基板(1層目)およびその下方に隣接して配置される回路基板(2層目)として使用され、上記(1)〜(3)および(5)にしたがって作製された片面回路基板Cは、最も下層に位置して配置される回路基板(3層目)として使用される。
【0087】
なお、上記1層目および3層目の片面回路基板AおよびCの導体回路40は、バイアホールランドを含んだ所定の配線パターン36を有するが、2層目の片面回路基板Bの導体回路40は、バイアホールランドを含んだ所定の配線パターン36だけでなく、その配線パターン36間の隙間にダミーパターン37を有して形成される。
【0088】
この実施例1においては、1層目の回路基板Aに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を25.0%、2層目の回路基板Bに形成された配線パターンとダミーパターンの回路基板全体に占める面積の割合を35.4%、3層目の回路基板Cに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を27.4%とし、これらの回路基板を積層した状態で、垂直上方から下方に投影した場合に、配線パターンとダミーパターンを含んだ導体層の重ね合った影の部分の面積が、1枚の回路基板の面積に対して70.0%となるように、回路基板B上にダミーパターンを形成した。
【0089】
(9) 次いで、上記3層の片面回路基板A〜Cを同一方向に積層した後、1層目および3層目の回路基板の外側表面をクラフト紙およびSuS板で挟持した状態で、加熱温度120〜200℃、真空度1〜5Paの条件下で、SuS板間に5〜15MPaの圧力を加えて、各片面回路基板間を接着して一体化した(オートクレーブ式プレス)。
【0090】
(実施例2)
1層目の回路基板Aに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を24.8%、2層目の回路基板Bに形成された配線パターンとダミーパターンの回路基板全体に占める面積の割合を41.3%、3層目の回路基板Cに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を27.1%とし、これらの回路基板を積層した状態で、垂直上方から下方に投影した場合に、配線パターンとダミーパターンを含んだ導体層の重ね合った影の部分の面積が、1枚の回路基板の面積に対して75.9%となるように、回路基板B上にダミーパターンを形成した以外は、実施例1と同様の処理を施して、3層の多層プリント配線板を製造した。
【0091】
(実施例3)
1層目の回路基板Aに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を25.1%、2層目の回路基板Bに形成された配線パターンとダミーパターンの回路基板全体に占める面積の割合を52.5%、3層目の回路基板Cに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を27.2%とし、これらの回路基板を積層した状態で、垂直上方から下方に投影した場合に、配線パターンとダミーパターンを含んだ導体層の重ね合った影の部分の面積が、1枚の回路基板の面積に対して82.3%となるように、回路基板B上にダミーパターンを形成した以外は、実施例1と同様の処理を施して、3層の多層プリント配線板を製造した。
【0092】
(比較例1)
上記ダミーパターン37を形成しなかったこと、および1層目の回路基板Aに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を24.9%、2層目の回路基板Bに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を27.4%、3層目の回路基板Cに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を27.3%とし、これらの回路基板を積層した状態で、垂直上方から下方に投影した場合に、配線パターンを含んだ導体層の重ね合った影の部分の面積が、1枚の回路基板の面積に対して62.8%となるように配線パターンを形成した以外は、実施例1と同様の処理を施して、3層の多層プリント配線板を製造した。
【0093】
(比較例2)
上記ダミーパターン37を形成しなかったこと、および1層目の回路基板Aに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を24.9%、2層目の回路基板Bに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を30.4%、3層目の回路基板Cに形成された配線パターンの回路基板全体に占める面積の割合を27.3%とし、これらの回路基板を積層した状態で、垂直上方から下方に投影した場合に、配線パターンを含んだ導体層の重ね合った影の部分の面積が、1枚の回路基板の面積に対して65.0%となるように配線パターンを形成した以外は、実施例1と同様の処理を施して、3層の多層プリント配線板を製造した。
【0094】
上記実施例1〜3および比較例1〜2によって製造した多層プリント配線板について、SEM観察による絶縁層のクラック発生の有無および信頼性試験後の導体断線の度数を調べた。その結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
上記表1の結果から分るように、実施例1〜3については、面積比に対するクラック発生および導体断線が全く観察されなかったが、比較例1〜2については、クラックや導体断線が観察された。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多層プリント配線板によれば、複数層の片面回路基板を積層し、加熱プレスする際に、各回路基板に加わる圧力の均等化を図ることができるので、強度低下や基板の反りを招くことがなく、クラックや断線の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は、本発明にかかる多層プリント配線板におけるダミーパターンの形成個所およびその配置形態を説明するための概略図である。
【図2】(a)〜(c)は、同じく1層と2層の回路基板に設けた配線パターンと、2層の回路基板に設けたダミーパターンの重なり具合を説明するための概略図である。
【図3】(a)〜(d)は、3層構造の多層プリント配線板における各層の配線パターン同士の重なり具合を説明するための概略図である。
【図4】(a)〜(f)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図である。
【図5】同じく、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図であり、各回路基板の積層状態を示す。
【図6】同じく、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図であり、各回路基板が積層・一体化された状態を示す。
【図7】(a)、(b)は、従来技術にかかる多層プリント配線板における、各回路基板表面の導体回路非形成領域を説明するための概略図である。
【図8】同じく、従来技術にかかる多層プリント配線板における、クラックの発生を説明するための概略図である。
【図9】同じく、従来技術にかかる多層プリント配線板における、割れや断線の発生を説明するための概略図である。
Claims (4)
- 絶縁性基材に設けた貫通孔に導電性物質を充填してなるバイアホールを有し、そのバイアホールに電気的に接続される配線パターンを含んだ導体回路が形成されてなる回路基板が複数層に積層されてなる多層プリント配線板において、
前記複数の回路基板の少なくとも1層には、その絶縁性基材の表面のうち前記バイアホールと電気接続されている導体回路が形成されていない領域に、ダミーパターンが形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。 - 前記ダミーパターンは、前記導体回路が形成されていない領域を埋めるように形成されている請求項1または2に記載の多層プリント配線板。
- 前記ダミーパターンは、円形または楕円形である請求項1に記載の多層プリント配線板。
- 前記ダミーパターンは、導電性物質が充填されているが、前記配線パターンに電気接続されていないバイアホールに接続されている請求項1に記載の多層プリント配線板。
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CN111052880A (zh) * | 2017-09-15 | 2020-04-21 | 斯天克有限公司 | 电路板及其制造方法 |
-
2002
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