JP2004029283A - 動力伝達手段及びカメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化を図りつつ駆動源の駆動力を被駆動部材に効率良く伝達することができる動力伝達機構を備えたカメラを提供する。
【解決手段】駆動源7からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラにおいて、駆動力伝達機構が、駆動源7からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材2と、回転動作により被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材9と、環状に形成され、第1の回転部材2および第2の回転部材9に複数回、巻き付けられており、第1の回転部材2の回転力を第2の回転部材9に伝達する線状部材1とを有する。
【選択図】 図9
【解決手段】駆動源7からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラにおいて、駆動力伝達機構が、駆動源7からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材2と、回転動作により被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材9と、環状に形成され、第1の回転部材2および第2の回転部材9に複数回、巻き付けられており、第1の回転部材2の回転力を第2の回転部材9に伝達する線状部材1とを有する。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動源の駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有する動力伝達手段及びこれを用いたカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フィルムカートリッジ(以下、カートリッジ)を用いた一般的な電動フィルム給送機構付き銀塩カメラでは、カートリッジ室内に収納されたカートリッジからフィルムを引き出してフィルム収納室内に巻き上げる巻上フィルム給送と、カートリッジから引き出されたフィルムをカートリッジ内に巻き戻す巻き戻しフィルム給送とが行われる。ここで、カートリッジ室およびフィルム収納室はそれぞれ、カメラ本体の左右に配置されており、中央にはレンズ鏡筒やレンズ鏡筒からの被写体光束が通過するアパーチャが設けられている。
【0003】
一方、フィルム収納室内にはフィルム巻上用の円筒状のスプールが設けられており、このスプールの内部には回転力駆動源となるモータが組み込まれている。このモータの回転軸にはピニオンギアが設けられており、このピニオンギアからモータの回転力を伝達させるようにしている。
【0004】
また、カートリッジ室には、このカートリッジ室内に収納されたカートリッジのスプールに係合するフォークと、このフォークを回転させるフォークギアとが設けられている。
【0005】
上述した構成において、モータの駆動力をフォークまで伝達させるには、ピニオンギアとフォークギアとの間に両者を連結する動力伝達機構を配置する必要がある。ここで、動力伝達機構としては、一般的に複数のギアで構成される減速ギア列が用いられる。
【0006】
しかし、減速ギア列を用いて動力伝達を行う場合、カメラが小型化されるに従って以下の問題が生じる。
【0007】
第一に、カメラが小型化されると、径の大きなギアを用いることが困難になり、径の小さなギアを多数接続してモータの駆動力を伝達しなければならないため、部品点数が増加したり、ギア間の摩擦等により動力伝達効率が低下したりしてしまう。
【0008】
第二に、例えばフォーク(フォークギア)がカートリッジ室の上側(カメラ本体の上側)に配置されているとともに、ピニオンギアがフィルム収納室の下側(カメラ本体の下側)に配置されている場合のように、駆動源の出力軸と被駆動部材とがカメラ本体の上下方向において極端に離れている場合、ギア列を用いて動力伝達を行うためには、カメラ本体の上側に配置されたギアと下側に配置されたギアとを連結するための上下連結ギアが必要になる。この上下連結ギアを用いる場合、カメラ本体内に上下連結ギアの配置スペースを確保しなければならず、平面内にギア列を配置する場合に比べて部品の配置スペースが広くなるため、カメラの小型化には適さない。
【0009】
第三に、ギア列により動力伝達を行う場合、各ギアにはギア同士が確実に噛み合うための厚みが必要になり、このギアの厚みやギアの径の大きさに応じた配置スペースを確保しなければならないため、カメラを小型化するには限度がある。
【0010】
そこで、上述した問題点に鑑み、特開平5−19341号公報では、環状のタイミングベルトを用いることにより、モータの回転力を被駆動部材に伝達するカメラの駆動装置が提案されている。この駆動装置によれば、環状のタイミングベルトのうち互いに向かい合う部分の間隔を狭めることができるため、この間隔を狭めた分だけカメラ本体内の配置スペースを小さくすることができ、カメラの小型化を図ることができる。
【0011】
また、特開平7−191415号公報において提案されている光学装置では、駆動力伝達機構の一部に線状部材を用いてモータの回転力を被駆動部材(走査系)の往復運動に変換している。同様に、特開昭58−36727号公報において提案されている動力伝達装置では、平行往復運動する移動体に線状部材を固定して、駆動源の駆動力を移動体の往復運動に変換している。
【0012】
上述したように線状部材を用いて被駆動部材を所定領域内で往復運動させる場合には、駆動力を伝達させる部材として線状部材を用いているため、ギア構成の場合に比べて駆動力伝達機構の小型化や部品点数の削減を図ることができるとともに、動力伝達間の介在物が無いため駆動力伝達効率も比較的良好となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−19341号公報で提案されている駆動装置では、環状のタイミングベルトのコストが高いため、駆動装置およびカメラのコストアップを招いてしまう。また、弾性体で構成されているタイミングベルトは温度変化により変形する恐れがあり、変形によりタイミングベルトの環径が広がった場合にはベルト歯が脱調してしまう。また、タイミングベルトの環径が縮まった場合にはプーリの軸損になるとともに、駆動力伝達効率が大きく変化してしまい、駆動源のトルクが被駆動部材の必要駆動トルクより十分高い場合でないと使えない問題がある。
【0014】
一方、特開平7−191415号公報の光学装置や特開昭58−36727号公報の動力伝達装置では、駆動源の回転力を被駆動部材(移動体)の平行往復運動に変換するだけであるため、上述したカメラのフィルム給送機構のようにフォークを回転させるといった被駆動部材の回転運動には適用することができない。
【0015】
また、特開平7−191415号公報では、装置本体に線状部材の両端を固定させて被駆動部材に線状部材を巻き付けた構成としているため、駆動源の駆動力を効率良く被駆動部材に伝達させるには、線状部材を弛ませないようにしなければならない。このためには、専用の部品が必要になり、部品点数の増加や装置の大型化を招いてしまう。
【0016】
さらに、特開昭58−36727号公報では、平行往復運動する移動体に線状部材を固定させているが、移動体の駆動中に発生する線状部材の巻き緩み防止対策、線状部材の巻き付き位置が変化することによる線状部材の絡み防止対策、線状部材の脱線防止対策などがなされていない。このため、駆動源の駆動力が移動体に確実に伝達されない恐れがある。
【0017】
また、平行往復運動する移動体に固定された2本の線状部材それぞれを別々のモータに連結した例も提案されているが、一つの移動体の平行往復駆動に対して複数のモータを使うと、駆動力伝達機構およびこの機構を搭載した装置の大型化およびコストアップを招いてしまう。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本願第1の発明は、駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラ又は動力伝達手段において、駆動力伝達機構が、駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、回転動作により被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、環状に形成され、第1の回転部材および第2の回転部材に複数回、巻き付けられており、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に伝達する線状部材とを有することを特徴とする。
【0019】
すなわち、環状の線状部材を第1の回転部材および第2の回転部材に複数回、巻き付かせることにより、第1の回転部材と線状部材との間に生じる摩擦力および第2の回転部材と線状部材との間に生じる摩擦力を利用して、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に伝達させるようにしている。このように、第1の回転部材から第2の回転部材への動力伝達に線状部材を用いることで、第1の回転部材と第2の回転部材とをギアで連結する場合に比べて部品配置スペースを小さくすることができ、カメラ(動力伝達手段)の小型化を図ることができる。しかも、第1の回転部材と第2の回転部材との間にギアを配置しないことで、ギア間の摩擦等は発生せず、動力伝達効率の低下を防止することができる。
【0020】
また、プーリ等を用いることにより線状部材を所望の方向に移動させることができるため、カメラ内のスペースを効率良く利用して線状部材を配置することができる。そして、従来技術で説明したように駆動源の出力軸と被駆動部材とがカメラの上下方向において極端に離れている場合でも、プーリ等を用いて線状部材をカメラの上下方向に移動させるようにすれば、長軸の上下連結ギアを用いる必要がなくなるため、カメラの小型化を図ることができる。
【0021】
本願第2の発明は、駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラ又は動力伝達手段において、駆動力伝達機構が、駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、回転動作により被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、第1の回転部材および第2の回転部材に複数回、巻き付けられているとともに、両端が第1の回転部材および第2の回転部材のいずれかの回転部材に固定されており、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に伝達する線状部材とを有することを特徴とする。
【0022】
本願発明についても本願第1の発明と同様の効果を得ることができる。そして、本願発明では、線状部材の両端が第1の回転部材および第2の回転部材のうち一方の回転部材に固定されているため、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に効率良く伝達させることができる。
【0023】
本願第3の発明は、駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラ又は動力伝達手段において、駆動力伝達機構が、駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、回転動作により被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、第1の回転部材および第2の回転部材のうち一方の回転部材に複数回、巻き付けられ、一端が第1の回転部材に固定されるとともに、他端が第2の回転部材に固定された第1の線状部材と、他方の回転部材に複数回、巻き付けられ、一端が第1の回転部材に固定されるとともに、他端が第2の回転部材に固定された第2の線状部材とを有し、第1の線状部材および第2の線状部材が、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に伝達可能であることを特徴とする。
【0024】
本願発明についても本願第1の発明と同様の効果を得ることができる。そして、本願発明は、第1の線状部材および第2の線状部材の両端がそれぞれ、第1の回転部材および第2の回転部材に固定されているため、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に確実に伝達させることができる。
【0025】
ここで、第1の回転部材および第2の回転部材のうち少なくとも一方の回転部材に巻き付く線状部材を、この一方の回転部材に密着させるように付勢する付勢部材を設けることができる。これにより、被駆動部材の駆動中に線状部材が弛んでも付勢部材の付勢によりこの弛みを解消することができ、線状部材の弛みによる動力伝達効率の低下を防止することができる。
【0026】
そして、付勢部材に、線状部材と係合する係合部を設ければ、付勢部材を絶えず線状部材に付勢させておくことができる。
【0027】
一方、光源を有して投光する投光光学系および受光面において集光する集光光学系を有するカメラ又は動力伝達手段において、線状部材を、投光光学系および集光光学系のうち少なくとも一方の光学系の内部を通過するように配置することができる。このように、光学系の内部に線状部材のような細い部材を配置しても、線状部材の影は受光面や投光側でぼけるため、光学性能に大きな影響を与えることはない。このため、線状部材を光学系を避けるように配置する必要がなくなる。
【0028】
また、第1の回転部材および第2の回転部材のうち少なくとも一方の回転部材の回転に連動して、一方の回転部材に対する線状部材の巻き付き位置を一方の回転部材の回転軸方向に変化させる位置可変手段を設けることができる。このように位置可変手段により、回転部材に対する線状部材の巻き付き位置を回転部材の回転軸方向で変えることにより、線状部材が回転部材に巻き付く際に線状部材が絡みつくのを防止することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態であるカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図であり、図2は駆動力伝達機構の上面図である。これらの図において、1はワイヤ(線状部材)であり、引張りに対して伸びにくくかつ引っ張り強度が大きく、熱による伸縮、湿度による膨張、強度低下も少ない材料で形成されている。このワイヤ1には例えば、タングステン線、ピアノ線又はアラミド繊維線を用いることができる。ここで、タングステン線やピアノ線は、アラミド繊維線のように編み込む必要がなく、単一線で大きな強度を得ることができる。
【0030】
2は駆動プーリ(第1の回転部材)で、ワイヤ1が巻き付く円柱状のプーリ部2aと、このプーリ部2aの外周面に巻き付いたワイヤ1がプーリ部2aから脱落するのを防ぐフランジ部2bとから成り、不図示のカメラ本体に回転可能に取り付けられている。
【0031】
3はギアであり、駆動プーリ2の回転軸方向に延びる突部に嵌合し、ビス4により駆動プーリ2に固定される。ここで、ギア3の径はプーリ部2aの径よりも大きく設定されているため、ギア3はプーリ部2aの外周面に巻き付いたワイヤ1がプーリ部2aから脱落するのを防ぐフランジ機能を有する。
【0032】
ギア3の外周側面には凹凸状のギア部3aが形成されており、このギア部3aは不図示の減速ギア列を介して後述するモータ7に連結している。ギア部3aがモータ7からの駆動力を受けると、ギア3は駆動プーリ2と一体となって回転する。
【0033】
5は略C字状に形成された板バネ(付勢部材)であり、プーリ部2aの外周に配置される。板バネ5の係止部5aは、カメラ本体に設けられた位置決めダボ6にはめ込まれ、これにより板バネ5の両端に形成された2つの押圧部5bが互いに近づくようになっている。
【0034】
ここで、2つの押圧部5bの間には後述するようにワイヤ1が配置されるため、押圧部5bはワイヤ1を付勢してワイヤ1の弛みを防止する。また、ワイヤ1を付勢することにより図2に示すように駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間に配置された2つのワイヤ1を互いに近づけることができるため、カメラ内の部品配置スペースを小さくすることができ、カメラの小型化を図ることができる。
【0035】
押圧部5bのうちワイヤ1と接する面には凹部5c(係合部)が形成されている。この凹部5cはワイヤ1と当接することでワイヤ1が押圧部5bから外れるのを防止するとともに、ワイヤ1の進行方向を決定している。
【0036】
なお、本実施形態では板バネ5を用いているが、テンションプーリ等のようにワイヤ1を押圧して、ワイヤ1の弛みを取るものであればどのような部材を用いてもよい。
【0037】
7は駆動源となるモータである。8はモータ7の回転軸に一体形成されたピニオンギアで、このピニオンギア8の回転力は不図示の減速ギア列を介してギア部3aに伝達される。なお、本実施形態では、モータ7からギア3への駆駆動力伝達機構はギア構成としたが、モータ7の駆動力をギア3に伝達できる機構であればどのような構成であってもよい。
【0038】
9は被駆動プーリ(第2の回転部材)であり、ワイヤ1が巻き付く円柱状のプーリ部9aと、このプーリ部9aに巻き付いたワイヤ1がプーリ部9aから脱落するのを防ぐフランジ部9bと、不図示のカメラ本体に回転可能に保持される軸部9cと、フィルムカートリッジに形成されたカートリッジスプールに係合するフォーク部9dとで構成されている。被駆動プーリ9のプーリ部9aの外周にも上述した板バネ5が配置される。
【0039】
10はフランジで、ビス4によりプーリ部9aに固定されることで被駆動プーリ9と一体となって回転する。フランジ10の径はプーリ部9aの径よりも大きくなるように形成されているため、フランジ10はプーリ部9aの外周面に巻き付いたワイヤ1がプーリ部9aから脱落するのを防ぐ機能を有している。
【0040】
上述した構成において、1本線のワイヤ1は両端を結束(A)して環状とした後、駆動プーリ2のプーリ部2aおよび被駆動プーリ9のプーリ部9aの双方に複数回、巻きつけられる。なお、初めから環状に形成されているワイヤ1をプーリ部2a、9aに巻き付けるようにしてもよい。
【0041】
ここで、プーリ部2a、9aの外周面にワイヤ1の径に応じたらせん状の溝を形成しておけば、ワイヤ1をプーリ部2a、9aに容易に巻き付けることができるとともに、ワイヤ1同士が絡まるのを防止することもできる。
【0042】
そして、駆動プーリ2と被駆動プーリ9は、ワイヤ1が緩まないように所定の軸間隔をおいてカメラ本体に取り付けられる。ここで、ワイヤ1は、図2に示すように板バネ5の押圧部5bにより矢印F方向の付勢力を受けるため、駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間におけるワイヤ1の長さが多少変化しても、ワイヤ1は適度な張力を維持したまま弛まないことになる。
【0043】
上述したように、ワイヤ1が駆動プーリ2および被駆動プーリ9に弛むことなく巻き付けられているとともに、板バネ5により駆動プーリ2および被駆動プーリ9間のワイヤ1の弛みをなくしているため、ワイヤ1と駆動プーリ2との間及びワイヤ1と被駆動プーリ9との間には十分な摩擦力が発生する。
【0044】
このため、モータ7からの駆動力を受けた駆動プーリ2が一方向に回転すると、駆動プーリ2は、一方でワイヤ1および駆動プーリ2間の摩擦力によりワイヤ1を巻き上げるとともに、他方で被駆動プーリ9側にワイヤ1を送り出す。一方、被駆動プーリ9は、駆動プーリ2によるワイヤ1の巻き上げ動作に応じてワイヤ1との摩擦力で回転し、この回転により駆動プーリ2から送り出されるワイヤ1を巻き上げる。
【0045】
上述した動作が連続して行われることで、駆動プーリ2の回転力が被駆動プーリ9に伝達される。ここで、図2の黒矢印および白矢印に示すように、駆動プーリ2の回転方向を変えることで被駆動プーリ9の回転方向を変えることができる。
【0046】
本実施形態では環状のワイヤ1を用いているため、駆動プーリ2が回転し続ける限りワイヤ1は移動し続け、これにより被駆動プーリ9も回転し続けることができる。
【0047】
ここで、ワイヤ1のプーリ部2a、9aへの巻き数を少なくすれば、ワイヤ1の巻き径の変化によるワイヤ1の緩みを減らすことができ、駆動プーリ2の回転数に対する被駆動プーリ9の回転数の乱れを少なくすることができる。また、ワイヤ1の巻き数を少なくすることで、プーリ部2a、9aの回転軸方向の長さを短くすることができるため、駆駆動力伝達機構を小型化することができる。なお、プーリ部2a、9aの径を同じ径にしたり異なる径にしたりしてもよい。
【0048】
図9は、上述した駆駆動力伝達機構を搭載したカメラの内部構成図である。ここで、図9(A)はカメラを上方から見た図であり、図9(B)はカメラを正面から見た図である。
【0049】
これらの図において、12aはカメラ本体前面に配置されたファインダ対物レンズである。12bはファインダ接眼ポロプリズムであり、ファインダ対物レンズ12aからの被写体光束を後述する接眼レンズ12cに導く。ここで、ファインダ接眼ポロプリズム12bのうちファインダ対物レンズ12a側の入射第一面が焦点面となっている。
【0050】
12cは接眼レンズであり、撮影者は接眼レンズ12cを覗くことにより被写体像を観察することができる。12dはファインダ光学系の光路を示し、実際に撮影者がファインダ像として見得る範囲の一部を示している。
【0051】
13aは受光光学系内に配置されたレンズであり、測光動作又は測距動作を行う際の検出光や、リモコンから送信された光信号を後述する受光素子に導く。13bは受光素子であり、カメラ動作を制御する不図示の制御部に受光量に応じた電気量を出力する。制御部は、受光素子13bの出力に応じて所定の制御動作を行う。
【0052】
13cは受光素子13bで受光される光の光路を示している。14aはカメラに設けられたストロボ装置の前面に配置されたフレネルレンズである。14bはストロボ装置内に配置されたキセノン管であり、カメラ本体内の制御部からの制御信号に基づいて発光動作を行う。14cはストロボ光の光路を示し、キセノン管14bで発光したストロボ光はフレネルレンズ14aを通過してカメラの前面側にいる被写体に照射される。
【0053】
15はワイヤ1の進行方向を切り換えるためのプーリ(中間部材)であり、カメラ本体内に回転可能に取り付けられている。プーリ15のうち回転軸方向の中央には、ワイヤ1が脱落しないように凹部15aが設けられている。16はフィルムを収納するカートリッジであり、カメラ本体内に形成されたカートリッジ室に収納可能である。カートリッジ16がカートリッジ室に収納された状態において、フォーク部9dはカートリッジに形成されたカートリッジスプール(被駆動部材)に係合する。
【0054】
被駆動プーリ9が回転するとカートリッジスプールも回転し、これによりカートリッジ16からフィルムが送り出されたり、カートリッジ16内にフィルムが巻き戻されたりする。
【0055】
17はカメラ本体内に形成されたフィルム室であり、カートリッジ16から送り出されたフィルムを巻き上げて収納する。18はレンズ鏡筒であり、カメラ本体内の制御部からの制御信号に応じてズーミングを行うことが可能である。
【0056】
図9に示すように、駆動プーリ2および被駆動プーリ9に巻き付けられたワイヤ1は、カメラ本体正面に向かって右側面に沿って配置されるとともに、ストロボ装置の近傍に配置されたプーリ15により進行方向を変えられてカメラ本体上面に沿って配置されている。
【0057】
また、ワイヤ1は、ストロボ光学系、受光光学系やファインダ光学系における集光面又は投光面の近傍であって、光学系の光路内を横切るように配置されている。ここで、ワイヤ1は極めて細い部材であるため、上述した光学系の光路内に配置されていても、ワイヤ1による影は光学系の集光面や投光側において実用上問題ない程度までぼけるため、各種光学系における光学性能に影響を与えることはない。なお、この場合にはワイヤ1の表面に光反射防止処理を施すのが好適である。
【0058】
また、不図示であるが、ワイヤ1を撮影光学系における焦点面(フィルムやCCD等の撮像面)以外の撮影光路内に配置したり、AF補助光や警告ランプといった投光光学系の光路内に配置したりしてもよい。さらに、プーリ15を複数用いてワイヤ1を各種光学系の光路外に配置することもできる。
【0059】
一方、ワイヤ1は極めて細くすることができるため、ワイヤ1の断面程度の隙間さえあればカメラ本体内のあらゆる場所を通すことができる。例えば、図9に示すようにフィルム室17の側面とカメラ本体の側面との間に形成された僅かな空間にワイヤ1を配置することができる。
【0060】
また、ワイヤ1は屈曲させることができるため、プーリ15を用いてワイヤ1の進行方向を変えれば、図9(B)に示すように直角に方向変換させることができるだけでなく、あらゆる方向に3次元的に方向変換させることができる。これにより、動力伝達経路の変更が容易になる。
【0061】
従来技術のように駆動力伝達機構として平歯ギアやタイミングベルトを用いた場合、カメラ本体横方向に配置するのが基本である。しかし、従来技術では動力伝達経路を変更する毎に、傘歯ギアやウォームギア等といった構造が複雑で大きなギアを使わなければならないため、部品点数が増加するとともに、駆動力伝達機構およびカメラが大型化してしまう。
【0062】
そこで、本実施形態における駆動力伝達機構をカメラに用いることにより、少ない部品で容易に動力伝達経路を変更することができるとともに、駆動力伝達機構の配置自由度を向上させることができ、カメラの小型化を図ることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、ピニオンギア8とフォーク部9dがカメラ本体の上下方向において離れて配置されているが、ピニオンギア8およびフォーク部9dがカメラ本体の上方又は下方に配置されている場合にも本実施形態を適用することができる。
【0064】
また、本実施形態では、駆動力伝達機構をフィルムの給送機構に適用した場合について説明したが、他の駆動機構、例えばレンズ鏡筒の繰り出し繰り込み機構に適用してもよい。
【0065】
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態であるカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図であり、図4は駆動力伝達機構の上面図である。なお、第1実施形態と同じ部材については同一符号を用い、これらの部材については説明を省略する。
【0066】
本実施形態において、1本の線で構成されるワイヤ1は、この両端部が第1実施形態のように結束されておらず、それぞれの端部が図3に示すように駆動プーリ2のプーリ部2aに形成された切り込み部2c、2dにはめ込まれて固定されている。これにより、駆動プーリ2の回転量は、ワイヤ1の長さに応じて制限され、駆動プーリ2が一方向に回転してワイヤ1を一端側から巻き取っていくと、他端側が駆動プーリ2に固定されているために、駆動プーリ2はこれ以上回転できないようになっている。
【0067】
本実施形態における駆動力伝達機構をフィルムを給送するための駆動機構に用いる場合、駆動プーリ2は上述したようにワイヤ1の長さに応じて回転量が制限されるため、ワイヤ1の長さを適切な長さに設定しておく必要がある。
【0068】
すなわち、駆動プーリ2の回転に応じて回転する被駆動プーリ9(フォーク部9d)の回転量が、カメラ内に装填されたフィルムを全長にわたって給送できる程度の回転量となるように、ワイヤ1の長さを予め設定しておく必要がある。
【0069】
一方、ワイヤ1の取り付けは、図3に示すように、まずワイヤ1の一端部1aを駆動プーリ2の切り込み部2dにはめ込み、プーリ部2aの外周面にワイヤ1を、駆動プーリ2を十分に回転させるだけの巻線で巻き付ける。そして、ワイヤ1の他端側をプーリ部9aの外周面に弛むことなく巻き付け、ワイヤ1の他端部1bをプーリ部2aの切り込み部2cにはめ込む。
【0070】
そして、板バネ5を駆動プーリ2および被駆動プーリ9の近傍に取り付けて、板バネ5の押圧部5bでワイヤ1を付勢することにより、ワイヤ1の弛みを防止するようにする。
【0071】
図4に示すように、ワイヤ1が駆動プーリ2および被駆動プーリ9に弛むことなく巻き付けられているとともに、板バネ5により駆動プーリ2および被駆動プーリ9間のワイヤ1の緩みをなくしているため、ワイヤ1と駆動プーリ2との間及びワイヤ1と被駆動プーリ9との間には十分な摩擦力が発生する。
【0072】
モータ7からの駆動力を受けた駆動プーリ2が一方向に回転すると、駆動プーリ2は、ワイヤ1および駆動プーリ2間の摩擦力およびワイヤ1の端部と切り込み部2c(2d)との連結により、一方でワイヤ1を巻き上げるとともに、他方でワイヤ1を送り出す。このとき、被駆動プーリ9はワイヤ1との摩擦力で回転し、この回転により駆動プーリ2から送り出されるワイヤ1を巻き上げる。
【0073】
上述した動作を連続させることで、駆動プーリ2の回転力が被駆動プーリ9に伝達される。ここで、図4の黒矢印および白矢印に示すように、駆動プーリ2の回転方向を変えることで被駆動プーリ9の回転方向を変えることができる。
【0074】
これにより、駆動プーリ2を一方向に回転させることで、フィルムをカートリッジ16から送り出すことができるとともに、駆動プーリ2を他方向に回転させることでフィルムをカートリッジ16内に巻き上げることができる。
【0075】
上述した駆動力伝達機構は、第1実施形態と同様にカメラ本体内に配置され、第1実施形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0076】
駆動力伝達機構を本実施形態の構成にすることで、第1実施形態のように1本のワイヤ1の両端を結束する必要がなくなる。また、本実施形態ではワイヤ1の両端が駆動プーリ2に固定されており、駆動プーリ2が回転することによりワイヤ1を直接引っ張る構造となっているため、ワイヤ1および駆動プーリ2間の摩擦力だけで駆動プーリ2の回転力をワイヤ1に伝達する第1実施形態に比べて動力伝達効率を向上させることができる。
【0077】
一方、ワイヤ1の両端が駆動プーリ2に固定されていると、上述したように駆動プーリ2の回転量は所定量に制限されるが、本実施形態のように駆動力伝達機構をカメラのフィルム給送機構に用いた場合、フィルムの給送動作は所定の回転量で足りるため、駆動プーリ2の回転量が制限されても問題とならない。
【0078】
なお、本実施形態では、1本のワイヤ1の両端部を駆動プーリ2に固定しているが、ワイヤ1の一端部を駆動プーリ2に固定し、他端部を被駆動プーリ9に固定するようにしてもよい。
【0079】
このような構造にした場合、まず駆動プーリ2にワイヤ1の一端部を固定して、プーリ部2aの外周面にワイヤ1を駆動プーリ2の回転量を確保する分だけ巻き付ける。そして、被駆動プーリ9のプーリ部9aの外周面にワイヤ1との摩擦力を発生させるに足る分だけワイヤ1を巻き付けてから、プーリ部2aの外周面にワイヤ1との摩擦力を発生させるに足る分だけワイヤ1を巻き付ける。最後に、プーリ部9aにワイヤ1の他端部を固定する。このとき、駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間には3本のワイヤ1が配置されるようになる。
【0080】
また、プーリ部2aにおけるワイヤ1の一端側の巻き付き領域と他端側の巻き付き領域とを分けるようにすれば、ワイヤ1の一端側と他端側とが絡まるのを防止することができる。
【0081】
例えば、プーリ部2aに形成される切り込み部2c、2dの切り込み深さを変えて、プーリ部2aに対するワイヤ1の両端の固定位置を変えることにより、ワイヤ1の巻き付き領域を分けることができる。また、プーリ部2aの外周面に、この周方向に延びる突条の仕切部を形成して、この仕切部を境とする両側にワイヤ1の巻き付き領域を形成することもできる。
【0082】
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態であるカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図であり、図6は本実施形態の駆動力伝達機構の上面図である。なお、第1実施形態と同じ部材については同一符号を用い、これらの部材については説明を省略する。
【0083】
本実施形態では、2本のワイヤ1、1’(第1の線状部材、第2の線状部材)を用いている。ワイヤ1は、一端部1aが駆動プーリ2のプーリ部2aに形成された切り込み部2cにはめ込まれて固定されているとともに、他端部1dが被駆動プーリ9のプーリ部9aに形成された切り込み部9eにはめ込まれて固定されている。また、ワイヤ1’は、一端部1’aがプーリ部2aに形成された切り込み部2dにはめ込まれて固定されているとともに、他端部1’dがプーリ部9aに形成された切り込み部9fにはめ込まれて固定されている。
【0084】
このようにワイヤ1、1’の両端がそれぞれ、駆動プーリ2および被駆動プーリ9に固定されることで、駆動プーリ2や被駆動プーリ9の回転量はワイヤ1、1’の長さに応じて制限される。例えば、駆動プーリ2が図5中時計方向に回転しながらワイヤ1を巻き取っていくと、ワイヤ1の他端部1dが被駆動プーリ9に固定されているため、駆動プーリ2は所定量以上は回転できなくなる。また、駆動プーリ2が図5中反時計方向に回転しながらワイヤ1’を巻き取っていくと、ワイヤ1’の一端部1’dが被駆動プーリ9に固定されているため、駆動プーリ2は所定量以上は回転できなくなる。
【0085】
本実施形態における駆動力伝達機構をフィルムを給送するための駆動力伝達機構に用いる場合、駆動プーリ2および被駆動プーリ9は上述したようにワイヤ1、1’の長さに応じて回転量が制限されるため、ワイヤ1、1’の長さを適宜設定する必要がある。
【0086】
すなわち、ワイヤ1の長さは、第2実施形態で説明したように、駆動プーリ2の回転に応じて回転する被駆動プーリ9(フォーク部9d)の回転量が、カメラ内に装填されたフィルムを全長にわたって給送できる程度の回転量となるように設定しておく必要がある。
【0087】
一方、ワイヤ1の取り付けは、図5に示すように、まずワイヤ1の一端部1aをプーリ部2aの切り込み部2cにはめ込み、プーリ部2aの外周面にワイヤ1を、駆動プーリ2を十分に回転させるだけの巻き数で弛むことなく巻き付ける。そして、ワイヤ1の他端部1dをプーリ部9aの切り込み部9eにはめ込む。
【0088】
また、ワイヤ1’の取り付けは、図5に示すように、まずワイヤ1’の他端部1’dをプーリ部9aの切り込み部9fにはめ込み、プーリ部9aの外周面にワイヤ1’を、被駆動プーリ9を十分に回転させるだけの巻き数で弛むことなく巻き付ける。そして、ワイヤ1’の一端部1’aをプーリ部2aの切り込み部2dにはめ込む。
【0089】
ワイヤ1、1’を駆動プーリ2および被駆動プーリ9に固定した後、板バネ5を駆動プーリ2および被駆動プーリ9の近傍に取り付けて、板バネ5の押圧部5bでワイヤ1、1’を付勢することにより、ワイヤ1、1’の弛みを防止する。
【0090】
図5に示すように、ワイヤ1、1’は、駆動プーリ2および被駆動プーリ9に弛むことなく巻き付けられているとともに、板バネ5により駆動プーリ2および被駆動プーリ9間のワイヤ1、1’の緩みをなくしているため、ワイヤ1、1’と駆動プーリ2との間及びワイヤ1、1’と被駆動プーリ9との間には十分な摩擦力が発生する。
【0091】
モータ7からの駆動力を受けた駆動プーリ2が図5中反時計方向に回転すると、駆動プーリ2はワイヤ1’を引張りながら巻き上げ、巻き上げられたワイヤ1’が被駆動プーリ9を引っ張ることにより被駆動プーリ9を反時計方向に回転させる。そして、被駆動プーリ9の回転によりワイヤ1がプーリ部9aに巻き取られる。
【0092】
ここで、図6中の白矢印や黒矢印で示すように駆動プーリ2の回転方向を変えることにより、被駆動プーリ9の回転方向を変えることができる。
【0093】
駆動力伝達機構を本実施形態の構成にすることで、第1実施形態のように1本のワイヤ1の両端を結束する必要がなくなる。また、本実施形態では、ワイヤ1の一端部1aおよびワイヤ1’の一端部1’aが駆動プーリ2に固定されているとともに、他端部1d、1’dが被駆動プーリ9に固定されており、駆動プーリ2を回転させることでワイヤ1やワイヤ1’を直接引っ張る構造となっているため、ワイヤ1、1’および駆動プーリ2間の摩擦力だけで駆動プーリ2の回転力をワイヤ1、1’に伝達する場合(第1実施形態)に比べて動力伝達効率を向上させることができる。
【0094】
一方、ワイヤ1、1’の両端が駆動プーリ2および被駆動プーリ9に固定されていることで、駆動プーリ2や被駆動プーリ9の回転量は所定量に制限されるが、本実施形態のように駆動力伝達機構をカメラのフィルム給送機構に用いた場合、フィルムの給送動作は所定の回転量で足りるため、駆動プーリ2や被駆動プーリ9の回転量が制限されても問題とならない。
【0095】
上述した駆動力伝達機構は、第1実施形態と同様にカメラ本体内に配置され、これにより第1実施形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0096】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、ワイヤ1の巻き取り機構に関するものである。図7は本実施形態におけるワイヤの巻き取り機構を示す斜視図であり、図8はワイヤの巻き取り動作を示す図である。これらの図において、第1実施形態と同じ部材については同一符号を用い、これらの部材については説明を省略する。
【0097】
図7において、21はウォームで、外周面にフォーム部21aが形成されており、駆動プーリ2にねじ4で固定されている。ウォーム21は、この径が駆動プーリ2のプーリ部2aの径よりも大きくなるように形成されており、駆動プーリ2に固定されることでプーリ部2aに巻き付けられたワイヤ1がプーリ部2aから脱落するのを防止するフランジの役割を果たしている。
【0098】
ギア3、ウォーム21および駆動プーリ2は、ねじ4で固定されているため、ギア3に不図示のモータからの駆動力が伝達されることで一体となって回転する。
【0099】
11はワイヤ位置可変部材(位置可変手段)であり、ウォーム部21aと噛み合う斜歯ギア部11aと、ワイヤ1の巻き上げ位置を変えるカム部11bと、回転軸11cとを有している。ここで、カム部11bは、回転軸11cに対して偏心している。22はワイヤ1と当接するプーリであり、ワイヤ1と当接することによりワイヤ1を所定の位置で走行させるようにしている。
【0100】
19は被駆動プーリ9の一方向(図7中反時計方向)だけの回転を許容するための歯車であり、ねじ4により被駆動プーリ9に固定されている。また、歯車19は、この径が被駆動プーリ9のプーリ部9aの径よりも大きくなるように形成されており、被駆動プーリ9に固定されることで、プーリ部9aに巻き取られたワイヤ1がプーリ部9aから脱落するのを防止するフランジとしての機能を有している。
【0101】
20は係合部材で、基端部において不図示のカメラ本体に回転可能に固定されており、先端部において歯車19と係合可能となっている。23は係合部材20の先端部を歯車19と係合する方向に付勢するバネである。
【0102】
上述した構成において、被駆動プーリ9がワイヤ1を送り出す方向に回転するときには、係合部材20の先端部と歯車19との係合が外れるようになっている。また、被駆動プーリ9がワイヤ1の送り出し方向と反対の方向に回転しようとするときには、係合部材20の先端が歯車19に係合することにより歯車19(被駆動プーリ9)の回転を阻止するようになっている。
【0103】
図8(A)において、ギア3が不図示のモータからの駆動力を受けて矢印A方向(図7中反時計方向)に回転すると、駆動プーリ2も一体となって回転して、ワイヤ1を巻き上げる。
【0104】
ここで、図8(A)に示す状態において、カム部11bの上死点はプーリ部2aの上端の位置と一致するようになっているため、ワイヤ1はプーリ部2aの上端に巻き付き始める。
【0105】
そして、ギア3が矢印A方向に回転すると、ウォーム部21aとワイヤ位置可変部材11の斜歯ギア部11aとの噛み合い作用により、ワイヤ位置可変部材11が回転軸11cを中心に矢印B方向に回転する。このとき、ワイヤ位置可変部材11のカム部11bがワイヤ1を図7中下方向に押し込むことで、プーリ部2aにおけるワイヤ1の巻き取り位置を変化させる。そして、ワイヤ位置可変部材11の回転に応じて、プーリ部2aにおけるワイヤ1の巻き取り位置はプーリ部2aの上端側から下端側に徐々に変位していく。
【0106】
ここで、駆動プーリ2が1回転する際に、ワイヤ1がワイヤ1の線径分だけ下方向に変位するように、ウォーム21aと斜歯ギア11aとの減速比を設定したり、カム部11bの形状を決定したりすることができる。これにより、ワイヤ1をプーリ部2aに隙間なく巻き付かせることができ、プーリ部2aにおける回転軸方向の長さを必要十分な長さにして駆動プーリ2が不必要に大型化するのを防止することができる。
【0107】
なお、本実施形態では、プーリ部2aの上端からワイヤ1を巻き取り始めているが、プーリ部2aの下端からワイヤ1を巻き取り始めてもよい。
【0108】
図8(B)は、図8(A)に示す状態から更にワイヤ位置可変部材11が矢印B方向に回転して、カム部11bが下死点にある状態を示している。ここで、カム部11bの下死点は、プーリ部2aの下端の位置と一致するようになっているため、ワイヤ1はプーリ部2aの下端に巻き付いている。
【0109】
図8(B)に示す状態において、駆動プーリ2の矢印A方向の回転とともに、ワイヤ位置可変部材11が矢印B方向に回転すると、プーリ部2aにおけるワイヤ1の巻き付き位置は下端から上端側に変位し始める。
【0110】
図8(C)は、ワイヤ位置可変部材11が図8(B)に示す状態から矢印B方向に回転し、カム部11bが再び上死点に来た状態をあらわしている。図8(B)に示す状態から図8(C)に示す状態に移行する間、カム部11bはプーリ部2aに対するワイヤ1の巻き付き位置を徐々に上げていく。
【0111】
本実施形態では、上述したようにカム部11bが上死点にあるときのワイヤ1の巻き付き位置をプーリ部2aの上端に位置するように設定しているので、カム部11bが上死点を越えて、さらに矢印B方向に回転すると、プーリ部2aに対するワイヤ1の巻き付き位置は徐々に下降し始める。
【0112】
上述したようにワイヤ巻き取り機構が図8(A)(B)(C)に示す状態を順に移行していくように動作することにより、駆動プーリ2によるワイヤ1の巻き上げ動作中にワイヤ1がプーリ部2aの上端と下端との間を行き来しながらプーリ部2aに巻き付くことになる。
【0113】
本実施形態によれば、駆動プーリ2に対するワイヤ1の巻き付き位置を変位させながら巻き上げ動作を行うため、ワイヤ1をプーリ部2aに巻き付ける際にワイヤ1が絡まるのを防止することができる。しかも、プーリ部2aの一部分だけにワイヤ1が巻き付くことによるこぶが生じるのを防止して、こぶ山からワイヤ1が脱線したり巻き取り不良が生じたりするのを防ぐことができる。また、プーリ部2aにワイヤ1が巻き付いた際における全体の径を徐々に変化させているため、フォーク部9d(カートリッジスプール)の回転数の安定化を図ることができる。
【0114】
また、本実施形態では駆動プーリ2の近傍に設けられたワイヤ位置可変部材11を開示したものであるが、被駆動プーリ9の近傍にワイヤ位置可変部材11を設けてもよい。この場合には、被駆動プーリ9の回転力でワイヤ位置可変部材11を駆動することになる。
【0115】
ここで、本実施形態では、駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間に配置された1本のワイヤ1を巻き取る場合について説明したが、上述した第1実施形態から第3実施形態の駆動力伝達機構のように駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間に2本のワイヤ1が配置されている場合も本実施形態を適用することができる。
【0116】
この場合、駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間に配置された2本のワイヤ1それぞれに当接するカム部11bをワイヤ位置可変部材11の両端に形成することができる。
【0117】
【発明の効果】
本発明によれば、環状の線状部材を第1の回転部材および第2の回転部材に複数回、巻き付かせることにより、第1の回転部材と線状部材との間に生じる摩擦力および第2の回転部材と線状部材との間に生じる摩擦力を利用して、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に伝達させるようにしている。このように、第1の回転部材から第2の回転部材への動力伝達に線状部材を用いることで、第1の回転部材と第2の回転部材とをギアで連結する場合に比べて部品配置スペースを小さくすることができ、カメラの小型化を図ることができる。しかも、第1の回転部材と第2の回転部材との間にギアを配置しないことで、ギア間の摩擦等は発生せず、動力伝達効率の低下を防止することができる。
【0118】
また、プーリ等を用いることにより線状部材を所望の方向に移動させることができるため、カメラ内のスペースを効率良く利用して線状部材を配置することができる。そして、従来技術で説明したように駆動源の出力軸と被駆動部材とがカメラの上下方向において極端に離れている場合でも、プーリ等を用いて線状部材をカメラの上下方向に移動させるようにすれば、長軸の上下連結ギアを用いる必要がなくなるため、カメラの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図。
【図2】第1実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の上面図。
【図3】第2実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図。
【図4】第2実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の上面図。
【図5】第3実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図。
【図6】第3実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の上面図。
【図7】第4実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の斜視図。
【図8】第4実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の動作状態側面図(A〜C)。
【図9】(A)第1実施形態であるカメラの上面図。
(B)第1実施形態であるカメラの正面図。
【符号の説明】
1、1’:ワイヤ 2:駆動プーリ 3:ギア 4:ビス
5:板バネ 6:ダボ 7:モータ 8:ピニオンギア
9:被駆動プーリ 10:フランジ
11:ワイヤ位置可変部材 12:ファインダ
13:電気素子光学系 14:ストロボ 15:プーリ
16:フィルムカートリッジ 17:フィルム室
18:撮影レンズ鏡筒 19:歯車 20:係合部材
21:ウォーム 22:プーリ 23:バネ
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動源の駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有する動力伝達手段及びこれを用いたカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フィルムカートリッジ(以下、カートリッジ)を用いた一般的な電動フィルム給送機構付き銀塩カメラでは、カートリッジ室内に収納されたカートリッジからフィルムを引き出してフィルム収納室内に巻き上げる巻上フィルム給送と、カートリッジから引き出されたフィルムをカートリッジ内に巻き戻す巻き戻しフィルム給送とが行われる。ここで、カートリッジ室およびフィルム収納室はそれぞれ、カメラ本体の左右に配置されており、中央にはレンズ鏡筒やレンズ鏡筒からの被写体光束が通過するアパーチャが設けられている。
【0003】
一方、フィルム収納室内にはフィルム巻上用の円筒状のスプールが設けられており、このスプールの内部には回転力駆動源となるモータが組み込まれている。このモータの回転軸にはピニオンギアが設けられており、このピニオンギアからモータの回転力を伝達させるようにしている。
【0004】
また、カートリッジ室には、このカートリッジ室内に収納されたカートリッジのスプールに係合するフォークと、このフォークを回転させるフォークギアとが設けられている。
【0005】
上述した構成において、モータの駆動力をフォークまで伝達させるには、ピニオンギアとフォークギアとの間に両者を連結する動力伝達機構を配置する必要がある。ここで、動力伝達機構としては、一般的に複数のギアで構成される減速ギア列が用いられる。
【0006】
しかし、減速ギア列を用いて動力伝達を行う場合、カメラが小型化されるに従って以下の問題が生じる。
【0007】
第一に、カメラが小型化されると、径の大きなギアを用いることが困難になり、径の小さなギアを多数接続してモータの駆動力を伝達しなければならないため、部品点数が増加したり、ギア間の摩擦等により動力伝達効率が低下したりしてしまう。
【0008】
第二に、例えばフォーク(フォークギア)がカートリッジ室の上側(カメラ本体の上側)に配置されているとともに、ピニオンギアがフィルム収納室の下側(カメラ本体の下側)に配置されている場合のように、駆動源の出力軸と被駆動部材とがカメラ本体の上下方向において極端に離れている場合、ギア列を用いて動力伝達を行うためには、カメラ本体の上側に配置されたギアと下側に配置されたギアとを連結するための上下連結ギアが必要になる。この上下連結ギアを用いる場合、カメラ本体内に上下連結ギアの配置スペースを確保しなければならず、平面内にギア列を配置する場合に比べて部品の配置スペースが広くなるため、カメラの小型化には適さない。
【0009】
第三に、ギア列により動力伝達を行う場合、各ギアにはギア同士が確実に噛み合うための厚みが必要になり、このギアの厚みやギアの径の大きさに応じた配置スペースを確保しなければならないため、カメラを小型化するには限度がある。
【0010】
そこで、上述した問題点に鑑み、特開平5−19341号公報では、環状のタイミングベルトを用いることにより、モータの回転力を被駆動部材に伝達するカメラの駆動装置が提案されている。この駆動装置によれば、環状のタイミングベルトのうち互いに向かい合う部分の間隔を狭めることができるため、この間隔を狭めた分だけカメラ本体内の配置スペースを小さくすることができ、カメラの小型化を図ることができる。
【0011】
また、特開平7−191415号公報において提案されている光学装置では、駆動力伝達機構の一部に線状部材を用いてモータの回転力を被駆動部材(走査系)の往復運動に変換している。同様に、特開昭58−36727号公報において提案されている動力伝達装置では、平行往復運動する移動体に線状部材を固定して、駆動源の駆動力を移動体の往復運動に変換している。
【0012】
上述したように線状部材を用いて被駆動部材を所定領域内で往復運動させる場合には、駆動力を伝達させる部材として線状部材を用いているため、ギア構成の場合に比べて駆動力伝達機構の小型化や部品点数の削減を図ることができるとともに、動力伝達間の介在物が無いため駆動力伝達効率も比較的良好となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−19341号公報で提案されている駆動装置では、環状のタイミングベルトのコストが高いため、駆動装置およびカメラのコストアップを招いてしまう。また、弾性体で構成されているタイミングベルトは温度変化により変形する恐れがあり、変形によりタイミングベルトの環径が広がった場合にはベルト歯が脱調してしまう。また、タイミングベルトの環径が縮まった場合にはプーリの軸損になるとともに、駆動力伝達効率が大きく変化してしまい、駆動源のトルクが被駆動部材の必要駆動トルクより十分高い場合でないと使えない問題がある。
【0014】
一方、特開平7−191415号公報の光学装置や特開昭58−36727号公報の動力伝達装置では、駆動源の回転力を被駆動部材(移動体)の平行往復運動に変換するだけであるため、上述したカメラのフィルム給送機構のようにフォークを回転させるといった被駆動部材の回転運動には適用することができない。
【0015】
また、特開平7−191415号公報では、装置本体に線状部材の両端を固定させて被駆動部材に線状部材を巻き付けた構成としているため、駆動源の駆動力を効率良く被駆動部材に伝達させるには、線状部材を弛ませないようにしなければならない。このためには、専用の部品が必要になり、部品点数の増加や装置の大型化を招いてしまう。
【0016】
さらに、特開昭58−36727号公報では、平行往復運動する移動体に線状部材を固定させているが、移動体の駆動中に発生する線状部材の巻き緩み防止対策、線状部材の巻き付き位置が変化することによる線状部材の絡み防止対策、線状部材の脱線防止対策などがなされていない。このため、駆動源の駆動力が移動体に確実に伝達されない恐れがある。
【0017】
また、平行往復運動する移動体に固定された2本の線状部材それぞれを別々のモータに連結した例も提案されているが、一つの移動体の平行往復駆動に対して複数のモータを使うと、駆動力伝達機構およびこの機構を搭載した装置の大型化およびコストアップを招いてしまう。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本願第1の発明は、駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラ又は動力伝達手段において、駆動力伝達機構が、駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、回転動作により被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、環状に形成され、第1の回転部材および第2の回転部材に複数回、巻き付けられており、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に伝達する線状部材とを有することを特徴とする。
【0019】
すなわち、環状の線状部材を第1の回転部材および第2の回転部材に複数回、巻き付かせることにより、第1の回転部材と線状部材との間に生じる摩擦力および第2の回転部材と線状部材との間に生じる摩擦力を利用して、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に伝達させるようにしている。このように、第1の回転部材から第2の回転部材への動力伝達に線状部材を用いることで、第1の回転部材と第2の回転部材とをギアで連結する場合に比べて部品配置スペースを小さくすることができ、カメラ(動力伝達手段)の小型化を図ることができる。しかも、第1の回転部材と第2の回転部材との間にギアを配置しないことで、ギア間の摩擦等は発生せず、動力伝達効率の低下を防止することができる。
【0020】
また、プーリ等を用いることにより線状部材を所望の方向に移動させることができるため、カメラ内のスペースを効率良く利用して線状部材を配置することができる。そして、従来技術で説明したように駆動源の出力軸と被駆動部材とがカメラの上下方向において極端に離れている場合でも、プーリ等を用いて線状部材をカメラの上下方向に移動させるようにすれば、長軸の上下連結ギアを用いる必要がなくなるため、カメラの小型化を図ることができる。
【0021】
本願第2の発明は、駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラ又は動力伝達手段において、駆動力伝達機構が、駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、回転動作により被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、第1の回転部材および第2の回転部材に複数回、巻き付けられているとともに、両端が第1の回転部材および第2の回転部材のいずれかの回転部材に固定されており、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に伝達する線状部材とを有することを特徴とする。
【0022】
本願発明についても本願第1の発明と同様の効果を得ることができる。そして、本願発明では、線状部材の両端が第1の回転部材および第2の回転部材のうち一方の回転部材に固定されているため、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に効率良く伝達させることができる。
【0023】
本願第3の発明は、駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラ又は動力伝達手段において、駆動力伝達機構が、駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、回転動作により被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、第1の回転部材および第2の回転部材のうち一方の回転部材に複数回、巻き付けられ、一端が第1の回転部材に固定されるとともに、他端が第2の回転部材に固定された第1の線状部材と、他方の回転部材に複数回、巻き付けられ、一端が第1の回転部材に固定されるとともに、他端が第2の回転部材に固定された第2の線状部材とを有し、第1の線状部材および第2の線状部材が、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に伝達可能であることを特徴とする。
【0024】
本願発明についても本願第1の発明と同様の効果を得ることができる。そして、本願発明は、第1の線状部材および第2の線状部材の両端がそれぞれ、第1の回転部材および第2の回転部材に固定されているため、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に確実に伝達させることができる。
【0025】
ここで、第1の回転部材および第2の回転部材のうち少なくとも一方の回転部材に巻き付く線状部材を、この一方の回転部材に密着させるように付勢する付勢部材を設けることができる。これにより、被駆動部材の駆動中に線状部材が弛んでも付勢部材の付勢によりこの弛みを解消することができ、線状部材の弛みによる動力伝達効率の低下を防止することができる。
【0026】
そして、付勢部材に、線状部材と係合する係合部を設ければ、付勢部材を絶えず線状部材に付勢させておくことができる。
【0027】
一方、光源を有して投光する投光光学系および受光面において集光する集光光学系を有するカメラ又は動力伝達手段において、線状部材を、投光光学系および集光光学系のうち少なくとも一方の光学系の内部を通過するように配置することができる。このように、光学系の内部に線状部材のような細い部材を配置しても、線状部材の影は受光面や投光側でぼけるため、光学性能に大きな影響を与えることはない。このため、線状部材を光学系を避けるように配置する必要がなくなる。
【0028】
また、第1の回転部材および第2の回転部材のうち少なくとも一方の回転部材の回転に連動して、一方の回転部材に対する線状部材の巻き付き位置を一方の回転部材の回転軸方向に変化させる位置可変手段を設けることができる。このように位置可変手段により、回転部材に対する線状部材の巻き付き位置を回転部材の回転軸方向で変えることにより、線状部材が回転部材に巻き付く際に線状部材が絡みつくのを防止することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態であるカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図であり、図2は駆動力伝達機構の上面図である。これらの図において、1はワイヤ(線状部材)であり、引張りに対して伸びにくくかつ引っ張り強度が大きく、熱による伸縮、湿度による膨張、強度低下も少ない材料で形成されている。このワイヤ1には例えば、タングステン線、ピアノ線又はアラミド繊維線を用いることができる。ここで、タングステン線やピアノ線は、アラミド繊維線のように編み込む必要がなく、単一線で大きな強度を得ることができる。
【0030】
2は駆動プーリ(第1の回転部材)で、ワイヤ1が巻き付く円柱状のプーリ部2aと、このプーリ部2aの外周面に巻き付いたワイヤ1がプーリ部2aから脱落するのを防ぐフランジ部2bとから成り、不図示のカメラ本体に回転可能に取り付けられている。
【0031】
3はギアであり、駆動プーリ2の回転軸方向に延びる突部に嵌合し、ビス4により駆動プーリ2に固定される。ここで、ギア3の径はプーリ部2aの径よりも大きく設定されているため、ギア3はプーリ部2aの外周面に巻き付いたワイヤ1がプーリ部2aから脱落するのを防ぐフランジ機能を有する。
【0032】
ギア3の外周側面には凹凸状のギア部3aが形成されており、このギア部3aは不図示の減速ギア列を介して後述するモータ7に連結している。ギア部3aがモータ7からの駆動力を受けると、ギア3は駆動プーリ2と一体となって回転する。
【0033】
5は略C字状に形成された板バネ(付勢部材)であり、プーリ部2aの外周に配置される。板バネ5の係止部5aは、カメラ本体に設けられた位置決めダボ6にはめ込まれ、これにより板バネ5の両端に形成された2つの押圧部5bが互いに近づくようになっている。
【0034】
ここで、2つの押圧部5bの間には後述するようにワイヤ1が配置されるため、押圧部5bはワイヤ1を付勢してワイヤ1の弛みを防止する。また、ワイヤ1を付勢することにより図2に示すように駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間に配置された2つのワイヤ1を互いに近づけることができるため、カメラ内の部品配置スペースを小さくすることができ、カメラの小型化を図ることができる。
【0035】
押圧部5bのうちワイヤ1と接する面には凹部5c(係合部)が形成されている。この凹部5cはワイヤ1と当接することでワイヤ1が押圧部5bから外れるのを防止するとともに、ワイヤ1の進行方向を決定している。
【0036】
なお、本実施形態では板バネ5を用いているが、テンションプーリ等のようにワイヤ1を押圧して、ワイヤ1の弛みを取るものであればどのような部材を用いてもよい。
【0037】
7は駆動源となるモータである。8はモータ7の回転軸に一体形成されたピニオンギアで、このピニオンギア8の回転力は不図示の減速ギア列を介してギア部3aに伝達される。なお、本実施形態では、モータ7からギア3への駆駆動力伝達機構はギア構成としたが、モータ7の駆動力をギア3に伝達できる機構であればどのような構成であってもよい。
【0038】
9は被駆動プーリ(第2の回転部材)であり、ワイヤ1が巻き付く円柱状のプーリ部9aと、このプーリ部9aに巻き付いたワイヤ1がプーリ部9aから脱落するのを防ぐフランジ部9bと、不図示のカメラ本体に回転可能に保持される軸部9cと、フィルムカートリッジに形成されたカートリッジスプールに係合するフォーク部9dとで構成されている。被駆動プーリ9のプーリ部9aの外周にも上述した板バネ5が配置される。
【0039】
10はフランジで、ビス4によりプーリ部9aに固定されることで被駆動プーリ9と一体となって回転する。フランジ10の径はプーリ部9aの径よりも大きくなるように形成されているため、フランジ10はプーリ部9aの外周面に巻き付いたワイヤ1がプーリ部9aから脱落するのを防ぐ機能を有している。
【0040】
上述した構成において、1本線のワイヤ1は両端を結束(A)して環状とした後、駆動プーリ2のプーリ部2aおよび被駆動プーリ9のプーリ部9aの双方に複数回、巻きつけられる。なお、初めから環状に形成されているワイヤ1をプーリ部2a、9aに巻き付けるようにしてもよい。
【0041】
ここで、プーリ部2a、9aの外周面にワイヤ1の径に応じたらせん状の溝を形成しておけば、ワイヤ1をプーリ部2a、9aに容易に巻き付けることができるとともに、ワイヤ1同士が絡まるのを防止することもできる。
【0042】
そして、駆動プーリ2と被駆動プーリ9は、ワイヤ1が緩まないように所定の軸間隔をおいてカメラ本体に取り付けられる。ここで、ワイヤ1は、図2に示すように板バネ5の押圧部5bにより矢印F方向の付勢力を受けるため、駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間におけるワイヤ1の長さが多少変化しても、ワイヤ1は適度な張力を維持したまま弛まないことになる。
【0043】
上述したように、ワイヤ1が駆動プーリ2および被駆動プーリ9に弛むことなく巻き付けられているとともに、板バネ5により駆動プーリ2および被駆動プーリ9間のワイヤ1の弛みをなくしているため、ワイヤ1と駆動プーリ2との間及びワイヤ1と被駆動プーリ9との間には十分な摩擦力が発生する。
【0044】
このため、モータ7からの駆動力を受けた駆動プーリ2が一方向に回転すると、駆動プーリ2は、一方でワイヤ1および駆動プーリ2間の摩擦力によりワイヤ1を巻き上げるとともに、他方で被駆動プーリ9側にワイヤ1を送り出す。一方、被駆動プーリ9は、駆動プーリ2によるワイヤ1の巻き上げ動作に応じてワイヤ1との摩擦力で回転し、この回転により駆動プーリ2から送り出されるワイヤ1を巻き上げる。
【0045】
上述した動作が連続して行われることで、駆動プーリ2の回転力が被駆動プーリ9に伝達される。ここで、図2の黒矢印および白矢印に示すように、駆動プーリ2の回転方向を変えることで被駆動プーリ9の回転方向を変えることができる。
【0046】
本実施形態では環状のワイヤ1を用いているため、駆動プーリ2が回転し続ける限りワイヤ1は移動し続け、これにより被駆動プーリ9も回転し続けることができる。
【0047】
ここで、ワイヤ1のプーリ部2a、9aへの巻き数を少なくすれば、ワイヤ1の巻き径の変化によるワイヤ1の緩みを減らすことができ、駆動プーリ2の回転数に対する被駆動プーリ9の回転数の乱れを少なくすることができる。また、ワイヤ1の巻き数を少なくすることで、プーリ部2a、9aの回転軸方向の長さを短くすることができるため、駆駆動力伝達機構を小型化することができる。なお、プーリ部2a、9aの径を同じ径にしたり異なる径にしたりしてもよい。
【0048】
図9は、上述した駆駆動力伝達機構を搭載したカメラの内部構成図である。ここで、図9(A)はカメラを上方から見た図であり、図9(B)はカメラを正面から見た図である。
【0049】
これらの図において、12aはカメラ本体前面に配置されたファインダ対物レンズである。12bはファインダ接眼ポロプリズムであり、ファインダ対物レンズ12aからの被写体光束を後述する接眼レンズ12cに導く。ここで、ファインダ接眼ポロプリズム12bのうちファインダ対物レンズ12a側の入射第一面が焦点面となっている。
【0050】
12cは接眼レンズであり、撮影者は接眼レンズ12cを覗くことにより被写体像を観察することができる。12dはファインダ光学系の光路を示し、実際に撮影者がファインダ像として見得る範囲の一部を示している。
【0051】
13aは受光光学系内に配置されたレンズであり、測光動作又は測距動作を行う際の検出光や、リモコンから送信された光信号を後述する受光素子に導く。13bは受光素子であり、カメラ動作を制御する不図示の制御部に受光量に応じた電気量を出力する。制御部は、受光素子13bの出力に応じて所定の制御動作を行う。
【0052】
13cは受光素子13bで受光される光の光路を示している。14aはカメラに設けられたストロボ装置の前面に配置されたフレネルレンズである。14bはストロボ装置内に配置されたキセノン管であり、カメラ本体内の制御部からの制御信号に基づいて発光動作を行う。14cはストロボ光の光路を示し、キセノン管14bで発光したストロボ光はフレネルレンズ14aを通過してカメラの前面側にいる被写体に照射される。
【0053】
15はワイヤ1の進行方向を切り換えるためのプーリ(中間部材)であり、カメラ本体内に回転可能に取り付けられている。プーリ15のうち回転軸方向の中央には、ワイヤ1が脱落しないように凹部15aが設けられている。16はフィルムを収納するカートリッジであり、カメラ本体内に形成されたカートリッジ室に収納可能である。カートリッジ16がカートリッジ室に収納された状態において、フォーク部9dはカートリッジに形成されたカートリッジスプール(被駆動部材)に係合する。
【0054】
被駆動プーリ9が回転するとカートリッジスプールも回転し、これによりカートリッジ16からフィルムが送り出されたり、カートリッジ16内にフィルムが巻き戻されたりする。
【0055】
17はカメラ本体内に形成されたフィルム室であり、カートリッジ16から送り出されたフィルムを巻き上げて収納する。18はレンズ鏡筒であり、カメラ本体内の制御部からの制御信号に応じてズーミングを行うことが可能である。
【0056】
図9に示すように、駆動プーリ2および被駆動プーリ9に巻き付けられたワイヤ1は、カメラ本体正面に向かって右側面に沿って配置されるとともに、ストロボ装置の近傍に配置されたプーリ15により進行方向を変えられてカメラ本体上面に沿って配置されている。
【0057】
また、ワイヤ1は、ストロボ光学系、受光光学系やファインダ光学系における集光面又は投光面の近傍であって、光学系の光路内を横切るように配置されている。ここで、ワイヤ1は極めて細い部材であるため、上述した光学系の光路内に配置されていても、ワイヤ1による影は光学系の集光面や投光側において実用上問題ない程度までぼけるため、各種光学系における光学性能に影響を与えることはない。なお、この場合にはワイヤ1の表面に光反射防止処理を施すのが好適である。
【0058】
また、不図示であるが、ワイヤ1を撮影光学系における焦点面(フィルムやCCD等の撮像面)以外の撮影光路内に配置したり、AF補助光や警告ランプといった投光光学系の光路内に配置したりしてもよい。さらに、プーリ15を複数用いてワイヤ1を各種光学系の光路外に配置することもできる。
【0059】
一方、ワイヤ1は極めて細くすることができるため、ワイヤ1の断面程度の隙間さえあればカメラ本体内のあらゆる場所を通すことができる。例えば、図9に示すようにフィルム室17の側面とカメラ本体の側面との間に形成された僅かな空間にワイヤ1を配置することができる。
【0060】
また、ワイヤ1は屈曲させることができるため、プーリ15を用いてワイヤ1の進行方向を変えれば、図9(B)に示すように直角に方向変換させることができるだけでなく、あらゆる方向に3次元的に方向変換させることができる。これにより、動力伝達経路の変更が容易になる。
【0061】
従来技術のように駆動力伝達機構として平歯ギアやタイミングベルトを用いた場合、カメラ本体横方向に配置するのが基本である。しかし、従来技術では動力伝達経路を変更する毎に、傘歯ギアやウォームギア等といった構造が複雑で大きなギアを使わなければならないため、部品点数が増加するとともに、駆動力伝達機構およびカメラが大型化してしまう。
【0062】
そこで、本実施形態における駆動力伝達機構をカメラに用いることにより、少ない部品で容易に動力伝達経路を変更することができるとともに、駆動力伝達機構の配置自由度を向上させることができ、カメラの小型化を図ることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、ピニオンギア8とフォーク部9dがカメラ本体の上下方向において離れて配置されているが、ピニオンギア8およびフォーク部9dがカメラ本体の上方又は下方に配置されている場合にも本実施形態を適用することができる。
【0064】
また、本実施形態では、駆動力伝達機構をフィルムの給送機構に適用した場合について説明したが、他の駆動機構、例えばレンズ鏡筒の繰り出し繰り込み機構に適用してもよい。
【0065】
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態であるカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図であり、図4は駆動力伝達機構の上面図である。なお、第1実施形態と同じ部材については同一符号を用い、これらの部材については説明を省略する。
【0066】
本実施形態において、1本の線で構成されるワイヤ1は、この両端部が第1実施形態のように結束されておらず、それぞれの端部が図3に示すように駆動プーリ2のプーリ部2aに形成された切り込み部2c、2dにはめ込まれて固定されている。これにより、駆動プーリ2の回転量は、ワイヤ1の長さに応じて制限され、駆動プーリ2が一方向に回転してワイヤ1を一端側から巻き取っていくと、他端側が駆動プーリ2に固定されているために、駆動プーリ2はこれ以上回転できないようになっている。
【0067】
本実施形態における駆動力伝達機構をフィルムを給送するための駆動機構に用いる場合、駆動プーリ2は上述したようにワイヤ1の長さに応じて回転量が制限されるため、ワイヤ1の長さを適切な長さに設定しておく必要がある。
【0068】
すなわち、駆動プーリ2の回転に応じて回転する被駆動プーリ9(フォーク部9d)の回転量が、カメラ内に装填されたフィルムを全長にわたって給送できる程度の回転量となるように、ワイヤ1の長さを予め設定しておく必要がある。
【0069】
一方、ワイヤ1の取り付けは、図3に示すように、まずワイヤ1の一端部1aを駆動プーリ2の切り込み部2dにはめ込み、プーリ部2aの外周面にワイヤ1を、駆動プーリ2を十分に回転させるだけの巻線で巻き付ける。そして、ワイヤ1の他端側をプーリ部9aの外周面に弛むことなく巻き付け、ワイヤ1の他端部1bをプーリ部2aの切り込み部2cにはめ込む。
【0070】
そして、板バネ5を駆動プーリ2および被駆動プーリ9の近傍に取り付けて、板バネ5の押圧部5bでワイヤ1を付勢することにより、ワイヤ1の弛みを防止するようにする。
【0071】
図4に示すように、ワイヤ1が駆動プーリ2および被駆動プーリ9に弛むことなく巻き付けられているとともに、板バネ5により駆動プーリ2および被駆動プーリ9間のワイヤ1の緩みをなくしているため、ワイヤ1と駆動プーリ2との間及びワイヤ1と被駆動プーリ9との間には十分な摩擦力が発生する。
【0072】
モータ7からの駆動力を受けた駆動プーリ2が一方向に回転すると、駆動プーリ2は、ワイヤ1および駆動プーリ2間の摩擦力およびワイヤ1の端部と切り込み部2c(2d)との連結により、一方でワイヤ1を巻き上げるとともに、他方でワイヤ1を送り出す。このとき、被駆動プーリ9はワイヤ1との摩擦力で回転し、この回転により駆動プーリ2から送り出されるワイヤ1を巻き上げる。
【0073】
上述した動作を連続させることで、駆動プーリ2の回転力が被駆動プーリ9に伝達される。ここで、図4の黒矢印および白矢印に示すように、駆動プーリ2の回転方向を変えることで被駆動プーリ9の回転方向を変えることができる。
【0074】
これにより、駆動プーリ2を一方向に回転させることで、フィルムをカートリッジ16から送り出すことができるとともに、駆動プーリ2を他方向に回転させることでフィルムをカートリッジ16内に巻き上げることができる。
【0075】
上述した駆動力伝達機構は、第1実施形態と同様にカメラ本体内に配置され、第1実施形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0076】
駆動力伝達機構を本実施形態の構成にすることで、第1実施形態のように1本のワイヤ1の両端を結束する必要がなくなる。また、本実施形態ではワイヤ1の両端が駆動プーリ2に固定されており、駆動プーリ2が回転することによりワイヤ1を直接引っ張る構造となっているため、ワイヤ1および駆動プーリ2間の摩擦力だけで駆動プーリ2の回転力をワイヤ1に伝達する第1実施形態に比べて動力伝達効率を向上させることができる。
【0077】
一方、ワイヤ1の両端が駆動プーリ2に固定されていると、上述したように駆動プーリ2の回転量は所定量に制限されるが、本実施形態のように駆動力伝達機構をカメラのフィルム給送機構に用いた場合、フィルムの給送動作は所定の回転量で足りるため、駆動プーリ2の回転量が制限されても問題とならない。
【0078】
なお、本実施形態では、1本のワイヤ1の両端部を駆動プーリ2に固定しているが、ワイヤ1の一端部を駆動プーリ2に固定し、他端部を被駆動プーリ9に固定するようにしてもよい。
【0079】
このような構造にした場合、まず駆動プーリ2にワイヤ1の一端部を固定して、プーリ部2aの外周面にワイヤ1を駆動プーリ2の回転量を確保する分だけ巻き付ける。そして、被駆動プーリ9のプーリ部9aの外周面にワイヤ1との摩擦力を発生させるに足る分だけワイヤ1を巻き付けてから、プーリ部2aの外周面にワイヤ1との摩擦力を発生させるに足る分だけワイヤ1を巻き付ける。最後に、プーリ部9aにワイヤ1の他端部を固定する。このとき、駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間には3本のワイヤ1が配置されるようになる。
【0080】
また、プーリ部2aにおけるワイヤ1の一端側の巻き付き領域と他端側の巻き付き領域とを分けるようにすれば、ワイヤ1の一端側と他端側とが絡まるのを防止することができる。
【0081】
例えば、プーリ部2aに形成される切り込み部2c、2dの切り込み深さを変えて、プーリ部2aに対するワイヤ1の両端の固定位置を変えることにより、ワイヤ1の巻き付き領域を分けることができる。また、プーリ部2aの外周面に、この周方向に延びる突条の仕切部を形成して、この仕切部を境とする両側にワイヤ1の巻き付き領域を形成することもできる。
【0082】
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態であるカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図であり、図6は本実施形態の駆動力伝達機構の上面図である。なお、第1実施形態と同じ部材については同一符号を用い、これらの部材については説明を省略する。
【0083】
本実施形態では、2本のワイヤ1、1’(第1の線状部材、第2の線状部材)を用いている。ワイヤ1は、一端部1aが駆動プーリ2のプーリ部2aに形成された切り込み部2cにはめ込まれて固定されているとともに、他端部1dが被駆動プーリ9のプーリ部9aに形成された切り込み部9eにはめ込まれて固定されている。また、ワイヤ1’は、一端部1’aがプーリ部2aに形成された切り込み部2dにはめ込まれて固定されているとともに、他端部1’dがプーリ部9aに形成された切り込み部9fにはめ込まれて固定されている。
【0084】
このようにワイヤ1、1’の両端がそれぞれ、駆動プーリ2および被駆動プーリ9に固定されることで、駆動プーリ2や被駆動プーリ9の回転量はワイヤ1、1’の長さに応じて制限される。例えば、駆動プーリ2が図5中時計方向に回転しながらワイヤ1を巻き取っていくと、ワイヤ1の他端部1dが被駆動プーリ9に固定されているため、駆動プーリ2は所定量以上は回転できなくなる。また、駆動プーリ2が図5中反時計方向に回転しながらワイヤ1’を巻き取っていくと、ワイヤ1’の一端部1’dが被駆動プーリ9に固定されているため、駆動プーリ2は所定量以上は回転できなくなる。
【0085】
本実施形態における駆動力伝達機構をフィルムを給送するための駆動力伝達機構に用いる場合、駆動プーリ2および被駆動プーリ9は上述したようにワイヤ1、1’の長さに応じて回転量が制限されるため、ワイヤ1、1’の長さを適宜設定する必要がある。
【0086】
すなわち、ワイヤ1の長さは、第2実施形態で説明したように、駆動プーリ2の回転に応じて回転する被駆動プーリ9(フォーク部9d)の回転量が、カメラ内に装填されたフィルムを全長にわたって給送できる程度の回転量となるように設定しておく必要がある。
【0087】
一方、ワイヤ1の取り付けは、図5に示すように、まずワイヤ1の一端部1aをプーリ部2aの切り込み部2cにはめ込み、プーリ部2aの外周面にワイヤ1を、駆動プーリ2を十分に回転させるだけの巻き数で弛むことなく巻き付ける。そして、ワイヤ1の他端部1dをプーリ部9aの切り込み部9eにはめ込む。
【0088】
また、ワイヤ1’の取り付けは、図5に示すように、まずワイヤ1’の他端部1’dをプーリ部9aの切り込み部9fにはめ込み、プーリ部9aの外周面にワイヤ1’を、被駆動プーリ9を十分に回転させるだけの巻き数で弛むことなく巻き付ける。そして、ワイヤ1’の一端部1’aをプーリ部2aの切り込み部2dにはめ込む。
【0089】
ワイヤ1、1’を駆動プーリ2および被駆動プーリ9に固定した後、板バネ5を駆動プーリ2および被駆動プーリ9の近傍に取り付けて、板バネ5の押圧部5bでワイヤ1、1’を付勢することにより、ワイヤ1、1’の弛みを防止する。
【0090】
図5に示すように、ワイヤ1、1’は、駆動プーリ2および被駆動プーリ9に弛むことなく巻き付けられているとともに、板バネ5により駆動プーリ2および被駆動プーリ9間のワイヤ1、1’の緩みをなくしているため、ワイヤ1、1’と駆動プーリ2との間及びワイヤ1、1’と被駆動プーリ9との間には十分な摩擦力が発生する。
【0091】
モータ7からの駆動力を受けた駆動プーリ2が図5中反時計方向に回転すると、駆動プーリ2はワイヤ1’を引張りながら巻き上げ、巻き上げられたワイヤ1’が被駆動プーリ9を引っ張ることにより被駆動プーリ9を反時計方向に回転させる。そして、被駆動プーリ9の回転によりワイヤ1がプーリ部9aに巻き取られる。
【0092】
ここで、図6中の白矢印や黒矢印で示すように駆動プーリ2の回転方向を変えることにより、被駆動プーリ9の回転方向を変えることができる。
【0093】
駆動力伝達機構を本実施形態の構成にすることで、第1実施形態のように1本のワイヤ1の両端を結束する必要がなくなる。また、本実施形態では、ワイヤ1の一端部1aおよびワイヤ1’の一端部1’aが駆動プーリ2に固定されているとともに、他端部1d、1’dが被駆動プーリ9に固定されており、駆動プーリ2を回転させることでワイヤ1やワイヤ1’を直接引っ張る構造となっているため、ワイヤ1、1’および駆動プーリ2間の摩擦力だけで駆動プーリ2の回転力をワイヤ1、1’に伝達する場合(第1実施形態)に比べて動力伝達効率を向上させることができる。
【0094】
一方、ワイヤ1、1’の両端が駆動プーリ2および被駆動プーリ9に固定されていることで、駆動プーリ2や被駆動プーリ9の回転量は所定量に制限されるが、本実施形態のように駆動力伝達機構をカメラのフィルム給送機構に用いた場合、フィルムの給送動作は所定の回転量で足りるため、駆動プーリ2や被駆動プーリ9の回転量が制限されても問題とならない。
【0095】
上述した駆動力伝達機構は、第1実施形態と同様にカメラ本体内に配置され、これにより第1実施形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0096】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、ワイヤ1の巻き取り機構に関するものである。図7は本実施形態におけるワイヤの巻き取り機構を示す斜視図であり、図8はワイヤの巻き取り動作を示す図である。これらの図において、第1実施形態と同じ部材については同一符号を用い、これらの部材については説明を省略する。
【0097】
図7において、21はウォームで、外周面にフォーム部21aが形成されており、駆動プーリ2にねじ4で固定されている。ウォーム21は、この径が駆動プーリ2のプーリ部2aの径よりも大きくなるように形成されており、駆動プーリ2に固定されることでプーリ部2aに巻き付けられたワイヤ1がプーリ部2aから脱落するのを防止するフランジの役割を果たしている。
【0098】
ギア3、ウォーム21および駆動プーリ2は、ねじ4で固定されているため、ギア3に不図示のモータからの駆動力が伝達されることで一体となって回転する。
【0099】
11はワイヤ位置可変部材(位置可変手段)であり、ウォーム部21aと噛み合う斜歯ギア部11aと、ワイヤ1の巻き上げ位置を変えるカム部11bと、回転軸11cとを有している。ここで、カム部11bは、回転軸11cに対して偏心している。22はワイヤ1と当接するプーリであり、ワイヤ1と当接することによりワイヤ1を所定の位置で走行させるようにしている。
【0100】
19は被駆動プーリ9の一方向(図7中反時計方向)だけの回転を許容するための歯車であり、ねじ4により被駆動プーリ9に固定されている。また、歯車19は、この径が被駆動プーリ9のプーリ部9aの径よりも大きくなるように形成されており、被駆動プーリ9に固定されることで、プーリ部9aに巻き取られたワイヤ1がプーリ部9aから脱落するのを防止するフランジとしての機能を有している。
【0101】
20は係合部材で、基端部において不図示のカメラ本体に回転可能に固定されており、先端部において歯車19と係合可能となっている。23は係合部材20の先端部を歯車19と係合する方向に付勢するバネである。
【0102】
上述した構成において、被駆動プーリ9がワイヤ1を送り出す方向に回転するときには、係合部材20の先端部と歯車19との係合が外れるようになっている。また、被駆動プーリ9がワイヤ1の送り出し方向と反対の方向に回転しようとするときには、係合部材20の先端が歯車19に係合することにより歯車19(被駆動プーリ9)の回転を阻止するようになっている。
【0103】
図8(A)において、ギア3が不図示のモータからの駆動力を受けて矢印A方向(図7中反時計方向)に回転すると、駆動プーリ2も一体となって回転して、ワイヤ1を巻き上げる。
【0104】
ここで、図8(A)に示す状態において、カム部11bの上死点はプーリ部2aの上端の位置と一致するようになっているため、ワイヤ1はプーリ部2aの上端に巻き付き始める。
【0105】
そして、ギア3が矢印A方向に回転すると、ウォーム部21aとワイヤ位置可変部材11の斜歯ギア部11aとの噛み合い作用により、ワイヤ位置可変部材11が回転軸11cを中心に矢印B方向に回転する。このとき、ワイヤ位置可変部材11のカム部11bがワイヤ1を図7中下方向に押し込むことで、プーリ部2aにおけるワイヤ1の巻き取り位置を変化させる。そして、ワイヤ位置可変部材11の回転に応じて、プーリ部2aにおけるワイヤ1の巻き取り位置はプーリ部2aの上端側から下端側に徐々に変位していく。
【0106】
ここで、駆動プーリ2が1回転する際に、ワイヤ1がワイヤ1の線径分だけ下方向に変位するように、ウォーム21aと斜歯ギア11aとの減速比を設定したり、カム部11bの形状を決定したりすることができる。これにより、ワイヤ1をプーリ部2aに隙間なく巻き付かせることができ、プーリ部2aにおける回転軸方向の長さを必要十分な長さにして駆動プーリ2が不必要に大型化するのを防止することができる。
【0107】
なお、本実施形態では、プーリ部2aの上端からワイヤ1を巻き取り始めているが、プーリ部2aの下端からワイヤ1を巻き取り始めてもよい。
【0108】
図8(B)は、図8(A)に示す状態から更にワイヤ位置可変部材11が矢印B方向に回転して、カム部11bが下死点にある状態を示している。ここで、カム部11bの下死点は、プーリ部2aの下端の位置と一致するようになっているため、ワイヤ1はプーリ部2aの下端に巻き付いている。
【0109】
図8(B)に示す状態において、駆動プーリ2の矢印A方向の回転とともに、ワイヤ位置可変部材11が矢印B方向に回転すると、プーリ部2aにおけるワイヤ1の巻き付き位置は下端から上端側に変位し始める。
【0110】
図8(C)は、ワイヤ位置可変部材11が図8(B)に示す状態から矢印B方向に回転し、カム部11bが再び上死点に来た状態をあらわしている。図8(B)に示す状態から図8(C)に示す状態に移行する間、カム部11bはプーリ部2aに対するワイヤ1の巻き付き位置を徐々に上げていく。
【0111】
本実施形態では、上述したようにカム部11bが上死点にあるときのワイヤ1の巻き付き位置をプーリ部2aの上端に位置するように設定しているので、カム部11bが上死点を越えて、さらに矢印B方向に回転すると、プーリ部2aに対するワイヤ1の巻き付き位置は徐々に下降し始める。
【0112】
上述したようにワイヤ巻き取り機構が図8(A)(B)(C)に示す状態を順に移行していくように動作することにより、駆動プーリ2によるワイヤ1の巻き上げ動作中にワイヤ1がプーリ部2aの上端と下端との間を行き来しながらプーリ部2aに巻き付くことになる。
【0113】
本実施形態によれば、駆動プーリ2に対するワイヤ1の巻き付き位置を変位させながら巻き上げ動作を行うため、ワイヤ1をプーリ部2aに巻き付ける際にワイヤ1が絡まるのを防止することができる。しかも、プーリ部2aの一部分だけにワイヤ1が巻き付くことによるこぶが生じるのを防止して、こぶ山からワイヤ1が脱線したり巻き取り不良が生じたりするのを防ぐことができる。また、プーリ部2aにワイヤ1が巻き付いた際における全体の径を徐々に変化させているため、フォーク部9d(カートリッジスプール)の回転数の安定化を図ることができる。
【0114】
また、本実施形態では駆動プーリ2の近傍に設けられたワイヤ位置可変部材11を開示したものであるが、被駆動プーリ9の近傍にワイヤ位置可変部材11を設けてもよい。この場合には、被駆動プーリ9の回転力でワイヤ位置可変部材11を駆動することになる。
【0115】
ここで、本実施形態では、駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間に配置された1本のワイヤ1を巻き取る場合について説明したが、上述した第1実施形態から第3実施形態の駆動力伝達機構のように駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間に2本のワイヤ1が配置されている場合も本実施形態を適用することができる。
【0116】
この場合、駆動プーリ2と被駆動プーリ9との間に配置された2本のワイヤ1それぞれに当接するカム部11bをワイヤ位置可変部材11の両端に形成することができる。
【0117】
【発明の効果】
本発明によれば、環状の線状部材を第1の回転部材および第2の回転部材に複数回、巻き付かせることにより、第1の回転部材と線状部材との間に生じる摩擦力および第2の回転部材と線状部材との間に生じる摩擦力を利用して、第1の回転部材の回転力を第2の回転部材に伝達させるようにしている。このように、第1の回転部材から第2の回転部材への動力伝達に線状部材を用いることで、第1の回転部材と第2の回転部材とをギアで連結する場合に比べて部品配置スペースを小さくすることができ、カメラの小型化を図ることができる。しかも、第1の回転部材と第2の回転部材との間にギアを配置しないことで、ギア間の摩擦等は発生せず、動力伝達効率の低下を防止することができる。
【0118】
また、プーリ等を用いることにより線状部材を所望の方向に移動させることができるため、カメラ内のスペースを効率良く利用して線状部材を配置することができる。そして、従来技術で説明したように駆動源の出力軸と被駆動部材とがカメラの上下方向において極端に離れている場合でも、プーリ等を用いて線状部材をカメラの上下方向に移動させるようにすれば、長軸の上下連結ギアを用いる必要がなくなるため、カメラの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図。
【図2】第1実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の上面図。
【図3】第2実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図。
【図4】第2実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の上面図。
【図5】第3実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の分解斜視図。
【図6】第3実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の上面図。
【図7】第4実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の斜視図。
【図8】第4実施形態のカメラにおける駆動力伝達機構の動作状態側面図(A〜C)。
【図9】(A)第1実施形態であるカメラの上面図。
(B)第1実施形態であるカメラの正面図。
【符号の説明】
1、1’:ワイヤ 2:駆動プーリ 3:ギア 4:ビス
5:板バネ 6:ダボ 7:モータ 8:ピニオンギア
9:被駆動プーリ 10:フランジ
11:ワイヤ位置可変部材 12:ファインダ
13:電気素子光学系 14:ストロボ 15:プーリ
16:フィルムカートリッジ 17:フィルム室
18:撮影レンズ鏡筒 19:歯車 20:係合部材
21:ウォーム 22:プーリ 23:バネ
Claims (16)
- 駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラにおいて、
前記駆動力伝達機構が、
前記駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、
回転動作により前記被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、
環状に形成され、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材に複数回、巻き付けられており、前記第1の回転部材の回転力を前記第2の回転部材に伝達する線状部材とを有することを特徴とするカメラ。 - 駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラにおいて、
前記駆動力伝達機構が、
前記駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、
回転動作により前記被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、
前記第1の回転部材および前記第2の回転部材に複数回、巻き付けられているとともに、両端が前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のいずれかの回転部材に固定されており、前記第1の回転部材の回転力を前記第2の回転部材に伝達する線状部材とを有することを特徴とするカメラ。 - 駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有するカメラにおいて、
前記駆動力伝達機構が、
前記駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、
回転動作により前記被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、
前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のうち一方の回転部材に複数回、巻き付けられ、一端が前記第1の回転部材に固定されるとともに、他端が前記第2の回転部材に固定された第1の線状部材と、
他方の回転部材に複数回、巻き付けられ、一端が前記第1の回転部材に固定されるとともに、他端が前記第2の回転部材に固定された第2の線状部材とを有し、
前記第1の線状部材および前記第2の線状部材が、前記第1の回転部材の回転力を前記第2の回転部材に伝達可能であることを特徴とするカメラ。 - 前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のうち少なくとも一方の回転部材に巻き付く前記線状部材を、この一方の回転部材に密着させるように付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカメラ。
- 前記付勢部材が、前記線状部材と係合する係合部を有することを特徴とする請求項4に記載のカメラ。
- フィルムを収納するフィルムカートリッジを収納するカートリッジ室を有し、
前記第2の回転部材が、前記カートリッジ室内に収納された前記フィルムカートリッジのスプール部材を駆動することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカメラ。 - 光源を有して投光する投光光学系および受光面において集光する集光光学系を有し、
前記線状部材が、前記投光光学系および前記集光光学系のうち少なくとも一方の光学系の内部を通過するように配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のカメラ。 - 前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のうち少なくとも一方の回転部材の回転に連動して、前記一方の回転部材に対する前記線状部材の巻き付き位置を前記一方の回転部材の回転軸方向に変化させる位置可変手段を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のカメラ。
- 駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有する動力伝達手段において、
前記駆動力伝達機構が、
前記駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、
回転動作により前記被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、
環状に形成され、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材に複数回、巻き付けられており、前記第1の回転部材の回転力を前記第2の回転部材に伝達する線状部材とを有することを特徴とする動力伝達手段。 - 駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有する動力伝達手段において、
前記駆動力伝達機構が、
前記駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、
回転動作により前記被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、
前記第1の回転部材および前記第2の回転部材に複数回、巻き付けられているとともに、両端が前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のうち一方の回転部材に固定されており、前記第1の回転部材の回転力を前記第2の回転部材に伝達する線状部材とを有することを特徴とする動力伝達手段。 - 駆動源からの駆動力を被駆動部材に伝達する駆動力伝達機構を有する動力伝達手段において、
前記駆動力伝達機構が、
前記駆動源からの駆動力を受けることにより回転可能な第1の回転部材と、
回転動作により前記被駆動部材に駆動力を伝達可能な第2の回転部材と、
前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のうち一方の回転部材に複数回、巻き付けられ、一端が前記第1の回転部材に固定されるとともに、他端が前記第2の回転部材に固定された第1の線状部材と、
他方の回転部材に複数回、巻き付けられ、一端が前記第1の回転部材に固定されるとともに、他端が前記第2の回転部材に固定された第2の線状部材とを有し、
前記第1の線状部材および前記第2の線状部材が、前記第1の回転部材の回転力を前記第2の回転部材に伝達可能であることを特徴とする動力伝達手段。 - 前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のうち少なくとも一方の回転部材に巻き付く前記線状部材を、この一方の回転部材に密着させるように付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の動力伝達手段。
- 前記付勢部材が、前記線状部材と係合する係合部を有することを特徴とする請求項12に記載の動力伝達手段。
- フィルムを収納するフィルムカートリッジを収納するカートリッジ室を有し、
前記第2の回転部材が、前記カートリッジ室内に収納された前記フィルムカートリッジのスプール部材を駆動することを特徴とする請求項9から13のいずれかに記載の動力伝達手段。 - 光源を有して投光する投光光学系および受光面において集光する集光光学系を有し、
前記線状部材が、前記投光光学系および前記集光光学系のうち少なくとも一方の光学系の内部を通過するように配置されていることを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載の動力伝達手段。 - 前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のうち少なくとも一方の回転部材の回転に連動して、前記一方の回転部材に対する前記線状部材の巻き付き位置を前記一方の回転部材の回転軸方向に変化させる位置可変手段を有することを特徴とする請求項9から15のいずれかに記載の動力伝達手段。
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---|---|---|---|---|
JP2010014270A (ja) * | 2008-06-30 | 2010-01-21 | Samsung Electronics Co Ltd | 駆動装置及びこれを有するロボット |
JP2015001237A (ja) * | 2013-06-13 | 2015-01-05 | Nke株式会社 | 駆動装置 |
CN113286958A (zh) * | 2019-01-16 | 2021-08-20 | 詹尼斯机器人移动技术有限公司 | 皮带轮和线缆布置 |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002184152A patent/JP2004029283A/ja active Pending
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