JP2001142115A - 撮影装置 - Google Patents

撮影装置

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JP2001142115A
JP2001142115A JP32138299A JP32138299A JP2001142115A JP 2001142115 A JP2001142115 A JP 2001142115A JP 32138299 A JP32138299 A JP 32138299A JP 32138299 A JP32138299 A JP 32138299A JP 2001142115 A JP2001142115 A JP 2001142115A
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motor
optical
light
strobe
magnet
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JP32138299A
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Inventor
Tsutomu Aoshima
力 青島
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Original Assignee
Canon Inc
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  • Stroboscope Apparatuses (AREA)
  • Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 撮影動作に連動して自動的にストロボ発光部
をポップアップさせる場合、モータや電磁石装置等の専
用の駆動源が必要となる。 【解決手段】 装置本体28に対して突出・収納が可能
であるとともに、ストロボユニットS内に、ストロボ光
の照射角の変更機構を駆動するモータMを配置した撮影
装置において、ストロボユニットを装置本体に対して収
納状態にて係止する係止手段16と、ストロボユニット
を突出方向に付勢する付勢手段31とを設け、上記モー
タの駆動力により係止手段によるストロボユニットの装
置本体に対する係止が解除されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストロボ光の照射
角を変化させることができるストロボユニットを備えた
撮影装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カメラ等の撮影装置に用いられているス
トロボ装置に関して、光源から様々な方向に射出した光
束を効率良く必要照射画角内に集光させるために、従来
種々の提案がなされている。
【0003】特に近年では、従来光源の前に配置されて
いたフレネルレンズの代わりに、プリズム・ライトガイ
ド等の全反射を利用した光学部材を配置することによっ
て、集光効率の向上や小型化を図ったものが提案されて
いる。
【0004】一方、照射角固定タイプの照明装置では、
撮影装置の高倍率ズーム化に伴なって照射角の狭いテレ
状態で不要範囲に照明が行われ、エネルギロスが大きく
なるという問題がある。この現象を解消するため、従
来、撮影範囲に対応したストロボ照明を行える照射角可
変のストロボ装置が各種提案されている。
【0005】ところで、上記2種の技術を応用したスト
ロボ照明系として、本出願人は、特開平4−13843
9号公報にて提案しているように、光学プリズムで全反
射を行う集光光学系に対して、光学プリズムと光源との
位置関係を相対的に変化させるようにして、全反射面で
の反射、透過を切り替えて照射角を変化させるものがあ
る。
【0006】また、特開平8−262538号公報にて
提案されているように、光学プリズムを複数に分割し、
上下に配置した光学プリズムを回動させて照射角を切り
替えるものも提案されている。
【0007】近年カメラ等の撮影装置においては、装置
自体の小型・軽量化が進む一方、撮影レンズは、高倍率
ズーム化の傾向にある。一般的に、このような撮影装置
の小型化かつ高倍率化によって撮影レンズは徐々に暗く
なる傾向にあり、補助光源を使用しないで撮影すると、
手ぶれによって予想外の失敗写真になる可能性がある。
【0008】この状況を打開するため、カメラ等の撮影
装置では、補助光源としてのストロボ装置を内蔵してい
るものがあるが、上記のような状況から、このストロボ
装置の使用頻度が従来までに比べて大幅に増加すると共
に、1回の撮影に必要とされる発光量も増える傾向にあ
る。
【0009】このような背景から、上記特開平4−13
8439号公報には、ストロボ装置の前面に、主に光源
の側方に射出した光束を光学部材に入射させた後、全反
射させて一定方向に集光させる上下2つの面と、これと
は別に、正面に形成した正の屈折力を持つ集光面とで構
成され、それぞれの面によって集光させた後、同一射出
面から被写体側に射出させる集光光学系(光学プリズ
ム)を設けるとともに、この光学プリズムと光源との位
置関係を相対的に変化させるようにして、全反射面での
反射、透過を切り替えて照射角を変化させるものが提案
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平4−138439号公報にて提案の方式で正確な照
射角設定を行うためには、全反射・透過切り換えの面形
状の制約が大きいため、光学プリズムの形状の設計自由
度が少ないこと、また透過成分の入射出時の光量損失が
大きくなること、さらには光源の有効発光部の大きさが
配光にかなり影響すること等、設計上困難な課題が残さ
れている。
【0011】一方、上記特開平8−262538号公報
にて提案されているように、光学プリズムを複数に分割
し、上下に配置した光学プリズムを回動させることによ
り照射角を切り替えるものでは、基本的に全反射光成分
の照射方向だけを全体にシフトさせているだけで、配光
分布特性そのものは変化させていないため、必ずしも各
ズームポイントで均一な配光が得られない。すなわち、
上記提案では、上下そして中央の3つの領域が重なった
時に、最集光状態を形成し、そこから光学プリズムを回
動させて上下の配光の分布を徐々に外側にずらすことに
より照射角を広げる方式を採っている。
【0012】しかし、この変化の課程で、上下と中央の
各配光分布の重ね合わせの部分では不連続点が生じ、照
射角全域としては必ずしも均一な分布が得られず、部分
的に照度むらとなる不均一なポイントが存在する。ま
た、上記構成では、上下、中央の3つの光学プリズムを
必要とし、また、2つの光学プリズムを同期させて動か
さなければならないために、メカ部品構成が複雑になる
など、コストが割高になってしまうという欠点がある。
【0013】また、照射角を切り替える場合、撮影レン
ズ鏡筒の焦点距離を変えるモータあるいは撮影レンズ鏡
筒の動きに連動してストロボ装置の光学プリズムを回動
させたり光学部材の位置を変えたりする連動機構が必要
である。
【0014】しかし、この連動機構により機構の複雑化
を招いたり、装置のコンパクト性を損ねたり、さらには
ストロボ装置のレイアウトの自由度が失われたりすると
いう欠点がある。
【0015】また、ストロボ装置をカメラに内蔵する場
合、赤目撮影を防止するためにストロボ発光部を撮影レ
ンズ光軸からできるだけ離す必要があり、撮影時にはス
トロボ発光部をポップアップさせる機構があるのが望ま
しい。
【0016】しかし、撮影動作に連動して自動的にスト
ロボ発光部をポップアップさせるためにはモータや電磁
石装置等の専用の駆動源が必要となり、コンパクト性を
損ねたりコストアップを招いたりするという欠点があ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、装置本体に対して突出・収納が可能
であるとともに、ストロボユニット内に、ストロボ光の
照射角の変更機構を駆動するモータを配置した撮影装置
において、ストロボユニットを装置本体に対して収納状
態にて係止する係止手段と、ストロボユニットを突出方
向に付勢する付勢手段とを設け、上記モータの駆動力に
より係止手段によるストロボユニットの装置本体に対す
る係止が解除されるようにしている。
【0018】すなわち、ストロボ光源等とともにストロ
ボユニット内に配置され、照射角変更駆動を行うモータ
を、係止手段を係止解除駆動してストロボユニットの突
出動作(ポップアップ等)を起動させる駆動源として兼
用することにより、コンパクト性を損なわずにコストア
ップを最小限に抑えた、自動ポップアップ式のストロボ
付き撮影装置を実現することが可能となる。
【0019】また、ストロボユニット内に配置されたモ
ータによって照射角変更駆動を行う構成とすることによ
り、ストロボ光の照射角を変更するために必要な機構も
単純化することが可能となる。これにより、従来のよう
に撮影レンズ鏡筒の焦点距離を変えるモータの駆動力を
照射角変更のために用いたり、撮影レンズ鏡筒の動きに
連動してストロボ照射角を変えたりするための複雑な機
構が不要となり、ストロボユニットのレイアウトの自由
度が増加する。また、機構が単純化されることにより、
機構内のがたも少なくすることが可能となり、精度良く
照射角を変更することができるようになる。
【0020】さらに、上記ストロボユニットには、スト
ロボ光源よりも光軸方向前方に配置され、ストロボ光源
からの光のうち少なくとも一部を光軸方向前方に向けて
全反射させる第1の光学部材と、この第1の光学部材よ
りも光軸方向前方に配置された第2の光学部材とを設
け、上記照射角変更機構により、第1の光学部材と第2
の光学素子との光軸方向相対距離を変化させてストロボ
光照射角を変更させる照射光学系を搭載するのが好まし
い。これにより、簡単かつコンパクトな構成でストロボ
光の照射角を変更することが可能となり、さらには各照
射角において良好な配光分布を得ることが可能となる。
【0021】そして、係止手段が、上記モータによって
駆動される照射角変更機構の構成部材を介して係止解除
側に駆動されるようにすれば、係止手段を駆動するため
に特別な機構を設ける必要がなくなり、上記照射角変更
機構や照射光学系の簡略化と相まって、よりコンパクト
で低コストの自動ポップアップ式のストロボ付き撮影装
置を実現することが可能となる。
【0022】なお、このようなストロボユニット内に配
置されるモータとしては、周方向に交互に異なる極に着
磁された外周面を少なくとも有する円筒形状のロータ
と、このロータに対して軸方向に並んで配置された円筒
形状のコイルと、ロータ軸方向に歯状に延びるとともに
ロータにおける外周面および内周面にそれぞれ対向配置
されてコイルにより励磁される外側磁極部および内側磁
極部を備えたステータとを有して構成されるものが適す
る。
【0023】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図8および図1
5には、本発明の第1実施形態であるカメラ(撮影装
置)を示している。この図において、28はカメラ本体
(外装カバー)であり、27はカメラ本体28に対して
沈胴・繰り出しが可能な撮影レンズ鏡筒27である。
【0024】Sはカメラ本体28に対して上方突出(以
下、ポップアップという)・収納可能に設けられたスト
ロボユニットであり、29はストロボユニットSのケー
スである。ケース29の前面開口内には光学パネル(第
2の光学部材)1が配置されている。
【0025】21はレリーズスイッチ、22はカメラの
各種モードを切り替えるための操作スイッチ、23はカ
メラの動作をユーザーに知らせるための液晶表示パネ
ル、24は外光の明るさを測定する測光装置の受光窓、
25はファインダーの覗き窓、26はカートリッジ型の
フィルムを装填するためのカートリッジ装填室の開閉蓋
である。
【0026】また、図12から図14には上記ストロボ
ユニットの内部構成を示している。これらの図におい
て、3はストロボ光源であるストロボ光放電管(キセノ
ン管)、4はストロボ光放電管3の後面を覆うように配
置された反射笠、2はストロボ光放電管3よりも光軸方
向前方であって、光学パネル1よりも後方に配置された
光学プリズム(第2の光学部材)である。
【0027】Mはモータである。光学プリズム2の両側
面2eは、照射光軸前方に向かって広がる斜面形状とな
っており、モータMは、ストロボユニットS内における
光学プリズム2の斜面(側面)2eの裏側のスペース
に、光学プリズム2の高さ方向にモータ軸が延びるよう
に配置されている。なお、モータMの具体的構成につい
ては後述する。
【0028】10はモータMの出力軸に取り付けられた
ピニオンギヤ、11はピニオンギヤ10に噛み合うギヤ
部11aを有する偏心部材である。この偏心部材11の
上下に設けられた軸部11b,11cは、不図示のスト
ロボユニット本体に回転可能に保持されている。偏心部
材11には、回転中心となる軸部11b,11cに対し
て偏心した円筒カム部11dが形成されている。
【0029】12は不図示のストロボユニット本体に取
り付けられたフォトリフレクタであり、偏心部材11の
ギヤ部11aの平面上に形成された穴11eを検出する
ことにより、偏心部材11の回転位置を検知することが
可能となる。
【0030】13は駆動レバーであり、この駆動レバー
13の中間部上下に設けられた軸部13a,13bはス
トロボユニット本体に回転可能に保持されている。この
駆動レバー13の一端側には嵌合溝13cが形成されて
おり、この嵌合溝13cには偏心部材11の円筒カム部
11dが摺動可能に嵌合している。また、駆動レバー1
3の他端側にも嵌合溝13dが形成されており、この嵌
合溝13dには、光学パネル1に設けられたピン1cが
摺動可能に嵌合している。
【0031】光学パネル1の側面上下には、円形断面を
有して光軸方向に延びるガイド穴が形成されたガイド部
1aと、長円断面を有して光軸方向に延びるガイド穴が
形成された補助ガイド部1bとがそれぞれ形成されてい
る。これらガイド部1a,1bのガイド穴は、ユニット
本体に固定保持されているガイド棒14および補助ガイ
ド棒15に対して摺動可能に嵌合しており、これにより
光学パネル1は光軸方向(矢印A方向)にガイドされな
がら移動できる。
【0032】このような構成において、モータMの回転
がピニオンギヤ10を介して偏心部材11に伝達され、
これが回転すると、偏心部材11の円筒カム部11dの
偏心回転により駆動レバー13が軸部13a,13bを
中心に矢印A方向に揺動する。そして、駆動レバー13
の揺動量に応じた矢印A方向位置に光学パネル1が位置
出しされ、光学パネル1と光学プリズム2との相対距離
が変更される。
【0033】この際、不図示の制御回路は、フォトリフ
レクタ12による偏心部材11の穴11eの検出を通じ
て偏心部材11の初期位置検知を行い、その後、モータ
Mの回転量を制御することにより光学パネル1の位置制
御、つまりは照射角の制御を行なう。また、本実施形態
では、偏心軸11の一方向の回転によって光学パネル1
を矢印A方向に移動させる構成を採っているので、構成
が簡単であり、部品同士の干渉による故障も少なくな
る。
【0034】なお、ピニオンギヤ10、偏心部材11、
駆動レバー13および光学パネル1により、請求の範囲
にいう照射角変更機構が構成される。
【0035】このように、本実施形態によれば、ストロ
ボユニットSに内蔵されたモータMによりストロボ照射
角を変更することができるので、従来のように撮影レン
ズ鏡筒の焦点距離を変えるモータの駆動力を照射角変更
のために用いたり、撮影レンズ鏡筒の動きに連動してス
トロボ照射角を変えたりするための複雑な機構が不要と
なり、ストロボユニットSのレイアウトの自由度が増加
する。また、機構が単純化されることにより、機構内の
がたも少なくすることが可能となり、精度良く照射角を
変更することができる。
【0036】16は係止レバー(請求の範囲にいう係止
手段)であり、この係止レバー16に形成された、矢印
A方向に延びる長穴16a,16bには、ストロボユニ
ットSのケース29に設けられたダボ29f,29gが
嵌合している。これにより、係止レバー16は矢印A方
向にガイドされながら移動できる。
【0037】30は引っ張りスプリングであり、その後
端はケース29に形成されたダボ29hに、前端は係止
レバー16の中間部に形成された腕16cにそれぞれ掛
けられている。このため、係止レバー16は、矢印A方
向後方に付勢される。
【0038】また、係止レバー16の前端には係合部1
6fが形成されており、この係合部16fは駆動レバー
13における軸13a,13bよりも嵌合溝13c側に
設けられたダボ13eと係合している。
【0039】このため、モータMの回転により偏心部材
11が回転され、これに応じて駆動レバー13が揺動す
ると、駆動レバー13のダボ13eと係止レバー16の
係合部16fとの係合により係止レバー16も矢印A方
向に移動する。ケース29の後面には、係止レバー16
の後端に形成された係止部16dの出入りが可能な開口
29aが形成されている。駆動レバー13が矢印A方向
後方に揺動すると、係止レバー16の係止部16dは上
記開口29aから突出し、駆動レバー13が矢印A方向
前方に揺動すると、係止レバー16の係止部16dはケ
ース29内に引き込まれる。
【0040】図16および図17には、ストロボユニッ
トSの外部構成を示している。32はカメラ本体(内部
ユニット本体)である。ストロボユニットSのケース2
9の下部には、腕29bが下方に延びるように形成され
ている。この腕29bには、上下方向に延びる長穴29
c,29dが形成されており、これら長穴29c,29
dには、カメラ本体32に形成されたダボ32a,32
bが摺動可能に嵌合している。
【0041】また、31は引っ張りスプリング(請求の
範囲にいう付勢手段)であり、その上端はカメラ本体3
2に形成されたダボ32cに、下端はケース29に形成
された腕29eにそれぞれ掛けられている。このため、
ケース29(ストロボユニットS)はカメラ本体32に
対してポップアップ方向である上方向に常時付勢され
る。
【0042】図17に示すように、係止レバー16の係
止部16dは、ケース29の開口29aから後方外側に
突出した状態では、カメラ本体(外装カバー)28に形
成された係止溝28aと係合が可能であり、係合してい
る状態では、ストロボユニットSは、引っ張りスプリン
グ31の付勢力に抗して図17に示す位置、すなわち収
納位置に係止される。
【0043】そしてこの状態からモータMが回転して係
止レバー16がケース29内に引き込まれると、係止部
16dと係合溝28aとの係合が解除され、ストロボユ
ニットSは引っ張りスプリング31の付勢力によりポッ
プアップする。
【0044】以上のように、ポップアップ可能なストロ
ボユニットS内に搭載されたモータMは、ストロボ光の
照射角を変更する機能と、ポップアップの係止を解除す
る(ポップアップを起動させる)機能とを併せ持つ。こ
のため、コンパクト性を損なわずに、かつコストアップ
を最小限に抑えた自動ポップアップ式のストロボユニッ
ト付きカメラを実現することができる。
【0045】また、本実施形態では、係止レバー16
を、モータMによって駆動される照射角変更機構の構成
部材である駆動レバー13に係合させて係止解除駆動す
る構成としているため、モータMの駆動力を係止レバー
16に伝達するための特別な機構が不要となり、照射角
変更機構自体の簡略化と相まって、ストロボユニットS
内の機構を簡単かつコンパクトにすることができる。
【0046】次に、上記ストロボユニットS内に搭載さ
れるモータMの具体的構成について、図1から図3を用
いて説明する。なお、図1はモータMの分解斜視図であ
り、図2はモータMの組み立て後の軸方向の断面図であ
る。また、図3は、図2のE−E線での断面図である。
【0047】これらの図において、101はロータを構
成する円筒形状のマグネットであり、このマグネット1
01の外周表面は、周方向にn分割(本実施形態では4
分割)され、各分割領域にはS極とN極とが交互に着磁
されている。すなわち、分割領域を着磁部101a,1
01b,101c,101dとすると、着磁部101
a,101cがS極に、着磁部101b,101dがN
極に着磁されている。
【0048】また、マグネット101はプラスチックマ
グネット材料による射出成形によって形成されている。
これにより、マグネット101の径方向の厚さを非常に
薄くすることができる。
【0049】また、図2に示すように、マグネット10
1の軸方向一端側には内径が小さな嵌合部101eが形
成されている。
【0050】107はロータ軸となる出力軸であり、こ
の出力軸107はマグネット101の嵌合部101eに
圧入にて固着されている。上述したように、マグネット
101はプラスチックマグネット材料による射出成形に
より形成されるため、圧入による組み立てでも割れが発
生することはなく、また軸方向一端側に内径が小さな嵌
合部101eを備えるという複雑な形状でも製造が容易
である。
【0051】また、出力軸107とマグネット101と
は圧入により組み立ておよび固着されるので、組み立て
が容易で安価で製造可能となる。
【0052】特に、マグネット101の材料として、N
d−Fe−B系希土類磁性粉とポリアミドなどの熱可塑
性樹脂バインダー材との混合物からなるプラスチックマ
グネットを用いている。これにより、コンプレッション
成形されたマグネットの場合の曲げ強度が500Kgf
/cm2 程度なのに対して、例えばポリアミド樹脂をバ
インダー材として使用した場合、800Kgf/cm2
以上の曲げ強度が得られ、コンプレッション成形ではで
きない、薄肉円筒形状を形成することができる。そし
て、マグネット101を薄肉円筒形状としたことによ
り、後述するようにモータMの性能を高める。
【0053】また、プラスチックマグネット材の射出成
形を用いることにより、マグネット101の形状を自由
にすることができ、コンプレッション成形ではできな
い、ロータ軸を固着するための形状を一体化でき、かつ
充分なロータ軸固着強度を得ることができる。さらに、
強度的にも優れているため、ロータ軸を圧入などの方法
を用いても割れることはない。
【0054】また、ロータ軸固着部が一体成形されたこ
とにより、出力軸107に対してマグネット101の同
軸精度が向上し、回転時の振れを少なくすることができ
る。これにより、マグネット101と後述するステータ
との間に必要な空隙距離を小さくすることが可能にな
り、コンプレッションマグネットの磁気特性8MGOe
以上に対して射出成形マグネットの磁気特性は5〜7M
GOe程度であるが、モータの充分な出力トルクを得る
ことができる。
【0055】また、射出成形マグネットは、表面に薄い
樹脂皮膜が形成されるため、錆の発生がコンプレッショ
ンマグネットに比較して大幅に少ない。したがって、塗
装などの防錆処理を廃止することができる。
【0056】また、コンプレッションマグネットで問題
になる、磁性粉の付着もなく、防錆塗装時に発生しやす
い表面のふくらみもなく、品質の向上が達成できる。
【0057】102は円筒形状のコイルである。このコ
イル102は、マグネット101と同心で、かつマグネ
ット101の軸方向に並んで配置されている。コイル1
02の外径は、マグネット101の外径とほぼ同じ寸法
である。
【0058】118は軟磁性材料からなるステータで、
外筒および内筒から構成されている。ステータ118の
外筒および内筒の間には、コイル102が配置され、こ
のコイル102に通電されることによりステータ118
が励磁される。ステータ118の外筒および内筒は、そ
の先端部が外側磁極部118a,118bおよび内側磁
極部118c,118dを形成している。内側磁極部1
18cと内側磁極部118dの位相は互いに同位相とな
るように、360/〈n/2〉度、すなわち180度ず
れて形成されている。
【0059】また、内側磁極部118cに対して外側磁
極部118aが対向配置されており、内側磁極部118
dに対して外側磁極部118bが対向配置されている。
さらに、外側磁極部118a,118bは、これら外側
磁極部118a,118bの間の切り欠きとモータ軸と
に平行に延出する歯状に形成されている。
【0060】このような構成により、モータMの直径を
最小限にしつつ、磁極部の形成が可能となる。仮に、外
側磁極部を径方向に延びる凹凸で形成すると、その分モ
ータの直径は大きくなってしまうが、本実施形態のよう
に、外側磁極部を上記切り欠きとモータ軸とに平行に延
出する歯状に形成することにより、モータMの直径を最
小限に抑えることができる。
【0061】外側磁極部118a,118bおよび内側
磁極部118c,118dは、マグネット101の薄肉
円筒部分の外周面および内周面に対向して、マグネット
101の他端側を挟み込むように配置されている。
【0062】したがって、コイル102により発生する
磁束は、外側磁極部118a,118bおよび内側磁極
部118c,118dとの間のマグネット101を横切
るので、効果的にマグネット101に作用し、モータM
の出力を高める。
【0063】また、マグネット101は、上述したよう
に非常に薄く形成されているので、外側磁極部118
a,118bと内側磁極部118c,118dとの距離
を非常に小さくでき、コイル102とステータ118に
より形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることが
できる。これにより、少ない電流で多くの磁束を発生さ
せることができ、モータMの出力アップ、低消費電力
化、コイル102の小型化を達成することができる。
【0064】120は非磁性材料からなる底付き円筒形
状のカバーであり、このカバー120の内径部には、ス
テータ118の外側磁極部118a,118bが嵌合し
て接着剤等で固定される。
【0065】出力軸107の一端側の嵌合部107aは
カバー120の嵌合穴120bに、出力軸107の他端
側の嵌合部107bはステータ118の嵌合穴118e
にそれぞれ回転可能に嵌合している。
【0066】また、図3中のQ1は、ステータ118の
外側磁極部118aの中心を表わし、Q2は外側磁極部
118bの中心を表わす。また、Q3はマグネット10
1の回転中心を表わす。
【0067】121,122は軟磁性材料により形成さ
れたロータ保持ステータ(請求の範囲にいうロータ保持
手段)であり、カバー120の内径部120aに固着さ
れている。これらロータ保持ステータ121,122
は、マグネット101の外周面に対向配置されており、
ステータ118の外側磁極部118a,118bの間に
位置している。図3に示すように、ロータ保持ステータ
121は外側磁極部118a,118bの間における外
側磁極部118a寄りの位置に配置され、ロータ保持ス
テータ122は外側磁極部118a,118bの間にお
ける外側磁極部118b寄りの位置に配置されている。
【0068】ロータ保持ステータ121,122は、ス
テータ118と接触していないことと、内側磁極部11
8c,118dと対向していない或いは内側磁極部11
8c,118dから十分離れていることにより、コイル
102に通電しても外側磁極部118a,118bに比
べてほとんど磁化されず、マグネット101の駆動させ
るのには寄与しない。
【0069】これらロータ保持ステータ121,122
により、コイル非通電時には、マグネット101は、図
3(a)に示すように、着磁部のN又はS極の中心が、
外側磁極部118a,118bの中心Q1,Q2とマグ
ネット101の回転中心Q3とを結ぶ直線上からθだけ
ずれた位置にて停止する。
【0070】この位置からコイル102に通電すると、
上述したようにロータ保持ステータ121,122は励
磁されず、外側磁極部118a,118bと内側磁極部
118c,118dとが励磁されるため、励磁された外
側磁極部118a,118bがマグネット101の着磁
部に作用する力は必ずマグネット101の回転方向に向
く。このため、マグネット101はスムーズに起動され
る。
【0071】なお、ロータ保持ステータ121,122
を備えない場合は、コイル非通電時にマグネット101
が安定的に停止する位置は、図5(a),(b)のどち
らかになる。図5(a)では、着磁部の極の中心が外側
磁極部118a,118bの中心Q1,Q2とマグネッ
ト101の回転中心Q3とを結ぶ直線上にあるため、コ
イル102に通電しても電磁力はマグネットを回転させ
る方向には作用しない。
【0072】一方、図5(b)の場合は、コイル102
への通電によって起動は可能であるが、あるタイミング
で通電を変えていかない限り、安定して回転はしない。
つまり、図5(b)の状態から外側磁極部118a,1
18bを例えばN極に励磁した場合、マグネット101
が図5(a)と同じ位置に停止してからコイル102へ
の通電を逆方向に切り換えて、外側磁極部118a,1
18bをS極に励磁しても、図5(a)で説明したとお
りに電磁力はマグネット101を回転させる方向には作
用しない。
【0073】なお、ロータ保持ステータ121,122
はステータ118の外側磁極部118a,118bの間
に位置しているので、モータMのサイズを大きくするこ
とはない。
【0074】次に、モータMの作動について、図3およ
び図4を用いて説明する。なお、図4はステータ118
とマグネット101との位置関係を表わす断面図であ
る。
【0075】図3(a)の状態からコイル102に通電
して、ステータ118の外側磁極部118a,118b
をN極とし、内側磁極部118c,118dをS極に励
磁すると、マグネット101は反時計回り方向に回転
し、図3(b)に示す状態になる。
【0076】ロータ保持ステータ121,122はコイ
ル102によりほとんど励磁されないので、マグネット
101の位置は。実質的にはマグネット101の着磁部
とステータ118の外側磁極部118a,118bおよ
び内側磁極部118c,118dの励磁状態とにより決
められ、図3(b)に示す状態になる。
【0077】この状態からコイル102への通電を断つ
と、マグネット101の磁力により安定する図4(a)
に示す状態になる。
【0078】次にコイル102への通電を反転させ、ス
テータ118の外側磁極部118a,118bをS極と
し、内側磁極部118c,118dをN極に励磁する
と、マグネット101は更に反時計回り方向に回転し、
図4(b)に示す状態になる。
【0079】以後、このようにコイル102への通電方
向を順次切り換えていくことにより、マグネット101
は通電位相に応じた位置へと回転していく。つまり、本
モータMはステップモータとして動作できる。
【0080】ここで、このような構成のモータMが、ス
トロボユニットSに搭載できるように超小型化でき、し
かも照射角変更駆動やポップアップ起動のために十分な
出力を得る上で最適な構成である理由についてまとめ
る。
【0081】このモータMの基本構成上の特徴は、第1
に、マグネット101を中空の円筒形状に形成している
こと、第2に、マグネット101の外周面を周方向にn
分割して異なる極に交互に着磁していること、第3に、
マグネット101の軸方向にコイル102を並べて配置
していること、第4に、コイル102により励磁される
ステータ118の外側磁極部および内側磁極部をマグネ
ット101の外周面および内周面に対向させているこ
と、第5に、外側磁極部を切り欠きとモータ軸とに平行
となる方向に延出する歯状に構成していること、であ
る。
【0082】このモータMの径はマグネット101の径
にステータ118の磁極部を対向させるだけの大きさが
あればよく、また、モータMの長さはマグネット101
の長さにコイル102の長さを加えただけの長さがあれ
ばよい。このように、モータMの大きさは、マグネット
101およびコイル102の径と長さとによって決まる
ので、マグネット101およびコイル102の径と長さ
とをそれぞれ非常に小さくすれば、モータMを超小型に
することができる。
【0083】特に、本実施形態のように、マグネット1
01をプラスチックマグネット材料による射出成形によ
り作ってマグネット101の径方向厚さを非常に薄くし
ており、さらにステータ118の外側磁極部118a,
118bを切り欠きとモータ軸とに平行に延出する歯状
に形成することにより、モータMの直径を最小限に抑え
ることができる。
【0084】この時、マグネット101およびコイル1
02の径と長さをそれぞれ非常に小さくすると、ステッ
プモータとしての精度を維持することが難しくなるが、
これはマグネット101を中空の円筒形状に形成し、こ
のマグネット101の外周面および内周面にステータ1
18の外側磁極部および内側磁極部を対向させる単純な
構造とすることにより、ステップモータの精度の問題を
解決できる。
【0085】また、中空の円筒形状に形成したマグネッ
ト101の外周面および内周面にステータ118の外側
磁極部118a,118bおよび内側磁極118c,1
18dを対向させ、マグネット101を挟み込むように
配置しているため、コイル102により発生する磁束を
外側磁極部118a,118bおよび内側磁極部118
c,118dとの間のマグネット101を横切らせるこ
とができ、モータとして効果的な出力を得ることができ
る。
【0086】なお、マグネット101の外周面だけでな
く、内周面も周方向に分割して着磁すれば、モータMの
出力を更に高めることができる。
【0087】さらに、マグネット101は、上述したよ
うに非常に薄く形成されているので、外側磁極部118
a,118bと内側磁極部118c,118dとの距離
を非常に小さくでき、コイル102とステータ118に
より形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることが
できる。これにより、少ない電流で多くの磁束を発生さ
せることができ、モータMの出力アップ、低消費電力
化、コイル102の小型化を達成することができる。
【0088】また、もう1つの(第6の)特徴として、
コイル102の非通電時に、マグネット101を、マグ
ネット101の極の中心がステータ118の外側磁極部
の中心とマグネット101の回転中心とを結ぶ直線上か
らずれた位置に保持するロータ保持ステータ121,1
22を有すること、がある。
【0089】これにより、モータ停止時からコイル10
2への最初の通電時に、コイル102から発生する磁束
がマグネット101に作用する力は、マグネット101
の回転中心に向かわず、安定して回転起動ができる。
【0090】しかも、本実施形態のモータMは、マグネ
ット101,コイル102,ステータ118,出力軸1
07およびロータ保持ステータ121,122という少
ない部品で構成できるので、モータMの低コスト化を図
ることができる。
【0091】そして以上説明したように、モータMの直
径が非常に小さいことから、前述したようにモータMを
ストロボユニットS内における光学プリズム2の斜面
(側面)2eの裏側のスペースに配置することができ、
ストロボユニットSの横方向の寸法Nを抑えることがで
きる。さらに、モータMの長さも非常に小さいことか
ら、前述したように、正面から見て縦位置に(光学パネ
ル1等の高さ方向にモータ軸が延びるように)配置して
も、ストロボユニットSの高さ方向の寸法Hを小さく抑
えることができ、全体として非常にコンパクトなストロ
ボユニットを実現することができる。
【0092】次に、上記ストロボユニットSにおけるス
トロボ光照射のための光学系の構成について詳しく説明
する。ストロボ光照射用光学系は、図9に示すように、
ストロボ光源であるストロボ光放電管3、ストロボ光放
電管3の上下面および後面を覆うように配置された反射
笠4、ストロボ光放電管3よりも光軸方向前方であっ
て、光学パネル1よりも後方に配置された光学プリズム
2とから構成されている。
【0093】光学パネル1は、ストロボユニットSの前
表面に露出しており、図示のように、外面側の周辺部に
のみ縦フレネルレンズが形成され、中央部は平面であ
る。一方、内面側には、外面側のフレネルレンズの屈折
力の方向とはほぼ直角方向に負の屈折力を持った複数列
のシリンドリカルレンズが形成されている。
【0094】光学プリズム2は、主に上下方向の配光特
性を制御するためのものであり、光射出部には、正の屈
折力を持った複数列のシリンドリカルレンズが形成され
ている。
【0095】なお、これら光学パネル1および光学プリ
ズム2の材料としては、アクリル樹脂等の透過率の高い
光学用樹脂材料が好ましい。
【0096】ストロボ光放電管3は、直管状のキセノン
管である。
【0097】反射笠4は、ストロボ光放電管3の後面を
覆うように略円筒形状に形成され、ストロボ光放電管3
から射出した光束のうち照射方向と異なる方向(後方)
に射出された成分を照射方向に反射させる。この反射笠
4は、内面が高反射率を有する光輝アルミ等の金属材料
で形成されている。
【0098】上記構成において、例えば「ストロボオー
トモード」にカメラがセットされている場合に、レリー
ズボタン21がユーザーによって半押しされると、測光
装置で測定された外光の明るさと装填されたフィルムの
感度とによって、ストロボを発光させるか否かを不図示
の制御回路中の中央演算装置(CPU)が判断する。
【0099】CPUが撮影状況下において「ストロボを
発光させる」と判定した場合において、レリーズボタン
21がユーザーによって全押しされると、CPUから発
光駆動回路に発光信号が出力され、反射笠4に取り付け
られた不図示のトリガーリード線を介してストロボ光放
電管3を発光させる。また、これと同時にシャッターの
開閉制御が行われる。
【0100】発光された光束のうち照射光軸と反対方向
に射出された光束は、反射笠4を介して、また照射方向
に射出した光束は直接、ストロボ光放電管3の前方に配
置された光学プリズム2、さらに光学プリズム2の前方
に配置された光学パネル1を通過し、所定の配光特性に
変換されて被写体に照射される。
【0101】このとき、被写体に対する上下方向の配光
特性は、光学プリズム2と光学パネル1の光源側の面に
よってほぼ決定され、左右方向の配光特性は、光学パネ
ル1の被写体側に形成されたフレネルレンズによって制
御される。こうして所望の配光特性になるように変換さ
れる。
【0102】本実施形態のストロボ光照射用光学系は、
カメラの撮影レンズがズームレンズである場合に、その
焦点距離に応じて光学パネル1と光学プリズム2の位置
関係(相対距離)を変化させることによって、上下方向
の配光特性を撮影レンズに対応させるように構成したも
のである。以下、図6および図7を用いてこの最適形状
の設定方法に関して詳しく説明する。
【0103】図6および図7には、本実施形態のストロ
ボ光照射光学系のストロボ光放電管3の径方向断面を示
している。
【0104】光学パネル1と光学プリズム2における相
対向する面は、ほぼ重なり合う形状に形成されており、
図6はこれら2つの光学部材が最も接近した状態を、図
7はこれら2つの光学部材がある一定の距離だけ離れた
状態を示している。また、図6および図7には、ストロ
ボ光放電管3の内径中心部より射出した代表光線の軌跡
を示している。なお、図6および図7では、これら光学
パネル1と光学プリズム2との位置関係および光線以外
のすべての光学系の構成および形状は同一である。
【0105】また、本実施形態では、上下方向の配光特
性を均一に保ったまま照射角を連続的に変化させること
ができるとともに、上下方向の開口高さを必要最小限に
構成したものである。以下、この構成を実現するための
光学パネル1および光学プリズム2の形状の特性および
その特性に対して光線がどのような挙動を示すかを詳細
に説明する。
【0106】まず、図6において、ストロボ光放電管3
についてはガラス管の内外径が示されている。この種の
ストロボユニットの実際のストロボ光放電管3の発光現
象としては、効率を向上させるため、内径一杯に発光さ
せる場合が多く、ストロボ光放電管3は内径一杯にほぼ
均一に発光していると考えて差し支えない。しかし、設
計段階では、この光源から射出される光を効率良く制御
させるためには、この内径全部の光束を同時に考えるよ
り、理想的に光源中心に点光源があることを仮定して光
学系の形状を設計し、その後に、光源が有限の大きさを
持っていること考慮して補正すると効率良く設計するこ
とができる。
【0107】本実施形態でもこの考え方に基づき、光源
の発光部中心を形状決定の基準点と考え、以下のような
方法で光学プリズム2の各部の形状を設定している。
【0108】まず、光学パネル1および光学プリズム2
の材料としては、成形性の面、コストの面、さらには光
学特性の面からもアクリル樹脂等の光学樹脂材料を用い
ることが適している。しかし、このような特性ばかりで
はなく、この種のストロボユニットにおいては光源から
光の発生と同時に多量の熱が発生されることを考慮した
設定を行わなければならない。すなわち、この熱の影響
を、一回の発光に発生する熱エネルギと最短発光周期と
を考慮して、光学材料の選定および放熱空間の設定を行
う必要がある。
【0109】このとき、実際に最も熱の影響を受けやす
いのは、光源から最も近く位置する光学プリズム2の各
入射面であり、光源とこの入射面との最少距離をまず最
初に決める必要がある。本実施形態では、光源中心から
の射出角度が射出光軸に近い角度成分を直接屈折によっ
て制御する第1の入射面2aと光源との最少距離をd、
射出光軸から離れた角度成分を全反射制御する光を入射
させる第2の入射面2bと光源との最少距離をeとして
その間隔を設定する。
【0110】本実施形態での具体的な数値は以下のよう
である。
【0111】 ストロボ光放電管3の外径D1=2.0mm内径D2=
1.3mm d=0.5mm e=0.55mm まず、光学プリズム2の全反射面に入射光を導く第2の
入射面2b,2b’の形状を決定する。この第2の入射
面2b,2b’の形状として、光学プリズム2の形状を
最小にするためには、光軸に対して平行に近い平面であ
ることが望ましい。すなわち、光源から射出した光束の
うち、射出光軸とは異なった方向に進む成分は、この入
射面で一度屈折するが、この面の角度が小さいほど屈折
の効果が大きく、屈折によって入射光が一度光軸から離
れる方向に導くことができ、光学プリズムの全長を短く
抑えることができるためである。
【0112】この第2の入射面2b、2b’の傾き角度
Φは、光学プリズムの成形条件によって決定される。こ
の角度が少ないほど実際の成形条件としては厳しくなる
が、この面の角度の最大値Φの理想値としては、この入
射面が平面か曲面かに関わらず以下の範囲に存在するこ
とが望ましい。
【0113】0≦Φ<2° …(1) 上記式(1)で示した範囲は、一見難しそうな設定値だ
が、上記第2の入射面2b,2b’の距離が短いこと、
また、面形状が平滑面であることから、十分可能な数値
である。このように第2の入射面2b,2b’の傾きを
設定することによって、上下方向の開口面積を最小に、
かつ効率低下を招くことなく実現することができる。
【0114】次に、第1の入射面2aの入射面形状の決
定方法について説明する。本実施形態では、最小形状で
配光特性の大幅な変更を行うため、以下のような方法で
この第1の入射面2aの形状を決定する。
【0115】すなわち、光源中心からの射出光束のうち
第1の入射面2aに直接入射する成分が、すべて図示の
断面でみた場合に射出光軸に対して平行になるように変
換されるよう決定する。具体的には、第1の入射面2a
は、ストロボ光放電管3のガラス厚を考慮した光源中心
から第1の入射面2aまでの長さの焦点距離を持ち、球
面収差を補正したシリンドリカル面で構成する。
【0116】また、第2の入射面2b,2b’の面形状
及び全反射面2c,2c’の形状は、本実施形態では最
小形状の光学系を形成するため、以下のような方法で決
定する。
【0117】すなわち、光源の中心からの射出光束のう
ち第2の入射面2b、2b’入射する成分が、全反射面
2c,2c’で反射した後、全て図示の断面でみた場合
に射出光軸に対して平行になるように変換できるよう決
定する。
【0118】なお、ストロボ光放電管3の射出光のうち
照射光軸後方に向かった光束は、図6に示すように、反
射笠4の形状がストロボ光放電管3に対して同心形状で
あるため、反射笠4で反射した後、再度ストロボ光放電
管3に入射し、ストロボ光放電管3のほぼ中心を通って
照射光軸前方に導かれる。この光源の中心に戻ってから
以降の光線の様子は上記説明と同様である。
【0119】上記説明のように、光源中心から射出され
た光束は、光学プリズム2の第1の入射面2aの屈折に
よって、または、第2の入射面2b,2b’で屈折して
全反射面2c,2c’で反射した後、全て図示の断面に
関して照射光軸と平行な成分に変換されて射出面2dに
導かれる。
【0120】また、このときの光学プリズム2の深さ
は、上記第2の入射面2b,2b’から入射した成分の
うち、最も第1の入射面2aに近い成分が全反射できる
ような長さまで延ばして構成している。このため、第2
の入射面2b,2b’から入射した成分が直接、射出面
2dに当たる成分がなく効率が良くなり、また最小の大
きさで制御することが可能となる。そして、光源の内径
が十分に小さい場合や、光源に対して、光学プリズムが
十分に大きいとみなせる場合には、上記方法で、かなり
効率良く集光制御が可能となる。
【0121】しかし、実際の配光特性でみると、光源の
有効発光部である内径の大きさは無視できるほどには小
さくなく、この影響で光学プリズム2を通過した光束が
すべて照射光軸と平行な成分には変換されず、上下方向
にある一定の範囲に広がりを持った分布に変換される。
特に、光源の近くにある制御面、例えば光源からの射出
光束を直接制御する第1の入射面2aや、全反射面2c
でも光源に近いプリズム後端部での反射光束は、この影
響が大きく、実際には、この範囲で制御された成分によ
ってある程度広がりを持った配光分布になる。
【0122】次に、上記入射面の境界面の位置について
説明する。上述したように、上記入射面の樹脂材料に対
する熱の影響を考慮した上で効率良く、また最小の光学
系を形成するための条件としては、第1の入射面2aと
第2の入射面2b,2b’の交点の座標と光源の中心を
結ぶ直線の角度がある一定の範囲内にあることが望まし
い。
【0123】すなわち、この角度が所定角度より小さい
と、第1の入射面2aへの距離が離れ、光源の大きさに
よる影響を受けにくくなるため、屈折による集光効率は
上がるが、第2の入射面2b,2b’への入射角度が大
きくなり、入射面での表面反射によるロスが生じやすく
なる。
【0124】一方、この角度が所定角度より大きいと、
光源に近い面で制御が必要な第1の入射面1aからの入
射光束が増え、光源の大きさによっては十分な集光効果
が得られにくい。
【0125】そこで、上記直線の角度が、以下のような
数値範囲に収まることが望ましい。すなわち、光学プリ
ズム2の正面に向かった光を屈折のみによって制御する
入射面2aおよび主に光源から斜め前方に射出した光を
全反射面に導く第2の入射面2b,2b’の境界線と光
源中心とを結ぶ線分の傾きθbdrとすると、 25°≦θbdr≦45° …(2) の範囲にあることが、効率面や集光制御の観点から望ま
しい。
【0126】次に、光学プリズム2の第2の入射面2
b、2b’と全反射面2c、2c’との交点の形状につ
いて説明する。本実施形態では、この交点が直接交わっ
て鋭角を形成するような形状とし、かつ、この交点と光
源の中心位置とが前後方向にほぼ一致するように構成さ
れている。
【0127】このような構成は、光学プリズム2の形状
を最小にしつつ配光制御を効率良く行うのに有効な構成
である。すなわち、例えば、この入射面と全反射面との
間に異なった特性の面、例えば特開平8―262537
号公報に示されるように光軸に垂直な面を形成したとす
ると、その面は、光学系としては機能せず、光学プリズ
ムの上下方向または奥行き方向の大型化につながり、小
型化の観点からは望ましい形状とは言えない。
【0128】一方、本実施形態では、この交点の位置と
光源中心の前後方向の位置とを一致させているが、これ
は、光学系全体を極力小型化すると共に効率を低下させ
ないために必要な形状であり、プリズム内での全反射角
度との関係および光源に応じた反射笠の形状とも密接な
関係がある。
【0129】すなわち、光学プリズム2内での第2の入
射面2b,2b’の角度Φを0°付近に設定し、光学プ
リズム2を樹脂材料とすると、その屈折率は1.5前後
であり、これより後方までプリズム面の交点を伸ばす
と、全反射しきれずにプリズムの後方に射出する成分が
生じる。これは、光源の内径が大きいほど生じやすく、
光源中心より前方から射出した成分の一部が全反射面2
c,2c’から抜け出ることになる。本実施形態では、
この全反射面2c,2c’の後方に抜け出る光を再度光
学プリズム2内に戻す反射面を反射笠4の延長上に形成
した構成をとっているものの、反射笠4での吸収や、射
出・再入射にともなう表面反射による光量損失等が生じ
易くなるため、決して好ましい形状とはいえない。
【0130】そこで、本実施形態では、反射笠として有
効に機能する最大の大きさまで反射笠を伸ばし、あとは
光学プリズム面に入射させるような構成をとっている。
本実施形態の反射笠4の形状は、光源であるストロボ光
放電管3と同心の半円筒状であり、この反射笠4の開口
部の前端を光源中心の前後方向とほぼ一致させている。
また、光学プリズム2の後端もほぼ光源の中心と一致さ
せ、反射笠4に対して隙間がないように配置している。
【0131】このように、反射笠4の形状を光源中心と
同心としその前端を光源中心と一致させる理由として
は、まず、ストロボ光放電管3のガラス部分での影響が
挙げられる。本実施形態のように極めて小型の照射光学
系においては、光源から後方に向かった光束を反射笠4
で反射させて、照射方向に向かわせる必要があるが、光
学系全体が小型化しているために、反射笠で4の反射光
をすべて、ストロボ光放電管3の内部を介さずにストロ
ボ光放電管3の外側をまわして制御することはスペース
的に無理であり、ストロボ光放電管32のガラス管内に
再入射させる光路をとる必要がある。
【0132】このとき、ストロボ光放電管3へ再入射し
た成分は、ストロボ光放電管3のガラス部での屈折や全
反射の影響を受け、前方に配置した光学プリズム2への
入射成分にも大きな影響を与える。特に、このガラス厚
が厚い場合にこの傾向は顕著であり、結果として光源形
状と反射笠4の形状が適切に対応していないと反射笠4
からの反射光の分布が必要以上に広がってしまうことに
なる。
【0133】このことから、反射笠4を光源形状に対応
した半円筒状にし、かつ上記ストロボ光放電管3の円筒
形状のガラス部と同心形状にすると、ストロボ光放電管
3への再入射時の入射角度が小さくなるため、ガラス管
表面での表面反射によるロスが少なく、また、再入射後
の光束のガラス管内で全反射する成分が少なくなるため
効率を上げることができる。特に、光源に対して隙間が
少ないと、反射笠4での反射後の角度変化が少なく極め
て有効である。
【0134】また、反射笠4を、光源中心の位置とほぼ
一致する半円筒状にする理由としては、反射笠4をこれ
以上長くすると、反射笠4が前まで回り込んでしまい、
反射笠内に光がこもるので効率が低下してしまうため、
好ましくない。
【0135】一方、反射笠4を光源中心よりも短くして
しまうと、前述のように光学プリズム2の後端が後方ま
で延び、光量ロスとなるばかりでなく、光学系全体が大
きくなってしまい好ましくない。
【0136】また、反射笠4は、光学プリズム2の全反
射面2c、2c’の後方,光源であるストロボ光放電管
のほぼ前端まで回り込み、かつその形状は、全反射面2
c、2c’とほぼ同一形状としている。この理由は、ス
トロボ光放電管3の発光部であるガラス管内径部は光源
中心から前側にも存在するが、この前側から射出した光
束の一部が全反射面2c、2c’で全すべて全反射しき
れずに外部に出てしまうのを防止するためである。この
ように、反射笠4を全反射面2c、2c’とほぼ同一形
状とし、この全反射面2c、2c’のすぐ後方に配置す
ることにより、全反射面2c、2c’の効果とほぼ同等
となり、必要照射角度範囲に効率良く均一な分布にする
ことが可能となる。
【0137】上述のような方法によって光学プリズム2
の形状を決定することにより、与えられた光源の発熱条
件を考慮した、最小の、しかも最も効率の良い集光光学
系を形成することができる。
【0138】本実施形態のストロボユニットSにおける
照射角可変の照射光学系は、この小型の集光光学系をベ
ースにして、この集光された光束をある一定の割合で徐
々に拡散させることによって必要配光特性と一致させる
ように制御することを特徴としている。このため、従来
大型化の原因となっていた最集光状態での大きさを大幅
に小型化することが可能になると共に、集光動作を線形
的に変化させることができるなど、照射角可変の照射光
学系として要求される特性を効率良く達成することがで
きる。
【0139】また、このときの照射角変位に伴う光学パ
ネル1の移動量が、従来方式に比べて大幅に少なくなる
ため、小型カメラ(つまりは、小型のストロボユニット
S)に搭載するのに適したスペース効率の良い照射光学
系を実現することが可能となり、構成部品的にも大幅な
追加部品を必要とせず安価に構成することができる。
【0140】次に、図6および図7を用いて本実施形態
における照射角変更の方法について説明する。
【0141】図6は最も集光した状態を、図7は照射角
の最も広がった状態を示している。まず、光学プリズム
2の光射出面2dには、球面収差を補正した焦点距離D
の正の屈折力を有するシリンドリカルレンズがピッチP
でストロボ光放電管の軸方向と平行に複数列形成されて
いる。一方、光学パネル1の光学プリズム2に対向した
面には、密着させた状態で上記光学プリズムの複数のシ
リンドリカル面と重なりあうような負の屈折率を持つシ
リンドリカルレンズが上記光学プリズム2のシリンドリ
カルレンズと同一のピッチPで形成されている。
【0142】図6に示すように、光学プリズム2と光学
パネル1とがほぼ密着した状態では、光学プリズム2の
光射出面に形成された正の屈折力を持つシリンドリカル
レンズと光学パネル1に形成された負の屈折力を持つシ
リンドリカルのパワーが相殺されることになり、光学プ
リズム2で集光された特性のままで光学パネル1から射
出される。この状態が、ストロボ光を最も集光した状
態、すなわち照射角が最も狭い状態に対応する。
【0143】次に、図7の拡散状態について説明する。
図7は、光学パネル1を光学プリズム2、ストロボ光放
電管3および反射笠4からなる発光部本体に対して移動
させたものであり、本実施形態では、この最大移動量を
Lとして、光学パネル1のシリンドリカルレンズの焦点
距離Dとほぼ一致する位置まで移動させた状態を示して
いる。
【0144】図示のように、図6に比べて光学パネル1
から射出した光束はある一定の割合で均一に広がってお
り、光源の大きさを考慮したとしても、必要とされるス
トロボ光が、照射領域に対して均一にある一定の広がり
を持って照射されることが容易に想像できる。
【0145】次に、上記光学パネル1および光学プリズ
ム2の形状の違いによるストロボ光の拡散度合いの変化
について、図10および図11を用いて説明する。これ
らの図における光線トレース図は、説明を明確化させる
ため、光源中心から射出し、光学プリズム2の第1の入
射面に入射する成分のみを示しているが、第2の入射面
から入射する光束もほぼ同様の特性を示す。
【0146】まず、図10は、光学プリズム2の光射出
面に形成されたシリンドリカルレンズの屈折力を、図6
および図7に示したものよりも強めたものであり、説明
を明確化させるため、各シリンドリカル面は球面収差を
補正していない円筒面で構成している。
【0147】一方、図11は逆にシリンドリカルレンズ
の屈折力を弱めたものであり、この場合も球面収差を補
正していない円筒面で構成したものである。
【0148】図示の例からも分かるように、図10のよ
うな光学プリズム2に設けたシリンドリカルレンズの屈
折力が大き過ぎる場合には、光射出面2dで全反射を起
こす成分が発生する。すなわち、図10中で点線で示し
た成分であり、この成分は再度光源側に戻るような光路
をとり、再度、光射出面2dから射出しない成分が多
く、効率が低下する。
【0149】図10の例では、光源中心から射出した光
束についてのみ示しているが、実際には、ストロボ光放
電管3の内径全体から発光しており、この損失量はさら
に大きなものとなる。
【0150】一方、図11に示すようにこの屈折力が必
要以上に弱いと、全反射によるロス成分は無くなり効率
は良くなるが、照射角度の変化は少なくなり、小移動量
で大きな照射変化を生じさせるという本実施形態のスト
ロボユニットSに対して性能が不十分になる。このこと
から、光学プリズム2および光学パネル1の屈折力の設
定としては、ある所定の範囲内に存在することが望まし
い。
【0151】一方、光学プリズム2と光学パネル1のズ
ーム時の移動量としては、メカ的なスペース上の制約ば
かりでなく、駆動系の停止精度、移動量の検出精度、移
動方向に対するヒステリシス、さらには移動誤差に対す
る配光特性変化量等も考慮して決定する必要があり、本
実施形態の構成では、実用的な形状の範囲がある程度限
定できる。以下、この望ましい設定範囲について説明す
る。
【0152】まず、光学プリズム2と光学パネル1の対
向する面に形状がほぼ重なり合う凹凸のシリンドリカル
面が形成された場合について、説明を簡単にするため、
シリンドリカルレンズとして円筒面を使用した場合につ
いて説明する。
【0153】この場合の照射角変化は、ほぼ光学プリズ
ム2に形成された凸レンズの屈折力によって決定され
る。前述したように、大きな屈折力を持たせた方が照射
角変化は大きくなるものの、全反射によって光射出面2
dから射出できない光成分が増えてしまう。本来、光源
の大きさが光学系全体の大きさに対して十分に小さい場
合には、図示の光源中心から射出される光束のように射
出光軸に対して平行に変換される。この場合の全反射が
起こりロスが生じ始める条件としては、光学プリズム2
の光射出面2dに設けた小凸レンズ(シリンドリカルレ
ンズ)群周辺部の傾きが、臨界角を越えることであるか
ら、このシリンドリカルレンズの周辺部の接線の傾きが
以下の範囲以下になることが必要条件となる。
【0154】ここで、光学プリズム2の屈折率をNと
し、光軸に対する上記小レンズの接線の傾きの最大値を
αmaxとすると、 αmax>90°−sin-1(1/N) …(3) であることが望ましい。
【0155】ただし、この式(3)に示した範囲は必要
条件であり、ストロボ光放電管3の発光部が実際には点
光源でなくある一定の大きさを持っているため、実際の
光学プリズム2の射出面にはある程度広がりを持った角
度成分が到達することになる。このため、上記範囲をた
とえ満たしている場合でも、全反射によるロスが生じる
可能性があり、上記凸レンズの屈折力としては、必要と
される最も広い照射角が得られる屈折力で、最も弱い屈
折率を設定することが効率面から望ましい。
【0156】次に、本実施形態における望ましい設定領
域について、図6および図7を用いて説明する。これら
の図に示すように、光学プリズム2と光学パネル1のシ
リンドリカルレンズ間の最大離間距離をL、各シリンド
リカルレンズのピッチをPとし、また、両シリンドリカ
ルレンズの近軸焦点距離をDとして、その間の関係を以
下のように設定すると、コンパクトさと光学性能とを兼
ね備えた効率の良い照射角可変のストロボ光照射光学系
を構成することができる。
【0157】まず、照射角変化のためのシリンドリカル
レンズの相対距離Lは、以下の範囲にあることが望まし
い。
【0158】0.5mm≦L≦4.0mm …(4) この式(4)に示す、Lの最小値0.5mmは、移動に
伴うメカ的な制約によって決められた数値である。すな
わち、本実施形態のように比較的光学的な有効範囲の広
いパネル面を並進させて、シリンドリカルレンズ間隔を
均一に保つことは実際問題としては難しい。つまり、ガ
イドの方法によっては一部傾きがでたり、往復動の動き
でヒステリシスが生じたり、また保持方法によっては姿
勢差によって傾きが生じるなどメカ的な保持方法が難し
く、メカ的な誤差によって光学特性が大きく異なってし
まうという問題がある。
【0159】また、必要以上にこのシリンドリカルレン
ズ間隔が狭いと、駆動系の制御方法や、間隔量の検出精
度も特殊な制御方法や検出方法が必要となり、安価に構
成することが困難となってしまう。
【0160】このため、本実施形態では、光学プリズム
2と光学パネル1のシリンドリカルレンズ間の照射角可
変に要するフルストロークの最小値を、上記影響が生じ
ない最小値として0.5mmとし、少なくともこの値よ
り大きければ、照射角変更機構が安価に成り立つと考え
る。
【0161】一方、Lの最大値4.0mmは、照射光学
系の全体形状の大きさによって決められた数値である。
すなわち、照射光学系の小型化が重要である本実施形態
において、両シリンドリカルレンズ間の距離を必要以上
に延ばすと、光学系全体が大きくなり過ぎてしまうとい
う問題が生じる。
【0162】本実施形態の方式において許される最大の
相対距離Lとしては、従来方式のズームストロボの最大
相対距離に対して十分に小さい相対距離で十分であり、
これ以上延ばすと本方式のメリットである小型化に反す
ることになる。そこで、本実施形態では、相対距離の最
大値として上記値に制限する。
【0163】次に、照射角の変化の割合について説明す
る。照射角変化を制限するため、シリンドリカルレンズ
の屈折力を、近軸焦点距離Dと各レンズのピッチPとを
用いてこの間の関係を以下の式で規制することが望まし
い。
【0164】P/2≦D≦2×P …(5) 上式(5)は、各シリンドリカルレンズの概略の形状を
制限するものである。ここで、図6および図7における
レンズ形状を参照しながら、上式の意味するところを具
体的に説明する。
【0165】まず、シリンドリカルレンズの屈折力を示
す近軸焦点距離Dは、照射光学系の集光拡散を制御する
部分であり、照射角可変の光学特性はほとんどこの部分
で決まる。焦点距離が短いほど微少移動量で大きな照射
角変化をさせることができ、焦点距離が長いほど照射角
変化をなだらかに変化させることができる。
【0166】このため、採用するズーム系のメカ構成に
よってある程度自由度があり、一概に最適な値は存在し
ない。すなわち、メカ制御系が小型化を優先し、多少コ
ストをかけても正確に位置制御が可能であれば、焦点距
離Dを短く構成するのが望ましい。一方、光学性能とコ
ストをを優先し、多少大型化が許容できるような構成で
あれば、焦点距離を長く設定した方が無理が無く、効率
の良い照射角可変の照射光学系を構成することができ
る。
【0167】また、照射角の実際の制御においては、こ
のシリンドリカルレンズの焦点距離と同様に、それぞれ
のシリンドリカルレンズの開口部の大きさに当たるピッ
チPと密接な関係がある。すなわち、光学プリズム2で
光源中心からの射出光を略光軸と平行化した後、射出面
に設けたシリンドリカルレンズによって拡散度合いを調
整するが、同一焦点距離のレンズを使っても、開口の広
さによって拡散の度合いが変化する。つまり、開口が広
いと拡散度合いの大きな配光分布に変換でき、開口部が
狭いと拡散度合いの小さな配光分布しか得られない。
【0168】また、この開口が必要以上に広いと、上記
説明のように、このレンズ面での全反射成分が増え、効
率の良い照射角可変を行うことができない。さらに、開
口が必要とされるものより狭い場合には、レンズ間隔を
いくら長くとっても必要照射角まで広げることができな
い。
【0169】以上のことから、上式(4)に示した範囲
の条件を満たすことがこの種の照射角可変の照射光学系
を成立させるために必要となる。上式(4)では、シリ
ンドリカルレンズの近軸焦点距離Dを基準に、ピッチP
との関係を示しており、近軸焦点距離DがP/4以下の
場合には、照射角の変化が大き過ぎて制御が困難で、ま
た全反射によるロスも増えるために好ましくない。一
方、近軸焦点距離DがピッチPより大きい場合は、照射
角変化が少なくて大型化につながるため、好ましくない
ことを示している。
【0170】また、光学パネル1の被写体側にも図8お
よび図9に示すようにフレネルレンズ面が形成され、ス
トロボ光放電管3からの射出光の軸方向の集光を行って
いる。本実施形態では、光学プリズム2と光学パネル1
との相対移動によって、図6および図7に示すストロボ
光放電管3の径方向の断面については効率良く集光拡散
が行われるが、ストロボ光放電管3の軸方向に関して
は、光源が長すぎて、効率良く集光させることが難し
い。
【0171】そこで、本実施形態では、ストロボ光放電
管3の軸方向の集光を光学パネル1の被写体側に設けた
フレネルレンズを用いて行っている。なお、図示のよう
に、フレネルレンズ面は、光学パネル1の全面にすべて
形成されているわけではなく、ストロボ光放電管3の有
効アーク長の外側の部分にのみ形成されている。これ
は、ストロボ光放電管3の有効アーク長の内部にある
と、上下方向の配光特性を乱すことになり効率が悪くな
ること、また、ストロボ光放電管3中心部分にフレネル
レンズを形成しても光源とフレネルレンズ面の距離が近
く、必ずしも効率の良い集光を行うことができないため
である。
【0172】図示のように光学パネル1の両サイドにフ
レネルレンズを設けることによって、各フレネル面で
は、光線の入射する角度がある程度限定できるため、効
率良く集光することができる。
【0173】しかし、ストロボ光放電管3の軸方向の集
光は、上述したような、光学プリズム2と光学パネル1
との相対的移動ではほとんど変化させることができな
い。このため、本実施形態では、図に示したフレネルレ
ンズを形成することによって、最も広い必要照射角に対
応した配光特性が得られるところまで集光するような形
状を決定している。
【0174】このように、本実施形態の照射角可変の照
射光学系は、光源が光学系に対して十分に小さい場合、
本実施形態におけるストロボ光放電管3の径方向の断面
では有効に機能するが、光学系に対して光源自体が大き
いものに対しては有効に機能しない。
【0175】このため、光源として理想的なものは、点
光源に近い形態であり、光学プリズム2および光学パネ
ル1の形状も回転対称形状に形成できることが理想とな
る。しかし、このようにある一定の断面でしか理想形状
は得られないものの、全体形状の小型化および全反射を
利用した高効率化などによって、全体としては従来方式
よりも優れた配光特性や光学特性を得ることができる。
【0176】次に、本実施形態における照射光学系の設
定値を、図6および図7に示す形状に具体的な数値を当
てはめながら説明する。
【0177】まず、光学系全体の形状を説明すると、図
7において、光学系の全長fは光学プリズム2と光学パ
ネル1とが最も離れた状態で、 f=9.4mm 密着状態で、 f=7.9mm また、光学プリズムの開口gは、 g=10.0mm であり、従来式のズームストロボと比較してみると、全
体体積は、1/3から1/4に小型化されている。
【0178】次に拡散部の構成であるが、光学プリズム
2のシリンドリカルレンズのピッチPは、本実施形態で
は一定であり、P=1.5mmとしている。光学パネル
1の光学プリズム2、ストロボ光放電管3および反射笠
4を含む発光部本体に対する最大の移動量(相対距離)
Lは、 L=1.5mm である。
【0179】また、各シリンドリカルレンズの焦点距離
Dは、 D=1.75mm であり、一定として形状を設定してある。
【0180】上記各値は、いずれも上記式(4),
(5)のほぼ中心に近い値を満たしており、ほぼ理想的
な形状になっている。また、光学パネル1に形成した負
の屈折力を持つシリンドリカルレンズ面についても、図
示のように、光学プリズム2に設けたシリンドリカルレ
ンズ面と凹凸が逆のまったく重なる形状となっており、
密着させた場合にシリンドリカルレンズの屈折力がちょ
うど打ち消される形状になる。このため、光学プリズム
2内で集光された特性を維持したまま光束が射出され、
極めて効率の良い光学系を形成することができる。
【0181】なお、本実施形態では、各シリンドリカル
レンズの形状を球面収差のない非球面形状で構成してい
る。このため、光源中心から射出した成分は、シリンド
リカルレンズ面で全反射することなく効率良く集拡散さ
せることが可能である。
【0182】また、このようにシリンドリカルレンズを
球面収差を補正した形状にすることによって、光学プリ
ズム2に対して発光光源が十分に小さい場合は、極めて
効率の良い光学系を構成することができる。
【0183】以上のように、本実施形態では、ストロボ
光放電管3よりも照射光軸方向前方に配置され、ストロ
ボ光放電管3からの光のうち少なくとも一部を照射光軸
方向前方に向けて全反射させる光学プリズム2と、この
光学プリズム2よりも照射光軸方向前方に配置された光
学パネル1とを設け、モータMの駆動により光学プリズ
ム2と光学パネル1との光軸方向相対距離を変化させて
ストロボ光照射角を変更させるようにしているので、コ
ンパクトかつ簡単な構成でストロボ光照射角を変更させ
ることができる。
【0184】特に、本実施形態では、光学プリズム2や
ストロボ光放電管3および反射笠4からなる発光部本体
ではなく、光学パネル1を移動させるようにしたので、
駆動負荷を小さくすることができる。したがって、モー
タMに要求される出力を小さくすることができ、これに
よりモータMのさらなる小型化、ひいてはストロボユニ
ットSのコンパクト化を図ることができる。
【0185】そして、以上のような構成の照射光学系を
上記ストロボユニットSに搭載することにより、モータ
Mの超小型化や照射角変更機構の簡略化等と相まって、
きわめてコンパクトなストロボユニットS、ひいてはカ
メラを実現することができる。
【0186】なお、本発明におけるストロボ光の照射光
学系の構成は、上記実施形態にて説明したものに限られ
るわけではない。例えば、ストロボ光源、前面フレネル
パネルおよび反射笠からなるものであって、反射笠の曲
率を変えたりフレネルパネルを移動させたりして照射角
を変更する構成でもよい。
【0187】すなわち、照射角を変える構成がいかなる
ものであっても、ストロボ光源とモータとを内蔵し、モ
ータにより照射角の変更機構を駆動するストロボユニッ
トである以上、本発明に含まれる。
【0188】また、モータによるポップアップ起動のた
めの構成も、上記実施形態にて説明したものに限られな
い。また、ストロボユニットをカメラ本体の上方ではな
く、側方に突出させる場合にも本発明を適用できる。す
なわち、ストロボユニットのポップアップ起動のための
構成やストロボユニットの突出方向がいかなるものであ
っても、照射角変更のために内蔵されたモータをストロ
ボユニットの突出起動のために兼用する構成である以
上、本発明に含まれる。
【0189】(第2実施形態)上記第1実施形態にて説
明したモータMに代えて、本実施形態にて説明するモー
タM′を用いてもよい。
【0190】図18から図20には、本発明の第2実施
形態のストロボユニットに搭載されるモータM′の構成
を示している。なお、図18はモータM′の分解斜視図
であり、図19はモータM′の組み立て後の軸方向の断
面図である。また、図20は、図19のF−F線での断
面図である。
【0191】これらの図において、第1実施形態にて説
明したモータMと同様の構成要素については第1実施形
態と同符号を付す。
【0192】本実施形態では、ステータ118′の外側
磁極部118a1,118b1を更に延長して、ロータ
保持部(請求の範囲にいうロータ保持手段)118a
2,118b2を構成している。
【0193】外側磁極部118a1,118b1は、第
1実施形態と同様に、内側磁極部118c,118dと
マグネット101′を間に挟んで対向する。一方、ロー
タ保持部118a2,118b2は、内側磁極部118
c,118dとは対向していない。このため、ロータ保
持部118a2,118b2は、コイル102に通電し
ても、外側磁極部118a1,118b1に比べてほと
んど磁化されず、マグネット101の駆動力を発生しな
い。
【0194】また、マグネット101′では、図17に
示すように、外側磁極部118a1,118b1に対向
する部分Eと、ロータ保持部118a2,118b2に
対向する部分Dとで着磁位相が変えられている。これに
より、図20(a)に示すように、コイル102へ非通
電時においてマグネット101′のE部分は、外側磁極
部118a1,118b1の中心Q1,Q2とマグネッ
ト101′の回転中心Q3とを結ぶ直線上からずれた位
置に保持される。
【0195】そして、上述したように、ロータ保持部1
18a2,118b2は、コイル102に通電してもほ
とんど磁化されず、ここには駆動力は発生しないので、
コイル102への通電によってコイル102から発生す
る磁束は実質的には外側磁極部118a1,118b1
と内側磁極部118c,118dとの間を通過する。こ
のため、マグネット101′に作用する力はマグネット
101′の回転中心Q3に向かわず、安定して回転の起
動ができるようになる。
【0196】なお、コイル102への通電時にロータ保
持部118a2,118b2がほとんど磁化されないこ
とから、コイル102への通電により発生するマグネッ
ト101の駆動力にもほとんど影響を及ぼさない。した
がって、安定した出力を取り出すことができる。
【0197】次に、モータM′の動作を図20および図
21を用いて説明する。図20(a)に示す状態からコ
イル102に通電して、ステータ118′の外側磁極部
118a1,118b1をN極とし、内側磁極部118
c,118dをS極に励磁すると、マグネット101′
は反時計回り方向に回転し、図20(b)に示す状態に
なる。
【0198】このとき、上述したようにロータ保持部1
18a2,118b2はほとんど励磁されないので、実
質的にはマグネット101′の着磁部とステータ118
の外側磁極部118a1,118b1および内側磁極部
118c,118dの励磁状態によりマグネット10
1′の位置が決められ、図20(b)に示す状態にな
る。
【0199】この状態からコイル102への通電を断つ
と、マグネット101′の磁力により安定する図21
(a)に示す状態になる。
【0200】次に、コイル102への通電を反転させ、
ステータ118′の外側磁極部118a1,118b1
をS極とし、内側磁極部118c,118dをN極に励
磁すると、マグネット101′は更に反時計回り方向に
回転し、図21(b)に示す状態になる。
【0201】以後、このようにコイル102への通電方
向を順次切り換えていくことにより、マグネット10
1′は通電位相に応じた位置へと回転していく。つま
り、本モータM′はステップモータとして動作できる。
【0202】ここで、このような構成のモータMも、第
1実施形態と同様に、第1に、マグネット101′を中
空の円筒形状に形成していること、第2に、マグネット
101′の外周面を周方向にn分割して異なる極に交互
に着磁していること、第3に、マグネット101′の軸
方向にコイル102を並べて配置していること、第4
に、コイル102により励磁されるステータ118′の
外側磁極部および内側磁極部をマグネット101の外周
面および内周面に対向させていること、第5に、外側磁
極部を切欠き穴とモータ軸とに平行となる方向に延出す
る歯状に構成していること、を基本構成上の特徴として
いる。
【0203】また、第6の特徴として、コイル102の
非通電時に、マグネット101′を、マグネット10
1′の極の中心がステータ118′の外側磁極部の中心
とマグネット101′の回転中心とを結ぶ直線上からず
れた位置に保持するロータ保持部を118a2,118
b2ステータ118上に形成したこと、がある。
【0204】したがって、本実施形態のモータMを用い
た場合でも、第1実施形態と同様の効果を得ることがで
きる。すなわち、このモータM′の径はマグネット10
1′の径にステータ118′の磁極部を対向させるだけ
の大きさがあればよく、また、モータMの長さはマグネ
ット101′の長さにコイル102の長さを加えただけ
の長さがあればよいので、モータM′の大きさは、マグ
ネット101′およびコイル102の径と長さによって
決まる。したがって、マグネット101′およびコイル
102の径と長さをそれぞれ非常に小さくすれば、モー
タMをストロボユニットS内に搭載するのに適した超小
型にすることができる。
【0205】特に、第1実施形態と同様に、マグネット
101′をプラスチックマグネット材料による射出成形
により作ってマグネット101′の径方向厚さを非常に
薄くしており、さらにステータ118′の外側磁極部1
18a1,118b1を、これら外側磁極部118a
1,118b1の間の切り欠きとモータ軸とに平行に延
出する歯状に形成することにより、モータMの直径を最
小限に抑えることができる。
【0206】この時、マグネット101′およびコイル
102の径と長さをそれぞれ非常に小さくすると、モー
タとしての精度を維持することが難しくなるが、これは
マグネット101′を中空の円筒形状に形成し、このマ
グネット101′の外周面および内周面にステータ11
8′の外側磁極部および内側磁極部を対向させる単純な
構造とすることにより、モータの精度の問題を解決でき
る。
【0207】また、中空の円筒形状に形成したマグネッ
ト101′の外周面および内周面にステータ118′の
外側磁極部118a1,118b1および内側磁極11
8c,118dを対向させ、マグネット101′を挟み
込むように配置しているため、コイル102により発生
する磁束を外側磁極部118a1,118b1および内
側磁極部118c,118dとの間のマグネット10
1′を横切らせることができ、モータとして効果的な出
力を得ることができる。
【0208】なお、マグネット101′の外周面だけで
なく、内周面も周方向に分割して着磁すれば、モータM
の出力を更に高めることができる。
【0209】さらに、マグネット101′は、上述した
ように非常に薄く形成されているので、外側磁極部11
8a1,118b1と内側磁極部118c,118dと
の距離を非常に小さくでき、コイル102とステータ1
18′により形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくす
ることができる。これにより、少ない電流で多くの磁束
を発生させることができ、モータMの出力アップ、低消
費電力化、コイル102の小型化を達成することができ
る。
【0210】また、ステータ118′にロータ保持部1
18a2,118b2を設けたことにより、モータ停止
時からコイル102への最初の通電時に、コイル102
から発生する磁束がマグネット101′に作用する力
は、マグネット101′の回転中心に向かわないため、
安定して回転起動ができる。
【0211】しかも、本実施形態では、ロータ保持部1
18a2,118b2をステータ118の外側磁極部と
一体的に形成したので、第1実施形態と比べて、さらに
部品点数が少なくなり、さらなる組み立ての容易化およ
び低コスト化を図ることができる。
【0212】そして以上説明したように、モータM′の
直径が非常に小さいことから、モータM′をストロボユ
ニットS内における光学プリズム2の斜面(側面)2e
の裏側のスペースに配置することができ、ストロボユニ
ットSの横方向の寸法Nを抑えることができる。さら
に、モータM′の長さも非常に小さいことから、前述し
たように、正面から見て縦位置に(光学パネル1等の高
さ方向にモータ軸が延びるように)配置しても、ストロ
ボユニットSの高さ方向の寸法Hを小さく抑えることが
でき、全体として非常にコンパクトなストロボユニット
を実現することができる。
【0213】(第3実施形態)ストロボユニットSに搭
載するモータとしては、上記第1および第2実施形態に
て説明したもの以外に、特開平9−331666号公報
にて提案されているものを用いてもよい。
【0214】このモータは、円周方向に等分割して異な
る極に交互に着磁された永久磁石からなるロータを円筒
形状に形成し、ロータ軸方向に第1のコイル、ロータお
よび第2のコイルを順に配置して構成されている。そし
て、第1のコイルにより励磁される第1の外側磁極部お
よび第1の内側磁極部をロータの外周面および内周面に
対向させ、第2のコイルにより励磁される第2の外側磁
極部および第2の内側磁極部をロータの外周面および内
周面に対向させる。このモータでは、ロータ軸である回
転軸が円筒形状の永久磁石内から取り出されている。
【0215】このような構成のモータは、第1のコイ
ル、ロータおよび第2のコイルを順にロータ軸方向に配
列してあるため、モータの長手方向、すなわち出力軸方
向の寸法が上記各実施形態のモータM,M′に比べて長
くなる可能性があるが、他の方式のモータに比べて直径
寸法が小さく、しかも出力が高いモータとすることがで
きるので、少なくともストロボユニットの横方向Nの寸
法を小さく抑えることができる。
【0216】また、モータとして通常タイプの直流モー
タやステップモータを用いてよく、この場合でも、光学
パネル1を矢印A方向に移動させる方法として、第1実
施形態にて説明した、偏心部材11の一方向の回転によ
って行なう方法を用いることにより、部品同士が干渉す
ることがなくなり、故障が少ないという効果や、簡単な
構成でストロボ光の照射角が変更できるので、撮影レン
ズ鏡筒の焦点距離を変えるモータや撮影レンズ鏡筒の動
きに連動して、光学プリズムを回動させたり光学部品の
位置を変えたりする複雑な機構が不要になるので、スト
ロボユニットのレイアウトの自由度が増すという効果を
得ることができる。
【0217】さらに、モータに連動してポップアップ起
動を行えるので、コンパクト性を損なわず、かつコスト
アップを最小限に抑えた自動ポップアップ式のストロボ
ユニット付きカメラを実現できるという効果も得られ
る。
【0218】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ストロボ光源等とともにストロボユニット内に配置さ
れ、照射角変更駆動を行うモータを、係止手段を係止解
除駆動してストロボユニットの突出動作(ポップアップ
等)を起動させる駆動源として兼用しているので、コン
パクト性を損なわずにコストアップを最小限に抑えた、
自動ポップアップ式のストロボ付き撮影装置を実現する
ことができる。
【0219】また、ストロボユニット内に配置されたモ
ータによって照射角変更駆動を行う構成としているの
で、ストロボ光の照射角を変更するために必要な機構も
単純化することが可能となる。これにより、従来のよう
に撮影レンズ鏡筒の焦点距離を変えるモータの駆動力を
照射角変更のために用いたり、撮影レンズ鏡筒の動きに
連動してストロボ照射角を変えたりするための複雑な機
構が不要となり、ストロボユニットのレイアウトの自由
度を増加させることができる。また、機構が単純化され
ることにより、機構内のがたも少なくすることができ、
精度良く照射角を変更することができるようになる。
【0220】また、上記ストロボユニットに、ストロボ
光源よりも光軸方向前方に配置され、ストロボ光源から
の光のうち少なくとも一部を光軸方向前方に向けて全反
射させる第1の光学部材と、この第1の光学部材よりも
光軸方向前方に配置された第2の光学部材とを設け、上
記照射角変更機構により、第1の光学部材と第2の光学
素子との光軸方向相対距離を変化させてストロボ光照射
角を変更させる照射光学系を搭載すれば、簡単かつコン
パクトな構成でストロボ光の照射角を変更することがで
き、さらには各照射角において良好な配光分布を得るこ
とができる。
【0221】そして、係止手段が、上記モータによって
駆動される照射角変更機構の構成部材を介して係止解除
側に駆動されるようにすれば、係止手段を駆動するため
に特別な機構を設ける必要がなくなり、上記照射角変更
機構や照射光学系の簡略化と相まって、よりコンパクト
で低コストの自動ポップアップ式のストロボ付き撮影装
置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるカメラのストロボ
ユニットに搭載されるモータの分解斜視図である。
【図2】上記モータの組み立て完成状態の断面図であ
る。
【図3】上記モータの動作説明図である。
【図4】上記モータの動作説明図である。
【図5】上記モータのうちロータ保持ステータがない場
合の動作説明図である。
【図6】上記ストロボユニットの照射光学系の集光状態
における光線分布を示す図である。
【図7】上記ストロボユニットの照射光学系の拡散状態
における光線分布を示す図である。
【図8】上記カメラの外観斜視図である。
【図9】上記照射光学系の斜視図である。
【図10】上記照射光学系の比較参考例である。
【図11】上記照射光学系の比較参考例である。
【図12】上記ストロボユニット内の構成を示す斜視図
である。
【図13】上記ストロボユニット内のモータ配置図であ
る。
【図14】上記ストロボユニット内の構成を示す底面図
である。
【図15】上記カメラにおけるストロボユニット近傍部
分を示す斜視図である。
【図16】上記ストロボユニットの外部構成を示す斜視
図である。
【図17】上記ストロボユニットの外部構成を示す側面
図である。
【図18】本発明の第2実施形態であるカメラのストロ
ボユニットに搭載されるモータの分解斜視図である。
【図19】上記第2実施形態のモータの組み立て完成状
態の断面図である。
【図20】上記第2実施形態のモータの動作説明図であ
る。
【図21】上記第2実施形態のモータの動作説明図であ
る。
【符号の説明】
S ストロボユニット 1 光学パネル 2 光学プリズム 3 ストロボ光放電管 4 反射笠 10 ピニオンギヤ 11 偏心部材 12 フォトリフレクタ 13 駆動レバー 14 ガイド棒 15 補助ガイド棒 16 係止レバー 21 レリーズボタン 22 モード切り替えスイッチ 23 液晶表示パネル 24 測光装置の受光窓 25 ファインダー覗き窓 26 カートリッジ装填室蓋 27 撮影レンズ鏡筒 28,32 カメラ本体 29 ストロボユニットのケース 30,31 引っ張りスプリング M,M′ モータ 101,101′ マグネット(ロータ) 102 コイル 107 出力軸 118,118′ ステータ 118a,118b,118a1,118b1 外側磁
極部 118c,118d 内側磁極部 118a2,118b2 ロータ保持部 120 カバー 121,122 ロータ保持ステータ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 装置本体に対して突出・収納が可能であ
    るとともに、前記ストロボユニット内に、ストロボ光の
    照射角の変更機構を駆動するモータを配置した撮影装置
    において、 前記ストロボユニットを装置本体に対して収納状態にて
    係止する係止手段と、 前記ストロボユニットを突出方向に付勢する付勢手段と
    を備えており、 前記モータの駆動力により前記係止手段による前記スト
    ロボユニットの装置本体に対する係止が解除されること
    を特徴とする撮影装置。
  2. 【請求項2】 前記係止手段は、前記モータによって駆
    動される前記照射角変更機構の構成部材を介して係止解
    除側に駆動されることを特徴とする請求項1に記載の撮
    影装置。
  3. 【請求項3】 前記モータが、 周方向に交互に異なる極に着磁された外周面を少なくと
    も有し、円筒形状に形成されたロータと、 このロータに対して軸方向に並んで配置された円筒形状
    のコイルと、 ロータ軸方向に歯状に延びるとともに前記ロータにおけ
    る外周面および内周面にそれぞれ対向配置されて前記コ
    イルにより励磁される外側磁極部および内側磁極部を備
    えたステータとを有して構成されていることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の撮影装置。
  4. 【請求項4】 前記モータが、 前記コイルへの非通電時において、前記ロータを、この
    ロータの各着磁部の極の中心が前記外側磁極部と前記ロ
    ータの回転中心とを結んだ直線上から外れて位置するよ
    うに保持するためのロータ保持手段を有することを特徴
    とする請求項3に記載の撮影装置。
  5. 【請求項5】 前記ロータが、プラスチックマグネット
    材料による射出成形により形成されていることを特徴と
    する請求項3又は4に記載の撮影装置。
  6. 【請求項6】 前記ストロボユニットはストロボ光の照
    射光学系として、 ストロボ光源よりも光軸方向前方に配置され、前記スト
    ロボ光源からの光のうち少なくとも一部を光軸方向前方
    に向けて全反射させる第1の光学部材と、 この第1の光学部材よりも光軸方向前方に配置された第
    2の光学部材とを有しており、 前記照射角変更機構は、前記第1の光学部材と前記第2
    の光学部材との光軸方向相対距離を変化させてストロボ
    光照射角を変更することを特徴とする請求項1から5の
    いずれかに記載の撮影装置。
  7. 【請求項7】 前記照射角変更機構は、前記第1の光学
    部材を前記第2の光学部材に対して光軸方向に移動させ
    ることを特徴とする請求項5に記載の撮影装置。
  8. 【請求項8】 前記照射角変更機構が、 前記モータにより駆動されて回転し、回転中心に対して
    偏心した円筒カム部を有する偏心部材を備えており、 前記円筒カム部の偏心回転を前記光学部材の光軸方向駆
    動力として変換伝達するよう構成されていることを特徴
    とする請求項5から7のいずれかに記載の撮影装置。
  9. 【請求項9】 前記第1の光学部材の両側面が光軸方向
    前方に向かって広がる斜面形状となっており、 前記モータが、前記ストロボユニット内における前記第
    1の光学部材の側面の裏側のスペースに、この第1の光
    学部材の高さ方向にモータ軸が延びるように配置されて
    いることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載
    の撮影装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002350939A (ja) * 2001-05-29 2002-12-04 Canon Inc 照明装置および撮影装置
CN102129149A (zh) * 2010-01-14 2011-07-20 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 补光装置及具有该补光装置的取像装置

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JP2002350939A (ja) * 2001-05-29 2002-12-04 Canon Inc 照明装置および撮影装置
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