JP2004028884A - 不純物元素の定量分析法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記工程を含む半導体基板上の薄膜中の不純物元素の定量分析法。
[第一工程]チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、カドミウム、錫、アンチモン、タンタル、タングステン、ハフニウムおよびビスマスからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む主成分と該主成分以外の不純物元素とからなる薄膜を分解溶液に溶解して、薄膜溶解溶液を得る工程。
[第二工程]該薄膜溶解溶液を0.05重量%以上のふっ化水素酸を含有するように調整した後、強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂で処理し、該樹脂を除去して、溶液を回収する工程。
[第三工程]第二工程で得た溶液中の不純物元素を定量する工程。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板上の薄膜中の不純物元素の定量分析法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化、パターンの微細化が進むにつれてパーティクルや金属不純物などの汚染が製品の歩留まりや信頼性に大きな影響を及ぼすようになってきている。歩留まりの向上やデバイス特性の向上のために半導体基板上の薄膜中の不純物元素を微量領域まで高精度、高感度で常に管理、把握することが必要になっている。
【0003】
そこで、該薄膜中の不純物元素の定量分析法として、例えば、金属薄膜を酸などの溶液で溶解した後、金属薄膜が溶解した溶液を定量分析する方法が検討されているが、金属薄膜が溶解した溶液には、不純物元素以外の薄膜を構成する主成分である金属元素が大量に含まれているため、該溶液を希釈して定量分析する必要があり、高感度で高精度な定量分析が難しいという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、半導体基板上の薄膜中の不純物元素を高精度、高感度で定量し得る分析方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記したような問題がない半導体基板上の薄膜中の不純物元素の定量分析法を見出すべく、鋭意検討を重ねた結果、半導体基板上の薄膜を分解溶液に溶解し、0.05重量%以上のふっ化水素酸を含有するように調整した後、強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂で処理することにより、不純物元素を高精度、高感度で定量し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記工程を含む半導体基板上の薄膜中の不純物元素の定量分析法を提供するものである。
[第一工程]チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、カドミウム、錫、アンチモン、タンタル、タングステン、ハフニウムおよびビスマスからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む主成分と該主成分以外の不純物元素とからなる薄膜を分解溶液に溶解して、薄膜溶解溶液を得る工程。
[第二工程]該薄膜溶解溶液を0.05重量%以上のふっ化水素酸を含有するように調整した後、強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂で処理し、該樹脂を除去して、溶液を回収する工程。
[第三工程]第二工程で得た溶液中の不純物元素を定量する工程。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、半導体基板上の薄膜中の不純物元素の定量分析法であって、下記工程を含むことが特徴である。
[第一工程]チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、カドミウム、錫、アンチモン、タンタル、タングステン、ハフニウムおよびビスマスからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む主成分と該主成分以外の不純物元素とからなる薄膜を分解溶液に溶解して、薄膜溶解溶液を得る工程。
[第二工程]該薄膜溶解溶液を0.05重量%以上のふっ化水素酸を含有するように調整した後、強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂で処理し、該樹脂を除去して、溶液を回収する工程。
[第三工程]第二工程で得た溶液中の不純物元素を定量する工程。
【0007】
第一工程は、薄膜を分解溶液に溶解して、薄膜溶解溶液を得る工程である。
半導体基板上の薄膜の主成分は、チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、カドミウム、錫、アンチモン、タンタル、タングステン、ハフニウムおよびビスマスからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むものである。薄膜の主成分は、前記した金属元素を酸化物などの金属化合物の形で含有していてもよい。
薄膜中の不純物元素は、前記した金属元素以外であれば特に限定されないが、例えば、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ストロンチウム、バリウム、タリウム、鉛などが挙げられる。
【0008】
薄膜の溶解に用いる分解溶液としては、酸性溶液、アルカリ性溶液、またはこれらの混合溶液を用いることが好ましく、ふっ化水素酸、硝酸、塩酸、硫酸、王水(塩酸:硝酸=3:1)、過酸化水素水、アンモニア水、またはこれらの混合溶液を使用することがより好ましく、ふっ化水素酸−硝酸溶液、ふっ化水素酸−王水、ふっ化水素酸−硫酸溶液、アンモニア水−過酸化水素水を使用することがさらに好ましい。
分解溶液の濃度は、3〜50重量%であることが好ましい。
分解溶液による半導体基板上の薄膜の溶解方法としては、例えば、薄膜上に分解溶液を供給する方法などが挙げられる。得られた薄膜溶解溶液は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン製の容器などに回収される。
分解溶液の濃度、使用量は、薄膜を溶解できれば特に限定されるものではないが、薄膜上に供給される分解溶液の使用量は、100μl〜50mlであることが好ましく、300μl〜40mlであることがより好ましい。
【0009】
第二工程は、該薄膜溶解溶液を0.05重量%以上のふっ化水素酸を含有するように調整した後、強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂で処理し、該樹脂を除去して、溶液を回収する工程である。
薄膜の主成分が、強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂に吸着されるように、得られた薄膜溶解溶液のふっ化水素酸の濃度が0.05重量%以上となるように調整することが必要であり、得られた薄膜溶解溶液のふっ化水素酸の濃度が1重量%以上となるように調整することが好ましい。
濃度が0.05重量%未満のふっ化水素酸やふっ化水素酸を含まない分解溶液を用いる場合には、ふっ化水素酸の濃度が0.05重量%以上となるようにふっ化水素酸を添加することが必要である。
ふっ化水素酸の濃度が0.05重量%未満では、薄膜の主成分が強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂に全く吸着されないか、一部しか吸着されず、溶液に残存した薄膜の主成分が定量分析に悪影響を及ぼす。
【0010】
強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂としては、例えば、トリメチルベンジルアンモニウム基などの4級アンモニウム基、ジメチルエタノールベンジルアンモニウム基、ジメチルエタノールアミン基などの4級アルキルアルカノールアミン基などの強塩基性基を有する樹脂が挙げられる。
樹脂の材質は、上記した不純物元素が溶出しない材質であれば特に限定されず、例えば、スチレン系、スチレン−ジビニルベンゼン系、アクリル系、メタクリル系などの樹脂が挙げられる。
強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂の使用量は、特に限定されるものではないが、1mL〜5mLである。
強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂は、ビーズ状またはメンブレン状のいずれの形状であってもよい。ビーズ状の強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂を用いる場合、カラムに充填して使用することが好ましい。
得られた薄膜溶解溶液を強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂で処理して、溶液を回収する方法としては、例えば、カラムに充填したビーズ状の強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂に薄膜溶解溶液を通液して通過した溶液を回収する、メンブレン状の強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂に薄膜溶解溶液を通液して通過した溶液を回収する、薄膜溶解溶液中にビーズ状の強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂を懸濁、攪拌し、該樹脂を除去して、溶液を回収するなどの方法が挙げられる。
得られた薄膜溶解溶液を強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂で処理して回収された溶液は、薄膜の主成分が除去され、分析目的元素である薄膜中の不純物元素を含む溶液である。
第二工程で除去される薄膜の主成分は、チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、カドミウム、錫、アンチモン、タンタル、タングステン、ハフニウム、ビスマスである。
また、第二工程では、例えば、硫酸イオンなどの陰イオンも除去可能である。
【0011】
第三工程は、上記した第二工程で得た溶液中の不純物元素を定量する工程である。
この工程では、第二工程で得た溶液中の不純物元素を定量するために、通常、第二工程で得た溶液を濃縮または乾固させ、所定液で溶解して、一定の容量とする。
溶液の濃縮または乾固は、通常、加熱により実施し、その後、所定液で溶解して試料溶液を作製するが、用いる所定液としては、誘導結合プラズマ質量分析法などの定量分析時に干渉が起こらない液、例えば、3重量%硝酸などが挙げられる。
また、試料溶液のブランクとして用いる標準溶液は、試料溶液に用いた所定液と同じものを用いることが好ましい。
得られた試料溶液は、薄膜の主成分を実質的に含まず、硫酸イオンなどの陰イオンによる影響も少ないことから、従来のように希釈することなく下記の定量方法に供することができるため、希釈液由来の不純物元素が混入することがなく高感度に定量できる。
得られた試料溶液中の不純物元素は、そのまま、四重極型誘導結合プラズマ質量分析装置、高分解能型誘導結合プラズマ質量分析装置、黒鉛炉原子吸光分析装置、全反射蛍光X線分析装置、二次イオン質量分析装置などを用いて定量することができるが、四重極型誘導結合プラズマ質量分析装置、高分解能型誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて定量することが好ましい。
また、試料溶液の組成により、四重極型誘導結合プラズマ質量分析法では干渉の避けられない質量数の元素(例えば、硫酸を含む液性中の亜鉛など)が含まれている場合には、高分解能型誘導結合プラズマ質量分析法により定量することで干渉を回避することができる。
不純物元素の濃度算出は、外部標準を用いる絶対検量線法、内部標準法または標準添加法のいずれで行なってもよい。
本発明の定量分析法によれば、半導体基板上の薄膜中の不純物元素を107atoms/cm2レベルまで正確に定量することが可能となる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
なお、以下の操作は全てクラス100以上のクリーンルームに設置したクラス10以上のクリーンドラフト中において行った。
【0013】
参考例1
強塩基性陰イオン交換樹脂により、除去可能な金属元素について検討した。表1に記載の各元素を1%ふっ化水素酸−1%硫酸、2%ふっ化水素酸−1%塩酸溶液にそれぞれ10mg添加した溶液を強塩基性陰イオン交換樹脂へそれぞれ通液し、流出液中の各元素を定量し、添加量と流出量を比較することにより、除去率を測定した。結果を表1に示す。
強塩基性陰イオン交換樹脂を用いることにより、チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、カドミウム、錫、アンチモン、タンタル、タングステン、ハフニウム、ビスマスを除去することが可能であった。
【0014】
【表1】
表1中の数値:陰イオン交換樹脂による金属元素の除去率(%)
【0015】
実施例1
ふっ化水素酸溶液300μlを分解溶液として供給して、酸化タンタル膜付200mmウェーハの酸化タンタル膜を完全に溶解した。得られた溶液を洗浄済みのポリテトラフルオロエチレン製容器に回収し、溶液のふっ化水素酸濃度を2重量%に調整した。この溶液を洗浄済みの強塩基性陰イオン交換樹脂 Dowex1X8、3mLに0.3mL/minで通液した。その流出溶液を蒸発容器に回収した。
その後、加熱、濃縮、乾固させ3%硝酸で残渣を溶解して、全容量が2mLのサンプルを作製した。同様にして、全3サンプルを作製した。
これらのサンプルを四重極型誘導結合プラズマ質量分析法を用い、絶対検量線法で定量した。Fe、Ca,Kについてはシールドトーチを用い、クールプラズマで定量を行った。定量値を表2に示す。
次に、酸化タンタル膜付200mmウェーハの膜の表面に既知量(1ng)の不純物を添加し乾燥させた試料を用いて、上記と同様にして、全3サンプルを作製した。これらのサンプルについて、上記と同様に定量を行なった。回収量を表2に示す。
また、分解溶液のみを、上記と同様の操作を行ったものを操作ブランクとし、その定量値を操作ブランク値とした。
なお、定量下限値は、操作ブランク値が測定装置の定量下限値以上検出された元素については、平均値+3σから算出し、検出されなかった元素については、測定装置の定量下限値から、薄膜面積あたりの原子数として算出した(酸化タンタル膜付300mmウェーハを使用)。算出には以下の式を用いた。
{(操作ブランク値の平均値+3σ)×アボガドロ数}/(各元素の質量数×薄膜表面積)
なお、測定装置の定量下限値は、標準溶液のブランクを5回以上測定しその定量値の10σとした。
【0016】
【表2】
*:(×1010atoms/cm2)
【0017】
実施例2
アンモニア水と過酸化水素水の混合溶液30gを分解溶液として供給して、窒化チタン膜付200mmウェーハの窒化チタン膜を完全に溶解した。得られた溶液を蒸発皿へ回収し、加熱、濃縮させた後、ふっ化水素酸濃度を1重量%に調整した。この溶液を洗浄済みの強塩基性陰イオン交換樹脂 Dowex1X8、3mLに0.3mL/minで通液した。その流出溶液を蒸発皿に回収し、加熱、濃縮、乾固させ、3%硝酸で残渣を溶解して、全容量が2mLのサンプルを作製した。同様にして、全3サンプルを作製した。
これらのサンプルを四重極型誘導結合プラズマ質量分析法を用い、絶対検量線法で定量した。定量値を表3に示す。
次に、窒化チタン膜付200mmウェーハの膜の表面に既知量(1ng)の不純物を添加し乾燥させた試料を用いて、上記と同様にして、全3サンプルを作製した。
これらのサンプルについて、上記と同様にして定量を行なった。回収量を表3に示す。
また、分解溶液のみを、上記と同様の操作を行ったものを操作ブランクとし、その定量値を操作ブランク値とした。
定量下限値は、操作ブランク値が測定装置の定量下限値以上検出された元素については、平均値+3σから算出し、検出されなかった元素については、測定装置の定量下限値から、薄膜面積あたりの原子数として算出した(窒化チタン膜付300mmウェーハを使用)。算出には以下の式を用いた。
{(操作ブランク値の平均値+3σ)×アボガドロ数}/(各元素の質量数×薄膜表面積)
なお、測定装置の定量下限値は、標準溶液のブランクを5回以上測定し定量値の10σとした。
【0018】
【表3】
*:(×1010atoms/cm2)
【0019】
比較例1
実施例2において、強塩基性陰イオン交換樹脂に通液せずにサンプルを作製し、該サンプルを5倍に希釈した以外は実施例2と同様にして定量を行なった。また、定量下限値も実施例2と同様にして算出した。結果を表4に示す。
【0020】
【表4】
*:(×1010atoms/cm2)
【0021】
実施例3
高分解能型誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた以外は実施例1と同様にして操作ブランク値を得、定量下限値を算出した。結果を表5に示す。
【0022】
【表5】
*:定量下限値(×1010atoms/cm2)
【0023】
比較例2
実施例1において、強塩基性陰イオン交換樹脂に通液せずにサンプルを作製し、該サンプルを50倍に希釈した(希釈分析法)以外は実施例1と同様にして定量下限値を算出した。結果を表6に示す。
【0024】
【表6】
*:定量下限値(×1010atoms/cm2)
結果から、本願方法によれば、四重極型誘導結合プラズマ質量分析法を用いた場合、定量下限を従来法の約1/5〜1/50に、高分解能型誘導結合プラズマ質量分析法では、約1/100〜1/1000に向上することが可能となった。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体基板上の薄膜中の不純物元素を高精度、高感度で定量分析することが可能となる。
Claims (4)
- 下記工程を含む半導体基板上の薄膜中の不純物元素の定量分析法。
[第一工程]チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、カドミウム、錫、アンチモン、タンタル、タングステン、ハフニウムおよびビスマスからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む主成分と該主成分以外の不純物元素とからなる薄膜を分解溶液に溶解して、薄膜溶解溶液を得る工程。
[第二工程]該薄膜溶解溶液を0.05重量%以上のふっ化水素酸を含有するように調整した後、強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂で処理し、該樹脂を除去して、溶液を回収する工程。
[第三工程]第二工程で得た溶液中の不純物元素を定量する工程。 - 分解溶液が、ふっ化水素酸、硝酸、塩酸、硫酸、王水、過酸化水素水およびアンモニア水からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の定量分析法。
- 強塩基性陰イオン交換能を有する樹脂が、ビーズ状またはメンブレン状のいずれかの形状を有する樹脂である請求項1または2記載の定量分析法。
- 四重極型誘導結合プラズマ質量分析装置、高分解能型誘導結合プラズマ質量分析装置、黒鉛炉原子吸光分析装置、全反射蛍光X線分析装置および二次イオン質量分析装置からなる群から選ばれる少なくとも1種の装置を用いて不純物元素を定量する請求項1〜3のいずれかに記載の定量分析法。
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