JP4512605B2 - 誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた微量不純物元素の定量方法 - Google Patents

誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた微量不純物元素の定量方法 Download PDF

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Description

本発明は、2個以上の安定同位体を有する元素を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)を用いて定量する方法に関する。さらに詳しくは、試料を形成するマトリックス成分から試料中に微量に含まれる分析対象元素を取り出す前処理過程において、当該元素の損失等が生じた場合でも、それを補正して試料中の当該元素の質量を正確に求めるためのICP−MSを用いた定量方法に関する。
各種試料の含有元素の分析法は多々あるが、測定手法としては対象元素数が多い上に定量感度も高いICP−MSによる方法が広く用いられている。
装置としてICP−MSを見た場合、コストパフォーマンスに優れた四重極型装置が汎用されており、質量分解能の精密性が必要な場合は磁場・電場を有する二重収束型装置が用いられる。さらに同位体比測定の正確さを目的とする場合は質量分析部に二重収束型、検出器部に同時検出可能なマルチコレクターを有する装置が使用されることもあるが、装置自体が非常に高価である。
ICP−MSで微量不純物元素を定量するためには、まず試料を形成するマトリックス成分から当該元素を取り出す前処理工程が必要である。この前処理としては、化学的なものに限定しても灰化、加熱、濃縮、沈殿、抽出等の原理が利用されており、分析対象元素の種類と活用する原理、器具材質、試薬等級、実験環境によっては分析対象元素が分析系外から混入して汚染を来すこともある反面、揮発、難溶解化、その他によって分析対象元素が分析系外に損失する場合もある。
分析対象元素が分析系外から混入して汚染するケースについては、微量分析では、実験環境を例にすればクリーンルーム内に設置したクリーンドラフトの使用も特殊ではなくなってきており、汚染防止の観点から分析対象毎にクリーンルーム構成材料を選択するところまで対策が講じられるようになっている。
それに対して、分析系外への損失は試料と分析対象元素と前処理の原理の組み合わせによって起こることが多いので、試料そのものと、試料に分析対象元素の既知量を添加してそれぞれ前処理を行い、ICP−MSでの測定結果をもとに両者の比較から回収率を求め、その程度に応じて前処理の原理を変更することになる。例えばホウ素は水溶液中で加熱・濃縮すると揮発損失するが、難揮発性錯体を生成するマンニットを予め水溶液に添加しておけば揮発損失することは無いので水溶液中ホウ素のICP−MSを用いる分析は可能である。ただし、試料が水ではなくメタノール、エタノール、イソプロパノール等であると加熱・濃縮の過程でマンニットが存在してもホウ素はホウ酸アルキルエステルとして揮発損失してしまう。この場合は、マンニットをN−メチルグルカミン基を官能基とする陰イオン交換樹脂に変更し、加熱・濃縮の前処理操作も、常温での撹拌操作に改めて、一定時間経過後に、試料中の当該イオン交換樹脂を取り出し、希硝酸で該樹脂から溶出すれば樹脂に捕捉されていたホウ素が取り出せるのでアルコール中ホウ素のICP−MSを用いた分析は可能となる。
このような例示内容は枚挙にいとまが無く前処理工程での分析対象成分の損失防止(高回収率確保)は、分析における最重要事項の一つになっている。
分析対象元素をICP−MSで測定する分析法の中で、分析対象元素が分析系外から混入して汚染を来すことがない条件下であれば、天然同位体組成を持つ試料に濃縮安定同位体を添加し、同位体平衡が達成された後、濃縮安定同位体添加前後の同位体組成の変化から試料中の分析対象元素濃度を求める安定同位体希釈質量分析法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
安定同位体希釈分析法のメリットは、濃縮安定同位体を添加した後に同位体平衡が成立すれば、その後の前処理における分析対象元素回収率の影響を殆ど受けないことであり、非常に魅力的な方法であるが、以下の測定条件が要求される(非特許文献1)。
(1)濃縮安定同位体濃度及び同位体組成が精確に定められていること。
(2)測定時にスペクトル干渉を受けない2つの同位体が確保できること。
(3)前処理操作において同位体平衡が成立していること。
(4)実験操作における汚染のレベルが十分に低いこと。
(5)同位体比を精確に測定すること。
上記(1)の試料に添加する濃縮安定同位体の濃度及び同位体組成が精確に定められているとの条件は、米国オークリッジ研究所(ORNL)より供給されている濃縮安定同位体や、米国立標準技術研究所で市販する認証標準物質(NIST SRM)としての同位体標準を調達すれば済む。上記(2)のICP−MS測定時にスペクトル干渉を受けない2つの安定同位体が確保できることは安定同位体希釈分析には必須の前提要件である。上記(3)の前処理操作において同位体平衡が成立しているとの条件は、前述の通り、例えば、より完全な溶液化を達成すればよい。上記(4)の実験操作における汚染のレベルが十分に低いことは微量分析においては当該方法に限らず要求されることである。
しかし、上記(5)の同位体比を精確に測定するとの条件は、ICP−MSにとってハードルが高い。マルチコレクターを有する高価な特殊機を用いる場合は別として、汎用の四重極型装置、高級機の二重収束型装置は何れも複数の同位体を同時検出できず、各同位体の質量電荷比間を走査して検出する方式を採用しているので、一試料測定の場合でも試料導入系の動作状態、イオン源であるプラズマのゆらぎの程度、検出器の応答性等の時間的な安定度や微小な変化が同位体比の測定値の精密さに影響する。
また、ICP−MSでは、イオンレンズ系における質量差別効果のために元素の同位体比の測定値が真値と一致しないという問題もある。質量差別効果とは、分析対象元素はプラズマから検出器に通じる真空領域にイオンとして引き出されるが、同時にプラズマを構成するアルゴンイオンが同領域に大量に引き出されることから、同領域ではイオン強度が極端に大きくなり、強い空間電位効果が生まれ、この効果により軽い同位体イオンは設定されたイオン軌道外にはじかれ、重い同位体イオンよりも検出器への到達率が低下するというものである。この質量差別効果は1質量差あたり数%の影響が出ることが知られており、測定された同位体比は補正が不可欠となる。この補正の方法は幾つかが知られているものの、さらにこの同位体比補正係数自体が時間により変動するため、一定時間間隔で同位体比補正係数を正確に校正可能な手段をとる必要がある。
以上のようにICP−MSにより同位体比を精確に測定することは困難性を伴うため、同位体平衡成立後の前処理操作において分析対象元素回収率の影響を殆ど受けないという安定同位体希釈質量分析法のメリットを活かした分析例は余り行なわれていないのが現状である。
稲垣和三、「同位体希釈ICP質量分析法による高感度無機分析とスペシエーション」、環境と測定技術、社団法人日本環境測定分析協会、2004年、第31巻、第4号、52〜56ページ
本発明の目的は、試料中の微量元素の量を汎用の四重極型ICP−MSにより簡易にかつ正確に測定することができる方法を提供することにある。
本発明者らは、上述した安定同位体希釈質量分析法のメリットは享受し、かつ汎用の四重極型ICP−MSにより、簡易かつ正確に微量元素を定量する方法について鋭意検討した結果、前処理操作における分析対象元素回収率の影響を殆ど受けず、かつICP−MSによる安定同位体希釈質量分析法の汎用性を困難としている同位体比を精確に測定する必要のない定量方法を開発した。
すなわち、本発明は以下の構成からなる微量元素の定量方法である。
[1]2個以上の安定同位体を有する元素の定量方法であって、
(1)試料に分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体を特定量添加した後、マトリックス材料除去を含む前処理を行ない、同位体平衡を成立させてなる試料溶液について誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)により前記安定同位体の質量電荷比のシグナル強度(以下、混合強度)を測定する工程、
(2)分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量についてICP−MSにより前記安定同位体の質量電荷比のシグナル強度(以下、比較強度)を測定する工程、
(3)前記安定同位体のうち特定の同位体の質量電荷比における比較強度に対する混合強度を前処理における仮回収率とし、その仮回収率、前記安定同位体のうち別の同位体の質量電荷比における混合強度および比較強度に基づき、試料中の別の同位体の質量電荷比のシグナル強度を算出し、予め作成した当該別の同位体の検量線を用い試料中の分析対象元素の仮存在量を求める工程、および
(4)分析対象元素の特定量と分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量とを含有する模擬試料溶液、および同濃縮安定同位体を特定量含む比較溶液について、ICP−MSにより前記安定同位体の質量電荷比のシグナル強度を測定し、前記測定したシグナル強度から上記工程(3)と同様に算出した仮存在量と模擬試料溶液で用いた既知の量との関係から測定偏り率を求め、得られた測定偏り率から上記工程(3)で求めた分析対象元素の仮存在量を補正し、分析対象元素の存在量を算出する工程
を含むことを特徴とする微量元素の定量方法。
[2](5)分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量について前記工程(1)と同じ前処理を行ない、同位体平衡を成立させてなる前処理操作ブランク溶液について、ICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度(以下、ブランク強度)を測定し、それと前記工程(2)で測定した比較強度から前記工程(3)と同様に分析対象元素の仮存在量を算出し、前記工程(4)で求めた測定偏り率により補正して存在量を求め、前記工程(4)で算出した存在量から前記存在量を差し引くことにより、前処理における混入汚染の影響を補正した存在量を得る工程
を有する前記1に記載の定量方法。
[3]前記工程(4)が、分析対象元素の特定量と分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量とを含有する試料を基準とし、その試料が特定の回収率にて前処理されたものと仮定して調製した模擬試料溶液、および同濃縮安定同位体を特定量含む比較溶液について、ICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度を測定し、前記測定したシグナル強度から模擬試料溶液の前処理前に存在する分析対象元素量を上記工程(3)と同様に仮存在量として算出し、その仮存在量と、基準試料中の分析対象元素の特定量とから測定偏り率を求め、得られた測定偏り率から上記工程(3)で求めた分析対象元素の仮存在量を補正し、分析対象元素の存在量を算出する工程である前記1または2に記載の定量方法。
[4]質量電荷比のシグナル強度の測定に際して内標準元素を用いる前記1〜3のいずれかに記載の定量方法。
[5]内標準元素が、分析対象元素の同位体と質量分離でき、かつ分析対象元素と質量電荷比の近い元素である前記4に記載の定量方法。
[6]前記工程(3)でいう別の同位体が、分析対象元素において天然存在比が最も大きな同位体である前記1〜5のいずれかに記載の定量方法。
[7]前記工程(3)でいう特定の同位体が、濃縮安定同位体において天然同位体比から同位体比を増加させた同位体である前記1〜6のいずれかに記載の定量方法。
[8]測定偏り率を少なくとも2種の模擬試料から求め、模擬試料の分析対象元素の仮存在量の最大値と最小値との間に試料中の分析対象元素の仮存在量がくるように模擬試料を調製する前記1〜7のいずれかに記載の定量方法。
[9]ICP−MSとして四重極型装置を用いる前記1〜8のいずれかに記載の定量方法。
[10]分析対象元素がホウ素であり、内標準元素がベリリウムであり、マトリックス材料がシリコンである前記4〜9のいずれかに記載の定量方法。
[11]前記工程(3)でいう特定の同位体が10Bであり、別の同位体が11Bである前記10に記載の定量方法。
本発明の方法は、工程(1)〜工程(4)、好ましくはさらに工程(5)を含んでなる。以下それぞれについて説明する。
工程(1):試料に分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体を特定量添加した後、マトリックス材料除去を含む前処理を行ない、同位体平衡を成立させてなる試料溶液についてICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度(以下、混合強度)を測定する工程。
本発明は、試料中に微量に含まれる分析対象元素を定量する方法であり、本発明の分析対象元素は2個以上の安定同位体が存在することが必要である。本発明の試料としては、例えばマトリックス材料中に微量の分析対象元素を含んでなるものであり、分析に際してマトリックス材料除去等の前処理をする必要がある。マトリックス材料の除去方法は、マトリックス材料の種類や量に応じて適宜選択すればよく、化学的なものとして、例えば灰化、加熱、濃縮、沈殿、抽出等が挙げられる。
本工程(1)においては、この前処理を行なう前に、特定量の試料に対して特定量の濃縮安定同位体を添加する。濃縮安定同位体とは、分析対象元素と同一元素であって、その安定同位体のうちの特定の同位体の割合を物理的または化学的に濃縮することで増加させたものをいい、天然同位体比とは異なる同位体比を有する。
試料に特定量の濃縮安定同位体を添加した後に前記の前処理を行い、同位体平衡を成立させてなる試料溶液について、ICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度(混合強度)を測定する。
定量のために測定する質量電荷比は、他元素同位体・分子イオン干渉等の妨害が認められなければ同位体のうちシグナル強度最大のもの(存在比の最も大きな同位体)とすることが好ましい。前記妨害が認められても、その程度が少なく補正可能であればシグナル強度最大のものを選択し、補正が困難である場合にはシグナル強度として次に大きな質量電荷比を選択することが好ましい。シグナル強度がより大きなものを選択して測定することで、測定誤差を抑え分析精度を向上させることができる。以下、定量のために測定する質量電荷比をm1とする。
m1でのシグナル強度の測定に加えて、m1とは異なる質量電荷比であって、添加する濃縮安定同位体において同位体比を増加させた同位体の質量電荷比についても同様にシグナル強度を測定する。この質量電荷比を以下m2とする。
測定したシグナル強度のイメージチャートを図1に示す。なお、ここで測定されたシグナル強度(混合強度)は試料および添加した濃縮安定同位体が前処理により損失等された状態のものである。
シグナル強度の測定に際しては、内標準元素を利用することが好ましい。内標準元素としては、分析対象元素とは異なる元素であり、定量のための質量電荷比、及び濃縮安定同位体の質量電荷比と一致せず、かつ分析対象元素の同位体と質量分離できる中で最も質量電荷比の近いものが好ましく、また、別元素同位体・分子イオン干渉等が認められないか、認められても妨害の程度が少なく補正可能であり、できるだけ天然同位体組成の高い質量電荷比を有するものが好ましい。この内標準元素の一定量を前処理が完了した溶液中に添加し、内標準元素の質量電荷比についても同様にシグナル強度を測定する。内標準元素の質量電荷比を以下m3とする。
工程(2):分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量についてICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度(以下、比較強度)を測定する工程。
工程(2)では、試料を用いず、前処理も行なわない点以外は工程(1)と同様に調製した試料(濃縮同位体比較溶液)について、m1およびm2のシグナル強度を測定する。用いる濃縮安定同位体の量も、原則として工程(1)と同量で同濃度とする。
測定したシグナル強度のイメージチャートを図2に示す。なお、工程(2)では前処理を行なっていないため、ここで測定されたシグナル強度(比較強度)は使用した濃縮安定同位体の量に基づくものである。
内標準元素を用いる場合は、その添加量も工程(1)と同程度の量とすることが好ましく、さらに好ましくは同量とする。
本発明において内標準元素を用いる場合は、本工程(2)に限らず、m1およびm2等の必要な質量電荷比におけるシグナル強度を測定し、併せて内標準元素の質量電荷比m3のシグナル強度も測定する。内標準元素の添加量およびそのシグナル強度で、m1およびm2等の必要な質量電荷比におけるシグナル強度を規格化することができ、内標準元素の添加量を精密に測定しておくことで測定用溶液における濃度等の調整を精密にする必要が無くなる。
工程(3):特定の同位体の質量電荷比における比較強度に対する混合強度を前処理における仮回収率とし、その仮回収率、別の同位体の質量電荷比における混合強度および比較強度に基づき、試料中の別の同位体の質量電荷比のシグナル強度を算出し、予め作成した当該別の同位体の検量線を用い試料中の分析対象元素の仮存在量を求める工程。
分析精度の点から、上記別の同位体は、定量のために測定する同位体(通常は、天然同位体比の最も大きな同位体)であることが好ましく(その質量電荷比はm1)、上記特定の同位体は濃縮安定同位体において同位体比を増加させた同位体であることが好ましい(その質量電荷比はm2)。したがって、ここでいう前処理の仮回収率は、m2の比較強度に対するm2の混合強度となる。
工程(1)で調製した測定溶液(試料溶液)のm1、m2、m3におけるシグナル強度をXm1、Xm2、Xm3とし、工程(2)で調製した測定溶液(濃縮同位体比較溶液)のm1、m2、m3におけるシグナル強度をYm1、Ym2、Ym3とし、それぞれ内標準元素のシグナル強度(Xm3、Ym3)で規格化した試料溶液m1、m2におけるシグナル強度をXtm1、Xtm2とし、濃縮同位体比較溶液のm1、m2におけるシグナル強度をYtm1、Ytm2とした場合に、前処理による回収率を(Xtm2/Ytm2)と仮定する(仮回収率)。この仮回収率を用いて、試料の当初存在量に基づくm1でのシグナル強度を計算するには、Xtm1から試料溶液に予め添加していた濃縮安定同位体のシグナルYtm1の寄与分を差し引いた後、更に仮回収率により補正したシグナル強度[{Xtm1−Ytm1×(Xtm2/Ytm2)}/(Xtm2/Ytm2)]とすることができる。
この補正したシグナル強度を、質量電荷比m1の同位体について予め作成した検量線式に代入し、試料中の分析対象元素の仮存在量を求める。検量線式は常法により求めれば良く、例えば、分析対象元素の金属標準液[計量法校正事業者認定制度(Japanese Calibration Service System)認定品]を超高純度分析用溶剤で数種の濃度(3〜6水準濃度)に調製した溶液試料について、必要に応じて特定量の内標準元素を添加して、質量電荷比m1のシグナル強度を測定し、互いの関係を検量線式として求めることができる。
工程(3)において「仮」回収率としたのは、この値は単純に濃縮同位体の前処理による増減を示したものではなく、m2の混合強度に含まれる試料由来のシグナル強度の寄与分加算を無視しているためであり、次の工程(4)においてその補正を行なう。
工程(4):分析対象元素の特定量と分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量とを含有する模擬試料溶液、および同濃縮安定同位体を特定量含む比較溶液について、ICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度を測定し、前記測定したシグナル強度から上記工程(3)と同様に算出した仮存在量と模擬試料溶液で用いた既知の量との関係から測定偏り率を求め、得られた測定偏り率から上記工程(3)で求めた分析対象元素の仮存在量を補正し、分析対象元素の存在量を算出する工程。
工程(3)で求めた分析対象元素の仮存在量の補正は、分析対象元素同位体の天然存在比及び濃縮安定同位体の純度と存在比認証値等があれば理論式で補正を行うことも可能であるが、その場合、濃縮安定同位体の純度と存在比が正確に判明していることと、ICP−MSにより同位体シグナル強度を正しく測定することが必要となり、本発明の汎用の四重極型装置により簡易にかつ正確に測定するという目的は達成できない。それに代わる方法として、本発明においては分析対象元素の量が既知である模擬試料溶液を準備し、工程(3)の手法を用いて求めた仮存在量との間でどの程度の値の偏りがあるのかを求め、その偏り率で工程(3)で求めた分析対象元素の仮存在量を補正する。
本工程は、より具体的には、分析対象元素の特定量と分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量とを含有する試料を基準とし、その試料が特定の回収率にて前処理されたものと仮定して調製した模擬試料溶液、および同濃縮安定同位体を特定量含む比較溶液について、ICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度を測定し、前記測定したシグナル強度から模擬試料溶液の前処理前に存在する分析対象元素量を上記工程(3)と同様に仮存在量として算出し、その仮存在量と、基準試料中の分析対象元素の特定量とから測定偏り率を求め、得られた測定偏り率から上記工程(3)で求めた分析対象元素の仮存在量を補正し、分析対象元素の存在量を算出することにより実施できる。
模擬試料溶液は、分析対象元素の特定量と分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量とを含有する試料を基準とし、その試料が特定の回収率にて前処理されたものと仮定して調製し、この模擬試料溶液についてICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度(模擬試料強度)を測定する。また、工程(2)で調製したものと同様の濃縮安定同位体を特定量含む比較溶液を調製し、それについてもICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度を測定する。これらのシグナル強度から工程(3)と同様にして仮回収率を計算し、その値から基準とした試料中の分析対象元素の仮存在量が算出できる。この値と、基準とした試料中に存在する分析対象元素の質量との関係から測定偏り率を求める。
そして工程(3)で求めた仮存在量を測定偏り率で補正することにより、試料中の分析対象元素の存在量を求める。本工程においても、シグナル強度の規格化のために内標準物質を利用することが好ましい。
具体的には、模擬試料溶液のm1、m2、m3におけるシグナル強度をSm1、Sm2、Sm3とし、内標準元素のシグナル強度(Sm3)で規格化した試料溶液m1、m2におけるシグナル強度をStm1、Stm2とすると、上記工程(3)と同様な考え方により得られる仮回収率は(Stm2/Ytm2)となり、同様に模擬試料の存在量に基づくm1でのシグナル強度は[{Stm1−Ytm1×(Stm2/Ytm2)}/(Stm2/Ytm2)]とすることができ、その強度から検量線式を用い仮存在量を求めることができる。この値は模擬試料溶液として特定の回収率にて前処理されたものと仮定した場合の、基準となる試料中の分析対象元素の仮存在量である。この値と、基準とした試料として規定した分析対象元素の質量との関係から測定偏り率を求める。
測定偏り率は、(仮存在量)/(基準とした試料中に存在する元素量)として求めることができる。測定偏り率は仮存在量により変化するため、仮存在量に対する測定偏り率の関係を求めることが好ましい。その点から仮存在量と測定偏り率との関係は少なくとも2種の模擬試料溶液で評価することが適当である。評価する模擬試料溶液としては、測定すべき試料における分析対象元素の仮存在量と模擬試料における分析対象元素の仮存在量とが近い値となるように調製することが好ましく、また複数の模擬試料の分析対象元素の仮存在量の最大値と最小値との間に試料中の分析対象元素の仮存在量がくるように模擬試料を調製することが好ましい。
複数の模擬試料としては、分析対象元素の配合量を種々変更した基準試料に対し、特定の回収率により分析対象元素および同元素の濃縮安定同位体の添加量を低減させたものが挙げられ、また、前記回収率を種々変更してなるものも挙げられる。
例えば、分析対象元素標準液(JCSS認定品)を用い、想定される試料中の分析対象元素の量の、例えば1/10〜10倍質量の範囲で3〜6点程度の濃度水準を設定し、工程(1)で添加したのと同量の濃縮安定同位体を含む試料を基準の試料として規定し、適宜選択した回収率で回収されたとして算出した元素量を含む模擬試料溶液を調製する。具体的には、分析対象元素[X(質量)]、濃縮安定同位体[Y(質量)]を含む試料を基準とした場合、回収率75%を想定すると分析対象元素[0.75X(質量)]、濃縮安定同位体[0.75Y(質量)]を含む模擬試料溶液を調製し、ICP−MSによる測定に基づいて基準試料中の元素の仮存在量を算出し、その値と基準とした分析対象元素の量であるX(質量)とを対比し、その関係を求めることにより、測定偏り率を導き出すことができる。模擬試料溶液の測定数は多ければ多いほど、正確な関係を導き出せるが、例えば基準試料として異なる元素濃度を有する試料2種、好ましくは4種について特定の回収率を想定して評価することで充分精度に優れた測定偏り率を算出できる。
本工程において、特定の回収率とは、例えば1〜100%の間で適宜選択すればよく、例えば100%、75%、50%、25%などが挙げられる。特定の回収率が100%とは、基準とした試料中の分析対象元素の質量と模擬試料溶液中の分析対象元素の質量とが同一であることを意味する。
工程(5):分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量について前記工程(1)と同じ前処理を行ない、同位体平衡を成立させてなる前処理操作ブランク溶液について、ICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度(以下、ブランク強度)を測定し、それと前記工程(2)で測定した比較強度から前記工程(3)と同様に分析対象元素の仮存在量を算出し、前記工程(4)で求めた測定偏り率により補正して存在量を求め、前記工程(4)で算出した存在量から前記存在量を差し引くことにより、前処理における混入汚染の影響を補正した存在量を得る工程。
前処理を行なうことで系外へ損失する分析対象元素については上記工程(3)〜(4)により補正される。本工程(5)は、前処理により系内に分析対象元素が混入する汚染等の補正を行なうためのものである。すなわち、試料を配合しない以外は工程(1)で調製した試料溶液と同様にして測定溶液(前処理操作ブランク溶液)を調製し、前記工程(3)〜(4)と同様にして分析対象元素の存在量を求め、それを前処理により混入汚染した分析対象元素の量とする。
具体的には、前処理操作ブランク溶液のm1、m2、m3におけるシグナル強度をZm1、Zm2、Zm3とし、内標準元素のシグナル強度(Zm3)で規格化した試料溶液m1、m2におけるシグナル強度をZtm1、Ztm2とし、上記工程(3)〜(4)と同様にして、前処理により混入した分析対象元素の質量電荷比m1におけるシグナル強度を[{Ztm1−Ytm1×(Ztm2/Ytm2)}/(Ztm2/Ytm2)]として求める。ついで、検量線式にて前処理により混入した分析対象元素の仮存在量を求め、工程(4)で求めた測定偏り率により補正して存在量を算出する。この量を、工程(4)で求めた試料中の分析対象元素の存在量から差し引くことで、前処理により混入する分析対象元素量が補正され、より精密な存在量の値を得ることができる。
本発明は、試料中の分析対象元素質量の多少に応じて、試料溶液または濃縮同位体比較溶液あるいは前処理操作ブランク溶液に添加する濃縮安定同位体及び内標準元素の質量を加減することにより定量可能範囲を調整することができる。また、本発明は本来的には微量定量を目的とするが、試料の量を少なくすることで高濃度不純物の定量にも適用が可能である。
本発明で定量に用いるICP−MSは汎用されている四重極型装置であり、検出器としてマルチコネクターを有する装置を必要条件とはしていない。また、質量分析部に磁場・電場を用いる二重収束型装置も特に分解能が必要とされる場合以外、その他性能を必要条件とはしていない。
本発明は試料に濃縮安定同位体を一定量添加した試料溶液、および濃縮安定同位体を一定量添加した前処理操作ブランク溶液を調製するとき以外には前処理操作を行わないため、安定同位体希釈質量分析法と同等の同時多検体処理が可能である。
本発明の定量方法は、濃縮安定同位体を添加した状態で前処理を行った試料につきICP−MSを用いた定量を行なうという安定同位体希釈質量分析法の考え方を基礎としたものであり、安定同位体希釈質量分析法では同位体比の精確な測定が必須であり、一方、ICP−MS分析装置として汎用されている四重極型装置では同位体比の精密かつ正確な測定が困難であるとの解決しがたい課題を解決したものである。
すなわち、通常の安定同位体希釈質量分析法では、試料に濃縮安定同位体を一定量添加して同位体平衡が成立した後の同位体比の精確度、使用する濃縮安定同位体濃度・組成の精確度が必要であり、濃縮安定同位体の濃度は高純度の金属標準物質を用いた逆安定同位体希釈質量分析法により決定するのが通常であるため、さらに煩雑となるが、本発明によればICP−MSのシグナル強度として内標準物質と分析対象元素の同位体との関係、試料溶液と濃縮同位体比較溶液とでは同じ同位体同士の関係が要求されるだけであり、測定すべき溶液中の各同位体の割合や濃縮安定同位体の精確な濃度は原則として要求されない。
一方、前処理における分析対象元素回収率の影響が現れるため、本発明ではそれを簡便な方法により補正するものであり、また測定を通して、ICP−MS分析法に特有な質量差別効果に配慮する必要もなく、汎用の四重極型ICP−MSを用いて微量分析と呼ばれるレベルの定量分析を実施することが可能となる。
したがって、安定同位体を2個以上有する元素の微量分析は、今後、容易に実用化の範囲を広げるものと期待できる。
また、本発明の方法により例えばシリコン中のホウ素量を定量分析する場合には、サブppbレベルの微量元素分析を行なうことができる。従来公知の微量分析方法である荷電粒子放射化分析法(CPAA)、グロー放電質量分析法(GDMS)、フォトルミネッセンス法(PL)等での定量下限が5ppb程度であることを考えると、本発明の方法が如何に簡便かつ精確な分析が行えるかを理解できる。
本発明の定量対象である元素は、2個以上の安定同位体を有するものであれば特に制限されるものではないが、前処理操作における損失の可能性が高い場合に特に有用である。分析可能な元素としては、例えば、Sb,Cd,Cr,Ge,Pb,Se,Te,Sn,Zn等が挙げられる。
以下、シリコン中の微量ホウ素量を測定するケースについて具体的に説明する。
ホウ素の天然同位体比は10Bが19.9%、11Bが80.1%であるため、試料中のホウ素量測定のために用いる同位体はシグナル強度の大きな(同位体比の高い)質量電荷比(m/z)11であり、これをm1とする。またホウ素の濃縮安定同位体としては、例えばNIST SRM952として10B/11B:0.94949/0.05051のものが知られている。これは、10Bの同位体比を天然同位体比である約20%から約95%まで向上させたものであり、このm/z10をm2とする。内標準元素としてはホウ素とは異なる元素であり、定量のためのm/z10およびm/z11と一致せず、かつホウ素同位体と質量分離できる中で最も質量電荷比の近いものが好ましく、またできるだけ天然同位体組成の高い質量電荷比を有するものが好ましい点から、同位体が存在しない9Beが最適である。したがって、このm/z9がm3となる。
工程(1)として、試料を特定量正確に秤量し、それに濃縮安定同位体を添加し、前処理を行なう。濃縮安定同位体の添加量は原理上は試料中のホウ素よりも過剰でも過小でも構わないが、測定誤差を抑えるためには、試料中のホウ素量よりも多く添加することが好ましく、さらに好ましくは例えば10倍程度の濃縮安定同位体を添加する。前処理はマトリックスであるシリコンを除去するものであり、例えば、フッ素酸−硝酸からなる混酸にて処理することでSiF4として除去することができる。シリコン除去を完了し、十分に溶液化して同位体平衡に達した後、特定量のベリリウムを内標準元素として添加し、所定の濃度の試料溶液を得る。この溶液について、m/z11(m1),m/z10(m2)およびm/z9(m3)でのシグナル強度を測定し、特定量配合したベリリウムのシグナル強度に基づきm/z11(m1)およびm/z10(m2)でのシグナル強度を規格化する(それぞれXtm1およびXtm2)。工程(2)以降は、前記で説明したとおりに行なうことができる。
以下、本発明の測定方法について、N型シリコンウェーハに含有されるホウ素含有量の実際の分析例により説明する。
実施例で使用した試薬等は以下の通りである。
・フッ化水素酸(38%):多摩化学社製;Tamapure AA-10(超高純度分析用試薬)
・硝酸(68%):多摩化学社製;Tamapure AA-10(超高純度分析用試薬)
・超純水:アルバックサービス社製UP−105−RIU−H−R型超純水製造装置から配管されたクリーンルーム内蛇口から採取
・3%硝酸:上記硝酸(68%)と超純水とから調製
・濃縮安定同位体:NIST SRM952(10B/11B:0.94949/0.05051)(H3BO3として99.97±0.02%)
・ベリリウム:関東化学社製(9Be:1.000)1001μg/mL
・ホウ素:関東化学社製(10B/11B:0.199/0.801)1009μg/mL
実施例1:試料溶液および前処理操作ブランク溶液の調製
市販のN型シリコンウェーハ(300mmφ)を破砕し、破片(1〜5mm角)2.05gを樹脂製分解容器に採取後、フッ化水素酸(38%)、硝酸(68%)および超純水を79:720:201(質量比)で混合してなるエッチング溶液を投入してウェーハ表面の0.05g相当をエッチングすることで試料表面の汚れを試料最表面共々取り除いた。超純水でエッチング溶液を洗い流し、水切り後、濃縮安定同位体2ng(ホウ素換算値)を3%硝酸溶液として添加した。一方、別の樹脂製分解容器でN型シリコンウェーハを入れないまま、上記同様に洗浄溶液でのエッチング、超純水洗浄、水切り、濃縮安定同位体添加を行なった。
それぞれにつき、マンニット200μgを超純水に溶解して添加した後、フッ化水素酸(38%)および硝酸(68%)を1:1(質量比)で混合してなる処理液を同一量投入して、シリコンウェーハが完全に分解するまで待った。
分解終了後、それぞれを加温乾固して3%硝酸で別個に樹脂製分解容器内をよく濯ぎ、内標準元素としてベリリウム50ngを含む3%硝酸溶液の入った7mL樹脂製容器内に移して全量を5mLとし、試料溶液(前者)および前処理操作ブランク溶液(後者)を得た。
実施例2:濃縮同位体比較溶液の調製
7mLの樹脂製容器内に3%硝酸を入れ、濃縮安定同位体2ng(ホウ素換算値)及び内標準元素ベリリウム50ngを含む3%硝酸溶液を添加し、3%硝酸で全量を5mLとし、濃縮同位体比較溶液を得た。
実施例3:検量用標準溶液の調製
内標準元素としてのベリリウム50ngを含む3%硝酸溶液の入った7mL樹脂製容器6個に、ホウ素をそれぞれ0ng、0.2ng、0.5ng、1ng、2ng、4ng含む3%硝酸溶液を添加し、3%硝酸で全量を5mLとし、検量用標準溶液6種を得た。
実施例4:模擬試料溶液の調製
前処理操作におけるホウ素の回収率が75%であったと仮定して模擬試料溶液を調製した。すなわち、内標準元素としてのベリリウムの50ngを含む3%硝酸溶液の入った7mL樹脂製容器4個に、ホウ素をそれぞれ0.375ng、0.75ng、1.5ng、3ng含む3%硝酸溶液を添加し、更に、それぞれに濃縮安定同位体1.5ng(ホウ素換算値)を3%硝酸溶液として添加し、3%硝酸で全量を5mLとし、模擬試料溶液(順番に、A,B,C,D)を得た。
実施例5:ICP−MSによる測定
以下の測定条件および測定手順に従い、ICP−MS測定を行なった。
(1)測定条件
ICP−MS :HP4500(横河アナリティカルシステムズ社製)
RFパワー :1200W
サンプリング位置 :15mm
プラズマガス :15.0L/min
キャリアガス :1.00L/min
ペリポンプ :0.07rps(置換速度:0.15rps,置換時間:45sec,安定待ち時間:30sec)
検出器モード :自動切り替え(結果として本実施例では全てパルス検出)
測定モード :スペクトル分析(スキャン回数は100回)
測定質量電荷比 :m/z 9,m/z 10,m/z 11
ピークパターン :定量分析(中心と前後の合計3測定ポイント)
積分時間 :3sec(測定ポイント毎)、ただしm/z 9のみ1sec
繰り返し :6times(ただし、検量用標準溶液のみ1times)
(検量用標準溶液のホウ素0ng/5mL溶液については6timesで別に測定して、装置の定量下限濃度10σBLを算出しておく)
検量線作成メニュー:絶対検量線法(m/z 9のベリリウムを内標準指定)
定量メニュー :定量(10σBLの算出以外はカウント数のみ使用)
ブランク濃度減算 :無し
(2)測定手順
1.3%硝酸で試料導入系を洗浄し、バックグランド(m/z 9,m/z 10,m/z 11)が低下するまで装置の安定を待つ。
2.感度、質量数軸をチューニングする。
3.3%硝酸で試料導入系を洗浄する[バックグランド(m/z 9,m/z 10,m/z 11)が低下するまで](以降、試料導入系の洗浄は何れも同じ要領とする)。
4.検量用標準溶液のホウ素0ng/5mL溶液を測定する(繰り返し:1timesを3個、6timesを1個)。
5.検量用標準溶液のホウ素0.2ng、1ng、2ng、4ng/各5mL溶液を測定する(繰り返し:1timesを1個)。
6.3%硝酸で試料導入系を洗浄する。
7.濃縮同位体比較溶液を測定する(繰り返し:6timesを1個)。
8.3%硝酸で試料導入系を洗浄する。
9.前処理操作ブランク溶液を測定する(繰り返し:6timesを1個)。
10.3%硝酸で試料導入系を洗浄する。
11.試料溶液を測定する(繰り返し:6timesを1個)。
12.3%硝酸で試料導入系を洗浄する。
13.模擬試料溶液(A)を測定する(繰り返し:6timesを1個)。
14.3%硝酸で試料導入系を洗浄する。
15.模擬試料溶液(B)を測定する(繰り返し:6timesを1個)。
16.3%硝酸で試料導入系を洗浄する。
17.模擬試料溶液(C)を測定する(繰り返し:6timesを1個)。
18.3%硝酸で試料導入系を洗浄する。
19.模擬試料溶液(D)を測定する(繰り返し:6timesを1個)。
20.3%硝酸で試料導入系を洗浄する。
この測定により、内標準元素であるベリリウムの質量電荷比のシグナル強度を基準にして、試料溶液、前処理操作ブランク溶液、濃縮同位体比較溶液、および模擬試料溶液における10Bおよび11Bの質量電荷比のシグナル強度を算出し、表1の結果を得た。また、検量用標準溶液における11Bの質量電荷比のシグナル強度を測定し、横軸に分析対象元素の質量、縦軸に内標準元素であるベリリウムの質量電荷比のシグナル強度を基準にした11Bの質量電荷比のシグナル強度からなる検量線を作成し、検量線式を得た。
なお、装置の定量下限濃度は、m/z 10およびm/z 11における10σBLで5〜15pg/mLの範囲にあった。
Figure 0004512605
実施例6:存在量の計算
(1)試料の仮回収率および仮存在量
表1のデータから試料の仮回収率を求めたところ37.8%であった。その仮回収率に基づいて計算した試料中の11Bの質量電荷比のシグナル強度は3631.29であり、検量線により試料中の分析対象元素の仮存在量を求めたところ863.88pgであった。
(2)前処理操作ブランク溶液の仮存在量
表1のデータから同様に前処理操作ブランク溶液の仮回収率を求めたところ72.7%であり、11Bの質量電荷比のシグナル強度は1874.07であり、同様に検量線により分析対象元素の仮存在量を求めたところ396.82pgであった。
(3)模擬試料による測定偏り率
模擬試料溶液A〜Dについて、上記(1)と同様に仮回収率を求め、その仮回収率に基づいて計算した模擬試料中の11Bの質量電荷比のシグナル強度を求め、検量線により模擬試料中の分析対象元素の仮存在量を求めた。模擬試料溶液調製時に基準としたホウ素質量(0.5ng,1ng,2ng,4ng)と、それぞれの模擬試料において求めた仮存在量との比を測定偏り率とし、その関係について補正式を得た。
(4)試料の仮存在量を測定偏り率の補正式に基づいて補正を行ない(1016pg)、前処理操作ブランク溶液の仮存在量を測定偏り率の補正式に基づいて補正を行ない(445pg)、前者から後者を差し引いてホウ素の存在量(571pg)を得た。
実施例7:分析法の定量下限および繰り返し分析(同日)による相対標準偏差
N型シリコンウェーハの破片から2.05gを4個取り出し、それぞれ並行して前処理操作、ICP−MS測定、回収率補正、測定偏り補正した結果から分析法の定量下限MQL:標準偏差(pg)と、危険率1%、自由度3(=4−1)のt値[4.541(片側)]の積の3倍を算出したところ、試料当たり、0.2ng/g(401pg/2g)を得た(前処理操作ブランク溶液による補正無し)。
AVERAGE :1286.3pg(n=4)
SD : 29.433pg
MQL : 401pg
相対標準偏差(RSD(100*SD/AVERAGE)): 2.3%
以上の結果から、本発明の方法によれば、サブppbという微量定量が可能で、定量値の精度も良いことがわかる。
なお、本実施例の場合、検量線シグナルに代入するシグナル強度(内標準元素シグナルで規格化したもの)は試料溶液のICP−MS測定後に規格化した質量電荷比(m/z)11の強度そのものではなく、試料溶液に予め添加していた濃縮安定同位体のm/z11のシグナル寄与分を差し引いた後、更に回収率補正したシグナル強度とする都合上、差し引き補正に無理のないように濃縮安定同位体の添加量を見積もる必要があり、2ngを選定したが、定量範囲上限として1桁上を望む場合は、濃縮安定同位体添加量を20ngとすることにより、定量下限も2ng/gとすることが可能と推測される。
実施例8:繰り返し分析(異日)による相対標準偏差
N型シリコンウェーハの破片から2.05gを1個取り出し、ホウ素1ng(試料に対して0.5ppb相当)を添加した後、前処理操作、ICP−MS測定、回収率補正、測定偏り補正し、ホウ素量を得、これを日を変えて4日間行い、それぞれ得られたホウ素量(前処理操作ブランク溶液による補正あり)から相対標準偏差(RSD)を求めた。
AVERAGE :1063.1pg(n=4)
SD : 80.370pg
RSD(100*SD/AVERAGE): 7.6%
以上の結果から、本発明の方法では日をまたいで分析を行なっても、精度が高いことがわかる。
実施例9:模擬試料測定値から測定偏り率の算出
基準となる試料として、ホウ素1ngを基準質量としそれに濃縮安定同位体2ng(ホウ素換算)を添加したものを想定し、前処理による回収率が100%と仮定した模擬試料としてホウ素および濃縮安定同位体を同量用い3%硝酸溶液で5mLに調製した。また、前処理操作による回収率が75%のものを想定してホウ素0.75ng、濃縮安定同位体1.5ngを含むもの、前処理操作による回収率が50%のものを想定してホウ素0.5ng、濃縮安定同位体1ngを含むもの、前処理操作による回収率が25%のものを想定してホウ素0.25ng、濃縮安定同位体0.5ngを含むものについて、それぞれ3%硝酸溶液で5mLに調製した。なお、内標準元素のベリリウムの添加量は何れも50ngとした。
さらに、ホウ素2ngを基準質量としそれに濃縮安定同位体2ng(ホウ素換算)を添加したものを回収率が100%と仮定した場合、ホウ素4ngを基準質量としそれに濃縮安定同位体2ng(ホウ素換算)を添加したものを回収率が100%と仮定した場合、およびホウ素10ngを基準質量としそれに濃縮安定同位体2ng(ホウ素換算)を添加したものを回収率が100%と仮定した場合の模擬試料、およびそれぞれについて想定回収率が75%、50%および25%の模擬試料も併せて調製し、合計16種類の模擬試料を得た。
それぞれについてICP−MS測定に供しシグナル強度を測定した。また濃縮安定同位体2ng(ホウ素換算)を3%硝酸溶液で5mLに調製した比較試料(内標準元素のベリリウムの添加量は50ng)についても同様にシグナル強度を測定した。これらのシグナル強度の測定結果から、仮回収率および仮存在量を計算し、得られた仮存在量とそれぞれにおける基準質量として添加したホウ素質量との比(測定偏り率)を算出した。結果を表2に示す。また、横軸に仮存在量、縦軸に測定偏り率(仮存在量/基準質量として添加したホウ素質量)をプロットしたグラフを図3に示した。
表2および図3より、それぞれの想定回収率におけるホウ素基準質量(1ng,2ng,4ng,10ng)での仮存在量−測定偏り率の関係はよく近似しており、実際に精密分析を行なう場合でも、特定の想定回収率(例えば75%)での基準濃度4種の模擬試料溶液を評価することで十分といえる。さらには、それぞれのホウ素基準質量における、前処理操作による想定回収率が100%、75%、50%、および25%の測定偏り率は互いによく近似していること、および各ホウ素基準質量において任意の2点を選択した場合、その仮存在量−測定偏り率の関係は、全16点での同関係と近似していることから、模擬試料測定は2濃度水準でも十分可能であることが理解できる。
Figure 0004512605
実施例10:添加試験による正確性検証
N型シリコンウェーハの破片から2.05gを5個取り出し、うち4個にホウ素を1ng、2ng、4ngおよび10ngをそれぞれ添加した後、並行して前処理操作、ICP−MS測定、回収率補正、測定偏り補正を実施し、各試料中のホウ素量を算出した。
ホウ素添加試料4種のホウ素質量からホウ素無添加試料のホウ素質量を差し引き、それぞれのホウ素添加量と比較した結果は以下の通りである(前処理操作ブランク溶液による補正済み)。
ホウ素無添加試料:1130.9pg
ホウ素添加試料(1ng添加): 2119.3pg→ 98.8%( 988.4/ 1000)
ホウ素添加試料(2ng添加): 3017.2pg→ 94.3%(1886.3/ 2000)
ホウ素添加試料(4ng添加): 5789.3pg→116.5%(4658.4/ 4000)
ホウ素添加試料(10ng添加):10955.9pg→ 98.3%(9825.0/10000)
この結果から、本方法の正確性が実証された。
試料に濃縮安定同位体を加えて前処理した試料溶液についてICP−MSにより測定を行なった結果を示すシグナル強度のイメージチャート。 濃縮安定同位体比較溶液についてICP−MSにより測定を行なった結果を示すシグナル強度のイメージチャート。 16種の模擬試料溶液から求めた測定偏り率を表わすグラフ

Claims (11)

  1. 2個以上の安定同位体を有する元素の定量方法であって、
    (1)試料に分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体を特定量添加した後、マトリックス材料除去を含む前処理を行ない、同位体平衡を成立させてなる試料溶液について誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)により前記安定同位体の質量電荷比のシグナル強度(以下、混合強度)を測定する工程、
    (2)分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量についてICP−MSにより前記安定同位体の質量電荷比のシグナル強度(以下、比較強度)を測定する工程、
    (3)前記安定同位体のうち特定の同位体の質量電荷比における比較強度に対する混合強度を前処理における仮回収率とし、その仮回収率、前記安定同位体のうち別の同位体の質量電荷比における混合強度および比較強度に基づき、試料中の別の同位体の質量電荷比のシグナル強度を算出し、予め作成した当該別の同位体の検量線を用い試料中の分析対象元素の仮存在量を求める工程、および
    (4)分析対象元素の特定量と分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量とを含有する模擬試料溶液、および同濃縮安定同位体を特定量含む比較溶液について、ICP−MSにより前記安定同位体の質量電荷比のシグナル強度を測定し、前記測定したシグナル強度から上記工程(3)と同様に算出した仮存在量と模擬試料溶液で用いた既知の量との関係から測定偏り率を求め、得られた測定偏り率から上記工程(3)で求めた分析対象元素の仮存在量を補正し、分析対象元素の存在量を算出する工程
    を含むことを特徴とする微量元素の定量方法。
  2. (5)分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量について前記工程(1)と同じ前処理を行ない、同位体平衡を成立させてなる前処理操作ブランク溶液について、ICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度(以下、ブランク強度)を測定し、それと前記工程(2)で測定した比較強度から前記工程(3)と同様に分析対象元素の仮存在量を算出し、前記工程(4)で求めた測定偏り率により補正して存在量を求め、前記工程(4)で算出した存在量から前記存在量を差し引くことにより、前処理における混入汚染の影響を補正した存在量を得る工程
    を有する請求項1に記載の定量方法。
  3. 前記工程(4)が、分析対象元素の特定量と分析対象元素と同一元素の濃縮安定同位体の特定量とを含有する試料を基準とし、その試料が特定の回収率にて前処理されたものと仮定して調製した模擬試料溶液、および同濃縮安定同位体を特定量含む比較溶液について、ICP−MSにより同位体の質量電荷比のシグナル強度を測定し、前記測定したシグナル強度から模擬試料溶液の前処理前に存在する分析対象元素量を上記工程(3)と同様に仮存在量として算出し、その仮存在量と、基準試料中の分析対象元素の特定量とから測定偏り率を求め、得られた測定偏り率から上記工程(3)で求めた分析対象元素の仮存在量を補正し、分析対象元素の存在量を算出する工程である請求項1または2に記載の定量方法。
  4. 質量電荷比のシグナル強度の測定に際して内標準元素を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の定量方法。
  5. 内標準元素が、分析対象元素の同位体と質量分離でき、かつ分析対象元素と質量電荷比の近い元素である請求項4に記載の定量方法。
  6. 前記工程(3)でいう別の同位体が、分析対象元素において天然存在比が最も大きな同位体である請求項1〜5のいずれかに記載の定量方法。
  7. 前記工程(3)でいう特定の同位体が、濃縮安定同位体において天然同位体比から同位体比を増加させた同位体である請求項1〜6のいずれかに記載の定量方法。
  8. 測定偏り率を少なくとも2種の模擬試料から求め、模擬試料の分析対象元素の仮存在量の最大値と最小値との間に試料中の分析対象元素の仮存在量がくるように模擬試料を調製する請求項1〜7のいずれかに記載の定量方法。
  9. ICP−MSとして四重極型装置を用いる請求項1〜8のいずれかに記載の定量方法。
  10. 分析対象元素がホウ素であり、内標準元素がベリリウムであり、マトリックス材料がシリコンである請求項4〜9のいずれかに記載の定量方法。
  11. 前記工程(3)でいう特定の同位体が10Bであり、別の同位体が11Bである請求項10に記載の定量方法。
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