JPH07318520A - 溶液中硫黄の定量分析法 - Google Patents

溶液中硫黄の定量分析法

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JPH07318520A
JPH07318520A JP10924794A JP10924794A JPH07318520A JP H07318520 A JPH07318520 A JP H07318520A JP 10924794 A JP10924794 A JP 10924794A JP 10924794 A JP10924794 A JP 10924794A JP H07318520 A JPH07318520 A JP H07318520A
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sulfur
isotope
mass
equation
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JP10924794A
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Hiroto Naka
啓人 中
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 硫黄質量yの濃縮同位体溶液を試料溶液に添
加した分析用溶液を用い、ICP質量分析装置により測
定したスペクトル強度比I50/I48及びI49/I48と、
試料溶液中の同位体存在比F( 32S)、F( 33S)、F
( 34S)、F( 16O) 、F( 17O) 、F(1H) 及びF(2
H) と、濃縮同位体溶液中の同位体存在比F'(32S)、
F'(33S) 、F'(34S) とを下記の数1に導入し、試料
溶液中の硫黄の質量xを求める同位体希釈分析とICP
質量分析とを組み合わせた溶液中硫黄の定量分析法。 【数1】 【効果】 分析用溶液11中に硫黄を100%回収する
必要性をなくすことができ、検量線を不要にすることが
でき、試料準備を簡単にすることができるため、操作上
の熟練度を減らすことができ、微量硫黄濃度を簡単・高
感度・高精度に、再現性よく分析することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶液中硫黄の定量分析法
に関し、より詳細には、同位体希釈分析法とICP質量
分析法とを組み合わせることにより、例えば鋼中の微量
硫黄を分析する際に用いる溶液中硫黄の定量分析法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、極低硫鋼の開発はもとより鋼全般
についても低硫黄化(高品質化)が図られており、脱硫
技術の進歩により鉄鋼中に含有される硫黄濃度は5pp
m以下にまで低減されるようになってきた。これに伴い
極めて微量の硫黄に関する分析技術が必要になっている
が、現状ではppmオーダの硫黄を簡単に、かつ再現性
よく分析する技術は確立されておらず、この早期確立が
要望されている。
【0003】鉄鋼中硫黄の一般的な分析方法としては高
周波燃焼−赤外線吸収法が用いられており(JIS G
1215(1982))、これは酸素雰囲気下で高周
波電力により試料を燃焼させ、硫黄をSO2 にガス化し
てこれに赤外線を照射し、赤外分光計により測定された
吸収スペクトルの強度から硫黄濃度を定量している。こ
れは簡便、かつ迅速な方法であるが、装置校正用に標準
試料を必要とし、10ppm以下の硫黄を含む標準試料
が整備されていない現状では、ppmオーダーの硫黄の
定量に適用することが難しいという問題があった。
【0004】この問題に対処するため、還元蒸留メチレ
ン青−吸光光度法、同位体希釈−スパークイオン源質量
分析法、同位体希釈−気体用質量分析法等が研究されて
いる。
【0005】還元蒸留メチレン青−吸光光度法は、まず
試料を塩酸(HCl)と硝酸(HNO3 )との混合溶液
により溶解し、これを一旦酸化して硫酸塩化した後、ヨ
ウ化水素酸と次亜リン酸とにより還元して硫化水素を抽
出する。次にこれにジメチル−P−フェニレンジアミン
呈色試薬を添加して発色させた後、この試料溶液に単色
光を照射して波長657nmの吸光度を測定し、検量線
を用いて硫黄濃度を求めている(成田ほか:鉄と鋼、6
7(1981)p2724)。この方法では、鋼中に含
有される硫黄を5ppm程度まで定量することが可能で
ある。
【0006】また同位体希釈−スパークイオン源質量分
析法は、まず試料をHCl、HNO3 及び塩素酸カリウ
ムの混合溶液により溶解した後、硫黄(S)の安定同位
34SをHNO3 、HCl及び塩素酸カリウムに溶解さ
せた濃縮同位体溶液を前記試料溶液に添加する。次にこ
の添加溶液に塩化バリウムを加えて硫酸バリウムを沈殿
させ、この沈殿と黒鉛粉末とを混合してペレットを作製
する。次にこのペレットを二重収束型質量分析計に装入
し、スパークを発生させてスペクトル強度I34、I32
測定し、下記の数2により試料溶液中硫黄の質量xを求
めている(斎藤守正ほか:分析化学、30(1986)
T44)。
【0007】
【数2】
【0008】この方法では分析感度がよく、また検量線
が不要で比較的精度がよく、またスペクトル強度比から
硫黄の質量xを求めており、前記試料溶液中に硫黄を1
00%回収する必要がなく、したがって操作に熟練を要
さず、また再現性を有している。
【0009】また同位体希釈−気体用質量分析法は、ま
ず同位体34SをHCl、HNO3 及び臭素に酸化溶解さ
せたものに炭酸ナトリウムを加えて蒸発乾固させた後、
この残留物に水を加えて濃縮同位体溶液を調製する。次
にこの濃縮同位体溶液とHClとを添加して試料を溶解
し、これを蒸発乾固した後、再びHClを加えて溶解す
る。次にMIBK(4メチル−2ペンタノン)により試
料溶液中の鉄分を分離除去した後、臭化−2ペリミジニ
ルアンモニウム(PDA−Br)溶液を加えて硫酸−2
ペリミジニルアンモニウム[(PDA)2SO4 ]を沈殿
させ、これを遠心分離法により分離する。次にこの(P
DA)2SO4 を真空脱ガスさせた後、熱分解してSO2
を発生させ、これを気体用質量分析計に導入して3216
234162 のスペクトル強度比を求め、試料中の
Sイオン濃度を算出する(渡部和男:分析化学、30
(1987)T77)。この方法では検量線が不要で比
較的精度がよく、またスペクトル強度比から硫黄の質量
xを求めており、前記試料溶液中に硫黄を100%回収
する必要がなく、したがって操作に熟練を要さず、かつ
再現性を有している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記した還元蒸留メチ
レン青−吸光光度法では溶媒抽出等の多くの工程を必要
とし、簡便性に欠けるとともに、試料溶液中に硫黄を1
00%回収する必要があることから、再現性よく分析す
るのに熟練を要するという課題があった。
【0011】また上記した同位体希釈−スパークイオン
源質量分析法では真空下において測定を行っており、分
析に長時間を要するという課題があった。
【0012】また上記した同位体希釈−気体用質量分析
法では(PDA)2 SO4 の沈殿・分離や熱分解の工程
を必要とし、簡便性に欠けるという課題があった。
【0013】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
のであり、溶液中に含有される微量硫黄を簡単に、再現
性よく、かつ高感度・高精度に分析することができる溶
液中硫黄の定量分析法を提供することを目的としてい
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る溶液中硫黄の定量分析法は、同位体希釈
分析法とICP質量分析法とを組み合わせて行なう溶液
中硫黄の定量分析法であって、34Sを含む硫黄の質量y
の濃縮同位体溶液を前記試料溶液に添加し、該添加溶液
を用いて前記ICP質量分析法により質量数48、4
9、50に関する各スペクトル強度I48、I49、I50
測定し、これから得られるスペクトル強度比I50/I48
及びI49/I48と、自然界における32S、33S、34Sの
各同位体存在比F( 32S)、F( 33S)、F( 34S)
と、前記濃縮同位体溶液における各同位体存在比F'(32
S)、F'(33S) 、F'(34S) と、自然界における
16O、17O、18Oの各同位体存在比F( 16O) 、F( 17
O) 、F( 18O)と、自然界における 1H、 2Hの各同
位体存在比F(1H) 、F(2H) とを上記数1に導入し、
未知数である前記試料溶液中硫黄の質量xを求めること
を特徴としている。
【0015】
【作用】図1はICP(Inductively Coupled Plasma :
誘導結合プラズマ) 質量分析法に用いられる装置を摸式
的に示した構成図であり、図中14はスプレーチャンバ
を示している。スプレーチャンバ14の周壁は2重構造
になっており、この内部は冷却水18が流通する流通室
17となっている。スプレーチャンバ14内には温度計
15が配設され、温度計15は温度コントローラ16に
接続され、さらに温度コントローラ16には冷却水18
の供給ポンプ(図示せず)が接続されている。そして温
度計15により測定されたデータに基づき、温度コント
ローラ16を介して前記供給ポンプが作動し、スプレー
チャンバ14内が常時所定温度に維持されるようになっ
ている。スプレーチャンバ14の右端部にはネブライザ
ー13の一端部が接続され、ネブライザー13の他端部
には定流量ポンプ12を介して試料容器11aが接続さ
れており、試料容器11a内には分析用溶液11が充填
されている。そして定流量ポンプ12を作動させると分
析用溶液11がネブライザー13よりスプレーチャンバ
14内に噴霧されるようになっている。またスプレーチ
ャンバ14の一側壁はプラズマ発生室19の後端部に接
続され、プラズマ発生室19の先端部はサンプリングコ
ーン20を介して質量分析計21に接続されており、こ
れらスプレーチャンバ14、誘導コイル(図示せず)に
高周波電流を流して生じる誘導電流によりArガスを電
離させ、定常的にArプラズマを発生させるプラズマ発
生室19、質量分析計21等を含んでICP質量分析装
置10が構成されている。
【0016】このように構成された装置を用いて溶液中
硫黄の定量分析を行う場合、まず分析用溶液11を試料
容器11aに充填し、定流量ポンプ12を作動させる
と、分析用溶液11がスプレーチャンバ14内に噴霧さ
れ、微細な液滴が水蒸気を発生し、この液滴及び水蒸気
の一部がArのプラズマ19a中に導入されてイオン化
が行われる。そして発生したイオンがサンプリングコー
ン20を介して質量分析計21に導入され、前記イオン
の質量ごとのスペクトル強度Iが測定される。
【0017】本発明者等が調査した結果、上記したIC
P質量分析法を用いて溶液中硫黄を定量すると、32Sイ
オンのスペクトルと分析溶液11中の水に起因して生成
される162 イオンのスペクトルとが重なっており、こ
れらを判別するのが難いことが明らかとなった。また32
Sイオンに比べて162 イオンのスペクトル強度が極め
て大きく、32Sのスペクトル強度から162 のスペクト
ル強度を差し引いて162 の影響を除去・補正すること
が難しい。したがって、32Sイオンのスペクトル強度に
より溶液中硫黄を定量分析することは困難であることが
明らかとなった。
【0018】またプラズマ19a中においては硫黄の酸
化物イオンが多種類生成されており、この中でも自然界
における存在比が高い16Oとの酸化物イオン(32
16O、3416O)のスペクトル強度を測定し得れば、溶
液中硫黄を高感度に定量分析し得ることが推測される。
しかし下記の表1に示したように、3216Oイオンのス
ペクトルと重なるスペクトルはないが、3416Oイオン
のスペクトルと3218O、3317O、32171H、32
162H及び33161Hイオンのそれとは重なって
おり、したがって3416Oのスペクトルが判別し難く、
通常の方法では定量分析が不可能であることが明らかと
なった。
【0019】
【表1】
【0020】そこでさらに調査した結果、同位体希釈法
とICP質量分析法とを組み合わせ、質量数48、4
9、50におけるスペクトル強度I48、I49、I50を測
定することにより、前記した3218O、3317O、32
171H、32162H及び33161Hイオンのスペ
クトルの重なりの影響が除去・補正され、試料溶液中硫
黄の濃度を測定し得ることが明らかとなった。以下に、
数1により試料溶液中硫黄の質量xが求められる理由に
ついて説明する。
【0021】まず、試料溶液中の硫黄に起因してプラズ
マ中に生成された3216O、3416Oイオンの各質量を
M(3216O)、M(3416O)、各スペクトル強度を
I( 3216O) 、I( 3416O) とする。また濃縮同位
体溶液中の硫黄(質量y)に起因してプラズマ中に生成
された3216O、3416Oイオンの各質量をM'(3216
O) 、M'(3416O) 、各スペクトル強度をI'(3216
O) 、I'(3416O)とする。すると同位体平衡後にお
いて、下記の数3が成立する。
【0022】
【数3】
【0023】スプレーチャンバ14には硫黄とともに多
量の水分が導入され、プラズマ19a中には32Sイオン
に比較して多量の16Oイオンが存在しているため、プラ
ズマ19a中における3216Oイオンは32Sイオンに比
例して生成される。したがって、試料溶液中に含まれる
硫黄の質量をx、試料溶液中の32Sイオンに起因してプ
ラズマ19a中で生成される3216Oイオンの32Sイオ
ンに対する生成比をαとすると、下記の数4が成立す
る。
【0024】
【数4】
【0025】また、試料溶液中の34Sイオンに起因して
プラズマ中で生成される3416Oイオンの34Sに対する
生成比は3216Oイオンの生成比αと等しいため、下記
の数5が成立する。
【0026】
【数5】
【0027】また、濃縮同位体溶液中の硫黄に起因して
プラズマ中で生成される3216O、 3416Oイオンにつ
いても、下記の数6の関係が成立する。
【0028】
【数6】
【0029】これら数4、数5及び数6を数3に代入す
ると、下記の数7が導かれる。
【0030】
【数7】
【0031】一方、表1に示したように質量数48にお
けるスペクトルは3216Oイオンのスペクトルのみであ
り、したがって質量数48におけるスペクトル強度I48
は下記の数8により表される。
【0032】
【数8】
【0033】他方、表1に示したように質量数50にお
けるスペクトルは3416Oイオンの外に3218O、33
17O、32171H、32162H、33161Hイオ
ンに起因するスペクトルが重なっている。そこで、試料
溶液中の硫黄に起因してプラズマ中の3218O、3317
O、32171H、32162H、33161Hイオン
により発生する各スペクトル強度をそれぞれI( 3218
O) 、I( 3317O)、I( 32171H) 、I( 32
162H) 、I( 33161H) とする。また、濃縮同
位体溶液中の硫黄に起因してプラズマ中の3218O、33
17O、32171H、32162H、33161Hイ
オンにより発生する各スペクトル強度をそれぞれI'(32
18O) 、I'(3317O) 、I'(32171H) 、I'(
32162H) 、I'(33161H) とすると、質量5
0におけるスペクトル強度I50は下記の数9により表さ
れる。
【0034】
【数9】
【0035】これを変形すると数9は下記の数10のよ
うに表される。
【0036】
【数10】
【0037】ここで、試料溶液中の33S、16O、17O、
18O、 1H、2Hイオンの各同位体存在比をそれぞれF(
33S)、F(16O)、F(17O)、F(18O)、F( 1
H)、F( 2H) 、濃縮同位体溶液中の33Sイオンの同
位体存在比をF'(33S)とする。また試料溶液中または
濃縮同位体溶液中の硫黄に起因してプラズマ19a中の
32171Hイオンにより発生するスペクトル強度をそ
れぞれI(32171H)、I'(32171H) とす
る。すると数10の右辺における各分子イオンによるス
ペクトル強度はそれぞれ下記の数11のように表され
る。
【0038】
【数11】
【0039】数11を代入すると数10は下記の数12
のように表される。
【0040】
【数12】
【0041】数12における各中括弧内を下記の数13
のように表すと、数12は下記の数14のように表され
る。
【0042】
【数13】
【0043】
【数14】
【0044】数12におけるF(32S)、F(33S)、
F(16O)、F(17O)、F(18O)、F( 1H)、F
2H) は自然界における存在比と同様であるため既知
であり、F'(32S)、F'(33S)も濃縮同位体溶液中の
存在比であるから既知である。したがって数14におけ
るA、B、A' 、B' も既知となり、I(3416O)+
I'(3416O) を求めるにはスペクトル強度I( 3216
O) 、I'(3216O)、I( 32161H) 及びI'(32
161H) が必要となることが分かる。
【0045】次に、I(3216O)とI'(3216O) に
関する項を求める方法について説明する。I'(32
16O) とI( 3216O) との間には下記の数15の関係
が成立する。
【0046】
【数15】
【0047】数15を数8に代入すると、I(32
16O)に関する下記の数16が求められる。
【0048】
【数16】
【0049】数16を数15に代入すると、I'(3216
O) に関する下記の数17が求められる。
【0050】
【数17】
【0051】また数16の両辺にAを乗じ、数17の両
辺にA' を乗じて両式を加えると、下記の数18が求め
られる。
【0052】
【数18】
【0053】次に、数14におけるI(32161H)
とI'(32161H) に関する項を求める方法について
説明する。表1に示したように質量数49においては32
17O、3316O、32161Hイオンに起因するスペ
クトルが重なっており、試料溶液中の硫黄に起因して発
生するスペクトル強度I( 3217O) 、I( 3316O)
、I( 32161H) と、濃縮同位体溶液中の硫黄に
起因して発生するスペクトル強度I'(3217O) 、I'(
3316O) 、I'(32161H) と、質量49における
スペクトル強度I49との間には下記の数19に示した関
係が成立する。
【0054】
【数19】
【0055】数19はI( 3216O) 及びI'(32
16O) とS及びOの同位体存在比とを用い、下記の数2
0のように表される。
【0056】
【数20】
【0057】ここで下記の数21のようにC、C' をお
くと、数20は下記の数22のように表される。
【0058】
【数21】
【0059】
【数22】
【0060】また、I(32161H) とI'(3216
1H) との間には下記の数23が成立する。
【0061】
【数23】
【0062】数16、数17及び数23を数22に代入
して変形すると下記の数24が導かれる。
【0063】
【数24】
【0064】数16、数17及び数24を数22に代入
して変形すると、I'(32161H) に関する下記の数
25が求められる。
【0065】
【数25】
【0066】数24の両辺にBを乗じ、数25の両辺に
B' を乗じて両式を加えると、数26が導かれる。
【0067】
【数26】
【0068】数18及び数26を数14に代入すると、
下記の数27が求められる。
【0069】
【数27】
【0070】以上により、数7に数8及び数27を代入
すると、数1が得られることとなる。
【0071】本発明に係る試料溶液中硫黄の定量分析法
によれば、同位体希釈分析法とICP質量分析法とを組
み合わせて行なう溶液中硫黄の定量分析法であって、34
Sを含む硫黄の質量yの濃縮同位体溶液を前記試料溶液
に添加し、該添加溶液を用いて前記ICP質量分析法に
より質量数48、49、50に関する各スペクトル強度
48、I49、I50を測定し、これから得られるスペクト
ル強度比I50/I48及びI49/I48と、自然界における
32S、33S、34Sの各同位体存在比F( 32S)、F( 33
S)、F( 34S)と、前記濃縮同位体溶液における各同
位体存在比F'(32S)、F'(33S) 、F'(34S) と、自
然界における16O、17O、18Oの各同位体存在比F( 16
O) 、F( 17O) と、自然界における 1H、 2Hの各同
位体存在比F(1H) 、F(2H) とを上記数1に導入し、
未知数である前記試料溶液中硫黄の質量xを求めるの
で、同位体存在比F( 32S)、F( 33S)、F(
34S)、F( 16O) 、F( 17O) 、F(1H) 、F(2H)
、F'(32S)、F'(33S) 、F'(34S) 及び硫黄の質
量yはいずれも既知数として取り扱い得ることとなる。
またこれらにより3218O、3317O、32171H、
32162H及び33161Hイオンのスペクトルの重
なりの影響を除去・補正し得るため、前記試料溶液中に
含有する微量硫黄濃度を高感度に分析し得ることとな
る。またスペクトル強度比I50/I48及びI49/I48
り硫黄濃度を求めるため、前記分析用溶液中に硫黄を1
00%回収する必要性をなくし得ることとなり、検量線
を不要にし得るとともに、前記分析溶液の準備作業を簡
単にし得るため、操作上の熟練度の要求を減らし得るこ
ととなり、前記硫黄濃度を簡単・高精度に、かつ再現性
よく分析し得ることとなる。
【0072】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係る溶液中硫黄の
定量分析法の実施例を図面に基づいて説明する。図1に
示した装置を用い、例えば鉄鋼中における硫黄の定量分
析を行う場合、まず所定量の鉄鋼試料を採取し、これを
HCl及びHNO3 の混酸溶液で溶解する(試料溶液L
1 )。次に34Sを含む硫黄(質量y)をHCl及びHN
3 の混酸溶液で硫酸に酸化した濃縮同位体溶液(L
2 )と試料溶液L1 とを混合し、さらに過塩素酸を添加
した後、白煙が発生するまで加熱を行い、溶液中のHC
l及びHNO3 を揮散させる。次にヨウ化水素酸及び次
亜リン酸により硫黄を還元した後、Ar(アルゴン)気
流中で加熱を行い、発生ガスを所定濃度及び所定量のH
NO3 溶液に吸収させる。次にこの溶液を所定量の水で
希釈し、分析用溶液11を作製する。
【0073】次いで分析用溶液11を試料容器11aに
充填し、定流量ポンプ12を作動させて分析用溶液11
をスプレーチャンバ14内に噴霧し、Arのプラズマ1
9a中に導入して試料溶液L1 及び濃縮同位体溶液L2
中の硫黄酸化物を3216O、 3217O、3316O、32
161H、3218O、3317O、3416O、32171
H、32162H、33161H等にイオン化させる。
そしてこれら発生したイオンをサンプリングコーン20
を介して質量分析計21に導入し、前記イオンの質量4
8、49、50におけるスペクトル強度I48、I49、I
50を測定する。
【0074】なお、硫黄、酸素、水素の自然界における
同位体存在比は下記の表2に示した値を用い、また濃縮
同位体溶液L2 は下記の表3に示した同位体存在比のも
のを用いた。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】次に、既知量の硫黄を添加した試料溶液L
1 を用いて硫黄量を分析した結果について説明する。ま
ず5.0μgの硫黄を含む50mlの試料溶液L1 に対
し、0.5、1.0、2.5、5.0μg/lの硫黄を
含む濃縮同位体溶液L2 をそれぞれ添加した後、さらに
各溶液を100mlに希釈して分析用溶液11を調製し
た。
【0078】各分析用溶液をICP質量分析法により1
0回ずつ測定し、I48に対するI49、I50のスペクトル
強度比の平均値を求めた結果を下記の表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】また表2及び表3の値から数1における
A、A’、B、B’、C、C’を計算した結果は以下の
ようになる。 A=0.0020、A’=0.0020 B=0.0084、B’=0.0042 C=0.0083、C’=0.0041 表2及び表3に示した同位体存在比と、表4に示したス
ペクトル強度比と、前記したA、A’、B、B’、C、
C’の値と、同位体濃縮液L2 中の硫黄質量yとを数1
に代入し、試料溶液中の硫黄質量xを算出した結果を表
5に示した。なお、表5中に示した相対標準偏差は10
個の試料における分析値の標準偏差を分析値で割り、百
分率で表示した。
【0081】
【表5】
【0082】また硫黄の定量下限値を求めた結果は0.
2μg/50mlであり、微量の硫黄を定量できること
が分かった。なお、この定量下限値は空試験液の分析値
の標準偏差の10倍として求めた。
【0083】表5に示した結果及び上記説明から明らか
なように、実施例に係る溶液中硫黄の定量分析法では、
試料溶液L1 中に含有される微量硫黄濃度を高感度に分
析することができるとともに、分析用溶液11中に硫黄
を100%回収する必要性をなくすことができる。また
検量線を不要にすることができ、試料準備を簡単にする
ことができるため、操作上の熟練度の要求を軽減するこ
とができ、簡単・高精度に、かつ再現性よく分析するこ
とができる。
【0084】次に、鉄鋼標準試料を用い、この試料中の
硫黄を分析した結果について説明する。なお、実施例に
係る方法では同位体平衡後の操作を厳密に行う必要がな
いため、HNO3 分を除去するための過塩素酸白煙化処
理は一回だけに省略した。また実施例に係る方法では、
硫黄の吸収液にHNO3 溶液を用い、サンプリングコー
ン20の目詰まりによる分析感度の低下を防止した。
【0085】分析結果及び相対標準偏差を下記の表6に
示した。また比較例として鉄鋼標準試料に示されている
硫黄濃度標準値を併記した。
【0086】
【表6】
【0087】また硫黄の定量下限値を求めた結果は0.
3ppmであった。
【0088】表6に示した結果及び上記説明から明らか
なように、実施例に係る溶液中硫黄の定量分析法では、
鉄鋼中における5ppm以下の硫黄を高感度に定量分析
することができるとともに、既知量の硫黄を添加した試
料溶液L1 を分析した場合と同様の効果を得ることがで
きる。
【0089】なお、上記実施例では主に鉄鋼中における
微量の硫黄濃度を分析する場合について説明したが、別
の材料中における微量の硫黄濃度を分析する場合にも適
用することが可能である。
【0090】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る溶液中
硫黄の定量分析法にあっては、同位体希釈分析法とIC
P質量分析法とを組み合わせて行なう前記試料溶液中硫
黄の定量分析法であって、34Sを含む硫黄の質量yの濃
縮同位体溶液を前記試料溶液に添加し、該添加溶液を用
いて前記ICP質量分析法により質量数48、49、5
0に関する各スペクトル強度I48、I49、I50を測定
し、これから得られるスペクトル強度比I50/I48及び
49/I48と、自然界における32S、33S、34Sの各同
位体存在比F( 32S)、F( 33S)、F( 34S)と、前
記濃縮同位体溶液における各同位体存在比F'(32S)、
F'(33S) 、F'(34S) と、自然界における16O、
17O、18Oの各同位体存在比F( 16O) 、F( 17O)
と、自然界における1H、 2Hの各同位体存在比F(1H)
、F(2H) とを上記数1に導入し、未知数である前記
試料溶液中硫黄の質量xを求めるので、同位体存在比F
( 32S)、F( 33S)、F( 34S)、F( 16O) 、F(
17O) 、F(1H) 、F(2H) 、F'(32S)、F'(33S)
、F'(34S) 及び硫黄の質量yはいずれも既知数とし
て取り扱うことができ、またこれらにより3218O、33
17O、32171H、32162H及び33161
イオンのスペクトルの重なりの影響を除去・補正するこ
とができるため、前記試料溶液中に含有する微量硫黄濃
度を高感度に分析することができる。またスペクトル強
度比I50/I48及びI49/I48より硫黄濃度を求めるた
め、前記分析用溶液中に硫黄を100%回収する必要性
をなくすことができ、検量線を不要にすることができる
とともに、前記分析溶液の準備作業を簡単にすることが
できるため、操作上の熟練度の要求を減らすことがで
き、前記硫黄濃度を簡単・高精度に、かつ再現性よく分
析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶液中硫黄の定量分析法に用いら
れる分析装置の実施例を摸式的に示した構成図である。
【符号の説明】
10 ICP質量分析装置 11 分析用溶液

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同位体希釈分析法とICP質量分析法と
    を組み合わせて行なう溶液中硫黄の定量分析法であっ
    て、34Sを含む硫黄の質量yの濃縮同位体溶液を前記試
    料溶液に添加し、該添加溶液を用いて前記ICP質量分
    析法により質量数48、49、50に関する各スペクト
    ル強度I48、I49、I50を測定し、これから得られるス
    ペクトル強度比I50/I48及びI49/I48と、自然界に
    おける32S、33S、34Sの各同位体存在比F( 32S)、
    F( 33S)、F( 34S)と、前記濃縮同位体溶液におけ
    る各同位体存在比F'(32S)、F'(33S) 、F'(34S)
    と、自然界における16O、17O、18Oの各同位体存在比
    F( 16O) 、F( 17O) 、F( 18O) と、自然界におけ
    1H、 2Hの各同位体存在比F(1H) 、F(2H)とを
    下記の数1式に導入し、 【数1】 未知数である前記試料溶液中硫黄の質量xを求めること
    を特徴とする溶液中硫黄の定量分析法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008216211A (ja) * 2007-03-07 2008-09-18 Sumika Chemical Analysis Service Ltd 誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた微量不純物元素の定量方法

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