JP2004028698A - 皮膚疾患および敏感肌の検査方法ならびにその方法に利用するキット - Google Patents

皮膚疾患および敏感肌の検査方法ならびにその方法に利用するキット Download PDF

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Abstract

【課題】非侵襲かつ簡便な皮膚疾患又は敏感肌の検査方法およびその方法を実施するためのキットの提供。
【解決手段】本発明は、角層試料中のNGFおよび/またはNT−4の存在量を測定することを特徴とする皮膚疾患又は敏感肌を検査するための方法及びそれに利用するキットを提供する。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡便な皮膚疾患および敏感肌の検査方法ならびにその方法を実施するためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、敏感肌やアトピー性皮膚炎をはじめとする皮膚疾患は、生活環境の変化、生体側の対応力の減少、免疫力の変調等により増加の一途にあり、社会的問題となりつつある。特に、アトピー性皮膚炎(本明細書では「AD」と略記する場合がある)は、我が国において総患者数または潜在患者数は10人に1人とも2人ともいわれる程多い疾患である。しかし、この原因は充分解明されておらず、その検査は主に皮疹の性状や分布等の臨床的症状から肉眼的あるいは問診により行なわれ、医師の肉眼的または経験的な診断に頼るところが多い。
【0003】
疾患のより定量的な検査法としては血液生化学検査法や病理検査等がある。血液生化学検査法では、侵襲性に採血し、血液成分、各種検査マーカー、細胞等を検査し、病理検査では侵襲性に皮膚病変組織等の生検や細胞レベルの異常の有無を検討する。例えば、アトピー性皮膚炎の診断においては、血清IgE値の測定といった血液生化学検査法が利用されている。これらの方法は、医師、看護婦、臨床検査技師が注射器で血液等を採取したり、外科的に生体組織(患部)を摘出したり(生検)する必要があり、簡便な方法とはいえず、また患者側からみても採血や生検は注射針、注射器、鋭利なメスを使用するため、精神的及び肉体的負担を強いられるものである。
【0004】
皮膚疾患の簡便な臨床検査としてスクラッチテスト、プリックテスト、テープストリッピングテスト等があり、アトピー性皮膚炎に特異的な診断に関し、皮膚から分泌する分泌型免疫グロブリンA(IgA)分泌物を吸着してアトピー性皮膚炎を検査するための貼付剤が開示さてれている(特開平6−032733号公報)。かかる貼付剤を皮膚に貼り、所定時間経過後にそれに吸収された分泌型IgAを測定することで、アトピー性皮膚炎を特異的に非侵襲的、且つ簡単に診断することができる。
【0005】
ところで、皮膚には無髄知覚神経であるC−線維が存在し、その末端は自由神経終末として皮膚の侵害刺激を中枢へ伝える一方、末梢での神経分岐を介して、神経ペプチドの放出などを介し血管拡張等を起こすことが知られている。また、炎症性皮膚疾患である乾癬やアトピー性皮膚炎では表皮における様々な神経栄養因子の発現が亢進しているとの報告もある。各種神経栄養因子のなかで、神経成長因子(本明細書では「NGF」と略記する場合がある)は交感神経の一部と知覚神経に作用し、その発生と分化に作用することが知られている。また、神経栄養因子4(本明細書では「NT−4」と略記する場合がある)は、感覚ニューロンの発生と分化に作用すると考えられている。M. Greweら(J. Invest. Delmatol.114:1108−1112, 2000)によれば、AD患者から外科的に採取した試料には正常表皮に比べNT−4の発現が上昇することが免疫組織学的に記載されている。
【0006】
しかしながら、このような神経栄養因子と乾癬やアトピー性皮膚炎等の皮膚疾患との関係は未だ詳細に解明されるに至ってない。また、皮膚、特にヒトの皮膚における神経栄養因子の検出は通常外科的に摘出した皮膚生検の免疫組織化学的処理といった侵襲的な手法により実施され、皮膚中の神経栄養因子を非侵襲的に簡単に測定する術はないものと考えられていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、神経栄養因子と乾癬やアトピー性皮膚炎皮膚等との関係について鋭意研究した結果、驚くべきことに、テープストリッピング等といった非侵襲的方法により得られる角層試料中のNGFおよびNT−4の存在量が、健常部位と比べ、一定の皮膚疾患の病変部位において統計学的に有意に高いことを見出した。また、NGFやNT−4等の神経栄養因子は表皮の表層付近に存在するものとは考えられていなかったため、テープストリッピングといった表皮の表層部分のみを採取する簡単な方法で獲得した角層試料においてそれらの因子が検出できるということも驚くべき事実である。かくして、侵襲的手段に頼らない、非侵襲かつ簡便な方法により皮膚疾患を検査することができることが見出された。
【0008】
更に驚くべきことに、掻痒部位を全く有さない者の角層試料中のNGFおよびNT−4の存在量は、皮膚疾患の病変部位を有する患者の健常部位由来の角層試料中のNGFおよびNT−4の存在量に比べ、統計学的に有意に少なく、具体的には検出限界値以下であることも見出された。このことから、角層中のNGFおよび/またはNT−4の存在量の測定を通じて、個体が皮膚疾患に罹り易い体質、例えばアトピー体質や敏感肌であるか否かを検査することも可能となり得る。
【0009】
従って、本発明は、角層試料中のNGFおよび/またはNT−4の存在量を測定することを特徴とする個体の皮膚疾患や敏感肌を非侵襲的に検査するための方法を提供する。
【0010】
好ましくは、上記方法は
(A) 皮膚疾患に罹患しているもしくは敏感肌を有する前記個体の当該罹患しているもしくは敏感肌であることが疑われる部位(a)由来の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量と、コントロールとしての同個体の当該部位に近縁する部位または皮膚疾患に罹患していないもしくは敏感肌を有しない別の個体の当該部位に対応する部位(b)由来の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量とを測定する工程、ならびに
(B) 部位(a)由来の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量を部位(b)由来の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量それぞれと比較する工程、
を含んでなる。
【0011】
好ましくは、かかる角層試料はテープストリッピング法により採取したものである。
【0012】
更なる態様において、本発明は角層試料中のNGFおよび/またはNT−4の存在量を測定することを特徴とする個体の皮膚疾患の罹り易さ又は敏感肌を検定するための方法を提供する。
好ましくは、上記方法は、
(A) 前記個体の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量を測定する工程、
(B) (A)で得られた値を、コントロールとしての皮膚疾患に罹患していないもしくは敏感肌を有していない別の1または複数の個体の当該部位に対応する部位由来の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量と比較する工程、
を含んでなる。
【0013】
好ましくは、かかる角層試料は非侵襲的な手段で獲得されたものである。
好ましくは、かかる角層試料はテープストリッピングにより採取されたものである。
【0014】
本発明は更に、角層試料中のNGFおよび/またはNT−4の存在量を測定するためのキットを提供し、それは、
皮膚に貼付し、次いで剥離して角層試料を採取するための手段;ならびに
NGFを測定するための手段および/またはNT−4を測定するための手段;
を含んでなる。
【0015】
好ましくは、かかる角層試料を採取するための手段は粘着テープである。
【0016】
かかるキットは上述の皮膚疾患を検出するまたは皮膚疾患の罹り易さを非侵襲的に検定するためのために角層試料中のNGFおよび/またはNT−4の存在量を測定する方法の実施のために利用できる。
【0017】
本発明によれば、皮膚疾患の病変部位におけるNGFあるいはNT−4の存在量の値は、健常部位におけるそれと有意な差異を示すのでその部位の「かゆみ」等の感覚刺激程度や敏感な肌か否か、被験対象が皮膚疾患に罹患しているか否かあるいは罹患の度合いが客観的に診断できる。具体的には、健常部位においてはNGFあるいはNT−4の存在量は検出限界以下である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明により検査・検定できる皮膚疾患には、NGFとNT−4の存在量を健常部位の当該値と有意に識別できるものであれば、いかなる疾患も包含される。しかし、本願により好適に診断できる疾患としては、AD、尋常性乾癬、老人性乾皮症等および疾患ではないがいわゆる敏感肌を挙げることができる。また、本発明における「個体」とは、ヒトを含むあらゆる哺乳動物を意味する。
【0019】
肌状態が敏感となる要因としては、皮膚バリア機能の低下、皮膚刺激閾値の低下、皮膚の乾燥、接触皮膚炎の起炎物質、物理化学的刺激、ストレス、体調、季節変化、紫外線、生理等が挙げられる。さらに、誤ったスキンケアにより自ら肌を敏感にしたり、単に本人の思い込みで敏感になってしまうことも考えられる。このような原因により「敏感肌」と一般に呼ばれているカテゴリーが近年増加していると考えられる。
このような「敏感肌」は、現在以下のように定義される:
(1)「普段から医薬品外用剤、化粧品、植物、紫外線、金属など、多くのヒトには何でもない物質に特異的に反応し、皮膚トラブルを起こしやすい肌。バリア機能が低下していてアレルギー性物質(花粉、香料など)や刺激性物質(アルコールなど)に体質的に過敏な肌」具体的には、アトピー体質・アレルギー体質・知覚過敏体質と考えられ、皮膚が乾燥(カサツキ)しやすおよび/または肌荒れしやすくおよび/または皮膚バリア機能が低下していてかぶれを起こしやすいヒトである。汗、アルコール、香料、物理刺激に弱い肌、またニキビ・吹き出物ができやすい肌も包含される;および
(2)「睡眠不足、過労、生理、季節の変わり目、精神的なストレスなどにより、肌本来の抵抗力あるいは皮膚の生理機能が弱まるような時に、刺激物に対して一時的に皮膚トラブルを起こしやすくなる肌。普段使用している化粧品の使用に不安を感じることがある心配肌」。
(1)または(2)で定義される「敏感肌」の具体的な肌の状態としては、肌の乾燥、ニキビ、知覚過敏となっている肌、易刺激性の肌、紫外線過敏の肌として現れる。
【0020】
本発明において、「皮膚疾患に罹患していることが疑われる部位」とは、外見上皮膚に異常が認められるだけでなく、患者が皮膚になんらかの異常を感じている部位、例えば痒みを感じている部位をも包含する。「同個体の当該部位に近縁する部位」とは、同患者の異常の認められた部位の近傍であって、上記異常が認められない部位を意味する。「皮膚疾患に罹患していない別の個体の当該部位に対応する部位」とは、皮膚異常の認められた患者の皮膚異常の認められた部位に身体上対応する皮膚異常の認められていない健常人の部位を意味する。例えば、「皮膚疾患に罹患していることが疑われる部位」が当該患者の上腕・前腕内側の部位とすると、当該「皮膚疾患に罹患していない別の個体の当該部位に対応する部位」は別の健常人の上腕・前腕内側の部位またはその近辺とするのが好ましい。そして、「皮膚疾患に罹患していることが疑われる部位」のNGFまたはNT−4量がコントロールとしての「同個体の当該部位に近縁する部位」または「皮膚疾患に罹患していない別の個体の当該部位に対応する部位」のNGFまたはNT−4量と比べ統計学的に有意に高ければ、「皮膚疾患に罹患している」と評価されることができる。統計学的な有意差の有無は、t−検定等の慣用の統計学的処理により決定することができる。敏感肌を有する部位の評価も同様にして行うことができるであろう。
【0021】
本発明において、「皮膚疾患の罹り易さ」とは、現在は皮膚疾患を有する場合も有しない場合も含め、将来的に皮膚疾患に罹り易いまたは再発し易いか否かを意味し、例えばアトピー体質や敏感肌を有する者が皮膚疾患に罹り易い個体に該当し得る。かかる「皮膚疾患の罹り易さ」の評価は、例えば測定対象の個体の角層試料中のNGFおよび/またはNT−4の量を、皮膚疾患に罹患していない別の1または複数の個体の当該部位に対応する部位に由来する角層試料中のNGFおよび/またはNT−4の量をコントロール値として比較し、統計学的有意差があるかどうかを検定することで行うことができる。複数の個体のNGFおよび/またはNT−4量をコントロール値とする場合、その複数の個体のNGFおよび/またはNT−4量の平均値がコントロール値とされる。また、測定対象の個体の角層試料中のNGFとNT−4の量が対応の測定方法の検出限界以下であれば、「皮膚疾患に罹りにくい」と判断することも可能であり得る。敏感肌の検定も同様にして行うことができるであろう。
【0022】
本発明によれば、上記異常のいずれか一方における、たとえばNGFの値を診断の対象となる部位のNGFの値と比較することにより、皮膚疾患を検査することができる。しかし、上記両健常部位と診断の対象部位における、それぞれのNGF値あるいはNT−4値と比較すれば疾患の進行状態まで知ることができる。
【0023】
本発明においてNGFおよびNT−4の存在量を測定する対象となる非侵襲的な方法で採取した試料は、上述のM. Greweらによる外科的に摘出して得られる全表皮でなく、当該技術分野で通常角層の採取に用いられている手段、例えばテープストリッピング等により得られる試料を対象とする。本発明は、全表皮試料でなく、角層試料におけるNGFおよびNT−4の存在量が皮膚疾患と明確な関連性を有することを見出したことが前提となっている。さらに、本発明で用いることのできる試料には、擦過等により生じる角層片や、鱗屑、フケ、垢、爪、掻破行動により生じた落屑なども包含される。
【0024】
角層試料を採取するための手段としてはテープストリッピング手段が好ましい。テープストリッピング手段とは、表面に粘着剤の展延された支持体(粘着性テープ)であればよく、慣用の粘着性セロハンテープであってよい。粘着性テープの支持体としては、紙、スフ、綿、布、不織布、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル等の各種樹脂からなるフィルム、アルミニウム箔等の単独もしくはそれらの複合体が挙げられる。また、粘着剤としては、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム等の合成ゴム、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル共重合体樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。また、粘着付与剤としてロジン、水添ロジンおよびそのエステル、ポリテルペン樹脂、石油樹脂等を用いることもできる。このような粘着性テープは皮膚との高い密着性を有し、貼付剤を皮膚に確実に貼付する。
【0025】
また、皮膚疾患の罹り易さを検定する本発明に係る方法の場合、NGFおよびNT−4の存在量を測定する対象となる試料は非侵襲的な方法で採取した試料に限定されず、外科的に摘出して得られる全表皮であってもよい。
【0026】
こうして用意した各試料におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量は、各試料からそれ自体既知の生化学的方法、たとえば溶媒抽出法、好ましくは凍結融解法、超音波破砕法等を介して可溶性画分を調製する抽出法によってNGFあるいはNT−4を抽出した後に測定することが望ましい。抽出に使用する溶媒は慣用の生理学的緩衝液であればよく、例えばダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水等が使用されるが、それに限定されるものではない。
【0027】
NGFの測定は、NGFに対する抗体との反応性に基づくエンザイムイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、ウエスタンブロッティング等の方法を用いることができる。NT−4の測定はエンザイムイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、ウエスタンブロッティング等の方法を用いることができる。いずれによっても、NGFの測定およびNT−4の測定が可能であるが、操作の簡便性、感度、設備等の点から、上記抗体を用いるエンザイムイムノアッセイによる方法が望ましい。NGF、NT−4測定用のエンザイムイムノアッセイ(ELISA)キットは、例えばPROMEGA社製から商業的に入手できる。
【0028】
以上により測定されたNGFおよびNT−4は、それぞれコントロールとしての健常部位の値と検査の対象となる部位(すなわち、皮膚疾患に罹患していることが疑われる部位)との比較がされる。
【0029】
以上の各方法において、NGFおよびNT−4を測定する手段としては、それぞれNGFに対する抗体、NT−4に対する抗体を用いることが好適である。このような抗体は、それぞれ既知の作成方法により得ることができるが、市販されているものを販売元の推奨する態様に従って使用することが好都合である。
【0030】
こうして本発明によれば、特にNGFおよびNT−4をそれぞれ測定するための抗体を組み合わせて使用できるように構成した、キットも提供される。組み合わせて使用できるとは、NGFおよびNT−4をその場で測定するか、あるいは時または場所を異にして測定するかを問わないが、測定結果が最終的に比較できる状態にあることを意味する。このキットには、上記測定の実施を容易にする、試薬類(たとえば緩衝剤等)や備品(マイクロタイタープレート、ピペット等)を含めることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例を引用しながら、さらに具体的に説明する。
【0032】
角層試料の用意および測定試料の調製例
ADと診断された患者のAD炎症性皮膚疾患部位の病変部位(上腕・前腕内側、腰、足、手首、のど等)および同患者のその近辺の対応の健常部位、ならびにADと診断されておらず、病変部位を有しない健常人の対応の健常部位に粘着性セロハンテープを貼付して直ちに剥離した。テープに付着した角層にリン酸緩衝生理食塩液を加えて、凍結融解、超音波処理を施した後、遠心分離によりNGFおよびNT−4を含む可溶性蛋白質画分を得た。
【0033】
上記のそれぞれの試料に対する操作は具体的に記載する共通の方法によって行った。
【0034】
角層の採取は、I. Horiiら(J. Dermatol., 121:587−592(1989))に記載の方法を若干改良して行った。まず粘着性テープ(ニチバン製セロテープ(登録商標))片を試料採取部によく貼付し、そのテープ片をはがした。このテープ片(24mm×45mm)を細断した後、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩液に浸漬した後、抽出を行うまで−20℃で保管した。抽出は、前記浸漬液をプローブを備えた超音波破砕器(Astrason(登録商標)Heat Systems−Ultrasonics製)を用い氷上で2分間処理して行った。不溶物を4℃で10分間14000gの遠心により除去した。こうして得られた上清を以下の実験に供した。
【0035】
NGFおよびNT−4の測定例
上述の方法で調製した測定用試料(上清)中のNGF濃度およびNT−4濃度の測定は、それぞれNGF、NT−4測定用エンザイムイムノアッセイ(ELISA)キット(PROMEGA社製)を用いて行った。また、その際それぞれの試料をキットに備え付けてある希釈液で2倍希釈した。
【0036】
ELISAの結果は、吸光度をMICROPLATE READER Model 450(BIO−RAD社製)で450nmの波長で測定した。
【0037】
採取される角層の量は、対象部位、皮膚疾患により異なるため、測定試料中の蛋白量をMicro BCA(商標)Protein Assay Reagent Kit (PIERCE社製)を用いて測定し、試料蛋白あたりのNGFあるいはNT−4を算出し、角層中NGF値、NT−4値とした。
【0038】
結果と考察
ADおよび健常人の角層中のNGF値およびNT−4値を比較した結果を図1および図2に示す。
図1及び2の結果から、ADと診断された患者のAD炎症性皮膚疾患部位の病変部位由来の角層試料中のNGF値およびNT−4値は、同患者の健常部位由来の角層試料およびADと診断されていない別の健常人の健常部位のいずれのNGF値およびNT−4値よりも統計学的に有意に高かった。従って、テープストリッピングにより採取した角層試料中のNGF値および/またはNT−4値を指標として、皮膚疾患を診断することが可能であることが示された。
【0039】
また、驚くべきことに、ADと診断された患者の健常部位由来の角層試料のNGF値およびNT−4値は、健常部位であるにもかかわらず、ADと診断されていない健常人の角層中のNGF値およびNT−4値と比べ有意に高かった。従って、ADを患う個体の角層は、罹患部位ほどではないにしても、罹患部位でない部位においてもNGF値およびNT−4値が有意に高いことが明らかとなった。しかも、ADと診断されていない健常人の角層中のNGF値およびNT−4値は検出限界以下であった。このことを利用し、角層試料中のNGF値および/またはNT−4値を指標として、個体が皮膚疾患に罹り易い体質をもつか否かを検定することができ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】AD患者および健常人の角層中のNGF値を比較した結果。
【図2】AD患者および健常人の角層中のNT−4値を比較した結果。

Claims (10)

  1. 角層試料中のNGFおよび/またはNT−4の存在量を測定することを特徴とする個体の皮膚疾患又は敏感肌を非侵襲的に検査するための方法。
  2. (A) 皮膚疾患に罹患しているもしくは敏感な肌を有する前記個体の当該罹患しているもしくは敏感肌であることが疑われる部位(a)由来の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量と、コントロールとしての同個体の当該部位に近縁する部位または皮膚疾患に罹患していないもしくは敏感肌を有しない別の個体の当該部位に対応する部位(b)由来の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量とを測定する工程、ならびに
    (B) 部位(a)由来の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量を部位(b)由来の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量それぞれと比較する工程、
    を含んでなる、請求項1記載の方法。
  3. 前記角層試料がテープストリッピングにより採取されたものである、請求項1または2記載の方法。
  4. 角層試料中のNGFおよび/またはNT−4の存在量を測定することを特徴とする個体の皮膚疾患の罹り易さ又は敏感肌を検定するための方法。
  5. (A) 前記個体の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量を測定する工程、
    (B) (A)で得られた値を、コントロールとしての皮膚疾患に罹患していないもしくは敏感肌を有していない別の1または複数の個体の当該部位に対応する部位由来の角層試料中におけるNGFおよび/またはNT−4の存在量と比較する工程、
    を含んでなる、請求項4記載の方法。
  6. 角層試料が非侵襲的な手段で獲得されたものである、請求項4または5記載の方法。
  7. 前記角層試料がテープストリッピングにより採取されたものである、請求項4〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 角層試料中のNGFおよび/またはNT−4の存在量を測定するためのキットであって、
    皮膚に貼付し、次いで剥離して角層試料を採取するための手段;ならびに
    NGFを測定するための手段および/またはNT−4を測定するための手段;
    を含んでなるキット。
  9. 前記角層試料を採取するための手段が粘着テープである、請求項8記載のキット。
  10. 請求項1〜5のいずれか1項記載の方法を実施するための、請求項8または9記載のキット。
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