JP2004028672A - 非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法 - Google Patents

非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004028672A
JP2004028672A JP2002182796A JP2002182796A JP2004028672A JP 2004028672 A JP2004028672 A JP 2004028672A JP 2002182796 A JP2002182796 A JP 2002182796A JP 2002182796 A JP2002182796 A JP 2002182796A JP 2004028672 A JP2004028672 A JP 2004028672A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
eccentricity
aspherical
test surface
shape data
lens
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002182796A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Izumida
泉田 豊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Corp filed Critical Olympus Corp
Priority to JP2002182796A priority Critical patent/JP2004028672A/ja
Publication of JP2004028672A publication Critical patent/JP2004028672A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】非球面レンズに形状誤差が存在しても、高精度に非球面レンズの非球面偏心量及び非球面偏心方向を測定する非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法を提供する。
【解決手段】回転部4は保持部3により保持されたレンズ1を回転させる。スポット軌跡検出手段5はレンズ1から反射された光のスポットの軌跡を検出する。環状領域形状データ取得手段6はレンズ1の被検面1bの環状領域の形状データを取得する。処理部8は環状領域の形状データと入力された被検面1bの形状データを対比して被検面1bの面頂1tbの位置を取得する。処理部8はスポットの軌跡から被検面1a,1bの近軸曲率中心1oa,1obの偏心量及び偏心方向を取得する。処理部8は面頂1tbの位置と近軸曲率中心1oa,1obの偏心量及び偏心方向から被検面1bの非球面偏心量及び非球面偏心方向を取得する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面非球面レンズ及び片面非球面レンズの双方を含む非球面レンズの非球面軸の傾きを測定する非球面レンズの非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非球面レンズがもつ偏心を検査するための測定技術としては、近年、例えば特開平7−159283号公報にその非球面レンズの偏心測定装置と偏心測定方法が開示されている。
【0003】
図6(a)は両面に非球面が形成された非球面レンズの一例を示す概略図である。実線で示す両面の非球面1a,1bは、仮想線で示す近軸球面1a’,1b’を基準として設計されている。近軸球面1a’,1b’の曲率中心1oa,1obを結ぶ直線hがこの非球面レンズの光軸となる。このように両面に非球面が形成されたレンズでは、非球面1bの頂点(面頂)1tbと、近軸球面1b’の曲率中心1obとを結ぶ非球面軸ibとともに、非球面1aの頂点(面頂)1taと、近軸球面1a’の曲率中心1oaとを結ぶ非球面軸iaとの2つの非球面軸とが存在する。非球面軸ia,ibはそれぞれ非球面1a,1bの回転対称軸になる。
【0004】
非球面レンズが設計どおりに製造されていれば、光軸hと2つの非球面軸ia,ibは完全に一致するが、実際にはそのようなレンズを製造することは困難である。図6(a)のように2つの非球面軸ia、ibと光軸hとがずれた状態では、非球面1bと非球面1aは理想的な位置から傾いている。光軸hと非球面軸ia,ibとがなす角をそれぞれ角度εa,εbとする。角度εbは非球面1bの非球面偏心量であり、角度εaは非球面1aの非球面偏心量である。図6(c)、図6(d)は光軸hに直交する平面xyにおける面頂1tb,1taの位置をそれぞれ示す図である。光軸hは平面xyの原点を貫いている。面頂(頂点)の方位角は非球面1b,1aのそれぞれの非球面偏心方向θεb,θεaである。製造された非球面レンズの非球面偏心量εa,εbと非球面偏心方向θεa,θεbが評価された後、非球面レンズの型修正などが行われる。
【0005】
図6(b)は片面のみに非球面が形成された非球面レンズの一例を示す概略図である。実線で示す非球面1bは、仮想線で示す近軸球面1b’を基準として設計されている。面1aは球面である。非球面1bの近軸曲率中心1obと球面1aの曲率中心1oaとを結ぶ直線hが非球面レンズの光軸となる。このような非球面レンズの場合には、非球面1bの頂点1tbと近軸球面1b’の曲率中心1obとを結ぶ非球面軸ibが一本定義される。この非球面レンズが設計どおりに製造されていれば、光軸hと非球面軸ibは完全に一致するが、実際にはそのようなレンズを製作することは困難である。図6(b)に示すように非球面1bは理想的な位置から傾いている。光軸hと非球面軸ibがなす角度εbは非球面偏心量である。図6(e)は光軸hに直交する平面xyにおける面頂1tbの位置を示す図である。光軸hは平面xyの原点を貫いている。面頂1tbの方位角は非球面1bの非球面偏心方向θεbである。片面のみに非球面が形成されている場合には、この非球面偏心量εb及び非球面偏心方向θεbが評価され、型修正などが行なわれる。
【0006】
図7は、特開平7−159283号公報に開示された非球面レンズ用の非球面偏心測定装置100の概略図である。両面101a,101bに非球面が形成された非球面レンズ101は保持手段102により保持される。駆動手段103は保持手段102を非球面レンズ101の光軸とほぼ重なる回転軸k回りに回転する。非球面レンズ101の回転原点の位置は回転原点位置検知手段104により検知される。光源105は非球面レンズ101に回転軸kに沿って光を照射する。非球面レンズ101から反射された光のスポット像は光学系107を通って所定の結像位置に結像する。この結像位置にはスポット像の位置を検知するスポット位置検知手段108が配置されている。変位測定手段109,110は非球面レンズ101が回転されたときの両面101a,101bの回転軸k方向の変位を測定する。演算手段112は回転原点位置検知手段104、スポット位置検知手段108及び変位測定手段109,110のそれぞれのデータに基づいて両面101a,101bの非球面偏心量及び非球面偏心方向を算出する。アクチュエータ111は演算手段112の指示に基づいて非球面レンズ101をその回転軸kとほぼ直交する方向に移動させることができる。
【0007】
保持手段102が回転軸kとほぼ平行な軸を有する中空円筒形状の保持部を有している。保持部の直径はほぼ球面と見なせる非球面レンズ101の近軸領域の大きさよりも小さい。薄肉の円筒から構成される保持部を用いることができる。また、保持部の非球面レンズ101に接触する縁をナイフエッジ状に形成することもできる。
【0008】
非球面偏心測定装置100は以下に示す第1及び第2の非球面偏心測定方法に従って非球面偏心量及び非球面偏心方向を測定する。先ず第1の非球面偏心測定方法を説明する。両面101a,101bはそれぞれ非球面である。非球面101aを保持させる。回転軸kと非球面101aの非球面軸とを一致させる。一致させるには、変位測定手段110により測定された回転軸k方向の変位が一定になるように、非球面レンズ101を回転軸kとほぼ直交する方向に移動させる。移動させるために、アクチュエータ111を用いることができる。アクチュエータ111は非球面101aの回転軸k方向の変位を確かめながら非球面レンズ101を移動させる。
【0009】
次に、保持部を回転させながら、非球面レンズ101に光を照射して非球面101bで光を反射させ、スポット位置検知手段108を用いてスポット像の位置を検知する。スポット像は円を描く。この円の半径と中心に基づいて非球面101bの近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向を算出する。
【0010】
変位測定手段109を用いて非球面101bの回転軸k方向の変位を測定する。先に求めた非球面101bの近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向を非球面101bの回転軸k方向の変位に換算する。測定された非球面101bの回転軸k方向の変位からこの換算された変位を差し引く。差し引いた結果を非球面101bの非球面偏心量及び非球面偏心方向に換算する。
【0011】
次に、第2の非球面偏心測定方法を説明する。先ず非球面101aを保持させ、回転軸kと非球面101bの近軸曲率中心とを一致させる。この後、保持部を回転させながら、非球面レンズ101に光を照射して非球面101aで光を反射させ、スポット位置検知手段108を用いてスポット像の位置を検知する。スポット像が描く円の半径と中心に基づいて非球面101aの近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向を算出し、回転軸kと被検レンズ101の光軸との間の軸ずれの方向及び軸ずれ量を求める。
【0012】
回転軸kと被検レンズ101の光軸との間の軸ずれ方向と軸ずれ量から、当該軸ずれに基づく被検レンズ101両面の回転軸方向の変位を算出し、被検レンズ両面の回転軸方向の変位を実測し、得られた各実測値から算出値を差し引き、その結果より、両面の非球面のレンズ光軸に対する非球面偏心量及び偏心方向を算出する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来技術においては、被検レンズ101を回転させた時のそれぞれの面の光軸方向の変位量の変化に基づいて非球面偏心量を算出している。
【0014】
非球面軸が回転軸kと完全に一致している場合、理想的には変位測定手段109,110により測定された非球面101b,101aの回転軸k方向の変位は一定である。しかしながら、実際のレンズ表面には、加工時のエラー等により形成される、アスやコマ収差の発生要因となる局部的な誤差や微小な凹凸などの形状誤差が存在する場合がある。そのため、回転軸に対して非球面101a,101bの非球面軸が傾いていないときに、変位測定手段109,110により測定された回転軸k方向の変位が一定にならないことがある。従って、測定された非球面101b,101aの回転軸k方向の変位が非球面軸の傾きに起因しているのか、形状誤差に起因しているのかを判断できないので、精度良く非球面偏心量及び非球面偏心方向を測定することができない。
【0015】
近年、光通信分野、光ピックアップ、デジタルカメラなどの分野では小径の非球面レンズを含んだ小型光学系が使用されている。このような小径の非球面レンズにはより高い性能をもつ非球面レンズ、例えば大きな非球面量をもつ非球面レンズが用いられる。このような小径の非球面レンズの製造は難しく、形状誤差の生ずる可能性が高い。
【0016】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、非球面レンズに形状誤差が存在しても、高精度に非球面レンズの非球面偏心量及び非球面偏心方向を測定することができる非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係わる非球面偏心測定装置は、レンズを保持する保持部と、この保持部とともにレンズを回転させる回転部であって、前記レンズの光軸と回転部の回転軸とはほぼ並列しかつ接近している回転部と、回転部により回転させられているレンズにこの回転軸に沿って光を導き、レンズから反射された光のスポットの軌跡を検出するスポット軌跡検出手段と、前記回転軸から一定の距離にあり、一方の被検面に沿って延びている環状領域の形状データを取得する環状領域形状データ取得手段と、一方の被検面の形状データと他方の被検面の形状データが入力され、一方の被検面の形状データに基づく形状と、前記環状領域の形状データに基づく形状との差が最も小さくなる相対的な形状移動量をもとめ、この移動量に基づいて前記回転軸に対する一方の被検面の面頂の位置を取得し、一方の被検面の形状データと他方の被検面の形状データに基づいてそれぞれ一方の被検面の近軸曲率と他方の被検面の近軸曲率を取得し、この一方の被検面の近軸曲率とこの他方の被検面の近軸曲率と前記スポット軌跡検出手段により検出されたスポットの軌跡とに基づいて一方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向と他方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向とを取得し、この一方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向とこの他方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向と前記一方の被検面の面頂の位置とに基づいて一方の被検面の非球面偏心量及び非球面偏心方向を取得する処理部とを具備している。
【0018】
本発明の請求項2に係わる非球面偏心測定方法は、レンズの光軸とほぼ並列しこの光軸に接近している回転軸周りにレンズを回転させながら、この回転軸に沿ってレンズに光を導き、レンズから反射された光のスポットの軌跡を検出するスポット軌跡検出工程と、レンズの一方の被検面の形状データと他方の被検面の形状データとを用意する被検面形状データ用意工程と、一方の被検面の近軸曲率と他方の被検面の近軸曲率とを用意する近軸曲率用意工程と、この一方の被検面の近軸曲率とこの他方の被検面の近軸曲率と前記スポットの軌跡とに基づいて一方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向と他方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向とを取得する近軸曲率中心取得工程と、前記回転軸から一定の距離にあり、一方の被検面に沿って延びている環状領域の形状データを取得する環状領域形状データ取得工程と、前記一方の被検面の形状データに基づく形状と、前記環状領域の形状データに基づく形状との差が最も小さくなる相対的な形状移動量をもとめ、この移動量に基づいて前記回転軸に対する一方の被検面の面頂の位置を取得する面頂位置取得工程と、
この一方の被検面の面頂の位置と前記一方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向と前記他方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向とに基づいてレンズの非球面偏心量及び非球面偏心方向を取得する非球面偏心取得工程とを具備している。
【0019】
本発明の請求項3に係わる非球面偏心測定方法は、前記被検面形状データ用意工程により用意されたレンズの被検面の形状データを関数化する形状データ関数化工程をさらに具備している。
【0020】
本発明の請求項4に係わる非球面偏心測定方法では、前記近軸曲率用意工程により用意される一方の被検面の近軸曲率と他方の被検面の近軸曲率とは、前記被検面形状データ用意工程により用意される一方の被検面の形状データと他方の被検面の形状データとに基づいてそれぞれ取得される。
【0021】
本発明の請求項5に係わる非球面偏心測定方法では、前記近軸曲率用意工程により用意される一方の被検面の近軸曲率と他方の被検面の近軸曲率とは、レンズの設計式に基づいてそれぞれ取得される。
【0022】
本発明の請求項6に係わる非球面偏心測定方法では、前記面頂位置取得工程では、前記一方の被検面の形状データに基づく形状と、前記環状領域の形状データに基づく形状とが重なるよう、環状領域の形状データに基づく形状と一方の被検面の形状データに基づく形状との少なくとも一方をシフトかつチルトし、このシフト量及びチルト量に基づいて前記回転軸に対する一方の被検面の面頂の位置を取得する。
【0023】
本発明の請求項7に係わる非球面偏心測定方法では、前記非球面偏心取得工程で取得されるレンズの非球面偏心量及び非球面偏心方向は、一方の被検面の近軸曲率中心と他方の被検面の近軸曲率中心とを結んだ光軸と、一方の被検面の面頂と一方の被検面の近軸曲率中心とを結んだ非球面軸との傾き量及び方向である。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係わる非球面偏心測定装置を説明する。図1は非球面偏心測定装置の概略図である。測定されるレンズ1は互いに対向する被検面1bと被検面1aとをもっている。被検面1bと被検面1aの少なくとも一方は非球面である。被検面1bと被検面1aはそれぞれ凸面でも良いし、凹面でも良い。本実施の形態では、両被検面1b,1aとも非球面でありかつ凸面である。非球面偏心測定装置は被検面1b及び被検面1aの非球面偏心量及び非球面偏心方向を測定する。
【0025】
非球面偏心測定装置はレンズ1を保持する円筒形の保持部3を有している。図1では保持部3の断面が示されている。円筒の中心軸方向の一端には、中心軸に直交している環状の端面が形成されている。この端面と内周面との境界には、端面に沿って延びている円形のエッジ3aが形成されている。この端面と外周面との境界には、端面に沿って延びている円形のエッジ3bが形成されている。エッジ3aとエッジ3bの中心はともに円筒の中心軸上にある。レンズ1が保持部3に保持されるとき、被検面1b又は被検面1aが保持される。被検面1a,1bが凸面のときは、被検面1a,1bがエッジ3aに載置されることで、保持がなされる。被検面1a,1bが凹面のときは、被検面1a,1bはエッジ3bに載置される。図1では凸面である被検面1aがエッジ3aに載置されている。
【0026】
エッジ3a,3bとは反対側に位置する保持部3の他端は保持部3とともにレンズ1を回転させる回転部4が取り付けられている。回転部4の回転軸9は保持部3の中心軸と一致している。回転部4にはレンズ1の回転角を検出する回転角検出部7が取り付けられている。回転角検出部7は処理部8に接続されている。
【0027】
回転軸9上にはスポット軌跡検出手段5が配置されている。スポット軌跡検出手段5と回転部4の間には保持部3が位置している。スポット軌跡検出手段5は、光源、ハーフミラー、結像光学系及び撮像素子(それぞれ図示せず)を有している。光源にはランプが用いられている。光源から発せられた光は、回転軸9上に配置されたハーフミラーにより、回転軸9に沿ってレンズ1に向かうよう偏向される。ハーフミラーの代わりにプリズムを用いても良い。偏向された光は回転軸9上に配置された結像光学系を通り、回転部4により回転させられているレンズ1に回転軸9に沿って導かれる。結像光学系を構成するレンズ群の一部は移動することができる。これにより、レンズ1に導かれた光を所望の点に集光することができる。レンズ1に導かれた光は被検面1b又は被検面1aの近軸曲率中心に集光される。レンズ1から反射された光は再び結像光学系を通り、ハーフミラーを透過し、所定の結像面にて結像する。結像された像はスポット状である。このスポットの位置は結像面に配置された撮像素子により検出される。
【0028】
光が集光される被検面の近軸曲率中心が回転軸9と一致しないときは、スポットはレンズ1の回転に応じて結像面上で円を描く。即ち、スポットの「振れ回り」が生じる。光が集光される被検面の近軸曲率中心が回転軸9と一致するときは「振れ回り」は生じない。スポット軌跡検出手段5により検出されたスポットの軌跡は処理部8に渡される。
【0029】
処理部8には、回転軸9から一定の距離にあり、被検面に沿って延びている環状領域の各部分の回転軸9方向の変位を検出する環状領域変位検出部6が接続されている。環状領域変位検出部6は接触式の変位計を有している。変位計の探針6aの先端は保持部3に保持された被検面とは反対側にある被検面(図1では被検面1b)に接触させられる。探針6aの先端は回転軸9方向に動く。環状領域変位検出部6は変位計の位置を変更する機構を有している。これにより、探針6aが接触している被検面1bの部分と回転軸9との距離を所定の距離Rbにすることができる。レンズ1が回転すると、探針6aの先端は環状領域をなぞりながら、回転軸9方向に動く。
【0030】
図1〜図5を参照して、処理部8の動作とともに、本発明の実施の形態に係わる非球面偏心測定方法を説明する。図2は非球面偏心測定方法のフローチャートである。このフローチャートに従って、処理部8は被検面1bの非球面偏心量及び非球面偏心方向を取得する。先ず、レンズ1を保持部3に保持させる。このとき、レンズ1の光軸と回転軸9がほぼ並列しかつ接近するよう、レンズ1を位置決めする。これにより、後に行う被検面1aの近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向の測定が高精度になされる。ところで、被検面1aが球面の場合には、レンズ1を保持部3に保持させれば被検面1aの近軸曲率中心は常に回転軸9上に位置する。本実施の形態では被検面1aは非球面であるので、レンズ1を保持部3に保持させたときに被検面1aの近軸曲率中心が常に回転軸9上に位置するとは限らない。
【0031】
レンズ1の位置決めについて説明する。スポット軌跡検出手段5を用いてレンズ1から反射された光のスポットの軌跡を検出する。レンズ1の位置決めを行うときには、光を被検面1bの近軸曲率中心1obに集光する。被検面1bの近軸曲率中心1obはレンズ1の回転に応じて動く。スポットは被検面1bの近軸曲率中心1obの動きに応じて動く。スポットの軌跡がほぼ点になるよう保持部3に対してレンズ1を動かす。これにより、被検面1bの近軸曲率中心1obがほぼ回転軸9上に位置する。被検面1aは保持部3のエッジ3aにより支持されている。このエッジ3aは回転軸9に対して同軸となっているので、被検面1aの非球面軸が傾いていなければ、被検面1aの近軸曲率中心1oaは完全に回転軸9上存在する。被検面1aの非球面軸の傾き量が微小な場合には近軸曲率中心1oaは回転軸9の付近に存在する。この結果、レンズ1の光軸と回転軸9がほぼ並列しかつ接近する。
【0032】
レンズ1の位置決めが完了した後、光を被検面1aの近軸曲率中心1oaに集光し、再びスポットの軌跡を検出する(スポット軌跡検出工程S1)。位置決めの後、2度目に検出されたスポットの軌跡は被検面1bの近軸曲率中心1obの偏心の影響を受けながら、被検面1aの近軸曲率中心1oaの動きに応じて動く。1度目に検出されたスポットの軌跡と2度目に検出されたスポットの軌跡とは処理部8に渡される。これと同時に、処理部8には回転角検出部7からレンズ1の回転角が渡される。処理部8はレンズ1の回転角毎のスポットの位置を取得する。
【0033】
次に、非球面偏心測定装置の使用者は被検面1aの形状データと被検面1bの形状データを用意するとともに(被検面形状データ用意工程S2)、被検面1aの近軸曲率と被検面1bの近軸曲率とを用意する(近軸曲率用意工程工程S3)。被検面1a,1bの形状データは適切な測定装置を用いて取得される。取得された形状データは処理部8に入力される。近軸曲率用意工程S3について説明する。工程S3により用意される被検面1a,1bの近軸曲率は、被検面1a,1bの形状データに基づいてそれぞれ取得される。非球面である被検面1a,1bは理想的にはレンズ1の設計式により表される形状に成形される。設計式にはいわゆる非球面式が用いられる。しかしながら、製造誤差があると、製造されたレンズ1の実際の被検面1a,1bの形状は設計式により表された形状からずれる。設計式はパラメータとして被検面1a,1bのそれぞれの近軸曲率をもっている。このパラメータには設計値が代入されている。設計式は処理部8に入力される。処理部8は設計式と被検面1a,1bの形状データとの差が最小になるよう、設計式のパラメータ、即ち被検面1a,1bのそれぞれの近軸曲率を設計値から変化させる。このようにして求められた近軸曲率が近軸曲率用意工程S3で用意される近軸曲率である。
【0034】
近軸曲率用意工程S3で用意される被検面1a,1bのそれぞれの近軸曲率は、被検面1a,1bの形状データの代わりに、レンズ1の設計式に基づいて取得されても良い。この場合、近軸曲率用意工程S3で用意される近軸曲率は、設計式に用いられる近軸曲率の設計値である。
【0035】
次に、処理部8は、近軸曲率用意工程S3にて用意された被検面1a,1bのそれぞれの近軸曲率と、スポット軌跡検出工程S1にて検出されたスポットの軌跡とに基づいて、回転軸9に対する被検面1aの近軸曲率中心1oaの偏心量δa及び偏心方向θaと被検面1bの近軸曲率中心1obの偏心量δb及び偏心方向θbとを取得する(近軸曲率中心取得工程S4)。
【0036】
図3(a)はxyz座標系をもつ3次元空間における被検面1a,1bのそれぞれの近軸曲率中心1oa,1obの位置とそれぞれの面頂1ta,1tbの位置とを示す図である。z軸は回転軸9に一致している。z軸の正の方向は被検面1aから被検面1bに向かう方向である。図3(b)は図3(a)に示された位置を−y方向から見た図であり、図3(c)は図3(a)に示された位置をx方向から見た図である。図3(d)はz方向から見た被検面1aの近軸曲率中心1oaの位置を示す図であり、図3(e)はz方向から見た被検面1bの近軸曲率中心1obの位置を示す図である。図3(d)及び図3(e)に示されているように、レンズ1が回転すると、被検面1a,1bのそれぞれの近軸曲率中心1oa,1obはそれぞれ矢印の向きに回転する。図3(d)及び図3(e)ではレンズ1はz方向から見て反時計回りに回転している。偏心量δa,δbはそれぞれz軸、即ち回転軸9と近軸曲率中心1oa,1obとの間の距離である。近軸曲率中心の偏心方向θa,θbは、それぞれ回転軸9を含む基準面(xz平面)と、回転軸9と近軸曲率中心1oa,1obとを含む平面とのなす角である。
【0037】
近軸曲率中心取得工程S4は良く知られた仕方に従って行うことができる。但し、被検面1aの近軸曲率中心1oaの偏心量δa及び偏心方向θaを取得するときには、光がレンズ1を透過するときに生じる効果を考慮する必要がある。偏心量δa及び偏心方向θaを取得するために用いられるスポットの軌跡は被検面1bを透過し検出される。スポットの軌跡を被検面1bの近軸曲率中心1obに集光しながら検出する場合とは異なり、検出の際にレンズ1に導かれた光はレンズ1の被検面1bを透過し、被検面1aの近軸曲率中心1oaに集光する。この後、光は再び被検面1bを透過する。このため、被検面1aの近軸曲率中心1oaの偏心量δa及び偏心方向θaを取得するときには、被検面1a,1bのそれぞれの近軸曲率に加えて、レンズ1の肉厚、レンズ1の屈折率などが必要である。これらは適切な測定装置を用いて測定され、処理部8に入力される。
【0038】
近軸曲率中心取得工程S4では、それぞれの面の近軸曲率中心の偏心量δa,δb及び偏心方向θa,θbを取得するために、製造されたレンズ1の実際の被検面1a,1bの形状により近い被検面1a,1bの形状データに基づいて得られた近軸曲率を用いる。これにより、製造されたレンズ1の実際の被検面1a,1bの形状により近い被検面1a,1bの近軸曲率中心1oa,1obの偏心量δa,δb及び偏心方向θa,θbを得ることができる。
【0039】
図3(d)及び図3(e)に示すように、近軸曲率中心1oa,1obの偏心量δa,δb及び偏心方向θa,θbを近軸曲率中心1oa,1obのx方向の座標及びy方向の座標に変換することができる。
【0040】
1oax=δa×cosθa …(1)
1oay=δa×sinθa …(2)
1obx=δb×cosθb …(3)
1oby=δb×sinθb …(4)
1oax,1oayはそれぞれ近軸曲率中心1oaの位置のx方向の座標、y方向の座標であり、1obx,1obyはそれぞれ近軸曲率中心1obの位置のx方向の座標、y方向の座標である。
【0041】
次に、処理部8は上述した環状領域の形状データを取得する(環状領域形状データ取得工程S5)。処理部8には環状領域変位検出部6から環状領域の各部分の回転軸9方向の変位が渡される。同時に、処理部8には回転角検出部7からレンズ1の回転角が渡される。回転角はレンズ1が360/n°だけ回転する毎に渡される。渡される回転角をθrot(i)とする。iは回転角が渡された回数である。処理部8に回転角θrot(i)が渡されると同時に、処理部8には環状領域の変位ASPb(i)が渡される。θrot(i)とASPb(i)から処理部8は環状領域の形状データ(x(i),y(i),z(i))を取得する。
【0042】
x(i)=Rb×cos(θrot(i)) …(5)
y(i)=Rb×sin(θrot(i)) …(6)
z(i)=ASPb(i) …(7)
i=1,2,3…n
式(5)〜(7)は環状領域上のn個の点の位置を表している。Rbは回転軸9から環状領域の検出点までの距離である。z軸の正の方向は被検面1aから被検面1bに向かう方向である。
【0043】
次に、処理部8は被検面形状データ用意工程S2にて用意された被検面1bの形状データを関数化する(形状データ関数化工程S6)。この関数式は、製造されたレンズ1の実際の被検面1bの形状を近似的に表す。この関数式にて非球面式では表すことができない、アスやコマなどの局部的な誤差や微小な凹凸等の形状誤差を表すことができる。この関数式には、多項式、べき級数、ツェルニケ多項式、スプライン関数、点列の補間等がある。この後、処理部8は、この関数化された被検面1bの形状データに基づく形状と、環状領域の形状データに基づく形状との差が最も小さくなる相対的な形状移動量をもとめ、この移動量に基づいて回転軸に対する被検面1bの面頂1tbの位置を取得する。即ち、この関数化された被検面1bの形状データに基づく形状と、環状領域の形状データに基づく形状とが重なるよう、環状領域の形状データに基づく形状を仮想的に移動し、この環状領域の形状データに基づく形状の移動量に基づいて回転軸に対する被検面1bの面頂1tbの位置を取得する(面頂位置取得工程S7)。
【0044】
処理部8は以下のように環状領域の形状データに基づく形状を仮想的に移動する。(図3、図4参照)先ず、環状領域をxy方向にシフトする。即ち、式(5)〜(7)で表された点列の中心のxy座標(0,0)が(1obx,1oby)に移動するように、式(5)〜(7)で表された点列をxy方向にシフトする。1obx,1obyはそれぞれ式(3)、式(4)により求められている。このときの環状領域の形状データの移動量、即ちx方向のシフト量とy方向のシフト量はそれぞれ1obx,1obyである。
【0045】
次に、環状領域の形状データと形状データ関数化工程S6にて求められた関数との差が最も小さくなるように、環状領域の形状データをz軸方向にシフトさせる。さらに、y軸に平行でありかつシフトされた環状領域の中心を通る軸回りに、環状領域を所定角度だけ回転させる。即ち、この所定角度だけx方向にチルトさせる。また、x軸に平行でありかつ環状領域の中心を通る軸回りに、環状領域を所定角度だけy方向にチルトさせる。さらに、環状領域の形状データと、形状データ関数化工程S6にて求められた関数があらわす形状との差が最も小さくなるように、環状領域の形状データをz方向に所定の距離だけシフトする。関数化された被検面1bの形状データに基づく形状と、環状領域の形状データとの差が最少となるまで(両者が重なるようにシフトを行う)、x方向のチルト、y方向のチルト及びz方向のシフトを繰り返す。−y方向から見た、環状領域により囲まれる平面の法線とz軸とのなす角がx方向のチルト量であり、x方向から見た、この平面の法線とz軸とのなす角がy方向のチルト量である。
【0046】
本実施の形態では環状領域の形状データに基づく形状をシフトかつチルトしているが、被検面1bの形状データに基づく形状をシフトかつチルトしても良い。また、両方をシフトかつチルトしても良い。また、本実施の形態では被検面1bと環状領域が重なるよう(差が最少となるよう)上記のように環状領域を動かしたが、環状領域の動かし方はこれに限定されない。
【0047】
次に、処理部8は環状領域の移動量、即ち、x方向のシフト量1obx、y方向のシフト量1oby、x方向のチルト量Abx及びy方向のチルト量Abyに基づいて、回転軸9、即ちz軸に対する被検面1bの面頂1tbの位置を以下の式(8)及び(9)に従って取得する。図4(a)、図4(b)にはそれぞれ−y方向、x方向から見た被検面1bの面頂1tbの位置が表されている。
【0048】
1tbx=1obx+rbx×sin(Abx) …(8)
1tby=1oby+rby×sin(Aby) …(9)
1tbx,1tbyはそれぞれ面頂1tbの位置のx方向、y方向の座標である。rbx,rbyはそれぞれy方向、−x方向から見た被検面1bの面頂1tbと近軸曲率中心1obの間の線分の長さである。図3(b)、図3(c)にはそれぞれ面頂1tbの位置(1tbx,1tby)が示されている。図3(f)はz方向から見た面頂1tbの位置(1tbx,1tby)を示す図である。
【0049】
次に、処理部8は、被検面1bの面頂1tbの位置(1tbx,1tby)と被検面1aの近軸曲率中心1oaの偏心量δa及び偏心方向θaと被検面1bの近軸曲率中心1obの偏心量δb及び偏心方向θbとに基づいて、レンズ1の被検面1bの非球面偏心量εb及び非球面偏心方向θεbを取得する(非球面偏心取得工程S8)。近軸曲率中心の偏心量δa,δb及び偏心方向θa,θbは近軸曲率中心取得工程S4にて取得されている。ここで、非球面偏心量εb及び非球面偏心方向θεbは、被検面1bの近軸曲率中心と被検面1aの近軸曲率中心1oaとを結んだ光軸と、被検面1bの面頂1tbと被検面1bの近軸曲率中心1obとを結んだ非球面軸との傾き量及び方向である。
【0050】
図4(a)は−y方向から見た、被検面1bの面頂1tbの位置1tbx、被検面1bの近軸曲率中心1obの位置1obx及び被検面1aの近軸曲率中心1oaの位置1oaxを示す図である。図4(b)はx方向から見た、面頂1tbの位置1tby、近軸曲率中心1obの位置1oby及び近軸曲率中心1oaの位置1oayを示す図である。近軸曲率中心1oaの位置(1oax,1oay)、近軸曲率中心1obの位置(1obx,1oby)は、式(1)〜(4)に従って取得されている。
【0051】
非球面偏心取得工程S8では先ず、近軸曲率中心1oa,1ob間のz方向の距離Zoを求める(ステップs1)。
【0052】
Figure 2004028672
rbは被検面1bの近軸曲率、raは被検面1aの近軸曲率、dは被検レンズの肉厚である。
【0053】
次に、近軸曲率中心1obと面頂1tbの間のz方向の距離Zbを求める(ステップs2)。
【0054】
Figure 2004028672
−y方向から見たときの、z軸に対する被検面1bの非球面軸1tb−1obの傾きと、z軸に対するレンズ1の光軸1oa−1obの傾きとを求めて、−y方向から見たときの、非球面軸1tb−1obと光軸1oa−1obのなす角、即ち被検面1bの非球面偏心量εbのx成分εbxを求める(ステップs3)。
【0055】
Figure 2004028672
xz平面で、面頂のx成分1tbxから光軸のx成分1oax−1obxに垂線を下ろしその交点を点C1とする。点C1と面頂のx成分1tbxの間の距離Lbxを求める(ステップs4)。
【0056】
Lbx=rbx×sinεbx …(13)
ステップs3と同様にして、x方向から見たときの、非球面軸1tb−1obと光軸1oa−1obのなす角、即ち被検面1bの非球面偏心量εbのy成分εbyを求める(ステップs5)。
【0057】
Figure 2004028672
yz平面で、面頂のy成分1tbyから光軸のy成分1oay−1obyに垂線を下ろしその交点を点C2とする。点C2と面頂のy成分1tbyの間の距離Lbyを求める(ステップs6)。
【0058】
Lby=rby×sinεby …(15)
光軸1oa−1obに対する被検面1bの非球面軸1ob−1tbの傾き、即ち非球面偏心量εbを求める(ステップs7)。
【0059】
εb=sin−1((Lbx+Lby1/2/rb)…(16)
非球面偏心方向θεbを求める(ステップs8)。
【0060】
θεb=tan−1(Lby/Lbx) …(17)
ステップs1〜s8が行われる順番は上記したものに限られない。例えば、ステップs3〜s6をs5,s6,s3,s4の順で行っても良い。この場合、非球面偏心量εbのy成分εbyが先に求められ、x成分εbxが後に求められる。また、ステップs3〜s6をs3,s5,s4,s6の順で行っても良い。この場合、図4(a)に示された量と図4(b)に示された量とが交互に求められる。
【0061】
次に、レンズ1を反転し被検面1aを上にした状態にて保持部3に保持させる。被検面1bは保持部3のエッジ3aに載置される。この後、レンズ1の光軸と回転軸9がほぼ並列し、かつ近接するよう、レンズ1を位置決めする。図5は非球面偏心測定方法のフローチャートである。このフローチャートに従って、処理部8は被検面1aの非球面偏心量及び非球面偏心方向を取得する。処理のフローは被検面1bを上にした場合と同様のものであるが、レンズ1を反転させているので、近軸曲率中心の偏心方向および非球面偏心方向は反転させる方向により、x方向もしくはy方向の正負が逆転し、設計式についてはzの方向が反転することに注意する必要がある。
【0062】
レンズ1の位置決めの後、処理部8は環状領域形状データ取得工程S5と同様にして、回転軸9から一定の距離にあり、被検面1aに沿って延びる裏面環状領域の形状データを取得する(裏面環状領域形状データ取得工程S10)。裏面環状領域の各部分の位置はxyz座標上の点で表される。z軸は回転軸9と一致している。z軸の正の方向は被検面1bから被検面1aに向かう方向にとる。
【0063】
被検面1aを上にした状態にて処理部8は、近軸曲率用意工程S3にて用意された被検面1a,1bのそれぞれの近軸曲率と、被検面1aを上にした状態での被検面両面のスポットの軌跡とに基づいて、回転軸9に対する被検面1aの近軸曲率中心1oaの偏心量δa及び偏心方向θaと被検面1bの近軸曲率中心1obの偏心量δb及び偏心方向θbとを取得する(反転近軸曲率中心取得工程S9)。
【0064】
反転近軸曲率中心取得工程S9は被検面1bを上にした状態の時と同様に、良く知られた仕方に従って行うことができる。但し、被検面1bの近軸曲率中心1obの偏心量δb及び偏心方向θbを取得するときには、光がレンズ1を透過するときに生じる効果を考慮する必要がある。偏心量δb及び偏心方向θbを取得するために用いられるスポットの軌跡は被検面1aを透過し検出される。スポットの軌跡を被検面1aの近軸曲率中心1oaに集光しながら検出する場合とは異なり、検出の際にレンズ1に導かれた光はレンズ1の被検面1aを透過し、被検面1bの近軸曲率中心1obに集光する。この後、光は再び被検面1aを透過する。このため、被検面1bの近軸曲率中心1obの偏心量δb及び偏心方向θbを取得するときには、被検面1a,1bのそれぞれの近軸曲率に加えて、レンズ1の肉厚、レンズ1の屈折率などが必要である。これらは適切な測定装置を用いて測定され、処理部8に入力される。
【0065】
次に、処理部8は形状データ関数化工程S6と同様にして被検面形状データ用意工程S2にて用意された被検面1aの形状データを関数化する(裏面形状データ関数化工程S11)。この工程S11で得られた関数のz軸は、形状データ関数化工程S6と同様に被検面1aの非球面軸と一致している。このz軸の正の方向は被検面1bから被検面1aに向かう方向であり、裏面環状領域の形状データのz軸の正の方向と一致している。
【0066】
次に、処理部8は、裏面環状領域の形状データに基づく形状と関数化された被検面1aの形状データに基づく形状とが重なるよう、裏面環状領域の形状データに基づく形状を仮想的に移動し、裏面環状領域の形状データに基づく形状の移動量に基づいて回転軸9に対する被検面1aの面頂1taの位置を取得する(裏面面頂位置取得工程S12)。この工程S12は面頂位置取得工程S7と同様に行われる。図3(b)、図3(c)に面頂1taの位置のx方向の座標1tax、y方向の座標1tayがそれぞれ示されている。図3(g)はz方向から見た面頂1taの位置(1tax,1tay)を示す図である。
【0067】
次に、処理部8は、この被検面1aの面頂1taの位置と被検面1aの近軸曲率中心1oaの偏心量δa及び偏心方向θaと被検面1bの近軸曲率中心1obの偏心量δb及び偏心方向θbとに基づいて被検面1aの非球面偏心量εa及び非球面偏心方向θεaを取得する(裏面非球面偏心取得工程S13)。この工程S13は非球面偏心取得工程S8と同様にして行われる。近軸曲率中心の偏心量δa,δb及び偏心方向θa,θbは反転近軸曲率中心取得工程S9にて取得されている。図3(b)、図3(c)に被検面1aの非球面偏心量εaのx成分εax、y成分εayがそれぞれ示されている。x成分εax、y成分εayはそれぞれ−y方向、x方向から見たときの、非球面軸1ta−1oaと光軸1oa−1obのなす角である。
【0068】
上述のように、本実施の形態の非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法では、近軸曲率中心1oa,1obのそれぞれの偏心量δa,δb及び偏心方向θa,θbを取得するために、製造されたレンズ1の実際の被検面1a,1bの形状により近い被検面1a,1bの形状データに基づいて得られた近軸曲率が用いられる。また、面頂1ta,1tbの位置を取得するためにも実際の被検面1a,1bの形状により近い被検面1a,1bの形状データが用いられる。これにより、非球面レンズに形状誤差が存在しても、レンズ1のそれぞれの被検面1a,1bの高精度な非球面偏心量及び非球面偏心方向が得られる。
【0069】
本実施の形態の非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法を用いれば、一方の被検面が非球面であり、他方の被検面が球面であるレンズの非球面偏心量及び非球面偏心方向も取得することができる。この場合、レンズ1の球面側を保持部3に保持させる。
【0070】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述したことから明らかなように、本発明に従った非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法を用いれば、非球面レンズに形状誤差が存在しても、高精度に非球面レンズの非球面偏心量及び非球面偏心方向を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる非球面偏心測定装置の概略図。
【図2】本発明の実施の形態に係わる非球面偏心測定方法のフローチャートの一部。
【図3】(a)は近軸曲率中心の位置と面頂の位置を示す図。(b)は(a)に示された位置を−y方向から見た図。(c)は(a)に示された位置をx方向から見た図。(d)はz方向から見た被検面1aの近軸曲率中心の位置を示す図。(e)はz方向から見た被検面1bの近軸曲率中心の位置を示す図。(f)はz方向から見た被検面1bの面頂の位置を示す図。(g)はz方向から見た被検面1aの面頂の位置を示す図。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ−y方向、x方向から見た、被検面1bの面頂の位置、被検面1bの近軸曲率中心の位置及び被検面1aの近軸曲率中心の位置を示す図。
【図5】本発明の実施の形態に係わる非球面偏心測定方法のフローチャートの一部。
【図6】(a)は従来の非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法に用いられる、両面に非球面が形成された非球面レンズの一例を示す概略図。(b)は片面のみに非球面が形成された非球面レンズの一例を示す概略図。(c)、(d)は光軸hに直交する平面xyにおける面頂1tb,1taの位置をそれぞれ示す図。(e)は光軸hに直交する平面xyにおける面頂1tbの位置を示す図。
【図7】従来の非球面偏心測定装置の概略図。
【符号の説明】
1 レンズ
3 保持部
4 回転部
5 スポット軌跡検出手段
6 環状領域変位検出部
7 回転角検出部
8 処理部
9 回転軸
1a 被検面
1oa 被検面1aの近軸曲率中心
1oax 近軸曲率中心1oaの位置のx方向の座標
1oay 近軸曲率中心1oaの位置のy方向の座標
1ta 被検面1aの面頂
1tax 面頂1taの位置のx方向の座標
1tay 面頂1taの位置のy方向の座標
1b 被検面
1ob 被検面1bの近軸曲率中心
1obx 近軸曲率中心1obの位置のx方向の座標
1oby 近軸曲率中心1obの位置のy方向の座標
1tb 面頂
1tbx 面頂1tbの位置のx方向の座標
1tby 面頂1tbの位置のy方向の座標
δa 被検面1aの近軸曲率中心1oaの偏心量
θa 被検面1aの近軸曲率中心1oaの偏心方向
δb 被検面1bの近軸曲率中心1obの偏心量
θb 被検面1bの近軸曲率中心1obの偏心方向
Abx −y方向から見たときの、被検面1bの非球面軸とz軸のなす角
Aby x方向から見たときの、被検面1bの非球面軸とz軸のなす角
εa 被検面1aの非球面偏心量
εax −y方向から見たときの、被検面1aの非球面軸と光軸のなす角
εay x方向から見たときの、被検面1aの非球面軸と光軸のなす角
εb 被検面1bの非球面偏心量
εbx −y方向から見たときの、被検面1bの非球面軸と光軸のなす角
εby x方向から見たときの、被検面1bの非球面軸と光軸のなす角
Lbx −y方向から見たときの、面頂のx成分1tbxから光軸のx成分1oax−1obxまでの距離
Lby x方向から見たときの、面頂のy成分1tbyから光軸のy成分1oay−1obyまでの距離
S1 スポット軌跡検出工程
S2 被検面形状データ用意工程
S3 近軸曲率用意工程
S4 近軸曲率中心取得工程
S5 環状領域形状データ取得工程
S6 形状データ関数化工程
S7 面頂位置取得工程
S8 非球面偏心取得工程
S9 反転近軸曲率中心取得工程
S10 裏面環状領域形状データ取得工程
S11 裏面形状データ関数化工程
S12 裏面面頂位置取得工程
S13 裏面非球面偏心取得工程

Claims (7)

  1. レンズを保持する保持部と、
    この保持部とともにレンズを回転させる回転部であって、前記レンズの光軸と回転部の回転軸とはほぼ並列しかつ接近している回転部と、
    回転部により回転させられているレンズにこの回転軸に沿って光を導き、レンズから反射された光のスポットの軌跡を検出するスポット軌跡検出手段と、
    前記回転軸から一定の距離にあり、一方の被検面に沿って延びている環状領域の形状データを取得する環状領域形状データ取得手段と、
    一方の被検面の形状データと他方の被検面の形状データが入力され、一方の被検面の形状データに基づく形状と、前記環状領域の形状データに基づく形状との差が最も小さくなる相対的な形状移動量をもとめ、この移動量に基づいて前記回転軸に対する一方の被検面の面頂の位置を取得し、一方の被検面の形状データと他方の被検面の形状データに基づいてそれぞれ一方の被検面の近軸曲率と他方の被検面の近軸曲率を取得し、この一方の被検面の近軸曲率とこの他方の被検面の近軸曲率と前記スポット軌跡検出手段により検出されたスポットの軌跡とに基づいて一方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向と他方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向とを取得し、この一方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向とこの他方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向と前記一方の被検面の面頂の位置とに基づいて一方の被検面の非球面偏心量及び非球面偏心方向を取得する処理部と
    を具備していることを特徴とする非球面偏心測定装置。
  2. レンズの光軸とほぼ並列しこの光軸に接近している回転軸周りにレンズを回転させながら、この回転軸に沿ってレンズに光を導き、レンズから反射された光のスポットの軌跡を検出するスポット軌跡検出工程と、
    レンズの一方の被検面の形状データと他方の被検面の形状データとを用意する被検面形状データ用意工程と、
    一方の被検面の近軸曲率と他方の被検面の近軸曲率とを用意する近軸曲率用意工程と、
    この一方の被検面の近軸曲率とこの他方の被検面の近軸曲率と前記スポットの軌跡とに基づいて一方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向と他方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向とを取得する近軸曲率中心取得工程と、
    前記回転軸から一定の距離にあり、一方の被検面に沿って延びている環状領域の形状データを取得する環状領域形状データ取得工程と、
    前記一方の被検面の形状データに基づく形状と、前記環状領域の形状データに基づく形状との差が最も小さくなる相対的な形状移動量をもとめ、この移動量に基づいて前記回転軸に対する一方の被検面の面頂の位置を取得する面頂位置取得工程と、
    この一方の被検面の面頂の位置と前記一方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向と前記他方の被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向とに基づいてレンズの非球面偏心量及び非球面偏心方向を取得する非球面偏心取得工程と
    を具備していることを特徴とする非球面偏心測定方法。
  3. 前記非球面偏心測定方法は、前記被検面形状データ用意工程により用意されたレンズの被検面の形状データを関数化する形状データ関数化工程をさらに具備していることを特徴とする請求項2に記載の非球面偏心測定方法。
  4. 前記近軸曲率用意工程により用意される一方の被検面の近軸曲率と他方の被検面の近軸曲率とは、前記被検面形状データ用意工程により用意される一方の被検面の形状データと他方の被検面の形状データとに基づいてそれぞれ取得されることを特徴とする請求項2又は3に記載の非球面偏心測定方法。
  5. 前記近軸曲率用意工程により用意される一方の被検面の近軸曲率と他方の被検面の近軸曲率とは、レンズの設計式に基づいてそれぞれ取得されることを特徴とする請求項2又は3に記載の非球面偏心測定方法。
  6. 前記面頂位置取得工程では、前記一方の被検面の形状データに基づく形状と、前記環状領域の形状データに基づく形状とが重なるよう、環状領域の形状データに基づく形状と一方の被検面の形状データに基づく形状との少なくとも一方をシフトかつチルトし、このシフト量及びチルト量に基づいて前記回転軸に対する一方の被検面の面頂の位置を取得することを特徴とする請求項2に記載の非球面偏心測定方法。
  7. 前記非球面偏心取得工程で取得されるレンズの非球面偏心量及び非球面偏心方向は、一方の被検面の近軸曲率中心と他方の被検面の近軸曲率中心とを結んだ光軸と、一方の被検面の面頂と一方の被検面の近軸曲率中心とを結んだ非球面軸との傾き量及び方向であることを特徴とする請求項2に記載の非球面偏心測定方法。
JP2002182796A 2002-06-24 2002-06-24 非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法 Withdrawn JP2004028672A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002182796A JP2004028672A (ja) 2002-06-24 2002-06-24 非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002182796A JP2004028672A (ja) 2002-06-24 2002-06-24 非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004028672A true JP2004028672A (ja) 2004-01-29

Family

ID=31179199

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002182796A Withdrawn JP2004028672A (ja) 2002-06-24 2002-06-24 非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004028672A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007018118A1 (ja) * 2005-08-05 2007-02-15 Mitaka Kohki Co., Ltd. レンズにおける表裏面の光軸偏芯量の測定方法
CN101922920A (zh) * 2009-06-08 2010-12-22 富士能株式会社 非球面体测量方法以及装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007018118A1 (ja) * 2005-08-05 2007-02-15 Mitaka Kohki Co., Ltd. レンズにおける表裏面の光軸偏芯量の測定方法
KR100951221B1 (ko) 2005-08-05 2010-04-05 미따까 고오끼 가부시끼가이샤 렌즈에 있어서의 표리면의 광축 편심량의 측정 방법
JP4767255B2 (ja) * 2005-08-05 2011-09-07 三鷹光器株式会社 レンズにおける表裏面の光軸偏芯量の測定方法
CN101922920A (zh) * 2009-06-08 2010-12-22 富士能株式会社 非球面体测量方法以及装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3725817B2 (ja) 非球面レンズの偏心測定方法及び偏心測定装置
JP4764040B2 (ja) レンズの非球面の偏心軸の偏心測定方法
US20050151978A1 (en) Non-contact surface configuration measuring apparatus and method thereof
US7982882B2 (en) Optical wave interference measuring apparatus
JP2010237189A (ja) 3次元形状測定方法および装置
WO2007018118A1 (ja) レンズにおける表裏面の光軸偏芯量の測定方法
US8059278B2 (en) Optical wave interference measuring apparatus
TW200916753A (en) Method of measuring three-dimensional shape
JP2004028672A (ja) 非球面偏心測定装置及び非球面偏心測定方法
JP2735104B2 (ja) 非球面レンズの偏心測定装置及び測定方法
JP2005214879A (ja) 非球面偏心測定装置、非球面偏心測定方法、及びそれらに用いる非球面レンズ
JP4190044B2 (ja) 偏心測定装置
JP2005331497A (ja) 非球面レンズの評価装置及び評価方法
JP2005024504A (ja) 偏心測定方法、偏心測定装置、及びこれらにより測定された物
JPH08233506A (ja) 非球面形状測定方法及び装置・非球面評価方法
JP2006267085A (ja) 非球面レンズの偏心測定装置及び偏心測定方法。
CN220104459U (zh) 一种基于多焦点环带透镜的光学镜片定中定位装置
CN109341587A (zh) 拼接测量装置和方法
JP2004325348A (ja) 非球面レンズの評価方法と評価装置
KR102028699B1 (ko) 렌즈의 3차원 형상 측정 방법 및 이를 위한 시스템
JPH07229812A (ja) 非球面レンズの偏心測定装置および心取り装置
JP3304571B2 (ja) 非球面レンズの偏心測定方法及び装置
JPH0812126B2 (ja) 非球面レンズ偏心測定装置
JP2005083981A (ja) 非球面偏心測定装置と非球面偏心測定方法
JP2005156469A (ja) 偏心測定方法及び偏心測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050906