JP2004028205A - 電動弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動弁を流れる冷媒が、正逆の流れ方向に拘わらず、同一流量とする。
【解決手段】弁室内の弁体により流体の通過流量を調整する弁本体12と、該弁本体12に固着され弁体13を作動させるロータ17を内蔵するキャン16と、キャン16に外嵌されロータ17を回転駆動するステータ18とを備えた電動弁10において、弁体13は回転可能とし、流体の流れ方向が正逆いずれに拘わらず、流量が略同一となるように構成する。そのため、弁体13は、外面円筒形状でこの円筒の中心線を軸として回転するようにし、弁体13には冷媒を流路2a,2b間で連通させるオリフィス13aと切欠き部13bを形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機等に組み込まれて使用される電動弁に係り、特に、電動弁を流れる流体が、流れ方向が正逆に拘わらず、同一流量とすることができる電動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の空気調和機、冷凍機等に組み込まれて使用される電動弁は、冷媒等の流体の流量を調整する機器であり、通常、弁室および弁座を備えた弁本体と、鍔状部を介して前記弁本体の上部に固着された有底円筒状のキャンとを備えており、該キャンの内側にはロータが内蔵され、前記キャンの外部には中央部に挿通孔を有するステータが外嵌されている。
図18は、前記したような従来の電動弁1の縦断面図を示しており、弁本体2は弁室2cと、ガイドブッシュ固定部2dと、キャン固着部2eとを備え、弁室2cには冷媒等の流体が出入する流体入出管2a、2bが設けられるとともに、その内部には弁軸3の先端に形成された弁体3aであるニードル弁が接離する弁座2fが配設されている。
【0003】
前記ガイドブッシュ固定部2dは、弁室の上方に位置し、弁本体2とガイドブッシュ4とを固定する。該ガイドブッシュ4の内周には雌ねじ部4aが形成され、該雌ねじ部4aには弁体ホルダ5の外周に形成された雄ねじ部5aが螺合され、雌ねじ部と雄ねじ部とによりねじ送り機構が構成されている。
そして、この弁体ホルダ5内には、下端部に弁体3aを形成している弁軸3が摺動可能に嵌挿されており、該弁軸3は弁体ホルダ内5に縮装された圧縮コイルばね3bによって常時下方に付勢されている。
【0004】
キャン固着部2eは弁本体2の上端に位置し、内周面をかしめ固定されるとともに下端面を溶接により接合されているリング状金属板で構成され、その外周部にてキャン6の鍔状部と溶接され弁本体2にキャン6を固定している。弁軸3とロータ7との結合は、弁軸3に弁体ホルダ5と雄ねじ部5aを外嵌させるとともに、これを永久磁石付きのロータ7に内嵌させることによって行われている。
弁軸3の上端にはプッシュナット3cが圧入固定され、その鍔部が弁軸3に若干の上下動を許容してロータ7に結合している。弁体ホルダ5に固定される下ストッパ4bとスリーブに形成される上ストッパ5bとによりストッパ機構が構成される。
【0005】
キャン6の内部にはロータ7が内蔵され、キャン6の外部にはステータ8が外嵌されている。ステータ8の内部には上下にステータコイル8aおよびヨーク8bが格納されており、ステータコイル8aはリード線8cおよびステータ8の外周に設けられたコネクタ8dを通じて通電される。ステータコイル8aの通電によりヨーク8bが励磁されてロータ7を回転させ、ねじ送り機構により弁体ホルダ5と弁軸3を摺動させることによりを開閉作動させて冷媒の流量の調整を行っている。ステータ8にはコネクタのカバー8eが溶着されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来技術においては、冷媒の正・逆の流れの方向により、弁体3aに対する冷媒圧に差が出てきて、結果として、冷媒の流れの方向により流量に差が出てくるという不具合がある。
即ち、図18において、冷媒が、流体入出管2aから流体入出管2bに流れる場合には、弁体3aに対して冷媒圧は下方向に作用するため、ねじ送り機構のバックラッシュによって常に下方向の位置にあるので、弁本体2との隙間が小さい。これに対して、流体入出管2bから流体入出管2aに流れる場合には、弁体3aに対して冷媒圧は上方向に作用するため、ねじ送り機構のバックラッシュによって常に上方向の位置となるため、弁本体2との隙間が大きくなって、その分流量を大きくしてしまうという不具合がある。
【0007】
本発明は、このような不具合に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、電動弁を流れる冷媒等の流体が、正逆の流れ方向に拘わらず、同一流量とすることができる電動弁を提供することにある。また、このような電動弁において、流体(冷媒)の電動弁内通過時における騒音の低減化を図ることができる電動弁に関する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成すべく本発明に係る電動弁は、下記の手段からなるものである。
請求項1記載の電動弁は、弁室内の弁体により流体の通過流量を調整する弁本体と、該弁本体に固着され前記弁体を作動させるロータを内蔵するキャンと、該キャンに外嵌され前記ロータを回転駆動するステータとを備えた電動弁において、前記弁体は、回転可能とし、流体の流れ方向が正逆いずれに拘わらず、流量が略同一となるように構成することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の電動弁は、弁本体と、該弁本体に固着されるキャンと、該キャンに嵌合されるロータとを備えた電動弁において、前記弁本体の弁室内にはロータに連動して回転する弁体を設け、流体の流れ方向が正逆いずれに拘わらず、流体の圧力に伴って形成される弁本体と弁体との隙間の大きさが略同一となるように構成することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の電動弁は、上記いずれかの電動弁において、弁体は、外面円筒形状でこの円筒の中心線を軸として回転するようにし、弁体には流体を流路間で連通させる弁体流路を形成することを特徴とする。
請求項4記載の電動弁は、請求項3記載の電動弁において、弁体流路を複数設け、それぞれの弁体流路の断面積が相違するように形成することを特徴とする。請求項5記載の電動弁は、請求項1〜4記載のいずれかの電動弁において、弁本体は、弁本体に連結される第1流路と第2流路とが直角に配置されるように形成することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の電動弁は、請求項3又は請求項4記載の電動弁において、弁本体は、弁本体に連結される第1流路と第2流路とが円筒部側部で並行して配置されるように形成することを特徴とする。
請求項7記載の電動弁は、請求項3又は請求項4記載の電動弁において、弁本体は、弁本体に連結される第1流路と第2流路とが略直線状に配置され、且つ、弁体流路は弁体を貫通するように形成することを特徴とする。
請求項8記載の電動弁は、請求項3又は請求項4記載の電動弁において、弁本体は、弁本体に連結される第1流路と第2流路とが円筒部の軸線延長部の側部に略並行して配置されるように形成することを特徴とする。
【0012】
請求項9記載の電動弁は、請求項8記載の電動弁において、弁本体は円盤状部材からなり、該円盤状部材の中心部周辺に第1連通孔と第2連通孔とが穿設されると共に、円盤状部材のキャン側に、回転して第1連通孔と第2連通孔とを選択的に閉止する位置、及び、第1連通孔と第2連通孔の両方とも閉止しない位置とに移動可能に弁体が配置され、更に、円盤状部材の弁体を配置した側とは反対側の各連通孔に、第1流路と第2流路とを装着させることを特徴とする。
請求項10記載の電動弁は、請求項9記載の電動弁において、第1流路と第2流路とは、円筒部の軸線延長部側部で且つ軸線を中心に一定の角度を有する位置に配置されることを特徴とする。
請求項11記載の電動弁は、請求項9又は請求項10記載のいずれかの電動弁において、弁体にはオリフィスを穿設したオリフィス形成部を形成すると共に、少なくとも前記オリフィス形成部の流体流入側に、多孔質部材を配置することを特徴とする。
請求項12記載の電動弁は、請求項9又は請求項10記載の電動弁において、上記弁体にはオリフィスを穿設したオリフィス形成部を形成すると共に、少なくとも上記オリフィス形成部の流体流入側に多孔質部材を配置し、上記弁本体には弁本体に連結される第1流路と第2流路を形成すると共に、そのうち流体流入側となる流路を構成する流体入出管の流出側端部が上記オリフィスより上に位置することを特徴とする。
請求項13記載の電動弁は、請求項12記載の電動弁において、上記流体入出管が曲げられて流出側端部が上記オリフィスより上に位置することを特徴とする。
請求項14記載の電動弁は、請求項12又は請求項13記載の電動弁において、上記流体入出管が分割されて上記弁本体に連結されていることを特徴とする。
請求項15記載の電動弁は、請求項11乃至請求項14記載のいずれかの電動弁において、多孔質部材として、オリフィス形成部の両側に第1多孔質部材及び第2多孔質部材を配置したことを特徴とする。
請求項16記載の電動弁は、請求項11又は請求項15記載の電動弁において、弁体の駆動部として、プラスチックマグネットからなるロータと回転軸と駆動部とを一体化して形成したことを特徴とする。
請求項17記載の電動弁は、請求項11、請求項15又は請求項16記載の電動弁において、弁体は、多孔質部材とオリフィス形成部とを一体化すると共にシート部を形成したことを特徴とする。
請求項18記載の電動弁は、請求項17記載の電動弁において、弁体は、該弁体と一体化された弁体駆動体により回転されることを特徴とする。
請求項19記載の電動弁は、請求項10、請求項15、請求項16又は請求項17記載の電動弁において、弁本体を2枚に分離し、上方の部材には弁体のストッパと弁座とを具備させ、下方の弁本体基部には流体出入管の継手部を形成して一体化したことを特徴とする。
【0013】
そして、このように構成された電動弁は、冷媒等の流体の流れが正・逆いずれの方向であっても漏れ量が略同一となるため、冷媒の流路を切り換える空調機等において正確な流量制御の実現が可能となる。また、上記機能に加えて流体の流れが正・逆いずれの方向であっても、流体圧が弁体を弁本体に押圧するようにしているから、弁室から流路への流体の漏れが僅少となる。また、電動弁から、流体の流動に伴う騒音が低減される。
【0014】
【発明の実施の形態】
【実施例1】
以下、実施例1に係る電動弁10の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の実施例1に係る電動弁の最小流量時の状態を示す縦断面図(A)と、同図(A)のb−b断面図(B)であり、図2は、同実施例1に係る電動弁の最大流量時の状態を示す縦断面図(A)と、同図(A)のb−b断面図(B)である。
電動弁10は、弁室12a内の弁体13により冷媒の通過流量を調整する弁本体12と、弁本体12と一体で弁体13を回転させるロータ17を内蔵するキャン16と、キャン16に外嵌されロータ17を回転駆動するステータ18とを備えている。ロータ17とステータ18によりステッピングモータを構成している。
【0015】
弁本体12は本発明の基幹をなすものであり、黄銅等の金属から構成され、図1に示すように、上下に一定長の長さを有し、筒状形状でその筒状内部は弁室12cを形成しており、その側部には弁室12cに連通する第1連通孔12aを有し、該第1連通孔12aには第1流路2aが連結されている。また、弁室の下部には弁室に連通する第2連通孔12bを有し、該第2連通孔12bには第2流路2bが連結されている。
弁本体10の上部外周肩部の段差部には、リング状の鍔状板12dが固定される。そして、この鍔状板12dに後述のキャン16の下端部を突き合わせ溶接することにより固定される。
【0016】
また、図1に示すように、鍔状板12dの上面における中心点から一定角度、例えば180度離れた位置の2箇所にはストッパ12e,12eが立設される。このストッパ12e,12eは、弁体13の回転を一定角度、例えば180度で規制し、弁本体12の第1流路2a及び第2流路2bと位置決め可能に組付けられる。また、ストッパ12e,12eは鍔状板12dと同時にろう付け固定される。弁室12cはその水平断面が円形で略円筒状に形成され、上面が開放され、下面が第2連通部12bに連通し、内部に弁体13が配置される。
【0017】
弁体13は黄銅を素材として構成され、一定の厚みを有する筒体からなり、その下部には、弁室12cに内接する外面円筒形状で、この円筒の中心線を軸として回転可能であり、冷媒を第1流路2aと第2流路2bとの間で連通させる弁体流路13が形成されている。
実施例1の場合、弁体流路13は、切欠き部13bとオリフィス13aとからなる。切欠き部13bは、図1,2に示すように、弁体13下部の一定高さにわたって、略半円形分が欠けた状態で形成され、更に、弁体13下部の残存部分の上記一定高さの中間位置にオリフィス13aが穿設される。
そして、弁体13は回転し、図1に示すように、上記残存部分が第1流路2aを閉止し、オリフィス13aが対向している状態、及び、図2に示すように、上記切欠き部13bが第1流路2aと第2流路2bとを連通させる状態のいずれかに切り換え可能となっている。
【0018】
そのために、弁体13は180度の範囲で回転駆動される。弁体13上部は筒状の弁体キー部13cが形成され、この弁体キー部13cは、後述の弁体ホルダ15に回転のみ連動可能に連結される。そのために、弁体キー部13cの下部外周部は凹凸状に形成され弁体ホルダ15の下部と係合されるようになっている。また、弁体13の上下方向中間位置には段部13dが形成され、弁本体13の上面に当接するように形成され、更に、段部13dの一部には上記ストッパ12e,12eに当接可能な突起部13eが形成されている。
【0019】
上記弁体キー部13cは、その上部の筒状の弁体ホルダ15に嵌合される。この弁体ホルダ15はロータ17によって駆動される。
弁体ホルダ15はその上面にばね受け部が形成される。また、弁体ホルダ15とロータ17とは支持リング17aを介して結合されており、支持リング17はロータ17の成形時にインサートされた黄銅製の金属リングで構成されている。また、支持リング17の内周孔部に弁体ホルダ15の上部突部が嵌合し、上部突部の外周をかしめ固定して、ロータ17、支持リング17aおよび弁体ホルダ15を結合している。弁本体12、弁体ホルダ15、及び、支持リング17aは、全て黄銅より構成している。
【0020】
ロータ17は、後述のキャン16に内装されるように外周面が円筒状であり、弁体ホルダ15に軸支される。また、キャン16の内面上底部と、弁体ホルダ15の上面のばね受けとの間にばね15aが圧装される。この構成により、弁体ホルダ15とロータ17とは下方向において弁体13側に押圧されているが、弁体13に過大な荷重がかかった場合は、弁体ホルダ15と弁体13とが非係合となるようにすることも可能で、安全装置の役割を果たさせることができる。
【0021】
キャン16は、ステンレス等の非磁性の金属から形成される有底円筒状をしており、弁本体12の上部に固着されたステンレス製の鍔状板12dに溶接等により固着され、内部は気密状態に保たれている。
【0022】
ステータ18は、磁性材より構成されるヨーク19と、このヨーク19にボビン19aを介して巻回される上下のステータコイル19b,19bとから構成され、キャン16に外嵌する嵌合穴18aが形成されている。
ステータ18には、リード端子19cが配設され、該リード端子19cに接続されるコネクタ19dを覆うカバー19eが形成されている。
ステータ18から、ステータコイル19b,19bに接続されたリード端子19cが突出しており、このリード端子19cに複数のリード線19fが接続されたコネクタ19dが連結されている。そして、コネクタ19dを覆うカバー19eがステータ18に溶着され、カバー19e内はエポキシ樹脂等の充填材19gで充填されている。
ステータ18は中心に下面開口の嵌合穴18aを有し、この嵌合穴18aにキャン16が嵌合し、ステータ18の下面に溶着された回り止め部材18bにより弁本体12およびキャン16に固定される。
【0023】
実施例1は、上記構成により、第1,2の両流路2a,2b間で冷媒を流す場合に、弁体13を、図1に示す位置にすれば、小容量の冷媒を流すことができ、弁体13を、図2に示す位置にすれば、大容量の冷媒を流すことができる。
この場合、実施例1では,第1流路2aから第2流路2bへ冷媒が流れると、冷媒圧力によって弁体13が右方に押されるため,隙間からの漏れ量が大きく、逆に第2流路2bから第1流路2aへ冷媒が流れると、圧力によって左方向に押されるために隙間からの漏れ量が小さくなる。したがって、オリフィス13aを流れる流量にこの漏れ量がプラスされるために、完全に、第1→第2の流量=第2→第1の流量とになるわけではないが、従来技術のように、触媒の流れの方向により、弁体に対して開閉方向における順方向又は逆方向に冷媒圧が作用しないため、比較的両方向の流れが同一に近いものとなる。
また、この実施例1では、電動弁10を構成する部品点数が少ないことから、故障が少なく、また、冷媒の弁体13に対する圧力を、弁本体12が直接的に受けることになるから構造的・応力的に無理がなく、材料的にも節約することができる。
【0024】
【実施例2】
この実施例2の電動弁20では、第1流路2aと第2流路2bを上下に平行に並べて、両流路2a,2bから受ける冷媒からの圧力によって、常に右方向(図3)に押圧される構造として、第1→第2≒第2→第1を実現するものである。実施例2は、図3,4に示し、図3は小容量の状態を、図4は大容量の状態を、それぞれ示している。
【0025】
実施例2が実施例1と基本的に相違する点は、第1流路2aの下部に平行させて第2流路2bを設けた点、及び、弁体23の第1流路2a及び第2流路2bに対応する弁体23に切欠き部23bを形成すると共に、その残存部分の上下に且つ第1流路2a及び第2流路2bに対応する位置に、それぞれオリフィス23a,23aを穿設した点である。また、弁本体23の下面は閉止されている。
【0026】
即ち、実施例2の場合も、弁体流路は、切欠き部23bとオリフィス23a,23aとからなる。切欠き部23bは、図3,4に示すように弁体23下部の一定高さにわたって、略半円形分が欠けた状態で形成され、更に、弁体23下部の残存部分の上記一定高さの位置の2箇所にオリフィス23a,23aが穿設される。なお、弁体23の最下端部は、弁体23の円滑な回転及び支持のために、切り欠かず、平面視正円部分を残すことで、弁本体22に案内させるように形成している。
また、この平面視正円部分の中心部分は、中心部に孔を形成したリング状となっている。これは冷媒圧がこの弁体23の下方にかからず、弁本体22の弁室底部に作用させて弁体23の回転の障害とならないようにするためである。
【0027】
そして、弁体23は回転し、図3に示すように、上記残存部分が第1流路2a及び第1流路2bを閉止し、それぞれのオリフィス23a,23aが第1,2流路2a,2bに対向している状態、及び、図4に示すように、上記切欠き部23bが第1流路2aと第2流路2bとを連通させる状態のいずれかに切り換え可能となっている。
【0028】
上記構成において、弁体23は180度の範囲で回転駆動される。弁体23上部は筒状の弁体キー部23cが形成され、この弁体キー部23cは、後述のロータ27に回転のみ連動可能に連結されている点、そのために弁体キー部23cの下部外周部は凹凸状に形成され弁体ホルダ25の下部と係合されるようになっている点、及び、弁体23の上下方向中間位置には段部23dが形成され、弁本体22の上面に当接するように形成され、更に、段部23dの一部には上記ストッパ22e,22eに当接可能な突起部23eが形成されている点等は、実施例1と同じである。
【0029】
実施例2は、実施例1の効果に加えて、冷媒の流れがどのような方向であっても、弁体23は第1流路2aと第2流路2bから受ける圧力によって、常に右方向に押圧される構造となっていることから、冷媒の正・逆の流れ方向に拘わらず実施例1に比べて、一層、第1→第2の流量≒第2→第1の流量、を実現することができる。
【0030】
【実施例3】
本実施例3の電動弁30は、その基本的な課題は実施例1,2と同様とするも、その流路の位置及び弁体構造は基本的に相違する。
実施例3では、弁本体32に付設する第1流路2a及び第2流路2bは同一管径で一直線状に配置され、弁体33の回転軸芯を挟んで弁本体32の反対面に連結される。
一方、弁体33は全体として筒状に形成される点、及び、弁体33がその回転軸芯部に弁体通路33a,33bが形成されている点などは実施例1,2と変わるところはない。
【0031】
この実施例3では、第1流路2aと第2流路2bから受ける冷媒の圧力によって、下流側に押圧されるものの、その形状は全く対称形状となっているために、第1→第2の流量≒第2→第1の流量を実現するものである。
実施例3を、更に図5,6を用いて具体的に説明する。図5は小容量の状態を、図6は大容量の状態をそれぞれ示している。
実施例3の弁体33の特徴は、弁体流路として流路断面が小さい小オリフィス33aと、流路断面が大きい大オリフィス33bとをクロス状に穿設した点である。また、弁本体32の下面は閉止されている。
【0032】
即ち、実施例3の場合は、弁体流路は、90度に交差する2本の小・大のオリフィス33a,33bとからなる。なお、弁体33の最下端部は、弁体33の円滑な回転及び支持のために、切り欠かず、平面視正円部分を残すことで、弁本体に案内させるように形成している点は、実施例2と同じである。
そして、弁体33が、図5に示すように、小オリフィス33aが両流路2a,2bを結ぶ位置にあるときは、第1流路2a、第2流路2b間において冷媒を流す場合に、その方向に拘わらず流量に差は発生しない。
また、弁体33をその90度回転させて、図6に示すように、大断面のオリフィス33bが両流路2a,2bを結ぶ位置にあり、第1流路2aから第2流路2bに冷媒を流す場合も、その逆でも流量に差は発生しない。
【0033】
上記構成において、弁体33は90度の範囲で回転駆動される。そして、弁体33上部は筒状の弁体キー部33cが形成され、この弁体キー部33cは、後述のロータ37に回転のみ連動可能に連結されている点、そのために、弁体キー部33cの下部外周部は凹凸状に形成され、ロータ37の下部と係合されるようになっている点、及び、弁体33の上下方向中間位置には段部33dが形成され、弁本体32の上面に当接するように形成され、更に、段部33dの一部には上記ストッパ32eに当接可能な突起部が形成されている点等は、実施例1,2と同じである。
【0034】
実施例3は、実施例1の効果に加えて、冷媒の流れがどちらの方向であっても、弁体33が冷媒から受ける圧力は同じであることから、大・小いずれの流量の場合でも、第1→第2の流量=第2→第1の流量となる。
【0035】
【実施例4】
この実施例4では、冷媒の入出管2a,2bを構成する2本の流路を弁体43の回転軸芯と平行に縦に並べて、第1流路2aと第2流路2bから受ける冷媒の圧力によって発生する冷媒の漏れ出しを同一にし、第1→第2の流量=第2→第1の流量を実現するものである。
【0036】
実施例4は図7〜9に示され、図7,9は、流量が小容量の場合を、図8は流量が大容量の場合をそれぞれ示している。具体的には、図7は、冷房(又は暖房)サイクルの除湿時の弁体位置、図8は、冷房・暖房時の弁体位置、図9は、暖冷(又は冷房)サイクルの除湿時の弁体位置を示している。
実施例4が実施例1〜3と基本的に相違する点は、図7に示すように、第1流路2aと第2流路2bとを左右に平行に配置し、両流路の上端部に円盤状の弁本体42を配置し、該弁本体42に2つの孔、即ち、第1連通孔42a及び第2連通孔42bを形成して上記流路を装着した点、及び、この弁本体42の上面に180度だけ回転する合成樹脂等から成る弁体を設けた点にある。
上記弁体43は蓋状となっており、該蓋部分にはオリフィス43a、即ち、比較的小断面の流通孔が穿設される。
【0037】
更に具体的に述べれば、弁本体42は平面視円形に形成されると共にその中心部には凹部42fが形成され、弁体43の支持軸43cが回転自在に挿通される。この弁体43の外周部及び支持軸43cは、弁体ホルダ3245の内周部に回転力が伝わるように連結されている。
上記弁体ホルダ45は、他の実施例と同様にロータ47と一体であり、ロータ47の回転が弁体ホルダ45を介して弁体43を回転させることになる。弁体43は、左・右の第1連通孔42a及び第2連通孔42bを塞ぐことが可能な閉止部43fと軸芯部43gとからなり、該軸芯部43gに支持軸43cが挿通され、該支持軸43cの回転により、閉止部43fは、図7に示す第1連通孔42aを閉止する位置、図8に示す第1連通孔42a及び第2連通孔42b共に閉止しない位置、及び、図9に示す第2連通孔42bを閉止する位置となる。また、弁体43が上記3つの位置以外に移動しないようにするために、2本のストッパ42e,42eが弁本体42上部で連通孔42a,42bの近傍に立設される。
【0038】
実施例4は、実施例2,3の効果と同様に、冷媒の流れがどちらの方向であっても、弁体43は冷媒圧により連通孔42a,42bに押圧される構造となっていることから、
第1→第2の流量=第2→第1の流量を実現することに加えて、弁本体42と弁体43との隙間が小さくなり、冷媒の漏れを僅少にすることができる。
具体例においては、図7の冷房サイクル時の除湿時(冷媒は、第2流路から第1流路に流れる。)と、図9の暖房サイクル時の除湿時(冷媒は、第1流路から第2流路に流れる。)とを、略同一の冷媒流状態とすることができる。
【0039】
さらに,本発明においては、実施例4に示す電動弁において、冷媒通過時に騒音が発生する場合には、その騒音を低減させることができる。即ち、図7に示す電動弁の弁体43を多孔質部材にて構成するのである。かかる多孔質部材により弁体を構成した実施例5を図10及び図11に示す。
【実施例5】
本発明の実施例5に係る電動弁100について詳細に説明する。図10は実施例5に係る電動弁10の最小流量時の状態を示す縦断面図であり、図11は図10のA−A断面矢視図である。
電動弁100は、弁本体900と、弁本体900に溶接により固定されるキャン400と、キャン400内に設置されるロータ300と、ロータ300により弁室110内で回転する弁体200と、キャン400に外嵌されカップ状のロータ300を回転駆動するステータ500とを備えている。ロータ300とステータ500によりステッピングモータを構成している。
【0040】
ロータ300は、後述のキャン400に内装されるように外周面が円筒状で全体としてプラスチックマグネットからなる略カップ状であり、そのロータ300の底部600に回転軸800が挿入され、固定されている。そして、該底部600に弁体200を駆動する駆動部810が一体に形成されている。
【0041】
弁体200は、図10に示すように、例えば黄銅製の円筒状の弁部材220と、該弁部材220に一体に設けられてオリフィス224を形成したオリフィス形成部225となる板状の部材と、オリフィス224に冷媒が流入する上流側に設けられた多孔質部材226及び弁部材220の周縁に一体に形成された弁シート部228とからなる。
なお、図10では、オリフィス224から冷媒が流出する下流側に多孔質部材223を設けた場合を示し、これらの多孔質部材は、オリフィス形成部225と所定の間隔を設けて配置され、例えばカシメ固定により弁部材220に設けられている。これらの多孔質部材226,223は、ニッケル、銅などを主成分とした発泡金属を円盤状に形成するか或いは発泡樹脂を円盤状に形成して構成される。更には、ステンレス、シンチュウ、鉄、アルミ等の金属の糸を編んで円盤状に形成したメッシュ状の金網部材、例えば東亜鉄網株式会社製の商品名「アキュームメッシュ」を用いてもよい。
【0042】
弁体200は、例えば合成樹脂製の弁体駆動体210により回転され、その弁シート部228が後述する弁本体900の弁座上を摺動する。弁体駆動体210は、平面視方形状により形成されており、弁体駆動体210はこれと一体に設けられた連結部材212が弁部材220の円周表面上の溝220aに係合され、弁体駆動体210は、弁体200と一体に構成される。
しかして、弁体200は、図11に示すように平面視円形に形成され、弁体駆動体210は、平面視略方形状に形成され,両者は連結部材212により一体化される。
【0043】
弁体駆動体210はその中央部において回転軸800に遊嵌されている。弁体駆動体210には前後2枚の係合部材211、211が立設され、両係合部材211は回転軸800側にロータ300の底部に一体に下垂板として形成された駆動部810を挟むように配置されている。また、弁体駆動体210は、駆動部810とはある程度上下動可能なように遊嵌されている。なお、駆動部810は、図10のように側面視方形状である。また、駆動部810の下面と弁体駆動体210の上面との間には、ばね820が縮装されている。
【0044】
キャン400は、ステンレス等の非磁性の金属から形成される有底円筒状部分400aと、この部分の開口部に同軸状に第1の開口部400cが溶接により固定される略スカート状の部分400bとからなり、その部分の開口400dは弁本体900に溶接等により固着し、内部は気密状態に保させる。
【0045】
ステータ500は、磁性材より構成されるヨーク510と、このヨーク510にボビン520を介して巻回される上下のステータコイル530,530とから構成され、キャン400に外嵌する嵌合孔が形成されている。
ステータ500には、リード端子540が配設され、リード端子540に接続されるコネクタ550を覆うカバー560が形成されている。ステータ500から、ステータコイル530,530に接続されたリード端子540が突出しており、このリード端子540に複数のリード線570が接続されたコネクタ550が連結されている。そして、コネクタ550を覆うカバー560がステータ500に溶着され、カバー560内はエポキシ樹脂等の充填材580で充填されている。ステータ500は中心に下面開口の嵌合孔を有し、この嵌合孔にキャン400が嵌合する。
【0046】
弁本体900は、例えばステンレス等の金属から構成される。弁本体900は、上下2枚の板体から構成されており、下方の弁本体基部900aの周縁にキャン400のスカート状の部分400bの固着部を備えるとともに、流体出入管2a,2bを連結する2つの継手部950が形成されている。
また、上方の部材900bには、軸線を中心に一定の角度を有する位置に2つの第1連通孔910及び第2連通孔920が穿設されていると共に上面は弁座940を構成している。この弁座940上を弁体200は弁体駆動体210の回転に伴い回転し、弁シート部228により摺動する。
なお、上方の部材900b及び弁本体基部900aの弁室110部分の中心部には、回転軸800の下端を支持する凹部900cが形成される。
かくのごとく構成された弁体220、弁体駆動体210が回転軸800により回転されることにより、第1連通孔910又は第2連通孔920のいずれか、若しくは両方の連通孔910,920を「開」とする作用を有する。(図10及び図11は、第1連通孔910が「閉」で、流体が流体入出管2bから流体入出管2aに流れる場合を示している。)即ち、弁体220は、第1連通孔910又は第2連通孔920のいずれかを開閉することにより切換弁として作用することになる。
【0047】
実施例5は、上記構成により、実施例1〜4の効果と同様の効果を奏するばかりでなく、弁体200にはオリフィス224を穿設したオリフィス形成部225を形成すると共に、少なくともオリフィス形成部225の流体流入側に、冷媒の気泡を細分化する多孔質部材226を配置することで、冷媒中の大気泡を消滅させて、電動弁からの冷媒の流動に伴う騒音が低減することができる。また、多孔質部材として、オリフィス形成部225の両側に多孔質部材226,223を配置したことで、騒音の低減効果を一層向上させることができる。
具体的には、多孔質部材226は、冷媒中に含まれる大気泡を細分化し、冷媒がオリフィス224を通過するとき、流体中の大気泡は、流入口から弁室に流れ込んで多孔質部材126の貫通孔ないし網状部を通過する際に、分解されて細分化され、その細分化された状態で、大気泡に成長することなく速やかに、弁体200に形成されるオリフィス224に流入するので、オリフィス224を通過する際、その流入側と流出側に急激な圧力変動は発生せず、流動音の低減効果が格段に向上し、除湿運転時の騒音を効果的に防止できる。
【0048】
また、弁体200の一部として板状体からなる簡単な構成の第1多孔質部材226を設けるだけで済むので、従来の気液分離器等を設ける場合に比して、スペース的にも、コスト的にも有利である。更に、第2多孔質部材223を付加することで、オリフィス224に流入する気液二相流の均質化とオリフィス224出口墳流の整流化が可能となる。
更に、弁体200の駆動部として、プラスチックマグネットからなるロータ300と回転軸800と駆動部810とを一体化して形成したことで構成の一層の簡略化を図ることができる。また、弁体200を、多孔質部材223,226とオリフィス形成部225とを一体化し更にシート部228を形成した弁部材220と、弁体駆動体210とから構成し、弁部材220と弁体駆動体210とを一体化したことで、製品としての構造を単純化できるから、製品の小型化と製造原価の一層の低廉化を図ることができる。
【0049】
また、弁体駆動体210には、弁体200の駆動部810と連接する係合部材211を設けたことで、弁体200の受動構造がきわめて簡単になる。また、更に、弁本体900を上下の2枚に分離し、上方の部材900bには弁体200のストッパ930と弁座940とを具備させ、下方の弁本体基部900aには流体出入管2a,2bの継手部950を形成して一体化したことで、弁本体900の加工を容易にすることができる。また、両部材900a,900bの汎用性が向上する。
【0050】
さらに本発明においては、図10に示す実施例5において、流動音の低減効果を一層向上させるため、流体入出管2bから流入する冷媒を多孔質部材226,223へ確実により多く導入させる場合にも適用できる。
即ち、図12、図13及び図14はそれぞれ本発明の他の実施例を示す縦断面図であり、図12、図13及び図14の示す実施例は、図10に示す実施例とは流体入出管及び弁体の構成が異なる。なお、図12、図13及び図14において、図10と同一の構成部分には、図10と同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
図12に示す実施例5−1において、流体入出管2b1(入口パイプ)は、図10の流体入出管2bの流出側となる上端を弁室110内へ突出させ、流体入出管2b1の上端2b1’がオリフィス形成部225’に設けられたオリフィス224’よりも上部に位置するよう構成されている。
さらに、図12に示す実施例5−1において、弁体200’はオリフィス224’が穿設された断面略H字形状の、例えばステンレスを用いた金属製のオリフィス形成部225’と、オリフィス224’の上流側及び下流側に配置された多孔質部材226’及び223’とオリフィス形成部225’をインサート成形して一体化した弁体駆動体210’とからなり、弁体200’と弁体駆動体210’とは一体に構成される。
【0052】
上記オリフィス形成部225’は、円筒部を形成する壁部Wと壁部Wの中間位置に連結される円板部Wとからなり、壁部Wと円板部Wとで形成される空間部225’a及び空間部225’bに、例えば圧入により円板部Wと所定の距離を保って多孔質部材226’及び多孔質部材223’が配置されている。弁体駆動体210’はその中央部において回転軸800に遊嵌されている。また、弁体駆動体210’は駆動部810とはある程度上下動可能なように遊嵌されている。
【0053】
図12に示す実施例5−1においては、弁本体900’は一枚の部材900’aで構成し、流体入出管2b1は一枚の部材900’aを貫通し、弁室110に突出して弁室110内に配置されており、流体入出管2aは第1連通孔910に接続される。
そして、弁本体900’を構成する部材900’aの上面900’bが弁座となり、弁体駆動体210’に形成されている弁シート部228’が弁座上を摺動し、多孔質部材226’及び多孔質部材223’とオリフィス224’を通過する流体を第1連通孔910あるいは第2連通孔920に導入する(図11参照)。なお、図12においては、図10のキャン400と略スカート状の部分400bとは一体に形成されており、溶接部は存在しない。
【0054】
かかる構成により流体入出管2b1から流入する流体、例えば冷凍サイクル用の冷媒は弁室110を経てオリフィス224’に確実に流入し、その際多孔質部材226’及び223’により冷媒の流動音の低減効果を向上させることができる。
【0055】
また、図13に示す実施例5−2は、図12の実施例5−1に示す流体入出管2b1をその流出側となる端部2b1’がオリフィス224’の上に位置するように流体入出管(入口パイプ)2b1を曲げて弁室110内に配置したものである。この実施例5−2において流体入出管2b1は2分割され、曲管2b2の部分と直管2b3の部分とに分割され、弁本体900’の本体部材900’aに両管を連通する連通孔900cを形成している。なお、図13において、図10及び図12に示す実施例と同一部分には同一の符号を付して説明は省略している。
【0056】
かかる図13に示す実施例5−2の構成においても、直管2b3から流入する冷媒は、連通孔900’cを介して曲管2b2よりオリフィス224’に確実に流入し、多孔質部材226’及び多孔質部材223’により、冷媒の流動音低減効果を一層向上させることができる。
なお、図12に示す実施例5−1において、流体入出管2b1を図14に示す実施例5−3に示す如く、2分割して直管2b3と直管2b1”としてもよいのは勿論である。また、図13に示す実施例5−2及び図14に示す実施例5−3の如く、流体入出管2b1を分割することによって組立性を向上させることができる。
【0057】
【実施例6】
実施例6に係る電動弁50は、第1流路2aと第2流路2bとが、弁本体52を構成する円盤部の軸線延長部側部で且つ軸線を中心に一定の角度を有する位置に配置されることを特徴とする(図15〜図17)。
換言すれば、実施例4では、弁本体52の中心に対して、2つの連通孔52a,52bを点対称の位置に、即ち、弁本体52の中心に対して180度離して配置させたが、実施例6では、135度離して配置し、この2つの連通孔52a,52bに第1流路2aと第2流路2bを設けるものである。
【0058】
具体的に述べれば、図15〜図17に示すように、弁本体52は平面視円形に形成されると共に、その中心部には凹部52fが形成され、弁体53の支持軸53cが回転自在に挿通される。この弁体53は、弁体ホルダ55に嵌合され、回転力が伝わるように連結されている。上記弁体ホルダ55は、他の実施例と同様にロータ57と一体であり、ロータ57の回転が弁体ホルダ55を介して弁体53を回転させることになる。なお、キャン56はキャン支持枠52dを介して弁体52に支持・固定されている。
弁体53は、135度離れた第1連通孔52a、及び第2連通孔52bを塞ぐことが可能な閉止部53fと軸芯部53gとからなり、該軸芯部53gに支持軸53cが挿通され、該弁体ホルダ55の回転により、閉止部53fは、図15に示す第1連通孔52a、及び第2連通孔52b共に閉止しない位置、図16に示す第2連通孔52bを閉止する位置、及び図17に示す第1連通孔52aを閉止する位置となる。また、弁体53が上記3つの位置以外に移動しないようにするために、1本のストッパ52eが弁本体52上部に立設される。
【0059】
実施例6は、実施例1〜5の効果と同様に、冷媒の流れがどちらの方向であっても、弁体53は冷媒圧により、第1連通孔52a又は第2連通孔52bに押圧される構造となっていることから、
第1→第2の流量=第2→第1の流量を実現することに加えて、弁本体と弁体との隙間が小さくなり、冷媒の漏れを僅少にすることができる。特に、本実施例6は、図15の状態では、双方向で全開、図13の状態では、第1流路→第2流路の方向で全閉、図17の状態では、第2流路→第1流路の方向で全閉となる。
【0060】
具体例には、図16の冷房サイクル時の除湿時(冷媒は、第1流路2aから第2流路2bに流れる。)と、図17の暖房サイクル時の除湿時(冷媒は、第2流路2bから第1流路2aに流れる。)とを、略同一の冷媒流状態とすることができる。
更に、実施例5では、第1流路2aと第2流路2bとを近接して設けることができ、外形がコンパクトになるとともに、弁室52c内における冷媒の移動が少なく、抵抗も少ないから、弁室52c内における冷媒の移動エネルギの損失も少なくて済むという効果もある。
【0061】
なお、上記各実施例においては、小容量の流量を流すために、弁体流路として、オリフィスを形成したが、実施例5のように、弁体にオリフィスを形成しなければ流量は限りなくゼロに近い値となる。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、このように構成された本発明の電動弁は、冷媒等の流体の流れが正・逆いずれの方向であっても漏れ量が略同一となるため、流路を切り換える空調機等において正確な流量制御の実現が可能となる。また、上記機能に加えて流体の流れが正・逆いずれの方向であっても、流体圧が弁体を弁本体に押圧するようにしているから、弁室から流路への流体の漏れを僅少とする。更に、多孔質部材を弁体に具備せしめることにより、冷媒通過時の騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る電動弁の最小流量時の状態を示す縦断面図(A)と、同図(A)のb−b断面図(B)。
【図2】同実施例1に係る電動弁の最大流量時の状態を示す縦断面図(A)と、同図(A)のb−b断面図(B)。
【図3】本発明の実施例2に係る電動弁の最小流量時の状態を示す要部縦断面図(A)と、同図(A)のb−b断面図(B)。
【図4】同実施例2に係る電動弁の最大流量時の状態を示す要部縦断面図(A)と、同図(A)のb−b断面図(B)。
【図5】本発明の実施例3に係る電動弁の最小流量時の状態を示す要部縦断面図(A)と、同図(A)のb−b断面図(B)。
【図6】同実施例3に係る電動弁の最大流量時の状態を示す要部縦断面図(A)と、同図(A)のb−b断面図(B)。
【図7】本発明の実施例4に係る電動弁の正方向の最小流量時の要部縦断面図(A)と弁体位置説明図(B)。
【図8】同実施例4に係る電動弁の最大流量時の要部縦断面図(A)と弁体位置説明図(B)。
【図9】同実施例4に係る電動弁の逆方向の最小流量時の要部縦断面図(A)と弁体位置説明図(B)。
【図10】本発明の実施例5に係る電動弁の最小流量時の状態を示す縦断面図。
【図11】実施例5の図10のA−A断面矢視図。
【図12】実施例5の変形例5−1を示す縦断面図。
【図13】実施例5の変形例5−2を示す縦断面図。
【図14】実施例5の変形例5−3を示す縦断面図。
【図15】本発明の実施例6に係る電動弁の最大流量時の要部縦断面図(A)と弁体位置説明図(B)。なお、図(A)は、図(B)のD−D断面。
【図16】同実施例6に係る電動弁の逆方向の最小流量時の要部縦断面図(A)と弁体位置説明図(B)。なお、図(A)は、図(B)のD−D断面。
【図17】同実施例6に係る電動弁の正方向の最小流量時の要部縦断面図(A)と弁体位置説明図(B)。なお、図(A)は、図(B)のD−D断面。
【図18】従来技術に係る電動弁の縦断面図。
【符号の説明】
1・・・電動弁(従来技術)   2・・・弁本体
2a・・・流体入出管[第1流路] 2b・・・流体入出管[第2流路]
2b1・・流体入出管      2b1’・・(流体入出管の)上端
2b1”・・直管     2b2・・曲管      2b3・・直管
2c・・・弁室         2d・・・ガイドブッシュ固定部
2e・・・キャン固着部     2f・・・弁座
3・・・弁軸      3a・・・弁体    3b・・・圧縮コイルばね
4・・・ガイドブッシュ 4a・・・雌ねじ部  4b・・・下ストッパ
5・・・弁体ホルダ   5a・・・雄ねじ部  5b・・・上ストッパ
6・・・キャン     7・・・ロータ
8・・・ステータ    8a・・・ステータコイル  8b・・・ヨーク
8c・・・リード線   8d・・・コネクタ     8e・・・カバー
10・・電動弁(実施例1)
12・・弁本体   12a・・第1連通孔   12b・・第2連通孔
12c・・弁室   12d・・鍔状板     12e・・ストッパ
13・・・・弁体        13a・・弁体流路[オリフィス]
13b・・弁体流路[切欠き部] 13c・・弁体キー部
13d・・段部         13e・・突起部
15・・弁体ホルダ  15a・・ばね    16・・キャン
17・・ロータ         17a・・支持リンク
18・・ステータ   18a・・嵌合穴   18b・・回り止め部材
19・・ヨーク    19a・・ボビン   19b・・ステータコイル
19c・・リード端子 19d・・コネクタ  19e・・カバー
19f・・リード線  19g・・充填材
20・・電動弁(実施例2)
22・・弁本体    22a・・第1連通孔  22b・・第2連通孔
22c・・弁室    22d・・鍔状板    22e・・ストッパ
23・・・・弁体   23a・・弁体流路[オリフィス]
23b・・弁体流路[切欠き部]  23c・・弁体キー部
23d・・段部          23e・・突起部
25・・弁体ホルダ   25a・・ばね    26・・キャン
27・・ロータ     27a・・支持リンク
30・・電動弁(実施例3)
32・・弁本体     32a・・第1連通孔  32b・・第2連通孔
32c・・弁室     32d・・鍔状板    32e・・ストッパ
33・・・・弁体    33a・・弁体流路[小オリフィス]
33b・・弁体流路[大オリフィス]    33c・・弁体キー部
33d・・段部     33e・・突起部
35・・弁体ホルダ   35a・・ばね    36・・キャン
37・・ロータ     37a・・支持リンク
40・・電動弁(実施例4)
42・・弁本体   42a・・第1連通孔   42b・・第2連通孔
42c・・弁室   42e・・ストッパ    42f・・凹部
43・・・・弁体  43a・・弁体流路[オリフィス]
43c・・支持軸  43d・・段部      43f・・閉止部
43g・・軸芯部  45・・弁体ホルダ    45a・・ばね
46・・キャン   47・・ロータ      47a・・支持リンク
50・・電動弁(実施例6)
52・・弁本体   52a・・第1連通孔   52b・・第2連通孔
52c・・弁室   52d・・キャン支持枠   52e・・ストッパ
52f・・凹部   53・・・・弁体      53c・・支持軸
53d・・段部   53e・・突起部      53f・・閉止部
53g・・軸芯部  55・・弁体ホルダ     55a・・ばね
56・・キャン   57・・ロータ       57a・・支持リンク
100・・電動弁(実施例5)
110・・弁室   200,200’・・弁体  210,210’・・弁体駆動

211・・係合部材     212・・連結部材    220・・弁部材
221・・孔              223,223’・・[第2]多孔質部材
224,224’・・オリフィス
225・・オリフィス形成部   225’・・オリフィス形成部
225’a・・空間部       225’b・・空間部
226,226’・・[第1]多孔質部材    228,228’・・弁シート部
300・・ロータ   400・・キャン   400b・・スカート状の部分
500・・ステータ   500a・・回り止め部材
510・・ヨーク    520・・ボビン    530・・ステータコイル
540・・リード端子  550・・コネクタ   560・・カバー
570・・リード線   580・・充填材    600・・弁体ホルダ
800・・回転軸    810・・駆動部       820・・ばね
900,900’・・弁本体    900a・・弁本体基部
900’a・・本体部材      900b・・上方の部材
900’b・・部材上面           900’c・・連通孔
910・・第1連通孔         920・・第2連通孔
930・・ストッパ   940・・弁座    950・・継手部
・・壁部   W・・円板部

Claims (19)

  1. 弁室内の弁体により流体の通過流量を調整する弁本体と、該弁本体に固着され前記弁体を作動させるロータを内蔵するキャンと、該キャンに外嵌され前記ロータを回転駆動するステータとを備えた電動弁において、前記弁体は、回転可能とし、流体の流れ方向が正逆いずれに拘わらず、流量が略同一となるように構成することを特徴とする電動弁。
  2. 弁本体と、該弁本体に固着されるキャンと、該キャンに嵌合されるロータとを備えた電動弁において、前記弁本体の弁室内にはロータに連動して回転する弁体を設け、流体の流れ方向が正逆いずれに拘わらず、流体の圧力に伴って形成される弁本体と弁体との隙間の大きさが略同一となるように構成することを特徴とする電動弁。
  3. 弁体は、外面円筒形状でこの円筒の中心線を軸として回転するようにし、弁体には流体を両流路間で連通させる弁体流路を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動弁。
  4. 弁体に弁体流路を複数設け、それぞれの弁体流路の断面積が相違するように形成することを特徴とする請求項3記載の電動弁。
  5. 弁本体は、弁本体に連結される第1流路と第2流路とが直角に配置されるように形成することを特徴とする請求項1〜4に記載のいずれかの電動弁。
  6. 弁本体は、弁本体に連結される第1流路と第2流路とが円筒部側部で並行して配置されるように形成することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のいずれかの電動弁。
  7. 弁本体は、弁本体に連結される第1流路と第2流路とが略直線状に配置され、且つ、弁体流路は弁体を貫通するように形成することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のいずれかの電動弁。
  8. 弁本体は、弁本体に連結される第1流路と第2流路とが円筒部の軸線延長部の側部に略並行して配置されるように形成することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の電動弁。
  9. 弁本体は円盤状部材からなり、該円盤状部材の中心部周辺に第1連通孔と第2連通孔とが穿設されると共に、円盤状部材のキャン側に、回転して第1連通孔と第2連通孔とを選択的に閉止する位置、及び、第1連通孔と第2連通孔の両方とも閉止しない位置とに移動可能に弁体が配置され、更に、円盤状部材の弁体を配置した側とは反対側の各連通孔に、第1流路と第2流路とを装着させることを特徴とする請求項8に記載の電動弁。
  10. 第1連通孔と第2連通孔とは、円筒部の軸線延長部側部で且つ軸線を中心に一定の角度を有する位置に配置することを特徴とする請求項9記載の電動弁。
  11. 上記弁体にはオリフィスを穿設したオリフィス形成部を形成すると共に、少なくとも前記オリフィス形成部の流体流入側に、多孔質部材を配置することを特徴とする請求項9又は請求項10記載の電動弁。
  12. 上記弁体にはオリフィスを穿設したオリフィス形成部を形成すると共に、少なくとも上記オリフィス形成部の流体流入側に多孔質部材を配置し、上記弁本体には弁本体に連結される第1流路と第2流路を形成すると共に、そのうち流体流入側となる流路を構成する流体入出管の流出側端部が上記オリフィスより上に位置することを特徴とする請求項9又は請求項10記載の電動弁。
  13. 上記流体入出管が曲げられて流出側端部が上記オリフィスより上に位置することを特徴とする請求項12記載の電動弁。
  14. 上記流体入出管が分割されて上記弁本体に連結されていることを特徴とする請求項12又は請求項13記載の電動弁。
  15. 多孔質部材として、オリフィス形成部の両側に第1多孔質部材及び第2多孔質部材を配置したことを特徴とする請求項11乃至請求項14記載のいずれかの電動流量制御弁。
  16. 上記弁体の駆動部として、プラスチックマグネットからなるロータと回転軸と駆動部とを一体化して形成したことを特徴とする請求項11又は請求項15記載の電動弁。
  17. 上記弁体は、多孔質部材とオリフィス形成部とを一体化すると共にシート部を形成したことを特徴とする請求項11、請求項15又は請求項16記載の電動弁。
  18. 上記弁体は、該弁体と一体化された弁体駆動体により回転されることを特徴とする請求項17記載の電動弁。
  19. 弁本体を2枚に分離し、上方の部材には弁体のストッパと弁座とを具備させ、下方の弁本体基部には流体出入管の継手部を形成して一体化したことを特徴とする請求項10、請求項15、請求項16又は請求項17記載の電動弁。
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