JP2004028117A - 複数クラッチ式変速機のシフト制御装置 - Google Patents

複数クラッチ式変速機のシフト制御装置 Download PDF

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  • Gear-Shifting Mechanisms (AREA)
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Abstract

【課題】ツインクラッチ式変速機等の、入力軸と出力軸との間に回転動力伝達系を複数並列に設けた変速機において手動変速時の迅速性を改善する。
【解決手段】シフトレバー8aをプレシフト位置PrUPp,PrDNpに移動させれば、実際にはシフト切り換えは実行せずに、クラッチが解放されている方の回転動力伝達系に属する変速機構を、対応する変速比状態に切り換えておくことができる。したがって実際にシフト変更の指示をする時には、変速機構内部のスリーブの駆動時間は必要としない。このためシフトレバー8aをアップシフト位置UPpやダウンシフト位置DNpに移動させたタイミングで、迅速にクラッチツウクラッチを実行でき、早期に変速が完了する。このように手動変速時の迅速性を改善することができる。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッチと変速機構とを直列に組み合わせた回転動力伝達系を入力軸と出力軸との間に複数並列に設けた複数クラッチ式変速機のシフト制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クラッチと変速機構とを直列に組み合わせた回転動力伝達系を入力軸と出力軸との間に複数、例えば2つ並列に設けたツインクラッチ式変速機が知られている(特許第3216424号公報)。この変速機は、一方の回転動力伝達系に属するクラッチを係合し、他方の回転動力伝達系に属するクラッチは解放状態にすることで、所望の変速比を実現している。そして変速する場合には、クラッチツウクラッチを実行する。すなわち、今まで回転動力を伝達していた回転動力伝達系に属するクラッチを解放するとともに、要求される変速比状態にある回転動力伝達系に属するクラッチを係合することで、回転動力伝達系を切り換えている。このことにより特に自動変速時においては迅速な変速を達成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなツインクラッチ式変速機において、手動により変速する場合には運転者によるシフト操作に対する変速応答が遅いという問題が存在する。例えば、運転者がシフトアップさせるために、シフトレバーをアップシフト指示位置に移動させると、シフト制御装置は、この時に初めてシフトを変更する方向が判る。したがって、まず回転動力を伝達していない方の回転動力伝達系に属する変速機構のギヤを、アップシフト指示に対応する変速比となるように油圧等により切り換える。この後に、前述したごとくクラッチツウクラッチを実行することにより変速が完了する。
【0004】
このように複数の回転動力伝達系を備えているにもかかわらず、手動変速時においては、運転者のシフト操作後に、シフト操作に対応したギヤの切り換え処理時間を必要とする。このため手動変速時の迅速性としては未だ不十分なものである。
【0005】
本発明は、入力軸と出力軸との間に回転動力伝達系を複数並列に設けた複数クラッチ式変速機において、手動変速時の迅速性を改善することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置は、クラッチと変速機構とを直列に組み合わせた回転動力伝達系を、入力軸と出力軸との間に複数並列に設けた複数クラッチ式変速機のシフト切り換えを実行するに際して、クラッチを解放している前記回転動力伝達系の内で要求されるシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、要求されるシフトに対応する変速比状態へ切り換えた後に、今までクラッチを係合して回転動力を伝達していた回転動力伝達系に属するクラッチを解放し、かつ前記要求されるシフトを実現できる回転動力伝達系に属するクラッチを係合することでシフト切り換えを実行する複数クラッチ式変速機のシフト制御装置であって、運転者によるアップシフトとダウンシフトとの指示以外に、運転者による事前シフト指示が可能なシフト操作機構と、前記シフト操作機構にて事前シフト指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系の内で前記事前シフト指示に対応するシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、前記事前シフト指示に対応する変速比状態に切り換えておく事前シフト手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
このようにシフト操作機構は、運転者による事前シフト指示が可能とされている。このため運転者は、まだアップシフトやダウンシフトといったシフトの変更を要求するタイミングでなくても、次に変更したいと考えているシフトを事前シフト指示により明らかにすることができるようになる。この事前シフト指示を受けて、事前シフト手段は、シフト切り換えは実行せずに、クラッチが解放されている回転動力伝達系の内で事前シフト指示に対応するシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、事前シフト指示に対応する変速比状態に切り換えておく。このことにより、運転者が実際にシフト変更の指示をする時には、回転動力を伝達していない方の回転動力伝達系に属する変速機構は、既に新たなシフトに対応する変速比状態にされている。したがって運転者のシフト操作後にシフト操作に対応したギヤの切り換え処理時間を必要としないことになる。このため運転者のシフト操作後に迅速にクラッチツウクラッチを実行でき、早期に変速が完了する。このように手動変速時の迅速性を改善することができる。
【0008】
請求項2に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項1において、前記シフト操作機構は、運転者による操作部材の位置移動により、アップシフトとダウンシフトとの指示を可能とする機構であり、アップシフト指示位置に至る直前にアップ用事前シフト指示位置と、ダウンシフト指示位置に至る直前にダウン用事前シフト指示位置とを設けることにより、運転者によりアップ用事前シフト指示とダウン用事前シフト指示とが可能とされているとともに、前記事前シフト手段は、前記シフト操作機構にてアップ用事前シフト指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系の内で現在のシフトよりアップ側のシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、現在のシフトよりアップしたシフトに対応する変速比状態に切り換えておき、前記シフト操作機構にてダウン用事前シフト指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系の内で現在のシフトよりダウン側のシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、現在のシフトよりダウンしたシフトに対応する変速比状態に切り換えておくことを特徴とする。
【0009】
シフト操作機構は、アップシフト指示位置に至る直前にアップ用事前シフト指示位置を設けているため、運転者におけるアップ用事前シフト指示の意志とアップシフト指示の意志との関係と、これらの意志に基づく運転者の操作とが、極めて高い感覚的親和性を生じる。同様に、ダウンシフト指示位置に至る直前にダウン用事前シフト指示位置を設けているため、運転者におけるダウン用事前シフト指示の意志とダウンシフトの意志との関係と、これらの意志に基づく操作との関係とが、極めて高い感覚的親和性を生じる。
【0010】
このことにより、事前シフト指示をしたい場合には、運転者は容易にアップ用事前シフト指示位置あるいはダウン用事前シフト指示位置へ、操作部材の位置を移動させることができる。
【0011】
更に、アップ用事前シフト指示操作の後にアップシフト操作を行う、あるいはこの逆の操作を行う確率が高いが、アップシフト指示位置に至る直前にアップ用事前シフト指示位置を設けていることにより、迅速な操作が可能となる。同様に、ダウン用事前シフト指示操作の後にダウンシフト操作を行う、あるいはこの逆の操作を行う確率が高いが、ダウンシフト指示位置に至る直前にダウン用事前シフト指示位置を設けていることにより、迅速な操作が可能となる。このことにより、より早期に変速を完了することができるようになる。
【0012】
請求項3に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項2において、前記シフト操作機構は、直線形状の手動変速用シーケンシャルゲートと、該手動変速用シーケンシャルゲート内にて移動するシフトレバーと、該シフトレバーの位置を決定する位置決めセンサとを備えて、該位置決めセンサにより指示位置を決定するとともに、前記手動変速用シーケンシャルゲートの一方の端部にアップシフト指示位置が、他方の端部にダウンシフト指示位置が、前記アップシフト指示位置の中央側に隣接してアップ用事前シフト指示位置が、前記ダウンシフト指示位置の中央側に隣接してダウン用事前シフト指示位置が設定されていることを特徴とする。
【0013】
より具体的には、このようにしてシフト操作機構を構成することにより、前述したごとくの感覚的親和性の高さにより、迅速なシフトレバーの操作が可能となり、より早期に変速を完了することができる。
【0014】
請求項4に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項2において、前記シフト操作機構は、ハンドル又はステアリングコラムに設けたシフトパドルと、該シフトパドルの揺動位置を決定する位置決めセンサとを備えて、該位置決めセンサにより指示位置を決定することを特徴とする。
【0015】
より具体的には、このようにしてシフト操作機構を構成することにより、前述したごとくの感覚的親和性の高さにより、シフトパドルによる迅速なシフト操作が可能となり、より早期に変速を完了することができる。
【0016】
請求項5に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項4において、前記シフトパドルは、ハンドル又はステアリングコラムから左右に2つ設けられ、一方のシフトパドルの揺動位置にアップシフト指示位置及び該アップシフト指示位置の直前にアップ用事前シフト指示位置が設定され、他方のシフトパドルの揺動位置にダウンシフト指示位置及び該ダウンシフト指示位置の直前にダウン用事前シフト指示位置が設定されていることを特徴とする。
【0017】
より具体的には、このようにシフトパドルを2つ設けることにより、アップシフト用のシフトパドルと、ダウンシフト用のシフトパドルとに役目を分けても良い。このことにより、運転者はシフトパドルによりシフト操作する場合に、前述したごとくの感覚的親和性の高さにより、シフトパドルによる迅速なシフト操作が可能となり、より早期に変速を完了することができる。
【0018】
又、シフトパドルがアップシフト指示用とダウンシフト指示用とに分かれているため、シフト指示位置に加えて事前シフト指示位置が存在していても、運転者はハンドルを握ったままで容易にシフト指示操作及び事前シフト指示操作ができる。
【0019】
請求項6に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記シフト操作機構は、運転者によるニュートラル待機指示が可能とされているとともに、前記シフト操作機構にてニュートラル待機指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構をニュートラル状態に切り換えるニュートラル化手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
このようにシフト操作機構は、前述したごとくの事前シフト指示に対応することに加えて、運転者によるニュートラル待機指示が可能とされている。このため運転者は、シフト操作機構にてニュートラル待機指示を行うことにより、ニュートラル化手段により、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構を、ギヤの噛み合わせをさせていない状態であるニュートラル状態で待機させておくことができる。
【0021】
このことにより、運転者が実際にシフト変更の指示をする時には、回転動力を伝達していない方の回転動力伝達系に属する変速機構は、別のシフトに対応する変速比から新たなシフトに対応する変速比へ変更するのではなく、ニュートラルでの待機状態から新たなシフトに対応する変速比へ変更することになる。このためギヤの切り換え処理時間が短くなる。この場合には、シフト操作の方向がアップ側にも、ダウン側にも、あるいは後進側にも対処できることになり、シフト操作の方向を選ばない。
【0022】
更に、ニュートラル待機指示を実行した場合には、クラッチを解放している回転動力伝達系では変速機構内で実際に回転している部材が少なくなるとともに、解放状態のクラッチ内の部材も相対的な回転がなされないので、回転抵抗が少なくなって省エネ効果が生じる。このため、運転者は、変速有無にかかわらず、シフト操作機構に対してニュートラル待機指示をすることにより省エネ効果が生じさせることができる。
【0023】
請求項7に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項3において、前記シフト操作機構は、アップ用事前シフト指示位置とダウン用事前シフト指示位置との間に、ニュートラル待機指示位置が設定されているとともに、前記シフト操作機構にてニュートラル待機指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構をニュートラル状態に切り換えるニュートラル化手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
シフト操作機構は、アップ用事前シフト指示位置とダウン用事前シフト指示位置との間に、ニュートラル待機指示位置を設けている。このため、運転者における各事前シフト指示の意志とニュートラル待機指示の意志との関係と、これらの意志に基づく運転者の操作とが、極めて高い感覚的親和性を生じる。
【0025】
このことにより、ニュートラル待機指示をしたい場合には運転者は容易にニュートラル待機指示位置へ操作部材の位置を移動させることができ、事前シフト指示をしたい場合には運転者は容易に事前シフト指示位置へ操作部材の位置を移動させることができる。
【0026】
請求項8に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項5において、両方の前記シフトパドルの揺動位置にそれぞれニュートラル待機指示位置が設定されているとともに、両方の前記シフトパドルにてニュートラル待機指示がなされた場合に限って、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構をニュートラル状態に切り換えるニュートラル化手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
このようにシフトパドルを2つ設けた場合には、両方のシフトパドルの揺動位置にそれぞれニュートラル待機指示位置が設定されても良い。この場合には、ニュートラル化手段は、両方のシフトパドルにてニュートラル待機指示がなされた場合に限り、該当する変速機構をニュートラルでの待機状態に切り換える。このことにより、一方のシフトパドルではニュートラル待機指示位置であるが、他方のシフトパドルでは他の指示位置である場合には、この他方のシフトパドルの指示に対応すれば良く、操作上混乱することなく運転者の感覚に対応できる。
【0028】
請求項9に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項1〜8のいずれかにおいて、前記シフト操作機構は、自動変速モード指示位置が設定されているとともに、前記シフト操作機構にて自動変速モード指示がなされた場合には、前記複数クラッチ式変速機に対して自動変速制御を実行する自動変速実行手段を備えたことを特徴とする。
【0029】
このようにシフト操作機構に自動変速モード指示位置を設定することにより、運転者はシフト操作機構に対する操作により、自動変速実行手段により複数クラッチ式変速機に対して自動変速制御を実行させることができる。
【0030】
請求項10に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項3において、前記シフト操作機構は、前記直線形状の手動変速用シーケンシャルゲートに略直角に接続して設けられた第2ゲート上に自動変速モード指示位置を設け、前記位置決めセンサにより前記シフトレバーが自動変速モード指示位置にあるとされた場合には、前記複数クラッチ式変速機に対して自動変速制御を実行する自動変速実行手段を備えたことを特徴とする。
【0031】
このように自動変速モード指示位置を設けた第2ゲートを配置することにより、運転者は手動操作により容易に、前述した手動変速のための指示位置と自動変速モード指示位置とを区別できるので、高いシフト操作性を得ることができる。
【0032】
請求項11に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項10において、前記第2ゲート上の自動変速モード指示位置から、前記手動変速用シーケンシャルゲートに前記シフトレバーが移動した時には、前記シフトレバーは最初にダウン用事前シフト指示位置となるように、前記手動変速用シーケンシャルゲートに対する前記第2ゲートの接続位置が設定されていることを特徴とする。
【0033】
自動変速モードから手動変速モードに切り換える場合には、第2ゲート上の自動変速モード指示位置から手動変速用シーケンシャルゲートにシフトレバーを移動することになるが、この移動時には、最初にダウン用事前シフト指示位置にシフトレバーが配置されることになる。
【0034】
通常、自動変速モードから手動変速モードに移行する時は、シフトダウンにより出力トルクアップを図る場合が多い。したがって上述のごとく手動変速用シーケンシャルゲートに対する第2ゲートの接続位置を設定することにより、ダウン用の事前シフト状態に迅速に移行でき、手動変速の操作性が高まり、迅速に変速させることができる。
【0035】
請求項12に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項3,7,10,11のいずれかにおいて、前記シフトレバーがアップシフト指示位置に存在する場合には、該シフトレバーをアップ用事前シフト指示位置に戻す付勢力を与える付勢手段と、前記シフトレバーがダウンシフト指示位置に存在する場合には、該シフトレバーをダウン用事前シフト指示位置に戻す付勢力を与える付勢手段とを備えたことを特徴とする。
【0036】
運転者が手動によりアップシフト指示を実行した場合には、連続してアップシフトを指示する確率が高い。又、ダウンシフト指示を実行した場合には、連続してダウンシフトを指示する確率が高い。したがって上述したごとくにそれぞれの事前シフト指示位置に戻す付勢力を与える付勢手段を設けることにより、運転者がシフトレバーにより、アップシフト指示やダウンシフト指示をしても、その後、自動的にそれぞれの事前シフト指示を出力させることができる。このため手動変速の操作性が高まり、迅速に変速させることができる。
【0037】
請求項13に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項4,5,8のいずれかにおいて、前記シフトパドルがアップシフト指示位置に存在する場合には、該シフトパドルをアップ用事前シフト指示位置に戻す付勢力を与える付勢手段と、前記シフトパドルがダウンシフト指示位置に存在する場合には、該シフトパドルをダウン用事前シフト指示位置に戻す付勢力を与える付勢手段とを備えたことを特徴とする。
【0038】
運転者が手動によりアップシフト指示を実行した場合には、連続してアップシフトを指示する確率が高い。又、ダウンシフト指示を実行した場合には、連続してダウンシフトを指示する確率が高い。したがって上述したごとくにそれぞれの事前シフト指示位置に戻す付勢力を与える付勢手段を設けることにより、運転者がシフトパドルにより、アップシフト指示やダウンシフト指示をしても、その後、自動的にそれぞれの事前シフト指示を出力させることができる。このため手動変速の操作性が高まり、迅速に変速させることができる。
【0039】
請求項14に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項1〜13のいずれかにおいて、前記シフト操作機構にて事前シフト指示がなされた場合に、前記事前シフト指示に対応するシフトが、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構おいて実現できない場合には、前記事前シフト手段に対して、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構を、予め設定したシフトに対応する変速比状態に切り換えさせる事前シフト変更手段を備えたことを特徴とする。
【0040】
運転者により事前シフト指示がなされたとしても、この事前シフト指示の内容が現在のシフト状態から見て曖昧、不能あるいは不明なシフト状態であったりして、クラッチを解放している回転動力伝達系においては実現できない場合がある。この場合には、事前シフト変更手段により、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構を予め設定したシフトに対応する変速比状態に切り換えさせるようにしても良い。この場合には現在のシフト状態から見て、切り換えの確率の高い変速比状態に切り換えさせるようにすれば、実際の手動変速時に迅速に変速させることができる可能性が高まる。
【0041】
請求項15に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項1〜13のいずれかにおいて、前記シフト操作機構にてアップ用事前シフト指示がなされた場合に、現在のシフトが最高速のシフトである時には、前記事前シフト手段に対して、クラッチを解放している回転動力伝達系の内で最高速のシフトより1段下のシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、最高速のシフトより1段下のシフトに対応する変速比状態に切り換えさせる事前シフト変更手段を備えたことを特徴とする。
【0042】
現在、最高速のシフトである時には、運転者によりアップ用事前シフト指示がなされたとしても、アップシフトは不能である。
しかし、最高速のシフトである時には次のシフト操作は最高速の1段下のシフトにするはずである。このため、事前シフト変更手段は、現在のシフトが最高速のシフトである時には、事前シフトがアップ側であっても、前記事前シフト手段により、該当する変速機構を最高速のシフトより1段下のシフトに対応する変速比状態に切り換えさせている。特にニュートラル待機指示などにより回転動力を伝達していない方の回転動力伝達系に属する変速機構がニュートラル状態にされた場合に有効となる。このことにより、この後に実際にシフトする際に、迅速にクラッチツウクラッチを実行できるようになり、早期に変速が完了する。このように現在のシフトが最高速のシフトである場合にも手動変速時の迅速性を改善することができる。
【0043】
請求項16に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項1〜13のいずれかにおいて、前記シフト操作機構にてダウン用事前シフト指示がなされた場合に、現在のシフトが第1速のシフトである時には、前記事前シフト手段に対して、クラッチを解放している回転動力伝達系の内で第1速のシフトより1段上のシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、第1速のシフトより1段上のシフトに対応する変速比状態に切り換えさせる事前シフト変更手段を備えたことを特徴とする。
【0044】
現在、第1速のシフトである時には、運転者によりダウン用事前シフト指示がなされたとしても、第1速のシフトから見てニュートラルにするのかこのまま第1速を維持するのかは曖昧あるいは不明であるし、又、前進のままでのダウンシフトは不能である。
【0045】
しかし第1速のシフトである時には次のシフト操作は第1速の1段上のシフトにする確率が高い。このため、事前シフト変更手段は、現在のシフトが第1速のシフトである時には、ダウン用事前シフト指示がなされても、前記事前シフト手段により、該当する変速機構を第1速のシフトより1段上のシフトに対応する変速比状態に切り換えさせている。このことにより、この後に実際にシフトする際に、迅速にクラッチツウクラッチを実行できるようになり、早期に変速が完了する。このように現在のシフトが第1速のシフトである場合にも、手動変速時の迅速性を改善することができる。
【0046】
請求項17に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項1〜16のいずれかにおいて、現在のシフト状態と、クラッチを解放している回転動力伝達系の変速比状態とを表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【0047】
このような表示手段を設けることにより、現在のシフト状態が確認できるばかりか、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構の変速比状態を確認することにより、事前シフト状態が確認できる。
【0048】
請求項18に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置は、クラッチと変速機構とを直列に組み合わせた回転動力伝達系を、入力軸と出力軸との間に複数並列に設けた複数クラッチ式変速機のシフト切り換えを実行するに際して、クラッチを解放している前記回転動力伝達系の内で要求されるシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、要求されるシフトに対応する変速比状態へ切り換えた後に、今までクラッチを係合して回転動力を伝達していた回転動力伝達系に属するクラッチを解放し、かつ前記要求されるシフトを実現できる回転動力伝達系に属するクラッチを係合することでシフト切り換えを実行する複数クラッチ式変速機のシフト制御装置であって、運転者によるアップシフトとダウンシフトとの指示以外に、運転者によるニュートラル待機指示が可能なシフト操作機構と、前記シフト操作機構にてニュートラル待機指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構をニュートラル状態に切り換えるニュートラル化手段とを備えたことを特徴とする。
【0049】
このようにシフト操作機構が構成されているため、運転者はシフト操作機構にてニュートラル待機指示を行うことにより、ニュートラル化手段により、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構をニュートラルでの待機状態にしておくことができる。
【0050】
このことにより、運転者が実際にシフト変更の指示をする時には、回転動力を伝達していない方の回転動力伝達系に属する変速機構は、別のシフトに対応する変速比から新たなシフトに対応する変速比へ変更するのではなく、ニュートラルでの待機状態から新たなシフトに対応する変速比へ変更することになる。このためギヤの切り換え処理時間が短くなる。この場合には、シフト操作の方向がアップ側にも、ダウン側にも、あるいは後進側にも対処できることになり、シフト操作の方向を選ばない。
【0051】
更に、ニュートラル待機指示を実行した場合には、クラッチを解放している回転動力伝達系では変速機構内で実際に回転している部材が少なくなるとともに、解放状態のクラッチ内の部材も相対的な回転がなされないので、回転抵抗が少なくなって省エネ効果が生じる。このため、運転者は、変速有無にかかわらず、シフト操作機構に対してニュートラル待機指示をすることにより省エネ効果が生じさせることができる。
【0052】
請求項19に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項18において、前記シフト操作機構は、運転者による操作部材の位置移動により、アップシフト指示、ダウンシフト指示及びニュートラル待機指示を可能とする機構であることを特徴とする。
【0053】
このように運転者による操作部材の位置移動によりアップシフト指示及びダウンシフト指示以外に、ニュートラル待機指示ができるようにしても良い。このことにより、ニュートラル待機指示をしたい場合には、運転者はアップシフト指示及びダウンシフト指示をしている操作部材を用いて、容易にニュートラル待機指示を実行することができ、迅速にニュートラルによる待機状態を実現できる。
【0054】
請求項20に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項19において、前記シフト操作機構は、直線形状の手動変速用シーケンシャルゲートと、該手動変速用シーケンシャルゲート内にて移動するシフトレバーと、該シフトレバーの位置を決定する位置決めセンサとを備えて、該位置決めセンサにより指示位置を決定するとともに、前記手動変速用シーケンシャルゲートの一方の端部にアップシフト指示位置が、他方の端部にダウンシフト指示位置が、前記アップシフト指示位置と前記ダウンシフト指示位置との間にニュートラル待機指示位置が設定されていることを特徴とする。
【0055】
シフト操作機構は、アップシフト指示位置とダウンシフト指示位置との間にニュートラル待機指示位置を設けているため、運転者におけるアップシフト及びダウンシフト指示の意志とニュートラル待機指示の意志との関係と、これらの意志に基づくシフトレバー操作とが極めて高い感覚的親和性を生じる。
【0056】
このことにより、ニュートラル待機指示をしたい場合には、運転者は容易にニュートラル待機指示位置へ、シフトレバーを移動させることができる。
請求項21に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項19において、前記シフト操作機構は、ハンドル又はステアリングコラムに設けたシフトパドルと、該シフトパドルの揺動位置を決定する位置決めセンサとを備えて、該位置決めセンサにより指示位置を決定することを特徴とする。
【0057】
このようにしてシフト操作機構はハンドル又はステアリングコラムに設けたシフトパドルにより操作するものとして構成できる。
請求項22に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項21において、前記シフトパドルは、ハンドル又はステアリングコラムから左右に2つ設けられ、一方のシフトパドルの揺動位置にアップシフト指示位置及び前記ニュートラル待機指示位置が設定され、他方のシフトパドルの揺動位置にダウンシフト指示位置及び前記ニュートラル待機指示位置が設定されるとともに、前記ニュートラル化手段は、両方のシフトパドルが前記ニュートラル待機指示位置に存在する場合に限って、ニュートラル待機指示がなされたと判断することを特徴とする。
【0058】
このようにシフトパドルを2つ設けた場合には、両方のシフトパドルの揺動位置にそれぞれニュートラル待機指示位置が設定されても良い。この場合には、ニュートラル化手段は、両方のシフトパドルにてニュートラル待機指示がなされた場合に限り、前述したごとく該当する変速機構をニュートラルによる待機状態に切り換える。このことにより、一方のシフトパドルではニュートラル待機指示位置であるが他方のシフトパドルでは他の指示位置である場合には、この他方のシフトパドルの指示に対応すれば良く、操作上混乱することなく運転者の感覚に対応できる。
【0059】
請求項23に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項18〜22のいずれかにおいて、前記シフト操作機構は、自動変速モード指示位置が設定されているとともに、前記シフト操作機構にて自動変速モード指示がなされた場合には、前記複数クラッチ式変速機に対して自動変速制御を実行する自動変速実行手段を備えたことを特徴とする。
【0060】
このようにシフト操作機構に自動変速モード指示位置を設定することにより、運転者はシフト操作機構に対する操作により、自動変速実行手段により複数クラッチ式変速機に対して自動変速制御を実行させることができる。
【0061】
請求項24に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項18〜23のいずれかにおいて、現在のシフト状態と、前記ニュートラル化手段によるニュートラル状態を表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【0062】
このような表示手段を設けることにより、現在のシフト状態が確認できるばかりか、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構がニュートラルでの待機状態か否かを確認できる。
【0063】
請求項25に記載の複数クラッチ式変速機のシフト制御装置では、請求項1〜24のいずれかにおいて、前記複数クラッチ式変速機は、前記回転動力伝達系を2つ備えたものであることを特徴とする。
【0064】
このように回転動力伝達系を2つ備えた複数クラッチ式変速機でも良く、このような構成であれば、前述したクラッチを解放している回転動力伝達系は1つに限られる。
【0065】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1のブロック図に、上述した発明が適用された自動車用のツインクラッチ式6段変速機(以下「変速機」と称する)2及びその制御システムを示す。尚、変速機2内部は模式的に示している。
【0066】
エンジンの出力は変速機2の入力軸4に入力される。この入力軸4には、第1クラッチC1及び第2クラッチC2の各入力側が接続されている。第1クラッチC1の出力側には第1クラッチ出力軸A1が、第2クラッチC2の出力側には第2クラッチ出力軸A2が接続されている。尚、第2クラッチ出力軸A2は第1クラッチ出力軸A1の外側に同軸に配置されている。更に、第1変速機出力軸A3が、これらのクラッチ出力軸A1,A2に平行に配置され、第2変速機出力軸A4が、クラッチ出力軸A1,A2の延長上に同軸に配置されている。
【0067】
第1クラッチ出力軸A1には第1速ドライブギヤI1が固定的に取り付けられ、第3速ドライブギヤI3及び第5速ドライブギヤI5が回転自在に取り付けられ、第1スリーブS1が軸方向に摺動自在に取り付けられている。この第1スリーブS1は、油圧駆動されることにより、第3速ドライブギヤI3と第5速ドライブギヤI5とのいずれかに係合させることによって、第3速ドライブギヤI3と第5速ドライブギヤI5とを選択的に第1クラッチ出力軸A1に連結させることができる。更に、第3速ドライブギヤI3と第5速ドライブギヤI5とのいずれにも係合させないことにより、第3速ドライブギヤI3と第5速ドライブギヤI5とに関してニュートラル状態にしておくことができる。
【0068】
第2クラッチ出力軸A2には後進ドライブギヤIR、第2速ドライブギヤI2が固定的に取り付けられ、第4速ドライブギヤI4及び第6速ドライブギヤI6が回転自在に取り付けられ、第2スリーブS2が軸方向に摺動自在に取り付けられている。この第2スリーブS2は、油圧駆動されることにより、第4速ドライブギヤI4と第6速ドライブギヤI6とのいずれかに係合させることによって、第4速ドライブギヤI4と第6速ドライブギヤI6とを選択的に第2クラッチ出力軸A2に連結させることができる。更に、第4速ドライブギヤI4と第6速ドライブギヤI6とのいずれにも係合させないことにより、第4速ドライブギヤI4と第6速ドライブギヤI6とに関してニュートラル状態にしておくことができる。
【0069】
第1変速機出力軸A3には、第3速ドリブンギヤO3、第4速ドリブンギヤO4、第5速ドリブンギヤO5、第6速ドリブンギヤO6が固定的に取り付けられ、後進ドリブンギヤOR、第1速ドリブンギヤO1、第2速ドリブンギヤO2が回転自在に取り付けられている。又、第3スリーブS3、第4スリーブS4が軸方向に摺動自在に取り付けられている。この内、第3スリーブS3は、油圧駆動されることにより、第1速ドリブンギヤO1に対する係合と非係合とを実行して、第1変速機出力軸A3に対する第1速ドリブンギヤO1の連結とニュートラル状態とを選択することができる。又、第4スリーブS4は、油圧駆動されることにより、後進ドリブンギヤORと第2速ドリブンギヤO2とのいずれかに係合させることによって、後進ドリブンギヤORと第2速ドリブンギヤO2とを選択的に第1変速機出力軸A3に連結させることができる。更に、後進ドリブンギヤORと第2速ドリブンギヤO2とのいずれにも係合させないことにより、後進ドリブンギヤORと第2速ドリブンギヤO2とに関してニュートラル状態にしておくことができる。
【0070】
ここで、第1速ドリブンギヤO1は第1速ドライブギヤI1と常時噛み合わされている。第2速ドリブンギヤO2は第2速ドライブギヤI2と常時噛み合わされている。第3速ドリブンギヤO3は第3速ドライブギヤI3と常時噛み合わされている。第4速ドリブンギヤO4は第4速ドライブギヤI4と常時噛み合わされている。第5速ドリブンギヤO5は第5速ドライブギヤI5と常時噛み合わされている。第6速ドリブンギヤO6は第6速ドライブギヤI6と常時噛み合わされている。後進ドリブンギヤORは後進アイドラギヤMRを介して後進ドライブギヤIRと常時噛み合わされている。
【0071】
尚、第2変速機出力軸A4は固定的に設けられたドリブンギヤG2を介して、第1変速機出力軸A3に固定的に設けられたドライブギヤG1からトルクが伝達されることで、車輪側への回転トルク出力を実行している。
【0072】
上述した変速機2の各シフトにおける第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1スリーブS1、第2スリーブS2、第3スリーブS3、第4スリーブS4の係合の状態を図2に示す。図中、第1クラッチC1及び第2クラッチC2について「○」印が付されたものは該当するシフトにおいて回転動力伝達のために係合されていることを示し、「×」印は該当するシフトにおいては解放されていることを示している。第1スリーブS1、第2スリーブS2、第3スリーブS3、及び第4スリーブS4については、ドリブンギヤO1,O2,OR、ドライブギヤI3,I4,I5,I6との係合を、「O1」、「O2」、「OR」、「I3」、「I4」、「I5」、「I6」にて表し、ニュートラル状態を「N」で表している。更に、後述するごとく運転者の指示により選択できる部分については「▲」で示している。
【0073】
第1速では、第1クラッチC1は係合され、第2クラッチC2は解放される。そして、第1スリーブS1は「N」、すなわち第3速ドライブギヤI3にも第5速ドライブギヤI5にも係合しないニュートラル状態にされ、第3スリーブS3は「O1」、すなわち第1速ドリブンギヤO1に係合される。第4スリーブS4については手動変速時には運転者の指示の内容に従う。第2スリーブS2は、後進や第2速では共に「N」であるので、第1速でも、このまま「N」を維持している。このように第1速では、第1クラッチ出力軸A1にエンジンからの回転動力が伝達され、第1速ドライブギヤI1の回転が第1速ドリブンギヤO1に伝達されて、第1速ドリブンギヤO1の回転が第3スリーブS3の係合により第1変速機出力軸A3に伝達される。このことによりドライブギヤG1及びドリブンギヤG2を介して第2変速機出力軸A4から第1速の変速比で回転動力が出力される。
【0074】
第2速では、第1クラッチC1は解放され、第2クラッチC2は係合される。そして、第1スリーブS1及び第3スリーブS3については手動変速時には運転者の指示の内容に従う。第2スリーブS2は「N」、すなわち第4速ドライブギヤI4にも第6速ドライブギヤI6にも係合しないニュートラル状態にされ、第4スリーブS4は「O2」、すなわち第2速ドリブンギヤO2に係合される。このように第2速では、第2クラッチ出力軸A2にエンジンからの回転動力が伝達され、第2速ドライブギヤI2の回転が第2速ドリブンギヤO2に伝達されて、第2速ドリブンギヤO2の回転が第4スリーブS4の係合により第1変速機出力軸A3に伝達される。このことにより、ドライブギヤG1及びドリブンギヤG2を介して第2変速機出力軸A4から第2速の変速比で回転動力が出力される。
【0075】
第3速では、第1クラッチC1は係合され、第2クラッチC2は解放される。そして第1スリーブS1は「I3」、すなわち第3速ドライブギヤI3に係合される。第3スリーブS3は「N」、すなわち第1速ドリブンギヤO1に係合しないニュートラル状態とされる。第2スリーブS2及び第4スリーブS4については手動変速時には運転者の指示の内容に従う。このように第3速では、第1クラッチ出力軸A1にエンジンからの回転動力が伝達され、第1クラッチ出力軸A1の回転が第1スリーブS1の係合により第3速ドライブギヤI3に伝達され、第3速ドライブギヤI3から第3速ドリブンギヤO3を介して第1変速機出力軸A3に伝達される。このように第3速では、ドライブギヤG1及びドリブンギヤG2を介して第2変速機出力軸A4から第3速の変速比で回転動力が出力される。
【0076】
第4速では、第1クラッチC1は解放され、第2クラッチC2は係合される。そして第1スリーブS1については手動変速時には運転者の指示の内容に従う。第3スリーブS3は、第3速や第5速では共に「N」であるので、第4速では、このまま「N」を維持している。第2スリーブS2は「I4」、すなわち第4速ドライブギヤI4に係合する状態にされ、第4スリーブS4は「N」、すなわち第2速ドリブンギヤO2にも後進ドリブンギヤORにも係合されないニュートラル状態にされる。このように第4速では、第2クラッチ出力軸A2にエンジンからの回転動力が伝達され、第2クラッチ出力軸A2の回転が第2スリーブS2の係合により第4速ドライブギヤI4に伝達され、第4速ドライブギヤI4の回転が第4速ドリブンギヤO4を介して第1変速機出力軸A3に伝達される。このことにより、ドライブギヤG1及びドリブンギヤG2を介して第2変速機出力軸A4から第4速の変速比で回転動力が出力される。
【0077】
第5速では、第1クラッチC1は係合され、第2クラッチC2は解放される。そして第1スリーブS1は「I5」、すなわち第5速ドライブギヤI5に係合される。第3スリーブS3は「N」、すなわち第1速ドリブンギヤO1に係合しないニュートラル状態とされる。第2スリーブS2については手動変速時には運転者の指示の内容に従う。第4スリーブS4は、第4速や第6速では共に「N」であるので、第5速では、このまま「N」を維持している。このように第5速では、第1クラッチ出力軸A1にエンジンからの回転動力が伝達され、第1クラッチ出力軸A1の回転が第1スリーブS1の係合により第5速ドライブギヤI5に伝達され、第5速ドライブギヤI5から第5速ドリブンギヤO5を介して第1変速機出力軸A3に伝達される。このことにより、ドライブギヤG1及びドリブンギヤG2を介して第2変速機出力軸A4から第5速の変速比で回転動力が出力される。
【0078】
第6速では、第1クラッチC1は解放され、第2クラッチC2は係合される。そして第1スリーブS1及び第3スリーブS3については、直前の第5速では第1スリーブS1は「I5」、第3スリーブS3は「N」であるので、このままの状態が維持される。そして第2スリーブS2は「I6」、すなわち第6速ドライブギヤI6に係合する状態にされ、第4スリーブS4は「N」、すなわち第2速ドリブンギヤO2にも後進ドリブンギヤORにも係合されないニュートラル状態にされる。このように第6速では、第2クラッチ出力軸A2にエンジンからの回転動力が伝達され、第2クラッチ出力軸A2の回転が第2スリーブS2の係合により第6速ドライブギヤI6に伝達され、第6速ドライブギヤI6の回転が第6速ドリブンギヤO6を介して第1変速機出力軸A3に伝達される。このことにより、ドライブギヤG1及びドリブンギヤG2を介して第2変速機出力軸A4から第6速の変速比で回転動力が出力される。
【0079】
後進シフトでは、第1クラッチC1は解放され、第2クラッチC2は係合される。そして、第1スリーブS1及び第3スリーブS3についてはニュートラルシフトでは「N」であるので、このまま「N」が維持される。第2スリーブS2は「N」、すなわち第4速ドライブギヤI4にも第6速ドライブギヤI6にも係合しないニュートラル状態にされ、第4スリーブS4は「OR」、すなわち後進ドリブンギヤORに係合する状態にされる。このように後進シフトでは、第2クラッチ出力軸A2にエンジンからの回転動力が伝達され、第2クラッチ出力軸A2の回転が後進ドライブギヤIR及び後進アイドラギヤMRを介して後進ドリブンギヤORに伝達される。そして、第4スリーブS4の係合により第1変速機出力軸A3に伝達される。このことにより、ドライブギヤG1及びドリブンギヤG2を介して第2変速機出力軸A4から後進の変速比で回転動力が出力される。
【0080】
ニュートラルシフトでは、両クラッチC1,C2は共に解放される。そして全てのスリーブS1,S2,S3,S4はいずれのギヤにも係合しない「N」にされる。このことにより、エンジンからの回転動力は変速機2から車輪側へ出力されることはない。
【0081】
上述したシフト状態は変速制御用の電子制御ユニット(ECU)6により、油圧アクチュエータ6aから油圧を第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1スリーブS1、第2スリーブS2、第3スリーブS3、及び第4スリーブS4に供給したり解放したり、あるいは状態を維持したりすることにより行われる。
【0082】
ECU6は、双方向性バスを介して相互に接続されたRAM、ROM、CPU、入力ポートおよび出力ポートを備えて、デジタルコンピュータとして構成されている。ECU6へは、シフト操作装置8からのシフト位置SHFT信号、スリーブ位置センサ10からのスリーブ位置SLVP信号、クラッチセンサ11からのクラッチCLP信号、エンジン回転数センサからの回転数NE信号、車速センサからの車速SPD信号が入力されている。またECU6へは、それ以外にも、スロットル開度センサからのスロットル開度TA信号(あるいはアクセル開度センサからのアクセル開度ACCP信号)等の制御上必要なデータを検出するための信号等が入力されている。又、エンジン制御用のECU14との間で、相互にデータ通信を実行して、制御に必要なデータを相互に伝達している。
【0083】
そしてECU6は、上述した各種の情報に基づいて、目的とするシフトを実現するために油圧アクチュエータ6aにより前記図2に示した変速機2の内部状態を実現している。更に、この変速機2の内部状態をシフト状態表示装置12に表示している。
【0084】
図3にシフト操作装置8の外観を示す。シフト操作装置8は、シフトレバー8aが、パネル8bに形成されたシフトゲート8c,8d,8e内を移動することにより、内部に設けられたシフトスイッチ9によりシフト位置SHFTが検出される。シフトゲート8c,8d,8eの内で、ジグザグ状のシフトゲート8c部分には、後進シフト位置Rp、ニュートラルシフト位置Np及び自動変速モード位置ATpが設定されている。又、自動変速モード位置ATpから伸びたシフトゲート8dは、直線形状のシフトゲート8eに直交状態で接続されている。このシフトゲート8eは、手動変速用のシーケンシャルシフトポジションとして形成されており、前方端部にアップシフト位置UPp(アップシフト指示位置に相当)、後方端部にダウンシフト位置DNp(ダウンシフト指示位置に相当)が設定されている。これら2つのシフト位置UPp,DNpの間にはアップシフト位置UPpの中央側に隣接してアップ側プレシフト位置PrUPp(アップ用事前シフト指示位置に相当)が、ダウンシフト位置DNpの中央側に隣接してダウン側プレシフト位置PrDNp(ダウン用事前シフト指示位置に相当)が設けられている。尚、自動変速モード位置ATpから伸びたシフトゲート8dは、ダウン側プレシフト位置PrDNpの部分で、シフトゲート8eに接続している。
【0085】
シフトゲート8e内においては、シフトレバー8aの安定静止位置は、図4(A)に示すダウン側プレシフト位置PrDNpと図4(C)に示すアップ側プレシフト位置PrUPpとの2位置である。図4(B)に示すダウンシフト位置DNpへは、運転者のレバー操作によりダウン側プレシフト位置PrDNp側から移動できる。ただし運転者のレバー操作が終了して、シフトレバー8aから運転者が手を離すと、シフトレバー8aはシフト操作装置8内に設けられたスプリング等の付勢手段により、自ずと図4(A)に示すごとく、ダウン側プレシフト位置PrDNpに戻される。同様に、図4(D)に示すアップシフト位置UPpへは、運転者のレバー操作によりアップ側プレシフト位置PrUPp側から移動できる。そして運転者のレバー操作が終了して、シフトレバー8aから運転者が手を離すと、シフトレバー8aはシフト操作装置8内に設けられたスプリング等の付勢手段により、自ずと図4(C)に示すごとく、アップ側プレシフト位置PrUPpに戻される。
【0086】
次にシフト操作装置8の操作に基づいて行われる変速機2に対する変速制御処理について説明する。図5,6に変速制御処理のフローチャートを示す。本処理は、時間周期で繰り返し実行される処理である。
【0087】
本処理が開始されると、まずシフトレバー8aにより運転者により指示されているシフト位置SHFTが自動変速モード位置ATp以外か否かが判定される(S100)。ここでSHFT=ATpであれば(S100で「NO」)、ECU6は変速機2に対して自動変速制御を実行する(S102)。すなわち、エンジン負荷(ここではスロットル開度TA)と車速SPDとをパラメータとする変速線図からシフト領域の変化を判断して対応するシフトとなるように変速機2内の各クラッチC1,C2及び各スリーブS1〜S4を切り換える処理を実行する。
【0088】
一方、SHFT≠ATpであれば(S100で「YES」)、次にシフト位置SHFTがニュートラルシフト位置Np以外か否かが判定される(S104)。ここでSHFT=Npであれば(S104で「NO」)、ニュートラルシフトを実現するために、両クラッチC1,C2は解放され(S106)、そして全スリーブS1〜S4はニュートラルにされる(S108)。こうして図2に示したニュートラルシフトが実現される。尚、図1の変速機2はニュートラルシフト状態を示している。
【0089】
一方、SHFT≠Npであれば(S104で「YES」)、次にシフト位置SHFTが後進シフト位置Rp以外か否かが判定される(S110)。ここでSHFT=Rpであれば(S110で「NO」)、直前のニュートラルシフトにより第1クラッチC1も第2クラッチC2も解放されている。したがって後進シフトを実現するために、第4スリーブS4を後進ドリブンギヤORに係合させる(S112)。そして第2クラッチC2を係合する(S114)。こうして図2に示した後進シフトが実現される。
【0090】
一方、SHFT≠Rpであれば(S110で「YES」)、次にシフト位置SHFTがダウンシフト位置DNp以外か否かが判定される(S116)。ここでSHFT=DNpであれば(S116で「NO」)、次に前回SHFT≠DNpであったか否かが判定される(S118)。前回SHFT=DNpであれば(S118で「NO」)、このまま一旦変速制御処理(図5,6)を終了する。
【0091】
前回SHFT≠DNpであれば(S118で「YES」)、SHFT=DNpが継続している状態でなく、シフト位置SHFTが他の位置からダウンシフト位置DNpに変化した直後であることが判明するので、次に図7に示すダウンシフト処理が実行される(S120)。
【0092】
ダウンシフト処理(図7)では、まず現在、変速機2内の実際のギヤ状態を表す走行ギヤ段Grが第1速以外か否かが判定される(S212)。尚、この走行ギヤ段Grは、クラッチセンサ11により検出されているクラッチC1,C2の係合・解放状態とスリーブ位置センサ10により検出されているスリーブS1〜S4の位置に基づいて、前記図2に示した各シフトにおける組み合わせから求められる。Gr=第1速であれば(S212で「NO」)、このまま一旦、ダウンシフト処理(図7)及び変速制御処理(図5,6)を終了する。すなわち、現在、第1速である場合には、シフトレバー8aがダウンシフト位置DNpに入れられても第1速状態を維持することになる。
【0093】
一方、Gr≠第1速であれば(S212で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第2速以外か否かが判定される(S214)。Gr=第2速であれば(S214で「NO」)、現在、第1クラッチC1は解放状態であることから、直ちに第1スリーブS1をニュートラルとし、第3スリーブS3を第1速ドリブンギヤO1に係合する(S216)。そして第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2を解放するクラッチツウクラッチを行う(S218)。このことにより変速機2は第2速から第1速にダウンシフトされる。
【0094】
一方、Gr≠第2速であれば(S214で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第3速以外か否かが判定される(S220)。Gr=第3速であれば(S220で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態であることから、直ちに第2スリーブS2をニュートラルとし、第4スリーブS4を第2速ドリブンギヤO2に係合する(S222)。そして第1クラッチC1を解放するとともに第2クラッチC2を係合するクラッチツウクラッチを行う(S224)。このことにより変速機2は第3速から第2速にダウンシフトされる。
【0095】
一方、Gr≠第3速であれば(S220で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第4速以外か否かが判定される(S226)。Gr=第4速であれば(S226で「NO」)、現在、第1クラッチC1は解放状態であることから、直ちに第1スリーブS1を第3速ドライブギヤI3に係合する(S228)。そして第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2を解放するクラッチツウクラッチを行う(S230)。このことにより変速機2は第4速から第3速にダウンシフトされる。
【0096】
一方、Gr≠第4速であれば(S226で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第5速以外か否かが判定される(S232)。Gr=第5速であれば(S232で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態であることから、直ちに第2スリーブS2を第4速ドライブギヤI4に係合する(S234)。そして第1クラッチC1を解放するとともに第2クラッチC2を係合するクラッチツウクラッチを行う(S236)。このことにより変速機2は第5速から第4速にダウンシフトされる。
【0097】
一方、Gr≠第5速であれば(S232で「YES」)、現在の走行ギヤ段Grは第6速と判定できる。このため直ちに第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2を解放するクラッチツウクラッチを行う(S240)。このことにより変速機2は第6速から第5速にダウンシフトされる。
【0098】
上述したごとくダウンシフト処理(図7)が完了する。ただしステップS216,S222,S228,S234におけるスリーブS1〜S4の駆動処理においては、後述するごとく、既に該当する状態にスリーブS1〜S4が移動している場合がある。この場合には、ステップS216,S222,S228,S234では駆動処理の必要がないので処理時間はかからないことになり、迅速にシフトの切り換えが完了する。
【0099】
変速制御処理(図5,6)の説明に戻り、ステップS116にてSHFT≠DNpであれば(S116で「YES」)、次にシフト位置SHFTがアップシフト位置UPp以外か否かが判定される(S122)。ここでSHFT=UPpであれば(S122で「NO」)、前回SHFT≠UPpであったか否かが判定される(S124)。前回SHFT=UPpであれば(S124で「NO」)、このまま一旦変速制御処理(図5,6)を終了する。
【0100】
前回SHFT≠UPpであれば(S124で「YES」)、SHFT=UPpが継続している状態ではなく、シフト位置SHFTが他の位置からアップシフト位置UPpに変化した直後であることが判明するので、次に図8に示すアップシフト処理が実行される(S126)。
【0101】
アップシフト処理(図8)では、まず現在、変速機2内の現在の走行ギヤ段Grが第1速以外か否かが判定される(S312)。Gr=第1速であれば(S312で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態であることから、直ちに第4スリーブS4を第2速ドリブンギヤO2に係合する(S314)。そして第1クラッチC1を解放するとともに第2クラッチC2を係合するクラッチツウクラッチを行う(S316)。このことにより変速機2は第1速から第2速にアップシフトされる。
【0102】
一方、Gr≠第1速であれば(S312で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第2速以外か否かが判定される(S318)。Gr=第2速であれば(S318で「NO」)、現在、第1クラッチC1は解放状態であることから、直ちに第1スリーブS1を第3速ドライブギヤI3に係合し、第3スリーブS3をニュートラルにする(S320)。そして第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2を解放するクラッチツウクラッチを行う(S322)。このことにより変速機2は第2速から第3速にアップシフトされる。
【0103】
一方、Gr≠第2速であれば(S318で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第3速以外か否かが判定される(S324)。Gr=第3速であれば(S324で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態であることから、直ちに第2スリーブS2を第4速ドライブギヤI4に係合し、第4スリーブS4をニュートラルにする(S326)。そして第1クラッチC1を解放するとともに第2クラッチC2を係合するクラッチツウクラッチを行う(S328)。このことにより変速機2は第3速から第4速にアップシフトされる。
【0104】
一方、Gr≠第3速であれば(S324で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第4速以外か否かが判定される(S330)。Gr=第4速であれば(S330で「NO」)、現在、第1クラッチC1は解放状態であることから、直ちに第1スリーブS1を第5速ドライブギヤI5に係合する(S332)。そして第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2を解放するクラッチツウクラッチを行う(S334)。このことにより変速機2は第4速から第5速にアップシフトされる。
【0105】
一方、Gr≠第4速であれば(S330で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第5速以外か否かが判定される(S336)。Gr=第5速であれば(S336で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態であることから、直ちに第2スリーブS2を第6速ドライブギヤI6に係合する(S338)。そして第1クラッチC1を解放するとともに第2クラッチC2を係合するクラッチツウクラッチを行う(S340)。このことにより変速機2は第5速から第6速にアップシフトされる。
【0106】
一方、Gr≠第5速であれば(S336で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grは第6速と判定できる。Gr=第6速であれば、直ちに第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2を解放するクラッチツウクラッチを行う(S344)。このことにより変速機2は第6速から第5速にダウンシフトされる。尚、第6速の場合にアップシフトされた時には(S336で「YES」)、上述したステップS344は実行せずに第6速を維持しても良い。
【0107】
上述したごとくアップシフト処理(図8)が完了する。ただしステップS314,S320,S326,S332,S338におけるスリーブS1〜S4の駆動処理においては、後述するごとく、既に該当する状態にスリーブS1〜S4が移動している場合がある。この場合には、ステップS314,S320,S326,S332,S338では駆動処理の必要がないので処理時間はかからないことになり、迅速にシフトの切り換えが完了する。
【0108】
変速制御処理(図5,6)の説明に戻り、ステップS122にてSHFT≠UPpであれば(S122で「YES」)、次にシフト位置SHFTがダウン側プレシフト位置PrDNp以外か否かが判定される(S128)。ここでSHFT=PrDNpであれば(S128で「NO」)、図9に示す事前ダウンシフト処理が実行される(S130)。事前ダウンシフト処理は、シフト切り換えを実行するのではなく、前述した図2において「▲」で示した部分、すなわち2つのクラッチC1,C2の内で解放されている側におけるスリーブS1〜S4の状態を設定する処理である。
【0109】
事前ダウンシフト処理(図9)では、まず現在、変速機2内の現在の走行ギヤ段Grが第1速以外か否かが判定される(S408)。Gr=第1速であれば(S408で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態にあることから、直ちに第4スリーブS4を第2速ドリブンギヤO2に係合する(S410)。既に第2スリーブS2はニュートラル状態であることから、第2クラッチC2側は第2速状態に事前シフトされる。したがって、この後、前述したごとく運転者がシフトレバー8aをアップシフト位置UPpに移動させることにより、アップシフト処理(図8)のステップS312にて「NO」と判定されると、ステップS314においては既に第2速に該当する状態が実現されている。このため実質的には第4スリーブS4の駆動処理がなされず、直ちにクラッチツウクラッチの処理(S316)に移行できる。
【0110】
一方、Gr≠第1速であれば(S408で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第2速以外か否かが判定される(S412)。Gr=第2速であれば(S412で「NO」)、現在、第1クラッチC1は解放状態にあることから、直ちに第1スリーブS1をニュートラルとし、第3スリーブS3を第1速ドリブンギヤO1に係合する(S414)。このことにより第1クラッチC1側は第1速状態に事前シフトされる。したがって、この後、前述したごとく運転者がシフトレバー8aをダウンシフト位置DNpに移動させることにより、ダウンシフト処理(図7)のステップS214にて「NO」と判定されると、ステップS216においては既に第1速に該当する状態が実現されている。このため実質的には第1スリーブS1及び第3スリーブS3の駆動処理がなされず、直ちにクラッチツウクラッチの処理(S218)に移行できる。
【0111】
一方、Gr≠第2速であれば(S412で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第3速以外か否かが判定される(S416)。Gr=第3速であれば(S416で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態であることから、直ちに第2スリーブS2をニュートラルとし、第4スリーブS4を第2速ドリブンギヤO2に係合する(S418)。このことにより第2クラッチC2側は第2速状態に事前シフトされる。したがって、この後、前述したごとく運転者がシフトレバー8aをダウンシフト位置DNpに移動させることにより、ダウンシフト処理(図7)のステップS220にて「NO」と判定されると、ステップS222においては既に第2速に該当する状態が実現されている。このため実質的には第2スリーブS2及び第4スリーブS4の駆動処理がなされず、直ちにクラッチツウクラッチの処理(S224)に移行できる。
【0112】
一方、Gr≠第3速であれば(S416で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第4速以外か否かが判定される(S420)。Gr=第4速であれば(S420で「NO」)、現在、第1クラッチC1は解放状態にあることから、直ちに第1スリーブS1を第3速ドライブギヤI3に係合する(S422)。このことにより第1クラッチC1側は第3速状態に事前シフトされる。したがって、この後、前述したごとく運転者がシフトレバー8aをダウンシフト位置DNpに移動させることにより、ダウンシフト処理(図7)のステップS226にて「NO」と判定されると、ステップS228においては既に第3速に該当する状態が実現されている。このため実質的には第1スリーブS1の駆動処理がなされず、直ちにクラッチツウクラッチを行う処理(S230)に移行できる。
【0113】
一方、Gr≠第4速であれば(S420で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第5速以外か否かが判定される(S424)。Gr=第5速であれば(S424で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態にあることから、直ちに第2スリーブS2を第4速ドライブギヤI4に係合する(S426)。このことにより第2クラッチC2側は第4速状態に事前シフトされる。したがって、この後、前述したごとく運転者がシフトレバー8aをダウンシフト位置DNpに移動させることにより、ダウンシフト処理(図7)のステップS232にて「NO」と判定されると、ステップS234においては既に第4速に該当する状態が実現されている。このため実質的には第2スリーブS2の駆動処理がなされず、直ちにクラッチツウクラッチを行う処理(S236)に移行できる。
【0114】
一方、Gr≠第5速であれば(S424で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grは第6速と判定できる。第6速では、解放状態にある第1クラッチC1側は第5速状態が維持されている。このため、ダウンシフト処理(図7)のステップS232にて「YES」と判定された場合に直ちにクラッチツウクラッチ(S240)を実行して第5速に切り換えることができるので、このまま本処理を一旦終了する。
【0115】
このようにしてシフトレバー8aをダウン側プレシフト位置PrDNpに配置した場合(図6:S128で「NO」)の事前ダウンシフト処理(図9)が完了する。この事前シフト状態を図10にまとめて示す。図10中において、[]内が各シフトにおける事前シフトを表している。
【0116】
変速制御処理(図5,6)の説明に戻り、ステップS128にてSHFT≠PrDNpであれば(S128で「YES」)、次にシフト位置SHFTがアップ側プレシフト位置PrUPp以外か否かが判定される(S132)。ここでSHFT=PrUPpであれば(S132で「NO」)、次に図11に示す事前アップシフト処理が実行される(S134)。事前アップシフト処理は、前述した事前ダウンシフト処理と同様に、シフト切り換えを実行するのではなく前述した図2において「▲」で示した部分におけるスリーブS1〜S4の状態を設定する処理である。
【0117】
事前アップシフト処理(図11)では、まず現在、変速機2内の現在の走行ギヤ段Grが第1速以外か否かが判定される(S508)。Gr=第1速であれば(S508で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態であることから、直ちに第4スリーブS4を第2速ドリブンギヤO2に係合する(S510)。このことにより第2クラッチC2側は第2速状態に事前シフトされる。したがって、この後、前述したごとく運転者がシフトレバー8aをアップシフト位置UPpに移動させることにより、アップシフト処理(図8)のステップS312にて「NO」と判定されると、ステップS314においては既に第2速に該当する状態が実現されている。このため実質的には第4スリーブS4の駆動処理がなされず、直ちにクラッチツウクラッチを行うステップS316の処理に移行できる。
【0118】
一方、Gr≠第1速であれば(S508で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第2速以外か否かが判定される(S512)。Gr=第2速であれば(S512で「NO」)、現在、第1クラッチC1は解放状態であることから直ちに第1スリーブS1を第3速ドライブギヤI3に係合し、第3スリーブS3をニュートラルにする(S514)。このことにより第1クラッチC1側は第3速状態に事前シフトされる。したがって、この後、前述したごとく運転者がシフトレバー8aをアップシフト位置UPpに移動させることにより、アップシフト処理(図8)のステップS318にて「NO」と判定されると、ステップS320においては既に第3速に該当する状態が実現されている。このため実質的には第1スリーブS1及び第3スリーブS3の駆動処理がなされず、直ちにクラッチツウクラッチを行うステップS322の処理に移行できる。
【0119】
一方、Gr≠第2速であれば(S512で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第3速以外か否かが判定される(S516)。Gr=第3速であれば(S516で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態であることから直ちに第2スリーブS2を第4速ドライブギヤI4に係合し、第4スリーブS4をニュートラルにする(S518)。このことにより第2クラッチC2側は第4速状態に事前シフトされる。したがって、この後、前述したごとく運転者がシフトレバー8aをアップシフト位置UPpに移動させることにより、アップシフト処理(図8)のステップS324にて「NO」と判定されると、ステップS326においては既に第4速に該当する状態が実現されている。このため実質的には第2スリーブS2及び第4スリーブS4の駆動処理がなされず、直ちにクラッチツウクラッチを行うステップS328の処理に移行できる。
【0120】
一方、Gr≠第3速であれば(S516で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第4速以外か否かが判定される(S520)。Gr=第4速であれば(S520で「NO」)、現在、第1クラッチC1は解放状態であることから直ちに第1スリーブS1を第5速ドライブギヤI5に係合する(S522)。このことにより第1クラッチC1側は第5速状態に事前シフトされる。したがって、この後、前述したごとく運転者がシフトレバー8aをアップシフト位置UPpに移動させることにより、アップシフト処理(図8)のステップS330にて「NO」と判定されると、ステップS332においては既に第5速に該当する状態が実現されている。このため実質的には第1スリーブS1の駆動処理がなされず、直ちにクラッチツウクラッチを行うステップS334の処理に移行できる。
【0121】
一方、Gr≠第4速であれば(S520で「YES」)、次に現在の走行ギヤ段Grが第5速以外か否かが判定される(S524)。Gr=第5速であれば(S524で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態であることから直ちに第2スリーブS2を第6速ドライブギヤI6に係合する(S526)。このことにより第2クラッチC2側は第6速状態に事前シフトされる。したがって、この後、前述したごとく運転者がシフトレバー8aをアップシフト位置UPpに移動させることにより、アップシフト処理(図8)のステップS336にて「NO」と判定されると、ステップS338においては既に第6速に該当する状態が実現されている。このため実質的には第2スリーブS2の駆動処理がなされず、直ちにクラッチツウクラッチを行うステップS340の処理に移行できる。
【0122】
一方、Gr≠第5速であれば(S524で「YES」)、現在の走行ギヤ段Grは第6速と判定できる。第6速では、解放状態にある第1クラッチC1側は第5速状態が維持されている。このため、アップシフト処理(図8)のステップS336にて「YES」と
判定された場合に直ちにクラッチツウクラッチ(S344)を実行して第5速に切り換えることができるので、このまま本処理を一旦終了する。
【0123】
このようにしてシフトレバー8aをアップ側プレシフト位置PrUPpに配置した場合(図6:S132で「NO」)の事前アップシフト処理(図11)が完了する。この事前シフト状態を図12にまとめて示す。図12中において、[]内の値が各シフトにおける事前シフトを表している。
【0124】
変速制御処理(図5,6)の説明に戻り、ステップS132にてSHFT≠PrUPpであれば(S132で「YES」)、例えば、シフトレバー8aが移動中でシフトスイッチ9の位置検出が確定していない場合には、このまま変速制御処理(図5,6)を終了する。
【0125】
次に、ダッシュボードに設けられたシフト状態表示装置12の表示制御について説明する。図13にシフト状態表示装置12の表示部分の詳細を示す。シフト状態表示装置12は、実際の走行ギヤ段Grを表示する走行シフト表示部12aと、事前シフト状態を表示するプレシフト表示部12bとを備えている。
【0126】
走行シフト表示部12aは、数字表示「1」〜「6」で第1速〜第6速までを表し、文字表示「R」で後進、文字表示「N」でニュートラルを表す。
プレシフト表示部12bは、手動変速時において、クラッチC1,C2の内で解放されている側のクラッチにおけるスリーブS1〜S4の状態が、現在の走行ギヤ段Grに対して、アップシフト側の事前シフトに対応するものか、ダウンシフト側の事前シフトに対応するものかを表示するものである。アップシフト側の事前シフトに対応する場合にはプラスマーク表示部12cが点灯し、ダウンシフト側の事前シフトに対応する場合にはマイナスマーク表示部12dが点灯することで表示する。
【0127】
このシフト状態表示装置12に対する表示制御処理を図14に示す。本処理はECU6により周期的に繰り返し実行される。表示制御処理(図14)が開始されると、まず現在の実際の走行ギヤ段Grに応じた表示が走行シフト表示部12aになされる(S600)。図13では、数字「3」の表示により走行ギヤ段Gr=第3速であることを示している例である。
【0128】
次に走行シフト表示部12aに表示された現在の走行ギヤ段Grに対する解放クラッチ側のスリーブ位置がダウンシフト状態以外か否かが判定される(S602)。すなわち図15(A)に示すごとく、ダウンシフトをした場合にスリーブS1〜S4を駆動しなくてもクラッチC1,C2の切り換えのみでダウンシフトが完了する準備状態以外か否かが判定される。
【0129】
すなわち、Gr=第1速である場合にはダウンシフトは無いものとする。したがって必ずステップS602では「YES」と判定される。
Gr=第2速である場合には、解放されている第1クラッチC1側で、図15(A)に[]で示したごとく第1スリーブS1がニュートラル位置にあり、第3スリーブS3が第1速ドリブンギヤO1に係合していると、図2に示した第1速にダウンシフトする場合の準備ができていることになる。このため解放クラッチ側のスリーブ位置はダウンシフト状態にあると判断できる(S602で「NO」)。一方、Gr=第2速であっても、第1スリーブS1がニュートラル位置に無かったり、又は、第3スリーブS3が第1速ドリブンギヤO1に係合していなかったりした場合には、第1速にダウンシフトするためには両スリーブS1,S3のいずれか一方又は両方の駆動が必要となる。このため解放クラッチ側のスリーブ位置がダウンシフト状態にはないと判断する(S602で「YES」)。
【0130】
Gr=第3速である場合には、解放されている第2クラッチC2側で、第2スリーブS2がニュートラル位置にあり、第4スリーブS4が第2速ドリブンギヤO2に係合していると、図2に示した第2速にダウンシフトする場合の準備ができていることになる。このため解放クラッチ側のスリーブ位置がダウンシフト状態にあると判断できる(S602で「NO」)。これ以外では準備ができておらず、少なくともいずれかのスリーブS2,S4の駆動が必要となるので、解放クラッチ側のスリーブ位置がダウンシフト状態にはないと判断できる(S602で「YES」)。
【0131】
同様にして、Gr=第4速である場合には、解放されている第1クラッチC1側で第1スリーブS1が第3速ドライブギヤI3に係合しているとステップS602で「NO」とされ、これ以外では「YES」とされる。
【0132】
Gr=第5速である場合には、解放されている第2クラッチC2側で第2スリーブS2が第4速ドライブギヤI4に係合しているとステップS602で「NO」とされ、これ以外では「YES」とされる。
【0133】
Gr=第6速である場合には、解放されている第1クラッチC1側では図2に示したごとく必ず第1スリーブS1が第5速ドライブギヤI5に係合し、第3スリーブS3がニュートラル位置にあるので、ステップS602では「NO」とされる。
【0134】
Gr=後進及びニュートラルである場合には、事前シフトは無いので。この場合は必ずステップS602では「YES」とされる。
上述したごとく、図15(A)の関係に基づく判断により、ステップS602で「NO」と判定された場合には、プラスマーク表示部12cは消灯状態にされ、マイナスマーク表示部12dは点灯状態とされる(S604)。
【0135】
運転者が、Gr=第2速〜第5速の状態で、シフトレバー8aをダウン側プレシフト位置PrDNpに移動させたり、シフトレバー8aをダウンシフト位置DNpに移動した後に自動的にダウン側プレシフト位置PrDNpに戻った場合には、図15(A)に該当する状態が生じる(S602で「NO」)。このためマイナスマーク表示部12dは点灯する(S604)。このことにより運転者は事前シフト状態がダウンシフト側に設定されていることを確認できる。尚、Gr=第6速では必ずマイナスマーク表示部12dが点灯する(S604)。
【0136】
一方、図15(A)の関係に基づく判断では、ステップS602で「YES」とされた場合には、次に走行シフト表示部12aに表示された現在の走行ギヤ段Grに対する解放クラッチ側のスリーブ位置がアップシフト状態以外か否かが判定される(S606)。すなわち図15(B)に示すごとく、アップシフトをした場合にスリーブS1〜S4を駆動しなくてもクラッチC1,C2の切り換えのみでアップシフトが完了する準備状態以外か否かが判定される。
【0137】
すなわち、Gr=第1速である場合には、解放されている第2クラッチC2側で図15(B)に[]で示したごとく第4スリーブS4が第2速ドリブンギヤO2に係合していると、図2に示した第2速にアップシフトする場合の準備ができていることになる。このため解放クラッチ側のスリーブ位置がアップシフト状態にあると判断できる(S606で「NO」)。一方、Gr=第1速であっても、第4スリーブS4が第2速ドリブンギヤO2に係合していない場合には、第2速にアップシフトするためには第4スリーブS4の駆動が必要となる。このため、解放クラッチ側のスリーブ位置がアップシフト状態にはないと判断できる(S606で「YES」)。
【0138】
Gr=第2速である場合には、解放されている第1クラッチC1側で図15(B)に[]で示したごとく第1スリーブS1が第3速ドライブギヤI3に係合し、第3スリーブS3がニュートラル位置にあると、図2に示した第3速にアップシフトする場合の準備ができていることになる。このため、解放クラッチ側のスリーブ位置がアップシフト状態にあると判断できる(S606で「NO」)。これ以外では、準備ができておらず、少なくともいずれかのスリーブS1,S3の駆動が必要となる。このため、解放クラッチ側のスリーブ位置がアップシフト状態にはないと判断できる(S606で「YES」)。
【0139】
同様にしてGr=第3速である場合には、解放されている第2クラッチC2側で、第2スリーブS2が第4速ドライブギヤI4に係合し、第4スリーブS4がニュートラル位置にあるとステップS606で「NO」とされ、これ以外では「YES」とされる。
【0140】
Gr=第4速である場合には、解放されている第1クラッチC1側で第1スリーブS1が第5速ドライブギヤI5に係合しているとステップS606で「NO」とされ、これ以外では「YES」とされる。
【0141】
Gr=第5速である場合には、解放されている第2クラッチC2側で第2スリーブS2が第6速ドライブギヤI6に係合しているとステップS606で「NO」とされ、これ以外では「YES」とされる。
【0142】
尚、Gr=後進及びニュートラルである場合には前述したごとく事前シフトは無いので。この場合は必ずステップS606では「YES」とされる。したがってGr=後進及びニュートラルである場合にはプラスマーク表示部12cもマイナスマーク表示部12dも共に消灯状態とされる(S610)。
【0143】
上述したごとく、図15(B)の関係に基づく判断により、ステップS606で「NO」とされた場合には、プラスマーク表示部12cが点灯状態にされ、マイナスマーク表示部12dは消灯状態とされる(S608)。
【0144】
運転者が、Gr=第1速〜第5速の状態で、シフトレバー8aをアップ側プレシフト位置PrUPpに移動させたり、シフトレバー8aをアップシフト位置UPpに移動した後にシフトレバー8aが自動的にアップ側プレシフト位置PrUPpに戻ると、図15(B)に該当する状態となる。このためプラスマーク表示部12cは点灯する。このことにより運転者は、事前シフト状態がアップシフト側に設定されていることを確認できる。尚、Gr=第1速にて、シフトレバー8aがダウン側プレシフト位置PrDNpに移動した場合も同じである(図9:S410)。
【0145】
上述した構成において、変速機2が複数クラッチ式変速機に相当する。第1クラッチ出力軸A1、第1速、第3速、第5速の各ドライブギヤI1、I3、I5、第1速、第3速、第5速の各ドリブンギヤO1、O3、O5、第1スリーブS1、第3スリーブS3が1番目の変速機構に相当する。更に、第2クラッチ出力軸A2、第2速、第4速、第6速、後進の各ドライブギヤI2、I4、I6、IR、第2速、第4速、第6速、後進の各ドリブンギヤO2、O4、O6、OR、後進アイドラギヤMR、第2スリーブS2、第4スリーブS4が2番目の変速機構に相当する。これらにそれぞれ第1クラッチC1、第2クラッチC2を加えたものがそれぞれ回転動力伝達系に相当する。シフト操作装置8がシフト操作機構に、シフトレバー8aが操作部材に相当する。事前ダウンシフト処理(図9)及び事前アップシフト処理(図11)が事前シフト手段としての処理に相当する。この内で、ステップS408,S410が事前シフト変更手段としての処理に相当する。変速制御処理(図5)のステップS100,S102が自動変速実行手段としての処理に相当する。シフトゲート8eが手動変速用シーケンシャルゲートに、シフトゲート8c,8dが第2ゲートに、シフトスイッチ9が位置決めセンサに相当する。シフト状態表示装置12が表示手段に相当し、表示制御処理(図14)が表示手段としての処理に相当する。
【0146】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).運転者はまだシフト切り換えを要求するタイミングでなくてもシフトレバー8aをアップ側プレシフト位置PrUPpやダウン側プレシフト位置PrDNpに移動させれば、変速機2において解放されているクラッチC1,C2側に属するスリーブS1〜S4を事前シフト状態にすることが可能となる。
【0147】
すなわち、手動変速時においては、事前シフト指示することにより事前ダウンシフト処理(図9)及び事前アップシフト処理(図11)が機能する。このことにより、実際にはシフト切り換えは実行せずに、クラッチC1,C2が解放されている方の回転動力伝達系に属する変速機構を、事前シフト指示に対応する変速比状態に切り換えておくことができる。
【0148】
したがって運転者がシフトレバー8aをアップシフト位置UPpやダウンシフト位置DNpに移動させることにより実際にシフト変更の指示をする時には、この時に解放されているクラッチ側では既に新たなシフトに対応する変速比状態にされている。したがってシフトレバー8aの操作後に、スリーブS1〜S4の駆動時間は必要としない。このためシフトレバー8aをアップシフト位置UPpやダウンシフト位置DNpに移動させたタイミングで、迅速にクラッチツウクラッチを実行でき、早期に変速が完了する。このように手動変速時の迅速性を改善することができる。
【0149】
(ロ).シフトゲート8eにおけるシフトレバー8aの移動位置は、アップシフト位置UPpに至る直前にアップ側プレシフト位置PrUPpを設けている。このため、運転者におけるアップ用事前シフト指示の意志とアップシフト指示の意志との関係と、これらの意志に基づくシフトレバー8aに対する運転者の操作との関係とが、極めて高い感覚的親和性を生じる。同様にダウンシフト位置DNpに至る直前にダウン側プレシフト位置PrDNpを設けているため、ダウンシフトに関しても極めて高い感覚的親和性を生じる。
【0150】
このことにより事前シフト指示をしたい場合には、運転者は容易にアップ側プレシフト位置PrUPpあるいはダウン側プレシフト位置PrDNpへ、シフトレバー8aを移動させることができる。
【0151】
更に、アップ側プレシフト位置PrUPpへのシフトレバー8aの移動操作の後にアップシフト位置UPpへの操作を行うことになるが、アップシフト位置UPpに至る直前にアップ側プレシフト位置PrUPpを設けていることにより、迅速なアップシフト操作が可能である。このことはダウンシフト操作についても同じであり、ダウンシフト位置DNpに至る直前にダウン側プレシフト位置PrDNpを設けているため迅速なダウンシフト操作が可能である。このことにより、より早期に変速を完了することができる。
【0152】
(ハ).自動変速モードから手動変速モードに切り換える場合には、シフトゲート8c上の自動変速モード位置ATpから、シフトゲート8dを介して手動変速用のシフトゲート8eにシフトレバー8aを移動することになる。この移動時には、シフトゲート8dの接続位置にしたがって最初にダウン側プレシフト位置PrDNpにシフトレバー8aが配置されることになる。
【0153】
通常、自動変速モードから手動変速モードに移行する時は、シフトダウンにより出力トルクアップを図る場合が多い。したがって本実施の形態のごとくシフトゲート8dを手動変速用のシフトゲート8eに直角に接続して、かつこの接続部分のシフトゲート8e側にダウン側プレシフト位置PrDNpを設けることにより、事前ダウンシフト状態へ迅速に移行でき、手動変速の操作性が高まり、迅速に変速させることができる。
【0154】
(ニ).運転者がシフトレバー8aをアップシフト位置UPpに移動させて手動によりアップシフト指示を実行した場合には、連続してアップシフトを指示する確率が高い。又、ダウンシフト指示の場合も同様であり、シフトレバー8aをダウンシフト位置DNpに移動させて手動によりダウンシフト指示を実行した場合には、連続してダウンシフトを指示する確率が高い。したがって、シフト操作装置8において、手を離せば、アップシフト位置UPpにあるシフトレバー8aをアップ側プレシフト位置PrUPpに自動的に戻すようにし、ダウンシフト位置DNpにあるシフトレバー8aをダウン側プレシフト位置PrDNpに自動的に戻すように構成している。このことにより運転者がシフトレバー8aにより、アップシフト指示やダウンシフト指示をしても、その後、自動的にそれぞれの事前シフト指示を出力させることができる。このため手動変速時の操作性が高まり、迅速に変速させることができる。
【0155】
(ホ).第1速である時には、次のシフトは第2速である確率が高い。事前ダウンシフト処理(図9)では、現在のシフトが第1速である時には(S408で「NO」)、ダウン側プレシフト位置PrDNpにシフトレバー8aが位置していても事前シフトとしては第2速を選択している(S410)。
【0156】
このことにより、この後に実際に第2速にシフトする際に、迅速にクラッチツウクラッチを実行できるようになり、早期に変速が完了する。このように現在のシフトが第1速である場合にも手動変速時の迅速性を改善することができる。
【0157】
(ヘ).シフト状態表示装置12が設けられて、表示制御処理(図14)により、実際の走行ギヤ段Grと実際の事前シフト状態を表示するように制御されている。このため運転者は現在のシフト状態が確認できるとともに、更に事前シフト状態についても、シフトレバー8aと異なった事前シフト状態、あるいはシフトレバー8a位置ではいずれか判断しにくい事前シフト状態も、明確に確認することができる。
【0158】
例えば、第1速にてシフトレバー8aをダウン側プレシフト位置PrDNpに移動した場合に、事前シフト状態は「+」(第2速側)になっていることを運転者に告知することができる。又、第6速では事前シフト状態は常に「−」(第5速側)になっていることを運転者に告知することができる。
【0159】
[実施の形態2]
本実施の形態では、前記実施の形態1のシフト操作装置8及びシフト状態表示装置12の代わりに、図16に示すシフト操作装置108及びシフト状態表示装置112を用いる。
【0160】
図16においてシフト操作装置108は、パネル108bに設けられたジグザグ状のシフトゲート108cについては、前記実施の形態1と同様に後進シフト位置Rp、ニュートラルシフト位置Np及び自動変速モード位置ATpが設けられている。前記実施の形態1と異なる点は、手動変速用のシフトゲート108eが、アップ側プレシフト位置PrUPpとダウン側プレシフト位置PrDNpとの間にニュートラル待機指示位置PrNpが設けられていることにより、5つのポジションがシフトスイッチ109により検出されている点である。そして、自動変速モード位置ATpとシフトゲート108eとの間を接続するシフトゲート108dは、ニュートラル待機指示位置PrNpでシフトゲート108eに直角に接続している。これ以外の構成は前記実施の形態1のシフト操作装置8と同じである。
【0161】
シフト状態表示装置112は、走行シフト表示部112aとプレシフト表示部112bとが存在することは前記実施の形態1と同じである。しかし、プレシフト表示部112bにおいては、プラスマーク表示部112cとマイナスマーク表示部112dとの間に、ニュートラル待機表示部112eが設けられている点が異なる。
【0162】
このような装置構成において、マイクロコンピュータとして構成されているECU106が実行する変速制御処理としては、前記実施の形態1の図6の処理の代わりに、図17に示す処理が実行される。図5については本実施の形態にても同じである。
【0163】
又、図17のステップS122〜S134は前記実施の形態1の図6にて同じステップ番号で示す処理と同じ処理である。図17において、ステップS132の判定でシフト位置SHFTがアップ側プレシフト位置PrUPp以外であると(S132で「YES」)、次にシフト位置SHFTがニュートラル待機指示位置PrNp以外であるか否かが判定される(S136)。SHFT≠PrNpであれば(S136で「YES」)、このまま一旦、変速制御処理を終了するが、シフトレバー108aがニュートラル待機指示位置PrNpに位置することで、SHFT=PrNpとなれば(S136で「NO」)、図18に示すニュートラル待機処理が実行される(S138)。
【0164】
ニュートラル待機処理(図18)では、まず現在、変速機2内の走行ギヤ段Grが、第2速、第4速、第6速以外か否かが判定される(S700)。走行ギヤ段Grが第2速、第4速、第6速のいずれかであれば(S700で「NO」)、現在、第1クラッチC1は解放状態であることから、図19に示すごとく、直ちに第1スリーブS1及び第3スリーブS3の内でニュートラル状態でないスリーブをニュートラル状態にする(S702)。尚、図19で[]で示す位置はスリーブがニュートラル状態でないことがあるため、スリーブをニュートラル状態に移動させる場合があることを示している。
【0165】
このことにより両スリーブS1,S3は共にいずれのギヤにも係合しなくなるので、第2クラッチC2及び第2クラッチ出力軸A2を介して回転駆動されている第1変速機出力軸A3により、逆に第1クラッチ出力軸A1側が回転駆動されることが防止される。このことにより第1クラッチ出力軸A1と共に回転する各ギヤI1,O1、スリーブS1、第1クラッチC1のディスク、その他の部材の回転時の摩擦によるエネルギー消費が低減できる。
【0166】
走行ギヤ段Grが第2速、第4速、第6速以外であれば(S700で「YES」)、次に走行ギヤ段Grが第1速、第3速、第5速以外か否かが判定される(S704)。走行ギヤ段Grが第1速、第3速、第5速のいずれかであれば(S704で「NO」)、現在、第2クラッチC2は解放状態であることから、図19に示したごとく、直ちに第2スリーブS2及び第4スリーブS4の内でニュートラル状態でないスリーブをニュートラル状態にする(S706)。このことにより、両スリーブS2,S4は共にいずれのギヤにも係合しなくなるので、第1クラッチC1及び第1クラッチ出力軸A1を介して回転駆動されている第1変速機出力軸A3により、逆に第2クラッチ出力軸A2が回転駆動されることが防止される。このことにより第2クラッチ出力軸A2と共に回転するギヤI2,IR,O2,OR、スリーブS2、第2クラッチC2のディスク、その他の部材の回転時の摩擦によるエネルギー消費が低減できる。
【0167】
走行ギヤ段Grが第1速、第3速、第5速以外であれば(S704で「YES」)、このまま一旦本処理を終了する。
尚、本実施の形態では、前記実施の形態1と異なり、図19に示したごとく、第6速の場合、第1スリーブS1は「I5」から「N」に変更される可能性が生じる。このため、前記実施の形態1と異なり、ダウンシフト処理(図7)においてGr=第6速であると判定された場合には(S232で「YES」)、第1スリーブS1を「I5」に戻す処理が、クラッチツウクラッチ(S240)の前に実行される。同様にアップシフト処理(図8)においてGr=第6速であると判定された場合にも(S336で「YES」)、第1スリーブS1を「I5」に戻す処理が、クラッチツウクラッチ(S344)の前に実行される。更に、事前ダウンシフト処理(図9)においてもGr=第6速であると判定された場合には(S424で「YES」)、第1スリーブS1を「I5」に戻す処理が実行される。同様に事前アップシフト処理(図11)においてGr=第6速であると判定された場合にも(S524で「YES」)、第1スリーブS1を「I5」に戻す処理が実行される。
【0168】
ECU106が実行する表示制御処理としては、前記実施の形態1の図14の表示制御処理の代わりに、図20に示す処理が周期的に繰り返し実行される。表示制御処理(図20)では、まず、現在の実際の走行ギヤ段Grに応じて走行シフト表示部112aに表示がなされる(S800)。この処理は図14のステップS600と同じである。尚、図16では、数字「1」の表示により走行ギヤ段Gr=第1速であることを示している。
【0169】
次に走行シフト表示部112aに表示された現在の走行ギヤ段Grに対する解放クラッチ側のスリーブ位置がダウンシフト状態以外か否かが判定される(S802)。この判定処理は図14のステップS602と同じであり実際のシフトに対応して前記図15(A)に表された状態であれば(S802で「NO」)、プラスマーク表示部112cは消灯状態にされ、マイナスマーク表示部112dは点灯状態にされ、ニュートラル待機表示部112eは消灯状態とされる(S804)。
【0170】
一方、図15(A)に対応しない場合には(S802で「YES」)、次に走行シフト表示部112aに表示された現在の走行ギヤ段Grに対する解放クラッチ側のスリーブ位置がアップシフト状態以外か否かが判定される(S806)。すなわち実際のシフトに対応して前述した図15(B)に表された状態であれば(S806で「NO」)、プラスマーク表示部112cは点灯状態にされ、マイナスマーク表示部112dは消灯状態にされ、ニュートラル待機表示部112eは消灯状態とされる(S808)。
【0171】
一方、図15(B)に対応しない場合には(S806で「YES」)、次に走行シフト表示部112aに表示された現在の走行ギヤ段Grに対する解放クラッチ側のスリーブ位置がニュートラル状態以外か否かが判定される(S810)。すなわち実際のシフトに対応して前述した図19に表された状態であれば(S810で「NO」)、プラスマーク表示部112cは消灯状態にされ、マイナスマーク表示部112dは消灯状態にされ、ニュートラル待機表示部112eは点灯状態とされる(S812)。
【0172】
例えば、現在の走行ギヤ段Grが第1速、第3速、第5速のいずれかである場合には、第2クラッチC2側が解放されている。このため、図19に示したごとく第2スリーブS2と第4スリーブS4とが共にニュートラル位置にあると、解放クラッチ側のスリーブ位置がニュートラル状態にあると判断する(S810で「NO」)。
【0173】
Grが第2速、第4速、第6速のいずれかである場合には、第1クラッチC1側が解放されているため、図19に示したごとく第1スリーブS1と第3スリーブS3とが共にニュートラル位置にあると、解放クラッチ側のスリーブ位置がニュートラル状態にあると判断する(S810で「NO」)。
【0174】
そして図19に示す状態にも当てはまらない場合、すなわちニュートラルシフト状態や後進シフト状態では(S810で「YES」)、プラスマーク表示部112c、マイナスマーク表示部112d及びニュートラル待機表示部112eは全て消灯状態とされる(S814)。
【0175】
上述した構成において、ニュートラル待機処理(図18)がニュートラル化手段としての処理に相当する。事前アップシフト処理(図11)においてGr=第6速であると判定された場合に(S524で「YES」)行われる第1スリーブS1を「I5」に戻す処理が事前シフト変更手段としての処理に相当する。
【0176】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).運転者は、シフトレバー8aをニュートラル待機指示位置PrNpに移動させれば、変速機2において解放されているクラッチC1,C2側に属する変速機構におけるスリーブをニュートラル位置にすることが可能となっている。
【0177】
このことにより運転者が実際にシフト変更の指示をする時には、解放されているクラッチC1,C2側に属する変速機構は、ニュートラル位置にあるスリーブを新たなシフトに対応する状態へ駆動すれば良いことになる。このため運転者のシフト操作後に行われるギヤの切り換え処理時間が短くなる。この場合には、シフト操作の方向がアップ側にもダウン側にも対処できることになり、シフト操作の方向を選ばない。
【0178】
更に、ニュートラル待機指示を実行した場合には、前述のごとく省エネ効果が生じる。このため、運転者は、変速有無にかかわらず、シフト操作装置108にてシフトレバー108aをニュートラル待機指示位置PrNpに移動させてニュートラル待機指示をすることにより省エネ効果が生じさせることができる。
【0179】
(ロ).シフト操作装置108は、アップ側プレシフト位置PrUPpとダウン側プレシフト位置PrDNpとの間に、ニュートラル待機指示位置PrNpを設けている。このため、運転者における各事前シフト指示の意志とニュートラル待機指示の意志との関係と、これらの意志に基づく運転者のシフトレバー108aの操作とが、極めて高い感覚的親和性を生じる。
【0180】
このことによりニュートラル待機指示をしたい場合には、運転者は容易にニュートラル待機指示位置PrNpへシフトレバー108aを移動させることができる。
【0181】
(ハ).シフト状態表示装置112では、表示制御処理(図20)により、解放されているクラッチC1,C2側のスリーブがニュートラル位置にされている場合には、ニュートラル待機表示部112eを点灯し、ニュートラル位置にない場合には、ニュートラル待機表示部112eを消灯している。
【0182】
このため運転者は現在のシフト状態及び事前シフト状態ばかりでなく、ニュートラル待機状態も明確に確認することができる。
(ニ).前記実施の形態1の(イ)、(ロ)、(ニ)〜(ヘ)の効果が得られる。
【0183】
(ホ).最高速のシフト、ここでは第6速である時には、次のシフトは1段下の第5速となるはずである。本実施の形態での事前ダウンシフト処理においても事前アップシフト処理においても、Gr=第6速であると判定された場合には、事前シフトとしては第5速を選択している。
【0184】
このことにより、ニュートラル待機処理により第1スリーブS1がニュートラル状態になっていたとしても第5速ドライブギヤI5との係合状態に戻すことができる。したがって、この後に実際に第5速にシフトする際には、迅速にクラッチツウクラッチを実行できるようになり早期に変速が完了する。このように現在のシフトが第6速である場合にも手動変速時の迅速性を改善することができる。
【0185】
[実施の形態3]
本実施の形態では、前記実施の形態1とは異なり、シーケンシャルシフト操作のために、図21,22に示すパドル型シフト操作装置208を用いる。後進シフト位置Rp、ニュートラルシフト位置Np、自動変速モード位置ATp及びパドルシフト選択位置PSp(あるいは手動変速モード位置MTp)の選択については、別途、レバー型シフト操作装置209が設けられている。このレバー型シフト操作装置209においてパドルシフト選択位置PSp(あるいは手動変速モード位置MTp)にシフトレバーが移動されている場合に、パドル型シフト操作装置208による変速が可能となる。
【0186】
図21はパドル型シフト操作装置208の右側面、図22は同じく左側面の概略を表している。尚、図23はハンドル210の正面から見たパドル型シフト操作装置208の配置状態を示している。これ以外の装置構成については前記実施の形態1と同じである。尚、同一構成のものについては同一の符号にて示している。
【0187】
パドル型シフト操作装置208は、ハンドル210の軸部210aから左右にそれぞれ突出して設けられた2つのパドル部208a,208bと2つのパドル位置決めスイッチ部208c,208dとを備えている。右側パドル部208aはハンドル210の軸部210aの右側部分に設けられたパドル位置決めスイッチ部208cを中心として揺動することで、ハンドル210に対して図21に破線で示すごとく移動可能とされている。ここでハンドル210に最も近い位置はアップシフト位置UPp、次に近い位置はアップ側プレシフト位置PrUPp、最も離れた位置はダウン側プレシフト位置PrDNpとされている。運転者はハンドル210を握っている手の指により、ハンドル210に対して右側パドル部208aを近接させたり離間させたりすることで、3つのシフト位置UPp,PrUPp,PrDNpに右側パドル部208aを移動させることができる。尚、この内、右側パドル部208aの安定位置は、アップ側プレシフト位置PrUPpとダウン側プレシフト位置PrDNpとの2つである。運転者が右側パドル部208aをアップシフト位置UPpに移動させた場合には、その後に指の力を抜けば、右側パドル部208aはアップシフト位置UPpからアップ側プレシフト位置PrUPpに自ずと戻るようにパドル位置決めスイッチ部208c内部にスプリング等の付勢手段が設けられている。
【0188】
左側パドル部208bはハンドル210の軸部210aの左側部分に設けられたパドル位置決めスイッチ部208dを中心として揺動することで、ハンドル210に対して図22に破線で示すごとく移動可能とされている。ここでハンドル210に最も近い位置はダウンシフト位置DNp、次に近い位置はダウン側プレシフト位置PrDNp、最も離れた位置はアップ側プレシフト位置PrUPpとされている。運転者はハンドル210を握っている手の指により、ハンドル210に対して左側パドル部208bを近接させたり離間させたりすることで、3つのシフト位置DNp,PrDNp,PrUPpに左側パドル部208bを移動させることができる。尚、この内、左側パドル部208bの安定位置は、ダウン側プレシフト位置PrDNpとアップ側プレシフト位置PrUPpとの2つである。運転者が左側パドル部208bをダウンシフト位置DNpに移動させた場合には、その後に指の力を抜けば、左側パドル部208bはダウンシフト位置DNpからダウン側プレシフト位置PrDNpに自ずと戻るようにパドル位置決めスイッチ部208d内部にスプリング等の付勢手段が設けられている。
【0189】
更に、左右のパドル位置決めスイッチ部208c,208dは、2つのパドル部208a,208bの一方がアップ側プレシフト位置PrUPpに移動された場合には、他方もアップ側プレシフト位置PrUPpに移動するように内部的に連動されている。同様に、一方がダウン側プレシフト位置PrDNpに移動された場合には、他方もダウン側プレシフト位置PrDNpに移動するようにされている。したがって、右側パドル部208aと左側パドル部208bとが異なるプレシフト位置に同時に配置されることはなく、更に右側パドル部208aがアップシフト位置UPpにあると同時に左側パドル部208bがダウンシフト位置DNpにあるという状況も生じない。
【0190】
ECU206はデジタルコンピュータとして構成されている。ECU206には、パドル型シフト操作装置208からのパドルシフト位置SHFTp信号、レバー型シフト操作装置209からレバーシフト位置SHFTl信号、スリーブ位置センサからのスリーブ位置SLVP信号、クラッチセンサからのクラッチCLP信号が入力されている。またその他にも、エンジン回転数センサからの回転数NE信号、車速センサからの車速SPD信号、スロットル開度センサからのスロットル開度TA信号(あるいはアクセル開度センサからのアクセル開度ACCP信号)等の制御上必要なデータを検出するための信号等がECU206に入力されている。又、エンジン制御用のECU14との間で、相互にデータ通信を実行して、制御に必要なデータを相互に伝達している。
【0191】
そしてECU206は、上述した各種の情報に基づいて、レバー型シフト操作装置209からのレバーシフト位置SHFTl信号が後進シフト位置Rpである場合にはSHFT=Rp、ニュートラルシフト位置Npである場合にはSHFT=Np、自動変速モード位置ATpである場合にはSHFT=ATpとする。又、レバーシフト位置SHFTl信号がパドルシフト選択位置PSpである場合に限って、パドル型シフト操作装置208からのパドルシフト位置SHFTp信号に基づいてシフト位置SHFTを決定する。
【0192】
すなわち右側パドル部208aがアップシフト位置UPpにあればSHFT=UPpとする。両パドル部208a,208bがアップ側プレシフト位置PrUPpにあればSHFT=PrUPpとする。左側パドル部208bがダウンシフト位置DNpにあればSHFT=DNpとする。両パドル部208a,208bがダウン側プレシフト位置PrDNpであればSHFT=PrDNpとする。
【0193】
このようにして決定されたシフト位置SHFTに応じて、前記実施の形態1にて説明した変速制御処理(図5,6)、ダウンシフト処理(図7)、アップシフト処理(図8)、事前ダウンシフト処理(図9)及び事前アップシフト処理(図11)を実行する。このことにより目的とするシフトを実現するために油圧アクチュエータ6aにより前記実施の形態1の図2,10,12に示した変速機2の内部状態を実現している。更に、表示制御処理(図14)を実行して変速機2の内部状態をシフト状態表示装置12に表示している。
【0194】
上述した構成において、パドル部208a,208bがシフトパドルに、パドル位置決めスイッチ部208c,208dが位置決めセンサに相当する。
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
【0195】
(イ).このようなハンドル210の軸部210aに設けたパドル型シフト操作装置208を用いても、前記実施の形態1の(イ)、(ロ)、(ニ)〜(ヘ)の効果を生じさせることができる。
【0196】
[実施の形態4]
本実施の形態では、前記実施の形態2のシフト操作装置108の代わりに、図24,25に示すパドル型シフト操作装置308とレバー型シフト操作装置209とを適用したものである。図24はパドル型シフト操作装置308の右側面、図25は左側面の概略を表している。尚、ハンドル310の正面から見た状態は前記実施の形態3に示した図23と違いはない。又、レバー型シフト操作装置209は前記実施の形態3にて説明したごとくである。これ以外の装置構成については前記実施の形態2と同じである。尚、同一構成のものについては同一の符号にて示している。
【0197】
パドル型シフト操作装置308は、ハンドル310の軸部310aから左右にそれぞれ突出して設けられた2つのパドル部308a,308bと2つのパドル位置決めスイッチ部308c,308dとを備えて、各パドル部308a,308bが3つの位置に移動できる点については前記実施の形態3と同じである。ただし、右側パドル部308aは、ハンドル310に最も近い位置はアップシフト位置UPpであり、次に近い位置はアップ側プレシフト位置PrUPpであるが、最も離れた位置はニュートラル待機指示位置PrNpとされている。尚、この内、右側パドル部308aの安定位置は、アップ側プレシフト位置PrUPpとニュートラル待機指示位置PrNpとの2つである。運転者が右側パドル部308aをアップシフト位置UPpに移動させた場合には、その後に指の力を抜けば、右側パドル部308aはアップシフト位置UPpからアップ側プレシフト位置PrUPpに自ずと戻るようにパドル位置決めスイッチ部308c内部にスプリング等の付勢手段が設けられている。
【0198】
又、左側パドル部308bは、ハンドル310に最も近い位置はダウンシフト位置DNpであり、次に近い位置はダウン側プレシフト位置PrDNpであるが、最も離れた位置はニュートラル待機指示位置PrNpとされている。尚、この内、左側パドル部308bの安定位置は、ダウン側プレシフト位置PrDNpとニュートラル待機指示位置PrNpとの2つである。運転者が左側パドル部308bをダウンシフト位置DNpに移動させた場合には、その後に指の力を抜けば、左側パドル部308bはダウンシフト位置DNpからダウン側プレシフト位置PrDNpに自ずと戻るようにパドル位置決めスイッチ部308d内部にスプリング等の付勢手段が設けられている。
【0199】
更に、左右のパドル位置決めスイッチ部308c,308dは、右側パドル部308aがアップ側プレシフト位置PrUPpに移動された場合には、左側パドル部308bはニュートラル待機指示位置PrNpに移動するように内部的に連動されている。同様に、左側パドル部308bがダウン側プレシフト位置PrDNpに移動された場合には、右側パドル部308aはニュートラル待機指示位置PrNpに移動するように内部的に連動されている。したがって、右側パドル部308aがアップ側プレシフト位置PrUPp又はアップシフト位置UPpにある時は左側パドル部308bは必ずニュートラル待機指示位置PrNpにある。左側パドル部308bがダウン側プレシフト位置PrDNp又はダウンシフト位置DNpにある時は右側パドル部308aは必ずニュートラル待機指示位置PrNpにある。ただし、本実施の形態のパドル位置決めスイッチ部308c,308dは、右側パドル部308aと左側パドル部308bとが同時にニュートラル待機指示位置PrNpとなることを許している。
【0200】
ECU306は、デジタルコンピュータとして構成され、前記実施の形態3のECU206と同様に制御上必要な情報を得るための各種の信号が入力されている。そしてECU306は、これらの各種情報に基づいて、レバー型シフト操作装置209からのレバーシフト位置SHFTl信号が後進シフト位置Rpである場合にはSHFT=Rp、ニュートラルシフト位置Npである場合にはSHFT=Np、自動変速モード位置ATpである場合にはSHFT=ATpとする。又、レバーシフト位置SHFTl信号がパドルシフト選択位置PSpである場合に限って、パドル型シフト操作装置308からのパドルシフト位置SHFTp信号に基づいてシフト位置SHFTを決定する。
【0201】
すなわち右側パドル部308aがアップシフト位置UPpにあればSHFT=UPpとする。右側パドル部308aがアップ側プレシフト位置PrUPpにあればSHFT=PrUPpとする。左側パドル部308bがダウンシフト位置DNpにあればSHFT=DNpとする。左側パドル部308bがダウン側プレシフト位置PrDNpであればSHFT=PrDNpとする。両パドル部308a,308bがともにニュートラル待機指示位置PrNpにあればSHFT=PrNpとする。
【0202】
このようにして決定されたシフト位置SHFTに応じて、前記実施の形態2にて説明した変速制御処理(図5,17)、ダウンシフト処理(図7)、アップシフト処理(図8)、事前ダウンシフト処理(図9)、事前アップシフト処理(図11)及びニュートラル待機処理(図18)を実行する。このことにより、目的とするシフトを実現するために油圧アクチュエータ6aにより前記図2,10,12,19に示した変速機2の内部状態を実現している。更に、表示制御処理(図20)を実行して変速機2の内部状態をシフト状態表示装置112に表示している。
【0203】
上述した構成において、パドル部308a,308bがシフトパドルに、パドル位置決めスイッチ部308c,308dが位置決めセンサに相当する。
以上説明した本実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
【0204】
(イ).このようなハンドル310の軸部に設けたパドル型シフト操作装置308を用いても、前記実施の形態2の(イ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)の効果を生じさせることができる。
【0205】
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態1において、事前ダウンシフト(図9)にてGr=第1速であった場合に(S408で「NO」)、第4スリーブS4を第2速ドリブンギヤO2に係合することにより(S410)、第2速にアップシフトする準備をしていた。この代わりに、ステップS410では、第4スリーブS4をニュートラル位置にしても良い。あるいはステップS410では特に処理をしなくても良い。
【0206】
又、事前アップシフト(図11)にてGr=第6速であった場合に(S524で「YES」)、特に処理をしなかったが、この代わりに、第1スリーブS1をニュートラル位置にしても良い。
【0207】
(b).前記実施の形態1,2では、シフトスイッチ9,109にてシフトレバー8a,108aの位置を検出していたが、手動変速用のシフトゲート8e,108eについてはスイッチでなく、移動位置をストロークセンサにて検出しても良い。
【0208】
(c).前記実施の形態1において、手動変速では、シフトレバー8aによりアップシフト位置UPp、アップ側プレシフト位置PrUPp、ダウン側プレシフト位置PrDNp及びダウンシフト位置DNpを指示していた。これ以外に、図26に示すごとくシフトレバー408aでは、アップシフト位置UPp、手動変速モード位置MTp及びダウンシフト位置DNpを指示し、アップ側プレシフト指示及びダウン側プレシフト指示については、別途、プレシフト選択スイッチ410を設けても良い。ここでプレシフト選択スイッチ410はアップ側プレシフト選択スイッチ410aとダウン側プレシフト選択スイッチ410bとから構成されている。両選択スイッチ410a,410bは、いずれかが「ON」で有れば他は「OFF」になるように構成されている。
【0209】
このプレシフト選択スイッチ410が有効なのは、シフトレバー408aが手動変速モード位置MTpに存在する時である。この時に、図示のごとくアップ側プレシフト選択スイッチ410aが押されると前記事前アップシフト処理(図11)が実行され、ダウン側プレシフト選択スイッチ410bが押されるとと前記事前ダウンシフト処理(図9)が実行される。
【0210】
尚、シフトレバー408aが他の位置UPp、DNp、ATp、Np、Rpにある時は前記実施の形態1にて説明したごとくである。このことにより前記実施の形態1の効果の内で(ロ)、(ハ)、(ニ)以外の効果を生じさせることができる。
【0211】
又、図27に示すごとく手動変速でのシフトレバー428a自体の移動では、アップシフト位置UPp、手動変速モード位置MTp及びダウンシフト位置DNpを指示する構成にする。そして、アップ側プレシフト指示及びダウン側プレシフト指示については、シフトレバー428aに設けられたプレシフト選択スイッチ430にて実行するようにしても良い。ここでプレシフト選択スイッチ430が有効なのは、シフトレバー428aが手動変速モード位置MTpに存在する時である。この時に、プレシフト選択スイッチ430が押されると前記事前ダウンシフト処理(図9)が実行され、プレシフト選択スイッチ430が戻されると前記事前アップシフト処理(図11)が実行される。この場合も、シフトレバー428aが他の位置UPp、DNp、ATp、Np、Rpにある時は前記実施の形態1にて説明したごとくである。このことにより前記実施の形態1の効果の内で(ロ)、(ハ)、(ニ)以外の効果を生じさせることができる。
【0212】
(d).前記実施の形態3においては、右側パドル部208aは、アップシフト位置UPp、アップ側プレシフト位置PrUPp及びダウン側プレシフト位置PrDNpがハンドル210側から順次配置されていた。更に、左側パドル部208bは、ダウンシフト位置DNp、ダウン側プレシフト位置PrDNp及びアップ側プレシフト位置PrUPpがハンドル210側から順次配置されていた。しかし、これ以外の配列順序でも良い。例えば、上記とは反対の配列順序にしても良い。
【0213】
(e).前記実施の形態2において、手動変速では、シフトレバー108aによりアップシフト位置UPp、アップ側プレシフト位置PrUPp、ニュートラル待機指示位置PrNp、ダウン側プレシフト位置PrDNp及びダウンシフト位置DNpを指示していた。これ以外に、図28に示すごとくシフトレバー448aでは、アップシフト位置UPp、アップ側プレシフト位置PrUPp、ダウン側プレシフト位置PrDNp及びダウンシフト位置DNpを指示し、ニュートラル待機指示については、別途、ニュートラル待機指示選択スイッチ450を設けても良い。ここでニュートラル待機指示選択スイッチ450が有効なのは、シフトレバー448aがアップシフト位置UPp、アップ側プレシフト位置PrUPp、ダウン側プレシフト位置PrDNp及びダウンシフト位置DNpのいずれかに存在する時である。この時に、ニュートラル待機指示選択スイッチ450が押されることにより、前記ニュートラル待機処理(図18)が実行される。すなわち事前ダウンシフト処理(図9)や事前アップシフト処理(図11)が実行されていてもキャンセルされて、ニュートラル待機処理(図18)が実行されることになる。
【0214】
尚、シフトレバー448aが各位置UPp、PrUPp、DNp、PrDNp、ATp、Np、Rpにある時は前記実施の形態2にて説明したごとくである。このことにより前記実施の形態2の効果の内で(ロ)以外の効果を生じさせることができる。
【0215】
(f).前記各実施の形態1〜4においては、シフト状態表示装置12,112のプレシフト表示部12b,112bでは、事前シフト状態をプラスマーク表示部12c,112cとマイナスマーク表示部12d,112dとで告知していた。これに代えて、図29で示すごとく、プレシフト表示部512bにおいては、事前シフト状態を事前シフト表示部512cにて直接文字「1〜6」で告知しても良い。尚、走行シフト表示部512aは各実施の形態1〜4の走行シフト表示部12a,112aと同じ告知を実行し、プレシフト表示部512bにおけるニュートラル待機表示部512dはニュートラル待機表示部112eと同じ告知を実行する。
【0216】
又、ニュートラル待機表示部512dを設けずに、事前シフト表示部512cにて「N」と表示することにより、ニュートラル待機状態を告知しても良い。あるいは事前シフト表示部512cを消灯させることにより、ニュートラル待機状態を告知しても良い。
【0217】
又、前記実施の形態2,4(図16,24)に示したシフト状態表示装置112においてもニュートラル待機表示部112eは設けずに、2つのマーク表示部112c,112dを消灯させることにより、ニュートラル待機状態を告知しても良い。
【0218】
(g).シフトレバー8a,108a,408a,428a,448aあるいはパドル部208a,208b,308a,308bを移動させることにより、事前シフト指示をしても、変速機2内でのギアの噛み合いが迅速にできず切り換えが完了できない状態、いわゆるアップロック状態となることがある。このアップロック状態では、プレシフト表示部12b,112b,512bを点滅させることにより事前シフトが完了していないことを運転者に告知するようにしても良い。この場合、プレシフト表示部12b,112bでは、事前シフト指示に該当する側のプラスマーク表示部12c,112c又はマイナスマーク表示部12d,112dを点滅させることにより告知しても良い。
【0219】
(h).プレシフト表示部12b,112b,512bは、手動変速モードのみでなく、自動変速モード時においても、クラッチC1,C2が解放されている方のスリーブの状態を告知する機能も果たすようにしても良い。
【0220】
(i).パドル型シフト操作装置208,308は、ハンドル210,310の軸部210a,310aに設けたが、ステアリングホイールに設けても良い。
(j).前記シフトレバーを用いたシフト操作装置では、シーケンシャルシフトポジションとして形成されて、手動変速指示位置は、前方側がアップ側、後方側がダウン側に設定していたが、この逆に前方側がダウン側、後方側がアップ側に設定しても良い。
【0221】
(k).事前シフト指示やニュートラル待機指示のためにシフト操作装置に指示位置を設けたり選択スイッチを設けたりしていたが、これ以外にシフトレバーにかかる荷重を検出して、この荷重の程度により事前シフト指示やニュートラル待機指示を判断するようにしても良い。
【0222】
(l).前記実施の形態2,4のシフト操作装置108,308の手動変速では、シフト位置UPp,DNp以外に、ニュートラル待機指示位置PrNpとプレシフト位置PrUPp,PrDNpとの両方が設けられていた。これ以外に、プレシフト位置PrUPp,PrDNpを無くして、シフト位置UPp,DNp以外はニュートラル待機指示位置PrNpのみでも良い。そして、事前ダウンシフト処理(図9)と事前アップシフト処理(図11)が実行されないのみで、他の構成は前記実施の形態2,4に記載したごとくである。このことにより、前記実施の形態2に記載した(イ)、(ハ)の効果を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の変速機及びその制御システムのブロック図。
【図2】上記変速機の各シフトにおけるクラッチとスリーブの状態説明図。
【図3】実施の形態1のシフト操作装置の構成説明図。
【図4】上記シフト操作装置の動作説明図。
【図5】実施の形態1のECUが実行する変速制御処理の一部のフローチャート。
【図6】同じく変速制御処理の一部のフローチャート。
【図7】同じくダウンシフト処理のフローチャート。
【図8】同じくアップシフト処理のフローチャート。
【図9】同じく事前ダウンシフト処理のフローチャート。
【図10】上記事前ダウンシフト処理におけるクラッチとスリーブの状態説明図。
【図11】実施の形態1のECUが実行する事前アップシフト処理のフローチャート。
【図12】上記事前アップシフト処理におけるクラッチとスリーブの状態説明図。
【図13】実施の形態1のシフト状態表示装置の構成説明図。
【図14】実施の形態1のECUが実行する表示制御処理のフローチャート。
【図15】上記表示制御処理にて表示内容を決定するためのスリーブ状態説明図。
【図16】実施の形態2のシフト操作装置とシフト状態表示装置との構成説明図。
【図17】実施の形態2のECUが実行する変速制御処理の一部のフローチャート。
【図18】同じくニュートラル待機処理のフローチャート。
【図19】上記ニュートラル待機処理におけるクラッチとスリーブの状態説明図。
【図20】実施の形態2のECUが実行する表示制御処理のフローチャート。
【図21】実施の形態3のシフト操作装置とシフト状態表示装置との構成説明図。
【図22】同じくシフト操作装置の構成説明図。
【図23】同じくシフト操作装置の構成説明図。
【図24】実施の形態4のシフト操作装置とシフト状態表示装置との構成説明図。
【図25】同じくシフト操作装置の構成説明図。
【図26】他のシフト操作装置の構成説明図。
【図27】他のシフト操作装置の構成説明図。
【図28】他のシフト操作装置の構成説明図。
【図29】他のシフト状態表示装置の構成説明図。
【符号の説明】
2…変速機、4…入力軸、6…ECU、6a…油圧アクチュエータ、8…シフト操作装置、8a…シフトレバー、8b…パネル、8c,8d…シフトゲート、8e…手動変速用のシフトゲート、9…シフトスイッチ、10…スリーブ位置センサ、11…クラッチセンサ、12…シフト状態表示装置、12a…走行シフト表示部、12b…プレシフト表示部、12c…プラスマーク表示部、12d…マイナスマーク表示部、14…エンジン制御用のECU、106…ECU、108…シフト操作装置、108a…シフトレバー、108b…パネル、108c,108d…シフトゲート、108e…手動変速用のシフトゲート、109…シフトスイッチ、112…シフト状態表示装置、112a…走行シフト表示部、112b…プレシフト表示部、112c…プラスマーク表示部、112d…マイナスマーク表示部、112e…ニュートラル待機表示部、206…ECU、208…パドル型シフト操作装置、208a…右側パドル部、208b…左側パドル部、208c,208d…スイッチ部、209…レバー型シフト操作装置、210…ハンドル、210a…軸部、306…ECU、308…パドル型シフト操作装置、308a…右側パドル部、308b…左側パドル部、308c,308d…スイッチ部、310…ハンドル、310a…軸部、408a…シフトレバー、410…プレシフト選択スイッチ、410a…アップ側プレシフト選択スイッチ、410b…ダウン側プレシフト選択スイッチ、428a…シフトレバー、430…プレシフト選択スイッチ、448a…シフトレバー、450…ニュートラル待機指示選択スイッチ、512a…走行シフト表示部、512b…プレシフト表示部、512c…事前シフト表示部、512d…ニュートラル待機表示部、A1…第1クラッチ出力軸、A2…第2クラッチ出力軸、A3…第1変速機出力軸、A4…第2変速機出力軸、C1…第1クラッチ、C2…第2クラッチ、G1…ドライブギヤ、G2…ドリブンギヤ、Gr…走行ギヤ段、I1…第1速ドライブギヤ、I2…第2速ドライブギヤ、I3…第3速ドライブギヤ、I4…第4速ドライブギヤ、I5…第5速ドライブギヤ、I6…第6速ドライブギヤ、IR…後進ドライブギヤ、MR…後進アイドラギヤ、O1…第1速ドリブンギヤ、O2…第2速ドリブンギヤ、O3…第3速ドリブンギヤ、O4…第4速ドリブンギヤ、O5…第5速ドリブンギヤ、O6…第6速ドリブンギヤ、OR…後進ドリブンギヤ、S1…第1スリーブ、S2…第2スリーブ、S3…第3スリーブ、S4…第4スリーブ、ATp…自動変速モード位置、DNp…ダウンシフト位置、MTp…手動変速モード位置、Np…ニュートラルシフト位置、PrDNp…ダウン側プレシフト位置、PrUPp…アップ側プレシフト位置、PrNp…ニュートラル待機指示位置、Rp…後進シフト位置、UPp…アップシフト位置。

Claims (25)

  1. クラッチと変速機構とを直列に組み合わせた回転動力伝達系を、入力軸と出力軸との間に複数並列に設けた複数クラッチ式変速機のシフト切り換えを実行するに際して、クラッチを解放している前記回転動力伝達系の内で要求されるシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、要求されるシフトに対応する変速比状態へ切り換えた後に、今までクラッチを係合して回転動力を伝達していた回転動力伝達系に属するクラッチを解放し、かつ前記要求されるシフトを実現できる回転動力伝達系に属するクラッチを係合することでシフト切り換えを実行する複数クラッチ式変速機のシフト制御装置であって、
    運転者によるアップシフトとダウンシフトとの指示以外に、運転者による事前シフト指示が可能なシフト操作機構と、
    前記シフト操作機構にて事前シフト指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系の内で前記事前シフト指示に対応するシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、前記事前シフト指示に対応する変速比状態に切り換えておく事前シフト手段と、
    を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  2. 請求項1において、前記シフト操作機構は、運転者による操作部材の位置移動により、アップシフトとダウンシフトとの指示を可能とする機構であり、アップシフト指示位置に至る直前にアップ用事前シフト指示位置と、ダウンシフト指示位置に至る直前にダウン用事前シフト指示位置とを設けることにより、運転者によりアップ用事前シフト指示とダウン用事前シフト指示とが可能とされているとともに、
    前記事前シフト手段は、前記シフト操作機構にてアップ用事前シフト指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系の内で現在のシフトよりアップ側のシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、現在のシフトよりアップしたシフトに対応する変速比状態に切り換えておき、前記シフト操作機構にてダウン用事前シフト指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系の内で現在のシフトよりダウン側のシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、現在のシフトよりダウンしたシフトに対応する変速比状態に切り換えておくことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  3. 請求項2において、前記シフト操作機構は、直線形状の手動変速用シーケンシャルゲートと、該手動変速用シーケンシャルゲート内にて移動するシフトレバーと、該シフトレバーの位置を決定する位置決めセンサとを備えて、該位置決めセンサにより指示位置を決定するとともに、前記手動変速用シーケンシャルゲートの一方の端部にアップシフト指示位置が、他方の端部にダウンシフト指示位置が、前記アップシフト指示位置の中央側に隣接してアップ用事前シフト指示位置が、前記ダウンシフト指示位置の中央側に隣接してダウン用事前シフト指示位置が設定されていることを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  4. 請求項2において、前記シフト操作機構は、ハンドル又はステアリングコラムに設けたシフトパドルと、該シフトパドルの揺動位置を決定する位置決めセンサとを備えて、該位置決めセンサにより指示位置を決定することを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  5. 請求項4において、前記シフトパドルは、ハンドル又はステアリングコラムから左右に2つ設けられ、一方のシフトパドルの揺動位置にアップシフト指示位置及び該アップシフト指示位置の直前にアップ用事前シフト指示位置が設定され、他方のシフトパドルの揺動位置にダウンシフト指示位置及び該ダウンシフト指示位置の直前にダウン用事前シフト指示位置が設定されていることを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記シフト操作機構は、運転者によるニュートラル待機指示が可能とされているとともに、
    前記シフト操作機構にてニュートラル待機指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構をニュートラル状態に切り換えるニュートラル化手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  7. 請求項3において、前記シフト操作機構は、アップ用事前シフト指示位置とダウン用事前シフト指示位置との間に、ニュートラル待機指示位置が設定されているとともに、
    前記シフト操作機構にてニュートラル待機指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構をニュートラル状態に切り換えるニュートラル化手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  8. 請求項5において、両方の前記シフトパドルの揺動位置にそれぞれニュートラル待機指示位置が設定されているとともに、
    両方の前記シフトパドルにてニュートラル待機指示がなされた場合に限って、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構をニュートラル状態に切り換えるニュートラル化手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかにおいて、前記シフト操作機構は、自動変速モード指示位置が設定されているとともに、
    前記シフト操作機構にて自動変速モード指示がなされた場合には、前記複数クラッチ式変速機に対して自動変速制御を実行する自動変速実行手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  10. 請求項3において、前記シフト操作機構は、前記直線形状の手動変速用シーケンシャルゲートに略直角に接続して設けられた第2ゲート上に自動変速モード指示位置を設け、
    前記位置決めセンサにより前記シフトレバーが自動変速モード指示位置にあるとされた場合には、前記複数クラッチ式変速機に対して自動変速制御を実行する自動変速実行手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  11. 請求項10において、前記第2ゲート上の自動変速モード指示位置から、前記手動変速用シーケンシャルゲートに前記シフトレバーが移動した時には、前記シフトレバーは最初にダウン用事前シフト指示位置となるように、前記手動変速用シーケンシャルゲートに対する前記第2ゲートの接続位置が設定されていることを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  12. 請求項3,7,10,11のいずれかにおいて、前記シフトレバーがアップシフト指示位置に存在する場合には、該シフトレバーをアップ用事前シフト指示位置に戻す付勢力を与える付勢手段と、前記シフトレバーがダウンシフト指示位置に存在する場合には、該シフトレバーをダウン用事前シフト指示位置に戻す付勢力を与える付勢手段とを備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  13. 請求項4,5,8のいずれかにおいて、前記シフトパドルがアップシフト指示位置に存在する場合には、該シフトパドルをアップ用事前シフト指示位置に戻す付勢力を与える付勢手段と、前記シフトパドルがダウンシフト指示位置に存在する場合には、該シフトパドルをダウン用事前シフト指示位置に戻す付勢力を与える付勢手段とを備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  14. 請求項1〜13のいずれかにおいて、前記シフト操作機構にて事前シフト指示がなされた場合に、前記事前シフト指示に対応するシフトが、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構おいて実現できない場合には、前記事前シフト手段に対して、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構を、予め設定したシフトに対応する変速比状態に切り換えさせる事前シフト変更手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  15. 請求項1〜13のいずれかにおいて、前記シフト操作機構にてアップ用事前シフト指示がなされた場合に、現在のシフトが最高速のシフトである時には、前記事前シフト手段に対して、クラッチを解放している回転動力伝達系の内で最高速のシフトより1段下のシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、最高速のシフトより1段下のシフトに対応する変速比状態に切り換えさせる事前シフト変更手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  16. 請求項1〜13のいずれかにおいて、前記シフト操作機構にてダウン用事前シフト指示がなされた場合に、現在のシフトが第1速のシフトである時には、前記事前シフト手段に対して、クラッチを解放している回転動力伝達系の内で第1速のシフトより1段上のシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、第1速のシフトより1段上のシフトに対応する変速比状態に切り換えさせる事前シフト変更手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  17. 請求項1〜16のいずれかにおいて、現在のシフト状態と、クラッチを解放している回転動力伝達系の変速比状態とを表示する表示手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  18. クラッチと変速機構とを直列に組み合わせた回転動力伝達系を、入力軸と出力軸との間に複数並列に設けた複数クラッチ式変速機のシフト切り換えを実行するに際して、クラッチを解放している前記回転動力伝達系の内で要求されるシフトを実現できる回転動力伝達系に属する変速機構を、要求されるシフトに対応する変速比状態へ切り換えた後に、今までクラッチを係合して回転動力を伝達していた回転動力伝達系に属するクラッチを解放し、かつ前記要求されるシフトを実現できる回転動力伝達系に属するクラッチを係合することでシフト切り換えを実行する複数クラッチ式変速機のシフト制御装置であって、
    運転者によるアップシフトとダウンシフトとの指示以外に、運転者によるニュートラル待機指示が可能なシフト操作機構と、
    前記シフト操作機構にてニュートラル待機指示がなされた場合には、前記シフト切り換えは実行せずに、クラッチを解放している回転動力伝達系に属する変速機構をニュートラル状態に切り換えるニュートラル化手段と、
    を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  19. 請求項18において、前記シフト操作機構は、運転者による操作部材の位置移動により、アップシフト指示、ダウンシフト指示及びニュートラル待機指示を可能とする機構であることを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  20. 請求項19において、前記シフト操作機構は、直線形状の手動変速用シーケンシャルゲートと、該手動変速用シーケンシャルゲート内にて移動するシフトレバーと、該シフトレバーの位置を決定する位置決めセンサとを備えて、該位置決めセンサにより指示位置を決定するとともに、前記手動変速用シーケンシャルゲートの一方の端部にアップシフト指示位置が、他方の端部にダウンシフト指示位置が、前記アップシフト指示位置と前記ダウンシフト指示位置との間にニュートラル待機指示位置が設定されていることを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  21. 請求項19において、前記シフト操作機構は、ハンドル又はステアリングコラムに設けたシフトパドルと、該シフトパドルの揺動位置を決定する位置決めセンサとを備えて、該位置決めセンサにより指示位置を決定することを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  22. 請求項21において、前記シフトパドルは、ハンドル又はステアリングコラムから左右に2つ設けられ、一方のシフトパドルの揺動位置にアップシフト指示位置及び前記ニュートラル待機指示位置が設定され、他方のシフトパドルの揺動位置にダウンシフト指示位置及び前記ニュートラル待機指示位置が設定されるとともに、前記ニュートラル化手段は、両方のシフトパドルが前記ニュートラル待機指示位置に存在する場合に限って、ニュートラル待機指示がなされたと判断することを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  23. 請求項18〜22のいずれかにおいて、前記シフト操作機構は、自動変速モード指示位置が設定されているとともに、
    前記シフト操作機構にて自動変速モード指示がなされた場合には、前記複数クラッチ式変速機に対して自動変速制御を実行する自動変速実行手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  24. 請求項18〜23のいずれかにおいて、現在のシフト状態と、前記ニュートラル化手段によるニュートラル状態を表示する表示手段を備えたことを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
  25. 請求項1〜24のいずれかにおいて、前記複数クラッチ式変速機は、前記回転動力伝達系を2つ備えたものであることを特徴とする複数クラッチ式変速機のシフト制御装置。
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