JP2004026680A - ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜 - Google Patents

ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜 Download PDF

Info

Publication number
JP2004026680A
JP2004026680A JP2002182395A JP2002182395A JP2004026680A JP 2004026680 A JP2004026680 A JP 2004026680A JP 2002182395 A JP2002182395 A JP 2002182395A JP 2002182395 A JP2002182395 A JP 2002182395A JP 2004026680 A JP2004026680 A JP 2004026680A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ruthenium
compound
complex
sodium
potassium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002182395A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004026680A5 (ja
Inventor
Hideyuki Hirakoso
平社 英之
Masayuki Ishikawa
石川 雅之
Akio Yanagisawa
柳澤 明男
Katsumi Ogi
小木 勝実
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2002182395A priority Critical patent/JP2004026680A/ja
Priority to US10/499,822 priority patent/US7045645B2/en
Priority to PCT/JP2003/000074 priority patent/WO2003057706A1/ja
Priority to KR10-2004-7010539A priority patent/KR20040072701A/ko
Publication of JP2004026680A publication Critical patent/JP2004026680A/ja
Publication of JP2004026680A5 publication Critical patent/JP2004026680A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】固体昇華法を用いた有機金属化学蒸着法により良好な気化特性が得られるルテニウム化合物を提供する。段差塗布性及び表面モフォロジーに優れ、電気的特性の良好なルテニウム含有薄膜を提供する。
【解決手段】ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム錯体からなるルテニウム化合物であって、この化合物中に含まれるナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方の含有量が5ppm以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機金属化学蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、以下、MOCVDという。)法に適したルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜に関する。更に詳しくは、固体昇華法を用いたMOCVD法に最適なルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ、ワークステーションのメインメモリーとして使われるDRAM(Dynamic Random Access Memory)は高集積化の動きがめまぐるしく、高集積化に対応可能な誘電体材料や電極材料の技術開発が盛んである。
誘電体材料に所定の誘電特性を付与するためには、酸化雰囲気下での結晶化熱処理が必須である。誘電体と積層される電極の材質には、従来ポリシリコン、タングステン、窒化チタン等が使われてきたが、酸素雰囲気で高温熱処理を行うと電極が酸化してしまうため、電極の耐熱性に問題があった。そこで高融点で酸素と反応しにくいPtや酸化しても電気伝導性を有するRu、RuO、Ir、IrOが注目されている。RuやRuOを成膜する方法は、現在スパッタ法が広く用いられているが、今後更に進む高集積化に伴って要求される微細加工のためにMOCVD法が検討されている。
【0003】
Ruを用いたMOCVD材料としてはシクロペンタジエン系のビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(以下、Ru(Cp)という。)錯体やビスエチルシクロペンタジエニルルテニウム(以下、Ru(EtCp)という。)錯体、βジケトン系のトリス2,2,6,6テトラメチル3,5ヘプタジオナートルテニウム(以下、Ru(DPM)という。)錯体等が用いられている。
このうち、Ru(DPM)錯体はRu(Cp)錯体やRu(EtCp)錯体と比較すると蒸気圧が低いため、MOCVD原料として使用される頻度は低い。またRu(EtCp)錯体は室温付近で液体として存在するため、従来の成膜装置を利用でき、また従来のマスフローコントローラによる流量制御が可能であるために、原料供給の安定化が図れるという利点がある。しかし、空気に対して不安定であり、その取扱いが難しい問題点があった。Ru(Cp)錯体は、室温付近では固体として存在し、更に有機溶媒に殆ど溶解しないことから成膜室への供給を昇華法に頼らなければならないため、供給量の増加と安定性に問題があるが、空気に対して安定であり、取扱いが容易であるという有利な点を有している。
【0004】
Ru(Cp)錯体を用いたMOCVD法による成膜についての研究は、Thin Solid Films 287(1996)P.74−79(P.C.Liaoら)、Jpn.J.Appl.Physics. 38(1999)2194−2199(青山ら)、第47回応用物理学会学術講演会講演予稿集P515(門島ら)、特開2001−234347号公報(元ら)によってそれぞれ報告されている。これらによると固体昇華法を用いたMOCVD法により、RuやRuO膜を成膜し、特性の優れた膜を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述したRu(Cp)錯体を用いたMOCVD法による成膜についての研究報告は、成膜したRuやRuO膜の特性及び成膜法を評価することに主眼を置いており、原料であるRu(Cp)錯体中に含まれる不純物含有量等が成膜に及ぼす影響についての記述はない。
従来の製造方法により得られるRu(Cp)錯体にはナトリウムやカリウム等の不純物が少なからず含まれている。本発明者らは、Ru(Cp)錯体中に含まれるこれらの不純物含有量が多い場合、Ru(Cp)錯体の気化特性が悪化することを突き止めた。
【0006】
Ru(Cp)錯体中に混入している上記不純物がどのような化学的形態をとっているかは不明である。しかしシクロペンタジエン(以下、Cpという。)とナトリウムやカリウムとの化合物であるNaCpやKCpは非常に反応性が大きいことが知られていることから、Ru(Cp)錯体中に多くのナトリウムやカリウムが含まれていると、この錯体を加熱保存などを行った場合、NaCpやKCp等の化合物やこれら化合物とRuとの複合物が形成され、更にこの複合物が加熱保存中に変質し、変質物による作用によりRu(Cp)錯体の変質が誘起されるため、Ru(Cp)錯体の気化特性が悪化すると考えられる。
【0007】
本発明の目的は、固体昇華法を用いたMOCVD法により良好な気化特性が得られるルテニウム化合物を提供することにある。
本発明の別の目的は、段差塗布性及び表面モフォロジーに優れ、電気的特性の良好なルテニウム含有薄膜を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、Ru(Cp)錯体からなるルテニウム化合物の改良であり、その特徴ある構成は、化合物中に含まれるナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方の含有量が5ppm以下であるところにある。
請求項1に係る発明では、化合物中に含まれるナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方の含有量を上記数値範囲内とすることにより、ルテニウム含有薄膜形成時において、ナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方とCpとが化合物やこれら化合物とRuとの複合物を形成し難くなるため、この複合物を起因とするRu(Cp)錯体の気化特性の劣化を抑制できる。
【0009】
請求項2に係る発明は、図1に示すように、ルテニウム含有化合物とCpを用いてRu(Cp)錯体の粗生成物を得る工程11と、得られた粗生成物を昇華させて精製物を捕集する工程12とを含むルテニウム化合物の製造方法の改良である。
その特徴ある構成は、昇華及び捕集工程12が粗生成物を昇華させた昇華物を捕集する際に、昇華物を付着抑制剤中に通過させて昇華物中のナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方を除去するところにある。
【0010】
請求項2に係る発明では、昇華及び捕集工程12で昇華物を付着抑制剤中に通過させることにより、Ru(Cp)錯体中に含まれるナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方の含有量を効率的に低減する。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1記載のルテニウム化合物又は請求項2記載の製造方法により得られたルテニウム化合物により成膜されたルテニウム含有薄膜である。
請求項3に係る発明では、請求項1記載のルテニウム化合物又は請求項2記載の製造方法により得られたルテニウム化合物は、固体昇華法を用いたMOCVD法により良好な気化特性が得られるため、むらのない均一なルテニウム含有薄膜が得られる。従って、得られたルテニウム含有薄膜は段差塗布性及び表面モフォロジーに優れ、電気的特性に優れる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。
本発明者らは、ルテニウム化合物において、この化合物に含まれる不純物がMOCVD法を用いた成膜に及ぼす影響に関して鋭意検討した結果、ルテニウム化合物に含まれる不純物のうち、ナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方の含有量を最適化することによって、適度な成膜速度を実現できることを確認した。
本発明のルテニウム化合物は、Ru(Cp)錯体からなるルテニウム化合物であって、この化合物中のナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方の含有量が5ppm以下であることを特徴とする。不純物含有量が5ppmを越えると、気化特性の劣化が生じる。不純物の含有量は0〜3ppmが好ましい。より好ましくは0〜2ppmである。更に好ましくは0〜1.5ppmである。
【0013】
次に本発明のルテニウム化合物の製造方法を説明する。
先ず、図1に示すように、ルテニウム含有化合物とCpを用いてRu(Cp)錯体の粗生成物を得る(工程11)。この工程11では、従来より行われている合成方法を用いてRu(Cp)錯体の粗生成物を得る。
第1溶媒中に塩化ルテニウム水和物RuCl・nHOを溶解する。第1溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、メタノール等のアルコールが挙げられる。この溶解液にCpを添加し、更に金属亜鉛粉末を添加して次の式(1)に示すような反応を行わせる。
【0014】
【化1】
Figure 2004026680
【0015】
反応液を濾過して第1溶媒と溶媒に溶解した塩化亜鉛を取除いた後、ろ別した反応物を第2溶媒に溶解して抽出する。第2溶媒としては、テトラヒドロフラン、ベンゼン、n−ペンタンが挙げられる。抽出液から第2溶媒を除去することにより、Ru(Cp)錯体の粗生成物が得られる。
【0016】
また、Organic synthesis (1961)P96−98に示される方法を用いてRu(Cp)錯体の粗生成物を合成してもよい。上記文献に記載された方法では、ナトリウムを2ジメトキシエタン中に懸濁させ、この懸濁液にCpを滴下してナトリウムを溶解させる。ここでは次の式(2)に示す反応が起こる。
【0017】
【化2】
Figure 2004026680
【0018】
Cpとナトリウムとの反応により水素の発生が終了するときには、混合液を還流温度よりも僅かに低い温度に保持する。全てのナトリウムが溶解しない場合には、溶液を室温に冷却し、数mlのCpを加えて、混合液をナトリウムが完全に溶解するまで再度加熱する。式(2)に示す反応を終えた混合液に3塩化ルテニウムと金属ルテニウムとをそれぞれ加え、還流温度より僅かに低い温度に保ち、窒素雰囲気下で加熱攪拌することにより、混合物を反応させる。ここでの反応を次の式(3)に示す。
【0019】
【化3】
Figure 2004026680
【0020】
式(3)に示す反応が終了したら、攪拌しながら溶媒をアスピレーターで除去することにより、Ru(Cp)錯体の粗生成物が得られる。
【0021】
なお、本実施の形態では工程11の粗生成物を得る反応として上記2種類の方法を記載したが、これらの合成方法に規定されるものではない。
【0022】
次いで、得られた粗生成物を昇華させて精製物を捕集する(工程12)。
この工程12では、粗生成物を減圧や加熱することにより昇華させ、この昇華物を捕集して精製する。
【0023】
本発明の特徴ある構成は、この昇華及び捕集工程12が粗生成物を昇華させた昇華物を捕集する際に、昇華物を付着抑制剤中に通過させて昇華物中のナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方を除去することにある。
昇華物を捕集する前に、付着抑制剤に通過させて昇華物に含まれるナトリウム、カリウム成分を取除く。昇華物を付着抑制剤へ通過させずに捕集して精製物を得た場合、Ru(Cp)錯体中にはナトリウムやカリウムが本発明で規定した範囲以上の量が含まれているのに対し、付着抑制剤に昇華物を通過させることによって、昇華物中のナトリウム、カリウム含有量を効率的に低減させることができる。付着抑制剤としては、ガラスウール、シリカゲル、アルミナ、活性炭粉等が挙げられる。
【0024】
この工程12は図2に示される装置により行われる。
この装置20は、有底の円筒状の容器21とこの容器を密閉する蓋22を有する。容器の外部にはこの容器を加熱するヒータ23が設けられる。蓋の中心孔22aには二重管構造の精製物捕集管24が貫通して容器の内部に臨むように設けられる。容器21の側壁上部には容器を真空状態にするための吸引口21aが設けられる。精製物捕集管24は外管24aとこの外管中心に内管24bを有し、この内管は外管頂部を貫通して設けられる。蓋の中心孔22aから突出した外管側部には冷却水導入口24cが設けられる。容器内部の外管24aの下端と容器21の内底部との間には付着抑制剤26が設けられる。
【0025】
このように構成された装置20により、得られた粗生成物を昇華してその昇華物を捕集する方法について説明する。
先ず容器底部に工程11で得られたRu(Cp)粗生成物27を入れる。次いで付着抑制剤26を容器内部に固定し、精製物捕集管24付きの蓋22で容器21を密閉し、容器内部を気密状態にする。吸引口21aから容器内部の空気を排出して容器を真空状態にするとともにヒータ23により容器底部を加熱する。一方、導入口24cから冷却水を導入して外管24a全体を冷却した後、内管24b底部から内管24bを通して排出する。ヒータ23の加熱によりRu(Cp)粗生成物27が加熱され、Ru(Cp)粗生成物が昇華する。昇華したRu(Cp)は付着抑制剤26を通過し、このときに昇華物中のナトリウム、カリウムなどの不純物成分が取除かれる。不純物成分が取除かれた昇華物は冷却水で冷却された外管24aの外周面に付着し、固体の精製されたRu(Cp)として捕集される。
【0026】
このように上記工程11及び工程12を経ることにより、本発明のルテニウム化合物であるナトリウム又はカリウムのいずれか一方又はその双方の含有量が5ppm以下であるRu(Cp)錯体が得られる。
【0027】
図3に示すように、固体昇華法を用いたMOCVD装置は、成膜室30を備え、装置全体を加熱装置31により覆った構成となっている。成膜室30の内部にはヒータ32が設けられ、ヒータ32上には基板33が保持される。この成膜室30の内部は圧力計34及びニードルバルブ36を備える配管37により真空引きされる。加熱装置31は原料タンク38を備え、この原料タンク38には常温で固体のナトリウム又はカリウムのいずれか一方又はその双方の含有量が5ppm以下に制御されたRu(Cp)錯体を貯蔵する。原料タンク38にはガス流量調節装置39を介してキャリアガス導入管41が接続され、また原料タンク38には供給管42が接続される。供給管42にはフィルタ43、ニードルバルブ44及びガス流量調節装置46がそれぞれ設けられ、供給管42は成膜室30に接続される。成膜室30にはニードルバルブ47、ガス流量調節装置48を介して酸素ガス導入管49が接続される。
【0028】
この装置では、加熱装置31により原料タンク38が約180℃に加熱されてタンク38内に貯蔵されたRu(Cp)錯体が徐々に昇華する。キャリアガスが導入管41から原料タンク38内に導入され、原料タンク38内で昇華したRu(Cp)錯体を供給管42により成膜室30に搬送する。キャリアガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素等が挙げられる。また、酸素ガスが酸素ガス導入管49から成膜室30内に供給される。成膜室30内において、Ru(Cp)錯体の蒸気が酸素とともに熱分解され、生成したRu或いはRuOが基板33上に堆積する。これにより均一なルテニウム含有薄膜が形成される。
【0029】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
ガラスウールからなる付着抑制剤を用いて製造したナトリウムの含有量を1.4ppmとしたRu(Cp)錯体をアルゴン雰囲気下でアンプル瓶に封管した。このアンプル瓶を加熱炉で200℃に加熱し、そのまま72時間保持した。アンプル瓶を加熱炉から取出して、空冷して室温まで戻した。室温に戻したアンプル瓶中のルテニウム化合物をTG−DTA装置(MAC−science社製)により気化特性を測定した。TG−DTA装置による測定条件を表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 2004026680
【0031】
<実施例2>
ガラスウールからなる付着抑制剤を用いて製造したカリウムの含有量を1.7ppmとしたRu(Cp)錯体を用いた以外は実施例1と同様にしてTG−DTA装置で気化特性を測定した。
【0032】
<比較例1>
付着抑制剤を用いずに製造したナトリウムの含有量を6.0ppmとしたRu(Cp)錯体を用いた以外は実施例1と同様にしてTG−DTA装置で気化特性を測定した。
<比較例2>
付着抑制剤を用いずに製造したカリウムの含有量を6.3ppmとしたRu(Cp)錯体を用いた以外は実施例1と同様にしてTG−DTA装置で気化特性を測定した。
【0033】
<比較試験及び評価>
実施例1、2及び比較例1、2で得られたTG−DTA装置による150℃における気化量を表2に示す。
【0034】
【表2】
Figure 2004026680
【0035】
表2より明らかなように、Ru(Cp)錯体中の不純物含有量が5ppmを越える比較例1及び2は、実施例1及び2よりも150℃における気化量が増加する結果が得られた。Ru(Cp)錯体は150℃程度の温度では蒸気圧が低く、気化し難い。この温度で気化量が多いということは気化し易い不純物が多いことを意味している。このことから本発明で規定した範囲以上の不純物を含むRu(Cp)錯体は、高温保存をした後では、気化特性が悪化することが判った。Ru(Cp)錯体が気化する温度よりも低温の条件で気化量が多くなるということは、Ru(Cp)錯体以外の成分による気化が多く発生していることを意味する。これはMOCVD法により成膜するにあたって、膜の性質に大きな悪影響を与える。これに対してRu(Cp)錯体中に含まれる不純物含有量を本発明で規定した範囲内に制御した実施例1及び2では、その気化量が比較例1及び2より減少している。これはナトリウム、カリウムとCpとで形成される複合物が少なく、この複合物を起因とするRu(Cp)錯体の変質が誘起される度合いが小さいため、Ru(Cp)錯体の気化特性の劣化が抑制されたと考えられる。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のルテニウム化合物は、Ru(Cp)錯体からなる化合物の改良であり、その特徴ある構成は、この化合物中に含まれるナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方の含有量が5ppm以下であるところにある。このRu(Cp)錯体中に含まれるナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方の含有量を上記範囲内とすることにより、ルテニウム含有薄膜形成時において、ナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方とCpとが化合物やこれら化合物とRuとの複合物を形成し難くなるため、この複合物を起因とするRu(Cp)錯体の気化特性の劣化を抑制できる。また、このように不純物含有量を規定したルテニウム化合物は、固体昇華法を用いたMOCVD法により良好な気化特性が得られるため、むらのない均一なルテニウム含有薄膜が得られる。従って、得られたルテニウム含有薄膜は段差塗布性及び表面モフォロジーに優れ、電気的特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のルテニウム化合物の製造方法の各工程を示す図。
【図2】本発明の昇華及び捕集工程において用いられる装置の説明図。
【図3】固体昇華法を用いたMOCVD装置の概略図。
【符号の説明】
20 昇華捕集装置
21 容器
21a 吸引口
22 蓋
22a 蓋中心孔
23 ヒータ
24 精製物捕集管
24a 外管
24b 内管
24c 冷却水導入口
26 付着抑制剤
30 成膜室
31 加熱装置
32 ヒータ
33 基板
34 圧力計
36 ニードルバルブ
37 配管
38 原料タンク
39 ガス流量調節装置
41 キャリアガス導入管
42 供給管
43 フィルタ
44 ニードルバルブ
46 ガス流量調節装置
47 ニードルバルブ
48 ガス流量調節装置
49 酸素ガス導入管

Claims (3)

  1. ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム錯体からなるルテニウム化合物であって、
    前記化合物中に含まれるナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方の含有量が5ppm以下であることを特徴とするルテニウム化合物。
  2. ルテニウム含有化合物とシクロペンタジエンを用いてビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム錯体の粗生成物を得る工程(11)と、
    前記得られた粗生成物を昇華させて精製物を捕集する工程(12)と
    を含むルテニウム化合物の製造方法において、
    前記昇華及び捕集工程(12)は粗生成物を昇華させた昇華物を捕集する際に、前記昇華物を付着抑制剤中に通過させて前記昇華物中のナトリウム又はカリウムのいずれか一方又は双方を除去する
    ことを特徴とするルテニウム化合物の製造方法。
  3. 請求項1記載のルテニウム化合物又は請求項2記載の製造方法により得られたルテニウム化合物により成膜されたルテニウム含有薄膜。
JP2002182395A 2002-01-08 2002-06-24 ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜 Pending JP2004026680A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002182395A JP2004026680A (ja) 2002-06-24 2002-06-24 ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜
US10/499,822 US7045645B2 (en) 2002-01-08 2003-01-08 Ruthenium compounds, process for their preparation, and ruthenium-containing thin films made by using the compounds
PCT/JP2003/000074 WO2003057706A1 (fr) 2002-01-08 2003-01-08 Composes a base de ruthenium, leur procede de preparation, et films minces contenant du ruthenium fabriques a partir de tels composes
KR10-2004-7010539A KR20040072701A (ko) 2002-01-08 2003-01-08 루테늄 화합물 및 그 제조 방법 그리고 그 화합물에 의해얻어진 루테늄 함유 박막

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002182395A JP2004026680A (ja) 2002-06-24 2002-06-24 ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004026680A true JP2004026680A (ja) 2004-01-29
JP2004026680A5 JP2004026680A5 (ja) 2005-04-07

Family

ID=31178911

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002182395A Pending JP2004026680A (ja) 2002-01-08 2002-06-24 ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004026680A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020083895A (ja) * 2018-11-28 2020-06-04 バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー 気相堆積のための低ハロゲン化物ランタン前駆体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020083895A (ja) * 2018-11-28 2020-06-04 バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー 気相堆積のための低ハロゲン化物ランタン前駆体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101483318B1 (ko) 기판상에 루테늄계 막을 형성하는 방법
KR101244972B1 (ko) 막 형성용 전구체 및 루테늄 함유 막 형성 방법
JP4704618B2 (ja) ジルコニウム酸化膜の製造方法
JP4759126B2 (ja) 化学気相蒸着用の有機金属化合物及び化学気相蒸着用の有機金属化合物の製造方法並びに貴金属薄膜及び貴金属化合物薄膜の化学気相蒸着方法
JP2000212744A (ja) ルテニウム系薄膜
KR100852234B1 (ko) 금속 산화막의 형성 방법, 이를 이용한 게이트 구조물의제조 방법 및 커패시터의 제조 방법
JPH06283438A (ja) 酸化ルテニウムの成膜方法
KR20110131287A (ko) 보조 금속 종과 함께 루테늄을 침착시키기 위한 방법 및 조성물
JP5260148B2 (ja) ストロンチウム含有薄膜の形成方法
JP4221526B2 (ja) 金属酸化物を基板表面上に形成する成膜方法
JPH0641631B2 (ja) 酸化タンタル膜の化学気相成長法および化学気相成長装置
JP3611640B2 (ja) 第8族元素類の成膜法およびこれに使用する原料化合物
JP2004026680A (ja) ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜
JP2003282449A (ja) 気化器及び半導体製造装置の洗浄方法
JP2010173979A (ja) シクロオクタテトラエントリカルボニルルテニウム系錯体とその製造方法、ならびに、当該錯体を原料とする膜の製造方法
JP2004018466A (ja) ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜
JP2005133203A (ja) 成膜方法及び成膜装置
JP2004018468A (ja) ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜
JP4438266B2 (ja) ビス(アルキルシクロペンタジエニル)ルテニウム錯体の合成方法、使用済の該錯体の精製方法及び該錯体の再利用方法
JP4051532B2 (ja) 有機金属化学蒸着法用ルテニウム化合物の製造方法及び該方法により得られた有機金属化学蒸着法用ルテニウム化合物並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜
US7045645B2 (en) Ruthenium compounds, process for their preparation, and ruthenium-containing thin films made by using the compounds
JP2004300152A (ja) 有機金属化合物の製造方法並びに該化合物により得られた金属含有薄膜
JP2004018467A (ja) ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜
JP2004292332A (ja) ルテニウム化合物の製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜
JP3270879B2 (ja) 高誘電体薄膜の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040513

A621 Written request for application examination

Effective date: 20050318

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081118

A02 Decision of refusal

Effective date: 20091027

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02