JP2004018468A - ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜 - Google Patents

ルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜 Download PDF

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Abstract

【課題】固体昇華法を用いた有機金属化学蒸着法により良好な特性が得られるルテニウム化合物を提供する。段差塗布性及び表面モフォロジーに優れ、電気的特性の良好なルテニウム含有薄膜を提供する。
【解決手段】ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム錯体からなるルテニウム化合物であって、この化合物中に含まれるカルシウムの含有量が5ppm以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機金属化学蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、以下、MOCVDという。)法に適したルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜に関する。更に詳しくは、固体昇華法を用いたMOCVD法に最適なルテニウム化合物及びその製造方法並びに該化合物により得られたルテニウム含有薄膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ、ワークステーションのメインメモリーとして使われるDRAM(Dynamic Random Access Memory)は高集積化の動きがめまぐるしく、高集積化に対応可能な誘電体材料や電極材料の技術開発が盛んである。
誘電体材料に所定の誘電特性を付与するためには、酸化雰囲気下での結晶化熱処理が必須である。誘電体と積層される電極の材質には、従来ポリシリコン、タングステン、窒化チタン等が使われてきたが、酸素雰囲気で高温熱処理を行うと電極が酸化してしまうため、電極の耐熱性に問題があった。そこで高融点で酸素と反応しにくいPtや酸化しても電気伝導性を有するRu、RuO、Ir、IrOが注目されている。RuやRuOの成膜する方法は、現在スパッタ法が広く用いられているが、今後更に進む高集積化に伴って要求される微細加工のためにMOCVD法が検討されている。
【0003】
Ruを用いたMOCVD材料としてはシクロペンタジエン系のビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(以下、Ru(Cp)という。)錯体やビスエチルシクロペンタジエニルルテニウム(以下、Ru(EtCp)という。)錯体、βジケトン系のトリス2,2,6,6テトラメチル3,5ヘプタジオナートルテニウム(以下、Ru(DPM)という。)錯体等が用いられている。
このうち、Ru(DPM)錯体はRu(Cp)錯体やRu(EtCp)錯体と比較すると蒸気圧が低いため、MOCVD原料として使用される頻度は低い。またRu(EtCp)錯体は室温付近で液体として存在するため、従来の成膜装置を利用でき、また従来のマスフローコントローラによる流量制御が可能であるために、原料供給の安定化が図れるという利点がある。しかし、空気に対して不安定であり、その取扱いが難しい問題点があった。Ru(Cp)錯体は、室温付近では固体として存在し、更に有機溶媒に殆ど溶解しないことから成膜室への供給を昇華法に頼らなければならないため、供給量の増加と安定性に問題があるが、空気に対して安定であり、取扱いが容易であるという有利な点を有している。
【0004】
Ru(Cp)錯体を用いたMOCVD法による成膜についての研究は、Thin Solid Films 287(1996)P.74−79(P.C.Liaoら)、Jpn.J.Appl.Physics. 38(1999)2194−2199(青山ら)、第47回応用物理学会学術講演会講演予稿集P515(門島ら)、特開2001−234347号公報(元ら)によってそれぞれ報告されている。これらによると固体昇華法を用いたMOCVD法により、RuやRuO膜を成膜し、特性の優れた膜を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述したRu(Cp)錯体を用いたMOCVD法による成膜についての研究報告は、成膜したRuやRuO膜の特性及び成膜法を評価することに主眼を置いており、原料であるRu(Cp)錯体中に含まれる不純物含有量等が成膜に及ぼす影響についての記述はない。
従来の製造方法により得られるRu(Cp)錯体にはカルシウムの不純物が少なからず含まれている。本発明者らは、Ru(Cp)錯体中に含まれるカルシウムの含有量が多い場合、Ru(Cp)錯体の気化特性が悪化することを突き止めた。
【0006】
Ru(Cp)錯体中に混入している上記不純物がどのような化学的形態をとっているかは不明であるが、シクロペンタジエン(以下、Cpという。)とカルシウムとの複合物であるCa(Cp)はRu(Cp)と比較して不安定であると予想できることから、Ru(Cp)錯体中に多くのカルシウムが含まれていると、この錯体を加熱保存などを行った場合、Ca(Cp)複合物が形成され、この複合体が加熱保存中にRu(Cp)錯体のCpと相互作用を起こし、Ru(Cp)錯体の変質が誘起されるため、Ru(Cp)錯体の特性の劣化が起こっていると考えられる。更に、Caの場合は、Na、Kの場合と比較してCp錯体の蒸気圧が大きいために、気化して膜中に取込まれる可能性が大きい。
【0007】
本発明の目的は、特性の劣化を抑制し得るMOCVD法用ルテニウム化合物を提供することにある。
本発明の別の目的は、段差塗布性及び表面モフォロジーに優れ、電気的特性の良好なルテニウム含有薄膜を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、Ru(Cp)錯体からなるルテニウム化合物の改良であり、その特徴ある構成は、化合物中に含まれるカルシウムの含有量が5ppm以下であるところにある。
請求項1に係る発明では、化合物中に含まれるカルシウムの含有量を上記数値範囲内とすることにより、ルテニウム含有薄膜形成時において、カルシウムとCpとが複合物を形成し難くなるため、この複合物を起因とするRu(Cp)錯体の特性の劣化を抑制できる。更に、Ru含有薄膜中にCaが取込まれるのを防ぐことができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、図1に示すように、ルテニウム含有化合物とCpを用いてRu(Cp)錯体の粗生成物を得る工程11と、得られた粗生成物を昇華させて精製物を得る工程12と、精製物を再結晶する工程14とを含むルテニウム化合物の製造方法の改良である。
その特徴ある構成は、昇華工程12の後に、カラム精製を行ってから再結晶を行うのではなく、カラム精製の代わりに溶媒に溶解してろ過する工程13を含み、更にろ過工程13に用いる溶媒をテトラヒドロフラン(以下、THFという。)とするところにある。
請求項2に係る発明では、溶媒をTHFとして再結晶することにより、従来より再結晶に用いられているn−ペンタン溶媒よりも不純物をよく溶解するため、再結晶後の不純物であるカルシウムの量を大幅に低減できる。また、Ru(Cp)錯体の溶解度が大きいTHFを用い、ろ過工程13を設けることにより、従来のカラムを用いた処理工程に比べてRu(Cp)錯体の処理量の増加が可能となるため生産効率も向上する。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1記載のルテニウム化合物又は請求項2記載の製造方法により得られたルテニウム化合物により成膜されたルテニウム含有薄膜である。
請求項3に係る発明では、請求項1記載のルテニウム化合物又は請求項2記載の製造方法により得られたルテニウム化合物は、その特性の劣化を抑制したルテニウム化合物であるため、むらのない均一なルテニウム含有薄膜が得られる。また、Caの混入を防ぐこともできる。従って、得られたルテニウム含有薄膜は段差塗布性及び表面モフォロジーに優れ、電気的特性に優れる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。
本発明者らは、ルテニウム化合物において、この化合物に含まれる不純物がMOCVD法を用いた成膜に及ぼす影響に関して鋭意検討した結果、ルテニウム化合物に含まれる不純物のうち、カルシウムの含有量を最適化することによって、ルテニウム化合物の特性を改善できることを確認した。
本発明のルテニウム化合物は、Ru(Cp)錯体からなるルテニウム化合物であって、この化合物中に含まれるカルシウムの含有量が5ppm以下であることを特徴とする。不純物含有量が5ppmを越えると、Ru(Cp)錯体の特性が劣化する。不純物の含有量は0〜3ppmが好ましい。より好ましくは0〜1ppmである。更に好ましくは0〜0.1ppmである。
【0012】
次に本発明のルテニウム化合物の製造方法を説明する。
先ず、図1に示すように、ルテニウム含有化合物とCpを用いてRu(Cp)錯体の粗生成物を得る(工程11)。この工程11では、従来より行われている合成方法を用いてRu(Cp)錯体の粗生成物を得る。
第1溶媒中に塩化ルテニウム水和物RuCl・nHOを溶解する。第1溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、メタノール等のアルコールが挙げられる。この溶解液にCpを添加し、更に金属亜鉛粉末を添加して次の式(1)に示すような反応を行わせる。
【0013】
【化1】
Figure 2004018468
反応液を濾過して第1溶媒と溶媒に溶解した塩化亜鉛を取除いた後、ろ別した反応物を第2溶媒に溶解して抽出する。第2溶媒としては、テトラヒドロフラン、ベンゼン、n−ペンタンが挙げられる。抽出液から第2溶媒を除去することにより、Ru(Cp)錯体の粗生成物が得られる。
【0014】
また、Organic synthesis (1961)P96−98に示される方法を用いてRu(Cp)錯体の粗生成物を合成してもよい。上記文献に記載された方法では、ナトリウムを2ジメトキシエタン中に懸濁させ、この懸濁液にCpを滴下してナトリウムを溶解させる。ここでは次の式(2)に示す反応が起こる。
【0015】
【化2】
Figure 2004018468
Cpとナトリウムとの反応により水素の発生が終了するときには、混合液を還流温度よりも僅かに低い温度に保持する。全てのナトリウムが溶解しない場合には、溶液を室温に冷却し、数mlのCpを加えて、混合液をナトリウムが完全に溶解するまで再度加熱する。式(2)に示す反応を終えた混合液に3塩化ルテニウムと金属ルテニウムとをそれぞれ加え、還流温度より僅かに低い温度に保ち、窒素雰囲気下で加熱攪拌することにより、混合物を反応させる。ここでの反応を次の式(3)に示す。
【0016】
【化3】
Figure 2004018468
式(3)に示す反応が終了したら、攪拌しながら溶媒をアスピレーターで除去することにより、Ru(Cp)錯体の粗生成物が得られる。
なお、本実施の形態では工程11の粗生成物を得る反応として上記2種類の方法を記載したが、これらの合成方法に規定されるものではない。
【0017】
次いで、得られた粗生成物を昇華させて精製物を得る(工程12)。
この工程12では、粗生成物を減圧や加熱することにより昇華させ、この昇華物を捕集して精製する。
次に、昇華工程12で得られた精製物を溶媒に溶解して、溶解液をろ過する(工程13)。
この工程13により、従来行われてきたカラムによる分離工程と比較してRu(Cp)錯体の処理量を増やすことが可能となるため、生産効率が向上する。ここでの溶媒にはTHFを用いる。
【0018】
更に、ろ過工程13で得られたろ液を再結晶する(工程14)。
再結晶工程14では、ろ過工程13で用いた溶媒をTHFとしたことにより、従来より再結晶に用いられているn−ペンタン溶媒よりも不純物をよく溶解するため、再結晶後のカルシウム不純物量を大幅に低減できる。また、Ru(Cp)錯体の溶解度が大きいTHFを用いることにより、従来のカラムを用いた処理工程に比べてRu(Cp)錯体の処理量の増加が可能となるため生産効率も向上する。
このように上記工程11〜工程14を経ることにより、本発明のルテニウム化合物であるカルシウムの含有量が5ppm以下であるRu(Cp)錯体が得られる。
【0019】
図2に示すように、固体昇華法を用いたMOCVD装置は、成膜室20を備え、装置全体を加熱装置21により覆った構成となっている。成膜室20の内部にはヒータ22が設けられ、ヒータ22上には基板23が保持される。この成膜室20の内部は圧力計24及びニードルバルブ26を備える配管27により真空引きされる。加熱装置21は原料タンク28を備え、この原料タンク28には常温で固体のカルシウムの含有量が5ppm以下に制御されたRu(Cp)錯体を貯蔵する。原料タンク28にはガス流量調節装置29を介してキャリアガス導入管31が接続され、また原料タンク28には供給管32が接続される。供給管32にはフィルタ33、ニードルバルブ34及びガス流量調節装置36がそれぞれ設けられ、供給管32は成膜室20に接続される。成膜室20にはニードルバルブ37、ガス流量調節装置38を介して酸素ガス導入管39が接続される。
【0020】
この装置では、加熱装置21により原料タンク28が約180℃に加熱されてタンク28内に貯蔵されたRu(Cp)錯体が徐々に昇華する。キャリアガスが導入管31から原料タンク28内に導入され、原料タンク28内で昇華したRu(Cp)錯体を供給管32により成膜室20に搬送する。キャリアガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素等が挙げられる。また、酸素ガスが酸素ガス導入管39から成膜室20内に供給される。成膜室20内において、Ru(Cp)錯体の蒸気が酸素とともに熱分解され、生成したRu或いはRuOが基板23上に堆積する。これにより均一なルテニウム含有薄膜が形成される。
【0021】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、塩化ルテニウムとCpからRu(Cp)錯体の粗生成物を得た。次いで得られた粗生成物を昇華させて精製物を得た。次に、精製物10gをTHF50mlに溶解して、溶解液をろ過した。ろ過して得られたろ液を−20℃に冷却し、再結晶してRu(Cp)錯体を製造した。
【0022】
<実施例2>
THF量を100mlとした以外は実施例1と同様にしてRu(Cp)錯体を製造した。
<実施例3>
THF量を200mlとした以外は実施例1と同様にしてRu(Cp)錯体を製造した。
【0023】
<比較例1>
溶媒をn−ペンタンとし、n−ペンタン50mlに精製物1gを溶解した以外は、実施例1と同様にしてRu(Cp)錯体を製造した。
<比較例2>
n−ペンタン量を100mlとした以外は比較例1と同様にしてRu(Cp)錯体を製造した。
<比較例3>
n−ペンタン量を200mlとした以外は比較例1と同様にしてRu(Cp)錯体を製造した。
<比較例4>
再結晶を施さない以外は実施例1と同様にしてRu(Cp)錯体を製造した。
【0024】
<比較評価1>
実施例1〜3及び比較例1〜4でそれぞれ得られたRu(Cp)錯体に含まれるCa含有量を測定した。表1にそれぞれ示す。
【0025】
【表1】
Figure 2004018468
【0026】
表1より明らかなように、再結晶工程を施さずにRu(Cp)を得た比較例4のCa含有量は18.0ppmとなり、再結晶工程の有無によってカルシウムの含有量が大きく異なる。また、溶媒にTHFを用いた実施例1〜3のRu(Cp)錯体は、従来より溶媒として使用されているn−ペンタンを用いた比較例1〜3のRu(Cp)錯体に比べ、大きくCa含有量を低減していた。更に、実施例1〜3のRu(Cp)錯体を比較してみると、THFの溶媒量が多いほどRu(Cp)錯体中に含まれるCa含有量を低減する傾向がみられた。
【0027】
<実施例4>
カルシウムの含有量を0.1ppm以下としたRu(Cp)錯体をアルゴン雰囲気下でアンプル瓶に封管した。このアンプル瓶を加熱炉で200℃に加熱し、そのまま72時間保持した。アンプル瓶を加熱炉から取出して、空冷して室温まで戻した。室温に戻したアンプル瓶中のルテニウム化合物をDI−MS装置(JEOL社製)によりMSスペクトルを測定した。DI−MS装置による測定条件を表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 2004018468
【0029】
<実施例5>
カルシウムの含有量を0.7ppmとしたRu(Cp)錯体を用いた以外は実施例4と同様にしてDI−MS装置によりMSスペクトルを測定した。
<実施例6>
カルシウムの含有量を3.2ppmとしたRu(Cp)錯体を用いた以外は実施例4と同様にしてTG−DTA装置によりMSスペクトルを測定した。
【0030】
<比較例5>
カルシウムの含有量を6.0ppmとしたRu(Cp)錯体を用いた以外は実施例4と同様にしてTG−DTA装置によりMSスペクトルを測定した。
<比較評価2>
実施例4〜6及び比較例5で得られたMSスペクトルの結果から求めたフラグメント比を表3に示す。なおここでのフラグメント比は次のようにして求めた。
【0031】
【数1】
Figure 2004018468
上記数式(1)において、フラグメント比が大きいということは[Ru(Cp)に対して[Ru(Cp)]が多いことを意味し、Ru−Cp間の結合が弱いことを意味する。
【0032】
【表3】
Figure 2004018468
【0033】
表3より明らかなように、Ru(Cp)錯体中の不純物含有量が5ppmを越える比較例5は、実施例4〜6よりも高温での保存後にイオン化電圧を同じにしてもフラグメント比が大きい、即ちRu−Cp間の結合が弱くなるという結果が得られた。MOCVD法においてはRu−Cp間の結合が弱くなることにより、原料であるRu(Cp)の供給量が不安定化し、成膜速度の不安定化を引き起こすことが推測できる。これに対してRu(Cp)錯体中の不純物含有量を本発明の範囲内にした実施例4〜6は、フラグメント比が小さかった。即ちRu−Cp間の結合が強いままであった。このことからCa含有量が少ないとCa(Cp)の分解物は少なく、Ru(Cp)の変質が誘起される度合いも小さくなったため、Ru(Cp)のRu−Cp間の結合が弱くなることとそれにより気化特性の劣化が抑制されると考えられる。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のルテニウム化合物は、Ru(Cp)錯体からなる化合物の改良であり、その特徴ある構成は、この化合物中に含まれるカルシウムの含有量が5ppm以下であるところにある。このRu(Cp)錯体中に含まれるカルシウムの含有量を上記範囲内とすることにより、ルテニウム含有薄膜形成時において、カルシウムとCpとが複合物を形成し難くなるため、この複合物を起因とするRu(Cp)錯体の特性の劣化を抑制できる。また、このように不純物含有量を規定したルテニウム化合物は、固体昇華法を用いたMOCVD法により良好な気化特性が得られるため、むらのない均一なルテニウム含有薄膜が得られる。従って、得られたルテニウム含有薄膜は段差塗布性及び表面モフォロジーに優れ、電気的特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のルテニウム化合物の製造方法の各工程を示す図。
【図2】固体昇華法を用いたMOCVD装置の概略図。
【符号の説明】
20 成膜室
21 加熱装置
22 ヒータ
23 基板
24 圧力計
26 ニードルバルブ
27 配管
28 原料タンク
29 ガス流量調節装置
31 キャリアガス導入管
32 供給管
33 フィルタ
34 ニードルバルブ
36 ガス流量調節装置
37 ニードルバルブ
38 ガス流量調節装置
39 酸素ガス導入管

Claims (3)

  1. ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム錯体からなるルテニウム化合物であって、
    前記化合物中に含まれるカルシウムの含有量が5ppm以下であることを特徴とするルテニウム化合物。
  2. ルテニウム含有化合物とシクロペンタジエンを用いてビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム錯体の粗生成物を得る工程(11)と、
    前記得られた粗生成物を昇華させて精製物を得る工程(12)と
    前記精製物を再結晶する工程(14)と
    を含むルテニウム化合物の製造方法において、
    前記昇華工程(12)と前記再結晶工程(14)の間に前記昇華工程(12)で得られた精製物を溶媒に溶解して、前記溶解液をろ過する工程(13)を含み、
    前記ろ過工程(13)に用いる溶媒をテトラヒドロフランとすることを特徴とするルテニウム化合物の製造方法。
  3. 請求項1記載のルテニウム化合物又は請求項2記載の製造方法により得られたルテニウム化合物により成膜されたルテニウム含有薄膜。
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