JP2004026571A - 衛生陶磁器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】釉薬層を補修して釉薬欠点のない衛生陶磁器を製造することができて、不良品の廃棄処分を抑制することができる衛生陶磁器の製造方法を提供する。
【解決手段】衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成する。釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布又は転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。補修用の釉薬を塗布又は転写に先だって、釉薬欠点を切削しても良く、また補修用の釉薬を塗布又は転写に先だって、切削部に補修用の釉薬を埋め込んでも良い。
【選択図】 なし
【解決手段】衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成する。釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布又は転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。補修用の釉薬を塗布又は転写に先だって、釉薬欠点を切削しても良く、また補修用の釉薬を塗布又は転写に先だって、切削部に補修用の釉薬を埋め込んでも良い。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛生陶磁器の製造方法に関し、詳しくは釉薬欠点をなくして廃棄物の発生量を低減することができる衛生陶磁器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、衛生陶磁器等の陶磁器においては、乾燥素地の上に釉薬を塗布し、焼成する方法で製品としている。しかし、衛生陶磁器においては素地を締め焼きしていないため、焼成過程で素地からガスが多く発生し、釉薬層にピンホール等の欠陥(釉薬欠点)が発生する。また、一般に衛生陶磁器の釉薬では、長石、石灰、ドロマイト等の生原料を使うため釉薬原料から発生するガス、釉薬が焼き締まるときに発生するガス等によっても、釉薬にピンホール等の釉薬欠点が発生し、廃棄処分しなければならなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、釉薬層を補修して釉薬欠点のない衛生陶磁器を製造することができて、不良品の廃棄処分を抑制することができる衛生陶磁器の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0005】
また請求項2に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0006】
また請求項3に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0007】
また請求項4に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0008】
また請求項5に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0009】
また請求項6に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0010】
また請求項7に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0011】
また請求項8に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0012】
また請求項9に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0013】
また請求項10に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0014】
また請求項11に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0015】
また請求項12に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0016】
また請求項13に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0017】
また請求項14に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0018】
また請求項15に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0019】
また請求項16に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0020】
また請求項17に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0021】
また請求項18に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0022】
また請求項19に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0023】
また請求項20に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0024】
また請求項21に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
衛生陶磁器を作製するにあたっては、まず素地を形成する。素地は例えば泥漿を型に流し込んで成形する鋳込み成形を行った後、乾燥することにより作製される。
【0027】
この素地の表面に釉薬を塗布する。釉薬は従来用いられている種々のものを使用することができる。釉薬は一種類の釉薬を塗布することにより一層の釉薬層を形成することができ、また二種類の釉薬を順次塗布することにより二層の釉薬層を形成することもできる。二層の釉薬層を形成する場合には、一回目の釉薬の塗布の後、この釉薬を乾燥させてから、二回目の釉薬の塗布を行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0028】
このような釉薬としては、衛生陶磁器等の陶磁器作製の際に一般的に用いられているものを使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば長石(釜戸長石等)、亜鉛華、石灰(鼠石灰等)、ドロマイト、珪石、珪酸ジルコニウム、粘土(蛙目粘土等)等を原料として用い、これらに水や解膠剤である水ガラス等を加えた状態でボールミル等で粉砕することにより調製することができる。
【0029】
このようにして素地表面に釉薬を塗布した後、焼成することにより素地と釉薬とを焼き締め、素地を陶磁器として形成すると共に、この陶磁器の表面には焼成された釉薬にて一層又は二層の釉薬層が形成される。焼成条件は素地や釉薬の寸法、厚み、組成等に応じて適宜設定されるが、例えばトンネルキルン等の炉中で最高温度1100〜1250℃で加熱焼成することが好ましい。このときの加熱焼成時間は、昇温時間及び降温時間も含めて、8〜24時間とすることが好ましい。
【0030】
本発明では、この焼成後の釉薬層にピンホール等の欠陥(釉薬欠点)が発生した場合に、この釉薬欠点が発生している箇所に補修用の釉薬にて補修釉薬層を形成することにより、その補修を行うものである。
【0031】
ここで、補修用の釉薬としては、焼成硬化して補修釉薬層を形成する場合に、この補修釉薬層が、釉薬層と同色となるものを用いる。ここで同色とは、人間が目視で観察した場合に色の違いが判別できない程度であれば良いが、特に分光測色計にて測定されるL*a*b*色空間に基づいて導出される補修釉薬層と釉薬層との間の色差ΔEが、−1.2<ΔE<1.2の範囲となるようにすることが好ましい。このときの測定は、例えばミノルタ製の分光測色計「CM−508d」を用い、測定径:8mm、光源:A光源、視野:2度の条件で、正反射光を受光するSCI方式にて測定することができる。
【0032】
補修用の釉薬を配置するにあたっては、釉薬欠点に塗布、転写等の方法で配置するものである。また、塗布、転写等による補修用の釉薬の配置に先だって、釉薬欠点を切削し、あるいは更にこの切削部に補修用の釉薬を埋め込んでおくこともできる。
【0033】
このように補修用の釉薬が配置された後に、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成し、この補修釉薬層にて釉薬欠点を隠蔽するものである。このように元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成するのは、補修釉薬層の焼成時に釉薬層に新たに釉薬欠点が発生することを防ぐためである。即ち焼成により形成された釉薬層は、焼成前よりも融点が低くなっており、このため釉薬層の焼成時と同一温度で補修釉薬層の焼成を行うと素地から発生するガスを釉薬層が巻き込みやすくなって、新たな釉薬欠点が発生するおそれがあり、このような釉薬欠点の発生を防止するものである。具体的な焼成温度は釉薬層及び補修用の釉薬層の組成等により適宜設定されるものであるが、元の釉薬層の焼成温度よりも50〜150℃低い温度で焼成することが好ましい。
【0034】
上記の補修用の釉薬としては、釉薬層の形成に用いた釉薬組成に対して、必要に応じて水分量を調整したり、CMC(カルボキシメチルセルロース)等のノリ剤を加えて粘度・流動性を調整したりしたものを用いることができる。また、釉薬組成、特に使用する顔料によっては、焼成を繰り返すことにより顔料の釉薬内でのとけ込みが生じて、釉薬層の色が変わる場合がある。このような褪色が生じる場合には、予め、補修用の釉薬の組成を、その焼成後の色が、二回焼成時(すなわち釉薬層の焼成と補修釉薬層の焼成とを行った時)の釉薬層の色と同色となるように、配合組成を適宜調整するものである。
【0035】
また、釉薬層の形成時に上記のように二種類の釉薬を順次塗布することにより、色の異なる二層構造に形成する場合には、形成される補修釉薬層が、二回焼成時の釉薬層の、上下二層の色が重なった外観の色と同色となるようにするものである。
【0036】
以下、各請求項に係る発明について、具体的な実施形態を説明する。
【0037】
請求項1の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。この補修釉薬層により釉薬欠点を覆うと共に、形成される補修釉薬層と元の釉薬層とが一体化して補修箇所が目立たなくすることができる。
【0038】
この塗布に供される補修用の釉薬(以下、「塗布釉薬」という)としては、既述のように補修釉薬層の焼成後における補修釉薬層と元の釉薬層とが同色となるように組成が調整されたものが用いられる。特に釉薬層が一層のものであり、この釉薬層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、塗布釉薬として、釉薬層の形成に用いた釉薬に対して、タレ防止のためにCMC等のノリ剤を0.4〜1重量%配合したものを用いることができる。ノリ剤を加えるのは、素地表面に釉薬を塗布する場合には素地表面が釉薬を若干吸収することにより素地表面からの釉薬のタレが生じにくくなっているが、補修用の釉薬を塗布する場合にはこのような釉薬の吸収がなく、タレが生じやすくなるためである。また釉薬層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と元の釉薬層とが同色となるように組成を適宜変更し、更にノリ剤を0.4〜1重量%配合したものを用いることができる。
【0039】
また塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、塗布釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、垂らし掛け、刷毛塗り、浸し掛け等のように、一般に液体塗料を塗布する際に用いられるいずれの手法も採ることができるが、特に上記のようなスプレー塗布を行うと、塗布釉薬が塗布された領域の外縁部分がぼやけて、塗布釉薬の塗布された領域と釉薬層の表面との継ぎ目部分が視認しにくくなって、補修箇所を判別しにくくすることができ、外観を向上することができる。
【0040】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0041】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。
【0042】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0043】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0044】
請求項2の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点の周囲を切削して凹設し、この凹設された切削部内に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0045】
釉薬層の切削はルーター等の適宜の切削具を用いて行うことができ、これにより釉薬欠点が発生した箇所に凹状の切削部を形成する。切削部は例えばすり鉢状に形成することができ、このとき切削部の外縁部分はその内側よりも釉薬層表面に対する傾斜角が小さくなるように形成することが好ましい。
【0046】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。補修用の釉薬を塗布するにあたっては、例えば切削部の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、塗布釉薬は、切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0047】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0048】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0049】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0050】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0051】
請求項3の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0052】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0053】
切削部への埋め込みに供される補修用の釉薬(以下、「埋め込み釉薬」という)としては、焼成された際に元の釉薬層と同色となるように発色するものを用いる。特に釉薬層が一層のものであり、この釉薬層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、埋め込み釉薬として、釉薬層の形成に用いた釉薬に対して、水分調整を施して水分量を好ましくは1〜2重量%とし、更にCMC(カルボキシメチルセルロース)等のノリ剤や増粘剤を好ましくは2〜3重量%添加することにより流動性を持たせたものを用いることができる。水分量を調整するのは、切削部に埋め込まれた後に焼成時における埋め込み釉薬の体積収縮をできるだけ低減するためであり、またノリ剤等を添加するのは、切削部への埋め込み釉薬の充填性を向上させるためである。また釉薬層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と元の釉薬層とが同色となるように組成を適宜変更し、更に上記のような水分量の調整とノリ剤等の添加を行ったものを用いることができる。
【0054】
この埋め込み釉薬の埋め込みは、例えば作業者が埋め込み釉薬を指にとり、これを切削部内に空隙が生じないように切削部内に押し込んで埋め込むことにより行うことができる。空隙が残存すると、補修箇所が窪んで補修箇所が目立つこととなるおそれがある。また埋め込み釉薬の押し込みは、吸水性の紙や濾紙、布等で埋め込み釉薬を押さえ込むことによって行うこともでき、この場合は埋め込み釉薬から水分を徐々に抜きながら埋め込みを行うことができて、焼成時の埋め込み釉薬の体積収縮を抑制し、焼成後の外観を向上することができる。また埋め込み時には、スプーン、へら等の種々の治具を用いて埋め込み釉薬の押し込みを行っても良い。このとき埋め込み釉薬は、元の釉薬層の表面よりも少し盛り上がるように切削部から若干突出させるようにして埋め込むことが好ましく、この場合、焼成時の埋め込み釉薬の体積収縮によって、焼成後の補修釉薬層の外面が平滑となり、外観が向上するものである。
【0055】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば埋め込み釉薬が埋め込まれた切削部の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、埋め込み釉薬が埋め込まれた切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布するようにして、埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目とを覆うように塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0056】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0057】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が塗布釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0058】
また、塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。
【0059】
請求項4の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬(以下、「転写釉薬」という)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0060】
上記の転写シートは、対象基材表面に転写釉薬を転写可能に形成したものが用いられ、例えば台紙上にPVA(ポリビニルアルコール)等からなる水溶性のノリ剤を塗布し、この上に更に転写釉薬を塗布した後、この転写釉薬の外面を全て覆うようにアクリル樹脂等のカバーコートを印刷法等で形成し、このカバーコートを硬化させることにより得られるものを用いることができる。この転写釉薬は、既述のように補修釉薬層の焼成後における補修釉薬層と元の釉薬層とが同色となるように組成が調整されたものが用いられる。特に釉薬層が一層のものであり、この釉薬層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、転写釉薬として、釉薬層の形成に用いた釉薬と同一組成のものを用いることができる。また釉薬層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と元の釉薬層とが同色となるように組成を適宜変更したものを用いることができる。
【0061】
転写釉薬の転写は、上記のような転写シートを、転写釉薬が釉薬層表面の釉薬欠点が発した箇所において釉薬欠点を覆うように貼着し、台紙等を剥離することにより行われ、これにより釉薬欠点を覆うように転写釉薬を配置する。上記に例示したような転写シートを用いる場合には、転写シートからカバーコートを剥離すると共に転写シートを水に浸すことによって、水溶性ノリ剤を溶解させ、この状態で転写シートを釉薬層表面に貼着し、台紙を剥がしながらずらしていくことにより台紙を剥離して、転写釉薬を転写することができる。
【0062】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0063】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0064】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0065】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成する釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0066】
請求項5の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0067】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0068】
また転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができ、請求項4と同様の方法により釉薬層表面において切削部を覆うように転写釉薬を配置する。
【0069】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0070】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0071】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0072】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0073】
請求項6の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込み、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0074】
切削部の形成は、請求項2の発明と同様にして行うことができる。
【0075】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0076】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができ、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、埋め込み釉薬の上面側に切削部を覆うように転写釉薬を配置する。このとき転写釉薬を、埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目を覆うように配置することが好ましい。
【0077】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0078】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0079】
また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0080】
以上の請求項1〜6に関する各実施形態では、一層の釉薬層に発生した釉薬欠点の補修に関するものであり、実際に釉薬層を補修する場合には、釉薬欠点の状態や補修を行う際の作業性等を考慮して、上記の請求項1〜6に関する実施形態のうちのいずれかを選択して補修を行うことができる。
【0081】
補修を行うにあたっての優劣は、釉薬欠点の状態や釉薬、素地等の組成などとも関係するため一概にはいえないが、請求項3に関する実施形態では最も確実に釉薬欠点を補修することができ、以下、請求項6,請求項2及び5、請求項1及び4に関する実施形態の順に、補修時の確実性が優れる。
【0082】
また補修作業の容易性という面からいえば、請求項4,5,6,1,2,3の順に作業性が良いものである。
【0083】
次に、特に二層の釉薬層に発生した釉薬欠点の補修に関する請求項7〜21に係る発明について説明する。
【0084】
請求項7の発明では、二層に形成された釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。この補修釉薬層により釉薬欠点を覆うと共に、形成される補修釉薬層と元の釉薬層とが一体化して補修箇所が目立たなくすることができる。
【0085】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものを用いることができる。ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、既述のように、形成される補修釉薬層が、二回焼成時の釉薬層の、上下二層の色が重なった外観の色と同色となるように、塗布釉薬の組成を適宜調整するものである。
【0086】
また、二層に分かれた釉薬層のうちの一方の層が無色透明で他方の層が有色又は不透明である場合には、二回焼成時の釉薬層の、他方の層の色と同色となるように、塗布釉薬の組成を適宜調整することができる。この場合、有色又は不透明の他方の層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、塗布釉薬として、他方の層の形成に用いた釉薬に対して、タレ防止のためにCMC等のノリ剤を0.4〜1重量%配合したものを用いることができる。
【0087】
また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、例えば釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、塗布釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0088】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。
【0089】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0090】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0091】
請求項8の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点の周囲を切削して凹設し、この凹設された切削部内に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0092】
釉薬層の切削は請求項2の場合と同様に行うことができる。
【0093】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられ、また二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、請求項7の発明と同様に、組成が調整された塗布釉薬を用いることができる。
【0094】
塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば切削部の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、塗布釉薬は、切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0095】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0096】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0097】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0098】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0099】
請求項9の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0100】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0101】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明の場合と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0102】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば埋め込み釉薬が埋め込まれた切削部の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、塗布釉薬は、切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0103】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、埋め込み釉薬として、焼成された際に釉薬層の下層と同色となるように発色するものを用いると共に、塗布釉薬として、焼成された際に釉薬層の上層と同色となるように発色するものを用いることが好ましい。
【0104】
このような場合の埋め込み釉薬としては、釉薬層の下層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、埋め込み釉薬として、釉薬層形成時の一回目の塗布に用いた釉薬(釉薬層の下層形成のための釉薬)に対して、水分調整を施して水分量を好ましくは1〜2重量%とし、更にCMC(カルボキシメチルセルロース)等のノリ剤や増粘剤を好ましくは2〜3重量%添加することにより流動性を持たせたものを用いることができる。また釉薬層の下層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と釉薬層の下層とが同色となるように組成を適宜変更し、更に上記のような水分量の調整とノリ剤等の添加を行ったものを用いることができる。
【0105】
また塗布釉薬としては、釉薬層の上層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、塗布釉薬として、釉薬層形成時の二回目の塗布に用いた釉薬(釉薬層の上層形成のための釉薬)に対して、タレ防止のためにCMC等のノリ剤を0.4〜1重量%配合したものを用いることができる。また釉薬層の上層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と釉薬層の上層とが同色となるように組成を適宜変更し、更にノリ剤を0.4〜1重量%配合したものを用いることができる。
【0106】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0107】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が塗布釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0108】
また、塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。
【0109】
請求項10の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0110】
上記の転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用い、請求項4の発明と同様の方法にて転写釉薬の転写を行うことができる。
【0111】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、既述のように、形成される補修釉薬層が、二回焼成時の釉薬層の、上下二層の色が重なった外観の色と同色となるように、転写釉薬の組成を適宜調整するものである。
【0112】
また、二層に分かれた釉薬層のうちの一方の層が無色透明で他方の層が有色又は不透明である場合には、二回焼成時の釉薬層の、他方の層の色と同色となるように、転写釉薬の組成を適宜調整することができる。この場合、有色又は不透明の他方の層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、転写釉薬として、他方の層の形成に用いた釉薬と同一の組成のものを用いることができる。
【0113】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0114】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0115】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0116】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0117】
請求項11の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0118】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0119】
また転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができ、転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、請求項5の発明と同様の方法にて行うことができる。
【0120】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、既述のように、形成される補修釉薬層が、二回焼成時の釉薬層の、上下二層の色が重なった外観の色と同色となるように、転写釉薬の組成を適宜調整するものである。
【0121】
また、二層に分かれた釉薬層のうちの一方の層が無色透明で他方の層が有色又は不透明である場合には、二回焼成時の釉薬層の、他方の層の色と同色となるように、転写釉薬の組成を適宜調整することができる。この場合、有色又は不透明の他方の層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、転写釉薬として、他方の層の形成に用いた釉薬と同一の組成のものを用いることができる。
【0122】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0123】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0124】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0125】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0126】
請求項12の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込み、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0127】
切削部の形成は、請求項2の発明と同様にして行うことができる。
【0128】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明の場合と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0129】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、請求項6の発明と同様にして行うことができる。
【0130】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、埋め込み釉薬として、焼成された際に釉薬層の下層と同色となるように発色するものを用いると共に、転写釉薬として、焼成された際に釉薬層の上層と同色となるように発色するものを用いることが好ましい。
【0131】
このような場合の埋め込み釉薬としては、釉薬層の下層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、埋め込み釉薬として、釉薬層形成時の一回目の塗布に用いた釉薬(釉薬層の下層形成のための釉薬)に対して、水分調整を施して水分量を好ましくは1〜2重量%とし、更にCMC(カルボキシメチルセルロース)等のノリ剤や増粘剤を好ましくは2〜3重量%添加することにより流動性を持たせたものを用いることができる。また釉薬層の下層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と釉薬層の下層とが同色となるように組成を適宜変更し、更に上記のような水分量の調整とノリ剤等の添加を行ったものを用いることができる。
【0132】
また転写釉薬としては、釉薬層の上層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、転写釉薬として、釉薬層形成時の二回目の塗布に用いた釉薬(釉薬層の上層形成のための釉薬)と同一組成のものを用いることができる。また釉薬層の上層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と釉薬層の上層とが同色となるように組成を適宜変更したものを用いることができる。
【0133】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0134】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0135】
また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0136】
請求項13の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に更に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。この補修釉薬層により釉薬欠点を覆うと共に、形成される補修釉薬層と元の釉薬層とが一体化して補修箇所が目立たなくすることができる。
【0137】
二種の塗布釉薬としては、請求項1の発明と同様のものを用いることができる。このとき、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0138】
また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、例えば釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて補修用の釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0139】
また一回目の補修用の釉薬の塗布を行った後は、この塗布された補修用の釉薬を十分に乾燥させた後に、二回目の補修用の釉薬の塗布を行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0140】
このように補修用釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0141】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。
【0142】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0143】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0144】
請求項14の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に更に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0145】
釉薬層の切削は、請求項2の場合と同様に行うことができる。
【0146】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。このとき、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0147】
塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば切削部の上方から釉薬層に向けて補修用の釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0148】
また請求項13の発明の場合と同様に、一回目の塗布釉薬の塗布を行った後は、この塗布された塗布釉薬を十分に乾燥させた後に、二回目の塗布釉薬の塗布を行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0149】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0150】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0151】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0152】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0153】
請求項15の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に更に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0154】
切削部の形成は、請求項2の発明と同様にして行うことができる。
【0155】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明の場合と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0156】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば埋め込み釉薬が埋め込まれた切削部の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0157】
また請求項13の発明の場合と同様に、一回目の塗布釉薬の塗布を行った後は、この塗布された塗布釉薬を十分に乾燥させた後に、二回目の塗布釉薬の塗布を行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0158】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、埋め込み釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調整したものを用い、また最初に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0159】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0160】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が塗布釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0161】
また、塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。
【0162】
請求項16の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0163】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、例えば釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて補修用の釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また請求項1の発明の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0164】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。
【0165】
転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、請求項4の発明と同様の方法により、釉薬層表面において、塗布釉薬を覆うように転写釉薬を配置する。
【0166】
転写釉薬の転写は、塗布釉薬を十分に乾燥させた後に行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0167】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0168】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0169】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0170】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0171】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0172】
請求項17の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0173】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0174】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて補修用の釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0175】
また転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、請求項4の発明と同様の方法により、釉薬層の表面において、塗布釉薬を覆うように転写釉薬を配置する。
【0176】
転写釉薬の転写は、塗布釉薬を十分に乾燥させた後に行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0177】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0178】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0179】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0180】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0181】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0182】
請求項18の発明は、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込み、その上に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0183】
切削部の形成は、請求項2の発明と同様にして行うことができる。
【0184】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明の場合と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0185】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、例えば埋め込み釉薬が埋め込まれた釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて補修用の釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また請求項1の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0186】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、請求項4の発明と同様の方法により、釉薬層の表面において、塗布釉薬の上面側に切削部を覆うように転写釉薬を配置する。
【0187】
転写釉薬の転写は、塗布釉薬を十分に乾燥させた後に行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0188】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、埋め込み釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調整したものを用い、また塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0189】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0190】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0191】
また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0192】
請求項19の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0193】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。
【0194】
転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、一回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、釉薬欠点を覆うように転写釉薬を配置する。
【0195】
また二回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、一回目の転写釉薬を覆うように転写釉薬を配置する。
【0196】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0197】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0198】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0199】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0200】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0201】
請求項20の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0202】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0203】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。
【0204】
転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、一回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明と同様の方法により、釉薬層の表面において、切削部を覆うように転写釉薬を配置する。
【0205】
また二回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、一回目の転写釉薬を覆うように転写釉薬を配置する。
【0206】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0207】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0208】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0209】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0210】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0211】
請求項21の発明は、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込み、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0212】
切削部の形成は、請求項2の発明と同様にして行うことができる。
【0213】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明の場合と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0214】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。
【0215】
転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、一回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、埋め込み釉薬の上面側に切削部を覆うように転写釉薬を配置する。
【0216】
また二回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、一回目の転写釉薬を覆うように転写釉薬を配置する。
【0217】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、埋め込み釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調整したものを用い、また最初に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0218】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0219】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0220】
また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0221】
以上の請求項7〜21に関する各実施形態では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点の補修に関するものであり、実際に釉薬層を補修する場合には、釉薬欠点の状態や補修を行う際の作業性等を考慮して、上記の請求項7〜21に関する実施形態のうちのいずれかを選択して補修を行うことができる。
【0222】
補修を行うにあたっての優劣は、上記のような釉薬欠点の状態や釉薬、素地等の組成などとも関係するため一概にはいえないが、請求項15、18及び21に関する実施形態では最も確実に釉薬欠点を補修することができ、以下、請求項9及び12、請求項14,17及び20、請求項8及び11、請求項13,16及び19、請求項7及び10の実施形態の順に、補修時の確実性が優れる。
【0223】
また補修作業の容易性という面からいえば、請求項10,11,12,19.20,21,7,8,9,16,17,18,13,14,15の順に作業性が良いものである。
【0224】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0225】
(実施例1〜28、比較例1〜9)
衛生陶磁器(大便器)を作製するための素地表面に釉薬を塗布し、最高温度1200℃のトンネルキルンにて20時間焼成して、釉薬層を形成した。
【0226】
このとき釉薬層を形成するための釉薬としては、透明釉薬と、白色釉薬の二種類の釉薬を用いた。透明釉薬は、釜戸長石44重量部、亜鉛華3重量部、鼠石灰17重量部、ドロマイト3重量部、珪石28重量部、蛙目粘土4重量部を配合し、更に水40重量部、水ガラス0.05重量部を加えて、ボールミルにて20時間粉砕混合することにより調製した。また白色釉薬は、釜戸長石40重量部、亜鉛華3重量部、鼠石灰15重量部、ドロマイト3重量部、珪石25重量部、珪酸ジルコニウム10重量部、蛙目粘土4重量部を配合し、透明釉薬の場合と同様に更に水40重量部、水ガラス0.05重量部を加えて、ボールミルにて20時間粉砕混合することにより調製した。
【0227】
また釉薬層を二層形成する場合には白色釉薬、透明釉薬を順に塗布し、このとき1回目の白色釉薬を塗布してから十分乾燥させた後、透明釉薬を塗布するようにした。
【0228】
次に、得られた衛生陶磁器の表面の釉薬層を目視して、釉薬欠点を観察し、この釉薬欠点を直径が0.5〜1.0mmのものと、直径が1.0〜2.5mm(但し1.0mmを含まない)のものとに分類した。
【0229】
各実施例及び比較例につき、表1〜4に示す補修加工を行って釉薬欠点の補修を行った。補修加工は表中の上側の欄にある加工を先に、下側の欄にある加工を後に行った。
【0230】
ここで、切削加工は、回転式の研削具(ルーター)を用いて行い、直径3mm、深さ0.6mmの寸法のすり鉢状の研削部を形成したものであり、このとき研削部の外縁部の傾斜をその内側よりも小さくなるように形成した。
【0231】
また埋め込みは、釉薬層形成時の白色釉薬と同一組成の釉薬を乾燥して水分含有量を1重量%となるようにし、更にCMCを2重量%配合することにより調製された埋め込み釉薬を用い、これを研削部内に、空隙が生じないように押し付けて押し込むことにより埋め込んだ。このとき、埋め込み釉薬は、元の釉薬層の表面よりも0.5mm盛り上がるように埋め込んだ。
【0232】
また塗布加工は、釉薬層形成時の白色釉薬と同一組成の釉薬に対してCMCを0.4重量%添加して撹拌混合することにより調製された塗布釉薬(白色釉薬)と、釉薬層形成時の透明釉薬と同一組成の釉薬に対してCMCを0.4重量%添加して撹拌混合することにより調製された塗布釉薬(透明釉薬)とを用い、口径0.5mmのスプレーガンを用いて加工部位に直径30mmの範囲塗布したものであり、このとき周囲に飛散した釉薬は乾いた布で払い落とした後、エアーにて塵払いを行った。また塗布加工を二回行ったものでは、一回目の塗布の後、塗布された釉薬が乾燥してから二回目の塗布を行った。
【0233】
また転写加工は、釉薬層形成時の白色釉薬と同一組成に調製された転写釉薬(白色釉薬)と、釉薬層形成時の透明釉薬と同一組成に調製された転写釉薬(透明釉薬)とを用い、台紙上にPVAを塗布したものに対してこの転写釉薬を塗布したものに、アクリル樹脂のカバーコートを転写釉薬全体を覆うように印刷塗布し、カバーコートを硬化させたものを用いた。転写加工は、この転写シートを5cm角に切り取ったものからカバーコートを剥離し、水に浸してから、加工部位に貼着し、台紙を剥がしながらずらしていくことにより行った。また塗布加工の後に転写加工を行う場合、及び転写加工を二回行う場合には、先に塗布された釉薬を乾燥させた後、転写加工を行った。
【0234】
(評価)
各実施例及び比較例について、補修加工が施された釉薬層の表面を、800ルクスの蛍光灯で照らした状態で、60cm離れた位置から目視にて観察し、補修箇所が確認できるか否かを判定した。評価は各実施例及び比較例につき20箇所の補修部位を観察することにより行い、このうち不良個数をカウントすると共に不良率を導出した。この結果を表1〜4に併せて示す。
【0235】
【表1】
【0236】
【表2】
【0237】
【表3】
【0238】
【表4】
【0239】
表に示す結果のように、直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例1では20箇所中1箇所しか外観が合格しなかったが、補修用の釉薬を塗布した後に焼成した実施例1(請求項1に相当)では、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、13箇所も合格することとなった。
【0240】
また直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例2では20箇所中3箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削と補修用の釉薬の塗布を行った実施例2(請求項2に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、15箇所も合格することとなった。
【0241】
また直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例3では20箇所中8箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に、補修用の釉薬の塗布を行った実施例3(請求項3に相当)では、更に近付いて観察した場合には補修箇所が判別できる箇所はあるものの、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、塗布釉薬にて隠蔽されたためである。
【0242】
また既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例1では20箇所中1箇所しか外観が合格しなかったが、補修用の釉薬を転写した後に焼成した実施例4(請求項4に相当)では、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、14箇所も合格することとなった。またこの実施例4の外観合格率は実施例1と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0243】
また既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例2では20箇所中3箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を転写した実施例5(請求項5に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、15箇所も合格することとなった。またこの実施例5の外観合格率は実施例2と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0244】
また既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例3では20箇所中8箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に補修用の釉薬の転写を行った実施例6(請求項6に相当)では、更に近付いて観察した場合には補修箇所が判別できる箇所はあるものの、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、転写釉薬にて隠蔽されたためである。またこの実施例6の外観合格率は実施例3と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0245】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例4では20箇所中全て外観が合格しなかったが、補修用の白色釉薬を塗布した後に焼成した実施例7(請求項7に相当)では、焼成中に補修用の釉薬が釉薬欠点に流れ込み、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、13箇所も合格することとなった。
【0246】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例5では20箇所中2箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削と補修用の白色釉薬の塗布を行った実施例8(請求項8に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、16箇所も合格することとなった。
【0247】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例6では20箇所中6箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に、補修用の白色釉薬の塗布を行った実施例9(請求項9に相当)では、更に近付いて観察した場合には補修箇所が判別できる箇所はあるものの、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、塗布釉薬にて隠蔽されたためである。
【0248】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例4では20箇所中全て外観が合格しなかったが、補修用の白色釉薬を転写した後に焼成した実施例10(請求項10に相当)では、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、13箇所も合格することとなった。またこの実施例10の外観合格率は実施例7と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0249】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例5では20箇所中2箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点を切削した後に補修用の白色釉薬を転写した実施例11(請求項11に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、16箇所も合格することとなった。またこの実施例11の外観合格率は実施例8と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0250】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例6では20箇所中6箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に補修用の白色釉薬の転写を行った実施例12(請求項12に相当)では、更に近付いて観察した場合には補修箇所が判別できる箇所はあるものの、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、転写釉薬にて隠蔽されたためである。またこの実施例12の外観合格率は実施例9と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0251】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例4では20箇所中全て外観が合格しなかったが、補修用の白色釉薬を塗布・乾燥した後に更に透明釉薬を塗布してから焼成した実施例13(請求項13に相当)では、15箇所も合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。
【0252】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例5では20箇所中2箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削の後に、補修用の白色釉薬の塗布・乾燥、補修用の透明釉薬の塗布を行い、再焼成を行った実施例14(請求項14に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、20箇所中17箇所全てが合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。
【0253】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例6では20箇所中6箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に、補修用の白色釉薬の塗布・乾燥、補修用の透明釉薬の塗布を行い、再焼成を行った実施例15(請求項15に相当)では、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、塗布釉薬にて隠蔽されたためである。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。
【0254】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例4では20箇所中全て外観が合格しなかったが、補修用の白色釉薬を塗布・乾燥した後、補修用の透明釉薬の転写を行った実施例16(請求項16に相当)では、20箇所中15箇所が合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例16の外観合格率は実施例13と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0255】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例5では20箇所中2箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削と補修用の白色釉薬の塗布・乾燥、補修用の透明釉薬の転写を行った実施例17(請求項17に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、20箇所中17箇所も合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例17の外観合格率は実施例14と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0256】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例6では20箇所中6箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に、補修用の白色釉薬の塗布・乾燥、補修用の透明釉薬の転写を行った実施例18(請求項18に相当)では、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、塗布釉薬にて隠蔽されたためである。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例18の外観合格率は実施例15と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0257】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例4では20箇所中全て外観が合格しなかったが、補修用の白色釉薬を転写した後に更に補修用の透明釉薬を転写し、焼成した実施例19(請求項19に相当)では、15箇所も合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例19の外観合格率は実施例16と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0258】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例5では20箇所中2箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点を切削した後に補修用の白色釉薬を転写し、更に補修用の透明釉薬を転写した実施例20(請求項20に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、17箇所も合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例20の外観合格率は実施例17と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0259】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例6では20箇所中6箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に補修用の白色釉薬の転写、更に透明釉薬の転写を行った実施例21(請求項21に相当)では、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、転写釉薬にて隠蔽されたためである。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例20の外観合格率は実施例18と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0260】
また実施例22〜28は、それぞれ釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みとを行った実施例3,6,9,12,15,18,21において、直径1.0〜2.5mmの釉薬欠点についての補修を行ったものであるが、直径1.0mmを超える釉薬欠点の補修にあたっても、20箇所中20箇所全部が合格することとなった。
【0261】
また、上記のいずれの実施例においても、ミノルタ製の分光測色計「CM−508d」を用い、測定径:8mm、光源:A光源、視野:2度の条件で、正反射光を受光するSCI方式にて測定されたL*a*b*色空間に基づき、補修釉薬層と釉薬層との間の色差ΔEを導出したところ、すべて−1.2<ΔE<1.2の範囲となった。
【0262】
【発明の効果】
上記のように本発明に係る衛生陶磁器の製造方法は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成した後、釉薬層の補修を行うものであるが、請求項1に係る発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなるようにすることができるものである。
【0263】
また請求項2に係る発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができるものである。
【0264】
また請求項3に係る発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができ、且つ埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目を塗布釉薬にて覆うことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、更に塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。
【0265】
また請求項4に係る発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0266】
また請求項5に係る発明は、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0267】
また請求項6に係る発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になって補修箇所が更に目立たなくなり、また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものであり、更に転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0268】
また請求項7に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなるものである。
【0269】
また請求項8に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができるものである。
【0270】
また請求項9の発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が塗布釉薬にて覆われて補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなるものであり、更に塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである
また請求項10の発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0271】
また請求項11に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0272】
また請求項12に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われて補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなり、また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものであり、更に転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
ことを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
【0273】
また請求項13に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなるものである。
【0274】
また請求項14に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができるものである。
【0275】
また請求項15に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が塗布釉薬にて覆われて補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなり、また、塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。
【0276】
また請求項16に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0277】
また請求項17に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0278】
また請求項18に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなり、また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものであり、更に転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0279】
また請求項19に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0280】
また請求項20に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0281】
また請求項21に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなり、また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものであり、更に転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛生陶磁器の製造方法に関し、詳しくは釉薬欠点をなくして廃棄物の発生量を低減することができる衛生陶磁器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、衛生陶磁器等の陶磁器においては、乾燥素地の上に釉薬を塗布し、焼成する方法で製品としている。しかし、衛生陶磁器においては素地を締め焼きしていないため、焼成過程で素地からガスが多く発生し、釉薬層にピンホール等の欠陥(釉薬欠点)が発生する。また、一般に衛生陶磁器の釉薬では、長石、石灰、ドロマイト等の生原料を使うため釉薬原料から発生するガス、釉薬が焼き締まるときに発生するガス等によっても、釉薬にピンホール等の釉薬欠点が発生し、廃棄処分しなければならなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、釉薬層を補修して釉薬欠点のない衛生陶磁器を製造することができて、不良品の廃棄処分を抑制することができる衛生陶磁器の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0005】
また請求項2に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0006】
また請求項3に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0007】
また請求項4に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0008】
また請求項5に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0009】
また請求項6に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0010】
また請求項7に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0011】
また請求項8に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0012】
また請求項9に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0013】
また請求項10に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0014】
また請求項11に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0015】
また請求項12に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0016】
また請求項13に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0017】
また請求項14に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0018】
また請求項15に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0019】
また請求項16に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0020】
また請求項17に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0021】
また請求項18に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0022】
また請求項19に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0023】
また請求項20に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0024】
また請求項21に係る発明は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とするものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
衛生陶磁器を作製するにあたっては、まず素地を形成する。素地は例えば泥漿を型に流し込んで成形する鋳込み成形を行った後、乾燥することにより作製される。
【0027】
この素地の表面に釉薬を塗布する。釉薬は従来用いられている種々のものを使用することができる。釉薬は一種類の釉薬を塗布することにより一層の釉薬層を形成することができ、また二種類の釉薬を順次塗布することにより二層の釉薬層を形成することもできる。二層の釉薬層を形成する場合には、一回目の釉薬の塗布の後、この釉薬を乾燥させてから、二回目の釉薬の塗布を行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0028】
このような釉薬としては、衛生陶磁器等の陶磁器作製の際に一般的に用いられているものを使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば長石(釜戸長石等)、亜鉛華、石灰(鼠石灰等)、ドロマイト、珪石、珪酸ジルコニウム、粘土(蛙目粘土等)等を原料として用い、これらに水や解膠剤である水ガラス等を加えた状態でボールミル等で粉砕することにより調製することができる。
【0029】
このようにして素地表面に釉薬を塗布した後、焼成することにより素地と釉薬とを焼き締め、素地を陶磁器として形成すると共に、この陶磁器の表面には焼成された釉薬にて一層又は二層の釉薬層が形成される。焼成条件は素地や釉薬の寸法、厚み、組成等に応じて適宜設定されるが、例えばトンネルキルン等の炉中で最高温度1100〜1250℃で加熱焼成することが好ましい。このときの加熱焼成時間は、昇温時間及び降温時間も含めて、8〜24時間とすることが好ましい。
【0030】
本発明では、この焼成後の釉薬層にピンホール等の欠陥(釉薬欠点)が発生した場合に、この釉薬欠点が発生している箇所に補修用の釉薬にて補修釉薬層を形成することにより、その補修を行うものである。
【0031】
ここで、補修用の釉薬としては、焼成硬化して補修釉薬層を形成する場合に、この補修釉薬層が、釉薬層と同色となるものを用いる。ここで同色とは、人間が目視で観察した場合に色の違いが判別できない程度であれば良いが、特に分光測色計にて測定されるL*a*b*色空間に基づいて導出される補修釉薬層と釉薬層との間の色差ΔEが、−1.2<ΔE<1.2の範囲となるようにすることが好ましい。このときの測定は、例えばミノルタ製の分光測色計「CM−508d」を用い、測定径:8mm、光源:A光源、視野:2度の条件で、正反射光を受光するSCI方式にて測定することができる。
【0032】
補修用の釉薬を配置するにあたっては、釉薬欠点に塗布、転写等の方法で配置するものである。また、塗布、転写等による補修用の釉薬の配置に先だって、釉薬欠点を切削し、あるいは更にこの切削部に補修用の釉薬を埋め込んでおくこともできる。
【0033】
このように補修用の釉薬が配置された後に、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成し、この補修釉薬層にて釉薬欠点を隠蔽するものである。このように元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成するのは、補修釉薬層の焼成時に釉薬層に新たに釉薬欠点が発生することを防ぐためである。即ち焼成により形成された釉薬層は、焼成前よりも融点が低くなっており、このため釉薬層の焼成時と同一温度で補修釉薬層の焼成を行うと素地から発生するガスを釉薬層が巻き込みやすくなって、新たな釉薬欠点が発生するおそれがあり、このような釉薬欠点の発生を防止するものである。具体的な焼成温度は釉薬層及び補修用の釉薬層の組成等により適宜設定されるものであるが、元の釉薬層の焼成温度よりも50〜150℃低い温度で焼成することが好ましい。
【0034】
上記の補修用の釉薬としては、釉薬層の形成に用いた釉薬組成に対して、必要に応じて水分量を調整したり、CMC(カルボキシメチルセルロース)等のノリ剤を加えて粘度・流動性を調整したりしたものを用いることができる。また、釉薬組成、特に使用する顔料によっては、焼成を繰り返すことにより顔料の釉薬内でのとけ込みが生じて、釉薬層の色が変わる場合がある。このような褪色が生じる場合には、予め、補修用の釉薬の組成を、その焼成後の色が、二回焼成時(すなわち釉薬層の焼成と補修釉薬層の焼成とを行った時)の釉薬層の色と同色となるように、配合組成を適宜調整するものである。
【0035】
また、釉薬層の形成時に上記のように二種類の釉薬を順次塗布することにより、色の異なる二層構造に形成する場合には、形成される補修釉薬層が、二回焼成時の釉薬層の、上下二層の色が重なった外観の色と同色となるようにするものである。
【0036】
以下、各請求項に係る発明について、具体的な実施形態を説明する。
【0037】
請求項1の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。この補修釉薬層により釉薬欠点を覆うと共に、形成される補修釉薬層と元の釉薬層とが一体化して補修箇所が目立たなくすることができる。
【0038】
この塗布に供される補修用の釉薬(以下、「塗布釉薬」という)としては、既述のように補修釉薬層の焼成後における補修釉薬層と元の釉薬層とが同色となるように組成が調整されたものが用いられる。特に釉薬層が一層のものであり、この釉薬層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、塗布釉薬として、釉薬層の形成に用いた釉薬に対して、タレ防止のためにCMC等のノリ剤を0.4〜1重量%配合したものを用いることができる。ノリ剤を加えるのは、素地表面に釉薬を塗布する場合には素地表面が釉薬を若干吸収することにより素地表面からの釉薬のタレが生じにくくなっているが、補修用の釉薬を塗布する場合にはこのような釉薬の吸収がなく、タレが生じやすくなるためである。また釉薬層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と元の釉薬層とが同色となるように組成を適宜変更し、更にノリ剤を0.4〜1重量%配合したものを用いることができる。
【0039】
また塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、塗布釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、垂らし掛け、刷毛塗り、浸し掛け等のように、一般に液体塗料を塗布する際に用いられるいずれの手法も採ることができるが、特に上記のようなスプレー塗布を行うと、塗布釉薬が塗布された領域の外縁部分がぼやけて、塗布釉薬の塗布された領域と釉薬層の表面との継ぎ目部分が視認しにくくなって、補修箇所を判別しにくくすることができ、外観を向上することができる。
【0040】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0041】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。
【0042】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0043】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0044】
請求項2の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点の周囲を切削して凹設し、この凹設された切削部内に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0045】
釉薬層の切削はルーター等の適宜の切削具を用いて行うことができ、これにより釉薬欠点が発生した箇所に凹状の切削部を形成する。切削部は例えばすり鉢状に形成することができ、このとき切削部の外縁部分はその内側よりも釉薬層表面に対する傾斜角が小さくなるように形成することが好ましい。
【0046】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。補修用の釉薬を塗布するにあたっては、例えば切削部の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、塗布釉薬は、切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0047】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0048】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0049】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0050】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0051】
請求項3の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0052】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0053】
切削部への埋め込みに供される補修用の釉薬(以下、「埋め込み釉薬」という)としては、焼成された際に元の釉薬層と同色となるように発色するものを用いる。特に釉薬層が一層のものであり、この釉薬層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、埋め込み釉薬として、釉薬層の形成に用いた釉薬に対して、水分調整を施して水分量を好ましくは1〜2重量%とし、更にCMC(カルボキシメチルセルロース)等のノリ剤や増粘剤を好ましくは2〜3重量%添加することにより流動性を持たせたものを用いることができる。水分量を調整するのは、切削部に埋め込まれた後に焼成時における埋め込み釉薬の体積収縮をできるだけ低減するためであり、またノリ剤等を添加するのは、切削部への埋め込み釉薬の充填性を向上させるためである。また釉薬層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と元の釉薬層とが同色となるように組成を適宜変更し、更に上記のような水分量の調整とノリ剤等の添加を行ったものを用いることができる。
【0054】
この埋め込み釉薬の埋め込みは、例えば作業者が埋め込み釉薬を指にとり、これを切削部内に空隙が生じないように切削部内に押し込んで埋め込むことにより行うことができる。空隙が残存すると、補修箇所が窪んで補修箇所が目立つこととなるおそれがある。また埋め込み釉薬の押し込みは、吸水性の紙や濾紙、布等で埋め込み釉薬を押さえ込むことによって行うこともでき、この場合は埋め込み釉薬から水分を徐々に抜きながら埋め込みを行うことができて、焼成時の埋め込み釉薬の体積収縮を抑制し、焼成後の外観を向上することができる。また埋め込み時には、スプーン、へら等の種々の治具を用いて埋め込み釉薬の押し込みを行っても良い。このとき埋め込み釉薬は、元の釉薬層の表面よりも少し盛り上がるように切削部から若干突出させるようにして埋め込むことが好ましく、この場合、焼成時の埋め込み釉薬の体積収縮によって、焼成後の補修釉薬層の外面が平滑となり、外観が向上するものである。
【0055】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば埋め込み釉薬が埋め込まれた切削部の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、埋め込み釉薬が埋め込まれた切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布するようにして、埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目とを覆うように塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0056】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0057】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が塗布釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0058】
また、塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。
【0059】
請求項4の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬(以下、「転写釉薬」という)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0060】
上記の転写シートは、対象基材表面に転写釉薬を転写可能に形成したものが用いられ、例えば台紙上にPVA(ポリビニルアルコール)等からなる水溶性のノリ剤を塗布し、この上に更に転写釉薬を塗布した後、この転写釉薬の外面を全て覆うようにアクリル樹脂等のカバーコートを印刷法等で形成し、このカバーコートを硬化させることにより得られるものを用いることができる。この転写釉薬は、既述のように補修釉薬層の焼成後における補修釉薬層と元の釉薬層とが同色となるように組成が調整されたものが用いられる。特に釉薬層が一層のものであり、この釉薬層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、転写釉薬として、釉薬層の形成に用いた釉薬と同一組成のものを用いることができる。また釉薬層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と元の釉薬層とが同色となるように組成を適宜変更したものを用いることができる。
【0061】
転写釉薬の転写は、上記のような転写シートを、転写釉薬が釉薬層表面の釉薬欠点が発した箇所において釉薬欠点を覆うように貼着し、台紙等を剥離することにより行われ、これにより釉薬欠点を覆うように転写釉薬を配置する。上記に例示したような転写シートを用いる場合には、転写シートからカバーコートを剥離すると共に転写シートを水に浸すことによって、水溶性ノリ剤を溶解させ、この状態で転写シートを釉薬層表面に貼着し、台紙を剥がしながらずらしていくことにより台紙を剥離して、転写釉薬を転写することができる。
【0062】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0063】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0064】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0065】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成する釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0066】
請求項5の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0067】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0068】
また転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができ、請求項4と同様の方法により釉薬層表面において切削部を覆うように転写釉薬を配置する。
【0069】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0070】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0071】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0072】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0073】
請求項6の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込み、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0074】
切削部の形成は、請求項2の発明と同様にして行うことができる。
【0075】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0076】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができ、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、埋め込み釉薬の上面側に切削部を覆うように転写釉薬を配置する。このとき転写釉薬を、埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目を覆うように配置することが好ましい。
【0077】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0078】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0079】
また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0080】
以上の請求項1〜6に関する各実施形態では、一層の釉薬層に発生した釉薬欠点の補修に関するものであり、実際に釉薬層を補修する場合には、釉薬欠点の状態や補修を行う際の作業性等を考慮して、上記の請求項1〜6に関する実施形態のうちのいずれかを選択して補修を行うことができる。
【0081】
補修を行うにあたっての優劣は、釉薬欠点の状態や釉薬、素地等の組成などとも関係するため一概にはいえないが、請求項3に関する実施形態では最も確実に釉薬欠点を補修することができ、以下、請求項6,請求項2及び5、請求項1及び4に関する実施形態の順に、補修時の確実性が優れる。
【0082】
また補修作業の容易性という面からいえば、請求項4,5,6,1,2,3の順に作業性が良いものである。
【0083】
次に、特に二層の釉薬層に発生した釉薬欠点の補修に関する請求項7〜21に係る発明について説明する。
【0084】
請求項7の発明では、二層に形成された釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。この補修釉薬層により釉薬欠点を覆うと共に、形成される補修釉薬層と元の釉薬層とが一体化して補修箇所が目立たなくすることができる。
【0085】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものを用いることができる。ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、既述のように、形成される補修釉薬層が、二回焼成時の釉薬層の、上下二層の色が重なった外観の色と同色となるように、塗布釉薬の組成を適宜調整するものである。
【0086】
また、二層に分かれた釉薬層のうちの一方の層が無色透明で他方の層が有色又は不透明である場合には、二回焼成時の釉薬層の、他方の層の色と同色となるように、塗布釉薬の組成を適宜調整することができる。この場合、有色又は不透明の他方の層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、塗布釉薬として、他方の層の形成に用いた釉薬に対して、タレ防止のためにCMC等のノリ剤を0.4〜1重量%配合したものを用いることができる。
【0087】
また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、例えば釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、塗布釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0088】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。
【0089】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0090】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0091】
請求項8の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点の周囲を切削して凹設し、この凹設された切削部内に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0092】
釉薬層の切削は請求項2の場合と同様に行うことができる。
【0093】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられ、また二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、請求項7の発明と同様に、組成が調整された塗布釉薬を用いることができる。
【0094】
塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば切削部の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、塗布釉薬は、切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0095】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0096】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0097】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0098】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0099】
請求項9の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0100】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0101】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明の場合と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0102】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば埋め込み釉薬が埋め込まれた切削部の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、塗布釉薬は、切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0103】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、埋め込み釉薬として、焼成された際に釉薬層の下層と同色となるように発色するものを用いると共に、塗布釉薬として、焼成された際に釉薬層の上層と同色となるように発色するものを用いることが好ましい。
【0104】
このような場合の埋め込み釉薬としては、釉薬層の下層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、埋め込み釉薬として、釉薬層形成時の一回目の塗布に用いた釉薬(釉薬層の下層形成のための釉薬)に対して、水分調整を施して水分量を好ましくは1〜2重量%とし、更にCMC(カルボキシメチルセルロース)等のノリ剤や増粘剤を好ましくは2〜3重量%添加することにより流動性を持たせたものを用いることができる。また釉薬層の下層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と釉薬層の下層とが同色となるように組成を適宜変更し、更に上記のような水分量の調整とノリ剤等の添加を行ったものを用いることができる。
【0105】
また塗布釉薬としては、釉薬層の上層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、塗布釉薬として、釉薬層形成時の二回目の塗布に用いた釉薬(釉薬層の上層形成のための釉薬)に対して、タレ防止のためにCMC等のノリ剤を0.4〜1重量%配合したものを用いることができる。また釉薬層の上層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と釉薬層の上層とが同色となるように組成を適宜変更し、更にノリ剤を0.4〜1重量%配合したものを用いることができる。
【0106】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0107】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が塗布釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0108】
また、塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。
【0109】
請求項10の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0110】
上記の転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用い、請求項4の発明と同様の方法にて転写釉薬の転写を行うことができる。
【0111】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、既述のように、形成される補修釉薬層が、二回焼成時の釉薬層の、上下二層の色が重なった外観の色と同色となるように、転写釉薬の組成を適宜調整するものである。
【0112】
また、二層に分かれた釉薬層のうちの一方の層が無色透明で他方の層が有色又は不透明である場合には、二回焼成時の釉薬層の、他方の層の色と同色となるように、転写釉薬の組成を適宜調整することができる。この場合、有色又は不透明の他方の層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、転写釉薬として、他方の層の形成に用いた釉薬と同一の組成のものを用いることができる。
【0113】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0114】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0115】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0116】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0117】
請求項11の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0118】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0119】
また転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができ、転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、請求項5の発明と同様の方法にて行うことができる。
【0120】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、既述のように、形成される補修釉薬層が、二回焼成時の釉薬層の、上下二層の色が重なった外観の色と同色となるように、転写釉薬の組成を適宜調整するものである。
【0121】
また、二層に分かれた釉薬層のうちの一方の層が無色透明で他方の層が有色又は不透明である場合には、二回焼成時の釉薬層の、他方の層の色と同色となるように、転写釉薬の組成を適宜調整することができる。この場合、有色又は不透明の他方の層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、転写釉薬として、他方の層の形成に用いた釉薬と同一の組成のものを用いることができる。
【0122】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0123】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0124】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0125】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0126】
請求項12の発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込み、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0127】
切削部の形成は、請求項2の発明と同様にして行うことができる。
【0128】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明の場合と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0129】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、請求項6の発明と同様にして行うことができる。
【0130】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、埋め込み釉薬として、焼成された際に釉薬層の下層と同色となるように発色するものを用いると共に、転写釉薬として、焼成された際に釉薬層の上層と同色となるように発色するものを用いることが好ましい。
【0131】
このような場合の埋め込み釉薬としては、釉薬層の下層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、埋め込み釉薬として、釉薬層形成時の一回目の塗布に用いた釉薬(釉薬層の下層形成のための釉薬)に対して、水分調整を施して水分量を好ましくは1〜2重量%とし、更にCMC(カルボキシメチルセルロース)等のノリ剤や増粘剤を好ましくは2〜3重量%添加することにより流動性を持たせたものを用いることができる。また釉薬層の下層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と釉薬層の下層とが同色となるように組成を適宜変更し、更に上記のような水分量の調整とノリ剤等の添加を行ったものを用いることができる。
【0132】
また転写釉薬としては、釉薬層の上層が繰り返し焼成を行っても褪色を生じない場合には、転写釉薬として、釉薬層形成時の二回目の塗布に用いた釉薬(釉薬層の上層形成のための釉薬)と同一組成のものを用いることができる。また釉薬層の上層が繰り返し焼成を行うことにより褪色する場合には、既述のように補修釉薬層と釉薬層の上層とが同色となるように組成を適宜変更したものを用いることができる。
【0133】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0134】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0135】
また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0136】
請求項13の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に更に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。この補修釉薬層により釉薬欠点を覆うと共に、形成される補修釉薬層と元の釉薬層とが一体化して補修箇所が目立たなくすることができる。
【0137】
二種の塗布釉薬としては、請求項1の発明と同様のものを用いることができる。このとき、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0138】
また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、例えば釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて補修用の釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0139】
また一回目の補修用の釉薬の塗布を行った後は、この塗布された補修用の釉薬を十分に乾燥させた後に、二回目の補修用の釉薬の塗布を行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0140】
このように補修用釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0141】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。
【0142】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0143】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0144】
請求項14の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に更に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0145】
釉薬層の切削は、請求項2の場合と同様に行うことができる。
【0146】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。このとき、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0147】
塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば切削部の上方から釉薬層に向けて補修用の釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0148】
また請求項13の発明の場合と同様に、一回目の塗布釉薬の塗布を行った後は、この塗布された塗布釉薬を十分に乾燥させた後に、二回目の塗布釉薬の塗布を行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0149】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0150】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0151】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0152】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0153】
請求項15の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に更に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0154】
切削部の形成は、請求項2の発明と同様にして行うことができる。
【0155】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明の場合と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0156】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば埋め込み釉薬が埋め込まれた切削部の上方から釉薬層に向けて塗布釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、切削部からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また塗布釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の発明の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0157】
また請求項13の発明の場合と同様に、一回目の塗布釉薬の塗布を行った後は、この塗布された塗布釉薬を十分に乾燥させた後に、二回目の塗布釉薬の塗布を行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0158】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、埋め込み釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調整したものを用い、また最初に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0159】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0160】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が塗布釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0161】
また、塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。
【0162】
請求項16の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0163】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、例えば釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて補修用の釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また請求項1の発明の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0164】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。
【0165】
転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、請求項4の発明と同様の方法により、釉薬層表面において、塗布釉薬を覆うように転写釉薬を配置する。
【0166】
転写釉薬の転写は、塗布釉薬を十分に乾燥させた後に行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0167】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0168】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0169】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0170】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0171】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0172】
請求項17の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0173】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0174】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。塗布釉薬を塗布するにあたっては、例えば釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて補修用の釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、請求項1の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0175】
また転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、請求項4の発明と同様の方法により、釉薬層の表面において、塗布釉薬を覆うように転写釉薬を配置する。
【0176】
転写釉薬の転写は、塗布釉薬を十分に乾燥させた後に行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0177】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に塗布される塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0178】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0179】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0180】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0181】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0182】
請求項18の発明は、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込み、その上に補修用の釉薬(塗布釉薬)を塗布し、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0183】
切削部の形成は、請求項2の発明と同様にして行うことができる。
【0184】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明の場合と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0185】
塗布釉薬としては、請求項1の発明の場合と同様のものが用いられる。また補修用の釉薬を塗布するにあたっては、例えば埋め込み釉薬が埋め込まれた釉薬欠点の上方から釉薬層に向けて補修用の釉薬をスプレー塗布することにより行うことができる。このとき、補修用の釉薬は、釉薬欠点からその周囲の近傍部分に亘って塗布することが好ましい。また請求項1の場合と同様に種々の方法により塗布を行うこともできる。
【0186】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、請求項4の発明と同様の方法により、釉薬層の表面において、塗布釉薬の上面側に切削部を覆うように転写釉薬を配置する。
【0187】
転写釉薬の転写は、塗布釉薬を十分に乾燥させた後に行うようにして、二種の釉薬が混ざり合わないようにすることが好ましい。
【0188】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、埋め込み釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調整したものを用い、また塗布釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0189】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0190】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0191】
また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0192】
請求項19の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0193】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。
【0194】
転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、一回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、釉薬欠点を覆うように転写釉薬を配置する。
【0195】
また二回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、一回目の転写釉薬を覆うように転写釉薬を配置する。
【0196】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0197】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0198】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0199】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0200】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0201】
請求項20の発明では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0202】
釉薬層の切削による切削部の形成は、請求項2の発明の場合と同様に行うことができる。
【0203】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。
【0204】
転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、一回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明と同様の方法により、釉薬層の表面において、切削部を覆うように転写釉薬を配置する。
【0205】
また二回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、一回目の転写釉薬を覆うように転写釉薬を配置する。
【0206】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、最初に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0207】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0208】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0209】
このような釉薬層の補修は、釉薬欠点の直径が0.5〜1.0mmの場合に好適に行われる。
【0210】
下限が0.5mmとなっているのは、0.5mm未満の釉薬欠点は、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で再焼成するだけで、釉薬層の溶融硬化により補修されるからであるが、勿論0.5mm未満の釉薬欠点に対して上記のような補修を行うようにして、0.5mm未満の釉薬欠点を確実に補修されるようにしても良い。
【0211】
請求項21の発明は、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬(埋め込み釉薬)を埋め込み、その上に、補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬(転写釉薬)が塗布された転写シートから転写釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成する。
【0212】
切削部の形成は、請求項2の発明と同様にして行うことができる。
【0213】
埋め込み釉薬としては、請求項3の発明の場合と同様のものを用いることができ、請求項3の発明の場合と同様にして埋め込みを行うことができる。
【0214】
転写シートとしては、請求項4の発明と同様のものを用いることができる。
【0215】
転写シートにて転写釉薬を転写するにあたっては、一回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、埋め込み釉薬の上面側に切削部を覆うように転写釉薬を配置する。
【0216】
また二回目の補修用の釉薬の転写は、請求項4の発明の場合と同様の方法により、釉薬層の表面において、一回目の転写釉薬を覆うように転写釉薬を配置する。
【0217】
ここで、二層に分かれた釉薬層の上層と下層とが異なる色を有している場合には、埋め込み釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調整したものを用い、また最初に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の下層と同色に発色するように調製したものを用い、後に転写される転写釉薬として、焼成した際に釉薬層の上層と同色に発色するように調製したものを用いることが好ましい。
【0218】
このように補修用の釉薬を配置した後、元の釉薬層の焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、補修釉薬層を形成する。
【0219】
このようにして釉薬層の補修を行うと、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができる。また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなる。
【0220】
また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0221】
以上の請求項7〜21に関する各実施形態では、二層の釉薬層に発生した釉薬欠点の補修に関するものであり、実際に釉薬層を補修する場合には、釉薬欠点の状態や補修を行う際の作業性等を考慮して、上記の請求項7〜21に関する実施形態のうちのいずれかを選択して補修を行うことができる。
【0222】
補修を行うにあたっての優劣は、上記のような釉薬欠点の状態や釉薬、素地等の組成などとも関係するため一概にはいえないが、請求項15、18及び21に関する実施形態では最も確実に釉薬欠点を補修することができ、以下、請求項9及び12、請求項14,17及び20、請求項8及び11、請求項13,16及び19、請求項7及び10の実施形態の順に、補修時の確実性が優れる。
【0223】
また補修作業の容易性という面からいえば、請求項10,11,12,19.20,21,7,8,9,16,17,18,13,14,15の順に作業性が良いものである。
【0224】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0225】
(実施例1〜28、比較例1〜9)
衛生陶磁器(大便器)を作製するための素地表面に釉薬を塗布し、最高温度1200℃のトンネルキルンにて20時間焼成して、釉薬層を形成した。
【0226】
このとき釉薬層を形成するための釉薬としては、透明釉薬と、白色釉薬の二種類の釉薬を用いた。透明釉薬は、釜戸長石44重量部、亜鉛華3重量部、鼠石灰17重量部、ドロマイト3重量部、珪石28重量部、蛙目粘土4重量部を配合し、更に水40重量部、水ガラス0.05重量部を加えて、ボールミルにて20時間粉砕混合することにより調製した。また白色釉薬は、釜戸長石40重量部、亜鉛華3重量部、鼠石灰15重量部、ドロマイト3重量部、珪石25重量部、珪酸ジルコニウム10重量部、蛙目粘土4重量部を配合し、透明釉薬の場合と同様に更に水40重量部、水ガラス0.05重量部を加えて、ボールミルにて20時間粉砕混合することにより調製した。
【0227】
また釉薬層を二層形成する場合には白色釉薬、透明釉薬を順に塗布し、このとき1回目の白色釉薬を塗布してから十分乾燥させた後、透明釉薬を塗布するようにした。
【0228】
次に、得られた衛生陶磁器の表面の釉薬層を目視して、釉薬欠点を観察し、この釉薬欠点を直径が0.5〜1.0mmのものと、直径が1.0〜2.5mm(但し1.0mmを含まない)のものとに分類した。
【0229】
各実施例及び比較例につき、表1〜4に示す補修加工を行って釉薬欠点の補修を行った。補修加工は表中の上側の欄にある加工を先に、下側の欄にある加工を後に行った。
【0230】
ここで、切削加工は、回転式の研削具(ルーター)を用いて行い、直径3mm、深さ0.6mmの寸法のすり鉢状の研削部を形成したものであり、このとき研削部の外縁部の傾斜をその内側よりも小さくなるように形成した。
【0231】
また埋め込みは、釉薬層形成時の白色釉薬と同一組成の釉薬を乾燥して水分含有量を1重量%となるようにし、更にCMCを2重量%配合することにより調製された埋め込み釉薬を用い、これを研削部内に、空隙が生じないように押し付けて押し込むことにより埋め込んだ。このとき、埋め込み釉薬は、元の釉薬層の表面よりも0.5mm盛り上がるように埋め込んだ。
【0232】
また塗布加工は、釉薬層形成時の白色釉薬と同一組成の釉薬に対してCMCを0.4重量%添加して撹拌混合することにより調製された塗布釉薬(白色釉薬)と、釉薬層形成時の透明釉薬と同一組成の釉薬に対してCMCを0.4重量%添加して撹拌混合することにより調製された塗布釉薬(透明釉薬)とを用い、口径0.5mmのスプレーガンを用いて加工部位に直径30mmの範囲塗布したものであり、このとき周囲に飛散した釉薬は乾いた布で払い落とした後、エアーにて塵払いを行った。また塗布加工を二回行ったものでは、一回目の塗布の後、塗布された釉薬が乾燥してから二回目の塗布を行った。
【0233】
また転写加工は、釉薬層形成時の白色釉薬と同一組成に調製された転写釉薬(白色釉薬)と、釉薬層形成時の透明釉薬と同一組成に調製された転写釉薬(透明釉薬)とを用い、台紙上にPVAを塗布したものに対してこの転写釉薬を塗布したものに、アクリル樹脂のカバーコートを転写釉薬全体を覆うように印刷塗布し、カバーコートを硬化させたものを用いた。転写加工は、この転写シートを5cm角に切り取ったものからカバーコートを剥離し、水に浸してから、加工部位に貼着し、台紙を剥がしながらずらしていくことにより行った。また塗布加工の後に転写加工を行う場合、及び転写加工を二回行う場合には、先に塗布された釉薬を乾燥させた後、転写加工を行った。
【0234】
(評価)
各実施例及び比較例について、補修加工が施された釉薬層の表面を、800ルクスの蛍光灯で照らした状態で、60cm離れた位置から目視にて観察し、補修箇所が確認できるか否かを判定した。評価は各実施例及び比較例につき20箇所の補修部位を観察することにより行い、このうち不良個数をカウントすると共に不良率を導出した。この結果を表1〜4に併せて示す。
【0235】
【表1】
【0236】
【表2】
【0237】
【表3】
【0238】
【表4】
【0239】
表に示す結果のように、直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例1では20箇所中1箇所しか外観が合格しなかったが、補修用の釉薬を塗布した後に焼成した実施例1(請求項1に相当)では、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、13箇所も合格することとなった。
【0240】
また直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例2では20箇所中3箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削と補修用の釉薬の塗布を行った実施例2(請求項2に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、15箇所も合格することとなった。
【0241】
また直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例3では20箇所中8箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に、補修用の釉薬の塗布を行った実施例3(請求項3に相当)では、更に近付いて観察した場合には補修箇所が判別できる箇所はあるものの、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、塗布釉薬にて隠蔽されたためである。
【0242】
また既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例1では20箇所中1箇所しか外観が合格しなかったが、補修用の釉薬を転写した後に焼成した実施例4(請求項4に相当)では、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、14箇所も合格することとなった。またこの実施例4の外観合格率は実施例1と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0243】
また既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例2では20箇所中3箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を転写した実施例5(請求項5に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、15箇所も合格することとなった。またこの実施例5の外観合格率は実施例2と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0244】
また既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例3では20箇所中8箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に補修用の釉薬の転写を行った実施例6(請求項6に相当)では、更に近付いて観察した場合には補修箇所が判別できる箇所はあるものの、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、転写釉薬にて隠蔽されたためである。またこの実施例6の外観合格率は実施例3と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0245】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例4では20箇所中全て外観が合格しなかったが、補修用の白色釉薬を塗布した後に焼成した実施例7(請求項7に相当)では、焼成中に補修用の釉薬が釉薬欠点に流れ込み、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、13箇所も合格することとなった。
【0246】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例5では20箇所中2箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削と補修用の白色釉薬の塗布を行った実施例8(請求項8に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、16箇所も合格することとなった。
【0247】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例6では20箇所中6箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に、補修用の白色釉薬の塗布を行った実施例9(請求項9に相当)では、更に近付いて観察した場合には補修箇所が判別できる箇所はあるものの、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、塗布釉薬にて隠蔽されたためである。
【0248】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例4では20箇所中全て外観が合格しなかったが、補修用の白色釉薬を転写した後に焼成した実施例10(請求項10に相当)では、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、13箇所も合格することとなった。またこの実施例10の外観合格率は実施例7と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0249】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例5では20箇所中2箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点を切削した後に補修用の白色釉薬を転写した実施例11(請求項11に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、補修箇所が多少窪んだようになった箇所もあるが、16箇所も合格することとなった。またこの実施例11の外観合格率は実施例8と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0250】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例6では20箇所中6箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に補修用の白色釉薬の転写を行った実施例12(請求項12に相当)では、更に近付いて観察した場合には補修箇所が判別できる箇所はあるものの、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、転写釉薬にて隠蔽されたためである。またこの実施例12の外観合格率は実施例9と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0251】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例4では20箇所中全て外観が合格しなかったが、補修用の白色釉薬を塗布・乾燥した後に更に透明釉薬を塗布してから焼成した実施例13(請求項13に相当)では、15箇所も合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。
【0252】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例5では20箇所中2箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削の後に、補修用の白色釉薬の塗布・乾燥、補修用の透明釉薬の塗布を行い、再焼成を行った実施例14(請求項14に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、20箇所中17箇所全てが合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。
【0253】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例6では20箇所中6箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に、補修用の白色釉薬の塗布・乾燥、補修用の透明釉薬の塗布を行い、再焼成を行った実施例15(請求項15に相当)では、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、塗布釉薬にて隠蔽されたためである。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。
【0254】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例4では20箇所中全て外観が合格しなかったが、補修用の白色釉薬を塗布・乾燥した後、補修用の透明釉薬の転写を行った実施例16(請求項16に相当)では、20箇所中15箇所が合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例16の外観合格率は実施例13と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0255】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例5では20箇所中2箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削と補修用の白色釉薬の塗布・乾燥、補修用の透明釉薬の転写を行った実施例17(請求項17に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、20箇所中17箇所も合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例17の外観合格率は実施例14と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0256】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例6では20箇所中6箇所しか外観が合格しなかったが、補修箇所の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に、補修用の白色釉薬の塗布・乾燥、補修用の透明釉薬の転写を行った実施例18(請求項18に相当)では、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、塗布釉薬にて隠蔽されたためである。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例18の外観合格率は実施例15と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0257】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように直径0.5〜1.0mmの釉薬欠点について、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例4では20箇所中全て外観が合格しなかったが、補修用の白色釉薬を転写した後に更に補修用の透明釉薬を転写し、焼成した実施例19(請求項19に相当)では、15箇所も合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例19の外観合格率は実施例16と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0258】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点を切削しただけで補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例5では20箇所中2箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点を切削した後に補修用の白色釉薬を転写し、更に補修用の透明釉薬を転写した実施例20(請求項20に相当)では、焼成中に流動によって補修用の釉薬が切削部内に十分に流れ込んで行き渡り、17箇所も合格することとなった。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例20の外観合格率は実施例17と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0259】
また白色釉薬と透明釉薬にて二層に形成された釉薬層において、既述のように釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みを行った後、補修用の釉薬の塗布等を行わずに再焼成しただけの比較例6では20箇所中6箇所しか外観が合格しなかったが、釉薬欠点の切削、埋め込み釉薬の埋め込みの後に補修用の白色釉薬の転写、更に透明釉薬の転写を行った実施例21(請求項21に相当)では、20箇所中20箇所全てが合格することとなった。これは埋め込み釉薬にて切削部内が十分に充填されると共に、埋め込み釉薬を埋め込んだ箇所とその周りの釉薬層との継ぎ目が、転写釉薬にて隠蔽されたためである。また補修箇所は更に近づいて観察しても補修したことを判別することは困難であった。またこの実施例20の外観合格率は実施例18と同等のレベルであるが、その作業時間は非常に短縮された。
【0260】
また実施例22〜28は、それぞれ釉薬欠点の切削と埋め込み釉薬の埋め込みとを行った実施例3,6,9,12,15,18,21において、直径1.0〜2.5mmの釉薬欠点についての補修を行ったものであるが、直径1.0mmを超える釉薬欠点の補修にあたっても、20箇所中20箇所全部が合格することとなった。
【0261】
また、上記のいずれの実施例においても、ミノルタ製の分光測色計「CM−508d」を用い、測定径:8mm、光源:A光源、視野:2度の条件で、正反射光を受光するSCI方式にて測定されたL*a*b*色空間に基づき、補修釉薬層と釉薬層との間の色差ΔEを導出したところ、すべて−1.2<ΔE<1.2の範囲となった。
【0262】
【発明の効果】
上記のように本発明に係る衛生陶磁器の製造方法は、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成した後、釉薬層の補修を行うものであるが、請求項1に係る発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなるようにすることができるものである。
【0263】
また請求項2に係る発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができるものである。
【0264】
また請求項3に係る発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができ、且つ埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目を塗布釉薬にて覆うことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、更に塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。
【0265】
また請求項4に係る発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0266】
また請求項5に係る発明は、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0267】
また請求項6に係る発明では、釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になって補修箇所が更に目立たなくなり、また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものであり、更に転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0268】
また請求項7に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなるものである。
【0269】
また請求項8に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができるものである。
【0270】
また請求項9の発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が塗布釉薬にて覆われて補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなるものであり、更に塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである
また請求項10の発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0271】
また請求項11に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0272】
また請求項12に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われて補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなり、また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものであり、更に転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
ことを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
【0273】
また請求項13に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなるものである。
【0274】
また請求項14に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を塗布することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に塗布することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができるものである。
【0275】
また請求項15に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなる。また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が塗布釉薬にて覆われて補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなり、また、塗布釉薬の塗布に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものである。
【0276】
また請求項16に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0277】
また請求項17に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0278】
また請求項18に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなり、また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものであり、更に転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0279】
また請求項19に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0280】
また請求項20に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に転写釉薬を転写することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に充填させることができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
【0281】
また請求項21に係る発明では、衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成するため、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所が、補修釉薬層に覆われることとなり、釉薬欠点が補修されると共に釉薬層と補修釉薬層とが一体感のある外観となって補修箇所が目立たなくなり、また釉薬欠点を切削した後に補修用の釉薬を配置することから、釉薬欠点が複雑な形状をしている場合でもこれを切削することにより補修用の釉薬を容易に配置することができると共に、補修用の釉薬が行き渡らない部分が発生することを防ぐことができて、補修箇所の外観を更に向上することができ、また埋め込み釉薬と釉薬層との継ぎ目が転写釉薬にて覆われ、また特に上記のように切削部の外縁の傾斜を小さく形成すると、補修釉薬層の外縁部分の厚みが薄くなって、補修釉薬層と釉薬層との継ぎ目が曖昧になり、補修箇所が更に目立たなくなり、また、塗布釉薬の転写に先だって埋め込み釉薬を切削部に埋め込むことから、釉薬欠点の寸法が大きい場合でも、釉薬層の釉薬欠点が発生した箇所に補修用の釉薬を十分に行き渡らせることができ、いかなる寸法の釉薬欠点であっても容易に補修することができるものであり、更に転写という簡便な方法にて補修箇所に補修用の釉薬を配置できることから、補修時の作業性が良いものである。
Claims (21)
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込んだ後、その上に補修用の釉薬を塗布し、その上に更に補修用の釉薬を塗布し、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に補修用の釉薬を塗布し、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
- 衛生陶磁器の素地表面に釉薬を塗布し、その上に別の釉薬を塗布した後、焼成することにより釉薬層を形成し、この釉薬層に発生した釉薬欠点を切削し、この切削部に補修用の釉薬を埋め込み、その上に、補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写し、その上に更に補修用の釉薬が塗布された転写シートから補修用の釉薬を転写した後、釉薬層の焼成時よりも低い温度で焼成することにより、釉薬層と同色の補修釉薬層を形成することを特徴とする衛生陶磁器の製造方法。
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