JP2008081356A - 陶器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は釉薬として下地に釉薬を掛けた上に長石・珪石・土灰・顔料・金属酸化物等の乾粉を用い、さらに複数回の焼成を可能とした陶器の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】粘土を製品の形に成型する成型工程と、成型され乾燥された製品1もしくは成型され乾燥された後素焼きされた製品1に従来どおり釉薬を泥しょうで全面に掛ける工程と油3を塗布する油塗布工程と、油3が塗布された製品1に釉薬粉4を散布する釉薬粉散布工程と、釉薬粉4が散布された製品1を本焼きする焼成工程とにより構成したものである。また、再度油3を塗布する油塗布工程と、油3が塗布された陶器に釉薬粉4aを散布する釉薬粉散布工程と、釉薬粉4aが散布された陶器を焼成する焼成工程とにより構成したものである。
【選択図】図1
【解決手段】粘土を製品の形に成型する成型工程と、成型され乾燥された製品1もしくは成型され乾燥された後素焼きされた製品1に従来どおり釉薬を泥しょうで全面に掛ける工程と油3を塗布する油塗布工程と、油3が塗布された製品1に釉薬粉4を散布する釉薬粉散布工程と、釉薬粉4が散布された製品1を本焼きする焼成工程とにより構成したものである。また、再度油3を塗布する油塗布工程と、油3が塗布された陶器に釉薬粉4aを散布する釉薬粉散布工程と、釉薬粉4aが散布された陶器を焼成する焼成工程とにより構成したものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、粘土を成型・乾燥および素焼き・釉薬塗布・焼成工程を経て得られる陶器の製造方法に関し、特に釉薬粉を散布することで特徴的なひび割れちりめん状の紋様を形成することができる陶器の製造方法に関する。
一般的に陶器は、粘土を成型・乾燥および素焼き・釉薬塗布・焼成工程を経て得られた製品であり、食器類をはじめ花器や日用品および観賞用等に広く使用されている。なかでも観賞用等の芸術的な陶器製品は色や表面紋様等で価値の優劣判断がなされ、特に釉薬の調合と焼成温度および焼成時間等が陶器製品の優劣に大きな影響を与えている。従来一般には、長石・珪石・土灰・顔料・金属酸化物等を調合して水溶液とした釉薬の泥しょうを用意し、粘土を成型した生地に塗布して高温焼成して色の出具合や表面紋様の形態を望むような製品にするよう工夫しながら製作している。(例えば、特許文献1参照)
特開2000−264760号 公報
しかしながら上記従来の構成では、陶器表面の色合や表面紋様の形態等は釉薬の調合によるところが大きく、釉薬の調合次第で決定される要因となっていた。したがって一度焼成して得られた陶器はそのまま優劣決定され、劣度の高い製品は破棄または低価格で販売せざるを得ない原因ともなっていた。すなわち、一度本焼成して得られた陶器の表面はガラス質になっており、調合された釉薬の泥しょうは水溶液なのでこの表面には塗布できず再焼成は不可能だった。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、釉薬として長石・珪石・土灰・顔料・金属酸化物等の乾粉を用い、さらに複数回の焼成を可能とした陶器の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の陶器の製造方法は、粘土を製品の形に成型する成型工程と、成型され乾燥された製品もしくは成型され乾燥された後素焼きされた製品に従来どおり水溶液とした泥しょう釉薬工程、それに油を塗布する油塗布工程と、油が塗布された製品に釉薬粉を散布する釉薬粉散布工程と、釉薬粉が散布された製品を本焼きする焼成工程を備えた構成としたものである。従って、乾粉の釉薬が焼成時に半液体状となって凝縮され、溶融時に境界ができてひび割れちりめん状の紋様が形成されるという作用を有する。
また本発明の第2の陶器の製造方法は、釉薬粉の散布を複数回に分けて行い、最初は薄く散布し、その後厚く散布するようにした構成としたものである。従って、最初の釉薬粉は油が十分に滲み込み、その上に散布された釉薬粉は油で付着される状態となって重ねることができ、散布釉薬粉の厚みのバラツキによって上記した境界がさらに明確に現れるという作用を有する。
さらに本発明の第3の陶器の製造方法は、本焼きの焼成工程を経て完成した陶器に、再度油を塗布する油塗布工程と、油が塗布された陶器に釉薬粉を散布する釉薬粉散布工程と、釉薬粉が散布された陶器を焼成する焼成工程よりなる構成としたものである。従って、一度完成した陶器に再度釉薬粉を散布して焼成することができるため、色合や表面紋様の形態が満足のいくように何度でも焼き直すことができるといったような作用を有する。
本発明の陶器の製造方法は上記構成を備えたことにより、散布された釉薬粉が加熱溶融するときに凝縮され、さらに加熱溶融すると平面状に溶けて広がるようになるが均一的には平面に戻りきれず境界が出来る。下地全面に色の対比する釉薬を浸し掛け及び塗布することで、したがって全体的にひび割れちりめん状の紋様が形成され趣のある陶器製品となる。また、釉薬粉の散布を複数回に分け、かつ散布釉薬粉の厚みにバラツキを持たせることによって上記した境界がさらに明確に現れ、ひび割れちりめん状の紋様がより明確に現れる。さらには本焼き工程を経て完成した陶器表面に再度油塗布工程と釉薬粉散布工程と焼成工程を行うことによって異なる色合や複雑に重なり合った表面紋様の形態を現出させることが出来、特徴的なひび割れちりめん状の紋様であって深みのある色合および風格のある陶器製品を得ることができるといったような多くの作用効果が得られる。
以下本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図は本発明の陶器の製造方法を説明するためのもので、図1は下地掛けとして従来どおりの浸し掛け施釉及び塗布、図2は釉薬粉を散布した状態の一部拡大断面図、図3は溶融状態の一部拡大断面図、図4は焼成後の一部拡大平面図である。図において、1は粘土を製品の形に成型し乾燥された製品もしくは成型され乾燥された後素焼きされた製品、3はこの製品の表面に塗布された油で、刷毛や浸漬等で付着させればよい。また、油としては天ぷら油、潤滑油、エンジンオイル等の比較的粘度を有する油が適正を有する。
4は油3の上にふるい等で薄く散布された釉薬粉で、長石・珪石・土灰・顔料・金属酸化物等よりなる釉薬の乾粉である。4aは最初に散布された釉薬粉4の上に重ねて散布された釉薬粉で厚く散布されるが厚さにはバラツキができる。すなわち、釉薬は乾粉なので一度に厚く散布すると上表面は付着しなくなるので、最初の釉薬粉に油が十分に滲み込んだ1〜2分後に重ねて散布し、さらに油で付着するのを待って散布する。例えば表面積が230平方センチメートルの場合だと、最初の散布量は2〜5gで生地肌が隠れる程度がよく、2度目の散布量は8〜15g位が適量である。そして乾粉は、長石・珪石・土灰・顔料・金属酸化物等の釉薬を水で混合し、ボールミル等で撹拌した後粉砕機で60〜80メッシュに粉砕して得たものを使用している。
つぎに、このようにして釉薬粉4が散布された製品1を窯で1280℃〜1300℃で本焼きする。乾粉の釉薬が焼成時に溶融すると図3のごとく表面から半液体状となって溶け、気体と液体の界面の力のバランスから表面張力が生じ凝縮しようとする性質が働き釉薬の一塊りづつに区分される状態となる。さらに加熱されて全体が溶融すると、図4のごとく平面的に広がるようになるが均一的な平面はに戻れなくなる。したがって、隣り合う釉薬の一塊りづつの区分との境界5ができ、ひび割れちりめん状の紋様が形成される。
このように、散布する乾粉の釉薬を製品表面の異なる場所で変えればカラフルなひび割れちりめん状の紋様となるし、混合した釉薬を使用すれば多彩な色合いの紋様となる。
このように、散布する乾粉の釉薬を製品表面の異なる場所で変えればカラフルなひび割れちりめん状の紋様となるし、混合した釉薬を使用すれば多彩な色合いの紋様となる。
本発明の陶器の製造方法は、製品の表面に塗布された油に釉薬の乾粉を付着させるため、本焼きの焼成工程を経て完成した陶器の表面に、再度油を塗布し、この上に釉薬粉を散布し、再度焼成することが可能となる。再度の本焼成は最初の焼成温度よりも20℃前後低温で焼成される。したがって、最初の青色や茶色地の陶器の表面に白色釉薬の乾粉を重ねると、青色や茶色地に白色が強調されたひび割れちりめん状の紋様が形成されることになる。さらに製品表面の異なる場所に異なる発色の釉薬を使用すれば混合した深みのある色合および多彩な色合いの風格ある陶器製品を得ることができるし、満足のいく紋様や色合いが得られるまで何度でも焼き直すことが可能となる。
本発明の陶器の製造方法は、食器類をはじめ花器や日用品等で使用する陶器製品の製造および観賞用の陶芸作品の製造において有用である。
1 製品
2 水溶液を泥しょうで下地に浸し掛け及び塗布した釉薬
3 油
4 釉薬粉
5 境界、下地に浸し掛けした釉が露出
2 水溶液を泥しょうで下地に浸し掛け及び塗布した釉薬
3 油
4 釉薬粉
5 境界、下地に浸し掛けした釉が露出
Claims (3)
- 粘土を製品の形に成型する成型工程と、成型され乾燥された製品もしくは成型され乾燥された後素焼きされた製品に従来どおりの水溶液とした釉薬の泥しょう掛け工程とその上に油を塗布する油塗布工程と、油が塗布された製品に釉薬粉を散布する釉薬粉散布工程と、釉薬粉が散布された製品を本焼きする焼成工程よりなることを特徴とする陶器の製造方法。
- 釉薬粉の散布を複数回に分けて行い、最初は薄く散布し、その後厚く散布するようにしたことを特徴とする請求項1記載の陶器の製造方法。
- 本焼きの焼成工程を経て完成した陶器に、再度油を塗布する油塗布工程と、油が塗布された陶器に釉薬粉を散布する釉薬粉散布工程と、釉薬粉が散布された陶器を焼成する焼成工程よりなることを特徴とする請求項1及び2記載の陶器の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006262983A JP2008081356A (ja) | 2006-09-27 | 2006-09-27 | 陶器の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006262983A JP2008081356A (ja) | 2006-09-27 | 2006-09-27 | 陶器の製造方法 |
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JP2008081356A true JP2008081356A (ja) | 2008-04-10 |
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JP2006262983A Pending JP2008081356A (ja) | 2006-09-27 | 2006-09-27 | 陶器の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106278149A (zh) * | 2016-08-11 | 2017-01-04 | 桐城市福润包装材料有限公司 | 一种花瓶的制作方法 |
CN109809836A (zh) * | 2018-12-13 | 2019-05-28 | 江苏新嘉理生态环境材料股份有限公司 | 一种异型立方陶幕墙陶板的生产方法 |
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2006
- 2006-09-27 JP JP2006262983A patent/JP2008081356A/ja active Pending
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