JP2004026463A - 熱定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリント処理された被記録媒体を滞留させることなく加熱処理して合理的に転写定着し得る熱定着装置を構成する。
【解決手段】プリント装置Bで画像情報がプリントされた被記録媒体Mを受入る受入部Tと、この受入部Tで受入た被記録媒体Mを複数の搬送機構に切換えて送込む切換供給機構Taと、複数の搬送経路からの被記録媒体Mが供給される複数の加熱部H1、H2、H3を備えると共に、受入部Tで連続的に受入れた被記録媒体Mを切換供給機構Taで複数の搬送経路に対して順次切換えて送込む作動を行わせる熱定着処理部41とを備えた。
【選択図】 図2
【解決手段】プリント装置Bで画像情報がプリントされた被記録媒体Mを受入る受入部Tと、この受入部Tで受入た被記録媒体Mを複数の搬送機構に切換えて送込む切換供給機構Taと、複数の搬送経路からの被記録媒体Mが供給される複数の加熱部H1、H2、H3を備えると共に、受入部Tで連続的に受入れた被記録媒体Mを切換供給機構Taで複数の搬送経路に対して順次切換えて送込む作動を行わせる熱定着処理部41とを備えた。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材と、この基材表面の定着層に転写すべき画像情報がプリントされる浸透層とを有するシート状の被記録媒体を加熱することにより、浸透層に昇華性インクでプリントされた画像情報を定着層に転写定着する加熱部を備えている熱定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のように構成された熱定着装置と類似する技術として特開平10‐297197号公報に示されるものが存在する。
【0003】
この従来の技術では、金属基材(本発明の基材)上に防錆層を兼ねる着色下地層(本発明の定着層)を形成し、この上に光透過性樹脂層としてアクリル系樹脂やポリエステル系樹脂やウレタン系樹脂で成る透明樹脂層を形成し、この上に多孔質アルミナ等を用いたインクジェット受理層(本発明の浸透層)を形成して金属装飾体を構成して成り、この金属装飾体のインクジェット受理層に対して昇華形着色材を用いたインクジェット印刷により着色模様を形成する。この後、この金属装飾体を加熱炉や、ホットプレスで加熱することによりインクジェット受理層の昇華形着色材が昇華して透明樹脂層に入り込み、インクジェット受理層に形成された着色模様が透明受理層に形成される。次に、インクジェット受理層を温水で軟化させた後、布等で拭き取ることによってインクジェット受理層の全てを取り除くことで、着色模様が形成された金属装飾体が完成するものとなっている。
【0004】
又、可撓性の樹脂シートを基材として用い、この基材の表面に定着層を形成し、更に、この定着層の表面に浸透層(前記受理層と同様の機能を有するもの)を形成し、浸透層に対して昇華性インクでプリントした記録情報を加熱によって定着層に転写定着する被記録媒体は開発中のものであり、この被記録媒体を用い、この被記録媒体の浸透層に対して昇華性インクで記録情報のプリントを行った後に、加熱によって昇華性インクを昇華させて記録情報を定着層に転写定着させる連続した処理を行う装置は開発されていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
インクジェット型のプリント装置を用い、被記録媒体に対して昇華性インクによって画像情報を形成するプリント処理を想定するに、このプリント処理では、プリントサイズや、画像の解像度によってプリント処理の時間が決まるものである。これに対して熱定着装置で転写を行うための加熱処理時間は、プリントサイズや画像の解像度に拘わらず昇華性インクを確実に昇華させるに必要とされる時間によって決まるものである。従って、このプリント装置で画像情報がプリントされた被記録媒体を加熱装置に送って転写定着する処理系を構成した場合には、比較的小さいサイズで被記録媒体に画像情報をプリントした後に、加熱による加熱処理を行う場合において、1枚の被記録媒体をプリント処理する時間に対して、1枚の被記録媒体を加熱処理する時間が長くなり、この加熱処理がプリント処理に追いつかないことも考えられ、改善の余地がある。
【0006】
プリント装置からの被記録媒体を熱定着装置に送って転写定着する具体的な構成としてプリント装置から被記録媒体が送り出される搬送系の延長上に熱定着装置に被記録媒体を送り込む受入部を配置するものが考えられるが、前述のように加熱処理がプリント処理に追いつかない場合には、熱定着装置の受入部に対して先に送った被記録媒体の後端が送り込まれるのを待って、次の被記録媒体を熱定着装置の受入部に供給するという処理形態となるため、次に熱定着装置に供給すべき被記録媒体に対してプリント装置によってプリントする処理を一時的に停止せざるを得ず処理能力を低下させる不都合が懸念されている。
【0007】
プリント装置でのプリント処理された被記録媒体を連続的に処理することを考えるに、このプリント装置でプリント処理された被記録媒体を熱定着装置に連続的に供給して画像情報の転写を行う処理系を想定することができる。しかし、独立したプリント装置で画像情報をプリントした被記録媒体を熱定着装置に供給して転写定着処理を行いたい場合もあり、このような要望に対応できる熱定着装置も望まれている。
【0008】
熱定着装置での加熱処理に要する時間について考えるに、この加熱処理に要する時間は、同じ昇華性インクを使用した場合でも、被記録媒体の基材の種類によって差異を生ずることが想像される。つまり、同じ素材(材質)の基材であっても厚みが異なるものでは、厚みが大であるほど加熱時間を長く設定することや、加熱温度を高める必要性があり、同じ厚みの基材であっても、素材の比熱が異なるものでは比熱に対応した加熱時間や加熱温度を設定する必要性がある。別の観点から考えると、このように加熱時間や加熱温度を任意に設定する要望は、カラーの画像情報を転写定着する場合にも必要とされる。つまり、深い色調を得る場合には、加熱時間を増すことや、加熱温度を高めることが考えられ、浅い色調を得る場合には加熱時間を減ずることや、加熱温度を減ずることが考えられている。
【0009】
又、このように加熱時間を任意に設定することは、熱定着装置の加熱空間において被記録媒体を搬送する搬送系の搬送速度を調節自在に構成することで済むものの、加熱温度を任意の値に設定することは迅速に行い難い面がある。つまり、加熱温度を変更する場合には、熱定着装置において被記録媒体を加熱する加熱空間や、加熱ローラ等の温度を変更する必要があるため、例えば、これらの温度を上昇させる場合において電気ヒータで急激な加熱を行った場合でも、必要とする温度に上昇するまで時間を要し、逆に、温度を低下させる場合にも放熱を行うために時間を要するので迅速な対応を図り難い面があったのである。
【0010】
本発明の目的は、プリント処理された被記録媒体を滞留させることなく加熱処理して合理的に転写定着し得る熱定着装置を構成する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
基材と、この基材表面の定着層に転写すべき画像情報がプリントされる浸透層とを有するシート状の被記録媒体を加熱することにより、浸透層に昇華性インクでプリントされた画像情報を定着層に転写定着する加熱部を備えている熱定着装置において、前記加熱部が、前記被記録媒体を受入れる受入部からの前記被記録媒体を該加熱部における加熱空間内を排出部に向けて搬送し、この排出部から送り出すよう構成されると共に、この搬送機構を複数備えて構成されている点にある。
【0012】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、受入部から受入れた被記録媒体を複数の搬送機構のいずれかを搬送し、加熱部での加熱により転写定着した後に排出部から排出できる。つまり、先に送った被記録媒体と異なる搬送経路に対して次の被記録媒体を送り込むことで、被記録媒体の転写定着処理時間の短縮化を可能にする。その結果、プリント処理が高速度で行われるプリント装置と組み合わせても、処理遅れを招くことなく転写処理を実現する熱定着装置が構成された。
【0013】
本発明の請求項2に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1記載の熱定着装置において、前記受入部が、受入れた被記録媒体を、前記複数の搬送機構のいずれかに切換えて送り込む切換供給機構を備えて構成されている点にある。
【0014】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、受入部から受入れた被記録媒体を切換供給機構によって複数の搬送機構のいずれかに送り込むことが可能となり、例えば、複数の搬送機構のうち、送り込み可能な搬送機構に対して切換供給機構で被記録媒体を送り込むよう該切換供給機構の作動形態を設定することにより、画像情報をプリントした被記録媒体を短い間隔で送り込む処理を実現する。その結果、熱定着装置の処理能力を高めて転写定着の処理時間を短縮するものとなった。
【0015】
本発明の請求項3に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1又は2記載の熱定着装置において、前記受入部を複数備えている点にある。
【0016】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、連続的に被記録媒体が送られる場合でも、先に被記録媒体を受入れた受入部と異なる受入部で次の被記録媒体を受入ることにより、連続的な定着処理を実現する。その結果、熱定着装置の処理能力を一層高めて転写定着を行えるものとなった。
【0017】
本発明の請求項4に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1又は3のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記受入部が、前記画像情報をプリントするプリント手段から送られる前記被記録媒体を受入れる自動受入機構と、外部から人為的に供給される被記録媒体を受入れるマニュアル受入機構とを備えて構成されている点にある。
【0018】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、プリント手段から被記録媒体が供給される場合にはオペレータが特別な作業を行わずとも自動受入機構が被記録媒体を受け入れて転写定着を行えるものとなり、例えば、前記プリント手段と異なるプリント装置等でプリントした被記録媒体の転写定着処理を行う場合にはオペレータの操作によってマニュアル受入機構を介して被記録媒体を受け入れて転写定着処理が可能となる。その結果、プリント手段からの被記録媒体を転写定着する場合には手間を掛けずに済み、必要な場合には人為的な供給も実現するものとなった。
【0019】
本発明の請求項5に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記受入部が、ロール状に巻き取った長尺の被記録媒体を保持して受入れるロール状被記録媒体支持部を備えて構成されている点にある。
【0020】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、ロール状に巻き取った長尺の被記録媒体を転写定着する場合には、ロール状被記録媒体支持部に対して被記録媒体を保持して受入ることが可能となる。その結果、ロール状に巻き取った長尺の被記録媒体でも無理なく転写定着処理を行えるものとなった。
【0021】
本発明の請求項6に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記複数の搬送機構のうちの前記加熱空間内における少なくとも1つの経路長を、他の搬送機構の前記加熱空間内における経路長に対して異ならせてある点にある。
【0022】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、複数の搬送経路のうちの少なくとも1つの加熱空間内における経路長が、他の搬送経路の経路長より短い、あるいは、長くなるので、転写定着時間を長くしたい場合には、長い経路長の搬送経路に対して被記録媒体を送ることで済み、これとは逆に、転写定着時間を短くしたい場合には、短い経路長の搬送経路に対して被記録媒体を送ることで済む。その結果、転写定着時間に差異を設定した被記録媒体を同時に処理することも可能となる。
【0023】
本発明の請求項7に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記複数の搬送機構のうちの前記加熱空間内における少なくとも1つの搬送速度を、他の搬送機構の前記加熱空間内における搬送速度に対して異ならせてある点にある。
【0024】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、複数の搬送機構のうちの少なくとも1つの加熱空間内における搬送速度が、他の搬送機構の搬送速度より高速、あるいは、低速となるので、例えば、複数の搬送機構の加熱空間内での長さを一致させた場合には、搬送速度が高速となる搬送機構に被記録媒体を送ることで転写定着時間を短縮できるものとなり、又、複数の搬送機構の加熱空間内での長さに差異を設定した場合には、転写時間を一層短縮することや、転写時間を殆ど違いのない状態にして搬送速度だけに差異を設定することを可能にする。その結果、転写定着時間に差異を設定した処理や、搬送速度に差異を設定した処理を実現する。
【0025】
本発明の請求項8に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記複数の搬送機構のうちの前記加熱空間内における少なくとも1つの搬送経路に対応した加熱温度を、他の搬送経路の前記加熱空間内における搬送経路に対応した加熱温度に対して異ならせてある点にある。
【0026】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、複数の搬送経路のうちの少なくとも1つの加熱温度を他の搬送経路の加熱温度に対して差異を設定してあるので、高温で転写定着を行いたい被記録媒体は高温側の搬送経路に送り、低温で転写定着を行いたい被記録媒体は低温側の搬送経路に送ることで済む。その結果、加熱空間の温度を変更する処理を行わずとも、転写定着温度に差異を設定した被記録媒体を同時に処理することも可能となる。
【0027】
本発明の請求項9に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記被記録媒体の属性に基づいて前記複数の搬送機構の1つが、その被記録媒体を搬送するために選択される点にある。
【0028】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、被記録媒体の属性、つまり、その被記録媒体の基材の厚みや、比熱、素材等に対応する最適な搬送経路に対して、その被記録媒体を送り込んで処理を行えるものとなる。その結果、被記録媒体の属性に拘わらず最適な処理を実現するものとなった。
【0029】
本発明の請求項10に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項9記載の熱定着装置において、前記被記録媒体の属性に基づいて前記複数の搬送機構の1つを自動的に選択する搬送選択手段を備えている点にある。
【0030】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、被記録媒体の属性、つまり、その被記録媒体の基材の厚みや、比熱、素材等に対応して搬送選択手段が最適な搬送経路に対して、その被記録媒体を送り込んで処理を行えるものとなる。その結果、被記録媒体の属性に拘わらず自動的に最適な処理を実現するものとなった。
【0031】
本発明の請求項11に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記被記録媒体の属性に基づいて、その被記録媒体を加熱する前記加熱空間の加熱温度を選択自在に構成してある点にある。
【0032】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、被記録媒体の属性、つまり、その被記録媒体の基材の厚みや、比熱、素材等に対応する転写定着時の処理温度に対応して最適な加熱温度が選択され、その被記録媒体を送り込んで処理を行えるものとなる。その結果、被記録媒体の属性に拘わらず自動的に最適な加熱温度での処理を実現するものとなった。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1又は図2に示すように、画像処理装置Aと、画像処理装置Aから転送される画像情報を被記録媒体Mに対して昇華性インクでプリントし、かつ、プリントサイズに切断して送り出すプリント手段としてのプリント装置Bと、このように被記録媒体Mに画像情報がプリントされた被記録媒体Mを一時的に蓄えた後、送り出すループ形成装置Cと、このループ形成装置Cからの被記録媒体Mを加熱により転写定着した後に送り出す加熱部としての熱定着装置Dとを備えて画像形成システムが構成されている。
【0034】
前記画像処理装置Aは汎用コンピュータ1、モニター2、キーボード3、マウス4を有すると共に、現像済みの銀塩式の写真フィルム5の画像情報を光電変換するフィルムスキャナー6と、メディアにデジタル信号で保存された情報を取り出すようにコンピュータ内部のメディアドライブ7とを備えて成っている。尚、メディアドライブ7とは、CDやCD−R、あるいは、MO等のディスク状の媒体ばかりでなく、コンパクトフラッシュやスマートメディア等の半導体で成る媒体から情報を取り出すドライブの総称であり、同図にはCD及びCD−Rの情報を読出すドライブを示している。
【0035】
前記被記録媒体Mは図4に示すように、PET(polyethylene terephthalate)製でフィルム状の基材11の表面に対して、昇華性インクに対して親和性のある樹脂としてポリビニルアルコール系の樹脂やポリビニルアセタール系の樹脂等で定着層12を形成し、この定着層12の表面に昇華性インクに対して非親和性となるフッ素樹脂やシリコン樹脂等の薄いフィルム状の浸透層13を剥離自在に重ね合わせ、全体として柔軟なシート状に構成したものであり、この被記録媒体Mは浸透層13に対して昇華性インクで画像をプリントした後、加熱処理を行うことにより、浸透層13のインクが昇華して定着層12に移行し、基材11の表面に画像情報を定着形成する機能を有し、画像情報を転写定着した後には、浸透層13をフィルム状のまま剥離して取り除くことにより基材11の表面の定着層12に形成された明瞭な画像を露出させるものとなっている。又、この被記録媒体Mは、基材11の素材が昇華性インクに対して親和性を有する性質のものでは、その基材11の表面をそのまま定着層12として利用できる。
【0036】
〔プリント装置〕
前記プリント装置Bは、本体ケース20の内部に対して、ロール状に巻き取った複数の被記録媒体Mを収納する収納部21と、この収納部21に収納したロール状の被記録媒体Mから引き出した被記録媒体Mを搬送するよう複数の圧着ローラを有する搬送機構22と、この搬送機構22で搬送される被記録媒体Mに対して画像情報をプリントするインクジェット型のプリントヘッド23と、これらを制御するプリント制御部24とを有し、この本体ケース20を支持脚25で支持することにより、画像情報がプリントされた被記録媒体Mをプリントサイズに切断した状態で比較的高い位置で水平方向に送り出すよう構成されている。
【0037】
前記プリントヘッド23は、被記録媒体Mの搬送方向(副搬送方向)と直交する姿勢(主走査方向に沿う姿勢)で備えられた一対のガイドロッド26で案内される状態で、ステッピングモータ型の主走査モータ(図示せず)からの駆動力で主走査方向に往復作動自在に支持され、このプリントヘッド23に対して取換え自在に備えたインクカートリッジ27の昇華性インクをピエゾ素子等の吐出機構(図示せず)によりノズルから吹き出して画像情報をプリントするよう構成されている。更に、このプリントヘッド23には被記録媒体Mを切断するための切断刃28を、被記録媒体Mを切断可能な突出位置と、被記録媒体Mに接触しない退避位置とに出退自在に備えている。
【0038】
前記搬送機構22は、ロール状の被記録媒体Mをプリントヘッド23の部位まで搬送する前搬送機構22Aと、このプリントヘッド23の部位から被記録媒体Mを排出口20Aまで搬送する後搬送機構22Bとを組み合わせて成り、この前搬送機構22Aと、後搬送機構22Bとは夫々ともステッピングモータ型の搬送モータ(図示せず)で独立して駆動自在に構成されている。前記切断刃28は、カム送りやネジ送り機構を介して切換える切換モータ(図示せず)によって出退自在に構成されている。
【0039】
又、インクカートリッジ27のインクとして、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の少なくとも4色のインクの他に中間色の2色のインクを用いた6色を使用するよう構成され、この実施の形態で使用される昇華性インクは、80℃程度で昇華が始まり、前述したようにフィルム状のPET製の基材11を有する被記録媒体Mにおいては、180℃で2分程度の加熱により最適な転写状態となる。この昇華性インクは170℃〜200℃程度でインクの昇華を無理なく行えるものであり、200℃では1分程度の加熱、170℃では5分程度の加熱で必要とする転写定着が可能となる。
【0040】
この構成により、被記録媒体Mに対してプリント装置で画像情報のプリントを行う場合には、前記プリント制御部24が、搬送機構22を作動させて複数のロール状の被記録媒体Mの何れかから引き出した被記録媒体Mをプリントヘッド23の部位まで搬送し、次に、プリントヘッド23を制御して昇華性インクを被記録媒体Mの浸透膜13に吹き付けて画像情報をプリントする。このように画像情報をプリントする場合には、被記録媒体Mの搬送を停止させた状態でプリントヘッド23を主走査方向に作動させて昇華性インクを被記録媒体Mに吹き付け、この走査によりプリントヘッド23が作動端に達すると、前搬送機構22Aと後搬送機構22Bとを等速で同期駆動してプリントヘッド23におけるプリント幅に対応した量だけ被記録媒体Mを搬送する処理が繰り返して行われる。次に、画像情報がプリントされた被記録媒体Mのうち、画像情報同士の中間位置等、切断を行うべき部位が切断刃28の切断位置まで搬送されると、切断刃28を突出させてプリントヘッド23を主走査方向に作動させることにより被記録媒体Mを切り離すものとなり、この後、前記後搬送機構22Bを作動させて、切り離した被記録媒体Mを排出口20Aから送り出す制御が実行される。
【0041】
〔ループ形成装置〕
図2に示すように、前記ループ形成装置Cは、中央位置に3つの従動ローラ30を有したターンローラ31を備えると共に、このターンローラ31を基準にして搬送上手側の第1ループ形成部L1と、ターンローラ31を基準にして搬送下手側の第2ループ形成部L2とを形成し、これらの下方位置において被記録媒体Mを受け止めるケース32と、これらを制御するループ制御部33とを備えて構成されている。
【0042】
前記ターンローラ31は、ステッピングモータ型のローラモータ(図示せず)で駆動自在に構成され、このターンローラ31の外周に対して前記3つの従動ローラ30を圧接させることで、被記録媒体Mを比較的大きい角度でターンローラ31に巻き付けて被記録媒体Mの巻き癖を取り除き得るようにも機能する。
【0043】
前記第1ループ形成部L1は、プリント装置から排出された被記録媒体Mを下方に案内する第1導入ガイド34と第1開閉ガイド35とを備えて成り、この第1開閉ガイド35は、同図に実線で示す閉じ姿勢と、仮想線で示す開放姿勢とに切換自在に構成されている。前記第2ループ形成部L2は、第1ループ形成部L1からターンローラ31を介して送られた被記録媒体Mを前記熱定着装置Dに案内する第2導入ガイド36と、第2開閉ガイド37とを備えて成り、この第2開閉ガイド37は、同図に実線で示す閉じ姿勢と、仮想線で示す開放姿勢とに切換自在に構成されている。
【0044】
このループ形成装置Cでは、被記録媒体Mの搬送経路の各所に対して被記録媒体Mの存否を判別するセンサ(図示せず)を配置してあり、プリント装置Bの排出口20Aから被記録媒体が送り出された場合には、第1開閉ガイド35と第2開閉ガイド37とを閉じ姿勢に設定して被記録媒体Mの端部を熱定着装置Dに対して供給可能な位置まで送った後、第2開閉ガイド37を開放姿勢に切換え、かつ、ターンローラ31を高速回転させることでその被記録媒体Mの長さに係わらず、第2ループ形成部L2において被記録媒体Mの後端が垂れ下がる状態で貯留し、次の被記録媒体Mを、その先端をターンローラ31に圧着支持する位置まで搬送した後に、第1開閉ガイド35を開放することで、この被記録媒体Mを第1ループ形成部L1においてループを形成する状態で貯留するようループ制御部33の制御形態が設定されている。このようにループを形成する理由は、前記熱定着装置Dでは、後述するように内部に備えた複数の搬送経路に対して被記録媒体Mを切換えて搬送する際に、被記録媒体Mの搬送経路に対する導入を一時的に停止する制御が行われるものとなっており、このように間歇的な導入が行われる際の速度差を吸収するためである。
【0045】
〔熱定着装置〕
図2及び図3に示すように前記熱定着装置Dは、本体ケース40と、この本体ケース40の前面側の受入開口40Aから導入される被記録媒体Mを送込む受入部Tと、被記録媒体Mを搬送しながら加熱する3つの加熱部H(後述する第1加熱部H1、第2加熱部H2、第3加熱部H3の上位概念)と、これらを制御する熱定着制御部41とを備えて成り、本体ケース20の後端側には夫々の加熱部Hでの転写定着処理を終えた被記録媒体Mを送り出す3つの排出開口40Bを形成し、又、これらの排出開口40Bから排出された被記録媒体Mを受け止めるストッカー42を備えて構成されている。又、この熱定着装置Dは、被記録媒体Mの属性に基づいて複数の搬送機構の1つを選択する搬送選択手段として機能する。
【0046】
前記受入部Tは、前記受入開口40Aの部位に配置された上下一対の圧着ローラで成る導入ローラ44と、この導入ローラ44で受入た被記録媒体Mを3つの加熱部Hの何れかに送込む切換供給機構Taとで成り、前記導入ローラ44に対して、この導入ローラ44の駆動軸に配置した一方向クラッチ45を介して導入モータ46から無端ベルトや無端チェーン等を介して駆動力が伝えられるよう伝動系が構成されている。又、前記切換供給機構Taは、縦向き姿勢のガイドレール48に案内されるシフトフレーム49と、このシフトフレーム49を上下方向に作動させるようシフトモータ50で駆動されるネジ送り式のシフト機構51と、このシフトフレーム49に支持される上下一対のチャッキングローラ52と、このチャッキングローラ50を駆動するチャッキングモータ53とを備えて構成されている。
【0047】
前記3つの加熱部Hを、上部から下部に向けて第1加熱部H1、第2加熱部H2、第3加熱部H3と称すると、夫々の加熱部H(H1、H2、H3)は、断熱ケース55で形成された加熱空間Rを有すると共に、この加熱空間Rの内部に被記録媒体を搬送する圧着型の複数の搬送ローラ56(搬送機構の一例)を備え、被記録媒体Mの搬送方向で加熱空間Rの上流側に圧着型の保持ローラ57を備え、この保持ローラ57と加熱空間Rとの間(保持ローラ57より下流側)に固定ガイド58と開閉作動自在な開閉ガイド59とを配置し、又、夫々の加熱空間Rを独立して加熱する加熱手段を備えている。
【0048】
前記複数の搬送ローラは56は、夫々が無端チェーンやギヤ等により同期して等速で作動するよう連係されると共に、搬送モータ61からの動力で作動するよう構成されている。前記保持ローラ57は保持モータ62によって駆動自在に構成され、前記開閉ガイド59は電磁ソレノイド等のアクチュエータで開閉操作自在に構成されている。つまり、保持ローラ57と搬送ローラ59とで被記録媒体Mを搬送し得る領域で3つの搬送経路が形成され、導入ローラ44を介して本体ケース40の内部に導入された被記録媒体Mを切換供給機構Taから3つの搬送経路の何れかに対して送込み得るものとなる。特に、3つの加熱空間Rは搬送経路方向での寸法を等しく設定してあり、夫々の加熱空間Rの温度を等しく設定し、夫々の加熱空間Rの搬送ローラ56の搬送速度を等しく設定することにより、何れの加熱空間Rに対して被記録媒体Mを送込んだ場合でも等しい条件で転写定着を実現できるものにしている。
【0049】
前記加熱手段は、空気加熱室64の内部に配置した電気ヒータ65と、この電気ヒータ65で加熱された空気を送り出す電動ファン66とを有すると共に、空気加熱室64と加熱空間Rとの間で空気を循環させるダクト67と、加熱空間Rの空気温度を計測する温度センサSとを備えて構成されている。尚、図面においては、電動ファン66としてプロペラ型のものを記載しているが、この電動ファン66としてクロスフローファンやシロッコファンを使用することが可能であり、又、加熱手段として、加熱空間Rの内部に赤外線(遠赤外線を含む)を照射するランプを備えることや、被記録媒体に接触して熱を伝える加熱プレートを加熱空間Rの内部に備えても良い。
【0050】
このシステムでは、プリント装置B、熱転写装置D夫々が前記画像形成装置Aからの情報に基づいて作動するよう構成されている。その作動形態として、プリント装置Bで被記録媒体Mを連続的にプリントした場合に、その被記録媒体を熱転写装置Dにおいて複数の加熱部Hに対して順次切換えて送込む〔高速処理モード〕と、予め指定した被記録媒体Mを、予め設定された加熱部Hに供給し、その加熱部Hにおいて予め設定された処理温度、あるいは、予め設定された処理時間で処理する〔選択処理モード〕との2種の処理モードの何れかでの処理を実現するよう構成されている。
【0051】
このようなモードでの処理を実現するための情報の流れ、及び、被記録媒体Mの流れを図5のように表すことが可能である。つまり、画像形成装置Aの汎用コンピュータ1では、メディアドライブ7から取り込んだ複数の画像情報が保存され、これらの複数の画像情報に対してキーボード3やマウス4の操作によりプリントサイズ情報、プリント枚数情報、解像度情報、被記録媒体Mの種類を示す属性情報、転写定着後の画像の状態(調子)を決めるマニュアル設定情報夫々が保存される。これらの情報が入力されると属性情報とマニュアル情報とに基づき加熱条件情報が生成されると共に、任意にモード情報が設定される。尚、キーボード3やマウス4の操作により情報を入力する際には、モニター2に対して入力画面を表示した状態で、入力した情報を画面中に表示して確認する形態や、入力画面に表示されるメッセージに従って必要な情報を入力する形態が採用される。
【0052】
次に、設定が終了した時点で、加熱条件情報とモード情報とが熱定着装置Dの熱定着制御部41に伝送される。これらの情報が伝送されると、熱定着制御部41では加熱情報に基づき第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3夫々の加熱空間Rに対応した電気ヒータ65に通電を行い、電動ファン66を駆動し、温度センサSからの温度情報をフィードバックして加熱空間Rの温度を目標温度に設定維持する制御を開始し、第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3夫々の搬送ローラ56による被記録媒体Mの搬送速度を設定する。尚、加熱空間の加熱温度は前述したように180℃に設定され、搬送ローラ56による搬送速度は、加熱空間Rに導入された被記録媒体Mを2分程度で排出するよう搬送速度が設定される。この加熱温度と搬送速度とが標準的な処理条件となっている。
【0053】
この後に、画像形成装置Aにおいてプリントを実行する操作が行われると、画像情報とプリントサイズ情報と解像度情報とに基づいてプリント画像情報が生成され、このプリント画像情報とプリント枚数情報と属性情報とがプリント装置Bのプリント制御部24に伝送され、プリント装置Bでは属性情報に対応した種類の被記録媒体Mに対応してプリント画像情報の情報がプリントされ、画像情報がプリントされた被記録媒体Mは排出される。又、このように画像情報がプリントされた被記録媒体Mが排出された際には、送り出された被記録媒体Mを特定し得る識別情報を付した情報が搬送位置情報として汎用コンピュータ1の側に保存される。又、この搬送位置情報は、ループ形成装置C、熱定着装置Dにおいて被記録媒体Mの存否を検出するセンサからの信号と対比させることで、熱定着装置Dにおいてサイズを判断する際や、属性を判断する際に参照される。
【0054】
次に、プリント装置Bから排出された被記録媒体Mは、ループ形成装置Cを介して熱定着装置Dの導入ローラ44に送られ、モード情報に基づき切換供給機構Taを介して第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3の何れかに供給され、その加熱部Hで転写定着が行われた後、排出されストッカー42に受け止めらるのである。
【0055】
〔高速処理モード〕
この高速処理モードでは、プリント装置Bで決まった種類(属性)の被記録媒体Mに対して比較的小さなプリントサイズで画像情報をプリントして連続的に送り出す場合に採用される処理モードであり、熱定着装置Dでは被記録媒体Mを第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3における加熱温度と、搬送ローラ57の搬送速度を等しく設定した状態で、切換供給機構Taにより、これら第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3に対して順次切換える形態で被記録媒体Mを供給する作動形態となる。前記加熱空間Rの加熱温度と、搬送ローラ56の搬送速度とは被記録媒体Mの属性に対応して予め保存してある情報を読み出すことにより設定されるものであるが、例えば、加熱温度を任意に変更することや、搬送ローラ56の搬送速度を任意に変更することも可能であり、このように設定される情報がマニュアル設定情報である。
【0056】
つまり、この高速処理モードでは、チャッキングローラ52を図6(a)に示すホームポジションに保持した状態で、このチャッキングローラ52を、導入ローラ44の搬送速度と等しい速度で駆動することで、この導入ローラ44からの被記録媒体の先端をチャッキングローラ52でチャッキングする。次に、このようにチャッキングした被記録媒体Mを第1加熱部H1に送り込む場合には、チャッキングローラ52を増速駆動すると同時に、この速度と等しい速度で保持ローラ57を駆動してチャッキングローラ52からの被記録媒体Mの先端を加熱空間Rの最上流位置の搬送ローラ56で圧着した後に、開閉ガイド59を図6(b)に示す開放姿勢に設定した状態で更に保持ローラ57の駆動を継続することで、その被記録媒体Mを加熱空間Rの上流位置で垂れ下がる状態にして、その被記録媒体Mの後端をチャッキングローラ52から完全に送り出す。尚、チャッキングローラ49を導入ローラ44の搬送速度より高速度で駆動した場合には、導入ローラ44の駆動軸に備えた一方向クラッチ45によって導入ローラ44を送り出し方向に遊転させるので導入モータ46の駆動速度に関わりなく、導入ローラ44からの被記録媒体Mを第1加熱部に送り込むことが可能となる。
【0057】
以上の説明が、第1加熱部H1に対する被記録媒体Mの供給時の作動形態であり、次の被記録媒体Mを第2加熱部H2に供給する場合には、前述と同様にチャッキングローラ52を図6(c)に示すホームポジションに設定した状態で、このホームポジションのチャッキングローラ52を、導入ローラ44の搬送速度と等しい速度で駆動することで被記録媒体Mの先端をチャッキングする。次に、図6(d)に示すように、チャッキングローラ52を第2加熱部H2の保持ローラ57に対応する位置までシフト作動させた後に、チャッキングローラ52を高速で駆動すると同時に、この速度と等しい速度で保持ローラ57を駆動してチャッキングローラ52からの被記録媒体Mの先端を加熱空間Rの最上流位置の搬送ローラ56で圧着した後に、開閉ガイド59を図6(e)に示す開放姿勢に設定した状態で更に保持ローラ57を駆動することで、その被記録媒体Mを加熱空間Rの上流位置で垂れ下がる状態にして、その被記録媒体Mの後端をチャッキングローラ49から完全に送り出す。
【0058】
又、第3加熱部H1に対して被記録媒体Mを供給する場合にも同様の処理を行うものとなっており、このように第1加熱部H1、第2加熱部H2、第3加熱部H3夫々に対して被記録媒体Mを順次供給し終えたタイミングで、即ち、3枚目の被記録媒体Mを3つ目の加熱部Hに送り込み終えた時点で、最初に被記録媒体Mを送り込んだ加熱部H(図6では第1加熱部H1)に対して被記録媒体Mを供給し得る状態に達するよう基本的な処理形態を設定してあり、この処理を繰り返して行うことで、プリント装置Bで比較的高速にプリント処理を行う場合でも、熱転写装置Dで連続的な転写定着処理を実現している。
【0059】
このように〔高速処理モード〕で処理を行う場合において、加熱部Hの温度、夫々の加熱部Hの搬送ローラ56の搬送速度は、前記画像処理装置Aでプリントすべき画像情報の指定時に設定される。つまり、画像情報を指定してプリントを行う場合には、その画像情報のプリントサイズと、解像度と、プリント枚数と、プリントを行うべき被記録媒体Mの属性等が指定される。この指定が終了すると被記録媒体Mの種類(属性)や、必要な場合には任意に情報を入力することにより加熱部Hの目標温度と、搬送ローラ56の搬送速度が設定される。又、この指定が終了すると、プリントサイズに基づいてプリント装置Bから単位時間あたりに排出される被記録媒体Mの枚数が決まり、この単位時間あたりの枚数と、3つの加熱部Hで総合的に処理可能な能力とを対比した結果に基づき、連続的な転写定着が可能である場合には、被記録媒体Mを熱定着装置Dに連続的に供給することが可能となり、又、連続的な転写定着が不可能である場合でも、熱定着装置Dに対する被記録媒体Mの所定のインターバルでの間歇的な供給を実現するものとなる。
【0060】
〔選択処理モード〕
この選択処理モードでは、プリント装置Bで特定の種類(属性)で少ない枚数の被記録媒体Mに対して画像情報をプリントした場合や、他の被記録媒体Mと異なる温度や、異なる処理時間で被記録媒体Mの加熱を行う場合等、特定の被記録媒体Mを加熱空間で転写定着する際において、他の被記録媒体Mの処理と異なる処理を必要とする場合に採用される処理モードであり、第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3で成る3つの加熱部Hのうちの少なくとも1つの加熱部Hを、処理対象に対応した処理温度に設定することや、その加熱部Hにおける搬送ローラ56の搬送速度の変更で処理対象に対応した処理時間を設定しておき、特定の被記録媒体Mが該熱定着装置Dに導入された場合に、その加熱部Hに供給する作動形態となる。前記何れの加熱空間Rの加熱温度と、搬送ローラ56の搬送速度とも被記録媒体Mの属性に対応して予め保存してある情報を読み出すことにより設定されるものであるが、例えば、加熱温度を任意に変更することや、搬送ローラ56の搬送速度を任意に変更することも可能であり、このように設定される情報がマニュアル設定情報である。
【0061】
具体的には、一例として、第3加熱部H3の加熱温度を他の加熱部H1、H2より高温、あるいは、低温に設定した場合と、この第3加熱部H3の搬送ローラ56の搬送速度を他の加熱部H1、H2より低速化、あるいは、高速化することで処理時間を任意に設定した場合とを想定すると、この第3加熱部H3に対して供給すべき被記録媒体Mが熱定着装置Dに対して導入される以前においては、前述した〔高速処理モード〕と同様に、切換供給機構Taによって第1加熱部H1と第2加熱部H2とに対して被記録媒体Mを切換える形態で供給するものとなり、この第3加熱部H3に対して供給すべき被記録媒体Mが熱定着装置Dに対して導入された場合には、切換供給機構Taにより、その被記録媒体Mを第3加熱部H3に供給する作動が行われるのである。
【0062】
このように〔選択処理モード〕で処理を行う場合において、他の多くの被記録媒体Mの処理と比較して、異なる処理となる特定の処理を必要とする被記録媒体Mの指定は、前記画像処理装置Aでプリントすべき画像情報の指定時に設定される。つまり、画像情報を指定してプリントを行う場合には、その画像情報のプリントサイズと、解像度と、プリント枚数と、プリントを行うべき被記録媒体Mの種類が指定される。この指定の際に、他の多くの処理と異なる特定の処理を必要とする被記録媒体Mが決まり、その特定の処理を行うべき加熱部Hの目標温度と、搬送ローラ56の搬送速度が自動的に設定される。このようにプリントの詳細が設定されると、プリントの処理順序に基づき特定の処理を行うべき被記録媒体Mが熱定着装置Dに対して導入されるタイミングも図り得るものとなり、その被記録媒体Mが熱定着装置Dに導入されると、第3加熱部H3に送込む処理を行えるものとなっている。
【0063】
このように画像処理システムを構成したので、例えば、プリント装置Bで画像情報がプリントされた被記録媒体Mが連続的に供給される場合には、熱定着部において〔高速処理モード〕で処理を行うことにより、受入部Tを構成する切換供給機構Taが複数の加熱部Hに対して順次切換えて被記録媒体Mを供給する結果、被記録媒体Mの転写定着に比較的時間を要するものでありながら、プリント装置Bでプリントされた被記録媒体Mの処理遅れを招くこと無く、連続処理を実現するものとなっている。又、プリント装置Bで画像情報がプリントされた被記録媒体Mのうち特定のものを、他の被記録媒体Mより転写温度を高くすることや、転写時間を延長する場合でも、〔選択処理モード〕において、複数の加熱部Hのうちの、例えば、1つの温度を他の加熱部Hの温度より高く設定することや、その加熱部Hにおける被記録媒体Mの搬送速度を他の加熱部Hの温度より低く設定し、この加熱部Hに対して特定の被記録媒体Mを供給することにより、必要とする形態での転写定着を実現する。尚、転写定着時の温度を上昇させた場合、及び、転写定着時間を延長した場合には、被記録媒体Mの定着層に転写される画像情報の濃度が高まる結果、所謂、深みのある画像を得るものとなり、逆に、転写定着時の温度を低下させた場合、及び、転写定着時間を短縮した場合には、には被記録媒体Mの定着層に転写される画像情報の濃度が低下する結果、所謂、淡い調子の画像を得るものとなる。
【0064】
更に、この画像処理システムでは、被記録媒体Mの種類(属性)に基づいて加熱部Hにおける転写定着の条件を自動的に設定した場合には、オペレータの操作の手間を省くものでありながら必要な処理を実現するものとなっており、必要な場合には人為的に情報を入力することにより、オペレータが望む状態の転写定着を実現する。
【0065】
〔第2の実施の形態〕
図8に示すように、プリント装置B、ループ形成装置Cの構成は第1の実施の形態と何ら変わるところが無く、ループ形成装置Cと、熱定着装置Dとの構成が第1の実施の形態と異なるものとなっている(この第2の実施の形態では前記第1の実施の形態と同じ機能を有するものには、第1の実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0066】
つまり、ループ形成装置Cは、前記第2ループ形成部L2において、第1ループ形成部L1からターンローラ31を介して送られた被記録媒体Mを前記熱定着装置Dに案内する第2導入ガイド36と、第2開閉ガイド37とを備えて成り、この第2導入ガイド36と第2開閉ガイド37とは、被記録媒体Mの送り出し位置を、同図に実線示す2つの位置に切換自在に構成されると共に、第2開閉ガイド37は、同図に実線で示す閉じ姿勢と、仮想線で示す開放姿勢とに切換自在に構成されている。
【0067】
熱定着装置Dは、本体ケース40と、この本体ケース40の内部に被記録媒体Mを送込む複数の受入部として、手差し導入部T1と、第2導入部T2と、第3導入部T3とを有し、被記録媒体Mを搬送しながら加熱する3つの加熱部H(後述する第1加熱部H1、第2加熱部H2、第3加熱部H3の上位概念)と、これらを制御する熱定着制御部41とを備えて成り、本体ケース20の後端側には夫々の加熱部Hでの転写処理を終えた被記録媒体Mを送り出す3つの排出開口40Bを形成し、又、これらの排出開口40Bから排出された被記録媒体Mを受け止めるストッカー42を備えて構成されている。
【0068】
前記受入部T1は、第1加熱部H1に対して、外部からの被記録媒体Mを手差し用の案内板70から第1導入ローラ71を介して導入するよう構成され、第2導入部T2と、第3導入部T3とは、前記ループ形成装置Cからの被記録媒体Mを第2導入ローラ72を有する第2加熱部H2、及び、第3導入ローラ73を有する第3加熱部H2に導入するよう構成されている。
【0069】
この構成により、ループ形成装置Cから送られる被記録媒体Mを処理する場合には、第1の実施形態の〔高速処理モード〕のように第2加熱部H2と、第3加熱部H3とに対して切り換えて被記録媒体Mを送込むことや、第1の実施の形態の〔選択処理モード〕のように第2加熱部H2と第3加熱部H3との何れか一方で特別な処理を行う構成とすることも可能となる。そして、何れの処理モードで処理を行っている場合でも、他のプリント装置でプリントした被記録媒体M等を手差し導入部T1に対して供給して転写定着処理も行えるものとなる。尚、本第2の実施の形態では、手差し導入部T1に対してループ形成装置Cからの被記録媒体Mを供給するよう搬送形態を設定することも可能である。
【0070】
〔第3の実施の形態〕
図9に示すように、プリント装置B、ループ形成装置Cの構成は第1の実施の形態と何ら変わるところが無く、ループ形成装置Cと、熱定着装置Dとの構成が第1の実施の形態と異なるものとなっている(この第3の実施の形態では前記第1の実施の形態と同じ機能を有するものには、第1の実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0071】
つまり、ループ形成装置Cは、前記第2ループ形成部L2において、第1ループ形成部L1からターンローラ31を介して送られた被記録媒体Mを前記熱定着装置Dに案内する第2導入ガイド36と、第2開閉ガイド37とを備えて成り、この第2導入ガイド36と第2開閉ガイド37とは、被記録媒体Mの送り出し位置を、同図に示す第2導入部T2と、第3導入部T3との2位置に切換自在に構成されると共に、第2開閉ガイド37は、同図に実線で示す閉じ姿勢と、仮想線で示す開放姿勢とに切換自在に構成されている。
【0072】
熱定着装置Dは、本体ケース40と、この本体ケース40の内部に被記録媒体Mを送込む受入部T(後述する第1導入部T1、第2導入部T2、第3導入部の上位概念)と、被記録媒体Mを搬送しながら加熱する3つの加熱部H(後述する第1加熱部H1、第2加熱部H2、第3加熱部H3の上位概念)と、これらを制御する熱定着制御部41とを備えて成り、本体ケース20の後端側には夫々の加熱部Hでの転写処理を終えた被記録媒体Mを送り出す3つの排出開口40Bを形成し、又、これらの排出開口40Bから排出された被記録媒体Mを受け止めるストッカー42を備えて構成されている。
【0073】
前記受入部Tは、第1加熱部H1に対して、画像情報がプリントされたロール状に巻き取られた長尺被記録媒体Mを支持するアーム状の支持部80を備え、この支持部80に支軸81を介して回転自在に支持した被記録媒体Mを受け入れる第1導入部T1と、第2加熱部H2に対してループ形成装置Cからの被記録媒体Mを導入する第2導入ローラ72を有する第2導入部T2と、第3加熱部H3に対してループ形成装置Cからの被記録媒体Mを導入する第3導入ローラ73を有する第2導入部T3とを備えて構成されている。
【0074】
このように構成することにより、ループ形成装置Cから送られる被記録媒体Mを処理する場合には、第1の実施形態の〔高速処理モード〕のように第2加熱部H2と、第3加熱部H3とに対して切り換えて被記録媒体Mを送込むことや、第1の実施の形態の〔選択処理モード〕のように第2加熱部H2と第3加熱部H3との何れか一方で特別な処理を行う構成とすることも可能となる。そして、何れの処理モードで処理を行っている場合でも、他のプリント装置でプリントした長尺でロール状に巻き取られた被記録媒体Mを支持部に支持して、その先端部を導入部T1に対して供給して転写定着処理も行えるものとなる。尚、本第3の実施の形態では、全ての複数の受入れ部Tに対して支持部80を備えて、ロール状に巻き取られた長尺被記録媒体Mを支持するアーム状の支持部80を備えた形態で実施することも可能である。
【0075】
〔別実施の形態〕
本発明は上記実施の形態以外に、例えば、以下のように構成して実施することも可能である(この別実施の形態では前記実施の形態と同じ機能を有するものには、実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0076】
(イ)図10に示すように、加熱部Hを第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3で構成すると共に、この複数の加熱部H1、H2、H3のうちの少なくとも1つの搬送ローラ56による搬送距離Ltを他の加熱部の搬送距離Lsより長く設定する。このように搬送経路長に差異を設定することにより、第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3夫々の搬送ローラ56を駆動するために単一の電動モータを用いても搬送距離を長く設定した加熱部Hにおいては、他の加熱部Hよりも長い時間を掛けて加熱する処理を実現する。このように加熱部Hを構成した場合、被記録媒体Mの種類(属性)に基づき第3加熱部H3に対して、その被記録媒体Mを導入する制御を実現するプログラムで搬送選択手段が構成されるものとなる。
【0077】
(ロ)加熱部Hを2つ又は4つ以上備えて実施すること、あるいは、空間内の温度が加熱温度に管理される加熱空間Rの内部に複数の搬送機構を備えて構成することが可能である。
【0078】
(ハ)複数の加熱部を形成すると共に、夫々の加熱部の温度と、夫々の加熱部に備えた搬送機構の搬送速度とを同時に任意に設定できるよう構成する。このように構成することにより、例えば、複数の加熱部のうちの少なくとも1つを他の加熱部の温度より加熱温度を高く設定すると同時に、他の加熱部における搬送速度より低速で被記録媒体を搬送するよう搬送速度を設定することで、高濃度となる転写を実現するものとなり、温度と搬送速度とを逆の値に設定することにより、淡い濃度となる転写を実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の画像処理装置と画像形成装置とを示す斜視図
【図2】第1の実施の形態の画像形成装置の縦断側面図
【図3】第1の実施の形態の熱定着装置の縦断側面図
【図4】第1の実施の形態の被記録媒体の断面図
【図5】第1の実施の形態の制御系のブロック回路図
【図6】第1の実施の形態の熱定着装置で被記録媒体の搬送状態を順次示す模式図
【図7】第1の実施の形態の熱定着装置で被記録媒体の搬送状態を順次示す模式図
【図8】第2の実施の形態の画像処理装置の縦断面図
【図9】第3の実施の形態の画像処理装置の縦断面図
【図10】別実施の形態の熱転写装置の縦断面図
【符号の説明】
11 基材
12 定着層
13 浸透層
57 搬送機構
B プリント手段
D 加熱部
M 被記録媒体
R 加熱空間
T 受入部
Ta 切換供給機構
T1 マニュアル受入機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材と、この基材表面の定着層に転写すべき画像情報がプリントされる浸透層とを有するシート状の被記録媒体を加熱することにより、浸透層に昇華性インクでプリントされた画像情報を定着層に転写定着する加熱部を備えている熱定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のように構成された熱定着装置と類似する技術として特開平10‐297197号公報に示されるものが存在する。
【0003】
この従来の技術では、金属基材(本発明の基材)上に防錆層を兼ねる着色下地層(本発明の定着層)を形成し、この上に光透過性樹脂層としてアクリル系樹脂やポリエステル系樹脂やウレタン系樹脂で成る透明樹脂層を形成し、この上に多孔質アルミナ等を用いたインクジェット受理層(本発明の浸透層)を形成して金属装飾体を構成して成り、この金属装飾体のインクジェット受理層に対して昇華形着色材を用いたインクジェット印刷により着色模様を形成する。この後、この金属装飾体を加熱炉や、ホットプレスで加熱することによりインクジェット受理層の昇華形着色材が昇華して透明樹脂層に入り込み、インクジェット受理層に形成された着色模様が透明受理層に形成される。次に、インクジェット受理層を温水で軟化させた後、布等で拭き取ることによってインクジェット受理層の全てを取り除くことで、着色模様が形成された金属装飾体が完成するものとなっている。
【0004】
又、可撓性の樹脂シートを基材として用い、この基材の表面に定着層を形成し、更に、この定着層の表面に浸透層(前記受理層と同様の機能を有するもの)を形成し、浸透層に対して昇華性インクでプリントした記録情報を加熱によって定着層に転写定着する被記録媒体は開発中のものであり、この被記録媒体を用い、この被記録媒体の浸透層に対して昇華性インクで記録情報のプリントを行った後に、加熱によって昇華性インクを昇華させて記録情報を定着層に転写定着させる連続した処理を行う装置は開発されていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
インクジェット型のプリント装置を用い、被記録媒体に対して昇華性インクによって画像情報を形成するプリント処理を想定するに、このプリント処理では、プリントサイズや、画像の解像度によってプリント処理の時間が決まるものである。これに対して熱定着装置で転写を行うための加熱処理時間は、プリントサイズや画像の解像度に拘わらず昇華性インクを確実に昇華させるに必要とされる時間によって決まるものである。従って、このプリント装置で画像情報がプリントされた被記録媒体を加熱装置に送って転写定着する処理系を構成した場合には、比較的小さいサイズで被記録媒体に画像情報をプリントした後に、加熱による加熱処理を行う場合において、1枚の被記録媒体をプリント処理する時間に対して、1枚の被記録媒体を加熱処理する時間が長くなり、この加熱処理がプリント処理に追いつかないことも考えられ、改善の余地がある。
【0006】
プリント装置からの被記録媒体を熱定着装置に送って転写定着する具体的な構成としてプリント装置から被記録媒体が送り出される搬送系の延長上に熱定着装置に被記録媒体を送り込む受入部を配置するものが考えられるが、前述のように加熱処理がプリント処理に追いつかない場合には、熱定着装置の受入部に対して先に送った被記録媒体の後端が送り込まれるのを待って、次の被記録媒体を熱定着装置の受入部に供給するという処理形態となるため、次に熱定着装置に供給すべき被記録媒体に対してプリント装置によってプリントする処理を一時的に停止せざるを得ず処理能力を低下させる不都合が懸念されている。
【0007】
プリント装置でのプリント処理された被記録媒体を連続的に処理することを考えるに、このプリント装置でプリント処理された被記録媒体を熱定着装置に連続的に供給して画像情報の転写を行う処理系を想定することができる。しかし、独立したプリント装置で画像情報をプリントした被記録媒体を熱定着装置に供給して転写定着処理を行いたい場合もあり、このような要望に対応できる熱定着装置も望まれている。
【0008】
熱定着装置での加熱処理に要する時間について考えるに、この加熱処理に要する時間は、同じ昇華性インクを使用した場合でも、被記録媒体の基材の種類によって差異を生ずることが想像される。つまり、同じ素材(材質)の基材であっても厚みが異なるものでは、厚みが大であるほど加熱時間を長く設定することや、加熱温度を高める必要性があり、同じ厚みの基材であっても、素材の比熱が異なるものでは比熱に対応した加熱時間や加熱温度を設定する必要性がある。別の観点から考えると、このように加熱時間や加熱温度を任意に設定する要望は、カラーの画像情報を転写定着する場合にも必要とされる。つまり、深い色調を得る場合には、加熱時間を増すことや、加熱温度を高めることが考えられ、浅い色調を得る場合には加熱時間を減ずることや、加熱温度を減ずることが考えられている。
【0009】
又、このように加熱時間を任意に設定することは、熱定着装置の加熱空間において被記録媒体を搬送する搬送系の搬送速度を調節自在に構成することで済むものの、加熱温度を任意の値に設定することは迅速に行い難い面がある。つまり、加熱温度を変更する場合には、熱定着装置において被記録媒体を加熱する加熱空間や、加熱ローラ等の温度を変更する必要があるため、例えば、これらの温度を上昇させる場合において電気ヒータで急激な加熱を行った場合でも、必要とする温度に上昇するまで時間を要し、逆に、温度を低下させる場合にも放熱を行うために時間を要するので迅速な対応を図り難い面があったのである。
【0010】
本発明の目的は、プリント処理された被記録媒体を滞留させることなく加熱処理して合理的に転写定着し得る熱定着装置を構成する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
基材と、この基材表面の定着層に転写すべき画像情報がプリントされる浸透層とを有するシート状の被記録媒体を加熱することにより、浸透層に昇華性インクでプリントされた画像情報を定着層に転写定着する加熱部を備えている熱定着装置において、前記加熱部が、前記被記録媒体を受入れる受入部からの前記被記録媒体を該加熱部における加熱空間内を排出部に向けて搬送し、この排出部から送り出すよう構成されると共に、この搬送機構を複数備えて構成されている点にある。
【0012】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、受入部から受入れた被記録媒体を複数の搬送機構のいずれかを搬送し、加熱部での加熱により転写定着した後に排出部から排出できる。つまり、先に送った被記録媒体と異なる搬送経路に対して次の被記録媒体を送り込むことで、被記録媒体の転写定着処理時間の短縮化を可能にする。その結果、プリント処理が高速度で行われるプリント装置と組み合わせても、処理遅れを招くことなく転写処理を実現する熱定着装置が構成された。
【0013】
本発明の請求項2に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1記載の熱定着装置において、前記受入部が、受入れた被記録媒体を、前記複数の搬送機構のいずれかに切換えて送り込む切換供給機構を備えて構成されている点にある。
【0014】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、受入部から受入れた被記録媒体を切換供給機構によって複数の搬送機構のいずれかに送り込むことが可能となり、例えば、複数の搬送機構のうち、送り込み可能な搬送機構に対して切換供給機構で被記録媒体を送り込むよう該切換供給機構の作動形態を設定することにより、画像情報をプリントした被記録媒体を短い間隔で送り込む処理を実現する。その結果、熱定着装置の処理能力を高めて転写定着の処理時間を短縮するものとなった。
【0015】
本発明の請求項3に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1又は2記載の熱定着装置において、前記受入部を複数備えている点にある。
【0016】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、連続的に被記録媒体が送られる場合でも、先に被記録媒体を受入れた受入部と異なる受入部で次の被記録媒体を受入ることにより、連続的な定着処理を実現する。その結果、熱定着装置の処理能力を一層高めて転写定着を行えるものとなった。
【0017】
本発明の請求項4に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1又は3のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記受入部が、前記画像情報をプリントするプリント手段から送られる前記被記録媒体を受入れる自動受入機構と、外部から人為的に供給される被記録媒体を受入れるマニュアル受入機構とを備えて構成されている点にある。
【0018】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、プリント手段から被記録媒体が供給される場合にはオペレータが特別な作業を行わずとも自動受入機構が被記録媒体を受け入れて転写定着を行えるものとなり、例えば、前記プリント手段と異なるプリント装置等でプリントした被記録媒体の転写定着処理を行う場合にはオペレータの操作によってマニュアル受入機構を介して被記録媒体を受け入れて転写定着処理が可能となる。その結果、プリント手段からの被記録媒体を転写定着する場合には手間を掛けずに済み、必要な場合には人為的な供給も実現するものとなった。
【0019】
本発明の請求項5に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記受入部が、ロール状に巻き取った長尺の被記録媒体を保持して受入れるロール状被記録媒体支持部を備えて構成されている点にある。
【0020】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、ロール状に巻き取った長尺の被記録媒体を転写定着する場合には、ロール状被記録媒体支持部に対して被記録媒体を保持して受入ることが可能となる。その結果、ロール状に巻き取った長尺の被記録媒体でも無理なく転写定着処理を行えるものとなった。
【0021】
本発明の請求項6に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記複数の搬送機構のうちの前記加熱空間内における少なくとも1つの経路長を、他の搬送機構の前記加熱空間内における経路長に対して異ならせてある点にある。
【0022】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、複数の搬送経路のうちの少なくとも1つの加熱空間内における経路長が、他の搬送経路の経路長より短い、あるいは、長くなるので、転写定着時間を長くしたい場合には、長い経路長の搬送経路に対して被記録媒体を送ることで済み、これとは逆に、転写定着時間を短くしたい場合には、短い経路長の搬送経路に対して被記録媒体を送ることで済む。その結果、転写定着時間に差異を設定した被記録媒体を同時に処理することも可能となる。
【0023】
本発明の請求項7に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記複数の搬送機構のうちの前記加熱空間内における少なくとも1つの搬送速度を、他の搬送機構の前記加熱空間内における搬送速度に対して異ならせてある点にある。
【0024】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、複数の搬送機構のうちの少なくとも1つの加熱空間内における搬送速度が、他の搬送機構の搬送速度より高速、あるいは、低速となるので、例えば、複数の搬送機構の加熱空間内での長さを一致させた場合には、搬送速度が高速となる搬送機構に被記録媒体を送ることで転写定着時間を短縮できるものとなり、又、複数の搬送機構の加熱空間内での長さに差異を設定した場合には、転写時間を一層短縮することや、転写時間を殆ど違いのない状態にして搬送速度だけに差異を設定することを可能にする。その結果、転写定着時間に差異を設定した処理や、搬送速度に差異を設定した処理を実現する。
【0025】
本発明の請求項8に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記複数の搬送機構のうちの前記加熱空間内における少なくとも1つの搬送経路に対応した加熱温度を、他の搬送経路の前記加熱空間内における搬送経路に対応した加熱温度に対して異ならせてある点にある。
【0026】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、複数の搬送経路のうちの少なくとも1つの加熱温度を他の搬送経路の加熱温度に対して差異を設定してあるので、高温で転写定着を行いたい被記録媒体は高温側の搬送経路に送り、低温で転写定着を行いたい被記録媒体は低温側の搬送経路に送ることで済む。その結果、加熱空間の温度を変更する処理を行わずとも、転写定着温度に差異を設定した被記録媒体を同時に処理することも可能となる。
【0027】
本発明の請求項9に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記被記録媒体の属性に基づいて前記複数の搬送機構の1つが、その被記録媒体を搬送するために選択される点にある。
【0028】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、被記録媒体の属性、つまり、その被記録媒体の基材の厚みや、比熱、素材等に対応する最適な搬送経路に対して、その被記録媒体を送り込んで処理を行えるものとなる。その結果、被記録媒体の属性に拘わらず最適な処理を実現するものとなった。
【0029】
本発明の請求項10に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項9記載の熱定着装置において、前記被記録媒体の属性に基づいて前記複数の搬送機構の1つを自動的に選択する搬送選択手段を備えている点にある。
【0030】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、被記録媒体の属性、つまり、その被記録媒体の基材の厚みや、比熱、素材等に対応して搬送選択手段が最適な搬送経路に対して、その被記録媒体を送り込んで処理を行えるものとなる。その結果、被記録媒体の属性に拘わらず自動的に最適な処理を実現するものとなった。
【0031】
本発明の請求項11に係る熱定着装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱定着装置において、前記被記録媒体の属性に基づいて、その被記録媒体を加熱する前記加熱空間の加熱温度を選択自在に構成してある点にある。
【0032】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、被記録媒体の属性、つまり、その被記録媒体の基材の厚みや、比熱、素材等に対応する転写定着時の処理温度に対応して最適な加熱温度が選択され、その被記録媒体を送り込んで処理を行えるものとなる。その結果、被記録媒体の属性に拘わらず自動的に最適な加熱温度での処理を実現するものとなった。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1又は図2に示すように、画像処理装置Aと、画像処理装置Aから転送される画像情報を被記録媒体Mに対して昇華性インクでプリントし、かつ、プリントサイズに切断して送り出すプリント手段としてのプリント装置Bと、このように被記録媒体Mに画像情報がプリントされた被記録媒体Mを一時的に蓄えた後、送り出すループ形成装置Cと、このループ形成装置Cからの被記録媒体Mを加熱により転写定着した後に送り出す加熱部としての熱定着装置Dとを備えて画像形成システムが構成されている。
【0034】
前記画像処理装置Aは汎用コンピュータ1、モニター2、キーボード3、マウス4を有すると共に、現像済みの銀塩式の写真フィルム5の画像情報を光電変換するフィルムスキャナー6と、メディアにデジタル信号で保存された情報を取り出すようにコンピュータ内部のメディアドライブ7とを備えて成っている。尚、メディアドライブ7とは、CDやCD−R、あるいは、MO等のディスク状の媒体ばかりでなく、コンパクトフラッシュやスマートメディア等の半導体で成る媒体から情報を取り出すドライブの総称であり、同図にはCD及びCD−Rの情報を読出すドライブを示している。
【0035】
前記被記録媒体Mは図4に示すように、PET(polyethylene terephthalate)製でフィルム状の基材11の表面に対して、昇華性インクに対して親和性のある樹脂としてポリビニルアルコール系の樹脂やポリビニルアセタール系の樹脂等で定着層12を形成し、この定着層12の表面に昇華性インクに対して非親和性となるフッ素樹脂やシリコン樹脂等の薄いフィルム状の浸透層13を剥離自在に重ね合わせ、全体として柔軟なシート状に構成したものであり、この被記録媒体Mは浸透層13に対して昇華性インクで画像をプリントした後、加熱処理を行うことにより、浸透層13のインクが昇華して定着層12に移行し、基材11の表面に画像情報を定着形成する機能を有し、画像情報を転写定着した後には、浸透層13をフィルム状のまま剥離して取り除くことにより基材11の表面の定着層12に形成された明瞭な画像を露出させるものとなっている。又、この被記録媒体Mは、基材11の素材が昇華性インクに対して親和性を有する性質のものでは、その基材11の表面をそのまま定着層12として利用できる。
【0036】
〔プリント装置〕
前記プリント装置Bは、本体ケース20の内部に対して、ロール状に巻き取った複数の被記録媒体Mを収納する収納部21と、この収納部21に収納したロール状の被記録媒体Mから引き出した被記録媒体Mを搬送するよう複数の圧着ローラを有する搬送機構22と、この搬送機構22で搬送される被記録媒体Mに対して画像情報をプリントするインクジェット型のプリントヘッド23と、これらを制御するプリント制御部24とを有し、この本体ケース20を支持脚25で支持することにより、画像情報がプリントされた被記録媒体Mをプリントサイズに切断した状態で比較的高い位置で水平方向に送り出すよう構成されている。
【0037】
前記プリントヘッド23は、被記録媒体Mの搬送方向(副搬送方向)と直交する姿勢(主走査方向に沿う姿勢)で備えられた一対のガイドロッド26で案内される状態で、ステッピングモータ型の主走査モータ(図示せず)からの駆動力で主走査方向に往復作動自在に支持され、このプリントヘッド23に対して取換え自在に備えたインクカートリッジ27の昇華性インクをピエゾ素子等の吐出機構(図示せず)によりノズルから吹き出して画像情報をプリントするよう構成されている。更に、このプリントヘッド23には被記録媒体Mを切断するための切断刃28を、被記録媒体Mを切断可能な突出位置と、被記録媒体Mに接触しない退避位置とに出退自在に備えている。
【0038】
前記搬送機構22は、ロール状の被記録媒体Mをプリントヘッド23の部位まで搬送する前搬送機構22Aと、このプリントヘッド23の部位から被記録媒体Mを排出口20Aまで搬送する後搬送機構22Bとを組み合わせて成り、この前搬送機構22Aと、後搬送機構22Bとは夫々ともステッピングモータ型の搬送モータ(図示せず)で独立して駆動自在に構成されている。前記切断刃28は、カム送りやネジ送り機構を介して切換える切換モータ(図示せず)によって出退自在に構成されている。
【0039】
又、インクカートリッジ27のインクとして、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の少なくとも4色のインクの他に中間色の2色のインクを用いた6色を使用するよう構成され、この実施の形態で使用される昇華性インクは、80℃程度で昇華が始まり、前述したようにフィルム状のPET製の基材11を有する被記録媒体Mにおいては、180℃で2分程度の加熱により最適な転写状態となる。この昇華性インクは170℃〜200℃程度でインクの昇華を無理なく行えるものであり、200℃では1分程度の加熱、170℃では5分程度の加熱で必要とする転写定着が可能となる。
【0040】
この構成により、被記録媒体Mに対してプリント装置で画像情報のプリントを行う場合には、前記プリント制御部24が、搬送機構22を作動させて複数のロール状の被記録媒体Mの何れかから引き出した被記録媒体Mをプリントヘッド23の部位まで搬送し、次に、プリントヘッド23を制御して昇華性インクを被記録媒体Mの浸透膜13に吹き付けて画像情報をプリントする。このように画像情報をプリントする場合には、被記録媒体Mの搬送を停止させた状態でプリントヘッド23を主走査方向に作動させて昇華性インクを被記録媒体Mに吹き付け、この走査によりプリントヘッド23が作動端に達すると、前搬送機構22Aと後搬送機構22Bとを等速で同期駆動してプリントヘッド23におけるプリント幅に対応した量だけ被記録媒体Mを搬送する処理が繰り返して行われる。次に、画像情報がプリントされた被記録媒体Mのうち、画像情報同士の中間位置等、切断を行うべき部位が切断刃28の切断位置まで搬送されると、切断刃28を突出させてプリントヘッド23を主走査方向に作動させることにより被記録媒体Mを切り離すものとなり、この後、前記後搬送機構22Bを作動させて、切り離した被記録媒体Mを排出口20Aから送り出す制御が実行される。
【0041】
〔ループ形成装置〕
図2に示すように、前記ループ形成装置Cは、中央位置に3つの従動ローラ30を有したターンローラ31を備えると共に、このターンローラ31を基準にして搬送上手側の第1ループ形成部L1と、ターンローラ31を基準にして搬送下手側の第2ループ形成部L2とを形成し、これらの下方位置において被記録媒体Mを受け止めるケース32と、これらを制御するループ制御部33とを備えて構成されている。
【0042】
前記ターンローラ31は、ステッピングモータ型のローラモータ(図示せず)で駆動自在に構成され、このターンローラ31の外周に対して前記3つの従動ローラ30を圧接させることで、被記録媒体Mを比較的大きい角度でターンローラ31に巻き付けて被記録媒体Mの巻き癖を取り除き得るようにも機能する。
【0043】
前記第1ループ形成部L1は、プリント装置から排出された被記録媒体Mを下方に案内する第1導入ガイド34と第1開閉ガイド35とを備えて成り、この第1開閉ガイド35は、同図に実線で示す閉じ姿勢と、仮想線で示す開放姿勢とに切換自在に構成されている。前記第2ループ形成部L2は、第1ループ形成部L1からターンローラ31を介して送られた被記録媒体Mを前記熱定着装置Dに案内する第2導入ガイド36と、第2開閉ガイド37とを備えて成り、この第2開閉ガイド37は、同図に実線で示す閉じ姿勢と、仮想線で示す開放姿勢とに切換自在に構成されている。
【0044】
このループ形成装置Cでは、被記録媒体Mの搬送経路の各所に対して被記録媒体Mの存否を判別するセンサ(図示せず)を配置してあり、プリント装置Bの排出口20Aから被記録媒体が送り出された場合には、第1開閉ガイド35と第2開閉ガイド37とを閉じ姿勢に設定して被記録媒体Mの端部を熱定着装置Dに対して供給可能な位置まで送った後、第2開閉ガイド37を開放姿勢に切換え、かつ、ターンローラ31を高速回転させることでその被記録媒体Mの長さに係わらず、第2ループ形成部L2において被記録媒体Mの後端が垂れ下がる状態で貯留し、次の被記録媒体Mを、その先端をターンローラ31に圧着支持する位置まで搬送した後に、第1開閉ガイド35を開放することで、この被記録媒体Mを第1ループ形成部L1においてループを形成する状態で貯留するようループ制御部33の制御形態が設定されている。このようにループを形成する理由は、前記熱定着装置Dでは、後述するように内部に備えた複数の搬送経路に対して被記録媒体Mを切換えて搬送する際に、被記録媒体Mの搬送経路に対する導入を一時的に停止する制御が行われるものとなっており、このように間歇的な導入が行われる際の速度差を吸収するためである。
【0045】
〔熱定着装置〕
図2及び図3に示すように前記熱定着装置Dは、本体ケース40と、この本体ケース40の前面側の受入開口40Aから導入される被記録媒体Mを送込む受入部Tと、被記録媒体Mを搬送しながら加熱する3つの加熱部H(後述する第1加熱部H1、第2加熱部H2、第3加熱部H3の上位概念)と、これらを制御する熱定着制御部41とを備えて成り、本体ケース20の後端側には夫々の加熱部Hでの転写定着処理を終えた被記録媒体Mを送り出す3つの排出開口40Bを形成し、又、これらの排出開口40Bから排出された被記録媒体Mを受け止めるストッカー42を備えて構成されている。又、この熱定着装置Dは、被記録媒体Mの属性に基づいて複数の搬送機構の1つを選択する搬送選択手段として機能する。
【0046】
前記受入部Tは、前記受入開口40Aの部位に配置された上下一対の圧着ローラで成る導入ローラ44と、この導入ローラ44で受入た被記録媒体Mを3つの加熱部Hの何れかに送込む切換供給機構Taとで成り、前記導入ローラ44に対して、この導入ローラ44の駆動軸に配置した一方向クラッチ45を介して導入モータ46から無端ベルトや無端チェーン等を介して駆動力が伝えられるよう伝動系が構成されている。又、前記切換供給機構Taは、縦向き姿勢のガイドレール48に案内されるシフトフレーム49と、このシフトフレーム49を上下方向に作動させるようシフトモータ50で駆動されるネジ送り式のシフト機構51と、このシフトフレーム49に支持される上下一対のチャッキングローラ52と、このチャッキングローラ50を駆動するチャッキングモータ53とを備えて構成されている。
【0047】
前記3つの加熱部Hを、上部から下部に向けて第1加熱部H1、第2加熱部H2、第3加熱部H3と称すると、夫々の加熱部H(H1、H2、H3)は、断熱ケース55で形成された加熱空間Rを有すると共に、この加熱空間Rの内部に被記録媒体を搬送する圧着型の複数の搬送ローラ56(搬送機構の一例)を備え、被記録媒体Mの搬送方向で加熱空間Rの上流側に圧着型の保持ローラ57を備え、この保持ローラ57と加熱空間Rとの間(保持ローラ57より下流側)に固定ガイド58と開閉作動自在な開閉ガイド59とを配置し、又、夫々の加熱空間Rを独立して加熱する加熱手段を備えている。
【0048】
前記複数の搬送ローラは56は、夫々が無端チェーンやギヤ等により同期して等速で作動するよう連係されると共に、搬送モータ61からの動力で作動するよう構成されている。前記保持ローラ57は保持モータ62によって駆動自在に構成され、前記開閉ガイド59は電磁ソレノイド等のアクチュエータで開閉操作自在に構成されている。つまり、保持ローラ57と搬送ローラ59とで被記録媒体Mを搬送し得る領域で3つの搬送経路が形成され、導入ローラ44を介して本体ケース40の内部に導入された被記録媒体Mを切換供給機構Taから3つの搬送経路の何れかに対して送込み得るものとなる。特に、3つの加熱空間Rは搬送経路方向での寸法を等しく設定してあり、夫々の加熱空間Rの温度を等しく設定し、夫々の加熱空間Rの搬送ローラ56の搬送速度を等しく設定することにより、何れの加熱空間Rに対して被記録媒体Mを送込んだ場合でも等しい条件で転写定着を実現できるものにしている。
【0049】
前記加熱手段は、空気加熱室64の内部に配置した電気ヒータ65と、この電気ヒータ65で加熱された空気を送り出す電動ファン66とを有すると共に、空気加熱室64と加熱空間Rとの間で空気を循環させるダクト67と、加熱空間Rの空気温度を計測する温度センサSとを備えて構成されている。尚、図面においては、電動ファン66としてプロペラ型のものを記載しているが、この電動ファン66としてクロスフローファンやシロッコファンを使用することが可能であり、又、加熱手段として、加熱空間Rの内部に赤外線(遠赤外線を含む)を照射するランプを備えることや、被記録媒体に接触して熱を伝える加熱プレートを加熱空間Rの内部に備えても良い。
【0050】
このシステムでは、プリント装置B、熱転写装置D夫々が前記画像形成装置Aからの情報に基づいて作動するよう構成されている。その作動形態として、プリント装置Bで被記録媒体Mを連続的にプリントした場合に、その被記録媒体を熱転写装置Dにおいて複数の加熱部Hに対して順次切換えて送込む〔高速処理モード〕と、予め指定した被記録媒体Mを、予め設定された加熱部Hに供給し、その加熱部Hにおいて予め設定された処理温度、あるいは、予め設定された処理時間で処理する〔選択処理モード〕との2種の処理モードの何れかでの処理を実現するよう構成されている。
【0051】
このようなモードでの処理を実現するための情報の流れ、及び、被記録媒体Mの流れを図5のように表すことが可能である。つまり、画像形成装置Aの汎用コンピュータ1では、メディアドライブ7から取り込んだ複数の画像情報が保存され、これらの複数の画像情報に対してキーボード3やマウス4の操作によりプリントサイズ情報、プリント枚数情報、解像度情報、被記録媒体Mの種類を示す属性情報、転写定着後の画像の状態(調子)を決めるマニュアル設定情報夫々が保存される。これらの情報が入力されると属性情報とマニュアル情報とに基づき加熱条件情報が生成されると共に、任意にモード情報が設定される。尚、キーボード3やマウス4の操作により情報を入力する際には、モニター2に対して入力画面を表示した状態で、入力した情報を画面中に表示して確認する形態や、入力画面に表示されるメッセージに従って必要な情報を入力する形態が採用される。
【0052】
次に、設定が終了した時点で、加熱条件情報とモード情報とが熱定着装置Dの熱定着制御部41に伝送される。これらの情報が伝送されると、熱定着制御部41では加熱情報に基づき第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3夫々の加熱空間Rに対応した電気ヒータ65に通電を行い、電動ファン66を駆動し、温度センサSからの温度情報をフィードバックして加熱空間Rの温度を目標温度に設定維持する制御を開始し、第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3夫々の搬送ローラ56による被記録媒体Mの搬送速度を設定する。尚、加熱空間の加熱温度は前述したように180℃に設定され、搬送ローラ56による搬送速度は、加熱空間Rに導入された被記録媒体Mを2分程度で排出するよう搬送速度が設定される。この加熱温度と搬送速度とが標準的な処理条件となっている。
【0053】
この後に、画像形成装置Aにおいてプリントを実行する操作が行われると、画像情報とプリントサイズ情報と解像度情報とに基づいてプリント画像情報が生成され、このプリント画像情報とプリント枚数情報と属性情報とがプリント装置Bのプリント制御部24に伝送され、プリント装置Bでは属性情報に対応した種類の被記録媒体Mに対応してプリント画像情報の情報がプリントされ、画像情報がプリントされた被記録媒体Mは排出される。又、このように画像情報がプリントされた被記録媒体Mが排出された際には、送り出された被記録媒体Mを特定し得る識別情報を付した情報が搬送位置情報として汎用コンピュータ1の側に保存される。又、この搬送位置情報は、ループ形成装置C、熱定着装置Dにおいて被記録媒体Mの存否を検出するセンサからの信号と対比させることで、熱定着装置Dにおいてサイズを判断する際や、属性を判断する際に参照される。
【0054】
次に、プリント装置Bから排出された被記録媒体Mは、ループ形成装置Cを介して熱定着装置Dの導入ローラ44に送られ、モード情報に基づき切換供給機構Taを介して第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3の何れかに供給され、その加熱部Hで転写定着が行われた後、排出されストッカー42に受け止めらるのである。
【0055】
〔高速処理モード〕
この高速処理モードでは、プリント装置Bで決まった種類(属性)の被記録媒体Mに対して比較的小さなプリントサイズで画像情報をプリントして連続的に送り出す場合に採用される処理モードであり、熱定着装置Dでは被記録媒体Mを第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3における加熱温度と、搬送ローラ57の搬送速度を等しく設定した状態で、切換供給機構Taにより、これら第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3に対して順次切換える形態で被記録媒体Mを供給する作動形態となる。前記加熱空間Rの加熱温度と、搬送ローラ56の搬送速度とは被記録媒体Mの属性に対応して予め保存してある情報を読み出すことにより設定されるものであるが、例えば、加熱温度を任意に変更することや、搬送ローラ56の搬送速度を任意に変更することも可能であり、このように設定される情報がマニュアル設定情報である。
【0056】
つまり、この高速処理モードでは、チャッキングローラ52を図6(a)に示すホームポジションに保持した状態で、このチャッキングローラ52を、導入ローラ44の搬送速度と等しい速度で駆動することで、この導入ローラ44からの被記録媒体の先端をチャッキングローラ52でチャッキングする。次に、このようにチャッキングした被記録媒体Mを第1加熱部H1に送り込む場合には、チャッキングローラ52を増速駆動すると同時に、この速度と等しい速度で保持ローラ57を駆動してチャッキングローラ52からの被記録媒体Mの先端を加熱空間Rの最上流位置の搬送ローラ56で圧着した後に、開閉ガイド59を図6(b)に示す開放姿勢に設定した状態で更に保持ローラ57の駆動を継続することで、その被記録媒体Mを加熱空間Rの上流位置で垂れ下がる状態にして、その被記録媒体Mの後端をチャッキングローラ52から完全に送り出す。尚、チャッキングローラ49を導入ローラ44の搬送速度より高速度で駆動した場合には、導入ローラ44の駆動軸に備えた一方向クラッチ45によって導入ローラ44を送り出し方向に遊転させるので導入モータ46の駆動速度に関わりなく、導入ローラ44からの被記録媒体Mを第1加熱部に送り込むことが可能となる。
【0057】
以上の説明が、第1加熱部H1に対する被記録媒体Mの供給時の作動形態であり、次の被記録媒体Mを第2加熱部H2に供給する場合には、前述と同様にチャッキングローラ52を図6(c)に示すホームポジションに設定した状態で、このホームポジションのチャッキングローラ52を、導入ローラ44の搬送速度と等しい速度で駆動することで被記録媒体Mの先端をチャッキングする。次に、図6(d)に示すように、チャッキングローラ52を第2加熱部H2の保持ローラ57に対応する位置までシフト作動させた後に、チャッキングローラ52を高速で駆動すると同時に、この速度と等しい速度で保持ローラ57を駆動してチャッキングローラ52からの被記録媒体Mの先端を加熱空間Rの最上流位置の搬送ローラ56で圧着した後に、開閉ガイド59を図6(e)に示す開放姿勢に設定した状態で更に保持ローラ57を駆動することで、その被記録媒体Mを加熱空間Rの上流位置で垂れ下がる状態にして、その被記録媒体Mの後端をチャッキングローラ49から完全に送り出す。
【0058】
又、第3加熱部H1に対して被記録媒体Mを供給する場合にも同様の処理を行うものとなっており、このように第1加熱部H1、第2加熱部H2、第3加熱部H3夫々に対して被記録媒体Mを順次供給し終えたタイミングで、即ち、3枚目の被記録媒体Mを3つ目の加熱部Hに送り込み終えた時点で、最初に被記録媒体Mを送り込んだ加熱部H(図6では第1加熱部H1)に対して被記録媒体Mを供給し得る状態に達するよう基本的な処理形態を設定してあり、この処理を繰り返して行うことで、プリント装置Bで比較的高速にプリント処理を行う場合でも、熱転写装置Dで連続的な転写定着処理を実現している。
【0059】
このように〔高速処理モード〕で処理を行う場合において、加熱部Hの温度、夫々の加熱部Hの搬送ローラ56の搬送速度は、前記画像処理装置Aでプリントすべき画像情報の指定時に設定される。つまり、画像情報を指定してプリントを行う場合には、その画像情報のプリントサイズと、解像度と、プリント枚数と、プリントを行うべき被記録媒体Mの属性等が指定される。この指定が終了すると被記録媒体Mの種類(属性)や、必要な場合には任意に情報を入力することにより加熱部Hの目標温度と、搬送ローラ56の搬送速度が設定される。又、この指定が終了すると、プリントサイズに基づいてプリント装置Bから単位時間あたりに排出される被記録媒体Mの枚数が決まり、この単位時間あたりの枚数と、3つの加熱部Hで総合的に処理可能な能力とを対比した結果に基づき、連続的な転写定着が可能である場合には、被記録媒体Mを熱定着装置Dに連続的に供給することが可能となり、又、連続的な転写定着が不可能である場合でも、熱定着装置Dに対する被記録媒体Mの所定のインターバルでの間歇的な供給を実現するものとなる。
【0060】
〔選択処理モード〕
この選択処理モードでは、プリント装置Bで特定の種類(属性)で少ない枚数の被記録媒体Mに対して画像情報をプリントした場合や、他の被記録媒体Mと異なる温度や、異なる処理時間で被記録媒体Mの加熱を行う場合等、特定の被記録媒体Mを加熱空間で転写定着する際において、他の被記録媒体Mの処理と異なる処理を必要とする場合に採用される処理モードであり、第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3で成る3つの加熱部Hのうちの少なくとも1つの加熱部Hを、処理対象に対応した処理温度に設定することや、その加熱部Hにおける搬送ローラ56の搬送速度の変更で処理対象に対応した処理時間を設定しておき、特定の被記録媒体Mが該熱定着装置Dに導入された場合に、その加熱部Hに供給する作動形態となる。前記何れの加熱空間Rの加熱温度と、搬送ローラ56の搬送速度とも被記録媒体Mの属性に対応して予め保存してある情報を読み出すことにより設定されるものであるが、例えば、加熱温度を任意に変更することや、搬送ローラ56の搬送速度を任意に変更することも可能であり、このように設定される情報がマニュアル設定情報である。
【0061】
具体的には、一例として、第3加熱部H3の加熱温度を他の加熱部H1、H2より高温、あるいは、低温に設定した場合と、この第3加熱部H3の搬送ローラ56の搬送速度を他の加熱部H1、H2より低速化、あるいは、高速化することで処理時間を任意に設定した場合とを想定すると、この第3加熱部H3に対して供給すべき被記録媒体Mが熱定着装置Dに対して導入される以前においては、前述した〔高速処理モード〕と同様に、切換供給機構Taによって第1加熱部H1と第2加熱部H2とに対して被記録媒体Mを切換える形態で供給するものとなり、この第3加熱部H3に対して供給すべき被記録媒体Mが熱定着装置Dに対して導入された場合には、切換供給機構Taにより、その被記録媒体Mを第3加熱部H3に供給する作動が行われるのである。
【0062】
このように〔選択処理モード〕で処理を行う場合において、他の多くの被記録媒体Mの処理と比較して、異なる処理となる特定の処理を必要とする被記録媒体Mの指定は、前記画像処理装置Aでプリントすべき画像情報の指定時に設定される。つまり、画像情報を指定してプリントを行う場合には、その画像情報のプリントサイズと、解像度と、プリント枚数と、プリントを行うべき被記録媒体Mの種類が指定される。この指定の際に、他の多くの処理と異なる特定の処理を必要とする被記録媒体Mが決まり、その特定の処理を行うべき加熱部Hの目標温度と、搬送ローラ56の搬送速度が自動的に設定される。このようにプリントの詳細が設定されると、プリントの処理順序に基づき特定の処理を行うべき被記録媒体Mが熱定着装置Dに対して導入されるタイミングも図り得るものとなり、その被記録媒体Mが熱定着装置Dに導入されると、第3加熱部H3に送込む処理を行えるものとなっている。
【0063】
このように画像処理システムを構成したので、例えば、プリント装置Bで画像情報がプリントされた被記録媒体Mが連続的に供給される場合には、熱定着部において〔高速処理モード〕で処理を行うことにより、受入部Tを構成する切換供給機構Taが複数の加熱部Hに対して順次切換えて被記録媒体Mを供給する結果、被記録媒体Mの転写定着に比較的時間を要するものでありながら、プリント装置Bでプリントされた被記録媒体Mの処理遅れを招くこと無く、連続処理を実現するものとなっている。又、プリント装置Bで画像情報がプリントされた被記録媒体Mのうち特定のものを、他の被記録媒体Mより転写温度を高くすることや、転写時間を延長する場合でも、〔選択処理モード〕において、複数の加熱部Hのうちの、例えば、1つの温度を他の加熱部Hの温度より高く設定することや、その加熱部Hにおける被記録媒体Mの搬送速度を他の加熱部Hの温度より低く設定し、この加熱部Hに対して特定の被記録媒体Mを供給することにより、必要とする形態での転写定着を実現する。尚、転写定着時の温度を上昇させた場合、及び、転写定着時間を延長した場合には、被記録媒体Mの定着層に転写される画像情報の濃度が高まる結果、所謂、深みのある画像を得るものとなり、逆に、転写定着時の温度を低下させた場合、及び、転写定着時間を短縮した場合には、には被記録媒体Mの定着層に転写される画像情報の濃度が低下する結果、所謂、淡い調子の画像を得るものとなる。
【0064】
更に、この画像処理システムでは、被記録媒体Mの種類(属性)に基づいて加熱部Hにおける転写定着の条件を自動的に設定した場合には、オペレータの操作の手間を省くものでありながら必要な処理を実現するものとなっており、必要な場合には人為的に情報を入力することにより、オペレータが望む状態の転写定着を実現する。
【0065】
〔第2の実施の形態〕
図8に示すように、プリント装置B、ループ形成装置Cの構成は第1の実施の形態と何ら変わるところが無く、ループ形成装置Cと、熱定着装置Dとの構成が第1の実施の形態と異なるものとなっている(この第2の実施の形態では前記第1の実施の形態と同じ機能を有するものには、第1の実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0066】
つまり、ループ形成装置Cは、前記第2ループ形成部L2において、第1ループ形成部L1からターンローラ31を介して送られた被記録媒体Mを前記熱定着装置Dに案内する第2導入ガイド36と、第2開閉ガイド37とを備えて成り、この第2導入ガイド36と第2開閉ガイド37とは、被記録媒体Mの送り出し位置を、同図に実線示す2つの位置に切換自在に構成されると共に、第2開閉ガイド37は、同図に実線で示す閉じ姿勢と、仮想線で示す開放姿勢とに切換自在に構成されている。
【0067】
熱定着装置Dは、本体ケース40と、この本体ケース40の内部に被記録媒体Mを送込む複数の受入部として、手差し導入部T1と、第2導入部T2と、第3導入部T3とを有し、被記録媒体Mを搬送しながら加熱する3つの加熱部H(後述する第1加熱部H1、第2加熱部H2、第3加熱部H3の上位概念)と、これらを制御する熱定着制御部41とを備えて成り、本体ケース20の後端側には夫々の加熱部Hでの転写処理を終えた被記録媒体Mを送り出す3つの排出開口40Bを形成し、又、これらの排出開口40Bから排出された被記録媒体Mを受け止めるストッカー42を備えて構成されている。
【0068】
前記受入部T1は、第1加熱部H1に対して、外部からの被記録媒体Mを手差し用の案内板70から第1導入ローラ71を介して導入するよう構成され、第2導入部T2と、第3導入部T3とは、前記ループ形成装置Cからの被記録媒体Mを第2導入ローラ72を有する第2加熱部H2、及び、第3導入ローラ73を有する第3加熱部H2に導入するよう構成されている。
【0069】
この構成により、ループ形成装置Cから送られる被記録媒体Mを処理する場合には、第1の実施形態の〔高速処理モード〕のように第2加熱部H2と、第3加熱部H3とに対して切り換えて被記録媒体Mを送込むことや、第1の実施の形態の〔選択処理モード〕のように第2加熱部H2と第3加熱部H3との何れか一方で特別な処理を行う構成とすることも可能となる。そして、何れの処理モードで処理を行っている場合でも、他のプリント装置でプリントした被記録媒体M等を手差し導入部T1に対して供給して転写定着処理も行えるものとなる。尚、本第2の実施の形態では、手差し導入部T1に対してループ形成装置Cからの被記録媒体Mを供給するよう搬送形態を設定することも可能である。
【0070】
〔第3の実施の形態〕
図9に示すように、プリント装置B、ループ形成装置Cの構成は第1の実施の形態と何ら変わるところが無く、ループ形成装置Cと、熱定着装置Dとの構成が第1の実施の形態と異なるものとなっている(この第3の実施の形態では前記第1の実施の形態と同じ機能を有するものには、第1の実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0071】
つまり、ループ形成装置Cは、前記第2ループ形成部L2において、第1ループ形成部L1からターンローラ31を介して送られた被記録媒体Mを前記熱定着装置Dに案内する第2導入ガイド36と、第2開閉ガイド37とを備えて成り、この第2導入ガイド36と第2開閉ガイド37とは、被記録媒体Mの送り出し位置を、同図に示す第2導入部T2と、第3導入部T3との2位置に切換自在に構成されると共に、第2開閉ガイド37は、同図に実線で示す閉じ姿勢と、仮想線で示す開放姿勢とに切換自在に構成されている。
【0072】
熱定着装置Dは、本体ケース40と、この本体ケース40の内部に被記録媒体Mを送込む受入部T(後述する第1導入部T1、第2導入部T2、第3導入部の上位概念)と、被記録媒体Mを搬送しながら加熱する3つの加熱部H(後述する第1加熱部H1、第2加熱部H2、第3加熱部H3の上位概念)と、これらを制御する熱定着制御部41とを備えて成り、本体ケース20の後端側には夫々の加熱部Hでの転写処理を終えた被記録媒体Mを送り出す3つの排出開口40Bを形成し、又、これらの排出開口40Bから排出された被記録媒体Mを受け止めるストッカー42を備えて構成されている。
【0073】
前記受入部Tは、第1加熱部H1に対して、画像情報がプリントされたロール状に巻き取られた長尺被記録媒体Mを支持するアーム状の支持部80を備え、この支持部80に支軸81を介して回転自在に支持した被記録媒体Mを受け入れる第1導入部T1と、第2加熱部H2に対してループ形成装置Cからの被記録媒体Mを導入する第2導入ローラ72を有する第2導入部T2と、第3加熱部H3に対してループ形成装置Cからの被記録媒体Mを導入する第3導入ローラ73を有する第2導入部T3とを備えて構成されている。
【0074】
このように構成することにより、ループ形成装置Cから送られる被記録媒体Mを処理する場合には、第1の実施形態の〔高速処理モード〕のように第2加熱部H2と、第3加熱部H3とに対して切り換えて被記録媒体Mを送込むことや、第1の実施の形態の〔選択処理モード〕のように第2加熱部H2と第3加熱部H3との何れか一方で特別な処理を行う構成とすることも可能となる。そして、何れの処理モードで処理を行っている場合でも、他のプリント装置でプリントした長尺でロール状に巻き取られた被記録媒体Mを支持部に支持して、その先端部を導入部T1に対して供給して転写定着処理も行えるものとなる。尚、本第3の実施の形態では、全ての複数の受入れ部Tに対して支持部80を備えて、ロール状に巻き取られた長尺被記録媒体Mを支持するアーム状の支持部80を備えた形態で実施することも可能である。
【0075】
〔別実施の形態〕
本発明は上記実施の形態以外に、例えば、以下のように構成して実施することも可能である(この別実施の形態では前記実施の形態と同じ機能を有するものには、実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0076】
(イ)図10に示すように、加熱部Hを第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3で構成すると共に、この複数の加熱部H1、H2、H3のうちの少なくとも1つの搬送ローラ56による搬送距離Ltを他の加熱部の搬送距離Lsより長く設定する。このように搬送経路長に差異を設定することにより、第1、第2、第3加熱部H1、H2、H3夫々の搬送ローラ56を駆動するために単一の電動モータを用いても搬送距離を長く設定した加熱部Hにおいては、他の加熱部Hよりも長い時間を掛けて加熱する処理を実現する。このように加熱部Hを構成した場合、被記録媒体Mの種類(属性)に基づき第3加熱部H3に対して、その被記録媒体Mを導入する制御を実現するプログラムで搬送選択手段が構成されるものとなる。
【0077】
(ロ)加熱部Hを2つ又は4つ以上備えて実施すること、あるいは、空間内の温度が加熱温度に管理される加熱空間Rの内部に複数の搬送機構を備えて構成することが可能である。
【0078】
(ハ)複数の加熱部を形成すると共に、夫々の加熱部の温度と、夫々の加熱部に備えた搬送機構の搬送速度とを同時に任意に設定できるよう構成する。このように構成することにより、例えば、複数の加熱部のうちの少なくとも1つを他の加熱部の温度より加熱温度を高く設定すると同時に、他の加熱部における搬送速度より低速で被記録媒体を搬送するよう搬送速度を設定することで、高濃度となる転写を実現するものとなり、温度と搬送速度とを逆の値に設定することにより、淡い濃度となる転写を実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の画像処理装置と画像形成装置とを示す斜視図
【図2】第1の実施の形態の画像形成装置の縦断側面図
【図3】第1の実施の形態の熱定着装置の縦断側面図
【図4】第1の実施の形態の被記録媒体の断面図
【図5】第1の実施の形態の制御系のブロック回路図
【図6】第1の実施の形態の熱定着装置で被記録媒体の搬送状態を順次示す模式図
【図7】第1の実施の形態の熱定着装置で被記録媒体の搬送状態を順次示す模式図
【図8】第2の実施の形態の画像処理装置の縦断面図
【図9】第3の実施の形態の画像処理装置の縦断面図
【図10】別実施の形態の熱転写装置の縦断面図
【符号の説明】
11 基材
12 定着層
13 浸透層
57 搬送機構
B プリント手段
D 加熱部
M 被記録媒体
R 加熱空間
T 受入部
Ta 切換供給機構
T1 マニュアル受入機構
Claims (11)
- 基材と、この基材表面の定着層に転写すべき画像情報がプリントされる浸透層とを有するシート状の被記録媒体を加熱することにより、浸透層に昇華性インクでプリントされた画像情報を定着層に転写定着する加熱部を備えている熱定着装置であって、
前記加熱部が、前記被記録媒体を受入れる受入部からの前記被記録媒体を該加熱部における加熱空間内を排出部に向けて搬送し、この排出部から送り出すよう構成されると共に、この搬送機構を複数備えて構成されている熱定着装置。 - 前記受入部が、受入れた被記録媒体を、前記複数の搬送機構のいずれかに切換えて送り込む切換供給機構を備えて構成されている請求項1記載の熱定着装置。
- 前記受入部を複数備えている請求項1又は2記載の熱定着装置。
- 前記受入部が、前記画像情報をプリントするプリント手段から送られる前記被記録媒体を受入れる自動受入機構と、外部から人為的に供給される被記録媒体を受入れるマニュアル受入機構とを備えて構成されている請求項1又は3のいずれか1項に記載の熱定着装置。
- 前記受入部が、ロール状に巻き取った長尺の被記録媒体を保持して受入れるロール状被記録媒体支持部を備えて構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱定着装置。
- 前記複数の搬送機構のうちの前記加熱空間内における少なくとも1つの経路長を、他の搬送機構の前記加熱空間内における経路長に対して異ならせてある請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱定着装置。
- 前記複数の搬送機構のうちの前記加熱空間内における少なくとも1つの搬送速度を、他の搬送機構の前記加熱空間内における搬送速度に対して異ならせてある請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱定着装置。
- 前記複数の搬送機構のうちの前記加熱空間内における少なくとも1つの搬送経路に対応した加熱温度を、他の搬送経路の前記加熱空間内における搬送経路に対応した加熱温度に対して異ならせてある請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱定着装置。
- 前記被記録媒体の属性に基づいて前記複数の搬送機構の1つが、その被記録媒体を搬送するために選択される請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱定着装置。
- 前記被記録媒体の属性に基づいて前記複数の搬送機構の1つを自動的に選択する搬送選択手段を備えている請求項9記載の熱定着装置。
- 前記被記録媒体の属性に基づいて、その被記録媒体を加熱する前記加熱空間の加熱温度を選択自在に構成してある請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱定着装置。
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JP2006085008A (ja) * | 2004-09-17 | 2006-03-30 | Noritsu Koki Co Ltd | 画像プリント装置 |
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-
2002
- 2002-06-27 JP JP2002188330A patent/JP2004026463A/ja not_active Withdrawn
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