JP2004025689A - 建築板印刷装置及び建築板 - Google Patents
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Abstract
【課題】建築板を等速度で搬送させながらインクジェットノズルからのインク噴射タイミングを制御することで意匠面に化粧印刷を施す建築板印刷装置において、建築板内の所定の領域毎に印刷の解像度(ドットの大きさ及びドットのピッチ)を変更したり、建築板毎に印刷の解像度を変更できるようにする。
【解決手段】各印刷ヘッド(1・1)〜(1・n),(2・1)〜(2・n−1)は、クロ色、シアン色、マゼンタ色及びイエロー色のノズルアレイ群K,C,M,Yをそれぞれ備える。各ノズルアレイ群K,C,M,Yは、ノズル径が小でノズルピッチが狭い高解像度用ノズルアレイKA,CA,MA,YAと、ノズル径が中でノズルピッチが中である中解像度用ノズルアレイKB,CB,MB,YBと、ノズル径が大でノズルピッチが広い低解像度用ノズルアレイKC,CC,MC,YCとをそれぞれ備える。
【選択図】 図2
【解決手段】各印刷ヘッド(1・1)〜(1・n),(2・1)〜(2・n−1)は、クロ色、シアン色、マゼンタ色及びイエロー色のノズルアレイ群K,C,M,Yをそれぞれ備える。各ノズルアレイ群K,C,M,Yは、ノズル径が小でノズルピッチが狭い高解像度用ノズルアレイKA,CA,MA,YAと、ノズル径が中でノズルピッチが中である中解像度用ノズルアレイKB,CB,MB,YBと、ノズル径が大でノズルピッチが広い低解像度用ノズルアレイKC,CC,MC,YCとをそれぞれ備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建築板印刷装置に係り、詳しくは、インクジェット技術を利用することで印刷のための版を不要にし、小ロット多品種生産に対応できるようにした建築板印刷装置、及び、インクジェット技術によって化粧印刷が施された建築板に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は特願2002−132182号で、4列のノズルアレイを備え4色のインクを噴射できるようにした印刷ヘッドを主走査方向(建築板の進行方向と直交する方向)に千鳥状に互い違いに配置することで、建築板を搬送させながらカラー印刷を行えるようにした建築板印刷装置を提案している。
【0003】
図10は、既提案の建築板印刷装置の印刷ヘッドの配置を示す図である。既提案の建築板印刷装置は、主走査方向に2本のヘッドラインを備える。前方側のヘッドラインはn個の印刷ヘッド(1・1),(1・2)〜(1・n)を備える。後方側のヘッドラインはn−1個の印刷ヘッド(2・1),(2・2)〜(2・n−1)を備える。各印刷ヘッドは、クロ色インクを噴射するノズルアレイKと、シアン色のインクを噴射するノズルアレイCと、マゼンタ色のインクを噴射するノズルアレイMと、イエロー色のインクを噴射するノズルアレイYとを備える。
【0004】
各ノズルアレイK,C,M,Yは、それぞれN個のノズルを所定のノズルピッチpで主走査方向に一列に配設してなる。符号aはノズルアレイの左端側のノズルから右端側のノズルまでの長さである。ここで、長さa=ノズルピッチp×(ノズル個数N−1)の関係となる。符号bは隣接するノズルアレイ間の離隔距離である。符号Lは第1のヘッドラインと第2のヘッドラインとの離隔距離、より具体的には同色ノズルアレイ間距離である。各印刷ヘッドは、ノズルアレイの長さ分だけ主走査方向へずらして千鳥状に互い違いに配設されている。
【0005】
各印刷ヘッドを「(ヘッドグループ番号・ヘッド番号)」で示す。進みヘッドグループ1(先に印刷を開始するヘッドグループ)を(1・1)〜(1・n)として識別管理する。また、遅れヘッドグループ2(所定時間遅れて印刷を開始するヘッドグループ)を(2・1)〜(2・n−1)として識別管理する。
【0006】
1ノズルアレイの幅をa、ノズルピッチをp、1ノズルアレイにおけるノズル個数をNとする。このとき、a=(N−1)×pとなる。
【0007】
建築板の印刷有効幅(意匠面の短手方向長さに該当する)をBWとしたとき、BW=(2n−1)×aであるから、n=(BW+a)/2aとなる。
【0008】
図11は、既提案の建築板印刷装置の各印刷ヘッドの動作タイミングを示す図である。印刷開始から印刷終了までの各印刷ヘッドが担当する印刷管理領域(建築板の進行方向すなわち長手方向における印刷帯幅のこと)を、所定管理時間Δt毎に区分したものを1印刷制御単位とし、印刷開始から印刷終了までの各印刷制御単位を番号付けして識別管理する。すなわち、ヘッド(1・1)については、(1・1・1)〜(1・1・m)、ヘッド(2・1)については(2・1・1)〜(2・1・m)とする。
【0009】
そして、各印刷制御単位について、該当する印刷パターンを割り当て、インク噴射動作を1〜m単位まで連続して実行させるものとしている。管理時間Δtは、各色ノズルアレイ相互間距離b(図10参照)と、建築板の走行速度vとによって決定される。すなわち、Δt=4b/vとなる。遅れヘッドグループ2の動作開始タイミングは、進みヘッドグループ1がその動作を開始してから所定時間[Δt+Δtd]を経過した後である。遅延時間Δtdは、Δtd=(L−4b)/vである。Lは同色ヘッド間距離である(図10参照)。mは、建築板の長手方向長さ(印刷有効長さに相当する)をBLとしたとき、m=BL/(v×Δt)となる。
【0010】
主走査方向の画像解像度は、ノズルピッチpによって決定される。副走査方向(主走査方向に直交する方向、すなわち、建築板の進行方向)の画像解像度については、ノズルピッチpと一致させる場合には、ノズル開閉周波数をfとすれば、v=p×fの関係になるように各値を設定すれば良い。例えば、p=0.04mm、f=10000/sとすれば、v=0.04mm×10000/s=400mm/s=24m/minとなり、ライン速度24m/分が実現できる。なお、色柄模様の発色方法については、密度制御法によるものとしている。
【0011】
図12は、既提案の建築板印刷装置の1印刷管理幅の印刷動作を模式的に示す図である。図12では、建築板の1つの印刷管理幅について、その印刷動作を示している。建築板は左方向へ進行するものとする。時刻t0でKヘッド(ノズルアレイK)によるK(クロ)印刷を開始する。時間Δt/4を経過した時(時刻t1)で、Cヘッド(ノズルアレイC)によるC(シアン)印刷を開始する。更に時間Δt/4を経過した時(時刻t2)で、Mヘッド(ノズルアレイM)によるM(マゼンタ)印刷を開始する。更に時間Δt/4を経過した時(時刻t3)で、Yヘッド(ノズルアレイY)によるY(イエロー)印刷を開始する。
【0012】
時間Δtの間に、建築板はv×Δtだけ進み、最初の印刷領域(1)、すなわち、a×aの印刷領域が、KCMYの4色カラードットで印刷され、フルカラー印刷が実現される。
【0013】
また、時刻t1においては、次順の印刷領域(2)の先端部がKヘッド(ノズルアレイK)直下に到達しており、連続してKヘッド(ノズルアレイK)による印刷領域(2)のK(クロ)印刷が開始される。同様な印刷動作が、建築板の進行に伴って連続して実行されていく。このようにして、幅aの印刷管理幅について、その全面がフルカラーに印刷される。
【0014】
図13は、既提案の建築板印刷装置の建築板全体の印刷動作を模式的に示す図である。並設された各ヘッドについて、同様な印刷動作が実行されていくことにより、建築板の全面がフルカラーに印刷される。最初に、進みヘッドグループ1の各印刷ヘッド(1・1)〜(1・n)を同時に動作開始させる。引き続き、Δtd時間後に、遅れヘッドグループ2の各印刷ヘッド(2・1)〜(2・n−1)を同時に動作開始させる。各印刷ヘッドにおける各色ノズルアレイは、印刷動作を開始してからΔt×m時間経過するまで、連続して自らの印刷動作を実行する。
【0015】
上述したように既提案の建築板印刷装置は、建築板(図示しない)を一定速度で搬送させながら各ノズルアレイからのインク滴の噴射を制御することで、建築板の意匠面にインクジェット方式によるカラー印刷を施すことができる。1個のノズルから噴射される1滴のインクが1画点(ドット)となり、1画素を複数のドットで形成することにより階調表現を行わせることができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
既提案の建築板印刷装置は、ノズルアレイのノズルピッチに対応した解像度の画像(模様や柄等)を印刷することができる。1画点(ドット)のドットの大きさも一定である。このため、建築板意匠面の解像度(ドットの大きさ及びドットのピッチ)が同じとなり単調な意匠外観を呈するものであった。
【0017】
本発明はこのような課題を解決するためなされたもので、複数の解像度(ドットの大きさ及びドットのピッチ)を選択してインクジェット印刷を行うことのできる建築板印刷装置、及び、解像度を変えることで独特な意匠外観を呈する建築板を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明に係る建築板印刷装置は、第1のノズル径の複数のインクジェットノズルが第1のノズルピッチで主走査方向(建築板の進行方向と直交する方向)に配設されている第1のノズルアレイと、第1と異なる第2のノズル径の複数のインクジェットノズルが第1と異なる第2のノズルピッチで主走査方向に配設されている第2のノズルアレイとが同一色について配設され、さらに、それらが複数の色分配設されている。
【0019】
また、前記第1及び第2のノズルアレイが複数の色分配設されている印刷ヘッドが、主走査方向に対して千鳥状に互い違いに配設されていることで、印刷ヘッドの設置面積を低減できるとともに、印刷ヘッドの交換や修理・点検作業が容易になる。
【0020】
また、隣接する2つの印刷ヘッドの内の一方の印刷ヘッドの一端のインクジェットノズルと他方の印刷ヘッドの他端のインクジェットノズルとが副走査方向(主走査方向に直交する方向、すなわち、建築板の進行方向)の共通印刷ライン上に配置されていることで、隣接する印刷ヘッド間で各ノズルアレイのノズルピッチに連続性を持たせることができる。
【0021】
また、本発明の建築板は、意匠面に、第1の印刷ドットの大きさ及び第1の印刷ドットのピッチでインクジェット印刷されている第1の領域と、第1と異なる第2の印刷ドットの大きさ及び第1と異なる第2の印刷ドットのピッチでインクジェット印刷されている第2の領域とを備える。
【0022】
また、各建築板を単位として前記第1及び第2の領域を備えることで、意匠に建築板単位の多様性を持たせることができる。
【0023】
また、意匠面の各島状凸部を単位として前記第1及び第2の領域を備えることで、意匠に島状凸部単位の多様性を持たせることができる。
【0024】
また、意匠面の1つの島状凸部の中に前記第1及び第2の領域を備えることで、意匠面に島状凸部とは別の多様性を持たせることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態による建築板の具体例を示す模式図である。図1(a)に示す建築板は、格子状に形成された溝(凹部)によって区画された複数の島状凸部を有し、これら複数の凸部にインクジェット方式によって解像度(ドットの大きさ及びドットピッチ)が異なる化粧印刷を施したものである。本実施の形態においては、建築板の意匠面に、高解像度の印刷領域A、中解像度の印刷領域B、及び低解像度の印刷領域Cを備える。
【0027】
各凸部領域に同一画像(模様や柄等)を印刷する場合でも、各凸部領域毎に化粧印刷の解像度を変えることで、単調感を解消させたり、独特な趣のある意匠外観を発現させたりすることができる。また、各凸部領域毎に異なる画像(模様や柄等)を印刷する場合でも、画像の内容等に応じて解像度を異ならしめることで、例えば繊細な感じを強調させたり力強い感じを強調させたりすることができる。これにより多様な意匠外観を発現させることができる。なお、図1(a)では各凸部領域毎に解像度を異ならしめる例を示したが、1つの凸部領域内で解像度を変更するようにしてもよい。
【0028】
図1(b)に示す建築板は、意匠面の所定領域毎に化粧印刷の解像度を変更したものである。本実施の形態においても、建築板の意匠面に、高解像度の印刷領域A、中解像度の印刷領域B、及び低解像度の印刷領域Cを備えるが、各領域には、複数の凹凸部が含まれていてもよい。1枚の建築板内で所定領域毎に解像度を変更することで、独創性に富む意匠外観を発現させることができる。
【0029】
図1(c1)〜(c3)は、各建築板毎に解像度を変更した例を示す図である。同一画像を再現する場合でも、建築板毎に解像度を変更することで、各建築板毎に趣の異なった意匠外観を発現させることができる。
【0030】
図2は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッドの配置を示す図である。本実施の形態による建築板印刷装置は、主走査方向の2本のヘッドラインを備える。前側のヘッドラインはn個の印刷ヘッド(1・1),(1・2)〜(1・n)を備える。後側のヘッドラインはn−1個の印刷ヘッド(2・1),(2・2)〜(2・n−1)を備える。各印刷ヘッドを「(ヘッドグループ番号・ヘッド番号)」で示している。
【0031】
各印刷ヘッドは、クロ色のインクを噴射するノズルアレイ群Kと、シアン色のインクを噴射するノズルアレイ群Cと、マゼンタ色のインクを噴射するノズルアレイ群Mと、イエロー色のインクを噴射するノズルアレイ群Yとを備える。
【0032】
クロ色のノズルアレイ群Kは、高解像度用ノズルアレイKAと、中解像度用ノズルアレイKBと、低解像度用ノズルアレイKCとを備える。シアン色のノズルアレイ群Cは、高解像度用ノズルアレイCAと、中解像度用ノズルアレイCBと、低解像度用ノズルアレイCCとを備える。マゼンタ色のノズルアレイ群Mは、高解像度用ノズルアレイMAと、中解像度用ノズルアレイMBと、低解像度用ノズルアレイMCとを備える。イエロー色のノズルアレイ群Yは、高解像度用ノズルアレイYAと、中解像度用ノズルアレイYBと、低解像度用ノズルアレイYCとを備える。
【0033】
各高解像度用ノズルアレイKA,CA,MA,YAは、小径のノズルが狭いノズルピッチで複数個配列されてなる。各中解像度用ノズルアレイKB,CB,MB,YBは、中径のノズルが中程度のノズルピッチで複数個配列されてなる。各低解像度用ノズルアレイKC,CC,MC,YCは、大径のノズルが広いノズルピッチで複数個配列されてなる。
【0034】
符号aはノズルアレイの左端側のノズルから右端側のノズルまでの長さである。符号bは隣接するノズルアレイ群間の離隔距離である。符号Hは前側のヘッドラインと後側のヘッドラインとの離隔距離、より具体的には同色ノズルアレイ群間距離である。
【0035】
各印刷ヘッドは、ノズルアレイの長さ分だけ主走査方向へずれて千鳥状に互い違いに配設されている。なお、図2では、前側のヘッドラインと後側のヘッドラインとを当接させた例を示したが、各ヘッドラインは必ずしも当接させる必要はない。色柄模様の再現性の面からは、各ヘッドラインを近接させることが望ましい。
【0036】
各印刷ヘッドを図2に示したように配置することで、各印刷ヘッドの取り替えに際して次のメリットが生ずる。各印刷ヘッド間が離隔配置されているので、作業が容易であると共に、各ヘッド間の配列誤差が伝搬されないので、不具合のある印刷ヘッドのみを交換して、精度良く再配置するだけで再開可能である。
【0037】
図3は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッドの詳細構成を示す図である。高解像度用ノズルアレイKA,CA,MA,YAは、小径のノズルが高解像度用のノズルピッチP1で一列に配設されている。中解像度用ノズルアレイKB,CB,MB,YBは、中径のノズルが中解像度用のノズルピッチP2で一列に配設されている。低解像度用ノズルアレイKC,CC,MC,YCは、大径のノズルが低解像度用のノズルピッチP3で一列に配設されている。
【0038】
このように、同一色のインクを噴射するノズルアレイを3列設け、各ノズルアレイ毎にノズルピッチとノズル径とを異ならしめておき、いずれかのノズルアレイを選択使用することで、印刷ドット(記録ドット)の大きさ及びドットピッチを変更することができ、これにより解像度を変更することができる。
【0039】
例えば、高解像度用ノズルアレイのノズルピッチP1を1/400インチ(1インチは約2.54cm)、中解像度用ノズルアレイのノズルピッチP2を1/200インチ、低解像度用ノズルアレイのノズルピッチP3を1/100インチとした場合、高解像度用ノズルアレイを用いて400dpi(ドット/インチ)、中解像度用ノズルアレイを用いて200dpi(ドット/インチ)、低解像度用ノズルアレイを用いて100dpi(ドット/インチ)の解像度の化粧印刷を行うことができる。
【0040】
各解像度用ノズルアレイは、両端のノズル位置を揃えており、その間を等分割した位置に残りのノズルが配置されるように各ノズルを所定ピッチP1,P2,P3で等間隔に配置している。各解像度用のノズルアレイは、副走査方向に所定間隔Lで配設されている。図2に示すように、前側ヘッドラインを構成する印刷ヘッドの端部ノズルの位置と後側ヘッドラインを構成する印刷ヘッドの端部ノズルの位置は、副走査方向において一致させている。これにより、何れの解像度であっても印刷有効幅の全範囲に亘ってノズルピッチを一定にしている。そして、図3に示すように、前側ヘッドラインの印刷ヘッドの端部ノズルを使用する場合には、後側ヘッドラインの印刷ヘッドの端部ノズルを使用しないようにしている。なお、前側ヘッドラインの印刷ヘッドの端部ノズルを使用しないで、後側ヘッドラインの印刷ヘッドの端部ノズルを使用してもよい。
【0041】
次に、個々のノズルの開閉制御と副走査方向の解像度の設定について説明する。まず、主走査方向に所定間隔で分散配置された各印刷ヘッドにおける各色ノズルアレイ群K,C,M,Yの中から、印刷すべき解像度に対応して、高解像度,中解像度,低解像度用の何れかのノズルアレイが使用ノズルアレイとして選択される。もちろん、主走査方向に配置された複数の印刷ヘッドに跨がって複数のノズルアレイが使用ノズルアレイとして選択される場合も当然にある。
【0042】
主走査方向の解像度についてはノズルの配設ピッチによって決定されるが、副走査方向の解像度については建築板の走行速度とノズルの開閉周波数(インクの噴射周期)とで決定される。ここで、建築板の走行速度をvとし、ノズルの開閉周波数をfとすると、副走査方向のドットピッチpは、p=v/fとなる。
【0043】
そして、主走査方向のノズルピッチ(ドットピッチ)Pと副走査方向のドットピッチpとを一致させるようにするには、次のようにノズル開閉周波数を設定する。ノズルピッチP1の高解像度用ノズルアレイを使用する場合のノズル開閉周波数f1は、f1=v/P1となる。ノズルピッチP2の中解像度用ノズルアレイを使用する場合のノズル開閉周波数f2は、f2=v/P2となる。ノズルピッチP3の低解像度用ノズルアレイを使用する場合のノズル開閉周波数f3は、f3=v/P3となる。
【0044】
すなわち、高解像度用ノズルアレイに対してはノズル開閉周波数f1で、中解像度用ノズルアレイに対してはノズル開閉周波数f2で、低解像度用ノズルアレイに対してはノズル開閉周波数f3で、ノズルからのインク噴射を制御すればよく、副走査方向の所定帯域における該当印刷領域に対して、選択されたノズルアレイによって、所望の解像度で記録ドットを形成することが可能となる。なお、インクを噴射するノズルがピエゾ素子を備えた圧電式インクジェットノズルである場合には、上記の開閉周波数f1,f2,f3でピエゾ素子を駆動することになる。
【0045】
図4は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷動作を説明する図である。図4(a)は副走査方向の印刷帯域と各印刷領域の解像度の一具体例を示している。図4(b)は副走査方向の印刷帯域(1)の印刷を行うための駆動パルス列を示している。図4(c)及び(e)は副走査方向の印刷帯域(2)の印刷を行うための駆動パルス列を示している。図4(d)は同期パルス列を示している。
【0046】
使用するノズル開閉周波数の最も大きい周波数f1と同じ周波数の噴射制御用同期パルスを発生させる。図4(d)に示した同期パルスに従って、印刷制御区間(Δ−Δ)において、所定のノズル開閉周波数で駆動パルスを供給し、各ノズル開閉を制御するピエゾ素子を駆動する。これが基本である。なお、同期パルス、駆動パルスの発生については、図示しないパルスジェネレータを制御して行う。
【0047】
ここで、注意しなければならないのは、図3に示したように、各解像度用ノズルアレイはそれぞれ間隔Lをもって配置されていることである。このため、図4に示すように、印刷制御区間(Δ−Δ)は、印刷元画像の印刷領域とは一致していない。すなわち、選択されたノズルアレイの動作期間は、印刷ヘッド直下を建築板が移動しているために、たとえ建築板における印刷開始位置が同一ライン上であったとしても、副走査方向印刷帯域の印刷開始時期は、選択されたノズルアレイ直下を、建築板の該当印刷帯域の先頭部分が到達した時点となる。
【0048】
具体的には、図4(a)に示す建築板における2つの副走査方向の印刷帯域(1)と(2)のそれぞれの印刷開始位置は同一ライン上にあるが、印刷帯域(1)は高解像度用ノズルアレイを使用し、印刷帯域(2)は中解像度用ノズルアレイを使用するため、印刷開始時期については印刷帯域(2)の方が中解像度用ノズルアレイの直下に先に到達することとなり、印刷帯域(1)を印刷する高解像度用ノズルアレイの印刷開始時期よりも中解像度用ノズルアレイの印刷開始時期の方を早くしなければならない。
【0049】
このことを考慮に入れて、各印刷帯域における該当印刷領域に対する印刷制御区間(Δ−Δ)を印刷制御パターンに組み込む。具体的に図4に示す例では、印刷帯域(2)の駆動パルス列については、印刷制御区間(Δ−Δ)のL/vの時間に相当する同期パルス数分だけシフトさせて、制御開始時期を早めることになる。すなわち、図4(c)に示した印刷帯域(2)の駆動パルス列は、同期パルスの2パルス分だけ図示の左方向にシフトされて、図4(e)に示す駆動パルス列がノズルアレイに実際に供給される駆動パルス列となる。
【0050】
図5及び図6は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンの作成方法を示す図である。図7は、本実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンの作成方法を説明するフローチャートである。これら図5〜図7を用いて、印刷制御パターンの作成についての考え方を説明する。
(ステップS1)図5(a)に示すように、1枚の建築板の印刷面を上方より眺めたときの投影平面を仮想印刷面にして、それを個々の印刷領域及び非印刷領域に区分する。
(ステップS2)図5(b)に示すように、各印刷領域に対して、高,中,低の何れの解像度で印刷するかを決める。
(ステップS3)図5(c)に示すように、各印刷領域に対して、決めた解像度で再現する画像を割り付ける。この結果、各印刷領域は、ドット密度の異なる画像が再現されるようになる。
(ステップS4)図6(d1)〜(d3)に示すように、各印刷領域に対して、解像度及び階調に応じて密度階調法に従い、再現しようとする画像の印刷を担当する前方側に配置された複数の印刷ヘッド(1・ni )と、後方側に配置された複数の印刷ヘッド(2・mj )と、それぞれの印刷ヘッドにおいて使用するノズル(1・ni ・x・rk )、(2・mj ・y・rk )とを決める。ただし、x,yはノズルアレイにおけるノズル番号であり、rk (k=A,B,C)は高解像度用(A),中解像度用(B),低解像度用(C)の何れかに該当するノズルアレイを示す。
(ステップS5)図6(e)に示すように、1枚の建築板の仮想印刷面上に、副走査方向に延びノズルピッチ間隔で主走査方向に並ぶ多数印刷ラインPL1〜PLzを仮想して、ステップS4で決めた使用ノズルを対応させ、ノズル動作点列を各印刷ライン上に形成する。
(ステップS6)図6(f)に示すように、各印刷ラインの印刷位置を、時間軸上における印刷期間(BL/v)に対応させ、ステップS5で決めた各印刷ライン上に並ぶノズル動作点を駆動パルス列に置き換える。さらに、前述したように、印刷制御区間(Δ−Δ)を調整するために、パルスシフトを行う。
(ステップS7)ステップS6で決めた各印刷ラインに対する時間軸上の印刷制御期間中の駆動パルス列を、各印刷ヘッドの各色ノズルアレイ毎に分解し、得られた駆動パルス列を、更に、図11〜図13に示した方法に従って、各色ノズルアレイ毎の動作時間情報を加えてデータ化する。このようにしてデータ化されたものが、本実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンとなる。
【0051】
なお、このデータ化にあたっては、各印刷ラインに対する時間軸上の印刷制御期間を同期パルスのカウント数によって特定するものとし、その間に発生させる周波数fの駆動パルス列は、該当ノズルアレイを指定することによって特定するものとする。
【0052】
図8は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の全体システム構成を示す図である。各印刷ヘッド毎にヘッド専用のコントローラ10とパターンメモリ(PM)11とノズル開閉制御用ピエゾ素子駆動回路(DC)12とを設け、各印刷ヘッド毎に個々に印刷制御動作を実行させる。各コントローラ10は、メインコントローラ13によって分散管理される。
【0053】
建築板に印刷すべき柄模様等の印刷データ(ノズル開閉制御パターンデータ)は、ノズル開閉制御パターン記録メモリ14に格納されている。メインコントローラ13は、ノズル開閉制御パターン記録メモリ14に格納されている印刷データ(ノズル開閉制御パターンデータ)を各印刷ヘッド毎に区分し、各コントローラ10を介して各パターンメモリ(PM)11へそれぞれ記録させる。
【0054】
なお、メインコントローラ13は、到来する1枚1枚の建築板に対して、異なる印刷パターンを用意しておき、どのパターンをどの順で使用するかを指示するようにしてもかまわない。これにより、建築板の1枚毎に異なる柄模様等を印刷することができる。
【0055】
メインコントローラ13には、印刷条件等の設定を行うための入力装置としてのキーボード15、及び、本建築板印刷装置の設定状態や動作状態等を表示するためのディスプレイ16が接続されている。
【0056】
印刷開始位置検出センサ17は、光電スイッチ等を用いて構成されており、建築板が所定位置に搬送されてきたことを検出する。印刷開始位置検出センサ17の検出出力は各コントローラ10へそれぞれ供給される。
【0057】
パルスエンコーダ18は、建築板を搬送するコンベア装置等に設けられており、建築板が所定の距離だけ搬送されるたびにパルス信号を出力する。パルスエンコーダ18から出力されたパルス信号は各コントローラ10へそれぞれ供給される。
【0058】
各コントローラ10は、印刷開始位置検出センサ17の検出出力を基準にしてパルスエンコーダ18からのパルス信号をカウントすることで、各ノズルアレイKA,KB,KC,CA,CB,CC,MA,MB,MC,YA,YB,YCからのインク噴射のタイミングを制御する。
【0059】
図9は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッド専用のコントローラの構成を示す図である。上記のインク噴射(印刷)動作を実行するために、各ヘッド専用のコントローラ10は、図9に示すような構成をとっている。すなわち、各色ノズルアレイ群K,C,M,Yに対してそれぞれ専用のノズル開閉制御用ピエゾ素子駆動回路(K−DC,C−DC,M−DC,Y−DC)12K,12C,12M,12Yを制御する各色用のコントロール部10K,10C,10M,10Yを設けている。また、パターンメモリ(PM)11は、色データ別に4分割されており、各色用コントロール部10K,10C,10M,10Yが直接アクセスできるようになっている。メインコントローラ13から事前に伝送される印刷(制御)パターンは、ヘッド管理部10Aによってパターンメモリ(PM)11に色データ別に記録される。
【0060】
ノズル詰まり検出手段19からの検出信号は、ヘッド管理部10Aに入力され、ノズル詰まり検出手段19によっていずれかのノズルアレイにノズルの詰りが検出された場合には、全ての色別コントロール部10K,10C,10M,10Yの制御を停止させるようにしている。
【0061】
個々の印刷ヘッドにおける個々の色別ノズルアレイ群K,C,M,Yからのインク噴射を固有のコントロール部10K,10C,10M,10Yによって制御することで、制御負担は極めて軽くなる。
【0062】
なお、インクタンクは図示していないが、各色ノズルアレイ群K,C,M,Yに接続するように印刷ヘッドに分離設置されており、適宜方法によってインクが補給されるようにしている。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施の形態では、ノズル径及びノズルピッチが異なる複数のノズルアレイを備えた印刷ヘッドを用いた構成について示したが、高解像度用印刷ヘッドと中解像度用印刷ヘッドと低解像度用印刷ヘッドとを副走査方向へ所定の間隔で配設し、印刷すべき画像の解像度に対応して使用する印刷ヘッドを選択するようにしてもよい。
【0064】
また、図3では使用しないノズルを端部に設ける構成を説明したが、この使用しないノズルは存在しないように構成してもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る建築板印刷装置は、ノズルアレイを選択使用することで印刷ドット(記録ドット)の大きさ及びピッチを変更することができる。これにより、建築板内の所定の領域毎に印刷の解像度を変更したり、建築板毎に印刷の解像度を変更したりすることができる。したがって、同一柄模様を有する意匠面の建築板に対して、同一画像を再現しながらも、解像度の異なる違った感じの意匠外観を呈する建築板を、ロット毎に又は建築板毎に製造することが可能である。また、異なる画像を解像度を変えて、建築板の意匠面上に再現させることにより、独特な表現を呈する建築板を、ロット毎に又は建築板毎に製造することが可能である。
【0066】
本発明に係る建築板は、1枚の建築板内の所定の領域毎に印刷の解像度を変えることができ、また個々の建築板間において解像度を変えることができるので、独創性に富む様々な意匠外観を呈することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による建築板の具体例を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッドの配置を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッドの詳細構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷動作を説明する図である。
【図5】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンの作成方法を示す図(その1)である。
【図6】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンの作成方法を示す図(その2)である。
【図7】本実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンの作成方法を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の全体システム構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッド専用のコントローラの構成を示す図である。
【図10】既提案の建築板印刷装置の印刷ヘッドの配置を示す図である。
【図11】既提案の建築板印刷装置の各印刷ヘッドの動作タイミングを示す図である。
【図12】既提案の建築板印刷装置の1印刷管理幅の印刷動作を模式的に示す図である。
【図13】既提案の建築板印刷装置の建築板全体の印刷動作を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1,2 ヘッドライン
(1・1)〜(1・n),(2・1)〜(2・n−1) 印刷ヘッド
10 コントローラ
10A ヘッド管理部
10K,10C,10M,10Y コントロール部
11 パターンメモリ(PM)
12 ノズル開閉制御用ピエゾ素子駆動回路(DC)
13 メインコントローラ
14 ノズル開閉制御パターン記録メモリ
15 キーボード
16 ディスプレイ
17 印刷開始位置検出センサ
18 パルスエンコーダ
19 ノズル詰り検出手段
A 高解像度の印刷領域
B 中解像度の印刷領域
C 低解像度の印刷領域
K,C,M,Y ノズルアレイ群
KA,CA,MA,YA 高解像度用ノズルアレイ
KB,CB,MB,YB 中解像度用ノズルアレイ
KC,CC,MC,YC 低解像度用ノズルアレイ
【発明の属する技術分野】
本発明は建築板印刷装置に係り、詳しくは、インクジェット技術を利用することで印刷のための版を不要にし、小ロット多品種生産に対応できるようにした建築板印刷装置、及び、インクジェット技術によって化粧印刷が施された建築板に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は特願2002−132182号で、4列のノズルアレイを備え4色のインクを噴射できるようにした印刷ヘッドを主走査方向(建築板の進行方向と直交する方向)に千鳥状に互い違いに配置することで、建築板を搬送させながらカラー印刷を行えるようにした建築板印刷装置を提案している。
【0003】
図10は、既提案の建築板印刷装置の印刷ヘッドの配置を示す図である。既提案の建築板印刷装置は、主走査方向に2本のヘッドラインを備える。前方側のヘッドラインはn個の印刷ヘッド(1・1),(1・2)〜(1・n)を備える。後方側のヘッドラインはn−1個の印刷ヘッド(2・1),(2・2)〜(2・n−1)を備える。各印刷ヘッドは、クロ色インクを噴射するノズルアレイKと、シアン色のインクを噴射するノズルアレイCと、マゼンタ色のインクを噴射するノズルアレイMと、イエロー色のインクを噴射するノズルアレイYとを備える。
【0004】
各ノズルアレイK,C,M,Yは、それぞれN個のノズルを所定のノズルピッチpで主走査方向に一列に配設してなる。符号aはノズルアレイの左端側のノズルから右端側のノズルまでの長さである。ここで、長さa=ノズルピッチp×(ノズル個数N−1)の関係となる。符号bは隣接するノズルアレイ間の離隔距離である。符号Lは第1のヘッドラインと第2のヘッドラインとの離隔距離、より具体的には同色ノズルアレイ間距離である。各印刷ヘッドは、ノズルアレイの長さ分だけ主走査方向へずらして千鳥状に互い違いに配設されている。
【0005】
各印刷ヘッドを「(ヘッドグループ番号・ヘッド番号)」で示す。進みヘッドグループ1(先に印刷を開始するヘッドグループ)を(1・1)〜(1・n)として識別管理する。また、遅れヘッドグループ2(所定時間遅れて印刷を開始するヘッドグループ)を(2・1)〜(2・n−1)として識別管理する。
【0006】
1ノズルアレイの幅をa、ノズルピッチをp、1ノズルアレイにおけるノズル個数をNとする。このとき、a=(N−1)×pとなる。
【0007】
建築板の印刷有効幅(意匠面の短手方向長さに該当する)をBWとしたとき、BW=(2n−1)×aであるから、n=(BW+a)/2aとなる。
【0008】
図11は、既提案の建築板印刷装置の各印刷ヘッドの動作タイミングを示す図である。印刷開始から印刷終了までの各印刷ヘッドが担当する印刷管理領域(建築板の進行方向すなわち長手方向における印刷帯幅のこと)を、所定管理時間Δt毎に区分したものを1印刷制御単位とし、印刷開始から印刷終了までの各印刷制御単位を番号付けして識別管理する。すなわち、ヘッド(1・1)については、(1・1・1)〜(1・1・m)、ヘッド(2・1)については(2・1・1)〜(2・1・m)とする。
【0009】
そして、各印刷制御単位について、該当する印刷パターンを割り当て、インク噴射動作を1〜m単位まで連続して実行させるものとしている。管理時間Δtは、各色ノズルアレイ相互間距離b(図10参照)と、建築板の走行速度vとによって決定される。すなわち、Δt=4b/vとなる。遅れヘッドグループ2の動作開始タイミングは、進みヘッドグループ1がその動作を開始してから所定時間[Δt+Δtd]を経過した後である。遅延時間Δtdは、Δtd=(L−4b)/vである。Lは同色ヘッド間距離である(図10参照)。mは、建築板の長手方向長さ(印刷有効長さに相当する)をBLとしたとき、m=BL/(v×Δt)となる。
【0010】
主走査方向の画像解像度は、ノズルピッチpによって決定される。副走査方向(主走査方向に直交する方向、すなわち、建築板の進行方向)の画像解像度については、ノズルピッチpと一致させる場合には、ノズル開閉周波数をfとすれば、v=p×fの関係になるように各値を設定すれば良い。例えば、p=0.04mm、f=10000/sとすれば、v=0.04mm×10000/s=400mm/s=24m/minとなり、ライン速度24m/分が実現できる。なお、色柄模様の発色方法については、密度制御法によるものとしている。
【0011】
図12は、既提案の建築板印刷装置の1印刷管理幅の印刷動作を模式的に示す図である。図12では、建築板の1つの印刷管理幅について、その印刷動作を示している。建築板は左方向へ進行するものとする。時刻t0でKヘッド(ノズルアレイK)によるK(クロ)印刷を開始する。時間Δt/4を経過した時(時刻t1)で、Cヘッド(ノズルアレイC)によるC(シアン)印刷を開始する。更に時間Δt/4を経過した時(時刻t2)で、Mヘッド(ノズルアレイM)によるM(マゼンタ)印刷を開始する。更に時間Δt/4を経過した時(時刻t3)で、Yヘッド(ノズルアレイY)によるY(イエロー)印刷を開始する。
【0012】
時間Δtの間に、建築板はv×Δtだけ進み、最初の印刷領域(1)、すなわち、a×aの印刷領域が、KCMYの4色カラードットで印刷され、フルカラー印刷が実現される。
【0013】
また、時刻t1においては、次順の印刷領域(2)の先端部がKヘッド(ノズルアレイK)直下に到達しており、連続してKヘッド(ノズルアレイK)による印刷領域(2)のK(クロ)印刷が開始される。同様な印刷動作が、建築板の進行に伴って連続して実行されていく。このようにして、幅aの印刷管理幅について、その全面がフルカラーに印刷される。
【0014】
図13は、既提案の建築板印刷装置の建築板全体の印刷動作を模式的に示す図である。並設された各ヘッドについて、同様な印刷動作が実行されていくことにより、建築板の全面がフルカラーに印刷される。最初に、進みヘッドグループ1の各印刷ヘッド(1・1)〜(1・n)を同時に動作開始させる。引き続き、Δtd時間後に、遅れヘッドグループ2の各印刷ヘッド(2・1)〜(2・n−1)を同時に動作開始させる。各印刷ヘッドにおける各色ノズルアレイは、印刷動作を開始してからΔt×m時間経過するまで、連続して自らの印刷動作を実行する。
【0015】
上述したように既提案の建築板印刷装置は、建築板(図示しない)を一定速度で搬送させながら各ノズルアレイからのインク滴の噴射を制御することで、建築板の意匠面にインクジェット方式によるカラー印刷を施すことができる。1個のノズルから噴射される1滴のインクが1画点(ドット)となり、1画素を複数のドットで形成することにより階調表現を行わせることができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
既提案の建築板印刷装置は、ノズルアレイのノズルピッチに対応した解像度の画像(模様や柄等)を印刷することができる。1画点(ドット)のドットの大きさも一定である。このため、建築板意匠面の解像度(ドットの大きさ及びドットのピッチ)が同じとなり単調な意匠外観を呈するものであった。
【0017】
本発明はこのような課題を解決するためなされたもので、複数の解像度(ドットの大きさ及びドットのピッチ)を選択してインクジェット印刷を行うことのできる建築板印刷装置、及び、解像度を変えることで独特な意匠外観を呈する建築板を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明に係る建築板印刷装置は、第1のノズル径の複数のインクジェットノズルが第1のノズルピッチで主走査方向(建築板の進行方向と直交する方向)に配設されている第1のノズルアレイと、第1と異なる第2のノズル径の複数のインクジェットノズルが第1と異なる第2のノズルピッチで主走査方向に配設されている第2のノズルアレイとが同一色について配設され、さらに、それらが複数の色分配設されている。
【0019】
また、前記第1及び第2のノズルアレイが複数の色分配設されている印刷ヘッドが、主走査方向に対して千鳥状に互い違いに配設されていることで、印刷ヘッドの設置面積を低減できるとともに、印刷ヘッドの交換や修理・点検作業が容易になる。
【0020】
また、隣接する2つの印刷ヘッドの内の一方の印刷ヘッドの一端のインクジェットノズルと他方の印刷ヘッドの他端のインクジェットノズルとが副走査方向(主走査方向に直交する方向、すなわち、建築板の進行方向)の共通印刷ライン上に配置されていることで、隣接する印刷ヘッド間で各ノズルアレイのノズルピッチに連続性を持たせることができる。
【0021】
また、本発明の建築板は、意匠面に、第1の印刷ドットの大きさ及び第1の印刷ドットのピッチでインクジェット印刷されている第1の領域と、第1と異なる第2の印刷ドットの大きさ及び第1と異なる第2の印刷ドットのピッチでインクジェット印刷されている第2の領域とを備える。
【0022】
また、各建築板を単位として前記第1及び第2の領域を備えることで、意匠に建築板単位の多様性を持たせることができる。
【0023】
また、意匠面の各島状凸部を単位として前記第1及び第2の領域を備えることで、意匠に島状凸部単位の多様性を持たせることができる。
【0024】
また、意匠面の1つの島状凸部の中に前記第1及び第2の領域を備えることで、意匠面に島状凸部とは別の多様性を持たせることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態による建築板の具体例を示す模式図である。図1(a)に示す建築板は、格子状に形成された溝(凹部)によって区画された複数の島状凸部を有し、これら複数の凸部にインクジェット方式によって解像度(ドットの大きさ及びドットピッチ)が異なる化粧印刷を施したものである。本実施の形態においては、建築板の意匠面に、高解像度の印刷領域A、中解像度の印刷領域B、及び低解像度の印刷領域Cを備える。
【0027】
各凸部領域に同一画像(模様や柄等)を印刷する場合でも、各凸部領域毎に化粧印刷の解像度を変えることで、単調感を解消させたり、独特な趣のある意匠外観を発現させたりすることができる。また、各凸部領域毎に異なる画像(模様や柄等)を印刷する場合でも、画像の内容等に応じて解像度を異ならしめることで、例えば繊細な感じを強調させたり力強い感じを強調させたりすることができる。これにより多様な意匠外観を発現させることができる。なお、図1(a)では各凸部領域毎に解像度を異ならしめる例を示したが、1つの凸部領域内で解像度を変更するようにしてもよい。
【0028】
図1(b)に示す建築板は、意匠面の所定領域毎に化粧印刷の解像度を変更したものである。本実施の形態においても、建築板の意匠面に、高解像度の印刷領域A、中解像度の印刷領域B、及び低解像度の印刷領域Cを備えるが、各領域には、複数の凹凸部が含まれていてもよい。1枚の建築板内で所定領域毎に解像度を変更することで、独創性に富む意匠外観を発現させることができる。
【0029】
図1(c1)〜(c3)は、各建築板毎に解像度を変更した例を示す図である。同一画像を再現する場合でも、建築板毎に解像度を変更することで、各建築板毎に趣の異なった意匠外観を発現させることができる。
【0030】
図2は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッドの配置を示す図である。本実施の形態による建築板印刷装置は、主走査方向の2本のヘッドラインを備える。前側のヘッドラインはn個の印刷ヘッド(1・1),(1・2)〜(1・n)を備える。後側のヘッドラインはn−1個の印刷ヘッド(2・1),(2・2)〜(2・n−1)を備える。各印刷ヘッドを「(ヘッドグループ番号・ヘッド番号)」で示している。
【0031】
各印刷ヘッドは、クロ色のインクを噴射するノズルアレイ群Kと、シアン色のインクを噴射するノズルアレイ群Cと、マゼンタ色のインクを噴射するノズルアレイ群Mと、イエロー色のインクを噴射するノズルアレイ群Yとを備える。
【0032】
クロ色のノズルアレイ群Kは、高解像度用ノズルアレイKAと、中解像度用ノズルアレイKBと、低解像度用ノズルアレイKCとを備える。シアン色のノズルアレイ群Cは、高解像度用ノズルアレイCAと、中解像度用ノズルアレイCBと、低解像度用ノズルアレイCCとを備える。マゼンタ色のノズルアレイ群Mは、高解像度用ノズルアレイMAと、中解像度用ノズルアレイMBと、低解像度用ノズルアレイMCとを備える。イエロー色のノズルアレイ群Yは、高解像度用ノズルアレイYAと、中解像度用ノズルアレイYBと、低解像度用ノズルアレイYCとを備える。
【0033】
各高解像度用ノズルアレイKA,CA,MA,YAは、小径のノズルが狭いノズルピッチで複数個配列されてなる。各中解像度用ノズルアレイKB,CB,MB,YBは、中径のノズルが中程度のノズルピッチで複数個配列されてなる。各低解像度用ノズルアレイKC,CC,MC,YCは、大径のノズルが広いノズルピッチで複数個配列されてなる。
【0034】
符号aはノズルアレイの左端側のノズルから右端側のノズルまでの長さである。符号bは隣接するノズルアレイ群間の離隔距離である。符号Hは前側のヘッドラインと後側のヘッドラインとの離隔距離、より具体的には同色ノズルアレイ群間距離である。
【0035】
各印刷ヘッドは、ノズルアレイの長さ分だけ主走査方向へずれて千鳥状に互い違いに配設されている。なお、図2では、前側のヘッドラインと後側のヘッドラインとを当接させた例を示したが、各ヘッドラインは必ずしも当接させる必要はない。色柄模様の再現性の面からは、各ヘッドラインを近接させることが望ましい。
【0036】
各印刷ヘッドを図2に示したように配置することで、各印刷ヘッドの取り替えに際して次のメリットが生ずる。各印刷ヘッド間が離隔配置されているので、作業が容易であると共に、各ヘッド間の配列誤差が伝搬されないので、不具合のある印刷ヘッドのみを交換して、精度良く再配置するだけで再開可能である。
【0037】
図3は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッドの詳細構成を示す図である。高解像度用ノズルアレイKA,CA,MA,YAは、小径のノズルが高解像度用のノズルピッチP1で一列に配設されている。中解像度用ノズルアレイKB,CB,MB,YBは、中径のノズルが中解像度用のノズルピッチP2で一列に配設されている。低解像度用ノズルアレイKC,CC,MC,YCは、大径のノズルが低解像度用のノズルピッチP3で一列に配設されている。
【0038】
このように、同一色のインクを噴射するノズルアレイを3列設け、各ノズルアレイ毎にノズルピッチとノズル径とを異ならしめておき、いずれかのノズルアレイを選択使用することで、印刷ドット(記録ドット)の大きさ及びドットピッチを変更することができ、これにより解像度を変更することができる。
【0039】
例えば、高解像度用ノズルアレイのノズルピッチP1を1/400インチ(1インチは約2.54cm)、中解像度用ノズルアレイのノズルピッチP2を1/200インチ、低解像度用ノズルアレイのノズルピッチP3を1/100インチとした場合、高解像度用ノズルアレイを用いて400dpi(ドット/インチ)、中解像度用ノズルアレイを用いて200dpi(ドット/インチ)、低解像度用ノズルアレイを用いて100dpi(ドット/インチ)の解像度の化粧印刷を行うことができる。
【0040】
各解像度用ノズルアレイは、両端のノズル位置を揃えており、その間を等分割した位置に残りのノズルが配置されるように各ノズルを所定ピッチP1,P2,P3で等間隔に配置している。各解像度用のノズルアレイは、副走査方向に所定間隔Lで配設されている。図2に示すように、前側ヘッドラインを構成する印刷ヘッドの端部ノズルの位置と後側ヘッドラインを構成する印刷ヘッドの端部ノズルの位置は、副走査方向において一致させている。これにより、何れの解像度であっても印刷有効幅の全範囲に亘ってノズルピッチを一定にしている。そして、図3に示すように、前側ヘッドラインの印刷ヘッドの端部ノズルを使用する場合には、後側ヘッドラインの印刷ヘッドの端部ノズルを使用しないようにしている。なお、前側ヘッドラインの印刷ヘッドの端部ノズルを使用しないで、後側ヘッドラインの印刷ヘッドの端部ノズルを使用してもよい。
【0041】
次に、個々のノズルの開閉制御と副走査方向の解像度の設定について説明する。まず、主走査方向に所定間隔で分散配置された各印刷ヘッドにおける各色ノズルアレイ群K,C,M,Yの中から、印刷すべき解像度に対応して、高解像度,中解像度,低解像度用の何れかのノズルアレイが使用ノズルアレイとして選択される。もちろん、主走査方向に配置された複数の印刷ヘッドに跨がって複数のノズルアレイが使用ノズルアレイとして選択される場合も当然にある。
【0042】
主走査方向の解像度についてはノズルの配設ピッチによって決定されるが、副走査方向の解像度については建築板の走行速度とノズルの開閉周波数(インクの噴射周期)とで決定される。ここで、建築板の走行速度をvとし、ノズルの開閉周波数をfとすると、副走査方向のドットピッチpは、p=v/fとなる。
【0043】
そして、主走査方向のノズルピッチ(ドットピッチ)Pと副走査方向のドットピッチpとを一致させるようにするには、次のようにノズル開閉周波数を設定する。ノズルピッチP1の高解像度用ノズルアレイを使用する場合のノズル開閉周波数f1は、f1=v/P1となる。ノズルピッチP2の中解像度用ノズルアレイを使用する場合のノズル開閉周波数f2は、f2=v/P2となる。ノズルピッチP3の低解像度用ノズルアレイを使用する場合のノズル開閉周波数f3は、f3=v/P3となる。
【0044】
すなわち、高解像度用ノズルアレイに対してはノズル開閉周波数f1で、中解像度用ノズルアレイに対してはノズル開閉周波数f2で、低解像度用ノズルアレイに対してはノズル開閉周波数f3で、ノズルからのインク噴射を制御すればよく、副走査方向の所定帯域における該当印刷領域に対して、選択されたノズルアレイによって、所望の解像度で記録ドットを形成することが可能となる。なお、インクを噴射するノズルがピエゾ素子を備えた圧電式インクジェットノズルである場合には、上記の開閉周波数f1,f2,f3でピエゾ素子を駆動することになる。
【0045】
図4は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷動作を説明する図である。図4(a)は副走査方向の印刷帯域と各印刷領域の解像度の一具体例を示している。図4(b)は副走査方向の印刷帯域(1)の印刷を行うための駆動パルス列を示している。図4(c)及び(e)は副走査方向の印刷帯域(2)の印刷を行うための駆動パルス列を示している。図4(d)は同期パルス列を示している。
【0046】
使用するノズル開閉周波数の最も大きい周波数f1と同じ周波数の噴射制御用同期パルスを発生させる。図4(d)に示した同期パルスに従って、印刷制御区間(Δ−Δ)において、所定のノズル開閉周波数で駆動パルスを供給し、各ノズル開閉を制御するピエゾ素子を駆動する。これが基本である。なお、同期パルス、駆動パルスの発生については、図示しないパルスジェネレータを制御して行う。
【0047】
ここで、注意しなければならないのは、図3に示したように、各解像度用ノズルアレイはそれぞれ間隔Lをもって配置されていることである。このため、図4に示すように、印刷制御区間(Δ−Δ)は、印刷元画像の印刷領域とは一致していない。すなわち、選択されたノズルアレイの動作期間は、印刷ヘッド直下を建築板が移動しているために、たとえ建築板における印刷開始位置が同一ライン上であったとしても、副走査方向印刷帯域の印刷開始時期は、選択されたノズルアレイ直下を、建築板の該当印刷帯域の先頭部分が到達した時点となる。
【0048】
具体的には、図4(a)に示す建築板における2つの副走査方向の印刷帯域(1)と(2)のそれぞれの印刷開始位置は同一ライン上にあるが、印刷帯域(1)は高解像度用ノズルアレイを使用し、印刷帯域(2)は中解像度用ノズルアレイを使用するため、印刷開始時期については印刷帯域(2)の方が中解像度用ノズルアレイの直下に先に到達することとなり、印刷帯域(1)を印刷する高解像度用ノズルアレイの印刷開始時期よりも中解像度用ノズルアレイの印刷開始時期の方を早くしなければならない。
【0049】
このことを考慮に入れて、各印刷帯域における該当印刷領域に対する印刷制御区間(Δ−Δ)を印刷制御パターンに組み込む。具体的に図4に示す例では、印刷帯域(2)の駆動パルス列については、印刷制御区間(Δ−Δ)のL/vの時間に相当する同期パルス数分だけシフトさせて、制御開始時期を早めることになる。すなわち、図4(c)に示した印刷帯域(2)の駆動パルス列は、同期パルスの2パルス分だけ図示の左方向にシフトされて、図4(e)に示す駆動パルス列がノズルアレイに実際に供給される駆動パルス列となる。
【0050】
図5及び図6は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンの作成方法を示す図である。図7は、本実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンの作成方法を説明するフローチャートである。これら図5〜図7を用いて、印刷制御パターンの作成についての考え方を説明する。
(ステップS1)図5(a)に示すように、1枚の建築板の印刷面を上方より眺めたときの投影平面を仮想印刷面にして、それを個々の印刷領域及び非印刷領域に区分する。
(ステップS2)図5(b)に示すように、各印刷領域に対して、高,中,低の何れの解像度で印刷するかを決める。
(ステップS3)図5(c)に示すように、各印刷領域に対して、決めた解像度で再現する画像を割り付ける。この結果、各印刷領域は、ドット密度の異なる画像が再現されるようになる。
(ステップS4)図6(d1)〜(d3)に示すように、各印刷領域に対して、解像度及び階調に応じて密度階調法に従い、再現しようとする画像の印刷を担当する前方側に配置された複数の印刷ヘッド(1・ni )と、後方側に配置された複数の印刷ヘッド(2・mj )と、それぞれの印刷ヘッドにおいて使用するノズル(1・ni ・x・rk )、(2・mj ・y・rk )とを決める。ただし、x,yはノズルアレイにおけるノズル番号であり、rk (k=A,B,C)は高解像度用(A),中解像度用(B),低解像度用(C)の何れかに該当するノズルアレイを示す。
(ステップS5)図6(e)に示すように、1枚の建築板の仮想印刷面上に、副走査方向に延びノズルピッチ間隔で主走査方向に並ぶ多数印刷ラインPL1〜PLzを仮想して、ステップS4で決めた使用ノズルを対応させ、ノズル動作点列を各印刷ライン上に形成する。
(ステップS6)図6(f)に示すように、各印刷ラインの印刷位置を、時間軸上における印刷期間(BL/v)に対応させ、ステップS5で決めた各印刷ライン上に並ぶノズル動作点を駆動パルス列に置き換える。さらに、前述したように、印刷制御区間(Δ−Δ)を調整するために、パルスシフトを行う。
(ステップS7)ステップS6で決めた各印刷ラインに対する時間軸上の印刷制御期間中の駆動パルス列を、各印刷ヘッドの各色ノズルアレイ毎に分解し、得られた駆動パルス列を、更に、図11〜図13に示した方法に従って、各色ノズルアレイ毎の動作時間情報を加えてデータ化する。このようにしてデータ化されたものが、本実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンとなる。
【0051】
なお、このデータ化にあたっては、各印刷ラインに対する時間軸上の印刷制御期間を同期パルスのカウント数によって特定するものとし、その間に発生させる周波数fの駆動パルス列は、該当ノズルアレイを指定することによって特定するものとする。
【0052】
図8は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の全体システム構成を示す図である。各印刷ヘッド毎にヘッド専用のコントローラ10とパターンメモリ(PM)11とノズル開閉制御用ピエゾ素子駆動回路(DC)12とを設け、各印刷ヘッド毎に個々に印刷制御動作を実行させる。各コントローラ10は、メインコントローラ13によって分散管理される。
【0053】
建築板に印刷すべき柄模様等の印刷データ(ノズル開閉制御パターンデータ)は、ノズル開閉制御パターン記録メモリ14に格納されている。メインコントローラ13は、ノズル開閉制御パターン記録メモリ14に格納されている印刷データ(ノズル開閉制御パターンデータ)を各印刷ヘッド毎に区分し、各コントローラ10を介して各パターンメモリ(PM)11へそれぞれ記録させる。
【0054】
なお、メインコントローラ13は、到来する1枚1枚の建築板に対して、異なる印刷パターンを用意しておき、どのパターンをどの順で使用するかを指示するようにしてもかまわない。これにより、建築板の1枚毎に異なる柄模様等を印刷することができる。
【0055】
メインコントローラ13には、印刷条件等の設定を行うための入力装置としてのキーボード15、及び、本建築板印刷装置の設定状態や動作状態等を表示するためのディスプレイ16が接続されている。
【0056】
印刷開始位置検出センサ17は、光電スイッチ等を用いて構成されており、建築板が所定位置に搬送されてきたことを検出する。印刷開始位置検出センサ17の検出出力は各コントローラ10へそれぞれ供給される。
【0057】
パルスエンコーダ18は、建築板を搬送するコンベア装置等に設けられており、建築板が所定の距離だけ搬送されるたびにパルス信号を出力する。パルスエンコーダ18から出力されたパルス信号は各コントローラ10へそれぞれ供給される。
【0058】
各コントローラ10は、印刷開始位置検出センサ17の検出出力を基準にしてパルスエンコーダ18からのパルス信号をカウントすることで、各ノズルアレイKA,KB,KC,CA,CB,CC,MA,MB,MC,YA,YB,YCからのインク噴射のタイミングを制御する。
【0059】
図9は、本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッド専用のコントローラの構成を示す図である。上記のインク噴射(印刷)動作を実行するために、各ヘッド専用のコントローラ10は、図9に示すような構成をとっている。すなわち、各色ノズルアレイ群K,C,M,Yに対してそれぞれ専用のノズル開閉制御用ピエゾ素子駆動回路(K−DC,C−DC,M−DC,Y−DC)12K,12C,12M,12Yを制御する各色用のコントロール部10K,10C,10M,10Yを設けている。また、パターンメモリ(PM)11は、色データ別に4分割されており、各色用コントロール部10K,10C,10M,10Yが直接アクセスできるようになっている。メインコントローラ13から事前に伝送される印刷(制御)パターンは、ヘッド管理部10Aによってパターンメモリ(PM)11に色データ別に記録される。
【0060】
ノズル詰まり検出手段19からの検出信号は、ヘッド管理部10Aに入力され、ノズル詰まり検出手段19によっていずれかのノズルアレイにノズルの詰りが検出された場合には、全ての色別コントロール部10K,10C,10M,10Yの制御を停止させるようにしている。
【0061】
個々の印刷ヘッドにおける個々の色別ノズルアレイ群K,C,M,Yからのインク噴射を固有のコントロール部10K,10C,10M,10Yによって制御することで、制御負担は極めて軽くなる。
【0062】
なお、インクタンクは図示していないが、各色ノズルアレイ群K,C,M,Yに接続するように印刷ヘッドに分離設置されており、適宜方法によってインクが補給されるようにしている。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施の形態では、ノズル径及びノズルピッチが異なる複数のノズルアレイを備えた印刷ヘッドを用いた構成について示したが、高解像度用印刷ヘッドと中解像度用印刷ヘッドと低解像度用印刷ヘッドとを副走査方向へ所定の間隔で配設し、印刷すべき画像の解像度に対応して使用する印刷ヘッドを選択するようにしてもよい。
【0064】
また、図3では使用しないノズルを端部に設ける構成を説明したが、この使用しないノズルは存在しないように構成してもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る建築板印刷装置は、ノズルアレイを選択使用することで印刷ドット(記録ドット)の大きさ及びピッチを変更することができる。これにより、建築板内の所定の領域毎に印刷の解像度を変更したり、建築板毎に印刷の解像度を変更したりすることができる。したがって、同一柄模様を有する意匠面の建築板に対して、同一画像を再現しながらも、解像度の異なる違った感じの意匠外観を呈する建築板を、ロット毎に又は建築板毎に製造することが可能である。また、異なる画像を解像度を変えて、建築板の意匠面上に再現させることにより、独特な表現を呈する建築板を、ロット毎に又は建築板毎に製造することが可能である。
【0066】
本発明に係る建築板は、1枚の建築板内の所定の領域毎に印刷の解像度を変えることができ、また個々の建築板間において解像度を変えることができるので、独創性に富む様々な意匠外観を呈することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による建築板の具体例を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッドの配置を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッドの詳細構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷動作を説明する図である。
【図5】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンの作成方法を示す図(その1)である。
【図6】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンの作成方法を示す図(その2)である。
【図7】本実施の形態による建築板印刷装置の印刷制御パターンの作成方法を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の全体システム構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態による建築板印刷装置の印刷ヘッド専用のコントローラの構成を示す図である。
【図10】既提案の建築板印刷装置の印刷ヘッドの配置を示す図である。
【図11】既提案の建築板印刷装置の各印刷ヘッドの動作タイミングを示す図である。
【図12】既提案の建築板印刷装置の1印刷管理幅の印刷動作を模式的に示す図である。
【図13】既提案の建築板印刷装置の建築板全体の印刷動作を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1,2 ヘッドライン
(1・1)〜(1・n),(2・1)〜(2・n−1) 印刷ヘッド
10 コントローラ
10A ヘッド管理部
10K,10C,10M,10Y コントロール部
11 パターンメモリ(PM)
12 ノズル開閉制御用ピエゾ素子駆動回路(DC)
13 メインコントローラ
14 ノズル開閉制御パターン記録メモリ
15 キーボード
16 ディスプレイ
17 印刷開始位置検出センサ
18 パルスエンコーダ
19 ノズル詰り検出手段
A 高解像度の印刷領域
B 中解像度の印刷領域
C 低解像度の印刷領域
K,C,M,Y ノズルアレイ群
KA,CA,MA,YA 高解像度用ノズルアレイ
KB,CB,MB,YB 中解像度用ノズルアレイ
KC,CC,MC,YC 低解像度用ノズルアレイ
Claims (7)
- 第1のノズル径の複数のインクジェットノズルが第1のノズルピッチで主走査方向(建築板の進行方向と直交する方向)に配設されている第1のノズルアレイと、第1と異なる第2のノズル径の複数のインクジェットノズルが第1と異なる第2のノズルピッチで主走査方向に配設されている第2のノズルアレイとが同一色について配設され、さらに、それらが複数の色分配設されていることを特徴とする建築板印刷装置。
- 前記第1及び第2のノズルアレイが複数の色分配設されている印刷ヘッドが、主走査方向に対して千鳥状に互い違いに配設されていることを特徴とする請求項1記載の建築板印刷装置。
- 隣接する2つの印刷ヘッドの内の一方の印刷ヘッドの一端のインクジェットノズルと他方の印刷ヘッドの他端のインクジェットノズルとが副走査方向(主走査方向に直交する方向、すなわち、建築板の進行方向)の共通印刷ライン上に配置されていることを特徴とする請求項2記載の建築板印刷装置。
- 意匠面に、
第1の印刷ドットの大きさ及び第1の印刷ドットのピッチでインクジェット印刷されている第1の領域と、
第1と異なる第2の印刷ドットの大きさ及び第1と異なる第2の印刷ドットのピッチでインクジェット印刷されている第2の領域と
を備えることを特徴とする建築板。 - 各建築板を単位として前記第1及び第2の領域を備えることを特徴とする請求項4記載の複数の建築板。
- 意匠面の各島状凸部を単位として前記第1及び第2の領域を備えることを特徴とする請求項4記載の建築板。
- 意匠面の1つの島状凸部の中に前記第1及び第2の領域を備えることを特徴とする請求項4記載の建築板。
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