以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1はインクジェット記録装置の要部外観を示す斜視図である。このインクジェット記録装置は、長尺な基板11の一面側に1対のヘッドユニット12a,12bを長手方向に所定の間隔を隔てて配置するとともに他面側に1対のヘッドユニット12c,12dを前記ヘッドユニット12a,12bとは端の一部が重なるようにして配置している。そして、前記ヘッドユニット12a,12c,12b,12dによって1つのインクジェット式ラインヘッド13を形成している。
また、長尺な基板14の一面側に1対のヘッドユニット15a,15bを長手方向に所定の間隔を隔てて配置するとともに他面側に1対のヘッドユニット15c,15dを前記ヘッドユニット15a,15bとは端の一部が重なるようにして配置している。そして、前記ヘッドユニット15a,15c,15b,15dによって1つのインクジェット式ラインヘッド16を形成している。
前記各インクジェット式ラインヘッド13、16は、搬送ローラ17,18間に搬送ベルト19を架け渡した記録媒体20の搬送路上に、インク吐出ノズルが搬送ベルト19の移動方向と直交する、すなわち、図中X方向に並ぶようにして配置している。
前記インクジェット式ラインヘッド13は、各ヘッドユニット12a,12c,12b,12dのインク吐出ノズルがX方向に印刷ピッチPの2倍のピッチで並ぶように基板11に配置され、前記インクジェット式ラインヘッド16は、各ヘッドユニット15a,15c,15b,15dのインク吐出ノズルがX方向に印刷ピッチPの2倍のピッチで並ぶように基板14に配置されている。
そして、前記インクジェット式ラインヘッド13とインクジェット式ラインヘッド16とは記録媒体20の搬送方向である図中Y方向に所定の間隔を隔てるとともに、互いのX方向におけるインク吐出ノズルの間隔が印刷ピッチPとなるようにずらして配置している。すなわち、前記インクジェット式ラインヘッド13が印刷しないドット列を前記インクジェット式ラインヘッド16が補間して印刷することでX方向にピッチPで印刷するようになっている。
このインクジェット記録装置は低解像度の印刷モードと高解像度の印刷モードの2つの印刷モードを有し、前記インクジェット式ラインヘッド13、16は、低解像度ではY方向に印刷ピッチPで印刷を行い、高解像度ではY方向に印刷ピッチP/2で印刷を行うようになっている。前記記録媒体20は搬送ベルト19に密着して搬送するが、この密着方法としては、静電気や空気流により吸着して密着させる方法、記録媒体20の端を部材で押さえて密着させる方法など周知の方法を使用すればよい。
図2は前記インクジェット式ラインヘッド13、16における1つのヘッドユニット、例えば、ヘッドユニット12aの縦断面図、図3は同ヘッドユニット12aの横断面図である。なお、他のヘッドユニット12b,12c,12d,15a,15b,15c,15dも構成は同じである。
前記ヘッドユニット12aは、基板21の先端部に2枚の圧電部材22,23を貼り合わせてなるアクチュエータ24を積層し、これを切削加工して複数の圧力室25を形成するとともに基板21の上に天板枠26を取り付けるとともにこの天板枠26の上に天板27を取付けている。そして、各圧力室25の上に、前記天板枠26と天板27によって囲まれたインク供給路28を形成すると共に前記天板27に前記インク供給路28にインクを供給するインク供給口29を形成している。
前記基板21、アクチュエータ24、天板枠26、天板27を積層した先端にオリィフィスプレート30を貼り付け、そのオリィフィスプレート30には各圧力室25に対応してインクを吐出するノズル31を開けている。前記圧力室25内には前記アクチュエータ24を駆動させるための電圧を印加する電極32が配設されている。前記電極32は後述するヘッド駆動回路にフレキシブルケーブル33を介して電気的に接続される。
前記圧電部材22,23は、互いに向かい合う方向に分極されており、前記電極32に電圧が印加されるとせん断モードの圧電作用により前記圧力室25の容積を拡張及び縮小させるようにくの字型に変形するようになっている。
前記ヘッドユニット12aにおいて、例えば、圧力室25cがインクを吐出する場合、電極32cに駆動パルスを供給することによりアクチュエータ24c,24dを変形させ、圧力室25cにインクを吐出するための圧力を発生させる。それに加え、電極32b,32dに補助駆動パルスを供給することにより、アクチュエータ24b,24eをも変形させ、圧力室25b,25dに発生する圧力を圧力室25a,25eに分散させる。このように圧力を分散させることにより、圧力室25cに引き続き圧力室25dがインクを吐出する時に、圧力室25cの吐出動作によって生じる影響が低減され、印刷品質の悪化を防止できる。この圧力分散を行うため4分割駆動が行われる。
図4はインクジェット記録装置の制御部の構成を示すブロック図で、41はマイクロコンピュータ等を備え制御手段を構成する記録装置制御回路である。このインクジェット記録装置は、外部のホストコンピュータ40から前記記録装置制御回路41に画像データが送られると、前記記録装置制御回路41は搬送モータ駆動回路42を制御する。前記搬送モータ駆動回路42は搬送モータ43を駆動し、この搬送モータ43により前記搬送ローラ17,18を回転させて搬送ベルト19を移動させ、前記記録媒体20を搬送させる。前記搬送ローラ17,18、搬送ベルト19、搬送モータ駆動回路42および搬送モータ43は記録媒体20に移動手段を構成している。
44は記録媒体20の印刷開始タイミングを検出する記録媒体検出センサで、この検出センサ44が記録媒体20の印刷開始タイミングを検出すると、前記記録装置制御回路41は駆動手段を構成するヘッド駆動回路45に画像データに対応した信号を送る。これにより、前記ヘッド駆動回路45はインクジェット式ラインヘッド13、16を駆動する。こうして、インクジェット式ラインヘッド13、16により記録媒体20に印刷が行われる。
前記記録装置制御回路41はホストコンピュータ40から送られる低解像度あるいは高解像度の印刷モードの設定情報に基づいてヘッド駆動回路45を制御する。これにより、前記ヘッド駆動回路45は出力する駆動信号の位相を変更する。すなわち、前記記録装置制御回路41は、移動手段およびヘッド駆動回路45を、低解像度で印刷するモードと低解像度の半分のドットピッチの高解像度で印刷するモードで異なる制御を行う。
図5は前記各ヘッドユニット12a,12b,12c,12d,15a,15b,15c,15dにおけるノズル31の配置を示している。図におけるX方向、Y方向は図1と同じ方向を示し、Y方向が印刷動作中の記録媒体20の移動方向を示している。ノズル31は、X方向に印刷ピッチPの2倍の間隔で等間隔に配置されている。
図5におけるノズル31c〜31jは、図3における圧力室25c〜25jに連通している。また、前記ノズル31c〜31f及び31g〜31jはそれぞれ4分割駆動の組みを形成し、各組みにおけるノズル31のY方向の間隔は不等間隔に設定されている。すなわち、ノズル31cとノズル31dの間隔は印刷ピッチPの1/4倍であるが、ノズル31dとノズル31eの間隔は印刷ピッチPの5/16倍である。また、ノズル31eとノズル31fの間隔は印刷ピッチPの1/4倍である。このように、ノズル31dとノズル31eの間隔を図15に比べて(1/16)・Pだけずらしている。同様に、ノズル31hとノズル31iの間隔も印刷ピッチPの5/16倍に設定している。
これは、各組みにおける各ノズルのY方向の位置を手前からY1、Y2、Y3、Y4として、最も手前のノズルの位置Y1を0としたとき、Y2は(4/16)・P、Y3は(9/16)・P、Y4は(13/16)・Pとなる。
図6は、低解像度の印刷モードでヘッド駆動回路45が記録装置制御回路41で制御されて電極32c〜32fに供給する駆動信号のタイミングチャートを示し、図7は高解像度の印刷モードでヘッド駆動回路45が記録装置制御回路41で制御されて電極32c〜32fに供給する駆動信号のタイミングチャートを示している。符号51c,51d,51e,51fはそれぞれノズル31c,31d,31e,31fからインクを吐出させる駆動パルスを示している。また、符号52c,52d,52e,52fは駆動パルス51c,51d,51e,51fに付随する補助駆動パルスを示している。
先に述べたように、このインクジェット記録装置は4分割駆動されるため、電極32c〜32fに供給される駆動信号の位相は各々異なる。例えば、低解像度の印刷モードにおいてインクが吐出する順番に基づいて第1相〜第4相の位相番号を付す。電極32c、32g、32k等には第1相の駆動信号が供給され、電極32d、32h等には第2相の駆動信号が供給され、電極32e、32i等には第3相の駆動信号が供給され、電極32f、32j等には第4相が駆動信号は供給される。第1相〜第4相の駆動信号は、それぞれノズル31の位置がY1、Y2、Y3、Y4にあるチャンネルに供給される。
低解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、図6の(a)〜(d)に示すように、各相の番号付けの規則に基づき、第1相→第2相→第3相→第4相→第1相の順となる。一方、高解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、図7の(a)〜(d)に示すように、第1相→第3相→第2相→第4相→第1相の順に周期的に駆動される。
図8は、インクジェット記録装置が図6に示す駆動信号により印刷ピッチPの低解像度印刷をする時のノズル31c〜31fの位置と印刷ドットの位置との関係を示している。なお、X方向、Y方向は図1と同じ方向である。
(a)の時刻t=0において駆動パルス51cが電極32cに供給されると、ノズル31cからインクが吐出し、1行1列目のドットが形成される。次に、(b)の時刻t=(1/4)・Tにおいて駆動パルス51dが電極32dに供給されると、ノズル31dからインクが吐出し、1行2列目のドットが形成される。次に、(c)の時刻t=(1/2)・Tにおいて駆動パルス51eが電極32eに供給されると、ノズル31eからインクが吐出し、1行3列目のドットが形成される。次に、(d)の時刻t=(3/4)・Tにおいて駆動パルス51fが電極32fに供給されると、対応するノズル31fからインクが吐出し、1行4列目のドットが形成される。次に、(e)の時刻t=Tにおいて駆動パルス51cが電極32cに供給されると、ノズル31cからインクが吐出し、2行1列目のドットが形成される。以降、この動作を繰り返すことにより、印刷ピッチPの印刷が行われる。
この印刷においては、3列目および4列目のドットのY方向の位置は、1列目と2列目のドットの位置に対して(1/16)・Pだけズレが生じる。しかし、このズレ量は小さく、印刷品質に影響を与えることはない。このように、低解像度の印刷モードにおけるドットのズレ量をP/16の最小に抑えることができ、印刷品質を充分に確保できる。
図9は、インクジェット記録装置が図7に示す駆動信号により印刷ピッチP/2の高解像度印刷をする時のノズル31c〜31fの位置と印刷ドットの位置との関係を示している。なお、X方向、Y方向は図1と同じ方向である。
(a)の時刻t=0において駆動パルス51cが電極32cに供給されると、ノズル31cからインクが吐出し、2行1列目のドットが形成される。次に、(b)の時刻t=(1/4)・Tにおいて駆動パルス51eが電極32eに供給されると、ノズル31eからインクが吐出し、1行3列目のドットが形成される。次に、(c)の時刻t=(1/2)・Tにおいて駆動パルス51dが電極32dに供給されると、ノズル31dからインクが吐出し、2行2列目のドットが形成される。次に、(d)の時刻t=(3/4)・Tにおいて駆動パルス51fが電極32fに供給されると、ノズル31fからインクが吐出し、1行4列目のドットが形成される。次に、(e)の時刻t=Tにおいて駆動パルス51cが電極32cに供給されると、ノズル31cからインクが吐出し、3行1列目のドットが形成される。以降、この動作を繰り返すことにより、印刷ピッチP/2の高解像度の印刷が行われる。
この高解像度の印刷において、3列目および4列目のドットのY方向の位置は、1列目と2列目のドットの位置に対して−(1/16)・Pだけズレが生じる。しかし、このズレ量は小さく、印刷品質に影響を与えることはない。このように高解像度の印刷モードにおける駆動順序を、図7の(a)〜(d)に示すように、第1相→第3相→第2相→第4相→第1相の順に定めることにより、高解像度におけるドットのズレ量を−(1/16)・Pの最小に抑えることができ、印刷品質を充分に確保できる。
しかも、低解像度で印刷するときの駆動周波数を高解像度で印刷するときの2倍にでき、低解像度で印刷するときの高速性を維持できる。
なお、この実施の形態では各組みにおける各ノズルのY方向の位置を手前からY1、Y2、Y3、Y4として、最も手前のノズルの位置Y1を0としたとき、Y2は(4/16)・P、Y3は(9/16)・P、Y4は(13/16)・Pとした場合を例として述べたがこれに限定するものではない。
例えば、Y1=0、Y2=(4/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(11/16)・P、あるいは、Y1=0、Y2=(3/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(12/16)・P、あるいは、Y1=0、Y2=(5/16)・P、Y3=(9/16)・P、Y4=(12/16)・Pとしてもよい。
Y1=0、Y2=(4/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(11/16)・Pとした場合、低解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第2相→第3相→第4相→第1相の順となるのに対し、高解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第4相→第2相→第3相→第1相の順に周期的に駆動される。
また、Y1=0、Y2=(3/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(12/16)・Pとした場合、低解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第2相→第3相→第4相→第1相の順となるのに対し、高解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第2相→第4相→第3相→第1相の順に周期的に駆動される。
また、Y1=0、Y2=(5/16)・P、Y3=(9/16)・P、Y4=(12/16)・Pとした場合、低解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第2相→第3相→第4相→第1相の順となるのに対し、高解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第3相→第4相→第2相→第1相の順に周期的に駆動される。
このように、高解像度の印刷モードにおいて、i番目の駆動順序における位相の番号とi+2番目の駆動順序における位相の番号の差が奇数になるという規則性がある。すなわち、この実施の形態において、i=1としたとき、i番目の位相の番号は「1」で、(i+2)番目の位相の番号は「2」であるので、その差は「1」で奇数である。また、i=2としたとき、i番目の位相の番号は「3」で、(i+2)番目の位相の番号は「4」であるので、その差は「1」で奇数である。さらに、i=4としたとき、i番目の位相の番号は「4」で、(i+2)番目の位相の番号は駆動順序の周期性を考慮すると「3」であるので、その差はやはり「1」で奇数である。また、この関係は、Y1=0、Y2=(4/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(11/16)・P、あるいは、Y1=0、Y2=(3/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(12/16)・P、あるいは、Y1=0、Y2=(5/16)・P、Y3=(9/16)・P、Y4=(12/16)・Pとしたときの高解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序においても同様である。
このようにノズルの位置Y1、Y2、Y3、Y4を設定しても低解像度および高解像度におけるドットのズレ量を±P/16の最小にすることができる。
なお、これらの例では、各組みにおけるノズル31のY方向の間隔を部分的に等間隔の場合に対して(1/16)・Pだけずれるように配置したがこれに限定するものではない。Y方向のノズルの間隔を調整することにより、低解像度の印刷モードで発生するドットのズレ量と、高解像度の印刷モードで発生するドットのズレ量の配分を調整することができる。例えば、ノズルの間隔を等間隔の場合に対して(1/8)・Pだけずらした場合、低解像度のドットのズレ量は(1/8)・Pになり、高解像度のドットずれ量は0になる。
(第2の実施の形態)
なお、この実施の形態においてもインクジェット式ラインヘッドにおけるノズルの配置以外については前述した第1の実施の形態と同じである。
この実施の形態におけるインクジェット式ラインヘッドを構成する各ヘッドユニット12a,12b,12c,12d,15a,15b,15c,15dにおけるノズル31は図10に示すように配置されている。
図10におけるX方向、Y方向は図1と同じ方向を示し、Y方向が印刷動作中の記録媒体20の移動方向を示している。ノズル31は、ヘッドユニットの長手方向であるX方向に印刷ピッチPの2倍の間隔で等間隔に、しかも、千鳥状に並べて配置されている。ノズル31c〜31jは、圧力室25c〜25jに連通している。
また、前記ノズル31c〜31f及び31g〜31jはそれぞれ4分割駆動の組みを形成し、各組みにおけるノズル31のY方向の間隔は不等間隔に設定されている。すなわち、ノズル31cとノズル31eの間隔は印刷ピッチPの1/4倍、ノズル31eとノズル31dの間隔は印刷ピッチPの5/16倍、ノズル31dとノズル31fの間隔は印刷ピッチPの1/4倍に設定されている。これは、各組みにおける各ノズルのY方向の位置を手前からY1、Y2、Y3、Y4として、最も手前のノズルの位置Y1を0としたとき、Y2は(4/16)・P、Y3は(9/16)・P、Y4は(13/16)・Pとなる。
図11は、低解像度の印刷モードでヘッド駆動回路45が記録装置制御回路41で制御されて電極32c〜32fに供給する駆動信号のタイミングチャートを示し、図12は高解像度の印刷モードでヘッド駆動回路45が記録装置制御回路41で制御されて電極32c〜32fに供給する駆動信号のタイミングチャートを示している。符号61c,61d,61e,61fはそれぞれノズル31c,31d,31e,31fからインクを吐出させる駆動パルスを示している。また、符号62c,62d,62e,62fは駆動パルス61c,61d,61e,61fに付随する補助駆動パルスを示している。
このインクジェット記録装置は4分割駆動されるため、電極32c〜32fに供給される駆動信号の位相は各々異なる。例えば、低解像度の印刷モードにおいてインクが吐出する順番に基づいて第1相〜第4相の位相番号を付すと、電極32c、32g、32k等には第1相の駆動信号が供給され、電極32d、32h等には第2相の駆動信号が供給され、電極32e、32i等には第3相の駆動信号が供給され、電極32f、32j等には第4相が駆動信号は供給される。第1相〜第4相の駆動信号は、それぞれノズル31の位置がY1、Y2、Y3、Y4にあるチャンネルに供給される。
低解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、図11の(a)〜(d)に示すように、各相の番号付けの規則に基づき、第1相→第2相→第3相→第4相→第1相の順となる。一方、高解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、図12の(a)〜(d)に示すように、第1相→第3相→第2相→第4相→第1相の順に周期的に駆動される。
図13は、インクジェット記録装置が図11に示す駆動信号により印刷ピッチPの低解像度印刷をする時のノズル31c〜31fの位置と印刷ドットの位置との関係を示している。なお、X方向、Y方向は図1と同じ方向である。
(a)の時刻t=0において駆動パルス61cが電極32cに供給されると、ノズル31cからインクが吐出し、1行1列目のドットが形成される。次に、(b)の時刻t=(1/4)・Tにおいて駆動パルス61eが電極32eに供給されると、ノズル31eからインクが吐出し、1行3列目のドットが形成される。次に、時刻t=(1/2)・Tにおいて駆動パルス61dが電極32dに供給されると、ノズル31dからインクが吐出し、1行2列目のドットが形成される。次に、時刻t=(3/4)・Tにおいて駆動パルス61fが電極32fに供給されると、対応するノズル31fからインクが吐出し、1行4列目のドットが形成される。次に、(e)の時刻t=Tにおいて駆動パルス61cが電極32cに供給されると、ノズル31cからインクが吐出し、2行1列目のドットが形成される。以降、この動作を繰り返すことにより、印刷ピッチPの印刷が行われる。
この印刷においては、2列目および4列目のドットのY方向の位置は、1列目と3列目のドットの位置に対して(1/16)・Pだけズレが生じる。しかし、このズレ量は小さく、印刷品質に影響を与えることはない。このように、低解像度の印刷モードにおけるドットのズレ量をP/16の最小に抑えることができ、印刷品質を充分に確保できる。
図14は、インクジェット記録装置が図12に示す駆動信号により印刷ピッチP/2の高解像度印刷をする時のノズル31c〜31fの位置と印刷ドットの位置との関係を示している。なお、X方向、Y方向は図1と同じ方向である。
(a)の時刻t=0において駆動パルス61cが電極32cに供給されると、ノズル31cからインクが吐出し、2行1列目のドットが形成される。次に、(b)の時刻t=(1/4)・Tにおいて駆動パルス61dが電極32dに供給されると、ノズル31dからインクが吐出し、1行2列目のドットが形成される。次に、(c)の時刻t=(1/2)・Tにおいて駆動パルス61eが電極32eに供給されると、ノズル31eからインクが吐出し、2行3列目のドットが形成される。次に、(d)の時刻t=(3/4)・Tにおいて駆動パルス61fが電極32fに供給されると、ノズル31fからインクが吐出し、1行4列目のドットが形成される。次に、(e)の時刻t=Tにおいて駆動パルス61cが電極32cに供給されると、ノズル31cからインクが吐出し、3行1列目のドットが形成される。以降、この動作を繰り返すことにより、印刷ピッチP/2の高解像度の印刷が行われる。
この高解像度の印刷において、2列目および4列目のドットのY方向の位置は、1列目と3列目のドットの位置に対して−(1/16)・Pだけズレが生じる。しかし、このズレ量は小さく、印刷品質に影響を与えることはない。このように高解像度の印刷モードにおける駆動順序を、図12の(a)〜(d)に示すように、第1相→第3相→第2相→第4相→第1相の順に定めることにより、高解像度におけるドットのズレ量を−(1/16)・Pの最小に抑えることができ、印刷品質を充分に確保できる。
しかも、低解像度で印刷するときの駆動周波数を高解像度で印刷するときの2倍にでき、低解像度で印刷するときの高速性を維持できる。
なお、この実施の形態では各組みにおける各ノズルのY方向の位置を手前からY1、Y2、Y3、Y4として、最も手前のノズルの位置Y1を0としたとき、Y2は(4/16)・P、Y3は(9/16)・P、Y4は(13/16)・Pとした場合を例として述べたがこれに限定するものではない。
例えば、Y1=0、Y2=(4/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(11/16)・P、あるいは、Y1=0、Y2=(3/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(12/16)・P、あるいは、Y1=0、Y2=(5/16)・P、Y3=(9/16)・P、Y4=(12/16)・Pとしてもよい。
Y1=0、Y2=(4/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(11/16)・Pとした場合、低解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第2相→第3相→第4相→第1相の順となるのに対し、高解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第4相→第2相→第3相→第1相の順に周期的に駆動される。
また、Y1=0、Y2=(3/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(12/16)・Pとした場合、低解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第2相→第3相→第4相→第1相の順となるのに対し、高解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第2相→第4相→第3相→第1相の順に周期的に駆動される。
また、Y1=0、Y2=(5/16)・P、Y3=(9/16)・P、Y4=(12/16)・Pとした場合、低解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第2相→第3相→第4相→第1相の順となるのに対し、高解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序は、第1相→第3相→第4相→第2相→第1相の順に周期的に駆動される。
このように、高解像度の印刷モードにおいて、i番目の駆動順序における位相の番号とi+2番目の駆動順序における位相の番号の差が奇数になるという規則性がある。すなわち、この実施の形態において、i=1としたとき、i番目の位相の番号は「1」で、(i+2)番目の位相の番号は「2」であるので、その差は「1」で奇数である。また、i=2としたとき、i番目の位相の番号は「3」で、(i+2)番目の位相の番号は「4」であるので、その差は「1」で奇数である。さらに、i=4としたとき、i番目の位相の番号は「4」で、(i+2)番目の位相の番号は駆動順序の周期性を考慮すると「3」であるので、その差はやはり「1」で奇数である。また、この関係は、Y1=0、Y2=(4/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(11/16)・P、あるいは、Y1=0、Y2=(3/16)・P、Y3=(7/16)・P、Y4=(12/16)・P、あるいは、Y1=0、Y2=(5/16)・P、Y3=(9/16)・P、Y4=(12/16)・Pとしたときの高解像度の印刷モードにおける各相の駆動順序においても同様である。
このようにノズルの位置Y1、Y2、Y3、Y4を設定しても低解像度および高解像度におけるドットのズレ量を±P/16の最小にすることができる。
以上、本発明のインクジェット記録装置について、ライン型ヘッドを用いた実施の形態について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、シリアル型ヘッドを用いたインクジェット記録装置にも適用することができる。
12a〜12d,15a〜15d…ヘッドユニット、13,16…インクジェット式ラインヘッド、17,18…搬送ローラ、19…搬送ベルト、20…記録媒体、41…記録装置制御回路、42…搬送モータ駆動回路、43…搬送モータ、45…ヘッド駆動回路。