JP2004024207A - 茶葉保存方法及び茶葉保存システム - Google Patents
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Abstract
【課題】特に新茶の出荷時期を従来より拡大することができる茶葉保存方法及び茶葉保存システムを提供する。
【解決手段】摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱装置2と、該蒸熱装置2にて生成された蒸茶を手揉み又は機械揉み、若しくは、一旦機械揉みした後手揉みを行い荒茶を生成する揉茶ステップと、該揉茶ステップにて揉まれた荒茶を当該荒茶が凍結する以前の温度域で低温保存する冷却保存庫4とから茶葉保存システム1を構築する。これにより、茶葉の褐変により生じる風味や味の低減を未然に回避し、出荷の分散化を図る。
【選択図】 図1
【解決手段】摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱装置2と、該蒸熱装置2にて生成された蒸茶を手揉み又は機械揉み、若しくは、一旦機械揉みした後手揉みを行い荒茶を生成する揉茶ステップと、該揉茶ステップにて揉まれた荒茶を当該荒茶が凍結する以前の温度域で低温保存する冷却保存庫4とから茶葉保存システム1を構築する。これにより、茶葉の褐変により生じる風味や味の低減を未然に回避し、出荷の分散化を図る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摘採後の茶葉を低温にて保存する茶葉保存方法及び茶葉保存システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、立春から数えて88日目頃にお茶の樹は新芽が出るため、ここで、新芽を摘採し新茶が収穫される。次に伸びた芽を摘採することにより、二番茶が収穫され、更に伸びた芽を摘採することにより、三番茶が収穫される。そのため、茶葉の収穫期において、一時期に大量の茶葉が収穫される。ここで、摘採された茶葉をそのまま放置しておくと茶葉の褐変が生じてしまうため、摘採後直ぐに製茶が行われる。
【0003】
通常製茶工程は、蒸し工程、粗揉工程、揉捻工程、中揉工程、精揉工程、乾燥工程とがあり、これらの工程を経た後、販売店に出荷される。そして、販売店では、火入れ工程、仕上げ工程を経た後、販売される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、通常、新茶は、茶葉が収穫される、所謂、八十八夜頃に(五月頃)一時期に出荷されるため、販売店においても短期間しか一番茶を扱うことができないと云う問題がある。
【0005】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、特に新茶の出荷時期を従来より拡大することができる茶葉保存方法及び茶葉保存システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、請求項1の発明の茶葉保存方法は、摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱ステップと、該蒸熱ステップにて生成された蒸茶を揉む揉茶ステップと、該揉茶ステップにて揉まれた荒茶を当該荒茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存ステップとを含むことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明の茶葉保存方法は、摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱ステップと、該蒸熱ステップにて生成された蒸茶を揉む揉茶ステップと、該揉茶ステップにて揉まれた荒茶を当該荒茶を凍結保存する凍結保存ステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明の茶葉保存方法は、請求項1又は請求項2の発明において、揉茶ステップの後に、揉まれた荒茶を真空、又は、脱酸素包装する包装ステップを実行することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明の茶葉保存方法は、請求項1、請求項2又は請求項3の発明において、蒸熱ステップと揉茶ステップとの間に、蒸熱ステップにて生成された蒸茶の荒熱を除去する冷却ステップと、該冷却ステップにて冷却された蒸茶を、当該蒸茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存ステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明の茶葉保存方法は、請求項1、請求項2又は請求項3の発明において、蒸熱ステップと揉茶ステップとの間に、蒸熱ステップにて生成された蒸茶の荒熱を除去する冷却ステップと、該冷却ステップにて冷却された蒸茶を凍結保存する凍結保存ステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明の茶葉保存システムは、摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱手段と、該蒸熱手段にて生成された蒸茶を、揉む揉茶手段と、当該揉茶手段にて揉まれた荒茶を当該荒茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存手段とから構築されることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明の茶葉保存システムは、摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱手段と、該蒸熱手段にて生成された蒸茶を、揉む揉茶手段と、当該揉茶手段にて揉まれた荒茶を凍結保存する凍結保存手段とから構築されることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明の茶葉保存システムは、請求項6又は請求項7の発明において、揉茶手段により揉まれた荒茶を真空、又は、脱酸素包装する包装手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明の茶葉保存システムは、請求項6、請求項7又は請求項8の発明において、蒸熱手段にて生成された蒸茶の荒熱を除去するための冷却手段と、該冷却手段にて冷却された蒸茶を、当該蒸茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明の茶葉保存システムは、請求項6、請求項7又は請求項8の発明において、蒸熱手段にて生成された蒸茶の荒熱を除去するための冷却手段と、該冷却手段にて冷却された蒸茶を凍結保存する凍結保存手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項1又は請求項6の発明によれば、摘採後の茶葉を蒸熱し、蒸茶を生成した後、当該蒸茶を揉み荒茶とした茶葉を凍結する以前の温度域で低温保存するので、摘採された茶葉を揉茶された荒茶の状態で、低温保存することができるようになる。これにより、茶葉の褐変により生じる風味や味の低減を未然に回避することができるようになる。
【0017】
また、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の出荷を、摘採し、揉茶した後の茶葉を一旦低温保存することにより、出荷の分散化を図ることができ、特に新茶などの出荷時期を拡大することができるようになる。これにより、顧客は、従来よりも長い期間新茶を楽しむことができるようになる。
【0018】
請求項2又は請求項7の発明によれば、摘採後の茶葉を蒸熱し、蒸茶を生成した後、当該蒸茶を揉み荒茶とした茶葉を凍結保存するので、摘採された茶葉を揉茶された荒茶の状態で、茶葉を完全に凍結することができるようになり、冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0019】
請求項3又は請求項8の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項6又は請求項7の発明に加えて、揉茶された荒茶を真空、又は、脱酸素包装するので、茶葉の呼吸及び酸化を抑制することができ、茶葉の褐変を抑制することができるようになる。
【0020】
請求項4又は請求項9の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項7又は請求項8の発明に加えて、茶葉を蒸熱した後、一旦蒸茶の荒熱を冷却し、当該冷却した蒸茶を凍結する以前の温度域で低温保存した後、茶葉を揉むことにより、摘採された茶葉を蒸熱された蒸茶の状態で、一旦低温保存することができるようになる。
【0021】
これにより、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦低温保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【0022】
請求項5又は請求項10の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項7又は請求項8の発明に加えて、茶葉を蒸熱した後、一旦蒸茶の荒熱を冷却し、当該冷却した蒸茶を凍結保存した後、茶葉を揉むことにより、摘採された茶葉を蒸熱された蒸茶の状態で、完全に茶葉を凍結させ、冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0023】
これにより、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦凍結保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、より一層、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用した茶葉保存システム1の説明図である。本発明の茶葉保存システム1は、摘採した直後の茶葉を蒸熱する蒸熱手段としての蒸熱装置2と、蒸熱装置2にて生成された蒸茶の機械による粗揉及び/又は揉捻を行うための揉茶手段としての図示しない揉茶装置と、手揉み若しくは、揉茶装置により揉茶された荒茶を真空又は脱酸素包装する包装手段としての図示しない包装装置と、揉茶された蒸茶を冷却保存する低温保存手段としての冷却保存庫4とから構築されている。
【0025】
前記蒸熱装置2は、例えば本体6の前後に開口7、8が形成されており、コンベア装置9により一方の開口7から本体6内に搬入し、他方の開口8から本体6より搬出される構成とされている。この本体6内には、茶葉を蒸熱するための蒸気による図示しない加熱手段が設けられており、本実施例では、コンベア装置9での移動により、コンベア装置9上に載置された茶葉は、本体6内において、例えば+95℃で30秒間蒸気により加熱されるものとする。尚、ここで、前記加熱時間よりも長い時間、例えば50秒間、蒸気加熱により蒸熱処理した茶葉は、深蒸し葉と呼ばれ、通常よりも酵素の失活を抑制された蒸茶とされる。
【0026】
これにより、蒸熱装置2の開口7から本体6内に搬入された茶葉は、本体6内において、蒸熱され、茶葉中の酸化酵素の働きを止めた状態で、開口8から本体6より搬出される。
【0027】
前記低温保存手段としての冷却保存庫4を構成する本体17は、前面に開口を有して内部に貯蔵室を形成しており、本体17の前面には、開口を開閉自在に閉塞する扉18、18が設けられている。そして、本体17には、貯蔵室を冷却するための図示しない冷却装置が設けられており、この貯蔵室内は、貯蔵室内に予め設けられた温度センサによって温度制御されている。貯蔵室内の設定温度は、本体17前面に設けられたコントロールパネル19によって任意に変更することができる。
【0028】
次に、図1を参照して茶葉保存方法及び茶葉製造方法について説明する。通常、茶葉の収穫期は、一番茶(新茶)の収穫期である5月と、二番茶の収穫期である7月とがあり、本実施例では、一番茶の茶葉製造方法について説明する。一般的に、一番茶と称される茶葉は、新芽であるため、柔らかく、機械による摘採ではかたい茎が茶葉と同時に摘採され、製造される製茶の品質が低下してしまうため、手摘みによる摘採が好ましい。
【0029】
上述の如く、手摘みにより摘採された直後の茶葉、即ち生茶は、そのままの状態で放置されると短時間で褐変してしまうため、摘採された日に蒸熱ステップとして、前記蒸熱装置2にて蒸熱される。即ち、蒸熱装置2の搬入側に位置するコンベア装置9上に、前記茶葉を載置し、蒸熱装置2を運転することにより、コンベア装置9上の茶葉は、本体6内に搬入される。そして、コンベア装置9での移動により、本体6内において、本実施例では、+95℃の蒸気下で30秒間加熱される。尚、深蒸し葉を製茶するためには、ここで、蒸茶時間を例えば50秒間行う。そして、前記蒸気により蒸熱された蒸茶は、コンベア装置9の移動により、本体6から搬出される。
【0030】
ここで、摘採された茶葉は、蒸熱されることにより、柔らかくなると共に、茶葉に含まれる酸化酵素を失活させることにより、茶葉の褐変の開始を遅延させることができる。
【0031】
次いで、蒸熱ステップにて生成された蒸茶は、揉茶ステップに移行し、図示しない加熱手段により加熱しながら約5時間ほど手揉みを行い、荒茶を生成する。通常、この揉茶ステップでは、高温の熱風により茶葉を揉み込む粗揉工程を行った後、茶葉中の水分を均一化させるため時間をかけて揉み込む揉捻工程を行う。更に、揉捻工程の後、人肌程度の温度に加熱しながら揉み込む中揉工程を行う。その後、茶葉のかたちを整える精揉工程を行い高めの温度に加熱し、茶葉中の水分をとばす乾燥を行う。尚、後述される中揉仕上げの茶葉とは、本実施例では、蒸熱された蒸茶を機械により、粗揉工程、揉捻工程、中揉工程まで揉茶した茶葉を云うものとする。
【0032】
尚、ここでは、揉茶ステップのすべてを手揉みにより行っているが、これ以外に揉茶ステップのすべてを機械揉みにより行ってもよいものとする。また、揉茶ステップの途中まで機械揉みにより行った後、手揉みによる揉茶ステップを行ってもよいものとする。
【0033】
次に、揉茶ステップにて揉まれた蒸茶は、包装ステップとして、図示しない包装装置により少量ずつに分けられた荒茶を、真空包装又は脱酸素剤を同封した包装容器内に入れ密閉包装する。
【0034】
これにより、包装容器内に酸素の存在を抑制することができるため、荒茶の呼吸及び酸化を抑制することができ、茶葉の褐変を抑制することができるようになる。
【0035】
そして、少量ずつ真空包装又は脱酸素包装された荒茶は、低温保存ステップにて、前記冷却保存庫4内の貯蔵室内に貯蔵し、低温保存を行う。このとき、揉茶ステップにて生成された荒茶の状態又は、包装ステップにおいて包装された状態で予め荒茶の重量を測定しておき、茶葉の乾燥した状態の重量比によって、荒茶の含有水分量を測定する。このデータに基づいて、冷却保存庫4の貯蔵室内の温度を決定し、コントロールパネル19により、蒸茶が凍結する以前の温度、例えば含有水分量に基づき予測される荒茶の凍結温度が−4.5℃である場合には、−4℃の温度域に設定される。
【0036】
そして、所定の期間冷却保存庫4内にて保存された茶葉は、同時期に摘採された茶葉の出荷時期とは時期を異にして出荷する。
【0037】
ここで、図2乃至図6の分析結果に基づき本発明の茶葉保存方法及び茶葉製造方法によって製造された茶葉の滋味について示す。図2乃至図6における分析対象は、上述の如く蒸茶時に約50秒間蒸茶した深蒸し葉を手揉みした茶葉(以後、深蒸し/手揉みと称する。尚、各図において菱形を付した直線で示す。)、蒸茶時に約30秒間蒸茶した後、機械により中揉工程まで仕上げた茶葉(以後、中揉仕上げと称する。尚、各図において三角形を付した直線で示す。)と、蒸茶時に約30秒間蒸茶した後、機械により中揉工程まで行い、その後、手揉みにより仕上げた茶葉(以後、中揉/手揉みと称する。尚、各図において×印を付した直線で示す。)とする。また、各茶葉は、それぞれ手揉み又は機械揉みした後、それぞれ含有水分量に基づき予測される凍結温度よりも少許高い温度域、本実施例では−4℃又は−5℃の設定温度の冷却保存庫4庫内に4週間、8週間、12週間、16週間、20週間それぞれ保存しておいた茶葉及び保存前の茶葉を使用する。
【0038】
図2は、各茶葉のビタミンCを測定したものである。この分析方法は、高速液体クロマトグラフ(Jasco 800シリーズ(商標名))を用いて、試料2gと2%メタリン酸水溶液とエタノール溶液(50%:50%)100mlを混合後、ホモジナイザー(NISSEI AM(商標名))でホモジナイズ(15000rpm/min)し、ろ過(MILLEX−GP(商標名)0.22μMILLIPORE)後、測定した。
【0039】
これによると、各茶葉において、それぞれのビタミンCは、20週間保存した場合であっても、目立った減少を示していないことが分かる。これにより、蒸茶後、揉茶を行い、低温保存した場合であって、茶葉に含まれるビタミンCが減少しないことが分かる。
【0040】
図3は、各茶葉のテアニン、即ち茶葉の旨味成分を測定したものである。この分析方法は、アミノ酸分析装置(Jasco アミノ酸分析装置(商標名))を用いて、試料2gと蒸留水100mlを混合後、電子レンジで沸騰させ、ホモジナイザー(NISSEI AM(商標名))でホモジナイズ(15000rpm/min)を行い、10倍に希釈し、ろ過(MILLEX−GP(商標名)0.22μMILLIPORE)後、測定した。
【0041】
これによると、各茶葉は、大きな経時的な変化は認められずテアニンが保持されていることが分かる。これにより、蒸茶後、揉茶を行い、低温保存した場合であって、茶葉に含まれるテアニン成分を長期的に維持することが可能であると考えられる。
【0042】
図4乃至図6は、各茶葉のカテキン類(苦渋味成分:エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート)を測定したものである。この分析方法は、高速液体クロマトグラフ(Jasco 800シリーズ(商標名))を用いて、試料2gと蒸留水100mlを混合後、電子レンジで沸騰させ、ホモジナイザー(NISSEI AM(商標名))でホモジナイズ(15000rpm/min)を行い、20倍に希釈し、ろ過(MILLEX−GP(商標名)0.22μMILLIPORE)後、測定した。
【0043】
これによると、中揉仕上げの茶葉は、カテキン類(エピカテキン:EC、エピガロカテキン(EGC))は、殆ど経時的変化は認められないため、低温保存は長期保存に有効であると考えられる。深蒸し/手揉みの茶葉及び中揉/手揉みの茶葉は、カテキン類(エピカテキン:EC、エピガロカテキン(EGC))が8〜12週目まで減少しているが、その後増加している。増加した理由は、手揉み時の茶葉温度が影響したものと考えられる。
【0044】
次に、図7及び図8の分析結果に基づき本発明の茶葉保存方法及び茶葉製造方法によって製造された茶葉の色差及びクロロフィル(緑色色素)分析について示す。図7及び図8における分析対象は、上記中揉仕上げの茶葉とする。係る茶葉は、機械揉みした後、それぞれ含有水分量に基づき予測される凍結温度よりも少許高い温度域、本実施例では−4℃又は−5℃の設定温度の冷却保存庫4庫内に11日、21日、33日、55日それぞれ保存しておいた茶葉及び保存前の茶葉を使用する。
【0045】
図7は、各茶葉のL*値(明度)、a*値(色度 赤−緑方向)、b*値(黄−青方向)、ΔE*ab(色差)を測定したものである。この分析方法は、色彩色差計(ミノルタCT−310(商標名))を用いて、試料2gと蒸留水100mlを混合後、電子レンジで沸騰させ、ホモジナイザー(NISSEI AM(商標名))でホモジナイズ(15000rpm/min)し、10倍に希釈し、ろ過(MILLEX−GP(商標名)0.22μMILLIPORE)後、測定した。
【0046】
これによると、33日目までは、僅かな変化であったが、55日目で明らかな違いが認められた。これにより、少なくとも33日までは、低温保存を行った場合であっても、大きな茶葉の変色は生じないものと考えられる。
【0047】
図8は、各茶葉のクロロフィル(緑色色素)を測定したものである。この分析方法は、緑色色素であるクロロフィルa(660nm)と、クロロフィルb(645nm)及び褐変物質であるフェオフィチン(534nm)を分光光度計(Jasco Ubest−30(商標名))を用いて測定した。試料と100%エタノール100mlを混合後、電子レンジで沸騰させ、ホモジナイザー(NISSEI AM(商標名))でホモジナイズ(15000rpm/min)し、80%エタノールで250mlに定溶後ろ過して測定した。
【0048】
これによると、クロロフィルとフェオフィチンの変化は、保存期間が長くなるに従い、クロロフィルa及びクロロフィルbは減少しているが、あまり大きな減少ではないと考えられる。また、フェオフィチンにおいても大きな増加はみられなかった。
【0049】
これにより、揉茶ステップにおける揉茶方法が異なる場合であっても、当該荒茶の含有水分量に適した温度域で低温保存することにより、茶葉の呼吸や酸化を抑制することができ、味や風味の低下の原因となる褐変を抑制することができるようになる。
【0050】
また、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の出荷を、摘採し、揉茶した後の茶葉を一旦低温保存することにより、出荷の分散化を図ることができ、特に新茶などの出荷時期を拡大することができるようになる。これにより、顧客は、従来よりも長い期間新茶を楽しむことができるようになる。
【0051】
また、上記低温保存に変わって、凍結保存ステップとして、冷却保存庫4の貯蔵室内の温度をコントロールパネル19により、蒸熱し、揉茶した後の荒茶が凍結する温度域、例えば、−18℃の温度域に設定することにより、荒茶を凍結保存することができる。
【0052】
図9乃至図13は、蒸熱し、揉茶した後の荒茶を凍結保存して製造された茶葉の滋味について示す。図9乃至図13における分析対象は、上記図2乃至図6にて示される各茶葉、即ち、深蒸し/手揉みの茶葉と、中揉仕上げの茶葉と、中揉/手揉みの茶葉を用いるものとする。また、各茶葉は、それぞれ手揉み又は機械揉みした後、凍結温度例えば−18℃の設定温度の冷却保存庫4庫内に8週間、20週間それぞれ保存しておいた茶葉及び保存前の茶葉を使用する。
【0053】
図9は、各茶葉のビタミンCを測定したものである。係る分析方法は、図2の説明において示される如き分析方法と同様のものとする。これによると、各茶葉は、20週間、凍結保存した場合であってもビタミンCが減少していないことが分かる。これにより、蒸茶後、揉茶を行い、凍結保存した場合であって、茶葉に含まれるビタミンCが減少しないことが分かる。
【0054】
図10は、各茶葉のテアニン、即ち茶葉の旨味成分を測定したものである。この分析方法は、図3の説明において示される如き分析方法と同様のものとする。これによると、各茶葉は、大きな経時的な変化は認められずテアニンが保持されていることが分かる。これにより、蒸茶後、揉茶を行い、凍結保存した場合であって、茶葉に含まれるテアニン成分を長期的に維持することが可能であると考えられる。
【0055】
図11乃至図13は、各茶葉のカテキン類(苦渋味成分:エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート)を測定したものである。この分析方法は、図4乃至図6の説明において示される如き分析方法と同様のものとする。これによると、各茶葉は、分析したすべてのカテキン類について、殆ど経時的変化は認められないため、凍結保存は長期保存に有効であると考えられる。
【0056】
これにより、蒸熱した後、揉茶した荒茶は、凍結温度で保存することができ、茶葉の呼吸や酸化を著しく抑制することができ、味や風味の低下の原因となる褐変を抑制することができるようになる。
【0057】
この凍結保存は、摘採された茶葉を揉茶された荒茶の状態で、茶葉を完全に凍結することができるようになり、蒸茶の褐変により生じる風味や味の低減を抑制しながら冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0058】
尚、本発明の茶葉保存方法及び茶葉保存システムは、茶葉保存システム1以外に、図14に示す如き茶葉保存システム20であってもよいものとする。この茶葉保存システム20は、上記茶葉保存システム1に加えて、茶葉を蒸熱する蒸熱装置2にて生成された蒸茶の荒熱を除去するための冷却手段としての例えば、ブラストフリーザー3を備えている。
【0059】
このブラストフリーザー3は、冷風式急冷装置であり、図15に示す如く本体10は、前方に開口して内部に冷却室を形成し、本体10の前面には、開口11を開閉自在に閉塞する扉13が設けられている。また、冷却室12の側方には、図示しない冷却装置によって冷却された冷気を図示しない大型送風機により吐出する冷気吐出口14が形成されている。この冷気吐出口14から吐出される冷気は、本体10の前面側部に設けられるコントロールパネル15によって任意に冷気吐出温度及び冷却時間などが設定可能とされている。また、図中16は、冷気吐出口14から吐出された冷気が冷却室12内を循環した後、冷気を本体10内に帰還させるための冷気吸込口である。
【0060】
ここで、前記蒸熱装置2より蒸熱された蒸茶を急冷する際には、前記蒸茶を図示しない網状の容器に収容し、該容器をブラストフリーザー3の冷却室12内に収容し、蒸茶の冷却を行う。前記網状の容器は、比較的網目の細かい容器であり、ブラストフリーザー3の冷気吐出口14から吐出された冷気が直接、網状の容器内に収容された蒸茶に吹き付けられる構造とされている。
【0061】
ここで、図14を参照して係る茶葉保存システム20について説明する。上記茶葉保存システム1と同様に例えば手摘み等により摘採された直後の茶葉、即ち生茶は、そのままの状態で放置されると短時間で褐変してしまうため、摘採された日に蒸熱ステップとして、前記蒸熱装置2にて蒸熱される。ここで、摘採された茶葉は、蒸熱されることにより、柔らかくなると共に、茶葉に含まれる酸化酵素を失活させることにより、茶葉の褐変の開始を遅延させることができる。
【0062】
次いで、蒸熱ステップにて生成された蒸茶は、直ぐに前記網状の容器に収容された後、前記ブラストフリーザー3の冷却室12内に収容される冷却ステップを行う。このブラストフリーザー3では、上述の如く冷気吐出口14から吐出される冷気によって網状の容器に収容された蒸茶の荒熱の除去を行う。このとき、蒸茶の冷却は、冷気吐出口14から吐出される−40℃の冷風により、冷却室12内の温度設定を0℃として1乃至2分間行う。この際、冷気吐出口14から吐出される冷気は、前記大型送風機により勢いよく吐出されるため、網状の容器に収容された蒸茶は、撹拌され、効率よく荒熱の除去を行うことができる。
【0063】
尚、この温度設定及び冷却時間は、前記コントロールパネル15を任意に操作することにより行う。また、このブラストフリーザー3による冷却において、蒸茶が凍結しない程度に冷却される。本実施例では、特に示されていないが、蒸茶の荒熱の除去をより一層効率的に行うため、撹拌装置を設けてもよいものとする。
【0064】
次いで、荒熱を除去した蒸茶は、前記網状の容器から取り出し、包装ステップとして、図示しない包装装置により少量ずつ分けられた蒸茶を、真空包装又は脱酸素剤を同封した包装容器内に入れ密閉包装する。尚、このとき、前記ブラストフリーザー3にて冷却された蒸茶は、凍結しない程度に撹拌されながら冷却されているため、容易に少量ずつ分けて包装を行うことができる。
【0065】
そして、少量ずつ真空包装又は脱酸素包装された蒸茶は、低温保存ステップにて、前記冷却保存庫4内の貯蔵室内に貯蔵し、低温保存を行う。このとき、冷却保存庫4の貯蔵室内の温度は、コントロールパネル19により、蒸茶が凍結する以前の温度域に設定される。これにより、蒸茶は、凍結温度以前の温度域で低温保存することができ、茶葉の呼吸や酸化を抑制することができ、味や風味の低下の原因となる褐変を抑制することができるようになる。
【0066】
ここで、例えば1ヶ月程度低温保存した茶葉は、(矢印の▲1▼に進み)、例えば常温で放置して温度上昇させた後、揉茶ステップにて加熱しながら約5時間ほど手揉みを行い、荒茶を生成する。尚、ここでは、手揉みのみで荒茶を生成しているが、これ以外に、中揉まで機械揉みを行った後、手揉みを行い荒茶を生成してもよく、すべて機械揉みにより荒茶を生成してもよいものとする。
【0067】
その後、揉茶ステップにて揉まれた蒸茶は、包装ステップとして、図示しない包装装置により少量ずつに分けられた荒茶を、真空包装又は脱酸素剤を同封した包装容器内に入れ密閉包装する。
【0068】
そして、少量ずつ真空包装又は脱酸素包装された荒茶は、低温保存ステップにて、前記冷却保存庫4内の貯蔵室内に貯蔵し、低温保存を行う。このとき、揉茶ステップにて生成された荒茶の状態又は、包装ステップにおいて包装された状態で予め荒茶の重量を測定しておき、茶葉の乾燥した状態の重量比によって、荒茶の含有水分量を測定する。このデータに基づいて、冷却保存庫4の貯蔵室内の温度を決定し、コントロールパネル19により、蒸茶が凍結する以前の温度、例えば含有水分量に基づき予測される荒茶の凍結温度が−4.5℃である場合には、−4℃の温度域に設定される。
【0069】
そして、所定の期間冷却保存庫4内にて保存された茶葉は、(矢印の▲2▼に進み)、常温で放置して温度上昇させた後、同時期に摘採された茶葉の出荷時期とは時期を異にして出荷する。
【0070】
これにより、係る茶葉保存システム20では、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の出荷を、摘採し、揉茶した後の茶葉を一旦低温保存することにより、出荷の分散化を図ることができ、特に新茶などの出荷時期を拡大することができるようになる。これにより、顧客は、従来よりも長い期間新茶を楽しむことができるようになる。
【0071】
また、これに加えて、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦低温保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【0072】
また、揉茶ステップの前後における上記低温保存に変わって、凍結保存ステップとして、冷却保存庫4の貯蔵室内の温度をコントロールパネル19により、蒸熱し又は揉茶した後の荒茶が凍結する温度域、例えば、−18℃の温度域に設定することにより、荒茶を凍結保存してもよいものとする。
【0073】
係る場合には、摘採された茶葉を蒸熱された蒸茶、更には揉茶された荒茶の状態で、完全に茶葉を凍結させ、冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0074】
これにより、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦凍結保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、より一層、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1又は請求項6の発明によれば、摘採後の茶葉を蒸熱し、蒸茶を生成した後、当該蒸茶を揉み荒茶とした茶葉を凍結する以前の温度域で低温保存するので、摘採された茶葉を揉茶された荒茶の状態で、低温保存することができるようになる。これにより、茶葉の褐変により生じる風味や味の低減を未然に回避することができるようになる。
【0076】
また、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の出荷を、摘採し、揉茶した後の茶葉を一旦低温保存することにより、出荷の分散化を図ることができ、特に新茶などの出荷時期を拡大することができるようになる。これにより、顧客は、従来よりも長い期間新茶を楽しむことができるようになる。
【0077】
請求項2又は請求項7の発明によれば、摘採後の茶葉を蒸熱し、蒸茶を生成した後、当該蒸茶を揉み荒茶とした茶葉を凍結保存するので、摘採された茶葉を揉茶された荒茶の状態で、茶葉を完全に凍結することができるようになり、冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0078】
請求項3又は請求項8の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項6又は請求項7の発明に加えて、揉茶された荒茶を真空、又は、脱酸素包装するので、茶葉の呼吸及び酸化を抑制することができ、茶葉の褐変を抑制することができるようになる。
【0079】
請求項4又は請求項9の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項7又は請求項8の発明に加えて、茶葉を蒸熱した後、一旦蒸茶の荒熱を冷却し、当該冷却した蒸茶を凍結する以前の温度域で低温保存した後、茶葉を揉むことにより、摘採された茶葉を蒸熱された蒸茶の状態で、一旦低温保存することができるようになる。
【0080】
これにより、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦低温保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【0081】
請求項5又は請求項10の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項7又は請求項8の発明に加えて、茶葉を蒸熱した後、一旦蒸茶の荒熱を冷却し、当該冷却した蒸茶を凍結保存した後、茶葉を揉むことにより、摘採された茶葉を蒸熱された蒸茶の状態で、完全に茶葉を凍結させ、冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0082】
これにより、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦凍結保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、より一層、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の茶葉保存システムの説明図である。
【図2】低温保存した各茶葉のビタミンC分析結果を示す図である。
【図3】低温保存した各茶葉のテアニン分析結果を示す図である。
【図4】低温保存した各茶葉のエピカテキン分析結果を示す図である。
【図5】低温保存した各茶葉のエピガロカテキン分析結果を示す図である。
【図6】低温保存した各茶葉のエピガロカテキンガレート分析結果を示す図である。
【図7】低温保存した茶葉の色差分析結果を示す図である。
【図8】低温保存した茶葉のクロロフィル分析結果を示す図である。
【図9】凍結保存した各茶葉のビタミンC分析結果を示す図である。
【図10】凍結保存した各茶葉のテアニン分析結果を示す図である。
【図11】凍結保存した各茶葉のエピカテキン分析結果を示す図である。
【図12】凍結保存した各茶葉のエピガロカテキン分析結果を示す図である。
【図13】凍結保存した各茶葉のエピガロカテキンガレート分析結果を示す図である。
【図14】他の実施例の茶葉保存システムの説明図である。
【図15】ブラストフリーザーの斜視図である。
【符号の説明】
1、20 茶葉保存システム
2 蒸熱装置
3 ブラストフリーザー
4 冷却保存庫
6 本体
7、8 開口
9 コンベア装置
10 本体
11 開口
12 冷却室
13 扉
14 冷気吐出口
15 コントロールパネル
16 冷気吸込口
17 本体
18 扉
19 コントロールパネル
【発明の属する技術分野】
本発明は、摘採後の茶葉を低温にて保存する茶葉保存方法及び茶葉保存システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、立春から数えて88日目頃にお茶の樹は新芽が出るため、ここで、新芽を摘採し新茶が収穫される。次に伸びた芽を摘採することにより、二番茶が収穫され、更に伸びた芽を摘採することにより、三番茶が収穫される。そのため、茶葉の収穫期において、一時期に大量の茶葉が収穫される。ここで、摘採された茶葉をそのまま放置しておくと茶葉の褐変が生じてしまうため、摘採後直ぐに製茶が行われる。
【0003】
通常製茶工程は、蒸し工程、粗揉工程、揉捻工程、中揉工程、精揉工程、乾燥工程とがあり、これらの工程を経た後、販売店に出荷される。そして、販売店では、火入れ工程、仕上げ工程を経た後、販売される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、通常、新茶は、茶葉が収穫される、所謂、八十八夜頃に(五月頃)一時期に出荷されるため、販売店においても短期間しか一番茶を扱うことができないと云う問題がある。
【0005】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、特に新茶の出荷時期を従来より拡大することができる茶葉保存方法及び茶葉保存システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、請求項1の発明の茶葉保存方法は、摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱ステップと、該蒸熱ステップにて生成された蒸茶を揉む揉茶ステップと、該揉茶ステップにて揉まれた荒茶を当該荒茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存ステップとを含むことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明の茶葉保存方法は、摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱ステップと、該蒸熱ステップにて生成された蒸茶を揉む揉茶ステップと、該揉茶ステップにて揉まれた荒茶を当該荒茶を凍結保存する凍結保存ステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明の茶葉保存方法は、請求項1又は請求項2の発明において、揉茶ステップの後に、揉まれた荒茶を真空、又は、脱酸素包装する包装ステップを実行することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明の茶葉保存方法は、請求項1、請求項2又は請求項3の発明において、蒸熱ステップと揉茶ステップとの間に、蒸熱ステップにて生成された蒸茶の荒熱を除去する冷却ステップと、該冷却ステップにて冷却された蒸茶を、当該蒸茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存ステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明の茶葉保存方法は、請求項1、請求項2又は請求項3の発明において、蒸熱ステップと揉茶ステップとの間に、蒸熱ステップにて生成された蒸茶の荒熱を除去する冷却ステップと、該冷却ステップにて冷却された蒸茶を凍結保存する凍結保存ステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明の茶葉保存システムは、摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱手段と、該蒸熱手段にて生成された蒸茶を、揉む揉茶手段と、当該揉茶手段にて揉まれた荒茶を当該荒茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存手段とから構築されることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明の茶葉保存システムは、摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱手段と、該蒸熱手段にて生成された蒸茶を、揉む揉茶手段と、当該揉茶手段にて揉まれた荒茶を凍結保存する凍結保存手段とから構築されることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明の茶葉保存システムは、請求項6又は請求項7の発明において、揉茶手段により揉まれた荒茶を真空、又は、脱酸素包装する包装手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明の茶葉保存システムは、請求項6、請求項7又は請求項8の発明において、蒸熱手段にて生成された蒸茶の荒熱を除去するための冷却手段と、該冷却手段にて冷却された蒸茶を、当該蒸茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明の茶葉保存システムは、請求項6、請求項7又は請求項8の発明において、蒸熱手段にて生成された蒸茶の荒熱を除去するための冷却手段と、該冷却手段にて冷却された蒸茶を凍結保存する凍結保存手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項1又は請求項6の発明によれば、摘採後の茶葉を蒸熱し、蒸茶を生成した後、当該蒸茶を揉み荒茶とした茶葉を凍結する以前の温度域で低温保存するので、摘採された茶葉を揉茶された荒茶の状態で、低温保存することができるようになる。これにより、茶葉の褐変により生じる風味や味の低減を未然に回避することができるようになる。
【0017】
また、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の出荷を、摘採し、揉茶した後の茶葉を一旦低温保存することにより、出荷の分散化を図ることができ、特に新茶などの出荷時期を拡大することができるようになる。これにより、顧客は、従来よりも長い期間新茶を楽しむことができるようになる。
【0018】
請求項2又は請求項7の発明によれば、摘採後の茶葉を蒸熱し、蒸茶を生成した後、当該蒸茶を揉み荒茶とした茶葉を凍結保存するので、摘採された茶葉を揉茶された荒茶の状態で、茶葉を完全に凍結することができるようになり、冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0019】
請求項3又は請求項8の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項6又は請求項7の発明に加えて、揉茶された荒茶を真空、又は、脱酸素包装するので、茶葉の呼吸及び酸化を抑制することができ、茶葉の褐変を抑制することができるようになる。
【0020】
請求項4又は請求項9の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項7又は請求項8の発明に加えて、茶葉を蒸熱した後、一旦蒸茶の荒熱を冷却し、当該冷却した蒸茶を凍結する以前の温度域で低温保存した後、茶葉を揉むことにより、摘採された茶葉を蒸熱された蒸茶の状態で、一旦低温保存することができるようになる。
【0021】
これにより、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦低温保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【0022】
請求項5又は請求項10の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項7又は請求項8の発明に加えて、茶葉を蒸熱した後、一旦蒸茶の荒熱を冷却し、当該冷却した蒸茶を凍結保存した後、茶葉を揉むことにより、摘採された茶葉を蒸熱された蒸茶の状態で、完全に茶葉を凍結させ、冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0023】
これにより、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦凍結保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、より一層、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用した茶葉保存システム1の説明図である。本発明の茶葉保存システム1は、摘採した直後の茶葉を蒸熱する蒸熱手段としての蒸熱装置2と、蒸熱装置2にて生成された蒸茶の機械による粗揉及び/又は揉捻を行うための揉茶手段としての図示しない揉茶装置と、手揉み若しくは、揉茶装置により揉茶された荒茶を真空又は脱酸素包装する包装手段としての図示しない包装装置と、揉茶された蒸茶を冷却保存する低温保存手段としての冷却保存庫4とから構築されている。
【0025】
前記蒸熱装置2は、例えば本体6の前後に開口7、8が形成されており、コンベア装置9により一方の開口7から本体6内に搬入し、他方の開口8から本体6より搬出される構成とされている。この本体6内には、茶葉を蒸熱するための蒸気による図示しない加熱手段が設けられており、本実施例では、コンベア装置9での移動により、コンベア装置9上に載置された茶葉は、本体6内において、例えば+95℃で30秒間蒸気により加熱されるものとする。尚、ここで、前記加熱時間よりも長い時間、例えば50秒間、蒸気加熱により蒸熱処理した茶葉は、深蒸し葉と呼ばれ、通常よりも酵素の失活を抑制された蒸茶とされる。
【0026】
これにより、蒸熱装置2の開口7から本体6内に搬入された茶葉は、本体6内において、蒸熱され、茶葉中の酸化酵素の働きを止めた状態で、開口8から本体6より搬出される。
【0027】
前記低温保存手段としての冷却保存庫4を構成する本体17は、前面に開口を有して内部に貯蔵室を形成しており、本体17の前面には、開口を開閉自在に閉塞する扉18、18が設けられている。そして、本体17には、貯蔵室を冷却するための図示しない冷却装置が設けられており、この貯蔵室内は、貯蔵室内に予め設けられた温度センサによって温度制御されている。貯蔵室内の設定温度は、本体17前面に設けられたコントロールパネル19によって任意に変更することができる。
【0028】
次に、図1を参照して茶葉保存方法及び茶葉製造方法について説明する。通常、茶葉の収穫期は、一番茶(新茶)の収穫期である5月と、二番茶の収穫期である7月とがあり、本実施例では、一番茶の茶葉製造方法について説明する。一般的に、一番茶と称される茶葉は、新芽であるため、柔らかく、機械による摘採ではかたい茎が茶葉と同時に摘採され、製造される製茶の品質が低下してしまうため、手摘みによる摘採が好ましい。
【0029】
上述の如く、手摘みにより摘採された直後の茶葉、即ち生茶は、そのままの状態で放置されると短時間で褐変してしまうため、摘採された日に蒸熱ステップとして、前記蒸熱装置2にて蒸熱される。即ち、蒸熱装置2の搬入側に位置するコンベア装置9上に、前記茶葉を載置し、蒸熱装置2を運転することにより、コンベア装置9上の茶葉は、本体6内に搬入される。そして、コンベア装置9での移動により、本体6内において、本実施例では、+95℃の蒸気下で30秒間加熱される。尚、深蒸し葉を製茶するためには、ここで、蒸茶時間を例えば50秒間行う。そして、前記蒸気により蒸熱された蒸茶は、コンベア装置9の移動により、本体6から搬出される。
【0030】
ここで、摘採された茶葉は、蒸熱されることにより、柔らかくなると共に、茶葉に含まれる酸化酵素を失活させることにより、茶葉の褐変の開始を遅延させることができる。
【0031】
次いで、蒸熱ステップにて生成された蒸茶は、揉茶ステップに移行し、図示しない加熱手段により加熱しながら約5時間ほど手揉みを行い、荒茶を生成する。通常、この揉茶ステップでは、高温の熱風により茶葉を揉み込む粗揉工程を行った後、茶葉中の水分を均一化させるため時間をかけて揉み込む揉捻工程を行う。更に、揉捻工程の後、人肌程度の温度に加熱しながら揉み込む中揉工程を行う。その後、茶葉のかたちを整える精揉工程を行い高めの温度に加熱し、茶葉中の水分をとばす乾燥を行う。尚、後述される中揉仕上げの茶葉とは、本実施例では、蒸熱された蒸茶を機械により、粗揉工程、揉捻工程、中揉工程まで揉茶した茶葉を云うものとする。
【0032】
尚、ここでは、揉茶ステップのすべてを手揉みにより行っているが、これ以外に揉茶ステップのすべてを機械揉みにより行ってもよいものとする。また、揉茶ステップの途中まで機械揉みにより行った後、手揉みによる揉茶ステップを行ってもよいものとする。
【0033】
次に、揉茶ステップにて揉まれた蒸茶は、包装ステップとして、図示しない包装装置により少量ずつに分けられた荒茶を、真空包装又は脱酸素剤を同封した包装容器内に入れ密閉包装する。
【0034】
これにより、包装容器内に酸素の存在を抑制することができるため、荒茶の呼吸及び酸化を抑制することができ、茶葉の褐変を抑制することができるようになる。
【0035】
そして、少量ずつ真空包装又は脱酸素包装された荒茶は、低温保存ステップにて、前記冷却保存庫4内の貯蔵室内に貯蔵し、低温保存を行う。このとき、揉茶ステップにて生成された荒茶の状態又は、包装ステップにおいて包装された状態で予め荒茶の重量を測定しておき、茶葉の乾燥した状態の重量比によって、荒茶の含有水分量を測定する。このデータに基づいて、冷却保存庫4の貯蔵室内の温度を決定し、コントロールパネル19により、蒸茶が凍結する以前の温度、例えば含有水分量に基づき予測される荒茶の凍結温度が−4.5℃である場合には、−4℃の温度域に設定される。
【0036】
そして、所定の期間冷却保存庫4内にて保存された茶葉は、同時期に摘採された茶葉の出荷時期とは時期を異にして出荷する。
【0037】
ここで、図2乃至図6の分析結果に基づき本発明の茶葉保存方法及び茶葉製造方法によって製造された茶葉の滋味について示す。図2乃至図6における分析対象は、上述の如く蒸茶時に約50秒間蒸茶した深蒸し葉を手揉みした茶葉(以後、深蒸し/手揉みと称する。尚、各図において菱形を付した直線で示す。)、蒸茶時に約30秒間蒸茶した後、機械により中揉工程まで仕上げた茶葉(以後、中揉仕上げと称する。尚、各図において三角形を付した直線で示す。)と、蒸茶時に約30秒間蒸茶した後、機械により中揉工程まで行い、その後、手揉みにより仕上げた茶葉(以後、中揉/手揉みと称する。尚、各図において×印を付した直線で示す。)とする。また、各茶葉は、それぞれ手揉み又は機械揉みした後、それぞれ含有水分量に基づき予測される凍結温度よりも少許高い温度域、本実施例では−4℃又は−5℃の設定温度の冷却保存庫4庫内に4週間、8週間、12週間、16週間、20週間それぞれ保存しておいた茶葉及び保存前の茶葉を使用する。
【0038】
図2は、各茶葉のビタミンCを測定したものである。この分析方法は、高速液体クロマトグラフ(Jasco 800シリーズ(商標名))を用いて、試料2gと2%メタリン酸水溶液とエタノール溶液(50%:50%)100mlを混合後、ホモジナイザー(NISSEI AM(商標名))でホモジナイズ(15000rpm/min)し、ろ過(MILLEX−GP(商標名)0.22μMILLIPORE)後、測定した。
【0039】
これによると、各茶葉において、それぞれのビタミンCは、20週間保存した場合であっても、目立った減少を示していないことが分かる。これにより、蒸茶後、揉茶を行い、低温保存した場合であって、茶葉に含まれるビタミンCが減少しないことが分かる。
【0040】
図3は、各茶葉のテアニン、即ち茶葉の旨味成分を測定したものである。この分析方法は、アミノ酸分析装置(Jasco アミノ酸分析装置(商標名))を用いて、試料2gと蒸留水100mlを混合後、電子レンジで沸騰させ、ホモジナイザー(NISSEI AM(商標名))でホモジナイズ(15000rpm/min)を行い、10倍に希釈し、ろ過(MILLEX−GP(商標名)0.22μMILLIPORE)後、測定した。
【0041】
これによると、各茶葉は、大きな経時的な変化は認められずテアニンが保持されていることが分かる。これにより、蒸茶後、揉茶を行い、低温保存した場合であって、茶葉に含まれるテアニン成分を長期的に維持することが可能であると考えられる。
【0042】
図4乃至図6は、各茶葉のカテキン類(苦渋味成分:エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート)を測定したものである。この分析方法は、高速液体クロマトグラフ(Jasco 800シリーズ(商標名))を用いて、試料2gと蒸留水100mlを混合後、電子レンジで沸騰させ、ホモジナイザー(NISSEI AM(商標名))でホモジナイズ(15000rpm/min)を行い、20倍に希釈し、ろ過(MILLEX−GP(商標名)0.22μMILLIPORE)後、測定した。
【0043】
これによると、中揉仕上げの茶葉は、カテキン類(エピカテキン:EC、エピガロカテキン(EGC))は、殆ど経時的変化は認められないため、低温保存は長期保存に有効であると考えられる。深蒸し/手揉みの茶葉及び中揉/手揉みの茶葉は、カテキン類(エピカテキン:EC、エピガロカテキン(EGC))が8〜12週目まで減少しているが、その後増加している。増加した理由は、手揉み時の茶葉温度が影響したものと考えられる。
【0044】
次に、図7及び図8の分析結果に基づき本発明の茶葉保存方法及び茶葉製造方法によって製造された茶葉の色差及びクロロフィル(緑色色素)分析について示す。図7及び図8における分析対象は、上記中揉仕上げの茶葉とする。係る茶葉は、機械揉みした後、それぞれ含有水分量に基づき予測される凍結温度よりも少許高い温度域、本実施例では−4℃又は−5℃の設定温度の冷却保存庫4庫内に11日、21日、33日、55日それぞれ保存しておいた茶葉及び保存前の茶葉を使用する。
【0045】
図7は、各茶葉のL*値(明度)、a*値(色度 赤−緑方向)、b*値(黄−青方向)、ΔE*ab(色差)を測定したものである。この分析方法は、色彩色差計(ミノルタCT−310(商標名))を用いて、試料2gと蒸留水100mlを混合後、電子レンジで沸騰させ、ホモジナイザー(NISSEI AM(商標名))でホモジナイズ(15000rpm/min)し、10倍に希釈し、ろ過(MILLEX−GP(商標名)0.22μMILLIPORE)後、測定した。
【0046】
これによると、33日目までは、僅かな変化であったが、55日目で明らかな違いが認められた。これにより、少なくとも33日までは、低温保存を行った場合であっても、大きな茶葉の変色は生じないものと考えられる。
【0047】
図8は、各茶葉のクロロフィル(緑色色素)を測定したものである。この分析方法は、緑色色素であるクロロフィルa(660nm)と、クロロフィルb(645nm)及び褐変物質であるフェオフィチン(534nm)を分光光度計(Jasco Ubest−30(商標名))を用いて測定した。試料と100%エタノール100mlを混合後、電子レンジで沸騰させ、ホモジナイザー(NISSEI AM(商標名))でホモジナイズ(15000rpm/min)し、80%エタノールで250mlに定溶後ろ過して測定した。
【0048】
これによると、クロロフィルとフェオフィチンの変化は、保存期間が長くなるに従い、クロロフィルa及びクロロフィルbは減少しているが、あまり大きな減少ではないと考えられる。また、フェオフィチンにおいても大きな増加はみられなかった。
【0049】
これにより、揉茶ステップにおける揉茶方法が異なる場合であっても、当該荒茶の含有水分量に適した温度域で低温保存することにより、茶葉の呼吸や酸化を抑制することができ、味や風味の低下の原因となる褐変を抑制することができるようになる。
【0050】
また、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の出荷を、摘採し、揉茶した後の茶葉を一旦低温保存することにより、出荷の分散化を図ることができ、特に新茶などの出荷時期を拡大することができるようになる。これにより、顧客は、従来よりも長い期間新茶を楽しむことができるようになる。
【0051】
また、上記低温保存に変わって、凍結保存ステップとして、冷却保存庫4の貯蔵室内の温度をコントロールパネル19により、蒸熱し、揉茶した後の荒茶が凍結する温度域、例えば、−18℃の温度域に設定することにより、荒茶を凍結保存することができる。
【0052】
図9乃至図13は、蒸熱し、揉茶した後の荒茶を凍結保存して製造された茶葉の滋味について示す。図9乃至図13における分析対象は、上記図2乃至図6にて示される各茶葉、即ち、深蒸し/手揉みの茶葉と、中揉仕上げの茶葉と、中揉/手揉みの茶葉を用いるものとする。また、各茶葉は、それぞれ手揉み又は機械揉みした後、凍結温度例えば−18℃の設定温度の冷却保存庫4庫内に8週間、20週間それぞれ保存しておいた茶葉及び保存前の茶葉を使用する。
【0053】
図9は、各茶葉のビタミンCを測定したものである。係る分析方法は、図2の説明において示される如き分析方法と同様のものとする。これによると、各茶葉は、20週間、凍結保存した場合であってもビタミンCが減少していないことが分かる。これにより、蒸茶後、揉茶を行い、凍結保存した場合であって、茶葉に含まれるビタミンCが減少しないことが分かる。
【0054】
図10は、各茶葉のテアニン、即ち茶葉の旨味成分を測定したものである。この分析方法は、図3の説明において示される如き分析方法と同様のものとする。これによると、各茶葉は、大きな経時的な変化は認められずテアニンが保持されていることが分かる。これにより、蒸茶後、揉茶を行い、凍結保存した場合であって、茶葉に含まれるテアニン成分を長期的に維持することが可能であると考えられる。
【0055】
図11乃至図13は、各茶葉のカテキン類(苦渋味成分:エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート)を測定したものである。この分析方法は、図4乃至図6の説明において示される如き分析方法と同様のものとする。これによると、各茶葉は、分析したすべてのカテキン類について、殆ど経時的変化は認められないため、凍結保存は長期保存に有効であると考えられる。
【0056】
これにより、蒸熱した後、揉茶した荒茶は、凍結温度で保存することができ、茶葉の呼吸や酸化を著しく抑制することができ、味や風味の低下の原因となる褐変を抑制することができるようになる。
【0057】
この凍結保存は、摘採された茶葉を揉茶された荒茶の状態で、茶葉を完全に凍結することができるようになり、蒸茶の褐変により生じる風味や味の低減を抑制しながら冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0058】
尚、本発明の茶葉保存方法及び茶葉保存システムは、茶葉保存システム1以外に、図14に示す如き茶葉保存システム20であってもよいものとする。この茶葉保存システム20は、上記茶葉保存システム1に加えて、茶葉を蒸熱する蒸熱装置2にて生成された蒸茶の荒熱を除去するための冷却手段としての例えば、ブラストフリーザー3を備えている。
【0059】
このブラストフリーザー3は、冷風式急冷装置であり、図15に示す如く本体10は、前方に開口して内部に冷却室を形成し、本体10の前面には、開口11を開閉自在に閉塞する扉13が設けられている。また、冷却室12の側方には、図示しない冷却装置によって冷却された冷気を図示しない大型送風機により吐出する冷気吐出口14が形成されている。この冷気吐出口14から吐出される冷気は、本体10の前面側部に設けられるコントロールパネル15によって任意に冷気吐出温度及び冷却時間などが設定可能とされている。また、図中16は、冷気吐出口14から吐出された冷気が冷却室12内を循環した後、冷気を本体10内に帰還させるための冷気吸込口である。
【0060】
ここで、前記蒸熱装置2より蒸熱された蒸茶を急冷する際には、前記蒸茶を図示しない網状の容器に収容し、該容器をブラストフリーザー3の冷却室12内に収容し、蒸茶の冷却を行う。前記網状の容器は、比較的網目の細かい容器であり、ブラストフリーザー3の冷気吐出口14から吐出された冷気が直接、網状の容器内に収容された蒸茶に吹き付けられる構造とされている。
【0061】
ここで、図14を参照して係る茶葉保存システム20について説明する。上記茶葉保存システム1と同様に例えば手摘み等により摘採された直後の茶葉、即ち生茶は、そのままの状態で放置されると短時間で褐変してしまうため、摘採された日に蒸熱ステップとして、前記蒸熱装置2にて蒸熱される。ここで、摘採された茶葉は、蒸熱されることにより、柔らかくなると共に、茶葉に含まれる酸化酵素を失活させることにより、茶葉の褐変の開始を遅延させることができる。
【0062】
次いで、蒸熱ステップにて生成された蒸茶は、直ぐに前記網状の容器に収容された後、前記ブラストフリーザー3の冷却室12内に収容される冷却ステップを行う。このブラストフリーザー3では、上述の如く冷気吐出口14から吐出される冷気によって網状の容器に収容された蒸茶の荒熱の除去を行う。このとき、蒸茶の冷却は、冷気吐出口14から吐出される−40℃の冷風により、冷却室12内の温度設定を0℃として1乃至2分間行う。この際、冷気吐出口14から吐出される冷気は、前記大型送風機により勢いよく吐出されるため、網状の容器に収容された蒸茶は、撹拌され、効率よく荒熱の除去を行うことができる。
【0063】
尚、この温度設定及び冷却時間は、前記コントロールパネル15を任意に操作することにより行う。また、このブラストフリーザー3による冷却において、蒸茶が凍結しない程度に冷却される。本実施例では、特に示されていないが、蒸茶の荒熱の除去をより一層効率的に行うため、撹拌装置を設けてもよいものとする。
【0064】
次いで、荒熱を除去した蒸茶は、前記網状の容器から取り出し、包装ステップとして、図示しない包装装置により少量ずつ分けられた蒸茶を、真空包装又は脱酸素剤を同封した包装容器内に入れ密閉包装する。尚、このとき、前記ブラストフリーザー3にて冷却された蒸茶は、凍結しない程度に撹拌されながら冷却されているため、容易に少量ずつ分けて包装を行うことができる。
【0065】
そして、少量ずつ真空包装又は脱酸素包装された蒸茶は、低温保存ステップにて、前記冷却保存庫4内の貯蔵室内に貯蔵し、低温保存を行う。このとき、冷却保存庫4の貯蔵室内の温度は、コントロールパネル19により、蒸茶が凍結する以前の温度域に設定される。これにより、蒸茶は、凍結温度以前の温度域で低温保存することができ、茶葉の呼吸や酸化を抑制することができ、味や風味の低下の原因となる褐変を抑制することができるようになる。
【0066】
ここで、例えば1ヶ月程度低温保存した茶葉は、(矢印の▲1▼に進み)、例えば常温で放置して温度上昇させた後、揉茶ステップにて加熱しながら約5時間ほど手揉みを行い、荒茶を生成する。尚、ここでは、手揉みのみで荒茶を生成しているが、これ以外に、中揉まで機械揉みを行った後、手揉みを行い荒茶を生成してもよく、すべて機械揉みにより荒茶を生成してもよいものとする。
【0067】
その後、揉茶ステップにて揉まれた蒸茶は、包装ステップとして、図示しない包装装置により少量ずつに分けられた荒茶を、真空包装又は脱酸素剤を同封した包装容器内に入れ密閉包装する。
【0068】
そして、少量ずつ真空包装又は脱酸素包装された荒茶は、低温保存ステップにて、前記冷却保存庫4内の貯蔵室内に貯蔵し、低温保存を行う。このとき、揉茶ステップにて生成された荒茶の状態又は、包装ステップにおいて包装された状態で予め荒茶の重量を測定しておき、茶葉の乾燥した状態の重量比によって、荒茶の含有水分量を測定する。このデータに基づいて、冷却保存庫4の貯蔵室内の温度を決定し、コントロールパネル19により、蒸茶が凍結する以前の温度、例えば含有水分量に基づき予測される荒茶の凍結温度が−4.5℃である場合には、−4℃の温度域に設定される。
【0069】
そして、所定の期間冷却保存庫4内にて保存された茶葉は、(矢印の▲2▼に進み)、常温で放置して温度上昇させた後、同時期に摘採された茶葉の出荷時期とは時期を異にして出荷する。
【0070】
これにより、係る茶葉保存システム20では、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の出荷を、摘採し、揉茶した後の茶葉を一旦低温保存することにより、出荷の分散化を図ることができ、特に新茶などの出荷時期を拡大することができるようになる。これにより、顧客は、従来よりも長い期間新茶を楽しむことができるようになる。
【0071】
また、これに加えて、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦低温保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【0072】
また、揉茶ステップの前後における上記低温保存に変わって、凍結保存ステップとして、冷却保存庫4の貯蔵室内の温度をコントロールパネル19により、蒸熱し又は揉茶した後の荒茶が凍結する温度域、例えば、−18℃の温度域に設定することにより、荒茶を凍結保存してもよいものとする。
【0073】
係る場合には、摘採された茶葉を蒸熱された蒸茶、更には揉茶された荒茶の状態で、完全に茶葉を凍結させ、冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0074】
これにより、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦凍結保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、より一層、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1又は請求項6の発明によれば、摘採後の茶葉を蒸熱し、蒸茶を生成した後、当該蒸茶を揉み荒茶とした茶葉を凍結する以前の温度域で低温保存するので、摘採された茶葉を揉茶された荒茶の状態で、低温保存することができるようになる。これにより、茶葉の褐変により生じる風味や味の低減を未然に回避することができるようになる。
【0076】
また、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の出荷を、摘採し、揉茶した後の茶葉を一旦低温保存することにより、出荷の分散化を図ることができ、特に新茶などの出荷時期を拡大することができるようになる。これにより、顧客は、従来よりも長い期間新茶を楽しむことができるようになる。
【0077】
請求項2又は請求項7の発明によれば、摘採後の茶葉を蒸熱し、蒸茶を生成した後、当該蒸茶を揉み荒茶とした茶葉を凍結保存するので、摘採された茶葉を揉茶された荒茶の状態で、茶葉を完全に凍結することができるようになり、冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0078】
請求項3又は請求項8の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項6又は請求項7の発明に加えて、揉茶された荒茶を真空、又は、脱酸素包装するので、茶葉の呼吸及び酸化を抑制することができ、茶葉の褐変を抑制することができるようになる。
【0079】
請求項4又は請求項9の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項7又は請求項8の発明に加えて、茶葉を蒸熱した後、一旦蒸茶の荒熱を冷却し、当該冷却した蒸茶を凍結する以前の温度域で低温保存した後、茶葉を揉むことにより、摘採された茶葉を蒸熱された蒸茶の状態で、一旦低温保存することができるようになる。
【0080】
これにより、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦低温保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【0081】
請求項5又は請求項10の発明によれば、請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項7又は請求項8の発明に加えて、茶葉を蒸熱した後、一旦蒸茶の荒熱を冷却し、当該冷却した蒸茶を凍結保存した後、茶葉を揉むことにより、摘採された茶葉を蒸熱された蒸茶の状態で、完全に茶葉を凍結させ、冷却保存期間を著しく延長させることができるようになる。
【0082】
これにより、茶葉の収穫期に多量に生産される茶葉の製造を、摘採後の茶葉を一旦凍結保存することにより、製造作業の分散化を図ることができ、より一層、収穫期に生じる作業者の負担を著しく軽減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の茶葉保存システムの説明図である。
【図2】低温保存した各茶葉のビタミンC分析結果を示す図である。
【図3】低温保存した各茶葉のテアニン分析結果を示す図である。
【図4】低温保存した各茶葉のエピカテキン分析結果を示す図である。
【図5】低温保存した各茶葉のエピガロカテキン分析結果を示す図である。
【図6】低温保存した各茶葉のエピガロカテキンガレート分析結果を示す図である。
【図7】低温保存した茶葉の色差分析結果を示す図である。
【図8】低温保存した茶葉のクロロフィル分析結果を示す図である。
【図9】凍結保存した各茶葉のビタミンC分析結果を示す図である。
【図10】凍結保存した各茶葉のテアニン分析結果を示す図である。
【図11】凍結保存した各茶葉のエピカテキン分析結果を示す図である。
【図12】凍結保存した各茶葉のエピガロカテキン分析結果を示す図である。
【図13】凍結保存した各茶葉のエピガロカテキンガレート分析結果を示す図である。
【図14】他の実施例の茶葉保存システムの説明図である。
【図15】ブラストフリーザーの斜視図である。
【符号の説明】
1、20 茶葉保存システム
2 蒸熱装置
3 ブラストフリーザー
4 冷却保存庫
6 本体
7、8 開口
9 コンベア装置
10 本体
11 開口
12 冷却室
13 扉
14 冷気吐出口
15 コントロールパネル
16 冷気吸込口
17 本体
18 扉
19 コントロールパネル
Claims (10)
- 摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱ステップと、該蒸熱ステップにて生成された蒸茶を揉む揉茶ステップと、該揉茶ステップにて揉まれた荒茶を当該荒茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存ステップとを含むことを特徴とする茶葉保存方法。
- 摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱ステップと、該蒸熱ステップにて生成された蒸茶を揉む揉茶ステップと、該揉茶ステップにて揉まれた荒茶を当該荒茶を凍結保存する凍結保存ステップとを含むことを特徴とする茶葉保存方法。
- 前記揉茶ステップの後に、揉まれた荒茶を真空、又は、脱酸素包装する包装ステップを実行することを特徴とする請求項1又は請求項2の茶葉保存方法。
- 前記蒸熱ステップと前記揉茶ステップとの間に、前記蒸熱ステップにて生成された蒸茶の荒熱を除去する冷却ステップと、該冷却ステップにて冷却された蒸茶を、当該蒸茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存ステップとを含むことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3の茶葉保存方法。
- 前記蒸熱ステップと前記揉茶ステップとの間に、前記蒸熱ステップにて生成された蒸茶の荒熱を除去する冷却ステップと、該冷却ステップにて冷却された蒸茶を凍結保存する凍結保存ステップとを含むことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3の茶葉保存方法。
- 摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱手段と、該蒸熱手段にて生成された蒸茶を、揉む揉茶手段と、当該揉茶手段にて揉まれた荒茶を当該荒茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存手段とから構築されることを特徴とする茶葉保存システム。
- 摘採後の茶葉を蒸熱する蒸熱手段と、該蒸熱手段にて生成された蒸茶を、揉む揉茶手段と、当該揉茶手段にて揉まれた荒茶を凍結保存する凍結保存手段とから構築されることを特徴とする茶葉保存システム。
- 前記揉茶手段により揉まれた荒茶を真空、又は、脱酸素包装する包装手段を備えることを特徴とする請求項6又は請求項7の茶葉保存システム。
- 前記蒸熱手段にて生成された蒸茶の荒熱を除去するための冷却手段と、該冷却手段にて冷却された蒸茶を、当該蒸茶が凍結する以前の温度域で低温保存する低温保存手段とを備えることを特徴とする請求項6、請求項7又は請求項8の茶葉保存システム。
- 前記蒸熱手段にて生成された蒸茶の荒熱を除去するための冷却手段と、該冷却手段にて冷却された蒸茶を凍結保存する凍結保存手段とを備えることを特徴とする請求項6、請求項7又は請求項8の茶葉保存システム。
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2002
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