JP2004023041A - 半導体装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Masahiro Kiyotoshi
清利 正弘
Soichi Yamazaki
山崎 壮一
Junya Nakahira
中平 順也
Somei Shu
朱 聰明
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Abstract

【課題】電気的特性の向上を図り得るとともに、容易に形成可能なキャパシタ素子を備えた半導体装置を提供する。
【解決手段】トランジスタ3などが形成された半導体基板19の表面を層間絶縁膜5で覆った後、ルテニウムからなるキャパシタ用下部電極12aを形成する。基板19上に、下部電極12aの表面上がペロブスカイト型結晶構造を有する厚肉の結晶膜、その他の領域が薄肉の非晶質膜である、キャパシタ下層誘電体膜17aとなる第1層目のSTO膜18aを形成する。STO膜18aの上に、下部電極12a付近がペロブスカイト型結晶構造を有する厚肉の結晶膜で、その他の領域が薄肉の非晶質膜である、キャパシタ上層誘電体膜17bとなる第2層目のSTO膜18bを形成する。上層誘電体膜17bの上にルテニウムからなるキャパシタ用上部電極12bを形成し、キャパシタ素子11を形成する。
【選択図】  図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置のキャパシタ構造に係り、特にキャパシタ用誘電体膜としてBST、STO、PZT等の金属酸化物薄膜を使用して、キャパシタの電気的特性および加工性の改良を図った半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子デバイスのダウンサイジング化に伴い、単にデバイス内部の回路構成を工夫するだけでは、所望される電子デバイスの機能を得ることが困難になりつつある。所望される電子デバイスの機能を得るためには、機能性薄膜等のデバイスを構成する材料自体の特性をも利用して回路を形成することが有利になりつつある。電子デバイスの中には、情報の記憶動作を主な機能とするものがある。そのような電子デバイスとしては、例えば複数個のトランジスタ同士を組み合わせたSRAM(Static Random Access read write Memory)またはEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、あるいは複数個のトランジスタとキャパシタとを組み合わせたDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの各種集積回路が挙げられる。これらの集積回路の機能を、例えばMOSトランジスタおよびMOSキャパシタの各素子を組み合わせた回路構成のみで満足させることは、それら各素子のセル面積が縮小される中で非常に困難になりつつある。
【0003】
特に、キャパシタ素子のS/N比を低下させないためには、たとえ集積回路の最小加工寸法が小さくなっても、一定のキャパシタ容量を確保しなければならない。このため、キャパシタ素子用の誘電体膜として、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはシリコン酸化膜の積層膜(NO膜)などよりも高い比誘電率を発現する機能性薄膜の採用が検討されている。このような機能性薄膜は、例えばTa,Ba−Sr−Ti−O(BST),Sr−Ti−O(STO),Pb−Zr−Ti−O(PZT),またはSr−Bi−Ta−O(SBT)等の材料によって形成されている。また、キャパシタ形成材料として機能性薄膜を採用することに伴って、FeRAM(Ferroelectric Random Access read write Memory)等の新しい機能を有するデバイスが提案され始めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
とりわけ、BaSr1−xTiO (BST)や、PbZrTi1−x (PZT)などは、数百以上の比誘電率を実現できる。このため、BSTやPZTなどは将来のキャパシタ誘電体膜への採用が極めて有望視されている。ところが、BSTやPZTなどは、従来の半導体装置では使われていなかった元素を多く含んでいる。これにより、BSTやPZTなどを半導体装置の形成材料として採用するにあたっては、色々な問題が発生する。例えば、BSTやSTOは、BaやSrなどのアルカリ土類金属を構成元素として含んでいる。ところが、アルカリ土類金属は高い蒸気圧を持つ化合物が存在しないために、ドライエッチングが困難であるという問題がある。
【0005】
以下、図11を参照しつつ、具体例を挙げて簡潔に説明する。
【0006】
図11(a)に示すように、高誘電体キャパシタ101の上部電極102となる電極膜103を形成した直後の状態では、プラグ104およびキャパシタ下部電極105が形成された半導体基板106の表面全体を、キャパシタ誘電体膜107および電極膜103が被覆した状態になっている。ここで、誘電体膜107は、BSTやSTOなどによって形成されているとする。この状態に続いて、RIEによる電極膜103のパターニングを行う。この際、誘電体膜107も一緒にエッチングしてしまうことが好ましい。なぜなら、図11(b)に示すように、コンタクトホール108を開孔するにあたり、少なくとも誘電体膜107の一部をエッチングして除去する必要があるからである。
【0007】
しかし、先に述べたように、BaやSrには高い蒸気圧を有するハロゲン化合物が存在しない。このため、図11(b)に示すように、RIE時にスパッタリングされた誘電体膜107の形成材料であるBaやSrの化合物109が、キャパシタ上部電極102(電極膜103)や、キャパシタ上部電極102上に設けられたフォトレジスト110の開孔部側面にフェンス状に付着するという問題が生じる。また、基板106上からBaやSrの化合物109を除去しても、これらの化合物109がエッチング装置内の壁面等に付着し、発塵、クロスコンタミネーション等を引き起こすという問題があった。
【0008】
エッチングの方法としては、RIE以外に、例えば弗酸等を用いるウェットエッチングが考えられる。ところが、BSTやSTOの結晶のエッチングレートは、通常のシリコン酸化膜に比べて低い。このため、層間絶縁膜(誘電体膜)に対して、選択的にウェットエッチングを施すことが困難であるという問題があった。また、エッチングされずに残った高誘電体膜は、通常のシリコン酸化膜系の層間絶縁膜に比べて30〜80倍程度の比誘電率を示すために、寄生容量になり易いという問題もあった。
【0009】
本発明は、以上説明したような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電子デバイスのダウンサイジング化に伴う電気的特性の劣化を抑制して、電気的特性の向上を図り得るとともに、容易に形成可能なキャパシタ素子を備えた半導体装置を提供することにある。それとともに、そのような半導体装置を効率よく容易に製造できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置は、基板上に選択的に設けられたキャパシタ用下部電極と、前記基板および前記下部電極の表面を覆うように設けられたキャパシタ誘電体膜と、このキャパシタ誘電体膜の表面上に設けられたキャパシタ用上部電極とを具備してなり、前記キャパシタ誘電体膜は、前記下部電極以外に設けられた部分が、前記下部電極の表面上に設けられた部分よりも薄く形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
この半導体装置においては、キャパシタ用下部電極以外の部分に設けられたキャパシタ誘電体膜が、キャパシタ用下部電極の表面上に設けられたキャパシタ誘電体膜よりも薄く形成されている。すなわち、キャパシタ素子の構成に実質的に寄与しない部分のキャパシタ誘電体膜が薄肉に形成されている。これにより、この半導体装置は、キャパシタ素子の電気的特性が低下するおそれがないとともに、例えばRIEやエッチングなどによる不要なキャパシタ誘電体膜の除去が容易であり、かつ、除去されたキャパシタ誘電体膜がキャパシタ素子の電気的不良の原因となるおそれも低減されている。したがって、この半導体装置は、高い比誘電率を発現できる高誘電体膜をキャパシタ誘電体膜として採用し易いので、電荷蓄積能力が高い高誘電体キャパシタ素子を形成し易いとともに、このような高誘電体キャパシタ素子を内部に組み込み易い。
【0012】
また、前記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置は、基板上に選択的に設けられたキャパシタ用下部電極と、前記基板および前記下部電極の表面を覆うように設けられたキャパシタ誘電体膜と、このキャパシタ誘電体膜の表面上に設けられたキャパシタ用上部電極とを具備してなり、前記キャパシタ誘電体膜は、前記下部電極の表面上に設けられた部分がペロブスカイト型の結晶構造を有する金属酸化物の結晶膜として形成されているとともに、前記下部電極以外に設けられた部分が金属酸化物の非晶質膜として形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
この半導体装置においては、キャパシタ用下部電極の表面上に設けられたキャパシタ誘電体膜がペロブスカイト型の結晶構造を有する金属酸化物の結晶膜として形成されているとともに、キャパシタ用下部電極以外の部分に設けられたキャパシタ誘電体膜が金属酸化物の非晶質膜として形成されている。すなわち、キャパシタ素子の構成に実質的に寄与しない部分のキャパシタ誘電体膜が非晶質膜に形成されている。これにより、この半導体装置は、キャパシタ素子の電気的特性が低下するおそれがないとともに、例えばRIEやエッチングなどによる不要なキャパシタ誘電体膜の除去が容易であり、かつ、除去されたキャパシタ誘電体膜がキャパシタ素子の電気的不良の原因となるおそれも低減されている。したがって、この半導体装置は、高い比誘電率を発現できる高誘電体膜をキャパシタ誘電体膜として採用し易いので、電荷蓄積能力が高い高誘電体キャパシタ素子を形成し易いとともに、このような高誘電体キャパシタ素子を内部に組み込み易い。
【0014】
また、本発明に係る半導体装置を実施するにあたり、その構成などの一部を以下に述べるような設定としても構わない。
【0015】
前記キャパシタ誘電体膜は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素、およびペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素を、それぞれ少なくとも1種類ずつ主たる成分として含む金属酸化物によって形成されている。
【0016】
前記ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素は、II−A族、III−A族、およびIV−B族のうちの少なくとも1種類の金属元素であるとともに、前記ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素は、IV−A族、V−A族、およびIV−B族のうちの少なくとも1種類の金属元素である。
【0017】
前記ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素は、Ba,Sr,Pb,Laのうちの少なくとも1種類の金属元素であるとともに、前記ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素は、Ti,Zr,Nb,Ta,Snのうちの少なくとも1種類の金属元素である。
【0018】
前記キャパシタ誘電体膜は、前記下部電極と接触する下層誘電体膜、および前記上部電極と接触する上層誘電体膜の2層構造に形成されている。
【0019】
前記上層誘電体膜は、前記下部電極の表面上に設けられた部分が、前記下部電極以外に設けられた部分よりも厚く形成されている。
【0020】
前記下層誘電体膜のうち、前記下部電極の表面上に設けられた下層誘電体膜には、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素とBサイトを形成する金属元素とが略同量含まれているとともに、前記下部電極以外の部分に設けられた下層誘電体膜には、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素がBサイトを形成する金属元素よりも多く含まれている。
【0021】
前記上層誘電体膜のうち、前記下部電極の周りに設けられた上層誘電体膜には、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素とBサイトを形成する金属元素とが略同量含まれているとともに、前記下部電極の周り以外の部分に設けられた上層誘電体膜には、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素がAサイトを形成する金属元素よりも多く含まれている。
【0022】
前記キャパシタ用下部電極および前記キャパシタ用上部電極は、それぞれVII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる成分として含む材料によって形成されている。
【0023】
前記キャパシタ用下部電極および前記キャパシタ用上部電極は、それぞれRu,Pt,Ir,Pd,Os,Re,Rhのうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる成分として含む材料によって形成されている。
【0024】
本発明に係る半導体装置を実施するにあたり、その構成などの一部を以上述べたような各種設定とすることにより、キャパシタ誘電体膜や下部および上部のキャパシタ用電極の電気的性能を容易に向上させることができる。したがって、キャパシタ素子の電荷蓄積能力、ひいては半導体装置の電気的性能を容易に向上させることができる。
【0025】
また、前記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板上に、VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる構成成分とするキャパシタ素子の下部電極を設ける工程と、前記下部電極の露出表面を覆うように、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素およびペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素をそれぞれ少なくとも1種類ずつ主たる成分として含む金属酸化物からなるキャパシタ誘電体膜を、400℃以下の温度で前記基板上に設ける工程と、前記キャパシタ誘電体膜に500℃以上の温度で加熱処理を施す工程と、前記下部電極との間に前記キャパシタ誘電体膜を挟むように、VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる成分として含む前記キャパシタ素子の上部電極を、前記キャパシタ誘電体膜の露出表面上に設ける工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0026】
この半導体装置の製造方法においては、キャパシタ素子の下部電極および上部電極を、VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる構成成分として形成する。それとともに、キャパシタ誘電体膜を、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素、およびペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素を、それぞれ少なくとも1種類ずつ主たる成分として含む金属酸化物により形成する。また、キャパシタ誘電体膜を400℃以下の温度で基板上に設けた後、このキャパシタ誘電体膜に500℃以上の温度で加熱処理を施す。
【0027】
これにより、キャパシタ素子の下部電極以外の部分に設けられるキャパシタ誘電体膜を、キャパシタ用下部電極の露出表面上に設けられるキャパシタ誘電体膜よりも薄く形成できる。それとともに、キャパシタ用下部電極の露出表面上に設けられるキャパシタ誘電体膜を、ペロブスカイト型の結晶構造を有する金属酸化物の結晶膜として形成できるとともに、キャパシタ用下部電極以外の部分に設けられるキャパシタ誘電体膜を、金属酸化物の非晶質膜として形成できる。すなわち、キャパシタ素子の構成に実質的に寄与しない部分のキャパシタ誘電体膜を薄肉な非晶質膜に形成できる。
【0028】
この結果、キャパシタ素子の電気的特性を低下させることなく、例えばRIEやエッチングなどにより不要なキャパシタ誘電体膜の除去を行い易くできるとともに、除去されたキャパシタ誘電体膜がキャパシタ素子の電気的不良の原因となるおそれも低減させることができる。したがって、高い比誘電率を発現できる高誘電体膜をキャパシタ誘電体膜として採用し易いので、電荷蓄積能力が高い高誘電体キャパシタ素子を形成し易くなるとともに、このような高誘電体キャパシタ素子を半導体装置内に組み込み易くなる。
【0029】
また、前記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板上に、VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる構成成分とするキャパシタ素子の下部電極を設ける工程と、前記下部電極の露出表面を覆うように、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素およびペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素をそれぞれ少なくとも1種類ずつ主たる成分として含む金属酸化物からなるキャパシタ誘電体膜の下層誘電体膜を、400℃以下の温度で前記基板上に設ける工程と、前記下層誘電体膜に500℃以上の温度で加熱処理を施す工程と、前記下層誘電体膜の露出表面を覆うように、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素およびペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素をそれぞれ少なくとも1種類ずつ主たる成分として含む金属酸化物からなるキャパシタ誘電体膜の上層誘電体膜を、420℃以上の温度で前記下層誘電体膜の上に積層させて設ける工程と、前記下部電極との間に前記下層誘電体膜および前記上層誘電体膜の2層構造からなる前記キャパシタ誘電体膜を挟むように、VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる成分として含む前記キャパシタ素子の上部電極を、前記上層誘電体膜の露出表面上に設ける工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0030】
この半導体装置の製造方法においては、キャパシタ素子の下部電極および上部電極を、VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる構成成分として形成する。それとともに、キャパシタ誘電体膜の下層誘電体膜および上層誘電体膜を、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素、およびペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素を、それぞれ少なくとも1種類ずつ主たる成分として含む金属酸化物により形成する。また、キャパシタ誘電体膜の下層誘電体膜を400℃以下の温度で基板上に設けた後、この下層誘電体膜に500℃以上の温度で加熱処理を施す。さらに、キャパシタ誘電体膜の上層誘電体膜を、420℃以上の温度で下層誘電体膜の上に積層させる。
【0031】
これにより、キャパシタ素子の下部電極以外の部分に設けられるキャパシタ誘電体膜の下層誘電体膜および上層誘電体膜を、下部電極の露出表面上に設けられる下層誘電体膜および上層誘電体膜よりもそれぞれ薄く形成できる。併せて、キャパシタ用下部電極の露出表面上に設けられるキャパシタ誘電体膜の下層誘電体膜および上層誘電体膜を、ともにペロブスカイト型の結晶構造を有する金属酸化物の結晶膜として形成できるとともに、キャパシタ用下部電極以外の部分に設けられるキャパシタ誘電体膜の下層誘電体膜および上層誘電体膜を、ともに金属酸化物の非晶質膜として形成できる。特に、下層誘電体膜をシード層として上層誘電体膜を形成することにより、上層誘電体膜の膜厚の差を、下層誘電体膜の膜厚の差よりも大幅に増大させることができる。したがって、キャパシタ素子の構成に実質的に寄与する部分のキャパシタ誘電体膜を、所望するキャパシタ素子の電気的特性を得るために必要十分な膜厚に形成しつつ、キャパシタ素子の構成に実質的に寄与しない部分のキャパシタ誘電体膜をより薄肉な非晶質膜に形成できる。
【0032】
この結果、キャパシタ素子の電気的特性を低下させることなく、例えばRIEやエッチングなどによる不要なキャパシタ誘電体膜の除去をより行い易くできるとともに、除去されたキャパシタ誘電体膜がキャパシタ素子の電気的不良の原因となるおそれもより低減させることができる。したがって、高い比誘電率を発現できる高誘電体膜をキャパシタ誘電体膜としてより採用し易いので、電荷蓄積能力が高い高誘電体キャパシタ素子をより形成し易くなるとともに、このような高誘電体キャパシタ素子を半導体装置内により組み込み易くなる。
【0033】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法を実施するにあたり、その工程などの一部を以下に述べるような設定としても構わない。
【0034】
前記ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素として、II−A族、III−A族、およびIV−B族のうちの少なくとも1種類の金属元素を含ませ、かつ、前記ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素として、IV−A族、V−A族、およびIV−B族のうちの少なくとも1種類の金属元素を含ませる。
【0035】
前記ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素として、Ba,Sr,Pb,Laのうちの少なくとも1種類の金属元素を含ませ、かつ、前記ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素として、Ti,Zr,Nb,Ta,Snのうちの少なくとも1種類の金属元素を含ませる。
【0036】
前記キャパシタ用下部電極および前記キャパシタ用上部電極を、それぞれRu,Pt,Ir,Pd,Os,Re,Rhのうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる成分として含む材料によって形成する。
【0037】
本発明に係る半導体装置の製造方法を実施するにあたり、その工程などの一部を以上述べたような各種設定とすることにより、キャパシタ誘電体膜や下部および上部のキャパシタ用電極の電気的性能を容易に向上させることができる。したがって、キャパシタ素子の電荷蓄積能力、ひいては半導体装置の電気的性能を容易に向上させることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0039】
(第1の実施の形態)
先ず、本発明に係る第1実施形態を図1〜図5を参照しつつ説明する。図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置のキャパシタ素子付近の構成および製造工程を示す断面図である。図4は、キャパシタ誘電体膜としてのSTO膜の成膜特性の温度依存性を示す図である。図5は、STO膜中のSrおよびTiの堆積速度とTiの供給速度との相関関係を示す図である。
【0040】
先ず、図1(a)に示すように、素子分離領域2などが形成された基板本体1上に、トランジスタ3やビット線4などを形成し、層間絶縁膜5で被覆する。この層間絶縁膜5内に図示しないコンタクトホールを形成した後、コンタクトホール内にバリアメタル6およびタングステン(W)膜7を埋め込む。続けて、コンタクトホールの外側に付着している余分なバリアメタル6およびタングステン膜7をCMP法により研磨して除去し、コンタクトプラグ8を形成する。以下の説明において、前記各素子が設けられているとともに、後述するキャパシタ素子11などが設けられる基板本体1を、まとめて半導体基板19と称することとする。
【0041】
次に、層間絶縁膜5上に電極支持層となるシリコン窒化膜9をLPCVD法により約80nm形成する。続けて、シリコン窒化膜9上にシリコン酸化膜10をプラズマCVD法により約500nm形成する。この後、コンタクトプラグ8の上方のシリコン酸化膜10およびシリコン窒化膜9をフォトリソグラフィ技術およびRIE技術によりエッチングして、後述するキャパシタ用下部電極12aの鋳型となるキャビティ13を形成する。これにより、コンタクトプラグ8の上面(表面)が露出する。
【0042】
次に、図1(b)に示すように、キャビティ13内にバリアメタルとしての窒化チタンアルミニウム膜14をスパッタリング法により約20nm形成する。この際、窒化チタンアルミニウム膜14は、その下面(底面)がコンタクトプラグ8の上面に接触するように形成される。これにより、コンタクトプラグ8は、その上面を窒化チタンアルミニウム膜14の下面により覆われる。続けて、窒化チタンアルミニウム膜14の内側に、ルテニウム(Ru)−CVD法のシードとして用いるルテニウム膜をスパッタリング法により約10nm形成する。続けて、このルテニウム膜の内側に、Ru(EtCp) [=Ru(C]を原料として用いる熱CVD法により、ルテニウム膜をさらに約25nm形成し、合計約35nmのルテニウム(Ru)膜15を形成する。続けて、半導体基板19の全面にフォトレジスト16を塗布した後、CMP法によりエッチバックを行い、窒化チタンアルミニウム膜14およびルテニウム膜15をキャビティ13の内部にのみ残存させる。
【0043】
次に、図2(a)に示すように、希弗酸を用いてシリコン酸化膜10を除去する。続けて、硫酸および過酸化水素水の混合溶液を用いたウェットエッチングにより、ルテニウム膜15の外側壁面に残存している窒化チタンアルミニウム膜14を除去する。この後、アッシャーにより、フォトレジスト16を除去する。これにより、キャパシタ素子11が備える2つのキャパシタ用電極12のうちの一方の電極であるルテニウムからなるキャパシタ用下部電極12aが、半導体基板19上に選択的に形成される。この際、キャパシタ用下部電極12aの下部(底部)は、その一部が窒化チタンアルミニウム膜14の内部に埋まった状態となっている。すなわち、キャパシタ用下部電極12aの下部は、その一部が窒化チタンアルミニウム膜14により包まれた状態となっている。これにより、キャパシタ用下部電極12aの下面(底面)は、窒化チタンアルミニウム膜14に接触して、露出しないように覆われている。また、図2(a)に示す電極形状は、一般にシリンダ(Cylinder)形状と称される。このようなシリンダ型のキャパシタ用下部電極12aを有するキャパシタ素子11の構造は、一般にシリンダ型構造と称される。
【0044】
次に、キャパシタ誘電体膜17を形成する。本実施形態においては、キャパシタ誘電体膜17を、下部電極12aの周りの部分と下部電極12aの周り以外の部分とで異なる膜厚に形成する。具体的には、下部電極12aの表面から離れた部分に設けられるキャパシタ誘電体膜17を、下部電極12aの表面付近に設けられるキャパシタ誘電体膜17よりも薄肉に形成する。それとともに、キャパシタ誘電体膜17を、下部電極12aの周りの部分と下部電極12aの周り以外の部分とで異なる構造(組成)に形成する。具体的には、下部電極12aの表面付近に設けられるキャパシタ誘電体膜17をペロブスカイト型の結晶構造を有する金属酸化物の結晶膜に、かつ、下部電極12aの表面から離れた部分に設けられるキャパシタ誘電体膜17を金属酸化物の非晶質膜に形成する。また、本実施形態においては、キャパシタ誘電体膜17を、下部電極12aと接触する下層誘電体膜17aと、キャパシタ用電極12の他方の電極であるキャパシタ用上部電極12bと接触する上層誘電体膜17bとからなる2層構造に形成する。このようなキャパシタ誘電体膜17の構造は、後述する第2〜第4実施形態についても同様である。
【0045】
ここで、本実施形態のキャパシタ誘電体膜17を形成するペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物について簡潔に説明する。
【0046】
ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物は、一般に、その組成式をABO3−d:0≦d≦1で表される。この組成式中Aは、ペロブスカイト型結晶構造中のいわゆるAサイトを形成する所定の金属元素を表す。このAサイトを形成する金属元素は、通常、II−A族、III−A族、およびIV−B族のうちのいずれかの金属元素である。同様に、前記組成式中Bは、ペロブスカイト型結晶構造中のいわゆるBサイトを形成する所定の金属元素を表す。このBサイトを形成する金属元素は、通常、IV−A族、V−A族、およびIV−B族のうちのいずれかの金属元素である。
【0047】
したがって、キャパシタ誘電体膜17を形成する金属酸化物の膜は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成するII−A族、III−A族、およびIV−B族のうちの金属元素を少なくとも1種類含んでいるとともに、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成するIV−A族、V−A族、およびIV−B族のうちの金属元素を少なくとも1種類含んでいる原料により形成される。具体的には、この金属酸化物の膜は、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素としてBa,Sr,Pb,Laのうちの少なくとも1種類の金属元素を含むとともに、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素としてTi,Zr,Nb,Ta,Snのうちの少なくとも1種類の金属元素を含む原料を用いて形成されることが好ましい。すなわち、キャパシタ誘電体膜16は、組成式がABO3−d:0≦d≦1, A:Ba,Sr,Pb,La ; B:Ti,Zr,Nb,Ta,Snで表されるペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物の膜により形成されることが好ましい。
【0048】
本実施形態においては、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素としてSrを含むとともに、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素としてTiを含む原料を用いて、下層誘電体膜17aおよび上層誘電体膜17bを形成する。以下、下層誘電体膜17aおよび上層誘電体膜17bの成膜方法について詳述する。
【0049】
先ず、第1層目のキャパシタ誘電体膜としての下層誘電体膜17aを形成する。本実施形態においては、下層誘電体膜17aを、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物の膜であるSr−Ti−O膜 [=STO膜]18aを用いて形成する。このSTO膜18aは、CVD法により形成される。以下、下層誘電体膜17aの成膜方法について詳述する。
【0050】
前述した構造からなるキャパシタ誘電体膜17を形成するために、CVDの原料として、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素、およびペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素を、それぞれ少なくとも1種類ずつ主たる成分として含む原料を用いる。
【0051】
本実施形態においては、CVDの原料、すなわちSTO膜18aの形成材料として、Sr(DPM) [=Sr(C1119]およびTi(DPM)(i−OCのそれぞれのTHF [=CO]溶液を用いた。各THF溶液の濃度は、それぞれ約0.5モル/リットルである。酸化剤としては高純度酸素を用いた。
【0052】
ここで、本発明者らが調べた一般的なSTO膜の成膜特性の温度依存性について、図4を参照しつつ説明する。
【0053】
図4は、Ru/SiO/Si基板上でSTO膜のSr/Ti比を略1とした場合の、SiO/Si基板上でのSTO膜の組成の成膜温度依存性を示すものである。STO膜を成膜する際の評価用下地基板として、図示しないRu/SiO/Si基板と、同じく図示しないSiO/Si基板とを用意した。Srの原料の供給速度を一定とし、Ru/SiO/Si基板上でSTO膜のSr/Ti比が略1となるようにTiの原料の供給速度を調整する作業を、様々な成膜温度について行った。具体的な成膜温度は、それぞれ約340℃、360℃、380℃、400℃、420℃、450℃、480℃である。
【0054】
図4より分かるように、成膜温度が高い場合、Ru/SiO/Si基板上とSiO/Si基板上とでは、STO膜の組成に差違は殆ど見られない。ところが、成膜温度を約420℃以下に下げていくと、Ru/SiO/Si基板上に比べて、SiO/Si基板上ではSTO膜の組成が、TiよりもSrが多くなる傾向が見られる。すなわち、STO膜の組成が、いわゆるSrリッチな状態になっていく傾向が見られる。Srは、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する成分の1種類である。Tiは、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する成分の1種類である。したがって、成膜温度を約420℃以下に下げていくと、Ru/SiO/Si基板上に比べて、SiO/Si基板上ではSTO膜の組成が、いわゆるAサイトリッチな状態になることが分かる。また、この場合のSTO膜の膜厚を比較したところ、Ru/SiO/Si基板上に比べて、SiO/Si基板上ではSTO膜の膜厚が薄くなる傾向も観察された。
【0055】
このように、STO膜の成膜作業を約420℃より低い低温域で行うことにより、STO膜の組成および膜厚を、ルテニウムを含んでいる箇所の付近とその他の領域とで容易に作り分けることが可能であることが分かる。すなわち、本実施形態では、STO膜18aの成膜作業を約420℃より低い低温域で行うことにより、STO膜18aの組成および膜厚を、ルテニウムからなる下部電極(ルテニウム電極)12aの表面付近と、下部電極12aの表面から離れたの領域とで容易に作り分けることが可能である。
【0056】
なお、ここではルテニウムを主成分とするRu/SiO/Si基板上での成膜結果について説明したが、本発明者らが鋭意検討した結果では、他の貴金属元素を主成分とする基板上でも略同様の結果が得られた。具体的には、Pt,Ir,Pd,Os,Re,Rh,およびこれら各金属元素の合金など、VII−A族またはVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主成分とする基板(部位)上でも略同様の結果が得られた。これは、前記各貴金属元素が触媒効果を有しており、有機物や有機金属錯体の分解を促進する性質があるためと考えられる。
【0057】
また、誘電体膜の下地の主成分となる金属元素の種類に応じて、CVD原料のガスを適宜、適切に選定することにより、Ba−Sr−Ti−O膜 [=BST膜]、Pb−Ti−O膜 [=PT膜]、Pb−Zr−Ti−O膜 [=PZT膜]、あるいはSr−Bi−Ta−O膜 [=SBT膜]などについても同様の下地依存性を発現させることができることが分かった。それら各膜の詳細については、後述する第2〜第4実施形態において個別に説明する。
【0058】
実際のSTO膜18aの成膜作業は、以下に説明するように行われた。
【0059】
図2(b)に示すように、下部電極(ルテニウム電極)12aが形成された半導体基板19を約380℃に加熱し、下部電極12aの露出表面を覆うように下層誘電体膜17aとなる第1層目のSTO膜18aを形成する。この際、下部電極12aのうち、窒化チタンアルミニウム膜14により覆われていない部分の周辺、すなわち下部電極12aの露出表面付近において、Sr/Ti比が約1.05のSTO膜18aが約3nm形成されるように成膜条件を設定する。すると、半導体基板19上の下部電極12aが形成されていない部分、すなわち下部電極12aの表面から離れた領域では、STO膜18aが約2nm以下しか形成されなかった。しかも、下部電極12aの表面から離れた領域でのSTO膜18aのSr/Ti比は、約1.3になった。つまり、この状態において、下部電極12aの表面付近に形成されたSTO膜18a内には、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する成分とBサイトを形成する成分とが略同量含まれている。これに対して、下部電極12aの表面から離れた領域に形成されたSTO膜18a内には、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する成分がBサイトを形成する成分よりも多く含まれており、いわゆるAサイト過剰(Aサイトリッチ)な状態になっている。なお、この状態においては、STO膜18aは、下部電極12aの表面付近および下部電極12aの表面から離れた領域ともに、非晶質膜となっている。
【0060】
また、この状態において、下部電極12aは、その下側の外側面の一部および下面(底面)が窒化チタンアルミニウム膜14に接触して覆われている。この下部電極12aの窒化チタンアルミニウム膜14に接触している部分を、例えば下部電極12aの下側表面とする。それとともに、下部電極12aは、その上側の外側面および内側面など、前記下側表面以外の部分が下層誘電体膜17aとなる第1層目のSTO膜18aに接触して覆われている。この下部電極12aのSTO膜18aに接触している部分を、例えば下部電極12aの上側表面とする。このように、下部電極12aは、その下側表面を窒化チタンアルミニウム膜14により覆われるとともに、その上側表面をSTO膜18aにより覆われる。これにより、下部電極12aは、その表面全体が外部に露出されない。
【0061】
次に、半導体基板19の表面を大気曝露させることなく、STO膜18aに結晶化熱処理(アニール処理)を施す。この際、半導体基板19の周りの雰囲気を窒素で充満させるとともに、気圧を約133Paに設定する。この雰囲気下において、STO膜18aに約575℃で約10分間熱を加える。下部電極12aの表面付近に形成されたSTO膜18aの組成は、Aサイト/Bサイト比が約1である。これに対して、下部電極12aの表面から離れた領域に形成されたSTO膜18aの組成は、Aサイト/Bサイト比が約1.3であり、ペロブスカイト型結晶構造が生成される化学量論比よりも、Aサイトリッチ(Srリッチ)な状態になっている。したがって、下部電極12aの表面付近に形成されたSTO膜18aのみ結晶化され、ペロブスカイト型結晶構造が生成される。他方、下部電極12aの表面から離れた領域に形成されたSTO膜18aはAサイト過剰な状態であるため、結晶化できず非晶質膜のままである。したがって、以上説明した工程により、前述した所望の構造および膜質からなる下層誘電体膜17aを成膜することができた。
【0062】
次に、第2層目のキャパシタ誘電体膜としての上層誘電体膜17bを形成する。本実施形態においては、上層誘電体膜17bを、下層誘電体膜17aと同様にSTO膜を用いて形成する。この際、下層誘電体膜17aが成膜された半導体基板19の表面を大気曝露させることなく、上層誘電体膜17bとなる第2層目のSTO膜18bを形成する。
【0063】
ここで、本発明者らが調べた一般的なSTO膜中のSrおよびTiの堆積速度とTiの供給速度との相関関係について、図5を参照しつつ説明する。
【0064】
図5は、SiO/Si基板上およびRu/SiO/Si基板上での、STO膜中のSrおよびTiの堆積速度をTiの原料の供給速度に対してプロットして示すものである。ここで、STO膜の成膜温度は約440℃に設定した。
【0065】
図5より分かるように、SiO/Si基板上では、Srの堆積速度はTiの原料の供給速度に殆ど依存しないのに対して、Tiの堆積速度はTiの原料の供給速度に略比例して単調に変化する。これに対して、Ru/SiO/Si基板上では、SrおよびTiの両金属元素の堆積速度は不連続的に変化し、Tiの原料の供給速度が低い条件下では、Tiの原料の供給速度に対するSrおよびTiの堆積速度の依存性が極めて低くなっている。また、このような条件下で形成されるSTO膜は、結晶化していることが確認された。Tiの原料の供給速度を上げていくと、SrおよびTiの堆積速度は減少する。それらの減少幅はTiよりもSrの方が大きく、Sr/Ti比は約0.8程度まで減少する。このような、いわゆるTiリッチ(Bサイトリッチ)な条件下で形成されるSTO膜は、非晶質の状態で結晶化していないことが確認された。
【0066】
このように、STO膜を成膜しつつ結晶化させる、いわゆるin−situ結晶化を行うために必要な成膜温度は、STO膜の下地(シード層)がペロブスカイト型結晶である場合とペロブスカイト型結晶以外である場合とで異なっている。ペロブスカイト型結晶の下地の上にSTO膜を成膜する場合の成膜温度は、ペロブスカイト型結晶以外の下地の上にSTO膜を成膜する場合の成膜温度に比べて、約30〜60℃低くなる。この性質を利用することにより、ルテニウムを含んでいる箇所の付近にのみ結晶化したSTO膜を容易に形成することが可能である。しかも、Srの原料やTiの原料は、結晶化したSTO膜上に吸着し易い性質を有している。したがって、ペロブスカイト型結晶の下地の上にのみSTO膜が結晶化できる成膜温度を選定することにより、ペロブスカイト型結晶構造を有する誘電体膜が形成されたルテニウムを含んでいる箇所の付近に、その他の領域よりも厚肉なSTO膜を容易に形成することができる。
【0067】
実際の第2層目のSTO膜18bの成膜作業は、以下に説明するように行われた。
【0068】
図3に示すように、下層誘電体膜17aである第1層目のSTO膜18aの露出表面を覆うように、上層誘電体膜17bである第2層目のSTO膜18bを設ける。具体的には、第2層目のSTO膜18bを第1層目のSTO膜18a上に積層するように、STO膜18bを連続して形成する。この際、第2層目のSTO膜18bの成膜温度が約460℃となるように半導体基板19を加熱し、膜厚の平均が約17nmのSTO膜18bが形成されるように設定した。実際に形成されたSTO膜18bには、その形成領域の違いにより、図5から推定される以上の膜厚差が生じていた。下部電極(ルテニウム電極)12aの付近においては、膜厚が約20nmのSTO膜18bが形成されていた。これに対して、下部電極12aから離れた領域、例えばシリコン窒化膜9の上方に形成されたSTO膜18bは、その膜厚が約5nmしかないことが分かった。
【0069】
これは、次の理由によるものと考えられる。STO膜18bの下地となるルテニウム電極(ルテニウム膜)12aがパターニングされている場合、CVD原料は、半導体基板19の表面に到達すると直ちに反応してSTO膜18bを形成することはない。CVD原料は、半導体基板19の表面を移動して、より吸着確率の高い下部電極(ルテニウム電極)12a付近に集まる傾向が強い。このため、上層誘電体膜17bである第2層目のSTO膜18bは、その下部電極12a付近の膜厚が、下部電極12aから離れた領域の膜厚よりも極めて厚肉に形成される。
【0070】
また、下部電極12aの付近に形成されたSTO膜18b内には、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素であるSrと、Bサイトを形成する金属元素であるTiとが略同量含まれている。このため、下部電極12aの付近に形成されたSTO膜18bは、その成膜過程においてin−situ結晶化され、ペロブスカイト型結晶構造を有する結晶膜に形成されている。これに対して、下部電極12aから離れた領域に形成されたSTO膜18b内では、TiがSrよりも多く含まれており、いわゆるBサイト過剰(Bサイトリッチ)な状態になっている。このため、下部電極12aから離れた領域に形成されたSTO膜18bは、結晶化されずに非晶質膜のままである。つまり、下部電極12aの付近と下部電極12aから離れた領域とで、膜厚および組成の異なる上層誘電体膜17bとしての第2層目のSTO膜18bを形成できた。
【0071】
STO膜18a,18bは、一般的なキャパシタ誘電体膜の形成材料であるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはシリコン酸化膜の積層膜(NO膜)などよりも高い比誘電率を発現することができる。したがって、2層のSTO膜18a,18bから形成されたキャパシタ誘電体膜17は、高誘電体膜として形成されている。
【0072】
以上説明した工程により、前述した所望の構造、膜質、および電気的特性を有する、下層誘電体膜17a(STO膜18a)および上層誘電体膜17b(STO膜18b)の2層構造からなるキャパシタ誘電体膜17を成膜することができた。
【0073】
次に、キャパシタ用電極12の他方の電極であるキャパシタ用上部電極12bを、上層誘電体膜17bの露出表面を覆うように設ける。図3に示すように、下部電極12aとの間にキャパシタ誘電体膜17を挟むように、上層誘電体膜17bの露出表面上に上部電極12bを形成する。本実施形態においては、上部電極12bを、下部電極12aと同様にルテニウム膜を用いて形成する。これにより、所望の構造および電気的特性を有するキャパシタ素子11を得ることができる。
【0074】
続けて、フォトリソグラフィ技術およびRIE技術により、上部電極12b(ルテニウム膜)、ならびに下層誘電体膜17a(STO膜18a)および上層誘電体膜17b(STO膜18b)からなる積層膜を加工して、図示しないメモリセル領域を形成する。さらに続けて、図示しない他の絶縁膜および配線などを形成することにより、所望の性能および品質を有する半導体装置を得る。ただし、それら各工程の詳細な説明は省略する。
【0075】
以上説明したように、この第1実施形態においては、第1層目のSTO膜18aおよび第2層目のSTO膜18bの膜厚は、キャパシタ下部電極12aの周り以外の領域が、キャパシタ下部電極12aの周りよりも薄く形成されている。すなわち、キャパシタ素子11の構成に実質的に寄与していない箇所に設けられているキャパシタ誘電体膜17は、薄肉に形成されている。
【0076】
これにより、RIEやエッチングなどによるキャパシタ誘電体膜17の加工が容易になる。例えば、エッチングによりキャパシタ素子11付近に図示しないコンタクトホールを開孔する場合、キャパシタ誘電体膜17のエッチング量を低減できる。ひいては、エッチングされたキャパシタ誘電体膜17の残さがコンタクトホールや、図示しないエッチング装置の内壁面などに付着して残存するおそれを低減できる。この結果、半導体装置の製造中に、発塵やクロスコンタミネーション等のキャパシタ素子11の電気的特性を劣化させる現象が生じるおそれを容易に低減できる。特に、キャパシタ誘電体膜17が、前述したような金属ハロゲン化物により形成されている場合に有効である。
【0077】
また、本実施形態によれば、キャパシタ素子11の構成に実質的に寄与している箇所に設けられているキャパシタ誘電体膜17は、厚肉に形成されている。このため、キャパシタ下部電極12aがシリンダ形状に形成されている場合、キャパシタ下部電極12aの側壁面積を殆ど無駄無く有効利用できる。
【0078】
特に、下層誘電体膜17aであるSTO膜18aをシード層として、上層誘電体膜17bであるSTO膜18bを成膜することにより、STO膜18bの膜厚の差を、STO膜18aの膜厚の差よりも大幅に増大させることができる。これにより、キャパシタ素子11の構成に実質的に寄与する部分であるキャパシタ用下部電極12aの周りのキャパシタ誘電体膜17を、所望するキャパシタ素子11の電気的特性を得るために必要十分な膜厚に形成しつつ、キャパシタ素子11の構成に実質的に寄与しない部分である、キャパシタ用下部電極12aの周り以外のキャパシタ誘電体膜17をより薄肉な非晶質膜に形成できる。したがって、キャパシタ素子11の電気的特性を低下させることなく、高誘電体膜をキャパシタ誘電体膜17として容易に採用できる。すなわち、高誘電体キャパシタとしてのキャパシタ素子11を容易に形成できる。
【0079】
また、前述した構造は、キャパシタ誘電体膜17がSrなどを主成分とする材料によって形成されている場合に有効である。Srなどは十分な蒸気圧や供給量をとれる化合物が少ないが、本実施形態によればSrをキャパシタ素子11の構成に実質的に寄与している箇所に集中させることができる。すなわち、Srの利用効率を容易に向上できる。例えば、キャパシタ誘電体膜の一般的な成分であるSiよりも相対的に少量のSrを用いて、シリコン系のキャパシタ誘電体膜と同等以上の比誘電率を発現できるキャパシタ誘電体膜を容易に形成することが可能である。
【0080】
また、この第1実施形態によれば、第1層目のSTO膜18aおよび第2層目のSTO膜18bは、キャパシタ下部電極12aの周り以外の領域が非晶質膜として形成されている。すなわち、キャパシタ素子11の構成に実質的に寄与していない箇所に設けられているキャパシタ誘電体膜17は非晶質膜として形成されている。これにより、キャパシタ素子11の構成に実質的に寄与していない箇所に設けられているキャパシタ誘電体膜17の比誘電率は低くなっているので、半導体装置内に形成されている図示しない他の配線などに対する寄生容量は小さくなっている。
【0081】
また、本実施形態によれば、キャパシタ誘電体膜と、層間絶縁膜、あるいは貴金属を構成成分として含む箇所のエッチングの際などに用いる図示しないハードマスクのシリコン酸化膜との、選択的なウェットエッチングが容易である。例えば、塩酸を用いてSTO膜のエッチングを行う際に、ハードマスクのシリコン酸化膜をエッチングすることなく、STO膜だけを選択的に容易に剥離可能である。本実施形態のように、キャパシタ誘電体膜17がSTO膜18a,18bによって形成されており、キャパシタ素子11の構成に実質的に寄与していない箇所に設けられているキャパシタ誘電体膜17をウェットエッチングで除去するとする。この場合、結晶質のSTO膜18a,18bに比べると、非晶質のSTO膜18a,18bは塩酸等の酸によりエッチングされ易い。したがって、例えば層間絶縁膜5と、キャパシタ素子11の構成に実質的に寄与していない箇所に設けられているキャパシタ誘電体膜17との選択剥離が容易である。
【0082】
Srなどのアルカリ土類金属を主成分とする膜は、特にドライエッチングが難しい。このため、キャパシタ素子11の構成に実質的に寄与していない箇所のキャパシタ誘電体膜17を薄肉かつ非晶質に形成して、加工量を削減するとともに、容易に加工できる構造は、極めて大きな利点である。
【0083】
また、Ruなどの貴金属を主成分とする膜は触媒作用を有している。このため、Ruなどの貴金属を主成分とする膜以外の下地の上に設けられたSrなどを主成分とする膜に比べると、Ruなどの貴金属を主成分とする膜を下地として設けられたSrなどを主成分とする膜は、その分解速度が速くなる。つまり、Ruからなるキャパシタ下部電極12aを下地とするキャパシタ誘電体膜17は、キャパシタ下部電極12aの周り以外に設けられたキャパシタ誘電体膜17よりも分解速度が速くなる。したがって、キャパシタ誘電体膜17の膜厚や組成などを、その形成箇所に応じて作り分けることが可能である。
【0084】
このように、この第1実施形態によれば、半導体装置が具備するキャパシタ素子11は、高い比誘電率を発現できる高誘電体膜(STO膜)18a,18bをキャパシタ誘電体膜17として採用することにより、電荷蓄積能力が極めて高い高誘電体キャパシタ素子として形成されている。それとともに、キャパシタ素子11は、その電気的不良の原因が低減されている。また、キャパシタ素子11は、その形成が容易であり、半導体装置内に容易に組み込むことができる。したがって、この第1実施形態によれば、電子デバイスのダウンサイジング化に伴う電気的特性の劣化を抑制して、電気的特性の向上を図り得るとともに、容易に形成可能なキャパシタ素子11を備えた半導体装置を提供できる。それとともに、そのような性能および品質が向上された良質な半導体装置を効率良く、かつ、容易に製造できる。
【0085】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2実施形態を図6および図7を参照しつつ説明する。図6および図7は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、図1と同一部分は同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0086】
本実施形態では、キャパシタ素子の構造として、Convex(箱型;Pedestal型)構造を採用する。それとともに、キャパシタ誘電体膜として、Sr−Ti−O膜[=STO膜]およびBa−Sr−Ti−O膜 [=BST膜]を2層に積層した積層膜を採用する。
【0087】
先ず、図6(a)に示すように、第1実施形態と同様に、素子分離領域2などが形成された基板本体1上に、トランジスタ3、ビット線4、層間絶縁膜5、およびコンタクトプラグ8などを形成する。以下の説明において、前記各素子が設けられているとともに、後述するキャパシタ素子21などが設けられる基板本体1を、まとめて半導体基板25と称することとする。
【0088】
次に、層間絶縁膜5上に、電極支持層となるシリコン窒化膜9を約80nm、シリコン酸化膜10を約500nm、それぞれプラズマCVD法により連続して積層させて形成する。この後、コンタクトプラグ8の上方のシリコン酸化膜10およびシリコン窒化膜9をフォトリソグラフィ技術およびRIE技術によりエッチングして、後述するキャパシタ用下部電極22aの鋳型となる図示しないキャビティを形成する。これにより、コンタクトプラグ8の上面(表面)が露出する。
【0089】
次に、キャビティ内にバリアメタルとしての窒化チタンアルミニウム膜14をスパッタリング法により約20nm形成する。この際、窒化チタンアルミニウム膜14は、その下面(底面)がコンタクトプラグ8の上面に接触するように形成される。これにより、コンタクトプラグ8は、その上面を窒化チタンアルミニウム膜14の下面により覆われる。続けて、窒化チタンアルミニウム膜14の内側に、Ru−CVD法のシードとして用いるルテニウム膜をスパッタリング法により約10nm形成する。続けて、このルテニウム膜の内側に、Ru(EtCp)を原料として用いる熱CVD法によりルテニウム膜を形成し、キャビティ内をルテニウム膜15によって略完全に埋め込む。続けて、CMP法によりエッチバックを行い、窒化チタンアルミニウム膜14およびルテニウム膜15をキャビティの内部にのみ残存させる。
【0090】
次に、図6(b)に示すように、希弗酸を用いてシリコン酸化膜10を除去する。続けて、硫酸および過酸化水素水の混合溶液を用いたウェットエッチングにより、ルテニウム膜15の外側壁面に残存している窒化チタンアルミニウム膜14を除去する。これにより、ルテニウムからなるキャパシタ用電極22の下部電極22aが、半導体基板25上に選択的に形成される。この際、キャパシタ用下部電極22aの下部(底部)は、その一部が窒化チタンアルミニウム膜14の内部に埋まった状態となっている。すなわち、キャパシタ用下部電極22aの下部は、その一部が窒化チタンアルミニウム膜14により包まれた状態となっている。これにより、キャパシタ用下部電極22aの下面(底面)は、窒化チタンアルミニウム膜14に接触して、露出しないように覆われている。また、図6(b)に示す電極形状は、一般に箱形状と称される。このような箱型のキャパシタ用下部電極22aを有するキャパシタ素子21の構造は、一般に箱型構造と称される。このような箱型構造を有するキャパシタ素子21は、シリンダ構造を有する第1実施形態のキャパシタ素子21と同様に、キャパシタ用下部電極22aの側壁面積を殆ど無駄無く有効利用できる。
【0091】
次に、下層誘電体膜23aおよび上層誘電体膜23bの2層構造からなるキャパシタ誘電体膜23を形成する。本実施形態においては、下層誘電体膜23aをSr−Ti−O膜 [=STO膜]24aを用いて形成する。それとともに、上層誘電体膜23bをBa−Sr−Ti−O膜 [=BST膜]24bを用いて形成する。これらSTO膜24a/BST膜24bの積層膜は、CVD法により形成される。本実施形態では、第1実施形態と同様に2段階成膜を行うが、より高い蓄積電荷密度を実現するために、上層誘電体膜23bとなる第2層目のキャパシタ誘電体膜をBST膜24bとする。また、下層誘電体膜23aとなる第1層目のキャパシタ誘電体膜にSTO膜24aを用いる理由は、BST膜24bと比べるとSTO膜24aは結晶化温度がより低いので、結晶化熱処理温度を低くできるためである。以下、STO膜24a/BST膜24bの積層膜の成膜方法について詳述する。
【0092】
CVDの原料としては、Ba(DPM) [=Ba(C1119]、Sr(DPM)、およびTi(DPM)(i−OCのそれぞれのTHF溶液を用いた。各THF溶液の濃度は、それぞれ約0.5モル/リットルである。
【0093】
先ず、第1層目のキャパシタ誘電体膜としての下層誘電体膜23aを形成する。図7(a)に示すように、下部電極(ルテニウム電極)22aが形成された半導体基板25を約375℃に加熱し、下層誘電体膜23aとなるSTO膜24aを形成する。この際、下部電極22aのうち、窒化チタンアルミニウム膜14により覆われていない部分の周辺、すなわち下部電極22aの露出表面付近において、Sr/Ti比が約1.05のSTO膜24aが約3nm形成されるように成膜条件を設定する。すると、半導体基板25上の下部電極22aが形成されていない部分では、STO膜24aが約2nm以下しか形成されなかった。しかも、下部電極22aが形成されていない部分でのSTO膜24aのSr/Ti比は、約1.3になった。なお、この状態においては、STO膜24aは、下部電極22aの表面付近および下部電極22aの表面から離れた領域ともに、非晶質膜となっている。
【0094】
また、この状態において、下部電極22aは、その下部側面の一部および下面(底面)が窒化チタンアルミニウム膜14に接触して覆われている。この下部電極22aの窒化チタンアルミニウム膜14に接触している部分を、例えば下部電極22aの下側表面とする。それとともに、下部電極22aは、その上部側面および上面など、前記下側表面以外の部分が下層誘電体膜23aとなる第1層目のSTO膜24aに接触して覆われている。この下部電極22aのSTO膜24aに接触している部分を、例えば下部電極22aの上側表面とする。このように、下部電極22aは、その下側表面を窒化チタンアルミニウム膜14により覆われるとともに、その上側表面をSTO膜24aにより覆われる。これにより、下部電極22aは、その表面全体が外部に露出されない。
【0095】
次に、半導体基板25の表面を大気曝露させることなく、STO膜24aに結晶化熱処理を施す。この際、半導体基板25の周りの雰囲気を窒素で充満させるとともに、気圧を約133Paに設定する。この雰囲気下において、STO膜24aに約575℃で約10分間熱を加える。これにより、下部電極22aの表面付近に形成されたSTO膜24aのみ結晶化され、ペロブスカイト型結晶構造が生成される。他方、下部電極22aの表面から離れた領域に形成されたSTO膜24aは、結晶化できず非晶質膜のままである。以上説明した工程により、所望の構造および膜質からなる下層誘電体膜23aを成膜することができた。
【0096】
次に、第2層目の誘電体膜としての上層誘電体膜23bを形成する。この際、下層誘電体膜23aが成膜された半導体基板25の表面を大気曝露させることなく、上層誘電体膜23bとなるBST膜24bを形成する。
【0097】
Ba(DPM)とSr(DPM)とは同様の性質を有している。すなわち、Ba,Sr,Tiのそれぞれの原料は、結晶化したSTO膜24a上に吸着し易い性質を有している。このため、下部電極(ルテニウム電極)22a付近に比べると、SiO膜10やSiN膜9上ではSTO膜24aはTiリッチ(Bサイトリッチ)になり、結晶化が困難になる。ここで、BST膜24bの成膜温度として、ペロブスカイト型結晶構造を有する下部電極(ルテニウム電極)22a付近のSTO膜24a上でのみ、BST膜24bがin−situ結晶化できる温度を選定する。すると、第1実施形態と同様に、下部電極22a付近が、その他の領域よりも厚膜のペロブスカイト型結晶構造を有する結晶膜からなるBST膜24bを形成することができる。
【0098】
図7(b)に示すように、STO膜24aの露出表面を覆うように、その露出表面上にBST膜24bを設ける。すなわち、STO膜24a上に積層するように、BST膜24bを連続して形成する。この際、BST膜24bの成膜温度が約460℃となるように半導体基板25を加熱し、膜厚の平均が約17nmのBST膜24bが形成されるように設定した。すると、実際にシリコン窒化膜9上に形成されたBST膜24bは、その膜厚が約3nmであった。ここで、BST膜24bの成膜温度を、第1実施形態のSTO膜18bよりも高い温度に設定したのは、BST膜24bの結晶化温度がSTO膜18bの結晶化温度よりも高いためである。以上説明した工程により、下部電極22a付近と下部電極22aから離れた領域とで、膜厚および組成の異なる上層誘電体膜23bとしてのBST膜24bを形成できた。
【0099】
BST膜24bは、STO膜24aと同様に、一般的なキャパシタ誘電体膜の形成材料であるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはシリコン酸化膜の積層膜(NO膜)などよりも高い比誘電率を発現することができる。したがって、STO膜24aおよびBST膜24bの積層膜から形成されたキャパシタ誘電体膜23は、高誘電体膜として形成されている。
【0100】
以上説明した工程により、下部電極(ルテニウム電極)22a付近と下部電極22aから離れた領域とで、膜厚および組成が異なるSTO膜24a/BST膜24bの積層膜を形成できた。すなわち、所望の構造、膜質、および電気的特性を有する、下層誘電体膜23aおよび上層誘電体膜23bの2層構造からなるキャパシタ誘電体膜23を成膜することができた。
【0101】
次に、キャパシタ用電極22の他方の電極であるキャパシタ用上部電極22bを、上層誘電体膜23bの露出表面を覆うように設ける。図7(b)に示すように、下部電極22aとの間にキャパシタ誘電体膜23を挟むように、上層誘電体膜23bの露出表面上に上部電極22bを形成する。本実施形態においては、上部電極22bを、下部電極12aと同様にルテニウム膜を用いて形成する。これにより、所望の構造および電気的特性を有するキャパシタ素子21を得ることができる。
【0102】
続けて、フォトリソグラフィ技術およびRIE技術により、上部電極22b(ルテニウム膜)、ならびに下層誘電体膜23a(STO膜24a)および上層誘電体膜23b(BST膜24b)からなる積層膜を加工して、図示しないメモリセル領域を形成する。さらに続けて、図示しない他の絶縁膜および配線などを形成することにより、所望の性能よび品質を有する半導体装置を得る。ただし、それら各工程の詳細な説明は省略する。
【0103】
以上説明したように、この第2実施形態によれば、第1実施形態よりも電気的特性が向上されたキャパシタ素子21を容易に得ることができる。ひいては、電気的特性が向上された半導体装置を容易に得ることができる。また、下層誘電体膜23aをSTO膜24aにより形成し、その結晶化温度を低く抑えることにより、熱がキャパシタ素子21に与えるダメージを抑制できる。ひいては、半導体装置の品質を向上できる。さらに、半導体装置の製造が容易になるとともに、製造プロセスを省エネルギー化して製造コストを抑制できる。
【0104】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3実施形態を図8および図9を参照しつつ説明する。図8および図9は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、図1と同一部分は同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0105】
本実施形態では、キャパシタ素子の構造として、Concave(凹型)構造を採用する。また、キャパシタ用下部電極の形成材料として、白金(Pt)を用いる。それとともに、キャパシタ誘電体膜として、強誘電体膜であるPb−Ti−O膜[=PT膜]およびPb−Zr−Ti−O膜 [=PZT膜]を2層に積層した積層膜を採用する。一般に、強誘電体膜は、十分な分極特性を得るために厚膜で利用されることが多い。ところが、膜厚を厚くすると、エッチングによる加工が難しくなる。本実施形態においては、キャパシタ下部電極の付近以外に形成されるPZT膜を薄膜化することで、その加工を容易にする。
【0106】
先ず、図8(a)に示すように、第1および第2実施形態と同様に、素子分離領域2などが形成された半導体基板1上に、トランジスタ3、ビット線4、層間絶縁膜5、およびコンタクトプラグ8などを形成する。以下の説明において、前記各素子が設けられているとともに、後述するキャパシタ素子31などが設けられる基板本体1を、まとめて半導体基板36と称することとする。
【0107】
次に、層間絶縁膜5上に、電極支持層となるシリコン窒化膜9を約80nm、シリコン酸化膜10を約500nm、それぞれプラズマCVD法により連続して積層させて形成する。この後、コンタクトプラグ8の上方のシリコン酸化膜10およびシリコン窒化膜9をフォトリソグラフィ技術およびRIE技術によりエッチングして、後述するキャパシタ用下部電極32aの鋳型となる図示しないキャビティを形成する。これにより、コンタクトプラグ8の上面(表面)が露出する。
【0108】
次に、キャビティ内にバリアメタルとしての窒化チタンアルミニウム膜14をスパッタリング法により約20nm形成する。この際、窒化チタンアルミニウム膜14は、その下面(底面)がコンタクトプラグ8の上面に接触するように形成される。これにより、コンタクトプラグ8は、その上面を窒化チタンアルミニウム膜14の下面により覆われる。続けて、窒化チタンアルミニウム膜14の内側に、白金膜35をスパッタリング法により約10nm形成する。続けて、半導体基板36の全面にフォトレジスト16を塗布した後、CMP法によりエッチバックを行い、窒化チタンアルミニウム膜14および白金膜35をキャビティの内部にのみ残存させる。
【0109】
次に、図8(b)に示すように、硫酸および過酸化水素水の混合溶液を用いたウェットエッチングにより、キャビティの上部に露出した窒化チタンアルミニウム膜14および白金膜35を後退(リフトオフ)させる。この後、アッシャーにより、フォトレジスト16を除去する。これにより、白金からなるキャパシタ用電極32の下部電極32aが、半導体基板36上に選択的に形成される。形成される。この際、キャパシタ用下部電極32aは、その外側から窒化チタンアルミニウム膜14により包まれた状態となっている。すなわち、キャパシタ用下部電極32aは、その外側表面が窒化チタンアルミニウム膜14に接触して、露出しないように覆われた状態となっている。また、図6(b)に示す電極形状は、一般に凹形状と称される。このような凹型のキャパシタ用下部電極32aを有するキャパシタ素子31の構造は、一般に凹型構造と称される。
【0110】
次に、下層誘電体膜33aおよび上層誘電体膜33bの2層構造からなるキャパシタ誘電体膜33を形成する。本実施形態においては、下層誘電体膜33aをPb−Ti−O膜 [=PT膜]34aを用いて形成する。それとともに、上層誘電体膜33bをPb−Zr−Ti−O膜 [=PZT膜]34bを用いて形成する。これらPT膜34a/PZT膜34bの積層膜は、CVD法により形成される。本実施形態では、第1および第2実施形態と同様に2段階成膜を行うが、第1層目のキャパシタ誘電体膜としてPbTiO膜 [=PT膜]34aを用いる。これは、Pbの原料が第1実施形態で用いたSrの原料と同様の性質を有しており、かつ、STO膜18aと比べるとPT膜34aは結晶化温度が低く、良質の結晶膜を形成し易いためである。以下、PT膜34a/PZT膜34bの積層膜の成膜方法について詳述する。
【0111】
CVDの原料としては、Pb(DPM)、Zr(DPM)、およびTi(DPM)(i−OCのそれぞれのTHF溶液を用いた。各THF溶液の濃度は、それぞれ約0.5モル/リットルである。
【0112】
先ず、第1層目のキャパシタ誘電体膜としての下層誘電体膜33aを形成する。図9(a)に示すように、下部電極(白金電極)32aが形成された半導体基板36を約400℃に加熱し、下層誘電体膜33aとなるPT膜34aを形成する。第1層目の誘電体膜33aとしてPT膜34aを用いる理由は、第2実施形態と同様に、この後に形成される第2層目の誘電体膜33bとしてのPZT膜34bの結晶化を容易にするためである。この際、下部電極32aのうち、窒化チタンアルミニウム膜14により覆われていない内側表面の周辺、すなわち下部電極32aの露出表面付近において、Pb/Ti比が約1.05のPT膜34aが約5nm形成されるように成膜条件を設定する。すると、半導体基板36上の下部電極32aが形成されていない部分では、PT膜34aが約2nm以下しか形成されなかった。しかも、下部電極32aが形成されていない部分でのPT膜34aのPb/Ti比は、約1.4になった。なお、この状態においては、PT膜34aは、下部電極32aの表面付近および下部電極32aの表面から離れた領域ともに、非晶質膜となっている。
【0113】
また、この状態において、下部電極32aは、その外側面および外側下面(底面)が窒化チタンアルミニウム膜14に接触して覆われている。この下部電極32aの窒化チタンアルミニウム膜14に接触している部分を、例えば下部電極32aの外側表面とする。それとともに、下部電極32aは、その内側面および内側下面など、前記外側表面以外の部分が下層誘電体膜33aとなるPT膜34aに接触して覆われている。この下部電極32aのPT膜34aに接触している部分を、例えば下部電極32aの内側表面とする。このように、下部電極32aは、その外側表面を窒化チタンアルミニウム膜14により覆われるとともに、その内側表面をPT膜34aにより覆われる。これにより、下部電極32aは、その表面全体が外部に露出されない。
【0114】
次に、半導体基板36の表面を大気曝露させることなく、PT膜34aに結晶化熱処理を施す。この際、半導体基板36の周りの雰囲気を酸素で充満させるとともに、気圧を約133Paに設定する。この雰囲気下において、PT膜34aに約500℃で約1分間熱を加える。これにより、下部電極32aの表面付近に形成されたPT膜34aのみ結晶化され、ペロブスカイト型結晶構造が生成される。他方、下部電極32aの表面から離れた領域に形成されたPT膜34aは、結晶化できず非晶質膜のままである。以上説明した工程により、所望の構造および膜質からなる下層誘電体膜33aを成膜することができた。
【0115】
次に、第2層目の誘電体膜としての上層誘電体膜33bを形成する。この際、下層誘電体膜33aが成膜された半導体基板36の表面を大気曝露させることなく、上層誘電体膜23bとなるPZT膜34bを形成する。
【0116】
第1および第2実施形態で用いたBa,Srのそれぞれの原料と同様に、Pb,Zr,Tiのそれぞれの原料は、結晶化したPT膜34a上に吸着し易い性質を有している。しかも、下部電極(白金電極)32a付近に比べると、SiO膜10やSiN膜9上ではPT膜34aはPbリッチ(Aサイトリッチ)になり、結晶化が困難になる。すなわち、SiO膜10やSiN膜9上では、PT膜34aは非晶質膜になり易い。そこで、PZT膜34bの成膜温度として、ペロブスカイト型結晶構造を有する下部電極32aの表面付近のPT膜34a上でのみ、PZT膜34bがin−situ結晶化できる温度を選定する。すると、下部電極32aの付近が、その他の領域よりも厚膜の結晶膜からなるPZT膜34bを形成することができる。
【0117】
図9(b)に示すように、PT膜34aの露出表面を覆うように、その露出表面上にPZT膜34bを設ける。すなわち、PT膜34a上に積層するように、PZT膜34bを連続して形成する。この際、PZT膜34bの成膜温度が約470℃となるように半導体基板36を加熱し、膜厚が約60nmのPT膜34a/PZT膜34bの積層膜が形成されるように設定した。すると、実際にシリコン窒化膜9の上方に形成されたPT膜34a/PZT膜34bの積層膜は、その膜厚が約15nmであった。これに対して、下部電極(白金電極)32a付近のPZT膜34bは、その膜厚が約55nmであった。以上説明した工程により、下部電極32aの付近と下部電極32aから離れた領域とで、膜厚および組成の異なる上層誘電体膜33bとしてのPZT膜34bを形成できた。
【0118】
PT膜34aおよびPZT膜34bは、第1および第2実施形態のSTO膜18a,18b,24aおよびBST膜24bと同様に、一般的なキャパシタ誘電体膜の形成材料であるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはシリコン酸化膜の積層膜(NO膜)などよりも高い比誘電率を発現することができる。したがって、PT膜34aおよびPZT膜34bの積層膜から形成されたキャパシタ誘電体膜33は、高誘電体膜として形成されている。
【0119】
以上説明した工程により、下部電極(白金電極)32aの付近と下部電極22aから離れた領域とで、膜厚および組成が異なるPT膜34a/PZT膜34bの積層膜を形成できた。すなわち、所望の構造、膜質、および電気的特性を有する、下層誘電体膜33aおよび上層誘電体膜33bの2層構造からなるキャパシタ誘電体膜33を成膜することができた。
【0120】
次に、キャパシタ用電極32の他方の電極であるキャパシタ用上部電極32bを、上層誘電体膜33bの露出表面を覆うように設ける。図9(b)に示すように、下部電極32aとの間にキャパシタ誘電体膜33を挟むように、上層誘電体膜33bの露出表面上に上部電極32bを形成する。本実施形態においては、上部電極32bをルテニウム酸化膜を用いてスパッタリング法により形成する。これにより、所望の構造および電気的特性を有するキャパシタ素子31を得ることができる。
【0121】
続けて、フォトリソグラフィ技術およびRIE技術により、上部電極22b(ルテニウム酸化膜)、ならびに下層誘電体膜33a(PT膜34a)および上層誘電体膜33b(PZT膜34b)からなる積層膜を加工して、図示しないメモリセル領域を形成する。さらに続けて、図示しない他の絶縁膜および配線などを形成することにより、所望の半導体装置を得る。ただし、それら各工程の詳細な説明は省略する。
【0122】
以上説明したように、この第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、下層誘電体膜33aをPT膜34aにより形成し、その結晶化温度を低く抑えることにより、良質の結晶膜を容易に形成できるとともに、熱がキャパシタ素子31に与えるダメージを抑制できる。ひいては、半導体装置の品質を向上できる。また、半導体装置の製造が容易になるとともに、製造プロセスを省エネルギー化して製造コストを抑制できる。さらに、Pbの反応生成物は、一般的に環境に対して有害である。本実施形態では、キャパシタ素子31の構成に実質的に寄与していない箇所のキャパシタ誘電体膜33、すなわちPT膜34aおよびPZT膜34bの積層膜を薄肉かつ非晶質に形成しているので、その積層膜の加工量を削減できるとともに、容易に加工できる。したがって、本実施形態は、いわゆる環境に対して優しい配慮がなされている。
【0123】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る第4実施形態を図10を参照しつつ説明する。図10は、第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、図1と同一部分は同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0124】
本実施形態では、キャパシタ素子の構造として、プレーナ(平面型)構造を採用する。また、キャパシタ用下部電極およびキャパシタ用上部電極の形成材料として、イリジウム(Ir)を用いる。それとともに、キャパシタ誘電体膜として、強誘電体膜であるSr−Ti−O膜 [=STO膜]およびSr−Bi−Ta−O膜 [=SBT膜]を2層に積層した積層膜を採用する。一般に、強誘電体膜は、十分な分極特性を得るために厚膜で利用されることが多い。また、SBT膜はSrを構成元素に含むため、ドライエッチングなどによる加工が難しい。したがって、特に、厚膜に形成された場合のSBT膜のRIEによる加工が難しい。本実施形態においては、キャパシタ下部電極の付近以外に形成されるSBT膜を薄膜化することで、その加工を容易にする。
【0125】
先ず、図10(a)に示すように、第1〜第3実施形態と同様に、素子分離領域2などが形成された基板本体1上に、トランジスタ3、ビット線4、層間絶縁膜5、およびコンタクトプラグ8などを形成する。続けて、コンタクトプラグ8をRIEにより後退させて、バリアメタルとしての窒化タンタルシリコン膜46をスパッタリング法により埋め込んだ後、CMP法により平坦化する。以下の説明において、前記各素子が設けられているとともに、後述するキャパシタ素子11などが設けられる基板本体1を、まとめて半導体基板47と称することとする。
【0126】
次に、層間絶縁膜5上に、シリコン酸化膜10を約100nm、プラズマCVD法により形成する。この後、コンタクトプラグ8の上方のシリコン酸化膜10をフォトリソグラフィ技術およびRIE技術によりエッチングして、後述するキャパシタ用下部電極42aの鋳型となる図示しないキャビティを形成する。これにより、コンタクトプラグ8の上に形成された窒化タンタルシリコン膜46の上面(表面)が露出する。
【0127】
次に、キャビティ内およびシリコン酸化膜10上に、イリジウム膜45をスパッタリング法により約200nm形成する。この際、イリジウム膜45は、その下面(底面)が窒化タンタルシリコン膜46の上面に接触するように形成される。これにより、コンタクトプラグ8は、その上面を窒化タンタルシリコン膜46の下面により覆われる。続けて、CMP法によりエッチバックを行い、イリジウム膜45をキャビティの内部にのみ残存させる。これにより、イリジウムからなるキャパシタ用電極42の下部電極42aが、半導体基板47上に選択的に形成される。形成される。また、図10(a)に示す電極形状は、一般に平面形状と称される。このような平面型のキャパシタ用下部電極42aを有するキャパシタ素子41の構造は、一般に平面型構造と称される。
【0128】
次に、下層誘電体膜43aおよび上層誘電体膜43bの2層構造からなるキャパシタ誘電体膜43を形成する。本実施形態においては、下層誘電体膜43aをSr−Ti−O膜 [=STO膜]44aを用いて形成する。それとともに、上層誘電体膜43bをSr−Bi−Ta−O膜 [=SBT膜]44bを用いて形成する。これらSTO膜44a/SBT膜44bの積層膜は、CVD法により形成される。本実施形態では、第1〜第3実施形態と同様に2段階成膜を行う。これは、SrおよびTaの原料が第1実施形態で用いたSrの原料と同様の性質を有しているとともに、Biの原料が第1実施形態で用いたTiの原料と同様の性質を有しているためである。また、下層誘電体膜43aとなる第1層目のキャパシタ誘電体膜に、第1および第2実施形態と同様にSTO膜44aを用いる理由は、SBT膜44bのみで略均一な薄膜形状の第1層目の結晶膜を形成することは困難なためである。さらに、第1層目のキャパシタ誘電体膜としてSTO膜44aを用いると、上層誘電体膜43bとなる第2層目のキャパシタ誘電体膜をSBT膜44bを用いて形成する際に、SBT膜44bの結晶化熱処理に要求される約750℃以上の高温熱処理が不必要となる。以下、STO膜44a/SBT膜44bの積層膜の成膜方法について詳述する。
【0129】
CVDの原料としては、SrTa(OC、Bi(DPM)、Sr(DPM)、およびTi(DPM)(i−OCのそれぞれのTHF溶液を用いた。各THF溶液の濃度は、それぞれ約0.5モル/リットルである。
【0130】
先ず、第1層目のキャパシタ誘電体膜としての下層誘電体膜43aを形成する。図10(b)に示すように、下部電極(イリジウム電極)42aが形成された半導体基板47を約375℃に加熱し、下層誘電体膜43aとなる第1層目のSTO膜44aを形成する。この際、下部電極42aの上面付近、すなわち下部電極42aの露出表面付近において、Sr/Ti比が約1.05のSTO膜44aが約3nm形成されるように成膜条件を設定する。すると、半導体基板47上の下部電極42aが形成されていない部分では、STO膜44aが約2nm以下しか形成されなかった。しかも、下部電極42aが形成されていない部分でのSTO膜44aのSr/Ti比は、約1.3になった。なお、この状態においては、STO膜44aは、下部電極42aの表面付近および下部電極42aの表面から離れた領域ともに、非晶質膜となっている。
【0131】
また、この状態において、下部電極42aは、その下面(底面)を層間絶縁膜5および窒化タンタルシリコン膜46に接触して覆われている。それとともに、下部電極42aは、その上面を下層誘電体膜43aとなるSTO膜44aに接触して覆われている。さらに、下部電極42aは、その側面をシリコン酸化膜10に接触して覆われている。このように、下部電極42aは、その表面を層間絶縁膜5、窒化タンタルシリコン膜46、STO膜44a、およびシリコン酸化膜10に接触して覆われる。これにより、下部電極42aは、その表面全体が外部に露出されない。
【0132】
次に、半導体基板47の表面を大気曝露させることなく、STO膜44aに結晶化熱処理を施す。この際、半導体基板47の周りの雰囲気を窒素で充満させるとともに、気圧を約133Paに設定する。この雰囲気下において、STO膜44aに約575℃で約10分間熱を加える。これにより、下部電極42aの表面付近に形成されたSTO膜44aのみ結晶化され、ペロブスカイト型結晶構造が生成される。他方、下部電極42aの表面から離れた領域に形成されたSTO膜44aは、結晶化できず非晶質膜のままである。以上説明した工程により、所望の構造および膜質からなる下層誘電体膜43aを成膜することができた。
【0133】
次に、第2層目のキャパシタ誘電体膜としての上層誘電体膜43bを形成する。この際、下層誘電体膜43aが成膜された半導体基板47の表面を大気曝露させることなく、上層誘電体膜43bとなるSBT膜44bを形成する。
【0134】
図10(c)に示すように、STO膜44aの露出表面を覆うように、その露出表面上にSBT膜44bを設ける。すなわち、STO膜44a上に積層するように、SBT膜44bを連続して形成する。この際、SBT膜44bの成膜温度が約530℃となるように半導体基板47を加熱し、膜厚が約147nmのSBT膜44bが形成されるように設定した。第2層目の誘電体膜43bとしてのSBT膜44bの成膜温度が第1〜第3実施形態に比べて高い理由は、SBT膜44bは低温ではペロブスカイト相(構造)が生成され難いためである。
【0135】
SrおよびTaの原料とSr(DPM)とは同様の性質を有している。また、SrおよびTa、ならびにBiのそれぞれの原料は、結晶化したSTO膜44a上に吸着し易い性質を有している。したがって、SBT膜44bの成膜温度として、SBT膜44bがin−situ結晶化できる下限温度に近い温度を選定する。これにより、下部電極(イリジウム電極)42a付近が、例えばSiO膜10上よりも厚膜の結晶膜からなるSBT膜44bを形成することができる。実際に形成されたSTO膜44a/SBT膜44bの積層膜は、その下部電極(イリジウム電極)42a付近における全膜厚が約150nmになった。これに対して、STO膜44a/SBT膜44bの積層膜の下部電極42aから離れた領域における全膜厚は、約30nmにとどまった。以上説明した工程により、下部電極42aの付近と下部電極42aから離れた領域とで、膜厚および組成の異なる上層誘電体膜43bとしてのSBT膜44bを形成できた。
【0136】
SBT膜44bは、STO膜44aと同様に、一般的なキャパシタ誘電体膜の形成材料であるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはシリコン酸化膜の積層膜(NO膜)などよりも高い比誘電率を発現することができる。したがって、STO膜44aおよびSBT膜44bの積層膜から形成されたキャパシタ誘電体膜33は、高誘電体膜として形成されている。
【0137】
以上説明した工程により、下部電極(ルテニウム電極)42aの付近および下部電極42aから離れた領域とで、膜厚および組成が異なるSTO膜44a/SBT膜44bの積層膜を形成できた。すなわち、所望の構造、膜質、および電気的特性を有する、下層誘電体膜43aおよび上層誘電体膜43bの2層構造からなるキャパシタ誘電体膜43を成膜することができた。
【0138】
次に、キャパシタ用電極42の他方の電極であるキャパシタ用上部電極42bを、上層誘電体膜43bの露出表面を覆うように設ける。図10(c)に示すように、下部電極42aともにキャパシタ誘電体膜43を挟むように、上層誘電体膜43bの露出表面上に上部電極42bを形成する。本実施形態においては、上部電極42bをイリジウム酸化膜を用いてスパッタリング法により形成する。これにより、所望の構造および電気的特性を有するキャパシタ素子41を得ることができる。
【0139】
続けて、フォトリソグラフィ技術およびRIE技術により、上部電極42b(イリジウム酸化膜)、ならびに下層誘電体膜43a(STO膜44a)および上層誘電体膜43b(SBT膜44b)からなる積層膜を加工して、図示しないメモリセル領域を形成する。さらに続けて、図示しない他の絶縁膜および配線などを形成することにより、所望の半導体装置を得る。ただし、それら各工程の詳細な説明は省略する。
【0140】
以上説明したように、この第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0141】
なお、本発明に係る半導体装置およびその製造方法は、前述した第1〜第4の各実施形態には制約されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、それらの構成、あるいは工程などの一部を種々様々な設定に変更したり、あるいは各種設定を適宜、適当に組み合わせて用いたりして実施することができる。
【0142】
例えば、第1および第2実施形態では、キャパシタ電極となるルテニウム膜の成膜方法としてCVD法を採用したが、スパッタリング法あるいはめっき法等によってもルテニウム膜を形成することが可能である。同様に、第3実施形態では、キャパシタ電極となる白金膜の成膜方法としてスパッタリング法を採用したが、CVD法あるいはめっき法等によってもルテニウム膜を形成することが可能である。また、第4実施形態では、キャパシタ電極となるイリジウム膜の成膜方法としてスパッタリング法を採用したが、CVD法、めっき法、あるいはゾル・ゲルなどの塗布法等によってもイリジウム膜を形成することが可能である。
【0143】
また、第1〜第4実施形態では、Tiの原料としてTi(DPM)(i−OCを用いたが、Tiのβジケトン系錯体を用いても同様の効果を得ることができる。例えば、Ti(DPM)(t−OC、Ti(DPM)(i−OC、TiO(DPM)、Ti(MPD)(DPM)などを用いても、Ti(DPM)(i−OCを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0144】
また、キャパシタ誘電体膜の主たる構成成分は、前述したSr,Ti,Ba,Pb,Zr,Bi,Taには限られない。ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する成分としては、II−A族、III−A族、およびIV−B族のうちの少なくとも1種類の元素を主成分として含む金属化合物であればよい。同様に、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する成分としては、IV−A族、V−A族、およびIV−B族のうちの少なくとも1種類の元素を主成分として含む金属化合物であればよい。例えば、このBサイトを形成する成分としては、他にNbやSnなどがある。
【0145】
また、キャパシタ電極の形成材料の主成分は、前述したRu,Ir,Ptには限られない。VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の元素を主たる成分として含む材料によって形成されていればよい。具体的には、Ru,Pt,Ir,Pd,Os,Re,Rhのうちの少なくとも1種類の元素を主たる成分として含む材料によって形成されていればよい。
【0146】
また、キャパシタ誘電体膜は、第1〜第4実施形態で説明した2層構造ではなく、単層構造でも構わない。キャパシタ素子の構成に実質的に寄与しない部分のキャパシタ誘電体膜が薄肉、または非晶質膜に形成されていればよい。
【0147】
さらに、本発明に係る半導体装置および半導体装置の製造方法は、その適用をDRAM等、現在、一般に普及している半導体装置には限られない。本発明に係る半導体装置および半導体装置の製造方法は、例えばFeRAMなど、将来において発展が期待される各種の微細な半導体装置を製造する際にも十分適用可能なのはもちろんである。
【0148】
【発明の効果】
本発明に係る半導体装置によれば、キャパシタ素子の構成に実質的に寄与しない部分のキャパシタ誘電体膜が薄肉、または非晶質膜に形成されている。これにより、高い比誘電率を発現できる高誘電体膜をキャパシタ誘電体膜として採用し易く、電荷蓄積能力が高い高誘電体キャパシタ素子を形成し易いとともに、このような高誘電体キャパシタ素子を内部に組み込み易い。したがって、本発明に係る半導体装置は、電子デバイスのダウンサイジング化に伴う電気的特性の劣化を抑制して、電気的特性の向上を図り得るとともに、容易に形成可能なキャパシタ素子を備えた構成となっている。
【0149】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、キャパシタ素子の構成に実質的に寄与しない部分のキャパシタ誘電体膜を薄肉な非晶質膜に形成できる。これにより、高い比誘電率を発現できる高誘電体膜をキャパシタ誘電体膜として採用し易いので、電荷蓄積能力が高い高誘電体キャパシタ素子を形成し易くなるとともに、このような高誘電体キャパシタ素子を半導体装置内に組み込み易くなる。したがって、本発明に係る半導体装置の製造方法は、電子デバイスのダウンサイジング化に伴う電気的特性の劣化を抑制して、電気的特性の向上を図り得るとともに、容易に形成可能なキャパシタ素子を備えた半導体装置を効率良く容易に製造できる。
【0150】
特に、キャパシタ誘電体膜を下層誘電体膜および上層誘電体膜の2層構造に形成し、下層誘電体膜をシード層として上層誘電体膜を形成することにより、上層誘電体膜の膜厚の差を、下層誘電体膜の膜厚の差よりも大幅に増大させることができる。したがって、電子デバイスのダウンサイジング化に伴う電気的特性の劣化をより抑制して、電気的特性の向上をより図り得るとともに、容易に形成可能なキャパシタ素子を備えた半導体装置を効率良く容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図4】STO膜の成膜特性の温度依存性を示す図。
【図5】STO膜中のSrおよびTiの堆積速度とTiの供給速度との相関関係を示す図。
【図6】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図7】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図8】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図9】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図10】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図11】従来の技術に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【符号の説明】
1…基板本体
11,21,31,41…キャパシタ素子(高誘電体キャパシタ素子)
12,22,32,42…キャパシタ用電極
12a,22a,32a,42a…キャパシタ用下部電極
12b,22b,32b,42b…キャパシタ用上部電極
15…ルテニウム膜
17,23,33,43…キャパシタ誘電体膜
17a,23a,33a,43a…キャパシタ下層誘電体膜
17b,23b,33b,43b…キャパシタ上層誘電体膜
18a,18b,24a,44a…STO膜(Sr−Ti−O膜)
19,25,36,47…半導体基板
24b…BST膜(Ba−Sr−Ti−O膜)
34a…PT膜(Pb−Ti−O膜)
34b…PZT膜(Pb−Zr−Ti−O膜)
35…白金膜
44b…SBT膜(Sr−Bi−Ta−O膜)
45…イリジウム膜

Claims (5)

  1. 基板上に選択的に設けられたキャパシタ用下部電極と、
    前記基板および前記下部電極の表面を覆うように設けられたキャパシタ誘電体膜と、
    このキャパシタ誘電体膜の表面上に設けられたキャパシタ用上部電極とを具備してなり、
    前記キャパシタ誘電体膜は、前記下部電極以外に設けられた部分が、前記下部電極の表面上に設けられた部分よりも薄く形成されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記キャパシタ誘電体膜は、前記下部電極の表面上に設けられた部分がペロブスカイト型の結晶構造を有する金属酸化物の結晶膜として形成されているとともに、前記下部電極以外に設けられた部分が金属酸化物の非晶質膜として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 基板上に選択的に設けられたキャパシタ用下部電極と、
    前記基板および前記下部電極の表面を覆うように設けられたキャパシタ誘電体膜と、
    このキャパシタ誘電体膜の表面上に設けられたキャパシタ用上部電極とを具備してなり、
    前記キャパシタ誘電体膜は、前記下部電極の表面上に設けられた部分がペロブスカイト型の結晶構造を有する金属酸化物の結晶膜として形成されているとともに、前記下部電極以外に設けられた部分が金属酸化物の非晶質膜として形成されていることを特徴とする半導体装置。
  4. 基板上に、VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる構成成分とするキャパシタ素子の下部電極を設ける工程と、
    前記下部電極の露出表面を覆うように、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素およびペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素をそれぞれ少なくとも1種類ずつ主たる成分として含む金属酸化物からなるキャパシタ誘電体膜を、400℃以下の温度で前記基板上に設ける工程と、
    前記キャパシタ誘電体膜に500℃以上の温度で加熱処理を施す工程と、
    前記下部電極との間に前記キャパシタ誘電体膜を挟むように、VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる成分として含む前記キャパシタ素子の上部電極を、前記キャパシタ誘電体膜の露出表面上に設ける工程と、
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 基板上に、VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる構成成分とするキャパシタ素子の下部電極を設ける工程と、
    前記下部電極の露出表面を覆うように、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素およびペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素をそれぞれ少なくとも1種類ずつ主たる成分として含む金属酸化物からなるキャパシタ誘電体膜の下層誘電体膜を、400℃以下の温度で前記基板上に設ける工程と、
    前記下層誘電体膜に500℃以上の温度で加熱処理を施す工程と、
    前記下層誘電体膜の露出表面を覆うように、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを形成する金属元素およびペロブスカイト型結晶構造のBサイトを形成する金属元素をそれぞれ少なくとも1種類ずつ主たる成分として含む金属酸化物からなるキャパシタ誘電体膜の上層誘電体膜を、420℃以上の温度で前記下層誘電体膜の上に積層させて設ける工程と、
    前記下部電極との間に前記下層誘電体膜および前記上層誘電体膜の2層構造からなる前記キャパシタ誘電体膜を挟むように、VII−A族およびVIII族のうちの少なくとも1種類の金属元素を主たる成分として含む前記キャパシタ素子の上部電極を、前記上層誘電体膜の露出表面上に設ける工程と、
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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