JP2004022595A - 絶縁膜の製造方法、およびプラズマcvd装置 - Google Patents

絶縁膜の製造方法、およびプラズマcvd装置 Download PDF

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Abstract

【課題】大面積で特性および均一性が高い絶縁膜の製造方法を提供する。また、このための表面波プラズマCVD装置を提供する。
【解決手段】第1のマイクロ波電源により表面波を発生させて高密度のプラズマを励起しシリコン原料ガスを放電分解する工程と、第2のマイクロ波電源により酸素原料または窒素原料となる添付ガスを放電分解する工程と、放電分解された、前記シリコン原料ガスと、前記添付ガスと、を重合反応してガス体を生成する工程と、前記ガス体を用いて、過熱されたガラス基板上にシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜からなる絶縁膜を積層する工程と、を備えることを特徴とする絶縁膜の製造方法を提供する。また、このための表面波プラズマCVD装置を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜の製造方法、およびプラズマCVD装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、TFT型液晶表示装置は、高精彩化が進み、広く用いられるようになっている。このTFT型液晶表示装置のTFTは、まずガラス基板上のアモルファスシリコン膜またはポリシリコン膜にソース・ドレインを形成し、次にこの上にゲート絶縁膜を形成し、次にこのゲート絶縁膜の上にゲートを形成する。上記のゲート絶縁膜は、一般的に、シリコン酸化膜(SiO)により形成される。このシリコン酸化膜を形成する方法としては、主に、シリコン層の表面を酸化させる熱酸化と、シリコン酸化膜を被着させるCVDと、が知られているが、液晶表示装置では、CVDが用いられている。これは、液晶表示装置では、熱に弱いガラス基板を使用するためである。そして、液晶表示装置では、基板が大きいため、高周波電力を用いる平行平板型プラズマCVD装置が多く使用されている。
【0003】
図5は、上記のゲート絶縁膜を形成するための、平行平板型プラズマCVD装置を示す図である。この装置のチャンバー200は、例えば、700mm(横)×600mm(縦)×300mmH(高)の大型のものとすることができる。ここで、紙面に沿った方向を横方向とする。このチャンバー200は、互いに平行に設置された、上部電極212と、対向電極216と、を備えている。この対向電極216は、基板ステージを兼ねており、ガラス基板220がセットされる。この際、内部の空間(処理室)Dには、中空状の上部電極212を介して、シリコン原料となるTEOS(テトラエトキシシラン、テトラエチルオルソシリケート、正ケイ酸エチル、SiO(C)ガスと、酸素原料となるOガスと、がそれぞれ別の導入口から導入される。つまり、この上部電極212は中空状のものとして構成されており、前記ガラス基板220に対向する面に、孔220a,220a,…を空けてある。この孔220aからTEOSガスとOガスが空間Dに導出される。この空間Dには、上部電極212に高周波電源213からRFパワーが印加されることにより、プラズマが発生し、このプラズマによりこの室DにおけるTEOSガスとOガスとが放電分解される。これにより、ガラス基板220上にシリコン酸化膜(ゲート絶縁膜)221が積層される。なお、残ガスは、排気口217から排気される。
【0004】
図5のように、ゲート絶縁膜221の形成において、従来のプラズマCVD装置では、TEOSガスと、Oガスと、を同一の室Dで同一の電源によるプラズマを用いて解離制御していた。これは、それぞれのガスを別々に解離制御してもゲート絶縁膜の特性は高くならず、単にコストが高くなってしまうだけだと考えられていたからである。また、それぞれのガスを別々に解離制御すると、解離後のガスの混合が難しくなり、特に大型基板220を用いた場合には、ゲート絶縁膜221の均一性が悪化するおそれがあると考えられていたからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
液晶表示装置では、近時、周辺回路をTFT基板内に内蔵すべく回路の微細化が進められており、スケーリング則に従って、上述のゲート絶縁膜221の膜厚を薄くする必要が生じてきた。この要求に答えるためには、欠陥が少なく、薄膜でも絶縁破壊強度が高いゲート絶縁膜221が求められる。ところが、一般の平行平板型プラズマCVD装置では、電子密度がほぼ1010/cm程度と低く、ゲート絶縁膜221の絶縁破壊強度を高めることが困難である。このため、熱酸化によるゲート絶縁膜では10nmを切るような薄膜の開発が進展を見せているのに対し、CVDによるゲート絶縁膜221では100nm程度の厚さを必要としているのが現状である。このように、図6のような従来の平行平板プラズマCVD装置では、上記のようなゲート絶縁膜221の薄膜化に対応するのが困難となってきている。
【0006】
上記のようなゲート絶縁膜の薄膜化の要求に答えるべく、近時では、ドライエッチング装置として導入されている誘導結合プラズマ(ICP)、表面波プラズマ(SWP)、ECRプラズマ及びヘリコン波プラズマなどの高密度プラズマ(プラズマ密度:1011〜1012cm)装置をCVD装置として転用する流れに有る。転用する場合、重要な点は1m程度の大型基板まで適用可能か否かであり、この観点から見ると構造上最も適しているのは表面波プラズマ装置である。そこで、最近では、表面波プラズマ装置によりゲート絶縁膜を形成する方法が検討されている。ここで、表面波プラズマは、誘電体(石英板など)とプラズマとの界面に沿って伝搬する表面波を利用して励起するプラズマである。表面波プラズマCVD装置は、一般に普及している安価なマイクロ波を電源とし、外部より磁場を印加する必要がないので、簡単な構造になる。このため、容易に大口径化に対応でき、さらに高密度かつ均一なプラズマを広範囲に渡って生成可能であるといった利点から、将来性が注目されている。
【0007】
上記の表面波プラズマ装置では、通常、図5のプラズマ装置と同様に、それぞれのガスを同一のマイクロ波を用いて解離制御するべきだと考えられている。そして、このような同一のマイクロ波による解離制御の表面波プラズマCVD装置で、平行平板プラズマCVD装置よりも高い特性のゲート絶縁膜が形成可能なことが報告されている。このように、表面波プラズマ装置は、特性が高いゲート絶縁膜を大面積で形成する装置として、有望とされている。ただし、この表面波プラズマ装置により形成されたゲート絶縁膜であっても、その平均的な特性が熱酸化膜により形成されたゲート絶縁膜より特性が悪くなることは避けられず、ゲート絶縁膜の特性向上には一定の限界があると考えられていた。
【0008】
しかしながら、本発明者は、表面波プラズマCVD装置の高いプラズマ密度を用いて、熱酸化膜に匹敵するようなさらに高い特性のゲート絶縁膜を、大面積で得るために、特性が高いゲート絶縁膜を得るべく各種の実験を繰り返していた。その結果、表面波プラズマ装置では、TEOSガスは表面波プラズマ、Oガスは他のマイクロ波、で別々に解離制御することで、熱酸化膜に匹敵する極めて特性が高いゲート絶縁膜を大面積で得られることを本発明者は独自に知得した。
【0009】
本発明は、かかる課題の認識に基づくもので、その目的は、特性が良好で各々において均一性が高い絶縁膜を大面積のものとして製造する方法及びこの方法の実施のための表面波プラズマCVD装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の絶縁膜の製造方法は、第1のマイクロ波電源により表面波を発生させて高密度のプラズマを励起しシリコン原料ガスを放電分解させる第1の放電分解部と、第2のマイクロ波電源により酸素原料または窒素原料となる添付ガスを放電分解させる第2の放電分解部と、放電分解された、前記シリコン原料ガスと、前記添付ガスと、を重合反応してガス体を生成するガス体生成室と、前記ガス体を用いて、過熱されたガラス基板上にシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜からなる絶縁膜を積層する積層室と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の絶縁膜の製造方法は、第1のマイクロ波電源により表面波を発生させて高密度のプラズマを励起しシリコン原料ガスを放電分解する工程と、第2のマイクロ波電源により酸素原料または窒素原料となる添付ガスを放電分解する工程と、放電分解された、前記シリコン原料ガスと、前記添付ガスと、を重合反応してガス体を生成する工程と、前記ガス体を用いて、過熱されたガラス基板上にシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜からなる絶縁膜を積層する工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照にしつつ、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態の表面波プラズマCVD装置の特徴の1つは、図1から分かるように、TEOSガスを表面波プラズマにより第1の放電分解部Aで、Oガスを他のマイクロ波により第2の放電分解部33で、別々に解離制御するようにした点にある。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態の表面波プラズマCVD装置を示す。この装置は、上方に開口10aを有する筐体10を備える。この筐体10の内部は、棚板状の2枚の石英シャワープレート14、15により、上中下の3つの室A、B、Cに互いに連通状態に区画されている。これら2枚のシャワープレート14、15は共にほぼ同一の構造をしている。即ち、石英製の板に多数の貫通30孔14a,14a,……;15a,15a,……が空けられている。下の室(積層室)Cには、基板ステージ16が設けられている。この基板ステージ16は、処理対象とする基板(図1においてはガラス基板20)を支持するものである。
【0014】
この下の室Cの壁には、パイプを嵌め込んだ排気口17,17が形成されている。これらの排気口17,17によって、下の室Cの内外が連通している。その上の中の室(ガス体生成室)Bの壁には、添付ガス供給装置30が取り付けられている。この装置30から中の室Bに、放置分解された酵素ガスが供給される。この装置30は、エネルギーを持ったマイクロ波MWが導かれるマイクロ波電源32を有する。マイクロ波MWのエネルギーによって、外部から供給される酸素ガスOが放電分解されて、前記中の室Bに供給される。上の室(第1の放電分解部)Aには、TEOSガスが供給される。
【0015】
このように構成されたチャンバーにおける筐体10の上部開口10aは、石英ガラス蓋12によって塞がれている。この蓋12に接した状態にマイクロ波電源13が設けられている。このマイクロ波電源13は、エネルギーをもったマイクロ波MWの伝搬を受け、マイクロ波MWからのエネルギーにより表面波を励起する。この表面波が前記石英ガラス蓋12を介して上の室Aに伝わり、前記TEOSガスを放電分解するものである。
【0016】
このように構成されたCVD装置のより詳しい説明と実際の動作について以下に説明する。
【0017】
図1の表面波プラズマCVD装置は、横方向が紙面に沿った方向であり、筐体10は、700mm(横)×600mm(縦)×300mm(高)の大きさである。石英ガラス蓋は、600mm(横)×500mm(縦)×10mm(高)である。この石英窓ガラス蓋12の直下の第1の放電分解部A内には、マイクロ波導波管13を通して供給されたエネルギーにより、表面波が励起される。この第1の放電分解部Aには、本装置で使用する2種類のガスのうちの一方のガスであるTEOSが導入され、上記表面波により放電分解される。ここで、TEOSガスが、上記表面波エネルギーを吸収して放電分解される領域は、表皮効果により、石英ガラス12直下の約20mm以内である。このため、第1の放電分解部Aを区画する第1の石英シャワープレート14の位置は、TEOSガスが十分に分解されるように、石英ガラス蓋12の図中下側20mmに設置してある。第1の放電分解部Aで放電分解されたTEOSガスは、この第1の石英シャワープレート14の孔14a,14a……を通り、ガス体生成室Bの領域に向かう。他方のガスであるOは、第2のマイクロ波導波管32によって解離され、ガス体生成室Bに向かう。この添付ガス供給装置30は、SUSフランジ34、35に溶接シールされて取り付けられた石英チューブ33と、直径約50mmφの第2のマイクロ波導波管32とからなる。SUSフランジを用いたのは、ガス漏洩に対する安全を考慮したものである。この装置30における周波数は、標準的な2.45GHzで、電源(図示せず)よりパワーとして0〜3kW可変で投入される。この装置30では、石英チューブ33が、第2の放電分解領域となる。この第2の放電分解領域33で放電分解されたOガスと、第1の放電分解領域Aで放電分解されたTEOSとはガス体生成室Bで重合反応を起こす。重合反応が十分起こるように、積層室Cの境界となる第2の石英シャワープレート15は、第1の石英シャワープレート14より30mm下に設置されている。ガス体生成室Bで重合したガス体は、拡散により積層室Cに到達し、ガス体の一部が基板ステージ16上のガラス基板20上にシリコン酸化膜21として堆積する。ここで、基板ステージ16は、最高温度350℃まで加熱可能である。ガス体の残部は、排気口17から排気される。
【0018】
つまり、上記の図1の表面波プラズマCVD装置は、次のように動作するものである。すなわち、マイクロ波電源13により表面波を発生させて高密度のプラズマを励起しシリコン原料ガス(TEOS)を放電分解する第1の放電分解部Aと、マイクロ波電源32により酸素原料となる添付ガス(O)を放電分解する第2の放電分解部33と、放電分解された、前記シリコン原料ガスと、前記添付ガスと、を重合反応してガス体を生成するガス体生成室Bと、前記ガス体を用いて、過熱されたガラス基板20上にシリコン酸化膜からなる絶縁膜21を積層する積層室Cと、を備えるものである。
【0019】
次に、図1の表面波プラズマCVD装置を用いたゲート絶縁膜21の製造条件の例について、図2を参照にして説明する。図2は、図1の表面波プラズマCVD装置において、Oガスの流量を1000sccm〜3000sccmまで変化させた場合の、第2のマイクロ波電源32のパワーと、シリコン酸化膜21の屈折率と、の関係を示す図である。TEOSガスは100sccm、圧力は30Paとしている。ここで、シリコン酸化膜21の屈折率は、シリコン酸化膜21の特性の指標の1つであり、一般的に、屈折率が高いほど特性が良い。この屈折率は、シリコン絶縁膜21を膜厚100nm堆積し、エリプソメーターで測定している。
【0020】
この図2から、第2のマイクロ波電源32のパワーを増加させると、いずれのOガス流量の場合でも、一定値までは、シリコン酸化膜21のシリコン酸化膜21の屈折率が上昇することが分かる。これは、第2のマイクロ波電源32のパワーを増加させると、酸素ラジカルが増加し、TEOSガスが分解し生成したシリコン原子と結合する割合が増加するからである。つまり、Oガス流量を一定とした場合には、シリコン酸化膜21の屈折率は、酸素ラジカルの供給量に律速にされていることを示す。
【0021】
また、この図2から、第2のマイクロ波電源32のパワーを増加させると、いずれのOガス流量の場合でも、一定値でシリコン酸化膜21の屈折率の増加が飽和することが分かる。これは、Oガスの分解効率が一定値で飽和することを意味する。
【0022】
また、この図2から、マイクロ波パワーが一定の場合には、流量が少ない方がシリコン酸化膜21の屈折率が高いことが分かる。これは、マイクロ波パワーが一定の場合、Oガス流量が多いと、酸素ラジカルの量は同一でも未分解の酸素分子の量が増加し、この未分解の酸素分子がシリコン酸化膜21内に取り込まれやすくなるからであると解析される。つまり、シリコン酸化膜21の特性を高くするためには、酸素ラジカルの量を増加させるだけではなく、未分解の酸素分子の量を減らすことが重要なことが分かる。
【0023】
また、この図2から、シリコン酸化膜21の屈折率の飽和値は、Oガス流量を増加させても上昇せず、むしろ徐々に低下することが分かる。これは、分解効率の飽和値においては、Oガス流量増加させると酸素ラジカルの量が増加するが、同時に未分解の酸素分子の量も増えるためであると解析される。
【0024】
このようにして、図2の装置の製造条件は、Oガス流量を1000sccm、第2のマイクロ波パワーを1〜1.5kWとすると良いことが分かる。このようにすれば、低いマイクロ波パワーで、未分解の酸素分子の取り込みが少なく膜質が高いシリコン酸化膜21を得ることができる。
【0025】
以上説明した図1の表面波プラズマCVD装置では、TEOSガスを表面波プラズマ、Oガスを他のマイクロ波、で別々に解離制御するようにしたので、熱酸化膜に匹敵するような極めて高い特性のシリコン酸化膜が得ることができる。また、得られるシリコン酸化膜の面分布的均一性(面の各点における均一性)も高くすることができる。これを、他の方法により得られたシリコン酸化膜(ゲート絶縁膜)の特性および特性の均一性と比較しながら説明する。
【0026】
【表1】
Figure 2004022595
まず、特性について説明する。表1は、4種類の装置により得られたゲート絶縁膜の特性を比較した表である。Iの欄は、前述の図5の平行平板プラズマCVD装置により形成したシリコン酸化膜の特性を示している。ここで、図5の平行平板プラズマCVDでは、基板温度300℃、TEOS流量200sccm、O流量3000sccm、圧力200Pa、RFパワー2kW、の条件でシリコン酸化膜を形成している。次に、IIの欄は、図3に示すような、TEOSガスとOガスとを一緒に解離制御した比較例の表面波プラズマCVD装置により形成したシリコン酸化膜の特性を示している。この図3の装置は、本発明者が、図1の装置に至る前段のものとして開発したものである。この図3において、図1と同等部分には同一の符号を付して説明を省略する。ここで、図3の比較例の表面波プラズマCVD装置では、基板温度300℃、TEOS流量200sccm、O流量3000sccm、圧力200Pa、マイクロ波パワー1.5kW、の条件でシリコン酸化膜121を形成した。次に、IIIの欄に示しているのが、図1の表面波プラズマCVD装置により得られたシリコン酸化膜21の特性である。そして、IVの欄は、熱酸化膜の特性を示している。
【0027】
この表1から分かるように、図3の比較例の表面波プラズマCVD装置では、図5の平行平板プラズマCVD装置に比べれば特性が改善されているが、熱酸化膜には及ばないことが分かる。この原因の1つは、TEOSガスの最適分解条件がOガスの最適分解条件と一致しないことに因ると考えられる。すなわち、図3の装置では、Oガス流量がTEOSガス流量の約15倍必要としていることから分かるように、Oガスの分解効率が悪い。実際、理論的な解離エネルギーの計算からは、TEOSガスからSiを生成するための最低の解離エネルギーは4.65eVであるのに対し、Oガスの解離エネルギーは5.14eVであり、Oガスの解離エネルギーはTEOSガスよりも大きい。このことは、TEOSガスの最適分解条件がOガスの最適分解条件と一致しないことを意味する。このため、図3の装置のように、TEOSガスとOガスを同時に分解すると、酸素ラジカルの量を増やすためにOガスとして多量の流量を必要とする。その結果、未分解の酸素分子がシリコン酸化膜121内に取り込まれ易くなり、良質なシリコン酸化膜121が得られなくなる。このようにして、図3の装置では、熱酸化膜に匹敵するようなシリコン酸化膜121は得られないと考えられる。
【0028】
これに対し、図1の装置では、図3の比較例の表面波プラズマCVD装置よりもさらに特性が改善され、熱酸化膜に近い特性のシリコン酸化膜21が得られている。これは、TEOSガスを表面波プラズマ、Oガスを他のマイクロ波、で別々に解離制御したので、各々のガスに対して解離条件が求め易くなり、余分なガスを必要としなくなったからであると解析される。
【0029】
次に、得られるシリコン酸化膜の面分布的均一性について説明する。図4は、(a)図3の比較例の表面波プラズマCVD装置、(b)図1の本実施形態の表面波プラズマCVD装置、(c)熱酸化、によりそれぞれ得られたシリコン酸化膜の絶縁破壊強度の分布を示す図である。試料はNドープのSi基板の上に酸化膜を約100nm積層し、対向電極として約3mmΦのアルミを約300nmマスク蒸着して測定した。試料は各々、基板上の異なる位置に形成された20個を測定した。図4に示すように、平均の絶縁破壊強度は、図3の比較例の表面波プラズマCVD装置(a)では、8.6MV/cm、熱酸化膜(c)では9.1MV/cmであるのに対し、図1の本実施形態の表面波プラズマCVD装置(b)では、8.9MV/cmである。つまり、図3の比較例の表面波プラズマCVD装置に比べて0.3MV/cm程強度が改善されたのがわかる。さらに、図1の本実施形態の表面波プラズマCVD装置で得られたゲート絶縁膜(b)には、絶縁膜破壊強度分布のばらつきが少なく、均一性が高いという特徴が見られる。この均一性は、図3の比較例の表面波プラズマCVD装置に比べて顕著に改善されている。
【0030】
以上のように、本発明者による本発明の実施態様の効果を確認するための実験によれば、表面波プラズマCVD装置では、図3の比較例のようにTEOSガスとOガスとを共に同一の表面波で解離制御するよりも、図1の本実施形態のように、TEOSガスを表面波プラズマ、Oガスを他のマイクロ波、で別々に解離制御する方が高い特性および均一性が得られることが分かった。
【0031】
これは、通常の技術者にとって思いもよらないことであるが、その理由を以下に説明する。即ち、一般には、通常のCVD装置、例えば図5の平行平板プラズマCVDでは、TEOSガスとOガスとを同時に解離制御するほうが、それぞれのガスが均一に混ざりやすくなり、特性や均一性が良くなると考えられていた。このため、従来は、2つのガスを同一の平面波で解離制御していた。しかしながら、本発明者の実験によれば、従来の技術常識に反し、表面波プラズマCVD装置では、上述のように異なる結果が得られることがわかった。この理由について、本発明者は、以下のように解析した。
【0032】
まず、特性が良くなる理由について、本発明者は、以下のように考える。即ち、表面波プラズマCVD装置では、プラズマ密度を1011〜1012cmと高くすればTEOSガスの分解効率を極めて高くすることができる。このようにTEOSガスの分解効率を高くすることができれば、未分解のTEOSガス(SiO(C)が減少する。つまり、未分解のC系のハイドロカーボンが減少する。これと共に、未分解のOガスを減らせば、シリコン酸化膜に取り込まれる未分解のガスがほとんどなくなる。この結果、特性が高いシリコン酸化膜が得られる。
【0033】
これに対し、平行平板型プラズマCVD装置(図5)では、前述のようにプラズマ密度を高くできないので、それぞれのガスを別々に最適分解条件で解離制御したとしても、図1、図3の表面波プラズマCVD装置ほどTEOSガスの分解効率を高くすることができない。このため、シリコン酸化膜に未分解のC系のハイドロカーボンが取り込まれてしまう。つまり、TEOSガスとOガスとを最適分解条件で別々に解離制御しても、特性が高いシリコン酸化膜は得られない。
【0034】
次に、均一性が低下しない理由について、本発明者は、以下のように考えている。即ち、本発明の表面波プラズマCVD装置には、それぞれのガスが均一に混ざりにくくなるというデメリットと、未分解のガスが少なくなるというメリットと、がある。しかしながら、上記メリットの方が大きいと考えられている。即ち、図1の装置のようにTEOSガスと、Oガスと、を別々に解離制御してから混合すれば、ガス体生成室Bおよび積層室Cにおいてガスが均一に混ざりにくくなることが避けられない。このため、図1の装置の積層室Cのガスの均一性は、図6の装置の室Dにおけるガスの均一性に比べれば、悪化することが避けられない。しかし、他方で、図1の装置では、TEOSガスおよびOガスの分解効率が高いために、未分解のTEOSガスおよびOガスが減少する。このように未分解のガスが少なれば、ガスの混合に多少の偏りが生じても、特性が悪いゲート絶縁膜はできにくくなる(図2参照)。そして、特性が悪いゲート絶縁膜ができにくくなる結果として、均一性が向上する。このようにして、図1の装置では、それぞれのガスが均一に混ざりにくくなるというデメリットよりも、未分解のガスが少なくなるというメリットが大きくなり、形成されたゲート絶縁膜の均一性はむしろ向上すると考えられる。
【0035】
以上のように、本実施形態では、TEOSガスと、Oガスと、を別々に分解制御することにより、特性が高いゲート絶縁膜を大面積で得られる表面波プラズマCVD装置を提供することができる。
【0036】
以上説明した図1の表面波プラズマCVD装置では、シリコン原料としてTEOSを用いたが、モノシランSiH等の他のシリコン原料を用いることもできる。
【0037】
また、図1の表面波プラズマCVD装置では、ゲート絶縁膜としてシリコン酸化膜を形成する場合について説明したが、絶縁膜としてシリコン窒化膜を形成する場合も、特性の高い絶縁膜を得ることができる。また、Si:N:H絶縁膜などにも適用できる。この時は、材料ガスはSiH、N、NHを使用するが、SiHガスを表面波で分解し、N,NHガスは第2のマイクロ波電源で分解すれば良い。この様にSiH系ガス(Si原子を含むガス)は表面波で分解し、第2のマイクロ波で添付ガス(O、N、NH等)を分解し混合するプロセスであれば本発明の範疇に属するものである。
【0038】
また、図1の表面波プラズマCVD装置では、30cm以上の幅または直径を有する大型のガラス基板21を用いた場合に、他の装置では得られない特に顕著な効果を得ることができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、TEOSガスと、Oガスと、を別々に分解制御するようにしたので、それぞれのガスを最適の分解条件で分解し、特性の高いシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の表面波プラズマCVD装置。
【図2】本発明の実施の形態の表面波プラズマCVD装置による、ゲート絶縁膜形成の製造条件を説明するための図。
【図3】本発明者による比較例の表面波プラズマCVD装置を示す図。
【図4】各種の装置で得られたゲート絶縁膜の絶縁膜破壊強度特性の分布を示す図。
【図5】従来の平行平板プラズマCVD装置を示す図。
【符号の説明】
13 第1のマイクロ波電源
20 ガラス基板
21 シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜
32 第2のマイクロ波電源
33 石英チューブ(第2の放電分解部)
A 第1の放電分解部(上の室)
B ガス体生成室(中の室)
C 積層室(下の室)
TEOS シリコン原料となるTEOSガス
 酸素原料となるOガス

Claims (5)

  1. 第1のマイクロ波電源により表面波を発生させて高密度のプラズマを励起しシリコン原料ガスを放電分解させる第1の放電分解部と、
    第2のマイクロ波電源により酸素原料または窒素原料となる添付ガスを放電分解させる第2の放電分解部と、
    放電分解された、前記シリコン原料ガスと、前記添付ガスと、を重合反応してガス体を生成するガス体生成室と、
    前記ガス体を用いて、過熱されたガラス基板上にシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜からなる絶縁膜を積層する積層室と、
    を備えることを特徴とするプラズマCVD装置。
  2. 第1のマイクロ波電源により表面波を発生させて高密度のプラズマを励起しシリコン原料ガスを放電分解する工程と、
    第2のマイクロ波電源により酸素原料または窒素原料となる添付ガスを放電分解する工程と、
    放電分解された、前記シリコン原料ガスと、前記添付ガスと、を重合反応してガス体を生成する工程と、
    前記ガス体を用いて、過熱されたガラス基板上にシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜からなる絶縁膜を積層する工程と、
    を備えることを特徴とする絶縁膜の製造方法。
  3. 前記高密度のプラズマのプラズマ密度を1011/cm以上とすることを特徴とする請求項2記載の絶縁膜の製造方法。
  4. 前記シリコン原料ガスとしてTEOSを用いることを特徴とする請求項2または請求項3記載の絶縁膜の製造方法。
  5. 前記絶縁膜を液晶表示装置におけるガラス基板上に形成することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の絶縁膜の製造方法。
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