JP2004021236A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】用紙又はトナー像を担持し、所定間隔でマークが付された無端ベルトの移動速度を検出し、該移動速度が一定になるように制御して、トナー像の用紙又は無端ベルトへの転写位置ずれを制御する画像形成装置において、マークの移動速度を検出し、該移動速度に基づいて予め設定した目標速度に到達するベルトの制御量を演算、取得し、次のマークまでの間、この制御量でベルトの速度を制御する手段を備える。マーク▲5▼に不鮮明があったときは、前のマークでの制御量を維持し、汚れ72、傷74があったときは、これらにより制御量の演算、取得は行わず、前のマークの制御量を維持してそれぞれ速度制御を行う。
【選択図】 図12
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光体ドラムと中間転写ベルト等の移動体を有し、感光体ドラム上に現像されたトナー像を移動体等に転写するとき、トナー像の転写位置ずれを制御する手段を備えたデジタル複写機等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、感光体ドラム等の像担持体と、中間転写ベルト等の移動体とを互いに接触させて転写ニップを形成し、それぞれの表面を互いに順方向に移動させながら、感光体ドラム上に現像されているトナー像を像担持体から移動体に転写させる画像形成装置は周知である。移動体としては、中間転写ベルトの他、記録体搬送ベルトが用いられる。前者の中間転写ベルトが用いられる場合には、トナー像が転写ニップで像担持体から中間転写ベルトに1次転写された後、2次転写位置まで搬送され、ここで中間転写ベルトから転写紙等の記録体に最終的に転写される。また、後者の記録体搬送ベルトが用いられる場合には、トナー像が該ベルトに中間転写されることなく、像担持体から記録体搬送ベルト上の記録体に直接転写される。何れの移動体が用いられる場合でも、トナー像が転写ニップで像担持体側から移動体側へと転写されることに変わりはない。
【0003】
このような移動体を用いる画像形成装置においては、トナー像が移動体又は移動体に搬送される記録体の正規位置にきちんと転写されずに、転写位置ずれを生じることがあった。この転写位置ずれは、特に像担持体上に形成した各色のトナー像を順次重ね合わせて転写するフルカラー画像形成装置においては、各色のトナー像がずれることによって色ずれとなり、画像の色調を乱すことになっていた。
【0004】
そこで、この転写位置ずれをなくするために、ベルトの移動速度を一定速度に制御する技術が開発されている。特開平9−175687号公報に開示されたベルト移動速度の制御技術は、移動体たるベルトに対してその移動方向にずらして配設された2つの光学センサを備え、ベルトに印刷されたマークについて、同一のマークが各々のセンサに検知される通過時間差を、ベルト駆動ロールの回転周期の整数倍の期間に渡って測定し、通過時間の平均値を算出し、この平均値と各々のマークの通過時間とを比較し、ベルトの移動速度が一定となるように、ベルト駆動ロールの駆動モータを制御している。この技術によれば、ベルトの移動速度を正確に算出できるので、ベルト移動速度を一定速度にすることができた。
【0005】
しかしながら、転写位置ずれを生じる要因は、ベルトが一定速度で移動しないこと以外にも存在するが、これらの要因に対処して転写位置ずれを制御することは行われていなっかった。即ち、1)中間転写ベルトや記録体搬送ベルトを一定速度化する場合、移動速度が設定した目標速度で安定化していない、2)中間転写ベルトや記録体搬送ベルトを目標速度で安定化するように制御するために光電的手段を用いた場合、ベルトに付されたマーク(目印)を検出するに当たり、例えば経時によりマークが不鮮明になったり、消去されていて、マークがセンサ位置を通過したにもかかわらず出力信号が出力しない、又、トナーこぼれ、ベルト上にできたすじ状の傷等により、マークがないにもかかわらずセンサから出力信号が出力する等の要因に対処して転写位置ずれを制御することである。従って、転写画像の色ずれをなくし色調の高い画像を形成することはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、中間転写ベルト又は記録体搬送ベルトの移動速度の変動に起因する転写画像の色ずれをなくすることであり、第2の目的は、光電的手段を用いて中間転写ベルトや記録体搬送ベルトの移動速度の変動を制御するとき、ベルト上の読み取りマークの不鮮明、欠落に起因する転写画像の色ずれをなくすること、及びベルト上の汚れ、傷等に起因する転写画像の色ずれをなくすることである。そして第3の目的は、ベルト上の読み取りマークの不鮮明、欠落、或いは汚れ、傷等の発生度合いによって画像形成を行わないようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、転写紙又はトナー像を担持し、移動方向に対して所定の間隔で複数のマークが設けられた無端ベルトからなる移動体の移動速度を検出し、検出した移動速度が一定になるように制御して、トナー像の転写紙又は無端ベルトへの転写位置ずれを制御する画像形成装置において、マークを読み取り、読み取ったマークの移動速度を検出する手段と、検出した移動速度に基づいて予め設定した目標速度に到達する移動体の制御量を演算、取得する手段と、次のマークの読み取りまでの間、前記演算、取得した制御量で移動体の速度を制御する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記読み取ったマークの、次のマークの読み取りエラーを判断する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記読み取ったマークの、次のマークの読み取りエラーを判断する手段は、予め設定した所定の時間内に、次のマークを読み取ったか否かを判断し、前記時間内に読み取らなかったとき、読み取りエラーと判断することを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記次のマークが読み取りエラーと判断したとき、更に次のマークの読み取りまでの間、前記演算、取得した制御量で移動体の速度を制御する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記読み取ったマークの、次のマークの読み取りエラーを判断する手段は、予め設定した所定の時間内に、次のマークを読み取ったか否かを判断し、前記時間内に読み取ったとき、読み取りエラーと判断することを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5記載の画像形成装置において、前記読み取ったマークの、次のマークを読み取りエラーと判断したとき、前記次のマーク読み取り時に制御量の演算、取得は行わず、更に次のマークの読み取りまでの間、前回演算、取得した制御量で移動体の速度を制御する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項2乃至6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記読み取ったマークの、次のマークの読み取りエラーを判断した回数が所定回数に到達したとき、画像形成を禁止する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7記載の画像形成装置において、前記読み取ったマークの、次のマークの読み取りエラーを判断した回数を計数する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像形成装置の一実施形態に係るタンデム方式のカラーレーザプリンタ(以下、レーザプリンタと略称する)について説明する。
はじめに、レーザプリンタの全体構成を、図1に示すレーザプリンタの全体概略構成図を参照して説明する。
このレーザプリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の像担持体としての感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kを備えた、画像を形成するための4組のトナー像形成部1Y、1M、1C、1Kを、転写紙の移動方向における上流側から順に備える。
なお、以下の説明において、各符号の添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す。
トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kは、各色形成部毎に、後述する感光体ドラム、現像装置、転写ユニット、除電ランプ等を有し、光書込ユニット2で書込んだ各色画像を順次感光体ドラム上に形成し、現像し、転写ユニットにて中間転写体としての転写搬送ベルト60上に各色画像を重ねてカラー画像を得るようにしている。このカラー画像は、給紙トレイ3又は4から給紙された、図中一点鎖線で示す搬送路の図示しない転写紙に転写され、定着ユニット7で熱定着される。カラー画像を定着した転写紙は排紙トレイ8に排紙される。なお、レーザプリンタは、図示しない手差しトレイ、トナー補給容器、廃トナーボトル、両面・反転ユニット、電源ユニット等を備える。
【0016】
次に、レーザプリンタの各構成ユニットについて説明する。
(光書込ユニット)
光書込ユニット2は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面にレーザ光を走査しながら照射する。
【0017】
(感光体ドラム等)
図2は、トナー像形成部1Yの概略断面構成図である。
なお、他のトナー像形成部1M、1C、1Kも、トナー像形成部1Yと同じ構成であるので、これらを代表してトナー像形成部1Yについて説明する。
図2において、トナー像形成部1Yの感光体ユニット10Yは、感光体ドラム11Y、ドラム表面に潤滑剤を塗布するブラシローラ12Y、クリーニング処理をする揺動可能なカウンタブレード13Y、除電処理をする除電ランプ14Y、感光体ドラムを一様に帯電処理する非接触型の帯電ローラ15Yを備える。感光体ドラム11Yは、その表面に有機感光体(OPC)層を有するものが用いられる。感光体ユニット10Yにおいて、交流電圧が印加された帯電ローラ15Yによって一様に帯電された感光体ドラム11Yの表面に、前記光書込ユニット2で変調及び偏向されたレーザ光Lが走査されながら照射されると、ドラム表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、次に説明する現像装置20Yによって現像されてYトナー像となる。
【0018】
(現像装置)
現像装置20Yは、現像ケース21Yの開口から一部露出させるように配設された現像ローラ22Y、第1搬送スクリュウ23Y、第2搬送スクリュウ24Y、現像ドクタ25Y、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(以下、Tセンサと略称)26Y、粉体ポンプ27Y等を備える。
現像ケース21Yには、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとを含む現像剤が内包されている。この現像剤は第1搬送スクリュウ23Y、第2搬送スクリュウ24Yによって撹拌搬送されながら摩擦帯電させられた後、現像剤担持体としての現像ローラ22Yの表面に担持される。そして、現像ドクタ25Yによってその層厚が規制されてから感光体ドラム11Yと対向する現像領域に搬送され、ここで感光体ドラム11Y上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体ドラム11Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費した現像剤は、現像ローラ22Yの回転に伴って現像ケース21Y内に戻される。
【0019】
第1搬送スクリュウ23Yと、第2搬送スクリュウ24Yとの間には仕切り壁28Yが設けられており、これにより、現像ローラ22Y、第1搬送スクリュウ23Y等を収容する第1供給部29Yと、第2搬送スクリュウ24Yを収容する第2供給部30Yとが前記現像ケース21Y内で分かれている。第1搬送スクリュウ23Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動され、第1供給部29Y内の現像剤を現像ローラ22Yの表面に沿って図中手前側から奥側へと搬送しながら現像ローラ22Yに供給する。第1搬送スクリュウ23Yによって第1供給部29Yの端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁28Yに設けられた図示しない開口部を通って第2供給部30Y内に進入する。第2供給部30Y内において、第2搬送スクリュウ24Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動され、第1供給部29Yから進入してきた現像剤を第1搬送スクリュウ23Yとは逆方向に搬送する。第2搬送スクリュウ24Yによって第2供給部30Yの端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁28Yに設けられた図示しないもう一方の開口部を通って第1供給部29Y内に戻る。
【0020】
Tセンサ26Yは、第2供給部30Yの中央付近の底壁に設けられ、その上を通過する現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。現像剤の透磁率は現像剤のトナー濃度と相関を有するため、Tセンサ26YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、後述する制御部に送られる。この制御部は、RAMを備えており、この中にTセンサ26Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像装置に搭載されたTセンサ26M、26C、26Kからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータを格納している。現像装置20Yについては、Tセンサ26Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、図示しないYトナーカートリッジに連結する粉体ポンプ27Yを比較結果に応じた時間だけ駆動させて、Yトナーカートリッジ内のYトナーを第2供給部30Y内に補給する。このように粉体ポンプ27Yの駆動が制御(トナー補給制御)されることで、現像によってYトナーを消費してYトナー濃度を低下させた現像剤に第2供給部30Y内で適量のYトナーが補給され、第1供給部29Yに供給される現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他の現像装置20M、20C、20Kについても、同様のトナー補給制御が実施される。現像装置20Yによって現像されたYトナー像は、次に説明する転写ユニットによって転写紙100上に転写される。
【0021】
(転写ユニット)
図3は、転写ユニットの模式的断面構成図である。
転写ユニット6は、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれに接触して、4つの転写ニップを形成しながら無端移動するベルトとしての転写搬送ベルト60を備える。この転写搬送ベルト60は、体積抵抗率が109〜1011[Ωcm]である高抵抗の無端状単層ベルトであり、その材質にはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が用いられる。転写搬送ベルト60は、各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに接触対向する各転写位置を通過するように、接地された4つの支持ローラ61に掛け回されている。
【0022】
これらの支持ローラ61のうち、図中最も右側のものには、電源62aから所定電圧が印加された静電吸着ローラ62が対向するように配置されており、レジストローラ対5によって両ローラ間に送り込まれた転写紙100は、転写搬送ベルト60上に静電吸着される。図中最も左側の支持ローラ61は、図示しない駆動手段によって回転して転写搬送ベルト60を摩擦駆動する駆動ローラとなっている。一方、図中下側の2つの支持ローラ61間に位置する転写搬送ベルト60部分の外周面には、電源63aから所定のクリーニングバイアスが印加されたバイアスローラ63が接触するように配置されている。各転写ニップの下方には、転写搬送ベルト60の裏面に接触する転写バイアス印加部材65Y、65M、65C、65Kが設けられている。これら転写バイアス印加部材65Y、65M、65C、65Kは、マイラー製の固定ブラシによって構成されており、各転写バイアス電源9Y、9M、9C、9Kから転写バイアスが印加される。この転写バイアス印加部材によって印加された転写バイアスにより、転写搬送ベルト60に転写電荷が付与され、各転写位置において転写搬送ベルト60と感光体ドラム表面との間に所定強度の転写電界が形成される。
【0023】
前記給紙カセット3、4から給送された転写紙100は、図示されない搬送ガイドにガイドされながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ対5が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対5によって所定のタイミングで送出された転写紙は、転写搬送ベルト60に担持され、トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kに接触可能に構成された各転写ニップを通過する。各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上で現像された各トナー像は、それぞれ各転写ニップで転写紙に重ね合わされ、転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙上に転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙上にはフルカラートナー像が形成される。
【0024】
(除電)
トナー像が転写された後の感光体ドラム11Yの表面は、ブラシローラ12Y(図2参照)で所定量の潤滑剤が塗布された後、カウンタブレード13Yでクリーニングされる。そして、除電ランプ14Yから照射される光によって除電され、次の静電潜像の形成に備える。
【0025】
(定着ユニット)
フルカラートナー像が形成された転写紙100は、加熱ローラを備えた定着ユニット7内でフルカラートナー像が定着された後、排紙トレイ8に排出される。なお、この定着ユニット7は、加熱ローラの温度を検知する図示しない温度センサを備えている。
【0026】
(転写搬送ベルト)
図4は、転写搬送ベルトの斜視図であり、図中、4つの支持ローラ61に掛け廻された転写搬送ベルト60は、その端部に一周にわたって所定の間隔で印刷された複数のベルトマーク60aを有する。又、このベルトマーク60a等を読取るために縦断面が日本語カタカナ「コ」の字状の透過型フォトセンサ69、70、71が、透過型フォトセンサ69は転写搬送ベルト60の一端側に、透過型フォトセンサ70と71は、他端側上下方向に、透過型フォトセンサ69は転写搬送ベルト60の図中奥側の端部を「コ」の字の内部に位置させるように、また、透過型フォトセンサ70、71は転写搬送ベルト60の図中手前側端部を「コ」の字の内部に位置させるように図示しない取付部材によって設置する。更に、透過型フォトセンサ69、70は、それぞれベルト幅方向において一直線上に位置するように配設する。これら透過型フォトセンサのうち、透過型フォトセンサ69、70は後述する基準トナー像を検知するためのものであるのに対し、残りの透過型フォトセンサ71は、ベルトマーク60aを検知するためのものである。
【0027】
図5は、透過型フォトセンサを転写搬送ベルトの一部とともに示す拡大斜視図である。図中、透過型フォトセンサ69は、「コ」の字の上辺部分に該当する箇所に設けた発光素子69aと、「コ」の字の下辺部分に該当する箇所に設けた受光素子69bを有しており、発光素子69aから転写搬送ベルト60のおもて面(ループの外周面)に向けて光を発するようになっている。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)からなる転写搬送ベルト60は乳白色を呈しており、光透過性を有する。このため、発光素子69aから発せられた光は、転写搬送ベルト60を透過した後、受光素子69bによって検知される。受光素子69bは、その受光量に応じた出力信号を次に説明する制御部に向けて送信する。なお、透過型フォトセンサ70は、透過型フォトセンサ69と同様の構造を有し、透過型フォトセンサ71の構造については後述する。
【0028】
(制御部)
図6は、本実施形態に係るレーザプリンタの制御部と各デバイス等との電気的接続関係を示す図である。
図6において、制御部150は、透過型フォトセンサ69、70、71、それぞれ電気的に接続されたトナー像形成部1Y、1M、1C、1K、光書込ユニット2、給紙カセット3、4、レジストローラ対5、転写ユニット6等に接続されている。また、この制御部150は、演算処理を実施するCPU150a、データを記憶するRAM150b、DSP(Digital Signal Processor)150cを備える。
制御部150は、透過型フォトセンサ69、70、71、CPU150a及びDSP150c、トナー像形成部1、光書込ユニット2等各々のデバイスとの接続によりトナー像の位置ずれ制御装置を構成する。このとき制御形態により異なるタイプの位置ずれ制御装置を構成する。またトナー像形成部1、光書込ユニット2等各々のデバイス間との情報のやり取りは、所定の通信手段、例えばシリアル通信等の手段を介して行う。
【0029】
次に、本発明の実施形態に係るレーザプリンタに適用する転写画像の色ずれをなくするための位置ずれ制御装置について説明する。
(位置ずれ制御装置1)
転写搬送ベルトに周方向に厚みむらや、張架ローラに軸位置の偏心等により転写搬送ベルト60の移動速度が変動すると、各色の転写トナー像に位置ずれが生じて転写画像に色ずれを生じる。
そこで本位置ずれ制御装置1は、転写搬送ベルト60の移動速度を目標速度に到達するよう制御し、トナー像の位置ずれを制御する。
図7は、透過型フォトセンサ71の構造図、図8は、透過型フォトセンサ71の発光素子と受光素子の位置関係を示す図、そして図9は、透過型フォトセンサ71の受光素子の出力タイミングを示す図である。
透過型フォトセンサ71は、その光路が基準トナー像ではなく、ベルトマーク60aに横断されるように配設され、しかも他の透過型フォトセンサ69,70とは構造が異なる。
【0030】
図7において、透過型フォトセンサ71は、発光素子71aと、この発光素子71aから発せられ転写搬送ベルト60を透過した光を受光する2つの受光素子71b、71cを有する。これら受光素子71b、71cは、具体的にはフォトトランジスタであり、転写搬送ベルト60の移動方向(図7の矢印方向)にずれた位置で、図8を参照すると、同一の半導体基板71d上にそのずれ量が距離Lになるように配置する。半導体基板71dは、シリコン材料からなっており、受光素子71b、71cは、周知の半導体基板製造プロセスによって距離Lの誤差を数μmと非常に高精度に製造することができる。
ベルトマーク60aは、転写搬送ベルト60の移動に伴って受光素子71bの受光用光路を横断してから、受光素子71cの受光用光路を横断する。受光素子71b、71cからの出力信号OUT1、OUT2は、それぞれ制御部150にて検知する。
【0031】
図9の受光素子の出力タイミング図を参照すると、同一のベルトマーク60aが受光素子71b、71cの光路を通過するタイミングにはタイムラグΔtが生ずる。このタイムラグΔtは、転写搬送ベルト60の速度Vによって変化する。ベルトマーク60aは、ベルト全周にわたって所定の間隔で複数印刷されており、速度Vが一定であれば各タイムラグΔtはそれぞれ一定となる。従って、単純に転写搬送ベルト60の速度Vを一定にするのであれば、各タイムラグΔtを変化させないように駆動ローラに駆動力を伝達する図示しない駆動モータを制御すればよい。
【0032】
しかし、このような制御では、転写搬送ベルト60の速度Vの一定化を図ることはできるものの、その速度Vを所定の目標値である目標速度で一定且つ安定させることはできない。
そこで、駆動速度制御手段としての制御部150は、次の数式1で示す数式に基づいて速度Vを算出し、算出結果を目標速度V0に近づけるように駆動ローラの駆動モータを制御して転写搬送ベルト60の速度の安定化を図る。具体的には、この駆動モータをPID(Proportional Integral Differential)制御する。
(数式1)
速度V=距離L/タイムラグΔt
【0033】
ここで、PID制御とは、次のような制御である。即ち、前記駆動モータの回転速度を単純に変化させる場合、どうしても速度Vを目標速度V0よりも上回らせたり、下回らせたりといったことを繰り返してしまうため、速度Vの正確な安定化が不可能である。そこで、まず、制御部150は、前記駆動モータの制御量を、算出した速度Vと目標速度V0との差に所定の係数を乗じて比例倍数とする比例処理を行う。そうすると、速度Vが目標速度V0に近づいた時点で微妙な制御を加えることができるので、細かく目標速度V0に近づけることが可能となる。このような比例制御をP制御という。
【0034】
しかし、制御変化量には限界がある。このため、比例制御では実際の速度Vが目標速度V0に極めて近づくと、制御量をそれ以上変化させることができず、速度Vを目標速度V0にピッタリと合わせることができない。このときの両者のわずかな偏差は「残留偏差」と呼ばれる。そこで、制御部150は、残留偏差を殆ど無くすべく、残留偏差を積分処理して累積し、ある大きさになった時点で制御量を変化させて偏差をなくすようにする。このように、比例処理に積分処理を加えた制御をPI制御という。
【0035】
このPI制御によって速度Vを目標速度V0に到達させるような制御を行うことができる。しかしながら、制御部150から制御信号が発信されてから、前記駆動モータの駆動速度がこの制御信号に応じた速度に変化するまでには若干の応答時間が必要である。この応答時間が比較的大きいと、速度Vを外乱に対しすばやく反応させることができず、元の目標速度V0に戻すまでにある程度の時間を要してしまう。そこで、制御部150は、先の残留偏差と後の残留偏差との差を微分処理し、その結果が所定値を超える場合には本来よりも制御変化量を大きくする微分処理を行う。これにより、急激に起きる外乱に対して速度Vを柔軟に対応させることができる。以上のような一連の比例処理、積分処理、微分処理の実施を伴う制御をPID制御という。
【0036】
図10は前記制御部の制御ブロックを示す図である。この図では、時間領域からラプラス変換された後の状態が示されている。まず、制御部150のCPU150aによって速度V(S)と目標速度V0(S)との偏差E(S)が算出され、算出結果はDSP150cによって操作量F(S)に変換する。本実施形態のレーザプリンタでは、駆動ローラを駆動する駆動モータ72としてステッピングモータを用いるため、この操作量F(S)は駆動周波数である。駆動モータ72に対する操作量F(S)が求められた駆動周波数に変調されると、駆動モータ72のモータ軸の回転角速度が変化して、速度Vがこれに応じて変化する。制御応答速度に着目すると、DSP150cの制御対象は、駆動モータ72だけでなく、転写ユニット6全体が含まれることになり、その伝達関数はGp(S)となる。
【0037】
前記したPID制御を行う場合、次の数式2、数式3で示す関係式が成立する。
(数式2)
DPSによる制御信号の伝達関数Gc(S)=操作量F(S)/偏差E(S)
(数式3)
操作量F(S)
=Kp×E(S)+Ki×E(S)/S+Kd×S×E(S)
但し、Kp、Ki、Kdは、それぞれ比例項、積分項、微分項。
これら数式2及び数式3から、次の数式4に示す関係式が求まる。
(数式4)
Gc(S)=Kp+Ki/S+Kd×S
【0038】
前記したように、ベルトマーク60aはベルト全周にわたって所定の間隔で配設されており、ベルト一周あたりに前記タイムラグΔtが定期的に何度も取得されるので、受光素子71b、71cからの出力のサンプリングデータは、連続データではなく離散データとなる。そこで、前記数式4の関係式を双一次変換すると、次の数式5で示される関係式が得られる。
(数式5)
Gc(Z)=b0+b1×Z−1+b2×Z−2/1−a1×Z−1−a2×Z−2
但し、a1=0
a2=1
b0=Kp+T×Ki/2+2×Kd/T
b1=T×Ki−4×Kd/T
b2=−Kp+T×Ki/2+2×Kd/T
【0039】
この関係式をブロック図として表すと、図11のようになる。ここで、e(n)、f(n)(それぞれnは自然数)は、偏差E(S)、操作量F(S)をそれぞれ離散データとして扱うことを示している。図11において、中間ノードとしてそれぞれu(n)、u(n−1)、u(n−2)を定めると、差分方程式は次の数式6、数式7のようになる。
(数式6)
u(n)=a1×u(n−1)+a2(n−2)+e(n)
(数式7)
f(n)=b0×u(n)+b1×u(n−1)+b2×u(n−2)
これら差分方程式から解るように、離散データにおけるPID制御演算は積和演算となる。
【0040】
そこで、本位置ずれ制御装置1は、離散データの積和演算に非常に優れた高速のDSP150cによって駆動モータ72を制御し、次のベルトマーク60aに受光素子71b、71cの双方の光路を通過させる前に、先のベルトマークの光路通過についての演算を行って、これに基づく駆動モータ72の制御を行う。
なお、DSP150cは、図示しない乗算器を備え、積和演算を1ステートにて実行することができる。これに対し、CPU150aは、積和演算に数〜数10ステートを要する。
上述では、PID制御を行う例について説明したが、比例制御(P制御)や、PI制御によって駆動モータ72を制御させるようにしてもよい。また、駆動モータ72としてステッピングモータではなく、一般のDCモータやACモータを用いることもできる。
【0041】
本位置ずれ制御装置によれば、転写搬送ベルト60に周方向に厚みむらがあったり、張架ローラに軸位置の偏心あっても、転写搬送ベルト60の移動速度を目標速度で一定且つ安定するように制御するので、各色のトナー像の位置ずれをなくし、結果として転写画像の色ずれをなくすことができる。
【0042】
(位置ずれ制御装置2)
転写搬送ベルト60の表面には、例えばベルトクリーニング手段等の部材が接触しており、長期に渡る使用中にベルトマーク60aは、こすれ等により不鮮明になったり、消えたりする。
そこで本位置ずれ制御装置2は、前記不鮮明、消去に対処して転写搬送ベルト60の移動速度を目標速度で安定化するように制御する。
図12は、ベルトマークの損傷とセンサ検出信号の関係を示す図である。
図12において、マーク▲1▼〜▲8▼が本来のベルトマーク60aである。ベルトマーク60aの基準ベルトマーク間距離はD0であり、転写搬送ベルト60の基準移動速度をV0とすると、センサ検出信号は、基準検出時間T0=D0/V0のタイミングにて出力される。
ところが、ベルトマーク60aのうち、ベルトマーク▲5▼が不鮮明になると、ベルトマーク▲5▼を検出するタイミング、つまり基準検出時間T0でセンサ検出信号が出力されず、従って、ベルト移動速度の制御は行われない。
そこで、次のベルトマーク(例えばベルトマーク▲5▼の検出信号)が検出される筈である所定の時間範囲を設定し、前回センサ検出信号(例えばベルトマーク▲4▼の検出信号)が出力されてからの経過時間tを所定のタイマ手段により計測し、CPU150aにより、経過時間tが前記時間範囲内において次のマークの検出信号が出力されるか否かの検知エラーを判定する。
本位置ずれ制御装置では、時間範囲を基準検出時間T0の±1%以内とした。即ち、次の条件1を満足する経過時間内に検出信号が出力ないときは、検知エラーが起きたと判定する。
(条件1) 0.99*T0≦t≦1.01*T0
【0043】
なお、条件1は、基準検出時間T0の±1%以内に限られるものではなく、±0.5%や±2%等もあり得る。この数字は、基準ベルトマーク間距離D0の付与誤差や基準移動速度V0の誤差等も影響するので、総合的に判断して決める。
【0044】
あるベルトマークの検出時点でベルトマークの検知エラーが判定されたとき、制御部は、そのベルトマークでは、前のベルトマークでの制御量によるベルト移動速度を維持したまま移動させ、次のベルトマークを検出した時点で制御量を演算、取得し、速度制御を行う。
図13は、ベルトマークの検知エラーが判定されたときの、ベルト移動速度の制御タイミングの説明図である。
図13において、例えばベルトマーク▲3▼の検出に基づき目標V0との偏差情報から制御量を演算、取得し、ベルト移動速度を制御する。次にベルトマーク▲4▼の検出に基づき同様にベルト移動速度を制御する。次に、ベルトマーク▲5▼が検出されるタイミングにおいて検知エラーと判定されるため、ベルトマーク▲4▼の検出に基づく制御を維持したままとする。そして次にベルトマーク▲6▼が検出されたタイミングで制御量を演算、取得し、ベルト移動速度を制御する。
【0045】
本位置ずれ制御装置によれば、ベルトマーク60aが不鮮明になったり、かき消された場合においても、転写搬送ベルト60を所定の目標速度で一定且つ安定するように制御し移動させることができる。従って、各色の転写像の色ずれをなくすことができる。
【0046】
(位置ずれ制御装置3)
トナーこぼれ72及びベルト傷74部分(図12参照)においても、センサ検出信号が出力される。このように基準ベルトマークを検出するタイミング以外のタイミング、つまり誤ったタイミングでセンサ検出信号が出力されると、前記ベルトマークの不鮮明時と同じように正しくベルト移動速度の制御がなされず、最悪の場合、異常画像が出力されてしまうといったことが起こり得る。
【0047】
そこで、本位置ずれ制御装置3は、前記トナーこぼれ及びベルト傷等のベルトマークの損傷に対処して転写搬送ベルト60の移動速度を所定の目標速度で安定化するように制御する。
【0048】
このために、あるベルトマークによるセンサ検出信号が出力されてから次のベルトマークによるセンサ検出信号が出力されるまで、出力される筈のない所定の時間範囲を設定する。そして、あるベルトマークによるセンサ検出信号が出力されてからの経過時間tを所定のタイマ手段により計測し、次のベルトマークによるセンサ検出信号が出力されるまでの経過時間tが、前記設定した時間範囲内か否かの検知エラーを判定する。
本位置ずれ制御装置では、前記所定の時間範囲を基準検出時間T0の−3%以上とする。すなわち、次の条件2を満足する場合に検出信号が出力された場合はエラーが起きたと判定する。
(条件2) t<0.97*T0
【0049】
なお、前記所定の時間範囲は基準検出時間T0の−3%以上に限られるものではなく、−1%、−2%等もあり得る。この数字は、基準ベルトマーク間距離D0の付与誤差や基準移動速度V0の誤差等も影響するので、総合的に判断して決めればよい。
【0050】
条件2に該当する検出がなされたときは、その出力に基づく制御量の演算、取得は行わず、前回の検出に基づく、制御を維持したままとする。そして次のベルトマークが検出されたタイミングで、再び制御量の演算、取得を行い、ベルト移動速度を制御する。
【0051】
本位置ずれ制御装置によれば、ベルトマーク60a付近にトナーがこぼれ落ちたり、転写搬送ベルトにすじ状の傷が生じた場合においても、転写搬送ベルト60を所定の目標速度で一定且つ安定して移動させることができる。従って、各色の転写像の色ずれをなくすことができる。
【0052】
次に、前記した転写搬送ベルトに損傷が生じた場合のベルト移動速度制御のフローを説明する。
図14は、転写搬送ベルトに損傷が生じた場合のベルト移動速度制御のフロー図である。
図14を参照すると、ユーザーはカラーレーザプリンタの図示しない操作パネルからベルト移動速度制御の設定をしておくと、透過型フォトセンサ71のセンサ検出信号が出力された際にCPU150a及びDSP150cに割込みがかかり、この制御がスタートする。すると、CPU150aは、制御部150の図示しないタイマ手段から前のベルトマークのセンサ検出信号が出力されてから次のセンサ検出信号が出力するまでの経過時間tを取得し(S1)、この経過時間tが、基準検出時間T0の−3%以上か、つまりt<0.97*T0か否かをチェックする(S2)。基準検出時間T0の−3%以上でなければ(S2,NO)、トナーこぼれやベルト傷は生じていないものと見なして、更に経過時間tが基準検出時間T0の±1%以内か、つまり0.99*T0≦t≦1.01*T0か否かをチェックする(S3)。
【0053】
経過時間tが基準検出時間T0の−3%以上の場合は(S2,YES)、トナーこぼれやベルト傷が生じているものと見なして、ベルト移動速度の制御量の演算、取得、及び速度制御は行わず、前のベルトマークによる制御を維持し(S6)、次の処理ステップS3に移行する。
【0054】
処理ステップS3において、経過時間tが基準検出時間T0の±1%以内であるときは(S3,YES)、ベルトマークの不鮮明や消去がないものと見なして前記タイマ手段をリセットする(S4)。そして通常のベルト移動速度の制御量の演算、取得及び制御を行い(S5)、最初の処理にリターンする。
【0055】
経過時間tが基準検出時間T0の±1%以内でないときは(S3,NO)、ベルトマークの不鮮明や消去が生じているものと見なして、ベルト移動速度の制御量の演算、取得や速度制御は行わず、前のベルトマークによる制御を維持し(S7)、最初の処理にリターンする。
【0056】
(位置ずれ制御装置4)
前記した位置ずれ制御装置2〜3においては、検知エラーを判定したとき、転写搬送ベルトの移動速度を制御する形態について説明したが、エラーの発生度合いが多くなると、制御ができなくなり、異常画像の出力されるおそれがでてくる。
そこで、本位置ずれ制御装置4は、検知エラー判定時の処理として前記移動速度の制御に加えて画像の形成を禁止する。
このために制御部150に検知エラーが発生した回数を計測するカウンタを設ける。このカウンタは検知エラーが発生した回数を計測し、CPU150cは、ユーザーによる図示しない操作パネルからの設定により、例えば検知エラーが1回でも起きたら画像形成を禁止する。或いは、検知エラーの起こった回数をカウントアップし、所定の回数、例えば3回起こった時点で画像形成を禁止する処理を行う。この回数に到達するまでは、移動速度の制御処理を行う。
【0057】
本位置ずれ制御装置によれば、ベルトマークの不鮮明化に伴う欠落や、転写搬送ベルトの傷が所定回数発生したとき、画像形成を禁止するので、ユーザーはこれを感知することにより、ベルトマークの不鮮明を補修したり、ベルト自体を交換することができる。
【0058】
以上、中間転写ベルト等を設定した目標速度で制御し、トナー像の位置ずれを制御する装置について述べたが、ア)感光体ドラムが一定方向へ傾いて組み付けられる、又は反射ミラーに長手方向の傾きがある、イ)感光体ドラムが主走査方向及び/又は、副走査方向にレジストしている、ウ)反射ミラーの倍率が変化していること等に対処して転写画像の色ずれをなくするためのトナー像の位置ずれ制御装置がある。
参考までに説明すると、図示しない主電源が投入された直後に60(℃)以下の加熱ローラ温度を検知したときや、所定枚数以上のプリントアウトが実施されると、制御部150は、感光体ドラム及び反射ミラーについてのスキュー、副走査方向及び主走査方向へのレジスト等による転写トナー像の位置ずれ制御を実施する。
そのために、まず感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kを回転させながら一様に帯電させ、レーザ光の走査によってこれら感光体ドラムに基準トナー像用の静電潜像をパターン像として形成する。そして、これら静電潜像を、現像装置20Y、20M、20C、20Kによって現像させる。現像によって感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成されたパターン像は、転写搬送ベルト60上に互いに重ね合わされないように転写させる。
【0059】
図15は、基準トナー像によるパターン像を示す図であり、前記転写により、転写搬送ベルト60の両サイドに、図15に示されるように縦方向4つ、斜め方向4つ、合計8つの基準トナー像からなるパターン像Pが形成される。
【0060】
図16は、パターン像Pの構成を示す図である。
パターン像Pは、図示のようにそれぞれベルト幅方向に真っ直ぐに延びる4つの基準トナー像d101K、d101C、d101M、d101Yと、ベルト幅方向から45度傾いた4つの基準トナー像s101K、s101C、s101M、s101Yとから形成される。基準トナー像d101K、d101C、d101M、d101Y、及びs101K、s101C、s101M、s101Yは、それぞれ距離dの間隔で形成され、パターン像全体の長さはL3となっている。これら8つの基準トナー像のうち、K、C、M、Yの符号を付したものは、それぞれ感光体ドラム11K、11C、11M、11Yから転写されたもので、Kトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像である。
基準トナー像d101K、d101C、d101M、d101Yは、長さA、幅Wの大きさで形成される。また、残りの基準トナー像s101K、s101C、s101M、s101Yは、長さA√2、幅Wの大きさで形成される。更に、転写搬送ベルト60の反対側端部付近に形成されるもう一方のパターン像Pも同様の構成となっており、2つのパターン像Pは、それぞれ8つの基準トナー像をベルト幅方向で相対向させるような構成になる。
【0061】
図15で前記したように、転写搬送ベルト60の手前側端部にはパターン像Pの他、ベルト周方向に所定の間隔で印刷された複数のベルトマーク60aが存在する。パターン像Pは、このベルトマーク60aよりもベルト幅方向の内側に形成するので、ベルトマーク60aは透過型フォトセンサ70の光路を通過しない。つまり、ベルトマーク60aが透過型フォトセンサ70の検知結果に影響を与えることはない。
【0062】
また、光書込ユニット2は、Y、M、C、K用の光源から発せられたレーザ光を反射させて感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに導くための反射ミラーをそれぞれ個別に備える。また、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kと平行になるように配設される反射ミラーを、それぞれ個別に傾けるための図示しないミラー傾斜手段を備える。
【0063】
転写搬送ベルト60の両端付近に形成されたそれぞれのパターン像P内における各基準トナー像が、ベルトの移動に伴ってそれぞれ透過型フォトセンサ69、70の光路を通過すると、透過型フォトセンサ69、70のそれぞれ受光素子69b、70bの受光量を大幅に低減する。この低減に基づく受光素子69b、70bの出力変化が制御部150に検知されることで、透過型フォトセンサ69、70による各基準トナー像の検知が制御部150に把握される。
【0064】
レーザプリンタが正常に動作しているときは、次のような状態、即ち、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに組み付け誤差による傾きや副走査方向への位置ずれが生じていたり、前記光書込ユニット2内におけるY、M、C、K用の反射ミラーにその長手方向の傾きが生じていたり、Y、M、C、K用のレーザ光の主走査方向における倍率等の光学特性が違っていたりする等の状態は発生していない。
従って、転写搬送ベルト両端付近のそれぞれのパターン像Pは、互いに対となる基準トナー像をベルト幅方向に真っ直ぐに対向する。このため、互いに対となる基準トナー像は、それぞれ透過型フォトセンサ69、70の光路をほぼ同時に通過するようになる。
【0065】
図17は、転写搬送ベルト両側の、それぞれの基準トナー像の位置関係を示す図である。図17を参照すると、一方の側の基準トナー像d101K、d101C、d101M、d101Yにおける透過型フォトセンサ69の光路進入間隔(時間間隔)t1b、t2b、t3bと、他方の側の基準トナー像d101K、d101C、d101M、d101Yにおける光路進入間隔(時間間隔)t1a、t2a、t3aとは等しくなる。これら光路進入間隔t1a(t1b)、t2a(t2b)、t3a(t3b)とは、それぞれ基準トナー像d101Kの光路進入から基準トナー像d101Cの光路進入まで、基準トナー像d101Cの光路進入から基準トナー像d101Mの光路進入まで、基準トナー像d101Mの光路進入から基準トナー像d101Yの光路進入までである。
【0066】
しかしながら現実には、感光体ドラム11Cに組み付け誤差による傾きが生じたり、光書込ユニット2内におけるC用の反射ミラーにその長手方向の傾きが生じること等により、基準トナー像は位置ずれする。
図18は、感光体ドラムに組み付け誤差等に基づく基準トナー像の位置ずれの関係を示す図であり、図中、前記誤差等により、互いに対向する2つの基準トナー像d101Cにスキューによる位置ずれが生ずる。このようにスキューによる位置ずれが生ずると、一方の基準トナー像d101Cの光路進入タイミングと、もう一方の基準トナー像d101Cの光路進入タイミングとにタイムラグΔtが生ずる。スキュー角θは、このタイムラグΔtと、転写搬送ベルト60の移動速度とに基づいて求めることができる。また、基準トナー像d101Cではなく、他の基準トナー像d101K、d101M、d101Yにスキューが生じた場合にも、同様にしてスキュー角θを求めることができる。
このために制御部150は、転写搬送ベルト両側のパターン像Pについて、それぞれ基準トナー像d101K、d101C、d101M、d101Yの光路進入タイミングをRAM150aに順次格納していき、光路進入間隔t1a、t2a、t3a、t1b、t2b、t3bをそれぞれ求める。そして、前記タイムラグΔtを生じた基準トナー像についてはそのスキュー角θを演算し、演算結果に基づいて、対応する反射ミラーをミラー傾斜手段によって傾けてスキューをなくする。
【0067】
更に、感光体ドラム11K、11C、11M、11Yが副走査方向へ相対的に位置ずれを生ずることがある。
図19は、感光体ドラムの副走査方向へのレジストによる基準トナー像の位置関係を示す図であり、図中、基準トナー像d101Cは、副走査方向へのレジストにより位置ずれが生じている。このように位置ずれが生ずると、光路進入間隔t1a、t2a、t3aがそれぞれ異なった値になるとともに、光路進入間隔t1b、t2b、t3bがそれぞれ光路進入間隔t1a、t2a、t3aと同じ値になる。但し、図18で述べたように、スキューによる位置ずれが生じた場合にも、光路進入間隔t1a、t2a、t3aががそれぞれ異なった値になる。そこで、制御部150は、スキューにより発生したタイムラグΔtに基づいて、光路進入間隔t1a、t2a、t3a、t1b、t2b、t3bを補正してスキューによる影響を取り除いた後、光路進入間隔t1a、t2a、t3aのそれぞれのずれに基づいて副走査方向へのレジストによる位置ずれ量を求める。そして、この位置ずれ量に基づいて、K、C、M、Y用の駆動タイミングなどを制御して、副走査方向へのレジストを抑える。
【0068】
このようにして、スキュー及び副走査方向へのレジストによる位置ずれを補正すると、次に、転写搬送ベルト両側のパターン像Pにおけるそれぞれの基準トナー像s101K、s101C、s101M、s101Yに基づいて主走査方向へのレジストによる位置ずれを制御する。
主走査方向へのレジストによる位置ずれが生じていないときは、基準トナー像s101K、s101C、s101M、s101Yについての光路進入間隔は、転写搬送ベルト両側において等しくなる。
【0069】
図20は、感光体ドラムの主走査方向へのレジストによる基準トナー像の位置関係を示す図であり、図中、転写搬送ベルト上側の基準トナー像s101Cに主走査方向へのレジストずれが生じ、このため光路進入間隔t1b(s101K〜s101C)、t2b(s101C〜s101M)、t3b(s101M〜s101Y)がそれぞれ異なった値になる。
このとき更に、主走査方向における基準トナー像s101Cの大きさが正規の大きさ(主走査方向における倍率が1倍)であれば、図示のように、パターン像P1内(転写搬送ベルト下側)の基準トナー像s101Cも同様にレジストして光路進入間隔t1a、t2a、t3aもそれぞれ異なった値になり、且つそれぞれ光路進入間隔t1b、t2b、t3bに同期する。一方、主走査方向における基準トナー像s101Cの大きさが正規の大きさよりも大きくなる(主走査方向における倍率が1倍を超える)と、例えば、転写搬送ベルト上側の基準トナー像s101Cがレジスト(主走査方向)するにもかかわらず、もう一方の側の基準トナー像s101Cはレジストしなかったり、レジスト量が少なくなったりする。
【0070】
図21は、主走査方向における基準トナー像の大きさが正規の大きさよりも大きい場合に、転写搬送ベルト上側の基準トナー像がレジスト(主走査方向)し転写搬送ベルト下側の基準トナー像がレジストしない状態を示している。
そこで、制御部150は、光路進入間隔t1a、t2a、t3a、及びt1b、t2b、t3bや、転写搬送ベルト60の移動速度に基づいて、2つのパターン像P内における基準トナー像s101K、s101C、s101M、s101Yのレジストずれ(主走査方向)量や倍率(主走査方向)をそれぞれ演算する。そして、演算結果に基づいて、各色についてのレーザ光の照射タイミングを補正したり、画素クロック周波数を補正したりして、かかるレジストずれや倍率ずれを抑える。
【0071】
このような位置ずれ制御装置によれば、各色感光体ドラムのスキュー、副走査方向へのレジスト及び主走査方向へのレジストを演算することで、感光体ドラム及び反射ミラーの傾き、倍率、副走査方向及び主走査方向への取り付けずれを制御し、転写プロセス時に形成するフルカラートナー像の色ずれをなくすることができる。
【0072】
以上、本発明は、転写搬送ベルトを像担持体とするカラーレーザプリンタについて説明したが、1つの像担持体の周りに各色用の複数の現像装置を備え、その像担持体上で個別に現像した各色トナー像を順次重ね合わせて転写しフルカラー画像を形成する方式のカラーレーザプリンタにおいても適用が可能であることは言うまでもない。又、重ね合わせ転写を行わない単色の画像形成装置でもよい。更に、ベルトマーク検知手段やトナー像検知手段として、透過型フォトセンサを用いる例について説明したが、透過型フォトセンサに限定されるものでなく反射型フォトセンサを用いることもできる。
【0073】
【発明の効果】
請求項1の発明に対応する効果: ベルトマークの移動速度を検出し、検出した移動速度に基づいて予め設定した目標速度に到達する移動体の制御量を演算、取得し、次のマークの読み取りまでの間、前記演算、取得した制御量で移動体の速度を制御するので、移動体の速度が目標速度を上回ったり、下回ったりする繰返しが少なくなる。従って、移動体の移動速度が安定化するので、トナー像の転写位置ずれがなくなり、色ずれのないきれいな画像を形成することができる。
請求項2,3,4の発明に対応する効果: ベルトマークが不鮮明になったり、消えてしまったような場合においても、安定した移動速度を維持することができすので、トナー像の転写位置ずれがなくなり、色ずれのないきれいな画像を形成することができる。
請求項5,6の発明に対応する効果: ベルトマークらしき傷等により制御量が演算、取得されることなく、前のベルトマークでの制御が維持されるので、トナー像の転写位置ずれがなくなり、色ずれのないきれいな画像を形成することができる。
請求項7,8の発明に対応する効果: ベルトマークが不鮮明になったり、トナー汚れによるマークらしきものの発生度合いが所定回数に到達するときは、画像形成を禁止するので、ベルトの修理、交換等が可能になり、常に色ずれのないきれいな画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザプリンタの全体概略構成図である。
【図2】トナー像形成部の概略断面構成図である。
【図3】転写ユニットの模式的断面構成図である。
【図4】転写搬送ベルトの斜視図である。
【図5】透過型フォトセンサを転写搬送ベルトの一部とともに示す拡大斜視図である。
【図6】本実施形態に係るレーザプリンタの制御部と各デバイス等との電気的接続関係を示す図である。
【図7】透過型フォトセンサの構造図である。
【図8】透過型フォトセンサの発光素子と受光素子の位置関係を示す図である。
【図9】透過型フォトセンサの受光素子の出力タイミングを示す図である。
【図10】制御部の制御ブロックを示す図である。
【図11】伝達関数Gc(S)を双1次変換したときの関係式のブロック図である。
【図12】ベルトマークの損傷とセンサ検出信号の関係を示す図である。
【図13】ベルト移動速度の制御タイミングの説明図である。
【図14】転写搬送ベルトに損傷が生じた場合のベルト移動速度制御のフロー図である。
【図15】基準トナー像によるパターン像を示す図である。
【図16】パターン像の構成を示す図である。
【図17】転写搬送ベルト両側の基準トナー像の位置関係を示す図である。
【図18】基準トナー像の位置ずれの関係を示す図である。
【図19】感光体ドラムの副走査方向へのレジストによる基準トナー像の位置関係を示す図である。
【図20】感光体ドラムの主走査方向へのレジストによる基準トナー像の位置関係を示す図である。
【図21】転写搬送ベルト上側の基準トナー像がレジストし、下側の基準トナー像がレジストしない状態を示す図である。
【符号の説明】
1Y、1M、1C、1K・・・・トナー像形成部、2・・・・光書込ユニット、3・・・・給紙トレイ、7・・・・定着ユニット、8・・・・排紙トレイ、10・・・・感光体ユニット、11・・・・感光体ドラム、12・・・・ブラシローラ、13・・・・カウンタブレード、14・・・・徐電ランプ、15・・・・帯電ローラ、20・・・・現像装置、21・・・・現像ケース、22・・・・現像ローラ、23・・・・第1搬送スクリュウ、24・・・・第2搬送スクリュウ、25・・・・現像ドクタ、26・・・・トナー濃度センサ、27・・・・粉体ポンプ、28・・・・仕切り壁、29・・・・第1供給部、30・・・・第2供給部、100・・・・転写紙
Claims (8)
- 転写紙又はトナー像を担持し、移動方向に対して所定の間隔で複数のマークが設けられた無端ベルトからなる移動体の移動速度を検出し、検出した移動速度が一定になるように制御して、トナー像の転写紙又は無端ベルトへの転写位置ずれを制御する画像形成装置において、
マークを読み取り、読み取ったマークの移動速度を検出する手段と、検出した移動速度に基づいて予め設定した目標速度に到達する移動体の制御量を演算、取得する手段と、次のマークの読み取りまでの間、前記演算、取得した制御量で移動体の速度を制御する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
前記読み取ったマークの、次のマークの読み取りエラーを判断する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2記載の画像形成装置において、
前記読み取ったマークの、次のマークの読み取りエラーを判断する手段は、予め設定した所定の時間内に、次のマークを読み取ったか否かを判断し、前記時間内に読み取らなかったとき、読み取りエラーと判断することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項3記載の画像形成装置において、
前記次のマークが読み取りエラーと判断したとき、更に次のマークの読み取りまでの間、前記演算、取得した制御量で移動体の速度を制御する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2記載の画像形成装置において、
前記読み取ったマークの、次のマークの読み取りエラーを判断する手段は、予め設定した所定の時間内に、次のマークを読み取ったか否かを判断し、前記時間内に読み取ったとき、読み取りエラーと判断することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項5記載の画像形成装置において、
前記読み取ったマークの、次のマークを読み取りエラーと判断したとき、前記次のマーク読み取り時に制御量の演算、取得は行わず、更に次のマークの読み取りまでの間、前回演算、取得した制御量で移動体の速度を制御する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2乃至6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記読み取ったマークの、次のマークの読み取りエラーを判断した回数が所定回数に到達したとき、画像形成を禁止する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項7記載の画像形成装置において、前記読み取ったマークの、次のマークの読み取りエラーを判断した回数を計数する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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