JP2004021210A - 顔料分散組成物、着色感光性樹脂組成物、感光性転写材料、フォトマスク材料、及びフォトマスク - Google Patents
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Abstract
【課題】低粘性を保持しながら均一に分散され、その分散安定性に優れた顔料分散組成物、及び該顔料分散組成物を含み、405nm以上の光で高感度かつ高速に、しかも高解像度な画像を形成し得る着色感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】酸性基を有する構造単位と、下記一般式(I)で表される構造単位と、芳香環及び/又は脂肪族環を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位とを有する共重合体、及び下記一般式(II)で表される化合物を含む顔料分散組成物〔R1:H、メチル;R2〜R6:H、アルキル、アリール、ハロゲン、シアノ;A:X−Yと共にアゾ色素を形成しうる成分;X:単結合、下記二価の連結基等;Y:下記一般式(III)で表される基;Z:低級アルキレン;−N(R7)2:低級アルキルアミノ、含窒素飽和ヘテロ環;a=1〜2〕、及び該顔料分散組成物を含む着色感光性樹脂組成物である。
【化1】
【選択図】 なし
【解決手段】酸性基を有する構造単位と、下記一般式(I)で表される構造単位と、芳香環及び/又は脂肪族環を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位とを有する共重合体、及び下記一般式(II)で表される化合物を含む顔料分散組成物〔R1:H、メチル;R2〜R6:H、アルキル、アリール、ハロゲン、シアノ;A:X−Yと共にアゾ色素を形成しうる成分;X:単結合、下記二価の連結基等;Y:下記一般式(III)で表される基;Z:低級アルキレン;−N(R7)2:低級アルキルアミノ、含窒素飽和ヘテロ環;a=1〜2〕、及び該顔料分散組成物を含む着色感光性樹脂組成物である。
【化1】
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料分散組成物及びこれを含む着色感光性樹脂組成物、主にレーザ露光により画像形成を行うフォトマスク、並びにその製造に好適な感光性転写材料及びフォトマスク材料に関し、詳しくは、低粘で分散良好な顔料分散組成物及びこれを含む着色感光性樹脂組成物、PDP、FED若しくはLCD等のフラットパネルディスプレイ、CRT用シャドーマスク、印刷配線板、パッケージ、半導体等の分野におけるフォトリソ工程で好適に用いられるフォトマスク、並びにその製造に好適な感光性転写材料及びフォトマスク材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラットパネルディスプレイ、CRT用シャドーマスク、印刷配線板、半導体等の分野におけるフォトリソグラフィ工程において用いられるフォトマスクとしては、「フォトファブリケーション」(日本フォトファブリケーション協会発行、教育文科会編、p.67〜80、1992年6月)に記載されているように、例えば金属クロム層(Cr層)を設けられたCrマスクや、ハロゲン化銀乳剤層が設けられたEmマスク(エマルションマスク)などが知られている。
【0003】
上記のうち、Crマスクは、石英やガラス等の光透過性基材の表面にCr層をスパッタリング法により形成後、該層上に塗布等によりエッチングレジストを設け、He−Cdレーザー(442nm)などによる露光、アルカリ水溶液等を用いた現像処理によるエッチングレジストのパターニング、Cr層のエッチング、及び前記エッチングレジストの剥離を行って作製される。
【0004】
Crマスクは、ピンホール等の欠陥修正が可能で、高解像度、高耐久性というメリットを有する。即ち、CrマスクのCr層は0.1〜0.5μmという薄膜であるために1μm程度の非常に高い解像度が得られる。また、Crマスクの欠陥修正に関しては、フォトマスクの白部(フォトマスクとして使用する場合の透光部)に異物などが存在する場合はYAGレーザーなどを用いアブレーションにより除去することができる。一方、黒部(フォトマスクとして使用する場合の遮光部)にピンホールなどの白抜け欠陥が生じた場合には欠陥部に再度Cr層を形成、前記フォトリソを利用するエッチングにより修正を行うことが可能である。しかし、金属クロム層の形成には、露光感度が極めて低く作製に長時間を要したり、あるいはスパッタリング法によるほか、エッチング工程も必要なために作製にコストがかかる、等の問題がある。更に、金属クロム層が設けられたCrマスクにおいては、以下のような問題もある。
【0005】
第一に、金属クロム層の表面の反射率はおよそ60〜70%(435nm)程度であり、フォトリソ工程で該Crマスクを使用して露光した場合、露光時に被露光物から反射された光が更にCrマスクの金属クロム層で反射するために、その反射による散乱光によって解像度が低下するといった問題がある。一方、このような反射を回避するため、クロム/酸化クロム等の重層構成としようとすると価格が高くなってしまう。
第二に、金属クロム層を設けたCrマスクでは、上述のように、その金属クロム層自体の膜強度が高く耐久性に優れるが、層厚が一般に0.1μm前後と薄いため、洗浄等の工程や露光時に硬い異物と接触することでピンホール等の白抜け欠陥の発生が頻出してしまう。
【0006】
また、前記ハロゲン化銀乳剤層が設けられたEmマスクは、その作製に用いられる銀塩感材は高感度であるので、作製を短時間で安価に行える反面、特に50μm以下の高精細な画像においては欠陥修正が困難であるとの問題がある。
【0007】
一方、本発明者等は、先に特願2000−163272号として、近紫外光ないし可視光で画像形成が可能な感光性層を有する感光性転写材料を用いて得られ、金属膜を必要とせず、欠陥修正を簡便に行うことが可能で、感度や解像度等のバランスがよく、安価で環境への負荷の小さいフォトマスクを提供している。前記感光性層は、フォトマスク作製時に照射される近紫外ないし可視領域における吸光度が小さく、フォトマスク使用時に照射される紫外領域の光の吸収特性に優れることを特長としている。
この場合においては、いずれの方法でも感光性層を露光、現像する工程が設けられるが、より解像度が高く高品質なフォトマスクを作製するには、感光性層がより高感度で機械的強度や硬度が高く、かつ耐溶剤性に優れることが要求される。
【0008】
感光性の材料については種々のものが知られており、特に顔料分散に関しては、特開平10−39502号公報、特開平10−20496号公報、特開2000−239554号公報等において、アリル基含有バインダーを用いた例が開示されている。しかし、以下のような問題があった。即ち、
特開平10−39502号公報では、ブラックマトリクス用のレジスト材料として、バインダー樹脂、特定構造をもつエチレン性二重結合を有する化合物、光重合開始材、及び顔料からなる組成物が開示されているが、顔料及びバインダーのみで分散するため、十分に分散が進行せず顔料粒径が大きく、着色感光性組成物とした際に濁りが残ったり、解像度が低下する、あるいは分散時に増粘してゲル化する、等の問題があった。また、このレジスト材料は、近紫外光ないし可視光の領域に吸収を有するので、該波長領域のレーザー光では描画できない。
【0009】
特開平10−20496号公報には、結着樹脂がアリル(メタ)アクリレートモノマーと酸性基を有するモノマーとの共重合体であることを特長とする顔料分散感放射線性着色組成物が開示されている。ここで、顔料の分散に分散剤を用いる旨の記載があるが、ここでの分散系では、分散を十分に進めると増粘する結果、分散液として使用できない、酸基を有するバインダーの使用時凝集してしまう、あるいは着色感光性組成物とした際、露光後の現像時における現像液への溶解性が低下する、等の問題があった。また、近紫外光ないし可視光での画像形成もできない。
【0010】
特開2000−239554号公報には、顔料の分散に適した顔料分散剤が開示されている。確かに分散液の分散性を良化できるが、併用するバインダーとして重合可能なバインダーを用いないので、該分散液を含む着色感光性組成物の感度は低く、露光現像後の耐溶剤性も低いといった問題があった。
【0011】
近年、画像の高解像度化が図られる状況のもと、レジスト性の顔料含有樹脂材料を用いてなるフォトマスクにおいては、近紫外光ないし可視光領域のレーザーを用いて高感度、高解像度に作製され、作製後は、欠陥修正が可能であって、優れた機械的強度や硬度のほか、耐溶剤性を備えることが要求される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで顔料分散液を含む感光性の樹脂組成物において、顔料が安定的に分散含有されて近紫外光ないし可視光領域のレーザーにより高感度にかつ高解像度にマスクパターン化することが可能な感光性の樹脂組成物は未だ提供されてなく、ひいては高解像度に形成され、欠陥修正が容易に行えると共に、優れた機械的強度や硬度、及び耐溶剤性を備えるフォトマスクは、提供されるに至っていないのが現状である。
そこで、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
【0013】
本発明は、第一に、低粘性を保持しながら顔料が均一に分散され、その分散安定性に優れた顔料分散組成物を提供することを目的とする。
第二に、前記本発明の顔料分散組成物を含み、波長405nm以上(特に480nm以上)の光で高感度かつ高速に、しかも高解像度な画像を形成し得る着色感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
第三に、前記本発明の着色感光性樹脂組成物を含み、波長405nm以上(特に480nm以上)の光で高感度かつ高速に、しかも高解像度でのマスクパターンの形成が可能であって、欠陥修正が可能でかつ機械的強度や硬度、耐溶剤性に優れ、波長405nm未満の光反射率が低く白抜け欠陥(ピンホール等)のない高品質なフォトマスクを作製し得るフォトマスク材料を提供することを目的とする。
第四に、前記本発明のフォトマスク材料が用いられ、欠陥修正が可能であって、優れた機械的強度や硬度、耐溶剤性を有し、波長405nm未満の光反射率が低く、白抜け欠陥(ピンホール等)のないフォトマスクを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 酸性基を有する構造単位と、下記一般式(I)で表される構造単位と、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位とを有する共重合体の少なくとも一種、下記一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種、及び着色材を含むことを特徴とする顔料分散組成物である。
【0015】
【化4】
【0016】
前記一般式(I)中、R1は、水素原子、メチル基を表し、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。一般式(II)中、Aは、X−Yと共にアゾ色素を形成しうる成分を表す。Xは、単結合、下記(a)〜(e)で表される二価の連結基から選択される基を表す。Yは、下記一般式(III)で表される基を表す。
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
前記一般式(III)中、Zは、低級アルキレン基を表す。−N(R7)2は、低級アルキルアミノ基、窒素原子を含む5員若しくは6員飽和ヘテロ環基を表す。aは1又は2を表す。
【0020】
<2> i)アルカリ可溶性樹脂バインダー、ii)少なくとも1個の重合可能な不飽和結合を有するモノマー、iii)405nm以上の波長領域に感光性を有する光重合開始系、及びiv)前記<1>に記載の顔料分散組成物、を含むことを特徴とする着色感光性樹脂組成物である。
【0021】
<3> 顔料分散組成物中の共重合体において、酸性基を有する構造単位の前記酸性基がカルボキシル基であって、かつ、酸性基を有する構造単位の共重合比が10〜40mol%であり、一般式(I)で表される構造単位の共重合比が20〜80mol%であり、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位の共重合比が10〜70mol%である前記<2>に記載の着色感光性樹脂組成物である。
<4> 側鎖に重合性の不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性バインダーを更に含む前記<2>又は<3>に記載の着色感光性樹脂組成物である。
【0022】
<5> 顔料分散組成物中の共重合体において、酸性基を有する構造単位の前記酸性基がカルボキシル基であって、かつ、酸性基を有する構造単位が(メタ)アクリル酸に由来する構造単位であり、一般式(I)で表される構造単位がアリル(メタ)アクリレートに由来する構造単位であり、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位が、(メタ)アクリル酸ベンジルに由来の構造単位および(メタ)アクリル酸シクロヘキシルに由来の構造単位の少なくとも一方である前記<2>〜<4>のいずれかに記載の着色感光性樹脂組成物である。
【0023】
<6> 光透過性の基材上に、前記<2>〜<5>のいずれかに記載の着色感光性組成物よりなる感光性層を有することを特徴とするフォトマスク材料である。
<7> 感光性層上に酸素遮断層を有する前記<6>に記載のフォトマスク材料である。
<8> 仮支持体上に、前記<2>〜<5>のいずれかに記載の着色感光性組成物よりなる感光性層を有することを特徴とする感光性転写材料である。
<9> 光透過性の基材の表面と、前記<8>に記載の感光性転写材料の感光性層とが互いに接触するように積層されてなることを特徴とするフォトマスク材料である。
【0024】
<10> 着色材が、青色顔料及び緑色顔料の少なくとも一種である前記<6>、<7>及び<9>のいずれかに記載のフォトマスク材料である。
<11> 光透過性の基材上に遮光性層を有してなり、前記遮光性層が、前記<6>、<7>、<9>及び<10>のいずれかに記載のフォトマスク材料の感光性層を405nm以上の波長光で露光し、現像してなる層であることを特徴とするフォトマスクである。
<12> 405nm以上の波長光が、波長405nmないし可視光領域のレーザー光である前記<11>に記載のフォトマスクである。
<13> 感光性層が、露光現像後に120〜250℃で加熱処理される前記<11>又は<12>に記載のフォトマスクである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<顔料分散組成物>
本発明の顔料分散組成物は、(1) 酸性基を有する構造単位と、以下に示す一般式(I)で表される構造単位と、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位とを有する共重合体の少なくとも一種(以下、「本発明に係る共重合体」ということがある。)、(2) 以下に示す一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種、及び(3) 着色材を含んでなり、必要に応じて、「側鎖に重合性の不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性バインダー」等の他の成分を更に含んでいてもよい。
【0026】
上記(1)〜(3)含有の成分構成とする(特に、(1)本発明に係る共重合体を含有する)ことにより、顔料分散時の増粘を抑制し、分散液の高粘度化、ゲル化を防止して、分散性及び分散安定性に優れた顔料分散組成物(以下、「顔料分散液」ともいう。)を得ることができ、顔料含有の着色感光性樹脂組成物の作製に好適に用いることができる。
【0027】
(1) 本発明に係る共重合体
本発明の顔料分散組成物においては、酸性基を有する構造単位と、一般式(I)で表される構造単位と、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位とを有する共重合体(本発明に係る共重合体)の少なくとも一種を含有する。
【0028】
前記「酸性基を有する構造単位」としては、酸性基を有する重合性モノマーに由来する単位、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基(−C6H4OH)等を有する構造単位が好適である。該構造単位を共重合成分として含むことにより、水系溶媒への溶解性を確保できると共に、アルカリ現像適性を付与し該現像性を良化することができ、ひいては着色感光性樹脂組成物に適用した場合に高解像度の画像形成に寄与し得る。
【0029】
前記「一般式(I)で表される構造単位」は、下記一般式(I)で表される。該構造単位を共重合成分として含むことにより、高感度化、及びpH10程度の弱アルカリ性水溶液で現像が可能で、ひいては着色感光性樹脂組成物に適用した場合に高解像度の画像を形成でき、しかも形成される着色画像の機械的強度及び硬度、並びに耐薬品性(耐傷性)を向上させることができる。
【0030】
【化7】
【0031】
前記一般式(I)中、R1は、水素原子、メチル基を表し、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。
【0032】
前記「芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位」を共重合成分として含むことにより、高感度化が図れると共に、着色感光性樹脂組成物に適用した場合に、形成される着色画像の機械的強度及び硬度、並びに耐薬品性(耐傷性)を向上させることができる。
【0033】
本発明に係る共重合体は、例えば、酸性基(カルボキシル基等)を有する重合性モノマー、下記一般式(Ia)で表される構造を有するモノマー、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレート、及び必要に応じてこれらと共重合可能な他のモノマー、を公知の方法で共重合させることによって得ることができる。
【0034】
【化8】
【0035】
前記酸性基(カルボキシル基等)を有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、などが挙げられる。更に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸のような環状無水物との付加反応物も挙げられる。また、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水物モノマーをカルボン酸の前駆体として用いることもできる。中でも、重合性や原料価格の点で、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0036】
前記一般式(Ia)で表される構造を有するモノマーとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、3−3−クロル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(ヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−ヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、
【0037】
3−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(4−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(4−エトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−メトキシ−4−プロポキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2,4,6−トリメトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−(3’−メトキシフェニル)−4−ベンジルオキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(4−メチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート;
【0038】
3−フェニル−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3,3−〔ジ−(2,4,6−トリメチルフェニル)〕−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−フェニル−3−(4−メチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3,3−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(4−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2,4−ジクロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−ブロムフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−ブロム−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−クロル−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(4−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、
【0039】
2−メチル−3−(4−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−(4−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−(4−アミノフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3,3−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−エチル−1,3−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−エトキシメチレン−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2,3−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,2,3−トリフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2,3,3−トリフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,3−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(4−メチルフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−フェニル−3−(4−メチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−フェニル−3−(4−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,3−ジ(4−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(4−ブロムフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート;
【0040】
1−フェニル−3−(4−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,3−ジ(2−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−フェニル−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,1−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,1,3−トリフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,1,3,3−テトラフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(4−メチルフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,2−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−フェニル−2−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−シクロヘキシル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、
【0041】
2−ベンジル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,1−ジ(4−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−シアノ−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−アニリノ−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−メチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(2−カルベトキシイソプロピル)−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(1−カルベトキシイソプロピル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(1−カルベトキシエチル)−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−カルベトキシ−3−クロル−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−カルベトキシメチレン−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−シアノ−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−シクロヘキシル−3−(2−ヒドロキシシクロへキシル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−シクロペンチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート;
【0042】
3−フリル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−クロル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−ブロム−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−クロル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−ブロム−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−クロル−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−ブロム−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−ブロム−3−(4−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−フルオロ−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−フルオロ−3−(4−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−シアノ−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−クロル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、
【0043】
2−ブロム−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−クロル−3,3−ジフルオロ−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−フルオロ−3−クロル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロム−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−クロル−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−ペンテニル(メタ)アクリレート、2−ヘキセニル(メタ)アクリレート、2−ヘプテニル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
中でも、硬化性や原料価格の点で、アリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0044】
前記「芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレート」としては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸クロロフェニル、(メタ)アクリル酸メトキシフェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル等]、アラルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル等]などが挙げられる。
中でも、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが特に好ましい。
【0045】
また、これらの構造単位と共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸(C1〜C18)アルキルエステルなど];
【0046】
(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなど]、アラルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸ベンジルなど]、置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなど]、(メタ)アクリアミド類[例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミドなど]、置換(メタ)アクリアミド類[例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど]、芳香族ビニル類[例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど]、ヘテロ環ビニル類[例えば、ビニルイミダゾール、ビニルピリジンなど]、ビニルエステル類[例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、N−ビニルアミド類[例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなど]、アリルエステル類[例えば、酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[例えば、塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、シアン化ビニル[例えば、(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[例えば、エチレン、プロピレンなど]、等が挙げられる。
【0047】
上記の中でも、その共重合性や生成する重合体の溶媒溶解性、得られる膜の製膜性などの観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど]、アラルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸ベンジルなど]、等が特に好ましい。
これらの共重合可能な他の成分は、1種若しくは2種以上を組合せてもよい。
【0048】
本発明に係る共重合体において、「各構造単位の共重合比」としては下記範囲が好適である。尚、後述の着色感光性樹脂組成物を構成する「顔料分散組成物」における場合も同様である。即ち、
「酸性基を有する構造単位」の共重合比としては、10〜40mol%が好ましく、15〜35mol%がより好ましく、20〜35mol%が特に好ましい。該構造単位の共重合比が、10mol%未満であると、現像性が不足することがあり、40mol%を超えると、画像部の現像液耐性が低下することがある。「一般式(I)で表される構造単位」の共重合比としては、20〜80mol%が好ましく、30〜80mol%がより好ましく、45〜70mol%が特に好ましい。該構造単位の共重合比が、20mol%未満であると、硬化性が不足することがあり、80mol%を超えると、現像性が低下することがある。
【0049】
また、「芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位」の共重合比としては、10〜70mol%が好ましく、15〜60mol%がより好ましく、20〜50mol%が特に好ましい。該構造単位の共重合比が、10mol%未満であると、硬化後の膜強度、特に硬度が低下することがあり、70mol%を超えると、硬化性が不足し感度が低下することがある。
【0050】
本発明に係る共重合体の重量平均分子量としては、5000〜20万が好ましく、1万〜10万がより好ましく、1.2万〜8万が特に好ましい。該重量平均分子量が5000未満であると、共重合体の製造適性に欠けることがあり、20万を超えると、現像性が低下することがある。
【0051】
本発明に係る共重合体の具体例としては、下記化合物が挙げられる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0052】
【化9】
【0053】
【化10】
【0054】
【化11】
【0055】
上記の具体例に示す各化合物中において、R’、R’’、R’’’、R’’’’は、それぞれ水素原子、又はメチル基を表す。また、各化合物中の、aは前記「酸性基を有する構造単位」の共重合比であり、bは前記「一般式(I)で表される構造単位」の共重合比であり、cは前記「芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位」の共重合比であり、各々上記の範囲が好ましく、dは四元共重合する場合に共重合可能な置換(メタ)アクリレートの共重合比であり、2〜30mol%が好ましく、2〜20mol%がより好ましい。
【0056】
上記の「本発明に係る共重合体の具体例」の中でも、特にa=20〜32、b=45〜60、かつc=10〜25の組合せとしたものが好ましい。更に、下記共重合体は特に好ましいものの例である。
【0057】
【化12】
【0058】
上記の共重合体は、それぞれ相当する単量体(モノマー)を公知の方法で常法に従って共重合させることで得ることができる。例えば、各々の単量体を適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤を添加して溶液中で重合させることで得られる。
【0059】
上記共重合に適当な溶媒の例としては、用いるモノマー、及び生成する共重合体の溶解性に応じて任意に選択できるが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエン、及びこれらの混合物等が挙げられる。
また、前記ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物系、過硫酸塩、等が利用できる。
【0060】
また、分子量の調整の目的で、公知の連鎖移動剤を適宜使用してもよい。また、重合時のアリル基の反応を抑制する目的で、重合濃度、開始剤量、連鎖移動剤、重合温度などを適切に調整することも重要であり、例えば、前記重合濃度としては、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
【0061】
前記本発明に係る共重合体の顔料分散組成物における含有量としては、顔料分散組成物中の顔料の質量に対して、50〜200質量%が好ましく、60〜150質量%がより好ましい。
前記含有量が、50質量%未満であると、高粘化若しくはゲル化したり、分散が進行せず、顔料の分散粒径が大きく、特に着色感光性樹脂組成物に用いた場合に解像度が低下して、分散液として使用できないことがあり、200質量%を超えると、モノマーを十分に添加することができなくなり、感度や膜強度が劣化することがある。
【0062】
(2) 一般式(II)で表される化合物
本発明の顔料分散組成物は、下記一般式(II)で表される化合物を含有して構成される。
【化13】
【0063】
前記一般式(II)中、Aは、X−Yと共にアゾ色素を形成しうる成分を表し、Xは、単結合、下記(a)〜(e)で表される二価の連結基から選択される基を表す。
【0064】
【化14】
【0065】
前記A及びXについての詳細は、特開2000−239554号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載のA及びXとそれぞれ同義である。
【0066】
前記一般式(II)中のYは、下記一般式(III)で表される基を表す。
【化15】
【0067】
前記一般式(III)中、Zは、低級アルキレン基を表す。−N(R7)2は、低級アルキルアミノ基、窒素原子を含む5員若しくは6員飽和ヘテロ環基を表す。aは1又は2を表す。
前記一般式(III)の詳細については、特開2000−239554号公報に記載の「一般式(II)で表される基」の説明(段落番号[0023]〜[0027])の通りである。ここで、本発明に係る前記一般式(III)で表される基中のR7は、前記公報中の「一般式(II)で表される基」のR2と同義である。
【0068】
本発明に係る前記一般式(II)で表される化合物の、顔料分散組成物における含有量としては、顔料分散組成物中の顔料の質量に対して、1〜20質量%が好ましく、2〜12質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、顔料分散が十分に進行せず粗大粒子が残る、あるいは高粘度化することがあり、20質量%を超えると、高粘化を起こしたり、あるいは硬化膜の膜強度が不足してしまうことがある。
【0069】
(3) 着色材
前記着色材としては、405nm以上の波長領域に大きな吸収を有しない染料又は顔料等の着色材が好ましく、例えば、カーボンブラックを単独で用いることが可能なほか、ブルー顔料、グリーン顔料、イエロー顔料、バイオレット顔料等が挙げられ、それぞれ単独で、あるいは組合せて用いることができる。
【0070】
より高感度化する観点からは、405nm以上の波長、例えば後述のようなフォトマスク作製時に露光する光(画像形成光)の波長領域(例えば500nm近傍)における光の吸収が小さく、かつ405nm未満の波長、例えばフォトマスクとしての使用時に照射する光(遮光光)の波長領域での光吸収効率の高い顔料が好適である。
特に、青色顔料及び緑色顔料の少なくとも一種を含む態様が好ましく、例えば、ブルー、グリーン顔料の単独使用や、ブルー顔料若しくはグリーン顔料とイエロー顔料とを組合わせた混合使用が好ましい。
【0071】
前記顔料の具体例としては、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・イエローGT(C.I.ピグメントイエロー12)、パーマネント・イエローGR(C.I.ピグメント・イエロー17)、パーマネント・イエローHR(C.I.ピグメント・イエロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、カーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64等が挙げられる。前記着色剤は、一種単独のみならず、二種以上を併用することができる。
【0072】
上記の中でも、重合可能な分散剤で表面処理されてなる着色材が特に好ましく、具体的には、顔料分散能があり、かつ重合可能な不飽和結合を有するもの(好ましくは酸基を有しているもの)で表面処理されてなる着色材が好ましく、例えば、後述の「i)アルカリ可溶性樹脂バインダー」より選択されるもので表面処理されてなる着色材が特に好ましい。また、不飽和結合を有しない分散剤を併用することもできる。したがって、重合可能な分散剤で表面処理されてなる青色顔料及び緑色顔料の少なくとも一種を含有することが最も好ましい。
【0073】
前記着色材の顔料分散組成物における含有量は、フォトマスクの濃度やフォトマスク作製の際の感度、解像性等を考慮して決められ、着色材の種類によっても異なるが、一般に顔料分散組成物の全固形分(質量)の10〜50質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましい。
【0074】
(4) 他の成分
本発明の顔料分散組成物は、前記共重合体のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、「側鎖に重合性の不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性バインダー」を含む態様も好適である。
前記「側鎖に重合性の不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性バインダー」としては、アルカリ現像型のフォトポリマー系において一般的に使用されているものが挙げられ、例えば、既述の「酸性基を有する重合性モノマー」の少なくとも一種と、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリアミド類、芳香族ビニル類、ヘテロ環ビニル類、及びビニルエステル類等より選択される少なくとも一種のモノマーとの共重合体、等が挙げられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
【0075】
<着色感光性樹脂組成物>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、i)アルカリ可溶性樹脂バインダー、ii)少なくとも1個の重合可能な不飽和結合を有するモノマー、iii)405nm以上の波長領域に感光性を有する光重合開始系、及びiv)既述の本発明の顔料分散組成物、を含んでなり、必要に応じてアルカリ不溶のポリマー等の他成分を含んでいてもよい。
尚、iv)既述の本発明の顔料分散組成物の詳細、及びその好ましい態様等については上述の通りであり、特に「本発明に係る共重合体」を構成する各構造単位の具体例や「各構造単位の共重合比」等、及びこれらの好ましい態様も既述の通りである。
【0076】
i)アルカリ可溶性樹脂バインダー
前記アルカリ可溶性樹脂バインダーは、特に制限はなく、分子中に酸基と重合可能な不飽和結合を有する樹脂の中から適宜選択でき、例えば、酸基含有モノマーと重合可能な不飽和結合を有する(モノマーとしての重合可能な不飽和結合以外に)モノマーとからなる共重合体、あるいは前記両モノマーと更に酸基若しくは重合可能な不飽和結合を有しない他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0077】
前記酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、等が挙げられ、前記酸基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシスチレン、等が挙げられる。また、前記「重合可能な不飽和結合」としては、不飽和結合がアリル基由来のもの、シンナミル基由来のもの、クロチル基由来のもの、等が挙げられ、前記「重合可能な不飽和結合を有するモノマー」としては、例えば、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、シンナミルアクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルアクリレート、クロチルメタクリレート、等が挙げられる。
また、他のモノマーとして、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、等が挙げられる。
【0078】
前記共重合体としては、酸基含有モノマーが2mol%〜50mol%、より好ましくは15〜40mol%で、重合可能な不飽和結合を有するモノマーが10〜90mol%、より好ましくは30〜70mol%で、また、Mw(質量平均分子量;以下同様)が2000〜200000、より好ましくは4000〜120000のものが好ましい。
【0079】
前記共重合体のうち、2元共重合体としては、例えば、メタクリル酸/アリルメタクリレート共重合体、アクリル酸/アリルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/アリルアクリレート共重合体、アクリル酸/アリルアクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/アリルメタクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/アリルアクリレート共重合体、アクリル酸/シンナミルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/シンナミルメタクリレート共重合体、アクリル酸/クロチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/クロチルメタクリレート共重合体、等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0080】
また、3元共重合体としては、例えば、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/アリルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/アリルアクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/アリルメタクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/アリルアクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/アリルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/アリルアクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/アリルメタクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/アリルアクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/ベンジルメタクリレート/アリルメタクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/ベンジルアクリレート/アリルメタクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/ベンジルメタクリレート/アリルアクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/ベンジルアクリレート/アリルアクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/アリルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/アリルアリレート共重合体、アクリル酸/スチレン/アリルメタクリレート共重合体、アクリル酸/スチレン/アリルアリレート共重合体、等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0081】
また、重合可能な不飽和結合を有するアルカリ可溶性樹脂バインダーとして、さらに特開平10−20496号公報の段落[0015]〜[0032]に記載のものも挙げることができる。
【0082】
前記アルカリ可溶性樹脂バインダーの着色感光性樹脂組成物における含有量としては、着色感光性樹脂組成物の固形分(質量)に対して、15〜60質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。
【0083】
ii)少なくとも1個の重合可能な不飽和結合を有するモノマー
少なくとも1個の重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、まず1価若しくは多価アルコールの(メタ)アクリル酸のエステルが挙げられる。
1価若しくは多価アルコールの(メタ)アクリル酸のエステルにおいて、1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、n−デカノール、ウンデカノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、メトキシエチルアルコール、エトキシエチルアルコール、ブトキシエチルアルコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、2−ヒドロキシ−3−クロロプロパン、ジメチルアミノエチルアルコール、ジエチルアミノエチルアルコール、グリシドール、2−トリメトキシシリルエタノール、エチレンクロロヒドリン、エチレンブロモヒドリン、2,3−ジブロムプロパノール、アリルアルコール、オレイルアルコール、エポキシステアリルアルコール、フェノール、ナフトール、等が挙げられる。
【0084】
また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−n−ブチル−2−エチルプロパンジオール、シクロヘプタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−シクロヘキセン−1,1−ジエタノール、ポリエチレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)、ポリプロピレングリコール(ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等)、ポリスチレンオキシドグリコール、ポリテトラヒドロフラングリコール、キシリレンジオール、ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、3−クロル−1,2−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジフェニル−1,3−プロパンジオール、デカリンジオール、1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、
【0085】
2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、ヒドロキシベンジルアルコール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、2,3,5,6−テトラメチル−p−キシレン−α,α′−ジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、1,1′−ジ−2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、1,1′−メチレン−ジ−2−ナフトール、ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、カテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、ピロガロール、α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジルアルコール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、
【0086】
2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、N−(3−アミノプロピル)−ジエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ウレア、1,2−ビス(4−ピリジル)−1,2−エタンジオール、N−n−ブチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、3−ピペリジン−1,2−プロパンジオール、2−(2−ピリジル)−1,3−プロパンジオール、α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジルアルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、α−マンニトール、ブタントリオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,2,4−ベンゼントリオール、トリエタノールアミン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2′,2″−ニトリロトリエタノール、等が挙げられる。
【0087】
前記1価若しくは多価アルコールの(メタ)アクリル酸のエステルのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0088】
また、モノアミン若しくはポリアミンの(メタ)アクリルアミドも使用できる。ここで、前記モノアミンとしては、例えば、エチルアミン、ブチルアミン、アミノアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、9−アミノデカリン等のモノアルキルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、ベンジルアミン等のモノアルケニルアミン、又はアニリン、トルイジン、p−アミノスチレン等の芳香族アミン、等が挙げられる。
【0089】
また、前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ヘキサメチレンビス(2−アミノプロピル)アミン、ジエチルトリアミン、トリエチレンテトラアミン、ポリエチレンポリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、N,N′−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、β−(4−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノトルエン、ジアミノアントラセン、ジアミノナフタレン、ジアミノスチレン、メチレンジアニリン、2,4−ビス(4−アミノベンジル)アニリン、アミノフェニルエーテル、等が挙げられる。
【0090】
更に、アリル化合物、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、安息香酸、クロル安息香酸、マロン酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、クロレンド酸及びトリメリット酸等のモノ若しくはポリカルボン酸のモノ若しくはポリアリルエステル、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等のモノ若しくはポリスルホン酸のモノ若しくはポリアリルエステル、ジアリルアミン、N,N′−ジアリルシュウ酸ジアミド、1,3−ジアリル尿素、ジアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、等も用いることができる。
【0091】
また、例えば、ジビニルベンゼン、p−アリルスチレン、p−イソプロペニルスチレン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、ジビニルスフシネート、ジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート等のポリビニル化合物、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシフェニルトリメチルアンモニウムクロリド等の、イオン性基を有する(メタ)アクリル酸のエステル化合物も用いることができる。
【0092】
さらに、市販の重合性モノマー又はオリゴマー、例えば、東亜合成化学工業(株)製の、アロニックスM5700、M6100、M8030、M152、M205、M215、M315、M325等のアクリレート系モノマー、新中村化学工業(株)製の、NKエステルABPE−4、U−4HA、CB−1、CBX−1、日本化薬(株)製の、KAYARAD R604、DPCA−30、DPCA−60、KAYAMAR PM−1、PM−2、サンノプコ(株)製の、フォトマー4061、5007等の(メタ)アクリレート系モノマー、昭和高分子(株)製の、リポキシVR60、VR90、SP1509等のエポキシアクリレート、昭和高分子(株)製の、スピラックE−4000X、U3000等のスピロアセタール構造と(メタ)アクリル基とを有するスピラン樹脂、等も用いることができる。
【0093】
これらのモノマーは、単独で、あるいは二種以上混合して用いることができる。使用時の添加量としては、感光性層の固形分(質量)に対して、5〜100質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。
【0094】
iii)405nm以上の波長領域に感光性を有する光重合開始系
405nm以上の波長の光に感光性を有する光重合開始系としては、特にこの波長領域のレーザ光を吸収する増感色素と重合開始剤とを含む系が好ましい。
レーザ光を吸収する増感色素と重合開始剤としては、具体的には、例えば、特開平8−334897号公報の段落[0052]ないし[0100]に記載の増感色素と、同公報の段落[0101]ないし[0104]に記載のチタノセン化合物とからなるラジカル重合開始剤、等が挙げられる。また、これらには感度向上のための助剤として、同公報の段落[0105]ないし[0182]に記載の化合物を更に添加してもよい。光重合速度を増大させる化合物として、特開平8−202035号公報の段落[0016]ないし[0080]に記載のオキシムエーテル化合物を用いてもよい。
【0095】
iv)他成分
上記のほか、露光現像してなる画像(膜)の強度及び硬度を良化する目的で、現像性等に悪影響を与えない範囲でエポキシ樹脂、メラミン樹脂等のアルカリ不溶のポリマーを添加することができる。
前記アルカリ不溶のポリマーの着色感光性樹脂組成物における含有量(固形分質量)としては、0.2〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。該含有量が、0.2質量%未満であると、硬化膜強度の向上効果は認められないことがあり、50質量%を越えると、現像性が悪くなることがある。
【0096】
前記着色感光性樹脂組成物には、更に紫外領域の吸光度を高める目的で、UV吸収剤、金属、酸化チタン等の金属酸化物等を同時に添加してもよく、該UV吸収剤としては、例えば、特開平9−25360号公報に記載の、加熱処理により紫外領域に強い吸収を発現する化合物が挙げられる。
【0097】
その他添加剤として、熱重合防止剤を更に添加することが好ましい。該熱重合防止剤の具体例としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン、等が挙げられる。
更に、着色感光性樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤、例えば可塑剤、界面活性剤等を添加することができる。
【0098】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、適当な溶剤と共に前記成分i)〜iv)及び必要に応じて他成分を含んで塗布液状に調製されてもよい。前記溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、PEGMEA、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0099】
<フォトマスク材料>
本発明の第一の態様のフォトマスク材料は、光透過性の基材上に、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層を有してなり、本発明の第二の態様のフォトマスク材料は、光透過性の基材の表面と、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層を有する感光性転写材料の前記感光性層とが互いに接触するように積層されてなり、いずれにおいても、必要に応じて遮光層、酸素遮断層等の他の層を有していてもよい。
【0100】
前記感光性層は、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物の組成に構成されるので、フォトマスクの作製に際し、波長405nm以上の波長領域における光感応性を向上(高感度化)でき、特に波長405nmないし可視光領域に属するレーザー光を用いて好適に露光(描画)することができる。また最終的に、機械的強度や硬度が高く、耐溶剤性に優れると共に、波長405nm未満での光反射率が低く、しかも白抜け欠陥(例えば、基板上の異物等付着によるものやピンホールなど)のない高品質な層(フォトマスクとして用いた場合に光を吸収する領域;以下、「遮光性層」ということがある。)を形成することができる。
【0101】
(第一の態様)
前記第一の態様に係る感光性層は、既述の成分構成で塗布液状に調製された前記着色感光性樹脂組成物を直接光透過性の基材上に塗布形成してもよいし、後述の第二の態様に準じて、本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層が仮支持体上に設けられた感光性転写材料を用いて転写形成されてもよい。
【0102】
ここで、塗布液状に調製された着色感光性樹脂組成物(以下、「感光性層用塗布液」ということがある。)を直接光透過性の基材上に塗布形成する場合について説明する。
本態様では、上述の構成成分i)〜iv)及び必要に応じて他成分を含む着色感光性樹脂組成物を塗布液状に調製し、得られた感光性層形成用の塗布液(感光性層用塗布液)を、光透過性の基材若しくは該基材上の遮光層上に公知の塗布方法により塗布、乾燥して感光性層を形成することによりフォトマスク材料とする。
【0103】
前記公知の塗布方法としては、例えば、スリットアンドスピンコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スピンコーター、等を用いた塗布法が好適に挙げられる。
【0104】
前記感光性層の層厚としては、5μm以下が好適であり、中でも2μm以下がより好ましく、0.3〜1.2μmが特に好ましい。遮光層上に感光性層を形成する場合も同様である。
前記感光性層の層厚が5μmを超えると、解像度が悪化することがある。また、0.3μm未満では、層厚均一化が困難となることがある。したがって、前記層厚を上記範囲とすることにより、最終的に均一厚よりなり高解像度のフォトマスクを形成することができる。
【0105】
(第二の態様)
前記第二の態様のフォトマスク材料は、光透過性の基材の表面と、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層を有する感光性転写材料の前記感光性層とが互いに接触するように積層された積層体である。したがって、本態様に係る感光性層は、前記積層体から仮支持体を剥離して前記感光性層を光透過性の基材上に転写することにより形成できる。
具体的には、仮支持体上に感光性層を有する感光性転写材料の前記感光性層の表面と基材表面とが互いに接触するように重ね合わせ、ラミネートした後、前記仮支持体を剥離することにより、光透過性の基材上に感光性層を形成することができる。
【0106】
<感光性転写材料>
次に、感光性転写材料について詳述する。本発明の感光性転写材料は前記第二の態様に好適に用いることができる。
前記感光性転写材料は、仮支持体上に、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層を有してなり、必要に応じて中間層、金属膜等の遮光層、酸素遮断層等の他の層や被覆シートを有してなる。尚、前記中間層は、仮支持体/感光性層の間において、好ましくは中間層/仮支持体間の接着力が中間層/感光性層間の接着力より小さくなるように設けられる。尚、遮光層、酸素遮断層の詳細については後述する。
【0107】
−感光性層−
前記感光性層は、前記第一の態様と同様に、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物を用い、例えば塗布液状に調製した該組成物(感光性層用塗布液)を塗布等して形成することができる。この場合の塗布は、前記第一の態様の場合と同様の公知の塗布方法により行うことができる。
ここでの層厚としては、前記第一の態様における場合と同様である。
【0108】
−中間層−
前記中間層としては、特開平4−208940号、特開平5−80503号、特開平5−173320号、特開平5−72724号の各公報の実施例に記載のような、分離層(酸素遮断性でかつ剥離性を有する)、アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層、中間層、等を適用することができる。
【0109】
次に、本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層について説明する。
〈感光性層〉
前記感光性層は、前記第一及び第二のいずれの態様においても、露光現像後において、405nm未満の遮光すべき光(遮光光)の波長領域においては吸光度が大きく、かつ、波長405nm以上(特に480nm以上)の波長領域の、画像様に照射すべき光(画像形成光)の吸光度を小さくして波長405nm以上の画像形成光での画像形成が可能なように構成することが好ましい。
【0110】
即ち、波長405nmから可視光領域の光を用いて所望のパターンに形成でき、該パターン状の層(遮光性層)を遮光層として機能させることができる。特に、前記感光性層は、露光現像後において、吸光度2.0以上(より好ましくは2.5以上)を示す波長領域を有する層をなす態様に構成されることが好ましい。ここで、露光現像前の段階では、上記のように感光性層は405nm以上の波長領域で吸光度が小さいことが望ましいが、後述のように、画像形成光に対する感度が高く、光重合反応を十分に進行させることが可能であれば、特に吸光度を小さくする必要はない。
【0111】
前記感光性層の、遮光光の波長領域(405nm未満)における吸光度としては、1.05以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、3以上が特に好ましい。
前記吸光度を大きくするためには、吸光度の大きい着色材等を含有させることが好適である。必要な吸光度を得ようとする場合、感光性層の吸光度は、着色材の種類のみならず、その含有量や該層の膜厚等により変化するため、これらのファクターを適宜考慮することが必要である。
【0112】
ここでいう遮光光としては、一例としてアライナーなどの露光機に用いられる超高圧水銀灯からの光が挙げられるが、この場合、435nmのg線、405nmのh線、及び365nmのi線に対する吸光度が大きい感光性層とする必要がある。
一方、画像形成用の光としては405nm以上の波長を有する光、特にレーザー光が好適であり、例えば、ND−YAGレーザ(532nm)、Arイオンレーザ(488nm)、He−Cdレーザ(442nm)、Krイオンレーザ(413nm)等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
上述の通り、感光性層全体を効率よく光重合させる観点から、感光性層の、画像形成光に対する(即ち、405nm以上の波長領域における)吸光度としては小さいことが望まれるが、具体的には、2.4以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.0未満が特に好ましい。
例えば、488nmのArイオンレーザーや532nmのND−YAGレーザーは比較的出力が小さいものがあり、これらのレーザ光を用いる場合には、少なくとも480nmより長波長の波長領域、特に488nmないし532nmの波長領域、における感光性層の吸光度が小さいことが望ましい。
【0114】
このような感光性層を有するフォトマスク材料を用いると、フォトマスク作製時に露光する405nm以上の波長光(画像形成光)は、感光性層の深部まで十分に到達し、高感度にかつ高速に露光を行うことができ、照射エネルギーを大きくしたり長時間光照射をする必要もない。一方、前記感光性層を露光現像してなる層(遮光性層)は、遮光光をよく吸収するのでフォトマスクとして有効に機能し、しかも膜強度に優れ、またフォトマスクとして使用した際に、440nm以下(特に405nm未満)の短波長の光の反射率を低く(好ましくは35%以下に)抑制して、該フォトマスクと被照射物との間で光照射した際に生ずる光の反射を効果的に抑制することができ、高感度かつ高解像度での照射が可能である。
【0115】
この他、レーザ光の種類によっては(例えば、413nmのKrイオンレーザー、442nmのHe−Cdレーザー)、吸光度はやや大きいものの(前記レーザ光の場合該吸光度は0.3〜4.0程度)、所定の感度が得られるものがあるので、この場合には、吸光度を特に小さくする必要はない。したがって、画像形成を行う波長の光の吸光度については、感度も考慮して適宜決めることができる。
【0116】
前記感光性層の構成例としては、上記の条件を満たす感光性層であれば、良好な遮光性層を形成しうる感光性層として十分に適用でき、例えば、「吸光度2.5以上を示す波長領域」が405nmより短波長領域である感光性層、「吸光度3以上を示す波長領域」が380nmより短波長領域であり、かつ感光波長領域が440nm以上である感光性層、「吸光度3以上を示す波長領域」が380nmより短波長側であり、かつ480nm以上の感光波長領域の吸光度が2.4以下である感光性層、等が好適に挙げられる。
【0117】
前記特性を有する感光性層を得るためには、感光性層(即ち、着色感光性樹脂組成物)に、吸光特性が、遮光光の波長領域における吸光度より、405nm以上の波長の光の吸光度が小さい着色材を含有させることが好ましい(ただし、上述のように、画像形成光であるレーザ光の種類によってはレーザ光の波長に対する吸光度を特に小さくしなくてもよい場合がある。)。
例えば、波長440nmより短波長側の光を吸収する着色材(例えば吸光度1.05以上)であって、かつ480nm以上の波長領域においては光の吸収が小さい(例えば吸光度1.0未満)着色材を用いることができる。この場合、フォトマスクを作製する際の画像形成光に対する吸光度が小さい着色材を含有させる等しているので、フォトマスク作製時の感光性層の露光・現像性に悪影響を与えることはなく、フォトマスクとしての使用時における波長440nmより短波長側の光反射率が低いので、その結果フォトマスクとして用いた場合の感度を上げることができる。
また、遮光光が紫外線を含む場合、紫外線吸収剤を添加することにより紫外領域の吸光度を高めることも可能である。
【0118】
本発明のフォトマスク材料は、該材料を構成する光透過性の基材上に遮光層が設けられ、該遮光層上に感光性層が塗布形成されてなる態様であってもよい。このとき、前記遮光層が金属膜からなる場合でも、既述のように構成される感光性層が金属膜上に積層塗布されるので、該層を残せば金属膜の保護層として機能させ得る。
したがって、硬化後の感光性層は、機械的強度や硬度が高く、耐溶剤性が良好であるので、薄層である金属膜を洗浄作業等から保護し、ピンホール発生を低減することができる。
【0119】
また、感光性層を保護層として残す場合、感光性層として上述の組成に構成することに加え、更に光重合後の感光性層の、波長405nmより短波長側の光反射率が小さくなるように調整することが好ましい。即ち、フォトマスク作製時に露光する光の波長領域、即ち405nm以上(好ましくは480nm以上)の波長(例えば500nm近傍)の光の吸収が小さく、かつフォトマスクとしての使用時に照射する405nm未満の短波長側の光吸収効率の高い層に調整することが好ましい。
前記反射率としては、35%以下が好ましい。反射率が35%を超えると、例えば、フォトリソグラフィ等の工程でフォトマスクとして使用し露光する場合など、被照射物とフォトマスクとの間で生ずる光の反射を十分に防止できず、被照射物に形成される画像の解像度の低下を回避することができないことがある。
【0120】
尚、前記反射率とは、保護層に入射する光量h1の光に対して、吸収されずに保護層で反射される光の光量(h2)の割合(h2/h1×100)をいい、例えば分光光度計(UV−3100S((株)島津製作所製)等)などを用いて容易に測定することができる。上記において、被照射物とは、光源からフォトマスクを介在して光照射される対象物をいう。
【0121】
〈酸素遮断層〉
上記のように形成される感光性層上には、該感光性層の感度を向上させる点で、単一若しくは複数の酸素遮断層を形成することが好ましく、該酸素遮断層としては、アルカリ可溶性樹脂を含む層が好ましい。必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
前記酸素遮断層は、例えば、アルカリ可溶性樹脂を少なくとも含んでなる酸素遮断層形成用の塗布液(遮断層用塗布液)を、前記感光性層用塗布液の塗布後、又は感光性層用塗布液と共に重層塗布等して、或いは、予め仮支持体と感光性層との間に酸素遮断層が設けられた感光性転写材料を用いて、感光性層等と同時に形成することができる。
【0122】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載の、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、又は側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体、が挙げられる。また、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも有用である。
中でも特に、米国特許第4139391号明細書に記載の、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体やベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体が好ましい。
【0123】
更に、前記酸素遮断層としては、特開平4−208940号、特開平5−80503号、特開平5−173320号、特開平5−72724号の各公報の実施例に記載の、分離層(酸素遮断性でかつ剥離性を有する)、アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層、中間層等も適用することができる。
【0124】
前記酸素遮断層の層厚としては、1〜5μmが好ましく、1.2〜2μmがより好ましい。
【0125】
〈遮光層〉
本発明のフォトマスク材料においては、光透過性の支持体と該支持体上に形成される感光性層との間に遮光層を有する態様も好適である。該遮光層は、金属及び金属酸化物の少なくとも一種を主として組成された金属膜で構成することができる。
【0126】
前記金属膜としては、例えば、クロム膜、低反射クロム/酸化クロム2層膜、アルミニウム膜、酸化鉄膜、等が挙げられる。該金属膜は、例えばスパッタリング法、EB蒸着法、塗布等により、光透過性の基材の表面に形成することができる。
前記遮光層の厚みとしては、フォトマスク自体の解像度を向上させる点で、0.05〜0.5μm程度が好ましい。
【0127】
以上のように、遮光層として金属膜を形成することにより膜強度、耐久性に優れた遮光層を備えるフォトマスクとすることができる。このとき、既述の通り、上記範囲の薄膜な状態では、フォトマスク作製時における洗浄などによってピンホール等の欠陥が発生しやすく、また、金属膜よりなる遮光層の反射率は、例えばクロム膜では70%(435nm)程度であり、光の反射を起こして、フォトマスクを通して光照射し画像形成する際の解像度が低下し易いが、遮光層上には更に感光性層が積層されるので、この場合、感光性層は保護層、光吸収層として機能する。
【0128】
〈光透過性の基材〉
光透過性の基材としては、石英、ソーダガラス、無アルカリガラス等のガラス板、あるいはポリエチレンテレフタレート等の透明プラスティックフィルムなどが好適に挙げられる。また、これらの基材上には、前記遮光層が予め設けられていてもよい。
前記基材の厚さとしては、その用途によっても異なるが、一般には1〜7mmが好ましい。
【0129】
<フォトマスク>
本発明のフォトマスクは、光透過性の基材上に遮光性層を有してなり、前記遮光性層は、既述の本発明の第一又は第二の態様のフォトマスク材料を用い、その感光性層を405nm以上の波長光で露光し、現像してなり、場合により前記基材と感光性層との間に遮光層を有してなる。
【0130】
本発明のフォトマスクは、以下のようにして作製することができる。
即ち、基本的態様として、感光性層を有するフォトマスク材料の前記感光性層を405nm以上の波長光で画像様に露光、現像等する工程(以下、「画像形成工程」と称する。)を有して構成され、場合に応じて、現像処理により感光性層が除去された領域の遮光層をエッチングにより除去する工程(エッチング工程」と称する。)や、露光現像後に加熱処理する工程(以下、「硬化工程」と称する。)、等を有して構成される。
【0131】
(画像形成工程)
前記画像形成工程においては、感光性層を有するフォトマスク材料の前記感光性層を405nm以上の波長光で画像様に露光、現像等する。既述の第二の態様のフォトマスク材料においては、露光前に予め仮支持体を剥離することが好ましいが、予め仮支持体をフォトマスク材料から剥離しないで該仮支持体側から露光した後、仮支持体を剥離して感光性層を現像してもよい。
本工程においては、紫外線やX線等の放射線によることなく、405nm以上の波長の光(画像形成光)により簡便かつ安全に露光することができる。
【0132】
画像形成光を照射する光源としては、405nm以上の波長の光を発する光源であれば特に制限はなく、公知のものから適宜選択して画像様に露光することができる。また、超高圧水銀灯などの紫外線露光機にバンドパスフィルターを組み入れて、露光波長を選択することも可能である。
中でも、405nm以上の波長の光を発するレーザーが好ましく、例えば、442nmのHe−Cdレーザー、488nmのアルゴンレーザー、532nmのNd−YAGレーザー、等は特に好ましく、480nm以上の波長の光を発するレーザーが最も好ましい。
【0133】
現像に用いる現像液としては、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アンモニア水、4級アンモニウム塩の水溶液等が挙げられる。中でも特に、炭酸ナトリウム水溶液が好ましい。
現像方法としても制限はなく、現像液に接触若しくは浸漬させる方法、現像液を噴霧状にスプレーする方法など適宜選択することができる。現像時の現像液の温度としては、20〜40℃が好ましい。
【0134】
(エッチング工程)
本発明のフォトマスク材料が、その光透過性の基材上に遮光層を備えている場合には、エッチング工程が設けられ、該エッチング工程においては、現像処理により感光性層が除去された領域の遮光層をエッチング処理により除去する。そして、その後更に金属膜上に残留する感光性層を除去する。
エッチング処理は、常法により行え、エッチング時のエッチング液としては、例えば、混酸アルミエッチング液、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とからなるエッチング液、等が挙げられる。
【0135】
既述のように遮光層を有する場合には、前記エッチングの後、遮光層上の感光性層を除去せずに保護層として残存する。したがって、製造プロセスにおける洗浄等で発生するピンホール等の欠陥を回避でき、しかも波長405nm未満の短波長光を吸収し、フォトマスクとして優れた機能を示す。
【0136】
(硬化工程)
前記硬化工程においては、露光現像後に基材上に残存する感光性層からなる層(即ち遮光性層)を少なくとも加熱処理する。本発明においては、本工程を施すことが好ましい。
前記エッチング工程の後、パターン状に形成された層(遮光性層若しくは保護層)に加熱処理を施することにより膜硬化させ、膜強度を高めることができる。
【0137】
前記加熱処理の温度としては、120〜250℃が好ましい。前記温度が、120℃未満であると、加熱処理の効果が得られないことがあり、250℃を超えると、材料の分解が生じ、逆に脆く弱い膜質になることがある。加熱処理の時間としては、15〜60分が適当であり、加熱処理の方法としては、例えば、ドライオーブン、ホットプレートなどを用いた公知の方法を用いることができる。
【0138】
また、本発明のフォトマスクにおいては、作製後に欠陥がある場合、以下のようにして欠陥修正を行うことができる。
フォトマスクの欠陥とは、黒部の場合主として黒部の白抜け部分、例えばピンホールのような光を透過する欠陥をいい、また、白部の場合、例えば本来白部となるべき部分の透明基材上に異物や感光性層が付着して光透過率が低下する欠陥をいう。
【0139】
フォトマスクの黒部に白抜け部分が発生した場合には、前述の感光性層形成用の溶液を欠陥周辺部に塗布するか、あるいは前述の感光性転写材料を前記ラミネータなどで部分的に貼り付け、更に例えばHe−Cdレーザー等で露光し、現像して不要な感光性層を除去することによって、欠陥を修正することができる。また、He−Cdレーザー等で露光、現像する代わりに、YAGレーザーで感光性層の不要部をアブレーションにより除去することも可能である。
【0140】
一方、フォトマスクの白部に欠陥が発生した場合には、YAGレーザー等を用いてアブレーションにより除去可能である。この場合、Emマスクとは異なり、白部には感光性層などの有機物成分は無いため、レーザーアブレーションによる新たな欠陥の発生を伴うこともない。
【0141】
また更に、更なる膜強度の向上を図る観点から、前記エッチング工程を終了した後、パターン状の遮光性層(若しくは保護層)上に更に熱硬化型のエポキシ樹脂等の保護膜を設けることもできる。
本発明においては、ネガ型の感光性層を用いるほか、露光部がアルカリ水溶液に可溶化するポジ型の感光性層を用いてもよい。
【0142】
本発明のフォトマスクは、これを構成する遮光性層(若しくは保護層)が遮光すべき遮光光(波長405nm未満)に対する吸光特性に優れ、かつ405nm未満の光反射率をも低減できるので、フォトマスクとして高解像度に露光が行え、しかも機械的強度及び硬度、並びに耐溶剤性をも備える。
【0143】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0144】
(実施例1)
本実施例では、ガラス基板の表面に感光性層を塗布により設け、該感光性層上に酸素遮断層を設けてなるフォトマスク材料の一例、及び該フォトマスク材料を用いたフォトマスクの製造例を示す。
【0145】
[フォトマスク材料の作製]
▲1▼感光性層の形成
緑色顔料分散液および黄色顔料分散液を含む下記処方よりなる感光性層用塗布液を調製し、該塗布液をスピンナーを用いてソーダガラス基板の表面に3μm厚で塗布した。
【0146】
【0147】
【化16】
【0148】
尚、上記の緑色顔料分散液及び黄色顔料分散液(本発明の顔料分散組成物)は、以下の方法で調製した。
−緑色顔料分散液の調製−
下記処方を、モーターミルM−200(アイガー社製)により、直径1.0mmのジルコニアビーズを用いて周速9m/sで5時間分散し、緑色顔料分散液を得た。
【0149】
【0150】
【化17】
【0151】
−黄色顔料分散液の調製−
下記処方を、モーターミルM−200(アイガー社製)により、直径1.0mmのジルコニアビーズを用いて周速9m/sで5時間分散し、緑色顔料分散液を得た。
【0152】
上記より得た緑色顔料分散液及び黄色顔料分散液について、粘度をE型粘度計(東京計器(株)製)により測定したところ、19mPa・sであった。尚、両分散液につき、0.7μm厚のガラス基板上に塗布、乾燥して濁りがあるか目視により確認したところ、クリアであり濁りは認められなかった。
【0153】
▲2▼酸素遮断層の形成
上記より形成された感光性層上に、下記処方よりなる酸素遮断層用塗布液を1.6μm厚になるように塗布、乾燥して酸素遮断層を形成し、本発明のフォトマスク材料を得た。
【0154】
【0155】
[フォトマスクの作製]
上記より得たフォトマスク材料の酸素遮断層側から、レーザープロッターFR7000(光源:532nmのNd−YAGレーザー;大日本スクリーン(株)製)を用いて露光した。次いで、28℃のアルカリ現像液(TCDの10%水溶液、富士写真フイルム(株)製)中に90秒浸漬して現像処理を行い、更にイオン交換水で水洗、乾燥した。引き続き、200℃下で30分間加熱処理を行って、本発明のフォトマスクを得た。
【0156】
露光時の露光感度は、約0.6mJ/cm2であり、高感度かつ高速に露光を行うことができた。しかも、上記より得た緑色顔料分散液及び黄色顔料分散液は低粘で分散粒径も小さく、分散(安定)性に優れており、ライン/スペース=8μm/8μmの高解像度の画像を形成することができた。また、得られたフォトマスクにおいて、画像様に形成された遮光性層の鉛筆硬度は4H〜5Hであり、アセトンでの拭き取り試験でも傷が付かず良好な耐溶剤性を示した。また、フォトマスクの白部(ガラス基板の露出部)に付着した異物をYAGレーザーで容易に除去でき、新たな欠陥を生じることもなかった。
【0157】
以上の通り、フォトマスクとして使用した時の、光の反射を防止して高解像度に露光することができ、しかも洗浄による白抜け欠陥のない高品質のフォトマスクを得ることができた。
【0158】
(比較例1)
実施例1の緑色顔料分散液及び黄色顔料分散液の調製において、各々用いたメタクリル酸/アリルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体に代えて、重合基を含有しない分散剤(メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、モル比28/72、Mw30000)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、比較のフォトマスク材料を作製し、更にフォトマスクを作製した。
【0159】
露光時の露光感度は、約2.1mJ/cm2で実施例1に比し劣っていた。また、ここで得た顔料分散液には濁りがあった。得られたフォトマスクの解像度はライン/スペース=10μm/10μmであった。
【0160】
【発明の効果】
本発明によれば、低粘性を保持しながら顔料が均一に分散され、その分散安定性に優れた顔料分散組成物を提供することができる。
本発明によれば、前記本発明の顔料分散組成物を含み、波長405nm以上(特に480nm以上)の光で高感度かつ高速に、しかも高解像度な画像を形成し得る着色感光性樹脂組成物を提供することができる。
本発明によれば、前記本発明の着色感光性樹脂組成物を含み、波長405nm以上(特に480nm以上)の光で高感度かつ高速に、しかも高解像度でのマスクパターンの形成が可能であって、欠陥修正が可能でかつ機械的強度や硬度、耐溶剤性に優れ、波長405nm未満の光反射率が低く白抜け欠陥(ピンホール等)のない高品質なフォトマスクを作製し得るフォトマスク材料を提供することができる。
本発明によれば、前記本発明のフォトマスク材料が用いられ、欠陥修正が可能であって、優れた機械的強度や硬度、耐溶剤性を有し、波長405nm未満の光反射率が低く、白抜け欠陥(ピンホール等)のないフォトマスクを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料分散組成物及びこれを含む着色感光性樹脂組成物、主にレーザ露光により画像形成を行うフォトマスク、並びにその製造に好適な感光性転写材料及びフォトマスク材料に関し、詳しくは、低粘で分散良好な顔料分散組成物及びこれを含む着色感光性樹脂組成物、PDP、FED若しくはLCD等のフラットパネルディスプレイ、CRT用シャドーマスク、印刷配線板、パッケージ、半導体等の分野におけるフォトリソ工程で好適に用いられるフォトマスク、並びにその製造に好適な感光性転写材料及びフォトマスク材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラットパネルディスプレイ、CRT用シャドーマスク、印刷配線板、半導体等の分野におけるフォトリソグラフィ工程において用いられるフォトマスクとしては、「フォトファブリケーション」(日本フォトファブリケーション協会発行、教育文科会編、p.67〜80、1992年6月)に記載されているように、例えば金属クロム層(Cr層)を設けられたCrマスクや、ハロゲン化銀乳剤層が設けられたEmマスク(エマルションマスク)などが知られている。
【0003】
上記のうち、Crマスクは、石英やガラス等の光透過性基材の表面にCr層をスパッタリング法により形成後、該層上に塗布等によりエッチングレジストを設け、He−Cdレーザー(442nm)などによる露光、アルカリ水溶液等を用いた現像処理によるエッチングレジストのパターニング、Cr層のエッチング、及び前記エッチングレジストの剥離を行って作製される。
【0004】
Crマスクは、ピンホール等の欠陥修正が可能で、高解像度、高耐久性というメリットを有する。即ち、CrマスクのCr層は0.1〜0.5μmという薄膜であるために1μm程度の非常に高い解像度が得られる。また、Crマスクの欠陥修正に関しては、フォトマスクの白部(フォトマスクとして使用する場合の透光部)に異物などが存在する場合はYAGレーザーなどを用いアブレーションにより除去することができる。一方、黒部(フォトマスクとして使用する場合の遮光部)にピンホールなどの白抜け欠陥が生じた場合には欠陥部に再度Cr層を形成、前記フォトリソを利用するエッチングにより修正を行うことが可能である。しかし、金属クロム層の形成には、露光感度が極めて低く作製に長時間を要したり、あるいはスパッタリング法によるほか、エッチング工程も必要なために作製にコストがかかる、等の問題がある。更に、金属クロム層が設けられたCrマスクにおいては、以下のような問題もある。
【0005】
第一に、金属クロム層の表面の反射率はおよそ60〜70%(435nm)程度であり、フォトリソ工程で該Crマスクを使用して露光した場合、露光時に被露光物から反射された光が更にCrマスクの金属クロム層で反射するために、その反射による散乱光によって解像度が低下するといった問題がある。一方、このような反射を回避するため、クロム/酸化クロム等の重層構成としようとすると価格が高くなってしまう。
第二に、金属クロム層を設けたCrマスクでは、上述のように、その金属クロム層自体の膜強度が高く耐久性に優れるが、層厚が一般に0.1μm前後と薄いため、洗浄等の工程や露光時に硬い異物と接触することでピンホール等の白抜け欠陥の発生が頻出してしまう。
【0006】
また、前記ハロゲン化銀乳剤層が設けられたEmマスクは、その作製に用いられる銀塩感材は高感度であるので、作製を短時間で安価に行える反面、特に50μm以下の高精細な画像においては欠陥修正が困難であるとの問題がある。
【0007】
一方、本発明者等は、先に特願2000−163272号として、近紫外光ないし可視光で画像形成が可能な感光性層を有する感光性転写材料を用いて得られ、金属膜を必要とせず、欠陥修正を簡便に行うことが可能で、感度や解像度等のバランスがよく、安価で環境への負荷の小さいフォトマスクを提供している。前記感光性層は、フォトマスク作製時に照射される近紫外ないし可視領域における吸光度が小さく、フォトマスク使用時に照射される紫外領域の光の吸収特性に優れることを特長としている。
この場合においては、いずれの方法でも感光性層を露光、現像する工程が設けられるが、より解像度が高く高品質なフォトマスクを作製するには、感光性層がより高感度で機械的強度や硬度が高く、かつ耐溶剤性に優れることが要求される。
【0008】
感光性の材料については種々のものが知られており、特に顔料分散に関しては、特開平10−39502号公報、特開平10−20496号公報、特開2000−239554号公報等において、アリル基含有バインダーを用いた例が開示されている。しかし、以下のような問題があった。即ち、
特開平10−39502号公報では、ブラックマトリクス用のレジスト材料として、バインダー樹脂、特定構造をもつエチレン性二重結合を有する化合物、光重合開始材、及び顔料からなる組成物が開示されているが、顔料及びバインダーのみで分散するため、十分に分散が進行せず顔料粒径が大きく、着色感光性組成物とした際に濁りが残ったり、解像度が低下する、あるいは分散時に増粘してゲル化する、等の問題があった。また、このレジスト材料は、近紫外光ないし可視光の領域に吸収を有するので、該波長領域のレーザー光では描画できない。
【0009】
特開平10−20496号公報には、結着樹脂がアリル(メタ)アクリレートモノマーと酸性基を有するモノマーとの共重合体であることを特長とする顔料分散感放射線性着色組成物が開示されている。ここで、顔料の分散に分散剤を用いる旨の記載があるが、ここでの分散系では、分散を十分に進めると増粘する結果、分散液として使用できない、酸基を有するバインダーの使用時凝集してしまう、あるいは着色感光性組成物とした際、露光後の現像時における現像液への溶解性が低下する、等の問題があった。また、近紫外光ないし可視光での画像形成もできない。
【0010】
特開2000−239554号公報には、顔料の分散に適した顔料分散剤が開示されている。確かに分散液の分散性を良化できるが、併用するバインダーとして重合可能なバインダーを用いないので、該分散液を含む着色感光性組成物の感度は低く、露光現像後の耐溶剤性も低いといった問題があった。
【0011】
近年、画像の高解像度化が図られる状況のもと、レジスト性の顔料含有樹脂材料を用いてなるフォトマスクにおいては、近紫外光ないし可視光領域のレーザーを用いて高感度、高解像度に作製され、作製後は、欠陥修正が可能であって、優れた機械的強度や硬度のほか、耐溶剤性を備えることが要求される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで顔料分散液を含む感光性の樹脂組成物において、顔料が安定的に分散含有されて近紫外光ないし可視光領域のレーザーにより高感度にかつ高解像度にマスクパターン化することが可能な感光性の樹脂組成物は未だ提供されてなく、ひいては高解像度に形成され、欠陥修正が容易に行えると共に、優れた機械的強度や硬度、及び耐溶剤性を備えるフォトマスクは、提供されるに至っていないのが現状である。
そこで、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
【0013】
本発明は、第一に、低粘性を保持しながら顔料が均一に分散され、その分散安定性に優れた顔料分散組成物を提供することを目的とする。
第二に、前記本発明の顔料分散組成物を含み、波長405nm以上(特に480nm以上)の光で高感度かつ高速に、しかも高解像度な画像を形成し得る着色感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
第三に、前記本発明の着色感光性樹脂組成物を含み、波長405nm以上(特に480nm以上)の光で高感度かつ高速に、しかも高解像度でのマスクパターンの形成が可能であって、欠陥修正が可能でかつ機械的強度や硬度、耐溶剤性に優れ、波長405nm未満の光反射率が低く白抜け欠陥(ピンホール等)のない高品質なフォトマスクを作製し得るフォトマスク材料を提供することを目的とする。
第四に、前記本発明のフォトマスク材料が用いられ、欠陥修正が可能であって、優れた機械的強度や硬度、耐溶剤性を有し、波長405nm未満の光反射率が低く、白抜け欠陥(ピンホール等)のないフォトマスクを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 酸性基を有する構造単位と、下記一般式(I)で表される構造単位と、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位とを有する共重合体の少なくとも一種、下記一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種、及び着色材を含むことを特徴とする顔料分散組成物である。
【0015】
【化4】
【0016】
前記一般式(I)中、R1は、水素原子、メチル基を表し、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。一般式(II)中、Aは、X−Yと共にアゾ色素を形成しうる成分を表す。Xは、単結合、下記(a)〜(e)で表される二価の連結基から選択される基を表す。Yは、下記一般式(III)で表される基を表す。
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
前記一般式(III)中、Zは、低級アルキレン基を表す。−N(R7)2は、低級アルキルアミノ基、窒素原子を含む5員若しくは6員飽和ヘテロ環基を表す。aは1又は2を表す。
【0020】
<2> i)アルカリ可溶性樹脂バインダー、ii)少なくとも1個の重合可能な不飽和結合を有するモノマー、iii)405nm以上の波長領域に感光性を有する光重合開始系、及びiv)前記<1>に記載の顔料分散組成物、を含むことを特徴とする着色感光性樹脂組成物である。
【0021】
<3> 顔料分散組成物中の共重合体において、酸性基を有する構造単位の前記酸性基がカルボキシル基であって、かつ、酸性基を有する構造単位の共重合比が10〜40mol%であり、一般式(I)で表される構造単位の共重合比が20〜80mol%であり、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位の共重合比が10〜70mol%である前記<2>に記載の着色感光性樹脂組成物である。
<4> 側鎖に重合性の不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性バインダーを更に含む前記<2>又は<3>に記載の着色感光性樹脂組成物である。
【0022】
<5> 顔料分散組成物中の共重合体において、酸性基を有する構造単位の前記酸性基がカルボキシル基であって、かつ、酸性基を有する構造単位が(メタ)アクリル酸に由来する構造単位であり、一般式(I)で表される構造単位がアリル(メタ)アクリレートに由来する構造単位であり、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位が、(メタ)アクリル酸ベンジルに由来の構造単位および(メタ)アクリル酸シクロヘキシルに由来の構造単位の少なくとも一方である前記<2>〜<4>のいずれかに記載の着色感光性樹脂組成物である。
【0023】
<6> 光透過性の基材上に、前記<2>〜<5>のいずれかに記載の着色感光性組成物よりなる感光性層を有することを特徴とするフォトマスク材料である。
<7> 感光性層上に酸素遮断層を有する前記<6>に記載のフォトマスク材料である。
<8> 仮支持体上に、前記<2>〜<5>のいずれかに記載の着色感光性組成物よりなる感光性層を有することを特徴とする感光性転写材料である。
<9> 光透過性の基材の表面と、前記<8>に記載の感光性転写材料の感光性層とが互いに接触するように積層されてなることを特徴とするフォトマスク材料である。
【0024】
<10> 着色材が、青色顔料及び緑色顔料の少なくとも一種である前記<6>、<7>及び<9>のいずれかに記載のフォトマスク材料である。
<11> 光透過性の基材上に遮光性層を有してなり、前記遮光性層が、前記<6>、<7>、<9>及び<10>のいずれかに記載のフォトマスク材料の感光性層を405nm以上の波長光で露光し、現像してなる層であることを特徴とするフォトマスクである。
<12> 405nm以上の波長光が、波長405nmないし可視光領域のレーザー光である前記<11>に記載のフォトマスクである。
<13> 感光性層が、露光現像後に120〜250℃で加熱処理される前記<11>又は<12>に記載のフォトマスクである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<顔料分散組成物>
本発明の顔料分散組成物は、(1) 酸性基を有する構造単位と、以下に示す一般式(I)で表される構造単位と、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位とを有する共重合体の少なくとも一種(以下、「本発明に係る共重合体」ということがある。)、(2) 以下に示す一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種、及び(3) 着色材を含んでなり、必要に応じて、「側鎖に重合性の不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性バインダー」等の他の成分を更に含んでいてもよい。
【0026】
上記(1)〜(3)含有の成分構成とする(特に、(1)本発明に係る共重合体を含有する)ことにより、顔料分散時の増粘を抑制し、分散液の高粘度化、ゲル化を防止して、分散性及び分散安定性に優れた顔料分散組成物(以下、「顔料分散液」ともいう。)を得ることができ、顔料含有の着色感光性樹脂組成物の作製に好適に用いることができる。
【0027】
(1) 本発明に係る共重合体
本発明の顔料分散組成物においては、酸性基を有する構造単位と、一般式(I)で表される構造単位と、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位とを有する共重合体(本発明に係る共重合体)の少なくとも一種を含有する。
【0028】
前記「酸性基を有する構造単位」としては、酸性基を有する重合性モノマーに由来する単位、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基(−C6H4OH)等を有する構造単位が好適である。該構造単位を共重合成分として含むことにより、水系溶媒への溶解性を確保できると共に、アルカリ現像適性を付与し該現像性を良化することができ、ひいては着色感光性樹脂組成物に適用した場合に高解像度の画像形成に寄与し得る。
【0029】
前記「一般式(I)で表される構造単位」は、下記一般式(I)で表される。該構造単位を共重合成分として含むことにより、高感度化、及びpH10程度の弱アルカリ性水溶液で現像が可能で、ひいては着色感光性樹脂組成物に適用した場合に高解像度の画像を形成でき、しかも形成される着色画像の機械的強度及び硬度、並びに耐薬品性(耐傷性)を向上させることができる。
【0030】
【化7】
【0031】
前記一般式(I)中、R1は、水素原子、メチル基を表し、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。
【0032】
前記「芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位」を共重合成分として含むことにより、高感度化が図れると共に、着色感光性樹脂組成物に適用した場合に、形成される着色画像の機械的強度及び硬度、並びに耐薬品性(耐傷性)を向上させることができる。
【0033】
本発明に係る共重合体は、例えば、酸性基(カルボキシル基等)を有する重合性モノマー、下記一般式(Ia)で表される構造を有するモノマー、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレート、及び必要に応じてこれらと共重合可能な他のモノマー、を公知の方法で共重合させることによって得ることができる。
【0034】
【化8】
【0035】
前記酸性基(カルボキシル基等)を有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、などが挙げられる。更に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸のような環状無水物との付加反応物も挙げられる。また、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水物モノマーをカルボン酸の前駆体として用いることもできる。中でも、重合性や原料価格の点で、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0036】
前記一般式(Ia)で表される構造を有するモノマーとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、3−3−クロル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(ヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−ヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、
【0037】
3−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(4−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(4−エトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−メトキシ−4−プロポキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2,4,6−トリメトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−(3’−メトキシフェニル)−4−ベンジルオキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(4−メチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート;
【0038】
3−フェニル−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3,3−〔ジ−(2,4,6−トリメチルフェニル)〕−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−フェニル−3−(4−メチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3,3−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(4−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2,4−ジクロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−ブロムフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−ブロム−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−クロル−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(4−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(3−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、
【0039】
2−メチル−3−(4−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−(4−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−(4−アミノフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3,3−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−エチル−1,3−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−エトキシメチレン−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2,3−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,2,3−トリフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2,3,3−トリフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,3−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(4−メチルフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−フェニル−3−(4−メチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−フェニル−3−(4−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,3−ジ(4−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(4−ブロムフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート;
【0040】
1−フェニル−3−(4−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,3−ジ(2−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−フェニル−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,1−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,1,3−トリフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,1,3,3−テトラフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(4−メチルフェニル)−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,2−ジフェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−フェニル−2−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−シクロヘキシル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、
【0041】
2−ベンジル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,1−ジ(4−クロルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−シアノ−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−アニリノ−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2−メチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(2−カルベトキシイソプロピル)−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(1−カルベトキシイソプロピル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−(1−カルベトキシエチル)−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−カルベトキシ−3−クロル−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−カルベトキシメチレン−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−シアノ−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1−シクロヘキシル−3−(2−ヒドロキシシクロへキシル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−シクロペンチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート;
【0042】
3−フリル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−クロル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、3−ブロム−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−クロル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−ブロム−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−クロル−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−ブロム−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−ブロム−3−(4−ニトロフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−フルオロ−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−フルオロ−3−(4−メトキシフェニル)−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−シアノ−3−フェニル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−クロル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、
【0043】
2−ブロム−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−クロル−3,3−ジフルオロ−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−フルオロ−3−クロル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロム−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−クロル−3−メチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−2−プロペニル(メタ)アクリレート、2−ペンテニル(メタ)アクリレート、2−ヘキセニル(メタ)アクリレート、2−ヘプテニル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
中でも、硬化性や原料価格の点で、アリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0044】
前記「芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレート」としては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸クロロフェニル、(メタ)アクリル酸メトキシフェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル等]、アラルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル等]などが挙げられる。
中でも、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが特に好ましい。
【0045】
また、これらの構造単位と共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸(C1〜C18)アルキルエステルなど];
【0046】
(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなど]、アラルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸ベンジルなど]、置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなど]、(メタ)アクリアミド類[例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミドなど]、置換(メタ)アクリアミド類[例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど]、芳香族ビニル類[例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど]、ヘテロ環ビニル類[例えば、ビニルイミダゾール、ビニルピリジンなど]、ビニルエステル類[例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、N−ビニルアミド類[例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなど]、アリルエステル類[例えば、酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[例えば、塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、シアン化ビニル[例えば、(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[例えば、エチレン、プロピレンなど]、等が挙げられる。
【0047】
上記の中でも、その共重合性や生成する重合体の溶媒溶解性、得られる膜の製膜性などの観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど]、アラルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸ベンジルなど]、等が特に好ましい。
これらの共重合可能な他の成分は、1種若しくは2種以上を組合せてもよい。
【0048】
本発明に係る共重合体において、「各構造単位の共重合比」としては下記範囲が好適である。尚、後述の着色感光性樹脂組成物を構成する「顔料分散組成物」における場合も同様である。即ち、
「酸性基を有する構造単位」の共重合比としては、10〜40mol%が好ましく、15〜35mol%がより好ましく、20〜35mol%が特に好ましい。該構造単位の共重合比が、10mol%未満であると、現像性が不足することがあり、40mol%を超えると、画像部の現像液耐性が低下することがある。「一般式(I)で表される構造単位」の共重合比としては、20〜80mol%が好ましく、30〜80mol%がより好ましく、45〜70mol%が特に好ましい。該構造単位の共重合比が、20mol%未満であると、硬化性が不足することがあり、80mol%を超えると、現像性が低下することがある。
【0049】
また、「芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位」の共重合比としては、10〜70mol%が好ましく、15〜60mol%がより好ましく、20〜50mol%が特に好ましい。該構造単位の共重合比が、10mol%未満であると、硬化後の膜強度、特に硬度が低下することがあり、70mol%を超えると、硬化性が不足し感度が低下することがある。
【0050】
本発明に係る共重合体の重量平均分子量としては、5000〜20万が好ましく、1万〜10万がより好ましく、1.2万〜8万が特に好ましい。該重量平均分子量が5000未満であると、共重合体の製造適性に欠けることがあり、20万を超えると、現像性が低下することがある。
【0051】
本発明に係る共重合体の具体例としては、下記化合物が挙げられる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0052】
【化9】
【0053】
【化10】
【0054】
【化11】
【0055】
上記の具体例に示す各化合物中において、R’、R’’、R’’’、R’’’’は、それぞれ水素原子、又はメチル基を表す。また、各化合物中の、aは前記「酸性基を有する構造単位」の共重合比であり、bは前記「一般式(I)で表される構造単位」の共重合比であり、cは前記「芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位」の共重合比であり、各々上記の範囲が好ましく、dは四元共重合する場合に共重合可能な置換(メタ)アクリレートの共重合比であり、2〜30mol%が好ましく、2〜20mol%がより好ましい。
【0056】
上記の「本発明に係る共重合体の具体例」の中でも、特にa=20〜32、b=45〜60、かつc=10〜25の組合せとしたものが好ましい。更に、下記共重合体は特に好ましいものの例である。
【0057】
【化12】
【0058】
上記の共重合体は、それぞれ相当する単量体(モノマー)を公知の方法で常法に従って共重合させることで得ることができる。例えば、各々の単量体を適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤を添加して溶液中で重合させることで得られる。
【0059】
上記共重合に適当な溶媒の例としては、用いるモノマー、及び生成する共重合体の溶解性に応じて任意に選択できるが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエン、及びこれらの混合物等が挙げられる。
また、前記ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物系、過硫酸塩、等が利用できる。
【0060】
また、分子量の調整の目的で、公知の連鎖移動剤を適宜使用してもよい。また、重合時のアリル基の反応を抑制する目的で、重合濃度、開始剤量、連鎖移動剤、重合温度などを適切に調整することも重要であり、例えば、前記重合濃度としては、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
【0061】
前記本発明に係る共重合体の顔料分散組成物における含有量としては、顔料分散組成物中の顔料の質量に対して、50〜200質量%が好ましく、60〜150質量%がより好ましい。
前記含有量が、50質量%未満であると、高粘化若しくはゲル化したり、分散が進行せず、顔料の分散粒径が大きく、特に着色感光性樹脂組成物に用いた場合に解像度が低下して、分散液として使用できないことがあり、200質量%を超えると、モノマーを十分に添加することができなくなり、感度や膜強度が劣化することがある。
【0062】
(2) 一般式(II)で表される化合物
本発明の顔料分散組成物は、下記一般式(II)で表される化合物を含有して構成される。
【化13】
【0063】
前記一般式(II)中、Aは、X−Yと共にアゾ色素を形成しうる成分を表し、Xは、単結合、下記(a)〜(e)で表される二価の連結基から選択される基を表す。
【0064】
【化14】
【0065】
前記A及びXについての詳細は、特開2000−239554号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載のA及びXとそれぞれ同義である。
【0066】
前記一般式(II)中のYは、下記一般式(III)で表される基を表す。
【化15】
【0067】
前記一般式(III)中、Zは、低級アルキレン基を表す。−N(R7)2は、低級アルキルアミノ基、窒素原子を含む5員若しくは6員飽和ヘテロ環基を表す。aは1又は2を表す。
前記一般式(III)の詳細については、特開2000−239554号公報に記載の「一般式(II)で表される基」の説明(段落番号[0023]〜[0027])の通りである。ここで、本発明に係る前記一般式(III)で表される基中のR7は、前記公報中の「一般式(II)で表される基」のR2と同義である。
【0068】
本発明に係る前記一般式(II)で表される化合物の、顔料分散組成物における含有量としては、顔料分散組成物中の顔料の質量に対して、1〜20質量%が好ましく、2〜12質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、顔料分散が十分に進行せず粗大粒子が残る、あるいは高粘度化することがあり、20質量%を超えると、高粘化を起こしたり、あるいは硬化膜の膜強度が不足してしまうことがある。
【0069】
(3) 着色材
前記着色材としては、405nm以上の波長領域に大きな吸収を有しない染料又は顔料等の着色材が好ましく、例えば、カーボンブラックを単独で用いることが可能なほか、ブルー顔料、グリーン顔料、イエロー顔料、バイオレット顔料等が挙げられ、それぞれ単独で、あるいは組合せて用いることができる。
【0070】
より高感度化する観点からは、405nm以上の波長、例えば後述のようなフォトマスク作製時に露光する光(画像形成光)の波長領域(例えば500nm近傍)における光の吸収が小さく、かつ405nm未満の波長、例えばフォトマスクとしての使用時に照射する光(遮光光)の波長領域での光吸収効率の高い顔料が好適である。
特に、青色顔料及び緑色顔料の少なくとも一種を含む態様が好ましく、例えば、ブルー、グリーン顔料の単独使用や、ブルー顔料若しくはグリーン顔料とイエロー顔料とを組合わせた混合使用が好ましい。
【0071】
前記顔料の具体例としては、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・イエローGT(C.I.ピグメントイエロー12)、パーマネント・イエローGR(C.I.ピグメント・イエロー17)、パーマネント・イエローHR(C.I.ピグメント・イエロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、カーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64等が挙げられる。前記着色剤は、一種単独のみならず、二種以上を併用することができる。
【0072】
上記の中でも、重合可能な分散剤で表面処理されてなる着色材が特に好ましく、具体的には、顔料分散能があり、かつ重合可能な不飽和結合を有するもの(好ましくは酸基を有しているもの)で表面処理されてなる着色材が好ましく、例えば、後述の「i)アルカリ可溶性樹脂バインダー」より選択されるもので表面処理されてなる着色材が特に好ましい。また、不飽和結合を有しない分散剤を併用することもできる。したがって、重合可能な分散剤で表面処理されてなる青色顔料及び緑色顔料の少なくとも一種を含有することが最も好ましい。
【0073】
前記着色材の顔料分散組成物における含有量は、フォトマスクの濃度やフォトマスク作製の際の感度、解像性等を考慮して決められ、着色材の種類によっても異なるが、一般に顔料分散組成物の全固形分(質量)の10〜50質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましい。
【0074】
(4) 他の成分
本発明の顔料分散組成物は、前記共重合体のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、「側鎖に重合性の不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性バインダー」を含む態様も好適である。
前記「側鎖に重合性の不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性バインダー」としては、アルカリ現像型のフォトポリマー系において一般的に使用されているものが挙げられ、例えば、既述の「酸性基を有する重合性モノマー」の少なくとも一種と、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリアミド類、芳香族ビニル類、ヘテロ環ビニル類、及びビニルエステル類等より選択される少なくとも一種のモノマーとの共重合体、等が挙げられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
【0075】
<着色感光性樹脂組成物>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、i)アルカリ可溶性樹脂バインダー、ii)少なくとも1個の重合可能な不飽和結合を有するモノマー、iii)405nm以上の波長領域に感光性を有する光重合開始系、及びiv)既述の本発明の顔料分散組成物、を含んでなり、必要に応じてアルカリ不溶のポリマー等の他成分を含んでいてもよい。
尚、iv)既述の本発明の顔料分散組成物の詳細、及びその好ましい態様等については上述の通りであり、特に「本発明に係る共重合体」を構成する各構造単位の具体例や「各構造単位の共重合比」等、及びこれらの好ましい態様も既述の通りである。
【0076】
i)アルカリ可溶性樹脂バインダー
前記アルカリ可溶性樹脂バインダーは、特に制限はなく、分子中に酸基と重合可能な不飽和結合を有する樹脂の中から適宜選択でき、例えば、酸基含有モノマーと重合可能な不飽和結合を有する(モノマーとしての重合可能な不飽和結合以外に)モノマーとからなる共重合体、あるいは前記両モノマーと更に酸基若しくは重合可能な不飽和結合を有しない他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0077】
前記酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、等が挙げられ、前記酸基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシスチレン、等が挙げられる。また、前記「重合可能な不飽和結合」としては、不飽和結合がアリル基由来のもの、シンナミル基由来のもの、クロチル基由来のもの、等が挙げられ、前記「重合可能な不飽和結合を有するモノマー」としては、例えば、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、シンナミルアクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルアクリレート、クロチルメタクリレート、等が挙げられる。
また、他のモノマーとして、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、等が挙げられる。
【0078】
前記共重合体としては、酸基含有モノマーが2mol%〜50mol%、より好ましくは15〜40mol%で、重合可能な不飽和結合を有するモノマーが10〜90mol%、より好ましくは30〜70mol%で、また、Mw(質量平均分子量;以下同様)が2000〜200000、より好ましくは4000〜120000のものが好ましい。
【0079】
前記共重合体のうち、2元共重合体としては、例えば、メタクリル酸/アリルメタクリレート共重合体、アクリル酸/アリルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/アリルアクリレート共重合体、アクリル酸/アリルアクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/アリルメタクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/アリルアクリレート共重合体、アクリル酸/シンナミルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/シンナミルメタクリレート共重合体、アクリル酸/クロチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/クロチルメタクリレート共重合体、等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0080】
また、3元共重合体としては、例えば、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/アリルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/アリルアクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/アリルメタクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/アリルアクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/アリルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/アリルアクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/アリルメタクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/アリルアクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/ベンジルメタクリレート/アリルメタクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/ベンジルアクリレート/アリルメタクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/ベンジルメタクリレート/アリルアクリレート共重合体、ヒドロキシスチレン/ベンジルアクリレート/アリルアクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/アリルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/アリルアリレート共重合体、アクリル酸/スチレン/アリルメタクリレート共重合体、アクリル酸/スチレン/アリルアリレート共重合体、等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0081】
また、重合可能な不飽和結合を有するアルカリ可溶性樹脂バインダーとして、さらに特開平10−20496号公報の段落[0015]〜[0032]に記載のものも挙げることができる。
【0082】
前記アルカリ可溶性樹脂バインダーの着色感光性樹脂組成物における含有量としては、着色感光性樹脂組成物の固形分(質量)に対して、15〜60質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。
【0083】
ii)少なくとも1個の重合可能な不飽和結合を有するモノマー
少なくとも1個の重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、まず1価若しくは多価アルコールの(メタ)アクリル酸のエステルが挙げられる。
1価若しくは多価アルコールの(メタ)アクリル酸のエステルにおいて、1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、n−デカノール、ウンデカノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、メトキシエチルアルコール、エトキシエチルアルコール、ブトキシエチルアルコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、2−ヒドロキシ−3−クロロプロパン、ジメチルアミノエチルアルコール、ジエチルアミノエチルアルコール、グリシドール、2−トリメトキシシリルエタノール、エチレンクロロヒドリン、エチレンブロモヒドリン、2,3−ジブロムプロパノール、アリルアルコール、オレイルアルコール、エポキシステアリルアルコール、フェノール、ナフトール、等が挙げられる。
【0084】
また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−n−ブチル−2−エチルプロパンジオール、シクロヘプタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−シクロヘキセン−1,1−ジエタノール、ポリエチレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)、ポリプロピレングリコール(ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等)、ポリスチレンオキシドグリコール、ポリテトラヒドロフラングリコール、キシリレンジオール、ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、3−クロル−1,2−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジフェニル−1,3−プロパンジオール、デカリンジオール、1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、
【0085】
2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、ヒドロキシベンジルアルコール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、2,3,5,6−テトラメチル−p−キシレン−α,α′−ジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、1,1′−ジ−2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、1,1′−メチレン−ジ−2−ナフトール、ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、カテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、ピロガロール、α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジルアルコール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、
【0086】
2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、N−(3−アミノプロピル)−ジエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ウレア、1,2−ビス(4−ピリジル)−1,2−エタンジオール、N−n−ブチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、3−ピペリジン−1,2−プロパンジオール、2−(2−ピリジル)−1,3−プロパンジオール、α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジルアルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、α−マンニトール、ブタントリオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,2,4−ベンゼントリオール、トリエタノールアミン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2′,2″−ニトリロトリエタノール、等が挙げられる。
【0087】
前記1価若しくは多価アルコールの(メタ)アクリル酸のエステルのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0088】
また、モノアミン若しくはポリアミンの(メタ)アクリルアミドも使用できる。ここで、前記モノアミンとしては、例えば、エチルアミン、ブチルアミン、アミノアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、9−アミノデカリン等のモノアルキルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、ベンジルアミン等のモノアルケニルアミン、又はアニリン、トルイジン、p−アミノスチレン等の芳香族アミン、等が挙げられる。
【0089】
また、前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ヘキサメチレンビス(2−アミノプロピル)アミン、ジエチルトリアミン、トリエチレンテトラアミン、ポリエチレンポリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、N,N′−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、β−(4−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノトルエン、ジアミノアントラセン、ジアミノナフタレン、ジアミノスチレン、メチレンジアニリン、2,4−ビス(4−アミノベンジル)アニリン、アミノフェニルエーテル、等が挙げられる。
【0090】
更に、アリル化合物、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、安息香酸、クロル安息香酸、マロン酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、クロレンド酸及びトリメリット酸等のモノ若しくはポリカルボン酸のモノ若しくはポリアリルエステル、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等のモノ若しくはポリスルホン酸のモノ若しくはポリアリルエステル、ジアリルアミン、N,N′−ジアリルシュウ酸ジアミド、1,3−ジアリル尿素、ジアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、等も用いることができる。
【0091】
また、例えば、ジビニルベンゼン、p−アリルスチレン、p−イソプロペニルスチレン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、ジビニルスフシネート、ジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート等のポリビニル化合物、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシフェニルトリメチルアンモニウムクロリド等の、イオン性基を有する(メタ)アクリル酸のエステル化合物も用いることができる。
【0092】
さらに、市販の重合性モノマー又はオリゴマー、例えば、東亜合成化学工業(株)製の、アロニックスM5700、M6100、M8030、M152、M205、M215、M315、M325等のアクリレート系モノマー、新中村化学工業(株)製の、NKエステルABPE−4、U−4HA、CB−1、CBX−1、日本化薬(株)製の、KAYARAD R604、DPCA−30、DPCA−60、KAYAMAR PM−1、PM−2、サンノプコ(株)製の、フォトマー4061、5007等の(メタ)アクリレート系モノマー、昭和高分子(株)製の、リポキシVR60、VR90、SP1509等のエポキシアクリレート、昭和高分子(株)製の、スピラックE−4000X、U3000等のスピロアセタール構造と(メタ)アクリル基とを有するスピラン樹脂、等も用いることができる。
【0093】
これらのモノマーは、単独で、あるいは二種以上混合して用いることができる。使用時の添加量としては、感光性層の固形分(質量)に対して、5〜100質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。
【0094】
iii)405nm以上の波長領域に感光性を有する光重合開始系
405nm以上の波長の光に感光性を有する光重合開始系としては、特にこの波長領域のレーザ光を吸収する増感色素と重合開始剤とを含む系が好ましい。
レーザ光を吸収する増感色素と重合開始剤としては、具体的には、例えば、特開平8−334897号公報の段落[0052]ないし[0100]に記載の増感色素と、同公報の段落[0101]ないし[0104]に記載のチタノセン化合物とからなるラジカル重合開始剤、等が挙げられる。また、これらには感度向上のための助剤として、同公報の段落[0105]ないし[0182]に記載の化合物を更に添加してもよい。光重合速度を増大させる化合物として、特開平8−202035号公報の段落[0016]ないし[0080]に記載のオキシムエーテル化合物を用いてもよい。
【0095】
iv)他成分
上記のほか、露光現像してなる画像(膜)の強度及び硬度を良化する目的で、現像性等に悪影響を与えない範囲でエポキシ樹脂、メラミン樹脂等のアルカリ不溶のポリマーを添加することができる。
前記アルカリ不溶のポリマーの着色感光性樹脂組成物における含有量(固形分質量)としては、0.2〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。該含有量が、0.2質量%未満であると、硬化膜強度の向上効果は認められないことがあり、50質量%を越えると、現像性が悪くなることがある。
【0096】
前記着色感光性樹脂組成物には、更に紫外領域の吸光度を高める目的で、UV吸収剤、金属、酸化チタン等の金属酸化物等を同時に添加してもよく、該UV吸収剤としては、例えば、特開平9−25360号公報に記載の、加熱処理により紫外領域に強い吸収を発現する化合物が挙げられる。
【0097】
その他添加剤として、熱重合防止剤を更に添加することが好ましい。該熱重合防止剤の具体例としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン、等が挙げられる。
更に、着色感光性樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤、例えば可塑剤、界面活性剤等を添加することができる。
【0098】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、適当な溶剤と共に前記成分i)〜iv)及び必要に応じて他成分を含んで塗布液状に調製されてもよい。前記溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、PEGMEA、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0099】
<フォトマスク材料>
本発明の第一の態様のフォトマスク材料は、光透過性の基材上に、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層を有してなり、本発明の第二の態様のフォトマスク材料は、光透過性の基材の表面と、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層を有する感光性転写材料の前記感光性層とが互いに接触するように積層されてなり、いずれにおいても、必要に応じて遮光層、酸素遮断層等の他の層を有していてもよい。
【0100】
前記感光性層は、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物の組成に構成されるので、フォトマスクの作製に際し、波長405nm以上の波長領域における光感応性を向上(高感度化)でき、特に波長405nmないし可視光領域に属するレーザー光を用いて好適に露光(描画)することができる。また最終的に、機械的強度や硬度が高く、耐溶剤性に優れると共に、波長405nm未満での光反射率が低く、しかも白抜け欠陥(例えば、基板上の異物等付着によるものやピンホールなど)のない高品質な層(フォトマスクとして用いた場合に光を吸収する領域;以下、「遮光性層」ということがある。)を形成することができる。
【0101】
(第一の態様)
前記第一の態様に係る感光性層は、既述の成分構成で塗布液状に調製された前記着色感光性樹脂組成物を直接光透過性の基材上に塗布形成してもよいし、後述の第二の態様に準じて、本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層が仮支持体上に設けられた感光性転写材料を用いて転写形成されてもよい。
【0102】
ここで、塗布液状に調製された着色感光性樹脂組成物(以下、「感光性層用塗布液」ということがある。)を直接光透過性の基材上に塗布形成する場合について説明する。
本態様では、上述の構成成分i)〜iv)及び必要に応じて他成分を含む着色感光性樹脂組成物を塗布液状に調製し、得られた感光性層形成用の塗布液(感光性層用塗布液)を、光透過性の基材若しくは該基材上の遮光層上に公知の塗布方法により塗布、乾燥して感光性層を形成することによりフォトマスク材料とする。
【0103】
前記公知の塗布方法としては、例えば、スリットアンドスピンコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スピンコーター、等を用いた塗布法が好適に挙げられる。
【0104】
前記感光性層の層厚としては、5μm以下が好適であり、中でも2μm以下がより好ましく、0.3〜1.2μmが特に好ましい。遮光層上に感光性層を形成する場合も同様である。
前記感光性層の層厚が5μmを超えると、解像度が悪化することがある。また、0.3μm未満では、層厚均一化が困難となることがある。したがって、前記層厚を上記範囲とすることにより、最終的に均一厚よりなり高解像度のフォトマスクを形成することができる。
【0105】
(第二の態様)
前記第二の態様のフォトマスク材料は、光透過性の基材の表面と、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層を有する感光性転写材料の前記感光性層とが互いに接触するように積層された積層体である。したがって、本態様に係る感光性層は、前記積層体から仮支持体を剥離して前記感光性層を光透過性の基材上に転写することにより形成できる。
具体的には、仮支持体上に感光性層を有する感光性転写材料の前記感光性層の表面と基材表面とが互いに接触するように重ね合わせ、ラミネートした後、前記仮支持体を剥離することにより、光透過性の基材上に感光性層を形成することができる。
【0106】
<感光性転写材料>
次に、感光性転写材料について詳述する。本発明の感光性転写材料は前記第二の態様に好適に用いることができる。
前記感光性転写材料は、仮支持体上に、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層を有してなり、必要に応じて中間層、金属膜等の遮光層、酸素遮断層等の他の層や被覆シートを有してなる。尚、前記中間層は、仮支持体/感光性層の間において、好ましくは中間層/仮支持体間の接着力が中間層/感光性層間の接着力より小さくなるように設けられる。尚、遮光層、酸素遮断層の詳細については後述する。
【0107】
−感光性層−
前記感光性層は、前記第一の態様と同様に、既述の本発明の着色感光性樹脂組成物を用い、例えば塗布液状に調製した該組成物(感光性層用塗布液)を塗布等して形成することができる。この場合の塗布は、前記第一の態様の場合と同様の公知の塗布方法により行うことができる。
ここでの層厚としては、前記第一の態様における場合と同様である。
【0108】
−中間層−
前記中間層としては、特開平4−208940号、特開平5−80503号、特開平5−173320号、特開平5−72724号の各公報の実施例に記載のような、分離層(酸素遮断性でかつ剥離性を有する)、アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層、中間層、等を適用することができる。
【0109】
次に、本発明の着色感光性樹脂組成物よりなる感光性層について説明する。
〈感光性層〉
前記感光性層は、前記第一及び第二のいずれの態様においても、露光現像後において、405nm未満の遮光すべき光(遮光光)の波長領域においては吸光度が大きく、かつ、波長405nm以上(特に480nm以上)の波長領域の、画像様に照射すべき光(画像形成光)の吸光度を小さくして波長405nm以上の画像形成光での画像形成が可能なように構成することが好ましい。
【0110】
即ち、波長405nmから可視光領域の光を用いて所望のパターンに形成でき、該パターン状の層(遮光性層)を遮光層として機能させることができる。特に、前記感光性層は、露光現像後において、吸光度2.0以上(より好ましくは2.5以上)を示す波長領域を有する層をなす態様に構成されることが好ましい。ここで、露光現像前の段階では、上記のように感光性層は405nm以上の波長領域で吸光度が小さいことが望ましいが、後述のように、画像形成光に対する感度が高く、光重合反応を十分に進行させることが可能であれば、特に吸光度を小さくする必要はない。
【0111】
前記感光性層の、遮光光の波長領域(405nm未満)における吸光度としては、1.05以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、3以上が特に好ましい。
前記吸光度を大きくするためには、吸光度の大きい着色材等を含有させることが好適である。必要な吸光度を得ようとする場合、感光性層の吸光度は、着色材の種類のみならず、その含有量や該層の膜厚等により変化するため、これらのファクターを適宜考慮することが必要である。
【0112】
ここでいう遮光光としては、一例としてアライナーなどの露光機に用いられる超高圧水銀灯からの光が挙げられるが、この場合、435nmのg線、405nmのh線、及び365nmのi線に対する吸光度が大きい感光性層とする必要がある。
一方、画像形成用の光としては405nm以上の波長を有する光、特にレーザー光が好適であり、例えば、ND−YAGレーザ(532nm)、Arイオンレーザ(488nm)、He−Cdレーザ(442nm)、Krイオンレーザ(413nm)等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
上述の通り、感光性層全体を効率よく光重合させる観点から、感光性層の、画像形成光に対する(即ち、405nm以上の波長領域における)吸光度としては小さいことが望まれるが、具体的には、2.4以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.0未満が特に好ましい。
例えば、488nmのArイオンレーザーや532nmのND−YAGレーザーは比較的出力が小さいものがあり、これらのレーザ光を用いる場合には、少なくとも480nmより長波長の波長領域、特に488nmないし532nmの波長領域、における感光性層の吸光度が小さいことが望ましい。
【0114】
このような感光性層を有するフォトマスク材料を用いると、フォトマスク作製時に露光する405nm以上の波長光(画像形成光)は、感光性層の深部まで十分に到達し、高感度にかつ高速に露光を行うことができ、照射エネルギーを大きくしたり長時間光照射をする必要もない。一方、前記感光性層を露光現像してなる層(遮光性層)は、遮光光をよく吸収するのでフォトマスクとして有効に機能し、しかも膜強度に優れ、またフォトマスクとして使用した際に、440nm以下(特に405nm未満)の短波長の光の反射率を低く(好ましくは35%以下に)抑制して、該フォトマスクと被照射物との間で光照射した際に生ずる光の反射を効果的に抑制することができ、高感度かつ高解像度での照射が可能である。
【0115】
この他、レーザ光の種類によっては(例えば、413nmのKrイオンレーザー、442nmのHe−Cdレーザー)、吸光度はやや大きいものの(前記レーザ光の場合該吸光度は0.3〜4.0程度)、所定の感度が得られるものがあるので、この場合には、吸光度を特に小さくする必要はない。したがって、画像形成を行う波長の光の吸光度については、感度も考慮して適宜決めることができる。
【0116】
前記感光性層の構成例としては、上記の条件を満たす感光性層であれば、良好な遮光性層を形成しうる感光性層として十分に適用でき、例えば、「吸光度2.5以上を示す波長領域」が405nmより短波長領域である感光性層、「吸光度3以上を示す波長領域」が380nmより短波長領域であり、かつ感光波長領域が440nm以上である感光性層、「吸光度3以上を示す波長領域」が380nmより短波長側であり、かつ480nm以上の感光波長領域の吸光度が2.4以下である感光性層、等が好適に挙げられる。
【0117】
前記特性を有する感光性層を得るためには、感光性層(即ち、着色感光性樹脂組成物)に、吸光特性が、遮光光の波長領域における吸光度より、405nm以上の波長の光の吸光度が小さい着色材を含有させることが好ましい(ただし、上述のように、画像形成光であるレーザ光の種類によってはレーザ光の波長に対する吸光度を特に小さくしなくてもよい場合がある。)。
例えば、波長440nmより短波長側の光を吸収する着色材(例えば吸光度1.05以上)であって、かつ480nm以上の波長領域においては光の吸収が小さい(例えば吸光度1.0未満)着色材を用いることができる。この場合、フォトマスクを作製する際の画像形成光に対する吸光度が小さい着色材を含有させる等しているので、フォトマスク作製時の感光性層の露光・現像性に悪影響を与えることはなく、フォトマスクとしての使用時における波長440nmより短波長側の光反射率が低いので、その結果フォトマスクとして用いた場合の感度を上げることができる。
また、遮光光が紫外線を含む場合、紫外線吸収剤を添加することにより紫外領域の吸光度を高めることも可能である。
【0118】
本発明のフォトマスク材料は、該材料を構成する光透過性の基材上に遮光層が設けられ、該遮光層上に感光性層が塗布形成されてなる態様であってもよい。このとき、前記遮光層が金属膜からなる場合でも、既述のように構成される感光性層が金属膜上に積層塗布されるので、該層を残せば金属膜の保護層として機能させ得る。
したがって、硬化後の感光性層は、機械的強度や硬度が高く、耐溶剤性が良好であるので、薄層である金属膜を洗浄作業等から保護し、ピンホール発生を低減することができる。
【0119】
また、感光性層を保護層として残す場合、感光性層として上述の組成に構成することに加え、更に光重合後の感光性層の、波長405nmより短波長側の光反射率が小さくなるように調整することが好ましい。即ち、フォトマスク作製時に露光する光の波長領域、即ち405nm以上(好ましくは480nm以上)の波長(例えば500nm近傍)の光の吸収が小さく、かつフォトマスクとしての使用時に照射する405nm未満の短波長側の光吸収効率の高い層に調整することが好ましい。
前記反射率としては、35%以下が好ましい。反射率が35%を超えると、例えば、フォトリソグラフィ等の工程でフォトマスクとして使用し露光する場合など、被照射物とフォトマスクとの間で生ずる光の反射を十分に防止できず、被照射物に形成される画像の解像度の低下を回避することができないことがある。
【0120】
尚、前記反射率とは、保護層に入射する光量h1の光に対して、吸収されずに保護層で反射される光の光量(h2)の割合(h2/h1×100)をいい、例えば分光光度計(UV−3100S((株)島津製作所製)等)などを用いて容易に測定することができる。上記において、被照射物とは、光源からフォトマスクを介在して光照射される対象物をいう。
【0121】
〈酸素遮断層〉
上記のように形成される感光性層上には、該感光性層の感度を向上させる点で、単一若しくは複数の酸素遮断層を形成することが好ましく、該酸素遮断層としては、アルカリ可溶性樹脂を含む層が好ましい。必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
前記酸素遮断層は、例えば、アルカリ可溶性樹脂を少なくとも含んでなる酸素遮断層形成用の塗布液(遮断層用塗布液)を、前記感光性層用塗布液の塗布後、又は感光性層用塗布液と共に重層塗布等して、或いは、予め仮支持体と感光性層との間に酸素遮断層が設けられた感光性転写材料を用いて、感光性層等と同時に形成することができる。
【0122】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載の、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、又は側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体、が挙げられる。また、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも有用である。
中でも特に、米国特許第4139391号明細書に記載の、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体やベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体が好ましい。
【0123】
更に、前記酸素遮断層としては、特開平4−208940号、特開平5−80503号、特開平5−173320号、特開平5−72724号の各公報の実施例に記載の、分離層(酸素遮断性でかつ剥離性を有する)、アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層、中間層等も適用することができる。
【0124】
前記酸素遮断層の層厚としては、1〜5μmが好ましく、1.2〜2μmがより好ましい。
【0125】
〈遮光層〉
本発明のフォトマスク材料においては、光透過性の支持体と該支持体上に形成される感光性層との間に遮光層を有する態様も好適である。該遮光層は、金属及び金属酸化物の少なくとも一種を主として組成された金属膜で構成することができる。
【0126】
前記金属膜としては、例えば、クロム膜、低反射クロム/酸化クロム2層膜、アルミニウム膜、酸化鉄膜、等が挙げられる。該金属膜は、例えばスパッタリング法、EB蒸着法、塗布等により、光透過性の基材の表面に形成することができる。
前記遮光層の厚みとしては、フォトマスク自体の解像度を向上させる点で、0.05〜0.5μm程度が好ましい。
【0127】
以上のように、遮光層として金属膜を形成することにより膜強度、耐久性に優れた遮光層を備えるフォトマスクとすることができる。このとき、既述の通り、上記範囲の薄膜な状態では、フォトマスク作製時における洗浄などによってピンホール等の欠陥が発生しやすく、また、金属膜よりなる遮光層の反射率は、例えばクロム膜では70%(435nm)程度であり、光の反射を起こして、フォトマスクを通して光照射し画像形成する際の解像度が低下し易いが、遮光層上には更に感光性層が積層されるので、この場合、感光性層は保護層、光吸収層として機能する。
【0128】
〈光透過性の基材〉
光透過性の基材としては、石英、ソーダガラス、無アルカリガラス等のガラス板、あるいはポリエチレンテレフタレート等の透明プラスティックフィルムなどが好適に挙げられる。また、これらの基材上には、前記遮光層が予め設けられていてもよい。
前記基材の厚さとしては、その用途によっても異なるが、一般には1〜7mmが好ましい。
【0129】
<フォトマスク>
本発明のフォトマスクは、光透過性の基材上に遮光性層を有してなり、前記遮光性層は、既述の本発明の第一又は第二の態様のフォトマスク材料を用い、その感光性層を405nm以上の波長光で露光し、現像してなり、場合により前記基材と感光性層との間に遮光層を有してなる。
【0130】
本発明のフォトマスクは、以下のようにして作製することができる。
即ち、基本的態様として、感光性層を有するフォトマスク材料の前記感光性層を405nm以上の波長光で画像様に露光、現像等する工程(以下、「画像形成工程」と称する。)を有して構成され、場合に応じて、現像処理により感光性層が除去された領域の遮光層をエッチングにより除去する工程(エッチング工程」と称する。)や、露光現像後に加熱処理する工程(以下、「硬化工程」と称する。)、等を有して構成される。
【0131】
(画像形成工程)
前記画像形成工程においては、感光性層を有するフォトマスク材料の前記感光性層を405nm以上の波長光で画像様に露光、現像等する。既述の第二の態様のフォトマスク材料においては、露光前に予め仮支持体を剥離することが好ましいが、予め仮支持体をフォトマスク材料から剥離しないで該仮支持体側から露光した後、仮支持体を剥離して感光性層を現像してもよい。
本工程においては、紫外線やX線等の放射線によることなく、405nm以上の波長の光(画像形成光)により簡便かつ安全に露光することができる。
【0132】
画像形成光を照射する光源としては、405nm以上の波長の光を発する光源であれば特に制限はなく、公知のものから適宜選択して画像様に露光することができる。また、超高圧水銀灯などの紫外線露光機にバンドパスフィルターを組み入れて、露光波長を選択することも可能である。
中でも、405nm以上の波長の光を発するレーザーが好ましく、例えば、442nmのHe−Cdレーザー、488nmのアルゴンレーザー、532nmのNd−YAGレーザー、等は特に好ましく、480nm以上の波長の光を発するレーザーが最も好ましい。
【0133】
現像に用いる現像液としては、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アンモニア水、4級アンモニウム塩の水溶液等が挙げられる。中でも特に、炭酸ナトリウム水溶液が好ましい。
現像方法としても制限はなく、現像液に接触若しくは浸漬させる方法、現像液を噴霧状にスプレーする方法など適宜選択することができる。現像時の現像液の温度としては、20〜40℃が好ましい。
【0134】
(エッチング工程)
本発明のフォトマスク材料が、その光透過性の基材上に遮光層を備えている場合には、エッチング工程が設けられ、該エッチング工程においては、現像処理により感光性層が除去された領域の遮光層をエッチング処理により除去する。そして、その後更に金属膜上に残留する感光性層を除去する。
エッチング処理は、常法により行え、エッチング時のエッチング液としては、例えば、混酸アルミエッチング液、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とからなるエッチング液、等が挙げられる。
【0135】
既述のように遮光層を有する場合には、前記エッチングの後、遮光層上の感光性層を除去せずに保護層として残存する。したがって、製造プロセスにおける洗浄等で発生するピンホール等の欠陥を回避でき、しかも波長405nm未満の短波長光を吸収し、フォトマスクとして優れた機能を示す。
【0136】
(硬化工程)
前記硬化工程においては、露光現像後に基材上に残存する感光性層からなる層(即ち遮光性層)を少なくとも加熱処理する。本発明においては、本工程を施すことが好ましい。
前記エッチング工程の後、パターン状に形成された層(遮光性層若しくは保護層)に加熱処理を施することにより膜硬化させ、膜強度を高めることができる。
【0137】
前記加熱処理の温度としては、120〜250℃が好ましい。前記温度が、120℃未満であると、加熱処理の効果が得られないことがあり、250℃を超えると、材料の分解が生じ、逆に脆く弱い膜質になることがある。加熱処理の時間としては、15〜60分が適当であり、加熱処理の方法としては、例えば、ドライオーブン、ホットプレートなどを用いた公知の方法を用いることができる。
【0138】
また、本発明のフォトマスクにおいては、作製後に欠陥がある場合、以下のようにして欠陥修正を行うことができる。
フォトマスクの欠陥とは、黒部の場合主として黒部の白抜け部分、例えばピンホールのような光を透過する欠陥をいい、また、白部の場合、例えば本来白部となるべき部分の透明基材上に異物や感光性層が付着して光透過率が低下する欠陥をいう。
【0139】
フォトマスクの黒部に白抜け部分が発生した場合には、前述の感光性層形成用の溶液を欠陥周辺部に塗布するか、あるいは前述の感光性転写材料を前記ラミネータなどで部分的に貼り付け、更に例えばHe−Cdレーザー等で露光し、現像して不要な感光性層を除去することによって、欠陥を修正することができる。また、He−Cdレーザー等で露光、現像する代わりに、YAGレーザーで感光性層の不要部をアブレーションにより除去することも可能である。
【0140】
一方、フォトマスクの白部に欠陥が発生した場合には、YAGレーザー等を用いてアブレーションにより除去可能である。この場合、Emマスクとは異なり、白部には感光性層などの有機物成分は無いため、レーザーアブレーションによる新たな欠陥の発生を伴うこともない。
【0141】
また更に、更なる膜強度の向上を図る観点から、前記エッチング工程を終了した後、パターン状の遮光性層(若しくは保護層)上に更に熱硬化型のエポキシ樹脂等の保護膜を設けることもできる。
本発明においては、ネガ型の感光性層を用いるほか、露光部がアルカリ水溶液に可溶化するポジ型の感光性層を用いてもよい。
【0142】
本発明のフォトマスクは、これを構成する遮光性層(若しくは保護層)が遮光すべき遮光光(波長405nm未満)に対する吸光特性に優れ、かつ405nm未満の光反射率をも低減できるので、フォトマスクとして高解像度に露光が行え、しかも機械的強度及び硬度、並びに耐溶剤性をも備える。
【0143】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0144】
(実施例1)
本実施例では、ガラス基板の表面に感光性層を塗布により設け、該感光性層上に酸素遮断層を設けてなるフォトマスク材料の一例、及び該フォトマスク材料を用いたフォトマスクの製造例を示す。
【0145】
[フォトマスク材料の作製]
▲1▼感光性層の形成
緑色顔料分散液および黄色顔料分散液を含む下記処方よりなる感光性層用塗布液を調製し、該塗布液をスピンナーを用いてソーダガラス基板の表面に3μm厚で塗布した。
【0146】
【0147】
【化16】
【0148】
尚、上記の緑色顔料分散液及び黄色顔料分散液(本発明の顔料分散組成物)は、以下の方法で調製した。
−緑色顔料分散液の調製−
下記処方を、モーターミルM−200(アイガー社製)により、直径1.0mmのジルコニアビーズを用いて周速9m/sで5時間分散し、緑色顔料分散液を得た。
【0149】
【0150】
【化17】
【0151】
−黄色顔料分散液の調製−
下記処方を、モーターミルM−200(アイガー社製)により、直径1.0mmのジルコニアビーズを用いて周速9m/sで5時間分散し、緑色顔料分散液を得た。
【0152】
上記より得た緑色顔料分散液及び黄色顔料分散液について、粘度をE型粘度計(東京計器(株)製)により測定したところ、19mPa・sであった。尚、両分散液につき、0.7μm厚のガラス基板上に塗布、乾燥して濁りがあるか目視により確認したところ、クリアであり濁りは認められなかった。
【0153】
▲2▼酸素遮断層の形成
上記より形成された感光性層上に、下記処方よりなる酸素遮断層用塗布液を1.6μm厚になるように塗布、乾燥して酸素遮断層を形成し、本発明のフォトマスク材料を得た。
【0154】
【0155】
[フォトマスクの作製]
上記より得たフォトマスク材料の酸素遮断層側から、レーザープロッターFR7000(光源:532nmのNd−YAGレーザー;大日本スクリーン(株)製)を用いて露光した。次いで、28℃のアルカリ現像液(TCDの10%水溶液、富士写真フイルム(株)製)中に90秒浸漬して現像処理を行い、更にイオン交換水で水洗、乾燥した。引き続き、200℃下で30分間加熱処理を行って、本発明のフォトマスクを得た。
【0156】
露光時の露光感度は、約0.6mJ/cm2であり、高感度かつ高速に露光を行うことができた。しかも、上記より得た緑色顔料分散液及び黄色顔料分散液は低粘で分散粒径も小さく、分散(安定)性に優れており、ライン/スペース=8μm/8μmの高解像度の画像を形成することができた。また、得られたフォトマスクにおいて、画像様に形成された遮光性層の鉛筆硬度は4H〜5Hであり、アセトンでの拭き取り試験でも傷が付かず良好な耐溶剤性を示した。また、フォトマスクの白部(ガラス基板の露出部)に付着した異物をYAGレーザーで容易に除去でき、新たな欠陥を生じることもなかった。
【0157】
以上の通り、フォトマスクとして使用した時の、光の反射を防止して高解像度に露光することができ、しかも洗浄による白抜け欠陥のない高品質のフォトマスクを得ることができた。
【0158】
(比較例1)
実施例1の緑色顔料分散液及び黄色顔料分散液の調製において、各々用いたメタクリル酸/アリルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体に代えて、重合基を含有しない分散剤(メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、モル比28/72、Mw30000)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、比較のフォトマスク材料を作製し、更にフォトマスクを作製した。
【0159】
露光時の露光感度は、約2.1mJ/cm2で実施例1に比し劣っていた。また、ここで得た顔料分散液には濁りがあった。得られたフォトマスクの解像度はライン/スペース=10μm/10μmであった。
【0160】
【発明の効果】
本発明によれば、低粘性を保持しながら顔料が均一に分散され、その分散安定性に優れた顔料分散組成物を提供することができる。
本発明によれば、前記本発明の顔料分散組成物を含み、波長405nm以上(特に480nm以上)の光で高感度かつ高速に、しかも高解像度な画像を形成し得る着色感光性樹脂組成物を提供することができる。
本発明によれば、前記本発明の着色感光性樹脂組成物を含み、波長405nm以上(特に480nm以上)の光で高感度かつ高速に、しかも高解像度でのマスクパターンの形成が可能であって、欠陥修正が可能でかつ機械的強度や硬度、耐溶剤性に優れ、波長405nm未満の光反射率が低く白抜け欠陥(ピンホール等)のない高品質なフォトマスクを作製し得るフォトマスク材料を提供することができる。
本発明によれば、前記本発明のフォトマスク材料が用いられ、欠陥修正が可能であって、優れた機械的強度や硬度、耐溶剤性を有し、波長405nm未満の光反射率が低く、白抜け欠陥(ピンホール等)のないフォトマスクを提供することができる。
Claims (13)
- 酸性基を有する構造単位と、下記一般式(I)で表される構造単位と、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位とを有する共重合体の少なくとも一種、下記一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種、及び着色材を含むことを特徴とする顔料分散組成物。
- i)アルカリ可溶性樹脂バインダー、ii)少なくとも1個の重合可能な不飽和結合を有するモノマー、iii)405nm以上の波長領域に感光性を有する光重合開始系、及びiv)請求項1に記載の顔料分散組成物、を含むことを特徴とする着色感光性樹脂組成物。
- 顔料分散組成物中の共重合体において、酸性基を有する構造単位の前記酸性基がカルボキシル基であって、かつ、酸性基を有する構造単位の共重合比が10〜40mol%であり、一般式(I)で表される構造単位の共重合比が20〜80mol%であり、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位の共重合比が10〜70mol%である請求項2に記載の着色感光性樹脂組成物。
- 側鎖に重合性の不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性バインダーを更に含む請求項2又は3に記載の着色感光性樹脂組成物。
- 顔料分散組成物中の共重合体において、酸性基を有する構造単位の前記酸性基がカルボキシル基であって、かつ、酸性基を有する構造単位が(メタ)アクリル酸に由来する構造単位であり、一般式(I)で表される構造単位がアリル(メタ)アクリレートに由来する構造単位であり、芳香環及び/又は脂肪族環を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位が、(メタ)アクリル酸ベンジルに由来の構造単位および(メタ)アクリル酸シクロヘキシルに由来の構造単位の少なくとも一方である請求項2から4のいずれかに記載の着色感光性樹脂組成物。
- 光透過性の基材上に、請求項2から5のいずれかに記載の着色感光性組成物よりなる感光性層を有することを特徴とするフォトマスク材料。
- 感光性層上に酸素遮断層を有する請求項6に記載のフォトマスク材料。
- 仮支持体上に、請求項2から5のいずれかに記載の着色感光性組成物よりなる感光性層を有することを特徴とする感光性転写材料。
- 光透過性の基材の表面と、請求項8に記載の感光性転写材料の感光性層とが互いに接触するように積層されてなることを特徴とするフォトマスク材料。
- 着色材が、青色顔料及び緑色顔料の少なくとも一種である請求項6、7及び9のいずれかに記載のフォトマスク材料。
- 光透過性の基材上に遮光性層を有してなり、前記遮光性層が、請求項6、7、9及び10のいずれかに記載のフォトマスク材料の感光性層を405nm以上の波長光で露光し、現像してなる層であることを特徴とするフォトマスク。
- 405nm以上の波長光が、波長405nmないし可視光領域のレーザー光である請求項11に記載のフォトマスク。
- 感光性層が、露光現像後に120〜250℃で加熱処理される請求項11又は12に記載のフォトマスク。
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JP2006091537A (ja) * | 2004-09-24 | 2006-04-06 | Hitachi Chem Co Ltd | マイクロレンズアレイの製造方法、マイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物及びマイクロレンズアレイ用感光性エレメント |
-
2002
- 2002-06-20 JP JP2002180189A patent/JP2004021210A/ja active Pending
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