JP2004019820A - 電動パワーステアリング装置用減速ギア - Google Patents
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Abstract
【課題】寸法安定性及び耐摩耗性に優れ、高信頼性の電動パワーステアリング用減速ギアを提供する。
【解決手段】操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギアにおいて、金属製芯管の外周に、ポリアミド樹脂組成物をラジカル発生剤と2個以上の炭素間二重結合を有する多官能モノマーとを用いて架橋してなる成形体からなり、その外周面にギヤ歯が形成された樹脂部を一体に設けてなるウォームホイールを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギア。
【選択図】 図1
【解決手段】操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギアにおいて、金属製芯管の外周に、ポリアミド樹脂組成物をラジカル発生剤と2個以上の炭素間二重結合を有する多官能モノマーとを用いて架橋してなる成形体からなり、その外周面にギヤ歯が形成された樹脂部を一体に設けてなるウォームホイールを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギア。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギアに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車に組み込まれる電動パワーステアリング装置には、電動モータに比較的高回転、低トルクのものが使用されるため、電動モータとステアリングシャフトとの間に減速機構が組み込まれている。減速機構としては、一組で大きな減速比が得られる等の理由から、図6に示されるような、電動モータ(図示せず)の回転軸に連結するウォーム12と、ウォーム12に噛み合うウォームホイール11とから構成される電動パワーステアリング装置用減速ギア20(以下、単に「減速ギア」ともいう)が使用されるのが一般的である。
【0003】
このような減速ギア20では、ウォームホイール11とウォーム12の両方を金属製にすると、ハンドル操作時に歯打ち音や振動音等の不快音が発生するという不具合を生じていた。そこで、ウォームホイール11に、金属製の芯管1の外周に、樹脂製で外周面にギア歯10を形成してなる樹脂部3を一体化させたものを使用して騒音対策を行っている。
【0004】
上記樹脂部3には、例えば、特公平6−60674号公報に記載されているような、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のベース樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化材を配合した材料の他、強化材を含有しないMC(モノマーキャスト)ナイロン、ポリアミド6、ポリアミド66等が使用されている。中でも、寸法安定性やコストを考慮して、強化材を含有しないMCナイロン、ガラス繊維を含有したポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等が主流となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記樹脂部3を形成するポリアミド系樹脂は、耐疲労性に優れるものの、吸水性が高く、水分を吸収してギア歯10が膨潤し、当初ウォーム12との間に存在していた隙間が無くなったり、更に膨潤するとウォーム12を圧迫するようになる。その結果、ギアの抵抗が大きくなり、ハンドルが重くなるという不具合を招いていた。また、長時間の使用により、ギア歯10が摩耗してウォーム12とウォームホイール11との噛合い部におけるバックラッシュ(ガタ)が増大し、ウォーム12の円滑な作動が妨げられ、操舵感が悪化したり、異音(歯打ち音)を発生することもあった。更には、ギア歯10が変形したり、場合によっては破損して装置全体として機能しなくなることもあった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ウォームホイールに求められる、特に寸法安定性及び耐摩耗性に優れ、高信頼性の電動パワーステアリング用減速ギアを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明の、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギアにおいて、金属製芯管の外周に、ポリアミド樹脂組成物をラジカル発生剤と2個以上の炭素間二重結合を有する多官能モノマーとを用いて架橋してなる成形体からなり、その外周面にギヤ歯が形成された樹脂部を一体に設けてなるウォームホイールを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギアにより達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の減速ギアの一例を示す斜視図であるが、金属製の芯管1の外周に、樹脂製でその外周端面にギア歯を形成した樹脂部3を一体化したウォームホイールを備える。このような構成自体は、図6に示したような、芯管1と樹脂部3とを一体化した従来のウォームホイール11と同様である。また、ウォーム12には制限はなく、従来と同様に金属製とすることができる。
【0010】
樹脂部3を形成するベース樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66及びポリアミド46が好ましい。これらベース樹脂は、樹脂単独でも一定以上の耐久性を示し、ウォームホイール11の相手材である金属製のウォーム12の摩耗に対して有利に働き、減速ギアとして十分に機能する。しかしながら、より過酷な使用条件で使用されると、ギア歯10が破損や摩耗することも想定されるため、信頼性をより高めるために、強化材を配合することが好ましい。
【0011】
補強材としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が好ましく、上記に挙げたポリアミド樹脂との接着性を考慮してシランカップリング剤で表面処理したものが更に好ましい。また、これらの補強材は複数種を組み合わせて使用することができる。衝撃強度を考慮すると、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状物を配合することが好ましく、更にウォ−ム12の損傷を考慮するとウィスカー状物を繊維状物と組み合わせて配合することが好ましい。混合使用する場合の混合比は、繊維状物及びウィスカー状物の種類により異なり、衝撃強度やウォーム12の損傷等を考慮して適宜選択される。
【0012】
これらの補強材は、全体の5〜40重量%、特に10〜30重量%の割合で配合することが好ましい。補強材の配合量が5重量%未満の場合には、機械的強度の改善が少なく好ましくない。補強材の配合量が40重量%を超える場合には、ウォーム12を損傷し易くなり、ウォーム12の摩耗が促進されて減速ギアとしての耐久性が不足する可能性があり好ましくない。
【0013】
また、樹脂部3は、このようなポリアミド樹脂組成物を、ラジカル発生剤と2個以上の炭素間二重結合を有する多官能モノマーとを用いて架橋して得られる。ラジカル発生剤としては、下記一般式式で表される1,2−ジフェニルエタン誘導体が好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】
式中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基または炭素数1〜5のアルキル置換フェニル基であり、同一でも異なっていてもよい。また、X、Yは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシを表す。中でも、下記に示す2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンがラジカル発生剤として特に好ましい。
【0016】
【化2】
【0017】
これらラジカル発生剤は架橋剤として機能し、200℃以上の温度で炭素間結合が開裂してラジカルを発生する。ラジカル発生剤の添加量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。ラジカル発生剤が0.01重量部未満では、ラジカルの発生量が少なすぎて架橋が殆ど進行しない。また、ラジカル発生剤が5重量部を超える場合には、架橋度の更なる増大がみられないとともに、未反応物や過剰のラジカルが残存して樹脂部3の物性低下を引き起こすおそれがある。
【0018】
一方、分子中に2個以上の炭素間二重結合をする多官能モノマー(以下、「特定の多官能モノマー」という)は、架橋助剤として機能する。このような特定の多官能モノマーとしては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、N,N´−m−フェニレンビスマレイミド、ポリブタジエン等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせ使用される。中でも、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルシアヌレートが、上記のラジカル発生剤との間でより円滑に架橋反応を進めることから好ましい。
【0019】
また、特定の多官能モノマーの添加量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。特定の多官能モノマーが0.01重量部未満では、絶対量が少なすぎて架橋が殆ど進行しない。また、特定の多官能モノマーが10重量部を超える場合には、架橋度の更なる増大がみられないとともに、未反応物等が残存して樹脂部3の物性低下を引き起こす可能性が高くなる。
【0020】
更に、特定の多官能モノマーとラジカル発生剤とは、特定の多官能モノマー:ラジカル発生剤=6:10〜50:1の範囲で併用することが好ましい。特定の多官能モノマーが6:10よりも少なくなると、架橋助剤としての作用が弱すぎて架橋反応の進行が遅くなる。一方、特定の多官能モノマーが50:1よりも多くなると、特定の多官能モノマーに由来する未反応物が残存して樹脂部3の物性を低下させる可能性が高くなる。また、特定の多官能モノマーとラジカル発生剤とを等量で併用することが架橋を進行させる上で最も好ましい。
【0021】
ポリアミド樹脂中における上記のラジカル発生剤と特定の多官能モノマーとによる架橋反応は、以下の機構によるものと考えられる。即ち、先ずラジカル発生剤の開裂により発生したラジカルが特定の多官能モノマーの炭素間二重結合に付加し、2次ラジカルを生じる。そして、この2次ラジカルが、ポリアミド樹脂のアミド結合の間に存在するメチレン水素を引き抜き、それにより発生したポリアミド樹脂の分子ラジカル同士が特定の多官能モノマーにより数箇所で結合され、架橋構造が構築される。
【0022】
また、このようにラジカル発生剤及び特定の多官能モノマーがそれぞれ単独で架橋反応をあまり起こさないことは、製造上大きな利点になる。即ち、ラジカル発生剤を配合したポリアミド樹脂のペレットと、特定の多官能モノマーを配合したポリアミド樹脂のペレットとを別々に調製することにより、これらの保管が可能となり、実際の製造において、両ペレットを成形機に投入すれば樹脂部3の成形を即時開始することができる。これに対し、架橋剤として一般的な有機過酸化物は、単独でもポリアミド樹脂のアミド結合の間に存在するメチレン水素を引き抜いて架橋が進行するため、成形直前にポリアミド樹脂に有機過酸化物を添加して混練する必要があり、製造開始毎に成形原料の調製が必要になる。
【0023】
本発明においてウォームホイール11を製造する方法は制限されるものではないが、例えば図2〜図5に示す工程に従うことができる。尚、成形に先立ち、芯管1の外周面1aには、ショットブラストやローレット加工、好ましくはローレット加工により粗面化処理を施しておくことが好ましい。ローレット加工のV字状溝の深さは0.2〜0.8mm、特に0.3〜0.7mmが適当である。このV字状溝の深さが0.2mm未満では芯管1と樹脂部3との物理的接合性を向上させる効果が小さく、0.8mmを超える場合は加工コストの上昇を招くだけでなく、溝が深すぎて溝内に完全にポリアミド樹脂が入り込めず、空気が溝内に残存して物理的接合性を低下させるおそれもある。
【0024】
更に、吸水による寸法変化の防止と、樹脂部3との接合性を一層向上させるために、図2に示すように、芯金1の外周面1aに接着層8を設けることも好ましい。接着層8を形成する材料は、芯管1である金属と、樹脂部3となるポリアミド樹脂との双方に対して結合を生じることが必要であり、ここでは、アミノ基あるいはエポキシ基を分子中に有し、かつ加水分解で水酸基に変化するアルコキシ基を有するシランカップリング剤が好適である。このようなシランカップリング剤は、アルコキシ基が加水分解して生成する水酸基が金属表面と脱水縮合を起こして、金属との間で高い結合力を持つ共有結合を形成するとともに、アミノ基やエポキシ基がポリアミド樹脂のアミド結合と結合し、これらの結合により芯管1と樹脂部3とが強固に接合される。
【0025】
上記のシランカップリング剤として、具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。中でもエポキシ基を有するγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、ポリアミド樹脂中のアミド結合への反応性が高いことから好ましい。尚、シランカップリング剤の塗布方法としては、これらを溶解した溶液(溶媒:アルコール等)に芯管1を浸漬し、溶媒を乾燥除去する方法が簡便である。また、この接着層形成用溶液の濃度は3〜10重量%が適当である。
【0026】
そして、図3に示すように、上記の芯管1をスプルー4及びディスクゲート5とともに金型に装着し、射出成形機等を用いてインサート成形を行い、芯管1と樹脂部3とを一体に成形する。このとき、射出成形機には、それぞれ予め調製しておいたラジカル発生剤を配合したポリアミド樹脂のペレットと、特定の多官能モノマーを配合したポリアミド樹脂のペレットと成形機に投入する。
【0027】
成形後、芯管1と樹脂部3との接着性を高めるために熱処理を行うことが好ましい。加熱温度としては、200〜350℃が適当である。熱処理の手段としては、短時間で効率良く温度が上昇する誘導加熱(高周波あるいは低周波)が最も好ましい。この誘導加熱によると、芯管1及び、芯管1の外周面−接着層8−樹脂部3の内周面が一様に効果的に加熱され、より強固な結合が可能になる。また、短時間で済むため、樹脂部3や接着層8を形成する材料の劣化が最小限に抑えられる。誘導加熱に際し、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことにより、材料の劣化をより抑えることができるようになる。
【0028】
上記により、図4に示すように、芯管1の外周に接着層を介して樹脂部3が接合されたウォームホイールブランク材7が得られる。
【0029】
そして、図5に示すように、ウォームホイールブランク材7の樹脂部3の外周面3aに切削加工により所定形状のギア歯10を形成することにより、ウォームホイール11が得られる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0031】
(実施例1)
深さ0.5mmのローレット加工を施し、脱脂した外径45mm、幅13mmのS45C製の芯管を用意した。また、ガラス繊維を30重量%含有するポリアミド6(宇部興産(株)製「UBEナイロン1015GU6」;銅系添加剤含有)100重量部に対しラジカル発生剤(日本油脂(株)製「ノフマーBC90」;2,3−ジメチル−2.3−ジフェニルブタン)を1重量部配合した第1のペレットと、同ポリアミド100重量部に対し多官能モノマー(日本化成(株)製「タイク」;トリアリルイソシアヌレート)を1重量部配合した第2のペレットとを用意した。
【0032】
そして、芯管をコアとし、射出成形機に第1のペレットと第2のペレットとを等量比で投入し、樹脂温度240℃にてインサート成形を行って外径60mm、幅13mmの芯管−樹脂部の一体成形体を得た。そして、この一体成形体をアルゴンガス中で200℃にて1時間加熱処理を行い、室温まで冷却してウォームホイールブランク材を得た。次いで、樹脂部の外周を切削加工してギア歯を形成し、ウォームホイール試験体を作製した。
【0033】
(実施例2)
ローレット加工を施した芯管を、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製「A−187」)の10重量%メタノール溶液に浸漬して接着層を形成した以外は、実施例1と同様にしてウォームホイール試験体を作製した。尚、接着を行うために、ウォームホイールブランク材の状態で350℃(芯金温度)で10秒間、誘導加熱を行った。
【0034】
(比較例1)
S45C製の芯管にローレット加工を施すことなく金型に装着し、射出成形機を用いてガラス繊維を30重量%含有するポリアミド6(宇部興産(株)製「UBEナイロン1015GU6」;銅系添加剤含有)をインサート成形し、加熱処理することなく、ウォームホイールブランク材を得た。次いで、樹脂部の外周を切削加工してギア歯を形成し、ウォームホイール試験体を作製した。
【0035】
[寸法安定性の評価]
各試験体を、下記条件Iまたは条件IIの下に放置し、所定時間経過後にギア外径寸法の変化量を測定した。何れの条件においても、変化量が40μm以下を合格「○」、40μmを超えるものを不合格「×」として表1に記載した。
・条件I:60℃、90%RH、70時間
・条件II:80℃、90%RH、300時間
【0036】
[耐久性の評価]
各試験体を実際の自動車減速ギアに組み込み、下記条件Iまたは条件IIにて操舵操作を繰り返し行った。何れの条件においても、表記の操舵回数に耐えることができた減速ギアを合格「○」、耐えることができなかった減速ギアを不合格「×」として表1に記載した。
・条件I :30℃、50%RH、10万回操舵
・条件II :30℃、50%RH、30万回操舵
・条件III :50℃、90%RH、10万回操舵
・条件IV :50℃、90%RH、20万回操舵
・条件V :50℃、90%RH、30万回操舵
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示すように、本発明に従う実施例1、2の各試験体は、過酷な条件下でも寸法安定性が高く、耐久性も優れている。特に、接着層を備える実施例2の試験体は、実施例1の試験体に比べて更に寸法安定性が高く、耐久性も一層向上している。これに対し、比較例1の試験体は、温度、湿度が過酷になると寸法安定性が悪くなり、それに伴って耐久性も低下している。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、樹脂部を、ポリアミド樹脂組成物をラジカル発生剤と2個以上の炭素間二重結合を有する多官能モノマーとを用いて架橋してなる成形体としたことにより、寸法安定性及び耐久性に優れる電動パワーステアリング用減速ギアが得られる。また、架橋手段として加熱架橋を用いていることから、電子線照射架橋のように樹脂部の表面と内部とで架橋状態に差が無く、高信頼性の架橋状態が得られ、品質も安定したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の減速ギアの一例を示す斜視図である。
【図2】ウォームホイールの製造方法を説明するための図であり、芯管の断面図である。
【図3】ウォームホイールの製造方法を説明するための図であり、成形金型の断面図である。
【図4】ウォームホイールの製造方法を説明するための図であり、得られたウォームホイールブランク材の斜視図である。
【図5】ウォームホイールの製造方法を説明するための図であり、得られたウォームホイールの斜視図である。
【図6】従来の減速ギアの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 芯管
3 樹脂部
4 スプルー
5 ディスクゲート
8 接着層
10 ギア歯
11 ウォームホイール
12 ウォーム
20 減速ギア
30 側面部
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギアに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車に組み込まれる電動パワーステアリング装置には、電動モータに比較的高回転、低トルクのものが使用されるため、電動モータとステアリングシャフトとの間に減速機構が組み込まれている。減速機構としては、一組で大きな減速比が得られる等の理由から、図6に示されるような、電動モータ(図示せず)の回転軸に連結するウォーム12と、ウォーム12に噛み合うウォームホイール11とから構成される電動パワーステアリング装置用減速ギア20(以下、単に「減速ギア」ともいう)が使用されるのが一般的である。
【0003】
このような減速ギア20では、ウォームホイール11とウォーム12の両方を金属製にすると、ハンドル操作時に歯打ち音や振動音等の不快音が発生するという不具合を生じていた。そこで、ウォームホイール11に、金属製の芯管1の外周に、樹脂製で外周面にギア歯10を形成してなる樹脂部3を一体化させたものを使用して騒音対策を行っている。
【0004】
上記樹脂部3には、例えば、特公平6−60674号公報に記載されているような、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のベース樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化材を配合した材料の他、強化材を含有しないMC(モノマーキャスト)ナイロン、ポリアミド6、ポリアミド66等が使用されている。中でも、寸法安定性やコストを考慮して、強化材を含有しないMCナイロン、ガラス繊維を含有したポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等が主流となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記樹脂部3を形成するポリアミド系樹脂は、耐疲労性に優れるものの、吸水性が高く、水分を吸収してギア歯10が膨潤し、当初ウォーム12との間に存在していた隙間が無くなったり、更に膨潤するとウォーム12を圧迫するようになる。その結果、ギアの抵抗が大きくなり、ハンドルが重くなるという不具合を招いていた。また、長時間の使用により、ギア歯10が摩耗してウォーム12とウォームホイール11との噛合い部におけるバックラッシュ(ガタ)が増大し、ウォーム12の円滑な作動が妨げられ、操舵感が悪化したり、異音(歯打ち音)を発生することもあった。更には、ギア歯10が変形したり、場合によっては破損して装置全体として機能しなくなることもあった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ウォームホイールに求められる、特に寸法安定性及び耐摩耗性に優れ、高信頼性の電動パワーステアリング用減速ギアを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明の、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギアにおいて、金属製芯管の外周に、ポリアミド樹脂組成物をラジカル発生剤と2個以上の炭素間二重結合を有する多官能モノマーとを用いて架橋してなる成形体からなり、その外周面にギヤ歯が形成された樹脂部を一体に設けてなるウォームホイールを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギアにより達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の減速ギアの一例を示す斜視図であるが、金属製の芯管1の外周に、樹脂製でその外周端面にギア歯を形成した樹脂部3を一体化したウォームホイールを備える。このような構成自体は、図6に示したような、芯管1と樹脂部3とを一体化した従来のウォームホイール11と同様である。また、ウォーム12には制限はなく、従来と同様に金属製とすることができる。
【0010】
樹脂部3を形成するベース樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66及びポリアミド46が好ましい。これらベース樹脂は、樹脂単独でも一定以上の耐久性を示し、ウォームホイール11の相手材である金属製のウォーム12の摩耗に対して有利に働き、減速ギアとして十分に機能する。しかしながら、より過酷な使用条件で使用されると、ギア歯10が破損や摩耗することも想定されるため、信頼性をより高めるために、強化材を配合することが好ましい。
【0011】
補強材としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が好ましく、上記に挙げたポリアミド樹脂との接着性を考慮してシランカップリング剤で表面処理したものが更に好ましい。また、これらの補強材は複数種を組み合わせて使用することができる。衝撃強度を考慮すると、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状物を配合することが好ましく、更にウォ−ム12の損傷を考慮するとウィスカー状物を繊維状物と組み合わせて配合することが好ましい。混合使用する場合の混合比は、繊維状物及びウィスカー状物の種類により異なり、衝撃強度やウォーム12の損傷等を考慮して適宜選択される。
【0012】
これらの補強材は、全体の5〜40重量%、特に10〜30重量%の割合で配合することが好ましい。補強材の配合量が5重量%未満の場合には、機械的強度の改善が少なく好ましくない。補強材の配合量が40重量%を超える場合には、ウォーム12を損傷し易くなり、ウォーム12の摩耗が促進されて減速ギアとしての耐久性が不足する可能性があり好ましくない。
【0013】
また、樹脂部3は、このようなポリアミド樹脂組成物を、ラジカル発生剤と2個以上の炭素間二重結合を有する多官能モノマーとを用いて架橋して得られる。ラジカル発生剤としては、下記一般式式で表される1,2−ジフェニルエタン誘導体が好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】
式中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基または炭素数1〜5のアルキル置換フェニル基であり、同一でも異なっていてもよい。また、X、Yは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシを表す。中でも、下記に示す2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンがラジカル発生剤として特に好ましい。
【0016】
【化2】
【0017】
これらラジカル発生剤は架橋剤として機能し、200℃以上の温度で炭素間結合が開裂してラジカルを発生する。ラジカル発生剤の添加量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。ラジカル発生剤が0.01重量部未満では、ラジカルの発生量が少なすぎて架橋が殆ど進行しない。また、ラジカル発生剤が5重量部を超える場合には、架橋度の更なる増大がみられないとともに、未反応物や過剰のラジカルが残存して樹脂部3の物性低下を引き起こすおそれがある。
【0018】
一方、分子中に2個以上の炭素間二重結合をする多官能モノマー(以下、「特定の多官能モノマー」という)は、架橋助剤として機能する。このような特定の多官能モノマーとしては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、N,N´−m−フェニレンビスマレイミド、ポリブタジエン等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせ使用される。中でも、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルシアヌレートが、上記のラジカル発生剤との間でより円滑に架橋反応を進めることから好ましい。
【0019】
また、特定の多官能モノマーの添加量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。特定の多官能モノマーが0.01重量部未満では、絶対量が少なすぎて架橋が殆ど進行しない。また、特定の多官能モノマーが10重量部を超える場合には、架橋度の更なる増大がみられないとともに、未反応物等が残存して樹脂部3の物性低下を引き起こす可能性が高くなる。
【0020】
更に、特定の多官能モノマーとラジカル発生剤とは、特定の多官能モノマー:ラジカル発生剤=6:10〜50:1の範囲で併用することが好ましい。特定の多官能モノマーが6:10よりも少なくなると、架橋助剤としての作用が弱すぎて架橋反応の進行が遅くなる。一方、特定の多官能モノマーが50:1よりも多くなると、特定の多官能モノマーに由来する未反応物が残存して樹脂部3の物性を低下させる可能性が高くなる。また、特定の多官能モノマーとラジカル発生剤とを等量で併用することが架橋を進行させる上で最も好ましい。
【0021】
ポリアミド樹脂中における上記のラジカル発生剤と特定の多官能モノマーとによる架橋反応は、以下の機構によるものと考えられる。即ち、先ずラジカル発生剤の開裂により発生したラジカルが特定の多官能モノマーの炭素間二重結合に付加し、2次ラジカルを生じる。そして、この2次ラジカルが、ポリアミド樹脂のアミド結合の間に存在するメチレン水素を引き抜き、それにより発生したポリアミド樹脂の分子ラジカル同士が特定の多官能モノマーにより数箇所で結合され、架橋構造が構築される。
【0022】
また、このようにラジカル発生剤及び特定の多官能モノマーがそれぞれ単独で架橋反応をあまり起こさないことは、製造上大きな利点になる。即ち、ラジカル発生剤を配合したポリアミド樹脂のペレットと、特定の多官能モノマーを配合したポリアミド樹脂のペレットとを別々に調製することにより、これらの保管が可能となり、実際の製造において、両ペレットを成形機に投入すれば樹脂部3の成形を即時開始することができる。これに対し、架橋剤として一般的な有機過酸化物は、単独でもポリアミド樹脂のアミド結合の間に存在するメチレン水素を引き抜いて架橋が進行するため、成形直前にポリアミド樹脂に有機過酸化物を添加して混練する必要があり、製造開始毎に成形原料の調製が必要になる。
【0023】
本発明においてウォームホイール11を製造する方法は制限されるものではないが、例えば図2〜図5に示す工程に従うことができる。尚、成形に先立ち、芯管1の外周面1aには、ショットブラストやローレット加工、好ましくはローレット加工により粗面化処理を施しておくことが好ましい。ローレット加工のV字状溝の深さは0.2〜0.8mm、特に0.3〜0.7mmが適当である。このV字状溝の深さが0.2mm未満では芯管1と樹脂部3との物理的接合性を向上させる効果が小さく、0.8mmを超える場合は加工コストの上昇を招くだけでなく、溝が深すぎて溝内に完全にポリアミド樹脂が入り込めず、空気が溝内に残存して物理的接合性を低下させるおそれもある。
【0024】
更に、吸水による寸法変化の防止と、樹脂部3との接合性を一層向上させるために、図2に示すように、芯金1の外周面1aに接着層8を設けることも好ましい。接着層8を形成する材料は、芯管1である金属と、樹脂部3となるポリアミド樹脂との双方に対して結合を生じることが必要であり、ここでは、アミノ基あるいはエポキシ基を分子中に有し、かつ加水分解で水酸基に変化するアルコキシ基を有するシランカップリング剤が好適である。このようなシランカップリング剤は、アルコキシ基が加水分解して生成する水酸基が金属表面と脱水縮合を起こして、金属との間で高い結合力を持つ共有結合を形成するとともに、アミノ基やエポキシ基がポリアミド樹脂のアミド結合と結合し、これらの結合により芯管1と樹脂部3とが強固に接合される。
【0025】
上記のシランカップリング剤として、具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。中でもエポキシ基を有するγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、ポリアミド樹脂中のアミド結合への反応性が高いことから好ましい。尚、シランカップリング剤の塗布方法としては、これらを溶解した溶液(溶媒:アルコール等)に芯管1を浸漬し、溶媒を乾燥除去する方法が簡便である。また、この接着層形成用溶液の濃度は3〜10重量%が適当である。
【0026】
そして、図3に示すように、上記の芯管1をスプルー4及びディスクゲート5とともに金型に装着し、射出成形機等を用いてインサート成形を行い、芯管1と樹脂部3とを一体に成形する。このとき、射出成形機には、それぞれ予め調製しておいたラジカル発生剤を配合したポリアミド樹脂のペレットと、特定の多官能モノマーを配合したポリアミド樹脂のペレットと成形機に投入する。
【0027】
成形後、芯管1と樹脂部3との接着性を高めるために熱処理を行うことが好ましい。加熱温度としては、200〜350℃が適当である。熱処理の手段としては、短時間で効率良く温度が上昇する誘導加熱(高周波あるいは低周波)が最も好ましい。この誘導加熱によると、芯管1及び、芯管1の外周面−接着層8−樹脂部3の内周面が一様に効果的に加熱され、より強固な結合が可能になる。また、短時間で済むため、樹脂部3や接着層8を形成する材料の劣化が最小限に抑えられる。誘導加熱に際し、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことにより、材料の劣化をより抑えることができるようになる。
【0028】
上記により、図4に示すように、芯管1の外周に接着層を介して樹脂部3が接合されたウォームホイールブランク材7が得られる。
【0029】
そして、図5に示すように、ウォームホイールブランク材7の樹脂部3の外周面3aに切削加工により所定形状のギア歯10を形成することにより、ウォームホイール11が得られる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0031】
(実施例1)
深さ0.5mmのローレット加工を施し、脱脂した外径45mm、幅13mmのS45C製の芯管を用意した。また、ガラス繊維を30重量%含有するポリアミド6(宇部興産(株)製「UBEナイロン1015GU6」;銅系添加剤含有)100重量部に対しラジカル発生剤(日本油脂(株)製「ノフマーBC90」;2,3−ジメチル−2.3−ジフェニルブタン)を1重量部配合した第1のペレットと、同ポリアミド100重量部に対し多官能モノマー(日本化成(株)製「タイク」;トリアリルイソシアヌレート)を1重量部配合した第2のペレットとを用意した。
【0032】
そして、芯管をコアとし、射出成形機に第1のペレットと第2のペレットとを等量比で投入し、樹脂温度240℃にてインサート成形を行って外径60mm、幅13mmの芯管−樹脂部の一体成形体を得た。そして、この一体成形体をアルゴンガス中で200℃にて1時間加熱処理を行い、室温まで冷却してウォームホイールブランク材を得た。次いで、樹脂部の外周を切削加工してギア歯を形成し、ウォームホイール試験体を作製した。
【0033】
(実施例2)
ローレット加工を施した芯管を、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製「A−187」)の10重量%メタノール溶液に浸漬して接着層を形成した以外は、実施例1と同様にしてウォームホイール試験体を作製した。尚、接着を行うために、ウォームホイールブランク材の状態で350℃(芯金温度)で10秒間、誘導加熱を行った。
【0034】
(比較例1)
S45C製の芯管にローレット加工を施すことなく金型に装着し、射出成形機を用いてガラス繊維を30重量%含有するポリアミド6(宇部興産(株)製「UBEナイロン1015GU6」;銅系添加剤含有)をインサート成形し、加熱処理することなく、ウォームホイールブランク材を得た。次いで、樹脂部の外周を切削加工してギア歯を形成し、ウォームホイール試験体を作製した。
【0035】
[寸法安定性の評価]
各試験体を、下記条件Iまたは条件IIの下に放置し、所定時間経過後にギア外径寸法の変化量を測定した。何れの条件においても、変化量が40μm以下を合格「○」、40μmを超えるものを不合格「×」として表1に記載した。
・条件I:60℃、90%RH、70時間
・条件II:80℃、90%RH、300時間
【0036】
[耐久性の評価]
各試験体を実際の自動車減速ギアに組み込み、下記条件Iまたは条件IIにて操舵操作を繰り返し行った。何れの条件においても、表記の操舵回数に耐えることができた減速ギアを合格「○」、耐えることができなかった減速ギアを不合格「×」として表1に記載した。
・条件I :30℃、50%RH、10万回操舵
・条件II :30℃、50%RH、30万回操舵
・条件III :50℃、90%RH、10万回操舵
・条件IV :50℃、90%RH、20万回操舵
・条件V :50℃、90%RH、30万回操舵
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示すように、本発明に従う実施例1、2の各試験体は、過酷な条件下でも寸法安定性が高く、耐久性も優れている。特に、接着層を備える実施例2の試験体は、実施例1の試験体に比べて更に寸法安定性が高く、耐久性も一層向上している。これに対し、比較例1の試験体は、温度、湿度が過酷になると寸法安定性が悪くなり、それに伴って耐久性も低下している。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、樹脂部を、ポリアミド樹脂組成物をラジカル発生剤と2個以上の炭素間二重結合を有する多官能モノマーとを用いて架橋してなる成形体としたことにより、寸法安定性及び耐久性に優れる電動パワーステアリング用減速ギアが得られる。また、架橋手段として加熱架橋を用いていることから、電子線照射架橋のように樹脂部の表面と内部とで架橋状態に差が無く、高信頼性の架橋状態が得られ、品質も安定したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の減速ギアの一例を示す斜視図である。
【図2】ウォームホイールの製造方法を説明するための図であり、芯管の断面図である。
【図3】ウォームホイールの製造方法を説明するための図であり、成形金型の断面図である。
【図4】ウォームホイールの製造方法を説明するための図であり、得られたウォームホイールブランク材の斜視図である。
【図5】ウォームホイールの製造方法を説明するための図であり、得られたウォームホイールの斜視図である。
【図6】従来の減速ギアの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 芯管
3 樹脂部
4 スプルー
5 ディスクゲート
8 接着層
10 ギア歯
11 ウォームホイール
12 ウォーム
20 減速ギア
30 側面部
Claims (2)
- 操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギアにおいて、金属製芯管の外周に、ポリアミド樹脂組成物をラジカル発生剤と2個以上の炭素間二重結合を有する多官能モノマーとを用いて架橋してなる成形体からなり、その外周面にギヤ歯が形成された樹脂部を一体に設けてなるウォームホイールを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギア。
- ラジカル発生剤が2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンであり、多官能モノマーがトリアリルイソシアヌレートまたはトリアリルシアヌレートの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置用減速ギア。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002177223A JP2004019820A (ja) | 2002-06-18 | 2002-06-18 | 電動パワーステアリング装置用減速ギア |
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Cited By (4)
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KR100857623B1 (ko) * | 2007-04-30 | 2008-09-09 | 남양공업주식회사 | 전동식 파워 스티어링 장치의 웜휠 구조 |
JP2013067362A (ja) * | 2011-09-08 | 2013-04-18 | Nsk Ltd | 電動パワーステアリング装置 |
US9849679B2 (en) | 2015-11-24 | 2017-12-26 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Liquid jetting apparatus, power transmission apparatus, and recording apparatus |
WO2018011958A1 (ja) * | 2016-07-14 | 2018-01-18 | 住友電工ファインポリマー株式会社 | ギア、及びギアの製造方法 |
-
2002
- 2002-06-18 JP JP2002177223A patent/JP2004019820A/ja active Pending
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