JP2004019487A - エンジンの冷却構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】インタークーラが並設されたラジエータの後方側のみ冷却ファン付きのシュラウドで覆う場合、アイドリング時に、エンジンルーム内にこもった熱気がエンジン冷却系に向かって逆流しにくくすることによって、走行状態を問わず常に安定してエンジン冷却系の冷却性能を維持することのできるエンジンの冷却構造を提供する。
【解決手段】車体ボディ前部に配設されたラジエータパネルに、エンジン冷却水を冷却するラジエータと、過給機付エンジンの吸気温度を下げるインタークーラとが並列して取り付けられるエンジンの冷却構造において、このラジエータパネルに、ラジエータとインタークーラとを隔てる第1の導風板と、ラジエータの上下左右側部の少なくとも何れか1つに沿った第2の導風板と、インタークーラの上下左右側部の少なくとも何れか1つに沿った第3の導風板と、を備えるようにし、これらの導風板は、ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパにほぼ隙間無く接合するように延設する。
【選択図】 図1
【解決手段】車体ボディ前部に配設されたラジエータパネルに、エンジン冷却水を冷却するラジエータと、過給機付エンジンの吸気温度を下げるインタークーラとが並列して取り付けられるエンジンの冷却構造において、このラジエータパネルに、ラジエータとインタークーラとを隔てる第1の導風板と、ラジエータの上下左右側部の少なくとも何れか1つに沿った第2の導風板と、インタークーラの上下左右側部の少なくとも何れか1つに沿った第3の導風板と、を備えるようにし、これらの導風板は、ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパにほぼ隙間無く接合するように延設する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの冷却構造に関するものであり、更に詳しくは、ラジエータとインタクーラとが並設されたエンジンの冷却構造に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示されるように、自動車のラジエータパネル1には、エンジン冷却水を冷却するラジエータ2の横に並列して、過給機付エンジンの吸気温度を下げるインタークーラ3が取り付けられることがある。通常、これらのラジエータ2およびインタークーラ3の前方側には、ガス状冷媒を冷却するエアコン用のコンデンサ4が配置され、また、後方側は、電動式の冷却ファン5が取り付けられたシュラウド6によって覆われている。そのため、冷却ファン5により導入され、ラジエータ2やインタークーラ3等を通過する際に熱吸収した外気は、シュラウド6によって整流されることにより、ラジエータパネル1の前方側、すなわちエンジン冷却系の前方側に回り込まないようになっている。
【0003】
しかしながら、このエンジンの冷却構造にあっては、主に、ラジエータ2の後方側となる位置に冷却ファン5が配置されることが多く、そのため、インタークーラ3の後方側までシュラウド6で一体的に覆うとすると、シュラウド6が非常に異型となってしまうという問題があった。
そして、シュラウド6が異型となってしまうと、インタークーラ3後方側の通気抵抗が増加されるだけでなく、冷却ファン5の外気導入量が低下して、エンジン冷却系の冷却能力が低下してしまうという問題が発生してしまう。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、図5(a),(b)に示されるように、インタークーラ3の後方側にも専用ファン7付きのシュラウド6’を配置したり、或いは、ラジエータ2の後方側のみ冷却ファン5付きのシュラウド6”で覆うことによって、エンジン冷却系の冷却性能を向上させるようにしたエンジンの冷却構造が従来提案されている。
【0005】
しかしながら、前者の方法によると、低速走行時であっても、専用ファン7による強制空冷によってエンジンの吸気温度を下げることができるものの、インタークーラ3がラジエータ2から完全に離れた位置に取り付けられているわけではなく、走行風によって十分に自然冷却される。そのため、専用ファン7の作動回数は少ないうえ、非作動時にはインタークーラ3後方側の通気抵抗が増大されたり、また、部品点数の増加によるコスト上昇の問題がある。一方、後者の方法によると、シュラウド6”の小型化によりコストが低減されるうえ、車両走行時には、エンジン冷却系の冷却性能が向上されるものの、アイドリング時、たとえば走行風を受けない渋滞時に、エンジンルーム内にこもった熱気が、インタークーラ3の後方側からラジエータパネル1の前面側に向かって逆流してしまう。そのため、ラジエータ2やコンデンサ4廻りの温度が上昇してしまうと、エンジン冷却水が冷却されにくかったり、エアコンの効きが悪くなるなど、エンジン冷却系の冷却性能に影響を及ぼしてしまうという問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、上述したような従来のエンジンの冷却構造が有している問題点を解決するためになされたものであって、インタークーラが並設されたラジエータの後方側のみ冷却ファン付きのシュラウドで覆う場合、アイドリング時に、エンジンルーム内にこもった熱気がエンジン冷却系に向かって逆流しにくくすることによって、走行状態を問わず常に安定してエンジン冷却系の冷却性能を維持することのできるエンジンの冷却構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にあっては、車体ボディ前部に配設されたラジエータパネルに、エンジン冷却水を冷却するラジエータと、過給機付エンジンの吸気温度を下げるインタークーラとが並列して取り付けられるエンジンの冷却構造において、
前記ラジエータパネルには、前記ラジエータと前記インタークーラとを隔てる第1の導風板が備えられ、この第1の導風板が、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパまで延設されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2にあっては、請求項1に記載の前記ラジエータパネルには、前記ラジエータの上下左右側部の少なくとも何れか1つに沿った第2の導風板が備えられ、この第2の導風板が、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパまで延設されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3にあっては、請求項1又は2に記載の前記ラジエータパネルには、前記インタークーラの上下左右側部の少なくとも何れか1つに沿った第3の導風板が備えられ、この第3の導風板が、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパまで延設されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4にあっては、請求項1乃至3に記載の前記ラジエータパネルに備えられた導風板の前端部は、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパにほぼ隙間無く接合されるように形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5にあっては、請求項1乃至4に記載の前記ラジエータパネルに備えられた導風板は、前記ラジエータパネルに一体成形されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6にあっては、請求項1乃至5に記載の前記ラジエータパネルは、樹脂製のキャリア構造とされていて、このラジエータパネルが前記車体ボディ前部に取り付けられる前に、前記ラジエータおよびインタークーラが予め装着可能とされることを特徴としている。
【0013】
請求項7にあっては、請求項1乃至6に記載の前記インタークーラの前側または後側には、低通気抵抗体が配設されていることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の最も好適と思われる実施形態について図1,2を参照して詳細に説明する。図1は、本発明のエンジンの冷却構造の実施形態の一例を示した説明図、図2は、図1中のA−A断面矢視図である。
【0015】
図1に示されるように、車体ボディ構造の前端部に配置されたラジエータパネル10の前面側には、図示しないフロントグリル、フロントバンパ等が配置されるとともに、後面側には、エンジン冷却水を冷却するラジエータ11の横(図中にあっては右側方)に並列して、過給機付エンジンの吸気温度を下げるインタークーラ12が取り付けられている。そして、ラジエータ11の前方には、ガス状冷媒を冷却するコンデンサ13が配置され、また、後方には、ラジエータ11の後方を覆うシェラウド14(図中破線で示す)が取り付けられている。このシェラウドは、非異型とされ、その中央部に備え付けられた電動式の冷却ファン(図示せず)によって導入された外気や走行風を整流することによって、ラジエータ11後方側の通気抵抗を低下させるように形成されている。
【0016】
そして、このラジエータパネル10は、従来の鋼板製ラジエータパネルとは異なり、フレームアッパ10a、フレームロア10b、ラジエータパネルサイド10c,10dおよびラジエータパネルセンタ10eが、樹脂キャリアによって一体的に形成されている。そのため、ラジエータパネル10は、このラジエータパネル10が車体ボディ前端部に取り付けられる前に、ラジエータ11、インタークーラ12、コンデンサ13およびシュラウド14等が予め装着可能なモジュール構造とされている。さらに、このラジエータパネル10は、ラジエータ11、コンデンサ13およびインタークーラ12が組み付けられた際の冷却効率を向上させる目的で、細部の形状に加工が施されている。
【0017】
すなわち、ラジエータパネルセンタ10eは、ラジエータ11に重なり合わないような位置、すなわち、ラジエータ11の右側部(インタークーラ側)前にずらして形成されている。さらに、このラジエータパネルセンタ10eの前面側には、前方に向かって適宜突出された板状の導風板10fが車体上下方向に向かって一体的に形成されているとともに、この導風板10fの前端縁部は、ラジエータ11の前方側に配置されるフロントグリル、フロントバンパの背面側に隙間無く接合されるように凹凸形成されている。
【0018】
また、このラジエータパネル10の左右枠部、すなわち、ラジエータパネルサイド10c,10dの車体中心側に相当する側部の前面側には、ラジエータパネルセンタ10eと同様に、前方に向かって適宜突出された板状の導風板10g,10hが車体上下方向に向かって一体的に形成されているとともに、これらの導風板10g,10hの前端縁部も、フロントグリル、フロントバンパの背面側に隙間無く接合されるように凹凸形成されている。
【0019】
さらに、これらの導風板10f,10g,10hの下端部は、ラジエータパネル10の下枠部、すなわちフレームロア10bに沿って形成された導風板10iに接合された状態で一体化されている。この導風板10iの前端縁部も、フロントグリル、フロントバンパの背面側に隙間無く接合されるように突出形成されている。
【0020】
なお、図中にあっては、ラジエータパネル10の上枠部、すなわちフレームアッパ10aには、上述したような形態の導風板が形成されていないが、これはフロントグリルやフードとの干渉を避けるための一実施形態である。すなわち、フロントグリルやフードとの干渉が回避されるなら、フレームロア10bと同様、フレームアッパ10aにも導風板を突出形成しても構わない。
【0021】
さらにまた、このラジエータパネル10の上下左右枠部およびラジエータパネルセンタ10eの後面側には、ラジエータ11、インタークーラ12等との隙間を極小化するため、ラジエータ11、インタークーラ12等の形状に合わせて後方に向けて適宜突出された図示しない板状の突出シール部が形成されている。
【0022】
さらに、図2に示されるように、インタークーラ12の前方とされるラジエータパネル10には、モジュール構造の一部となるように、薄手、好ましくは数ミリ厚の低通気抵抗ウレタン(図中斜線で示す)15が一体的に貼付されている。
【0023】
なお、このラジエータパネル10は、図示しない結合手段によって、車体前後方向に延びるエプロンアッパメンバ16、フェンダエプロン17やフロントサイドメンバ等の鋼板製の車体ボディ前端部に強固に結合固定されている。
【0024】
これらのことにより、ラジエータパネル10には、導風板10f〜10iおよび突出シール部が一体的に形成されることによって、ラジエータ11、コンデンサ13に外気を導入する専用のダクト18と、インタークーラ12に外気を導入する専用のダクト19とが個別に形成される。そのため、走行時における走行風は、フロントグリル通過後に、導風板10fによって乱れることなく左右二手に分流されたのち、導風板10g,10h,10iによって整流される。そして、一方の走行風は、冷却ファン14によって強制的に導入される外気と共に、ダクト18を通過して、ラジエータ11、コンデンサ13に向かってスムースに導風されて効率良く熱交換がなされるとともに、他方の走行風は、ダクト19を通過して、インタークーラ12に向かってスムースに導風されて熱交換がなされることになるので、走行時におけるエンジン冷却系の冷却効率の向上を図ることができる。
【0025】
なお、この実施形態にあっては、インタークーラ12の後方側には、シュラウドが取り付けられておらず、そのため、走行時における通気抵抗は減少されており、インタークーラ12の冷却性能が更に向上されている。さらに、このインタークーラ12の前方側には、低通気抵抗ウレタン15が付設されているものの、圧力の高い走行時の導風性能を損なうことはない。
【0026】
ところで、アイドリング時であっても、自動車はかなりの冷却能力が必要とされるため、ラジエータ11に冷却ファン14によって外気が強制送風されると、エンジンルーム内の圧力は徐々に上昇される。すると、エンジンルーム内にこもった熱気は、通気抵抗の少ないインタークーラ12側から車外に流出しようとするが、低通気抵抗ウレタン15にその流出が阻まれることによって大気放出が大幅に抑制される。そして、流出が阻まれて圧力が上昇し、大気圧よりも高圧となったエンジンルーム内の熱気は、図3に示されるように、インタークーラ12側、すなわちインタークーラ12および低通気抵抗ウレタン15を通過して車外に流出し始めるものの、インタークーラ12の前方側は、導風板10f,10h,10iによって覆われたダクト19が形成されている。そのため、インタークーラ12および低通気抵抗ウレタン15を通過した高圧の熱気は、直ちにラジエータ11側に還流されるのではなく、一旦は車外に放出されて外気と混ざり合い、熱気が緩和されたのちダクト18からラジエータ11、コンデンサ13に導入される。このように、インタークーラ12からラジエータ11、コンデンサ13までの流通経路を大幅に延長、複雑化することによって、ラジエータ11やコンデンサ13の放熱部の周囲の外気と、インタークーラ12を通過した高圧の熱気との温度差をできるだけ大きくすることができ、ラジエータ11やコンデンサ13の熱交換を安定させて、アイドリング状態におけるエンジン冷却系の冷却効率の向上を図ることができる。
【0027】
その結果、本実施形態によれば、車両走行状態に関わらずラジエータ11、コンデンサ13の放熱効率がさらに向上して、エンジン冷却系の冷却効率を大幅に向上させることができる。さらに、このラジエータパネル10は、樹脂キャリヤとしてモジュール構造を備えており、そのため、車体ボディ取付前にエンジン冷却系を組み付けることができ、作業工程の短縮化を図ることもできる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエンジンの冷却構造によれば、インタークーラが並設されたラジエータの後方側のみ冷却ファン付きのシュラウドで覆う場合、アイドリング時に、エンジンルーム内にこもった熱気がエンジン冷却系に向かって逆流しにくくすることによって、走行状態を問わず常に安定してエンジン冷却系の冷却性能を維持することのできるエンジンの冷却構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンジンの冷却構造の実施形態の一例を示した説明図である。
【図2】図1中のA−A断面矢視図である。
【図3】同例における外気の流れを説明するための平面図である。
【図4】従来のエンジンの冷却構造の実施形態の一例を示した平面図である。
【図5】(a),(b)は、図4に図示したものとは異なる従来のエンジンの冷却構造の実施形態例を示した平面図である。
【符号の説明】
10 ラジエータパネル
10f〜10g 導風板
11 ラジエータ
12 インタークーラ
15 低通気抵抗ウレタン
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの冷却構造に関するものであり、更に詳しくは、ラジエータとインタクーラとが並設されたエンジンの冷却構造に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示されるように、自動車のラジエータパネル1には、エンジン冷却水を冷却するラジエータ2の横に並列して、過給機付エンジンの吸気温度を下げるインタークーラ3が取り付けられることがある。通常、これらのラジエータ2およびインタークーラ3の前方側には、ガス状冷媒を冷却するエアコン用のコンデンサ4が配置され、また、後方側は、電動式の冷却ファン5が取り付けられたシュラウド6によって覆われている。そのため、冷却ファン5により導入され、ラジエータ2やインタークーラ3等を通過する際に熱吸収した外気は、シュラウド6によって整流されることにより、ラジエータパネル1の前方側、すなわちエンジン冷却系の前方側に回り込まないようになっている。
【0003】
しかしながら、このエンジンの冷却構造にあっては、主に、ラジエータ2の後方側となる位置に冷却ファン5が配置されることが多く、そのため、インタークーラ3の後方側までシュラウド6で一体的に覆うとすると、シュラウド6が非常に異型となってしまうという問題があった。
そして、シュラウド6が異型となってしまうと、インタークーラ3後方側の通気抵抗が増加されるだけでなく、冷却ファン5の外気導入量が低下して、エンジン冷却系の冷却能力が低下してしまうという問題が発生してしまう。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、図5(a),(b)に示されるように、インタークーラ3の後方側にも専用ファン7付きのシュラウド6’を配置したり、或いは、ラジエータ2の後方側のみ冷却ファン5付きのシュラウド6”で覆うことによって、エンジン冷却系の冷却性能を向上させるようにしたエンジンの冷却構造が従来提案されている。
【0005】
しかしながら、前者の方法によると、低速走行時であっても、専用ファン7による強制空冷によってエンジンの吸気温度を下げることができるものの、インタークーラ3がラジエータ2から完全に離れた位置に取り付けられているわけではなく、走行風によって十分に自然冷却される。そのため、専用ファン7の作動回数は少ないうえ、非作動時にはインタークーラ3後方側の通気抵抗が増大されたり、また、部品点数の増加によるコスト上昇の問題がある。一方、後者の方法によると、シュラウド6”の小型化によりコストが低減されるうえ、車両走行時には、エンジン冷却系の冷却性能が向上されるものの、アイドリング時、たとえば走行風を受けない渋滞時に、エンジンルーム内にこもった熱気が、インタークーラ3の後方側からラジエータパネル1の前面側に向かって逆流してしまう。そのため、ラジエータ2やコンデンサ4廻りの温度が上昇してしまうと、エンジン冷却水が冷却されにくかったり、エアコンの効きが悪くなるなど、エンジン冷却系の冷却性能に影響を及ぼしてしまうという問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、上述したような従来のエンジンの冷却構造が有している問題点を解決するためになされたものであって、インタークーラが並設されたラジエータの後方側のみ冷却ファン付きのシュラウドで覆う場合、アイドリング時に、エンジンルーム内にこもった熱気がエンジン冷却系に向かって逆流しにくくすることによって、走行状態を問わず常に安定してエンジン冷却系の冷却性能を維持することのできるエンジンの冷却構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にあっては、車体ボディ前部に配設されたラジエータパネルに、エンジン冷却水を冷却するラジエータと、過給機付エンジンの吸気温度を下げるインタークーラとが並列して取り付けられるエンジンの冷却構造において、
前記ラジエータパネルには、前記ラジエータと前記インタークーラとを隔てる第1の導風板が備えられ、この第1の導風板が、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパまで延設されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2にあっては、請求項1に記載の前記ラジエータパネルには、前記ラジエータの上下左右側部の少なくとも何れか1つに沿った第2の導風板が備えられ、この第2の導風板が、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパまで延設されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3にあっては、請求項1又は2に記載の前記ラジエータパネルには、前記インタークーラの上下左右側部の少なくとも何れか1つに沿った第3の導風板が備えられ、この第3の導風板が、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパまで延設されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4にあっては、請求項1乃至3に記載の前記ラジエータパネルに備えられた導風板の前端部は、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパにほぼ隙間無く接合されるように形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5にあっては、請求項1乃至4に記載の前記ラジエータパネルに備えられた導風板は、前記ラジエータパネルに一体成形されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6にあっては、請求項1乃至5に記載の前記ラジエータパネルは、樹脂製のキャリア構造とされていて、このラジエータパネルが前記車体ボディ前部に取り付けられる前に、前記ラジエータおよびインタークーラが予め装着可能とされることを特徴としている。
【0013】
請求項7にあっては、請求項1乃至6に記載の前記インタークーラの前側または後側には、低通気抵抗体が配設されていることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の最も好適と思われる実施形態について図1,2を参照して詳細に説明する。図1は、本発明のエンジンの冷却構造の実施形態の一例を示した説明図、図2は、図1中のA−A断面矢視図である。
【0015】
図1に示されるように、車体ボディ構造の前端部に配置されたラジエータパネル10の前面側には、図示しないフロントグリル、フロントバンパ等が配置されるとともに、後面側には、エンジン冷却水を冷却するラジエータ11の横(図中にあっては右側方)に並列して、過給機付エンジンの吸気温度を下げるインタークーラ12が取り付けられている。そして、ラジエータ11の前方には、ガス状冷媒を冷却するコンデンサ13が配置され、また、後方には、ラジエータ11の後方を覆うシェラウド14(図中破線で示す)が取り付けられている。このシェラウドは、非異型とされ、その中央部に備え付けられた電動式の冷却ファン(図示せず)によって導入された外気や走行風を整流することによって、ラジエータ11後方側の通気抵抗を低下させるように形成されている。
【0016】
そして、このラジエータパネル10は、従来の鋼板製ラジエータパネルとは異なり、フレームアッパ10a、フレームロア10b、ラジエータパネルサイド10c,10dおよびラジエータパネルセンタ10eが、樹脂キャリアによって一体的に形成されている。そのため、ラジエータパネル10は、このラジエータパネル10が車体ボディ前端部に取り付けられる前に、ラジエータ11、インタークーラ12、コンデンサ13およびシュラウド14等が予め装着可能なモジュール構造とされている。さらに、このラジエータパネル10は、ラジエータ11、コンデンサ13およびインタークーラ12が組み付けられた際の冷却効率を向上させる目的で、細部の形状に加工が施されている。
【0017】
すなわち、ラジエータパネルセンタ10eは、ラジエータ11に重なり合わないような位置、すなわち、ラジエータ11の右側部(インタークーラ側)前にずらして形成されている。さらに、このラジエータパネルセンタ10eの前面側には、前方に向かって適宜突出された板状の導風板10fが車体上下方向に向かって一体的に形成されているとともに、この導風板10fの前端縁部は、ラジエータ11の前方側に配置されるフロントグリル、フロントバンパの背面側に隙間無く接合されるように凹凸形成されている。
【0018】
また、このラジエータパネル10の左右枠部、すなわち、ラジエータパネルサイド10c,10dの車体中心側に相当する側部の前面側には、ラジエータパネルセンタ10eと同様に、前方に向かって適宜突出された板状の導風板10g,10hが車体上下方向に向かって一体的に形成されているとともに、これらの導風板10g,10hの前端縁部も、フロントグリル、フロントバンパの背面側に隙間無く接合されるように凹凸形成されている。
【0019】
さらに、これらの導風板10f,10g,10hの下端部は、ラジエータパネル10の下枠部、すなわちフレームロア10bに沿って形成された導風板10iに接合された状態で一体化されている。この導風板10iの前端縁部も、フロントグリル、フロントバンパの背面側に隙間無く接合されるように突出形成されている。
【0020】
なお、図中にあっては、ラジエータパネル10の上枠部、すなわちフレームアッパ10aには、上述したような形態の導風板が形成されていないが、これはフロントグリルやフードとの干渉を避けるための一実施形態である。すなわち、フロントグリルやフードとの干渉が回避されるなら、フレームロア10bと同様、フレームアッパ10aにも導風板を突出形成しても構わない。
【0021】
さらにまた、このラジエータパネル10の上下左右枠部およびラジエータパネルセンタ10eの後面側には、ラジエータ11、インタークーラ12等との隙間を極小化するため、ラジエータ11、インタークーラ12等の形状に合わせて後方に向けて適宜突出された図示しない板状の突出シール部が形成されている。
【0022】
さらに、図2に示されるように、インタークーラ12の前方とされるラジエータパネル10には、モジュール構造の一部となるように、薄手、好ましくは数ミリ厚の低通気抵抗ウレタン(図中斜線で示す)15が一体的に貼付されている。
【0023】
なお、このラジエータパネル10は、図示しない結合手段によって、車体前後方向に延びるエプロンアッパメンバ16、フェンダエプロン17やフロントサイドメンバ等の鋼板製の車体ボディ前端部に強固に結合固定されている。
【0024】
これらのことにより、ラジエータパネル10には、導風板10f〜10iおよび突出シール部が一体的に形成されることによって、ラジエータ11、コンデンサ13に外気を導入する専用のダクト18と、インタークーラ12に外気を導入する専用のダクト19とが個別に形成される。そのため、走行時における走行風は、フロントグリル通過後に、導風板10fによって乱れることなく左右二手に分流されたのち、導風板10g,10h,10iによって整流される。そして、一方の走行風は、冷却ファン14によって強制的に導入される外気と共に、ダクト18を通過して、ラジエータ11、コンデンサ13に向かってスムースに導風されて効率良く熱交換がなされるとともに、他方の走行風は、ダクト19を通過して、インタークーラ12に向かってスムースに導風されて熱交換がなされることになるので、走行時におけるエンジン冷却系の冷却効率の向上を図ることができる。
【0025】
なお、この実施形態にあっては、インタークーラ12の後方側には、シュラウドが取り付けられておらず、そのため、走行時における通気抵抗は減少されており、インタークーラ12の冷却性能が更に向上されている。さらに、このインタークーラ12の前方側には、低通気抵抗ウレタン15が付設されているものの、圧力の高い走行時の導風性能を損なうことはない。
【0026】
ところで、アイドリング時であっても、自動車はかなりの冷却能力が必要とされるため、ラジエータ11に冷却ファン14によって外気が強制送風されると、エンジンルーム内の圧力は徐々に上昇される。すると、エンジンルーム内にこもった熱気は、通気抵抗の少ないインタークーラ12側から車外に流出しようとするが、低通気抵抗ウレタン15にその流出が阻まれることによって大気放出が大幅に抑制される。そして、流出が阻まれて圧力が上昇し、大気圧よりも高圧となったエンジンルーム内の熱気は、図3に示されるように、インタークーラ12側、すなわちインタークーラ12および低通気抵抗ウレタン15を通過して車外に流出し始めるものの、インタークーラ12の前方側は、導風板10f,10h,10iによって覆われたダクト19が形成されている。そのため、インタークーラ12および低通気抵抗ウレタン15を通過した高圧の熱気は、直ちにラジエータ11側に還流されるのではなく、一旦は車外に放出されて外気と混ざり合い、熱気が緩和されたのちダクト18からラジエータ11、コンデンサ13に導入される。このように、インタークーラ12からラジエータ11、コンデンサ13までの流通経路を大幅に延長、複雑化することによって、ラジエータ11やコンデンサ13の放熱部の周囲の外気と、インタークーラ12を通過した高圧の熱気との温度差をできるだけ大きくすることができ、ラジエータ11やコンデンサ13の熱交換を安定させて、アイドリング状態におけるエンジン冷却系の冷却効率の向上を図ることができる。
【0027】
その結果、本実施形態によれば、車両走行状態に関わらずラジエータ11、コンデンサ13の放熱効率がさらに向上して、エンジン冷却系の冷却効率を大幅に向上させることができる。さらに、このラジエータパネル10は、樹脂キャリヤとしてモジュール構造を備えており、そのため、車体ボディ取付前にエンジン冷却系を組み付けることができ、作業工程の短縮化を図ることもできる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエンジンの冷却構造によれば、インタークーラが並設されたラジエータの後方側のみ冷却ファン付きのシュラウドで覆う場合、アイドリング時に、エンジンルーム内にこもった熱気がエンジン冷却系に向かって逆流しにくくすることによって、走行状態を問わず常に安定してエンジン冷却系の冷却性能を維持することのできるエンジンの冷却構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンジンの冷却構造の実施形態の一例を示した説明図である。
【図2】図1中のA−A断面矢視図である。
【図3】同例における外気の流れを説明するための平面図である。
【図4】従来のエンジンの冷却構造の実施形態の一例を示した平面図である。
【図5】(a),(b)は、図4に図示したものとは異なる従来のエンジンの冷却構造の実施形態例を示した平面図である。
【符号の説明】
10 ラジエータパネル
10f〜10g 導風板
11 ラジエータ
12 インタークーラ
15 低通気抵抗ウレタン
Claims (7)
- 車体ボディ前部に配設されたラジエータパネルに、エンジン冷却水を冷却するラジエータと、過給機付エンジンの吸気温度を下げるインタークーラとが並列して取り付けられるエンジンの冷却構造において、
前記ラジエータパネルには、前記ラジエータと前記インタークーラとを隔てる第1の導風板が備えられ、この第1の導風板が、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパまで延設されていることを特徴とするエンジンの冷却構造。 - 前記ラジエータパネルには、前記ラジエータの上下左右側部の少なくとも何れか1つに沿った第2の導風板が備えられ、この第2の導風板が、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパまで延設されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの冷却構造。
- 前記ラジエータパネルには、前記インタークーラの上下左右側部の少なくとも何れか1つに沿った第3の導風板が備えられ、この第3の導風板が、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパまで延設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの冷却構造。
- 前記ラジエータパネルに備えられた導風板の前端部は、前記ラジエータパネル前方のフロントグリル、又はフロントバンパにほぼ隙間無く接合されるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載のエンジンの冷却構造。
- 前記ラジエータパネルに備えられた導風板は、前記ラジエータパネルに一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至4に記載のエンジンの冷却構造。
- 前記ラジエータパネルは、樹脂製のキャリア構造とされていて、このラジエータパネルが前記車体ボディ前部に取り付けられる前に、前記ラジエータおよびインタークーラが予め装着可能とされることを特徴とする請求項1乃至5に記載のエンジンの冷却構造。
- 前記インタークーラの前側または後側には、低通気抵抗体が配設されていることを特徴とする請求項1乃至6に記載のエンジンの冷却構造。
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- 2002-06-13 JP JP2002172837A patent/JP2004019487A/ja active Pending
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