JP2004019204A - 錠装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】単に落し棒等の棒状施錠部材を押し下げるだけで下降位置で固定が成されるようにする。
【解決手段】ケース本体3内に、前記落し棒4が貫通されるとともに、一端側をほぼ回動支点として揺動動作可能な略リング状のロック板6を配設し、かつ前記ロック板6の他端側位置に、ロック板6の他端部が係合するとともに、前記落し棒4のスライド方向に沿って所定範囲でスライド可能とされ、かつバネ7によって常時外方側に付勢された解錠用押操作部材5を配設し、前記解錠用押操作部材5が付勢力によって外方側に位置する時、前記ロック板6が傾斜状態となり落し棒4の周面に接触係合することにより落し棒4を移動不能に固定し、付勢力に抗して前記解錠用押操作部材5を押圧した際、前記ロック板6が揺動動作し前記落し棒4とロック板6とが遊挿状態となり、落し棒4が解錠位置に移動可能となっている。
【選択図】 図3
【解決手段】ケース本体3内に、前記落し棒4が貫通されるとともに、一端側をほぼ回動支点として揺動動作可能な略リング状のロック板6を配設し、かつ前記ロック板6の他端側位置に、ロック板6の他端部が係合するとともに、前記落し棒4のスライド方向に沿って所定範囲でスライド可能とされ、かつバネ7によって常時外方側に付勢された解錠用押操作部材5を配設し、前記解錠用押操作部材5が付勢力によって外方側に位置する時、前記ロック板6が傾斜状態となり落し棒4の周面に接触係合することにより落し棒4を移動不能に固定し、付勢力に抗して前記解錠用押操作部材5を押圧した際、前記ロック板6が揺動動作し前記落し棒4とロック板6とが遊挿状態となり、落し棒4が解錠位置に移動可能となっている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、門扉、シャッター等に用いられる落とし錠、扉の任意の開位置に保持するドアホルダーまたはトイレ等の開き戸等に用いられるラッチ錠などの構造に適用可能な錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、両開き式門扉においては、通常、一方側の門扉のみを開閉自在とし、他方側の門扉は開閉不能に固定しておくため、或いは横引き式のガレージ用扉を閉めた状態で施錠するために上げ落し錠が用いられている。この場合、前記門扉等は一般的に、地面にある小石等に接触することを防ぐために、門扉の下縁と地面との間には手が入る程度の隙間を設けるようにしてある。そのため、門扉と地面との間の隙間から手や工具により落し棒を掴むことが可能であるため、外部から落し棒を上昇させて落し棒と受け部材との係合状態を解き、上げ落し錠を解錠できてしまうなどの問題があった。また、落し棒の出しろを固定した場合、扉と地面との間隔が個々の施工場所毎にまちまちであるため、汎用性に欠けるなどの問題もあった。
【0003】
このような問題に対処するため、特開平9−158580号公報では、図11に示されるように、扉類に固定する基板51と、ロック棒52を保持して基板51に対して摺動するブロック53との両接合面に咬合部54、55を形成しておき、前記ロック棒52を下降させ下端部を地盤又は床面に埋設された受け部材に嵌合させたならばレバー56の回動操作により前記ブロック53を基板51側に引寄せ、基板51の咬合部55と噛み合わせることによりロック棒52を上下動不能に固定し、解除時には前記レバー56を反対方向に回動させることにより前記ブロック53を基板51から引き離し、前記ロック棒52を上昇操作可能とした上げ落とし錠50が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の上げ落とし錠50の場合には、ロック棒52を下降し施錠を図る際、解錠する際、そして上昇位置で固定する際など、ロック棒52の移動時および固定時のすべての操作毎にレバー56の回動操作を要するため、操作が非常に煩雑であるなどの問題があった。
【0005】
一方、前記上げ落し錠に限らず、ドアを任意に開き位置に保持するドアホルダーやトイレ等の開き戸等に用いられるラッチ錠など棒状の施錠部材をスライドさせて施錠を図る錠装置についても同様の問題がある。
【0006】
そこで本発明の第1課題は、単に落し棒等の棒状施錠部材を押し下げるだけで下降位置(施錠位置)で固定が成されるようにした落とし錠やドアホルダー、またはラッチを水平移動しストライクに嵌入させる操作のみで嵌入位置で固定が成されるようにしたラッチ錠等、棒状施錠部材の施錠時及び/又は解錠時等における操作が非常に簡単で済む錠装置を提供することにある。
【0007】
次いで第2課題は、前記錠装置において、解錠に際して、操作部材のプッシュ操作のみによって前記落し棒又はラッチ等の棒状施錠部材を自動的に解錠位置まで移動するようにした錠装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記第1課題を解決するために請求項1に係る本発明として、棒状の施錠部材がケース本体を貫通して設けられ、前記棒状施錠部材をスライドさせることによって施錠を成すようにした錠装置において、
前記ケース本体内に、前記棒状施錠部材が貫通されるとともに、一端側をほぼ回動支点として揺動動作可能な略リング状のロック板を配設し、かつ前記ロック板の他端側位置に、ロック板の他端部が係合するとともに、前記棒状施錠部材のスライド方向に沿って所定範囲でスライド可能とされ、かつ弾発手段によって常時外方側に付勢された解錠用押操作部材を配設し、
前記解錠用押操作部材が付勢力によって外方側に位置する時、前記ロック板が傾斜状態となり棒状施錠部材の周面に接触係合することにより棒状施錠部材を移動不能に固定し、付勢力に抗して前記解錠用押操作部材を押圧した際、前記ロック板が揺動動作し前記棒状施錠部材とロック板とが遊挿状態となり、棒状施錠部材が解錠位置に移動可能となっていることを特徴とする錠装置が提供される。
【0009】
上記請求項1記載の本発明においては、前記解錠用押操作部材が付勢力によって外方側に位置する状態では、前記ロック板が傾斜状態となり棒状施錠部材の周面に接触係合することにより棒状施錠部材を上方向に移動不能に固定する。この状態から解錠する場合、すなわち棒状施錠部材を地面から離間させる場合には、前記解錠用押操作部材を付勢力に抗して下方に押圧すると、前記解錠用押操作部材の移動によりロック板が一端側を回動支点として傾斜角度が緩くなる側に揺動動作し、前記棒状施錠部材とロック板との接触係合状態が解除されて棒状施錠部材が遊挿状態となり、前記棒状施錠部材を手で上方向に引き上げできるようになる。
【0010】
次いで、前記第2課題を解決するために請求項2に係る本発明として、前記棒状施錠部材に対し、少なくとも施錠時において、該棒状施錠部材を解錠側方向に付勢する弾発手段を組み込んである請求項1記載の錠装置が提供される。
【0011】
請求項3に係る本発明として、前記棒状施錠部材の弾発手段は、棒状施錠部材に外嵌して設けられたスプリングである請求項2記載の錠装置が提供される。
【0012】
請求項4に係る本発明として、前記棒状施錠部材の弾発手段は、前記棒状施錠部材の下端部に所定の範囲でスライド可能に床当接部材を設けるとともに、この床当接部材に内設されたスプリングである請求項2記載の錠装置が提供される。
【0013】
上記請求項2〜4記載の発明においては、施錠状態時において、弾発手段による付勢力により棒状施錠部材が解錠方向に付勢されているため、前記解錠用押操作部材5を押圧し、ロック板と棒状施錠部材との接触係合が解除された瞬間に、棒状施錠部材が自動的に解錠方向に移動するようになる。
【0014】
請求項5に係る本発明として、前記棒状施錠部材の周面に、前記ロック板の噛み込みのための凹凸加工を施してある請求項1〜4いずれかに記載の錠装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0016】
〔第1形態例〕
図1は、両開き式門扉1に対する適用例を示したものである。両開き式門扉1では、通常、一方側の門扉1Aのみを開閉自在とし、他方側の門扉1Bは開閉不能に固定しておくために戸先下端部に本発明に係る上げ落し錠2が用いられる。この上げ落し錠2は、上下移動可能な落し棒4を備え、地面側に埋設された受け部材に対して前記落し棒4の下端が嵌合することにより、或いは本例のように落し棒4の下端が直接、地面に当接することにより、門扉1Bを開閉不能に保持するようになっている。
【0017】
前記上げ落し錠2は、詳細には図2に示されるように、門扉1Bにビス等によって固定されるケース本体3と、このケース本体3を上下方向に貫通して設けられる本発明の棒状施錠部材たる落し棒4と、ケース本体3内において前記落し棒4が貫通されるとともに、一端側をほぼ回動支点として揺動動作可能な略リング状のロック板6と、前記ロック板6の他端側位置に配設され、ロック板6の他端部が係合するとともに、前記落し棒4のスライド方向に沿って所定範囲でスライド可能とされ、かつ弾発手段たるスプリング7によって常時、外方側(上方向)に付勢された解錠用押操作部材5とから構成されている。
【0018】
以下、具体的に詳述すると、
前記ケース本体3は、詳細には図3に示されるように、上下方向に貫通する挿通孔3aが形成されるとともに、この挿通孔3aの中間部に前記ロック板6の配設空間部3bを有し、かつ前記挿通孔3aの隣接位置に前記解錠用押操作部材5の嵌設空間部3cが形成された樹脂又はダイキャスト等からなる部材で、外面側には上下両端部にそれぞれ門扉1Bへの取付けのためにビス孔3d、3d…を備えている。
【0019】
前記ロック板配設空間部3bは、内設される前記ロック板6が一端側6aを略回動支点として揺動動作可能なように、前記ロック板配設空間部3bの一方側(解錠用押操作部材5の嵌設空間部3cの反対側)に縦断面形状が略三角形状の空間3eが形成されている。また、前記解錠用押操作部材5の嵌設空間部3cは、上部側から順に、解錠用押操作部材5の操作部分を外部に突出させる垂直孔部3e、前記ロック板配設空間部3bと空間を共有する共有区間部3f、解錠用押操作部材5を外方側(上部側)に付勢するためのバネ等の弾発手段設置空間部3gとから構成されている。
【0020】
前記ロック板6は、前記落し棒4の断面形状に整合する孔形状であって、かつこれに若干の遊間を持たせた挿通孔6bを有する略リング状の部材で、平面外形状は例えば円形、方形、多角形状等、任意の形状とすることができる。また、完全なリング状でなくてもC字形状の如き形状であってもよい(このC字状も前記略リング状の概念に含むものとする。)。材質は、プラスチック等の樹脂とすることも可能であるが、強度および落し棒4に対する噛み込み等の点で好ましくは金属類が用いられる。また、前記落し棒4に対する噛み込みを確実とするため、挿通孔6bの内周縁部分にバリ状のエッジ部を設けるようにしてもよい。
【0021】
一方、前記嵌設空間部3cに嵌設される解錠用押操作部材5は、上部側から順に、相対的に断面寸法が小さくかつ上端部分がケース本体3よりも外方に突出している操作部5Aと、相対的に断面寸法が大きいロック板作動部5Bとからなる部材で、前記ロック板作動部5Bには前記ロック板6の他端部6cが係合する凹状切欠き部5cがロック板6側に向けて形成されているとともに、前記ロック板作動部5Bの下端面にはバネ嵌設孔部5dが形成されている。前記解錠用押操作部材5は、図3に示すように、ケース本体3の弾発手段設置空間部3g内にバネ7を内設し、バネ7の上端部を解錠用押操作部材5のバネ嵌設孔部5dに挿入するとともに、ロック板6の他端部6cを前記凹状切欠き部5cに係合させた状態で嵌設空間部3cに設置される。
【0022】
他方、前記落し棒4は、上端部にキャップ状の握り部4Aを備えるとともに、下端部には好ましくはゴム等の弾性体からなる当接部材8がピン9により取り付けられ、前記当接部材8が直接、地面等に当接することにより、門扉1Bを閉状態に保持するようになっている。前記落し棒4の周面の内、少なくともロック板6との接触面には、ロック板6の噛み込みを確実にするために、鋸歯状、或いは格子形、菱形、七子目、ダイヤモンド形等の任意の刻み目を付した凹凸加工を付与することができる。
【0023】
図3に示される状態、すなわち前記解錠用押操作部材5がバネ部材7の付勢力によって外方側(上方側)に位置する状態では、前記ロック板6が傾斜状態となり落し棒4の周面に接触係合することにより落し棒4が上方向に移動不能に固定されるようになっている。
【0024】
この状態から上げ落し錠2を解錠状態に、すなわち前記落し棒4を地面から離間させるには、図4に示されるように、前記解錠用押操作部材5をバネ部材7の付勢力に抗して下方に押圧する。解錠用押操作部材5が下方向に移動されると、前記ロック板6の他端6cが係合している凹状切欠き部5cが下方向に移動するため、ロック板6が一端側6aを回動支点として傾斜角度が緩くなる側に揺動動作し、前記落し棒4とロック板6との接触係合状態が解除され、落し棒4が遊挿状態となり、前記落し棒4を手で上方向に引き上げできるようになる。そして、落し棒4を上方向に引き上げた状態で前記解錠用押操作部材5から手を離すと、図3に示されるように、ロック板6が傾斜状態となり落し棒4の周面に接触係合することにより落し棒4を上昇位置で移動不能に固定することができる。
【0025】
その後に再び、上げ落し錠2を施錠したい場合には、前記落し棒4を単に下限位置まで押し下げるだけで施錠を成すことができる。すなわち、前記解錠用押操作部材5が付勢力によって外方側に位置し、前記ロック板6が傾斜状態となり落し棒4の周面に接触係合している状態にあるけれども、この状態から前記落し棒4を押し下げる場合には、ロック板6がバネ部材7の付勢力に抗しながらも下方向に揺動可能な状態にあり、落し棒4の下降に伴ってロック板6が一端側6aを回動支点として傾斜角度が緩くなる側への揺動動作と、僅かに揺動動作すると落し棒4との接触係合が解除されて元の傾斜状態に戻る復帰動作とを小刻みに繰り返すことにより、落し棒4を下降させることが可能であり、下端の当接部材8が地面に当接するまで下降させた状態では、自動的にロック板6により落し棒4が上方向に移動できないように拘束されるようになる。
【0026】
〔第2形態例〕
次いで、図5に示される第2形態例に係る上げ落し錠2Aは、解錠するため前記解錠用押操作部材5を押した際、落し棒4が自動的に上方向に上昇するようにして、解錠操作の手間を軽減するようにしたものである。なお、図示例の上げ落し錠2Aにおいて、落し棒4の長さおよび頭部形状が異なるが、上げ落し錠自体の構造は前記第1形態例と全く同様であり、同符号を付して説明は省略する。
【0027】
本第2形態例においては、同図に示されるように、落し棒4に対し、少なくとも施錠時において、該落し棒4を解錠側方向に付勢する弾発手段を組み込んである。具体的には、落し棒4の握り部11とケース本体3との間において、落し棒4を外嵌するように解錠動作用スプリング10を設け、施錠した際に前記解錠動作用スプリング10により落し棒4を上昇方向に付勢する付勢力が発生するようにしている。なお、本例では見映えを良くするために、握り部11内に落し棒4の周囲に沿って環状のスプリング収容孔11aを形成し、施錠時(図5(A)の状態)に前記スプリング収容孔11a内に前記解錠動作用スプリング10が隠れるようになっている。
【0028】
図5(A)に示されるように、上げ落し錠2Aの施錠状態では、前記解錠動作用スプリング10によって落し棒4が上昇方向に付勢されているため、図5(B)に示されるように、前記解錠用押操作部材5を押圧しロック板6と落し棒4との接触係合が解除された瞬間に、前記解錠用スプリング10の付勢力により前記落し棒4を自動的に上方向に移動するようになる。なお、施錠したい場合には、単に落し棒4を下方向に押し下げればよく、落し棒4が下限位置にて引上げできないように施錠される。この点は上記第1形態例と同様である。
【0029】
次いで、図6に示される上げ落し錠2Bの例は、解錠時に落し棒4を上方向に上昇させる弾発手段を、落し棒4の先端部に組み込んだ例である。
【0030】
同図に示されるように、落し棒4の下端部に、所定の範囲でスライド可能に有底筒状の当接部材13を取付けるとともに、この当接部材13内部に解錠動作用スプリング10を内設する。前記当接部材13は上端部に内径を狭める係止突起13bが形成され、落し棒4の下端に形成された突起4bが衝合することにより抜け出ないように保持されている。
【0031】
図6(B)に示されるように、落し棒4を下降させた施錠状態では、当接部材13内に内設された前記解錠動作用スプリング10が落し棒4の下端面に押圧されて収縮した状態で保持され、落し棒4に対し上昇方向の付勢力を与えるようになっている。
【0032】
そして、前記解錠用押操作部材5を押圧しロック板6と落し棒4との接触係合が解除された瞬間に、前記解錠用スプリング10の付勢力により前記落し棒4を自動的に上方向に移動させることができる。
【0033】
また、かかる上げ落し錠2Bの場合、施錠時に当接部材13が解錠用スプリング10により反作用的に地面側に弾発的に付勢保持されるため、門扉1Bが安定的に施錠保持されるようになる。
【0034】
上記第1形態例および第2形態例に係る上げ落し錠2,2A、2Bにおいては、図7に示すように、解錠用押操作部材5に対しロック機構を設けることもできる。具体的には、ケース本体3の上面側に支軸15により鉛直軸回りに水平方向に揺動動作可能にロックレバー14を設けるとともに、前記解錠用押操作部材5の側部に前記ロックレバー14の側部が係合するロックレバー係合溝5aを形成しておき、同図に示されるように、施錠状態時において、前記ロックレバー14を解錠用押操作部材5側に回動させ、ロックレバー係合溝5aに係合させることにより、解錠用押操作部材5を移動不能に保持し、誤って解錠してしまう事態を防ぐことができる。
【0035】
ところで、前記上げ落し錠2、2A、2Bは、開閉ドア16を所定の開き位置に保持するためのドアホルダーとしても使用することができる。図8に示されるように、ドア16を開放状態に保持するために戸先下端部に前記上げ落し錠2、2A、2Bが用いられる。
【0036】
また、前記上げ落し錠2〜2Bは、図9に示されるような、シャッター17の中柱17Aの固定具としても使用可能である。比較的間口の広い店舗シャッター17などでは、中柱17Aを人力により設置し、シャッター17を閉めるような構造が採られているが、前記中柱17Aの下端を固定するために、前記上げ落し錠2〜2Bを用いることができる。
【0037】
〔第3形態例〕
次いで、図10に示される錠装置は、本発明に係る錠装置の構造、好ましくは落し棒4に弾発手段を備える図5の構造をそのままトイレ等のドアの施錠装置に応用した例である。なお、本例の場合は外形状および構造寸法は、ドアの施錠装置として適合可能なように変更されている。また、同機能の部材には上記形態例と同符号を付している。
【0038】
具体的には、ドア18にビス等によって固定されるケース本体3と、このケース本体3を水平方向に貫通して設けられる、本発明の棒状施錠部材たるラッチ4と、ケース本体3内において前記ラッチ4が貫通されるとともに、一端側をほぼ回動支点として揺動動作可能な略リング状のロック板6と、前記ロック板6の他端側位置に、ロック板6の他端部が係合するとともに、前記落し棒4のスライド方向に沿って所定範囲でスライド可能とされ、かつ弾発手段たるスプリング7によって常時、外方側(上方向)に付勢された解錠用押操作部材5とから構成されている。また、ラッチ頭部4Aとケース本体3との間において、ラッチ4を外嵌するように解錠動作用スプリング10を設け、施錠時に前記解錠動作用スプリング10によりラッチ4を解錠方向側に付勢するようにしている。前記ラッチ4の先端には抜止めのため先端キャップ4Bが嵌設されている。なお、それぞれの部材の詳細については、既に説明済みであるため省略する。
【0039】
一方、囲い板21側には、施錠時に前記ラッチ4の先端部が嵌入可能なように、水平方向に嵌合孔19aが形成されたストライク(受け係合具)19がビス等により固定されている。
【0040】
かかる錠装置においても、施錠を成す場合には、前記ラッチ4をストライク19側に押し込み、先端部を前記係合孔19aに嵌入させる。この際、前記解錠用スプリング10が収縮され、ラッチ4に対して解錠方向の付勢力が発生するため、解錠用押操作部材5を押操作し、ラッチ4とロック板6との接触係合が解除されると、前記解錠用スプリング10の付勢力により自動的に前記ラッチ4が解錠方向に移動しドア18の解錠が成されるようになる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳説のとおり、本発明を上げ落し錠やドアホルダーに適用した場合には、単に落し棒を押し下げるだけで下降位置(施錠位置)で固定が成されるようになる。また、ラッチ錠に適用した場合には、ラッチを水平移動しストライクに嵌入させる操作のみで嵌入位置で固定が成されるようになるなど、施錠時操作が非常に簡単で済むようになる。
【0042】
また、前記落し棒又はラッチ等の棒状施錠部材に対し、少なくとも施錠時において、該棒状施錠部材を解錠側方向に付勢する弾発手段を組み込むことにより、解錠に際して、操作部材のプッシュ操作のみによって前記落し棒又はラッチ等の棒状施錠部材を自動的に解錠位置まで移動できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上げ落し錠2の両開き式門扉1に対する適用例を示す図である。
【図2】上げ落し錠2の(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
【図3】上げ落し錠2の施錠状態を示す縦断面図である。
【図4】上げ落し錠2の解錠状態を示す縦断面図である。
【図5】解錠用スプリング10を有する上げ落し錠2Aの側面図であり、(A)はその施錠状態、(B)はその解錠状態である。
【図6】解錠用スプリング10を内設した当接部材13を有する上げ落し錠2Bの側面図であり、(A)はその解錠状態、(B)はその施錠状態である。
【図7】ロックレバー14を備えた上げ落し錠2Cを示す、(A)は側面図、(B)は平面図である。
【図8】本発明に係る上げ落し錠2〜2Bのドアホルダーへの適用例を示す図である。
【図9】本発明に係る上げ落し錠2〜2Bのシャッター中柱17Aへの適用例を示す図である。
【図10】トイレドア等のラッチ錠としての使用例を示す図である。
【図11】従来の上げ落し錠50の施錠構造を示す要部拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1…両開き式門扉、1A・1B…門扉、2〜2C…上げ落し錠、3…ケース本体、4…落し棒、5…解錠用押操作部材、6…ロック板、7…スプリング、8…扉止め、10…解錠用スプリング、13…当接部材、14…ロックレバー、16・18…ドア、17…シャッター、17A…中柱、19…ストライク
【発明の属する技術分野】
本発明は、門扉、シャッター等に用いられる落とし錠、扉の任意の開位置に保持するドアホルダーまたはトイレ等の開き戸等に用いられるラッチ錠などの構造に適用可能な錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、両開き式門扉においては、通常、一方側の門扉のみを開閉自在とし、他方側の門扉は開閉不能に固定しておくため、或いは横引き式のガレージ用扉を閉めた状態で施錠するために上げ落し錠が用いられている。この場合、前記門扉等は一般的に、地面にある小石等に接触することを防ぐために、門扉の下縁と地面との間には手が入る程度の隙間を設けるようにしてある。そのため、門扉と地面との間の隙間から手や工具により落し棒を掴むことが可能であるため、外部から落し棒を上昇させて落し棒と受け部材との係合状態を解き、上げ落し錠を解錠できてしまうなどの問題があった。また、落し棒の出しろを固定した場合、扉と地面との間隔が個々の施工場所毎にまちまちであるため、汎用性に欠けるなどの問題もあった。
【0003】
このような問題に対処するため、特開平9−158580号公報では、図11に示されるように、扉類に固定する基板51と、ロック棒52を保持して基板51に対して摺動するブロック53との両接合面に咬合部54、55を形成しておき、前記ロック棒52を下降させ下端部を地盤又は床面に埋設された受け部材に嵌合させたならばレバー56の回動操作により前記ブロック53を基板51側に引寄せ、基板51の咬合部55と噛み合わせることによりロック棒52を上下動不能に固定し、解除時には前記レバー56を反対方向に回動させることにより前記ブロック53を基板51から引き離し、前記ロック棒52を上昇操作可能とした上げ落とし錠50が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の上げ落とし錠50の場合には、ロック棒52を下降し施錠を図る際、解錠する際、そして上昇位置で固定する際など、ロック棒52の移動時および固定時のすべての操作毎にレバー56の回動操作を要するため、操作が非常に煩雑であるなどの問題があった。
【0005】
一方、前記上げ落し錠に限らず、ドアを任意に開き位置に保持するドアホルダーやトイレ等の開き戸等に用いられるラッチ錠など棒状の施錠部材をスライドさせて施錠を図る錠装置についても同様の問題がある。
【0006】
そこで本発明の第1課題は、単に落し棒等の棒状施錠部材を押し下げるだけで下降位置(施錠位置)で固定が成されるようにした落とし錠やドアホルダー、またはラッチを水平移動しストライクに嵌入させる操作のみで嵌入位置で固定が成されるようにしたラッチ錠等、棒状施錠部材の施錠時及び/又は解錠時等における操作が非常に簡単で済む錠装置を提供することにある。
【0007】
次いで第2課題は、前記錠装置において、解錠に際して、操作部材のプッシュ操作のみによって前記落し棒又はラッチ等の棒状施錠部材を自動的に解錠位置まで移動するようにした錠装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記第1課題を解決するために請求項1に係る本発明として、棒状の施錠部材がケース本体を貫通して設けられ、前記棒状施錠部材をスライドさせることによって施錠を成すようにした錠装置において、
前記ケース本体内に、前記棒状施錠部材が貫通されるとともに、一端側をほぼ回動支点として揺動動作可能な略リング状のロック板を配設し、かつ前記ロック板の他端側位置に、ロック板の他端部が係合するとともに、前記棒状施錠部材のスライド方向に沿って所定範囲でスライド可能とされ、かつ弾発手段によって常時外方側に付勢された解錠用押操作部材を配設し、
前記解錠用押操作部材が付勢力によって外方側に位置する時、前記ロック板が傾斜状態となり棒状施錠部材の周面に接触係合することにより棒状施錠部材を移動不能に固定し、付勢力に抗して前記解錠用押操作部材を押圧した際、前記ロック板が揺動動作し前記棒状施錠部材とロック板とが遊挿状態となり、棒状施錠部材が解錠位置に移動可能となっていることを特徴とする錠装置が提供される。
【0009】
上記請求項1記載の本発明においては、前記解錠用押操作部材が付勢力によって外方側に位置する状態では、前記ロック板が傾斜状態となり棒状施錠部材の周面に接触係合することにより棒状施錠部材を上方向に移動不能に固定する。この状態から解錠する場合、すなわち棒状施錠部材を地面から離間させる場合には、前記解錠用押操作部材を付勢力に抗して下方に押圧すると、前記解錠用押操作部材の移動によりロック板が一端側を回動支点として傾斜角度が緩くなる側に揺動動作し、前記棒状施錠部材とロック板との接触係合状態が解除されて棒状施錠部材が遊挿状態となり、前記棒状施錠部材を手で上方向に引き上げできるようになる。
【0010】
次いで、前記第2課題を解決するために請求項2に係る本発明として、前記棒状施錠部材に対し、少なくとも施錠時において、該棒状施錠部材を解錠側方向に付勢する弾発手段を組み込んである請求項1記載の錠装置が提供される。
【0011】
請求項3に係る本発明として、前記棒状施錠部材の弾発手段は、棒状施錠部材に外嵌して設けられたスプリングである請求項2記載の錠装置が提供される。
【0012】
請求項4に係る本発明として、前記棒状施錠部材の弾発手段は、前記棒状施錠部材の下端部に所定の範囲でスライド可能に床当接部材を設けるとともに、この床当接部材に内設されたスプリングである請求項2記載の錠装置が提供される。
【0013】
上記請求項2〜4記載の発明においては、施錠状態時において、弾発手段による付勢力により棒状施錠部材が解錠方向に付勢されているため、前記解錠用押操作部材5を押圧し、ロック板と棒状施錠部材との接触係合が解除された瞬間に、棒状施錠部材が自動的に解錠方向に移動するようになる。
【0014】
請求項5に係る本発明として、前記棒状施錠部材の周面に、前記ロック板の噛み込みのための凹凸加工を施してある請求項1〜4いずれかに記載の錠装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0016】
〔第1形態例〕
図1は、両開き式門扉1に対する適用例を示したものである。両開き式門扉1では、通常、一方側の門扉1Aのみを開閉自在とし、他方側の門扉1Bは開閉不能に固定しておくために戸先下端部に本発明に係る上げ落し錠2が用いられる。この上げ落し錠2は、上下移動可能な落し棒4を備え、地面側に埋設された受け部材に対して前記落し棒4の下端が嵌合することにより、或いは本例のように落し棒4の下端が直接、地面に当接することにより、門扉1Bを開閉不能に保持するようになっている。
【0017】
前記上げ落し錠2は、詳細には図2に示されるように、門扉1Bにビス等によって固定されるケース本体3と、このケース本体3を上下方向に貫通して設けられる本発明の棒状施錠部材たる落し棒4と、ケース本体3内において前記落し棒4が貫通されるとともに、一端側をほぼ回動支点として揺動動作可能な略リング状のロック板6と、前記ロック板6の他端側位置に配設され、ロック板6の他端部が係合するとともに、前記落し棒4のスライド方向に沿って所定範囲でスライド可能とされ、かつ弾発手段たるスプリング7によって常時、外方側(上方向)に付勢された解錠用押操作部材5とから構成されている。
【0018】
以下、具体的に詳述すると、
前記ケース本体3は、詳細には図3に示されるように、上下方向に貫通する挿通孔3aが形成されるとともに、この挿通孔3aの中間部に前記ロック板6の配設空間部3bを有し、かつ前記挿通孔3aの隣接位置に前記解錠用押操作部材5の嵌設空間部3cが形成された樹脂又はダイキャスト等からなる部材で、外面側には上下両端部にそれぞれ門扉1Bへの取付けのためにビス孔3d、3d…を備えている。
【0019】
前記ロック板配設空間部3bは、内設される前記ロック板6が一端側6aを略回動支点として揺動動作可能なように、前記ロック板配設空間部3bの一方側(解錠用押操作部材5の嵌設空間部3cの反対側)に縦断面形状が略三角形状の空間3eが形成されている。また、前記解錠用押操作部材5の嵌設空間部3cは、上部側から順に、解錠用押操作部材5の操作部分を外部に突出させる垂直孔部3e、前記ロック板配設空間部3bと空間を共有する共有区間部3f、解錠用押操作部材5を外方側(上部側)に付勢するためのバネ等の弾発手段設置空間部3gとから構成されている。
【0020】
前記ロック板6は、前記落し棒4の断面形状に整合する孔形状であって、かつこれに若干の遊間を持たせた挿通孔6bを有する略リング状の部材で、平面外形状は例えば円形、方形、多角形状等、任意の形状とすることができる。また、完全なリング状でなくてもC字形状の如き形状であってもよい(このC字状も前記略リング状の概念に含むものとする。)。材質は、プラスチック等の樹脂とすることも可能であるが、強度および落し棒4に対する噛み込み等の点で好ましくは金属類が用いられる。また、前記落し棒4に対する噛み込みを確実とするため、挿通孔6bの内周縁部分にバリ状のエッジ部を設けるようにしてもよい。
【0021】
一方、前記嵌設空間部3cに嵌設される解錠用押操作部材5は、上部側から順に、相対的に断面寸法が小さくかつ上端部分がケース本体3よりも外方に突出している操作部5Aと、相対的に断面寸法が大きいロック板作動部5Bとからなる部材で、前記ロック板作動部5Bには前記ロック板6の他端部6cが係合する凹状切欠き部5cがロック板6側に向けて形成されているとともに、前記ロック板作動部5Bの下端面にはバネ嵌設孔部5dが形成されている。前記解錠用押操作部材5は、図3に示すように、ケース本体3の弾発手段設置空間部3g内にバネ7を内設し、バネ7の上端部を解錠用押操作部材5のバネ嵌設孔部5dに挿入するとともに、ロック板6の他端部6cを前記凹状切欠き部5cに係合させた状態で嵌設空間部3cに設置される。
【0022】
他方、前記落し棒4は、上端部にキャップ状の握り部4Aを備えるとともに、下端部には好ましくはゴム等の弾性体からなる当接部材8がピン9により取り付けられ、前記当接部材8が直接、地面等に当接することにより、門扉1Bを閉状態に保持するようになっている。前記落し棒4の周面の内、少なくともロック板6との接触面には、ロック板6の噛み込みを確実にするために、鋸歯状、或いは格子形、菱形、七子目、ダイヤモンド形等の任意の刻み目を付した凹凸加工を付与することができる。
【0023】
図3に示される状態、すなわち前記解錠用押操作部材5がバネ部材7の付勢力によって外方側(上方側)に位置する状態では、前記ロック板6が傾斜状態となり落し棒4の周面に接触係合することにより落し棒4が上方向に移動不能に固定されるようになっている。
【0024】
この状態から上げ落し錠2を解錠状態に、すなわち前記落し棒4を地面から離間させるには、図4に示されるように、前記解錠用押操作部材5をバネ部材7の付勢力に抗して下方に押圧する。解錠用押操作部材5が下方向に移動されると、前記ロック板6の他端6cが係合している凹状切欠き部5cが下方向に移動するため、ロック板6が一端側6aを回動支点として傾斜角度が緩くなる側に揺動動作し、前記落し棒4とロック板6との接触係合状態が解除され、落し棒4が遊挿状態となり、前記落し棒4を手で上方向に引き上げできるようになる。そして、落し棒4を上方向に引き上げた状態で前記解錠用押操作部材5から手を離すと、図3に示されるように、ロック板6が傾斜状態となり落し棒4の周面に接触係合することにより落し棒4を上昇位置で移動不能に固定することができる。
【0025】
その後に再び、上げ落し錠2を施錠したい場合には、前記落し棒4を単に下限位置まで押し下げるだけで施錠を成すことができる。すなわち、前記解錠用押操作部材5が付勢力によって外方側に位置し、前記ロック板6が傾斜状態となり落し棒4の周面に接触係合している状態にあるけれども、この状態から前記落し棒4を押し下げる場合には、ロック板6がバネ部材7の付勢力に抗しながらも下方向に揺動可能な状態にあり、落し棒4の下降に伴ってロック板6が一端側6aを回動支点として傾斜角度が緩くなる側への揺動動作と、僅かに揺動動作すると落し棒4との接触係合が解除されて元の傾斜状態に戻る復帰動作とを小刻みに繰り返すことにより、落し棒4を下降させることが可能であり、下端の当接部材8が地面に当接するまで下降させた状態では、自動的にロック板6により落し棒4が上方向に移動できないように拘束されるようになる。
【0026】
〔第2形態例〕
次いで、図5に示される第2形態例に係る上げ落し錠2Aは、解錠するため前記解錠用押操作部材5を押した際、落し棒4が自動的に上方向に上昇するようにして、解錠操作の手間を軽減するようにしたものである。なお、図示例の上げ落し錠2Aにおいて、落し棒4の長さおよび頭部形状が異なるが、上げ落し錠自体の構造は前記第1形態例と全く同様であり、同符号を付して説明は省略する。
【0027】
本第2形態例においては、同図に示されるように、落し棒4に対し、少なくとも施錠時において、該落し棒4を解錠側方向に付勢する弾発手段を組み込んである。具体的には、落し棒4の握り部11とケース本体3との間において、落し棒4を外嵌するように解錠動作用スプリング10を設け、施錠した際に前記解錠動作用スプリング10により落し棒4を上昇方向に付勢する付勢力が発生するようにしている。なお、本例では見映えを良くするために、握り部11内に落し棒4の周囲に沿って環状のスプリング収容孔11aを形成し、施錠時(図5(A)の状態)に前記スプリング収容孔11a内に前記解錠動作用スプリング10が隠れるようになっている。
【0028】
図5(A)に示されるように、上げ落し錠2Aの施錠状態では、前記解錠動作用スプリング10によって落し棒4が上昇方向に付勢されているため、図5(B)に示されるように、前記解錠用押操作部材5を押圧しロック板6と落し棒4との接触係合が解除された瞬間に、前記解錠用スプリング10の付勢力により前記落し棒4を自動的に上方向に移動するようになる。なお、施錠したい場合には、単に落し棒4を下方向に押し下げればよく、落し棒4が下限位置にて引上げできないように施錠される。この点は上記第1形態例と同様である。
【0029】
次いで、図6に示される上げ落し錠2Bの例は、解錠時に落し棒4を上方向に上昇させる弾発手段を、落し棒4の先端部に組み込んだ例である。
【0030】
同図に示されるように、落し棒4の下端部に、所定の範囲でスライド可能に有底筒状の当接部材13を取付けるとともに、この当接部材13内部に解錠動作用スプリング10を内設する。前記当接部材13は上端部に内径を狭める係止突起13bが形成され、落し棒4の下端に形成された突起4bが衝合することにより抜け出ないように保持されている。
【0031】
図6(B)に示されるように、落し棒4を下降させた施錠状態では、当接部材13内に内設された前記解錠動作用スプリング10が落し棒4の下端面に押圧されて収縮した状態で保持され、落し棒4に対し上昇方向の付勢力を与えるようになっている。
【0032】
そして、前記解錠用押操作部材5を押圧しロック板6と落し棒4との接触係合が解除された瞬間に、前記解錠用スプリング10の付勢力により前記落し棒4を自動的に上方向に移動させることができる。
【0033】
また、かかる上げ落し錠2Bの場合、施錠時に当接部材13が解錠用スプリング10により反作用的に地面側に弾発的に付勢保持されるため、門扉1Bが安定的に施錠保持されるようになる。
【0034】
上記第1形態例および第2形態例に係る上げ落し錠2,2A、2Bにおいては、図7に示すように、解錠用押操作部材5に対しロック機構を設けることもできる。具体的には、ケース本体3の上面側に支軸15により鉛直軸回りに水平方向に揺動動作可能にロックレバー14を設けるとともに、前記解錠用押操作部材5の側部に前記ロックレバー14の側部が係合するロックレバー係合溝5aを形成しておき、同図に示されるように、施錠状態時において、前記ロックレバー14を解錠用押操作部材5側に回動させ、ロックレバー係合溝5aに係合させることにより、解錠用押操作部材5を移動不能に保持し、誤って解錠してしまう事態を防ぐことができる。
【0035】
ところで、前記上げ落し錠2、2A、2Bは、開閉ドア16を所定の開き位置に保持するためのドアホルダーとしても使用することができる。図8に示されるように、ドア16を開放状態に保持するために戸先下端部に前記上げ落し錠2、2A、2Bが用いられる。
【0036】
また、前記上げ落し錠2〜2Bは、図9に示されるような、シャッター17の中柱17Aの固定具としても使用可能である。比較的間口の広い店舗シャッター17などでは、中柱17Aを人力により設置し、シャッター17を閉めるような構造が採られているが、前記中柱17Aの下端を固定するために、前記上げ落し錠2〜2Bを用いることができる。
【0037】
〔第3形態例〕
次いで、図10に示される錠装置は、本発明に係る錠装置の構造、好ましくは落し棒4に弾発手段を備える図5の構造をそのままトイレ等のドアの施錠装置に応用した例である。なお、本例の場合は外形状および構造寸法は、ドアの施錠装置として適合可能なように変更されている。また、同機能の部材には上記形態例と同符号を付している。
【0038】
具体的には、ドア18にビス等によって固定されるケース本体3と、このケース本体3を水平方向に貫通して設けられる、本発明の棒状施錠部材たるラッチ4と、ケース本体3内において前記ラッチ4が貫通されるとともに、一端側をほぼ回動支点として揺動動作可能な略リング状のロック板6と、前記ロック板6の他端側位置に、ロック板6の他端部が係合するとともに、前記落し棒4のスライド方向に沿って所定範囲でスライド可能とされ、かつ弾発手段たるスプリング7によって常時、外方側(上方向)に付勢された解錠用押操作部材5とから構成されている。また、ラッチ頭部4Aとケース本体3との間において、ラッチ4を外嵌するように解錠動作用スプリング10を設け、施錠時に前記解錠動作用スプリング10によりラッチ4を解錠方向側に付勢するようにしている。前記ラッチ4の先端には抜止めのため先端キャップ4Bが嵌設されている。なお、それぞれの部材の詳細については、既に説明済みであるため省略する。
【0039】
一方、囲い板21側には、施錠時に前記ラッチ4の先端部が嵌入可能なように、水平方向に嵌合孔19aが形成されたストライク(受け係合具)19がビス等により固定されている。
【0040】
かかる錠装置においても、施錠を成す場合には、前記ラッチ4をストライク19側に押し込み、先端部を前記係合孔19aに嵌入させる。この際、前記解錠用スプリング10が収縮され、ラッチ4に対して解錠方向の付勢力が発生するため、解錠用押操作部材5を押操作し、ラッチ4とロック板6との接触係合が解除されると、前記解錠用スプリング10の付勢力により自動的に前記ラッチ4が解錠方向に移動しドア18の解錠が成されるようになる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳説のとおり、本発明を上げ落し錠やドアホルダーに適用した場合には、単に落し棒を押し下げるだけで下降位置(施錠位置)で固定が成されるようになる。また、ラッチ錠に適用した場合には、ラッチを水平移動しストライクに嵌入させる操作のみで嵌入位置で固定が成されるようになるなど、施錠時操作が非常に簡単で済むようになる。
【0042】
また、前記落し棒又はラッチ等の棒状施錠部材に対し、少なくとも施錠時において、該棒状施錠部材を解錠側方向に付勢する弾発手段を組み込むことにより、解錠に際して、操作部材のプッシュ操作のみによって前記落し棒又はラッチ等の棒状施錠部材を自動的に解錠位置まで移動できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上げ落し錠2の両開き式門扉1に対する適用例を示す図である。
【図2】上げ落し錠2の(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
【図3】上げ落し錠2の施錠状態を示す縦断面図である。
【図4】上げ落し錠2の解錠状態を示す縦断面図である。
【図5】解錠用スプリング10を有する上げ落し錠2Aの側面図であり、(A)はその施錠状態、(B)はその解錠状態である。
【図6】解錠用スプリング10を内設した当接部材13を有する上げ落し錠2Bの側面図であり、(A)はその解錠状態、(B)はその施錠状態である。
【図7】ロックレバー14を備えた上げ落し錠2Cを示す、(A)は側面図、(B)は平面図である。
【図8】本発明に係る上げ落し錠2〜2Bのドアホルダーへの適用例を示す図である。
【図9】本発明に係る上げ落し錠2〜2Bのシャッター中柱17Aへの適用例を示す図である。
【図10】トイレドア等のラッチ錠としての使用例を示す図である。
【図11】従来の上げ落し錠50の施錠構造を示す要部拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1…両開き式門扉、1A・1B…門扉、2〜2C…上げ落し錠、3…ケース本体、4…落し棒、5…解錠用押操作部材、6…ロック板、7…スプリング、8…扉止め、10…解錠用スプリング、13…当接部材、14…ロックレバー、16・18…ドア、17…シャッター、17A…中柱、19…ストライク
Claims (5)
- 棒状の施錠部材がケース本体を貫通して設けられ、前記棒状施錠部材をスライドさせることによって施錠を成すようにした錠装置において、
前記ケース本体内に、前記棒状施錠部材が貫通されるとともに、一端側をほぼ回動支点として揺動動作可能な略リング状のロック板を配設し、かつ前記ロック板の他端側位置に、ロック板の他端部が係合するとともに、前記棒状施錠部材のスライド方向に沿って所定範囲でスライド可能とされ、かつ弾発手段によって常時外方側に付勢された解錠用押操作部材を配設し、
前記解錠用押操作部材が付勢力によって外方側に位置する時、前記ロック板が傾斜状態となり棒状施錠部材の周面に接触係合することにより棒状施錠部材を移動不能に固定し、付勢力に抗して前記解錠用押操作部材を押圧した際、前記ロック板が揺動動作し前記棒状施錠部材とロック板とが遊挿状態となり、棒状施錠部材が解錠位置に移動可能となっていることを特徴とする錠装置。 - 前記棒状施錠部材に対し、少なくとも施錠時において、該棒状施錠部材を解錠側方向に付勢する弾発手段を組み込んである請求項1記載の錠装置。
- 前記棒状施錠部材の弾発手段は、棒状施錠部材に外嵌して設けられたスプリングである請求項2記載の錠装置。
- 前記棒状施錠部材の弾発手段は、前記棒状施錠部材の下端部に所定の範囲でスライド可能に地面等に対する当接部材を設けるとともに、この当接部材に内設されたスプリングである請求項2記載の錠装置。
- 前記棒状施錠部材の周面に、前記ロック板の噛み込みのための凹凸加工を施してある請求項1〜4いずれかに記載の錠装置。
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Cited By (3)
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CN104631980A (zh) * | 2015-02-11 | 2015-05-20 | 胡海明 | 便携式安全门锁 |
CN104652999A (zh) * | 2015-02-11 | 2015-05-27 | 胡海明 | 限位内门保险锁 |
-
2002
- 2002-06-14 JP JP2002174133A patent/JP2004019204A/ja active Pending
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