JP2004019096A - 杭頭分離装置および杭頭分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】杭頭分離作業を、作業者が安全かつ楽に行うことができ、また、前記作業にかかる手間と時間とを少なくすることができ、前記作業に伴って生じる騒音や粉塵を低減することも可能となる杭頭分離装置および杭頭分離方法を提供する。
【解決手段】現場打杭用鉄筋籠1を形成する各主筋2の上部に被せられる縁切材3と、前記各主筋2の上部外周に沿って配置される鉄筋籠カバー体5と、前記各主筋2の上部内周に配置される水平切断材3,3…とを備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】現場打杭用鉄筋籠1を形成する各主筋2の上部に被せられる縁切材3と、前記各主筋2の上部外周に沿って配置される鉄筋籠カバー体5と、前記各主筋2の上部内周に配置される水平切断材3,3…とを備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、杭頭分離装置および杭頭分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な現場打杭の工事では、ボーリングによって形成した掘削孔に鉄筋籠を建て込み、前記掘削孔内にコンクリートを打設して現場打杭を構築するのであり、最後に、杭頭を除去処理する。そして、従来より、削岩機を用いてのハツリ作業によって前記杭頭の除去処理を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記ハツリ作業は、削岩機などの重機を用いることから、ハツリ作業を行う作業者にとって危険度が高く、かつ生じる振動が作業者に負担をかけ、また、手間と時間がかかり、それに伴って、大きな騒音や大量の粉塵が長時間発生するという問題もあった。
【0004】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、杭頭分離作業を、作業者が安全かつ楽に行うことができ、また、前記作業にかかる手間と時間とを少なくすることができ、前記作業に伴って生じる騒音や粉塵を低減することも可能となる杭頭分離装置および杭頭分離方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の杭頭分離装置は、現場打杭用鉄筋籠を形成する各主筋の上部に被せられる縁切材と、前記各主筋の上部外周に沿って配置される鉄筋籠カバー体と、前記各主筋の上部内周に配置される水平切断材とを備えた(請求項1)。
【0006】
本発明の杭頭分離方法は、予め現場打杭用鉄筋籠を形成する各主筋の上部に縁切材を被せ、前記各主筋の上部外周に鉄筋籠カバー体を配置するとともに、前記各主筋の上部内周に水平切断材を配置しておき、前記現場打杭用鉄筋籠を用いてのコンクリートの打設によって前記鉄筋籠カバー体の内側に杭頭が形成された後、前記鉄筋籠カバー体の外側のコンクリートを落とし、続いて、前記鉄筋籠カバー体を分割して前記杭頭から取り外した後、前記杭頭を引き上げる(請求項2)。
【0007】
上記の構成からなる本発明では、杭頭分離作業を、作業者が安全かつ楽に行うことができ、また、前記作業にかかる手間と時間とを少なくすることができ、前記作業に伴って生じる騒音や粉塵を低減することも可能となる杭頭分離装置および杭頭分離方法を提供することができる。
【0008】
また、吊上フックを前記現場打杭用鉄筋籠の上部付近に配置した状態で前記コンクリートを打設することにより、杭頭に前記吊上フックを埋設し、吊上フックの一部を杭頭の外部に露出させて係止部とするとしてもよい(請求項3)。この場合には、前記杭頭を引き上げるという作業を、より容易に行うことが可能となり、ひいては、杭頭分離作業の効率が上昇することとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に対応する実施例を、図を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明の一実施例に係る杭頭分離方法に用いられる杭頭分離装置Dの構成を概略的に示す説明図および平面図である。
杭頭分離装置Dは、現場打杭用鉄筋籠1を形成する各主筋2の上部に被せられる縁切材3と、前記各主筋2の上部外周に沿って配置され、分割可能な複数(本実施例では2つ)の割り体4,4からなる鉄筋籠カバー体5と、前記各主筋2の上部内周に配置される複数(本実施例では6つ)の水平切断材6,6…と、前記鉄筋籠カバー体5の内側に形成される杭頭12に埋設される吊上フック7とを備えている。
【0010】
前記現場打杭用鉄筋籠1は、鉛直方向に、かつ平面視において同一の円周上に位置するように配置される複数本の前記主筋2,2…と、複数本の主筋2,2…の外周(または内周)に巻き付け固着された複数本の円形帯筋8,8…とで構成されている。なお、各主筋2の上部には前記円形帯筋8が固着されていない。
【0011】
前記縁切材3は、例えば、発泡スチロール等からなり、チューブ状(円筒状)をしている。そして、前記各主筋2の上部に対してその上側から被せられ、その状態で、インシュロック(バンド)などの緊縛部材(図示せず)による緊縛により、前記主筋2に対して固定される。
【0012】
ここで、前記縁切材3は、前記各主筋2における計画レベル(すなわち、現場打杭工事終了時において地表面に相当する位置)より適宜の距離(例えば、10〜15cm)だけ上方の位置から各主筋2の上端までを覆うように取り付けられるのであり、言い換えれば、前記各主筋2における後述する前記水平切断材6が取り付けられる位置とほぼ同じ位置から上側の部分を覆うように取り付けられるのである。
【0013】
そして、前記縁切材3は、図3(B)に示すように、後述するコンクリート11を打設したときに、前記主筋2の上部とコンクリート11とを縁切する機能を果たすこととなる。
【0014】
なお、前記縁切材3を、シート状として、これを前記主筋2に巻き付けた後、前記緊縛部材による緊縛を行うようにしてもよい。
【0015】
前記鉄筋籠カバー体5は、筒状(円筒状)をしており、それぞれが円筒状の部材を縦に2つに割った形状をしている前記2つの割り体4,4の両端同士を容易に分離できる状態で接合手段(例えば、ビス止め)を用いて接合することによって形成される。なお、前記割り体4は、例えば、厚さ1.6mmの鉄板からなる。
【0016】
また、前記鉄筋籠カバー体5の上端部、詳しくは鉄筋籠カバー体5を構成する割り体4,4のそれぞれ中央上端部には、例えば、径が18mm程度の吊り上げ用の穴4aが設けられている。
【0017】
ここで、前記鉄筋籠カバー体5は、図3(A)に示すように、前記各主筋2の上部外周において、上記のようにして各主筋2に取り付けられる前記縁切材3の下端とほぼ同じ位置から上側にある部分を覆うように取り付けられ、また、このように取り付けられた状態で、その上端が各縁切材3の上端よりも上側に突出しているように構成されている。
【0018】
そして、前記鉄筋籠カバー体5は、図3(B)に示すように、後述するコンクリート11を打設したときに、鉄筋籠カバー体5の外側にあるコンクリート11aと、内側にあり、前記杭頭12を構成するコンクリート11bとを縁切する機能を果たすこととなる。
【0019】
前記水平切断材6は、水を吸収することによって膨張し、かつ可撓性を有する材料からなり、楕円柱状に形成されている。そして、各水平切断材6は、前記各主筋2における計画レベル(すなわち、現場打杭工事終了時において地表面に相当する位置)から10〜15cm上側の位置に取り付けられる。前記現場打杭用鉄筋籠1の上部を形成する各主筋2において、前記縁切材3が被せられる部分の下端付近に固定される。
【0020】
そして、前記水平切断材6は、図3(B)に示すように、後述するコンクリート11を打設したときに、コンクリート11に含まれる水分を吸収することによって膨張することから、前記コンクリート11において水平切断材6の配置された付近に亀裂が生じるか、または生じやすくなるのである。
【0021】
前記吊上フック7は、1本の鉄筋を折り曲げてなり、ほぼ逆V字状または逆U字状をしているとともに、その両端にはそれぞれ水平部分7a,7aが形成されている。なお、本実施例で用いる前記吊上フック7の高さは800mmであり、前記水平部分7a,7aの長さはともに50mmであり、水平部分7a,7a間の距離は100mmである。また、前記吊上フック7に用いる鉄筋の径は、除去対象とする杭頭12の重量等に応じて適宜に選定される。
【0022】
図4(A)〜(C)は、前記杭頭12を含む現場打杭を構築する過程を概略的に示す説明図、図5(A)および(B)は、杭頭12を分離・除去する過程を概略的に示す説明図である。
次に、上記の構成からなる杭頭分離装置Dを用いた杭頭分離方法について説明する。
まず、予め現場打杭用鉄筋籠1を形成する各主筋2の上部に前記縁切材3を被せ、前記各主筋2の上部外周に鉄筋籠カバー体5を配置する(取り付ける)とともに、前記各主筋2の上部内周に水平切断材6,6…を配置し(取り付け)ておく。
【0023】
続いて、上記のように各縁切材3,鉄筋籠カバー体5および水平切断材6,6…を取り付けた状態の現場打杭用鉄筋籠1を図示しない揚重機により吊り上げ、図4(A)に示すように、内壁に円筒状の外枠9aが沿うように挿入された状態の掘削孔9に建て込み、図4(B)に示すように、前記外枠9aおよびトレミー管10等により掘削孔9内にコンクリート11を打設して、図4(C)に示すように、現場打杭を構築するのである。
【0024】
そして、このとき、前記2つの吊上フック7,7を前記現場打杭用鉄筋籠1の上部付近に配置した状態で前記コンクリート11を打設することにより、杭頭12に前記吊上フック7,7を埋設し、吊上フック7の一部(上部)を杭頭12の外部に露出させて係止部13とするのである。
【0025】
上記のように前記現場打杭用鉄筋籠1を用いてのコンクリート11の打設によって杭頭12が形成された後、図5(A)に示すように、杭頭12の周囲における前記計画レベルよりも上方にある土14を除去して杭頭12を露出させた状態とし、前記鉄筋籠カバー体5よりも外周側にあるコンクリート11aをハンマーで打撃を加えるなどによりはつる(除去する)のである。ここで、上述したように、前記鉄筋籠カバー体5は、その内側のコンクリート11bと外側のコンクリート11aとを縁切りするためのものでもあり、外側のコンクリート11aは薄く形成されることから、前記ハツリ作業は容易にかつ短時間で行うことができるのである。
【0026】
そして、前記外側のコンクリート11aを落とした後、続いて、図5(B)に示すように、2つの割り体4,4を接合していた接合手段を外すことにより前記鉄筋籠カバー体5を二つに分割して前記杭頭12から取り外す。詳しくは、前記吊り上げ用の穴4a,4aに重機の係止手段(図示せず)を係止させ、持ち上げることにより、鉄筋籠カバー体5(割り体4,4)を杭頭12から取り外すのである。
【0027】
その後、前記係止部13を利用して図示しない重機などにより、前記杭頭12を引き上げる。ここで、前記縁切材3により、前記主筋2の上部とコンクリート11とを縁切してあるとともに、前記水平切断材6により、前記コンクリート11(内側コンクリート11b)において水平切断材6の配置された付近に亀裂が生じるか、または生じやすくなるようにしてあることから、前記内側コンクリート11bと、この内側コンクリート11bに埋設された状態の各縁切材3および各吊上フック7とからなる前記杭頭12のみが引き上げられることになる。
【0028】
上記のように分離した杭頭12は、作業現場から運び出され、適宜の場所において砕かれ、廃棄されるのであり、また、杭頭12が分離・除去された後には、図5(B)に示すように、各主筋2の上部がほとんど傷がついたり曲がったりしていない見栄えのよい状態で残されることとなる。なお、前記杭頭12の分離後、必要に応じて、調整ハツリなどの作業が行われる。
【0029】
上記の構成からなる杭頭分離装置Dおよび杭頭分離方法では、従来のように、削岩機を用いてのハツリ作業を行わずに杭頭12を分離できることから、杭頭分離作業を、作業者が安全かつ楽に行うことができ、また、前記作業にかかる手間と時間とを少なくすることができ、前記作業に伴って生じる騒音や粉塵を低減することも可能となる。
【0030】
また、前記杭頭12の分離作業中に、各主筋2に対して衝撃等が加わらないように構成してあることから、前記各主筋2の上部における破損を確実に防止することも可能となる。
【0031】
さらに、前記縁切材3、鉄筋籠カバー体5および水平切断材6のサイズなどをそれぞれ適宜に設定することにより、杭径などを問わず、多種多様にわたる杭頭の除去に適用することができる。
【0032】
また、前記鉄筋籠カバー体5を運搬・保管等するときには、二つの割り体4,4に分割すればよく、割り体4,4に分割することによって、鉄筋籠カバー体5が占有するスペースを小さくすることができる。
【0033】
また、前記吊上フック7を前記現場打杭用鉄筋籠1の上部付近に配置した状態で前記コンクリート11を打設することにより、杭頭12に前記吊上フック7を埋設し、吊上フック7の一部を杭頭12の外部に露出させて係止部13とするように構成してあることから、前記杭頭12を引き上げるという作業を、より容易に行うことが可能となり、ひいては、杭頭分離作業の効率が上昇することとなる。
【0034】
なお、上記実施例において、前記鉄筋籠カバー体5を二つの割り体4,4から構成するのではなく、1枚の板状体をロール状にすることによって構成してもよい。この場合には、板状体に形成した鉄筋籠カバー体5の両端を容易に分離できる状態で接合(例えば、ビス止め)することができるように構成すればよい。
【0035】
また、上記実施例では、前記縁切材3の下端の位置、鉄筋籠カバー体5の下端の位置および水平切断材6の取付位置を、それぞれ前記計画レベルよりも適宜の距離だけ上方に設定した例を示しているが、このような構成に限るものではなく、例えば、前記縁切材3の下端の位置、鉄筋籠カバー体5の下端の位置および水平切断材6の取付位置を、前記計画レベルとほぼ同じ(同一レベル)の位置に設定してもよい。いずれの場合でも、前記縁切材3の下端の位置、鉄筋籠カバー体5の下端の位置および水平切断材6の取付位置よりも上側に形成される杭頭12の分離作業を容易に行うことができるのである。
【0036】
【発明の効果】
上記の構成からなる本発明によれば、杭頭分離作業を、作業者が安全かつ楽に行うことができ、また、前記作業にかかる手間と時間とを少なくすることができ、前記作業に伴って生じる騒音や粉塵を低減することも可能となる杭頭分離装置および杭頭分離方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る杭頭分離方法に用いられる杭頭分離装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】上記実施例の構成を概略的に示す平面図である。
【図3】(A)および(B)は、上記実施例におけるコンクリート打設前および打設後の要部の構成を概略的に示す説明図である。
【図4】(A)〜(C)は、現場打杭を構築する過程を概略的に示す説明図である。
【図5】(A)および(B)は、杭頭を分離・除去する過程を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…現場打杭用鉄筋籠、2…主筋、3…水平切断材、5…鉄筋籠カバー体、D…杭頭分離装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、杭頭分離装置および杭頭分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な現場打杭の工事では、ボーリングによって形成した掘削孔に鉄筋籠を建て込み、前記掘削孔内にコンクリートを打設して現場打杭を構築するのであり、最後に、杭頭を除去処理する。そして、従来より、削岩機を用いてのハツリ作業によって前記杭頭の除去処理を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記ハツリ作業は、削岩機などの重機を用いることから、ハツリ作業を行う作業者にとって危険度が高く、かつ生じる振動が作業者に負担をかけ、また、手間と時間がかかり、それに伴って、大きな騒音や大量の粉塵が長時間発生するという問題もあった。
【0004】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、杭頭分離作業を、作業者が安全かつ楽に行うことができ、また、前記作業にかかる手間と時間とを少なくすることができ、前記作業に伴って生じる騒音や粉塵を低減することも可能となる杭頭分離装置および杭頭分離方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の杭頭分離装置は、現場打杭用鉄筋籠を形成する各主筋の上部に被せられる縁切材と、前記各主筋の上部外周に沿って配置される鉄筋籠カバー体と、前記各主筋の上部内周に配置される水平切断材とを備えた(請求項1)。
【0006】
本発明の杭頭分離方法は、予め現場打杭用鉄筋籠を形成する各主筋の上部に縁切材を被せ、前記各主筋の上部外周に鉄筋籠カバー体を配置するとともに、前記各主筋の上部内周に水平切断材を配置しておき、前記現場打杭用鉄筋籠を用いてのコンクリートの打設によって前記鉄筋籠カバー体の内側に杭頭が形成された後、前記鉄筋籠カバー体の外側のコンクリートを落とし、続いて、前記鉄筋籠カバー体を分割して前記杭頭から取り外した後、前記杭頭を引き上げる(請求項2)。
【0007】
上記の構成からなる本発明では、杭頭分離作業を、作業者が安全かつ楽に行うことができ、また、前記作業にかかる手間と時間とを少なくすることができ、前記作業に伴って生じる騒音や粉塵を低減することも可能となる杭頭分離装置および杭頭分離方法を提供することができる。
【0008】
また、吊上フックを前記現場打杭用鉄筋籠の上部付近に配置した状態で前記コンクリートを打設することにより、杭頭に前記吊上フックを埋設し、吊上フックの一部を杭頭の外部に露出させて係止部とするとしてもよい(請求項3)。この場合には、前記杭頭を引き上げるという作業を、より容易に行うことが可能となり、ひいては、杭頭分離作業の効率が上昇することとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に対応する実施例を、図を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明の一実施例に係る杭頭分離方法に用いられる杭頭分離装置Dの構成を概略的に示す説明図および平面図である。
杭頭分離装置Dは、現場打杭用鉄筋籠1を形成する各主筋2の上部に被せられる縁切材3と、前記各主筋2の上部外周に沿って配置され、分割可能な複数(本実施例では2つ)の割り体4,4からなる鉄筋籠カバー体5と、前記各主筋2の上部内周に配置される複数(本実施例では6つ)の水平切断材6,6…と、前記鉄筋籠カバー体5の内側に形成される杭頭12に埋設される吊上フック7とを備えている。
【0010】
前記現場打杭用鉄筋籠1は、鉛直方向に、かつ平面視において同一の円周上に位置するように配置される複数本の前記主筋2,2…と、複数本の主筋2,2…の外周(または内周)に巻き付け固着された複数本の円形帯筋8,8…とで構成されている。なお、各主筋2の上部には前記円形帯筋8が固着されていない。
【0011】
前記縁切材3は、例えば、発泡スチロール等からなり、チューブ状(円筒状)をしている。そして、前記各主筋2の上部に対してその上側から被せられ、その状態で、インシュロック(バンド)などの緊縛部材(図示せず)による緊縛により、前記主筋2に対して固定される。
【0012】
ここで、前記縁切材3は、前記各主筋2における計画レベル(すなわち、現場打杭工事終了時において地表面に相当する位置)より適宜の距離(例えば、10〜15cm)だけ上方の位置から各主筋2の上端までを覆うように取り付けられるのであり、言い換えれば、前記各主筋2における後述する前記水平切断材6が取り付けられる位置とほぼ同じ位置から上側の部分を覆うように取り付けられるのである。
【0013】
そして、前記縁切材3は、図3(B)に示すように、後述するコンクリート11を打設したときに、前記主筋2の上部とコンクリート11とを縁切する機能を果たすこととなる。
【0014】
なお、前記縁切材3を、シート状として、これを前記主筋2に巻き付けた後、前記緊縛部材による緊縛を行うようにしてもよい。
【0015】
前記鉄筋籠カバー体5は、筒状(円筒状)をしており、それぞれが円筒状の部材を縦に2つに割った形状をしている前記2つの割り体4,4の両端同士を容易に分離できる状態で接合手段(例えば、ビス止め)を用いて接合することによって形成される。なお、前記割り体4は、例えば、厚さ1.6mmの鉄板からなる。
【0016】
また、前記鉄筋籠カバー体5の上端部、詳しくは鉄筋籠カバー体5を構成する割り体4,4のそれぞれ中央上端部には、例えば、径が18mm程度の吊り上げ用の穴4aが設けられている。
【0017】
ここで、前記鉄筋籠カバー体5は、図3(A)に示すように、前記各主筋2の上部外周において、上記のようにして各主筋2に取り付けられる前記縁切材3の下端とほぼ同じ位置から上側にある部分を覆うように取り付けられ、また、このように取り付けられた状態で、その上端が各縁切材3の上端よりも上側に突出しているように構成されている。
【0018】
そして、前記鉄筋籠カバー体5は、図3(B)に示すように、後述するコンクリート11を打設したときに、鉄筋籠カバー体5の外側にあるコンクリート11aと、内側にあり、前記杭頭12を構成するコンクリート11bとを縁切する機能を果たすこととなる。
【0019】
前記水平切断材6は、水を吸収することによって膨張し、かつ可撓性を有する材料からなり、楕円柱状に形成されている。そして、各水平切断材6は、前記各主筋2における計画レベル(すなわち、現場打杭工事終了時において地表面に相当する位置)から10〜15cm上側の位置に取り付けられる。前記現場打杭用鉄筋籠1の上部を形成する各主筋2において、前記縁切材3が被せられる部分の下端付近に固定される。
【0020】
そして、前記水平切断材6は、図3(B)に示すように、後述するコンクリート11を打設したときに、コンクリート11に含まれる水分を吸収することによって膨張することから、前記コンクリート11において水平切断材6の配置された付近に亀裂が生じるか、または生じやすくなるのである。
【0021】
前記吊上フック7は、1本の鉄筋を折り曲げてなり、ほぼ逆V字状または逆U字状をしているとともに、その両端にはそれぞれ水平部分7a,7aが形成されている。なお、本実施例で用いる前記吊上フック7の高さは800mmであり、前記水平部分7a,7aの長さはともに50mmであり、水平部分7a,7a間の距離は100mmである。また、前記吊上フック7に用いる鉄筋の径は、除去対象とする杭頭12の重量等に応じて適宜に選定される。
【0022】
図4(A)〜(C)は、前記杭頭12を含む現場打杭を構築する過程を概略的に示す説明図、図5(A)および(B)は、杭頭12を分離・除去する過程を概略的に示す説明図である。
次に、上記の構成からなる杭頭分離装置Dを用いた杭頭分離方法について説明する。
まず、予め現場打杭用鉄筋籠1を形成する各主筋2の上部に前記縁切材3を被せ、前記各主筋2の上部外周に鉄筋籠カバー体5を配置する(取り付ける)とともに、前記各主筋2の上部内周に水平切断材6,6…を配置し(取り付け)ておく。
【0023】
続いて、上記のように各縁切材3,鉄筋籠カバー体5および水平切断材6,6…を取り付けた状態の現場打杭用鉄筋籠1を図示しない揚重機により吊り上げ、図4(A)に示すように、内壁に円筒状の外枠9aが沿うように挿入された状態の掘削孔9に建て込み、図4(B)に示すように、前記外枠9aおよびトレミー管10等により掘削孔9内にコンクリート11を打設して、図4(C)に示すように、現場打杭を構築するのである。
【0024】
そして、このとき、前記2つの吊上フック7,7を前記現場打杭用鉄筋籠1の上部付近に配置した状態で前記コンクリート11を打設することにより、杭頭12に前記吊上フック7,7を埋設し、吊上フック7の一部(上部)を杭頭12の外部に露出させて係止部13とするのである。
【0025】
上記のように前記現場打杭用鉄筋籠1を用いてのコンクリート11の打設によって杭頭12が形成された後、図5(A)に示すように、杭頭12の周囲における前記計画レベルよりも上方にある土14を除去して杭頭12を露出させた状態とし、前記鉄筋籠カバー体5よりも外周側にあるコンクリート11aをハンマーで打撃を加えるなどによりはつる(除去する)のである。ここで、上述したように、前記鉄筋籠カバー体5は、その内側のコンクリート11bと外側のコンクリート11aとを縁切りするためのものでもあり、外側のコンクリート11aは薄く形成されることから、前記ハツリ作業は容易にかつ短時間で行うことができるのである。
【0026】
そして、前記外側のコンクリート11aを落とした後、続いて、図5(B)に示すように、2つの割り体4,4を接合していた接合手段を外すことにより前記鉄筋籠カバー体5を二つに分割して前記杭頭12から取り外す。詳しくは、前記吊り上げ用の穴4a,4aに重機の係止手段(図示せず)を係止させ、持ち上げることにより、鉄筋籠カバー体5(割り体4,4)を杭頭12から取り外すのである。
【0027】
その後、前記係止部13を利用して図示しない重機などにより、前記杭頭12を引き上げる。ここで、前記縁切材3により、前記主筋2の上部とコンクリート11とを縁切してあるとともに、前記水平切断材6により、前記コンクリート11(内側コンクリート11b)において水平切断材6の配置された付近に亀裂が生じるか、または生じやすくなるようにしてあることから、前記内側コンクリート11bと、この内側コンクリート11bに埋設された状態の各縁切材3および各吊上フック7とからなる前記杭頭12のみが引き上げられることになる。
【0028】
上記のように分離した杭頭12は、作業現場から運び出され、適宜の場所において砕かれ、廃棄されるのであり、また、杭頭12が分離・除去された後には、図5(B)に示すように、各主筋2の上部がほとんど傷がついたり曲がったりしていない見栄えのよい状態で残されることとなる。なお、前記杭頭12の分離後、必要に応じて、調整ハツリなどの作業が行われる。
【0029】
上記の構成からなる杭頭分離装置Dおよび杭頭分離方法では、従来のように、削岩機を用いてのハツリ作業を行わずに杭頭12を分離できることから、杭頭分離作業を、作業者が安全かつ楽に行うことができ、また、前記作業にかかる手間と時間とを少なくすることができ、前記作業に伴って生じる騒音や粉塵を低減することも可能となる。
【0030】
また、前記杭頭12の分離作業中に、各主筋2に対して衝撃等が加わらないように構成してあることから、前記各主筋2の上部における破損を確実に防止することも可能となる。
【0031】
さらに、前記縁切材3、鉄筋籠カバー体5および水平切断材6のサイズなどをそれぞれ適宜に設定することにより、杭径などを問わず、多種多様にわたる杭頭の除去に適用することができる。
【0032】
また、前記鉄筋籠カバー体5を運搬・保管等するときには、二つの割り体4,4に分割すればよく、割り体4,4に分割することによって、鉄筋籠カバー体5が占有するスペースを小さくすることができる。
【0033】
また、前記吊上フック7を前記現場打杭用鉄筋籠1の上部付近に配置した状態で前記コンクリート11を打設することにより、杭頭12に前記吊上フック7を埋設し、吊上フック7の一部を杭頭12の外部に露出させて係止部13とするように構成してあることから、前記杭頭12を引き上げるという作業を、より容易に行うことが可能となり、ひいては、杭頭分離作業の効率が上昇することとなる。
【0034】
なお、上記実施例において、前記鉄筋籠カバー体5を二つの割り体4,4から構成するのではなく、1枚の板状体をロール状にすることによって構成してもよい。この場合には、板状体に形成した鉄筋籠カバー体5の両端を容易に分離できる状態で接合(例えば、ビス止め)することができるように構成すればよい。
【0035】
また、上記実施例では、前記縁切材3の下端の位置、鉄筋籠カバー体5の下端の位置および水平切断材6の取付位置を、それぞれ前記計画レベルよりも適宜の距離だけ上方に設定した例を示しているが、このような構成に限るものではなく、例えば、前記縁切材3の下端の位置、鉄筋籠カバー体5の下端の位置および水平切断材6の取付位置を、前記計画レベルとほぼ同じ(同一レベル)の位置に設定してもよい。いずれの場合でも、前記縁切材3の下端の位置、鉄筋籠カバー体5の下端の位置および水平切断材6の取付位置よりも上側に形成される杭頭12の分離作業を容易に行うことができるのである。
【0036】
【発明の効果】
上記の構成からなる本発明によれば、杭頭分離作業を、作業者が安全かつ楽に行うことができ、また、前記作業にかかる手間と時間とを少なくすることができ、前記作業に伴って生じる騒音や粉塵を低減することも可能となる杭頭分離装置および杭頭分離方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る杭頭分離方法に用いられる杭頭分離装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】上記実施例の構成を概略的に示す平面図である。
【図3】(A)および(B)は、上記実施例におけるコンクリート打設前および打設後の要部の構成を概略的に示す説明図である。
【図4】(A)〜(C)は、現場打杭を構築する過程を概略的に示す説明図である。
【図5】(A)および(B)は、杭頭を分離・除去する過程を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…現場打杭用鉄筋籠、2…主筋、3…水平切断材、5…鉄筋籠カバー体、D…杭頭分離装置。
Claims (3)
- 現場打杭用鉄筋籠を形成する各主筋の上部に被せられる縁切材と、前記各主筋の上部外周に沿って配置される鉄筋籠カバー体と、前記各主筋の上部内周に配置される水平切断材とを備えたことを特徴とする杭頭分離装置。
- 予め現場打杭用鉄筋籠を形成する各主筋の上部に縁切材を被せ、前記各主筋の上部外周に鉄筋籠カバー体を配置するとともに、前記各主筋の上部内周に水平切断材を配置しておき、前記現場打杭用鉄筋籠を用いてのコンクリートの打設によって前記鉄筋籠カバー体の内側に杭頭が形成された後、前記鉄筋籠カバー体の外側のコンクリートを落とし、続いて、前記鉄筋籠カバー体を分割して前記杭頭から取り外した後、前記杭頭を引き上げることを特徴とする杭頭分離方法。
- 吊上フックを前記現場打杭用鉄筋籠の上部付近に配置した状態で前記コンクリートを打設することにより、杭頭に前記吊上フックを埋設し、吊上フックの一部を杭頭の外部に露出させて係止部とする請求項2に記載の杭頭分離方法。
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JP2015038279A (ja) * | 2013-08-19 | 2015-02-26 | 鹿島建設株式会社 | 杭頭処理方法および揚重治具 |
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- 2002-06-12 JP JP2002170969A patent/JP2004019096A/ja active Pending
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JP2015038280A (ja) * | 2013-08-19 | 2015-02-26 | 鹿島建設株式会社 | 杭頭処理方法および破砕装置 |
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