JP2004018577A - 画像形成方法、印刷物及び記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、あらゆる記録材料に対し、文字品質に優れ、色混じりの発生がなく、高精細な画像を記録することができ、かつ印刷物のしわやカールの発生が無いインクジェット記録方法による画像形成方法、印刷物及び記録装置を提供することにある。
【解決手段】選択的にインク滴の吐出制御可能な少なくとも1つのノズルを有する記録ヘッドで、活性光線により硬化するインクを記録材料上に吐出する画像形成方法において、該インクが光酸発生剤と疎水性基を有するオキセタン化合物とを含有することを特徴とする画像形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】選択的にインク滴の吐出制御可能な少なくとも1つのノズルを有する記録ヘッドで、活性光線により硬化するインクを記録材料上に吐出する画像形成方法において、該インクが光酸発生剤と疎水性基を有するオキセタン化合物とを含有することを特徴とする画像形成方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、あらゆる記録材料に、高精細な画像を記録材料の収縮なく安定に再現できるインクジェット記録方法による画像形成方法、印刷物及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
【0003】
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式などである。
【0004】
中でも、UVインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、例えば、特公平5−54667号、特開平6−200204号、特表2000−504778において、紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている。
【0005】
しかしながら、これらのインクを用いたとしても、記録材料の種類や作業環境によって、着弾後のドット径が大きく変化してしまい、すべての記録材料に対して、高精細な画像を形成することは不可能である。
【0006】
また、従来のUVインクジェット方式に用いられるインクは、記録材料が収縮しやすいという問題点があった。特に、食品包装をはじめとする軟包装で使われる薄膜プラスチックフィルムや、粘着ラベルなどでは、特に収縮が起こりやすく、その結果、軟包装印刷やラベル印刷において、UVインクジェット方式が未だ実用化されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、あらゆる記録材料に対し、文字品質に優れ、色混じりの発生がなく、高精細な画像を記録することができ、かつ印刷物のしわやカールの発生が無いインクジェット記録方法による画像形成方法、印刷物及び記録装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0009】
1.選択的にインク滴の吐出制御可能な少なくとも1つのノズルを有する記録ヘッドで、活性光線により硬化するインクを記録材料上に吐出する画像形成方法において、該インクが光酸発生剤と疎水性基を有するオキセタン化合物とを含有することを特徴とする画像形成方法。
【0010】
2.前記疎水性基を有するオキセタン化合物が、親水性基を有していない化合物であることを特徴とする前記1項に記載の画像形成方法。
【0011】
3.前記疎水性基を有するオキセタン化合物の比重が、0.8以上であることを特徴とする前記1または2項に記載の画像形成方法。
【0012】
4.前記インクが着弾した後、0.001〜2.0秒の間で活性光線を照射することを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0013】
5.前記インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0014】
6.前記記録ヘッドの各ノズルより吐出するインク液滴量が、一回の吐出あたり2〜15plであることを特徴とする前記1〜5項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0015】
7.前記インクの少なくとも1色が、白インクであることを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0016】
8.前記インクの少なくとも1色が、エポキシ化合物又はビニルエーテル化合物を含有することを特徴とする前記1〜7項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0017】
9.非吸収性記録材料を用いて、前記1〜8項のいずれか1項に記載の画像形成方法により作製したことを特徴とする印刷物。
【0018】
10.前記非吸収性記録材料の表面エネルギーが、35〜60mN/mであることを特徴とする前記9項に記載の印刷物。
【0019】
11.前記1〜8項のいずれか1項に記載の画像形成方法で用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜50mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
【0020】
12.前記9又は10項に記載の印刷物の作製に用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜50mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
【0021】
13.前記1〜8項のいずれか1項に記載の画像形成方法で用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜3000mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
【0022】
14.前記9又は10項に記載の印刷物の作製に用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜3000mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
【0023】
15.前記記録ヘッド及びインクを、35〜100℃に加熱してインクを吐出することを特徴とする前記11〜14項のいずれか1項に記載の記録装置。
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
はじめに、本発明に係るインクの詳細について説明する。
【0025】
本発明に係るインクの組成としては、光酸発生剤と共に、疎水性基を有するオキセタン化合物を含有することが特徴である。
【0026】
本発明に係るオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526、特開2001−310937に紹介されているような公知のオキセタン化合物のなかで、疎水基を有している化合物である。
【0027】
本発明でいう疎水性基としては、脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)及び脂環基である。置換基としては、脂肪族基、芳香族基、脂環基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、N−置換スルファモイル基、カルバモイル基、アラルキル基、アシル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0028】
また、本発明に係るオキセタン化合物としては、親水性基を有していないオキセタン化合物であることが好ましい。本発明でいう親水性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を挙げることができる。
【0029】
また、本発明に係るオキセタン化合物においては、その比重が0.8以上であることが好ましく、より好ましくは0.8〜2.0であり、特に好ましくは0.9〜2.0である。
【0030】
本発明に係るオキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0031】
以下、本発明に係るオキセタン環を有する化合物の具体例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
1個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
【0033】
【化1】
【0034】
一般式(1)において、R1は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基であり、特に、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基であることが好ましい。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等であり、特に好ましくはフェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基である。
【0035】
本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
【0036】
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0037】
【化2】
【0038】
一般式(2)において、R1は、上記一般式(1)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等であり、特に好ましくは、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基である。
【0039】
また、R3としては、下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基であり、特に好ましくは下記一般式(3)または(4)で表される化合物である。
【0040】
【化3】
【0041】
一般式(3)において、R4は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
【0042】
【化4】
【0043】
一般式(4)において、R5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2、又はC(CH3)2を表す。
【0044】
【化5】
【0045】
一般式(5)において、R6は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に、下記一般式(6)で示される基から選択される基も挙げることができる。
【0046】
【化6】
【0047】
一般式(6)において、R8は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
【0048】
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(7)で示される化合物が挙げられる。
【0049】
【化7】
【0050】
一般式(7)において、R1は、前記一般式(1)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
【0051】
【化8】
【0052】
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
【0053】
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。
【0057】
本発明者はこれらの疎水性基を有するオキセタン化合物を用いることで、インクジェット記録において問題であった印刷物のしわ及びカールを大幅に良化させることができること、更には、インクの滲みを向上させることができることを新たに見出したものである。更に、上記構成の本発明に係るインクを用いることにより、インクジェット記録において最大の課題であるインク吐出安定性が非常に向上し、再現性よく高精細な画像を形成できることも見出した。また、本発明の目的の1つである環境の変化に対しての変動を小さくすることができた。
【0058】
本発明で用いることのできる光酸発生剤としては、公知のあらゆる光酸発生剤を挙げることができる。
【0059】
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0060】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −塩を挙げることができる。
【0061】
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
【0062】
【化11】
【0063】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
【0064】
【化12】
【0065】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
【0066】
【化13】
【0067】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0068】
【化14】
【0069】
本発明に係るインクは、特開平8−248561号、特開平9−34106号をはじめてとし、既に公知となっている活性光線の照射で発生した酸により新たに酸を発生する酸増殖剤を含有することが好ましい。酸増殖剤を用いることで、さらなる吐出安定性向上を可能とする。
【0070】
本発明に係るインクでは、対イオンとしてアリールボレート化合物を有するジアゾニウム、ヨードニウム又はスルホニウムの芳香族オニウム化合物、鉄アレン錯体から選ばれる少なくとも1種の光酸発生剤が含有されることが好ましい。
【0071】
特に、軟包装印刷、ラベル印刷分野においては、上記記録材料のしわの問題、吐出安定性の問題から、活性光線硬化型インクジェット記録が実用化されるまでには至っていなかったが、本発明は、それらの分野でも十分に使用し得る画像形成方法を提示するものである。
【0072】
次に、本発明に用いられる光重合性化合物について説明する。
光カチオン重合性モノマーとしては、上記記載の本発明に係るオキセタン化合物と共に、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、特開2001−40068、特開2001−55507、特開2001−310938、特開2001−310937、特開2001−220526に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物などが挙げられる。
【0073】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0074】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0075】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0076】
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0077】
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0078】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0079】
本発明に係るインク組成物を着色する場合は、色材を添加する。色材としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる各種色材を使用することができるが、耐候性の観点から顔料が好ましい。
【0080】
本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
C.I Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、81、83、87、95、109、42、
C.I Pigment Orange−16、36、38、
C.I Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、144、146、185、101、
C.I Pigment Violet−19、23、
C.I Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29、
C.I Pigment Green−7、36、
C.I Pigment White−6、18、21、
C.I Pigment Black−7、
また、本発明において、プラスチックフィルムのような透明基材での色の隠蔽性を上げる為に、白インクを用いることが好ましい。特に、軟包装印刷、ラベル印刷においては、白インクを用いることが好ましいが、吐出量が多くなるため、前述した吐出安定性、記録材料のカール・しわの発生の観点から、自ずと使用量に関しては制限がある。
【0081】
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としてはAvecia社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明に用いる照射線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0082】
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
【0083】
本発明に係るインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
【0084】
本発明に係るインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、インク組成物の保存性を高めるため、重合禁止剤を200〜20000ppm添加することができる。紫外線硬化型のインクは、加熱、低粘度化して射出することが好ましいので、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも重合禁止剤を入れることが好ましい。この他にも、必要に応じて、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。記録媒体との密着性を改善するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その使用量は0.1〜5%の範囲であり、好ましくは0.1〜3%である。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0085】
本発明の画像形成方法においては、インク組成物をインクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させる。
【0086】
本発明において、インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が、2〜20μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、記録材料が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した記録材料のカール・しわの問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため使えない。
【0087】
インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
【0088】
また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要であるが、この液滴量で吐出する場合、前述した吐出安定性が特に厳しくなり、酸増殖剤が必須となる。
【0089】
本発明の画像形成方法においては、発生光線の照射条件として、インク着弾後0.001〜2.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜1.0秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
【0090】
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらのいずれの照射方法も用いることができる。
【0091】
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、かつ、全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
【0092】
本発明では、硬化に有効な波長域における最高照度が0.1〜50mW/cm2の低照度の活性光線を用いることが好ましい。従来、UVインクジェット方式では、インク着弾後のドット広がり、滲みを抑制のために、硬化に有効な波長域における最高照度が50mW/cm2を超える高照度の光源が用いられるのが通常であった。しかしながら、これらの光源を用いると、特にシュリンクラベルなどでは、記録材料の収縮があまりにも大きく、実質上使用できないのが現状であった。本発明では、酸増殖剤を用いることで、硬化に有効な波長域における最高照度が0.1〜50mW/cm2の低照度の活性光線を用いても、高精細な画像を形成でき、かつ、記録材料の収縮もない。
【0093】
活性光線照射で用いる光源の例としては、低圧水銀ランプ、UVレーザー、キセノンフラッシュランプ、捕虫灯、ブラックライト、殺菌灯、冷陰極管、LEDをなどがあるが、これらに限定されない。
【0094】
また、本発明では、硬化に有効な波長域における最高照度が50〜3000mW/cm2の活性光線を用いることも有効である。従来のUVインクジェット記録に用いられる高照度の光源であるが、上述のように記録材料の収縮課題が有り、軟包装印刷・ラベル印刷分野では実質UVインクジェット記録は使用されていなかった。本発明の構成では、この問題は解消され、従来使われている高照度の光源を用いても、各種プラスチックフィルムへの高精細画像の形成が可能となる。光源の例としては、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極UVランプなどが有るが、これらに限定されない。
【0095】
本発明で用いることのできる記録材料としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
【0096】
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録材料によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60dyn/cmの広範囲の記録材料に良好な高精細な画像を形成できる。
【0097】
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録材料を使用する方が有利である。
【0098】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
【0099】
《インク組成物の調製》
表1に記載の構成からなるインク組成物セット1(比較例)及び表2〜4に記載の構成からなるインク組成物セット2〜4(本発明)を調製した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
表1〜表4に記載の各インクと各化合物の詳細は、以下の通りである。
K:濃ブラックインク
C:濃シアンインク
M:濃マゼンタインク
Y:濃イエローインク
Lk:淡ブラックインク
Lc:淡シアンインク
Lm:淡マゼンタインク
Ly:淡イエローインク
色材1:C.I.pigment Black−7
色材2:C.I.pigment Blue−15:3
色材3:C.I.pigment Red−57:1
色材4:C.I.pigment Yellow−13
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業社製
V−1:RAPI−CURE DVE−3 アイエスピー・ジャパン社製
BBI102:みどり化学社製
*1:ジエチルチオキサントン
【0105】
【化15】
【0106】
【化16】
【0107】
【化17】
【0108】
《インクジェット画像形成方法》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置に、上記調製した各インク組成物セットを装填し、表5に記載の各表面エネルギーを有する巾600mm、長さ1000mの長尺の各記録材料へ、下記の各画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。ピエゾヘッドは、2〜15plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動して、各インクを連続吐出した。着弾した後、0.2秒後に、表5に記載の照射条件で硬化処理を行った。記録後、トータルインク膜厚を測定したところ、2.3〜13μmの範囲であった。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。なお、評価は温度23℃/相対湿度40%でそれぞれ行った。
【0109】
【表5】
【0110】
なお、表5に記載の各記録材料の略称の詳細は、以下の通りである。
OPP:oriented polypropylene
PET:polyethylene terephthalate
ONy:oriented nylon
PVC:polyvinylchloride
また、表5に記載の照射光源の詳細は、以下の通りである。
【0111】
照射光源1:120W/cmメタルハライドランプ(日本電池社製 MAL
400NL)
照射光源2:80W/cm高圧水銀ランプ(日本電池社製 HN−64NL)照射光源3:無電極UVランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製
F450シリーズ)
《インクジェット記録画像の評価》
上記画像形成方法で記録した各画像について、下記の各評価を行った。なお、各評価は、連続吐出した画像記録の印字後10mの試料、100mの試料及び500mの試料について行った。
【0112】
(文字品質の評価)
Y、M、C、Kの各色を、目標とする濃度で6ポイントMS明朝体文字を印字し、文字のガサツキをルーペで拡大観察し、下記の基準に則り文字品質の評価を行った。
【0113】
◎:ガサツキがない
○:僅かにガサツキが認められる
△:ガサツキが認められるが、文字として判別できる
×:ガサツキが激しく、文字がかすれていて使用に耐えないレベルである
(色混じり(にじみ)の評価)
Y、M、C、Kの各色を、目標とする濃度で6ポイントMS明朝体文字を印字し、隣り合う各色dotをルーペで拡大して滲み具合を目視観察し、下記の基準に則り色混じりの評価を行った。
【0114】
◎:隣り合うdot形状が真円を保ち、滲みがない
○:隣り合うdot形状はほぼ真円を保ち、ほとんど滲みがない
△:隣り合うdotが少し滲んでいてdot形状が少しくずれているが、許容範囲のレベルである
×:隣り合うdotが滲んで混じりあっており、使用に耐えないレベルである
(印刷物しわ、カールの評価)
10m、100m及び500m印刷した直後に、各印刷物について、照射・硬化によりしわやカールが発生していないかを目視観察し、下記の評価基準に則り評価した。
【0115】
◎:しわやカールの発生が全く無く、極めて良好である
○:しわやカールの発生がほぼ無く、良好である
△:ややしわやカールの発生が認められるが、実用上許容の範囲にある
×:印刷物に強いしわやカールが認められ、実用上問題となる
以上により得られた各評価結果を、表6に示す。
【0116】
【表6】
【0117】
表6より明らかなように、本発明に係るインク組成物セットを用いた画像形成方法は、あらゆる記録材料に対して、文字品質に優れ、色混じりの発生もなく、高精細な画像を記録することができ、かつ印刷物のしわやカールの発生が無いことが分かる。
【0118】
実施例2
《インク組成物の調製》
表7に記載の構成からなるインク組成物セット5(比較例)及び表8〜10に記載の構成からなるインク組成物セット6〜8(本発明)を調製した。
【0119】
【表7】
【0120】
【表8】
【0121】
【表9】
【0122】
【表10】
【0123】
表7〜表10に記載の各化合物の詳細は、以下の通りである。
K:濃ブラックインク
C:濃シアンインク
M:濃マゼンタインク
Y:濃イエローインク
W:ホワイトインク
Lk:淡ブラックインク
Lc:淡シアンインク
Lm:淡マゼンタインク
Ly:淡イエローインク
色材1:C.I.pigment Black−7
色材2:C.I.pigment Blue−15:3
色材3:C.I.pigment Red−57:1
色材4:C.I.pigment Yellow−13
色材5:酸化チタン(アナターゼ型 平均粒径0.20μm)
セロキサイド2081:ダイセル化学工業社製
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業社製
SP152:旭電化化学工業
*1:ジエチルチオキサントン
【0124】
【化18】
【0125】
【化19】
【0126】
《インクジェット画像形成方法》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置に、上記調製した各インク組成物セットを装填し、表11に記載の表面エネルギーをもつ巾600mm、長さ1000mの長尺の各記録材料へ下記の各画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して70℃の加温を行った。ピエゾヘッドは、2〜15plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動して、各インクを連続吐出した。着弾した後、0.15秒後に、表11に記載の照射条件により硬化処理を行った。記録後、トータルインク膜厚を測定したところ、実施例1に比較して、白インクを用いたため厚くなり、2.3〜19.6μmの範囲であった。
【0127】
【表11】
【0128】
なお、表11に記載の実施例1に記載した以外の各記録材料の略称の詳細は、以下の通りである。
【0129】
OPS:oriented polystyrene
また、表11に記載の照射光源の詳細は、以下の通りである。
【0130】
照射光源4:冷陰極管(ハイベック社製)
照射光源5:LED(日亜化学工業社製)
照射光源6:ブラックライト(ニッポ電気社製)
《インクジェット記録画像の評価》
上記画像形成方法で記録した各画像について、連続吐出した画像記録の印字後10mの試料、100mの試料及び500mの試料について、実施例1に記載の方法に準じて、文字品質、色混じり及び印刷物しわ、カールの評価を行い、得られた結果を表12に示す。
【0131】
【表12】
【0132】
表12より明らかなように、実施例1の結果と同様に、本発明に係るインク組成物セットを用いた画像形成方法は、あらゆる記録材料に対して、文字品質に優れ、色混じりの発生もなく、高精細な画像を記録することができ、かつ印刷物のしわやカールの発生が無いことが分かる。
【0133】
【発明の効果】
本発明により、あらゆる記録材料に対し、文字品質に優れ、色混じりの発生がなく、高精細な画像を記録することができ、かつ印刷物のしわやカールの発生が無いインクジェット記録方法による画像形成方法、印刷物及び記録装置を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、あらゆる記録材料に、高精細な画像を記録材料の収縮なく安定に再現できるインクジェット記録方法による画像形成方法、印刷物及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
【0003】
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式などである。
【0004】
中でも、UVインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、例えば、特公平5−54667号、特開平6−200204号、特表2000−504778において、紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている。
【0005】
しかしながら、これらのインクを用いたとしても、記録材料の種類や作業環境によって、着弾後のドット径が大きく変化してしまい、すべての記録材料に対して、高精細な画像を形成することは不可能である。
【0006】
また、従来のUVインクジェット方式に用いられるインクは、記録材料が収縮しやすいという問題点があった。特に、食品包装をはじめとする軟包装で使われる薄膜プラスチックフィルムや、粘着ラベルなどでは、特に収縮が起こりやすく、その結果、軟包装印刷やラベル印刷において、UVインクジェット方式が未だ実用化されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、あらゆる記録材料に対し、文字品質に優れ、色混じりの発生がなく、高精細な画像を記録することができ、かつ印刷物のしわやカールの発生が無いインクジェット記録方法による画像形成方法、印刷物及び記録装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0009】
1.選択的にインク滴の吐出制御可能な少なくとも1つのノズルを有する記録ヘッドで、活性光線により硬化するインクを記録材料上に吐出する画像形成方法において、該インクが光酸発生剤と疎水性基を有するオキセタン化合物とを含有することを特徴とする画像形成方法。
【0010】
2.前記疎水性基を有するオキセタン化合物が、親水性基を有していない化合物であることを特徴とする前記1項に記載の画像形成方法。
【0011】
3.前記疎水性基を有するオキセタン化合物の比重が、0.8以上であることを特徴とする前記1または2項に記載の画像形成方法。
【0012】
4.前記インクが着弾した後、0.001〜2.0秒の間で活性光線を照射することを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0013】
5.前記インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0014】
6.前記記録ヘッドの各ノズルより吐出するインク液滴量が、一回の吐出あたり2〜15plであることを特徴とする前記1〜5項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0015】
7.前記インクの少なくとも1色が、白インクであることを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0016】
8.前記インクの少なくとも1色が、エポキシ化合物又はビニルエーテル化合物を含有することを特徴とする前記1〜7項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0017】
9.非吸収性記録材料を用いて、前記1〜8項のいずれか1項に記載の画像形成方法により作製したことを特徴とする印刷物。
【0018】
10.前記非吸収性記録材料の表面エネルギーが、35〜60mN/mであることを特徴とする前記9項に記載の印刷物。
【0019】
11.前記1〜8項のいずれか1項に記載の画像形成方法で用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜50mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
【0020】
12.前記9又は10項に記載の印刷物の作製に用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜50mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
【0021】
13.前記1〜8項のいずれか1項に記載の画像形成方法で用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜3000mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
【0022】
14.前記9又は10項に記載の印刷物の作製に用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜3000mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
【0023】
15.前記記録ヘッド及びインクを、35〜100℃に加熱してインクを吐出することを特徴とする前記11〜14項のいずれか1項に記載の記録装置。
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
はじめに、本発明に係るインクの詳細について説明する。
【0025】
本発明に係るインクの組成としては、光酸発生剤と共に、疎水性基を有するオキセタン化合物を含有することが特徴である。
【0026】
本発明に係るオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526、特開2001−310937に紹介されているような公知のオキセタン化合物のなかで、疎水基を有している化合物である。
【0027】
本発明でいう疎水性基としては、脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)及び脂環基である。置換基としては、脂肪族基、芳香族基、脂環基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、N−置換スルファモイル基、カルバモイル基、アラルキル基、アシル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0028】
また、本発明に係るオキセタン化合物としては、親水性基を有していないオキセタン化合物であることが好ましい。本発明でいう親水性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を挙げることができる。
【0029】
また、本発明に係るオキセタン化合物においては、その比重が0.8以上であることが好ましく、より好ましくは0.8〜2.0であり、特に好ましくは0.9〜2.0である。
【0030】
本発明に係るオキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0031】
以下、本発明に係るオキセタン環を有する化合物の具体例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
1個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
【0033】
【化1】
【0034】
一般式(1)において、R1は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基であり、特に、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基であることが好ましい。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等であり、特に好ましくはフェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基である。
【0035】
本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
【0036】
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0037】
【化2】
【0038】
一般式(2)において、R1は、上記一般式(1)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等であり、特に好ましくは、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基である。
【0039】
また、R3としては、下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基であり、特に好ましくは下記一般式(3)または(4)で表される化合物である。
【0040】
【化3】
【0041】
一般式(3)において、R4は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
【0042】
【化4】
【0043】
一般式(4)において、R5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2、又はC(CH3)2を表す。
【0044】
【化5】
【0045】
一般式(5)において、R6は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に、下記一般式(6)で示される基から選択される基も挙げることができる。
【0046】
【化6】
【0047】
一般式(6)において、R8は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
【0048】
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(7)で示される化合物が挙げられる。
【0049】
【化7】
【0050】
一般式(7)において、R1は、前記一般式(1)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
【0051】
【化8】
【0052】
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
【0053】
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。
【0057】
本発明者はこれらの疎水性基を有するオキセタン化合物を用いることで、インクジェット記録において問題であった印刷物のしわ及びカールを大幅に良化させることができること、更には、インクの滲みを向上させることができることを新たに見出したものである。更に、上記構成の本発明に係るインクを用いることにより、インクジェット記録において最大の課題であるインク吐出安定性が非常に向上し、再現性よく高精細な画像を形成できることも見出した。また、本発明の目的の1つである環境の変化に対しての変動を小さくすることができた。
【0058】
本発明で用いることのできる光酸発生剤としては、公知のあらゆる光酸発生剤を挙げることができる。
【0059】
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0060】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −塩を挙げることができる。
【0061】
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
【0062】
【化11】
【0063】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
【0064】
【化12】
【0065】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
【0066】
【化13】
【0067】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0068】
【化14】
【0069】
本発明に係るインクは、特開平8−248561号、特開平9−34106号をはじめてとし、既に公知となっている活性光線の照射で発生した酸により新たに酸を発生する酸増殖剤を含有することが好ましい。酸増殖剤を用いることで、さらなる吐出安定性向上を可能とする。
【0070】
本発明に係るインクでは、対イオンとしてアリールボレート化合物を有するジアゾニウム、ヨードニウム又はスルホニウムの芳香族オニウム化合物、鉄アレン錯体から選ばれる少なくとも1種の光酸発生剤が含有されることが好ましい。
【0071】
特に、軟包装印刷、ラベル印刷分野においては、上記記録材料のしわの問題、吐出安定性の問題から、活性光線硬化型インクジェット記録が実用化されるまでには至っていなかったが、本発明は、それらの分野でも十分に使用し得る画像形成方法を提示するものである。
【0072】
次に、本発明に用いられる光重合性化合物について説明する。
光カチオン重合性モノマーとしては、上記記載の本発明に係るオキセタン化合物と共に、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、特開2001−40068、特開2001−55507、特開2001−310938、特開2001−310937、特開2001−220526に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物などが挙げられる。
【0073】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0074】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0075】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0076】
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0077】
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0078】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0079】
本発明に係るインク組成物を着色する場合は、色材を添加する。色材としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる各種色材を使用することができるが、耐候性の観点から顔料が好ましい。
【0080】
本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
C.I Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、81、83、87、95、109、42、
C.I Pigment Orange−16、36、38、
C.I Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、144、146、185、101、
C.I Pigment Violet−19、23、
C.I Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29、
C.I Pigment Green−7、36、
C.I Pigment White−6、18、21、
C.I Pigment Black−7、
また、本発明において、プラスチックフィルムのような透明基材での色の隠蔽性を上げる為に、白インクを用いることが好ましい。特に、軟包装印刷、ラベル印刷においては、白インクを用いることが好ましいが、吐出量が多くなるため、前述した吐出安定性、記録材料のカール・しわの発生の観点から、自ずと使用量に関しては制限がある。
【0081】
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としてはAvecia社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明に用いる照射線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0082】
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
【0083】
本発明に係るインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
【0084】
本発明に係るインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、インク組成物の保存性を高めるため、重合禁止剤を200〜20000ppm添加することができる。紫外線硬化型のインクは、加熱、低粘度化して射出することが好ましいので、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも重合禁止剤を入れることが好ましい。この他にも、必要に応じて、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。記録媒体との密着性を改善するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その使用量は0.1〜5%の範囲であり、好ましくは0.1〜3%である。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0085】
本発明の画像形成方法においては、インク組成物をインクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させる。
【0086】
本発明において、インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が、2〜20μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、記録材料が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した記録材料のカール・しわの問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため使えない。
【0087】
インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
【0088】
また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要であるが、この液滴量で吐出する場合、前述した吐出安定性が特に厳しくなり、酸増殖剤が必須となる。
【0089】
本発明の画像形成方法においては、発生光線の照射条件として、インク着弾後0.001〜2.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜1.0秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
【0090】
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらのいずれの照射方法も用いることができる。
【0091】
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、かつ、全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
【0092】
本発明では、硬化に有効な波長域における最高照度が0.1〜50mW/cm2の低照度の活性光線を用いることが好ましい。従来、UVインクジェット方式では、インク着弾後のドット広がり、滲みを抑制のために、硬化に有効な波長域における最高照度が50mW/cm2を超える高照度の光源が用いられるのが通常であった。しかしながら、これらの光源を用いると、特にシュリンクラベルなどでは、記録材料の収縮があまりにも大きく、実質上使用できないのが現状であった。本発明では、酸増殖剤を用いることで、硬化に有効な波長域における最高照度が0.1〜50mW/cm2の低照度の活性光線を用いても、高精細な画像を形成でき、かつ、記録材料の収縮もない。
【0093】
活性光線照射で用いる光源の例としては、低圧水銀ランプ、UVレーザー、キセノンフラッシュランプ、捕虫灯、ブラックライト、殺菌灯、冷陰極管、LEDをなどがあるが、これらに限定されない。
【0094】
また、本発明では、硬化に有効な波長域における最高照度が50〜3000mW/cm2の活性光線を用いることも有効である。従来のUVインクジェット記録に用いられる高照度の光源であるが、上述のように記録材料の収縮課題が有り、軟包装印刷・ラベル印刷分野では実質UVインクジェット記録は使用されていなかった。本発明の構成では、この問題は解消され、従来使われている高照度の光源を用いても、各種プラスチックフィルムへの高精細画像の形成が可能となる。光源の例としては、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極UVランプなどが有るが、これらに限定されない。
【0095】
本発明で用いることのできる記録材料としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
【0096】
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録材料によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60dyn/cmの広範囲の記録材料に良好な高精細な画像を形成できる。
【0097】
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録材料を使用する方が有利である。
【0098】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
【0099】
《インク組成物の調製》
表1に記載の構成からなるインク組成物セット1(比較例)及び表2〜4に記載の構成からなるインク組成物セット2〜4(本発明)を調製した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
表1〜表4に記載の各インクと各化合物の詳細は、以下の通りである。
K:濃ブラックインク
C:濃シアンインク
M:濃マゼンタインク
Y:濃イエローインク
Lk:淡ブラックインク
Lc:淡シアンインク
Lm:淡マゼンタインク
Ly:淡イエローインク
色材1:C.I.pigment Black−7
色材2:C.I.pigment Blue−15:3
色材3:C.I.pigment Red−57:1
色材4:C.I.pigment Yellow−13
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業社製
V−1:RAPI−CURE DVE−3 アイエスピー・ジャパン社製
BBI102:みどり化学社製
*1:ジエチルチオキサントン
【0105】
【化15】
【0106】
【化16】
【0107】
【化17】
【0108】
《インクジェット画像形成方法》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置に、上記調製した各インク組成物セットを装填し、表5に記載の各表面エネルギーを有する巾600mm、長さ1000mの長尺の各記録材料へ、下記の各画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。ピエゾヘッドは、2〜15plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動して、各インクを連続吐出した。着弾した後、0.2秒後に、表5に記載の照射条件で硬化処理を行った。記録後、トータルインク膜厚を測定したところ、2.3〜13μmの範囲であった。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。なお、評価は温度23℃/相対湿度40%でそれぞれ行った。
【0109】
【表5】
【0110】
なお、表5に記載の各記録材料の略称の詳細は、以下の通りである。
OPP:oriented polypropylene
PET:polyethylene terephthalate
ONy:oriented nylon
PVC:polyvinylchloride
また、表5に記載の照射光源の詳細は、以下の通りである。
【0111】
照射光源1:120W/cmメタルハライドランプ(日本電池社製 MAL
400NL)
照射光源2:80W/cm高圧水銀ランプ(日本電池社製 HN−64NL)照射光源3:無電極UVランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製
F450シリーズ)
《インクジェット記録画像の評価》
上記画像形成方法で記録した各画像について、下記の各評価を行った。なお、各評価は、連続吐出した画像記録の印字後10mの試料、100mの試料及び500mの試料について行った。
【0112】
(文字品質の評価)
Y、M、C、Kの各色を、目標とする濃度で6ポイントMS明朝体文字を印字し、文字のガサツキをルーペで拡大観察し、下記の基準に則り文字品質の評価を行った。
【0113】
◎:ガサツキがない
○:僅かにガサツキが認められる
△:ガサツキが認められるが、文字として判別できる
×:ガサツキが激しく、文字がかすれていて使用に耐えないレベルである
(色混じり(にじみ)の評価)
Y、M、C、Kの各色を、目標とする濃度で6ポイントMS明朝体文字を印字し、隣り合う各色dotをルーペで拡大して滲み具合を目視観察し、下記の基準に則り色混じりの評価を行った。
【0114】
◎:隣り合うdot形状が真円を保ち、滲みがない
○:隣り合うdot形状はほぼ真円を保ち、ほとんど滲みがない
△:隣り合うdotが少し滲んでいてdot形状が少しくずれているが、許容範囲のレベルである
×:隣り合うdotが滲んで混じりあっており、使用に耐えないレベルである
(印刷物しわ、カールの評価)
10m、100m及び500m印刷した直後に、各印刷物について、照射・硬化によりしわやカールが発生していないかを目視観察し、下記の評価基準に則り評価した。
【0115】
◎:しわやカールの発生が全く無く、極めて良好である
○:しわやカールの発生がほぼ無く、良好である
△:ややしわやカールの発生が認められるが、実用上許容の範囲にある
×:印刷物に強いしわやカールが認められ、実用上問題となる
以上により得られた各評価結果を、表6に示す。
【0116】
【表6】
【0117】
表6より明らかなように、本発明に係るインク組成物セットを用いた画像形成方法は、あらゆる記録材料に対して、文字品質に優れ、色混じりの発生もなく、高精細な画像を記録することができ、かつ印刷物のしわやカールの発生が無いことが分かる。
【0118】
実施例2
《インク組成物の調製》
表7に記載の構成からなるインク組成物セット5(比較例)及び表8〜10に記載の構成からなるインク組成物セット6〜8(本発明)を調製した。
【0119】
【表7】
【0120】
【表8】
【0121】
【表9】
【0122】
【表10】
【0123】
表7〜表10に記載の各化合物の詳細は、以下の通りである。
K:濃ブラックインク
C:濃シアンインク
M:濃マゼンタインク
Y:濃イエローインク
W:ホワイトインク
Lk:淡ブラックインク
Lc:淡シアンインク
Lm:淡マゼンタインク
Ly:淡イエローインク
色材1:C.I.pigment Black−7
色材2:C.I.pigment Blue−15:3
色材3:C.I.pigment Red−57:1
色材4:C.I.pigment Yellow−13
色材5:酸化チタン(アナターゼ型 平均粒径0.20μm)
セロキサイド2081:ダイセル化学工業社製
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業社製
SP152:旭電化化学工業
*1:ジエチルチオキサントン
【0124】
【化18】
【0125】
【化19】
【0126】
《インクジェット画像形成方法》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置に、上記調製した各インク組成物セットを装填し、表11に記載の表面エネルギーをもつ巾600mm、長さ1000mの長尺の各記録材料へ下記の各画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して70℃の加温を行った。ピエゾヘッドは、2〜15plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動して、各インクを連続吐出した。着弾した後、0.15秒後に、表11に記載の照射条件により硬化処理を行った。記録後、トータルインク膜厚を測定したところ、実施例1に比較して、白インクを用いたため厚くなり、2.3〜19.6μmの範囲であった。
【0127】
【表11】
【0128】
なお、表11に記載の実施例1に記載した以外の各記録材料の略称の詳細は、以下の通りである。
【0129】
OPS:oriented polystyrene
また、表11に記載の照射光源の詳細は、以下の通りである。
【0130】
照射光源4:冷陰極管(ハイベック社製)
照射光源5:LED(日亜化学工業社製)
照射光源6:ブラックライト(ニッポ電気社製)
《インクジェット記録画像の評価》
上記画像形成方法で記録した各画像について、連続吐出した画像記録の印字後10mの試料、100mの試料及び500mの試料について、実施例1に記載の方法に準じて、文字品質、色混じり及び印刷物しわ、カールの評価を行い、得られた結果を表12に示す。
【0131】
【表12】
【0132】
表12より明らかなように、実施例1の結果と同様に、本発明に係るインク組成物セットを用いた画像形成方法は、あらゆる記録材料に対して、文字品質に優れ、色混じりの発生もなく、高精細な画像を記録することができ、かつ印刷物のしわやカールの発生が無いことが分かる。
【0133】
【発明の効果】
本発明により、あらゆる記録材料に対し、文字品質に優れ、色混じりの発生がなく、高精細な画像を記録することができ、かつ印刷物のしわやカールの発生が無いインクジェット記録方法による画像形成方法、印刷物及び記録装置を提供することができた。
Claims (15)
- 選択的にインク滴の吐出制御可能な少なくとも1つのノズルを有する記録ヘッドで、活性光線により硬化するインクを記録材料上に吐出する画像形成方法において、該インクが光酸発生剤と疎水性基を有するオキセタン化合物とを含有することを特徴とする画像形成方法。
- 前記疎水性基を有するオキセタン化合物が、親水性基を有していない化合物であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記疎水性基を有するオキセタン化合物の比重が、0.8以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
- 前記インクが着弾した後、0.001〜2.0秒の間で活性光線を照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記記録ヘッドの各ノズルより吐出するインク液滴量が、一回の吐出あたり2〜15plであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記インクの少なくとも1色が、白インクであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記インクの少なくとも1色が、エポキシ化合物又はビニルエーテル化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 非吸収性記録材料を用いて、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法により作製したことを特徴とする印刷物。
- 前記非吸収性記録材料の表面エネルギーが、35〜60mN/mであることを特徴とする請求項9に記載の印刷物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法で用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜50mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
- 請求項9又は10に記載の印刷物の作製に用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜50mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法で用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜3000mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
- 請求項9又は10に記載の印刷物の作製に用いる記録装置において、活性光線の硬化に有効な波長域でのピーク照度が、0.1〜3000mW/cm2であることを特徴とする記録装置。
- 前記記録ヘッド及びインクを、35〜100℃に加熱してインクを吐出することを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の記録装置。
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