JP2004015737A - 弾性波装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】特性の劣化を抑制しつつ小型化された弾性波装置を提供することを目的とする。
【解決手段】対向する櫛型電極からなるIDT電極3,4と、IDT電極3,4の外側に配設された2以上の格子状の電極指からなる反射電極51,52とを圧電体基板2上に形成した弾性波装置20において、IDT電極3,4の一方の櫛型電極32,42と反射電極51,52とを導通させるとともに、反射電極51,52が、電極指間隔をSとし、nを自然数としたとき、幅Lの電極指53と、幅n(L+S)+Lの電極指54とからなる。
【選択図】 図4
【解決手段】対向する櫛型電極からなるIDT電極3,4と、IDT電極3,4の外側に配設された2以上の格子状の電極指からなる反射電極51,52とを圧電体基板2上に形成した弾性波装置20において、IDT電極3,4の一方の櫛型電極32,42と反射電極51,52とを導通させるとともに、反射電極51,52が、電極指間隔をSとし、nを自然数としたとき、幅Lの電極指53と、幅n(L+S)+Lの電極指54とからなる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性波装置に係り、更に詳しくは、通信機器や電子機器などの回路において使用され、弾性波を伝搬する弾性波装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の弾性波装置の1種であるSAWフィルタ11の構成を示した図である。図中の11は弾性波装置、2は弾性体である圧電体基板、3は電気から弾性表面波へのエネルギー変換を行う入力側IDT電極(Inter Digital Transducer:すだれ状電極)、4は弾性表面波から電気へのエネルギー変換を行う出力側IDT電極である。また、33及び43はIDT電極の電極指、61、62及び63は電極パッド(ボンディングパッド)、71は入力端子、72は出力端子、73はグランド端子、8はボンディングワイヤである。
【0003】
SAWフィルタ11での弾性波伝搬の動作について説明する。入力端子71に印加された電気信号は、SAW(Surface Acoustic Waves:弾性表面波)に変換される。すなわち、入力信号は、入力側IDT3の電極指33の交差部において、隣接する電極指33間に電界を生じさせる。このとき、圧電体基板2が圧電体からなるため、上記電界によって歪が生じる。入力信号が周波数fの場合、生じる歪も周波数fで振動し、これが弾性表面波となって、電極指33に垂直な方向に伝搬する。
【0004】
また、出力側IDT電極4では、弾性表面波が再び電気信号に変換され、出力端子72から出力される。すなわち、入力側IDT電極3と出力側IDT電極4は、互いの電極指が平行となるように配置され、入力側IDT電極から伝搬した弾性表面波が、出力側IDT4の電極指43の交差部において、隣接する電極指43間に歪みを生じさせ、各電極指43間に電位差を生じさせる。この様な電気信号から表面弾性波への変換と、表面弾性波から電気信号への変換は互いに可逆な過程である。
【0005】
図6は、従来の2ポート型弾性波装置12の構成を示した図である。図中の12は弾性波装置、31及び32は入力側IDT電極3を構成する櫛形電極、41及び42は出力側IDT電極4を構成する櫛形電極、51及び52はIDT電極3,4の外側に配設された反射電極、53は反射電極の格子状の電極指(ストリップライン)である。
【0006】
入力側IDT電極3及び出力型IDT電極4は、それぞれを構成する櫛形電極の電極指が平行となるように隣接して配置されている。また、反射電極51,52は、その電極指53がIDT電極3,4の電極指と平行となるように、IDT電極3,4に隣接させて両側に配置されている。
【0007】
図7及び図8は、図6の2ポート型弾性波装置12を用いて構成される異なるタイプの2ポート型弾性波装置を示した図である。図中の61は入力用電極パッド、62は出力用電極パッド、63はグランド用電極パッド、73はグランド電位点である。
【0008】
図7の2ポート型弾性波装置13は、入力側IDT電極3の上部に入力用電極パッド61、下部にグランド用電極パッド63が形成され、出力側IDT電極4の上部にグランド用電極パッド63、下部に出力用電極パッド62が形成されている。これに対し、図8の2ポート型弾性波装置14は、入力側IDT電極3については同じであるが、出力側IDT電極4の上部に出力用電極パッド62,下部にグランド用電極パッド63が形成されており、図7の場合とは逆になっている。
【0009】
2ポート型弾性波装置の場合、共振点位相に応じて、0度タイプと、0度タイプに対し位相が反転する180度タイプとが存在し、図7を0度タイプの2ポート型弾性波装置13とすれば、図8は180度タイプの2ポート型弾性波装置14となる。この様に2ポート型弾性波装置では電極配置は等しくても、共振点位相が異なる0度タイプ又は180度タイプによって、入出力用電極パッド61,62とグランド用電極パッド63の位置が異なることになる。
【0010】
このため、0度タイプと180度タイプの2種類の2ポート型弾性波装置13,14を同一部品を用いて実現しようとすると、入力用電極パッドと出力用電極パッドの位置が異なり、どちらか一方のタイプ(本説明では図7の0度タイプ)のボンディングワイヤが長くなり、外部振動等による振れで種々の問題が発生することがある。
【0011】
このような問題を解決するために、0度タイプの2ポート型弾性波装置と、180度タイプの2ポート型弾性波装置を異なる部品により構成することも考えられるが、その場合、製造工程が複雑化し、コストを上昇させてしまうという問題があった。
【0012】
一方、主に携帯電話などの移動体通信機器に用いられる弾性波装置には常に更なる小型化が求められており、1つの通過帯域を有するシングル・バンド・フィルタは従来の3mm角から2520サイズのパッケージへ、2以上の通過帯域を有するデュアル・バンド・フィルタにおいても3.8mm角から3mm角あるいは3025サイズパッケージへサイズダウンが図られている。
【0013】
このようなフィルタへの小型化要求を実現しようとすると、弾性波装置の圧電体基板チップサイズの縮小化を進めなければならず、こうした場合、限られたチップサイズ内に幾つものSAW共振器および電極パッドを詰め込まなければならない。
【0014】
また、当然パッケージのサイズも小型化しなければならないが、パッケージが小さくなると各層を薄くし、あるいはスルーホール径を小さくするなどの検討を行うことが必要となる。また、デュアルバンドフィルタでは1つのパッケージに必要なHot端子の数が増加することになる。
【0015】
このような場合、限られたパッケージスペース内、詳しくはパッケージ壁面内に各電極パッドから各裏面端子への配線が詰め込まれることになり、配線間の間隔が狭くなり、配線間での結合が増える傾向にある。そのため、いわゆるグランド(Gnd)が完全にはグランドに落ちなくなり、内部配線パターンなどによっては使用するグランド用端子によって帯域外減衰量に差異が現れることもある。
【0016】
しかも、上述した通り、共振器パターンによっては圧電体基板チップ側電極パッドの配置が制限されるため、使用したいパッケージ側電極パッドを自由に選択できず、帯域外減衰特性の改善が難しいという問題点があった。
【0017】
このような問題点に鑑みて改良された2ポート型弾性波装置が従来から提案されている。図9及び図10は、特開平3−40512号公報に開示されている従来の2ポート型弾性波装置15,16の構成を示した図である。
【0018】
図9及び図10の2ポート型弾性波装置15,16は、いずれもIDT電極3,4の一方の櫛形電極31,41が、従来の通り、電極パッドに接続されるとともに、他方の櫛形電極32,42が反射電極51,52を介して反対側の電極パッドに接続されている。このため、各電極パッド61〜63をIDT電極3,4に対し同じ方向に配置させることができ、圧電体基板2上の一側部に沿って一列に配置させることができる。
【0019】
すなわち、図9に示した2ポート型弾性波装置15では、IDT電極3の下部の櫛形電極32をバスバー9を介して隣接する反射電極51の下部と導通させ、反射電極51の上部を入力用電極パッド61に接続することにより、櫛形電極32が反射電極51を介して入力用電極パッド61に接続されている。また、IDT電極4の下部の櫛形電極42をバスバー9を介して隣接する反射電極52の下部と導通させ、反射電極52の上部をグランド用電極パッド63に接続することにより、櫛形電極42が反射電極52を介してグランド用電極パッド63に接続されている。
【0020】
全く同様にして、図10に示した2ポート型弾性波装置16では、IDT電極3の下部の櫛形電極32をバスバー9を介して隣接する反射電極51の下部と導通させ、反射電極51の上部を入力用電極パッド61に接続することにより、櫛形電極32が反射電極51を介して入力用電極パッド61に接続されている。また、IDT電極4の下部の櫛形電極42をバスバー9を介して隣接する反射電極52の下部と導通させ、反射電極52の上部を出力用電極パッド62に接続することにより、櫛形電極42が反射電極52を介して出力用電極パッド62に接続されている。
【0021】
この様にして、反射電極51,52を引き回しパターンの一部として用いることによって、電極パッド61〜63の圧電体基板2上での配置が、ある程度自由に選択できるようになり、小型の弾性波装置を得ることができる。
【0022】
また、図9の2ポート型弾性波装置15は0度タイプに該当し、図10の2ポート型弾性波装置16は、180度タイプに該当するが、電極パッド61〜63を圧電体基板2上の一方に配列させたことによって、0度タイプと180度タイプと電極パッドの位置が大きく変化しないため、2種類の部品を用意する必要はなくなり、製造工程の複雑化やコスト上昇を抑制することもできる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、IDT電極3,4および反射電極51,52、電極パッド61〜63は同一の導体膜で形成され、主にアルミまたはアルミに極少量の銅、チタン、クロムなどを混ぜた合金、金を主成分としたものなどが用いられている。これらの電極膜材料は薄膜として圧電体基板2上に堆積され、フォトリソグラフィで形成される。
【0024】
通常、これらの電極膜には、導体抵抗がほとんどないが、IDT電極3,4及び反射電極51,52の各電極パッド61〜63及びバスバー9から距離的に遠い先の部分では、他の部分と比較して導体抵抗が若干大きく観測される場合もある。特に、膜厚が薄い場合に導体抵抗が大きく観測される。使用周波数帯が高くなるのに応じて電極指幅は細くなるため、このような抵抗分は無視できなくなる。
【0025】
上記公報に開示された従来の弾性波装置は、反射電極51,52に接続される櫛型電極32,42が、入力用、出力用又はグランド用のいずれであってもよいとされている。しかしながら、実際には反射電極51,52を入出力信号の引き回しパターンとして用いた場合、信号の伝搬経路が長くなることにより伝播損、主に抵抗損が増大し、電気特性に悪い影響が現れる。
【0026】
また、反射電極51,52をグランド電極の引き回しパターンとして用いた場合であっても、使用周波数帯が数百MHz以上になると1μm程度、使用周波数帯が1GHz以上になるとサブミクロンオーダーの電極指幅が必要となることから、引き回しパターン(反射電極51,52)における抵抗損が無視できなくなり、やはり電気特性に悪い影響が現れる。
【0027】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、電気的特性の劣化を抑制しつつ小型化することができる弾性波装置を提供することを目的とする。特に、入出力信号の抵抗損を抑制しつつ小型化された弾性波装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明による弾性波装置は、対向する櫛型電極からなるIDT電極と、IDT電極の外側に配設された2以上の格子状の電極指からなる反射電極とを圧電体基板上に形成した弾性波装置であって、上記IDT電極の一方の櫛型電極と上記反射電極とを導通させるとともに、上記反射電極が、電極指間隔をSとし、nを自然数としたとき、幅Lの電極指と、幅n(L+S)+Lの電極指とからなることを特徴とする。
【0029】
この様な構成により、反射電極を構成する一部の電極指をより太くして反射電極における抵抗を小さくするとともに、太い電極指においても高次のモードとして所定周波数の表面弾性波を反射させることができる。すなわち、電極指幅がL、電極指間隔がSの反射電極の一部の電極指について、その幅をn(L+S)+Lとすることによって、反射電極を引き回しパターンとして用いる場合に、反射電極における抵抗損を低減するとともに、これに伴って生ずる反射特性の劣化を抑制することができる。
【0030】
請求項2に記載の本発明による弾性波装置は、請求項1に記載の構成に加えて、上記反射電極と導通された櫛型電極が、反射電極を介してグランドに接続されたグランド櫛型電極であることを特徴とする。反射電極の一部の電極指幅を太くしたとしても、電極指の抵抗による特性劣化は生ずる。このため、反射電極を引き回しパターンの一部として用いる場合、グランドに導通される櫛形電極を引き回せば、入出力信号が反射電極の抵抗損によって劣化するのを防止できる。従って、グランドに接続される櫛型電極を反射電極と導通させることが好ましい。
【0031】
請求項3に記載の本発明による弾性波装置は、請求項1に記載の構成に加えて、幅n(L+S)+Lの電極指が、幅Lの電極指よりも外側に配列されることを特徴とする。反射電極の外側では入射する表面弾性波の強度が弱くなるため、幅n(L+S)+Lの電極指を幅Lの電極指よりも外側に配列することによって、太い電極指が反射電極の反射特性に与える影響をより小さくすることができる。
【0032】
請求項4に記載の本発明による弾性波装置は、請求項1に記載の構成に加えて、上記反射電極と導通された櫛型電極が、反射電極を介してグランドに接続されたグランド櫛型電極であり、幅n(L+S)+Lの電極指が、幅Lの電極指よりも外側に配列されることを特徴とする。グランドに導通される櫛形電極を引き回せば、入出力信号が反射電極の抵抗損によって劣化するのを防止できるとともに、太い電極指をより外側に配列することによって、太い電極指が反射電極の反射特性に与える影響をより小さくすることができる。
【0033】
請求項5に記載の本発明による弾性波装置は、請求項1から4のいずれかに記載の構成に加えて、上記反射電極が、幅n(L+S)+Lの電極指を2以上有することを特徴とする。反射電極が太い電極指を2以上有することにより、反射電極における抵抗損をより低減することができる。
【0034】
請求項6に記載の本発明による弾性波装置は、対向する櫛型電極からなる入力側IDT電極と、対向する櫛型電極からなり、入力側IDT電極に隣接して配置された出力側IDT電極と、2以上の格子状の電極指からなり、これらのIDT電極の両側に配設される2つの反射電極とを圧電体基板上に形成した弾性波装置において、上記各IDT電極の一方の櫛型電極を、それぞれ隣接する反射電極に導通させるとともに、各反射電極が、電極指間隔をSとし、nを自然数としたとき、幅Lの電極指と、幅n(L+S)+Lの電極指とからなることを特徴とする。
【0035】
2以上の隣接するIDT電極の両側に2つの反射電極が配設され、それぞれがIDT電極の引き回しパターンとして用いられる場合には、各反射電極について一部の電極指幅をn(L+S)+Lとし、ともに抵抗損を低減するとともに反射特性の劣化を抑制することが望ましい。
【0036】
請求項7に記載の本発明による弾性波装置は、請求項6に記載の構成に加えて、反射電極に導通された上記一方の櫛型電極が、反射電極を介して圧電体基板上の他方の櫛型電極側に設けられた電極パッドに接続されることを特徴とする。この様な構成により、圧電体基板上で電極パッドをIDT電極に対し同じ側に配置させることができる。このため、例えば、電極パッドを一列に配置させることもできる。
【0037】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明による弾性波装置17の一構成例を示した図である。図中の2は圧電体基板、3は入力側のIDT電極、4は出力側のIDT電極、51及び52は反射電極である。また、31はIDT電極3の上側の櫛型電極、32はIDT電極3の下側の櫛型電極、33は櫛型電極31,32の電極指、41はIDT電極4の上側の櫛型電極、42はIDT電極4の下側の櫛型電極、43は櫛型電極41,42の電極指である。
【0038】
また、53は反射電極51,52の細い電極指、54は反射電極51,52の太い電極指、61は入力用電極パッド、62は出力用電極パッド、63はグランド用電極パッド、71は入力端子、72は出力端子、73はグランド端子、8はボンディングワイヤ、9はバスバーである。
【0039】
櫛形電極31,32は、ともに複数の電極指33からなり、互いの電極指33が交互となるように対向して配置され、入力側IDT電極3を構成している。同様にして、櫛形電極41及び42は、ともに複数の電極指43からなり、互いの電極指43が交互となるように対向して配置され、出力側IDT電極4を構成している。
【0040】
反射電極51,52は、ストリップラインからなるグレーティング反射電極であり、平行に配置された複数の電極指、すなわち、細い電極指53及び太い電極指54により構成される。各電極指53,54は、間隔Sにて等間隔に配置されており、電極指53の幅はLであるのに対し、電極指54の幅は2L+Sとなっている。
【0041】
入力側IDT電極3及び出力側IDT電極4は、それぞれの電極指33が平行となるように隣接して配置され、その両側に隣接して反射電極51,52が配置されている。また、反射電極51,52の電極指53,54は、IDT電極3,4の電極指と平行となるように配置される。
【0042】
IDT電極3の上部の櫛形電極31は、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続され、グランドとして利用される。同様にして、IDT電極4の上部の櫛形電極41も、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続され、グランドとして利用される。
【0043】
IDT電極3の下部の櫛形電極32は、バスバー9を介して隣接する反射電極51の下部と導通され、反射電極51の上部は入力用電極パッド61に接続されている。このため、下部の櫛形電極32は、バスバー9、反射電極51及び入力用電極パッド61を介して入力端子71に接続され、反射電極51が引き回しパターンの一部として利用されている。
【0044】
IDT電極4の下部の櫛形電極42は、バスバー9を介して隣接する反射電極52の下部と導通され、反射電極52の上部は出力用電極パッド62に接続されている。すなわち、下部の櫛形電極42は、バスバー9、反射電極52及び入力用電極パッド62を介して出力端子72に接続され、反射電極52が引き回しパターンの一部として利用されている。
【0045】
反射電極51,52を引き回しパターンとして利用することにより、特別な引き回しパターンを設けなくても、入力用電極パッド61及び出力用電極パッド62を上部側に設けることができ、グランド電極63を含む全ての電極パッドを上部に配置することができる。従って、各電極パッド61〜63を圧電体基板2上で一列に配置することができる。
【0046】
図1では、反射電極51,52を構成する複数の電極指53,54が、全て間隔Sで配置されているが、これらの電極指のうち、それぞれ3本が幅2S+Lの太い電極指54、その他が幅Lの細い電極指53からなる。
【0047】
反射電極51,52を構成する電極指を太くすることによって、反射電極51,52における抵抗損を低減することができる。このため、反射電極51,52を引き回しパターンの一部として利用して、弾性波装置を小型化しようとする場合、一部の電極指54の幅を太くすることによって、抵抗損によって入出力信号の電気的特性を劣化させることなく、弾性波装置を小型化することができる。
【0048】
ここで、反射電極51及び52の一部の電極指54の幅を太くした場合、これらの電極指54では、その電極周期にあった周波数が最も強く反射されることになる。すなわち、幅2S+Lの電極指54が弾性表面波を反射する基本周波数は、幅Lの電極指53群が表面弾性波を反射する基本周波数foよりも低い周波数flとなる。従って、反射電極51及び52の中間部に太さの異なる電極指54が存在する場合、反射電極51及び52の反射特性は劣化することになる。
【0049】
しかしながら、反射電極51,52を構成する一部の太い電極指54の幅をn(S+L)+Lとすれば(nは自然数)、同じ位置に幅Lの電極指53を配置する場合と比較すれば、その整数倍のピッチで電極指54が配置されていることになる。
【0050】
このため、一部の電極指54の幅をn(S+L)+Lとした場合、基本周波数が低下することによる表面弾性波の反射量の若干の低下はあるものの、高次のモードとして周波数foにおいても弾性表面波を反射することができる。従って、一部の太い電極指54の幅をn(L+S)+Lとすることは、電極指幅L、電極指間隔Sとは全く無関係の電極幅にする場合に比べて、反射特性の劣化を抑制することができる。
【0051】
なお、図1では、反射電極51,52を構成する太い電極指54の幅が2S+Lの場合の例が示されているが、本発明は、上記式のnが1の場合に限定されず、2以上であってもよい。すなわち、電極指54の幅は、3S+2L、4S+3L、5S+4L等であってもよい。
【0052】
また、図1では、各反射電極51,52に太い電極指54が3本含まれる場合の例が示されているが、本発明はこのような場合には限定されない。すなわち、1本であっても抵抗損を低減する効果が得られ、2本以上であれば、更に大きな効果が得られる。
【0053】
本実施の形態による弾性波装置は、反射電極を引き回しパターンの一部として利用する弾性波装置において、反射電極を構成する電極指のピッチを守りつつ、一部の電極指の幅を太くしている。すなわち、電極指の間隔をSとした場合に、反射電極を幅Lの電極指と、幅n(L+S)+Lの電極指とにより構成している。
【0054】
この様な構成により、反射電極の反射特性の低下を抑制しつつ、引き回しパターンにおける抵抗損を低減することができる。従って、弾性波装置全体としての特性劣化を抑制しつつ、ボンディングパッドの配置自由度を高め、弾性波装置を小型化し、あるいは、弾性波装置の製造を容易化することができる。また、製造の容易な減衰特性の良い小型の弾性波装置を提供することができる。
【0055】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、櫛形電極32を入力用電極パッド61へ引き回すための引き回しパターンの一部として反射電極51を利用し、櫛形電極42を出力用電極パッド62へ引き回すための引き回しパターンの一部として反射電極52を利用する場合の例について説明した。本実施の形態3では、櫛形電極32及び42をグランド用の引き回しパターンの一部として利用する場合、すなわち、グランド櫛形電極を引き回す場合について説明する。
【0056】
図2は、本発明による弾性波装置18の一構成例を示した図である。図2において、櫛形電極31は、入力用電極パッド61を介して入力端子71に接続し、櫛形電極41は、出力用電極パッド62を介して出力端子72に接続している。さらに、櫛型電極32は、反射電極51とバスバー9で導通し、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続し、櫛型電極42は、反射電極52とバスバー9で導通し、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続している。その他の構成は実施の形態1における図1の場合と同様である。
【0057】
反射電極51及び52を引き回しパターンの一部として用いた場合、反射電極51及び52の3本の電極指54の幅を太くしたとしても、入出力信号が流れる引き回しパターンとして用いると、通常の引き回しパターンよりは幅が細いため、電極指53及び54の抵抗により弾性波装置18の特性が劣化する可能性がある。そのため、反射電極51及び52を引き回し電極のパターンの一部として用いる場合、グランド73への櫛型電極32及び42のみと導通することにすれば弾性波装置18の特性劣化はほとんど無視することができる。
【0058】
本実施の形態による弾性波装置は、反射電極と導通された櫛型電極が、グランドに接続されるグランド櫛型電極としている。このため、反射電極を引き回しパターンの一部として利用する場合に、その抵抗損による弾性波装置の劣化を抑制することができる。
【0059】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、太い電極指54が反射電極51及び52のそれぞれの中央部に配列される場合の例について説明したが、本実施の形態3では、太い電極指54が反射電極51及び52のそれぞれの外側(IDT電極3,4とは反対側)にある場合について説明する。
【0060】
図3は、本発明による弾性波装置19の一構成例を示した図である。この弾性波装置19は、実施の形態1の図1で示された弾性波装置17と比較すれば、太い電極指54が反射電極51及び52の外側にある点で異なる。
【0061】
反射電極51及び52では、その電極指に入射する弾性表面波の強度は、IDT電極3,4から離れるほど、すなわち圧電体基板2の外側に行くほど弱まる。このため、反射電極51,52の幅の太い電極指54が、反射電極51,52の反射特性に与える影響を低減するためには、幅の太い電極指54を幅の狭い電極指53よりも外側には配列させることが望ましく、反射電極51,52の中央より外側に配列させることが望ましい。さらに、反射特性に与える影響を最も少なくするためには、反射電極51及び52において最も外側に太い電極指54を配列させることが望ましい。
【0062】
実施の形態4.
上記実施の形態2では、櫛形電極32及び42をグランド用の引き回しパターンの一部として利用する場合について説明した。また、上記実施の形態3では、太い電極指54が反射電極51及び52の外側にある場合について説明した。本実施の形態4では、実施の形態2と実施の形態3とを併せた、すなわち、櫛形電極32及び42をグランド端子73の引き回しパターンの一部として利用し、かつ、太い電極指54が反射電極51及び52の外側にある場合について説明する。
【0063】
図4は、本発明による弾性波装置20の一構成例を示した図である。図4において、櫛形電極31は、入力用電極パッド61を介して入力端子71に接続され、櫛形電極41は、出力用電極パッド62を介して出力端子72に接続されている。櫛型電極32は、バスバー9を介して反射電極51と導通され、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続される。櫛型電極42は、バスバー9を介して反射電極52と導通され、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続されている。そして、その他の構成は実施の形態3における図3の場合と同様である。
【0064】
図4に示された弾性波装置20では、その特性劣化をほとんど無視することができるように、櫛型電極32及び42を反射電極51及び52と導通してグランド端子73への引き回しパターンとして用いている。しかも、反射電極51及び52の反射特性の向上を図るために、太い電極指54を反射電極51及び52において最も外側に配列させている。従って、弾性波装置20は、実施の形態1から実施の形態3までの効果を併せ持ち、低損失で高性能なより小型の弾性波装置となる。
【0065】
なお、上記の各実施の形態では、IDT電極が2つ配置された2ポート型弾性波装置の例に説明したが、本発明は、2つのIDT電極を有する弾性波装置に限定されず、2以上の任意の数のIDT電極を有する弾性波装置に適用することができ、同様の効果を奏する。さらに、多電極構造のいわゆるトランスバーサル形フィルタに適用することもできる。
【0066】
また、本発明は、IDT電極指の配列周期が全て同じ場合でなくとも、部分的あるいは全体的に配列周期が変化する場合にも適用することができ、同様の効果を奏する。また、IDT電極内に浮き電極を有したり、あるいはIDT内の異なる部位に存在する浮き電極同士が電気的に接続された形状の場合にも適用することができ、同様の効果を奏する。
【0067】
さらに、この発明は、SAWフィルタだけでなく、1端子対SAW共振器やSAW遅延線、SAW分散型遅延線、SAWコンボルバ等の電気信号とLSAW、SSBWとの変換機能を有するIDT電極を形成する他のSAWデバイス全てに対して効果がある。また、これらのSAWデバイスを用いた弾性波装置全てに対しても効果がある。
【0068】
【発明の効果】
反射電極を間隔Sで配列された幅Lの電極指及び幅n(L+S)+Lの電極指により構成することにより、反射電極を引き回しパターンとして利用する小型の弾性波装置において、反射特性の劣化を抑制しつつ、反射電極の電極指での抵抗損失をより低減することができる。
【0069】
また、反射電極を構成する幅n(L+S)+Lの電極指をグランド櫛型電極と導通することにより、入出力信号についての抵抗損を抑制し、弾性波装置としての特性劣化を防止することができる。
【0070】
さらに、反射電極を構成する幅n(L+S)+Lの電極指を幅Lの反射電極よりも外側に配列することにより、反射電極の反射特性に与える影響を低減することができる。
【0071】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による弾性波装置17の一構成例を示した図である(実施の形態1)。
【図2】本発明による弾性波装置18の一構成例を示した図である(実施の形態2)。
【図3】本発明による弾性波装置19の一構成例を示した図である(実施の形態3)。
【図4】本発明による弾性波装置20の一構成例を示した図である(実施の形態4)。
【図5】従来の弾性波装置の1種であるSAWフィルタ11の構成を示した図である。
【図6】従来の2ポート型弾性波装置12の構成を示した図である。
【図7】従来の0度タイプの2ポート型弾性波装置13の構成を示した図である。
【図8】従来の180度タイプの2ポート型弾性波装置14の構成を示した図である。
【図9】改良された従来の2ポート型弾性波装置15の構成を示した図である。
【図10】改良された従来の2ポート型弾性波装置16の構成を示した図である。
【符号の説明】
12、13,14,15,16,17,18,19,20 弾性波装置、
11 SAWフィルタ、2 圧電体基板、31,32、41,42 櫛型電極、33、43,53,54 電極指、51,52 反射電極、
61 入力用電極パッド、 62 出力用電極パッド、
63 グランド用電極パッド、71 入力端子、72 出力端子、
73 グランド端子、8 ボンディングワイヤ、9 バスバー、
L 電極指の幅、S 電極指間隔
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性波装置に係り、更に詳しくは、通信機器や電子機器などの回路において使用され、弾性波を伝搬する弾性波装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の弾性波装置の1種であるSAWフィルタ11の構成を示した図である。図中の11は弾性波装置、2は弾性体である圧電体基板、3は電気から弾性表面波へのエネルギー変換を行う入力側IDT電極(Inter Digital Transducer:すだれ状電極)、4は弾性表面波から電気へのエネルギー変換を行う出力側IDT電極である。また、33及び43はIDT電極の電極指、61、62及び63は電極パッド(ボンディングパッド)、71は入力端子、72は出力端子、73はグランド端子、8はボンディングワイヤである。
【0003】
SAWフィルタ11での弾性波伝搬の動作について説明する。入力端子71に印加された電気信号は、SAW(Surface Acoustic Waves:弾性表面波)に変換される。すなわち、入力信号は、入力側IDT3の電極指33の交差部において、隣接する電極指33間に電界を生じさせる。このとき、圧電体基板2が圧電体からなるため、上記電界によって歪が生じる。入力信号が周波数fの場合、生じる歪も周波数fで振動し、これが弾性表面波となって、電極指33に垂直な方向に伝搬する。
【0004】
また、出力側IDT電極4では、弾性表面波が再び電気信号に変換され、出力端子72から出力される。すなわち、入力側IDT電極3と出力側IDT電極4は、互いの電極指が平行となるように配置され、入力側IDT電極から伝搬した弾性表面波が、出力側IDT4の電極指43の交差部において、隣接する電極指43間に歪みを生じさせ、各電極指43間に電位差を生じさせる。この様な電気信号から表面弾性波への変換と、表面弾性波から電気信号への変換は互いに可逆な過程である。
【0005】
図6は、従来の2ポート型弾性波装置12の構成を示した図である。図中の12は弾性波装置、31及び32は入力側IDT電極3を構成する櫛形電極、41及び42は出力側IDT電極4を構成する櫛形電極、51及び52はIDT電極3,4の外側に配設された反射電極、53は反射電極の格子状の電極指(ストリップライン)である。
【0006】
入力側IDT電極3及び出力型IDT電極4は、それぞれを構成する櫛形電極の電極指が平行となるように隣接して配置されている。また、反射電極51,52は、その電極指53がIDT電極3,4の電極指と平行となるように、IDT電極3,4に隣接させて両側に配置されている。
【0007】
図7及び図8は、図6の2ポート型弾性波装置12を用いて構成される異なるタイプの2ポート型弾性波装置を示した図である。図中の61は入力用電極パッド、62は出力用電極パッド、63はグランド用電極パッド、73はグランド電位点である。
【0008】
図7の2ポート型弾性波装置13は、入力側IDT電極3の上部に入力用電極パッド61、下部にグランド用電極パッド63が形成され、出力側IDT電極4の上部にグランド用電極パッド63、下部に出力用電極パッド62が形成されている。これに対し、図8の2ポート型弾性波装置14は、入力側IDT電極3については同じであるが、出力側IDT電極4の上部に出力用電極パッド62,下部にグランド用電極パッド63が形成されており、図7の場合とは逆になっている。
【0009】
2ポート型弾性波装置の場合、共振点位相に応じて、0度タイプと、0度タイプに対し位相が反転する180度タイプとが存在し、図7を0度タイプの2ポート型弾性波装置13とすれば、図8は180度タイプの2ポート型弾性波装置14となる。この様に2ポート型弾性波装置では電極配置は等しくても、共振点位相が異なる0度タイプ又は180度タイプによって、入出力用電極パッド61,62とグランド用電極パッド63の位置が異なることになる。
【0010】
このため、0度タイプと180度タイプの2種類の2ポート型弾性波装置13,14を同一部品を用いて実現しようとすると、入力用電極パッドと出力用電極パッドの位置が異なり、どちらか一方のタイプ(本説明では図7の0度タイプ)のボンディングワイヤが長くなり、外部振動等による振れで種々の問題が発生することがある。
【0011】
このような問題を解決するために、0度タイプの2ポート型弾性波装置と、180度タイプの2ポート型弾性波装置を異なる部品により構成することも考えられるが、その場合、製造工程が複雑化し、コストを上昇させてしまうという問題があった。
【0012】
一方、主に携帯電話などの移動体通信機器に用いられる弾性波装置には常に更なる小型化が求められており、1つの通過帯域を有するシングル・バンド・フィルタは従来の3mm角から2520サイズのパッケージへ、2以上の通過帯域を有するデュアル・バンド・フィルタにおいても3.8mm角から3mm角あるいは3025サイズパッケージへサイズダウンが図られている。
【0013】
このようなフィルタへの小型化要求を実現しようとすると、弾性波装置の圧電体基板チップサイズの縮小化を進めなければならず、こうした場合、限られたチップサイズ内に幾つものSAW共振器および電極パッドを詰め込まなければならない。
【0014】
また、当然パッケージのサイズも小型化しなければならないが、パッケージが小さくなると各層を薄くし、あるいはスルーホール径を小さくするなどの検討を行うことが必要となる。また、デュアルバンドフィルタでは1つのパッケージに必要なHot端子の数が増加することになる。
【0015】
このような場合、限られたパッケージスペース内、詳しくはパッケージ壁面内に各電極パッドから各裏面端子への配線が詰め込まれることになり、配線間の間隔が狭くなり、配線間での結合が増える傾向にある。そのため、いわゆるグランド(Gnd)が完全にはグランドに落ちなくなり、内部配線パターンなどによっては使用するグランド用端子によって帯域外減衰量に差異が現れることもある。
【0016】
しかも、上述した通り、共振器パターンによっては圧電体基板チップ側電極パッドの配置が制限されるため、使用したいパッケージ側電極パッドを自由に選択できず、帯域外減衰特性の改善が難しいという問題点があった。
【0017】
このような問題点に鑑みて改良された2ポート型弾性波装置が従来から提案されている。図9及び図10は、特開平3−40512号公報に開示されている従来の2ポート型弾性波装置15,16の構成を示した図である。
【0018】
図9及び図10の2ポート型弾性波装置15,16は、いずれもIDT電極3,4の一方の櫛形電極31,41が、従来の通り、電極パッドに接続されるとともに、他方の櫛形電極32,42が反射電極51,52を介して反対側の電極パッドに接続されている。このため、各電極パッド61〜63をIDT電極3,4に対し同じ方向に配置させることができ、圧電体基板2上の一側部に沿って一列に配置させることができる。
【0019】
すなわち、図9に示した2ポート型弾性波装置15では、IDT電極3の下部の櫛形電極32をバスバー9を介して隣接する反射電極51の下部と導通させ、反射電極51の上部を入力用電極パッド61に接続することにより、櫛形電極32が反射電極51を介して入力用電極パッド61に接続されている。また、IDT電極4の下部の櫛形電極42をバスバー9を介して隣接する反射電極52の下部と導通させ、反射電極52の上部をグランド用電極パッド63に接続することにより、櫛形電極42が反射電極52を介してグランド用電極パッド63に接続されている。
【0020】
全く同様にして、図10に示した2ポート型弾性波装置16では、IDT電極3の下部の櫛形電極32をバスバー9を介して隣接する反射電極51の下部と導通させ、反射電極51の上部を入力用電極パッド61に接続することにより、櫛形電極32が反射電極51を介して入力用電極パッド61に接続されている。また、IDT電極4の下部の櫛形電極42をバスバー9を介して隣接する反射電極52の下部と導通させ、反射電極52の上部を出力用電極パッド62に接続することにより、櫛形電極42が反射電極52を介して出力用電極パッド62に接続されている。
【0021】
この様にして、反射電極51,52を引き回しパターンの一部として用いることによって、電極パッド61〜63の圧電体基板2上での配置が、ある程度自由に選択できるようになり、小型の弾性波装置を得ることができる。
【0022】
また、図9の2ポート型弾性波装置15は0度タイプに該当し、図10の2ポート型弾性波装置16は、180度タイプに該当するが、電極パッド61〜63を圧電体基板2上の一方に配列させたことによって、0度タイプと180度タイプと電極パッドの位置が大きく変化しないため、2種類の部品を用意する必要はなくなり、製造工程の複雑化やコスト上昇を抑制することもできる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、IDT電極3,4および反射電極51,52、電極パッド61〜63は同一の導体膜で形成され、主にアルミまたはアルミに極少量の銅、チタン、クロムなどを混ぜた合金、金を主成分としたものなどが用いられている。これらの電極膜材料は薄膜として圧電体基板2上に堆積され、フォトリソグラフィで形成される。
【0024】
通常、これらの電極膜には、導体抵抗がほとんどないが、IDT電極3,4及び反射電極51,52の各電極パッド61〜63及びバスバー9から距離的に遠い先の部分では、他の部分と比較して導体抵抗が若干大きく観測される場合もある。特に、膜厚が薄い場合に導体抵抗が大きく観測される。使用周波数帯が高くなるのに応じて電極指幅は細くなるため、このような抵抗分は無視できなくなる。
【0025】
上記公報に開示された従来の弾性波装置は、反射電極51,52に接続される櫛型電極32,42が、入力用、出力用又はグランド用のいずれであってもよいとされている。しかしながら、実際には反射電極51,52を入出力信号の引き回しパターンとして用いた場合、信号の伝搬経路が長くなることにより伝播損、主に抵抗損が増大し、電気特性に悪い影響が現れる。
【0026】
また、反射電極51,52をグランド電極の引き回しパターンとして用いた場合であっても、使用周波数帯が数百MHz以上になると1μm程度、使用周波数帯が1GHz以上になるとサブミクロンオーダーの電極指幅が必要となることから、引き回しパターン(反射電極51,52)における抵抗損が無視できなくなり、やはり電気特性に悪い影響が現れる。
【0027】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、電気的特性の劣化を抑制しつつ小型化することができる弾性波装置を提供することを目的とする。特に、入出力信号の抵抗損を抑制しつつ小型化された弾性波装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明による弾性波装置は、対向する櫛型電極からなるIDT電極と、IDT電極の外側に配設された2以上の格子状の電極指からなる反射電極とを圧電体基板上に形成した弾性波装置であって、上記IDT電極の一方の櫛型電極と上記反射電極とを導通させるとともに、上記反射電極が、電極指間隔をSとし、nを自然数としたとき、幅Lの電極指と、幅n(L+S)+Lの電極指とからなることを特徴とする。
【0029】
この様な構成により、反射電極を構成する一部の電極指をより太くして反射電極における抵抗を小さくするとともに、太い電極指においても高次のモードとして所定周波数の表面弾性波を反射させることができる。すなわち、電極指幅がL、電極指間隔がSの反射電極の一部の電極指について、その幅をn(L+S)+Lとすることによって、反射電極を引き回しパターンとして用いる場合に、反射電極における抵抗損を低減するとともに、これに伴って生ずる反射特性の劣化を抑制することができる。
【0030】
請求項2に記載の本発明による弾性波装置は、請求項1に記載の構成に加えて、上記反射電極と導通された櫛型電極が、反射電極を介してグランドに接続されたグランド櫛型電極であることを特徴とする。反射電極の一部の電極指幅を太くしたとしても、電極指の抵抗による特性劣化は生ずる。このため、反射電極を引き回しパターンの一部として用いる場合、グランドに導通される櫛形電極を引き回せば、入出力信号が反射電極の抵抗損によって劣化するのを防止できる。従って、グランドに接続される櫛型電極を反射電極と導通させることが好ましい。
【0031】
請求項3に記載の本発明による弾性波装置は、請求項1に記載の構成に加えて、幅n(L+S)+Lの電極指が、幅Lの電極指よりも外側に配列されることを特徴とする。反射電極の外側では入射する表面弾性波の強度が弱くなるため、幅n(L+S)+Lの電極指を幅Lの電極指よりも外側に配列することによって、太い電極指が反射電極の反射特性に与える影響をより小さくすることができる。
【0032】
請求項4に記載の本発明による弾性波装置は、請求項1に記載の構成に加えて、上記反射電極と導通された櫛型電極が、反射電極を介してグランドに接続されたグランド櫛型電極であり、幅n(L+S)+Lの電極指が、幅Lの電極指よりも外側に配列されることを特徴とする。グランドに導通される櫛形電極を引き回せば、入出力信号が反射電極の抵抗損によって劣化するのを防止できるとともに、太い電極指をより外側に配列することによって、太い電極指が反射電極の反射特性に与える影響をより小さくすることができる。
【0033】
請求項5に記載の本発明による弾性波装置は、請求項1から4のいずれかに記載の構成に加えて、上記反射電極が、幅n(L+S)+Lの電極指を2以上有することを特徴とする。反射電極が太い電極指を2以上有することにより、反射電極における抵抗損をより低減することができる。
【0034】
請求項6に記載の本発明による弾性波装置は、対向する櫛型電極からなる入力側IDT電極と、対向する櫛型電極からなり、入力側IDT電極に隣接して配置された出力側IDT電極と、2以上の格子状の電極指からなり、これらのIDT電極の両側に配設される2つの反射電極とを圧電体基板上に形成した弾性波装置において、上記各IDT電極の一方の櫛型電極を、それぞれ隣接する反射電極に導通させるとともに、各反射電極が、電極指間隔をSとし、nを自然数としたとき、幅Lの電極指と、幅n(L+S)+Lの電極指とからなることを特徴とする。
【0035】
2以上の隣接するIDT電極の両側に2つの反射電極が配設され、それぞれがIDT電極の引き回しパターンとして用いられる場合には、各反射電極について一部の電極指幅をn(L+S)+Lとし、ともに抵抗損を低減するとともに反射特性の劣化を抑制することが望ましい。
【0036】
請求項7に記載の本発明による弾性波装置は、請求項6に記載の構成に加えて、反射電極に導通された上記一方の櫛型電極が、反射電極を介して圧電体基板上の他方の櫛型電極側に設けられた電極パッドに接続されることを特徴とする。この様な構成により、圧電体基板上で電極パッドをIDT電極に対し同じ側に配置させることができる。このため、例えば、電極パッドを一列に配置させることもできる。
【0037】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明による弾性波装置17の一構成例を示した図である。図中の2は圧電体基板、3は入力側のIDT電極、4は出力側のIDT電極、51及び52は反射電極である。また、31はIDT電極3の上側の櫛型電極、32はIDT電極3の下側の櫛型電極、33は櫛型電極31,32の電極指、41はIDT電極4の上側の櫛型電極、42はIDT電極4の下側の櫛型電極、43は櫛型電極41,42の電極指である。
【0038】
また、53は反射電極51,52の細い電極指、54は反射電極51,52の太い電極指、61は入力用電極パッド、62は出力用電極パッド、63はグランド用電極パッド、71は入力端子、72は出力端子、73はグランド端子、8はボンディングワイヤ、9はバスバーである。
【0039】
櫛形電極31,32は、ともに複数の電極指33からなり、互いの電極指33が交互となるように対向して配置され、入力側IDT電極3を構成している。同様にして、櫛形電極41及び42は、ともに複数の電極指43からなり、互いの電極指43が交互となるように対向して配置され、出力側IDT電極4を構成している。
【0040】
反射電極51,52は、ストリップラインからなるグレーティング反射電極であり、平行に配置された複数の電極指、すなわち、細い電極指53及び太い電極指54により構成される。各電極指53,54は、間隔Sにて等間隔に配置されており、電極指53の幅はLであるのに対し、電極指54の幅は2L+Sとなっている。
【0041】
入力側IDT電極3及び出力側IDT電極4は、それぞれの電極指33が平行となるように隣接して配置され、その両側に隣接して反射電極51,52が配置されている。また、反射電極51,52の電極指53,54は、IDT電極3,4の電極指と平行となるように配置される。
【0042】
IDT電極3の上部の櫛形電極31は、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続され、グランドとして利用される。同様にして、IDT電極4の上部の櫛形電極41も、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続され、グランドとして利用される。
【0043】
IDT電極3の下部の櫛形電極32は、バスバー9を介して隣接する反射電極51の下部と導通され、反射電極51の上部は入力用電極パッド61に接続されている。このため、下部の櫛形電極32は、バスバー9、反射電極51及び入力用電極パッド61を介して入力端子71に接続され、反射電極51が引き回しパターンの一部として利用されている。
【0044】
IDT電極4の下部の櫛形電極42は、バスバー9を介して隣接する反射電極52の下部と導通され、反射電極52の上部は出力用電極パッド62に接続されている。すなわち、下部の櫛形電極42は、バスバー9、反射電極52及び入力用電極パッド62を介して出力端子72に接続され、反射電極52が引き回しパターンの一部として利用されている。
【0045】
反射電極51,52を引き回しパターンとして利用することにより、特別な引き回しパターンを設けなくても、入力用電極パッド61及び出力用電極パッド62を上部側に設けることができ、グランド電極63を含む全ての電極パッドを上部に配置することができる。従って、各電極パッド61〜63を圧電体基板2上で一列に配置することができる。
【0046】
図1では、反射電極51,52を構成する複数の電極指53,54が、全て間隔Sで配置されているが、これらの電極指のうち、それぞれ3本が幅2S+Lの太い電極指54、その他が幅Lの細い電極指53からなる。
【0047】
反射電極51,52を構成する電極指を太くすることによって、反射電極51,52における抵抗損を低減することができる。このため、反射電極51,52を引き回しパターンの一部として利用して、弾性波装置を小型化しようとする場合、一部の電極指54の幅を太くすることによって、抵抗損によって入出力信号の電気的特性を劣化させることなく、弾性波装置を小型化することができる。
【0048】
ここで、反射電極51及び52の一部の電極指54の幅を太くした場合、これらの電極指54では、その電極周期にあった周波数が最も強く反射されることになる。すなわち、幅2S+Lの電極指54が弾性表面波を反射する基本周波数は、幅Lの電極指53群が表面弾性波を反射する基本周波数foよりも低い周波数flとなる。従って、反射電極51及び52の中間部に太さの異なる電極指54が存在する場合、反射電極51及び52の反射特性は劣化することになる。
【0049】
しかしながら、反射電極51,52を構成する一部の太い電極指54の幅をn(S+L)+Lとすれば(nは自然数)、同じ位置に幅Lの電極指53を配置する場合と比較すれば、その整数倍のピッチで電極指54が配置されていることになる。
【0050】
このため、一部の電極指54の幅をn(S+L)+Lとした場合、基本周波数が低下することによる表面弾性波の反射量の若干の低下はあるものの、高次のモードとして周波数foにおいても弾性表面波を反射することができる。従って、一部の太い電極指54の幅をn(L+S)+Lとすることは、電極指幅L、電極指間隔Sとは全く無関係の電極幅にする場合に比べて、反射特性の劣化を抑制することができる。
【0051】
なお、図1では、反射電極51,52を構成する太い電極指54の幅が2S+Lの場合の例が示されているが、本発明は、上記式のnが1の場合に限定されず、2以上であってもよい。すなわち、電極指54の幅は、3S+2L、4S+3L、5S+4L等であってもよい。
【0052】
また、図1では、各反射電極51,52に太い電極指54が3本含まれる場合の例が示されているが、本発明はこのような場合には限定されない。すなわち、1本であっても抵抗損を低減する効果が得られ、2本以上であれば、更に大きな効果が得られる。
【0053】
本実施の形態による弾性波装置は、反射電極を引き回しパターンの一部として利用する弾性波装置において、反射電極を構成する電極指のピッチを守りつつ、一部の電極指の幅を太くしている。すなわち、電極指の間隔をSとした場合に、反射電極を幅Lの電極指と、幅n(L+S)+Lの電極指とにより構成している。
【0054】
この様な構成により、反射電極の反射特性の低下を抑制しつつ、引き回しパターンにおける抵抗損を低減することができる。従って、弾性波装置全体としての特性劣化を抑制しつつ、ボンディングパッドの配置自由度を高め、弾性波装置を小型化し、あるいは、弾性波装置の製造を容易化することができる。また、製造の容易な減衰特性の良い小型の弾性波装置を提供することができる。
【0055】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、櫛形電極32を入力用電極パッド61へ引き回すための引き回しパターンの一部として反射電極51を利用し、櫛形電極42を出力用電極パッド62へ引き回すための引き回しパターンの一部として反射電極52を利用する場合の例について説明した。本実施の形態3では、櫛形電極32及び42をグランド用の引き回しパターンの一部として利用する場合、すなわち、グランド櫛形電極を引き回す場合について説明する。
【0056】
図2は、本発明による弾性波装置18の一構成例を示した図である。図2において、櫛形電極31は、入力用電極パッド61を介して入力端子71に接続し、櫛形電極41は、出力用電極パッド62を介して出力端子72に接続している。さらに、櫛型電極32は、反射電極51とバスバー9で導通し、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続し、櫛型電極42は、反射電極52とバスバー9で導通し、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続している。その他の構成は実施の形態1における図1の場合と同様である。
【0057】
反射電極51及び52を引き回しパターンの一部として用いた場合、反射電極51及び52の3本の電極指54の幅を太くしたとしても、入出力信号が流れる引き回しパターンとして用いると、通常の引き回しパターンよりは幅が細いため、電極指53及び54の抵抗により弾性波装置18の特性が劣化する可能性がある。そのため、反射電極51及び52を引き回し電極のパターンの一部として用いる場合、グランド73への櫛型電極32及び42のみと導通することにすれば弾性波装置18の特性劣化はほとんど無視することができる。
【0058】
本実施の形態による弾性波装置は、反射電極と導通された櫛型電極が、グランドに接続されるグランド櫛型電極としている。このため、反射電極を引き回しパターンの一部として利用する場合に、その抵抗損による弾性波装置の劣化を抑制することができる。
【0059】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、太い電極指54が反射電極51及び52のそれぞれの中央部に配列される場合の例について説明したが、本実施の形態3では、太い電極指54が反射電極51及び52のそれぞれの外側(IDT電極3,4とは反対側)にある場合について説明する。
【0060】
図3は、本発明による弾性波装置19の一構成例を示した図である。この弾性波装置19は、実施の形態1の図1で示された弾性波装置17と比較すれば、太い電極指54が反射電極51及び52の外側にある点で異なる。
【0061】
反射電極51及び52では、その電極指に入射する弾性表面波の強度は、IDT電極3,4から離れるほど、すなわち圧電体基板2の外側に行くほど弱まる。このため、反射電極51,52の幅の太い電極指54が、反射電極51,52の反射特性に与える影響を低減するためには、幅の太い電極指54を幅の狭い電極指53よりも外側には配列させることが望ましく、反射電極51,52の中央より外側に配列させることが望ましい。さらに、反射特性に与える影響を最も少なくするためには、反射電極51及び52において最も外側に太い電極指54を配列させることが望ましい。
【0062】
実施の形態4.
上記実施の形態2では、櫛形電極32及び42をグランド用の引き回しパターンの一部として利用する場合について説明した。また、上記実施の形態3では、太い電極指54が反射電極51及び52の外側にある場合について説明した。本実施の形態4では、実施の形態2と実施の形態3とを併せた、すなわち、櫛形電極32及び42をグランド端子73の引き回しパターンの一部として利用し、かつ、太い電極指54が反射電極51及び52の外側にある場合について説明する。
【0063】
図4は、本発明による弾性波装置20の一構成例を示した図である。図4において、櫛形電極31は、入力用電極パッド61を介して入力端子71に接続され、櫛形電極41は、出力用電極パッド62を介して出力端子72に接続されている。櫛型電極32は、バスバー9を介して反射電極51と導通され、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続される。櫛型電極42は、バスバー9を介して反射電極52と導通され、グランド用電極パッド63を介してグランド端子73に接続されている。そして、その他の構成は実施の形態3における図3の場合と同様である。
【0064】
図4に示された弾性波装置20では、その特性劣化をほとんど無視することができるように、櫛型電極32及び42を反射電極51及び52と導通してグランド端子73への引き回しパターンとして用いている。しかも、反射電極51及び52の反射特性の向上を図るために、太い電極指54を反射電極51及び52において最も外側に配列させている。従って、弾性波装置20は、実施の形態1から実施の形態3までの効果を併せ持ち、低損失で高性能なより小型の弾性波装置となる。
【0065】
なお、上記の各実施の形態では、IDT電極が2つ配置された2ポート型弾性波装置の例に説明したが、本発明は、2つのIDT電極を有する弾性波装置に限定されず、2以上の任意の数のIDT電極を有する弾性波装置に適用することができ、同様の効果を奏する。さらに、多電極構造のいわゆるトランスバーサル形フィルタに適用することもできる。
【0066】
また、本発明は、IDT電極指の配列周期が全て同じ場合でなくとも、部分的あるいは全体的に配列周期が変化する場合にも適用することができ、同様の効果を奏する。また、IDT電極内に浮き電極を有したり、あるいはIDT内の異なる部位に存在する浮き電極同士が電気的に接続された形状の場合にも適用することができ、同様の効果を奏する。
【0067】
さらに、この発明は、SAWフィルタだけでなく、1端子対SAW共振器やSAW遅延線、SAW分散型遅延線、SAWコンボルバ等の電気信号とLSAW、SSBWとの変換機能を有するIDT電極を形成する他のSAWデバイス全てに対して効果がある。また、これらのSAWデバイスを用いた弾性波装置全てに対しても効果がある。
【0068】
【発明の効果】
反射電極を間隔Sで配列された幅Lの電極指及び幅n(L+S)+Lの電極指により構成することにより、反射電極を引き回しパターンとして利用する小型の弾性波装置において、反射特性の劣化を抑制しつつ、反射電極の電極指での抵抗損失をより低減することができる。
【0069】
また、反射電極を構成する幅n(L+S)+Lの電極指をグランド櫛型電極と導通することにより、入出力信号についての抵抗損を抑制し、弾性波装置としての特性劣化を防止することができる。
【0070】
さらに、反射電極を構成する幅n(L+S)+Lの電極指を幅Lの反射電極よりも外側に配列することにより、反射電極の反射特性に与える影響を低減することができる。
【0071】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による弾性波装置17の一構成例を示した図である(実施の形態1)。
【図2】本発明による弾性波装置18の一構成例を示した図である(実施の形態2)。
【図3】本発明による弾性波装置19の一構成例を示した図である(実施の形態3)。
【図4】本発明による弾性波装置20の一構成例を示した図である(実施の形態4)。
【図5】従来の弾性波装置の1種であるSAWフィルタ11の構成を示した図である。
【図6】従来の2ポート型弾性波装置12の構成を示した図である。
【図7】従来の0度タイプの2ポート型弾性波装置13の構成を示した図である。
【図8】従来の180度タイプの2ポート型弾性波装置14の構成を示した図である。
【図9】改良された従来の2ポート型弾性波装置15の構成を示した図である。
【図10】改良された従来の2ポート型弾性波装置16の構成を示した図である。
【符号の説明】
12、13,14,15,16,17,18,19,20 弾性波装置、
11 SAWフィルタ、2 圧電体基板、31,32、41,42 櫛型電極、33、43,53,54 電極指、51,52 反射電極、
61 入力用電極パッド、 62 出力用電極パッド、
63 グランド用電極パッド、71 入力端子、72 出力端子、
73 グランド端子、8 ボンディングワイヤ、9 バスバー、
L 電極指の幅、S 電極指間隔
Claims (7)
- 対向する櫛型電極からなるIDT電極と、IDT電極の外側に配設された2以上の格子状の電極指からなる反射電極とを圧電体基板上に形成した弾性波装置において、上記IDT電極の一方の櫛型電極と上記反射電極とを導通させるとともに、上記反射電極が、電極指間隔をSとし、nを自然数としたとき、幅Lの電極指と、幅n(L+S)+Lの電極指とからなることを特徴とする弾性波装置。
- 上記反射電極と導通された櫛型電極が、反射電極を介してグランドに接続されたグランド櫛型電極であることを特徴とする請求項1に記載の弾性波装置。
- 幅n(L+S)+Lの電極指が、幅Lの電極指よりも外側に配列されることを特徴とする請求項1に記載の弾性波装置。
- 上記反射電極と導通された櫛型電極が、反射電極を介してグランドに接続されたグランド櫛型電極であり、幅n(L+S)+Lの電極指が、幅Lの電極指よりも外側に配列されることを特徴とする請求項1に記載の弾性波装置。
- 上記反射電極が、幅n(L+S)+Lの電極指を2以上有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の弾性波装置。
- 対向する櫛型電極からなる入力側IDT電極と、対向する櫛型電極からなり、入力側IDT電極に隣接して配置された出力側IDT電極と、2以上の格子状の電極指からなり、これらのIDT電極の両側に配設される2つの反射電極とを圧電体基板上に形成した弾性波装置において、上記各IDT電極の一方の櫛型電極を、それぞれ隣接する反射電極に導通させるとともに、各反射電極が、電極指間隔をSとし、nを自然数としたとき、幅Lの電極指と、幅n(L+S)+Lの電極指とからなることを特徴とする弾性波装置。
- 反射電極に導通された上記一方の櫛型電極が、反射電極を介して圧電体基板上の他方の櫛型電極側に設けられた電極パッドに接続されることを特徴とする請求項6に記載の弾性波装置。
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JP2002170414A JP2004015737A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 弾性波装置 |
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JP (1) | JP2004015737A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108365833A (zh) * | 2016-12-05 | 2018-08-03 | 深圳华远微电科技有限公司 | 一种声表面波谐振器及其封装结构 |
CN109417370A (zh) * | 2016-06-24 | 2019-03-01 | 株式会社村田制作所 | 弹性波元件及弹性波滤波器装置 |
CN109639252A (zh) * | 2019-01-11 | 2019-04-16 | 常州微泰格电子科技有限公司 | 声表面波谐振器及其制备方法 |
-
2002
- 2002-06-11 JP JP2002170414A patent/JP2004015737A/ja active Pending
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