JP2004014821A - 半導体レーザ装置、半導体装置用構造基板および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体レーザ装置、半導体装置用構造基板および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Nobumasa Okano
岡野 展賢
Kenji Otani
大谷 健治
Yoshio Kano
狩野 祥男
Hironobu Narui
成井 啓修
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Abstract

【課題】基板上に積層膜を形成してなる半導体レーザ装置を構成する際に、例えば下地が表面荒れしている場合であっても、それに起因する表面モフォロジーの悪化を極力回避できるようにする。
【解決手段】表面に規則的な凹凸が形成された構造基板11上に一層または多層の積層膜12が結晶成長により形成されてなる半導体レーザ装置10において、前記構造基板11として、その構造基板11上にて前記積層膜12が形成される結晶成長面11aの表面部分が、複数種類の元素が混在する非一様な原子配列を有するように構成されたものを用いる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザ装置、その半導体レーザ装置に代表される半導体装置に用いて好適な半導体装置用構造基板、およびその半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体装置の一つとして半導体レーザ装置が広く知られている。半導体レーザ装置は、レーザビームプリンタの光源や光ディスク用光ピックアップの光源等にも用いられるようになっている。このような半導体レーザ装置の中には、表面に規則的な凹凸が形成された構造基板を用いて構成されたものがある。
【0003】
構造基板とは、例えば{100}面の成長面を有するガリウムヒ素(GaAs)基板において、ストライプ状の凹凸がそのGa面方向:逆メサ{0−1−1}方向に延びるように形成されたものである。さらに詳しくは、図7に示すように、{100}面と{111}B面(As面)とによって凹凸(ridge)が形成されたものである。このうち、一般に{100}面は、MOCVD(metal organic chemical vapor deposition)を行う際の“結晶成長面”として知られている面である。また、{111}B面は、“非結晶成長面”として知られている面である。つまり、構造基板は、互いに相異なる2つの性質をもった結晶方位面を有したものであり、そのうちの一つの面、すなわち凹凸部分の少なくとも一部に結晶成長面を有したものである。以下、本明細書では、{100}面が結晶成長面であるGaAs基板を、GaAsの(100)ジャスト基板と呼ぶものとする。
【0004】
このような構造基板を用いて半導体レーザ装置を構成する場合には、例えばサーマルクリーニング→バッファ層成長→クラッド層成長→活性層成長→クラッド層成長→キャップ層成長等の過程を経て、その構造基板上に一層または多層の積層膜を結晶成長により形成することになる。ただし、このとき、規則的な凹凸が形成された構造基板を用いてMOCVDを行うことによって、例えば半導体レーザ装置として埋め込み構造BH(Buried Heterostructure)を有するSDH(Separated Double Heterostructure)レーザ装置を一回の結晶成長で構成することができる。さらには、1μm程度の幅の活性層に有効に電流を注入でき、横方向の光閉じ込めも確実にできるため、低閾値、低電力動作が可能となる。これらのことから、構造基板を用いて構成された半導体レーザ装置が提案されているのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、構造基板を用いて半導体レーザ装置を構成する場合に、従来のように(100)ジャスト基板を用いると、結晶成長を行った後の表面モフォロジー(結晶表面の状態)に問題が生じるおそれがある。すなわち、表面荒れした下地に起因して成長膜の局所的な膜質異常が発生することが考えられる。特に、基板上に厚膜(4μm以上)を積む場合、エッチング面に結晶の再成長を行う場合、半導体の成長によってミクロレベルで荒れた下地面上に別の材料層を積む場合等には、その傾向が顕著に表れる。
【0006】
これは、例えばGaAsの(100)ジャスト基板においては、例えば図8に示すように、結晶成長面の表面部分が、一種類の元素、具体的にはGaが一様に存在した原子配列を有するように構成されているため、結晶成長が如何様な態様でも行われ得ることとなり、その結晶成長の下地に異物等が存在していると、その下地の表面状態を敏感に反映した表面モフォロジーが得られてしまうからである。
【0007】
このような表面モフォロジーの悪化は、構造基板上の積層膜(デバイス構造)の均一性を著しく損ない、デバイス特性(光学的特性や電気的特性等)のばらつきにもそのまま影響を及ぼす。また、例えば電流ブロック層の破損といったようなデバイス構造の破損に繋がることも考えられる。さらには、これらのことに起因して、半導体レーザ装置の信頼性低下やその製造工程における歩留まり(製品収率)低下等も招くため、結果として量産によるコストダウン化の障害にもなり得る。したがって、上述したような表面モフォロジーの悪化は、極力回避すべきである。
【0008】
そこで、本発明は、例えば下地が表面荒れしている場合であっても、それに起因する表面モフォロジーの悪化を極力回避することができ、結晶成長後の表面モフォロジーの改善が可能な半導体レーザ装置、半導体装置用構造基板および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために案出された半導体レーザ装置である。すなわち、表面に規則的な凹凸が形成された構造基板上に一層または多層の積層膜が結晶成長により形成されてなる半導体レーザ装置であって、前記構造基板は、前記積層膜が形成される結晶成長面の表面部分が、複数種類の元素が混在する非一様な原子配列を有するように構成されたものであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された半導体装置用構造基板である。すなわち、半導体装置を構成するのに用いられる半導体装置用構造基板であって、表面に形成された規則的な凹凸の少なくとも一部に前記半導体装置を構成する一層または多層の積層膜を結晶成長により形成するための結晶成長面を有するとともに、前記結晶成長面の表面部分が、複数種類の元素が混在する非一様な原子配列を有するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された半導体装置の製造方法である。すなわち、表面に規則的な凹凸が形成された構造基板上に一層または多層の積層膜が結晶成長により形成されてなる半導体装置の製造方法であって、前記積層膜が形成される前記構造基板の結晶成長面の表面部分を、複数種類の元素が混在する非一様な原子配列を有するように構成し、前記結晶成長面上に前記積層膜を結晶成長により形成することを特徴とする。
【0012】
上記構成の半導体レーザ装置、上記構成の半導体装置用構造基板、および上記手順の半導体装置の製造方法によれば、いずれも、構造基板における結晶成長面の表面部分が、複数種類の元素が混在する非一様な原子配列を有していることから、結晶成長の際のその態様がある程度当該原子配列に依存することになる。すなわち、結晶となる元素が結晶成長面上のどこにでも存在し得るわけではなく、その結晶成長面の表面部分の原子配列に依存して存在(成長)することになる。したがって、例えば結晶成長の下地に異物等が存在しているような場合であっても、その異物等の存在に拘わらず、結晶成長面の表面部分の原子配列に依存して結晶成長が行われるので、その結晶成長による積層膜の表面モフォロジーが下地の表面状態を敏感に反映したものとなってしまうことを抑制し得るようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係る半導体レーザ装置、半導体装置用構造基板および半導体装置の製造方法について説明する。
【0014】
先ず、本発明に係る半導体レーザ装置の概略構成について簡単に説明する。ここでは、半導体レーザ装置として、埋め込み構造BHを有するSDHレーザ装置を例に挙げる。図1は、SDHレーザ装置の要部の概略構成の一例を示す模式図である。図例のように、SDHレーザ装置10は、表面に規則的な凹凸が形成された構造基板11上に、少なくともクラッド層、活性層およびキャップ層として機能する一層または多層の積層膜12が、結晶成長により形成されてなるものである。なお、積層膜12の詳細な構成、その機能、これらによるレーザ光の発生動作等については、既に公知であるため、ここではその説明を省略する。
【0015】
ところで、ここで説明するSDHレーザ装置10は、その構造基板11に大きな特徴がある。この構造基板11が本発明に係る半導体装置用構造基板に相当する。
【0016】
続いて、この構造基板11について詳しく説明する。構造基板11は、従来のものと同様に、“結晶成長面”と“非結晶成長面”とによって凹凸が形成されており(図7参照)、これにより凹凸部分の少なくとも一部に結晶成長面を有するように構成されたものである。ただし、この構造基板11では、結晶成長面が従来のような{100}面ではなく、その{100}面から所定のオフ角({100}面からの基板表面の傾き)を有するように構成されている点で、従来のものとは異なる。以下、本明細書では、このオフ角を有した基板を(100)オフ基板と呼ぶものとする。
【0017】
このような従来との相違により、その構造基板11では、詳細を後述するように、積層膜12が形成される結晶成長面の表面部分が、複数種類の元素が混在する非一様な原子配列を有するように構成されている。
【0018】
非一様な原子配列を実現するオフ角としては、{100}面を基準とした場合に、例えば0.4°〜27°が望ましい。ただし、非一様な原子配列を実現するオフ角であれば、必ずしもこの範囲に属している必要はない。
【0019】
また、非一様な原子配列を実現するオフ方向としては、A面(Ga面)方向:{0−1−1}逆メサ方向オフさせたものや、B面(As面)方向:{0 1−1}順メサ方向オフさせたものが挙げられる。ここで、A面とは、{111}A面の略である。すなわち、{111}面の一つである(111)面がA面、またはGaAs基板であればGa面と定義される。したがって、例えばGaAs基板において、A面方向に{100}面を徐々にオフさせていくと、その表面部分にてGaの原子の数が徐々に増え、{111}面(={100}面から54.7°オフした面)でGaだけの面となる。また、B面とは、{11−1}B面の略であり、{}内の“−1”が“1個”の結晶面とされる。ただし、非一様な原子配列を実現するオフ方向であれば、必ずしもこれらの方向にオフさせたものである必要はない。
【0020】
また、非一様な原子配列を構成する複数種類の元素としては、その代表的なものとしてGaとAsが挙げられる。すなわち、構造基板11としてGaAsの(100)オフ基板を用いる。ただし、この点についても、必ずしもGaAs基板でなければならない訳ではない。例えば、GaAs基板の他に、ガリウム窒素(GaN)基板、ガリウム窒素ヒ素(GaNAs)基板、インジウムリン(InP)基板、ガリウムリン(GaP)基板、ガリウム窒素リン(GaNP)基板等を用いても構わない。さらには、ケイ素(Si)を用いたものや、いわゆるジンクブレンド構造を持つ材料を用いたもの、あるいはIII−V族化合物半導体を用いたものであっても構わない。
【0021】
図2は、構造基板における原子配列の一具体例を示す模式図である。既に説明したように、GaAsの(100)ジャスト基板であれば、結晶成長面の表面部分にGaが一様に整列する原子配列を有する(図8参照)。これに対して、GaAsの(100)オフ基板の場合には、上述したようなオフ角、オフ方向および構成材料によって、結晶成長面11aの表面部分にて、GaとAsとが混在することになる。つまり、上述したようなオフ角、オフ方向および構成材料によって、構造基板11は、結晶成長面11aの表面部分が非一様な原子配列を有するように構成されるのである。
【0022】
さらに、構造基板11では、結晶成長面11aの他に非結晶成長面をも有しており、これらによって凹凸が形成されているが、その凹凸によるストライプ方向が逆メサ方向に延びている。ここで、逆メサ方向とは、A面(例えばGa面)が支配的になる方向のことをいう。したがって、構造基板11がGaAsの(100)オフ基板を用いたものであれば、その構造基板11は、ストライプ状の凹凸がA面(Ga面)方向:{0−1−1}逆メサ方向に延びるように形成されることになる。なお、B面(例えばAs面)が支配的になる方向については、順メサ方向というものとする。
【0023】
次に、以上のような構造基板11を用いてSDHレーザ装置10を構成する場合の手順、すなわち本発明に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0024】
SDHレーザ装置10の製造にあたっては、先ず、上述したような構成の構造基板11を用意する。すなわち、規則的な凹凸によるストライプ方向が逆メサ方向に延びており、かつ、その凹凸中の結晶成長面11aの表面部分にて例えばGaとAsとが混在する非一様な原子配列を有するような構造基板11を用意する(なお、SDHレーザ装置10は逆メサ方向ストライプであるが、形状としては順メサlikeにプロセス加工を施した凹凸構造基板も作製できる)。
【0025】
このような構造基板11は、例えば表面が平面状のGaAsの(100)オフ基板に対して、その表面に規則的な凹凸を形成するプロセス加工を施すことによって得ることが考えられる。また、平面状のGaAsの(100)ジャスト基板に対して、その表面に規則的な凹凸を形成するプロセス加工と、その凹凸中の結晶成長面11aにオフ角を与えるプロセス加工との両方を施し、(100)オフ基板の場合と同様な状態を得るようにしてもよい。これらの場合におけるプロセス加工としては、化学時または物理的なエッチング処理(ドライエッチングとウエットエッチングのいずれであっても構わない)等のような公知技術を利用したものが挙げられる。このプロセス加工の際に、マスクをB面方向に掛けると、凸部の断面形状が順メサ形状(台形状)になる。逆に、A面方向に掛けると、凸部の断面形状が逆メサ形状になる。また、エッチング処理の後は、必要に応じて、スピンドライ、IPA(イソプロピルアルコール)乾燥等といった乾燥処理が行われるものとする。
【0026】
構造基板11を用意した後は、その構造基板11を下地基板として結晶成長を開始する。すなわち、その構造基板11の結晶成長面11a上に、積層膜12を結晶成長により形成する。具体的には、下地基板に対するサーマルクリーニング→バッファ層成長→クラッド層成長→活性層成長→クラッド層成長→キャップ層成長等の過程を経て、構造基板11上に積層膜12を形成する。このとき、凹凸中の非結晶成長面である{111}B面では、結晶成長が行われない。したがって、上述した過程を経た後には、例えば図1に示すような形状のSDHレーザ装置10が構成されることになるのである。
【0027】
積層膜12を形成する際には、凸部上での結晶成長が、いわゆるヒルロックが発生し、その結晶性が問題となり得る可能性がある。そこで、結晶成長にあたっては、凸部上での結晶成長速度を他の部分の場合よりも遅くするといったように、結晶条件の最適化を図ることが望ましい。なお、結晶成長や結晶条件最適化等の詳細については、既に公知であるため、ここではその説明を省略する。
【0028】
次に、以上のような手順で得られたSDHレーザ装置10の表面モフォロジーについて説明する。ここでは、従来のように結晶成長面が{100}面であり、その表面部分にGaが一様に整列する原子配列である場合の表面モフォロジーを比較例(以下、この比較例を「従来例」という)として挙げる。
【0029】
図3は表面モフォロジーの断面SEM観察結果の一具体例を示す説明図であり、図4は表面モフォロジーの光学顕微鏡観察の一具体例を示す説明図である。これらの図に示すように、(100)オフ基板(またはこれに準ずる状態のものを含む。以下同様とする。)を下地とした場合には、従来例のように薄膜化や断層化、あるいは表面の荒れが生じることがなく、従来例に比べて構造基板11上に成膜した膜質について改善効果があることが分かる。
【0030】
これは、(100)オフ基板を下地とした場合には、結晶成長面11aの表面部分が、例えばGaとAsとが混在する非一様な原子配列を有していることから、結晶成長の際のその態様がある程度その原子配列に依存することになるためと考えられる。すなわち、例えばAsと結合しやすい結晶元素は原子配列中のAsの部分にて成長するといったように、結晶となる元素が結晶成長面11a上のどこにでも存在し得るわけではなく、その結晶成長面11aの表面部分の原子配列に依存して存在(成長)することになる。したがって、例えば結晶成長の下地に異物等が存在しているような場合であっても、その異物等の存在に拘わらず、結晶成長面11aの表面部分の原子配列に依存して結晶成長が行われるので、その結晶成長による積層膜12の表面モフォロジーが下地の表面状態を敏感に反映したものとなってしまうことを抑制できるからである。
【0031】
図5は、一般的な半導体レーザ装置(積層膜の膜厚が約3μm)よりも2倍以上の厚膜の結晶成長を行なった場合における表面モフォロジーの光学顕微鏡観察の一具体例を示す説明図である。この図に示すように、一般的な半導体レーザ装置におけるトータル膜厚に比べて2倍以上の厚膜を積んでみたところ、(100)オフ基板を下地とした場合には、従来例のようにうろこ状の表面の荒れが生じることがなく、従来例に比べて明らかに表面モフォロジーが良好であることが分かる。
【0032】
これは、特に積層膜が厚膜である場合には、下地の表面状態が敏感に反映されてしまうと異物等の影響が厚膜によって増長されてしまうことになるが、(100)オフ基板を下地とすれば、その下地の表面状態が表面モフォロジーに反映され難くなるので、厚膜を積んだ場合であっても良好な表面モフォロジーが得られるものと考えられる。したがって、(100)オフ基板を下地とすることは、SDHレーザ装置10で必要となり得るように、積層膜12が厚膜(例えば、4μm〜5μm程度、または5μm以上)である場合に、特に有効であるといえる。
【0033】
図6は、構造基板のオフ角の違いによる表面モフォロジー改善効果の相違の一具体例を示す説明図である。図例では、オフ角がA面方向に2°の(100)オフ基板、A面方向に4°の(100)オフ基板、A面方向に10°の(100)オフ基板およびA面方向に15°の(100)オフ基板における表面モフォロジーの光学顕微鏡観察結果と、従来例における表面モフォロジーの光学顕微鏡観察結果とを示している。これらの図に示すように、(100)オフ基板を下地とした場合には、いずれのオフ角であっても、従来例に比べて、結晶成長による規則正しい原子配列が促進され、複雑なプロセスを必要とする半導体デバイスの表面モフォロジーの改善が可能になることが分かる。
【0034】
このことから、オフ角がA面方向に2°〜15°の(100)オフ基板を下地とすれば、SDHレーザ装置10における積層膜12の品質等に多大な好影響を与えることが可能になるといえる。ただし、オフ角は、上述したようにA面方向に2°〜15°であれば良好であることが確認されたが、基板構成材料の原子配列等を考慮すると、0.4°〜27°であれば同様の効果が得られると推定される。また、オフ方向についても、同様の理由により、A面方向ではなくB面方向であっても同様の効果が得られると考えられる。
【0035】
特に、SDHレーザ装置10のような“基板のオフ方向”と“ストライプ方向”とが同じ方向になるような半導体レーザ装置の場合、へき開面(レーザ出射端面)が傾斜することを考えると、なるべくオフ角を小さくする(できれば1°オフ以下にする)ことによって端面反射率への影響が抑制され、かつ、モフォロジーの改善が可能になる。
【0036】
以上のように、本実施形態で説明したSDHレーザ装置10、これに用いられる構造基板11およびそのSDHレーザ装置10の製造方法によれば、積層膜12の結晶成長の下地に異物等が存在しているような場合であっても、その異物等の存在に拘わらず、結晶成長面11aの表面部分の原子配列に依存して結晶成長が行われるので、その結晶成長による積層膜12の表面モフォロジーが下地の表面状態を敏感に反映してしまうのを抑制でき、その表面モフォロジーの改善が図れるようになる。
【0037】
したがって、結晶成長面11aの表面部分を非一様な原子配列とすれば、積層膜12に局所的な膜質異常が発生したり、その均一性が著しく損なわれたりすることがなくなり、SDHレーザ装置10におけるデバイス特性(光学的特性や電気的特性等)がばらついてしまうのを未然に防止し得るようになる。また、極端な厚膜の結晶成長を行っても、例えば電流ブロック層の破損といったようなデバイス構造の破損を招くこともない。さらには、これらに伴って、SDHレーザ装置10の信頼性向上やその製造工程における歩留まり(製品収率)向上等も実現可能となる。つまり、高品質のSDHレーザ装置10の量産が容易となり、これによりSDHレーザ装置10の低コスト化も実現し得るようになる。
【0038】
このようなSDHレーザ装置10の高品質化に繋がる表面モフォロジーの改善は、特に、積層膜12が厚膜(4μm〜5μm以上)である場合、エッチング面に結晶の再成長を行なう場合、結晶成長によってミクロのレベルで荒れた下地面上に別の材料層を積む場合等に、非常に有効である。
【0039】
本実施形態で説明したSDHレーザ装置10、これに用いられる構造基板11およびそのSDHレーザ装置10の製造方法によれば、構造基板11の凹凸によるストライプ方向が逆メサ方向に延びているが、この場合、オフ角をなるべく小さく抑え、その構造基板11を用いて例えばAlGaAs系の近赤外レーザ装置を構成することが可能となる。すなわち、近赤外レーザに対応したSDHレーザ装置10を構成する場合であっても、表面モフォロジーの改善効果が得られるようになる。勿論、AlGaAs系の近赤外レーザに加えて、InP系の赤色レーザにも対応した、いわゆる2波長レーザ装置を構成するようにしてもよく、その場合であっても表面モフォロジーがひどく荒れてしまうのを回避することができる。
【0040】
これらのことから、本実施形態で説明したSDHレーザ装置10、構造基板11およびSDHレーザ装置10の製造方法は、特にレーザビームプリンタ用や光通信技術用等として今後需要が高まる可能性のある「複数本独立駆動集積型のファブリペロー型レーザ装置(通称:マルチビームレーザ装置)」に適用すると、その製造プロセスの難易度が非常に高いこと、また単体レーザに比べてマルチビームレーザでは歩留まりが掛け算式に効いてくること等の観点からも、特段の効果(信頼性向上や歩留まり向上等)を発揮すると考えられる。また、2元、3元、4元、5元、6元といった異種の半導体材料を組み合わせた、歪み系または歪み補償型のデバイス、あるいはそれらを組み合わせたデバイス(モノリシック型、ハイブリッド型)に適用することも、非常に有効であると考えられる。
【0041】
なお、本実施形態では、本発明をSDHレーザ装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、SDHレーザ装置のように“ストライプ方向”と構造基板の“オフ方向”とが同じの場合の半導体レーザ装置においても、そうでない場合の半導体レーザ装置においても、僅かにオフした(0.4°〜2°にオフした)基板を用いることによって、表面モフォロジーがひどく荒れてしまうのを回避することができる。
【0042】
また、複雑なプロセス加工を繰り返すことが要求される半導体装置、プロセス加工後の再成長を必要とする半導体装置、これらの組み合わせによって厚膜化した半導体装置等で、オフ基板を使用していなかったものであれば、本発明を適用することによって、表面モフォロジー改善や積層構造破損防止等を通じて、半導体装置の特性改善を実現することが期待される。
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の半導体レーザ装置、半導体装置用構造基板および半導体装置の製造方法は、結晶成長面の表面部分を非一様な原子配列としているので、例えば下地が表面荒れしている場合であっても、それに起因する表面モフォロジーの悪化を極力回避することができる。したがって、その結晶成長後の表面モフォロジーの改善を通じて、半導体レーザ装置または半導体装置の信頼性向上や製造容易化等を図れるという効果を奏することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体レーザ装置の要部の概略構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明に係る構造基板における原子配列の一具体例を示す模式図である。
【図3】表面モフォロジーの断面SEM観察結果の一具体例を示す説明図であり、(a)は本発明に係る半導体レーザ装置についての図、(b)は比較となる従来例についての図である。
【図4】表面モフォロジーの光学顕微鏡観察の一具体例を示す説明図であり、(a)は本発明に係る半導体レーザ装置についての図、(b)は比較となる従来例についての図である。
【図5】一般的な半導体レーザ装置(積層膜の膜厚が約3μm)よりも2倍以上の厚膜の結晶成長を行なった場合における表面モフォロジーの光学顕微鏡観察の一具体例を示す説明図であり、(a)は本発明に係る半導体レーザ装置についての図、(b)は比較となる従来例についての図である。
【図6】構造基板のオフ角の違いによる表面モフォロジー改善効果の相違の一具体例を示す説明図である。
【図7】構造基板における凹凸形状の概略構成を示す模式図である。
【図8】従来の構造基板における原子配列の一具体例を示す模式図である。
【符号の説明】
10…SDHレーザ装置、11…構造基板、11a…結晶成長面、12…積層膜

Claims (6)

  1. 表面に規則的な凹凸が形成された構造基板上に一層または多層の積層膜が結晶成長により形成されてなる半導体レーザ装置であって、
    前記構造基板は、前記積層膜が形成される結晶成長面の表面部分が、複数種類の元素が混在する非一様な原子配列を有するように構成されたものである
    ことを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 前記構造基板は、当該構造基板の凹凸によるストライプ方向が逆メサ方向に延びたものである
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ装置。
  3. 半導体装置を構成するのに用いられる半導体装置用構造基板であって、
    表面に形成された規則的な凹凸の少なくとも一部に前記半導体装置を構成する一層または多層の積層膜を結晶成長により形成するための結晶成長面を有するとともに、
    前記結晶成長面の表面部分が、複数種類の元素が混在する非一様な原子配列を有するように構成されている
    ことを特徴とする半導体装置用構造基板。
  4. 前記規則的な凹凸によるストライプ方向が逆メサ方向に延びている
    ことを特徴とする請求項3記載の半導体装置用構造基板。
  5. 表面に規則的な凹凸が形成された構造基板上に一層または多層の積層膜が結晶成長により形成されてなる半導体装置の製造方法であって、
    前記積層膜が形成される前記構造基板の結晶成長面の表面部分を、複数種類の元素が混在する非一様な原子配列を有するように構成し、
    前記結晶成長面上に前記積層膜を結晶成長により形成する
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 前記構造基板として、当該構造基板の凹凸によるストライプ方向が逆メサ方向に延びたものを用いる
    ことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
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