JP2004014816A - 半導体製造方法および半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、CVDの使用率を低減してコストを削減し、生産性を高く保ちつつ、ボイドの形成のない配線材を充填することができ、安価で信頼性の高い多層配線を用いた高集積回路となる半導体装置を安定して製造することができる半導体製造方法および半導体装置を提供することを課題とする。
【解決手段】シード層7上にCVDによってCVD層8を形成する。配線材となるCVD層8の成膜の後、ECDによってほぼ配線溝深さと同等の配線材追加成膜層9の成膜を行い、配線材追加成膜層9とCVD層86とをCMPによって除去し、配線層40を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】シード層7上にCVDによってCVD層8を形成する。配線材となるCVD層8の成膜の後、ECDによってほぼ配線溝深さと同等の配線材追加成膜層9の成膜を行い、配線材追加成膜層9とCVD層86とをCMPによって除去し、配線層40を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造方法および半導体装置に関し、特に低抵抗で微細な信頼性の高い銅配線による多層配線構造を有する半導体装置を製造する半導体製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、集積回路の配線には、アルミニウム(Al)もしくはAl合金が、配線間および配線層間には、シリコン酸化膜(SiO2)がそれぞれ広く用いられてきた。しかし、回路の微細化の進行に伴い、配線における信号伝送の遅延を抑制低減する上で、配線抵抗の低減のために配線材には、銅(Cu)が、配線間容量の低減のために配線間および配線層間における絶縁膜には、シリコン酸化膜より誘電率の低い有機物や空孔を含んだ膜が使用されるようになってきた。
【0003】
Cuを主成分とする配線においては、加工性の観点から、一般にダマシン法と呼ばれる手法による配線層形成が広く行われている。Al系を主成分とする配線においては、配線材を成膜してから、配線材をエッチングによって加工し、その後に絶縁膜で覆うという方法が一般的であったが、ダマシン法では、絶縁膜に溝又は孔を形成してから配線材を充填し、余剰な配線材を化学機械研磨(ChemicalMechanical Polishing:CMP)によって除去することで配線構造を形成する。
【0004】
一般に、集積回路の多層配線においては、配線層と、配線層間を接続するプラグ部が交互に形成され、最下層の配線層と下地となる半導体デバイスの導体部を接続する部分もプラグである。プラグ部と配線層部の導体充填を個別に行う手法がシングルダマシンと呼ばれるのに対し、下層と接続するプラグ部と配線層の両者に対して同時に配線材を充填する方法は、デュアルダマシンと呼ばれる。
【0005】
シングルダマシン法では、配線層を一層形成するために、プラグ部と配線層部のそれぞれに対して配線材の成膜および余剰配線材のCMPなどの工程が必要であるのに対し、デュアルダマシン法では各工程を1度ずつ行うだけで良いことから、コストと製造に要する時間を低減できる利点がある。
【0006】
デュアルダマシン法においてプラグ部を高融点金属による配線材充填を行う例が特開平8−298285号公報等に記載されているが、プラグ部だけでなく配線層部においても高抵抗の配線材料が成膜されてしまうために、配線層部の抵抗が高くなり、かつ各配線間の抵抗が配線幅によって大きくばらつく。また、近年の微細化により、プラグ部における低抵抗化が性能を規定する要素として重要となってきており、高性能化のためにはプラグ部もCu等の低抵抗金属で充填する必要が生じている。従って、デュアルダマシンによってCuを主体とする低抵抗配線材料をプラグ部と配線層部との両者に充填することによって、性能的にもコスト的にも優れた配線形成を行うことができる。
【0007】
ダマシン法におけるCu系配線の形成においては、電解メッキ(Electoro Chemical Deposition:ECD)によるCu埋め込みが広く用いられてきている。電解メッキは、コスト、スループットに優れ、また種々の添加剤を用いることによってボトムアップと呼ばれる、凹部の成膜速度を平坦部よりも高くすることで高い埋め込み性を得る手法を用いることが可能となってきた。しかしながら、ECDにおいては、成膜部に電位を与えるために、シードと呼ばれる低抵抗の表面層が必要とされている。従来、このシード層は、スパッタ法(又はPVD:Physical Vapor Deposition)によって形成するのが一般的である。
【0008】
図3は、従来のデュアルダマシン法による多層配線形成工程を示す製造工程断面図であり、図4は、微細化による埋め込みの困難性を説明するための模式図である。
図3(a)に示す導体1と絶縁膜2によって構成された下地上に、絶縁膜3を成膜した後、リソグラフィとエッチングによって、図3(b)に示すように、下層の導体部1と接続されるプラグ孔4と配線溝5を形成する。
【0009】
次に、図3(c)に示すように、バリア導体膜6を成膜し、図3(d)に示すように、シード層7を成膜し、図3(e)に示すように、シード層7とバリア導体膜6を電極としてECDによる配線材の埋め込み成膜層30の成膜を行い、図3(f)に示すように、余剰な埋め込み成膜層30とバリア導体膜6とシード層7とをCMPによって除去することで配線層40を形成する。図3(b)から図3(f)までの工程を順次繰り返すことによって、図3(g)に示すように、複数の配線層40が積層された多層配線構造を形成する。
【0010】
ところが、近年の微細化の進行によって、従来どおりの手法では配線材の埋め込みが困難となってきた。図4(a)に示すように、絶縁膜10に形成された孔もしくは溝の開口部が埋め込み深さに対して比較的広い、すなわちアスペクト比が小さい場合には、PVDによって、バリア導体膜11およびシード層12を十分な被覆性を持って形成することが可能であり、ECDによる埋め込み成膜層30を埋め込み対象である孔又は溝に対して空隙(ボイド)なく形成することができる。
【0011】
しかし、微細化によって埋め込む対象である孔又は溝の開口部が狭くなりアスペクト比が増大すると、図4(b)および(c)のようにボイドなく埋め込むことが困難になる。図4(b)に示されるように、孔又は溝の内側面に十分な厚さのシード層12を形成しようとすると、ECD開始時において孔又は溝の上部付近が下部付近に比べて非常に狭くなってしまうため、開口部に近いところが容易に閉塞してしまい、孔又は溝の内部に空隙が残る。開口部付近での閉塞を抑制するために、シード層12を減少させた場合、図4(c)に示されるように、孔又は溝の底に近い側面には十分なシード層12が形成されないため、電解メッキによる成膜が進行せず、埋め込み成膜層30による埋め込みが達成されない。
【0012】
そこで、段差被覆性に優れる化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)を用いた埋め込みが検討されるようになった。CVDの中でも、プラズマ等の基板表面以外での活性化手段を用いずに、加熱による化学反応によって成膜を行う熱CVD法は、原理的に特に段差被覆性に優れる。十分な原料供給速度のもとで成膜速度はほぼ温度のみによって規定されるため、凹部、平坦部でほぼ等しい成膜速度を有するコンフォーマルな成膜を行うことができる。
【0013】
ECDを用いずに、CVDによって微細な溝や孔を埋め込んだ例に関しては非常に多くの報告がある(例えば、小林明子、上智大学大学院理工学研究科電子電気工学科博士論文「超高集積回路の配線用銅薄膜の化学気相成長とその膜特性に関する研究」,1999など)。これらCuのCVDに関しては、近年では、Cu(hfac)tmvs (hfac =1,1,1,5,5,5−hexafluoroacetylacetnate, tmvs = trimethyl vinyl silane)に代表される、hfacとルイス塩基を配位子とした1価のCu含有化合物を原料とする有機金属CVD(Metal Organic CVD:MOCVD)が、一般的となっている。
【0014】
ごく最近では、CVD直前に触媒を表面に付着させることによって、凹部での成膜速度を平坦部に比べて高くすることによる高埋め込みCVDも報告されている(文献1:H. Parkら, Proceeding of the International Interconnect Technology Conference, p.12〜14)。また、例えば、特開2001−244216号公報(文献2)には、シード層をPVD、CVDの順で形成することにより、良好なECD埋め込みを達成する手法が提案されている。ECDに際して、基板面内で電圧が大きく異ならないために必要なシード膜厚をPVDによって形成し、埋め込み対象である孔又は溝の側面のシード被覆をCVDによって行うものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
広く用いられるCuのMOCVDは、複雑な組成の原料を合成する必要があるため、基本的にコストが高い。また、CuのCVDは、微細な孔や溝に対する配線材の埋め込みに用いられる際には比較的低い成膜温度を必要とするため、その成膜速度は低く抑えられてしまい、近年の報告中で高いものでも100nm/min程度である。ダマシン法によって配線層を形成するためには、配線溝の深さ以上の膜厚を成膜してからCMPを行うため、配線溝よりも十分厚い膜厚を成膜しておかねばならない。従って、CVDのみによって埋め込みを行う条件でCMPに必要な膜厚を成膜するには、コストに加えて多くの処理時間を必要とし、高い生産性を得ることが難しいという問題点があった。
【0016】
図5は、コンフォーマルな成膜によるアスペクト比の増大を説明するための模式図である。
一方で、文献2に記述されるような、シードをPVDとCVDで形成した後にECDで埋め込みを行う場合、CVDによる成膜厚さが増大すると、ECD埋め込みに際してのアスペクト比が増大してしまい、埋め込みが困難になるため、CVDによる成膜厚さを低く抑えなければなならい。図5(a)に示される成膜前において、開口幅W1と深さH1を持つ埋め込み対象に厚さtのコンフォーマルな成膜が行われた場合、図5(b)に示されるように開口幅W2はW1−2tと成膜厚さの2倍狭くなるのに対して、残存する埋め込み対象の深さH2は、H1−tと成膜厚さ分しか減少しない。さらに、後続の埋め込み工程における実効的な埋め込み深さはH2+t=H1と全く減少しない。従って、コンフォーマルな成膜前にアスペクト比はH1/W1であったものが、成膜後にはH1/(W1−2t)という値に増大してしまうため、CVDによる成膜厚さをできる限り少なくした方が後続の埋め込みが容易となる。
【0017】
しかしながら、CVDでは化学反応にある程度の高温を必要とするため、近年のMOCVDを用いても150℃程度以上の基板温度を用いねばならない。このため、Cuの凝集などが生じ、10nm以下の厚さで連続したCu膜をCVDで得るのは困難である。ITRS(International Roadmap for Semiconductors)の2001版によれば、2006年には多層配線の下層部におけるピッチは200nm以下、すなわち配線幅は100nm以下となり、深さはその1.6〜1.7倍程度となることが予想されている。例えば100nmの幅でアスペクト比1.6、すなわち160nmの深さを持つ溝に対して、20nmのCVD成膜を行うと、深さは140nmと変化が少ないのに対し、両側面に成膜が行われるために幅は60nmと急激に狭まり、ECDで埋め込むべきアスペクト比は2.3にまで増大し、埋め込みが困難になる。このような溝単体の場合に比べて孔の場合はさらに埋め込みの困難性は増し、接続孔とその上部の配線溝を一括して埋め込まねばならないデュアルダマシン法においては、さらに困難性が高まってしまうという問題点があった。
【0018】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、デュアルダマシン法による多層配線形成における配線材の埋め込みにおいて、CVDの使用率を低減してコストを削減し、生産性を高く保ちつつ、ボイドの形成のない配線材を充填することができ、安価で信頼性の高い多層配線を用いた高集積回路となる半導体装置を安定して製造することができる半導体製造方法および半導体装置を提供する点にある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、半導体素子が形成された基板上において、導体と絶縁体とが混在する層上に絶縁膜を成膜し、該絶縁膜に溝又は孔を形成した後に配線材を充填し、化学機械研磨によって余剰な前記配線材を除去することで配線層を形成する半導体製造方法であって、化学気相成長法による成膜で配線材を充填する第1成膜工程と、該第1成膜工程とは異なる成膜によって配線材を追加成膜する第2成膜工程とを有することを特徴とする半導体製造方法に存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部を完全に埋め込むまで配線材を充填することを特徴とする請求項1記載の半導体製造方法に存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程は、前記配線層に形成された配線溝を完全に埋め込むまで配線材を充填することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体製造方法に存する。
また請求項4記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程で成膜される配線材の膜厚は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部のうちで最小の内径を持つものの内径の半分以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項5記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程で成膜される配線材の膜厚は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部の上部に形成された配線溝の深さ以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項6記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程で成膜される配線材の材質は、銅を90%以上含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項7記載の発明の要旨は、前記第2成膜工程は、メッキ法によって行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項8記載の発明の要旨は、前記第2成膜工程は、前記第1成膜工程よりも速い成膜速度を有する条件での化学気相成長法によって行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項9記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程の前に、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部に充填する配線材の一部をスパッタ法によって形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項10記載の発明の要旨は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部の上部に形成された溝の幅が、前記プラグ部の開口径に比して1.3以上1.7以下の範囲にないことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項11記載の発明の要旨は、半導体素子が形成された基板上において、導体と絶縁体とが混在する層上に絶縁膜を成膜し、該絶縁膜に溝又は孔を形成した後に配線材を充填し、化学機械研磨によって余剰な前記配線材を除去することで形成した配線層を有する半導体装置であって、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部の上部に形成された配線溝の幅が、前記プラグ部の開口径に比して1.3以上1.7以下の範囲にないことことを特徴とする半導体装置に存する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る半導体製造方法の第1の実施の形態の製造工程を示す製造工程断面図である。
【0022】
第1の実施の形態は、図1(a)に示す導体1と絶縁膜2とによって構成された下地上に上部配線層を形成する工程について説明する。なお、導体1と絶縁膜2とによって構成された下地は、基板上に形成されているが、図1においては、基板を省略している。
【0023】
まず、下地上に絶縁膜3を成膜した後、リソグラフィとエッチングとによって、図1(b)に示すような。下層の導体1と接続されるプラグ孔4と配線溝5とを形成する。
【0024】
次に、図1(c)に示すように、バリア導体膜6を成膜する。バリア導体膜6は、絶縁膜3中への配線材の拡散を防止するために設けられるものであり、拡散を十分防止できる範囲内でできるだけ薄い方が望ましい。その用途から、バリア導体膜6は主配線材よりも比抵抗が高いため、バリア導体膜6と主配線材とで最終的に構成される配線中におけるバリア導体膜6の割合が低いほど低抵抗で高性能な配線を形成できるからである。ここで、絶縁膜3中への配線材の拡散とは、製造工程中の熱処理による熱拡散だけでなく、電圧、電流が印可された使用状態におけるドリフト拡散等も含む。一般にCuなどの低抵抗配線材料を絶縁膜上に直接成膜した場合には優れた密着性や配向性等を得ることが難しいため、バリア導体膜6の部分には後続の配線材形成工程において十分な密着性を含めた良好な特性を得やすい金属を用いることが望ましく、Cuを主配線材とする配線においては、Cu直下にα型のTaを置く構造にすると良い。なお、絶縁膜3に対する配線材の拡散が十分小さい配線材と絶縁膜3との組み合わせが使用できる場合には、必ずしもバリア導体膜6を用いなくても良く、またバリア性のない膜を用いても良い。
【0025】
次に、図1(d)に示すように、バリア導体膜6上にPVD(physical vapordeposition)によってシード層7を形成し、図1(e)に示すように、シード層7上にCVD(chemical vapor deposition)によってCVD層8を形成する。ここで、PVDによるシード層7は、CVD層8と下地との接続、密着を良好にするために用いられる。例えば、hfacを配位子としたMOCVDでCuを成膜する場合、Taの上などに直接CVDを行うと密着性が弱く抵抗の高い非晶質層が形成されるが、間にPVDによるCu層を挟むことで、不純物が少なく配向性の高い良質な配線を形成できるという報告(N. Yoshida, Y.D. Cong., R. Tao, L.Y. Chen, S. Ramaswami, Advanced Metallization Conference 1998, p.189)がある。十分な密着性と低抵抗が得られる下地とCVD条件との組み合わせを用いる場合には、シード層7を用いなくても良い。近年では、MOCVDによるCu形成の下地にTiSiNもしくはTaSiNなどを用いることで、良好な密着性が得られるようになってきている。また、このPVD層の材質は、必ずしも後の配線材成膜工程で使用されるものと同一でなくとも良い。例えばCuに数%以下の別種の金属を添加した合金を用いて、形成しても良い。
【0026】
配線材となるCVD層8の成膜の後、図1(f)に示すように、ECD(electrochemical deposition)によってほぼ配線溝深さと同等の配線材追加成膜層9の成膜を行い、図1(g)に示すように、配線材追加成膜層9とCVD層8とシード層7とバリア導体膜6とをCMPによって除去し、配線層40を形成する。以下、図1(b)から図1(g)までの工程を繰り返すことによって、図1(h)に示すように、複数の配線層40が積層された多層配線構造を形成することができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明に係る半導体製造方法の第2の実施の形態の製造工程を示す製造工程断面図である。
【0028】
第2の実施の形態において、シード層7を形成するまでの工程は(図2(a)から図2(d)まで)、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0029】
第2の実施の形態は、図2(d)に示す構造(シード層7の形成までの工程)を得た後、図2(e)に示すように、プラグ孔4を完全に埋め込むまで、CVDによって配線材となるCVD層8の成膜を行う。高い埋め込み性を持つCVD条件でのCVD層8の膜厚を、第1の実施の形態の場合よりも薄くできるため、さらにコストを低減して生産性を高めることができるが、多層配線構造中で埋め込みが必要な部分を全てCVD層8で成膜しないため、配線幅の設定等の制約が必要となる。なお、CVDによってプラグ孔4を完全に埋め込まない場合には、次の埋め込み工程におけるアスペクト比が高くなってしまう。
【0030】
プラグ孔4を完全に埋め込んでしまうために、通常のコンフォーマルなCVD成膜においては、プラグ孔4の開口径の半分以上の膜厚のCVD層8をCVDによって成膜する。一方で、異方性のある埋め込みCVD成膜を用いる場合には、プラグ孔4が完全に埋め込まれていれば必ずしも表面平坦部における成膜厚さはプラグ孔4の開口径の半分以上である必要はない。
【0031】
基板全面にわたって、プラグ孔4を埋め込むためには、プラグ孔4の開口形状ができるだけ均一であることが望ましく、一般に近年のLSI多層配線におけるプラグ孔4の開口径は露光等のバラツキを除いて基板面内でほぼ同一であり、プラグ孔4の開口径は配線ピッチの半分程度である。ITRSのロードマップによれば、埋め込みが最も困難な最微細となる下層配線部における配線ピッチは0.3μm程度以下になってきており、コンフォーマルなCVDにおいても膜厚が100nm程度のCVD層8を成膜することで、プラグ孔4を完全に埋め込むことができる。
【0032】
また、CVD層8を成膜するCVD工程において、CVD層8は、プラグ孔4だけでなく配線溝5にも成膜される。ここで、コンフォーマルなCVD成膜を用いた場合、CVD層8の膜厚の倍以下の幅を持つ配線溝5は同時に埋め込まれるが、CVD層8の成膜厚さの倍よりもわずかに大きい幅を持つ配線溝5に対しては、完全に埋め込みが行われずにアスペクト比の高い溝が形成されてしまい、次の埋め込み工程において埋め込み不良の発生を招く。一般に、配線溝5の幅の最小値は最小配線ピッチの半分程度であり、プラグ孔4の開口径とほぼ等しい。最小配線幅の2倍(=配線ピッチ)の幅を持つ配線溝5に関して、コンフォーマルなCVD膜8の成膜によってプラグ孔4の開口径(=最小配線幅)のちょうど半分の厚さを成膜した場合のアスペクト比は、埋め込み前における最小の配線幅を持つ配線溝5のアスペクト比と等しくなる。従って、例えば後続の埋め込み工程における配線溝5の埋め込み基準を、埋め込み前における最小の配線幅を持つ配線溝5のアスペクト比とすると、最小配線幅より広い幅を持つ配線溝5は、その幅を配線ピッチ以上とすることが望ましい。CVD膜8の成膜以外に露光等で生じるマージンを全て包括して考えたとき、そのマージンは、最大でも30%程度以下である。従って、コンフォーマルなCVD成膜でプラグ孔4のみを埋め込む場合、最小配線幅より広い幅を持つ配線溝5の幅を、最小配線幅の1.3倍から1.7倍の範囲に設定しないことが望ましい。
【0033】
なお、上記の配線幅に関する制約は、プラグ孔4の開口径が単一でない場合にも同様に適用される。開口径が小さい複数のプラグ孔4に対して、非常に開口径の大きいプラグ孔4が混在している場合には、開口径の小さい複数のプラグ孔4のみを対象として完全な埋め込みを行うCVD膜8の膜厚を決定すれば良い。開口径の非常に大きなプラグ孔4、具体的には開口径の小さいプラグ孔4によって規定されるCVD膜8の必要膜厚の3倍以上の開口径を持つものに関しては埋め込みの困難性が低いため、次の配線材追加成膜工程において容易に埋め込むことが可能である。
【0034】
CVDによってプラグ孔4を埋め込んだ後は、図2(f)に示すように、低コストで生産性の高い成膜によって配線材追加成膜層9の追加成膜を行い、図2(g)に示すように、配線材追加成膜層9とCVD層8とシード層7とバリア導体膜6とをCMPによって除去し、配線層40を形成する。以下、図2(b)から図2(g)までの工程を繰り返すことによって、図2(h)に示すように、複数の配線層40が積層された多層配線構造を形成することができる。
【0035】
コストと生産性の観点に加えて、配線溝5の幅およびプラグ孔4の開口径に関する制約においても、図2(e)から図2(f)に至る、埋め込み性の高いCVD条件でのCVD膜8の成膜は、プラグ孔4を埋め込むことができる限り、少ない方が望ましい。
【0036】
次に、本発明の実施例について図6および図7を参照して詳細に説明する。
図6は、本発明に係る半導体製造方法の実施例の製造工程を示す製造工程断面図であり、図7は、本発明に係る半導体製造方法の実施例の良品率の変化を表わした図である。
【0037】
図6(a)に示す導体15と絶縁膜16とによって構成された下地上に上部配線層を形成する工程について説明する。絶縁膜16としては、シリコン酸化膜を用い、導体15としては、側壁部にタンタルと窒化タンタルの積層構造を配したCuを用いた。なお、導体1と絶縁膜2とによって構成された下地は、基板上に形成されているが、図6においては、基板を省略している。
【0038】
次に、図6(b)に示すように、導体15と絶縁膜16とによって構成された下地上にバリア絶縁膜17と、層間絶縁膜18と、エッチングストップ用絶縁膜19と、層間絶縁膜20とを順次積層した。バリア絶縁膜17として50nmのシリコン窒化膜を用い、層間絶縁膜18として300nmのシリコン酸化膜を用い、エッチングストップ用絶縁膜19として50nmのシリコン窒化膜を用い、層間絶縁膜20として300nmのシリコン酸化膜を用いた。
【0039】
次に、図6(c)に示すように、層間絶縁膜20上に、リソグラフィによって、プラグのパターンをレジスト21にパターニングし、図6(d)に示すように、異方性エッチングによって層間絶縁膜20と、エッチングストップ用絶縁膜19と、層間絶縁膜18とをプラグのパターンに加工し後、レジスト21を剥離した。なお、リソグラフィによるレジストパターンニングの際は、レジスト21直下に図示しない薄い反射防止膜を必要に応じて用いており、レジスト21をマスクとする異方性エッチングにおいては、その初期に反射防止膜のエッチングを行った。
【0040】
次に、図6(e)に示すように、リソグラフィによって配線溝のパターンをレジスト22にパターニングし、図6(f)に示すように、層間絶縁膜20を配線溝のパターンに加工した後、レジスト22を剥離した。なお、リソグラフィによるレジストパターンニングの際は、レジスト22直下に図示しない薄い反射防止膜を必要に応じて用いており、レジスト22をマスクとする異方性エッチングにおいては、その初期に反射防止膜のエッチングを行った。
【0041】
次に、図6(g)に示すように、プラグ底におけるバリア絶縁膜17をエッチングし、下層導体15との接合部を開口した。このとき、配線溝底におけるエッチングストップ用絶縁膜19も同時にエッチングされるため、エッチングストップ用絶縁膜19は、配線溝のパターンに加工される。図6(g)の時点における、プラグ部の開口径は0.18μmであり、配線溝幅は0.18μmから10μmまでの範囲である。
【0042】
次に、図6(h)に示すように、PVDによって基板全面に対してバリア導体膜23の成膜を行った。バリア導体膜23としては、イオン化スパッタ法によって厚さ20nmの窒化タンタル上に厚さ20nmのタンタルが積層されたものを用いた。
【0043】
バリア導体膜23の成膜後、装置内の真空搬送を用いて大気に暴露することなく、シード層24の成膜をPVDによって行った。シード層24に用いたのは、イオン化スパッタ法によるCuであり、シード層24の膜厚は、実験水準として50nm、100nm、150nm、200nmに変化させた。
【0044】
次に、図6(j)に示すように、CVDによってCVD層25を形成した後、図6(k)に示すように、ECDによって配線材追加成膜層26を形成し、図6(l)に示すように、配線材追加成膜層26とCVD層25とシード層24とバリア導体膜23とをCMP(chemical mechanical polishing)によって除去し、配線層40を形成した。CVD層25は、Cu(hfac)tmvsを原料とするCuのMOCVDによって成膜を行い、実験水準として0nm、20nm、50nm、100nm、300nmに変化させた。以下、図6(b)から図6(l)までの工程を繰り返すことによって、図6(m)に示すように、複数の配線層40が積層された多層配線構造を形成した。
【0045】
図6(b)から図6(l)の工程を2回繰り返した2層の配線において、0.18μm〜10μmの配線幅を持つ50万個のビアチェーンパターンにおける抵抗を測定し、良品率を求めた。なお、良品率とは、高抵抗が観測された個数/全体数である。
【0046】
図7には、CVD層25の膜厚であるCVD膜厚を0nm、20nm、50nm、100nm、300nmに変化させ、シード層24の膜厚であるPVD膜厚を50nm、100nm、150nm、200nmに変化させた場合のそれぞれの良品率が示されており、CVDを全く用いない場合には(CVD膜厚:0nm)、非常に良品率が低いことがわかる。試料断面を集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)で加工して、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観察したところ、PVDによるシード層24がプラグ下部で十分被覆していないことが確認された。
【0047】
CVD膜厚を20nmとするとPVD膜厚が100nmと150nmのときは、良品率がかなり増加するが、CVD膜厚を50nmに増大させると良品率が低下してしまう。これは、CVDによる成膜によってECD時のアスペクト比が増大してしまうために埋め込み不良が生じていることが、上記と同様の断面観察によって確認された。PVD膜厚が大きすぎると良品率が低下するのは、開口部のオーバーハングが大きくなり埋め込みが困難になるためである。
【0048】
一方、CVDで100nm、300nmの成膜を行ったものに関しては、PVD膜厚が大きすぎない範囲(PVD膜厚:50nm、100nm、150nm)で非常に高い良品率が得られた。図示しないが、CVDで700nmの成膜を行ったものも同様の結果であった。すなわち、CVDでの膜厚をプラグ開口径の半分以上とした場合に、高い良品率が得られることが確認された。
【0049】
また、25μmの配線幅を持つ50万個のビアチェーンパターンを測定したところ、CVD膜厚が300nmの場合にはPVD膜厚が50nmから200nmの範囲でほぼ100%の良品率が得られたのに対し、CVD膜厚が100nmの場合には60%以下の良品率しか得られなかった。このときには、配線部で埋め込み不良が生じているのが確認された。これは、CVD層25の成膜後のECDによる配線溝埋め込み時におけるアスペクト比が非常に高くなってしまっているためであると考えられる。従って、CVDで全て埋め込まれない配線溝5がある場合には、CVD層25の成膜後における埋め込み残存部のアスペクト比が十分低くなるように、配線溝5の幅を規定することが望ましいことが確認された。
【0050】
なお、本実施例においては埋め込みの対象としてシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜をビアファーストで露光・加工したデュアルダマシン溝孔を用いたが、本発明は、溝孔の形成される絶縁膜構成や加工順によらず適用することができる。例えば、特願2000−250873号の実施例に記載したようなデュアルハードマスクを用いて形成されるデュアルダマシン溝孔や、プラグ孔底のバリア膜を除去したものに関しても適用可能である。さらに、前述のように、CMPに対してCVD膜と下地とのな密着性が得られる条件下でPVDによるシード層を用いない適用も可能であり、絶縁膜に対する主配線材の拡散が問題とならない絶縁膜−主配線材の組み合わせ、もしくは構造においてバリア導体膜を用いずに適用することも可能である。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態によれば、埋め込み性の高いCVDを用いて微細な埋め込みを全て充填した後は、ECDなどの安価で生産性の高い成膜によって配線材を追加成膜することでCMPにおける平坦化を可能し、埋め込み性は高いが高コストと低生産性という難点を持つCVD条件を適用する範囲を低減することができ、配線構造形成全体のコストを低減して生産性を高く保ちつつ、ボイドの形成のない配線材を充填することができ、安価で信頼性の高い多層配線を用いた高集積回路となる半導体装置を安定して製造することができるという効果を奏する。
【0052】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【0053】
【発明の効果】
本発明の半導体製造方法および半導体装置は、埋め込み性の高いCVDを用いて微細な埋め込みを全て充填した後は、ECDなどの安価で生産性の高い成膜によって配線材を追加成膜することでCMPにおける平坦化を可能し、埋め込み性は高いが高コストと低生産性という難点を持つCVD条件を適用する範囲を低減することができ、配線構造形成全体のコストを低減して生産性を高く保ちつつ、ボイドの形成のない配線材を充填することができ、安価で信頼性の高い多層配線を用いた高集積回路となる半導体装置を安定して製造することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体製造方法の第1の実施の形態の製造工程を示す製造工程断面図である。
【図2】本発明に係る半導体製造方法の第2の実施の形態の製造工程を示す製造工程断面図である。
【図3】従来のデュアルダマシン法による多層配線形成工程を示す製造工程断面図である。
【図4】微細化による埋め込みの困難性を説明するための模式図である。
【図5】コンフォーマルな成膜によるアスペクト比の増大を説明するための模式図である。
【図6】本発明に係る半導体製造方法の実施例の製造工程を示す製造工程断面図である。
【図7】本発明に係る半導体製造方法の実施例の良品率の変化を表わした図である。
【符号の説明】
1、15 導体
2、3、10、16 絶縁膜
4 プラグ孔
5 配線溝
6、11、23 バリア導体膜
7、12、24 シード層
8、25 CVD層
9、26 配線材追加成膜層
13 ECD層
14 ボイド
17 バリア絶縁膜
18、20 層間絶縁膜
19 エッチングストップ用絶縁膜
21、22 レジスト
30 埋め込み成膜層
40 配線層
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造方法および半導体装置に関し、特に低抵抗で微細な信頼性の高い銅配線による多層配線構造を有する半導体装置を製造する半導体製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、集積回路の配線には、アルミニウム(Al)もしくはAl合金が、配線間および配線層間には、シリコン酸化膜(SiO2)がそれぞれ広く用いられてきた。しかし、回路の微細化の進行に伴い、配線における信号伝送の遅延を抑制低減する上で、配線抵抗の低減のために配線材には、銅(Cu)が、配線間容量の低減のために配線間および配線層間における絶縁膜には、シリコン酸化膜より誘電率の低い有機物や空孔を含んだ膜が使用されるようになってきた。
【0003】
Cuを主成分とする配線においては、加工性の観点から、一般にダマシン法と呼ばれる手法による配線層形成が広く行われている。Al系を主成分とする配線においては、配線材を成膜してから、配線材をエッチングによって加工し、その後に絶縁膜で覆うという方法が一般的であったが、ダマシン法では、絶縁膜に溝又は孔を形成してから配線材を充填し、余剰な配線材を化学機械研磨(ChemicalMechanical Polishing:CMP)によって除去することで配線構造を形成する。
【0004】
一般に、集積回路の多層配線においては、配線層と、配線層間を接続するプラグ部が交互に形成され、最下層の配線層と下地となる半導体デバイスの導体部を接続する部分もプラグである。プラグ部と配線層部の導体充填を個別に行う手法がシングルダマシンと呼ばれるのに対し、下層と接続するプラグ部と配線層の両者に対して同時に配線材を充填する方法は、デュアルダマシンと呼ばれる。
【0005】
シングルダマシン法では、配線層を一層形成するために、プラグ部と配線層部のそれぞれに対して配線材の成膜および余剰配線材のCMPなどの工程が必要であるのに対し、デュアルダマシン法では各工程を1度ずつ行うだけで良いことから、コストと製造に要する時間を低減できる利点がある。
【0006】
デュアルダマシン法においてプラグ部を高融点金属による配線材充填を行う例が特開平8−298285号公報等に記載されているが、プラグ部だけでなく配線層部においても高抵抗の配線材料が成膜されてしまうために、配線層部の抵抗が高くなり、かつ各配線間の抵抗が配線幅によって大きくばらつく。また、近年の微細化により、プラグ部における低抵抗化が性能を規定する要素として重要となってきており、高性能化のためにはプラグ部もCu等の低抵抗金属で充填する必要が生じている。従って、デュアルダマシンによってCuを主体とする低抵抗配線材料をプラグ部と配線層部との両者に充填することによって、性能的にもコスト的にも優れた配線形成を行うことができる。
【0007】
ダマシン法におけるCu系配線の形成においては、電解メッキ(Electoro Chemical Deposition:ECD)によるCu埋め込みが広く用いられてきている。電解メッキは、コスト、スループットに優れ、また種々の添加剤を用いることによってボトムアップと呼ばれる、凹部の成膜速度を平坦部よりも高くすることで高い埋め込み性を得る手法を用いることが可能となってきた。しかしながら、ECDにおいては、成膜部に電位を与えるために、シードと呼ばれる低抵抗の表面層が必要とされている。従来、このシード層は、スパッタ法(又はPVD:Physical Vapor Deposition)によって形成するのが一般的である。
【0008】
図3は、従来のデュアルダマシン法による多層配線形成工程を示す製造工程断面図であり、図4は、微細化による埋め込みの困難性を説明するための模式図である。
図3(a)に示す導体1と絶縁膜2によって構成された下地上に、絶縁膜3を成膜した後、リソグラフィとエッチングによって、図3(b)に示すように、下層の導体部1と接続されるプラグ孔4と配線溝5を形成する。
【0009】
次に、図3(c)に示すように、バリア導体膜6を成膜し、図3(d)に示すように、シード層7を成膜し、図3(e)に示すように、シード層7とバリア導体膜6を電極としてECDによる配線材の埋め込み成膜層30の成膜を行い、図3(f)に示すように、余剰な埋め込み成膜層30とバリア導体膜6とシード層7とをCMPによって除去することで配線層40を形成する。図3(b)から図3(f)までの工程を順次繰り返すことによって、図3(g)に示すように、複数の配線層40が積層された多層配線構造を形成する。
【0010】
ところが、近年の微細化の進行によって、従来どおりの手法では配線材の埋め込みが困難となってきた。図4(a)に示すように、絶縁膜10に形成された孔もしくは溝の開口部が埋め込み深さに対して比較的広い、すなわちアスペクト比が小さい場合には、PVDによって、バリア導体膜11およびシード層12を十分な被覆性を持って形成することが可能であり、ECDによる埋め込み成膜層30を埋め込み対象である孔又は溝に対して空隙(ボイド)なく形成することができる。
【0011】
しかし、微細化によって埋め込む対象である孔又は溝の開口部が狭くなりアスペクト比が増大すると、図4(b)および(c)のようにボイドなく埋め込むことが困難になる。図4(b)に示されるように、孔又は溝の内側面に十分な厚さのシード層12を形成しようとすると、ECD開始時において孔又は溝の上部付近が下部付近に比べて非常に狭くなってしまうため、開口部に近いところが容易に閉塞してしまい、孔又は溝の内部に空隙が残る。開口部付近での閉塞を抑制するために、シード層12を減少させた場合、図4(c)に示されるように、孔又は溝の底に近い側面には十分なシード層12が形成されないため、電解メッキによる成膜が進行せず、埋め込み成膜層30による埋め込みが達成されない。
【0012】
そこで、段差被覆性に優れる化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)を用いた埋め込みが検討されるようになった。CVDの中でも、プラズマ等の基板表面以外での活性化手段を用いずに、加熱による化学反応によって成膜を行う熱CVD法は、原理的に特に段差被覆性に優れる。十分な原料供給速度のもとで成膜速度はほぼ温度のみによって規定されるため、凹部、平坦部でほぼ等しい成膜速度を有するコンフォーマルな成膜を行うことができる。
【0013】
ECDを用いずに、CVDによって微細な溝や孔を埋め込んだ例に関しては非常に多くの報告がある(例えば、小林明子、上智大学大学院理工学研究科電子電気工学科博士論文「超高集積回路の配線用銅薄膜の化学気相成長とその膜特性に関する研究」,1999など)。これらCuのCVDに関しては、近年では、Cu(hfac)tmvs (hfac =1,1,1,5,5,5−hexafluoroacetylacetnate, tmvs = trimethyl vinyl silane)に代表される、hfacとルイス塩基を配位子とした1価のCu含有化合物を原料とする有機金属CVD(Metal Organic CVD:MOCVD)が、一般的となっている。
【0014】
ごく最近では、CVD直前に触媒を表面に付着させることによって、凹部での成膜速度を平坦部に比べて高くすることによる高埋め込みCVDも報告されている(文献1:H. Parkら, Proceeding of the International Interconnect Technology Conference, p.12〜14)。また、例えば、特開2001−244216号公報(文献2)には、シード層をPVD、CVDの順で形成することにより、良好なECD埋め込みを達成する手法が提案されている。ECDに際して、基板面内で電圧が大きく異ならないために必要なシード膜厚をPVDによって形成し、埋め込み対象である孔又は溝の側面のシード被覆をCVDによって行うものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
広く用いられるCuのMOCVDは、複雑な組成の原料を合成する必要があるため、基本的にコストが高い。また、CuのCVDは、微細な孔や溝に対する配線材の埋め込みに用いられる際には比較的低い成膜温度を必要とするため、その成膜速度は低く抑えられてしまい、近年の報告中で高いものでも100nm/min程度である。ダマシン法によって配線層を形成するためには、配線溝の深さ以上の膜厚を成膜してからCMPを行うため、配線溝よりも十分厚い膜厚を成膜しておかねばならない。従って、CVDのみによって埋め込みを行う条件でCMPに必要な膜厚を成膜するには、コストに加えて多くの処理時間を必要とし、高い生産性を得ることが難しいという問題点があった。
【0016】
図5は、コンフォーマルな成膜によるアスペクト比の増大を説明するための模式図である。
一方で、文献2に記述されるような、シードをPVDとCVDで形成した後にECDで埋め込みを行う場合、CVDによる成膜厚さが増大すると、ECD埋め込みに際してのアスペクト比が増大してしまい、埋め込みが困難になるため、CVDによる成膜厚さを低く抑えなければなならい。図5(a)に示される成膜前において、開口幅W1と深さH1を持つ埋め込み対象に厚さtのコンフォーマルな成膜が行われた場合、図5(b)に示されるように開口幅W2はW1−2tと成膜厚さの2倍狭くなるのに対して、残存する埋め込み対象の深さH2は、H1−tと成膜厚さ分しか減少しない。さらに、後続の埋め込み工程における実効的な埋め込み深さはH2+t=H1と全く減少しない。従って、コンフォーマルな成膜前にアスペクト比はH1/W1であったものが、成膜後にはH1/(W1−2t)という値に増大してしまうため、CVDによる成膜厚さをできる限り少なくした方が後続の埋め込みが容易となる。
【0017】
しかしながら、CVDでは化学反応にある程度の高温を必要とするため、近年のMOCVDを用いても150℃程度以上の基板温度を用いねばならない。このため、Cuの凝集などが生じ、10nm以下の厚さで連続したCu膜をCVDで得るのは困難である。ITRS(International Roadmap for Semiconductors)の2001版によれば、2006年には多層配線の下層部におけるピッチは200nm以下、すなわち配線幅は100nm以下となり、深さはその1.6〜1.7倍程度となることが予想されている。例えば100nmの幅でアスペクト比1.6、すなわち160nmの深さを持つ溝に対して、20nmのCVD成膜を行うと、深さは140nmと変化が少ないのに対し、両側面に成膜が行われるために幅は60nmと急激に狭まり、ECDで埋め込むべきアスペクト比は2.3にまで増大し、埋め込みが困難になる。このような溝単体の場合に比べて孔の場合はさらに埋め込みの困難性は増し、接続孔とその上部の配線溝を一括して埋め込まねばならないデュアルダマシン法においては、さらに困難性が高まってしまうという問題点があった。
【0018】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、デュアルダマシン法による多層配線形成における配線材の埋め込みにおいて、CVDの使用率を低減してコストを削減し、生産性を高く保ちつつ、ボイドの形成のない配線材を充填することができ、安価で信頼性の高い多層配線を用いた高集積回路となる半導体装置を安定して製造することができる半導体製造方法および半導体装置を提供する点にある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、半導体素子が形成された基板上において、導体と絶縁体とが混在する層上に絶縁膜を成膜し、該絶縁膜に溝又は孔を形成した後に配線材を充填し、化学機械研磨によって余剰な前記配線材を除去することで配線層を形成する半導体製造方法であって、化学気相成長法による成膜で配線材を充填する第1成膜工程と、該第1成膜工程とは異なる成膜によって配線材を追加成膜する第2成膜工程とを有することを特徴とする半導体製造方法に存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部を完全に埋め込むまで配線材を充填することを特徴とする請求項1記載の半導体製造方法に存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程は、前記配線層に形成された配線溝を完全に埋め込むまで配線材を充填することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体製造方法に存する。
また請求項4記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程で成膜される配線材の膜厚は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部のうちで最小の内径を持つものの内径の半分以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項5記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程で成膜される配線材の膜厚は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部の上部に形成された配線溝の深さ以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項6記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程で成膜される配線材の材質は、銅を90%以上含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項7記載の発明の要旨は、前記第2成膜工程は、メッキ法によって行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項8記載の発明の要旨は、前記第2成膜工程は、前記第1成膜工程よりも速い成膜速度を有する条件での化学気相成長法によって行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項9記載の発明の要旨は、前記第1成膜工程の前に、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部に充填する配線材の一部をスパッタ法によって形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項10記載の発明の要旨は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部の上部に形成された溝の幅が、前記プラグ部の開口径に比して1.3以上1.7以下の範囲にないことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の半導体製造方法に存する。
また請求項11記載の発明の要旨は、半導体素子が形成された基板上において、導体と絶縁体とが混在する層上に絶縁膜を成膜し、該絶縁膜に溝又は孔を形成した後に配線材を充填し、化学機械研磨によって余剰な前記配線材を除去することで形成した配線層を有する半導体装置であって、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部の上部に形成された配線溝の幅が、前記プラグ部の開口径に比して1.3以上1.7以下の範囲にないことことを特徴とする半導体装置に存する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る半導体製造方法の第1の実施の形態の製造工程を示す製造工程断面図である。
【0022】
第1の実施の形態は、図1(a)に示す導体1と絶縁膜2とによって構成された下地上に上部配線層を形成する工程について説明する。なお、導体1と絶縁膜2とによって構成された下地は、基板上に形成されているが、図1においては、基板を省略している。
【0023】
まず、下地上に絶縁膜3を成膜した後、リソグラフィとエッチングとによって、図1(b)に示すような。下層の導体1と接続されるプラグ孔4と配線溝5とを形成する。
【0024】
次に、図1(c)に示すように、バリア導体膜6を成膜する。バリア導体膜6は、絶縁膜3中への配線材の拡散を防止するために設けられるものであり、拡散を十分防止できる範囲内でできるだけ薄い方が望ましい。その用途から、バリア導体膜6は主配線材よりも比抵抗が高いため、バリア導体膜6と主配線材とで最終的に構成される配線中におけるバリア導体膜6の割合が低いほど低抵抗で高性能な配線を形成できるからである。ここで、絶縁膜3中への配線材の拡散とは、製造工程中の熱処理による熱拡散だけでなく、電圧、電流が印可された使用状態におけるドリフト拡散等も含む。一般にCuなどの低抵抗配線材料を絶縁膜上に直接成膜した場合には優れた密着性や配向性等を得ることが難しいため、バリア導体膜6の部分には後続の配線材形成工程において十分な密着性を含めた良好な特性を得やすい金属を用いることが望ましく、Cuを主配線材とする配線においては、Cu直下にα型のTaを置く構造にすると良い。なお、絶縁膜3に対する配線材の拡散が十分小さい配線材と絶縁膜3との組み合わせが使用できる場合には、必ずしもバリア導体膜6を用いなくても良く、またバリア性のない膜を用いても良い。
【0025】
次に、図1(d)に示すように、バリア導体膜6上にPVD(physical vapordeposition)によってシード層7を形成し、図1(e)に示すように、シード層7上にCVD(chemical vapor deposition)によってCVD層8を形成する。ここで、PVDによるシード層7は、CVD層8と下地との接続、密着を良好にするために用いられる。例えば、hfacを配位子としたMOCVDでCuを成膜する場合、Taの上などに直接CVDを行うと密着性が弱く抵抗の高い非晶質層が形成されるが、間にPVDによるCu層を挟むことで、不純物が少なく配向性の高い良質な配線を形成できるという報告(N. Yoshida, Y.D. Cong., R. Tao, L.Y. Chen, S. Ramaswami, Advanced Metallization Conference 1998, p.189)がある。十分な密着性と低抵抗が得られる下地とCVD条件との組み合わせを用いる場合には、シード層7を用いなくても良い。近年では、MOCVDによるCu形成の下地にTiSiNもしくはTaSiNなどを用いることで、良好な密着性が得られるようになってきている。また、このPVD層の材質は、必ずしも後の配線材成膜工程で使用されるものと同一でなくとも良い。例えばCuに数%以下の別種の金属を添加した合金を用いて、形成しても良い。
【0026】
配線材となるCVD層8の成膜の後、図1(f)に示すように、ECD(electrochemical deposition)によってほぼ配線溝深さと同等の配線材追加成膜層9の成膜を行い、図1(g)に示すように、配線材追加成膜層9とCVD層8とシード層7とバリア導体膜6とをCMPによって除去し、配線層40を形成する。以下、図1(b)から図1(g)までの工程を繰り返すことによって、図1(h)に示すように、複数の配線層40が積層された多層配線構造を形成することができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明に係る半導体製造方法の第2の実施の形態の製造工程を示す製造工程断面図である。
【0028】
第2の実施の形態において、シード層7を形成するまでの工程は(図2(a)から図2(d)まで)、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0029】
第2の実施の形態は、図2(d)に示す構造(シード層7の形成までの工程)を得た後、図2(e)に示すように、プラグ孔4を完全に埋め込むまで、CVDによって配線材となるCVD層8の成膜を行う。高い埋め込み性を持つCVD条件でのCVD層8の膜厚を、第1の実施の形態の場合よりも薄くできるため、さらにコストを低減して生産性を高めることができるが、多層配線構造中で埋め込みが必要な部分を全てCVD層8で成膜しないため、配線幅の設定等の制約が必要となる。なお、CVDによってプラグ孔4を完全に埋め込まない場合には、次の埋め込み工程におけるアスペクト比が高くなってしまう。
【0030】
プラグ孔4を完全に埋め込んでしまうために、通常のコンフォーマルなCVD成膜においては、プラグ孔4の開口径の半分以上の膜厚のCVD層8をCVDによって成膜する。一方で、異方性のある埋め込みCVD成膜を用いる場合には、プラグ孔4が完全に埋め込まれていれば必ずしも表面平坦部における成膜厚さはプラグ孔4の開口径の半分以上である必要はない。
【0031】
基板全面にわたって、プラグ孔4を埋め込むためには、プラグ孔4の開口形状ができるだけ均一であることが望ましく、一般に近年のLSI多層配線におけるプラグ孔4の開口径は露光等のバラツキを除いて基板面内でほぼ同一であり、プラグ孔4の開口径は配線ピッチの半分程度である。ITRSのロードマップによれば、埋め込みが最も困難な最微細となる下層配線部における配線ピッチは0.3μm程度以下になってきており、コンフォーマルなCVDにおいても膜厚が100nm程度のCVD層8を成膜することで、プラグ孔4を完全に埋め込むことができる。
【0032】
また、CVD層8を成膜するCVD工程において、CVD層8は、プラグ孔4だけでなく配線溝5にも成膜される。ここで、コンフォーマルなCVD成膜を用いた場合、CVD層8の膜厚の倍以下の幅を持つ配線溝5は同時に埋め込まれるが、CVD層8の成膜厚さの倍よりもわずかに大きい幅を持つ配線溝5に対しては、完全に埋め込みが行われずにアスペクト比の高い溝が形成されてしまい、次の埋め込み工程において埋め込み不良の発生を招く。一般に、配線溝5の幅の最小値は最小配線ピッチの半分程度であり、プラグ孔4の開口径とほぼ等しい。最小配線幅の2倍(=配線ピッチ)の幅を持つ配線溝5に関して、コンフォーマルなCVD膜8の成膜によってプラグ孔4の開口径(=最小配線幅)のちょうど半分の厚さを成膜した場合のアスペクト比は、埋め込み前における最小の配線幅を持つ配線溝5のアスペクト比と等しくなる。従って、例えば後続の埋め込み工程における配線溝5の埋め込み基準を、埋め込み前における最小の配線幅を持つ配線溝5のアスペクト比とすると、最小配線幅より広い幅を持つ配線溝5は、その幅を配線ピッチ以上とすることが望ましい。CVD膜8の成膜以外に露光等で生じるマージンを全て包括して考えたとき、そのマージンは、最大でも30%程度以下である。従って、コンフォーマルなCVD成膜でプラグ孔4のみを埋め込む場合、最小配線幅より広い幅を持つ配線溝5の幅を、最小配線幅の1.3倍から1.7倍の範囲に設定しないことが望ましい。
【0033】
なお、上記の配線幅に関する制約は、プラグ孔4の開口径が単一でない場合にも同様に適用される。開口径が小さい複数のプラグ孔4に対して、非常に開口径の大きいプラグ孔4が混在している場合には、開口径の小さい複数のプラグ孔4のみを対象として完全な埋め込みを行うCVD膜8の膜厚を決定すれば良い。開口径の非常に大きなプラグ孔4、具体的には開口径の小さいプラグ孔4によって規定されるCVD膜8の必要膜厚の3倍以上の開口径を持つものに関しては埋め込みの困難性が低いため、次の配線材追加成膜工程において容易に埋め込むことが可能である。
【0034】
CVDによってプラグ孔4を埋め込んだ後は、図2(f)に示すように、低コストで生産性の高い成膜によって配線材追加成膜層9の追加成膜を行い、図2(g)に示すように、配線材追加成膜層9とCVD層8とシード層7とバリア導体膜6とをCMPによって除去し、配線層40を形成する。以下、図2(b)から図2(g)までの工程を繰り返すことによって、図2(h)に示すように、複数の配線層40が積層された多層配線構造を形成することができる。
【0035】
コストと生産性の観点に加えて、配線溝5の幅およびプラグ孔4の開口径に関する制約においても、図2(e)から図2(f)に至る、埋め込み性の高いCVD条件でのCVD膜8の成膜は、プラグ孔4を埋め込むことができる限り、少ない方が望ましい。
【0036】
次に、本発明の実施例について図6および図7を参照して詳細に説明する。
図6は、本発明に係る半導体製造方法の実施例の製造工程を示す製造工程断面図であり、図7は、本発明に係る半導体製造方法の実施例の良品率の変化を表わした図である。
【0037】
図6(a)に示す導体15と絶縁膜16とによって構成された下地上に上部配線層を形成する工程について説明する。絶縁膜16としては、シリコン酸化膜を用い、導体15としては、側壁部にタンタルと窒化タンタルの積層構造を配したCuを用いた。なお、導体1と絶縁膜2とによって構成された下地は、基板上に形成されているが、図6においては、基板を省略している。
【0038】
次に、図6(b)に示すように、導体15と絶縁膜16とによって構成された下地上にバリア絶縁膜17と、層間絶縁膜18と、エッチングストップ用絶縁膜19と、層間絶縁膜20とを順次積層した。バリア絶縁膜17として50nmのシリコン窒化膜を用い、層間絶縁膜18として300nmのシリコン酸化膜を用い、エッチングストップ用絶縁膜19として50nmのシリコン窒化膜を用い、層間絶縁膜20として300nmのシリコン酸化膜を用いた。
【0039】
次に、図6(c)に示すように、層間絶縁膜20上に、リソグラフィによって、プラグのパターンをレジスト21にパターニングし、図6(d)に示すように、異方性エッチングによって層間絶縁膜20と、エッチングストップ用絶縁膜19と、層間絶縁膜18とをプラグのパターンに加工し後、レジスト21を剥離した。なお、リソグラフィによるレジストパターンニングの際は、レジスト21直下に図示しない薄い反射防止膜を必要に応じて用いており、レジスト21をマスクとする異方性エッチングにおいては、その初期に反射防止膜のエッチングを行った。
【0040】
次に、図6(e)に示すように、リソグラフィによって配線溝のパターンをレジスト22にパターニングし、図6(f)に示すように、層間絶縁膜20を配線溝のパターンに加工した後、レジスト22を剥離した。なお、リソグラフィによるレジストパターンニングの際は、レジスト22直下に図示しない薄い反射防止膜を必要に応じて用いており、レジスト22をマスクとする異方性エッチングにおいては、その初期に反射防止膜のエッチングを行った。
【0041】
次に、図6(g)に示すように、プラグ底におけるバリア絶縁膜17をエッチングし、下層導体15との接合部を開口した。このとき、配線溝底におけるエッチングストップ用絶縁膜19も同時にエッチングされるため、エッチングストップ用絶縁膜19は、配線溝のパターンに加工される。図6(g)の時点における、プラグ部の開口径は0.18μmであり、配線溝幅は0.18μmから10μmまでの範囲である。
【0042】
次に、図6(h)に示すように、PVDによって基板全面に対してバリア導体膜23の成膜を行った。バリア導体膜23としては、イオン化スパッタ法によって厚さ20nmの窒化タンタル上に厚さ20nmのタンタルが積層されたものを用いた。
【0043】
バリア導体膜23の成膜後、装置内の真空搬送を用いて大気に暴露することなく、シード層24の成膜をPVDによって行った。シード層24に用いたのは、イオン化スパッタ法によるCuであり、シード層24の膜厚は、実験水準として50nm、100nm、150nm、200nmに変化させた。
【0044】
次に、図6(j)に示すように、CVDによってCVD層25を形成した後、図6(k)に示すように、ECDによって配線材追加成膜層26を形成し、図6(l)に示すように、配線材追加成膜層26とCVD層25とシード層24とバリア導体膜23とをCMP(chemical mechanical polishing)によって除去し、配線層40を形成した。CVD層25は、Cu(hfac)tmvsを原料とするCuのMOCVDによって成膜を行い、実験水準として0nm、20nm、50nm、100nm、300nmに変化させた。以下、図6(b)から図6(l)までの工程を繰り返すことによって、図6(m)に示すように、複数の配線層40が積層された多層配線構造を形成した。
【0045】
図6(b)から図6(l)の工程を2回繰り返した2層の配線において、0.18μm〜10μmの配線幅を持つ50万個のビアチェーンパターンにおける抵抗を測定し、良品率を求めた。なお、良品率とは、高抵抗が観測された個数/全体数である。
【0046】
図7には、CVD層25の膜厚であるCVD膜厚を0nm、20nm、50nm、100nm、300nmに変化させ、シード層24の膜厚であるPVD膜厚を50nm、100nm、150nm、200nmに変化させた場合のそれぞれの良品率が示されており、CVDを全く用いない場合には(CVD膜厚:0nm)、非常に良品率が低いことがわかる。試料断面を集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)で加工して、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観察したところ、PVDによるシード層24がプラグ下部で十分被覆していないことが確認された。
【0047】
CVD膜厚を20nmとするとPVD膜厚が100nmと150nmのときは、良品率がかなり増加するが、CVD膜厚を50nmに増大させると良品率が低下してしまう。これは、CVDによる成膜によってECD時のアスペクト比が増大してしまうために埋め込み不良が生じていることが、上記と同様の断面観察によって確認された。PVD膜厚が大きすぎると良品率が低下するのは、開口部のオーバーハングが大きくなり埋め込みが困難になるためである。
【0048】
一方、CVDで100nm、300nmの成膜を行ったものに関しては、PVD膜厚が大きすぎない範囲(PVD膜厚:50nm、100nm、150nm)で非常に高い良品率が得られた。図示しないが、CVDで700nmの成膜を行ったものも同様の結果であった。すなわち、CVDでの膜厚をプラグ開口径の半分以上とした場合に、高い良品率が得られることが確認された。
【0049】
また、25μmの配線幅を持つ50万個のビアチェーンパターンを測定したところ、CVD膜厚が300nmの場合にはPVD膜厚が50nmから200nmの範囲でほぼ100%の良品率が得られたのに対し、CVD膜厚が100nmの場合には60%以下の良品率しか得られなかった。このときには、配線部で埋め込み不良が生じているのが確認された。これは、CVD層25の成膜後のECDによる配線溝埋め込み時におけるアスペクト比が非常に高くなってしまっているためであると考えられる。従って、CVDで全て埋め込まれない配線溝5がある場合には、CVD層25の成膜後における埋め込み残存部のアスペクト比が十分低くなるように、配線溝5の幅を規定することが望ましいことが確認された。
【0050】
なお、本実施例においては埋め込みの対象としてシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜をビアファーストで露光・加工したデュアルダマシン溝孔を用いたが、本発明は、溝孔の形成される絶縁膜構成や加工順によらず適用することができる。例えば、特願2000−250873号の実施例に記載したようなデュアルハードマスクを用いて形成されるデュアルダマシン溝孔や、プラグ孔底のバリア膜を除去したものに関しても適用可能である。さらに、前述のように、CMPに対してCVD膜と下地とのな密着性が得られる条件下でPVDによるシード層を用いない適用も可能であり、絶縁膜に対する主配線材の拡散が問題とならない絶縁膜−主配線材の組み合わせ、もしくは構造においてバリア導体膜を用いずに適用することも可能である。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態によれば、埋め込み性の高いCVDを用いて微細な埋め込みを全て充填した後は、ECDなどの安価で生産性の高い成膜によって配線材を追加成膜することでCMPにおける平坦化を可能し、埋め込み性は高いが高コストと低生産性という難点を持つCVD条件を適用する範囲を低減することができ、配線構造形成全体のコストを低減して生産性を高く保ちつつ、ボイドの形成のない配線材を充填することができ、安価で信頼性の高い多層配線を用いた高集積回路となる半導体装置を安定して製造することができるという効果を奏する。
【0052】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【0053】
【発明の効果】
本発明の半導体製造方法および半導体装置は、埋め込み性の高いCVDを用いて微細な埋め込みを全て充填した後は、ECDなどの安価で生産性の高い成膜によって配線材を追加成膜することでCMPにおける平坦化を可能し、埋め込み性は高いが高コストと低生産性という難点を持つCVD条件を適用する範囲を低減することができ、配線構造形成全体のコストを低減して生産性を高く保ちつつ、ボイドの形成のない配線材を充填することができ、安価で信頼性の高い多層配線を用いた高集積回路となる半導体装置を安定して製造することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体製造方法の第1の実施の形態の製造工程を示す製造工程断面図である。
【図2】本発明に係る半導体製造方法の第2の実施の形態の製造工程を示す製造工程断面図である。
【図3】従来のデュアルダマシン法による多層配線形成工程を示す製造工程断面図である。
【図4】微細化による埋め込みの困難性を説明するための模式図である。
【図5】コンフォーマルな成膜によるアスペクト比の増大を説明するための模式図である。
【図6】本発明に係る半導体製造方法の実施例の製造工程を示す製造工程断面図である。
【図7】本発明に係る半導体製造方法の実施例の良品率の変化を表わした図である。
【符号の説明】
1、15 導体
2、3、10、16 絶縁膜
4 プラグ孔
5 配線溝
6、11、23 バリア導体膜
7、12、24 シード層
8、25 CVD層
9、26 配線材追加成膜層
13 ECD層
14 ボイド
17 バリア絶縁膜
18、20 層間絶縁膜
19 エッチングストップ用絶縁膜
21、22 レジスト
30 埋め込み成膜層
40 配線層
Claims (11)
- 半導体素子が形成された基板上において、導体と絶縁体とが混在する層上に絶縁膜を成膜し、該絶縁膜に溝又は孔を形成した後に配線材を充填し、化学機械研磨によって余剰な前記配線材を除去することで配線層を形成する半導体製造方法であって、
化学気相成長法による成膜で配線材を充填する第1成膜工程と、
該第1成膜工程とは異なる成膜によって配線材を追加成膜する第2成膜工程とを有することを特徴とする半導体製造方法。 - 前記第1成膜工程は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部を完全に埋め込むまで配線材を充填することを特徴とする請求項1記載の半導体製造方法。
- 前記第1成膜工程は、前記配線層に形成された配線溝を完全に埋め込むまで配線材を充填することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体製造方法。
- 前記第1成膜工程で成膜される配線材の膜厚は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部のうちで最小の内径を持つものの内径の半分以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体製造方法。
- 前記第1成膜工程で成膜される配線材の膜厚は、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部の上部に形成された溝の深さ以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体製造方法。
- 前記第1成膜工程で成膜される配線材の材質は、銅を90%以上含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体製造方法。
- 前記第2成膜工程は、メッキ法によって行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体製造方法。
- 前記第2成膜工程は、前記第1成膜工程よりも速い成膜速度を有する条件での化学気相成長法によって行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体製造方法。
- 前記第1成膜工程の前に、前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部に充填する配線材の一部をスパッタ法によって形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体製造方法。
- 前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部の上部に形成された溝の幅が、前記プラグ部の開口径に比して1.3以上1.7以下の範囲にないことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の半導体製造方法。
- 半導体素子が形成された基板上において、導体と絶縁体とが混在する層上に絶縁膜を成膜し、該絶縁膜に溝又は孔を形成した後に配線材を充填し、化学機械研磨によって余剰な前記配線材を除去することで形成した配線層を有する半導体装置であって、
前記導体と前記配線層とを電気的に接続するプラグ部の上部に形成された配線溝の幅が、前記プラグ部の開口径に比して1.3以上1.7以下の範囲にないことことを特徴とする半導体装置。
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-
2002
- 2002-06-07 JP JP2002166469A patent/JP2004014816A/ja active Pending
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