JP2004014064A - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】カバー層が基板のセンター孔の内側にはみ出すことを防止できる光情報記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】クランプエリアを構成する基板と、該基板上に設けられた記録層と、該記録層上に設けられ、前記クランプエリアの外径直径よりも大きな内径直径を有するカバー層と、を有し、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定波長のレーザ光を用いて記録及び再生を行うことができる追記型光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザ光により1回限りの情報の記録が可能な追記型光情報記録媒体は、CD−Rと称され、広く知られている。市販のCDプレーヤを用いて再生できる利点を有しており、また最近では、パーソナルコンピュータの普及に伴ってその需要も増大している。また、CD−Rより大容量の記録が可能な媒体として、デジタル・ハイビジョンの録画などに対応するための追記型デジタル・ヴァーサタイル・ディスク(DVD−R)も実用化されている。
【0003】
これら追記型光情報記録媒体の構造の1つとしては、円盤状基板上に、Auなどからなる光反射層と、有機化合物からなる記録層と、更に、該記録層に接着させるための接着層を含むカバー層と、が順次積層されたものが知られている。レーザ光が前記樹脂層側から照射されることで、記録及び再生を行うことができる。追記型光情報記録媒体への情報の記録は、記録層のレーザ光照射部分がその光を吸収して局所的に発熱変形(例えば、ピットなどの生成)することにより行われる。一方、情報の再生は、通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を追記型光情報記録媒体に照射して、記録層が発熱変形した部位(記録部分)と変形していない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより行われている。
【0004】
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も開始された。このような状況の下で、画像情報を安価簡便に記録することができる大容量の光情報記録媒体が必要とされている。上記のDVD−Rは現状では大容量の記録媒体としての役割を十分に果たしているが、大容量化、高密度化の要求は高まる一方であり、これらの要求に対応できる記録媒体の開発も必要である。このため、光情報記録媒体は、更に、短波長の光で高密度の記録を行なうことができる、より大容量の記録媒体の開発が進められている。特に、1回限りの情報の記録が可能な追記型光情報記録媒体は、大容量の情報の長期保存又はバックアップ用としての使用頻度が高まりつつあるため、その開発に対する要求は強い。
【0005】
通常、光情報記録媒体の高密度化は、記録及び再生用レーザの短波長化、対物レンズの高NA化によりビームスポットを小さくすることで達成することができる。最近では、波長680nm、650nm及び635nmの赤色半導体レーザから、更に超高密度の記録が可能となる波長400nm〜500nmの青紫色半導体レーザ(以下、青紫色レーザと称する。)まで開発が急速に進んでおり、それに対応した光情報記録媒体の開発も行われている。特に、青紫色レーザの発売以来、該青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムの開発が検討されており、相変化する記録層を有する書換型光情報記録媒体及び光記録システムは、既に、DVRシステム(「ISOM2000」210〜211頁)として発表されている。これにより、書換型光情報記録媒体における高密度化の課題に対しては、一定の成果が得られた。
【0006】
上述のような青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムに用いる光情報記録媒体は、青紫色レーザ光を記録層に照射させる際、高NAの対物レンズの焦点を合わせるために、レーザ光が入射するカバー層を薄化することが好ましい。カバー層の厚さは、通常、接着するために用いられる接着剤や粘着剤が硬化し形成された接着層や粘着層を含め、通常、約100μmであるが、照射されるレーザの波長やNAにより最適化される。
ここで、カバー層は、例えば、ディスク型形状を有する薄いフィルムが使用され、接着剤や粘着剤を用いて記録層上に接着されている。より詳細には、青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムに用いる光情報記録媒体の場合、通常、厚さ1.1mmの基板上に記録層を形成し、上述のように厚さ100μmのカバー層を接着させて、厚さが1.2mm程度になるように調整されている。このように、基板上に設けられた記録層表面に、該基板と同じ大きさ、形状のカバー層を接着する場合、そのカバー層の内周縁部が基板のセンター孔の内側にはみ出してしまうと、再生機にセットした時の偏芯が大きくなってしまうという問題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、本発明は、カバー層が基板のセンター孔の内側にはみ出すことを防止できる光情報記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下に示す本発明により達成される。
すなわち、本発明は、クランプエリアを構成する基板と、
該基板上に設けられた記録層と、
該記録層上に設けられ、前記クランプエリアの外径直径よりも大きな内径直径を有するカバー層と、
を有し、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光情報記録媒体について詳細に説明する。
本発明の光情報記録媒体は、クランプエリアを構成する基板と、該基板上に設けられた記録層と、該記録層上に設けられ、前記クランプエリアの外径直径よりも大きな内径直径を有するカバー層と、を有し、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行うことをを特徴とする。
本発明の光情報記録媒体の構成要素について、以下に説明する。
【0010】
<基板>
本発明において用いられる基板は、単独でクランプエリアを構成することを必須とする。ここで、クランプエリアとは、光情報記録媒体の中心から半径11〜16.5mmの範囲のリング状の領域であって、光情報記録媒体の製造時に固定又は吸着する際に用いられる。また、このクランプエリアは、後述するプレグルーブが設けられている領域(記録層が設けられている領域)、即ち、記録領域と重なることはない。
【0011】
また、本発明において用いられる基板は、少なくとも、クランプエリアの厚さが1.2±0.05mmを有することが好ましく、クランプエリアを含む基板の総面積の50%以上の領域における厚さが1.2±0.05mmを有することがより好ましく、基板の全面積において、厚さが1.2±0.05mmであることが更に好ましい。
このように、最も好ましい態様である全面積において厚さ1.2mmの基板を用いることにより、CD−RやDVD−Rなどの他の光情報記録媒体の基板を製造する際に用いられる射出成形用金型を適用することが可能であり、加えて、光情報記録媒体を固定又は吸着するためのクランプ部材の調整も必要としないため、他の光情報記録媒体の製造する際の製造ラインをそのまま本発明の光情報記録媒体の製造ラインとして適用することが可能となる。これにより、新たに射出成形用金型を設計、製造するための時間、コストを必要とせず、更には、他の光情報記録媒体の製造ラインとの互換性が優れていることから、製造性が向上するという優れた効果を奏する。
【0012】
本発明において用いられる基板としては、例えば、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。この中では、耐湿性、寸法安定性及び価格などの点からポリカーボネートやアモルファスポリオレフィンが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
【0013】
基板の表面には、トラッキング用溝又はアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プレグルーブ)が形成されている。このプレグルーブは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形あるいは押出成形する際に、直接基板上に形成されることが好ましい。
また、プレグルーブの形成を、プレグルーブ層を設けることにより行ってもよい。プレグルーブ層の材料としては、アクリル酸のモノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステルのうちの少なくとも一種のモノマー(又はオリゴマー)と光重合開始剤との混合物を用いることができる。プレグルーブ層の形成は、例えば、まず精密に作られた母型(スタンパ)上に上記のアクリル酸エステル及び重合開始剤からなる混合液を塗布し、更に、この塗布液層上に基板を載せたのち、基板又は母型を介して紫外線を照射するにより塗布層を硬化させて基板と塗布層とを固着させる。次いで、基板を母型から剥離することにより得ることができる。プレグルーブ層の層厚は一般に、0.01〜100μmの範囲にあり、好ましくは0.05〜50μmの範囲である。
【0014】
本発明において、基板のプレグルーブのトラックピッチは、200〜400nmの範囲とすることが好ましく、250〜350nmの範囲とすることがより好ましい。
また、プレグルーブの溝深さは10〜150nmの範囲とすることが好ましく、20〜100nmの範囲とすることがより好ましく、30〜80nmの範囲とすることが更に好ましい。また、その半値幅は、50〜250nmの範囲にあることが好ましく、100〜200nmの範囲であることがより好ましい。
【0015】
なお、後述する光反射層が設けられる場合、光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
【0016】
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
【0017】
<カバー層>
本発明において用いられるカバー層は、クランプエリアの外周直径よりも大きな内径直径を有することを必須とする。より詳細には、本発明において用いられるカバー層は、その内径直径が、30〜60mmの範囲であることが好ましく、32〜55mmの範囲であることがより好ましく、34〜50mmの範囲であることが更に好ましい。内径直径が30mmより小さいと、カバー層が偏芯してしまった際、カバー層の内周端部がクランプエリアと重なってしまう可能性があり、クランプ部材が光情報記録媒体を固定又は吸着しずらくなるという問題を有する場合がある。一方、内径直径が60mmより大きいと、記録層表面の一部(記録領域の内周縁部)が露出することで、記録特性が低下する場合がある。このため、上記のカバー層の内径直径の好ましい範囲に加えて、カバー層の内径直径が、記録領域の内径直径よりも1mm以上小さくなるように調整することが好ましく、3mm以上小さくなるように調整することがより好ましい。
このように、カバー層の内径直径を上記範囲にすることにより、少なくとも、基板と記録層からなるディスク型積層体にカバー層を接着する際、該ディスク型積層体の中心と、カバー層の中心との間にズレが生じたとしても、ディスク型積層体のセンター孔(基板のセンター孔)の内側に、カバー層がはみ出してしまうことを確実に防止することができる。
【0018】
また、ディスク型積層体の中心と、カバー層の中心との間にズレが生じたとしても、ディスク型積層体の外径(基板の外径)よりも外側に、カバー層がはみ出してしまうこと防止すると共に、記録層の外周の端部が露出してしまうことを防止する観点から、カバー層の外径直径は、上述した基板の外径直径よりも0.3mm以上小さく、かつ、記録層が設けられている記録領域の外周直径よりも0.3mm以上大きい範囲であることが好ましく、基板の外径直径よりも0.5mm以上小さく、かつ、記録領域の外周直径よりも0.5mm以上大きい範囲であることがより好ましく、基板の外径直径よりも0.7mm以上小さく、かつ、記録領域の外周直径よりも0.7mm以上大きい範囲であることが更に好ましい。
【0019】
本発明において用いられるカバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネート又は三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録及び再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
【0020】
また、カバー層は、本発明の効果を妨げない範囲において、種々の添加剤が含有されていてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤および/または500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
更に、カバー層の表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータ及び3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録及び再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
【0021】
カバー層の厚さは、記録及び再生のために照射されるレーザ光の波長やNAにより、適宜、規定されるが、0.03〜0.15mmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.12mmの範囲であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、カバー層を貼り合わせる工程におけるの取り扱いが容易となり、しかも、コマ収差を抑えることができるという利点がある。
【0022】
また、カバー層の接着方法としては、従来公知の接着手段が用いられるが、その接着領域に対応して、適宜、選択することが可能である。例えば、記録層が設けられていない箇所(記録領域外)においてカバー層を接着する場合には、接着方法や接着材料が記録層の中の色素に与える影響を考慮する必要が少なくなるため、融着法を用いることもできるし、粘着剤又は接着剤を用いることもできる。融着法は、比較的柔らかく、融点が低いプラスチックの接着に用いられる方法であり、熱融着、電磁波融着、超音波融着、摩擦融着があるが、特に、超音波融着が好ましい。
また、記録層の表面を含む領域で接着する場合には、通常、粘着剤又は接着剤を用いて接着される。
【0023】
また、粘着剤又は接着剤を用いてカバー層を接着する場合には、カバー層及びディスク型積層体の少なくともどちらか一方の接着領域に接着剤又は接着剤を配し、硬化させることにより接着が完了する。また、接着剤又は粘着剤は、従来公知の塗布法を用いることができるが、接着領域の形状によって、適宜、好適な塗布法を選択することが好ましい。
【0024】
本発明において用いられる接着剤としては、例えば、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましく、特に、UV硬化樹脂を使用することが好ましい。
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、もしくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、積層体表面やカバー層に供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、用いるUV硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
【0025】
また、本発明において用いられる粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。かかるアクリル系の粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどと、を共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分と、の混合比率、種類を、適宜、調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
【0026】
上記粘着剤と併用される架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。かかるイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
【0027】
塗布する接着剤又は粘着剤の量は、最終的に形成される接着層又は粘着層の厚さが、0.1〜100μmの範囲、好ましくは0.5〜50μmの範囲、より好ましくは10〜30μmの範囲になるように調整される。
【0028】
<記録層>
記録層は、レーザ光の波長領域に極大吸収を有する色素を含有していることが好ましく、特に、500nm以下の波長のレーザで記録及び再生が可能なように、その波長領域に極大吸収を有する色素を含有していることがより好ましい。用いられる色素としては、例えば、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
【0029】
具体的には、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、特開平11−53758号公報、特開平11−334204号公報、特開平11−334205号公報、特開平11−334206号公報、特開平11−334207号公報、特開2000−43423号公報、特開2000−108513号公報、特開2000−158818号公報の各公報に記載されている色素、あるいは、トリアゾール、トリアジン、シアニン、メロシアニン、アミノブタジエン、フタロシアニン、桂皮酸、ビオロゲン、アゾ、オキソノールベンゾオキサゾール、ベンゾトリアゾール等の色素が挙げられ、シアニン、アミノブタジエン、ベンゾトリアゾール、フタロシアニンが好ましい。
【0030】
記録層は、前述した色素と、所望により結合剤と、を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を上述の基板のプレグルーブ表面、又は後述する光反射層表面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成することができる。更に、塗布液中には、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、及び潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加されてもよい。
また、色素や結合剤を溶解処理する方法としては、超音波処理、ホモジナイザー処理、ディスパー処理、サンドミル処理、スターラー攪拌処理等の方法を適用することができる。
【0031】
記録層の塗布液の溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素及び結合剤の溶解性を考慮して単独で用いてもよいし、二種以上を適宜併用することもできる。
【0032】
結合剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;及びポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、色素に対して0.01〜50倍量(質量比)の範囲であることが好ましく、0.1〜5倍量の範囲であることがより好ましい。結合剤を記録層に含有させることにより記録層の保存安定性を改良することも可能である。
【0033】
このようにして調製される塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
【0034】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。記録層の層厚は、一般に、20〜500nmの範囲にあり、好ましくは50〜300nmの範囲にある。
また、塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、さらに好ましくは25〜37℃である。
【0035】
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
【0036】
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の含有量は、記録層の全固形分中、通常、0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0037】
形成された記録層の表面には、カバー層との密着性と、色素の保存性を高めるために、バリア層が形成されていてもよい。バリア層は、Zn、Si、Ti、Te、Sm、Mo、Ge等のいずれか1原子以上からなる酸化物、窒化物、炭化物、硫化物等の材料からなる層であり。また、バリア層は、ZnS−SiOのようにハイブリット化されたものでもよい。バリア層は、スパッタリング、蒸着イオンプレーティング等により形成すること可能で、その厚さは、1〜100nmとすることが好ましい。
【0038】
<光反射層>
光反射層は情報の再生時における反射率の向上の目的で、基板と記録層との間に設けられる任意の層である。光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより前記基板上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
【0039】
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
【0040】
本発明の光情報記録媒体は、例えば、次のようにして情報の記録、再生が行われる。まず、光情報記録媒体を所定の線速度(0.5〜10m/秒)、又は、所定の定角速度にて回転させながら、カバー層側から対物レンズを介して青紫色レーザ(例えば、波長405nm)などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、例えば、ピットが生成してその光学特性を変えることにより情報が記録される。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を所定の定線速度で回転させながら青紫色レーザ光をカバー層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
【0041】
500nm以下の発振波長を有するレーザ光源としては、例えば、390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ、中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザ等を挙げることができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0043】
(実施例1)
厚さ1.2mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のグループ(溝深さ30nm、幅150nm、トラックピッチ340nm)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂からなる基板のグルーブを有する面上に、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングによりAgからなる光反射層(厚さ100nm)を形成した。
【0044】
下記化学式で表わされる色素A:2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素塗布液を調製した。調製した色素塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で光反射層上に塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、記録層(イングルーブの厚さ100nm、オングルーブの厚さ70nm)を形成した。
【0045】
【化1】
Figure 2004014064
【0046】
記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間をあけながら支持し、40℃で1時間保持して行った。
【0047】
その後、記録層上に、RFスパッタリングによりZnS−SiO(ZnS:SiO=8:2(質量比))からなるバリア層(厚さ50nm)を形成して、積層体を作製した。バリア層の形成条件は下記の通りとした。
パワー ・・・4kW
圧力  ・・・2×10−2hPa
時間  ・・・10秒間
【0048】
その後、予め片面に粘着層が設けられている粘着シート(カバー層)を、クランプエリアの外径直径よりも大きな内径直径34.5mmで、更に、外径直径119.5mmを有するようにディスク型に成形し、上記のバリア層上に接着した。この際、接着層の厚さは15μmであり、粘着シート全体の厚さは100μmであった。これにより、クランプエリアが基板単独で構成された実施例1における光情報記録媒体が得られた。
【0049】
得られた光情報記録媒体は、カバー層のセンター孔の内側へのはみ出しや、外径の外側へのはみ出しが見られなかった。これにより、製造された光情報記録媒体を、再生機にセットした際に偏芯が起こることを防止できると推測される。
また、実施例で用いた基板は、厚さが1.2mmであり、CD−RやDVD−Rなどの他の光情報記録媒体の基板を製造する際に用いられる射出成形用金型を適用することが可能であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、カバー層が基板のセンター孔の内側にはみ出すことを防止できる光情報記録媒体を提供することができる。これにより、再生機にセットした際に偏芯を抑制することができる。

Claims (1)

  1. クランプエリアを構成する基板と、
    該基板上に設けられた記録層と、
    該記録層上に設けられ、前記クランプエリアの外径直径よりも大きな内径直径を有するカバー層と、
    を有し、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体。
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