JP2004014044A - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】光入射面の表面均一性の高いカバー層を備え、優れた記録特性を有する光情報記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】基板上に、記録層と、カバー層とがこの順に設けられ、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体であって、前記カバー層の前記記録層表面に当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.1μm以上であり、前記カバー層の内周縁部及び外周縁部を前記基板に接着してなる光情報記録媒体。
【選択図】 なし
【解決手段】基板上に、記録層と、カバー層とがこの順に設けられ、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体であって、前記カバー層の前記記録層表面に当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.1μm以上であり、前記カバー層の内周縁部及び外周縁部を前記基板に接着してなる光情報記録媒体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定波長のレーザ光を用いて記録及び再生を行うことができる追記型光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザ光により1回限りの情報の記録が可能な追記型光情報記録媒体は、CD−Rと称され、広く知られている。市販のCDプレーヤを用いて再生できる利点を有しており、また最近では、パーソナルコンピュータの普及に伴ってその需要も増大している。また、CD−Rより大容量の記録が可能な媒体として、デジタル・ハイビジョンの録画などに対応するための追記型デジタル・ヴァーサタイル・ディスク(DVD−R)も実用化されている。
【0003】
これら追記型光情報記録媒体の構造の1つとしては、円盤状基板上に、Auなどからなる光反射層と、有機化合物からなる記録層と、更に、該記録層に接着させるための接着層を含むカバー層と、が順次積層されたものが知られている。レーザ光が前記樹脂層側から照射されることで、記録及び再生を行うことができる。追記型光情報記録媒体への情報の記録は、記録層のレーザ光照射部分がその光を吸収して局所的に発熱変形(例えば、ピットなどの生成)することにより行われる。一方、情報の再生は、通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を追記型光情報記録媒体に照射して、記録層が発熱変形した部位(記録部分)と変形していない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより行われている。
【0004】
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も開始された。このような状況の下で、画像情報を安価簡便に記録することができる大容量の光情報記録媒体が必要とされている。上記のDVD−Rは現状では大容量の記録媒体としての役割を十分に果たしているが、大容量化、高密度化の要求は高まる一方であり、これらの要求に対応できる記録媒体の開発も必要である。このため、光情報記録媒体は、更に、短波長の光で高密度の記録を行なうことができる、より大容量の記録媒体の開発が進められている。特に、1回限りの情報の記録が可能な追記型光情報記録媒体は、大容量の情報の長期保存又はバックアップ用としての使用頻度が高まりつつあるため、その開発に対する要求は強い。
【0005】
通常、光情報記録媒体の高密度化は、記録及び再生用レーザの短波長化、対物レンズの高NA化によりビームスポットを小さくすることで達成することができる。最近では、波長680nm、650nm及び635nmの赤色半導体レーザから、更に超高密度の記録が可能となる波長400nm〜500nmの青紫色半導体レーザ(以下、青紫色レーザと称する。)まで開発が急速に進んでおり、それに対応した光情報記録媒体の開発も行われている。特に、青紫色レーザの発売以来、該青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムの開発が検討されており、相変化する記録層を有する書換型光情報記録媒体及び光記録システムは、既に、DVRシステム(「ISOM2000」210〜211頁)として発表されている。これにより、書換型光情報記録媒体における高密度化の課題に対しては、一定の成果が得られた。
【0006】
上述のような青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムに用いる光情報記録媒体は、青紫色レーザ光を記録層に照射させる際、高NAの対物レンズの焦点を合わせるために、レーザ光が入射するカバー層を薄化することが好ましい。ここで、カバー層としては、例えば、薄いフィルムが使用され、接着剤や粘着剤を用いて記録層の表面全体に接着されている。カバー層の厚さは、通常、接着剤や粘着剤が硬化し形成された接着層や粘着層を含め約100μmであるが、照射されるレーザの波長やNAにより最適化される。
上述のようにカバー層は光入射面を構成するため、記録層との接着時に均一な接着ができずその表面にうねりや反りが発生すると、入射光の散乱などにより反射率が低下して、結果的に、高い記録特性が得られない問題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、本発明は、光入射面の表面均一性の高いカバー層を備え、優れた記録特性を有する光情報記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下に示す本発明により達成される。
すなわち、本発明は、基板上に、記録層と、カバー層とがこの順に設けられ、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体であって、
前記カバー層の前記記録層表面と当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.1μm以上であり、前記カバー層の内周縁部及び外周縁部を前記基板に接着してなる光情報記録媒体である。
また、前記カバー層の内周縁部及び外周縁部を前記基板に接着する手段としては、超音波融着が用いられることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光情報記録媒体について詳細に説明する。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に、記録層とカバーフィルムとがこの順に設けられてなり、該カバーフィルム側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体であって、前記カバー層の前記記録層表面と当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.1μm以上であり、前記カバー層の内周縁部及び外周縁部を前記基板に接着してなる。ここで、本発明において、「カバー層の内周縁部及び外周縁部を基板に接着してなる」とは、通常、基板上に、接着剤や粘着剤を介して、直接、カバー層が接着されることを指すが、基板上に、記録領域よりも広い領域で光反射層が設けられる場合、その光反射層を介して、カバー層が接着されることをも含む。
まず、本発明の光情報記録媒体において、特徴的な、カバー層について説明する。
【0010】
<カバー層>
カバー層は、後述する基板と同じディスク型形状を有し、少なくとも、基板と記録層からなるディスク型積層体に、以下に示す接着領域において接着される。本発明においてカバー層は、前記記録層表面と当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.1μm以上であることを要する。
本発明の光情報記録媒体は、表面粗さが上記の所定の範囲にある面を、記録層表面と当接させて、該カバー層の内周縁部及び外周縁部と、基板とを接着してなる。このように、カバー層の内周縁部及び外周縁部と、基板とを接着することにより、記録層が設けられている領域では、上記表面粗さによるカバー層の凸部が記録層と接触し、記録領域を除く部分においては、カバー層と、基板とが接着されていることになる。
このように、表面粗さを上記の範囲に規定し、カバー層の記録層表面に当接する面に一定の粗さを持たせ、そのカバー層を内周縁部及び外周縁部において基板と接着することで、記録層とカバー層との間に表面粗さに起因する接着されていない一定の空隙を形成することができる。この空隙により、記録層とカバー層との接着に起因するカバー層のゆがみや反りの発生を抑制することができる。このようなカバー層を備えることで、本発明の光情報記録媒体は、優れた記録特性を有することになる。
【0011】
上述したように、本発明において、カバー層は、前記記録層表面と当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において、0.1μm以上であることを特徴とするが、この表面粗さが大きすぎると、凹凸により入射光が散乱するなどの影響が発生する可能性が高くなるため、中心線平均粗さ(Ra)において500μm以下であることが好ましい。つまり、カバー層における前記記録層表面と当接する面の表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)において、0.1〜500μmの範囲であることが好ましく、1〜300μmの範囲であることがより好ましく、5〜100μmの範囲であることが更に好ましい。
ここで、中心線平均粗さ(Ra)とは、粗さ曲線から中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取りの中心線と粗さ曲線との偏差の絶対値を算術平均した値である。
表面粗さが0.1μmより小さい場合、記録層との密着性が向上してしまい、接着されていない一定の空隙を形成することが困難になってしまう場合がある。
【0012】
カバー層は、その内周縁部及び外周縁部と、基板とに接着される。ここで、カバー層の接着領域となる「内周縁部及び外周縁部」とは、ディスク型に成形されているカバー層の記録層(記録領域)とは当接しない部分であって、センター孔の縁部を含む領域及び外周の縁部を含む領域を指す。
この接着領域を接着する手段としては、従来公知の接着手段が用いられるが、具体的には、融着法や、粘着剤又は接着剤を用いる方法がある。接着領域としては、融着法に用いる加熱手段や、接着剤及び粘着剤が、記録層中の色素に影響を及ぼさないようにする観点から、記録層と当接し得る部分から0.1mm以上離れていることが好ましく、0.5mm以上離れていることがより好ましく、1mm以上離れていることが更に好ましい。また、光情報記録媒体の製造時に固定又は吸着する際に用いる領域であるクランプエリア(通常、ディスク型のカバー層の中心から半径11〜16.5mmの範囲)を避けて接着することが好ましい。このようなことから、接着領域は、ディスク型のカバー層の中心から半径17〜22mmの範囲の領域、及び半径56〜60mmの範囲の領域において、幅0.2〜2mmであることが好ましい。また、上記の範囲の接着領域は、リング状に範囲全体を接着してもよいし、上記範囲内を等間隔で部分的に接着してもよい。
以下、本発明で用いられる接着手段について説明する。
【0013】
融着法とは、比較的柔らかく、融点が低いプラスチックの接着に用いられる方法である。融着法には、熱融着、電磁波融着、超音波融着、摩擦融着があるが、特に、超音波融着が好ましい。
超音波融着を用いてカバー層を接着する場合、そのカバー層の材質にもよるが、カバー層を直接融着してもよいし、カバー層と基板との間に接着剤を介在させて、その接着剤を融着させてもよい。
本発明においては、通常、カバー層自身を融着させる接着方法を用いるが、具体的には、まず、カバー層の超音波融着の接着領域となるカバー層の内周縁部及び外周縁部と、基板と、を位置合わせしてから、その外側から超音波ホーンで加圧しつつ、超音波振動を加え、接着部の機械的摩擦と粘弾性挙動を利用して、カバー層自身を溶融・硬化させることにより接着が完了する。
【0014】
カバー層と基板との間に接着剤を介在させる場合、用いられる接着剤としては、液状のものを超音波加熱に先立って、カバー層および基板のうちの少なくとも一方に塗布し乾燥させておいてもよく、また、フィルム状、ペレット状、ヒモ状、B−ステージ状等のものをカバー層と基板との間に配し、これを加圧しながら超音波加熱してもよい。接着剤として両面接着テープを用いると、工程が簡略化され、また、溶剤を使用することに伴う設備や安全性に関する問題がないという利点が得られる。
【0015】
また、粘着剤又は接着剤を用いて、カバー層を接着する場合には、接着領域となるカバー層の内周縁部及び外周縁部と、基板との間に、接着剤又は接着剤を配し、硬化させることにより接着が完了する。この際、接着剤又は粘着剤は、例えば、スクリーン印刷法やディスペンサを用いて、接着領域に配されることが好ましい。
用いられる接着剤としては、例えば、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましく、特に、UV硬化樹脂を使用することが好ましい。
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、もしくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、基板表面やカバー層に供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、用いるUV硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
【0016】
また、粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。かかるアクリル系の粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどと、を共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分と、の混合比率、種類を、適宜、調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
【0017】
上記粘着剤と併用される架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。かかるイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
【0018】
塗布する接着剤又は粘着剤の量は、最終的に形成される接着層又は粘着層の厚さが、0.1〜100μmの範囲、好ましくは0.5〜50μmの範囲、より好ましくは10〜30μmの範囲になるように調整される。
【0019】
本発明において、用いられるカバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネート又は三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録及び再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
【0020】
また、カバー層は、本発明の効果を妨げない範囲において、種々の添加剤が含有されていてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤および/または500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
更に、カバー層の表面物性としては、光入射面の表面粗さが2次元粗さパラメータ及び3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録及び再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
【0021】
カバー層の厚さは、記録及び再生のために照射されるレーザ光の波長やNAにより、適宜、規定されるが、0.03〜0.15mmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.12mmの範囲であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、カバー層を貼り合わせる工程におけるの取り扱いが容易となり、しかも、コマ収差を抑えることができるという利点がある。
【0022】
<基板>
基板は、例えば、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。この中では、耐湿性、寸法安定性及び価格などの点からポリカーボネートやアモルファスポリオレフィンが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
基板の厚さは、1.1±0.3mmの範囲であることが好ましい。
【0023】
基板の表面には、トラッキング用溝又はアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プレグルーブ)が形成されている。このプレグルーブは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形あるいは押出成形する際に、直接基板上に形成されることが好ましい。
また、プレグルーブの形成を、プレグルーブ層を設けることにより行ってもよい。プレグルーブ層の材料としては、アクリル酸のモノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステルのうちの少なくとも一種のモノマー(又はオリゴマー)と光重合開始剤との混合物を用いることができる。プレグルーブ層の形成は、例えば、まず精密に作られた母型(スタンパ)上に上記のアクリル酸エステル及び重合開始剤からなる混合液を塗布し、更に、この塗布液層上に基板を載せたのち、基板又は母型を介して紫外線を照射するにより塗布層を硬化させて基板と塗布層とを固着させる。次いで、基板を母型から剥離することにより得ることができる。プレグルーブ層の層厚は一般に、0.01〜100μmの範囲にあり、好ましくは0.05〜50μmの範囲である。
【0024】
本発明において、基板のプレグルーブのトラックピッチは、200〜400nmの範囲とすることが好ましく、250〜350nmの範囲とすることがより好ましい。
また、プレグルーブの溝深さは10〜150nmの範囲とすることが好ましく、20〜100nmの範囲とすることがより好ましく、30〜80nmの範囲とすることが更に好ましい。また、その半値幅は、50〜250nmの範囲にあることが好ましく、100〜200nmの範囲であることがより好ましい。
【0025】
なお、後述する光反射層が設けられる場合、光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
【0026】
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
【0027】
<記録層>
記録層は、レーザ光の波長領域に極大吸収を有する色素を含有していることが好ましく、特に、500nm以下の波長のレーザで記録及び再生が可能なように、その波長領域に極大吸収を有する色素を含有していることがより好ましい。用いられる色素としては、例えば、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
【0028】
具体的には、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、特開平11−53758号公報、特開平11−334204号公報、特開平11−334205号公報、特開平11−334206号公報、特開平11−334207号公報、特開2000−43423号公報、特開2000−108513号公報、特開2000−158818号公報の各公報に記載されている色素、あるいは、トリアゾール、トリアジン、シアニン、メロシアニン、アミノブタジエン、フタロシアニン、桂皮酸、ビオロゲン、アゾ、オキソノールベンゾオキサゾール、ベンゾトリアゾール等の色素が挙げられ、シアニン、アミノブタジエン、ベンゾトリアゾール、フタロシアニンが好ましい。
【0029】
記録層は、前述した色素と、所望により結合剤と、を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を上述の基板のプレグルーブ表面、又は光反射層表面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成することができる。更に、塗布液中には、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、及び潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加されてもよい。
また、色素や結合剤を溶解処理する方法としては、超音波処理、ホモジナイザー処理、ディスパー処理、サンドミル処理、スターラー攪拌処理等の方法を適用することができる。
【0030】
記録層の塗布液の溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素及び結合剤の溶解性を考慮して単独で用いてもよいし、二種以上を適宜併用することもできる。
【0031】
結合剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;及びポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、色素に対して0.01〜50倍量(質量比)の範囲であることが好ましく、0.1〜5倍量の範囲であることがより好ましい。結合剤を記録層に含有させることにより記録層の保存安定性を改良することも可能である。
【0032】
このようにして調製される塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
【0033】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。記録層の層厚は、一般に、20〜500nmの範囲にあり、好ましくは50〜300nmの範囲にある。
また、塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、さらに好ましくは25〜37℃である。
【0034】
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
【0035】
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の含有量は、記録層の全固形分中、通常、0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0036】
形成された記録層の表面には、カバー層との密着性と、色素の保存性を高めるために、バリア層が形成されていてもよい。バリア層は、Zn、Si、Ti、Te、Sm、Mo、Ge等のいずれか1原子以上からなる酸化物、窒化物、炭化物、硫化物等の材料からなる層であり。また、バリア層は、ZnS−SiO2のようにハイブリット化されたものでもよい。バリア層は、スパッタリング、蒸着イオンプレーティング等により形成すること可能で、その厚さは、1〜100nmとすることが好ましい。
【0037】
<光反射層>
光反射層は情報の再生時における反射率の向上の目的で、基板と記録層との間に設けられる任意の層である。光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより前記基板上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
【0038】
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
【0039】
本発明の光情報記録媒体は、例えば、次のようにして情報の記録、再生が行われる。まず、光情報記録媒体を所定の線速度(0.5〜10m/秒)、又は、所定の定角速度にて回転させながら、カバー層側から対物レンズを介して青紫色レーザ(例えば、波長405nm)などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、例えば、ピットが生成してその光学特性を変えることにより情報が記録される。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を所定の定線速度で回転させながら青紫色レーザ光をカバー層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
【0040】
500nm以下の発振波長を有するレーザ光源としては、例えば、390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ、中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザ等を挙げることができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0042】
(実施例1)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のグループ(溝深さ30nm、幅150nm、トラックピッチ340nm)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂からなる基板のグルーブを有する面上に、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングによりAgからなる光反射層(厚さ100nm)を形成した。
【0043】
下記化学式で表わされる色素A:2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素塗布液を調製した。調製した色素塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で光反射層上に塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、記録層(イングルーブの厚さ100nm、オングルーブの厚さ70nm)を形成した。
【0044】
【化1】
【0045】
記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間をあけながら支持し、40℃で1時間保持して行った。
【0046】
その後、形成された記録層上に、カバー層(ポリカーボネート製、厚さ100μm)を、表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において1μmの面を該記録層に当接させて、配置した。その後、カバー層の中心から半径20〜21mmの領域、及び半径59〜60mmの領域にて超音波融着による接着を行い、実施例1の光情報記録媒体を得た。超音波融着は、以下のようにして行った。まず、超音波ホーンをカバー層の上部に配置し、超音波ホーンにより接着領域を押圧すると同時にカバー層に超音波振動を3秒間印加し、カバー層自身を溶融・硬化させることにより、カバー層と基板との接着を完了させた。
【0047】
(光情報記録媒体の記録特性評価)
−C/N(搬送波対雑音比)−
得られた光情報記録媒体を、405nmのレーザ、NA:0.85ピックアップを搭載した記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を使用し、記録パワー5mW、線速4.9m/sの条件で197nmのピットを形成し、スペクトルアナライザを用いてC/Nを測定した。
測定の結果、実施例1の光情報記録媒体のC/Nは、48dBであった。
【0048】
(比較例1)
実施例1において、カバー層を、記録層に当接させる面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.03μmであるものに代えた他は、実施例1と同様にして、比較例1の光情報記録媒体を作製した。
作製された光情報記録媒体を、実施例1と同様の実験を行い、記録特性を評価した。測定の結果、比較例1の光情報記録媒体のC/Nは、44dBであった。
【0049】
本発明の実施例1の光情報記録媒体は、比較例1の光情報記録媒体と比較して記録特性が良好であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、光入射面の表面均一性の高いカバー層を備え、優れた記録特性を有する光情報記録媒体を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定波長のレーザ光を用いて記録及び再生を行うことができる追記型光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザ光により1回限りの情報の記録が可能な追記型光情報記録媒体は、CD−Rと称され、広く知られている。市販のCDプレーヤを用いて再生できる利点を有しており、また最近では、パーソナルコンピュータの普及に伴ってその需要も増大している。また、CD−Rより大容量の記録が可能な媒体として、デジタル・ハイビジョンの録画などに対応するための追記型デジタル・ヴァーサタイル・ディスク(DVD−R)も実用化されている。
【0003】
これら追記型光情報記録媒体の構造の1つとしては、円盤状基板上に、Auなどからなる光反射層と、有機化合物からなる記録層と、更に、該記録層に接着させるための接着層を含むカバー層と、が順次積層されたものが知られている。レーザ光が前記樹脂層側から照射されることで、記録及び再生を行うことができる。追記型光情報記録媒体への情報の記録は、記録層のレーザ光照射部分がその光を吸収して局所的に発熱変形(例えば、ピットなどの生成)することにより行われる。一方、情報の再生は、通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を追記型光情報記録媒体に照射して、記録層が発熱変形した部位(記録部分)と変形していない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより行われている。
【0004】
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も開始された。このような状況の下で、画像情報を安価簡便に記録することができる大容量の光情報記録媒体が必要とされている。上記のDVD−Rは現状では大容量の記録媒体としての役割を十分に果たしているが、大容量化、高密度化の要求は高まる一方であり、これらの要求に対応できる記録媒体の開発も必要である。このため、光情報記録媒体は、更に、短波長の光で高密度の記録を行なうことができる、より大容量の記録媒体の開発が進められている。特に、1回限りの情報の記録が可能な追記型光情報記録媒体は、大容量の情報の長期保存又はバックアップ用としての使用頻度が高まりつつあるため、その開発に対する要求は強い。
【0005】
通常、光情報記録媒体の高密度化は、記録及び再生用レーザの短波長化、対物レンズの高NA化によりビームスポットを小さくすることで達成することができる。最近では、波長680nm、650nm及び635nmの赤色半導体レーザから、更に超高密度の記録が可能となる波長400nm〜500nmの青紫色半導体レーザ(以下、青紫色レーザと称する。)まで開発が急速に進んでおり、それに対応した光情報記録媒体の開発も行われている。特に、青紫色レーザの発売以来、該青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムの開発が検討されており、相変化する記録層を有する書換型光情報記録媒体及び光記録システムは、既に、DVRシステム(「ISOM2000」210〜211頁)として発表されている。これにより、書換型光情報記録媒体における高密度化の課題に対しては、一定の成果が得られた。
【0006】
上述のような青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムに用いる光情報記録媒体は、青紫色レーザ光を記録層に照射させる際、高NAの対物レンズの焦点を合わせるために、レーザ光が入射するカバー層を薄化することが好ましい。ここで、カバー層としては、例えば、薄いフィルムが使用され、接着剤や粘着剤を用いて記録層の表面全体に接着されている。カバー層の厚さは、通常、接着剤や粘着剤が硬化し形成された接着層や粘着層を含め約100μmであるが、照射されるレーザの波長やNAにより最適化される。
上述のようにカバー層は光入射面を構成するため、記録層との接着時に均一な接着ができずその表面にうねりや反りが発生すると、入射光の散乱などにより反射率が低下して、結果的に、高い記録特性が得られない問題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、本発明は、光入射面の表面均一性の高いカバー層を備え、優れた記録特性を有する光情報記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下に示す本発明により達成される。
すなわち、本発明は、基板上に、記録層と、カバー層とがこの順に設けられ、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体であって、
前記カバー層の前記記録層表面と当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.1μm以上であり、前記カバー層の内周縁部及び外周縁部を前記基板に接着してなる光情報記録媒体である。
また、前記カバー層の内周縁部及び外周縁部を前記基板に接着する手段としては、超音波融着が用いられることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光情報記録媒体について詳細に説明する。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に、記録層とカバーフィルムとがこの順に設けられてなり、該カバーフィルム側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体であって、前記カバー層の前記記録層表面と当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.1μm以上であり、前記カバー層の内周縁部及び外周縁部を前記基板に接着してなる。ここで、本発明において、「カバー層の内周縁部及び外周縁部を基板に接着してなる」とは、通常、基板上に、接着剤や粘着剤を介して、直接、カバー層が接着されることを指すが、基板上に、記録領域よりも広い領域で光反射層が設けられる場合、その光反射層を介して、カバー層が接着されることをも含む。
まず、本発明の光情報記録媒体において、特徴的な、カバー層について説明する。
【0010】
<カバー層>
カバー層は、後述する基板と同じディスク型形状を有し、少なくとも、基板と記録層からなるディスク型積層体に、以下に示す接着領域において接着される。本発明においてカバー層は、前記記録層表面と当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.1μm以上であることを要する。
本発明の光情報記録媒体は、表面粗さが上記の所定の範囲にある面を、記録層表面と当接させて、該カバー層の内周縁部及び外周縁部と、基板とを接着してなる。このように、カバー層の内周縁部及び外周縁部と、基板とを接着することにより、記録層が設けられている領域では、上記表面粗さによるカバー層の凸部が記録層と接触し、記録領域を除く部分においては、カバー層と、基板とが接着されていることになる。
このように、表面粗さを上記の範囲に規定し、カバー層の記録層表面に当接する面に一定の粗さを持たせ、そのカバー層を内周縁部及び外周縁部において基板と接着することで、記録層とカバー層との間に表面粗さに起因する接着されていない一定の空隙を形成することができる。この空隙により、記録層とカバー層との接着に起因するカバー層のゆがみや反りの発生を抑制することができる。このようなカバー層を備えることで、本発明の光情報記録媒体は、優れた記録特性を有することになる。
【0011】
上述したように、本発明において、カバー層は、前記記録層表面と当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において、0.1μm以上であることを特徴とするが、この表面粗さが大きすぎると、凹凸により入射光が散乱するなどの影響が発生する可能性が高くなるため、中心線平均粗さ(Ra)において500μm以下であることが好ましい。つまり、カバー層における前記記録層表面と当接する面の表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)において、0.1〜500μmの範囲であることが好ましく、1〜300μmの範囲であることがより好ましく、5〜100μmの範囲であることが更に好ましい。
ここで、中心線平均粗さ(Ra)とは、粗さ曲線から中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取りの中心線と粗さ曲線との偏差の絶対値を算術平均した値である。
表面粗さが0.1μmより小さい場合、記録層との密着性が向上してしまい、接着されていない一定の空隙を形成することが困難になってしまう場合がある。
【0012】
カバー層は、その内周縁部及び外周縁部と、基板とに接着される。ここで、カバー層の接着領域となる「内周縁部及び外周縁部」とは、ディスク型に成形されているカバー層の記録層(記録領域)とは当接しない部分であって、センター孔の縁部を含む領域及び外周の縁部を含む領域を指す。
この接着領域を接着する手段としては、従来公知の接着手段が用いられるが、具体的には、融着法や、粘着剤又は接着剤を用いる方法がある。接着領域としては、融着法に用いる加熱手段や、接着剤及び粘着剤が、記録層中の色素に影響を及ぼさないようにする観点から、記録層と当接し得る部分から0.1mm以上離れていることが好ましく、0.5mm以上離れていることがより好ましく、1mm以上離れていることが更に好ましい。また、光情報記録媒体の製造時に固定又は吸着する際に用いる領域であるクランプエリア(通常、ディスク型のカバー層の中心から半径11〜16.5mmの範囲)を避けて接着することが好ましい。このようなことから、接着領域は、ディスク型のカバー層の中心から半径17〜22mmの範囲の領域、及び半径56〜60mmの範囲の領域において、幅0.2〜2mmであることが好ましい。また、上記の範囲の接着領域は、リング状に範囲全体を接着してもよいし、上記範囲内を等間隔で部分的に接着してもよい。
以下、本発明で用いられる接着手段について説明する。
【0013】
融着法とは、比較的柔らかく、融点が低いプラスチックの接着に用いられる方法である。融着法には、熱融着、電磁波融着、超音波融着、摩擦融着があるが、特に、超音波融着が好ましい。
超音波融着を用いてカバー層を接着する場合、そのカバー層の材質にもよるが、カバー層を直接融着してもよいし、カバー層と基板との間に接着剤を介在させて、その接着剤を融着させてもよい。
本発明においては、通常、カバー層自身を融着させる接着方法を用いるが、具体的には、まず、カバー層の超音波融着の接着領域となるカバー層の内周縁部及び外周縁部と、基板と、を位置合わせしてから、その外側から超音波ホーンで加圧しつつ、超音波振動を加え、接着部の機械的摩擦と粘弾性挙動を利用して、カバー層自身を溶融・硬化させることにより接着が完了する。
【0014】
カバー層と基板との間に接着剤を介在させる場合、用いられる接着剤としては、液状のものを超音波加熱に先立って、カバー層および基板のうちの少なくとも一方に塗布し乾燥させておいてもよく、また、フィルム状、ペレット状、ヒモ状、B−ステージ状等のものをカバー層と基板との間に配し、これを加圧しながら超音波加熱してもよい。接着剤として両面接着テープを用いると、工程が簡略化され、また、溶剤を使用することに伴う設備や安全性に関する問題がないという利点が得られる。
【0015】
また、粘着剤又は接着剤を用いて、カバー層を接着する場合には、接着領域となるカバー層の内周縁部及び外周縁部と、基板との間に、接着剤又は接着剤を配し、硬化させることにより接着が完了する。この際、接着剤又は粘着剤は、例えば、スクリーン印刷法やディスペンサを用いて、接着領域に配されることが好ましい。
用いられる接着剤としては、例えば、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましく、特に、UV硬化樹脂を使用することが好ましい。
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、もしくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、基板表面やカバー層に供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、用いるUV硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
【0016】
また、粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。かかるアクリル系の粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどと、を共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分と、の混合比率、種類を、適宜、調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
【0017】
上記粘着剤と併用される架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。かかるイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
【0018】
塗布する接着剤又は粘着剤の量は、最終的に形成される接着層又は粘着層の厚さが、0.1〜100μmの範囲、好ましくは0.5〜50μmの範囲、より好ましくは10〜30μmの範囲になるように調整される。
【0019】
本発明において、用いられるカバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネート又は三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録及び再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
【0020】
また、カバー層は、本発明の効果を妨げない範囲において、種々の添加剤が含有されていてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤および/または500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
更に、カバー層の表面物性としては、光入射面の表面粗さが2次元粗さパラメータ及び3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録及び再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
【0021】
カバー層の厚さは、記録及び再生のために照射されるレーザ光の波長やNAにより、適宜、規定されるが、0.03〜0.15mmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.12mmの範囲であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、カバー層を貼り合わせる工程におけるの取り扱いが容易となり、しかも、コマ収差を抑えることができるという利点がある。
【0022】
<基板>
基板は、例えば、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。この中では、耐湿性、寸法安定性及び価格などの点からポリカーボネートやアモルファスポリオレフィンが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
基板の厚さは、1.1±0.3mmの範囲であることが好ましい。
【0023】
基板の表面には、トラッキング用溝又はアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プレグルーブ)が形成されている。このプレグルーブは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形あるいは押出成形する際に、直接基板上に形成されることが好ましい。
また、プレグルーブの形成を、プレグルーブ層を設けることにより行ってもよい。プレグルーブ層の材料としては、アクリル酸のモノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステルのうちの少なくとも一種のモノマー(又はオリゴマー)と光重合開始剤との混合物を用いることができる。プレグルーブ層の形成は、例えば、まず精密に作られた母型(スタンパ)上に上記のアクリル酸エステル及び重合開始剤からなる混合液を塗布し、更に、この塗布液層上に基板を載せたのち、基板又は母型を介して紫外線を照射するにより塗布層を硬化させて基板と塗布層とを固着させる。次いで、基板を母型から剥離することにより得ることができる。プレグルーブ層の層厚は一般に、0.01〜100μmの範囲にあり、好ましくは0.05〜50μmの範囲である。
【0024】
本発明において、基板のプレグルーブのトラックピッチは、200〜400nmの範囲とすることが好ましく、250〜350nmの範囲とすることがより好ましい。
また、プレグルーブの溝深さは10〜150nmの範囲とすることが好ましく、20〜100nmの範囲とすることがより好ましく、30〜80nmの範囲とすることが更に好ましい。また、その半値幅は、50〜250nmの範囲にあることが好ましく、100〜200nmの範囲であることがより好ましい。
【0025】
なお、後述する光反射層が設けられる場合、光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
【0026】
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
【0027】
<記録層>
記録層は、レーザ光の波長領域に極大吸収を有する色素を含有していることが好ましく、特に、500nm以下の波長のレーザで記録及び再生が可能なように、その波長領域に極大吸収を有する色素を含有していることがより好ましい。用いられる色素としては、例えば、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
【0028】
具体的には、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、特開平11−53758号公報、特開平11−334204号公報、特開平11−334205号公報、特開平11−334206号公報、特開平11−334207号公報、特開2000−43423号公報、特開2000−108513号公報、特開2000−158818号公報の各公報に記載されている色素、あるいは、トリアゾール、トリアジン、シアニン、メロシアニン、アミノブタジエン、フタロシアニン、桂皮酸、ビオロゲン、アゾ、オキソノールベンゾオキサゾール、ベンゾトリアゾール等の色素が挙げられ、シアニン、アミノブタジエン、ベンゾトリアゾール、フタロシアニンが好ましい。
【0029】
記録層は、前述した色素と、所望により結合剤と、を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を上述の基板のプレグルーブ表面、又は光反射層表面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成することができる。更に、塗布液中には、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、及び潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加されてもよい。
また、色素や結合剤を溶解処理する方法としては、超音波処理、ホモジナイザー処理、ディスパー処理、サンドミル処理、スターラー攪拌処理等の方法を適用することができる。
【0030】
記録層の塗布液の溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素及び結合剤の溶解性を考慮して単独で用いてもよいし、二種以上を適宜併用することもできる。
【0031】
結合剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;及びポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、色素に対して0.01〜50倍量(質量比)の範囲であることが好ましく、0.1〜5倍量の範囲であることがより好ましい。結合剤を記録層に含有させることにより記録層の保存安定性を改良することも可能である。
【0032】
このようにして調製される塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
【0033】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。記録層の層厚は、一般に、20〜500nmの範囲にあり、好ましくは50〜300nmの範囲にある。
また、塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、さらに好ましくは25〜37℃である。
【0034】
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
【0035】
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の含有量は、記録層の全固形分中、通常、0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0036】
形成された記録層の表面には、カバー層との密着性と、色素の保存性を高めるために、バリア層が形成されていてもよい。バリア層は、Zn、Si、Ti、Te、Sm、Mo、Ge等のいずれか1原子以上からなる酸化物、窒化物、炭化物、硫化物等の材料からなる層であり。また、バリア層は、ZnS−SiO2のようにハイブリット化されたものでもよい。バリア層は、スパッタリング、蒸着イオンプレーティング等により形成すること可能で、その厚さは、1〜100nmとすることが好ましい。
【0037】
<光反射層>
光反射層は情報の再生時における反射率の向上の目的で、基板と記録層との間に設けられる任意の層である。光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより前記基板上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
【0038】
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
【0039】
本発明の光情報記録媒体は、例えば、次のようにして情報の記録、再生が行われる。まず、光情報記録媒体を所定の線速度(0.5〜10m/秒)、又は、所定の定角速度にて回転させながら、カバー層側から対物レンズを介して青紫色レーザ(例えば、波長405nm)などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、例えば、ピットが生成してその光学特性を変えることにより情報が記録される。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を所定の定線速度で回転させながら青紫色レーザ光をカバー層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
【0040】
500nm以下の発振波長を有するレーザ光源としては、例えば、390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ、中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザ等を挙げることができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0042】
(実施例1)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のグループ(溝深さ30nm、幅150nm、トラックピッチ340nm)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂からなる基板のグルーブを有する面上に、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングによりAgからなる光反射層(厚さ100nm)を形成した。
【0043】
下記化学式で表わされる色素A:2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素塗布液を調製した。調製した色素塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で光反射層上に塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、記録層(イングルーブの厚さ100nm、オングルーブの厚さ70nm)を形成した。
【0044】
【化1】
【0045】
記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間をあけながら支持し、40℃で1時間保持して行った。
【0046】
その後、形成された記録層上に、カバー層(ポリカーボネート製、厚さ100μm)を、表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において1μmの面を該記録層に当接させて、配置した。その後、カバー層の中心から半径20〜21mmの領域、及び半径59〜60mmの領域にて超音波融着による接着を行い、実施例1の光情報記録媒体を得た。超音波融着は、以下のようにして行った。まず、超音波ホーンをカバー層の上部に配置し、超音波ホーンにより接着領域を押圧すると同時にカバー層に超音波振動を3秒間印加し、カバー層自身を溶融・硬化させることにより、カバー層と基板との接着を完了させた。
【0047】
(光情報記録媒体の記録特性評価)
−C/N(搬送波対雑音比)−
得られた光情報記録媒体を、405nmのレーザ、NA:0.85ピックアップを搭載した記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を使用し、記録パワー5mW、線速4.9m/sの条件で197nmのピットを形成し、スペクトルアナライザを用いてC/Nを測定した。
測定の結果、実施例1の光情報記録媒体のC/Nは、48dBであった。
【0048】
(比較例1)
実施例1において、カバー層を、記録層に当接させる面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.03μmであるものに代えた他は、実施例1と同様にして、比較例1の光情報記録媒体を作製した。
作製された光情報記録媒体を、実施例1と同様の実験を行い、記録特性を評価した。測定の結果、比較例1の光情報記録媒体のC/Nは、44dBであった。
【0049】
本発明の実施例1の光情報記録媒体は、比較例1の光情報記録媒体と比較して記録特性が良好であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、光入射面の表面均一性の高いカバー層を備え、優れた記録特性を有する光情報記録媒体を提供することができる。
Claims (1)
- 基板上に、記録層と、カバー層とがこの順に設けられ、該カバー層側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体であって、
前記カバー層の前記記録層表面に当接する面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)において0.1μm以上であり、前記カバー層の内周縁部及び外周縁部を前記基板に接着してなる光情報記録媒体。
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