JP2003217177A - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
が大きく、安定した記録再生特性をもつ光情報記録媒体
を提供する。 【解決手段】 基板上に、記録層、中間層、粘着剤層、
及びカバーフィルムを基板側から順次有し、レーザー光
の照射により情報の記録再生が可能な光情報記録媒体で
あって、前記粘着剤層中に、ガラス転移温度Tgが0℃
以下のポリマーを含有する光情報記録媒体である。
Description
関し、特に、ヒートモードによる追記型の光情報記録媒
体に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、レーザー光により一回限りの
情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知
られている。この光ディスクは、追記型CD(所謂CD
−R)とも称され、その代表的な構造は、透明な円盤状
基板上に有機色素からなる記録層、金等の金属からなる
反射層、さらに樹脂製の保護層(カバー層)がこの順に
積層したものである。そしてこのCD−Rへの情報の記
録は、近赤外域のレーザー光(通常は780nm付近の
波長のレーザー光)をCD−Rに照射することにより行
われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温
度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピット
の生成)によりその部分の光学的特性が変化することに
より情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)
もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光をC
D−Rに照射することにより行われ、記録層の光学的特
性が変化した部位(記録部分)と変化していない部位
(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより
行われている。 【0003】近年、記録密度のより高い光情報記録媒体
が求められている。このような要望に対して、追記型デ
ジタル・ヴァーサタイル・ディスク(所謂DVD−R)
と称される光ディスクが提案されている(例えば、「日
経ニューメディア」別冊「DVD」、1995年発
行)。このDVD−Rは、照射されるレーザー光のトラ
ッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rの
半分以下(0.74〜0.8μm)という狭い溝幅で形
成された透明な円盤状基板上に、通常、有機色素を含有
する記録層、反射層、及び保護層をこの順に積層したデ
ィスク2枚を記録層を内側にして貼り合わせた構造、あ
るいはこのディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを記
録層を内側にして貼り合わせた構造を有している。そし
て、このDVD−Rへの情報の記録及び再生は、可視レ
ーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波
長のレーザー光)を照射することにより行われており、
CD−Rより高密度の記録が可能である。 【0004】最近、インターネット等のネットワークや
ハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDT
V(High Definition Televis
ion)の放映開始も間近にひかえている。このような
状況の下で、画像情報を安価簡便に記録することができ
る大容量の記録媒体が必要とされている。DVD−Rは
現状では大容量の記録媒体としての役割を十分に果たし
ているが、大容量化、高密度化の要求は高まる一方であ
り、これらの要求に対応できる記録媒体の開発も必要で
ある。このため、DVD−Rよりも更に短波長の光で高
密度の記録を行うことができる、より大容量の記録媒体
の開発が進められている。 【0005】例えば、特開平4−74690号公報、特
開平7−304256号公報、特開平7−304257
号公報、特開平8−127174号公報、同11−53
758号公報、同11−334204号公報、同11−
334205号公報、同11−334206号公報、同
11−334207号公報、特開2000−43423
号公報、同2000−108513号公報、同2000
−113504号公報、同2000−149320号公
報、同2000−158818号公報、及び同2000
−228028号公報には、有機色素を含む記録層を有
する光情報記録媒体において、記録層側から反射層側に
向けて波長530nm以下のレーザー光を照射すること
により、情報の記録及び再生を行う記録再生方法が開示
されている。これらの方法では、ポルフィリン化合物、
アゾ系色素、金属アゾ系色素、キノフタロン系色素、ト
リメチンシアニン色素、ジシアノビニルフェニル骨格色
素、クマリン化合物、ナフタロシアニン化合物等を含有
する記録層を備えた光ディスクに、青色(波長430n
m、488nm)又は青緑色(波長515nm)のレー
ザー光を照射することにより情報の記録及び再生を行っ
ている。 【0006】一方、DVDとして相変化型の光ディスク
が知られているが、これは、記録層としてGeSbTe
等の合金層を採用し、記録層にレーザー光で瞬間的に加
熱して、結晶状態からアモルファス状態に相変化させ、
相変化により変わる反射率を利用して記録再生する方式
である。最近、この相変化型のDVDを用いて、青紫レ
ーザーにより記録再生をおこなうDVRシステムが発表
された(「ISOM2000」210〜211頁)。こ
のシステムにより、高密度化という課題に対しては一定
の成果が達成された。 【0007】このような青紫色レーザー光源用の光情報
記録媒体は、基板上に形成された記録層が、厚さ0.1
mm〜0.3mmの薄型のカバー層で覆われている。こ
の光情報記録媒体を用いたシステムでは、ピックアップ
に高い開口率(NA:Numerical Apert
ure)の対物レンズを使用してレーザー光のビームを
絞るとともに、光ディスクの薄型のカバー層側からレー
ザー光を照射して記録を行い、片面記録容量で22.5
Gバイトという大容量化を実現している。 【0008】このような光情報記録媒体において、カバ
ー層を形成するには、通常、カバーフィルムをUV硬化
性接着剤を用いて記録層上に貼り合わせることにより行
われる。記録層が有機色素の場合には、液体であるUV
硬化性接着剤により有機色素が溶出するのを防止するた
め、記録層とカバー層との間に一定以上の厚みを有する
中間層が設けられる。しかしながら、中間層が厚くなる
と、レーザー光の透過率が減少し、光情報記録媒体の反
射率が低下してしまうという問題があった。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の従来
の問題点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達
成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、高反
射率で、キャリア・ノイズ比(C/N)が大きく、安定
した記録再生特性をもつ光情報記録媒体を提供すること
にある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、基板上に、記録層、
中間層、粘着剤層、及びカバーフィルムを基板側から順
次有し、レーザー光の照射により情報の記録再生が可能
な光情報記録媒体であって、前記粘着剤層中に、ガラス
転移温度Tgが0℃以下のポリマーを含有することを特
徴とする光情報記録媒体である。 【0011】本発明の光情報記録媒体は、以下の態様で
あることが好ましい。 (1)前記中間層の層厚が1〜20nmである。 (2)前記記録層が有機色素を含有し、該有機色素が、
フタロシアニン系色素、ベンゾトリアゾール系色素、又
はアミノブタジエン系色素である。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明の光情報記録媒体は、基板
上に、必要に応じて光反射層と、記録層と、中間層と、
粘着剤層と、カバーフィルムと、を基板側から順次有す
る。以下、各層について説明しながら、当該光情報記録
媒体について詳細に説明する。なお、後述する「カバー
層」は、前記粘着剤層と前記カバーフィルムとから構成
される層である。 【0013】<<光情報記録媒体>> <基板>基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材
料として用いられている各種の材料を任意に選択して使
用することができる。具体的には、ガラス;ポリカーボ
ネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;
ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系
樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポ
リエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることが
でき、所望によりこれらを併用してもよい。上記材料の
中では、耐湿性、寸法安定性及び低価格等の点から、ア
モルファスポリオレフィン、ポリカーボネートが好まし
く、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚
さは、1.1±0.3mmとすることが好ましい。 【0014】基板には、トラッキング用の案内溝又はア
ドレス信号等の情報を表わす凹凸(プリグルーブ)が形
成されている。より高い記録密度を達成するためにCD
−RやDVD−Rに比べて、より狭いトラックピッチの
プレグルーブが形成された基板を用いることが好まし
い。プリグルーブのトラックピッチは、200〜400
nmの範囲であることが好ましく、250〜350nm
の範囲であることがより好ましい。また、プレグルーブ
の深さ(溝深さ)は、20〜150nmの範囲であるこ
とが好ましく、30〜100nmの範囲であることがよ
り好ましい。 【0015】なお、後述する光反射層が設けられる側の
基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、
下塗層を形成することが好ましい。該下塗層の材料とし
ては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸
・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共
重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリ
ルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロル
スルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化
ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイ
ミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢
酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤
等の表面改質剤;を挙げることができる。下塗層は、上
記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製し
た後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エ
クストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗
布することにより形成することができる。下塗層の層厚
は、一般に、0.005〜20μmの範囲にあり、好ま
しくは0.01〜10μmの範囲である。 【0016】<光反射層>光反射層には、レーザー光に
対する反射率が高い光反射性物質が用いられる。当該反
射率は、70%以上であることが好ましい。反射率が高
い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、R
e、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、P
t、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、I
n、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金
属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができ
る。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あ
るいは二種以上の組合せで、又は合金として用いてもよ
い。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、P
t、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。
特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合
金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれら
の合金である。 【0017】光反射層は、例えば、上記光反射性物質を
蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングするこ
とにより基板上に形成することができる。光反射層の層
厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜
200nmの範囲とすることが好ましい。なお、この光
反射層は、記録層により十分な反射率を得ることができ
る場合には必ずしも必要なく、その場合記録層が光反射
層の役割を果たす。 【0018】<記録層>記録層は、上記光反射層上に形
成され、例えば、380〜500nmの波長のレーザー
光をレンズ開口率が0.7以上の対物レンズを通して照
射することにより情報を記録することが可能となってい
る。また、記録層は有機色素を含有することが好まし
く、該有機色素としては、シアニン系色素、オキソノー
ル系色素、金属錯体系色素、アゾ系色素、フタロシアニ
ン系色素、ベンゾトリアゾール系色素、アミノブタジエ
ン系色素、等が挙げられ、なかでも、フタロシアニン系
色素、ベンゾトリアゾール系色素、アミノブタジエン系
色素が好ましい。 【0019】また、特開平4−74690号公報、特開
平8−127174号公報、同11−53758号公
報、同11−334204号公報、同11−33420
5号公報、同11−334206号公報、同11−33
4207号公報、特開2000−43423号公報、同
2000−108513号公報、及び同2000−15
8818号公報等に記載されている有機色素も好適に用
いられる。 【0020】記録層は、色素等の記録物質を、結合剤等
と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこ
の塗布液を基板表面に形成された基板又は光反射層上に
塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成さ
れる。塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜
15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量
%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最
も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。 【0021】塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸
エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケト
ン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタ
ン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルム
アミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水
素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン
等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等の
アルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノ
ール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール
エーテル類;等を挙げることができる。上記溶剤は使用
する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種
以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中に
はさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各
種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。 【0022】結合剤を使用する場合に、該結合剤の例と
しては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、
ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の
炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニ
ル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メ
チル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化
ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘
導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性
樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることが
できる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、
結合剤の使用量は、一般に記録物質に対して0.01倍
量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.
1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにし
て調製される塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.
01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5
質量%の範囲にある。 【0023】塗布方法としては、スプレー法、スピンコ
ート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート
法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げるこ
とができる。記録層は単層でも重層でもよい。また、記
録層の層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、
好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好まし
くは50〜100nmの範囲にある。また、塗布温度と
しては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ま
しくは24〜40℃、さらに好ましくは25〜37℃で
ある。 【0024】記録層には、該記録層の耐光性を向上させ
るために、種々の褪色防止剤を含有させることができ
る。褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチ
ャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、
既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用す
ることができる。その具体例としては、特開昭58−1
75693号公報、同59−81194号公報、同60
−18387号公報、同60−19586号公報、同6
0−19587号公報、同60−35054号公報、同
60−36190号公報、同60−36191号公報、
同60−44554号公報、同60−44555号公
報、同60−44389号公報、同60−44390号
公報、同60−54892号公報、同60−47069
号公報、同63−209995号公報、特開平4−25
492号公報、特公平1−38680号公報、及び同6
−26028号公報等の各公報、ドイツ特許35039
9号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第
1141頁等に記載のものを挙げることができる。 【0025】前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止
剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質
量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の
範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好
ましくは5〜25質量%の範囲である。 【0026】また、記録層としては、色素等の有機化合
物を含有する記録層のほかに、相変化により記録を行う
相変化記録層、光磁気により記録を行う光磁気記録層で
あってもよい。また、相変化記録層には、記録物質とし
てSb、Te、Ag、In等のカルコゲナイド等の金属
化合物を使用することができる。 【0027】<カバー層>カバー層は、光情報記録媒体
内部への水分の侵入を防いだり、記録層の表面を保護し
たりするために形成される層である。本発明において、
カバー層は、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを含
有する粘着剤層と、カバーフィルムとから構成される。 【0028】本発明の光情報記録媒体においては、記録
のためのレーザー光照射により、記録層の有機色素が分
解し屈折率が変化しピットが形成される。このとき、発
熱により、後述する中間層を介して粘着剤層が変形を受
けると、形状変化による屈折率の変化をもたらし、変調
度が大きくなり優れた記録特性が得られる。また、本発
明の光情報記録媒体は、カバーフィルムの接着に液体で
あるUV硬化性接着剤を使用する場合よりも有機色素の
溶出が大幅に抑えられるため、後述する中間層を薄くす
ることができ反射率の向上を図ることができる。 【0029】カバーフィルムを形成する材質としては、
透明な材質であれば特に限定されないが、材質として
は、ポリカーボネート、三酢酸セルロース、アクリル系
ポリマーであることが好ましい。また、23℃50%R
Hでの吸湿率が5%以下の材質であることが好ましい。
更に、カバーフィルムは、表面粗さが5nm以下である
ことが好ましく、複屈折率が10nm以下であることが
好ましい。なお、「透明」とは、記録再生するレーザー
光に対して、該光を透過する(透過率:80%以上)ほ
どに透明であることを意味する。カバー層の層厚は、好
ましくは0.01〜0.2mmの範囲であり、より好ま
しくは0.03〜0.1mmの範囲であり、さらに好ま
しくは0.05〜0.095mmの範囲である。 【0030】上述のガラス転移温度Tgが0℃以下のポ
リマーとしては、アクリル系ポリマー、メタクリレート
系ポリマー、ゴム系ポリマー、シリコン系ポリマー、ウ
レタン系ポリマーが挙げられ、中でも、透明性・耐久性
の観点から、アクリル系ポリマー、メタクリレート系ポ
リマーが好ましい。また、前記ポリマーとして、ガラス
転移温度Tgが−20℃以下のポリマーがより好まし
く、−30℃以下のポリマーがさらに好ましい。 【0031】粘着剤層における前記ポリマーの含有量と
しては、乾燥後の粘着剤層の全質量に対して、50〜9
9質量%が好ましく、80〜99質量%がより好まし
い。 【0032】アクリル系ポリマー、メタクリレート系ポ
リマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレート、n
−ブチルアクリレート等を主成分とし、凝集力を向上さ
せるために短鎖アルキルアクリレートやメタクリレー
ト、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、及び架橋剤との架橋点とな
るアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、
マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシ
ジルアクリレートなどを共重合したものが用いられる。
主成分と短鎖成分、架橋点付与するための成分の比率、
種を変更することによりガラス転移温度Tgや架橋密度
を変えることができる。また、アクリル系ポリマーの溶
剤としては、用いるポリマーに合わせて適宜選択するこ
とができ、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエ
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等が挙げられ
る。 【0033】上記粘着剤層は、さらに、イソシアネート
系架橋剤を含有することが好ましい。該イソシアネート
系架橋剤として、ポリイソシアネートとしては、トリレ
ンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソ
シアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシ
アネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシ
アネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシ
アネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート
等を使用することができる。これらのイソシアネート類
で市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社
製、コロネートL、コロネートHL、コロネート203
0、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネ
ートMTL、武田薬品社製、タケネートD−102、タ
ケネートD110N、タケネートD−200、タケネー
トD−202、住友バイエル社製、デスモジュールL、
デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュー
ルHL、等がある。 【0034】上記粘着剤層とカバーフィルムとからカバ
ー層を形成する方法としては、カバーフィルム上に粘着
剤を塗布し、溶剤を乾燥させた後、該粘着剤を介して中
間層上にカバーフィルムを載せてローラーにより圧力を
かけてカバーフィルムを貼り合わせる方法が挙げられ
る。なお、粘着剤層とカバーフィルムとからカバー層を
形成する場合の該粘着剤層の厚さは、弾力性をもたせる
ため、1〜200μmの範囲が好ましく、5〜10μm
の範囲がより好ましく、10〜50μmの範囲が特に好
ましい。 【0035】粘着剤の塗布温度としては、粘度制御のた
め、23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜
40℃の範囲であることがより好ましく、25〜37℃
の範囲であることがさらに好ましい。塗布後、好ましく
は50〜300℃、より好ましくは80〜200℃、更
に好ましくは100〜150℃で乾燥させる。また、記
録層上にカバーフィルムを貼り合わせる時の温度として
は、0〜100℃の範囲であることが好ましく、15〜
50℃の範囲であることがより好ましい。 【0036】また、使用する粘着剤に対し、離型性をも
った離型フィルム上に粘着剤を塗布して溶剤を乾燥した
後、カバーフィルムを貼り合わせ、さらに、離型フィル
ムを剥離してカバーフィルム上に粘着剤を設けた後に、
中間層上に貼り合わせることにより、カバー層を形成す
ることもできる。特に、粘着剤に含有する溶剤がカバー
フィルムを溶かす場合には、この方法が望ましい。 【0037】離型フィルム上に粘着剤層が設けられたシ
ートを使用する場合には、基材として用いられるフィル
ムは粘着剤に含まれる溶剤に不溶であれば、特に制限さ
れるものでなく、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル等のプ
ラスチックフィルムや、クラフト紙、上質紙、クレコー
ト紙、和紙等の紙、レーヨン、ポリエステル等の不織
布、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維よ
りなる織布、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属
箔が用いられるが、フィルム上に離型剤層を連続的に薄
く均一に塗布する点からは、プラスチックフィルムが好
ましい。また、使用される離型剤としては、シリコーン
系離型剤や長鎖アルキル系離型剤等の従来から使用され
ている各種離型剤を適宜選択して用いることができる。 【0038】<中間層>中間層は、上記記録層と上記カ
バー層との間に形成され、記録層の有機色素がカバー層
側に溶出するのを防止する役割を果たす。本発明におい
ては、上述のように中間層は薄く形成することができ、
具体的には、層厚は、1〜50nmとすることができ、
1〜30nmとすることが好ましい。 【0039】中間層を構成する材料としては、レーザー
光を透過する材料であれば、特に制限はないが、誘電体
であることが好ましく、より具体的には、ZnS、Ti
O2、SiO2、ZnS−SiO2、GeO2、Si3N4、
Ge3N4、MgF2、等の無機酸化物、窒化物、硫化物
が挙げられ、ZnS−SiO2、あるいはSiO2が好ま
しい。 【0040】<<本発明の光情報記録媒体を使用した情
報の記録方法及び再生方法>>次に、本発明の光情報記
録媒体への情報の記録方法及び記録した情報の再生方法
について説明する。光情報記録媒体への情報の記録は、
例えば、次のように行われる。まず、光情報記録媒体を
定線速度(CDフォーマットの場合は1.2〜1.4m
/秒)又は定角速度にて回転させながら、カバー層側か
ら記録用のレーザー光を照射する。このレーザー光の照
射により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇
し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生
成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報
が記録される。 【0041】380〜500nmの発振波長を有するレ
ーザー光源としては、例えば390〜415nmの範囲
の発振波長を有する青紫色半導体レーザー、中心発振波
長515nmの青緑色半導体レーザー、中心発振波長8
50nmの赤外半導体レーザーと光導波路型の波長変換
素子(SHG)とから構成される中心発振波長425n
mの青紫色SHGレーザー等を挙げることができる。記
録密度を高めるために、より短波長のレーザーを得るこ
とが可能な青紫色半導体レーザー又はSHGレーザーを
用いることが特に好ましい。また、記録密度を高めるた
めに、ピックアップに使用される対物レンズのレンズ開
口率(NA)は0.7以上であることが必須であり、
0.85以上であることがより好ましい。 【0042】一方、記録された情報の再生は、光情報記
録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながらレーザ
ー光をカバー層側から照射して、その反射光を検出する
ことにより行うことができる。 【0043】 【実施例】本発明を以下に示す実施例により具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0044】(実施例1)厚さ1.1mm、直径120
mmのスパイラル状のグルーブを有する射出成形ポリカ
ーボネート樹脂(帝人社製ポリカーボネート、商品名:
パンライトAD5503)基板のグルーブを有する面上
に、Agをスパッタして100nmの膜厚の光反射層を
形成し、その後、フタロシアニン系色素A(オラゾール
ブルーGN、cibaスペシャリティケミカル社製)を
2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールと混合
し、超音波振動機を用いて2時間かけて溶解し色素塗布
液を得た。 【0045】この色素塗布波をスピンコート法により回
転数を300rpmから4000rpmまで変化させな
がら23℃50%RHの条件で塗布し記録層を形成し
た。その後、23℃50%RHで1時間から4時間保存
後、記録層上に、中間層としてZnS・SiO2をスパ
ッタ法により5nmの厚みとなるように形成した。その
後、予め粘着剤A(アクリル系粘着剤、Tg:−30
℃)にイソシアネート系架橋剤(コロネートL:大日本
インキ化学工業社製)を混合(粘着剤:架橋剤=10
0:0.5)したものを、ポリカーボネートシート(カ
バーフィルム)上に20μmの厚みで塗布し、それを中
間層上に貼り合わせカバー層を形成した。以上の工程に
より実施例1の光情報記録媒体を得た。 【0046】(実施例2)実施例1において、色素Aを
色素B(フタロシアニン系色素、FOM0561、和光
純薬製、極大吸収波長:340nm、680nm)に代
えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の光情
報記録媒体を作製した。 【0047】(実施例3)実施例1において、色素Aを
下記構造式で表される色素C(ベンゾトリアゾール系色
素)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例
3の光情報記録媒体を作製した。 【0048】 【化1】 【0049】(実施例4)実施例1において、色素Aを
下記構造式で表される色素D(アミノブタジエン系色
素)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例
4の光情報記録媒体を作製した。 【0050】 【化2】 【0051】(実施例5)実施例1において、粘着剤A
を粘着剤B(アクリル系粘着剤、Tg:−5℃)に代え
たこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の光情報
記録媒体を作製した。 【0052】(実施例6)実施例1において、粘着剤A
を粘着剤C(アクリル系粘着剤、Tg:−45℃)に代
えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の光情
報記録媒体を作製した。 【0053】(実施例7)実施例1において、中間層の
層厚を20nmとしたこと以外は、実施例1と同様にし
て実施例7の光情報記録媒体を作製した。 【0054】(実施例8)実施例1において、中間層の
層厚を30nmとしたこと以外は、実施例1と同様にし
て実施例8の光情報記録媒体を作製した。 【0055】(実施例9)実施例1において、中間層の
層厚を50nmとしたこと以外は、実施例1と同様にし
て実施例9の光情報記録媒体を作製した。 【0056】(比較例1)実施例1において、粘着剤A
を粘着剤D(アクリル系粘着剤、Tg:5℃)に代えた
こと以外は、実施例1と同様にして比較例1の光情報記
録媒体を作製した。 【0057】(比較例2)実施例1において、粘着剤A
を粘着剤E(アクリル系粘着剤、Tg:45℃)に代え
たこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の光情報
記録媒体を作製した。 【0058】(比較例3)実施例1において、カバー層
の形成を以下のようにして行ったこと以外は実施例1と
同様にして比較例3の光情報記録媒体を作製した。−カ
バー層の形成−UV硬化性接着剤(大日本インキ化学工
業社製、SD−347、硬化後Tg:30℃)をスピン
コート法により100〜300rpmで中間層上に塗布
し、厚み0.07mmのポリカーボネートシート(帝人
社製、ピュアエース)を重ね合わせ、その後、300〜
4000rpmまで変化させながら回転させ厚み30μ
mになるように全面に接着剤を広げた後、UV照射ラン
プにて紫外線を照射して接着剤を硬化させカバー層を形
成した。 【0059】(比較例4)比較例3において、中間層の
層厚を20nmとしたこと以外は、比較例3と同様にし
て比較例4の光情報記録媒体を作製した。 【0060】(比較例5)比較例3において、中間層の
層厚を50nmとしたこと以外は、比較例3と同様にし
て比較例5の光情報記録媒体を作製した。 【0061】−光情報記録媒体の評価− (記録再生テスト)実施例1〜9及び比較例1〜5で得
られた光情報記録媒体について、波長405nmのレー
ザー光を出力し、N/A0.85のピックアップを搭載
した記録再生評価機(DDU−1000、パルステック
社製)を用いて、クロック周波数66MHz、線速度
5.6m/sにて単一周波数の信号(2T=0.13μ
m)を記録・再生しスペクトルアナライザーにてC/N
を測定した。結果を表1に示す。 【0062】 【表1】 【0063】表1より、ガラス転移温度Tgが0℃以下
のポリマーを含有する粘着剤を使用した実施例1〜9で
は、C/Nが40dB以上を示し、良好な記録特性を示
すことが分かる。一方、ガラス転移温度Tgが0℃を超
えるポリマーを含有する粘着剤を使用した比較例1及び
2、及びUV硬化性接着剤を使用した比較例3〜5では
C/Nが40dBを下回り、満足できる記録特性を得る
ことができなかった。 【0064】 【発明の効果】本発明によれば、高反射率で、キャリア
・ノイズ比(C/N)が大きく、安定した記録再生特性
をもつ光情報記録媒体を提供することができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板上に、記録層、中間層、粘着剤層、
及びカバーフィルムを基板側から順次有し、レーザー光
の照射により情報の記録再生が可能な光情報記録媒体で
あって、 前記粘着剤層中に、ガラス転移温度Tgが0℃以下のポ
リマーを含有することを特徴とする光情報記録媒体。
Priority Applications (7)
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---|---|---|---|
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010041470A1 (ja) | 2008-10-10 | 2010-04-15 | 富士フイルム株式会社 | 光情報記録媒体、情報記録方法および光増感剤 |
US7778145B2 (en) | 2004-07-16 | 2010-08-17 | Mitsubishi Kagaku Media Co., Ltd. | Optical recording medium and optical recording method of the same |
US8114496B2 (en) | 2006-01-13 | 2012-02-14 | Mitsubishi Kagaku Media Co., Ltd. | Optical recording medium |
-
2002
- 2002-01-23 JP JP2002014035A patent/JP2003217177A/ja active Pending
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