JP2005279964A - 光情報記録媒体および情報記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
基板上に波長450nm以下のレーザー光照射による情報の記録が可能な記録層を有する光情報記録媒体であって、
前記記録層がアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールスルフィニル基またはアルキルスルフィニル基を置換基として有するフタロシアニン誘導体を含有することを特徴とする光情報記録媒体である。
また、上記光情報記録媒体に波長450nm以下のレーザー光を照射して情報を記録する情報記録方法である。
【選択図】なし
Description
さらに、これら青色レーザー光記録ディスク用の色素の先行技術として種々のものが知られている(例えば、特許文献21〜41参照)。
本発明の第2の課題は、高温及び高湿度に対して安定な記録層を設計することによって、記録情報の長期保存に耐え得る光情報記録媒体および情報記録方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、基板上に波長450nm以下のレーザー光照射による情報の記録が可能な記録層を有する光情報記録媒体であって、
前記記録層がアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールスルフィニル基またはアルキルスルフィニル基を置換基として有するフタロシアニン誘導体を含有することを特徴とする光情報記録媒体である。
(1)前記フタロシアニン誘導体が、300nm〜400nm以下に極大を有する吸収を持つことを特徴とする光情報記録媒体である。
(2)前記フタロシアニン誘導体に置換される前記置換基が、フタロシアニン環のα位に置換していることを特徴とする光情報記録媒体でる。
(3)前記フタロシアニン誘導体の中心金属が、銅、ニッケル、鉄、コバルト、パラジウム、マグネシウム、アルミニウム、バナジウム、ガリウム、亜鉛または珪素であることを特徴とする光情報記録媒体である。
(4)前記記録層とは別に金属からなる光反射層が設けられていることを特徴とする光情報記録媒体である。
(5)前記記録層とは別に保護層が設けられていることを特徴とする光情報記録媒体である。
(6)前記基板が、その表面にトラックピッチ0.2〜0.5μmのプレグルーブを有する透明な円盤状基板であり、
前記記録層が、前記プレグルーブが形成された側に設けられていることを特徴とする光情報記録媒体である。
また、本発明の特徴とする特定のフタロシアニン誘導体を記録層の記録材料として用いることにより、高温・高湿下における保存安定性に優れた光情報記録媒体を提供することができる、という効果を奏する。
さらに、上記のような特定のフタロシアニン誘導体は、合成的に安価に製造が可能であり、また安全性が高く、スピンコート塗布時の適性が良い大量に安価に製造することができる。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に波長450nm以下のレーザー光照射による情報の記録が可能な記録層を有する。その記録層には、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールスルフィニル基またはアルキルスルフィニル基を置換基として有するフタロシアニン誘導体を含有する。
また、該フタロシアニンを置換するアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アリールスルフィニルまたはアルキルスルフィニル基は更に置換基を有していてもよく、置換基の例としては、以下に記載のものを挙げることができる。
その中でも好ましいものは、炭素数1〜10の鎖状又は環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、フッ素原子、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜7のカルバモイル基、炭素数1〜8のアシルアミノ基である。
その中でも特に好ましいものは、炭素数1〜8の鎖状分岐又は環状の無置換のアルキル基、炭素数1〜8の無置換のアルコキシ基、炭素数3〜9の無置換のアルコキシカルボニル基、フェニル及びフッ素原子である。置換基として最も好ましいものは炭素数1〜8の鎖状分岐又は環状の無置換のアルキル基である。
300〜400nmに極大を有する吸収を有することで、本発明で用いられる450nm以下のレーザ波長領域で大きな屈折率を示すことが可能となる。
α位で置換することで、本発明に係るフタロシアニン誘導体が記録層を形成する際に好適なアモルファス性を付与することが可能となるといった効果が得られる。
なお、下記一般式(I)において、Rα1〜Rα8、Rβ1〜Rβ8の互いに隣接するものは環を形成しても良いが、Rα1〜Rα8、Rβ1〜Rβ8はすべて環を形成していないものであることが好ましい。
これら中心金属を有することで、記録層の熱・光安定性を向上させるといった効果が得られる。
下記表1において、例えばRα1/Rα2という表記はRα1又はRα2のいずれか一方という意味を表しており、従ってこの表記のある化合物は置換位置異性体の混合物である。また無置換の場合、即ち水素原子が置換している場合は表記を省略している。
態様(1)としては、厚さ0.7〜2mmの基板上に、本発明に係るフタロシアニン誘導体を色素として含有する追記型の記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層と、をこの順に有する光情報記録媒体である。
態様(2)としては、厚さ0.1〜1.0mmの基板上に、本発明に係るフタロシアニン誘導体を色素として含有する追記型の記録層と、厚さ0.1〜1.0mmの保護基板と、をこの順に有する光情報記録媒体である。
態様(1)の光情報記録媒体は、少なくとも、基板と、追記型記録層と、カバー層を有する様態であり、まずこれらについて順に説明する。
好ましい態様(1)の基板には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、及びウォブル振幅のいずれもが既述の範囲である形状を有するプリグルーブ(案内溝)が形成されている。このプリグルーブは、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、本発明の光情報記録媒体を、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合に好適である。
トラックピッチが50nm未満では、プリグルーブを正確に形成することが困難になる上、クロストークの問題が発生することがあり、500nmを超えると、記録密度が低下する問題が生ずることがある。
プリグルーブの溝深さが5nm未満では、十分な記録変調度が得られないことがあり、150nmを超えると、反射率が大幅に低下することがある。
プリグルーブの溝傾斜角度が20°未満では、十分なトラッキングエラー信号振幅が得られないことがあり、80°を超えると、成型が困難となる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
これらの樹脂を用いた場合、射出成型を用いて基板を作製することができる。
また、基板の厚さは、0.7〜2mmの範囲であることを要し、0.9〜1.6mmの範囲であることが好ましく、1.0〜1.3mmとすることがより好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
好ましい態様(1)の追記型記録層は、既述のフタロシアニン誘導体である色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基板上又は後述する光反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。ここで、追記型記録層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布液を塗布する工程が複数回行われることになる。
塗布の際、塗布液の温度は23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、23〜50℃の範囲であることが特に好ましい。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
好ましい態様(1)のカバー層は、上述した追記型記録層又は後述するバリア層上に、接着剤や粘着材を介して貼り合わされる。
本発明において用いられるカバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネート又は三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録及び再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
更に、カバー層の表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータ及び3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録及び再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
また、カバー層と、接着剤又は粘着剤からなる層と、を合わせた総厚は、0.09〜0.11mmであることが好ましく、0.095〜0.105mmであることがより好ましい。
なお、カバー層の光入射面には、光情報記録媒体の製造時に、光入射面が傷つくことを防止するための保護層(ハードコート層)が設けられていてもよい。
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、若しくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、ディスペンサからバリア層表面に供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、接着層を構成するUV硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
このような接着剤からなる接着剤層の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
また、カバー層に、予め、粘着剤層が設けられた市販の粘着フィルムを用いてもよい。
このような粘着剤からなる粘着剤層の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
好ましい態様(1)の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上述の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。かかる他の任意の層としては、例えば、基板の裏面(追記型記録層形成面側に対する裏面)に形成される、所望の画像を有するレーベル層や、基板と追記型記録層との間に設けられる光反射層(後述)、追記型記録層とカバー層との間に設けられるバリア層(後述)、該光反射層と追記型記録層との間に設けられる界面層などが挙げられる。ここで、かかるレーベル層は、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、及び熱乾燥樹脂などを用いて形成される。
なお、これらの層は、いずれも単層でもよいし、多層構造を有してもよい。
好ましい態様(1)の光情報記録媒体において、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、基板と追記型記録層との間に、光反射層を形成することが好ましい。
光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を、真空蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
好ましい態様(1)の光情報記録媒体においては、追記型記録層とカバー層との間にバリア層を形成することが好ましい。
該バリア層は、追記型記録層の保存性を高める、追記型記録層とカバー層との接着性を向上させる、反射率を調整する、熱伝導率を調整する、等のために設けられる。
バリア層に用いられる材料としては、記録及び再生に用いられる光を透過する材料であり、上記の機能を発現し得るものであれば、特に、制限されるものではないが、例えば、一般的には、ガスや水分の透過性の低い材料であり、誘電体であることが好ましい。
具体的には、Zn、Si、Ti、Te、Sn、Mo、Ge等の窒化物、酸化物、炭化物、硫化物からなる材料が好ましく、ZnS、MoO2、GeO2、TeO、SiO2、TiO2、ZuO、ZnS−SiO2、SnO2、ZnO−Ga2O3が好ましく、ZnS−SiO2、SnO2、ZnO−Ga2O3がより好ましい。
本発明におけるバリア層の厚さは、1〜200nmの範囲であることが好ましく、2〜100nmの範囲であることがより好ましく、3〜50nmの範囲であることが更に好ましい。
ここで、態様(2)の光情報記録媒体は、貼り合わせ型の層構成を有する光情報記録媒体であり、その代表的な層構成としては、下記の通りである。
(i)第1の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、接着層を順次形成し、接着層上に保護基板を設ける構成である。
(ii)第2の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、保護層、接着層を順次形成し、接着層上に保護基板を設ける構成である。
(iii)第3の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、保護層、接着層、保護層を順次形成し、該保護層上に保護基板を設ける構成である。
(iv)第4の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、保護層、接着層、保護層、光反射層を順次形成し、該光反射層上に保護基板を設ける構成である。
(v)第5の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、接着層、光反射層を順次形成し、該光反射層上に保護基板を設ける構成である。
本発明の光情報記録媒体として、基板上に、追記型記録層、光反射層、接着層、保護基板をこの順に有する構成のものを例にとって、以下にその説明をする。
好ましい態様(2)における基板には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、及びウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有するプリグルーブ(案内溝)が形成されていることが必須である。このプリグルーブは、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、本発明の光情報記録媒体を、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合に好適である。
トラックピッチが200nm未満では、プリグルーブを正確に形成することが困難になる上、クロストークの問題が発生することがあり、600nmを超えると、記録密度が低下する問題が生ずることがある。
プリグルーブの溝幅が50nm未満では、成型時に溝が十分に転写されなかったり、記録のエラーレートが高くなったりすることがあり、300nmを超えると、記録時に形成されるピットが広がってしまい、クロストークの原因となったり、十分な変調度が得られないことがある。
プリグルーブの溝深さが30nm未満では、十分な記録変調度が得られないことがあり、200nmを超えると、反射率が大幅に低下することがある。
また、基板の厚さは、0.1〜1.0mmの範囲であることを要し、0.2〜0.8mmの範囲であることが好ましく、0.3〜0.7mmの範囲であることがより好ましい。
好ましい態様(2)の追記型記録層に関する詳細な説明は、態様(1)の追記型記録層に関するものと同様である。
好ましい態様(2)において、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、追記型記録層上に光反射層を形成することがある。態様(2)の光反射層に関する詳細は態様(1)の光反射層と同様である。
好ましい態様(2)における接着層は、上記光反射層と、保護基板との密着性を向上させるために形成される任意の層である。
接着層を構成する材料としては、光硬化性樹脂が好ましく、なかでもディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような光硬化性樹脂としては、例えば、大日本インク社製の「SD−640」、「SD−347」等のUV硬化性樹脂(UV硬化性接着剤)を挙げることができる。また、接着層の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜1000μmの範囲が好ましい。
好ましい態様(2)における保護基板(ダミー基板)は、上述した基板と同じ材質で、同じ形状のものを使用することができる。保護基板の厚さとしては、厚さ0.1〜1.0mmの範囲であることを要し、0.2〜0.8mmの範囲であることが好ましく、0.3〜0.7mmの範囲であることがより好ましい。
好ましい態様(2)の光情報記録媒体は、その層構成によっては、光反射層や追記型記録層などを物理的及び化学的に保護する目的で保護層が設けられることがある。
保護層に用いられる材料の例としては、ZnS、ZnS−SiO2、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、Si3N4等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。
保護層は、例えば、プラスチックの押出加工で得られたフィルムを接着剤を介して光反射層上に貼り合わせることにより形成することができる。また、真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。
好ましい態様(2)の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上述の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。かかる他の任意の層の詳細な説明は態様(1)のその他の層と同様である。
本発明の情報記録方法は、好ましい態様(1)または態様(2)の光情報記録媒体を用いて、例えば、次のように行われる。まず、光情報記録媒体を定線速度(0.5〜10m/秒)または定角速度にて回転させながら、態様(1)の場合はカバー層側、態様(2)の場合は基板または保護層側から半導体レーザー光などの記録用の光を照射する。この光の照射により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。
「3−secブチルスルフィニルフタロニトリル」1.2g、「無水塩化銅」0.17gにブタノール20mlを加え、80℃に加熱攪拌した。これに、「1,8−Diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene」1.9mlを加え、80℃で7時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却して生じる結晶を濾取し、メタノールで洗浄して、表1のフタロシアニン誘導体(I−1)を得た。
λmax=683nm、340nm(CHCl3)
<光情報記録媒体の製造>
(基板の作製)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ:320nm、溝幅:オングルーブ幅120nm、溝深さ:35nm、溝傾斜角度:65°、ウォブル振幅:20nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる基板を射出成形により作製した。射出成型時に用いられたスタンパのマスタリングは、レーザーカッティング(351nm)を用いて行われた。
基板上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚100nmの真空成膜層としてのAPC光反射層(Ag:98.1質量%、Pd:0.9質量%、Cu:1.0質量%)を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
表1に示すフタロシアニン誘導体(I−1)〜(I−19)それぞれ2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中にそれぞれ添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。光反射層上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、追記型記録層(グルーブ上の厚さ120nm、ランド上の厚さ170nm)を形成した。
追記型記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、RFスパッタリングによりZnO−Ga2O3(ZnO:Ga2O3=7:3(質量比))からなる、厚さ5nmのバリア層を形成した。
カバー層としては、内径15mm、外径120mmで、片面に粘着剤が塗設してあるポリカーボネート製フィルム(帝人ピュアエース、厚さ:80μm)を用い、該粘着剤層とポリカーボネート製フィルムとの厚さの合計が100μmとなるように設定した。
そして、バリア層上に、該バリア層と粘着剤層とが当接するようにカバー層を載置した後、そのカバー層を押し当て部材にて圧接して、貼り合わせた。
これにより、実施例1〜19に係る光情報記録媒体を作製した。
フタロシアニン誘導体を下記比較化合物(A)〜(D)で表される色素に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1〜4の光情報記録媒体を作製した。
作製した光情報記録媒体を、403nmレーザ、NA0.85ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数66MHz、線速5.28m/sにて、0.16μmの信号(2T)を記録、再生しスペクトルアナライザー(パルステックMSG2)にて、最適パワーでの変調度を測定した。更に、これら光ディスクを温度70℃−湿度80%の強制条件下に25日間放置した後、変調度を測定することによって、記録信号の劣化を評価した。評価結果を下記表2に示す。
表2中、変調度Bは強制条件に置く前の変調度、変調度Aは強制条件に置いた後の変調度を示している。
<光情報記録媒体の製造>
(基板の作製)
厚さ0.6mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ:400nm、溝幅:170nm、溝深さ:100nm、溝傾斜角度:65°、ウォブル振幅:20nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を作製した。射出成型時に用いられたスタンパのマスタリングは、レーザーカッティング(351nm)を用いて行なわれた。
表1に示す化合物(I−1)〜(I−19)それぞれ2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中にそれぞれ添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。そして、基板上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、追記型記録層(グルーブ上の厚さ170nm、ランド上の厚さ120nm)を形成した。
追記型記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚100nmの真空成膜層としてのAPC光反射層(Ag:98.1質量%、Pd:0.9質量%、Cu:1.0質量%)を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
光反射層上に、スピンコートにより、紫外線硬化樹脂(SD661、大日本インキ製)を塗布し、ポリカーボネート製の保護基板(プリグルーブを形成していない以外は上記基板と同様のもの)を貼り合わせ、紫外線を照射して、硬化させた。
作製した光情報記録媒体における紫外線硬化樹脂からなる接着層の厚さは、25μmであった。
これにより、実施例20〜38に係る光情報記録媒体を作製した。
フタロシアニン誘導体を上記比較化合物(A)〜(D)で表される色素に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例5〜8の光情報記録媒体を作製した。
作製した光情報記録媒体を、405nmレーザ、NA0.65ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数64.8MHz、線速6.6m/sにて、0.2μmの信号(2T)を記録、再生しスペクトルアナライザー(パルステックMSG2)にて(記録後の)最適パワーでの変調度を測定した。更に、これら光ディスクを温度70℃−湿度80%の強制条件下に25日間放置した後、変調度を測定することによって、記録信号の劣化を評価した。記録及び記録特性評価はパルステック社製DDU1000を用いて行った。評価結果を下記表3に示す。
表3中、変調度Bは強制条件に置く前の変調度、変調度Aは強制条件に置いた後の変調度を示している。
Claims (8)
- 基板上に波長450nm以下のレーザー光照射による情報の記録が可能な記録層を有する光情報記録媒体であって、
前記記録層がアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールスルフィニル基またはアルキルスルフィニル基を置換基として有するフタロシアニン誘導体を含有することを特徴とする光情報記録媒体。 - 前記フタロシアニン誘導体が、300nm〜400nm以下に極大を有する吸収を持つことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
- 前記フタロシアニン誘導体に置換される前記置換基が、フタロシアニン環のα位に置換していることを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
- 前記フタロシアニン誘導体の中心金属が、銅、ニッケル、鉄、コバルト、パラジウム、マグネシウム、アルミニウム、バナジウム、ガリウム、亜鉛または珪素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
- 前記記録層とは別に金属からなる光反射層が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
- 前記記録層とは別に保護層が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
- 前記基板が、その表面にトラックピッチ0.2〜0.5μmのプレグルーブを有する透明な円盤状基板であり、
前記記録層が、前記プレグルーブが形成された側に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの1項に記載の光情報記録媒体。 - 請求項1〜7のいずれかの1項に記載の光情報記録媒体に波長450nm以下のレーザー光を照射して情報を記録する情報記録方法。
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2004
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