JP2004013986A - 光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型化及び高コスト化を招くことなく、対物レンズに対する情報記録媒体の傾きに関する情報を含む信号を精度良く出力することができる光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】光源から出射された光束の一部は、対物レンズ60の少なくとも1つの回折部53で回折され、情報記録媒体15の記録面に照射される。記録面で反射され回折部を介した第2の戻り光束は、第2の光検出器61で受光される。第2の光検出器として2分割受光素子を用いると、各受光素子からの出力信号の差信号には、情報記録媒体の傾きに関する情報が含まれることとなり、傾き検出用の光源は不要である。また、比較的高い強度の光束を利用できるため、各受光素子からの出力信号における信号レベル及びS/N比を高くすることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】光源から出射された光束の一部は、対物レンズ60の少なくとも1つの回折部53で回折され、情報記録媒体15の記録面に照射される。記録面で反射され回折部を介した第2の戻り光束は、第2の光検出器61で受光される。第2の光検出器として2分割受光素子を用いると、各受光素子からの出力信号の差信号には、情報記録媒体の傾きに関する情報が含まれることとなり、傾き検出用の光源は不要である。また、比較的高い強度の光束を利用できるため、各受光素子からの出力信号における信号レベル及びS/N比を高くすることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ピックアップ装置及び光ディスク装置に係り、さらに詳しくは、情報記録媒体の記録面に光を照射し、その記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置及び該光ピックアップ装置を備えた光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置では、光ディスクなどの情報記録媒体が用いられ、その記録面にレーザ光を照射することにより情報の記録を行い、記録面からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。そして、光ディスク装置は、情報記録媒体の記録面にレーザ光を照射して光スポットを形成するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置として、光ピックアップ装置を備えている。
【0003】
通常、光ピックアップ装置は、対物レンズを含み、光源から出射される光束を情報記録媒体の記録面に導くとともに、記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、及び受光位置に配置された受光素子などを備えている。この受光素子からは、記録面に記録されているデータの再生情報だけでなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報(サーボ情報)などを含む信号が出力される。
【0004】
記録面の所定位置に所定の光スポットを正確に形成したり、再生情報及びサーボ情報などを精度良く検出するためには、記録面と対物レンズの光軸とがほぼ直交していることが望ましい。しかしながら、例えば情報記録媒体のそりや偏重心などにより、記録面が対物レンズの光軸に垂直な平面に対して傾く場合があり、その傾きが大きくなると、光スポットの形状の劣化、再生情報及びサーボ情報などを含む信号の劣化を引き起こすおそれがあるという不都合があった。
【0005】
そこで、対物レンズの光軸に垂直な平面に対する情報記録媒体の傾き(以下、便宜上「情報記録媒体の傾き」と略述する)を検出する方法が種々提案された。
【0006】
例えば特開平10−320804号公報には、情報記録媒体(特開平10−320804号公報では「光ディスク」と記述されている)の傾きを検出するためのチルトセンサを備えた光ヘッド装置が開示されている。このチルトセンサは対物レンズの近傍に配置され、情報記録媒体の傾きを検出するための光束を出射する発光部と、この発光部から出射され情報記録媒体で反射された反射光を受光する複数の受光部とから構成されている。そして、各受光部からの出力信号に基づいて情報記録媒体の傾きを検出している。
【0007】
また、特開2001−84622号公報には、光源から出射され、情報記録媒体(特開2001−84622号公報では「記録媒体」と記述されている)の保護層の表面で反射された光を利用して、情報記録媒体の傾きを検出する光ピックアップ装置が開示されている。この光ピックアップ装置では、光源から出射される光束のうちで、その強度が最大強度に比べて非常に弱いために、それまではほとんど利用されていなかった光束を、ホログラムレンズを用いて情報記録媒体の保護層の表面に集光し、その戻り光束を傾き検出用の光検出器で受光している。そして、その光検出器からの出力信号に基づいて情報記録媒体の傾きを検出している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平10−320804号公報に開示されている光ヘッド装置では、情報記録媒体の傾きを検出するための光束を出射する発光部を新たに設けているために、部品点数が増加し、大型化及び高コスト化を招くという不都合があった。
【0009】
また、上記特開2001−84622号公報に開示されている光ピックアップ装置では、情報記録媒体の傾き検出に利用される光束の強度が非常に弱いために、光検出器からの出力信号における信号レベル及びS/N比が小さく、高い検出精度を得ることが困難であるという不都合があった。
【0010】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、大型化及び高コスト化を招くことなく、情報記録媒体の傾きに関する情報を含む信号を精度良く出力することができる光ピックアップ装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、情報記録媒体への高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、情報記録媒体の記録面に光を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、光源と;前記光源から出射され前記情報記録媒体の記録面に照射される光束の光路上に配置されるとともに、前記光束の一部が入射される回折部を少なくとも1つ有する対物レンズと;前記対物レンズを介して前記記録面に照射され、前記記録面で反射された後、回折されることなく前記対物レンズを透過した第1の戻り光束を受光する第1の光検出器と;前記回折部で回折されて前記記録面に照射され、前記記録面で反射された後、さらに前記回折部で回折された第2の戻り光束を受光する第2の光検出器と;を備える光ピックアップ装置である。
【0013】
これによれば、光源から出射された光束の一部は、対物レンズの少なくとも1つの回折部で回折され、情報記録媒体の記録面に照射される。そして、記録面で反射し回折部で再び回折された第2の戻り光束は第2の光検出器で受光され、その受光量に応じた信号が出力される。そこで、例えば第2の光検出器として2分割受光素子を用いると、各受光素子からの出力信号の差信号には、情報記録媒体の傾きに関する情報が含まれることとなる。すなわち、情報記録媒体の傾き検出用の光源を新たに設けることなく情報記録媒体の傾きに関する情報を含む信号を出力することができる。また、比較的高い強度の光束を利用することが可能なため、各受光素子からの出力信号における信号レベル及びS/N比を高くすることができる。従って、結果的に大型化及び高コスト化を招くことなく、情報記録媒体の傾きに関する情報を含む信号を精度良く出力することが可能となる。一方、対物レンズに入射され、回折部で回折されなかった光束は、情報記録媒体の記録面に集光される。そして、記録面で反射し回折されることなく対物レンズを透過した第1の戻り光束は、第1の光検出器で受光される。第1の光検出器からは、従来の光ピックアップ装置と同様に、再生情報やサーボ情報を含む信号などが出力される。
【0014】
この場合において、請求項2に記載の光ピックアップ装置の如く、前記第2の光検出器からの出力信号に基づいて前記情報記録媒体の傾きを検出する傾き検出手段を更に備えることとすることができる。かかる場合には、情報記録媒体の傾きを精度良く検出することが可能となる。
【0015】
上記請求項1及び2に記載の各光ピックアップ装置において、請求項3に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折部は、前記対物レンズの有効領域の外側に設けられていることとすることができる。かかる場合には、情報記録媒体の記録面に形成される記録/再生用光スポットに影響を与えることなく、比較的高い強度の光束を利用することが可能となる。
【0016】
上記請求項1〜3に記載の各光ピックアップ装置において、請求項4に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折部に入射する光束は、略平行光となって前記記録面に照射されることとすることができる。あるいは、請求項5に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折部に入射する光束は、収束光となって前記記録面に照射されることとすることができる。
【0017】
上記請求項1〜5に記載の各光ピックアップ装置において、請求項6に記載の光ピックアップ装置の如く、前記第1の戻り光束を前記第1の光検出器の受光位置に分岐するとともに、前記第2の戻り光束を前記第2の光検出器の受光位置に分岐する回折素子を更に備えることとすることができる。かかる場合には、小型化を促進することが可能となる。
【0018】
この場合において、請求項7に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、その回折効率が入射する光束の偏光方向に依存する偏光性を有していることとすることができる。かかる場合には、光源から出射される光束の殆どを情報記録媒体に照射することができ、高速度でのアクセスに対応することが可能となる。また、各光検出器での受光量が増加し、各光検出器からの出力信号の信号レベル及びS/N比を向上させることが可能となる。
【0019】
上記請求項6及び7に記載の各光ピックアップ装置において、請求項8に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、前記対物レンズと連動して駆動可能であることとすることができる。かかる場合には、例えばトラッキング制御により対物レンズがその基準位置からシフトしても、光軸ずれを生じないため、各光検出器から安定した信号を出力することが可能となる。
【0020】
この場合において、請求項9に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子と前記対物レンズとが一体化されていることとすることができる。
【0021】
上記請求項1〜9に記載の各光ピックアップ装置において、請求項10に記載の光ピックアップ装置の如く、前記第2の戻り光束は、前記記録面で反射され前記回折部で往路と同じ方向に回折された戻り光束であることとすることができる。
【0022】
この場合において、請求項11に記載の光ピックアップ装置の如く、前記第1の光検出器と前記第2の光検出器とが一体化されていることとすることができる。
【0023】
上記請求項1〜9に記載の各光ピックアップ装置において、請求項12に記載の光ピックアップ装置の如く、前記第2の戻り光束は、前記記録面で反射され前記回折部で往路と異なる方向に回折された戻り光束であることとすることができる。
【0024】
請求項13に記載の発明は、情報記録媒体に対して、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と;前記光ピックアップ装置からの出力信号を用いて、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置である。
【0025】
これによれば、請求項1〜12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置が用いられることにより、情報記録媒体の傾きを精度良く補正することができる。従って、結果として情報記録媒体への高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0027】
図1には、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0028】
この図1に示される光ディスク装置20は、情報記録媒体としての光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、ROM39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0029】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。なお、この光ピックアップ装置23の構成等については後に詳述する。
【0030】
前記再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてウォブル信号、RF信号及びサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラックエラー信号)などを検出する。そして、再生信号処理回路28はウォブル信号からアドレス情報及び同期信号等を抽出する。ここで抽出されたアドレス情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。さらに、再生信号処理回路28はRF信号に対して誤り訂正処理等を行なった後、バッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。また、サーボ信号は再生信号処理回路28からサーボコントローラ33に出力される。
【0031】
前記サーボコントローラ33は、サーボ信号に基づいて光ピックアップ装置23を制御する各種制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
【0032】
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になるとCPU40に通知する。
【0033】
前記モータドライバ27は、サーボコントローラ33からの制御信号及びCPU40の指示に基づいて、光ピックアップ装置23及びスピンドルモータ22を制御する。
【0034】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されているデータをバッファマネージャ37を介して取り出し、エラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込みデータを作成するとともに、再生信号処理回路28からの同期信号に同期して、書き込みデータをレーザコントロール回路24に出力する。
【0035】
前記レーザコントロール回路24は、エンコーダ25からの書き込みデータ及びCPU40の指示に基づいて、光ピックアップ装置23から出射されるレーザ光の出力を制御する。
【0036】
前記インターフェース38は、ホスト(例えば、パーソナルコンピュータ)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)及びSCSI(Small Computer System Interface)等の標準インターフェースに準拠している。
【0037】
前記ROM39には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。そして、CPU40は、ROM39に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM41に保存する。
【0038】
次に、前記光ピックアップ装置23の構成等について図2に基づいて説明する。
【0039】
光ピックアップ装置23は、図2に示されるように、光源ユニット51、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ54、対物レンズ60、該対物レンズ60に入射する光束を制限するアパーチャ56、検出レンズ58、第1の光検出器としての情報検出用受光器59、第2の光検出器としてのチルト検出用受光器61、チルト検出回路80及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ(いずれも図示省略))などを備えている。なお、アパーチャ56は対物レンズ60と一体化されている。
【0040】
前記光源ユニット51は、所定の波長の光束を発光する光源としての半導体レーザ(図示省略)を含んで構成されている。なお、本第1の実施形態では、光源ユニット51から出射される光束の最大強度出射方向は+X方向である。そして、この光源ユニット51の+X側には、前記コリメートレンズ52が配置され、光源ユニット51から出射された光束を略平行光とする。
【0041】
前記対物レンズ60は、一例として図3(A)及び図3(B)に示されるように、その中央部分の有効領域と呼ばれる領域ELと、この有効領域ELの外側の非有効領域と呼ばれる領域とから構成されている。対物レンズ60の光ディスク15側の面には、矩形状の回折部(回折領域)53が非有効領域に形成されている。ここでは、回折部53は有効領域ELの+Z側に形成されている。また、光源ユニット51から出射された光束が回折部53に入射するように、前記アパーチャ56の形状等が最適化されている。そして、回折部53は、対物レンズ60の有効領域ELの外側を介して入射した光束(以下、便宜上「チルト検出用光束」ともいう)が対物レンズ60の光軸とほぼ平行な光束となるように設定されている。なお、対物レンズ60の有効領域EL内に入射した光束(以下、便宜上「情報用光束」ともいう)は、光ディスク15の記録面に集光される。
【0042】
図2に戻り、前記ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52と対物レンズ60との間に配置されている。そして、情報用光束の記録面からの戻り光束(第1の戻り光束、以下「情報用戻り光束」ともいう)及びチルト検出用光束の記録面からの戻り光束(第2の戻り光束、以下「チルト検出用戻り光束」ともいう)を反射する。
【0043】
ビームスプリッタ54の−Z側には、前記検出レンズ58が配置され、ビームスプリッタ54で反射された情報用戻り光束を集光するとともに、チルト検出用戻り光束を略平行光とする。検出レンズ58を介した情報用戻り光束は前記情報検出用受光器59で受光され、検出レンズ58を介したチルト検出用戻り光束は前記チルト検出用受光器61で受光される。
【0044】
情報検出用受光器59は、再生信号処理回路28にてRF信号、ウォブル信号及びサーボ信号などを検出するのに最適な信号を出力するための複数の受光素子を含んで構成されている。
【0045】
チルト検出用受光器61は、一例として図4(A)に示されるように、Y軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子(部分受光素子61a、部分受光素子61b)を含んで構成されている。そして、チルト検出用受光器61は、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きが小さいときに、各部分受光素子からの出力信号が互いにほぼ等しくなるように配置されている。そこで、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きが大きくなるにつれて、部分受光素子61aからの出力信号と部分受光素子61bからの出力信号との差が大きくなる。従って、部分受光素子61aからの出力信号と部分受光素子61bからの出力信号との差から、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きの量及び傾きの方向を検出することができる。
【0046】
前記チルト検出回路80は、一例として図4(B)に示されるように、部分受光素子61aからの出力信号(電流信号)及び部分受光素子61bからの出力信号(電流信号)をそれぞれ電圧信号S61a及びS61bに変換するI−V変換回路80aと、該I−V変換回路80aからの出力信号S61a及び出力信号S61bを入力信号とし、それらの差信号を求める減算器80bなどを備えている。減算器80bからの出力信号ST1は再生信号処理回路28に出力される。
【0047】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。
【0048】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54を透過した光束は、アパーチャ56を介して対物レンズ60に入射する。対物レンズ60の有効領域ELに入射した光束(情報用光束)は、光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。一方、対物レンズ60の有効領域ELの外側に入射した光束は集光され、その一部(チルト検出用光束)は回折部53に入射する。回折部53にて回折されたチルト検出用光束は、対物レンズ60の光軸にほぼ平行な光束となって光ディスク15の記録面に照射される。
【0049】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、対物レンズ60で再び略平行光とされ、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された情報用戻り光束は、検出レンズ58で集束され、情報検出用受光器59で受光される。情報検出用受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0050】
一方、光ディスク15の記録面にて反射したチルト検出用光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部53に入射する。回折部53にて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ60で発散光となりビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で反射されたチルト検出用戻り光束は、検出レンズ58で略平行光となり、チルト検出用受光器61で受光される。チルト検出用受光器61を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路80に出力する。チルト検出回路80では、各部分受光素子からの出力信号をそれぞれ電圧信号に変換するとともに、各信号の差信号を求め、チルト検出信号として再生信号処理回路28に出力する。
【0051】
次に、前述の光ディスク装置20を用いて、光ディスク15にデータを記録する場合の処理動作について簡単に説明する。なお、ここでは、対物レンズ60のトラッキング方向をZ軸方向、フォーカス方向をX軸方向としている。
【0052】
CPU40は、ホストから記録要求のコマンドを受信すると、指定された記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから記録要求のコマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、CPU40は、ホストから受信したデータをバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に蓄積する。
【0053】
再生信号処理回路28は、チルト検出回路80からの出力信号(チルト検出信号)ST1に基づいて、光ディスク15の傾きが所定の値よりも大きいと判断すると、例えば光ピックアップ装置のシーク用レール(不図示)を調整することにより、光ディスク15に対する光ピックアップ装置の姿勢を制御し、対物レンズ60に対する光ディスク15の傾きを補正する。光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、再生信号処理回路28は、情報検出用受光器59からの出力信号に基づいて、トラックエラー信号及びフォーカスエラー信号を検出し、サーボコントローラ33に出力する。
【0054】
サーボコントローラ33は、トラックエラー信号に基づいて、モータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のトラッキングアクチュエータを駆動し、トラックずれを補正する。また、サーボコントローラ33は、フォーカスエラー信号に基づいて、モータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のフォーカシングアクチュエータを駆動し、フォーカスずれを補正する。このようにして、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。
【0055】
また、再生信号処理回路28は、情報検出用受光器59からの出力信号に基づいてアドレス情報を取得し、CPU40に通知する。そして、CPU40は、アドレス情報に基づいて指定された書き込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するように光ピックアップ装置23のシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。
【0056】
CPU40は、バッファマネージャ37からバッファRAM34に蓄積されたデータ量が所定の値を超えたとの通知を受けると、エンコーダ25に書き込みデータの作成を指示する。また、CPU40は、アドレス情報に基づいて光ピックアップ装置23の位置が書き込み開始地点であると判断すると、エンコーダ25に通知する。そして、エンコーダ25は、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して、書き込みデータを光ディスク15に記録する。
【0057】
次に、前述した光ディスク装置20を用いて、光ディスク15に記録されているデータを再生する場合の処理動作について簡単に説明する。
【0058】
CPU40は、ホストから再生要求のコマンドを受信すると、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから再生要求のコマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。そして、上記記録処理の場合と同様にして、光ディスク15の傾き補正、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。また、再生信号処理回路28は、上記記録処理の場合と同様に、アドレス情報を検出し、CPU40に通知する。
【0059】
CPU40は、アドレス情報に基づいて指定された読み込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するようにシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。CPU40は、アドレス情報に基づいて光ピックアップ装置23の位置が読み込み開始地点であると判断すると、再生信号処理回路28に通知する。
【0060】
そして、再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23の出力信号に基づいてRF信号を検出し、誤り訂正処理等を行った後、バッファRAM34に蓄積する。バッファマネージャ37は、バッファRAM34に蓄積された再生データがセクタデータとして揃ったときに、インターフェース38を介してホストに転送する。
【0061】
なお、記録処理及び再生処理が終了するまで、光ディスク15の傾き補正、トラッキング制御及びフォーカス制御が随時行われる。
【0062】
以上の説明から明らかなように、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20では、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されている。また、チルト検出回路80によって傾き検出手段が実現されている。
【0063】
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、対物レンズの非有効領域に回折部を形成し、その回折部を介して光源ユニットから出射された光束の一部を光ディスクの記録面に照射するとともに、その戻り光束を利用して対物レンズに対する光ディスクの傾きを検出している。これにより、光ディスクの傾きを検出するための新たな光源は不要であり、大型化及び高コスト化を防止することができる。また、光源ユニットから出射された光束のうち、対物レンズの有効領域近傍に照射される比較的高い強度の光束を用いているため、チルト検出用受光器を構成する各部分受光素子からの出力信号における信号レベル及びS/N比を高くすることができる。従って、大型化及び高コスト化を招くことなく、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く検出することが可能となる。
【0064】
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からのチルト検出信号に基づいて、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く補正することができるため、サーボ制御を精度良く行うことができる。同様にRF信号やウォブル信号なども精度良く検出することが可能となる。すなわち、高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことが可能となる。さらに、光ピックアップ装置の小型化によって、光ディスク装置自体の小型化及び消費電力の低減も促進することができ、例えば携帯用として用いられる場合には、持ち運びが容易となり、さらに長時間の使用が可能となる。
【0065】
なお、上記第1の実施形態では、回折部53が有効領域ELの+Z側に形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0066】
また、上記第1の実施形態では、チルト検出用受光器61がY軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含み、その2分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号の差に基づいて、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出する場合について説明したが、これに限らず、チルト検出用受光器61が例えばX軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含み、その2分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号の差に基づいて、Y軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出しても良い。
【0067】
さらに、チルト検出用受光器61が例えばX軸方向及びY軸方向の分割線によって4分割された4分割受光素子を含み、その4分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号に基づいて、Y軸方向及びZ軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出しても良い。
【0068】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図5〜図7に基づいて説明する。
【0069】
この第2の実施形態は、一例として図5に示されるように、上記第1の実施形態における光ピックアップ装置の対物レンズ60の代わりに、2つの回折部が形成された対物レンズ90が用いられる点に特徴を有する。
【0070】
この対物レンズ90には、一例として図6(A)及び図6(B)に示されるように、上記第1の実施形態における回折部53と同等の回折作用を有する2つの回折部(回折部53a、回折部53b)が非有効領域に形成されている。ここでは、回折部53aは有効領域ELの+Z側に形成され、回折部53bは有効領域ELの−Z側に形成されている。
【0071】
そして、この場合には、上記第1の実施形態におけるアパーチャ56の代わりに、図5に示されるように、光源ユニット51から出射された光束が回折部53a及び回折部53bに入射するように最適化されたアパーチャ95が用いられる。
【0072】
さらに、回折部53bを介したチルト検出用戻り光束を受光するためのチルト検出用受光器62が付加されている。このチルト検出用受光器62は、一例として図7(A)に示されるように、Y軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子(部分受光素子62a、部分受光素子62b)を含んで構成されている。そして、チルト検出用受光器62は、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きが小さいときに、各部分受光素子からの出力信号が互いにほぼ等しくなるように配置されている。
【0073】
そこで、上記第1の実施形態におけるチルト検出回路80の代わりに、チルト検出用受光器61及びチルト検出用受光器62からの出力信号に基づいて光ディスク15の傾きを検出するチルト検出回路81が用いられる。このチルト検出回路81は、一例として図7(B)に示されるように、部分受光素子61aからの出力信号(電流信号)を電圧信号S61aに、部分受光素子61bからの出力信号(電流信号)を電圧信号S61bに、部分受光素子62aからの出力信号(電流信号)を電圧信号S62aに、部分受光素子62bからの出力信号(電流信号)を電圧信号S62bに変換するI−V変換回路81aと、該I−V変換回路81aからの出力信号S61a及び出力信号S61bを入力信号とし、それらの差信号DS1を求める減算器81bと、I−V変換回路81aからの出力信号S62a及び出力信号S62bを入力信号とし、それらの差信号DS2を求める減算器81cと、減算器81bからの出力信号DS1と減算器81cからの出力信号DS2とを加算する加算器81dなどを備えている。加算器81dからの出力信号ST2は再生信号処理回路28に出力される。
【0074】
なお、その他の光ピックアップ装置及び光ディスク装置の構成などは、上記第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、上記第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0075】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。
【0076】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54を透過した光束は、アパーチャ95を介して対物レンズ90に入射する。対物レンズ90の有効領域ELに入射した光束(情報用光束)は、光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。一方、対物レンズ90の有効領域ELの外側に入射した光束は集光され、その一部(チルト検出用光束)は回折部53a及び回折部53bに入射する。各回折部で回折されたチルト検出用光束は、それぞれ対物レンズ90の光軸にほぼ平行な光束となって光ディスク15の記録面に照射される。
【0077】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、対物レンズ90で再び略平行光とされ、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された情報用戻り光束は、検出レンズ58で集束され、情報検出用受光器59で受光される。情報検出用受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0078】
一方、回折部53aを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部53aに入射する。そして、回折部53aにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ90で発散光となりビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で反射されたチルト検出用戻り光束は、検出レンズ58で略平行光となり、チルト検出用受光器61で受光される。チルト検出用受光器61を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路81に出力する。
【0079】
また、回折部53bを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部53bに入射する。そして、回折部53bにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ90で発散光となりビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で反射されたチルト検出用戻り光束は、検出レンズ58で略平行光となり、チルト検出用受光器62で受光される。チルト検出用受光器62を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路81に出力する。
【0080】
チルト検出回路81では、各部分受光素子からの出力信号をそれぞれ電圧信号(信号S61a、信号S61b、信号S62a、信号S62b)に変換するとともに、信号S61aと信号S61bとの差信号DS1、及び信号S62aと信号S62bとの差信号DS2を求め、さらに差信号DS1と差信号DS2との和信号を求め、チルト検出信号として再生信号処理回路28に出力する。
【0081】
なお、本第2の実施形態に係る光ディスク装置20では、チルト検出回路81によって傾き検出手段が実現されている。また、上記第1の実施形態と同様に、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されており、上記第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理が行われる。
【0082】
以上説明したように、本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、対物レンズの非有効領域に2つ回折部を形成し、各回折部を介して光源ユニットから出射された光束の一部を光ディスクの記録面に照射するとともに、その戻り光束を利用して対物レンズに対する光ディスクの傾きを検出している。これにより、上記第1の実施形態に係る光ピックアップ装置と同様な効果を得ることができるとともに、チルト検出回路からの出力信号における信号レベル及びS/N比を上記第1の実施形態よりも更に高くすることができ、光ディスクの傾きを精度良く検出することが可能となる。
【0083】
また、本第2の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からのチルト検出信号に基づいて、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く補正することができるため、上記第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様な効果を得ることが可能となる。
【0084】
なお、上記第2の実施形態では、各回折部が有効領域ELの+Z側と−Z側とに形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0085】
また、上記第2の実施形態では、各チルト検出用受光器がY軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含み、その2分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号の差に基づいて、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出する場合について説明したが、これに限らず、各チルト検出用受光器が例えばX軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含み、その2分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号の差に基づいて、Y軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出しても良い。
【0086】
さらに、各チルト検出用受光器のうちの少なくとも1つが例えばX軸方向及びY軸方向の分割線によって4分割された4分割受光素子を含み、その4分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号に基づいて、Y軸方向及びZ軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出しても良い。
【0087】
なお、上記第2の実施形態では、回折部が2つの場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば図8に示されるように、更に2つの回折部53c、53dがY軸方向に離れた位置に形成された対物レンズ91を用いても良い。そして、この場合に、例えば回折部53a、53bを介したチルト検出用戻り光束に基づいてZ軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出し、回折部53c、53dを介したチルト検出用戻り光束に基づいてY軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出しても良い。
【0088】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態を図9に基づいて説明する。
【0089】
この第3の実施形態は、一例として図9に示されるように、上記第1の実施形態におけるビームスプリッタ54の代わりに、回折素子65を用いる点に特徴を有する。この回折素子65は、光源ユニット51とコリメートレンズ52との間に配置されている。そして、それに伴い、情報検出用受光器59及びチルト検出用受光器61は、回折素子65で回折された情報用戻り光束及びチルト検出用戻り光束をそれぞれ受光し、上記第1の実施形態と同様な信号を出力することができる位置に配置されている。また、この場合には、上記第1の実施形態における検出レンズ58は不要である。
【0090】
なお、その他の光ピックアップ装置及び光ディスク装置の構成などは、上記第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、上記第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0091】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。
【0092】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、回折素子65に入射する。回折素子65を透過した光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、アパーチャ56を介して対物レンズ60に入射する。対物レンズ60の有効領域ELに入射した光束(情報用光束)は、光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。一方、対物レンズ60の有効領域ELの外側に入射した光束は、その一部(チルト検出用光束)が上記第1の実施形態と同様にして光ディスク15の記録面に照射される。
【0093】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、対物レンズ60で再び略平行光とされ、コリメートレンズ52を介して回折素子65に入射する。回折素子65で回折された情報用戻り光束は、情報検出用受光器59で受光される。情報検出用受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0094】
一方、光ディスク15の記録面にて反射したチルト検出用光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部53に入射する。回折部53にて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ60で発散光となりコリメートレンズ52を介して回折素子65に入射する。回折素子65で回折されたチルト検出用戻り光束は、チルト検出用受光器61で受光される。チルト検出用受光器61を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路80に出力する。チルト検出回路80では、各部分受光素子からの出力信号をそれぞれ電圧信号に変換するとともに、各信号の差信号を求め、チルト検出信号として再生信号処理回路28に出力する。
【0095】
なお、本第3の実施形態に係る光ディスク装置20では、チルト検出回路80によって傾き検出手段が実現されている。また、上記第1の実施形態と同様に、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されており、上記第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理が行われる。
【0096】
以上説明したように、本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、対物レンズの非有効領域に回折部を形成し、その回折部を介して光源ユニットから出射された光束の一部を光ディスクの記録面に照射するとともに、その戻り光束を利用して対物レンズに対する光ディスクの傾きを検出している。従って、上記第1の実施形態に係る光ピックアップ装置と同様な効果を得ることが可能となる。また、光源ユニットから出射された光束の往路と復路の共通光路上に、戻り光束(情報用戻り光束及びチルト検出用戻り光束)を分岐するための回折素子を配置している。これにより、上記第1の実施形態におけるビームスプリッタ及び検出レンズが不要となり、小型化及び低コスト化を促進することが可能となる。
【0097】
また、本第3の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からのチルト検出信号に基づいて、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く補正することができるため、上記第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様な効果を得ることが可能となる。
【0098】
なお、上記第3の実施形態では、一例として図10(A)に示されるように、情報用戻り光束SL及びチルト検出用戻り光束TLが、回折素子65にてそれぞれ同じ回折作用を受ける場合について説明したが、これに限らず、一例として図10(B)に示されるように、情報用戻り光束SL及びチルト検出用戻り光束TLに対する回折作用が互いに異なる回折素子66を回折素子65に代えて用いても良い。この回折素子66は、情報用戻り光束SLを回折するための部分領域66aと、チルト検出用戻り光束TLを回折するための部分領域とを備えている。そして、チルト検出用戻り光束TLを回折するための部分領域は、更にY軸方向の分割線によって2つの部分領域66b、66cに分割されている。この場合には、チルト検出用戻り光束SLが回折素子66によって2つの光束に分割されるため、チルト検出用戻り光束を受光するための受光器として2分割受光素子ではなく、単体の受光素子を2個用いることができ、受光器の組み付けが容易となる。すなわち、作業コストの低減が可能となる。
【0099】
また、上記第3の実施形態では、回折部53にて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束を用いて光ディスク15の傾きを検出する場合について説明したが、これに限らず、一例として図11に示されるように、回折部53にて往路と同一方向に回折されたチルト検出用戻り光束を用いても良い。この場合には、X軸方向に関する情報用戻り光束の受光位置とチルト検出用戻り光束の受光位置とがほぼ等しくなるため、情報検出用受光器とチルト検出用受光器とを一体化した受光器63を用いることができる。それにより、受光器の組み付けが容易となる。
【0100】
《第4の実施形態》
次に、本発明の第4の実施形態を図12〜図15に基づいて説明する。
【0101】
この第4の実施形態は、一例として図12に示されるように、上記第2の実施形態と類似しているが、光ディスク15の記録面に照射されるチルト検出用光束を収束光とする点に特徴を有する。
【0102】
そこで、上記第2の実施形態における対物レンズ90の2つの回折部53a、53bと異なる回折作用を有する2つの回折部70a、70bが形成された対物レンズ92が用いられる。ここでは、回折部70aは有効領域の+Z側に形成され、回折部70bは有効領域の−Z側に形成されている。
【0103】
そして、回折部70aを介して照射されたチルト検出用光束によって形成された光スポットのスポット径と、回折部70bを介して照射されたチルト検出用光束によって形成された光スポットのスポット径とに基づいて光ディスク15の傾きを検出する。
【0104】
そこで、上記第2の実施形態におけるチルト検出用受光器61、62とは異なるチルト検出用受光器75、76がそれぞれ用いられる。チルト検出用受光器75は、一例として図13(B)に示されるように、X軸方向の2本の分割線によって3分割された3分割受光素子(部分受光素子75a、部分受光素子75b、部分受光素子75c)を含んでいる。また、チルト検出用受光器76も同様に、X軸方向の2本の分割線によって3分割された3分割受光素子(部分受光素子76a、部分受光素子76b、部分受光素子76c)を含んでいる。そして、各チルト検出用受光器は、図13(A)及び図13(B)に示されるように、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きが小さいときに、チルト検出用受光器75及びチルト検出用受光器76で受光されるチルト検出用戻り光束の大きさ(スポット径)が互いにほぼ等しくなるように配置されている。従って、一例として図14(A)及び図14(B)に示されるように、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きが大きくなると、チルト検出用受光器75で受光されるチルト検出用戻り光束の大きさ(スポット径)と、チルト検出用受光器76で受光されるチルト検出用戻り光束の大きさ(スポット径)とに違いが生じる。
【0105】
そこで、上記第2の実施形態におけるチルト検出回路81の代わりに、チルト検出用受光器75及びチルト検出用受光器76からの出力信号に基づいて光ディスク15の傾きを検出するチルト検出回路82が用いられる。このチルト検出回路82は、一例として図15に示されるように、各部分受光素子からの出力信号(電流信号)を電圧信号に変換するI−V変換回路82aと、該I−V変換回路82aからの出力信号S75a、S75c及びS76bの積算信号S1とI−V変換回路82aからの出力信号S75b、S76a及びS76cの積算信号S2を入力信号とし、それらの差信号を求める減算器82bなどを備えている。減算器82bからの出力信号ST3は再生信号処理回路28に出力される。なお、信号S75a、S75b及びS75cは、それぞれ部分受光素子75a、75b及び75cからの出力信号に対応する電圧信号である。また、信号S76a、S76b及びS76cは、それぞれ部分受光素子76a、76b及び76cからの出力信号に対応する電圧信号である。
【0106】
なお、その他の光ピックアップ装置及び光ディスク装置の構成などは、上記第2の実施形態と同様である。従って、以下においては、上記第2の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、上記第2の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0107】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。
【0108】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54を透過した光束は、アパーチャ95を介して対物レンズ92に入射する。対物レンズ92の有効領域に入射した光束(情報用光束)は、光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。一方、対物レンズ92の有効領域の外側に入射した光束は集光され、その一部(チルト検出用光束)は回折部70a及び回折部70bに入射する。各回折部で回折されたチルト検出用光束は、それぞれ収束光となって光ディスク15の記録面に照射される。
【0109】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、対物レンズ92で再び略平行光とされ、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された情報用戻り光束は、検出レンズ58で集束され、情報検出用受光器59で受光される。情報検出用受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0110】
一方、回折部70aを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部70aに入射する。回折部70aにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となりビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で反射されたチルト検出用戻り光束は、検出レンズ58で略平行光となり、チルト検出用受光器75で受光される。チルト検出用受光器75を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路82に出力する。
【0111】
また、回折部70bを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部70bに入射する。回折部70bにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となりビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で反射されたチルト検出用戻り光束は、検出レンズ58で略平行光となり、チルト検出用受光器76で受光される。チルト検出用受光器76を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路82に出力する。
【0112】
チルト検出回路82では、各部分受光素子からの出力信号をそれぞれ電圧信号(信号S75a、信号S75b、信号S75c、信号S76a、信号S76b、信号S76c)に変換するとともに、積算信号S1(=S75a+S75c+S76b)と積算信号S2(=S75b+S76a+S76c)との差信号を求め、チルト検出信号として再生信号処理回路28に出力する。
【0113】
なお、本第4の実施形態に係る光ディスク装置20では、チルト検出回路82によって傾き検出手段が実現されている。また、上記第1の実施形態と同様に、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されており、上記第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理が行われる。
【0114】
以上説明したように、本第4の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、対物レンズの非有効領域に2つの回折部を形成し、各回折部を介して光源ユニットから出射された光束の一部をそれぞれ収束光として光ディスクの記録面に照射している。そして、記録面上に形成された各収束光の光スポットの大きさに基づいて対物レンズに対する光ディスクの傾きを検出している。これにより、上記第1の実施形態に係る光ピックアップ装置と同様な効果を得ることができるとともに、更にチルト検出用受光器の組み付けが容易となる。すなわち、作業コストの低減が可能となる。
【0115】
また、本第4の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からのチルト検出信号に基づいて、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く補正することができるため、上記第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様な効果を得ることが可能となる。
【0116】
なお、上記第4の実施形態では、各チルト検出用受光器に含まれる3分割受光素子が、X軸方向の2本の分割線によって3分割されている場合について説明したが、これに限らず、例えばY軸方向の2本の分割線によって3分割されていても良い。要するにスポット径の大きさの差に対応する信号が得られれば良い。
【0117】
また、上記第4の実施形態では、各回折部が有効領域の+Z側と−Z側とに形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えばY軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出する場合には、各回折部は有効領域の+Y側と−Y側とに形成されることとなる。
【0118】
そこで、有効領域の+Z側と−Z側、及び有効領域の+Y側と−Y側とに回折部が形成された対物レンズを用いることにより、Z軸方向及びY軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出することができる。
【0119】
なお、上記第4の実施形態では、各分割受光素子からの出力信号をそれぞれ電圧信号に変換した後で、各積算信号を求める場合について説明したが、これに限らず、電流信号のままで各積算信号を求めた後に、それらを電圧信号に変換しても良い。
【0120】
《第5の実施形態》
次に、本発明の第5の実施形態を図16に基づいて説明する。
【0121】
この第5の実施形態は、一例として図16に示されるように、上記第4の実施形態におけるビームスプリッタ54の代わりに、回折素子65を用いる点に特徴を有する。この回折素子65は、光源ユニット51とコリメートレンズ52との間に配置されている。そして、それに伴い、情報検出用受光器59及びチルト検出用受光器75、76は、回折素子65で回折された情報用戻り光束及びチルト検出用戻り光束をそれぞれ受光し、上記第4の実施形態と同様な信号を出力することができる位置に配置されている。また、この場合には、上記第4の実施形態における検出レンズ58は不要である。
【0122】
なお、その他の光ピックアップ装置及び光ディスク装置の構成などは、上記第4の実施形態と同様である。従って、以下においては、上記第4の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、上記第4の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0123】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。
【0124】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、回折素子65に入射する。回折素子65を透過した光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、アパーチャ95を介して対物レンズ92に入射する。対物レンズ92の有効領域に入射した光束(情報用光束)は、光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。一方、対物レンズ92の有効領域の外側に入射した光束は集光され、その一部(チルト検出用光束)は回折部70a及び回折部70bに入射する。各回折部で回折されたチルト検出用光束は、それぞれ収束光となって光ディスク15の記録面に照射される。
【0125】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、対物レンズ92で再び略平行光とされ、コリメートレンズ52を介して回折素子65に入射する。回折素子65で回折された情報用戻り光束は、情報検出用受光器59で受光される。情報検出用受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0126】
一方、回折部70aを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部70aに入射する。回折部70aにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となりコリメートレンズ52を介して回折素子65に入射する。回折素子65で回折されたチルト検出用戻り光束は、チルト検出用受光器75で受光される。チルト検出用受光器75を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路82に出力する。
【0127】
また、回折部70bを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部70bに入射する。回折部70bにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となりコリメートレンズ52を介して回折素子65に入射する。回折素子65で回折されたチルト検出用戻り光束は、チルト検出用受光器76で受光される。チルト検出用受光器76を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路82に出力する。
【0128】
チルト検出回路82では、上記第4の実施形態と同様にしてチルト検出信号を求め、再生信号処理回路28に出力する。
【0129】
なお、本第5の実施形態に係る光ディスク装置20では、上記第1の実施形態と同様に、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されており、上記第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理が行われる。
【0130】
以上説明したように、本第5の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、対物レンズの非有効領域に2つの回折部を形成し、各回折部を介して光源ユニットから出射された光束の一部をそれぞれ収束光として光ディスクの記録面に照射している。そして、記録面に形成された各収束光の光スポットの大きさに基づいて対物レンズに対する光ディスクの傾きを検出している。従って、上記第4の実施形態に係る光ピックアップ装置と同様な効果を得ることが可能となる。また、光源ユニットから出射された光束の往路と復路の共通光路上に、戻り光束(情報用戻り光束及びチルト検出用戻り光束)を分岐するための回折素子を配置している。これにより、小型化及び低コスト化を促進することが可能となる。
【0131】
また、本第5の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からのチルト検出信号に基づいて、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く補正することができるため、上記第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様な効果を得ることが可能となる。
【0132】
なお、上記第5の実施形態では、回折部70a及び回折部70bにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束を用いて光ディスク15の傾きを検出する場合について説明したが、これに限らず、一例として図17に示されるように、回折部70a及び回折部70bにて往路と同一方向に回折されたチルト検出用戻り光束を用いても良い。この場合には、X軸方向に関する情報用戻り光束の受光位置とチルト検出用戻り光束の受光位置とが等しくなるため、情報検出用受光器とチルト検出用受光器とを一体化した受光器64を用いることができる。それにより、受光器の組み付けが容易となり、作業コストの低減が可能となる。
【0133】
また、この場合において、回折素子65の代わりに、例えば図18に示されるように、その回折効率が入射する光束の偏光方向に応じて異なる偏光回折素子67を用いても良い。なお、この場合には、光ディスク15からの戻り光束の偏光方向と光源ユニット51から出射される光束の偏光方向とが約90度ずれるようにするために、λ/4板55がコリメートレンズ52と対物レンズ92との間に配置されている。そして、偏光回折素子67は、例えば光源ユニット51からP偏光の光束が出射される場合には、P偏光の光束に対しては回折効率が低く、S偏光の光束に対しては回折効率が高くなるように設定されている。
【0134】
光源ユニット51から+X方向に出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束は、偏光回折素子67に入射する。偏光回折素子67ではP偏光の光束に対する回折効率が低いために、入射光束の大部分を透過する。偏光回折素子67を透過した光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、λ/4板55にて円偏光とされた後、アパーチャ95を介して対物レンズ92に入射する。そして、前述の如くして、情報用光束及びチルト検出用光束が光ディスク15の記録面に照射される。
【0135】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、往路とは反対回りの円偏光となり、対物レンズ92で再び略平行光とされ、λ/4板55にて円偏光から直線偏光(ここではS偏光)に変換された後、コリメートレンズ52を介して偏光回折素子67に入射する。偏光回折素子67に入射した情報用戻り光束は、高い回折効率で回折され、受光器64で受光される。
【0136】
一方、回折部70aを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、往路とは反対回りの円偏光となり、回折部70aに入射する。回折部70aにて往路と同じ方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となり、λ/4板55にて円偏光から直線偏光(ここではS偏光)に変換された後、コリメートレンズ52を介して偏光回折素子67に入射する。偏光回折素子67に入射したチルト検出用戻り光束は、高い回折効率で回折され、受光器64で受光される。
【0137】
また、回折部70bを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、往路とは反対回りの円偏光となり、回折部70bに入射する。回折部70bにて往路と同じ方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となり、λ/4板55にて円偏光から直線偏光(ここではS偏光)に変換された後、コリメートレンズ52を介して偏光回折素子67に入射する。偏光回折素子67に入射したチルト検出用戻り光束は、高い回折効率で回折され、受光器64で受光される。
【0138】
これにより、光ディスク15の記録面に照射される光束の光量低下が極めて少なくなり、記録速度の高速化に対応することが容易となる。また、各受光器での受光量が増加することにより、チルト検出信号、RF信号、ウォブル信号及びサーボ信号の信号レベル及びS/N比を向上させることができる。
【0139】
さらに、一例として図19に示されるように、偏光回折素子67、λ/4板55及び対物レンズ92を同一の筐体71内に配置し、それぞれが一体的に駆動するようにしても良い。これにより、トラッキング制御により対物レンズ92がシフトしても、偏光回折素子67、λ/4板55及び対物レンズ92の位置関係は変化しないため、光軸ずれに起因する影響(例えば、オフセット)を除去することができる。
【0140】
なお、上記各実施形態では、回折部が対物レンズの非有効領域に形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば回折部の少なくとも一部が対物レンズの有効領域に形成されても良い。
【0141】
また、上記各実施形態では、回折部が対物レンズに形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば回折格子が形成された薄膜を対物レンズに貼り付けても良い。
【0142】
さらに、上記各実施形態では、光ピックアップ装置23側でチルト検出信号を求める場合について説明したが、これに限らず、例えば再生信号処理28側に上記各実施形態におけるチルト検出回路と同様な検出回路を設け、光ピックアップ装置からの出力信号に基づいてチルト検出信号を求めても良い。
【0143】
なお、上記各実施形態において、CPU40によるプログラムに従う処理によって実現した処理装置の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは処理装置の全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
【0144】
また、上記各実施形態では、光源が1つの場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば波長が400nmの光束を出射する光源、波長が650nmの光束を出射する光源及び波長が780nmの光束を出射する光源のうち少なくとも2つの光源を備えていても良い。そして、この場合には、入射する光束の波長に応じて回折効率が異なる波長選択性を有する回折部を対物レンズに形成しても良い。
【0145】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光ピックアップ装置によれば、大型化及び高コスト化を招くことなく、対物レンズに対する情報記録媒体の傾きに関する情報を含む信号を精度良く出力することができるという効果がある。
【0146】
また、本発明に係る光ディスク装置によれば、情報記録媒体への高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図3】図3(A)及び図3(B)は、それぞれ図2における対物レンズを説明するための図である。
【図4】図4(A)は、図2におけるチルト検出用受光器の構成を説明するための図であり、図4(B)は、図2におけるチルト検出回路の構成を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、それぞれ図5における対物レンズを説明するための図である。
【図7】図7(A)は、図5におけるチルト検出用受光器の構成を説明するための図であり、図7(B)は、図5におけるチルト検出回路の構成を説明するための図である。
【図8】図5における対物レンズにトラックの接線方向に対する光ディスクの傾きを検出するための回折部を付加した例を説明するための図である。
【図9】第3の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、それぞれ図9における回折素子を説明するための図である。
【図11】図9における対物レンズを用いて、回折部で往路と同じ方向に回折された戻り光束を利用して光ディスクの傾きを検出する例を説明するための図である。
【図12】第4の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図13】図13(A)及び図13(B)は、それぞれ光ディスクの傾きが小さいときに、各チルト検出用受光器で受光されるチルト検出用戻り光束を説明するための図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は、それぞれ光ディスクの傾きが大きいときに、各チルト検出用受光器で受光されるチルト検出用戻り光束を説明するための図である。
【図15】図12におけるチルト検出回路の構成を説明するための図である。
【図16】第5の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図17】図16における対物レンズを用いて、回折部で往路と同じ方向に回折された戻り光束を利用して光ディスクの傾きを検出する例を説明するための図である。
【図18】偏光回折素子を用いた例を説明するための図である。
【図19】偏光回折素子、λ/4板及び対物レンズを一体化した例を説明するための図である。
【符号の説明】
15…光ディスク(情報記録媒体)、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、28…再生信号処理回路(処理装置の一部)、40…CPU(処理装置の一部)、53,53a,53b,53c,53d,70a,70b…回折部、59…情報検出用受光器(第1の光検出器)、60,90,91,92…対物レンズ、61,62,75,76…チルト検出用受光器(第2の光検出器)、65,66…回折素子、80,81,82…チルト検出回路(傾き検出手段)、EL…有効領域、SL…情報用戻り光束(第1の戻り光束)、TL…チルト検出用戻り光束(第2の戻り光束)。
【発明の属する技術分野】
本発明は光ピックアップ装置及び光ディスク装置に係り、さらに詳しくは、情報記録媒体の記録面に光を照射し、その記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置及び該光ピックアップ装置を備えた光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置では、光ディスクなどの情報記録媒体が用いられ、その記録面にレーザ光を照射することにより情報の記録を行い、記録面からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。そして、光ディスク装置は、情報記録媒体の記録面にレーザ光を照射して光スポットを形成するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置として、光ピックアップ装置を備えている。
【0003】
通常、光ピックアップ装置は、対物レンズを含み、光源から出射される光束を情報記録媒体の記録面に導くとともに、記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、及び受光位置に配置された受光素子などを備えている。この受光素子からは、記録面に記録されているデータの再生情報だけでなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報(サーボ情報)などを含む信号が出力される。
【0004】
記録面の所定位置に所定の光スポットを正確に形成したり、再生情報及びサーボ情報などを精度良く検出するためには、記録面と対物レンズの光軸とがほぼ直交していることが望ましい。しかしながら、例えば情報記録媒体のそりや偏重心などにより、記録面が対物レンズの光軸に垂直な平面に対して傾く場合があり、その傾きが大きくなると、光スポットの形状の劣化、再生情報及びサーボ情報などを含む信号の劣化を引き起こすおそれがあるという不都合があった。
【0005】
そこで、対物レンズの光軸に垂直な平面に対する情報記録媒体の傾き(以下、便宜上「情報記録媒体の傾き」と略述する)を検出する方法が種々提案された。
【0006】
例えば特開平10−320804号公報には、情報記録媒体(特開平10−320804号公報では「光ディスク」と記述されている)の傾きを検出するためのチルトセンサを備えた光ヘッド装置が開示されている。このチルトセンサは対物レンズの近傍に配置され、情報記録媒体の傾きを検出するための光束を出射する発光部と、この発光部から出射され情報記録媒体で反射された反射光を受光する複数の受光部とから構成されている。そして、各受光部からの出力信号に基づいて情報記録媒体の傾きを検出している。
【0007】
また、特開2001−84622号公報には、光源から出射され、情報記録媒体(特開2001−84622号公報では「記録媒体」と記述されている)の保護層の表面で反射された光を利用して、情報記録媒体の傾きを検出する光ピックアップ装置が開示されている。この光ピックアップ装置では、光源から出射される光束のうちで、その強度が最大強度に比べて非常に弱いために、それまではほとんど利用されていなかった光束を、ホログラムレンズを用いて情報記録媒体の保護層の表面に集光し、その戻り光束を傾き検出用の光検出器で受光している。そして、その光検出器からの出力信号に基づいて情報記録媒体の傾きを検出している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平10−320804号公報に開示されている光ヘッド装置では、情報記録媒体の傾きを検出するための光束を出射する発光部を新たに設けているために、部品点数が増加し、大型化及び高コスト化を招くという不都合があった。
【0009】
また、上記特開2001−84622号公報に開示されている光ピックアップ装置では、情報記録媒体の傾き検出に利用される光束の強度が非常に弱いために、光検出器からの出力信号における信号レベル及びS/N比が小さく、高い検出精度を得ることが困難であるという不都合があった。
【0010】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、大型化及び高コスト化を招くことなく、情報記録媒体の傾きに関する情報を含む信号を精度良く出力することができる光ピックアップ装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、情報記録媒体への高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、情報記録媒体の記録面に光を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、光源と;前記光源から出射され前記情報記録媒体の記録面に照射される光束の光路上に配置されるとともに、前記光束の一部が入射される回折部を少なくとも1つ有する対物レンズと;前記対物レンズを介して前記記録面に照射され、前記記録面で反射された後、回折されることなく前記対物レンズを透過した第1の戻り光束を受光する第1の光検出器と;前記回折部で回折されて前記記録面に照射され、前記記録面で反射された後、さらに前記回折部で回折された第2の戻り光束を受光する第2の光検出器と;を備える光ピックアップ装置である。
【0013】
これによれば、光源から出射された光束の一部は、対物レンズの少なくとも1つの回折部で回折され、情報記録媒体の記録面に照射される。そして、記録面で反射し回折部で再び回折された第2の戻り光束は第2の光検出器で受光され、その受光量に応じた信号が出力される。そこで、例えば第2の光検出器として2分割受光素子を用いると、各受光素子からの出力信号の差信号には、情報記録媒体の傾きに関する情報が含まれることとなる。すなわち、情報記録媒体の傾き検出用の光源を新たに設けることなく情報記録媒体の傾きに関する情報を含む信号を出力することができる。また、比較的高い強度の光束を利用することが可能なため、各受光素子からの出力信号における信号レベル及びS/N比を高くすることができる。従って、結果的に大型化及び高コスト化を招くことなく、情報記録媒体の傾きに関する情報を含む信号を精度良く出力することが可能となる。一方、対物レンズに入射され、回折部で回折されなかった光束は、情報記録媒体の記録面に集光される。そして、記録面で反射し回折されることなく対物レンズを透過した第1の戻り光束は、第1の光検出器で受光される。第1の光検出器からは、従来の光ピックアップ装置と同様に、再生情報やサーボ情報を含む信号などが出力される。
【0014】
この場合において、請求項2に記載の光ピックアップ装置の如く、前記第2の光検出器からの出力信号に基づいて前記情報記録媒体の傾きを検出する傾き検出手段を更に備えることとすることができる。かかる場合には、情報記録媒体の傾きを精度良く検出することが可能となる。
【0015】
上記請求項1及び2に記載の各光ピックアップ装置において、請求項3に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折部は、前記対物レンズの有効領域の外側に設けられていることとすることができる。かかる場合には、情報記録媒体の記録面に形成される記録/再生用光スポットに影響を与えることなく、比較的高い強度の光束を利用することが可能となる。
【0016】
上記請求項1〜3に記載の各光ピックアップ装置において、請求項4に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折部に入射する光束は、略平行光となって前記記録面に照射されることとすることができる。あるいは、請求項5に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折部に入射する光束は、収束光となって前記記録面に照射されることとすることができる。
【0017】
上記請求項1〜5に記載の各光ピックアップ装置において、請求項6に記載の光ピックアップ装置の如く、前記第1の戻り光束を前記第1の光検出器の受光位置に分岐するとともに、前記第2の戻り光束を前記第2の光検出器の受光位置に分岐する回折素子を更に備えることとすることができる。かかる場合には、小型化を促進することが可能となる。
【0018】
この場合において、請求項7に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、その回折効率が入射する光束の偏光方向に依存する偏光性を有していることとすることができる。かかる場合には、光源から出射される光束の殆どを情報記録媒体に照射することができ、高速度でのアクセスに対応することが可能となる。また、各光検出器での受光量が増加し、各光検出器からの出力信号の信号レベル及びS/N比を向上させることが可能となる。
【0019】
上記請求項6及び7に記載の各光ピックアップ装置において、請求項8に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、前記対物レンズと連動して駆動可能であることとすることができる。かかる場合には、例えばトラッキング制御により対物レンズがその基準位置からシフトしても、光軸ずれを生じないため、各光検出器から安定した信号を出力することが可能となる。
【0020】
この場合において、請求項9に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子と前記対物レンズとが一体化されていることとすることができる。
【0021】
上記請求項1〜9に記載の各光ピックアップ装置において、請求項10に記載の光ピックアップ装置の如く、前記第2の戻り光束は、前記記録面で反射され前記回折部で往路と同じ方向に回折された戻り光束であることとすることができる。
【0022】
この場合において、請求項11に記載の光ピックアップ装置の如く、前記第1の光検出器と前記第2の光検出器とが一体化されていることとすることができる。
【0023】
上記請求項1〜9に記載の各光ピックアップ装置において、請求項12に記載の光ピックアップ装置の如く、前記第2の戻り光束は、前記記録面で反射され前記回折部で往路と異なる方向に回折された戻り光束であることとすることができる。
【0024】
請求項13に記載の発明は、情報記録媒体に対して、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と;前記光ピックアップ装置からの出力信号を用いて、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置である。
【0025】
これによれば、請求項1〜12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置が用いられることにより、情報記録媒体の傾きを精度良く補正することができる。従って、結果として情報記録媒体への高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0027】
図1には、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0028】
この図1に示される光ディスク装置20は、情報記録媒体としての光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、ROM39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0029】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。なお、この光ピックアップ装置23の構成等については後に詳述する。
【0030】
前記再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23からの出力信号に基づいてウォブル信号、RF信号及びサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラックエラー信号)などを検出する。そして、再生信号処理回路28はウォブル信号からアドレス情報及び同期信号等を抽出する。ここで抽出されたアドレス情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。さらに、再生信号処理回路28はRF信号に対して誤り訂正処理等を行なった後、バッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。また、サーボ信号は再生信号処理回路28からサーボコントローラ33に出力される。
【0031】
前記サーボコントローラ33は、サーボ信号に基づいて光ピックアップ装置23を制御する各種制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
【0032】
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になるとCPU40に通知する。
【0033】
前記モータドライバ27は、サーボコントローラ33からの制御信号及びCPU40の指示に基づいて、光ピックアップ装置23及びスピンドルモータ22を制御する。
【0034】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されているデータをバッファマネージャ37を介して取り出し、エラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込みデータを作成するとともに、再生信号処理回路28からの同期信号に同期して、書き込みデータをレーザコントロール回路24に出力する。
【0035】
前記レーザコントロール回路24は、エンコーダ25からの書き込みデータ及びCPU40の指示に基づいて、光ピックアップ装置23から出射されるレーザ光の出力を制御する。
【0036】
前記インターフェース38は、ホスト(例えば、パーソナルコンピュータ)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)及びSCSI(Small Computer System Interface)等の標準インターフェースに準拠している。
【0037】
前記ROM39には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。そして、CPU40は、ROM39に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM41に保存する。
【0038】
次に、前記光ピックアップ装置23の構成等について図2に基づいて説明する。
【0039】
光ピックアップ装置23は、図2に示されるように、光源ユニット51、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ54、対物レンズ60、該対物レンズ60に入射する光束を制限するアパーチャ56、検出レンズ58、第1の光検出器としての情報検出用受光器59、第2の光検出器としてのチルト検出用受光器61、チルト検出回路80及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ(いずれも図示省略))などを備えている。なお、アパーチャ56は対物レンズ60と一体化されている。
【0040】
前記光源ユニット51は、所定の波長の光束を発光する光源としての半導体レーザ(図示省略)を含んで構成されている。なお、本第1の実施形態では、光源ユニット51から出射される光束の最大強度出射方向は+X方向である。そして、この光源ユニット51の+X側には、前記コリメートレンズ52が配置され、光源ユニット51から出射された光束を略平行光とする。
【0041】
前記対物レンズ60は、一例として図3(A)及び図3(B)に示されるように、その中央部分の有効領域と呼ばれる領域ELと、この有効領域ELの外側の非有効領域と呼ばれる領域とから構成されている。対物レンズ60の光ディスク15側の面には、矩形状の回折部(回折領域)53が非有効領域に形成されている。ここでは、回折部53は有効領域ELの+Z側に形成されている。また、光源ユニット51から出射された光束が回折部53に入射するように、前記アパーチャ56の形状等が最適化されている。そして、回折部53は、対物レンズ60の有効領域ELの外側を介して入射した光束(以下、便宜上「チルト検出用光束」ともいう)が対物レンズ60の光軸とほぼ平行な光束となるように設定されている。なお、対物レンズ60の有効領域EL内に入射した光束(以下、便宜上「情報用光束」ともいう)は、光ディスク15の記録面に集光される。
【0042】
図2に戻り、前記ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52と対物レンズ60との間に配置されている。そして、情報用光束の記録面からの戻り光束(第1の戻り光束、以下「情報用戻り光束」ともいう)及びチルト検出用光束の記録面からの戻り光束(第2の戻り光束、以下「チルト検出用戻り光束」ともいう)を反射する。
【0043】
ビームスプリッタ54の−Z側には、前記検出レンズ58が配置され、ビームスプリッタ54で反射された情報用戻り光束を集光するとともに、チルト検出用戻り光束を略平行光とする。検出レンズ58を介した情報用戻り光束は前記情報検出用受光器59で受光され、検出レンズ58を介したチルト検出用戻り光束は前記チルト検出用受光器61で受光される。
【0044】
情報検出用受光器59は、再生信号処理回路28にてRF信号、ウォブル信号及びサーボ信号などを検出するのに最適な信号を出力するための複数の受光素子を含んで構成されている。
【0045】
チルト検出用受光器61は、一例として図4(A)に示されるように、Y軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子(部分受光素子61a、部分受光素子61b)を含んで構成されている。そして、チルト検出用受光器61は、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きが小さいときに、各部分受光素子からの出力信号が互いにほぼ等しくなるように配置されている。そこで、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きが大きくなるにつれて、部分受光素子61aからの出力信号と部分受光素子61bからの出力信号との差が大きくなる。従って、部分受光素子61aからの出力信号と部分受光素子61bからの出力信号との差から、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きの量及び傾きの方向を検出することができる。
【0046】
前記チルト検出回路80は、一例として図4(B)に示されるように、部分受光素子61aからの出力信号(電流信号)及び部分受光素子61bからの出力信号(電流信号)をそれぞれ電圧信号S61a及びS61bに変換するI−V変換回路80aと、該I−V変換回路80aからの出力信号S61a及び出力信号S61bを入力信号とし、それらの差信号を求める減算器80bなどを備えている。減算器80bからの出力信号ST1は再生信号処理回路28に出力される。
【0047】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。
【0048】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54を透過した光束は、アパーチャ56を介して対物レンズ60に入射する。対物レンズ60の有効領域ELに入射した光束(情報用光束)は、光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。一方、対物レンズ60の有効領域ELの外側に入射した光束は集光され、その一部(チルト検出用光束)は回折部53に入射する。回折部53にて回折されたチルト検出用光束は、対物レンズ60の光軸にほぼ平行な光束となって光ディスク15の記録面に照射される。
【0049】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、対物レンズ60で再び略平行光とされ、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された情報用戻り光束は、検出レンズ58で集束され、情報検出用受光器59で受光される。情報検出用受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0050】
一方、光ディスク15の記録面にて反射したチルト検出用光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部53に入射する。回折部53にて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ60で発散光となりビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で反射されたチルト検出用戻り光束は、検出レンズ58で略平行光となり、チルト検出用受光器61で受光される。チルト検出用受光器61を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路80に出力する。チルト検出回路80では、各部分受光素子からの出力信号をそれぞれ電圧信号に変換するとともに、各信号の差信号を求め、チルト検出信号として再生信号処理回路28に出力する。
【0051】
次に、前述の光ディスク装置20を用いて、光ディスク15にデータを記録する場合の処理動作について簡単に説明する。なお、ここでは、対物レンズ60のトラッキング方向をZ軸方向、フォーカス方向をX軸方向としている。
【0052】
CPU40は、ホストから記録要求のコマンドを受信すると、指定された記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから記録要求のコマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、CPU40は、ホストから受信したデータをバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に蓄積する。
【0053】
再生信号処理回路28は、チルト検出回路80からの出力信号(チルト検出信号)ST1に基づいて、光ディスク15の傾きが所定の値よりも大きいと判断すると、例えば光ピックアップ装置のシーク用レール(不図示)を調整することにより、光ディスク15に対する光ピックアップ装置の姿勢を制御し、対物レンズ60に対する光ディスク15の傾きを補正する。光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、再生信号処理回路28は、情報検出用受光器59からの出力信号に基づいて、トラックエラー信号及びフォーカスエラー信号を検出し、サーボコントローラ33に出力する。
【0054】
サーボコントローラ33は、トラックエラー信号に基づいて、モータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のトラッキングアクチュエータを駆動し、トラックずれを補正する。また、サーボコントローラ33は、フォーカスエラー信号に基づいて、モータドライバ27を介して光ピックアップ装置23のフォーカシングアクチュエータを駆動し、フォーカスずれを補正する。このようにして、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。
【0055】
また、再生信号処理回路28は、情報検出用受光器59からの出力信号に基づいてアドレス情報を取得し、CPU40に通知する。そして、CPU40は、アドレス情報に基づいて指定された書き込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するように光ピックアップ装置23のシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。
【0056】
CPU40は、バッファマネージャ37からバッファRAM34に蓄積されたデータ量が所定の値を超えたとの通知を受けると、エンコーダ25に書き込みデータの作成を指示する。また、CPU40は、アドレス情報に基づいて光ピックアップ装置23の位置が書き込み開始地点であると判断すると、エンコーダ25に通知する。そして、エンコーダ25は、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して、書き込みデータを光ディスク15に記録する。
【0057】
次に、前述した光ディスク装置20を用いて、光ディスク15に記録されているデータを再生する場合の処理動作について簡単に説明する。
【0058】
CPU40は、ホストから再生要求のコマンドを受信すると、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから再生要求のコマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。そして、上記記録処理の場合と同様にして、光ディスク15の傾き補正、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。また、再生信号処理回路28は、上記記録処理の場合と同様に、アドレス情報を検出し、CPU40に通知する。
【0059】
CPU40は、アドレス情報に基づいて指定された読み込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するようにシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。CPU40は、アドレス情報に基づいて光ピックアップ装置23の位置が読み込み開始地点であると判断すると、再生信号処理回路28に通知する。
【0060】
そして、再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23の出力信号に基づいてRF信号を検出し、誤り訂正処理等を行った後、バッファRAM34に蓄積する。バッファマネージャ37は、バッファRAM34に蓄積された再生データがセクタデータとして揃ったときに、インターフェース38を介してホストに転送する。
【0061】
なお、記録処理及び再生処理が終了するまで、光ディスク15の傾き補正、トラッキング制御及びフォーカス制御が随時行われる。
【0062】
以上の説明から明らかなように、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20では、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されている。また、チルト検出回路80によって傾き検出手段が実現されている。
【0063】
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、対物レンズの非有効領域に回折部を形成し、その回折部を介して光源ユニットから出射された光束の一部を光ディスクの記録面に照射するとともに、その戻り光束を利用して対物レンズに対する光ディスクの傾きを検出している。これにより、光ディスクの傾きを検出するための新たな光源は不要であり、大型化及び高コスト化を防止することができる。また、光源ユニットから出射された光束のうち、対物レンズの有効領域近傍に照射される比較的高い強度の光束を用いているため、チルト検出用受光器を構成する各部分受光素子からの出力信号における信号レベル及びS/N比を高くすることができる。従って、大型化及び高コスト化を招くことなく、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く検出することが可能となる。
【0064】
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からのチルト検出信号に基づいて、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く補正することができるため、サーボ制御を精度良く行うことができる。同様にRF信号やウォブル信号なども精度良く検出することが可能となる。すなわち、高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことが可能となる。さらに、光ピックアップ装置の小型化によって、光ディスク装置自体の小型化及び消費電力の低減も促進することができ、例えば携帯用として用いられる場合には、持ち運びが容易となり、さらに長時間の使用が可能となる。
【0065】
なお、上記第1の実施形態では、回折部53が有効領域ELの+Z側に形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0066】
また、上記第1の実施形態では、チルト検出用受光器61がY軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含み、その2分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号の差に基づいて、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出する場合について説明したが、これに限らず、チルト検出用受光器61が例えばX軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含み、その2分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号の差に基づいて、Y軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出しても良い。
【0067】
さらに、チルト検出用受光器61が例えばX軸方向及びY軸方向の分割線によって4分割された4分割受光素子を含み、その4分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号に基づいて、Y軸方向及びZ軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出しても良い。
【0068】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図5〜図7に基づいて説明する。
【0069】
この第2の実施形態は、一例として図5に示されるように、上記第1の実施形態における光ピックアップ装置の対物レンズ60の代わりに、2つの回折部が形成された対物レンズ90が用いられる点に特徴を有する。
【0070】
この対物レンズ90には、一例として図6(A)及び図6(B)に示されるように、上記第1の実施形態における回折部53と同等の回折作用を有する2つの回折部(回折部53a、回折部53b)が非有効領域に形成されている。ここでは、回折部53aは有効領域ELの+Z側に形成され、回折部53bは有効領域ELの−Z側に形成されている。
【0071】
そして、この場合には、上記第1の実施形態におけるアパーチャ56の代わりに、図5に示されるように、光源ユニット51から出射された光束が回折部53a及び回折部53bに入射するように最適化されたアパーチャ95が用いられる。
【0072】
さらに、回折部53bを介したチルト検出用戻り光束を受光するためのチルト検出用受光器62が付加されている。このチルト検出用受光器62は、一例として図7(A)に示されるように、Y軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子(部分受光素子62a、部分受光素子62b)を含んで構成されている。そして、チルト検出用受光器62は、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きが小さいときに、各部分受光素子からの出力信号が互いにほぼ等しくなるように配置されている。
【0073】
そこで、上記第1の実施形態におけるチルト検出回路80の代わりに、チルト検出用受光器61及びチルト検出用受光器62からの出力信号に基づいて光ディスク15の傾きを検出するチルト検出回路81が用いられる。このチルト検出回路81は、一例として図7(B)に示されるように、部分受光素子61aからの出力信号(電流信号)を電圧信号S61aに、部分受光素子61bからの出力信号(電流信号)を電圧信号S61bに、部分受光素子62aからの出力信号(電流信号)を電圧信号S62aに、部分受光素子62bからの出力信号(電流信号)を電圧信号S62bに変換するI−V変換回路81aと、該I−V変換回路81aからの出力信号S61a及び出力信号S61bを入力信号とし、それらの差信号DS1を求める減算器81bと、I−V変換回路81aからの出力信号S62a及び出力信号S62bを入力信号とし、それらの差信号DS2を求める減算器81cと、減算器81bからの出力信号DS1と減算器81cからの出力信号DS2とを加算する加算器81dなどを備えている。加算器81dからの出力信号ST2は再生信号処理回路28に出力される。
【0074】
なお、その他の光ピックアップ装置及び光ディスク装置の構成などは、上記第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、上記第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0075】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。
【0076】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54を透過した光束は、アパーチャ95を介して対物レンズ90に入射する。対物レンズ90の有効領域ELに入射した光束(情報用光束)は、光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。一方、対物レンズ90の有効領域ELの外側に入射した光束は集光され、その一部(チルト検出用光束)は回折部53a及び回折部53bに入射する。各回折部で回折されたチルト検出用光束は、それぞれ対物レンズ90の光軸にほぼ平行な光束となって光ディスク15の記録面に照射される。
【0077】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、対物レンズ90で再び略平行光とされ、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された情報用戻り光束は、検出レンズ58で集束され、情報検出用受光器59で受光される。情報検出用受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0078】
一方、回折部53aを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部53aに入射する。そして、回折部53aにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ90で発散光となりビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で反射されたチルト検出用戻り光束は、検出レンズ58で略平行光となり、チルト検出用受光器61で受光される。チルト検出用受光器61を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路81に出力する。
【0079】
また、回折部53bを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部53bに入射する。そして、回折部53bにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ90で発散光となりビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で反射されたチルト検出用戻り光束は、検出レンズ58で略平行光となり、チルト検出用受光器62で受光される。チルト検出用受光器62を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路81に出力する。
【0080】
チルト検出回路81では、各部分受光素子からの出力信号をそれぞれ電圧信号(信号S61a、信号S61b、信号S62a、信号S62b)に変換するとともに、信号S61aと信号S61bとの差信号DS1、及び信号S62aと信号S62bとの差信号DS2を求め、さらに差信号DS1と差信号DS2との和信号を求め、チルト検出信号として再生信号処理回路28に出力する。
【0081】
なお、本第2の実施形態に係る光ディスク装置20では、チルト検出回路81によって傾き検出手段が実現されている。また、上記第1の実施形態と同様に、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されており、上記第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理が行われる。
【0082】
以上説明したように、本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、対物レンズの非有効領域に2つ回折部を形成し、各回折部を介して光源ユニットから出射された光束の一部を光ディスクの記録面に照射するとともに、その戻り光束を利用して対物レンズに対する光ディスクの傾きを検出している。これにより、上記第1の実施形態に係る光ピックアップ装置と同様な効果を得ることができるとともに、チルト検出回路からの出力信号における信号レベル及びS/N比を上記第1の実施形態よりも更に高くすることができ、光ディスクの傾きを精度良く検出することが可能となる。
【0083】
また、本第2の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からのチルト検出信号に基づいて、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く補正することができるため、上記第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様な効果を得ることが可能となる。
【0084】
なお、上記第2の実施形態では、各回折部が有効領域ELの+Z側と−Z側とに形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0085】
また、上記第2の実施形態では、各チルト検出用受光器がY軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含み、その2分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号の差に基づいて、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出する場合について説明したが、これに限らず、各チルト検出用受光器が例えばX軸方向の分割線によって2分割された2分割受光素子を含み、その2分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号の差に基づいて、Y軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出しても良い。
【0086】
さらに、各チルト検出用受光器のうちの少なくとも1つが例えばX軸方向及びY軸方向の分割線によって4分割された4分割受光素子を含み、その4分割受光素子を構成する各部分受光素子からの出力信号に基づいて、Y軸方向及びZ軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出しても良い。
【0087】
なお、上記第2の実施形態では、回折部が2つの場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば図8に示されるように、更に2つの回折部53c、53dがY軸方向に離れた位置に形成された対物レンズ91を用いても良い。そして、この場合に、例えば回折部53a、53bを介したチルト検出用戻り光束に基づいてZ軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出し、回折部53c、53dを介したチルト検出用戻り光束に基づいてY軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出しても良い。
【0088】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態を図9に基づいて説明する。
【0089】
この第3の実施形態は、一例として図9に示されるように、上記第1の実施形態におけるビームスプリッタ54の代わりに、回折素子65を用いる点に特徴を有する。この回折素子65は、光源ユニット51とコリメートレンズ52との間に配置されている。そして、それに伴い、情報検出用受光器59及びチルト検出用受光器61は、回折素子65で回折された情報用戻り光束及びチルト検出用戻り光束をそれぞれ受光し、上記第1の実施形態と同様な信号を出力することができる位置に配置されている。また、この場合には、上記第1の実施形態における検出レンズ58は不要である。
【0090】
なお、その他の光ピックアップ装置及び光ディスク装置の構成などは、上記第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、上記第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0091】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。
【0092】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、回折素子65に入射する。回折素子65を透過した光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、アパーチャ56を介して対物レンズ60に入射する。対物レンズ60の有効領域ELに入射した光束(情報用光束)は、光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。一方、対物レンズ60の有効領域ELの外側に入射した光束は、その一部(チルト検出用光束)が上記第1の実施形態と同様にして光ディスク15の記録面に照射される。
【0093】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、対物レンズ60で再び略平行光とされ、コリメートレンズ52を介して回折素子65に入射する。回折素子65で回折された情報用戻り光束は、情報検出用受光器59で受光される。情報検出用受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0094】
一方、光ディスク15の記録面にて反射したチルト検出用光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部53に入射する。回折部53にて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ60で発散光となりコリメートレンズ52を介して回折素子65に入射する。回折素子65で回折されたチルト検出用戻り光束は、チルト検出用受光器61で受光される。チルト検出用受光器61を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路80に出力する。チルト検出回路80では、各部分受光素子からの出力信号をそれぞれ電圧信号に変換するとともに、各信号の差信号を求め、チルト検出信号として再生信号処理回路28に出力する。
【0095】
なお、本第3の実施形態に係る光ディスク装置20では、チルト検出回路80によって傾き検出手段が実現されている。また、上記第1の実施形態と同様に、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されており、上記第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理が行われる。
【0096】
以上説明したように、本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、対物レンズの非有効領域に回折部を形成し、その回折部を介して光源ユニットから出射された光束の一部を光ディスクの記録面に照射するとともに、その戻り光束を利用して対物レンズに対する光ディスクの傾きを検出している。従って、上記第1の実施形態に係る光ピックアップ装置と同様な効果を得ることが可能となる。また、光源ユニットから出射された光束の往路と復路の共通光路上に、戻り光束(情報用戻り光束及びチルト検出用戻り光束)を分岐するための回折素子を配置している。これにより、上記第1の実施形態におけるビームスプリッタ及び検出レンズが不要となり、小型化及び低コスト化を促進することが可能となる。
【0097】
また、本第3の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からのチルト検出信号に基づいて、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く補正することができるため、上記第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様な効果を得ることが可能となる。
【0098】
なお、上記第3の実施形態では、一例として図10(A)に示されるように、情報用戻り光束SL及びチルト検出用戻り光束TLが、回折素子65にてそれぞれ同じ回折作用を受ける場合について説明したが、これに限らず、一例として図10(B)に示されるように、情報用戻り光束SL及びチルト検出用戻り光束TLに対する回折作用が互いに異なる回折素子66を回折素子65に代えて用いても良い。この回折素子66は、情報用戻り光束SLを回折するための部分領域66aと、チルト検出用戻り光束TLを回折するための部分領域とを備えている。そして、チルト検出用戻り光束TLを回折するための部分領域は、更にY軸方向の分割線によって2つの部分領域66b、66cに分割されている。この場合には、チルト検出用戻り光束SLが回折素子66によって2つの光束に分割されるため、チルト検出用戻り光束を受光するための受光器として2分割受光素子ではなく、単体の受光素子を2個用いることができ、受光器の組み付けが容易となる。すなわち、作業コストの低減が可能となる。
【0099】
また、上記第3の実施形態では、回折部53にて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束を用いて光ディスク15の傾きを検出する場合について説明したが、これに限らず、一例として図11に示されるように、回折部53にて往路と同一方向に回折されたチルト検出用戻り光束を用いても良い。この場合には、X軸方向に関する情報用戻り光束の受光位置とチルト検出用戻り光束の受光位置とがほぼ等しくなるため、情報検出用受光器とチルト検出用受光器とを一体化した受光器63を用いることができる。それにより、受光器の組み付けが容易となる。
【0100】
《第4の実施形態》
次に、本発明の第4の実施形態を図12〜図15に基づいて説明する。
【0101】
この第4の実施形態は、一例として図12に示されるように、上記第2の実施形態と類似しているが、光ディスク15の記録面に照射されるチルト検出用光束を収束光とする点に特徴を有する。
【0102】
そこで、上記第2の実施形態における対物レンズ90の2つの回折部53a、53bと異なる回折作用を有する2つの回折部70a、70bが形成された対物レンズ92が用いられる。ここでは、回折部70aは有効領域の+Z側に形成され、回折部70bは有効領域の−Z側に形成されている。
【0103】
そして、回折部70aを介して照射されたチルト検出用光束によって形成された光スポットのスポット径と、回折部70bを介して照射されたチルト検出用光束によって形成された光スポットのスポット径とに基づいて光ディスク15の傾きを検出する。
【0104】
そこで、上記第2の実施形態におけるチルト検出用受光器61、62とは異なるチルト検出用受光器75、76がそれぞれ用いられる。チルト検出用受光器75は、一例として図13(B)に示されるように、X軸方向の2本の分割線によって3分割された3分割受光素子(部分受光素子75a、部分受光素子75b、部分受光素子75c)を含んでいる。また、チルト検出用受光器76も同様に、X軸方向の2本の分割線によって3分割された3分割受光素子(部分受光素子76a、部分受光素子76b、部分受光素子76c)を含んでいる。そして、各チルト検出用受光器は、図13(A)及び図13(B)に示されるように、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きが小さいときに、チルト検出用受光器75及びチルト検出用受光器76で受光されるチルト検出用戻り光束の大きさ(スポット径)が互いにほぼ等しくなるように配置されている。従って、一例として図14(A)及び図14(B)に示されるように、Z軸方向に対する光ディスク15の傾きが大きくなると、チルト検出用受光器75で受光されるチルト検出用戻り光束の大きさ(スポット径)と、チルト検出用受光器76で受光されるチルト検出用戻り光束の大きさ(スポット径)とに違いが生じる。
【0105】
そこで、上記第2の実施形態におけるチルト検出回路81の代わりに、チルト検出用受光器75及びチルト検出用受光器76からの出力信号に基づいて光ディスク15の傾きを検出するチルト検出回路82が用いられる。このチルト検出回路82は、一例として図15に示されるように、各部分受光素子からの出力信号(電流信号)を電圧信号に変換するI−V変換回路82aと、該I−V変換回路82aからの出力信号S75a、S75c及びS76bの積算信号S1とI−V変換回路82aからの出力信号S75b、S76a及びS76cの積算信号S2を入力信号とし、それらの差信号を求める減算器82bなどを備えている。減算器82bからの出力信号ST3は再生信号処理回路28に出力される。なお、信号S75a、S75b及びS75cは、それぞれ部分受光素子75a、75b及び75cからの出力信号に対応する電圧信号である。また、信号S76a、S76b及びS76cは、それぞれ部分受光素子76a、76b及び76cからの出力信号に対応する電圧信号である。
【0106】
なお、その他の光ピックアップ装置及び光ディスク装置の構成などは、上記第2の実施形態と同様である。従って、以下においては、上記第2の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、上記第2の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0107】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。
【0108】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54を透過した光束は、アパーチャ95を介して対物レンズ92に入射する。対物レンズ92の有効領域に入射した光束(情報用光束)は、光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。一方、対物レンズ92の有効領域の外側に入射した光束は集光され、その一部(チルト検出用光束)は回折部70a及び回折部70bに入射する。各回折部で回折されたチルト検出用光束は、それぞれ収束光となって光ディスク15の記録面に照射される。
【0109】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、対物レンズ92で再び略平行光とされ、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された情報用戻り光束は、検出レンズ58で集束され、情報検出用受光器59で受光される。情報検出用受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0110】
一方、回折部70aを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部70aに入射する。回折部70aにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となりビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で反射されたチルト検出用戻り光束は、検出レンズ58で略平行光となり、チルト検出用受光器75で受光される。チルト検出用受光器75を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路82に出力する。
【0111】
また、回折部70bを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部70bに入射する。回折部70bにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となりビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で反射されたチルト検出用戻り光束は、検出レンズ58で略平行光となり、チルト検出用受光器76で受光される。チルト検出用受光器76を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路82に出力する。
【0112】
チルト検出回路82では、各部分受光素子からの出力信号をそれぞれ電圧信号(信号S75a、信号S75b、信号S75c、信号S76a、信号S76b、信号S76c)に変換するとともに、積算信号S1(=S75a+S75c+S76b)と積算信号S2(=S75b+S76a+S76c)との差信号を求め、チルト検出信号として再生信号処理回路28に出力する。
【0113】
なお、本第4の実施形態に係る光ディスク装置20では、チルト検出回路82によって傾き検出手段が実現されている。また、上記第1の実施形態と同様に、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されており、上記第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理が行われる。
【0114】
以上説明したように、本第4の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、対物レンズの非有効領域に2つの回折部を形成し、各回折部を介して光源ユニットから出射された光束の一部をそれぞれ収束光として光ディスクの記録面に照射している。そして、記録面上に形成された各収束光の光スポットの大きさに基づいて対物レンズに対する光ディスクの傾きを検出している。これにより、上記第1の実施形態に係る光ピックアップ装置と同様な効果を得ることができるとともに、更にチルト検出用受光器の組み付けが容易となる。すなわち、作業コストの低減が可能となる。
【0115】
また、本第4の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からのチルト検出信号に基づいて、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く補正することができるため、上記第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様な効果を得ることが可能となる。
【0116】
なお、上記第4の実施形態では、各チルト検出用受光器に含まれる3分割受光素子が、X軸方向の2本の分割線によって3分割されている場合について説明したが、これに限らず、例えばY軸方向の2本の分割線によって3分割されていても良い。要するにスポット径の大きさの差に対応する信号が得られれば良い。
【0117】
また、上記第4の実施形態では、各回折部が有効領域の+Z側と−Z側とに形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えばY軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出する場合には、各回折部は有効領域の+Y側と−Y側とに形成されることとなる。
【0118】
そこで、有効領域の+Z側と−Z側、及び有効領域の+Y側と−Y側とに回折部が形成された対物レンズを用いることにより、Z軸方向及びY軸方向に対する光ディスク15の傾きを検出することができる。
【0119】
なお、上記第4の実施形態では、各分割受光素子からの出力信号をそれぞれ電圧信号に変換した後で、各積算信号を求める場合について説明したが、これに限らず、電流信号のままで各積算信号を求めた後に、それらを電圧信号に変換しても良い。
【0120】
《第5の実施形態》
次に、本発明の第5の実施形態を図16に基づいて説明する。
【0121】
この第5の実施形態は、一例として図16に示されるように、上記第4の実施形態におけるビームスプリッタ54の代わりに、回折素子65を用いる点に特徴を有する。この回折素子65は、光源ユニット51とコリメートレンズ52との間に配置されている。そして、それに伴い、情報検出用受光器59及びチルト検出用受光器75、76は、回折素子65で回折された情報用戻り光束及びチルト検出用戻り光束をそれぞれ受光し、上記第4の実施形態と同様な信号を出力することができる位置に配置されている。また、この場合には、上記第4の実施形態における検出レンズ58は不要である。
【0122】
なお、その他の光ピックアップ装置及び光ディスク装置の構成などは、上記第4の実施形態と同様である。従って、以下においては、上記第4の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、上記第4の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0123】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明する。
【0124】
光源ユニット51から+X方向に出射された光束は、回折素子65に入射する。回折素子65を透過した光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、アパーチャ95を介して対物レンズ92に入射する。対物レンズ92の有効領域に入射した光束(情報用光束)は、光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。一方、対物レンズ92の有効領域の外側に入射した光束は集光され、その一部(チルト検出用光束)は回折部70a及び回折部70bに入射する。各回折部で回折されたチルト検出用光束は、それぞれ収束光となって光ディスク15の記録面に照射される。
【0125】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、対物レンズ92で再び略平行光とされ、コリメートレンズ52を介して回折素子65に入射する。回折素子65で回折された情報用戻り光束は、情報検出用受光器59で受光される。情報検出用受光器59を構成する各受光素子は、受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0126】
一方、回折部70aを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部70aに入射する。回折部70aにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となりコリメートレンズ52を介して回折素子65に入射する。回折素子65で回折されたチルト検出用戻り光束は、チルト検出用受光器75で受光される。チルト検出用受光器75を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路82に出力する。
【0127】
また、回折部70bを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、回折部70bに入射する。回折部70bにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となりコリメートレンズ52を介して回折素子65に入射する。回折素子65で回折されたチルト検出用戻り光束は、チルト検出用受光器76で受光される。チルト検出用受光器76を構成する各部分受光素子は、受光量に応じた信号(電流信号)をそれぞれチルト検出回路82に出力する。
【0128】
チルト検出回路82では、上記第4の実施形態と同様にしてチルト検出信号を求め、再生信号処理回路28に出力する。
【0129】
なお、本第5の実施形態に係る光ディスク装置20では、上記第1の実施形態と同様に、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって処理装置が実現されており、上記第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理が行われる。
【0130】
以上説明したように、本第5の実施形態に係る光ピックアップ装置によると、対物レンズの非有効領域に2つの回折部を形成し、各回折部を介して光源ユニットから出射された光束の一部をそれぞれ収束光として光ディスクの記録面に照射している。そして、記録面に形成された各収束光の光スポットの大きさに基づいて対物レンズに対する光ディスクの傾きを検出している。従って、上記第4の実施形態に係る光ピックアップ装置と同様な効果を得ることが可能となる。また、光源ユニットから出射された光束の往路と復路の共通光路上に、戻り光束(情報用戻り光束及びチルト検出用戻り光束)を分岐するための回折素子を配置している。これにより、小型化及び低コスト化を促進することが可能となる。
【0131】
また、本第5の実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置からのチルト検出信号に基づいて、対物レンズに対する光ディスクの傾きを精度良く補正することができるため、上記第1の実施形態に係る光ディスク装置と同様な効果を得ることが可能となる。
【0132】
なお、上記第5の実施形態では、回折部70a及び回折部70bにて往路と異なる方向に回折されたチルト検出用戻り光束を用いて光ディスク15の傾きを検出する場合について説明したが、これに限らず、一例として図17に示されるように、回折部70a及び回折部70bにて往路と同一方向に回折されたチルト検出用戻り光束を用いても良い。この場合には、X軸方向に関する情報用戻り光束の受光位置とチルト検出用戻り光束の受光位置とが等しくなるため、情報検出用受光器とチルト検出用受光器とを一体化した受光器64を用いることができる。それにより、受光器の組み付けが容易となり、作業コストの低減が可能となる。
【0133】
また、この場合において、回折素子65の代わりに、例えば図18に示されるように、その回折効率が入射する光束の偏光方向に応じて異なる偏光回折素子67を用いても良い。なお、この場合には、光ディスク15からの戻り光束の偏光方向と光源ユニット51から出射される光束の偏光方向とが約90度ずれるようにするために、λ/4板55がコリメートレンズ52と対物レンズ92との間に配置されている。そして、偏光回折素子67は、例えば光源ユニット51からP偏光の光束が出射される場合には、P偏光の光束に対しては回折効率が低く、S偏光の光束に対しては回折効率が高くなるように設定されている。
【0134】
光源ユニット51から+X方向に出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束は、偏光回折素子67に入射する。偏光回折素子67ではP偏光の光束に対する回折効率が低いために、入射光束の大部分を透過する。偏光回折素子67を透過した光束は、コリメートレンズ52で略平行光となった後、λ/4板55にて円偏光とされた後、アパーチャ95を介して対物レンズ92に入射する。そして、前述の如くして、情報用光束及びチルト検出用光束が光ディスク15の記録面に照射される。
【0135】
光ディスク15の記録面にて反射した情報用光束(情報用戻り光束)は、往路とは反対回りの円偏光となり、対物レンズ92で再び略平行光とされ、λ/4板55にて円偏光から直線偏光(ここではS偏光)に変換された後、コリメートレンズ52を介して偏光回折素子67に入射する。偏光回折素子67に入射した情報用戻り光束は、高い回折効率で回折され、受光器64で受光される。
【0136】
一方、回折部70aを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、往路とは反対回りの円偏光となり、回折部70aに入射する。回折部70aにて往路と同じ方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となり、λ/4板55にて円偏光から直線偏光(ここではS偏光)に変換された後、コリメートレンズ52を介して偏光回折素子67に入射する。偏光回折素子67に入射したチルト検出用戻り光束は、高い回折効率で回折され、受光器64で受光される。
【0137】
また、回折部70bを介して光ディスク15の記録面に照射されたチルト検出用光束の戻り光束(チルト検出用戻り光束)は、往路とは反対回りの円偏光となり、回折部70bに入射する。回折部70bにて往路と同じ方向に回折されたチルト検出用戻り光束は、対物レンズ92で発散光となり、λ/4板55にて円偏光から直線偏光(ここではS偏光)に変換された後、コリメートレンズ52を介して偏光回折素子67に入射する。偏光回折素子67に入射したチルト検出用戻り光束は、高い回折効率で回折され、受光器64で受光される。
【0138】
これにより、光ディスク15の記録面に照射される光束の光量低下が極めて少なくなり、記録速度の高速化に対応することが容易となる。また、各受光器での受光量が増加することにより、チルト検出信号、RF信号、ウォブル信号及びサーボ信号の信号レベル及びS/N比を向上させることができる。
【0139】
さらに、一例として図19に示されるように、偏光回折素子67、λ/4板55及び対物レンズ92を同一の筐体71内に配置し、それぞれが一体的に駆動するようにしても良い。これにより、トラッキング制御により対物レンズ92がシフトしても、偏光回折素子67、λ/4板55及び対物レンズ92の位置関係は変化しないため、光軸ずれに起因する影響(例えば、オフセット)を除去することができる。
【0140】
なお、上記各実施形態では、回折部が対物レンズの非有効領域に形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば回折部の少なくとも一部が対物レンズの有効領域に形成されても良い。
【0141】
また、上記各実施形態では、回折部が対物レンズに形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば回折格子が形成された薄膜を対物レンズに貼り付けても良い。
【0142】
さらに、上記各実施形態では、光ピックアップ装置23側でチルト検出信号を求める場合について説明したが、これに限らず、例えば再生信号処理28側に上記各実施形態におけるチルト検出回路と同様な検出回路を設け、光ピックアップ装置からの出力信号に基づいてチルト検出信号を求めても良い。
【0143】
なお、上記各実施形態において、CPU40によるプログラムに従う処理によって実現した処理装置の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは処理装置の全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
【0144】
また、上記各実施形態では、光源が1つの場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば波長が400nmの光束を出射する光源、波長が650nmの光束を出射する光源及び波長が780nmの光束を出射する光源のうち少なくとも2つの光源を備えていても良い。そして、この場合には、入射する光束の波長に応じて回折効率が異なる波長選択性を有する回折部を対物レンズに形成しても良い。
【0145】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光ピックアップ装置によれば、大型化及び高コスト化を招くことなく、対物レンズに対する情報記録媒体の傾きに関する情報を含む信号を精度良く出力することができるという効果がある。
【0146】
また、本発明に係る光ディスク装置によれば、情報記録媒体への高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図3】図3(A)及び図3(B)は、それぞれ図2における対物レンズを説明するための図である。
【図4】図4(A)は、図2におけるチルト検出用受光器の構成を説明するための図であり、図4(B)は、図2におけるチルト検出回路の構成を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、それぞれ図5における対物レンズを説明するための図である。
【図7】図7(A)は、図5におけるチルト検出用受光器の構成を説明するための図であり、図7(B)は、図5におけるチルト検出回路の構成を説明するための図である。
【図8】図5における対物レンズにトラックの接線方向に対する光ディスクの傾きを検出するための回折部を付加した例を説明するための図である。
【図9】第3の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、それぞれ図9における回折素子を説明するための図である。
【図11】図9における対物レンズを用いて、回折部で往路と同じ方向に回折された戻り光束を利用して光ディスクの傾きを検出する例を説明するための図である。
【図12】第4の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図13】図13(A)及び図13(B)は、それぞれ光ディスクの傾きが小さいときに、各チルト検出用受光器で受光されるチルト検出用戻り光束を説明するための図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は、それぞれ光ディスクの傾きが大きいときに、各チルト検出用受光器で受光されるチルト検出用戻り光束を説明するための図である。
【図15】図12におけるチルト検出回路の構成を説明するための図である。
【図16】第5の実施形態に係る光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図17】図16における対物レンズを用いて、回折部で往路と同じ方向に回折された戻り光束を利用して光ディスクの傾きを検出する例を説明するための図である。
【図18】偏光回折素子を用いた例を説明するための図である。
【図19】偏光回折素子、λ/4板及び対物レンズを一体化した例を説明するための図である。
【符号の説明】
15…光ディスク(情報記録媒体)、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、28…再生信号処理回路(処理装置の一部)、40…CPU(処理装置の一部)、53,53a,53b,53c,53d,70a,70b…回折部、59…情報検出用受光器(第1の光検出器)、60,90,91,92…対物レンズ、61,62,75,76…チルト検出用受光器(第2の光検出器)、65,66…回折素子、80,81,82…チルト検出回路(傾き検出手段)、EL…有効領域、SL…情報用戻り光束(第1の戻り光束)、TL…チルト検出用戻り光束(第2の戻り光束)。
Claims (13)
- 情報記録媒体の記録面に光を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、
光源と;
前記光源から出射され前記情報記録媒体の記録面に照射される光束の光路上に配置されるとともに、前記光束の一部が入射される回折部を少なくとも1つ有する対物レンズと;
前記対物レンズを介して前記記録面に照射され、前記記録面で反射された後、回折されることなく前記対物レンズを透過した第1の戻り光束を受光する第1の光検出器と;
前記回折部で回折されて前記記録面に照射され、前記記録面で反射された後、さらに前記回折部で回折された第2の戻り光束を受光する第2の光検出器と;を備える光ピックアップ装置。 - 前記第2の光検出器からの出力信号に基づいて前記情報記録媒体の傾きを検出する傾き検出手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折部は、前記対物レンズの有効領域の外側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折部に入射する光束は、略平行光となって前記記録面に照射されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折部に入射する光束は、収束光となって前記記録面に照射されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1の戻り光束を前記第1の光検出器の受光位置に分岐するとともに、前記第2の戻り光束を前記第2の光検出器の受光位置に分岐する回折素子を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折素子は、その回折効率が入射する光束の偏光方向に依存する偏光性を有していることを特徴とする請求項6に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折素子は、前記対物レンズと連動して駆動可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折素子と前記対物レンズとが一体化されていることを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第2の戻り光束は、前記記録面で反射され前記回折部で往路と同じ方向に回折された戻り光束であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1の光検出器と前記第2の光検出器とが一体化されていることを特徴とする請求項10に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第2の戻り光束は、前記記録面で反射され前記回折部で往路と異なる方向に回折された戻り光束であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 情報記録媒体に対して、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、
請求項1〜12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と;
前記光ピックアップ装置からの出力信号を用いて、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置。
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2002
- 2002-06-06 JP JP2002165285A patent/JP2004013986A/ja active Pending
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