JP2004011294A - 鋼桁と床版との結合構造 - Google Patents

鋼桁と床版との結合構造 Download PDF

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Abstract

【課題】波形鋼板ウエブを用いるPC桁の鋼桁と上床版の強度上の問題や施工手間がかかり、構成材数が多い等の問題を合理的に解決し、ウエブと上床版との結合強度が高く、重荷重に対して疲労強度の大きい複合桁を得る。
【解決手段】鋼桁と床版との結合構造は、異形鋼棒3をサブマージアーク圧接溶接により溶植して波形鋼板ウエブ1の上フランジ2上面に立設し、異形鋼棒3を上床版コンクリート中に埋設する。異形鋼棒3はD19mm又はD22mmとし、材質はJISで規定するSD345とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼・コンクリート複合桁の鋼桁と床版との結合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼・コンクリート複合桁における鋼桁と床版との結合部の構造は、鋼・コンクリート複合桁の重要な構成部であり、種々の構造が用いられている。鋼・コンクリート複合桁の1種である波形鋼板ウエブを用いたコンクリート桁について例を挙げると、例えば、波形鋼板ウエブとPCコンクリート床版との結合部の構造としては、従来、スタッドジベルによる結合、埋込み結合などの結合技術が実施されている。
【0003】
(a)スタッドジベルによる結合
波形鋼板ウエブの上端にフランジを取付け、フランジにスタッドジベルを植設し、このフランジ上に上床版コンクリートを打設し、波形鋼板ウエブと上床版コンクリートとを結合する技術である。この技術は初期の波形鋼板ウエブ橋で採用されており、現行の道路橋示方書(平成8年12月:鋼橋編)に規定されているスタッドジベルの許容せん断力を使用した設計を行っている。
【0004】
図5はその例を示す斜視図で、波形鋼板ウエブ1の上端に取付けられたフランジ2上に多数の頭付きスタッドジベル21が溶接によって取付けられている。このスタッドジベル21が上床版コンクリート内に埋設されて波形鋼板ウエブと上床版とが結合される。このスタッドジベル21はJISによって規準化され、標準的に鋼構造物とコンクリートの結合部に使用されている。スタッドジベルとフランジとの溶接もスタッド溶接機およびスタッドガンを使用することにより容易に施工することが可能である。
【0005】
一方、最近の長支間PC床版のように、活荷重によるウエブ上での橋軸方向曲げモーメント(以下首振りモーメントと称する)を考慮する必要があるような場合には、スタッドジベルの引張力とコンクリート床版とフランジの支圧による圧縮力が働いてこの首振りモーメントに抵抗しているものと考えられる。
【0006】
しかし、スタッドが受け持つべき軸方向引張力に関する許容引張応力度に関しては一般的な計算式が確定していないのが現状であり、実験を行った研究者により様々な引張力に対する耐荷力式が提案されている。このことは、例えば佐藤、松井、平城、他:縁端距離を考慮した頭付きスタッドの引抜き・せん断耐力評価式:土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月)にも述べられている。種々の耐荷力式が提案されている原因としては、コンクリートが硬化する段階でスタッドの頭部下面にブリージングが発生するために、僅かなすき間ができることが原因の一つと考えられる(川田忠樹監修、野村、梶川:複合構造橋梁、技報堂出版(株)、1994.9.10参照)。
【0007】
このすき間はコンクリートの強度や、生コンクリート製造時の使用水量、使用した混和剤の種類、コンクリートの打設方向等多くのパラメーターに依存しており、それゆえ上記のように研究者ごとに異なった耐荷力式が提案されるものと思われる。実際に、スタッドに引抜力が作用する構造物を設計する場合には、設計計算をこれらの式のうちの一つを、設計者自身の考え方や、実際に行われる施工方法に近いものを選んで使用するしかないのが現状である。
【0008】
(b)埋込み結合
コンクリート床版に埋め込まれた「波形鋼板の斜めパネルとウエブ上に溶接された軸方向鉄筋」、および「鋼ウエブ孔に充填されたコンクリートジベル」がずれ止めとして作用することを利用した結合構造である。図6はその一例を示すもので、波形鋼板ウエブ1の上端近傍に透孔31及び軸方向鉄筋32を設け、これらを上床版コンクリート中に埋込んだものである。図6の例では透孔31に横貫通鉄筋33を挿通した例が示されている。この埋込み結合手段については、波形鋼板ウエブ合成構造研究会:波形鋼板ウエブPC橋計画マニュアル(案)(平成10年12月)に、
(1)波形鋼板1の斜め方向パネルのずれ止めブロックとしての計算
(2)鋼ウエブ透孔31内のコンクリートのジベルとしての計算
として、それぞれの機構が設計荷重作用時、終局荷重作用時について十分な耐力があるように設計するための計算式が提案されている。しかし、活荷重による首振りモーメントが作用する時の設計計算法については提示されていない。
【0009】
波形鋼板ウエブ1の斜め方向のパネルがずれ止めとして作用する場合について、ジベルの許容せん断力を計算する式は、かつての道路橋示方書の「みぞ形と輪形筋との併用」タイプの許容せん断力の式を用い、輪形筋が角度0度で付いているとして適用している((社)日本道路協会:道路橋示方書・同解説(昭和55年2月)参照)。この許容せん断力の式はみぞ形の前面でのコンクリートの支圧と水平の輪形筋の引張力が、主桁の水平せん断力に抵抗することとした許容せん断力の式である。従って、みぞ形鋼は水平せん断力に直角な方向に取り付けられていることが前提である。
【0010】
波形鋼板ウエブ1の斜め方向パネルにこの式を適用するために、斜め方向パネルの支圧耐力を、水平せん断力の作用方向に対して直角方向の投影面積を用いることとしている。このように支圧面が直角の場合は、みぞ形ジベルと同じであるが、支圧面が斜めになるに従い投影面積を用いた支圧力のほかに、斜め方向パネルに沿ったずれ力が発生してくることとなり、斜角が大きくなるとこのずれ力を無視することができなくなる。
【0011】
角度が小さい場合には、このずれ力はコンクリートの付着力等で相殺されると考えられるが、実際の波形ウエブの斜め方向パネルの角度は、池田、関井、伊藤、内田:鍋田高架橋西工事の3径間連続ラーメン波形鋼板ウエブ橋の設計、プレストレストコンクリート技術協会第11回シンポジウム論文集(2001年11月)に示されるように、約60度程度であり、このずれ力が大きく影響してくる。このことから、現マニュアルでは触れていない斜め方向パネルに生じるズレ力を配慮したずれ止めとして設計することが必要であると考えられる。
【0012】
本出願人は、さきに埋め込み方式の結合部の実験模型を作成して破壊実験を行い、強度が十分であるとの確認を行っているが(水口、戸塚、依田、佐藤他:本谷橋の模型実験と実橋載荷実験:技報堂橋梁と基礎、1998年10月)、これは下記に述べるように、みぞ形ジベルとコンクリートジベルが共同して抵抗していることが幸いしていると考えられる。
【0013】
すなわち、図6に示すように、コンクリートジベルの破壊が脆性的になるのを防ぐ目的で、コンクリートジベル用の透孔31に横貫通鉄筋33を配置し、破壊時にはこの横貫通鉄筋33の延び性能によりジベルの脆性的な破壊を防止するように配慮がされている。実際には横貫通鉄筋33が波形鋼板ウエブ1の斜め方向パネル部分でコンクリート床版が斜めずれ力により剥離し合成材の役割を果たせなくなるのを防止するように、横貫通鉄筋33の付着・引張り力で抵抗しているものと考えられる。
【0014】
(c)アングルジベル結合
埋め込み方式のジベルには、例えば、池田、関井、伊藤、内田:鍋田高架橋西工事の3径間連続ラーメン波形鋼板ウエブ橋の設計、プレストレストコンクリート技術協会第11回シンポジウム論文集(2001年11月)に示されるように、アングルを使用したタイプがある。図7、図8はこれを示す説明図である。波形鋼板ウエブ1の端部に取付けられたフランジ2上に多数のアングル41を取付け、これらのアングル41を貫通する橋軸方向鉄筋42とアングル41に沿ってこの橋軸方向鉄筋42に直交して立上る多数のU字形鉄筋43とを備え、これらのアングル、鉄筋がコンクリート中に埋設されるものである。このアングルジベルは、フランスのカンプノン・ベルナール社によりドール橋の施工に適用され、本橋が完成後十数年経つことから、実績のあるジベルとして現在標準的に使用されている方式である(池田、関井、伊藤、内田:鍋田高架橋西工事の3径間連続ラーメン波形鋼板ウエブ橋の設計、プレストレストコンクリート技術協会第11回シンポジウム論文集(2001年11月))。
【0015】
しかし、このアングルジベルは、ウエブを直接床版に埋込む方式に比べて、
(i)フランジ2を必要とすること
(ii)波形鋼板ウエブ1とフランジ2間のすみ肉溶接を必要とすること
(iii)橋軸方向鉄筋42を通す孔明け加工を行った長さ150〜200mmの短いアングルを多数製作し、200〜250mmピッチでフランジ2にすみ肉溶接で取り付ける必要があること
(iv)このアングルジベルのすみ肉溶接総延長が非常に大きく、ウエブ1とフランジ2間のすみ肉溶接延長より長くなってしまうこと
(v)フランジにずれ止めをすみ肉溶接で取付ける場合、フランジの必要板厚が12mmまたはすみ肉溶接のサイズ以上とすることが求められているため((社)日本道路協会:道路橋示方書・同解説(昭和55年2月))フランジ2の厚さが大きくなってしまうこと
(Vi)アングル41の刃の両面にU字形鉄筋43を配置する必要があること
等の数々の設計・製作上の難点が明らかになってきている。
【0016】
従って、アングルジベル方式は波形ウエブを直接床版に埋め込む方式に比較して製作費が約2倍程度と高いものになってしまっており、現状のアングルジベルを用いた波形橋梁は、鋼2主I桁橋の製作・施工費を大きく上回ることとなっている。それゆえ、このアングルジベルタイプの結合構造については、コスト的な面から全面的な再検討が必要であると考えられる。
【0017】
(d)コンクリートジベル結合
コンクリートジベルについては、レオンハルトらが高さ60mm、板厚10mmの鋼板に、直径35mmおよび40mmの孔をあけ、フランジに溶接した上で、コンクリート床版中に埋め込んでジベルとしての作用を実験で確かめたものがある(Fritz Leonhardt,Wolfhart Andra,Hans−Peter Anndra und Wo1fgang Harre:Neues,vorteilhates Verbundmittel fur Stahlverbund−Tragwerke mit hoher Dauerfestigkeit:BETON−UND STAHLBETONBAU,1987.12)。
【0018】
この方式によれば、孔の中に充填されたコンクリートが3次元的に拘束をされるため通常のコンクリートのせん断強度より強度が大きく、コンクリートの圧縮強度を用いてせん断強度式を表現できるほどの強さを持つジベルの役割を果たしていることが報告されている。この場合、レオンハルトらのレポートでは、このコンクリートジベルの強度式を立方体のコンクリートの圧縮強度を用いて数式化している。
【0019】
一方、同じ形式のコンクリートジベルについて、オーストラリアのW.S.ロバーツらは、レオンハルトと同様の実験を追試し、コンクリートジベルの強度を研究しており、その結果を日本と同じくコンクリートの円柱供試体の圧縮強度を用いた計算式で表して提案している。
【0020】
このコンクリートジベルについては、強度式を(1)式とし、これに安全係数をφ=0.7とした実用強度式を(2)式として提案している(川田忠樹監修、野村、梶川:複合構造橋梁、技報堂出版(株)、1994.9.10)、(Wayne S.Roberts,Robert J Heywood:An Innovation To Increase The Competitiveness of Short Span Steel Concrete Composite Bridges:Developments in Short and Medium Span Bridge Engineering’94)。
【0021】
Vu=2×0.25×πD×1.625fc’  ……(1)
上式に強度低減のための、安全係数φ=0.7を乗じた実用式は次のとおりである。
【0022】
=2×0.25×πD×1.14fc’   ……(2)
ここに、Vu:コンクリートジベルの終局せん断強度
:コンクリートジベル1ヶの設計せん断強度
D:孔径
fc’:コンクリートの円柱供試体の圧縮強度
これらの実験は孔内に充填されたコンクリートジベルが作用応力方向に対して直角方向に配置されたもので実験されており、その結果を用いて強度式が提案されている。
【0023】
このコンクリートジベルを波形ウエブに適用した場合、ウエブにあけられる穴のピッチは150〜200mmでほぼ等間隔に配置されている。従って、コンクリートジベルは水平せん断力に直角方向のみならず、斜めパネル部では約60度の角度を持って付いていることとなり、この斜め部ではコンクリートジベルがせん断破壊する前に孔から抜け出す可能性がある。しかし、現状ではそこまでの配慮はされていない。従って、すべてのコンクリートジベルを、上記の(2)式で評価して設計し、配置していることには疑問が生じる。
【0024】
以上のような理由で、埋め込み方式の結合構造は、個々のジベルとしての働きについてはみぞ型ジベルの強度や、斜め方向パネルのコンクリートジベルの強度が十分とは言い難い面があるが、両者を併用して使用しているために、合計の値で安全率が1を上回っており、載荷実験で設計荷重以上の強度が発揮されている理由であると考えられる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、鋼・コンクリート複合桁の鋼桁と床版との結合部の構造としては、現状ではスタッドジベル、埋込み方式、アングルジベル及びコンクリートジベル結合などが実施されているが、それぞれが有する問題点をまとめれば以下のようになる。
【0026】
(a)スタッドジベルについて
スタッドジベルは、前述のようにせん断力に対してのみ許容耐力の規定があり、橋軸方向の首振りモーメントにより発生すると考えられるスタッドの軸方向引張力に対して、一般的に使用できる許容引張力の計算式が認知されていない。スタッドジベルには主桁としての軸方向せん断力が作用しており、せん断と首振りモーメントによる引張りを受ける2軸応力部材として設計する必要がある。大型車両の交通量が多いと予想される高速道路等については、首振りモーメントにより軸引張力が発生することから疲労強度の面からのチェックも必要である。
【0027】
頭付きスタッドジベルは、スタッド溶接で溶植されるのが一般的であり、このスタッド溶接においては、軸基部に余盛りの大きなすみ肉が付いてしまうという問題がある。スタッド溶接は、その溶接方法から考えて、スタッドの軸回りのすみ肉は溶着金属の上部はとけ込み不十分となり、余盛り過多の状態でもあり、疲労試験を行うと必ずこのスタッド基部で破断を起こしている。従って、疲労強度を問題視するような大型橋梁にはこの頭付きスタッドジベルの使用は適切とは云えない。
【0028】
波形鋼板ウエブにスタッドジベルを使用する場合、波形鋼板ウエブはフランジの左右の位置に波形に取付けられるが、首振りモーメントが作用する場合山側となるウエブの直上に位置するスタッドのみに大きな軸方向引張力が発生することが確認されており、首振りモーメントに抵抗しているスタッドの本数がさらに限られた本数となり、疲労強度的には一段と厳しいものとなる。
【0029】
(b)埋め込み結合について
埋め込み結合方式の構造においても、首振りモーメントにどのように抵抗するかがはっきりしていないという計算上の問題点がある。また、フランジを必要としないため、下床版の施工には適した形式ではあるが、上床版の施工に対しては、波形鋼板ウエブの凹凸に合わせてコンクリート型枠を加工する必要がある。鋼板ウエブの波形形状および現場で加工する波形型枠には数mm以上の加工誤差が発生する。従って埋込み結合は現地での施工時に波形鋼板ウエブと型枠を水密に突き合わせるには非常に手間がかる。
【0030】
(c)アングル方式について
アングル方式は、前述のように水平せん断力および橋軸方向曲げモーメントともに設計方法が一番整っている方法である(カンペノン・ベルナール社:アングルジベルの耐荷力計算方法)。しかし、上下ともにフランジを必要とするために、スタッドの場合と同様に、床版の施工時には下フランジが邪魔になる。さらに製作時には、上述のように総溶接延長の大きなアングルジベルを取り付けなければならないほか、U字形鉄筋を溶接する場合もあり、溶接量が非常に多い形式の構造である。
【0031】
また、アングルジベルを構成する材料も、アングル本体の他にU字形鉄筋や、橋軸方向に配置する鉄筋が必要であり、施工手間、構成材が多く、波形鋼板ウエブを製作するメーカからは非常に評判の悪い結合方式である。
【0032】
本発明は以上のような現状を踏まえて、鋼・コンクリート複合桁の鋼桁と床版と新しい結合構造を提案することを目的とする。特に、波形鋼板ウエブと床版との結合に最も適している結合構造を提供する。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明は、異形鋼棒をサブマージアーク圧接溶接により溶植して鋼桁の上フランジ上面に立設し、該異形鋼棒を上床版コンクリート中に埋設してなることを特徴とする鋼桁と床版との結合構造である。
【0034】
ここで、サブマージアーク圧接(Submerged Arc Press:SAP)溶接とは、被溶接棒先端に発弧剤を少量収容した金属キャップを嵌め、その周囲をフラックスで覆い、被溶接棒に高周波溶接電流を加えて被溶接棒を板面に溶植するスタッド溶接方法である。この溶接は潜弧溶接の一種であり、溶接過程の前半はアーク溶接、後半はエレクトロスラグ溶接の態様となり、溶接部の性状は極めて良好で高い機械的強度を呈する。
【0035】
波形鋼板ウエブの上端側は、床版コンクリート型枠の施工性に配慮してフランジ付きとする。ただし、床版との結合材についてはアングルジベルのように溶接量が多いものではなく、スタッドジベルと同様に容易に施工が可能な異形鋼棒を用い、溶接方法としてサブマージアーク圧接溶接により溶植する手段を用いることとした。
【0036】
また、異形鋼棒はJIS G 3112に規定されているものとする。上記本発明方法において、前記異形鋼棒としては、例えばD19mmφ又はD22mmφのSD345を所要長さに切断したものを用いるとよい。SD345としたのは、JISの規定で炭素当量(Ceq)が0.5%以内とされ、溶接に適した異形鉄筋であると考えるからである。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図3は本発明の構造を示す波形鋼板ウエブを示すもので、図1は正面図、図2は図1のA−A矢視図(平面図)、図3は図1のB−B矢視図(側面図)である。波形鋼板ウエブ1の上端にはフランジ2が取付けられ、フランジ2上に多数の異形鋼棒3が植設されて立設されている。なお、この波形鋼板ウエブ1の下端は、下床版中に埋め込む埋込方式に形成されており、コンクリートジベル用孔4及び橋軸方向鉄筋5が取付けられている。
【0038】
前記異形鋼棒3はD19mmφのもの又はD22mmφの長尺のものをフランジ2にサブマージアーク圧接溶接により植設している。
【0039】
図4にサブマージアーク圧接溶接の説明図を示した。鋼棒12は、椀状のアークキャップ13を先端に帽子状に装着している。アークキャップ13内にはアーク安定剤14が少量収納されている。このアークキャップ13を母材11に接触させて鋼棒12を立設し、その周囲の母材11上にフラックスホルダ16を設置し、フラックスホルダ16中にフラックス17を投入する。鋼棒12にコイル15を備えた溶接ガンをセットする。溶接ガンには交流溶接用電源、溶接制御装置が付帯している。溶接条件を設定し、ガンを発射して溶接電流を流すと、鋼棒12と母材11との間にアークが発生し、アークキャップ13は消失し、母材11上に鋼棒12が溶着される。この溶着部は余盛りが少ない高強度の優れた溶接金属を生成し、クラック等を発生することなく、疲労強度が大で疲労破壊し難い。
【0040】
従来の通常のスタッド溶接では、カートリッジと呼ばれる焼結補助材を用い、スタッドの先端にカートリッジを嵌め込み、このスタッド先端を母材に押し当てるとスタッド先端と母材間に数mmの隙間を生ずる。スタッドに溶接ガンを取付け、ガンの引き金を引くとスタッドと母材間に電圧が印加され、半導体であるカートリッジが赤熱されて熱電子を放出し、設定された時間アークが持続して母材が適切に溶融した後、スタッドアップセットされ母材に押付けられて溶着する。カートリッジは溶融してスラグとなり溶融金属を脱酸精錬し溶接部が形成される。このスタッド溶接による溶着金属はアプセットによる余盛りを生じ、条件によっては熱影響部が硬化し、この部分に割れを生じたり、疲労強度が低下するという問題がある。
【0041】
サブマージアーク圧接溶接との組合せで使用する異形鋼棒は、材質がSD345の材質であり、フランジヘの取付けについても特別な加工は必要とせず、サブマージアーク圧接溶接との組合せによって通常のスタッドジベルと同様に取扱うことができる材料である。
【0042】
通常の頭付きスタッドはJIS規格でD19mmφ、D22mmφとも高さが150mmまでしか規格化されていない。最近の波形鋼板ウエブ箱桁橋は2ウエブでのウエブ間隔が6〜10m程度の箱桁が設計・施工されている。このような桁では主桁上での床板厚さがハンチを含めて500〜600mmの厚さになっている。従って、従来のJISによる高さ150mmのスタッドジベルでは高さが十分とは言い難い。そのため、同様の幅員の橋梁で、鋼2主1桁では、JISを越える高さのスタッドを特別注文で製作し使用している場合もある。
【0043】
ところが、メーカのスタッド製造設備の面からはD19mmφでは高さ300mm、D22mmφでは200mmが製造限度であり、この限度を越えるものは特別注文となる。このため、JIS規格のスタッドに比べて特別注文の長尺のスタッドジベルは単価がひと桁高くなるのが大きな欠点である。
【0044】
以上のような理由から、本発明では通常の異形鋼棒をジベルとして用い、サブマージアーク圧接溶接手段と組合せて使用する構造とした。この異形鋼棒は設計に際しても、橋軸方向の曲げモーメントによる引張力に対しては、道路橋示方書のSD345の許容軸引張り応力度およびコンクリートと鉄筋との許容付着応力度の規定を適用することができる。
【0045】
作用水平力によるせん断応力度については、阪神高速道路公団の設計・施工指針(阪神高速道路公団、新日本製鉄(株):鋼管矢板基礎頂版結合部の模型実験解析業務「報告書」、昭和63年3月)に異形鋼棒の許容せん断応力度に対する設計式が基準化されており、異形鋼棒はアングルジベルと同様に明確な設計計算が可能な材料である。ただし、阪神高速道路公団の異形鋼棒(異形スタッド)の規定は、下部構造のフーチングと鋼管基礎を結合する頂版部分に使用しているために、活荷重の影響が少なくなっている。従って、安全係数を再検討の上、波形鋼板ウエブ橋に適用する。この異形鋼棒(異形スタッド)は、D19mmφ×500mmLまたはD22φ×400mmLのものを使用するものとすれば、長尺スタッドジベルやアングルジベルに比べて格段に安価な材料である。
【0046】
また、異形鋼棒の取付けには、サブマージアーク圧接溶接工法を用いることにより、スタッド溶接と同様な溶接施工が可能である。この溶接方法を使用すると、従来の頭付きスタッドのような大きなすみ肉の余盛りの発生が小さく、すみ肉形状がスムーズにすり付く形状となり、溶接部の強度が高く、スタッド溶接の疲労の欠点である溶け込み不足やオーバーラップが少ない。従って、疲労強度の等級が上がることを期待することができる。
【0047】
以上に述べた異形鋼棒とサブマージアーク圧接溶接との組合せについては、PC橋梁の波形鋼板ウエブの結合について主に記しているが、特別注文の長尺スタッドを使用している連続I桁とPC床版との結合材としても使用できることはもちろんである。
【0048】
PC床版付きの鋼2主桁の連続桁においては、スタッドジベル位置から床版にひび割れが発生し種々の問題が現れているが、本発明に係る異形鋼棒のように、PC床版厚の中央または床版上側鉄筋まで届くほどの長さの鋼棒を使用することにより、これを防止することができる。また、本発明の結合構造では床板厚さとハンチの高さの合計のほぼ全高にわたって引抜き力を床版コンクリートに伝達するタイプの結合材(異形鋼棒)を使用するので、PC床版に発生するひび割れ防止に対してより良い影響を与えることが出来る。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、鋼・コンクリート複合桁、特に波形鋼板ウエブを用いるPC桁の従来の強度上の問題や施工手間、構成材数等を合理的に解決し、鋼桁と上床版コンクリートの結合強度が高く、重荷重に対して疲労強度の大きい複合桁を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る波形鋼板ウエブの正面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図である。
【図4】サブマージアーク圧接溶接の説明図である。
【図5】スタッドジベル結合の説明図である。
【図6】埋込み結合の説明図である。
【図7】アングルジベル結合の説明図である。
【図8】アングルジベル結合の説明図である。
【符号の説明】
1  波形鋼板ウエブ
2  フランジ
3  異形鋼棒
4  コンクリートジベル用孔
5  橋軸方向鉄筋
11  母材
12  鋼棒
13  アークキャップ
14  アーク安定剤
15  コイル
16  フラックスホルダ
17  フラックス
21  スタッドジベル
31  透孔
32  軸方向鉄筋
33  横貫通鉄筋
41  アングル
42  橋軸方向鉄筋
43  U字形鉄筋

Claims (1)

  1. 異形鋼棒をサブマージアーク圧接溶接により溶植して鋼桁の上フランジ上面に立設し、異形鋼棒を上床版コンクリート中に埋設してなることを特徴とする鋼桁と床版との結合構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006316580A (ja) * 2005-05-16 2006-11-24 Ps Mitsubishi Construction Co Ltd 波形鋼板ウエブpc合成桁及びその波形鋼板ウエブpc合成桁を使用した橋梁構築方法
CN103882974A (zh) * 2014-03-24 2014-06-25 北京工业大学 刚性节点的工业化装配式蜂窝梁钢结构体系

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