JP2011174289A - 橋梁の主桁連結構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げモーメントにより引張力が作用する下フランジ側については、高力ボルト摩擦接合の代わりに高力ボルト引張接合とすることで、連結部に必要な強度を確保しつつ、より少ないボルト本数で効率良く施工可能な橋梁の主桁連結構造を提供する。
【解決手段】主桁1どうしを突き合わせた連結部において、ウェブ1aの中間部は両面から添接板3を添わせ、高力ボルト4により摩擦接合する。ウェブ1aの下部については、主桁1と直交する鋼製の端板5を溶接等により固定し、端板5どうしを桁長手方向の高力ボルト7により引張接合する。下フランジ1cどうしの高力ボルト摩擦接合は行わない。ウェブ1aの上部についても、主桁1と直交する鋼製の端板5を溶接等により固定し、端板5どうしを高力ボルト7により引張接合する。上フランジ1bどうしの高力ボルト摩擦接合は行わない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、橋梁の主桁連結構造に関するものであり、主として、仮設橋梁、その他スパンが比較的短い橋梁の鈑桁(I断面プレートガーダー)の連結部に用いられる。
架設橋梁は、簡易に組立・解体ができる橋梁構造であり、従来一般的なの適用スパンは25m程度までである。その場合、運搬および架設が容易な長さの桁どうしを架設現場で高力ボルト摩擦接合により連結し、組み立てるのが一般的であり、解体時には高力ボルトを外すことで、桁を再利用することができる。
なお、運搬および架設が容易な長さの桁どうしを、架設現場で高力ボルト摩擦接合して組み立てるのは、架設橋梁の場合に限られず、よりスパンの大きい本設橋梁にも適用可能である。
図3は、鈑桁における従来一般的な主桁連結構造を示したもので、ウェブ11aと上下のフランジ11b、11cからなる主桁11どうしを付き合わせ、ウェブ11aについてはウェブ11aを両面から挟み込むように添接板13を取り付け、高力ボルト14で摩擦接合し、上下のフランジ11b、11cについても内外面から挟み込むように添接板18a、18bを取り付け、高力ボルト17で摩擦接合している。
しかしながら、上述の主桁連結構造では、連結部において主桁の上フランジの上面に、添接板18bおよび高力ボルト17の頭が突出するため、その上面に覆工板等を敷設する際に突出部が邪魔になり、特殊な形状に加工した覆工板等が必要となる。
これに対し、特許文献1および特許文献2には、主桁どうしを突き合わせて連結した場合に圧縮応力が作用する上フランジ側については高力ボルト摩擦接合を用いずに、主桁の長手方向と直交する端板を固着し、端板どうしを突き合わせて高力ボルトで連結することで、桁の上面を平らにし、覆工板をそのまま載置できるようにした桁の連結構造が記載されている。
その他、特許文献3には、鋼箱桁の接合において、高力ボルト摩擦接合では、ウェブの接合部において添接板や高力ボルトの一部が桁の外面に露出して目立つため景観が悪く、高力ボルトでの接合時に騒音が発生するという課題に対し、鋼箱桁の上下フランジの接合部は高力ボルト摩擦接合とし、ウェブの接合部は桁内面を高力ボルト引張接合するようにしたものが記載されている。
特公平02−037449号公報 登録実用新案公報第3073191号公報 特開2003−082615号公報
上述した従来技術および特許文献1、2記載の発明では、いずれの場合も曲げモーメントにより引張力が作用する下フランジ側については、高力ボルト摩擦接合としている。
この場合、曲げ引張に対し、高力ボルトのせん断抵抗力で抵抗する構造であるため、必要とする高力ボルトの本数が多くなる(図3(a)のbの範囲参照)。また、その分、施工手間もかかり、現場での施工時間が長くなる。
本願発明は、上述のような課題の解決を図ったものであり、高力ボルト摩擦接合と高力ボルト引張接合を組合せ、より具体的には曲げモーメントにより引張力が作用する下フランジ側については、高力ボルト摩擦接合の代わりに高力ボルト引張接合とすることで、連結部に必要な強度を確保しつつ、より少ないボルト本数で効率良く施工可能な橋梁の主桁連結構造を提供することを目的としている。
本願の請求項1に係る橋梁の主桁連結構造は、ウェブと上下のフランジからなる鈑桁どうしを桁長手方向に突き合わせ、高力ボルトで接合してなる橋梁の主桁連結構造において、突き合わせ部のウェブどうしの少なくとも高さ方向中間部を高力ボルト摩擦接合により接合し、少なくとも下フランジ側の端面から上方へ所定の高さまで端板を設け、前記端板どうしを高力ボルト引張接合により接合することで、突き合わせ部における上下フランジどうしの高力ボルト摩擦接合を不要としたことを特徴とするものである。
本発明では、上載荷重により曲げ引張力が大きくなる下フランジ側については、高力ボルト引張接合とし、高力ボルトの引張抵抗で抵抗させるため、従来一般的な下フランジを高力ボルト摩擦接合で接合し、そのせん断抵抗で抵抗させる場合に比べ、必要とするボルト本数を少なくすることができる。また、その分、現場におけるボルト接合に要する手間が少なくなり、工期の短縮が図れる。
高力ボルト引張接合のための端板や必要に応じて設けられる補剛リブの溶接等が必要となるものの、あらかじめ工場または現場のヤードで取り付けておけば、架設時の手間は省けるため、迅速な架設が可能となる。
請求項2は請求項1に係る橋梁の主桁連結構造において、上フランジ側の端面から下方へ所定の高さまで端板を設け、上フランジ側についても端板どうしを高力ボルト引張接合により接合したことを特徴とするものである。
前述した特許文献1および特許文献2記載の発明では、桁の上面を平らにする目的で、上フランジ側の端面から下方へ所定の高さまで端板を設け、端板どうしを高力ボルト引張接合し、上フランジにおける高力ボルト摩擦接合を回避している。
請求項2は、上フランジ側については、これら特許文献1および特許文献2記載の発明と同様の構造とした場合であり、主桁の上面が平坦になることで、通常の覆工板等をそのまま敷設することができる。
また、上フランジ側については、突き合わされる主桁の上フランジどうしの間に、曲げモーメントによる圧縮力が作用するが、端板を設けることで圧縮力の一部を、端板を介して負担させることができ、その際、端板どうしを接合する高力ボルトの軸抵抗力およびせん断抵抗力によって連結部の安定を図ることができる。
さらに、形態的には上フランジ側と下フランジ側が対称あるいはほぼ対称の構造となるため、工場やヤードでの加工手間や現場接合における施工について合理化が図れる。
また、請求項1および2に係る橋梁の主桁連結構造において、力学的には、主桁連結部に作用するせん断力に対しては、主として高さ方向中間部を含む高力ボルト摩擦接合の部分の高力ボルトのせん断抵抗力で抵抗しつつ、これを補う形で下フランジ側(請求項1の場合)あるいは上下のフランジ側(請求項2の場合)の高力ボルト引張接合部分の高力ボルトのせん断抵抗力が機能する。
一方、主桁連結部に作用する曲げ引張力に対しては、主として下フランジ側の高力ボルト引張接合部分の高力ボルトの引張抵抗力で抵抗しつつ、これを補う形で一部は高力ボルト摩擦接合の部分の高力ボルトのせん断抵抗力が機能する。
従って、設計においては、主桁連結部に作用するせん断力および曲げモーメントに対し、ウェブ部分の高力ボルト摩擦接合の部分の範囲および高力ボルトの本数、および高力ボルト引張接合部分の範囲および高力ボルトの本数が、できるだけ最適な組み合わせとなるように設計することで、より連結部の合理化を図ることができる。
本発明は、上載荷重により曲げ引張力が大きくなる下フランジ側については、高力ボルト引張接合とし、高力ボルトの引張抵抗で抵抗させるため、従来一般的な下フランジを高力ボルト摩擦接合で接合し、そのせん断抵抗で抵抗させる場合に比べ、必要とするボルト本数を少なくすることができる。また、その分、現場におけるボルト接合に要する手間が少なくなり、工期の短縮が図れる。
高力ボルト引張接合のための端板や必要に応じて設けられる補剛リブの溶接等が必要となるものの、あらかじめ工場または現場のヤードで取り付けておけば、架設時の手間は省けるため、迅速な架設が可能となる。
本発明の主桁連結構造の一実施形態における連結部の概要を示す斜視図である。 (a)は図1の実施形態に対応する正面図、(b)は側面図、(c)は(a)のI−I断面図、(d)は下部引張接合部の端板および補剛リブの取付け状態を示す拡大正面図、(e)は同じく平面図である。 主桁連結構造の従来例を示したもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1および図2は、本発明の主桁連結構造の一実施形態を示したもので、主桁1はウェブ1aの上下にそれぞれ上フランジ1b、下フランジ1cを有するI断面の鋼製の鈑桁であり、桁長手方向に所定間隔で補剛リブ2を溶接してある。
主桁1どうしを突き合わせた連結部において、ウェブ1aの中間部は両面から添接板3を添わせ、多数の高力ボルト4による摩擦接合によって連結しているが、ウェブ1aの下部については、下フランジ1cに至る範囲に、主桁1と直交する鋼製の端板5を溶接等により固定し、端板5どうしを突き合わせ、桁長手方向の高力ボルト7による引張接合としており、下フランジ1cどうしの高力ボルト摩擦接合は行わない。
この場合、主桁1に作用する曲げモーメントにより下フランジ1c側連結部に生ずる引張力に対しては、主として引張接合部分の高力ボルト7の引張抵抗力により抵抗し、ウェブ1aの中間部の摩擦接合部分の高力ボルト4が不足分を補う形となっている。
また、本実施形態においては、ウェブ1aの上部についても、上フランジ1bに至る範囲に、主桁1と直交する鋼製の端板5を溶接等により固定し、端板5どうしを突き合わせて、桁長手方向の高力ボルト7による引張接合とし、上フランジ1bどうしの高力ボルト摩擦接合は行わない。そのため、主桁1どうしの連結部においても、上フランジ1bの上面に添接板やボルトによる突出部が生じず、通常の覆工板等をそのまま敷設することができる。
図2(d)、(e)は下部引張接合部の端板5および補剛リブ6の取付け状態を示したもので、端板5には高力ボルト引張接合のためのボルト穴7aが形成されている。
1…主桁、1a…ウェブ、1b…上フランジ、1c…下フランジ、
2…補剛リブ(桁部)
3…添接板(ウェブ部)、
4…高力ボルト(摩擦接合)
5…端板、
6…補剛リブ(連結部)、
7…高力ボルト(引張接合)、7a…ボルト穴、
11…主桁、11a…ウェブ、11b…上フランジ、11c…下フランジ、
13…添接板(ウェブ部)、
14…高力ボルト(摩擦接合)、
15a、15b…添接板(ウェブ部)、
17…高力ボルト(摩擦接合)、
18a…添接板(フランジ部内面側)、
18b…添接板(フランジ部外面側)

Claims (2)

  1. ウェブと上下のフランジからなる鈑桁どうしを桁長手方向に突き合わせ、高力ボルトで接合してなる橋梁の主桁連結構造において、突き合わせ部のウェブどうしの少なくとも高さ方向中間部を高力ボルト摩擦接合により接合し、少なくとも下フランジ側の端面から上方へ所定の高さまで端板を設け、前記端板どうしを高力ボルト引張接合により接合することで、突き合わせ部における上下フランジどうしの高力ボルト摩擦接合を不要としたことを特徴とする橋梁の主桁連結構造。
  2. 上フランジ側の端面から下方へ所定の高さまで端板を設け、上フランジ側についても端板どうしを高力ボルト引張接合により接合したことを特徴とする請求項1記載の橋梁の主桁連結構造。
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