JP2004010573A - 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−n−アクリル酸エステル又はその塩の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水素化ナトリウムを用いる製造方法は、僅かの水分と水素化ナトリウムが反応し、発火、爆発の危険性を伴う。
【解決手段】式(I):
で表わされる4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンと式(II−1):
(Rはアルキル,アルケニル,アルキニル又はフエニルを、R′はアルキルを表わす。)で表わされる3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステル又は式(II−2):
で表わされる3−アルコキシアクリル酸エステルとを縮合反応させて、式(III):
で表わされる4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−N−アクリル酸エステル又はその塩を製造する方法において、縮合剤としてナトリウムアルコキシドを使用する。
【選択図】 なし
【解決手段】式(I):
で表わされる4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンと式(II−1):
(Rはアルキル,アルケニル,アルキニル又はフエニルを、R′はアルキルを表わす。)で表わされる3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステル又は式(II−2):
で表わされる3−アルコキシアクリル酸エステルとを縮合反応させて、式(III):
で表わされる4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−N−アクリル酸エステル又はその塩を製造する方法において、縮合剤としてナトリウムアルコキシドを使用する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬または医薬の製造用中間体として有用な4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−N−アクリル酸エステル又はその塩の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−169733号には、4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンと3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステル又は3−アルコキシアクリル酸エステルとを縮合反応させて4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−N−アクリル酸エステルを製造する方法が開示されている。そこには、縮合反応に使用される塩基の例として、アルカリ金属の水素化物;アルキルリチウム;アルカリ金属;アルカリ金属の水酸化物;アルコキシド類;塩基性複素環化合物が挙げられ、実施例として水素化ナトリウムを用いた例が記載されている。しかしながら、ナトリウムアルコキシドを用いた例は記載されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
水素化ナトリウムを用いる上記製造方法においては、特にスケールアップを図った場合、僅かの水分と水素化ナトリウムが反応し、発火、爆発の危険性を伴う。一方、上記製造方法においては、水素化ナトリウムを用いることが反応性、収率面などから望ましく、収率を低下させずにかつ安全に目的物を製造する新たな方法が求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンと3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステル又は3−アルコキシアクリル酸エステルとを縮合させる反応において、水素化ナトリウムをナトリウムアルコキシドに変更し、かつ、反応収率を向上させるべく反応条件について各種の検討を行い、本発明を完成した。
【0005】
すなわち本発明は、 式(I):
【化5】
で表わされる4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンと式(II−1):
【化6】
(式中、Rはアルキル、アルケニル、アルキニル又はフェニルであり、R’はアルキルである)で表わされる3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステル又は式(II−2):
【化7】
(式中、R及びR’は前述のとおりである)で表わされる3−アルコキシアクリル酸エステルとを縮合反応させて、式(III):
【化8】
(式中、Rは前述のとおりであり)で表わされる4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−N−アクリル酸エステル又はその塩を製造する方法において、縮合剤としてナトリウムアルコキシドを使用することを特徴とする前記4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−N−アクリル酸エステル又はその塩の製造方法に関する。
【0006】
前記式中のアルキルとしては、炭素数1〜6の、直鎖状または分枝状のもの、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。アルケニルとしては、炭素数2〜6の、直鎖状または分枝状のもの、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、などが挙げられる。アルキニルとしては、炭素数2〜6の、直鎖状または分枝状のもの、例えばエチニル、プロピニル、ブチニルなどが挙げられる。
【0007】
式(II−1)の化合物としては、具体的には、3,3−ジメトキシプロピオン酸メチル、3,3−ジメトキシプロピオン酸エチル、3,3−ジエトキシプロピオン酸メチル、3,3−ジエトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。
【0008】
式(II−2)の化合物としては、具体的には、3−メトキシアクリル酸メチル、3−メトキシアクリル酸エチル、3−エトキシアクリル酸メチル、3−エトキシアクリル酸エチルなどが挙げられる。
【0009】
式(II−1)又は(II−2)の化合物は、式(I)の化合物1モルに対して1.0〜1.2モル、望ましくは1.02〜1.06モルの割合で使用される。
【0010】
本発明の方法では、縮合剤としてナトリウムアルコキシドを使用する。ナトリウムアルコキシドとしては、具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどが挙げられる。
【0011】
縮合反応は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよいが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルのような極性非プロトン性溶媒;塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;メタノール、エタノールのようなアルコール類;ピリジン、キノリンのような塩基性複素環化合物;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。溶媒は単独で或は混合して使用することができる。溶媒の使用量は、式(I)の化合物1重量部に対して通常1〜30重量部、望ましくは2〜15重量部の割合である。
【0012】
縮合反応はニ段階反応であり、前半は式(I)の化合物と式(II−1)又は(II−2)の化合物との付加反応である。付加反応では、ナトリウムアルコキシドは、式(I)の化合物1モルに対して通常0.9〜1.2モル、望ましくは0.95〜1.05モルの割合で使用される。
【0013】
付加反応の反応温度は、通常−20〜+75℃、望ましくは−10〜+30℃である。反応時間は1〜24時間である。
【0014】
式(I)の化合物と式(II−1)又は(II−2)の化合物の付加反応によって、式(IV):
【化9】
(式中、R及びR’は前述のとおりである)で表わされる化合物又はその塩が生成する。
【0015】
縮合反応の後半は、式(IV)の化合物中のR’O基の脱離反応である。脱離反応は式(IV)の化合物にナトリウムアルコキシドを作用させることによって行われる。脱離反応は、付加反応に使用されるナトリウムアルコキシドの一部によっても進行するが、反応系内にさらにナトリウムアルコキシドの適量を投入することによって進行する。ナトリウムアルコキシドの使用量は、式(I)の化合物1モルに対して通常0〜1.0モル、望ましくは0.05〜0.3モルの割合である。
【0016】
脱離反応の反応温度は、通常−20〜+75℃、望ましくは10〜25℃である。反応時間は1〜24時間である。
【0017】
脱離反応によって式(III)の化合物またはその塩が生成する。式(III)の化合物は、反応終了後に塩酸、硫酸等の鉱酸で反応混合物を中和処理し、固液分離、洗浄、乾燥などの後処理を行うことにより単離することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明におけるの望ましい実施形態を以下に例示する。
(1) 縮合剤としてナトリウムアルコキシドを使用し、式(I)の化合物と式(II−1)の化合物とを反応させる。
(2) 式(II−1)の化合物として3,3−ジメトキシプロピオン酸メチルを使用する。
(3) 縮合剤としてナトリウムアルコキシドを使用し、式(I)の化合物と式(II−2)の化合物とを反応させる。
(4) 式(II−2)の化合物として3−メトキシアクリル酸メチルを使用する。
(5)縮合剤としてナトリウムメトキシドを使用する。
【0019】
(6) 溶媒として極性非プロトン性溶媒を使用する。
(7) 溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを使用する。
(8) 溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを使用する。
(9) 式(I)の化合物1モルに対して0.95〜1.05モルのナトリウムアルコキシドを溶媒に加えた溶液に式(I)の化合物を滴下投入し、次に、式(I)の化合物1モルに対して1.02〜1.06モルの式(II−1)又は(II−2)の化合物をこの溶液に滴下投入して−10〜30℃で付加反応を行い、その後、式(I)の化合物1モルに対して0.05〜0.3モルのナトリウムアルコキシドを反応溶液に加えて10〜25℃で脱離反応を行う。
【0020】
【実施例】
本発明をより詳しく述べるため、以下に実施例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0021】
実施例1
N,N−ジメチルホルムアミド125mlにナトリウムメトキシド16.5g(純度98%、0.3mol)を加え、−5℃以下に氷冷し、そこに4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン44.3g(純度94.1%、0.3mol)を−5℃以下で滴下投入した。次いで、このものに同温度で3−メトキシアクリル酸メチルを36.5g滴下投入した。滴下終了後、反応液を室温まで戻しつつ一晩反応させた。付加反応の終了後、28%ナトリウムメトキシド8.7g(0.045mol)を加え、脱離反応を行った。反応終了後、得られた反応溶液及び20%塩酸を、3%食塩水329ml中に5℃以下でpH4〜6を保ちながら同時に滴下した。析出物を濾取後、水洗することにより、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン58.1gを得た(純度97.9%、収率85%)。
【0022】
実施例2
攪拌羽根、温度計及び滴下ロートを備えた300mlの四つ口フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド167ml及びナトリウムメトキシド16.5g(純度98%、0.3mol)仕込み、−5℃以下に氷冷し、そこに4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン44.3g(純度94.1%、0.3mol)を−5℃以下で滴下投入した。次いで、このものに同温度で3−メトキシアクリル酸メチル36.5g(0.315mol)を滴下投入した。滴下終了後、反応液を室温まで戻しつつ一晩反応させた。付加反応の終了後、ナトリウムメトキシド2.5g(純度98%、0.045mol)を加え、脱離反応を行った。反応終了後、得られた反応溶液及び20%塩酸を、3%食塩水329ml中に5℃以下でpH4〜6を保ちながら同時に滴下した。析出物を濾取後、水洗することにより、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン58.1gを得た(純度97.8%、収率85.0%)。
【0023】
実施例3
攪拌羽根、温度計及び滴下ロートを備えた300mlの四つ口フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド104ml及びナトリウムメトキシド16.5g(純度98%、0.3mol)を仕込み、−5℃以下に氷冷し、そこに4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン44.3g(純度94.2%、0.3mol)を−5℃以下で滴下投入し、Na塩化した。
攪拌羽根、温度計を備えた別の300mlの四つ口フラスコに、3−メトキシアクリル酸メチル36.5g(0.315mol)とN,N−ジメチルホルムアミド19mlを仕込み、そこに上記のNa塩化物を室温で投入し、残査についてはN,N−ジメチルホルムアミド2mlで洗浄して投入した。温度は室温から30℃に上昇した。投入後、反応液を室温まで戻しつつ一晩反応させた。付加反応の終了後、28%ナトリウムメトキシド8.7g(0.045mol)を加え、脱離反応を行った。反応終了後、得られた反応溶液及び20%塩酸を、3%食塩水329ml中に5℃以下でpH4〜6を保ちながら同時に滴下した。析出物を濾過後、水洗することにより、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン57.3gを得た。(純度96.6%、収率82.7%)
【0024】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、反応操作において発火、爆発の危険性をなくして作業の安全性を大幅に向上させることができる。また、従来、水素化ナトリウムを使った反応では発熱が大きく、200リットル規模の反応系で原料の投入に十数時間かかっていたものが、半分以下の時間で原料投入を完了することができるようになり、作業効率を大幅に向上させることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬または医薬の製造用中間体として有用な4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−N−アクリル酸エステル又はその塩の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−169733号には、4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンと3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステル又は3−アルコキシアクリル酸エステルとを縮合反応させて4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−N−アクリル酸エステルを製造する方法が開示されている。そこには、縮合反応に使用される塩基の例として、アルカリ金属の水素化物;アルキルリチウム;アルカリ金属;アルカリ金属の水酸化物;アルコキシド類;塩基性複素環化合物が挙げられ、実施例として水素化ナトリウムを用いた例が記載されている。しかしながら、ナトリウムアルコキシドを用いた例は記載されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
水素化ナトリウムを用いる上記製造方法においては、特にスケールアップを図った場合、僅かの水分と水素化ナトリウムが反応し、発火、爆発の危険性を伴う。一方、上記製造方法においては、水素化ナトリウムを用いることが反応性、収率面などから望ましく、収率を低下させずにかつ安全に目的物を製造する新たな方法が求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンと3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステル又は3−アルコキシアクリル酸エステルとを縮合させる反応において、水素化ナトリウムをナトリウムアルコキシドに変更し、かつ、反応収率を向上させるべく反応条件について各種の検討を行い、本発明を完成した。
【0005】
すなわち本発明は、 式(I):
【化5】
で表わされる4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンと式(II−1):
【化6】
(式中、Rはアルキル、アルケニル、アルキニル又はフェニルであり、R’はアルキルである)で表わされる3,3−ジアルコキシプロピオン酸エステル又は式(II−2):
【化7】
(式中、R及びR’は前述のとおりである)で表わされる3−アルコキシアクリル酸エステルとを縮合反応させて、式(III):
【化8】
(式中、Rは前述のとおりであり)で表わされる4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−N−アクリル酸エステル又はその塩を製造する方法において、縮合剤としてナトリウムアルコキシドを使用することを特徴とする前記4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン−N−アクリル酸エステル又はその塩の製造方法に関する。
【0006】
前記式中のアルキルとしては、炭素数1〜6の、直鎖状または分枝状のもの、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。アルケニルとしては、炭素数2〜6の、直鎖状または分枝状のもの、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、などが挙げられる。アルキニルとしては、炭素数2〜6の、直鎖状または分枝状のもの、例えばエチニル、プロピニル、ブチニルなどが挙げられる。
【0007】
式(II−1)の化合物としては、具体的には、3,3−ジメトキシプロピオン酸メチル、3,3−ジメトキシプロピオン酸エチル、3,3−ジエトキシプロピオン酸メチル、3,3−ジエトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。
【0008】
式(II−2)の化合物としては、具体的には、3−メトキシアクリル酸メチル、3−メトキシアクリル酸エチル、3−エトキシアクリル酸メチル、3−エトキシアクリル酸エチルなどが挙げられる。
【0009】
式(II−1)又は(II−2)の化合物は、式(I)の化合物1モルに対して1.0〜1.2モル、望ましくは1.02〜1.06モルの割合で使用される。
【0010】
本発明の方法では、縮合剤としてナトリウムアルコキシドを使用する。ナトリウムアルコキシドとしては、具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどが挙げられる。
【0011】
縮合反応は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよいが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルのような極性非プロトン性溶媒;塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;メタノール、エタノールのようなアルコール類;ピリジン、キノリンのような塩基性複素環化合物;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。溶媒は単独で或は混合して使用することができる。溶媒の使用量は、式(I)の化合物1重量部に対して通常1〜30重量部、望ましくは2〜15重量部の割合である。
【0012】
縮合反応はニ段階反応であり、前半は式(I)の化合物と式(II−1)又は(II−2)の化合物との付加反応である。付加反応では、ナトリウムアルコキシドは、式(I)の化合物1モルに対して通常0.9〜1.2モル、望ましくは0.95〜1.05モルの割合で使用される。
【0013】
付加反応の反応温度は、通常−20〜+75℃、望ましくは−10〜+30℃である。反応時間は1〜24時間である。
【0014】
式(I)の化合物と式(II−1)又は(II−2)の化合物の付加反応によって、式(IV):
【化9】
(式中、R及びR’は前述のとおりである)で表わされる化合物又はその塩が生成する。
【0015】
縮合反応の後半は、式(IV)の化合物中のR’O基の脱離反応である。脱離反応は式(IV)の化合物にナトリウムアルコキシドを作用させることによって行われる。脱離反応は、付加反応に使用されるナトリウムアルコキシドの一部によっても進行するが、反応系内にさらにナトリウムアルコキシドの適量を投入することによって進行する。ナトリウムアルコキシドの使用量は、式(I)の化合物1モルに対して通常0〜1.0モル、望ましくは0.05〜0.3モルの割合である。
【0016】
脱離反応の反応温度は、通常−20〜+75℃、望ましくは10〜25℃である。反応時間は1〜24時間である。
【0017】
脱離反応によって式(III)の化合物またはその塩が生成する。式(III)の化合物は、反応終了後に塩酸、硫酸等の鉱酸で反応混合物を中和処理し、固液分離、洗浄、乾燥などの後処理を行うことにより単離することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明におけるの望ましい実施形態を以下に例示する。
(1) 縮合剤としてナトリウムアルコキシドを使用し、式(I)の化合物と式(II−1)の化合物とを反応させる。
(2) 式(II−1)の化合物として3,3−ジメトキシプロピオン酸メチルを使用する。
(3) 縮合剤としてナトリウムアルコキシドを使用し、式(I)の化合物と式(II−2)の化合物とを反応させる。
(4) 式(II−2)の化合物として3−メトキシアクリル酸メチルを使用する。
(5)縮合剤としてナトリウムメトキシドを使用する。
【0019】
(6) 溶媒として極性非プロトン性溶媒を使用する。
(7) 溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを使用する。
(8) 溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを使用する。
(9) 式(I)の化合物1モルに対して0.95〜1.05モルのナトリウムアルコキシドを溶媒に加えた溶液に式(I)の化合物を滴下投入し、次に、式(I)の化合物1モルに対して1.02〜1.06モルの式(II−1)又は(II−2)の化合物をこの溶液に滴下投入して−10〜30℃で付加反応を行い、その後、式(I)の化合物1モルに対して0.05〜0.3モルのナトリウムアルコキシドを反応溶液に加えて10〜25℃で脱離反応を行う。
【0020】
【実施例】
本発明をより詳しく述べるため、以下に実施例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0021】
実施例1
N,N−ジメチルホルムアミド125mlにナトリウムメトキシド16.5g(純度98%、0.3mol)を加え、−5℃以下に氷冷し、そこに4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン44.3g(純度94.1%、0.3mol)を−5℃以下で滴下投入した。次いで、このものに同温度で3−メトキシアクリル酸メチルを36.5g滴下投入した。滴下終了後、反応液を室温まで戻しつつ一晩反応させた。付加反応の終了後、28%ナトリウムメトキシド8.7g(0.045mol)を加え、脱離反応を行った。反応終了後、得られた反応溶液及び20%塩酸を、3%食塩水329ml中に5℃以下でpH4〜6を保ちながら同時に滴下した。析出物を濾取後、水洗することにより、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン58.1gを得た(純度97.9%、収率85%)。
【0022】
実施例2
攪拌羽根、温度計及び滴下ロートを備えた300mlの四つ口フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド167ml及びナトリウムメトキシド16.5g(純度98%、0.3mol)仕込み、−5℃以下に氷冷し、そこに4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン44.3g(純度94.1%、0.3mol)を−5℃以下で滴下投入した。次いで、このものに同温度で3−メトキシアクリル酸メチル36.5g(0.315mol)を滴下投入した。滴下終了後、反応液を室温まで戻しつつ一晩反応させた。付加反応の終了後、ナトリウムメトキシド2.5g(純度98%、0.045mol)を加え、脱離反応を行った。反応終了後、得られた反応溶液及び20%塩酸を、3%食塩水329ml中に5℃以下でpH4〜6を保ちながら同時に滴下した。析出物を濾取後、水洗することにより、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン58.1gを得た(純度97.8%、収率85.0%)。
【0023】
実施例3
攪拌羽根、温度計及び滴下ロートを備えた300mlの四つ口フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド104ml及びナトリウムメトキシド16.5g(純度98%、0.3mol)を仕込み、−5℃以下に氷冷し、そこに4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン44.3g(純度94.2%、0.3mol)を−5℃以下で滴下投入し、Na塩化した。
攪拌羽根、温度計を備えた別の300mlの四つ口フラスコに、3−メトキシアクリル酸メチル36.5g(0.315mol)とN,N−ジメチルホルムアミド19mlを仕込み、そこに上記のNa塩化物を室温で投入し、残査についてはN,N−ジメチルホルムアミド2mlで洗浄して投入した。温度は室温から30℃に上昇した。投入後、反応液を室温まで戻しつつ一晩反応させた。付加反応の終了後、28%ナトリウムメトキシド8.7g(0.045mol)を加え、脱離反応を行った。反応終了後、得られた反応溶液及び20%塩酸を、3%食塩水329ml中に5℃以下でpH4〜6を保ちながら同時に滴下した。析出物を濾過後、水洗することにより、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン57.3gを得た。(純度96.6%、収率82.7%)
【0024】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、反応操作において発火、爆発の危険性をなくして作業の安全性を大幅に向上させることができる。また、従来、水素化ナトリウムを使った反応では発熱が大きく、200リットル規模の反応系で原料の投入に十数時間かかっていたものが、半分以下の時間で原料投入を完了することができるようになり、作業効率を大幅に向上させることができる。
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