JP2004010294A - 自動倉庫 - Google Patents
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Abstract
【構成】自動倉庫10に、建屋一体式ラック12の内部に、自立式ラック20を設け、これらを互いに独立した構築物とする。自立式ラックの梁24と建屋一体式ラック12の梁18との間に、制振ダンパー30を設けて、自動倉庫10の横方向の地震エネルギーを吸収する。
【効果】自動倉庫を効率的に制振できる。
【選択図】 図1
【効果】自動倉庫を効率的に制振できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の利用分野】
この発明は自動倉庫に関し、特にその制振に関する。
【0002】
【従来技術】
自動倉庫に制振ダンパーを設置することが検討されている。例えば特開平10−265014号公報では、図6に示すように、一般倉庫1と自動倉庫2とを併設する。3は自動倉庫2の梁で、4は自動倉庫を覆う天井であり、5は自動倉庫2の外壁となる部分である。天井4や外壁5は一般倉庫1と一体で、天井4と自動倉庫2との間に制振ダンパー6を設ける。
【0003】
図6の倉庫では、自動倉庫2と一般倉庫1とで振動の固有周期などが異なることを利用し、両者の間に設けた制振ダンパー6で、振動エネルギーを吸収する。ここで効率的に振動エネルギーを吸収するには、一般倉庫1に接続した天井4に十分な剛性があり、自動倉庫2に引きずられずいに、一般倉庫1と一体となって振動する必要がある。しかしながら、一般倉庫1から大きく張り出している天井4に充分な剛性を与えることは難しく、天井4は自動倉庫2に引きずられるようにして振動することが考えられ、そのため制振ダンパー6が充分に機能しないことが考えられる。
【0004】
【発明の課題】
この発明の基本的課題は、自動倉庫の制振性を高めることにある(請求項1〜4)。
請求項2,3の発明での追加の課題は、耐震性の不足しやすい自動倉庫の短辺方向への振動を、優先的に制振することにある。
請求項4の発明での追加の課題は、建屋一体式ラックと自立式ラックとの剛性をなるべくつり合わせて、効率的に制振することにある。
【0005】
【発明の構成】
この発明の自動倉庫は、建屋一体式ラックの内側に、自立式ラックを前記建屋一体式ラックとは独立した構築物として立設し、かつ前記自立式ラックと建屋一体式ラックとを制振ダンパーを介して接続したものである(請求項1)。
【0006】
好ましくは、前記制振ダンパーを自立式ラックの上部付近と建屋一体式ラックの上部付近との間に、かつ自動倉庫の短辺方向に働く振動エネルギーを吸収するように配設する(請求項2)。
特に好ましくは、前記制振ダンパーを、ほぼ鉛直な面内で自動倉庫の短辺方向にほぼ平行に配置した、立式ラック側のプレートと粘弾性体と建屋一体式ラック側のプレートとで構成する(請求項3)。
【0007】
また好ましくは、建屋一体式ラックと自立式ラックとの内で、自重の軽い方を優先して物品を入庫するように制御する制御手段を設ける(請求項4)。
【0008】
【発明の作用と効果】
この発明では、建屋一体式ラックの内側に、自立式ラックを独立した構築物として立設し、両者を制振ダンパーを介して接続する。建屋一体式ラックも自立式ラックも剛性の高いトラス構造の構築物であり、しかも重量が互いに匹敵するので、これらを制振ダンパーを介して接続すると、制振ダンパーに大きな振動が伝達され、大きな制振効果を得ることができる。また建屋一体式ラックと自立式ラックは独立した構築物なので、互いに依存せずに自立しており、制振ダンパーで接続しても悪影響は生じない(請求項1〜4)。
【0009】
請求項2の発明では、制振ダンパーを自立式ラックの上部付近と建屋一体式ラックの上部付近との間に設けるので、制振ダンパーを容易に設置することができる。自動倉庫は一般に、長辺方向よりも短辺方向での耐震性に問題があるが、制振ダンパーを自動倉庫の短辺方向に働く振動エネルギーを吸収するように配設するので、自動倉庫の短辺方向の耐震性を向上させることができる。
ここで、請求項3の発明のように、制振ダンパーを、ほぼ鉛直な面内で自動倉庫の短辺方向にほぼ平行に配置した、自立式ラック側のプレートと粘弾性体と建屋一体式ラック側のプレートとで構成すると、自動倉庫の短辺方向に働く振動エネルギーを優先的に吸収できる。
【0010】
請求項4のように、建屋一体式ラックと自立式ラックとの内で、自重の軽い側を優先して物品を入庫するように制御すると、両者の重量をなるべく均衡させて振動エネルギーをより効率的に吸収できる。
【0011】
【実施例】
図1〜図5に実施例を示す。これらの図において、10は自動倉庫で、12は建屋一体式ラックで、左右一対の建屋一体式ラックユニット14,14を備え、建屋一体式ラックユニット14,14の外側には外壁16が取り付けてある。また左右の建屋一体式ラックユニット14,14は梁18により接続され、その上部に天井19を設けてある。建屋一体式ラックユニット14,14はトラス構造で、適当な高さ毎に水平材で支柱間を連結し、また建屋一体式ラックユニット14の短辺方向(図1の左右方向)にも、長辺方向(図1の紙面に直角な方向)にも、ブレスなどで補強してある。
【0012】
建屋一体式ラック12の内側には、自立式ラック20を設けてあり、これは建屋一体式ラック12とは構造上も強度上も独立した構築物である。自立式ラック20は、複数の自立式ラックユニット22を梁24で連結したものである。自立式ラックユニット22も適当な高さ毎に水平材で支柱間を水平方向に接続し、短辺方向にも長辺方向にも、ブレスなどにより補強してある。実施例では複数の自立式ラックユニット22を組み合わせて自立式ラック20としたが、極端な場合、左右の建屋一体式ラックユニット14,14と向き合った、一対の自立式ラックユニットで自立式ラックとしても良い。建屋一体式ラック12は、自立式ラック20に比べてラックのユニットの数が少ない分だけ軽量であるが、外壁に加わる風圧などに耐える必要があるため、自立式ラック20に比べて剛性が高くなるようにしてある。
【0013】
ラックユニット14,22間や、ラックユニット22,22間には、走行スペース26を設けてスタッカークレーン28などの移載装置を走行させる。梁18,24間に、例えば粘弾性体を用いた制振ダンパー30を設け、自立式ラック20と建屋一体式ラック12との間の振動エネルギーを吸収するように配置する。制振ダンパー30は、自立式ラック20の個々の支柱ではなく、自立式ラック20全体に剛に取り付けられた部分に設けることが好ましく、梁24に取り付けると自立式ラック20の振動が制振ダンパー30に効率的に伝わり好ましい。次に梁24の上部には建屋一体式ラック12側の梁18があり、梁18には建屋一体式ラック12の振動が加わるので、制振ダンパー30を梁18,24間に設けると、両者の振動が途中で減衰せずに制振ダンパー30に伝わり、効果的に制振できる。制振ダンパー30の好ましい設置位置は、自立式ラック20や建屋一体式ラック12の上部付近で、かつこれらが互いに近接した場所である。
【0014】
建屋一体式ラック12や自立式ラック20との間の振動は、上部の位置ほど一般に著しいので、これらの上部に制振ダンパー30を設けることにより、効率的に振動エネルギーを吸収できる。またこれらの間の間隔が大きい場合、制振ダンパー30の取付が難しくなるばかりでなく、建屋一体式ラック12と自立式ラック20との間の振動エネルギーが制振ダンパー30に加わる前に、取付部材の弾性変形で吸収されることがある。このような場合、効率的に制振を行うことができない。
【0015】
また制振ダンパー30は、建屋一体式ラック12や自立式ラック20の剛性の高い部分に取り付けることが好ましく、剛性の低い部分に取り付けると、制振ダンパーに振動が加わる前に振動が減衰することがある。以上のような理由で、制振ダンパー30は、建屋一体式ラック12の梁18と、自立式ラックユニット22を連結する梁24との間に設けることが好ましい。これ以外に、制振ダンパー30は、建屋一体式ラックユニット14と左右の自立式ラックユニット22,22の間の、上部レール31の付近に設けても良い。なお上部レール31は、スタッカークレーン28の走行を上側からガイドするためのものである。
【0016】
32は自動倉庫10の制御部で、実施例の場合、自立式ラックユニット22は4ラックあり、建屋一体式ラックユニット14は2ラックなので、自立式ラックユニット22の方がやや自重が大きい。なお建屋一体式ラックユニット14には外壁16や天井19などが設けられているので、自立式ラック20と建屋一体式ラック12との重量比は、2:1よりは小さな値となる。そこで制御部32は、自重の小さな建屋一体式ラックユニット14を優先して物品を入庫するようにし、建屋一体式ラック12と自立式ラック20との重量をなるべく均衡させて、効率的に制振できるようにする。
【0017】
図2に示すように、自動倉庫10には長辺方向と短辺方向とがあり、ラックユニット14,22はトラス構造の構築物で、短辺方向にも長辺方向にもブレスなどにより補強してある。しかしながらラックユニット14,22の耐震性は、長辺方向に比べて短辺方向で劣るので、制振ダンパー30は短辺方向の振動を優先して吸収するように配置することが好ましい
【0018】
実施例では、梁18,24が向き合う箇所毎に制振ダンパー30を設けたが、制振ダンパー30の設置個数は任意である。また実施例では、自動倉庫10の中央部で梁18が高くなる形状にしてあるので、左右方向で梁18が高くなる前後の位置と、自立式ラック20側の梁24との対向部に、制振ダンパー30を設けた。
【0019】
図3,図4に、制振ダンパー30の取付を示すと、34は自立式ラック20での長辺方向の桁部材で、自立式ラックユニット22の支柱36を取り付ける。制振ダンパー30は、自立式ラック20側のプレート40と、建屋一体式ラック12側のプレート38,38間に、粘弾性体42を配置したものである。プレート38,40や粘弾性体42は、鉛直面内で自動倉庫の短辺方向に平行に配置され、一対のプレート38,38間に一対の粘弾性体42,42を介して、プレート40を挟み込む構造にしてある。このため制振ダンパー30は、自動倉庫10の短辺方向に働く振動エネルギーを選択的に吸収する。また43は隙間で、プレート40がプレート38,38に対して鉛直方向に上下動できるようにするための隙間である。
【0020】
制振ダンパー30は、粘弾性体42等が鉛直面内で自動倉庫の短辺方向に平行に配置されているので、自動倉庫の長手方向の振動には制振効果がほとんどない。しかし前記のように、自動倉庫は長手方向よりも短辺方向の制振が重要なので、長手方向の振動への制振効果は低くても良い。次に制振ダンパー30は、自動倉庫の短辺方向の振動エネルギーと、鉛直方向の振動エネルギーを吸収して制振できる。自立式ラックと建屋一体式ラックとで、水平面内で自動倉庫の短辺方向への固有振動周期などが異なると、鉛直方向の振動が制振ダンパー30に加わる。ここで、制振ダンパー30を鉛直方向の振動エネルギーを吸収できるようにしておくと、このような鉛直方向の振動エネルギーも吸収できる。さらに制振ダンパー30には鉛直方向の隙間43があるので、自立式ラックと建屋一体式ラックとの鉛直方向の振動で、プレート40がプレート38側の基部44に衝突して破損するおそれが少ない。
【0021】
なお粘弾性体42の材質には高分子の粘弾性体などを用いればよい。実施例では、プレート40を自立式ラック20側に、プレート38,38を建屋一体式ラック12側に設けたが、プレート38,40の配置を上下逆転しても良い。制振ダンパー30は、実施例で示した粘弾性体42を用いるものに限らず、オイルダンパーを用いたものや、軟鋼の塑性変形などを用いたものなどでも良い。
【0022】
実施例の自動倉庫では、建屋一体式ラックと自立式ラックとでほぼ重量が均衡し、かつこれらがいずれもトラス構造の剛性の高い構築物であることを利用して、その間に制振ダンパーを配置することにより、大きな制振効果を得ることができる。また建屋一体式ラックと自立式ラックとは互いに独立した構築物であるため、両者を剛に結合せずに、制振ダンパー30を介して接続して相対的に振動させても、悪影響は生じない。さらに制振ダンパーの設置個所をこれらの上部とすると、効率的に振動エネルギーを吸収することができる。
【0023】
実施例の制振ダンパーによる制振効果を、シミュレーションした。解析方法として、NewMarkβ法による時刻歴応答解析を用い、モデルには等価せん断モデルを用いた。次に自動倉庫への入力の地震波として適当な過去の地震波を用い、高さ約20mの自動倉庫に対して、粘弾性ダンパーの有無による自立式ラックの変位量を比較した。結果を図5に示す。建屋一体式ラックと自立式ラックとの間に粘弾性ダンパーを設けると、地震時の変位を40%程度に減少させることができ、自動倉庫の制振性を著しく高めることができることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の自動倉庫の要部断面図
【図2】実施例の自動倉庫の平面図
【図3】実施例の自動倉庫での制振ダンパー取付部を示す拡大側面図
【図4】実施例の自動倉庫での制振ダンパー取付部の拡大断面図
【図5】実施例の自動倉庫での制振特性を示す特性図
【図6】従来例の自動倉庫の要部断面図
【符号の説明】
10 自動倉庫
12 建屋一体式ラック
14 建屋一体式ラックユニット
16 外壁
18 梁
19 天井
20 自立式ラック
22 自立式ラックユニット
24 梁
26 走行スペース
28 スタッカークレーン
30 制振ダンパー
31 上部レール
32 制御部
34 桁部材
36 支柱
38,40 プレート
42 粘弾性体
43 隙間
【発明の利用分野】
この発明は自動倉庫に関し、特にその制振に関する。
【0002】
【従来技術】
自動倉庫に制振ダンパーを設置することが検討されている。例えば特開平10−265014号公報では、図6に示すように、一般倉庫1と自動倉庫2とを併設する。3は自動倉庫2の梁で、4は自動倉庫を覆う天井であり、5は自動倉庫2の外壁となる部分である。天井4や外壁5は一般倉庫1と一体で、天井4と自動倉庫2との間に制振ダンパー6を設ける。
【0003】
図6の倉庫では、自動倉庫2と一般倉庫1とで振動の固有周期などが異なることを利用し、両者の間に設けた制振ダンパー6で、振動エネルギーを吸収する。ここで効率的に振動エネルギーを吸収するには、一般倉庫1に接続した天井4に十分な剛性があり、自動倉庫2に引きずられずいに、一般倉庫1と一体となって振動する必要がある。しかしながら、一般倉庫1から大きく張り出している天井4に充分な剛性を与えることは難しく、天井4は自動倉庫2に引きずられるようにして振動することが考えられ、そのため制振ダンパー6が充分に機能しないことが考えられる。
【0004】
【発明の課題】
この発明の基本的課題は、自動倉庫の制振性を高めることにある(請求項1〜4)。
請求項2,3の発明での追加の課題は、耐震性の不足しやすい自動倉庫の短辺方向への振動を、優先的に制振することにある。
請求項4の発明での追加の課題は、建屋一体式ラックと自立式ラックとの剛性をなるべくつり合わせて、効率的に制振することにある。
【0005】
【発明の構成】
この発明の自動倉庫は、建屋一体式ラックの内側に、自立式ラックを前記建屋一体式ラックとは独立した構築物として立設し、かつ前記自立式ラックと建屋一体式ラックとを制振ダンパーを介して接続したものである(請求項1)。
【0006】
好ましくは、前記制振ダンパーを自立式ラックの上部付近と建屋一体式ラックの上部付近との間に、かつ自動倉庫の短辺方向に働く振動エネルギーを吸収するように配設する(請求項2)。
特に好ましくは、前記制振ダンパーを、ほぼ鉛直な面内で自動倉庫の短辺方向にほぼ平行に配置した、立式ラック側のプレートと粘弾性体と建屋一体式ラック側のプレートとで構成する(請求項3)。
【0007】
また好ましくは、建屋一体式ラックと自立式ラックとの内で、自重の軽い方を優先して物品を入庫するように制御する制御手段を設ける(請求項4)。
【0008】
【発明の作用と効果】
この発明では、建屋一体式ラックの内側に、自立式ラックを独立した構築物として立設し、両者を制振ダンパーを介して接続する。建屋一体式ラックも自立式ラックも剛性の高いトラス構造の構築物であり、しかも重量が互いに匹敵するので、これらを制振ダンパーを介して接続すると、制振ダンパーに大きな振動が伝達され、大きな制振効果を得ることができる。また建屋一体式ラックと自立式ラックは独立した構築物なので、互いに依存せずに自立しており、制振ダンパーで接続しても悪影響は生じない(請求項1〜4)。
【0009】
請求項2の発明では、制振ダンパーを自立式ラックの上部付近と建屋一体式ラックの上部付近との間に設けるので、制振ダンパーを容易に設置することができる。自動倉庫は一般に、長辺方向よりも短辺方向での耐震性に問題があるが、制振ダンパーを自動倉庫の短辺方向に働く振動エネルギーを吸収するように配設するので、自動倉庫の短辺方向の耐震性を向上させることができる。
ここで、請求項3の発明のように、制振ダンパーを、ほぼ鉛直な面内で自動倉庫の短辺方向にほぼ平行に配置した、自立式ラック側のプレートと粘弾性体と建屋一体式ラック側のプレートとで構成すると、自動倉庫の短辺方向に働く振動エネルギーを優先的に吸収できる。
【0010】
請求項4のように、建屋一体式ラックと自立式ラックとの内で、自重の軽い側を優先して物品を入庫するように制御すると、両者の重量をなるべく均衡させて振動エネルギーをより効率的に吸収できる。
【0011】
【実施例】
図1〜図5に実施例を示す。これらの図において、10は自動倉庫で、12は建屋一体式ラックで、左右一対の建屋一体式ラックユニット14,14を備え、建屋一体式ラックユニット14,14の外側には外壁16が取り付けてある。また左右の建屋一体式ラックユニット14,14は梁18により接続され、その上部に天井19を設けてある。建屋一体式ラックユニット14,14はトラス構造で、適当な高さ毎に水平材で支柱間を連結し、また建屋一体式ラックユニット14の短辺方向(図1の左右方向)にも、長辺方向(図1の紙面に直角な方向)にも、ブレスなどで補強してある。
【0012】
建屋一体式ラック12の内側には、自立式ラック20を設けてあり、これは建屋一体式ラック12とは構造上も強度上も独立した構築物である。自立式ラック20は、複数の自立式ラックユニット22を梁24で連結したものである。自立式ラックユニット22も適当な高さ毎に水平材で支柱間を水平方向に接続し、短辺方向にも長辺方向にも、ブレスなどにより補強してある。実施例では複数の自立式ラックユニット22を組み合わせて自立式ラック20としたが、極端な場合、左右の建屋一体式ラックユニット14,14と向き合った、一対の自立式ラックユニットで自立式ラックとしても良い。建屋一体式ラック12は、自立式ラック20に比べてラックのユニットの数が少ない分だけ軽量であるが、外壁に加わる風圧などに耐える必要があるため、自立式ラック20に比べて剛性が高くなるようにしてある。
【0013】
ラックユニット14,22間や、ラックユニット22,22間には、走行スペース26を設けてスタッカークレーン28などの移載装置を走行させる。梁18,24間に、例えば粘弾性体を用いた制振ダンパー30を設け、自立式ラック20と建屋一体式ラック12との間の振動エネルギーを吸収するように配置する。制振ダンパー30は、自立式ラック20の個々の支柱ではなく、自立式ラック20全体に剛に取り付けられた部分に設けることが好ましく、梁24に取り付けると自立式ラック20の振動が制振ダンパー30に効率的に伝わり好ましい。次に梁24の上部には建屋一体式ラック12側の梁18があり、梁18には建屋一体式ラック12の振動が加わるので、制振ダンパー30を梁18,24間に設けると、両者の振動が途中で減衰せずに制振ダンパー30に伝わり、効果的に制振できる。制振ダンパー30の好ましい設置位置は、自立式ラック20や建屋一体式ラック12の上部付近で、かつこれらが互いに近接した場所である。
【0014】
建屋一体式ラック12や自立式ラック20との間の振動は、上部の位置ほど一般に著しいので、これらの上部に制振ダンパー30を設けることにより、効率的に振動エネルギーを吸収できる。またこれらの間の間隔が大きい場合、制振ダンパー30の取付が難しくなるばかりでなく、建屋一体式ラック12と自立式ラック20との間の振動エネルギーが制振ダンパー30に加わる前に、取付部材の弾性変形で吸収されることがある。このような場合、効率的に制振を行うことができない。
【0015】
また制振ダンパー30は、建屋一体式ラック12や自立式ラック20の剛性の高い部分に取り付けることが好ましく、剛性の低い部分に取り付けると、制振ダンパーに振動が加わる前に振動が減衰することがある。以上のような理由で、制振ダンパー30は、建屋一体式ラック12の梁18と、自立式ラックユニット22を連結する梁24との間に設けることが好ましい。これ以外に、制振ダンパー30は、建屋一体式ラックユニット14と左右の自立式ラックユニット22,22の間の、上部レール31の付近に設けても良い。なお上部レール31は、スタッカークレーン28の走行を上側からガイドするためのものである。
【0016】
32は自動倉庫10の制御部で、実施例の場合、自立式ラックユニット22は4ラックあり、建屋一体式ラックユニット14は2ラックなので、自立式ラックユニット22の方がやや自重が大きい。なお建屋一体式ラックユニット14には外壁16や天井19などが設けられているので、自立式ラック20と建屋一体式ラック12との重量比は、2:1よりは小さな値となる。そこで制御部32は、自重の小さな建屋一体式ラックユニット14を優先して物品を入庫するようにし、建屋一体式ラック12と自立式ラック20との重量をなるべく均衡させて、効率的に制振できるようにする。
【0017】
図2に示すように、自動倉庫10には長辺方向と短辺方向とがあり、ラックユニット14,22はトラス構造の構築物で、短辺方向にも長辺方向にもブレスなどにより補強してある。しかしながらラックユニット14,22の耐震性は、長辺方向に比べて短辺方向で劣るので、制振ダンパー30は短辺方向の振動を優先して吸収するように配置することが好ましい
【0018】
実施例では、梁18,24が向き合う箇所毎に制振ダンパー30を設けたが、制振ダンパー30の設置個数は任意である。また実施例では、自動倉庫10の中央部で梁18が高くなる形状にしてあるので、左右方向で梁18が高くなる前後の位置と、自立式ラック20側の梁24との対向部に、制振ダンパー30を設けた。
【0019】
図3,図4に、制振ダンパー30の取付を示すと、34は自立式ラック20での長辺方向の桁部材で、自立式ラックユニット22の支柱36を取り付ける。制振ダンパー30は、自立式ラック20側のプレート40と、建屋一体式ラック12側のプレート38,38間に、粘弾性体42を配置したものである。プレート38,40や粘弾性体42は、鉛直面内で自動倉庫の短辺方向に平行に配置され、一対のプレート38,38間に一対の粘弾性体42,42を介して、プレート40を挟み込む構造にしてある。このため制振ダンパー30は、自動倉庫10の短辺方向に働く振動エネルギーを選択的に吸収する。また43は隙間で、プレート40がプレート38,38に対して鉛直方向に上下動できるようにするための隙間である。
【0020】
制振ダンパー30は、粘弾性体42等が鉛直面内で自動倉庫の短辺方向に平行に配置されているので、自動倉庫の長手方向の振動には制振効果がほとんどない。しかし前記のように、自動倉庫は長手方向よりも短辺方向の制振が重要なので、長手方向の振動への制振効果は低くても良い。次に制振ダンパー30は、自動倉庫の短辺方向の振動エネルギーと、鉛直方向の振動エネルギーを吸収して制振できる。自立式ラックと建屋一体式ラックとで、水平面内で自動倉庫の短辺方向への固有振動周期などが異なると、鉛直方向の振動が制振ダンパー30に加わる。ここで、制振ダンパー30を鉛直方向の振動エネルギーを吸収できるようにしておくと、このような鉛直方向の振動エネルギーも吸収できる。さらに制振ダンパー30には鉛直方向の隙間43があるので、自立式ラックと建屋一体式ラックとの鉛直方向の振動で、プレート40がプレート38側の基部44に衝突して破損するおそれが少ない。
【0021】
なお粘弾性体42の材質には高分子の粘弾性体などを用いればよい。実施例では、プレート40を自立式ラック20側に、プレート38,38を建屋一体式ラック12側に設けたが、プレート38,40の配置を上下逆転しても良い。制振ダンパー30は、実施例で示した粘弾性体42を用いるものに限らず、オイルダンパーを用いたものや、軟鋼の塑性変形などを用いたものなどでも良い。
【0022】
実施例の自動倉庫では、建屋一体式ラックと自立式ラックとでほぼ重量が均衡し、かつこれらがいずれもトラス構造の剛性の高い構築物であることを利用して、その間に制振ダンパーを配置することにより、大きな制振効果を得ることができる。また建屋一体式ラックと自立式ラックとは互いに独立した構築物であるため、両者を剛に結合せずに、制振ダンパー30を介して接続して相対的に振動させても、悪影響は生じない。さらに制振ダンパーの設置個所をこれらの上部とすると、効率的に振動エネルギーを吸収することができる。
【0023】
実施例の制振ダンパーによる制振効果を、シミュレーションした。解析方法として、NewMarkβ法による時刻歴応答解析を用い、モデルには等価せん断モデルを用いた。次に自動倉庫への入力の地震波として適当な過去の地震波を用い、高さ約20mの自動倉庫に対して、粘弾性ダンパーの有無による自立式ラックの変位量を比較した。結果を図5に示す。建屋一体式ラックと自立式ラックとの間に粘弾性ダンパーを設けると、地震時の変位を40%程度に減少させることができ、自動倉庫の制振性を著しく高めることができることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の自動倉庫の要部断面図
【図2】実施例の自動倉庫の平面図
【図3】実施例の自動倉庫での制振ダンパー取付部を示す拡大側面図
【図4】実施例の自動倉庫での制振ダンパー取付部の拡大断面図
【図5】実施例の自動倉庫での制振特性を示す特性図
【図6】従来例の自動倉庫の要部断面図
【符号の説明】
10 自動倉庫
12 建屋一体式ラック
14 建屋一体式ラックユニット
16 外壁
18 梁
19 天井
20 自立式ラック
22 自立式ラックユニット
24 梁
26 走行スペース
28 スタッカークレーン
30 制振ダンパー
31 上部レール
32 制御部
34 桁部材
36 支柱
38,40 プレート
42 粘弾性体
43 隙間
Claims (4)
- 建屋一体式ラックの内側に、自立式ラックを前記建屋一体式ラックとは独立した構築物として立設し、かつ前記自立式ラックと建屋一体式ラックとを制振ダンパーを介して接続した自動倉庫。
- 前記制振ダンパーを自立式ラックの上部付近と建屋一体式ラック上部付近との間に、かつ自動倉庫の短辺方向に働く振動エネルギーを吸収するように配設したことを特徴とする、請求項1の自動倉庫。
- 前記制振ダンパーを、ほぼ鉛直な面内で自動倉庫の短辺方向にほぼ平行に配置した、自立式ラック側のプレートと粘弾性体と建屋一体式ラック側のプレートとで構成したことを特徴とする、請求項2の自動倉庫。
- 建屋一体式ラックと自立式ラックとの内で、自重の軽い方を優先して物品を入庫するように制御する制御手段を設けたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの自動倉庫。
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