JP2004009888A - ワイヤハーネスの車体固定構造および固定方法 - Google Patents

ワイヤハーネスの車体固定構造および固定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワイヤハーネスの配策容易性を向上させる。
【解決手段】自動車のアウターパネル11あるいはインナーパネル12に設けられた電線ガイド部12b−1に沿ってワイヤハーネスW/Hを配策し、電線ガイド部12b−1とワイヤハーネスW/Hとを接着剤13で固定している。また、アウターパネル11は樹脂成形品からなると共にインナーパネル12は繊維強化樹脂成形品からなり、電線ガイド部(凹部)12b−1にワイヤハーネスW/Hを接着させる接着剤13と、アウターパネル11とインナーパネル12とを接着固定する接着剤13とは同一種類としている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤハーネスの車体固定構造および固定方法に関し、詳しくは、車体を構成するアウターパネルあるいはインナーパネルに対してワイヤハーネスをシンプルな構造で固定するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のドア等は、金属製のアウターパネルとインナーパネルとからなる車体パネルに送電用のワイヤハーネスを配策し、更に室内側内面をトリムで覆うことにより形成されている。
例えば、ハッチバック式自動車のテールゲート(最後部のドア)の場合、部品メーカーから供給されるアウターパネル及びインナーパネルからなるドアパネルに、ハイマウントストップランプ、ワイパー、リア熱線、キースイッチ等に電力を供給するためのワイヤハーネスを、カーメーカーの製造ラインにおいて配策している。
つまり、カーメーカーの本ラインで、ワイヤハーネスのドアパネルの貫通穴への挿通作業や、ワイヤハーネスに締結されたクランプをパネル孔へ係止して位置決めする作業や、ワイヤハーネスに外装されたグロメットをパネルの貫通穴に取り付ける作業等を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ワイヤハーネスを車体パネルに配策する作業は、ワイヤハーネスに所要間隔をあけてバンドクランプを巻き付け係止し、或いは基板型クランプをテープ巻き固定し、これら多数のクランプを車体パネルのパネル孔に挿入係止する等して位置決め固定を行っているため、ワイヤハーネス固定のために多くの部品点数や作業工程が掛かる問題があった。
【0004】
また、ワイヤハーネスを車体パネルに沿わせて配策していると、間隔をあけてクランプで係止しているため、車両の振動時にワイヤハーネスがばたついて異音を生じる問題があった。そこで、防音・保護用の弾性チューブや弾性シート等の外装材をワイヤハーネスに取り付けて異音防止対策を施しているが、これら外装材の取付手数が掛かると共に部品点数も増大し、かつ、ワイヤハーネスが大径化して配索スペースが確保しにくくなる等の問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、アウターパネルとインナーパネルから構成される車体パネルへのワイヤハーネスの配策容易性を向上させると共に、車体振動によるワイヤハーネスの異音を防止することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、自動車のアウターパネルあるいはインナーパネルに設けられた電線ガイド部に沿ってワイヤハーネスを配策し、上記電線ガイド部とワイヤハーネスとを接着剤で固定していることを特徴とするワイヤハーネスの車体固定構造を提供している。
【0007】
上記固定構造とすると、上記接着剤でワイヤハーネスをアウターパネルあるいはインナーパネルの電線ガイド部に接着するだけでワイヤハーネスを車体パネルに配策することができるので、従来必要としていたワイヤハーネスにクランプを取り付ける工程や、該クランプを車体パネルのパネル孔に挿入係止する工程等が廃止でき、大幅な作業工程の削減が可能となる。また、クランプ等の固定用部品が不要になるので、部品点数の大幅削減にもなる。
さらに、従来のクランプによる固定では、パネル側に予め穿設した穴にクリップ部を係止するため、固定箇所は設計時に決定されているため、位置ずれが発生しないようにクランプ取付位置の精度を高める必要があるが、接着剤を用いることで、任意の箇所に自由にワイヤハーネスを接着固定作業を行うことができ、作業のフレキシビリティが高くなる。
【0008】
上記アウターパネルは樹脂成形品からなると共に上記インナーパネルは繊維強化樹脂成形品からなり、これらアウターパネルとインナーパネルとが接合されて接着剤で固定され、該接合で形成されるアウターパネルとインナーパネルに囲まれた中空部に上記電線ガイド部を設け、
上記電線ガイド部に上記ワイヤハーネスを接着させる接着剤と、上記アウターパネルとインナーパネルとを接着固定する接着剤とは同一種類としている。
【0009】
上記構成とすると、アウターパネルとインナーパネルとの接合と、上記電線ガイド部へのワイヤハーネスの接着とを同一種類の接着剤で行っているので、製造ラインにおける作業者は、接着剤を異なるものに持ち替える必要がなく、ワイヤハーネスの接着からパネル同士の接合へとスムーズに作業を行うことができるので、作業性が向上する。
また、接着剤の塗布作業を、ロボットを用いることによって、より正確な位置に定量的に塗布することが可能になり、作業工程が安定するので品質確保ができる。
【0010】
上記接着剤は、具体的には、ポリウレタン、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、熱硬化性アクリル樹脂、ポリイミドあるいは/およびシリコン樹脂等を含む加熱により硬化が促進される接着剤としている。
【0011】
このように、加熱により硬化が促進される接着剤を用いることで、加熱処理を施すことにより多数の接着箇所を一括して接着固定でき、作業性をより高めることあできる。しかも、接着剤を塗布する作業中には未だ硬化していない状態となるので、作業者が接着位置を多少ミスしても、その時点で容易に修正することができる。
【0012】
上記電線ガイド部は、上記アウターパネルあるいは上記インナーパネルの内面より突出したリブに切り込んだ凹部からなり、該凹部に上記ワイヤハーネスを載置し、上記接着剤により上記ワイヤハーネスを上記リブに接着固定する構成としている。
【0013】
上記構成とすると、上記接着剤によりワイヤハーネスをアウターパネルあるいはインナーパネルに接着する前に、ワイヤハーネスを上記電線ガイド部に布線する作業で、ワイヤハーネスを凹部に位置決めしながら布線していくことができるので、ワイヤハーネスの布線作業の作業性が良好となる。
さらに、ワイヤハーネスは上記パネル内面より突出したリブの上に架け渡して配策しパネル面より浮かせているので、車両振動時にワイヤハーネスに振動が伝わっても、ワイヤハーネスのバタツキによる異音を防止することができる。よって、防音・保護用の弾性体をワイヤハーネスに外装する必要もなくなり、部品点数の低減および作業性の向上が図られると共に、外装材が無いことでワイヤハーネス外径も小さくなり配策レイアウトも容易になる。
【0014】
あるいは、上記電線ガイド部は上記アウターパネルあるいは上記インナーパネルの内面より突設したリブにより形成された樋形状の通路からなり、該通路内に上記ワイヤハーネスを挿通し、上記通路開口側あるいは通路側底面に上記接着剤を充填してワイヤハーネスを上記アウターパネルあるいはインナーパネルに接着固定している。
【0015】
上記構成とした場合には、ワイヤハーネスを布線する電線ガイド部を樋形状の通路とすることで、ワイヤハーネスを安定して通路内に収容し易く、布線作業の作業性が良好となる。なお、ワイヤハーネス布線後に充填する接着剤は、長手方向に間欠的に充填すれば良いが、連続的に接着剤を充填してもよい。
【0016】
また、上記樋形状の電線ガイド部となる通路は、上記アウターパネルあるいはインナーパネルの側壁から間隔をあけてリブを突設して、該リブと上記側壁との間に上記通路を形成し、上記ワイヤハーネスを側壁内面に沿って配策することが好ましい。
上記構成によると、桶形状の通路を構成する両側壁の一方をアウターパネルあるいはインナーパネルの側壁を利用しているので、上記リブは他方の側壁の分だけ設ければよい。
【0017】
上記固定構造の用途として、自動車のドアパネルを上記アウターパネルとインナーパネルで形成し、上記ドアパネルの内部に上記ワイヤハーネスを上記接着剤で接着固定している。
また、上記ドアパネル(テールゲート、サイドドア)の他にも、ボンネット、ルーフ、トランクリッド等にも好適に用いられる。
【0018】
また、本発明は、樹脂成形品のアウターパネルあるいはガラス繊維強化された樹脂成形品のインナーパネルにワイヤハーネスを布線した後、加熱により硬化が促進される接着剤で該ワイヤハーネスを上記一方のパネルに仮接着すると共に、上記アウターパネルと上記インナーパネルとを上記接着剤を介在させて合致させ、
この状態から加熱処理を施すことにより、上記アウターパネルと上記インナーパネルとの接合、及び、上記ワイヤハーネスと上記アウターパネルあるいはインナーパネルとの接着固定を同時に行うことを特徴とするワイヤハーネスの車体固定方法を提供している。
【0019】
上記固定方法によれば、アウターパネルとインナーパネルとの接合と、ワイヤハーネスとアウターパネルあるいはインナーパネルとの接着を同じ接着剤で行っているので、仮接着工程の作業性が向上すると共に、パネル間に介在した接着剤とワイヤハーネスをパネルへ仮接着した接着剤とを加熱により同時に一括して硬化させることができ、作業工程を大幅に削減できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4は第1実施形態を示す。
図1は、ハッチバック式自動車のテールゲート(最後部のドア)10を示す。テールゲート10は、樹脂成形品からなるアウターパネル11の開口部にガラスGを接合すると共に、アウターパネル11の内面側に繊維強化樹脂成形品からなるインナーパネル12を接合して形成している。
【0021】
アウターパネル11は、スポイラー(空気抵抗調整板)やガーニッシュ(飾り板)を組み込んだ金型に樹脂を流し込んで一体成形しており、また、インナーパネル12はガラス繊維をポリプロピレン等の樹脂に混ぜたものである繊維強化樹脂で一体成形している。
【0022】
図2は、テールゲート10のピラー部分の断面を示し、樋形状のインナーパネル12とアウターパネル11とで形成される中空部にワイヤハーネスW/Hを配策している。
インナーパネル12は、図3(A)に示すように、断面凹形状の樋部12aの内面側に補強用のリブ12bを間隔をあけて突出させており、リブ12bの中央には、ワイヤハーネスW/Hの位置決め用の凹部12b−1を切り欠いている。
【0023】
ワイヤハーネスW/Hは、図3(B)に示すように、数本の電線を束ねて所要位置に仮結束用兼位置決め用のテープTを巻き付けており、テープTを目印としてワイヤハーネスW/Hをインナーパネル12のリブ12bの凹部12b−1に位置決めしながら布線していく。(なお、テープTを目印として利用しなくてもよい。)
【0024】
次いで、図3(C)に示すように、ワイヤハーネスW/Hを加熱により硬化が促進される接着剤13でリブ12bに仮接着する。
接着剤13は、図4(A)(B)(C)に示すように、リブ12bに対して交差状に塗布しており、接着剤13の一端13aをリブ12bの一側面に当てて、他端13bをリブ12bの他側面に当てることにより、接着剤13がリブ12bを挟持する構造となり接着強度が向上する。
さらに、接着剤13の両端13a、13bは、リブ12bの側面に面当たりしているので、接着面積が大となり接着強度がより向上する。
【0025】
なお、上記加熱により硬化が促進される接着剤13としては、ポリウレタン、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、熱硬化性アクリル樹脂、ポリイミドあるいは/およびシリコン樹脂等の熱硬化性接着剤が挙げられ、特に、ウレタン系接着剤が好適に用いられる。
【0026】
上記ワイヤハーネスW/Hが布線されたインナーパネル12に、ワイヤハーネスW/Hをリブ12bに仮接着した接着材13と同種の接着剤13を介在させてアウターパネル11を貼り合わせると共に、ガラスGも同種の接着剤13を介在させてアウターパネル11に貼り付ける。
【0027】
上記状態からテールゲート10全体に、雰囲気温度が70〜140℃程になるよう加熱処理を施すことにより、接着剤13を熱硬化させ、複数の仮接着箇所を一括して本接着させる。
なお、本実施形態では、ウレタン系接着剤を用いて雰囲気温度80℃で熱硬化させており、ワイヤハーネスW/Hに耐熱性のもの用いずに汎用のワイヤハーネスを用いることを可能にしている。
【0028】
上記固定構造とすると、接着剤13でワイヤハーネスW/Hをインナーパネル12のリブ12bに接着するだけでワイヤハーネスW/Hをインナーパネル12に配策することができるので、従来必要としていたワイヤハーネスにバンドクランプを巻き付ける工程や、該バンドクランプを車体パネルのパネル孔に挿入係止する工程等が廃止でき大幅な作業工程の削減が可能となる。また、バンドクリップ等の固定用部品が不要になるので、部品点数の大幅削減にもなる。
【0029】
また、アウターパネル11とインナーパネル12との接合と、リブ12bへのワイヤハーネスW/Hの接着とを同一種類の接着剤13で行っているので、製造ラインにおける作業者は、接着剤13を異なるものに持ち替えずにワイヤハーネスW/Hの接着からパネル11、12同士の接合へとスムーズに作業を行うことができ作業性が向上すると共に、接着剤13の品種低減にもなる。
【0030】
さらに、加熱により硬化が促進される接着剤13を用いることで、加熱処理を施すだけで多数の接着箇所を一括して接着固定でき、非常に作業性が良好となる。しかも、接着剤13を塗布する作業中には完全には硬化していないので、接着位置を多少ミスしても、その時点で容易に修正できる。
【0031】
また、ワイヤハーネスW/Hをリブ12bに布線する作業では、ワイヤハーネスW/Hを凹部12b−1に位置決めしながら布線できるので、ワイヤハーネスW/Hの布線作業の作業性が良好となると共に、接着剤13を上から塗布していく作業においてもワイヤハーネスW/Hがズレないことにより作業性が向上する。
しかも、ワイヤハーネスW/Hはインナーパネル12の内面より突出したリブに架け渡して配策し、インナーパネル12およびアウターパネルのパネル面から浮かせているので、車両の振動がワイヤハーネスW/Hに伝わり難く、また、伝わったとしてもパネル面に当たることがなく異音を防止することもできる。
加えて、インナーパネル12(あるいはアウターパネル11)の製造において、リブ12bなどをまとめて一体成形するので、パネル成形後の加工が不要となり、作業工数も削減される。
【0032】
なお、上記固定構造を有するアウターパネルの用途として、上述のテールゲートの外板として用いる他にも、ドア、ボンネット、ルーフ、トランクリッド等に用いても好適である。
また、本実施形態ではインナーパネル12側にワイヤハーネスW/Hの固定構造を設けているが、アウターパネル11側に設けてもよい。
また、アウターパネル側を繊維強化樹脂成形品とし、インナーパネル側を樹脂成形品としてもよい。
【0033】
図5および図6は第2実施形態を示す。
本実施形態のインナーパネル22は、図6(A)に示すように、樋形状の樋部22aの底面22a−1より長手方向にリブ22bを突出させている。
【0034】
リブ22bと樋部22aの側面22a−2との間に形成される空間を電線ガイド部となる電線収容部Aとし、図6(B)に示すように、電線収容部AにワイヤハーネスW/Hを布線して、ワイヤハーネスW/Hの上からリブ22bごと接着剤13を間欠的に塗布して仮接着させる。
【0035】
あとは、第1実施形態と同様にして、図5に示すように、インナーパネル22に同種の接着剤13を介してアウターパネル11を貼り合わせると共に、ガラスGを同種の接着剤13を介してアウターパネル11に貼り合わせて仮接着する。上記状態からテールゲート全体に、雰囲気温度が70〜140℃程になるよう加熱処理を施すことにより、接着剤13を熱硬化させ、複数の仮接着箇所を一括して本接着させる。
【0036】
上記構成とすると、ワイヤハーネスW/Hを布線する電線収容部Aが樋形状の通路であるので、ワイヤハーネスW/Hを安定して通路内に収容し易く、布線作業の作業性が良好となる。
また、桶形状の電線収容部Aを構成する両側壁の一方をインナーパネル22の側壁22a−2を利用しているので、リブ22bは他方の側壁の分だけ設ければよい。
【0037】
図7は第3実施形態を示す。
第1実施形態との相違点は、インナーパネル32の樋部32aの内面側に突設する補強用のリブ32bに1本の突起32b−1を設けて電線ガイド部としている点である。
【0038】
ワイヤハーネスW/Hのインナーパネル32への固定は、ワイヤハーネスW/Hを突起32b−1にガイドさせて位置決めした状態で、その上から接着剤13を塗布することで行っている。
上記構成とすると、リブ32b−1を1本のみとしているので、ワイヤハーネスW/Hの外径が変化してもインナーパネル32側を変更せずに対応できる利点がある。
なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0039】
図8は第4実施形態を示す。
第1実施形態との相違点は、インナーパネル42の樋部42aの内面側に突設する補強用のリブ42bに2本の突起42b−1、42b−2を間隔をあけて設けている点である。
【0040】
ワイヤハーネスW/Hのインナーパネル42への固定は、ワイヤハーネスW/Hを2本の突起42b−1、42b−2の間の空間に嵌め込んで位置決めした状態で、その上から接着剤13を塗布することで行っている。
上記構成とすると、2本の突起42b−1、42b−2によりワイヤハーネスW/Hをサイドから規制することができるので、接着剤13を塗布する前の布線工程の作業性が良好となる利点がある。
なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0041】
図9は第5実施形態を示す。
第1実施形態との相違点は、インナーパネル52の樋部52aの内面側にリブを設けていない点である。
ワイヤハーネスW/Hのインナーパネル52への固定は、インナーパネル52の樋部52aの底面52a−1に、直接、ワイヤハーネスW/Hを載置した状態で、その上から接着剤13を塗布することで行っている。つまり、インナーパネル52の底面52a−1を電線ガイド部としている。
なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、上記接着剤でワイヤハーネスをアウターパネルあるいはインナーパネルに接着するだけでワイヤハーネスを車体パネルに配策することができるので、作業工程および部品点数の大幅な削減を図ることができる。また、アウターパネルとインナーパネルとの接合と、上記電線ガイド部へのワイヤハーネスの接着とを同一種類の接着剤で行うことで、製造ラインにおいて異なる接着剤を使い分ける必要がないので作業性が向上する。
【0043】
さらに、上記接着剤として、加熱により硬化が促進される接着剤を用いることで、一度の加熱処理により多数の接着箇所を一括して接着固定でき、非常に作業効率が良くなる。しかも、接着剤を塗布する作業中には未だ硬化していない状態となるので、作業者が接着位置を多少ミスしても、その時点で修正すること可能になる。
【0044】
また、電線ガイド部の構成として、パネル内面より突出したリブに切り込んだ凹部に上記ワイヤハーネスを載置する構成とすると、ワイヤハーネスを布線する作業を凹部に位置決めしながら行うことができるので作業性が良好となる。しかも、ワイヤハーネスはリブ上に架け渡してパネル面より浮かせているので、車両振動時の異音を防止することができる。
あるいは、電線ガイド部を樋形状の通路としても、ワイヤハーネスを安定して通路内に収容し易く布線作業の作業性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のテールゲートを示す斜視図である。
【図2】図1のI−I線断面図である。
【図3】(A)はインナーパネルの要部斜視図、(B)はワイヤハーネス接着後の要部斜視図である。
【図4】(A)はワイヤハーネス接着後の平面図、(B)は縦断面図、(C)は横断面図である。
【図5】第2実施形態の断面図である。
【図6】(A)はインナーパネルの要部斜視図、(B)はワイヤハーネス接着後の要部斜視図である。
【図7】第3実施形態のワイヤハーネス接着後の縦断面図である。
【図8】第4実施形態のワイヤハーネス接着後の縦断面図である。
【図9】第5実施形態のワイヤハーネス接着後の縦断面図である。
【符号の説明】
10    テールゲート
11    アウターパネル
12    インナーパネル
12a   樋部
12b   リブ
12b−1 凹部(電線ガイド部)
13    接着剤
A     電線収容部(電線ガイド部)
G     ガラス
W/H   ワイヤハーネス

Claims (8)

  1. 自動車のアウターパネルあるいはインナーパネルに設けられた電線ガイド部に沿ってワイヤハーネスを配策し、上記電線ガイド部とワイヤハーネスとを接着剤で固定していることを特徴とするワイヤハーネスの車体固定構造。
  2. 上記アウターパネルは樹脂成形品からなると共に上記インナーパネルは繊維強化樹脂成形品からなり、これらアウターパネルとインナーパネルとが接合されて接着剤で固定され、該接合で形成されるアウターパネルとインナーパネルに囲まれた中空部に上記電線ガイド部を設け、
    上記電線ガイド部に上記ワイヤハーネスを接着させる接着剤と、上記アウターパネルとインナーパネルとを接着固定する接着剤とは同一種類としている請求項1に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
  3. 上記接着剤は、ポリウレタン、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、熱硬化性アクリル樹脂、ポリイミドあるいは/およびシリコン樹脂等を含む加熱により硬化が促進される接着剤としている請求項1に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
  4. 上記電線ガイド部は、上記アウターパネルあるいは上記インナーパネルの内面より突出したリブに切り込んだ凹部からなり、該凹部に上記ワイヤハーネスを載置し、上記接着剤により上記ワイヤハーネスを上記リブに接着固定する構成としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
  5. 上記電線ガイド部は上記アウターパネルあるいは上記インナーパネルの内面より突設したリブにより形成された樋形状の通路からなり、該通路内に上記ワイヤハーネスを挿通し、上記通路開口側あるいは通路側底面に上記接着剤を充填してワイヤハーネスを上記アウターパネルあるいはインナーパネルに接着固定している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
  6. 上記アウターパネルあるいはインナーパネルの側壁から間隔をあけてリブを突設して、該リブと上記側壁との間に上記通路を形成し、上記ワイヤハーネスを側壁内面に沿って配策している請求項5に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
  7. 自動車のドアパネルを上記アウターパネルとインナーパネルで形成し、上記ドアパネルの内部に上記ワイヤハーネスを接着剤で接着固定している請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
  8. 樹脂成形品のアウターパネルあるいはガラス繊維強化された樹脂成形品のインナーパネルにワイヤハーネスを布線した後、加熱により硬化が促進される接着剤で該ワイヤハーネスを上記一方のパネルに仮接着すると共に、上記アウターパネルと上記インナーパネルとを上記接着剤を介在させて合致させ、
    この状態から加熱処理を施すことにより、上記アウターパネルと上記インナーパネルとの接合、及び、上記ワイヤハーネスと上記アウターパネルあるいはインナーパネルとの接着固定を同時に行うことを特徴とするワイヤハーネスの車体固定方法。
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