JP2004009841A - 先行車追従制御装置 - Google Patents

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Takeshi Ishizu
石津 健
Takenori Hashizume
橋詰 武徳
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Abstract

【課題】先行車追従シーンにおいて先行車の速度が一定せず、相対速度検出値が変動した場合でも、自車速の変動を抑えて乗員に与える不快感を解消することができる先行車追従制御装置を提供すること。
【解決手段】相対速度検出値△V及び自車速Vとから先行車との車間距離指令値Lを決定する車間距離指令値決定部110と、車間距離検出値Lが車間距離指令値Lに一致するよう制動力及び駆動力を制御する車速制御手段200と、を備えた先行車追従制御装置において、前記車間距離指令値決定部110は、相対速度検出値△Vの変動を抑制する処理を施すヒステリシス処理しきい値決定部112及び相対速度ヒステリシス処理値演算部113を有し、該相対速度ヒステリシス処理値演算部113からの相対速度ヒステリシス処理値△Vhysを車間距離指令値Lの演算に用いた。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車が存在するとき、ドライバーがセットした車速を上限とし、先行車との車間距離を保ちながら追従走行する先行車追従制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、先行車追従制御装置としては、例えば、特開2000−135934号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この従来公報には、自車速Vと相対速度検出値△Vと運転者が設定した車間時間dTとによって車間距離指令値Lを算出し、車間距離検出値Lが車間距離指令値Lに追従するように車速指令値Vcomを決定している。そして、車速制御部において、車速指令値Vcomに自車速Vが追従するように制駆動力を制御する装置が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の先行車追従制御装置にあっては、車間距離指令値LがL=(V+△V)×dT(但し、(V+△V)は先行車の速度を示す。)として計算されるため、先行車の速度が一定せず、相対速度検出値△Vが変動した場合、車間距離指令値Lも変動してしまう。
【0005】
そして、従来装置は、車間距離検出値Lが車間距離指令値Lに追従するように車速指令値Vcomを決定しているため、車速指令値Vcomも変動してしまうことになり、乗員に不快感を与える可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、先行車追従シーンにおいて先行車の速度が一定せず、相対速度検出値が変動した場合でも、自車速の変動を抑えて乗員に与える不快感を解消することができる先行車追従制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、相対速度及び自車速とから先行車との車間距離指令値を決定する車間距離指令値決定手段と、車間距離検出値が車間距離指令値に一致するよう制動力及び駆動力を制御する制駆動力制御手段と、を備えた先行車追従制御装置において、
前記車間距離指令値決定手段は、相対速度検出値の変動を抑制する処理を施す相対速度処理部を有し、該相対速度処理部からの相対速度処理値を車間距離指令値の演算に用いた。
【0008】
ここで、「相対速度処理値」とは、相対速度検出値の変動を抑制する処理を施す部をいい、例えば、相対速度検出値に対し不感帯幅を設定したヒステリシス処理値や、相対速度検出値に対するフィルタ処理値や、相対速度検出値に対する変化率リミッタ処理値等をいう。
【0009】
【発明の効果】
よって、本発明の先行車追従制御装置にあっては、車間距離指令値決定手段において、相対速度検出値の変動を抑制する処理を施した相対速度処理値を車間距離指令値の演算に用いたため、先行車追従シーンにおいて先行車の速度が一定せず、相対速度検出値が変動した場合でも、自車速の変動を抑えて乗員に与える不快感を解消することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の先行車追従制御装置を実現する実施の形態を、請求項1,2,3,4,5,6に係る発明に対応する第1実施例に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施例)
[全体構成]
図1及び図2は第1実施例の車速・車間を自動制御する先行車追従制御装置を示す全体図である。図1において、1は車間距離センサ(車間距離検出手段)、2は車速センサ(自車速検出手段)、3は車速指令最大値設定部、4は車間時間設定部(車間距離設定手段)、5はスロットルアクチュエータ、6は自動ブレーキアクチュエータ、7はトランスミッションアクチュエータ、100は先行車追従制御手段、200は車速制御手段(制駆動力制御手段)である。
【0012】
また、前記先行車追従制御手段100において、110は車間距離指令値決定部(車間距離指令値決定手段)、120は目標車間距離演算部、130は前置補償車速指令値演算部、140は車間制御車速指令値演算部、150は車速指令値決定部、160は車間制御フィードバック定数決定部である。
【0013】
前記車間距離センサ1は、レーザや電波を利用したものであり、反射波により先行車との車間距離Lと相対速度検出値△Vを検出する。
【0014】
前記車速センサ2は、タイヤの回転数等から自車速Vを検出する。
【0015】
前記車速指令最大値設定部3は、運転者が車速を設定する操作部であり、設定された車速を車速指令最大値Vsmaxとして出力する。
【0016】
前記車間時間設定部4は、運転者が車間時間dTを設定する操作部であり、設定された車間時間dTを出力する。先行車との車間距離を近く設定するほど、車間時間dTは小さな値とされる。
【0017】
前記スロットルアクチュエータ5は、スロットルバルブ開度指令値にしたがってエンジンのスロットルバルブを調節する。
【0018】
前記自動ブレーキアクチュエータ6は、ブレーキ液圧指令値にしたがってブレーキ液圧を調節する。
【0019】
前記トランスミッションアクチュエータ7は、変速比指令値にしたがって変速機の変速比を調節する。なお、変速機は、有段変速機でも無段変速機でも良い。
【0020】
前記先行車追従制御手段100は、車間距離センサ1からの車間距離L及び相対速度検出値△Vと、車速センサ2からの自車速Vと、運転者が任意に設定した車速指令最大値Vsmaxと、運転者が任意に設定した車間時間dTとを入力し、これらの情報に基づいて車速指令値Vcomを演算し、演算結果である車速指令値Vcomを車速制御部200に出力する。
【0021】
前記車速制御手段200は、車速センサ2からの自車速Vを車速指令値Vcomに一致させるためのスロットルバルブ開度指令値,ブレーキ液圧指令値,変速比指令値を演算し、スロットルアクチュエータ5,自動ブレーキアクチュエータ6,トランスミッションアクチュエータ7を制御する。この車速制御部100には、フィードバック制御手法やロバストモデルマッチング手法等、種々の制御手法をを用いることができる。
【0022】
[先行車追従制御手段]
先行車追従制御手段100は、図1に示すように、車間距離指令値決定部110、目標車間距離演算部120、前置補償車速指令値演算部130、車間制御車速指令値演算部140、車速指令値決定部150、車間制御フィードバック定数決定部160から構成されている。
【0023】
この先行車追従制御手段100では、車間距離センサ1が先行車を認識していない場合には、運転者が設定した車速指令最大値Vsmaxを車速指令値Vcomとして車速制御手段200へ出力する。
【0024】
一方、車間距離センサ1が先行車を検出した場合には、車間距離指令値決定部110において、自車速Vと、車速指令最大値Vsmaxと、車間時間dTとに基づいて、車間距離演算値を求め、車速指令最大値Vsmaxを上限として、自車速Vに応じた車間距離を保つ車速値を車速指令値Vcomとして車速制御手段200へ出力する。
【0025】
以下、車間距離指令値決定部110、目標車間距離演算部120、前置補償車速指令値演算部130、車間制御車速指令値演算部140、車速指令値決定部150、車間制御フィードバック定数決定部160の構成を説明する。
【0026】
《車間距離指令値決定部》
車間距離指令値決定部110は、図3に示すように、車間制御定常状態判定部111と、ヒステリシス処理しきい値決定部112(相対速度処理部)と、相対速度ヒステリシス処理値演算部113(相対速度処理部)と、車間距離指令値演算部114と、から構成される。以下、これらの構成要素についてその構成を説明する。
【0027】
〈車間制御定常状態判定部〉
前記車間制御定常状態判定部111は、図4に示すように、相対速度検出値△Vによって車間制御が定常状態であるか、過渡状態であるかを判定する。
定常状態判定フラグfSTATが0の場合は、過渡状態と判断してヒステリシス処理を停止し、相対速度検出値△Vに基づいて、車間距離指令値Lを算出する。
定常状態判定フラグfSTATが1の場合は、定常状態と判定してヒステリシス処理を実行し、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysに基づいて車間距離指令値Lを算出する。
【0028】
〈ヒステリシス処理しきい値決定部〉
ヒステリシス処理しきい値決定部112は、運転者が任意に設定した車間時間dTと自車速Vを入力とし、ヒステリシス処理しきい値Whysを出力する。
つまり、図5に示すように、自車速Vが高くなるほどヒステリシス処理しきい値Whysを大きく設定する(請求項4のヒステリシス処理しきい値決定部)。また、自車速Vが同じであるならば、車間時間dTが長くなるほど(=車間距離が遠くなるほど)、ヒステリシス処理しきい値Whysを大きく設定する(請求項3のヒステリシス処理しきい値決定部)。
【0029】
〈相対速度ヒステリシス処理値演算部〉
相対速度ヒステリシス処理値演算部113は、相対速度検出値△V、ヒステリシス処理しきい値Whys、車間距離指令値Lの前回値、車間距離検出値L、定常状態判定フラグfSTATを入力とし、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysを出力する。
【0030】
〈車間距離指令値演算部〉
車間距離指令値演算部114は、自車速Vと車間時間dTと相対速度ヒステリシス処理値△Vhysとを入力し、下記の(1)式、
=(V+△Vhys)×dT                  ...(1)
を用いて車間距離指令値Lを算出する。
【0031】
《目標車間距離演算部》
目標車間距離演算部120は、先行車を認識した直後の相対速度△V及び車間距離Lを初期値とし、入力を車間距離指令値Lとした下記の(2)式のフィルタ、
Figure 2004009841
ただし、ωnT;目標車間距離応答の固有振動数であり設計者が任意に設定
ζ;目標車間距離応答の減衰係数であり設計者が任意に設定
を用いて目標車間距離Lと目標相対速度Vを算出する。
【0032】
《車間制御車速指令値演算部》
車間制御車速指令値演算部130は、車速制御手段200の伝達特性と積分器からなる逆系と(2)式で表される目標車間距離応答伝達特性の積からなる下記の(3)式、
Figure 2004009841
を用いて補正車速指令値Vcを算出する。
【0033】
なお、補正車速指令値Vcの演算時における初期値は、(2)式と同様に、先行車を認識した直後の相対速度△V及び車間距離Lを初期値とする。
【0034】
《車間制御車速指令値演算部》
車間制御車速指令値演算部140は、車間距離検出値Lと、自車速Vと、相対速度検出値△Vと、目標車間距離Lと、目標相対速度△Vと、フィードバック定数f,fと、補正車速指令値Vcにより下記の(4)式、
(t)=V(t)+△V(t)−Vc(t)−{L(t)−L(t)}・f−{△V(t)−△V(t)}・f...(4)
を用いて車間制御車速指令値Vを算出する。
【0035】
《車速指令値決定部》
車速指令値決定部150は、車間制御車速指令値Vと車速指令最大値Vsmaxを比較し、小さい方の値を車速指令値Vcomとする。
【0036】
《車間制御フィードバック定数決定部》
車間制御フィードバック定数決定部160は、図6に示すように、フィードバック系減衰係数決定部161と、フィードバック系固有振動数決定部162と、車間制御フィードバック定数算出部163とから構成される。
【0037】
目標車間距離Lから車間距離検出値Lまでの伝達関数は、下記の式(5)、
DB(s)={ω DB・(TVB・s+1)}/{s+2・ζDB・ωnDB・s+ω DB} ...(5)
ただし、ζDB=(f+1)/(2√f・T):車間制御フィードバック系の減衰係数
ωnDB=√(f/T):車間制御フィードバック系の固有振動数
VB=f/f:車間制御フィードバック系の零点相当の値
により記述することができる。
【0038】
[車速制御手段]
車速指令値Vcomを入力とし、出力を車速センサ2とした場合の伝達特性は、所定の伝達特性Gが確保されており、(6)式の伝達特性で表される。
Figure 2004009841
これは、図8に示すように、公知の線形制御手法であるモデルマッチング手法と近似ゼロイング手法による車速フィードバック補償器を用いて行う。車速フィードバック補償器に組み込まれた制御対象の車両モデルは、駆動力指令値dFCを操作量とし、車速Vを制御量としてモデル化することによって、車両のパワートレインの挙動は、図10で示す簡易非線形モデルで表すことができる。
【0039】
そして、例えば、図9に示すような、予め計測されたエンジン非線形定常特性マップを用いて駆動力指令値dFCに実駆動力dFAが一致するようなスロットル開度指令値を算出したり、エンジンの負の駆動力では足りない制動力を変速やブレーキで補うように配分する。このように、スロットル開度,変速,ブレーキ圧をコントロールすることにより、エンジン非線形定常特性等を線形化することができる。
【0040】
したがって、駆動力指令値dFCを入力とし、車速Vを出力とする車両モデルは、下記の(7)式に示すように積分特性となる。
Figure 2004009841
ただし、m;車両質量
;パワートレイン系の遅れによる無駄時間
つまり、制御対象の特性には、パワートレイン系の遅れによる無駄時間Lも含まれることになり、使用するアクチュエータやエンジンによって無駄時間Lの値は変化する。
【0041】
図8において、C(s)、C(s)は近似ゼロイング手法による外乱推定器であり、外乱やモデル化誤差による影響を抑制する。さらに、C(s)はモデルマッチング手法による補償器であり、車速指令値Vcomを入力とし実車速Vを出力とした場合の制御対象の応答特性を、予め定めた一次遅れと無駄時間要素を持つ所定の伝達特性G(s)の特性に一致させる。
【0042】
このとき、補償器C(s)は次式で表される。
Figure 2004009841
すなわち、補償器C(s)は、時定数THVのローパスフィルタと無駄時間Lからなる。ここで、無駄時間Lは車間制御フィードバック定数決定部160で設定された値に基づき決定する。
【0043】
補償器C(s)は、C(s)/P(s)として次式で表される。
Figure 2004009841
また、制御対象の無駄時間を無視して、規範モデルG(s)を時定数Tの1次ローパスフィルタとすると、補償器C(s)は次のような定数となる。
Figure 2004009841
ただし、時定数Tは車間フィードバック定数決定部160で設定された値に基づき決定する。
【0044】
以上の補償器C(s),C(s),C(s)から、次式により駆動力指令値dFC(t)が算出される。
【0045】
Figure 2004009841
そして、駆動力指令値dFC(t)が実現されるように、スロットル開度、変速、ブレーキ圧をコントロールする。
【0046】
次に、作用を説明する。
【0047】
[車間制御定常状態判定動作]
上記車間制御定常状態判定部111の動作を図11のフローチャートにより説明する。
【0048】
ステップS1では、定常状態判定フラグfSTATに基づき、車間制御が定常状態か否かを判断する。定常状態(fSTAT=1)であると、判断した場合にはステップS2へ進み、過渡状態(fSTAT=0)であると判断した場合にはステップS4へ進む。
【0049】
ステップS2では、相対速度検出値絶対値|△V|が過渡状態判定しきい値以上であるか否かを判断する。|△V|がしきい値以上の場合は、過渡状態であると判断し、ステップS3へ進む。|△V|がしきい値未満の場合は、定常状態であると判断し、処理を終了する。
【0050】
ステップS3では、定常状態判定フラグfSTATをクリアして現在の車間制御状態を過渡状態とする。
【0051】
ステップS4では、相対速度検出値絶対値|△V|が定常状態判定しきい値未満であるか否かを判断する。なお、定常状態判定しきい値は過渡状態判定しきい値より小さな値に設定する(図4)。|△V|がしきい値未満の場合は、ステップS5へ進む。|△V|がしきい値以上の場合は、ステップS6へ進む。
【0052】
ステップS5では、車間制御が過渡状態から定常状態へ移行したと判断して定常状態判定カウンタをカウントアップし、ステップS7へ進む。
【0053】
ステップS6では、車間制御が過渡状態であると判断してカウンタをクリアし、処理を終了する。
【0054】
ステップS7では、|△V|<定常状態判定しきい値の状態が所定時間連続しているか否かを判断する。定常状態判定カウンタが判定時間以上の場合は、ステップS8へ進む。判定時間未満の場合は処理を終了する。
【0055】
ステップS8では、定常状態判定フラグfSTATを1として現在の車間制御状態を定常状態とする。また、定常状態判定カウンタをクリアする。
【0056】
よって、図4に示すように、相対速度検出値絶対値|△V|が過渡状態判定しきい値を1回でも超えた場合は、図11のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進み、ステップS3では、車間制御過渡状態と判定し、定常状態判定フラグfSTATを0とする。
【0057】
また、相対速度検出値絶対値|△V|が定常状態判定しきい値未満となる状態が所定時間連続した場合には、図11のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS4→ステップS5→ステップS7→ステップS8へ進み、ステップS8では、車間制御状態を定常状態と判定し、定常状態判定フラグfSTATを1とする。
【0058】
[相対速度ヒステリシス処理値演算動作]
相対速度ヒステリシス処理値演算部113の動作を、図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0059】
ステップS1では、定常状態判定フラグfSTATが1(定常状態)であるか否かを判断する。FSTAT=1である場合はステップS2へ進む。FSTAT=0(過渡状態)である場合は、ステップS11へ進み、相対速度検出値△Vを相対速度ヒステリシス処理値△Vhysとして更新する。
【0060】
ステップS2では、相対速度検出値△Vが0以上であるか否かを判断する。相対速度検出値△Vが0以上の場合は、ステップS3へ進む。相対速度検出値△Vが0未満の場合は、ステップS7へ進む。
【0061】
ステップS3では、相対速度検出値△Vと相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの差分値(△V−△Vhys)が、ヒステリシス処理しきい値Whysより大きいか否かを判断する。△V−△Vhys>Whysの場合は、ステップS4へ進む。△V−△Vhys≦Whysの場合は、ステップS5へ進む。
【0062】
ステップS4では、相対速度検出値△Vからヒステリシス処理しきい値Whysを差し引いた値を相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの値として更新する。
【0063】
ステップS5では、相対速度検出値△Vと相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの差分値(△V−△Vhys)が0未満であるか否かを判断する。△V−△Vhys<0の場合は、ステップS6へ進む。△V−△Vhys≧0の場合は、ステップS12へ進み、ステップS12では、車間距離偏差抑制処理が実行される。車間距離偏差抑制処理については後述する。
【0064】
ステップS6では、相対速度検出値△Vを相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの値として更新する。
【0065】
ステップS7では、相対速度検出値△Vと相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの差分値(△V−△Vhys)が−Whys(ヒステリシス処理しきい値Whysに−1を掛けた値)未満であるか否かを判断する。△V−△Vhys<−Whysである場合には、ステップS8へ進む。△V−△Vhys≧−Whysである場合は、ステップS9へ進む。
【0066】
ステップS8では、相対速度検出値△Vにヒステリシス処理しきい値Whysを加えた値を相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの値として更新する。
【0067】
ステップS9では、相対速度検出値△Vと相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの差分値が0より大きいか否かを判断する。△V−△Vhys>0である場合には、ステップS10へ進む。△V−△Vhys≦0である場合は、ステップS13へ進み、ステップS13では、車間距離偏差抑制処理が実行される。車間距離偏差抑制処理については後述する。
【0068】
ステップS10では、相対速度検出値△Vを相対速度ヒステリシス処理値△Vhysとして更新する。
【0069】
図13に相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの算出例を示す。この図13はヒステリシス処理しきい値Whysを5、定常状態判定フラグfSTATを1(定常状態)と設定した場合の例である。
【0070】
相対速度検出値△Vの変化が5以下の場合は、図13(0〜80t[s])に示す通り、相対速度検出値△V=相対速度ヒステリシス処理値△Vhysとなり、変動しない。
【0071】
相対速度検出値△Vの変化が5より大きい場合は、図13(80〜140t[s])に示す通り、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの変化量は相対速度検出値△Vに比べて5(=Whys)だけ小さくなる。このように、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの変動量は、相対速度検出値△Vの変動量より小さくなる。
【0072】
[車間距離偏差抑制処理動作]
次に、車間距離偏差抑制処理の動作を、図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0073】
ステップS1では、車間距離偏差絶対値|L−L|とヒステリシス処理解除しきい値TH_Lerrの比較を行う。ヒステリシス処理解除しきい値TH_Lerrは、図15に示すように、自車速VAによって決定され、自車速VAが大きくなるほどヒステリシス処理解除しきい値TH_Lerrの値は大きな値が設定される。このステップS1において、|L−L|>TH_Lerrが成立する場合は、ステップS2へ進む。
【0074】
ステップS2では、相対速度検出値△Vを相対速度ヒステリシス処理値△Vhysとして更新する。
【0075】
なお、ステップS1において、|L−L|>TH_Lerrが成立しない場合は、相対速度ヒステリシス処理値△Vhys=前回の相対速度ヒステリシス処理値△Vhysとして、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysの値を保持する。
【0076】
[先行車との車間距離設定作用]
先行車との車間距離設定作用を、車間距離偏差抑制処理を行わずに相対速度ヒステリシス処理値を求める場合(図16)と、車間距離偏差抑制処理を行ない相対速度ヒステリシス処理値を求める第1実施例の場合(図12及び図14)と、の比較により説明する。
【0077】
まず、図17は図16に示すフローチャートにより相対速度ヒステリシス処理値△Vhysを演算した場合の動作を示すタイムチャートである。このタイムチャートは、図17(a)に示すように、時刻t[s]=5.0で捕捉された先行車は、時刻t[s]=50.0まで一定走行を行っている。そして、時刻t[s]=50.0からt[s]=65.0まで徐々に減速し、時刻t[s]=65.0以降は再び一定走行している。
【0078】
先行車の減速により、図17(b)に示すように、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysと相対速度検出値△Vとの間に偏差が生じる。しかし、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysと相対速度検出値△Vとの偏差の絶対値|△Vhys−△V|がしきい値Whys以下の場合、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysは、前回値保持となる。
【0079】
よって、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysと相対速度検出値△Vの偏差が継続してしまい、図17(d)に示すように、車間距離指令値Lと車間距離検出値Lの偏差が拡大してしまう。この車間距離指令値Lと車間距離検出値Lとの偏差の拡大により、先行車と自車との近づき過ぎや離れ過ぎが発生してしまう。
【0080】
これに対し、図18は図12及び図14に示すフローチャートにより相対速度ヒステリシス処理値△Vhysを演算した場合の動作を示すタイムチャートである。このタイムチャートは、図17の場合と同様に、時刻t[s]=5.0で捕捉された先行車は、時刻t[s]=50.0まで一定走行を行っている。そして、時刻t[s]=50.0からt[s]=65.0まで徐々に減速し、時刻t[s]=65.0以降は再び一定走行している。
【0081】
先行車の減速により、図18(c)に示すように、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysと相対速度検出値△Vとの間に偏差が生じる。しかし、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysと相対速度検出値△Vとの偏差がヒステリシス処理解除しきい値TH_Lerr(図18(e)では2.0[m]に設定)を超えた時点で、△Vhys=△Vとするため、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysと相対速度検出値△Vの偏差の拡大を防止することができる。
【0082】
つまり、車間距離偏差抑制処理を実行することにより、先行車と自車との近づき過ぎや離れ過ぎを防止することが可能となる。
【0083】
[先行車の車速変動時]
図19及び図20に先行車が80[km/h]を中心に3[km/h]の幅で車速変動した場合の例を示す。なお、過渡状態判定しきい値は10[km/h]、定常状態判定しきい値は1[km/h]、定常状態判定時間は1秒、ヒステリシス処理しきい値Whysは6[km/h]と設定した。
【0084】
まず、図19(a)に示すように、先行車の車速は、時刻50[s]付近から80[km/h]を中心に3[km/h]の幅で変動している。図19(b)は、相対速度検出値△Vと相対速度ヒステリシス処理値△Vhysを示している。相対速度検出値△Vの車速変動が、ヒステリシス処理しきい値Whys以下の3[km/h]であるため、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysは0[km/h]で一定である。よって、図19(c)に示すように、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysに基づいて算出された車間距離指令値は約40[m]で一定に保たれる。
【0085】
図20(a)は、車速指令値について比較した図である。ヒステリシス処理を施すことによって車速指令値の変動幅が縮小されていることがわかる。よって、図20(b)に示すように、自車速の変動幅も縮小され、運転者に与える違和感を低減することができる。
【0086】
自車速Vが大、または、車間時間dTが大の場合のように、車間距離指令値が大きくなるような場合は、ヒステリシス処理しきい値Whysをより大きな値とすることで、先行車の車速変化をより受け難くすることができる。
【0087】
逆に、自車速Vが小、または、車間時間dTが小の場合のように、車間距離指令値が小さい場合は、ヒステリシス処理しきい値Whysをより小さな値とすることにより、先行車の車速変化に反応し易くすることができる。
【0088】
[割込発生時]
次に、図21及び図22に基づいて、先行車が自車の前に割り込む割込発生時の挙動について説明する。
【0089】
図21(a)に示すように、時刻5[s]にて割込が発生し、先行車速度が100[km/h]から80[km/h]となった場合、図21(b)に示すように、相対速度検出値△Vは、0[km/h]から−20[km/h]となる。つまり、相対速度検出値△Vの絶対値が、過渡状態判定しきい値10[km/h]を超えているため、図21(c)に示すように、定常状態判定フラグfSTATは1から0となる。つまり、相対速度検出値△Vの絶対値が1[km/h]未満に収束するまでは過渡状態と判定し、ヒステリシス処理は実行されない。
【0090】
よって、図22に示すように、先行車の割込に対してヒステリシスが無い場合と同一の動作をすることが可能となる。
【0091】
次に、効果を説明する。
第1実施例の先行車追従制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0092】
(1)相対速度検出値△V及び自車速Vとから先行車との車間距離指令値Lを決定する車間距離指令値決定部110と、車間距離検出値Lが車間距離指令値Lに一致するよう制動力及び駆動力を制御する車速制御手段200と、を備えた先行車追従制御装置において、前記車間距離指令値決定部110は、相対速度検出値△Vの変動を抑制する処理を施す相対速度処理部112,113を有し、該相対速度処理部112,113からの相対速度ヒステリシス処理値△Vhysを車間距離指令値Lの演算に用いたため、先行車追従シーンにおいて先行車の速度が一定せず、相対速度検出値△Vが変動した場合でも、自車速Vの変動を抑えて乗員に与える不快感を解消することができる。
【0093】
(2)相対速度処理部は、相対速度検出値△Vに対し不感帯値として取り扱う限界値であるヒステリシス処理しきい値Whysを決定するヒステリシス処理しきい値決定部112と、相対速度検出値△Vとヒステリシス処理しきい値Whysとを入力し、今回の相対速度ヒステリシス処理値△Vhysを演算する相対速度ヒステリシス処理値演算部113と、を有し、相対速度ヒステリシス処理値演算部113は、
i)△V≧0の場合
△V−△Vhys>Whysであるならば、△Vhys=△V−Whysとし、
△V−△Vhys<0であるならば、△Vhys=△Vとし、
0≦△V−△Vhys≦Whysであるならば、△Vhysは前回値を保持する。
ii)△V<0の場合
△V−△Vhys>−Whysであるならば、△Vhys=△V+Whysとし、
△V−△Vhys>0であるならば、△Vhys=△Vとし、
−Whys≦△V−△Vhys≦0であるならば、△Vhysは前回値を保持する。
により、今回の相対速度ヒステリシス処理値△Vhysを演算するため、先行車追従シーンにおいて先行車の速度が一定せず、相対速度検出値△Vが変動した場合でも、変動幅がヒステリシス処理しきい値Whys以下であれば、相対速度ヒステリシス処理値△Vhysは変動しない。よって、車速指令値Vcomは変動しないため、。自車速VAも変動せず、乗員に不快感を与えてしまうことはない。また、相対速度検出値△Vが急変した場合は、速やかに車間距離指令値Lを変更できるため、「先行車に自車が置いていかれる」、「先行車との車間が詰まり過ぎる」といった違和感を運転者に与えることなく追従制御を実行できる。
【0094】
(3)運転者のセット操作により車間時間dTを設定する車間時間設定部4を設け、ヒステリシス処理しきい値決定部112は、車間時間(車間距離)が長くなるほど大きなヒステリシス処理しきい値Whysを決定するようにしたため、設定車間距離を「大」としての追従走行している場合は、設定車間距離を「小」と設定している場合よりヒステリシス処理しきい値Whysを大きく設定することで、先行車の速度変動をより受け難くなり、自車速Vを一定に保っての走行が容易となる。
【0095】
つまり、設定車間距離を「大」としての追従走行している場合は、設定車間距離を「小」として追従走行している場合に比べて車間距離が長いため、運転者の車間距離変動に対する許容範囲が大きくなる。しかも、設定車間距離を「小」としている場合に比べてヒステリシス処理しきい値Whysを大きく設定しても「先行車に自車が置いていかれる」、「先行車との車間が詰まり過ぎる」といった違和感を運転者に与えることはない。
【0096】
(4)ヒステリシス処理しきい値決定部112は、自車速Vが高くなるほど大きなヒステリシス処理しきい値Whysを決定するようにしたため、自車速Vを高くして追従走行している場合は、自車速Vが低い場合よりヒステリシス処理しきい値Whysを大きく設定することで、先行車の速度変動をより受け難くなり、自車速Vを一定に保っての走行が容易となる。
【0097】
つまり、自車速Vが高くなるほど車間距離を長くして追従走行しているため、運転者の車間距離変動に対する許容範囲が大きくなる。しかも、自車速Vが低い場合に比べてヒステリシス処理しきい値Whysを大きく設定しても「先行車に自車が置いていかれる」、「先行車との車間が詰まり過ぎる」といった違和感を運転者に与えることはない。
【0098】
(5)車間距離指令値決定部110に、相対車速検出値△Vに基づいて車間制御が定常状態であると判定する車間制御定常状態判定部111を設け、車間距離指令値決定部110は、車間制御定常状態判定部111により車間制御が定常状態であると判定された時にのみ相対速度ヒステリシス処理値△Vhysを用いた車間距離指令値Lの決定を実行するようにしたため、先行車の認識直後や、先行車の入れ替わり後、等のように、相対速度検出値△Vが大きくなるような場合、過渡状態と判定され、相対速度検出値△Vが0近傍に収束するまでヒステリシス処理しきい値Whysを0とすることで、速やかに応答することが可能となる。
【0099】
また、相対速度検出値△Vが0近傍に収束することで定常状態と判定された場合には、ヒステリシス処理しきい値Whysを所定の値に設定して、相対速度検出値△Vにヒステリシス処理を施すため、先行車の速度変動の影響を受けず、一定速度での走行が可能となる。
【0100】
(6)車間距離指令値決定部110は、以下の条件を全て満足する場合、
・車間制御定常状態
・△V≧0、且つ0≦△V−△Vhys≦Whys、
または、△V<0、且つ−Whys≦△V−△Vhys≦0
・|L−L|>TH_Leer
ここで、L:車間距離指令値、L:車間距離検出値、TH_Leer:ヒステリシス処理解除判定しきい値(自車速Vによって決定される)
相対速度ヒステリシス処理値△Vhysを相対速度検出値△Vとしてヒステリシスを解除するため、先行車追従中において、相対速度偏差絶対値(=|△V−△Vhys|)<ヒステリシス処理しきい値Whysが所定時間連続しても、車間距離偏差(=|L−L|)をヒステリシス処理解除判定しきい値TH_Leer以内に収めることが可能となる。
【0101】
以上、本発明の先行車追従制御装置を第1実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この第1実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0102】
例えば、第1実施例では、相対速度検出値の変動を抑制する処理を施す相対速度処理部として、相対速度検出値に対し不感帯幅を設定したヒステリシス処理によるヒステリシス処理部とする例を示したが、相対速度検出値に対しフィルタ処理をするフィルタ処理部や、相対速度検出値に対し変化率リミッタ処理をする変化率リミッタ処理部としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の車速・車間を自動制御する先行車追従制御装置を示す全体図である。
【図2】第1実施例の車速・車間を自動制御する先行車追従制御装置を示す全体図である。
【図3】第1実施例装置の先行車追従制御手段の車間距離指令値決定部を示すブロック図である。
【図4】第1実施例装置の先行車追従制御手段の車間制御定常状態判定部で行われる車間制御定常状態判定動作の一例を示すタイムチャートである。
【図5】第1実施例装置の先行車追従制御手段のヒステリシス処理しきい値決定部に予め記憶されているヒステリシス処理しきい値マップを示す図である。
【図6】第1実施例装置の先行車追従制御手段の車間制御フィードバック定数決定部を示すブロック図である。
【図7】車間制御フィードバック定数決定部でのフィードバック系減衰係数マップ及び固有振動数定数マップを示す図である。
【図8】第1実施例装置の車速制御手段を示す車速フィードバック補償器の構成図である。
【図9】第1実施例装置の車速制御手段に設定されているエンジン非線形定常特性マップを示す図である。
【図10】第1実施例装置の車速制御手段における制御対象の応答特性ブロック図である。
【図11】第1実施例装置の定常状態判定部の処理内容を説明するフローチャートである。
【図12】第1実施例装置の相対速度ヒステリシス処理値演算部の処理内容を説明するフローチャートである。
【図13】相対速度検出値と相対速度ヒステリシス処理値との関係説明図である。
【図14】車間距離偏差抑制処理の内容を説明するフローチャートである。
【図15】ヒステリシス解除判定しきい値の決定マップである。
【図16】車間距離偏差抑制処理を実行しない場合の相対速度ヒステリシス処理値演算部の処理内容を説明するフローチャートである。
【図17】車間距離偏差抑制処理を実行しない場合の先行車速度、相対速度偏差、車間距離偏差を示すタイムチャートである。
【図18】車間距離偏差抑制処理を実行した場合の先行車速度、相対速度偏差、車間距離偏差を示すタイムチャートである。
【図19】先行車車速が一定の振幅で振動している場合の車速と車間距離指令値を示すタイムチャートである。
【図20】先行車車速が一定の振幅で振動している場合の車速指令値と自車速を示すタイムチャートである。
【図21】割込みが発生した場合の先行車車速、相対速度検出値、定常状態判定フラグを示すタイムチャートである。
【図22】割込みが発生した場合の車間距離指令値、車速指令値、自車速を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 車間距離センサ(車間距離検出手段)
2 車速センサ(自車速検出手段)
3 車速指令最大値設定部
4 車間時間設定部(車間距離設定手段)
5 スロットルアクチュエータ
6 自動ブレーキアクチュエータ
7 トランスミッションアクチュエータ
100 先行車追従制御手段
110 車間距離指令値決定部(車間距離指令値決定手段)
120 目標車間距離演算部
130 前置補償車速指令値演算部
140 車間制御車速指令値演算部
150 車速指令値決定部
160 車間制御フィードバック定数決定部
200 車速制御手段(制駆動力制御手段)

Claims (6)

  1. 先行車との車間距離を検出する車間距離検出手段と、
    先行車との相対速度を検出する相対速度検出手段と、
    自車の走行速度を検出する自車速検出手段と、
    前記相対速度及び自車速とから先行車との車間距離指令値を決定する車間距離指令値決定手段と、
    前記車間距離検出値が車間距離指令値に一致するよう制動力及び駆動力を制御する制駆動力制御手段と、
    を備えた先行車追従制御装置において、
    前記車間距離指令値決定手段は、相対速度検出値の変動を抑制する処理を施す相対速度処理部を有し、該相対速度処理部からの相対速度処理値を車間距離指令値の演算に用いたことを特徴とする先行車追従制御装置。
  2. 請求項1に記載された先行車追従制御装置において、
    前記相対速度処理部は、
    相対速度検出値に対し不感帯値として取り扱う限界値であるヒステリシス処理しきい値を決定するヒステリシス処理しきい値決定部と、
    相対速度検出値とヒステリシス処理しきい値とを入力し、
    ・今回の相対速度検出値と前回の相対速度ヒステリシス処理値との偏差がヒステリシス処理しきい値より大きい場合は、今回の相対速度検出値とヒステリシス処理しきい値の偏差、
    ・今回の相対速度検出値と前回の相対速度ヒステリシス処理値との偏差がマイナスの場合は、今回の相対速度検出値、
    ・上記以外の場合は、前回の相対速度ヒステリシス処理値
    を今回の相対速度ヒステリシス処理値とする相対速度ヒステリシス処理値演算部と、
    を有することを特徴とする先行車追従制御装置。
  3. 請求項2に記載された先行車追従制御装置において、
    運転者のセット操作により車間距離を設定する車間距離設定手段を設け、
    前記ヒステリシス処理しきい値決定部は、設定車間距離が長くなるほど大きなヒステリシス処理しきい値を決定することを特徴とする先行車追従制御装置。
  4. 請求項2または請求項3の何れかに記載された先行車追従制御装置において、
    前記ヒステリシス処理しきい値決定部は、自車速が高くなるほど大きなヒステリシス処理しきい値を決定することを特徴とする先行車追従制御装置。
  5. 請求項2ないし請求項4の何れかに記載された先行車追従制御装置において、
    前記車間距離指令値決定手段に、相対車速検出値に基づいて車間制御が定常状態であると判定する車間制御定常状態判定部を設け、
    前記車間距離指令値決定手段は、車間制御定常状態判定部により車間制御が定常状態であると判定された時にのみ相対速度ヒステリシス処理値を用いた車間距離指令値の決定を実行することを特徴とする先行車追従制御装置。
  6. 請求項2ないし請求項5の何れかに記載された先行車追従制御装置において、
    前記車間距離指令値決定手段は、車間距離指令値と車間距離検出値との偏差が設定偏差以上となった場合は、相対速度ヒステリシス処理を解除することを特徴とする先行車追従制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10547261B2 (en) 2014-08-29 2020-01-28 Nissan Motor Co., Ltd. Variable magnetization machine controller
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