JP2004009406A - インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間に優れると共に、噴射安定性にも優れたインクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むインクと、該インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物と、を含んで構成されるインクジェット記録用インクセットであって、前記インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下、導電率が1.0S/m以下、体積平均粒子径が200nm以下であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むインクと、該インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物と、を含んで構成されるインクジェット記録用インクセットであって、前記インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下、導電率が1.0S/m以下、体積平均粒子径が200nm以下であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等のインク吐出口から液体あるいは溶融固体等のインクを吐出する、いわゆるインクジェット方式は、小型で、安価である等の特徴から、多くのプリンターに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、あるいは、熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用した熱インクジェット方式等が高解像度、高速印字性などの観点から多く利用されている。また、インクジェットプリンターは、普通紙、インクジェット専用紙等のいわゆる紙に印字されるだけでなく、OHPシート等のフィルムあるいは布等に対しても印字することができる。
【0003】
現在、インクジェットプリンターでは高速化及び高画質化が重要な課題の一つとして挙げられている。その高速化、高画質化を達成する手段の一つとして、インク以外の液体組成物等を使用する方法が知られている。例えば、特許登録2667401号等では、カチオン性基を有する化合物を含む液体を記録媒体上に付着させた後、その液体が記録媒体に浸透し、媒体中に存在し、かつ、媒体表面から無くなった直後に、アニオン染料を含むインクを付着させて画像を形成する方法が公開されている。これは、印字後の画像の乾燥性、耐水性、耐光性だけでなく、解像度、鮮明性、シャープネス、画像濃度等の高画質化、ノズル目詰り等のプリンターの信頼性を目的にしている。
【0004】
また、特開平09−207424号公報、特開平09−234943号公報などにおいては、多価金属塩を含有する第一液及び顔料、水溶性樹脂等を含有するインクを印字するインクジェット記録方法が開示されている。但し、この方法では、噴射安定性が低下する場合が存在した。このメカニズムは明確となっていないが、インク中に遊離している水溶性樹脂が、インクのレオロジーの面で、噴射に悪影響を与えているものと推定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間に優れると共に、噴射安定性にも優れたインクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1)少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むインクと、該インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物と、を含んで構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
前記インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下、導電率が1.0S/m以下、体積平均粒子径が200nm以下であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
【0007】
(2)前記インクに高分子物質を含むことを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0008】
(3)前記顔料が、水に自己分散可能な顔料であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0009】
(4)前記液体組成物中に多価金属塩が含まれていることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0010】
(5)前記インク及び前記液体組成物の混合液中の5μm以上粗粒数が、1×103個/μl以上であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0011】
(6)前記インク及び前記液体組成物の混合液の普通紙に対する接触角の時間変化率が、5度/秒以上であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0012】
(7)前記インクの表面張力が、25mN/m以上40mN/m未満であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0013】
(8)前記インクの粘度が、1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0014】
(9)少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むインクと、該インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物と、を含んで構成されるインクジェット記録用インクセットを用い、前記インク及び前記液体組成物を記録媒体上に付与して画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下、導電率が1.0S/m以下、体積平均粒子径が200nm以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0015】
(10)前記インクに高分子物質を含むことを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0016】
(11)前記顔料が、水に自己分散可能な顔料であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0017】
(12)前記液体組成物中に多価金属塩が含まれていることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0018】
(13)前記インク及び前記液体組成物の混合液中の5μm以上粗粒数が、1×103個/μl以上であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0019】
(14)前記インク及び前記液体組成物の混合液の普通紙に対する接触角の時間変化率が、5度/秒以上であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0020】
(15)前記インクの表面張力が、25mN/m以上40mN/m未満であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0021】
(16)前記インクの粘度が、1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0022】
(17)熱インクジェット方式を用いてインク及び前記液体組成物を記録媒体上に付与することを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0023】
(18)前記記録媒体に対し、前記液体組成物を付与した後に、前記インクを付与することを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0024】
(19)前記記録媒体に対し、前記インクを付与した後に、前記液体組成物インクを付与することを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(インクジェット記録用インクセット)
本発明のインクジェット記録用インクセットは、少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むインクと、該インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物と、を含んで構成され、インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下、導電率が1.0S/m以下、体積平均粒子径が200nm以下であることを特徴とする。
【0026】
このような構成の本発明のインクジェット記録用インクセットは、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間に優れた画像を得ることができる共に、噴射安定性にも優れる。このメカニズムについては明確とはなっていないが、以下の通りであると推測される。
【0027】
インク及び液体組成物からなるインクセットを用いで印字する場合、記録媒体上にインク及び液体組成物を付与(吐出)して画像を記録するが、この際、インク及び液体組成物とは混合し、液体組成物により、インクは凝集されてインク画像が記録される。続いて、各特性と顔料の凝集の関係について具体的に説明する。
まず、光学濃度について説明する。本発明において、インクと液体組成物混合時にインク中の顔料が急速に凝集する。凝集した顔料は、記録媒体内部に浸透することが出来ずに、記録媒体表近傍に存在することになる。光学濃度は、記録媒体表面の顔料濃度に比例して高くなる傾向があるため、本発明のように顔料を記録媒体表面近傍に高密度で存在させることにより、光学濃度が高くなると考えられる。
次に、滲みについて説明する。インク中の色材は、インクの記録媒体への浸透に伴い、記録媒体中に拡散する。この時、色材の紙表面方向へのインクの広がりが滲みとなると考えられる。本発明では、液体組成物の効果により、インク中の顔料を急速に凝集させる。この凝集時に、インク中の顔料はインク液体成分から分離されるため、顔料の記録媒体への拡散が抑制される。この結果、滲みが改善されると考えられる。
最後に、色間滲みについて説明する。色間滲みは、異なる色のインクが記録媒体上で接触し、混合(混色)することによって発生すると考えられる。本発明においては、インクは液体組成物との接触時にインク中の顔料が急速に凝集するため、異なる色のインクを隣接させて印字した場合においても、異なる色間での顔料の混合(混色)が発生し難くなる。このため、本発明では色間滲みが改善されるものと考えられる。
一方、乾燥時間はインクの記録媒体中への浸透性と関係しており、乾燥時間を速くするためには、浸透性を高める必要がある。しかし、浸透性を高めると、インクの浸透に伴ない顔料も記録媒体中に浸透してしまうため、光学濃度が低下する傾向にあった。本発明では、インクと液体組成物とを記録媒体上で混合することで、インク中の顔料を急速に凝集させ、顔料と液体成分と分離させるため、浸透性の高いインクを用いた場合においても顔料を記録媒体表面近傍に存在させることが可能となる。従って、本発明においては、光学濃度を損なわずに、乾燥時間を速くすることが可能となる。
【0028】
このように、上記特定の物性を有するインクを用いることで、顔料が凝集し易くなり、顔料がベヒクルから分離し、記録媒体表面に残留するため、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間に優れた画像を得ることができる共に、噴射安定性も向上すると考えられる。
【0029】
インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下であるが、好ましくは10mV以上50mV以下であり、より好ましくは20mV以上45mV以下である。このゼータ電位の絶対値が50mVを超えるものでは、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間が低下すると共に、噴射安定性も低下する。このように、ゼータ電位絶対値が高い場合に、噴射特性が低下する理由としては、以下のように推測している。例えば、インク中に高分子物質を添加した場合、高分子物質は顔料表面において吸脱着の平衡状態にあり、特に、顔料表面の電荷密度を高くすると、静電的反発力の効果により高分子物質の顔料への吸着が阻害されると考えられる。その結果、高分子物質がインク中に存在する割合が多くなり、インクの粘弾性などの特性が変化するため、噴射特性に影響が生じるものと考えている。
【0030】
ここで、ゼータ電位絶対値は、ESA法(Electrokinetic Sonic Amplitude法)により、ESA―8000 (MatecAppliedScience社製 )を測定装置として用いて測定し、以下の計算式を用いてゼータ電位を算出した。
ゼータ電位=[ESA×η×G(α)−1]/[ε×c×△ρ×V]
ここで、ESAは単位電場当りの圧力を示しており、これは、測定により得られる値である。ηは、溶媒の粘度、G(α)−1は慣性力による補正項、εは誘電率、cは溶媒中の音速、△ρは溶媒と粒子の密度差、Vは粒子の体積分率を示す。
尚、本発明においては、温度22.0℃において、所定の測定方法に従い測定を行った。更に、ゼータ電位算出時に使用するパラメータとしては、ηとしてインクの粘度、εとして水の誘電率、cとして水中の音速、△ρとして顔料と水の密度差、Vとして顔料の体積分率を用いた。
【0031】
インクのゼータ電位は、例えば、以下のようにして調整することができる。ゼータ電位は顔料表面の電荷によって生じるポテンシャル量を表しており、顔料表面の電荷密度、及びインク中の電荷状態によって決定される。この顔料表面の電荷密度については、顔料表面での官能基量、及び、顔料表面官能基の解離状態で決まると考えられる。顔料表面での官能基量が多くなるほど、また、顔料表面官能基は解離するほど、ゼータ電位は高くなる傾向にある。具体的方法としては、水に自己分散可能な顔料を使用する場合と分散剤を用いて分散させる顔料とで方法が異なる。
【0032】
まず、水に自己分散可能な顔料の場合、顔料表面の官能基量、及び、官能基の種類は、顔料処理条件によって決定される。即ち、顔料処理時の処理方法、薬剤、処理時間などを調整することで制御することが出来る。一方、分散剤を用いた顔料の場合、顔料表面の官能基量、及び、官能基の種類は、顔料、分散剤、水溶性溶媒の組合せにより主として決定される。即ち、分散剤は顔料表面に対し疎水性相互作用により吸着している。また、水溶性溶媒には、分散剤をインク中に溶解しやすくさせ、前述した顔料と分散剤の吸着を阻害する働きを有する。
【0033】
従って、顔料表面での官能基量を大きくする為には、顔料と分散剤の親和性を高くし、逆に、水溶性溶媒と分散剤の親和性を低くする必要がある。以上の観点より、制御因子としては、顔料の一次粒径、顔料のDBP(ジブチルフタレート)吸油量、分散剤中の親水基比率、顔料と分散剤と水溶性溶媒との親和性等が挙げられる。尚、この顔料と分散剤と水溶性溶媒との親和性については、例えば、SP値(Solubility Parameter)などを指標としてを選定することが可能である。
【0034】
一方、インク中の電解質は主として2つの効果を有している。一つは、顔料表面官能基の解離における平衡状態を変化させる効果であり、電解質の種類及び添加量により解離を促進することも、阻害することも可能となる。解離を促進することで、表面電荷密度を高くすることができ、従って、ゼータ電位は高くなる。具体的には、解離を促進するためには、インクの水素イオン濃度に調整することが効果的であり、例えば、顔料表面官能基がアニオン性基である場合には、インクのpHをアルカリ性にすることが効果的である。
【0035】
電解質による二つ目の効果は、インク中におけるポテンシャルの減衰に関する効果である。インク中の電解質量が多くなるほど、ポテンシャルは減衰しやすくなるため、ゼータ電位は低下する。また、電気的二重層も薄くなるため、顔料の凝集が起こりやすくなる。
【0036】
このように、電解質には、顔料表面官能基の電離を促進する効果と、顔料表面に生じた電荷による静電的ポテンシャルを弱める効果の2つの相反する効果を有する。従って、電解質としては適切な量を添加する必要があると考えられる。
以上説明した各種因子を制御することにより、ゼータ電位を調整することが可能となる。
【0037】
インクの導電率は1.0S/m以下であるが、好ましくは、0.005S/m以上0.5S/m以下であり、より好ましくは、0.007S/m以上0.1S/m以下である。インクの導電率が1.0S/mを超える場合、噴射安定性が低下すると共に、インクの保存安定性も低下する。これは、前述したように、導電率がインクのゼータ電位を制御する因子であるためであると考える。
【0038】
ここで、導電率は、MPC227(メトラー・トレド(株)製)を用いて測定することができる。
【0039】
インクの体積平均平均粒子径は、200nm以下であるが、好ましくは10nm以上150nm以下であり、更に好ましくは、15nm以上100nm以下である。この体積平均粒子径が200nmを超えるものでは、噴射安定性が低下すると共に、インクの保存安定性も低下する。
【0040】
ここで、体積平均粒子径の測定は、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340(Leeds & Northrup社製)を用い、インク4mlを測定セルに入れ、これを測定装置にセットして測定することがでいる。なお、測定時に入力するパラメーターとして、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度には顔料の密度を入力した。
【0041】
インクについて説明する。
インクは、少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むで構成される。
顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料では、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色または淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用しても良い。また、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
【0042】
顔料として具体例には、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、
Regal400R,Regal330R,Regal660R,MogulL,Black Pearls L,Monarch700,Monarch800,Monarch880,Monarch900,Monarch1000,Monarch1100,Monarch1300,Monarch1400(以上キャボット社製)、
Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex 140U,Printex 140V,SpecialBlack 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black 4(以上デグッサ社製)、
No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)
等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
また、シアン色にはC.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色には、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−184,−202等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
黄色には、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
顔料として水に自己分散可能な顔料を用いることもできる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤の存在がなくとも水中で安定に分散する顔料のことである。具体的には、例えば、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
【0045】
この「水に自己分散可能な顔料」であるか否かを判断する基準として、以下の基準を用いた。即ち、水95質量部と顔料5質量部とを加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料を分散させ、分散液中の顔料濃度を測定する。顔料濃度測定方法としては、体積量で上から3分の1の分散液を分取し、この分散液中の顔料濃度を測定した。更に、この分散液をガラス瓶中で1日放置し、放置後の分散液に対して上述した方法により分散液中の顔料濃度を測定した。放置後の顔料濃度が放置前の顔料濃度の98%以上であるものを「水に自己分散可能な顔料」であると判断する。
【0046】
水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−253、IJX−266、IJX−444、IJX−273、IJX−55、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用できる。
【0047】
水に自己分散可能な顔料を用いた場合、長期保存性等の項目で優れる結果が得られる傾向がある。これは、水に自己分散可能な顔料は、他の添加剤による影響を受け難いためであると考えている。
【0048】
顔料は、インク質量に対し0.5から20質量%、好ましくは1から10質量%の範囲で使用される。インク中の顔料の量が0.5質量%未満の場合には、十分な光学濃度が得られない場合が存在し、顔料量が20質量%よりも多い場合には、インクの噴射特性が不安定となる場合が存在した。
【0049】
インクには、顔料を分散させるために高分子分散剤などの高分子物質を添加しても構わない。また、顔料として、水に自己分散可能な顔料を使用した場合においても、インクと液体組成物混合時の顔料凝集を加速させるために、高分子物質を添加することができる。本発明において、高分子物質としては、いわゆるオリゴマー、或いは、ポリマーのことを示し、分子量が1000以上の化合物を指す。高分子物質としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等のいずれを使用してもよく、例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの共重合体等が使用できる。
【0050】
具体的には、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0051】
上記α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独若しくは複数を共重合して得られる共重合体が高分子分散剤として使用される。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0052】
高分子物質は重量平均分子量で2000〜15000のものが好ましい。高分子物質の分子量が2000未満の場合、顔料が安定に分散しない場合が存在し、一方、分子量が15000を超える場合には、インクの粘度が高くなり、吐出性が悪化する場合が存在した。より好ましい重量平均分子量は、3500〜10000である。
【0053】
高分子物質は、インクに対して0.1〜3質量%の範囲で添加されることが好適である。この添加量が3質量%を超える場合には、インク粘度が高くなり、インクの噴射特性が不安定となる場合が存在した。一方、添加量が0.1質量%未満の場合には、顔料の分散安定性が低下する場合が存在した。特に、高分子分散剤としての添加量としては、より好ましくは0.15〜2.5質量%であり、更に好ましくは、0.2〜2質量%である。
【0054】
インクに含まれる水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることも出来る。
【0055】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用することが好ましい。水溶性有機溶媒の含有量としては、1〜60質量%、好ましくは、5〜40質量%で使用される。インク中の水溶性有機溶媒量が1質量%よりも少ない場合には、十分な光学濃度が得られない場合が存在し、逆に、60質量%よりも多い場合には、インク粘度が大きくなり、インクの噴射特性が不安定になる場合が存在した。
【0056】
インクには、界面活性剤を含ましても構わない。界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等を使用することが出来、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等のいずれを使用しても構わない。又、上記高分子分散剤を界面活性剤として使用することもできる。
【0057】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩およびスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩等が挙げられ、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ケリルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等も有効に使用される。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、脂肪族アルカノールアミド、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用できる。
【0058】
これらの中でも、顔料の分散安定性という観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。また、浸透性制御の観点より、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が特に好ましい。
【0059】
界面活性剤の添加量は、インクに対して10質量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%の範囲で使用される。添加量が10質量%以上の場合には、光学濃度、及び、顔料インクの保存安定性が悪化する場合が存在した。
【0060】
インクには、その他、インク吐出性改善等の特性制御を目的とし、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類及びその誘導体、その他水溶性ポリマー、アクリル系ポリマーエマルション、ポリウレタン系エマルション等のポリマーエマルション、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド等を用いることができる。また、導電率、pHを調整するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等を使用することが出来る。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加することができる。
【0061】
インクの表面張力は、25mN/m以上40mN/m未満であることが好ましい。より好ましくは27.5mN/m以上40mN/m未満であり、更に好ましくは30mN/m以上37.5mN/m未満である。この表面張力が25mN/m未満となるとインク浸透性が速くなり、印字順による色ムラ、光学濃度、滲みが悪化する場合がある。逆に、40mN/mを超えるとインク浸透性が遅くなり、ベタ部濃度ムラが発生する場合がある。
【0062】
ここで、表面張力は、23℃、55%RHの環境において、表面張力計(CBVP―Z/協和界面化学(株)製)を用いて測定することができる。
【0063】
インクの粘度は、1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満であることが好ましく、より好ましくは1.5mPa・s以上4.5mPa・s未満であり、更に好ましくは1.8mPa・s以上4.0mPa・s未満である。インクの粘度が6.0mPa・sより大きい場合には、インクの吐出性が低下し、信頼性が低下する場合が存在した。一方、インクの粘度が1.5mPa・sより小さい場合には、十分な光学濃度を得ることができなかった。これは、普通紙への浸透力が大きくなり、顔料が普通紙内部に浸透するためであると考えられる。
【0064】
ここで、粘度は、TVE―20L(東機産業(株)製)を測定装置として用いることができる。このとき、測定条件としては、測定温度23℃、せん断速度は750s−1とした。
【0065】
インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物について説明する。
液体組成物としては、インク中の特定成分と反応し、水難溶性の生成物を生じさせる化合物を含むものであれば構わない。表面にアニオン性基を有する色材を含有するインクに対しては、液体組成物中に電解質又はカチオン性化合物等を含有することが好ましい。本発明において有効に用いられる電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、および、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
【0066】
具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩、および、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
【0067】
一方、カチオン性化合物としては、1級、2級、3級および4級アミンおよびそれらの塩等が挙げられる。具体例としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩、ポリアミン等が挙げられ、例えば、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、ジプロピルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン重合体、モノアリルアミン重合体等が挙げられる。
【0068】
好ましい電解質としては、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸スズ、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸アルミニウム、モノアリルアミン重合体、ジアリルアミン重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体等が挙げられる。
【0069】
一方、表面にカチオン性基を有する色材を含有するインクに対しては、液体組成物中にアニオン性化合物等を含有することが好ましい。本発明において有効に用いられるアニオン化合物としては、有機カルボン酸または有機スルホン酸、およびそれらの塩等が挙げられる。具体的には、有機カルボン酸としては、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等が挙げられ、これらの基本構造を複数個有するオリゴマー、ポリマーでも構わない。また、有機スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の化合物が挙げられ、これら基本構造を複数個有するオリゴマー、ポリマーでも構わない。
【0070】
液体組成物には、上記化合物を単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、液体組成物中の上記化合物含有量としては、0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%で使用される。
【0071】
液体組成物には、インクと同様に界面活性剤を含ましても構わない。この界面活性剤については、上述したものと同様なものが挙げられる。
【0072】
本発明のインクジェット記録用インクセットにおいて、インク及び液体組成物混合液中の5μm以上粗粒数は、1×103個/μL以上であることが好ましく、より好ましくは5×103個/μL以上であり、更に好ましくは1×104個/μL以上である。インク及び液体組成物混合液中の5μm以上粗粒数が1×103個/μL未満である場合には、印字順による色ムラ、光学濃度、滲みで改善効果が低下することがある。
【0073】
ここで、インク及び液体組成物の混合液中の5μm以上粗粒数は、インクと液体組成物を質量比で1:1の割合で混合し、撹拌しながら混合液2μLを採取し、AccusizerTM 770 Optical Particle Sizer (Particle Sizing Systems社製)を用いて測定した。測定時のパラメータとして、分散粒子の密度には顔料の密度を入力した。この顔料の密度は、顔料分散液を加熱、乾燥させることによって得られた顔料紛体を比重計、または比重ビン等を用いて測定することにより求めることができるる。
【0074】
尚、本発明において、インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物とは、インクと液体組成物の質量比で1:1で混合した時に、5μm以上の粒子数が1×103個/μL以上であることが好適である。
【0075】
本発明のインクジェット記録用インクセットにおいて、インク及び液体組成物の混合液の普通紙に対する接触角時間変化率は、5度/秒以上であることが好ましく、より好ましくは5〜10度/秒、更に好ましくは5〜8度/秒である。インク及び液体組成物混合液の接触角時間変化率が5度/秒未満の場合には、インク乾燥時間が長くなる場合が存在する。
【0076】
ここで、インク及び液体組成物の混合液の普通紙に対する接触角時間変化率は、以下の測定条件に従って測定した。即ち、インクと液体組成物を質量比で1:1の割合で混合した混合液を用い、この混合液4.0μLのP紙(富士ゼロックス社製)に対する接触角の時間変化を、FIBRO 1100 DAT MKII(FIBRO system社製)装置を用いて測定した。
【0077】
なお、本発明においては、測定開始から1秒までの接触角の変化量を測定時間(1秒)で除した値を接触角の時間変化率として用いた。尚、接触角の時間変化率が大きく、測定時間が1秒未満に終了したものについては、終了時点までの接触角の時間変化率を用いた。
【0078】
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録方法は、上記本発明のインクジェット記録用インクセットを用い、インク及び前記液体組成物を記録媒体上に付与(吐出)して画像を記録する。当該方法では、記録媒体に対し、液体組成物を付与した後にインクを付与してもよいし、記録媒体に対しインクを付与した後に液体組成物を付与してもよい。ここで、インクと液体組成物は、質量比でインク1に対して液体組成物を0.1〜2の範囲で付与することが好ましい
【0079】
本発明のインクジェット記録方法では、インク及び液体組成物の吐出(付与)方式は、ヒータなどによりバブルを発生させて行うサーマル方式、圧電素子によって行うピエゾ方式のどちらでもよい。しかし、滲み及び色間滲みの改善効果という観点からサーマル方式(熱インクジェット記録方式)を採用することが好ましい。この原因は明らかとはなっていないが、吐出時にインクが加熱され、低粘度となっているが、記録媒体上でインクの温度が低下するため、粘度が急激に大きくなる。このため、滲み及び色間滲みに改善効果があると考えられる。
【0080】
本発明のインクジェット記録方法は、通常のインクジェット記録装置は勿論、インクのドライングを制御するためのヒーター等を搭載した記録装置、または、中間体転写機構を搭載し、中間体に記録材料を印字した後、紙等の記録媒体に転写する記録装置等も適用させることができる。
【0081】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0082】
[インクの作製]
下記Ink−1〜9、及びTL−1〜3の組成に従って、適量の顔料分散液に、水溶性有機溶媒、界面活性剤、イオン交換水等を適量加え、各材料が所定量含まれるように調製し、これを、混合、攪拌し、1μmフィルターをかけ、所望のインク(TL−1〜3は液体組成物)を得た。
【0083】
−顔料処理方法1−
顔料に次亜塩素酸ナトリウムで表面酸化処理を施した後、脱塩処理を行なった。このようにして得られた表面処理顔料を顔料濃度が20wt%となるようにイオン交換水中に加え、pHを7.5に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いて分散を行なった。この分散液を遠心分離装置で、遠心分離処理(8000rpm×30分)を施し、残渣部分(全量に対して20%)を除去した
【0084】
(Ink−1)
―組成―
・Cabojet−200 ・・・・5 質量%
・2−エチルヘキシルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.2質量%
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・グリセリン ・・・・5 質量%
・尿素 ・・・・4.5質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・2 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.5質量%
・水酸化ナトリウム10%水溶液 ・・・・0.5質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0085】
このインク(Ink−1)のゼータ電位は、−43mV、導電率は0.20S/m、体積平均粒子径80nm、粘度は2.1mPa・s、表面張力は31mN/mであった。
【0086】
(Ink−2)
―組成―
・IJX266 ・・・・4.5質量%
・スチレン−アクリル酸
−アクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.5質量%
・ジエチレングリコール ・・・・10 質量%
・プロピレングリコール ・・・・10 質量%
・尿素 ・・・・4.5 質量%
・ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル・・・・0.2 質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・4.5 質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0087】
このインク(Ink−2)のゼータ電位は、−11mV、導電率は0.11S/m、体積平均粒子径40nm、粘度は2.2mPa・s、表面張力は34mN/mであった。
【0088】
(Ink−3)
―組成―
・C.I.Pigment Blue 15:3 ・・・・4.5質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・スチレン−メタクリル酸 ・・・・0.15質量%
−メタクリル酸ナトリウム共重合体
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・1,5−ペンタンジオール ・・・・5 質量%
・尿素 ・・・・5 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物・・・・0.5 質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・3.0 質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0089】
このインク(Ink−3)のゼータ電位は、−38mV、導電率は0.06S/m、体積平均粒子径40nm、粘度は2.1mPa・s、表面張力は33mN/mであった。
【0090】
(Ink−4)
―組成―
・Black Pearls L ・・・・4.5質量%
・n−ブチルメタクリレート
−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.2質量%
・ジエチレングリコール ・・・・25 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.5質量%
・尿素 ・・・・4 質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・3.5質量%
・N,N’−Bis(2−hydroxyethyl)−2−aminoethasulfonic acid ・・・・0.5質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0091】
このインク(Ink−4)のゼータ電位は、−18mV、導電率は0.12S/m、体積平均粒子径90nm、粘度は2.8mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0092】
(Ink−5)
―組成―
・C.I.Pigment Yellow 128 ・・・・4 質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・スチレン―アクリル酸
−アクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.25質量%
・ジエチレングリコール ・・・・20 質量%
・尿素 ・・・・3 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.7質量%
・酢酸ナトリウム ・・・・1.5質量%
・水酸化ナトリウム10%水溶液 ・・・・0.2質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0093】
このインク(Ink−5)のゼータ電位は、−11mV、導電率は0.81S/m、体積平均粒子径180nm、粘度は2.7mPa・s、表面張力は31mN/mであった。
【0094】
(Ink−6)
―組成―
・C.I.Pigment Yellow 128 ・・・・4 質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・スチレン―メタクリル酸
−メタクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.35質量%
・ジエチレングリコール ・・・・20 質量%
・ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル ・・・・0.1質量%
・尿素 ・・・・3 質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0095】
このインク(Ink−6)のゼータ電位は、−15mV、導電率は0.12S/m、体積平均粒子径90nm、粘度は2.2mPa・s、表面張力は33mN/mであった。
【0096】
(Ink−7)
―組成―
・Black Pearls L ・・・・4.5質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・スチレン−マレイン酸
−マレイン酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.28質量%
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・トリエチレングリコール ・・・・5 質量%
・尿素 ・・・・4.5質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.2質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・6.0質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0097】
このインク(Ink−7)のゼータ電位は、−55mV、導電率は0.08S/m、体積平均粒子径35nm、粘度は2.1mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0098】
(Ink−8)
―組成―
・Special Black 4A ・・・・3.5質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・n−ブチルメタクリレート−メタクリル酸
−メタクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.1質量%
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・チオジエタノール ・・・・5 質量%
・尿素 ・・・・6 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.7質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・4 質量%
・乳酸アンモニウム ・・・・3 質量%
・水酸化ナトリウム(5%水溶液) ・・・・0.5質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0099】
このインク(Ink−8)のゼータ電位は、−6mV、導電率は1.18S/m、体積平均粒子径220nm、粘度は3.1mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0100】
(Ink−9)
―組成―
・C.I.Pigment Blue 15:4 ・・・・3.5質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・ジエチレングリコール ・・・・10 質量%
・グリセリン ・・・・5 質量%
・スルフォラン ・・・・5 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.3質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0101】
このインク(Ink−9)のゼータ電位は、−60mV、導電率は0.10S/m、体積平均粒子径70nm、粘度は2.2mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0102】
(TL−1)
―組成―
・ジエチレングリコール ・・・・20 質量%
・グリセリン ・・・・5 質量%
・硝酸マグネシウム ・・・・5 質量%
・尿素 ・・・・5 質量%
・ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル ・・・・0.6質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0103】
(TL−2)
―組成―
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・プロピレングリコール ・・・・10 質量%
・尿素 ・・・・4 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.5質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0104】
(TL−3)
―組成―
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・スルフォラン ・・・・10 質量%
・尿素 ・・・・4 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.2質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0105】
(実施例1〜7、比較例1〜3)
表1に従ったインクセットを用い、800dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを用い、液体組成物を記録媒体に付与した後に、インクを印字し、以下の評価を行なった。結果を表1〜2に示す。実施例1〜6及び比較例1〜2は一色のインクを用いて印字したものである。実施例7は4色のインクを用いて印字したものである。比較例3は2色のインクを用いて印字したものである。記録媒体としてはFX−P紙(富士ゼロックス社製)を用いた。また、以下特に記載が無い場合、印字は一般環境下(温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H)で行い、各種評価は印字後24時間一般環境下に放置した印字物に対して行った。
【0106】
−光学濃度−
100%カバレッジパターンを印字し、エックスライト404(エックスライト社製)を用いて光学濃度を測定した。評価基準は以下の通りである。
・ブラックインクの場合
◎・・・光学濃度が1.5以上
○・・・光学濃度が1.4以上
△・・・光学濃度が1.3以上1.4未満
×・・・光学濃度が1.3未満
・カラーインクの場合
◎・・・光学濃度が1.2以上
○・・・光学濃度が1.1以上
△・・・光学濃度が1.0以上1.1未満
×・・・光学濃度が1.0未満
【0107】
―滲み−
細線パターンを印字し、印字部の滲み度合いを限度見本に照合し、官能評価を行なった。評価基準は以下の通りである。
◎・・・滲みが殆ど発生していないもの
○・・・滲みが少ないもの
△・・・滲みは発生しているが、許容レベルのもの
×・・・滲みが激しく、許容範囲外のもの
【0108】
−乾燥時間−
100%カバレッジパターンを印字してから所定の時間経過後に印字パターン上に別のFX−P紙を1.9×104N/m2の荷重で押し当てる。この時、押し当てたFX−P紙側にインクが転写されなくなる時間を乾燥時間とした。評価基準は以下の通りである。
◎・・・乾燥時間が1秒未満
○・・・乾燥時間が3秒未満
△・・・乾燥時間が3秒以上5秒未満
×・・・乾燥時間が5秒以上
【0109】
−噴射安定性−
噴射安定性についてはインク噴射速度の経時変化を基準に判断した。即ち、初期状態において、インク噴射速度を測定する。その後、1×108pulse印字させた後、インク噴射速度を測定した。初期状態のインク噴射速度に対する1×108pulse印字後のインク噴射速度の比率を算出し、以下の評価基準に従って評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎・・・1×108pulse時点噴射速度が初期噴射速度の95%以上
○・・・1×108pulse時点噴射速度が初期噴射速度の90%以上
△・・・1×108pulse時点噴射速度が初期噴射速度の75%以上90%未満
×・・・1×108pulse時点噴射速度が初期噴射速度の75%未満
【0110】
−色間滲み−
色間滲みの評価は、異なる色が隣接するパターンを印字し、境界部分の滲み度合いを予め定めておいた限度見本に照合し、官能評価を行なった。評価基準は以下の通りである。
◎・・・滲みが殆ど発生していないもの
○・・・滲みが少ないもの
△・・・滲みは発生しているが、許容レベルのもの
×・・・滲みが激しく、許容範囲外のもの
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
表1〜2の結果から明らかなように、特定の範囲の物性を有するインクと、液体組成物とから構成されるインクセットを用いることで、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間が改善される共に、噴射安定性(噴射特性)も改善されることがわかる。
【0114】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間に優れると共に、噴射安定性にも優れたインクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等のインク吐出口から液体あるいは溶融固体等のインクを吐出する、いわゆるインクジェット方式は、小型で、安価である等の特徴から、多くのプリンターに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、あるいは、熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用した熱インクジェット方式等が高解像度、高速印字性などの観点から多く利用されている。また、インクジェットプリンターは、普通紙、インクジェット専用紙等のいわゆる紙に印字されるだけでなく、OHPシート等のフィルムあるいは布等に対しても印字することができる。
【0003】
現在、インクジェットプリンターでは高速化及び高画質化が重要な課題の一つとして挙げられている。その高速化、高画質化を達成する手段の一つとして、インク以外の液体組成物等を使用する方法が知られている。例えば、特許登録2667401号等では、カチオン性基を有する化合物を含む液体を記録媒体上に付着させた後、その液体が記録媒体に浸透し、媒体中に存在し、かつ、媒体表面から無くなった直後に、アニオン染料を含むインクを付着させて画像を形成する方法が公開されている。これは、印字後の画像の乾燥性、耐水性、耐光性だけでなく、解像度、鮮明性、シャープネス、画像濃度等の高画質化、ノズル目詰り等のプリンターの信頼性を目的にしている。
【0004】
また、特開平09−207424号公報、特開平09−234943号公報などにおいては、多価金属塩を含有する第一液及び顔料、水溶性樹脂等を含有するインクを印字するインクジェット記録方法が開示されている。但し、この方法では、噴射安定性が低下する場合が存在した。このメカニズムは明確となっていないが、インク中に遊離している水溶性樹脂が、インクのレオロジーの面で、噴射に悪影響を与えているものと推定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間に優れると共に、噴射安定性にも優れたインクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1)少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むインクと、該インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物と、を含んで構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
前記インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下、導電率が1.0S/m以下、体積平均粒子径が200nm以下であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
【0007】
(2)前記インクに高分子物質を含むことを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0008】
(3)前記顔料が、水に自己分散可能な顔料であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0009】
(4)前記液体組成物中に多価金属塩が含まれていることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0010】
(5)前記インク及び前記液体組成物の混合液中の5μm以上粗粒数が、1×103個/μl以上であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0011】
(6)前記インク及び前記液体組成物の混合液の普通紙に対する接触角の時間変化率が、5度/秒以上であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0012】
(7)前記インクの表面張力が、25mN/m以上40mN/m未満であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0013】
(8)前記インクの粘度が、1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【0014】
(9)少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むインクと、該インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物と、を含んで構成されるインクジェット記録用インクセットを用い、前記インク及び前記液体組成物を記録媒体上に付与して画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下、導電率が1.0S/m以下、体積平均粒子径が200nm以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0015】
(10)前記インクに高分子物質を含むことを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0016】
(11)前記顔料が、水に自己分散可能な顔料であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0017】
(12)前記液体組成物中に多価金属塩が含まれていることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0018】
(13)前記インク及び前記液体組成物の混合液中の5μm以上粗粒数が、1×103個/μl以上であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0019】
(14)前記インク及び前記液体組成物の混合液の普通紙に対する接触角の時間変化率が、5度/秒以上であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0020】
(15)前記インクの表面張力が、25mN/m以上40mN/m未満であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0021】
(16)前記インクの粘度が、1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0022】
(17)熱インクジェット方式を用いてインク及び前記液体組成物を記録媒体上に付与することを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0023】
(18)前記記録媒体に対し、前記液体組成物を付与した後に、前記インクを付与することを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0024】
(19)前記記録媒体に対し、前記インクを付与した後に、前記液体組成物インクを付与することを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(インクジェット記録用インクセット)
本発明のインクジェット記録用インクセットは、少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むインクと、該インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物と、を含んで構成され、インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下、導電率が1.0S/m以下、体積平均粒子径が200nm以下であることを特徴とする。
【0026】
このような構成の本発明のインクジェット記録用インクセットは、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間に優れた画像を得ることができる共に、噴射安定性にも優れる。このメカニズムについては明確とはなっていないが、以下の通りであると推測される。
【0027】
インク及び液体組成物からなるインクセットを用いで印字する場合、記録媒体上にインク及び液体組成物を付与(吐出)して画像を記録するが、この際、インク及び液体組成物とは混合し、液体組成物により、インクは凝集されてインク画像が記録される。続いて、各特性と顔料の凝集の関係について具体的に説明する。
まず、光学濃度について説明する。本発明において、インクと液体組成物混合時にインク中の顔料が急速に凝集する。凝集した顔料は、記録媒体内部に浸透することが出来ずに、記録媒体表近傍に存在することになる。光学濃度は、記録媒体表面の顔料濃度に比例して高くなる傾向があるため、本発明のように顔料を記録媒体表面近傍に高密度で存在させることにより、光学濃度が高くなると考えられる。
次に、滲みについて説明する。インク中の色材は、インクの記録媒体への浸透に伴い、記録媒体中に拡散する。この時、色材の紙表面方向へのインクの広がりが滲みとなると考えられる。本発明では、液体組成物の効果により、インク中の顔料を急速に凝集させる。この凝集時に、インク中の顔料はインク液体成分から分離されるため、顔料の記録媒体への拡散が抑制される。この結果、滲みが改善されると考えられる。
最後に、色間滲みについて説明する。色間滲みは、異なる色のインクが記録媒体上で接触し、混合(混色)することによって発生すると考えられる。本発明においては、インクは液体組成物との接触時にインク中の顔料が急速に凝集するため、異なる色のインクを隣接させて印字した場合においても、異なる色間での顔料の混合(混色)が発生し難くなる。このため、本発明では色間滲みが改善されるものと考えられる。
一方、乾燥時間はインクの記録媒体中への浸透性と関係しており、乾燥時間を速くするためには、浸透性を高める必要がある。しかし、浸透性を高めると、インクの浸透に伴ない顔料も記録媒体中に浸透してしまうため、光学濃度が低下する傾向にあった。本発明では、インクと液体組成物とを記録媒体上で混合することで、インク中の顔料を急速に凝集させ、顔料と液体成分と分離させるため、浸透性の高いインクを用いた場合においても顔料を記録媒体表面近傍に存在させることが可能となる。従って、本発明においては、光学濃度を損なわずに、乾燥時間を速くすることが可能となる。
【0028】
このように、上記特定の物性を有するインクを用いることで、顔料が凝集し易くなり、顔料がベヒクルから分離し、記録媒体表面に残留するため、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間に優れた画像を得ることができる共に、噴射安定性も向上すると考えられる。
【0029】
インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下であるが、好ましくは10mV以上50mV以下であり、より好ましくは20mV以上45mV以下である。このゼータ電位の絶対値が50mVを超えるものでは、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間が低下すると共に、噴射安定性も低下する。このように、ゼータ電位絶対値が高い場合に、噴射特性が低下する理由としては、以下のように推測している。例えば、インク中に高分子物質を添加した場合、高分子物質は顔料表面において吸脱着の平衡状態にあり、特に、顔料表面の電荷密度を高くすると、静電的反発力の効果により高分子物質の顔料への吸着が阻害されると考えられる。その結果、高分子物質がインク中に存在する割合が多くなり、インクの粘弾性などの特性が変化するため、噴射特性に影響が生じるものと考えている。
【0030】
ここで、ゼータ電位絶対値は、ESA法(Electrokinetic Sonic Amplitude法)により、ESA―8000 (MatecAppliedScience社製 )を測定装置として用いて測定し、以下の計算式を用いてゼータ電位を算出した。
ゼータ電位=[ESA×η×G(α)−1]/[ε×c×△ρ×V]
ここで、ESAは単位電場当りの圧力を示しており、これは、測定により得られる値である。ηは、溶媒の粘度、G(α)−1は慣性力による補正項、εは誘電率、cは溶媒中の音速、△ρは溶媒と粒子の密度差、Vは粒子の体積分率を示す。
尚、本発明においては、温度22.0℃において、所定の測定方法に従い測定を行った。更に、ゼータ電位算出時に使用するパラメータとしては、ηとしてインクの粘度、εとして水の誘電率、cとして水中の音速、△ρとして顔料と水の密度差、Vとして顔料の体積分率を用いた。
【0031】
インクのゼータ電位は、例えば、以下のようにして調整することができる。ゼータ電位は顔料表面の電荷によって生じるポテンシャル量を表しており、顔料表面の電荷密度、及びインク中の電荷状態によって決定される。この顔料表面の電荷密度については、顔料表面での官能基量、及び、顔料表面官能基の解離状態で決まると考えられる。顔料表面での官能基量が多くなるほど、また、顔料表面官能基は解離するほど、ゼータ電位は高くなる傾向にある。具体的方法としては、水に自己分散可能な顔料を使用する場合と分散剤を用いて分散させる顔料とで方法が異なる。
【0032】
まず、水に自己分散可能な顔料の場合、顔料表面の官能基量、及び、官能基の種類は、顔料処理条件によって決定される。即ち、顔料処理時の処理方法、薬剤、処理時間などを調整することで制御することが出来る。一方、分散剤を用いた顔料の場合、顔料表面の官能基量、及び、官能基の種類は、顔料、分散剤、水溶性溶媒の組合せにより主として決定される。即ち、分散剤は顔料表面に対し疎水性相互作用により吸着している。また、水溶性溶媒には、分散剤をインク中に溶解しやすくさせ、前述した顔料と分散剤の吸着を阻害する働きを有する。
【0033】
従って、顔料表面での官能基量を大きくする為には、顔料と分散剤の親和性を高くし、逆に、水溶性溶媒と分散剤の親和性を低くする必要がある。以上の観点より、制御因子としては、顔料の一次粒径、顔料のDBP(ジブチルフタレート)吸油量、分散剤中の親水基比率、顔料と分散剤と水溶性溶媒との親和性等が挙げられる。尚、この顔料と分散剤と水溶性溶媒との親和性については、例えば、SP値(Solubility Parameter)などを指標としてを選定することが可能である。
【0034】
一方、インク中の電解質は主として2つの効果を有している。一つは、顔料表面官能基の解離における平衡状態を変化させる効果であり、電解質の種類及び添加量により解離を促進することも、阻害することも可能となる。解離を促進することで、表面電荷密度を高くすることができ、従って、ゼータ電位は高くなる。具体的には、解離を促進するためには、インクの水素イオン濃度に調整することが効果的であり、例えば、顔料表面官能基がアニオン性基である場合には、インクのpHをアルカリ性にすることが効果的である。
【0035】
電解質による二つ目の効果は、インク中におけるポテンシャルの減衰に関する効果である。インク中の電解質量が多くなるほど、ポテンシャルは減衰しやすくなるため、ゼータ電位は低下する。また、電気的二重層も薄くなるため、顔料の凝集が起こりやすくなる。
【0036】
このように、電解質には、顔料表面官能基の電離を促進する効果と、顔料表面に生じた電荷による静電的ポテンシャルを弱める効果の2つの相反する効果を有する。従って、電解質としては適切な量を添加する必要があると考えられる。
以上説明した各種因子を制御することにより、ゼータ電位を調整することが可能となる。
【0037】
インクの導電率は1.0S/m以下であるが、好ましくは、0.005S/m以上0.5S/m以下であり、より好ましくは、0.007S/m以上0.1S/m以下である。インクの導電率が1.0S/mを超える場合、噴射安定性が低下すると共に、インクの保存安定性も低下する。これは、前述したように、導電率がインクのゼータ電位を制御する因子であるためであると考える。
【0038】
ここで、導電率は、MPC227(メトラー・トレド(株)製)を用いて測定することができる。
【0039】
インクの体積平均平均粒子径は、200nm以下であるが、好ましくは10nm以上150nm以下であり、更に好ましくは、15nm以上100nm以下である。この体積平均粒子径が200nmを超えるものでは、噴射安定性が低下すると共に、インクの保存安定性も低下する。
【0040】
ここで、体積平均粒子径の測定は、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340(Leeds & Northrup社製)を用い、インク4mlを測定セルに入れ、これを測定装置にセットして測定することがでいる。なお、測定時に入力するパラメーターとして、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度には顔料の密度を入力した。
【0041】
インクについて説明する。
インクは、少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むで構成される。
顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料では、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色または淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用しても良い。また、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
【0042】
顔料として具体例には、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、
Regal400R,Regal330R,Regal660R,MogulL,Black Pearls L,Monarch700,Monarch800,Monarch880,Monarch900,Monarch1000,Monarch1100,Monarch1300,Monarch1400(以上キャボット社製)、
Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex 140U,Printex 140V,SpecialBlack 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black 4(以上デグッサ社製)、
No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)
等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
また、シアン色にはC.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色には、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−184,−202等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
黄色には、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
顔料として水に自己分散可能な顔料を用いることもできる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤の存在がなくとも水中で安定に分散する顔料のことである。具体的には、例えば、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
【0045】
この「水に自己分散可能な顔料」であるか否かを判断する基準として、以下の基準を用いた。即ち、水95質量部と顔料5質量部とを加え、超音波ホモジナイザーを用いて顔料を分散させ、分散液中の顔料濃度を測定する。顔料濃度測定方法としては、体積量で上から3分の1の分散液を分取し、この分散液中の顔料濃度を測定した。更に、この分散液をガラス瓶中で1日放置し、放置後の分散液に対して上述した方法により分散液中の顔料濃度を測定した。放置後の顔料濃度が放置前の顔料濃度の98%以上であるものを「水に自己分散可能な顔料」であると判断する。
【0046】
水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−253、IJX−266、IJX−444、IJX−273、IJX−55、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用できる。
【0047】
水に自己分散可能な顔料を用いた場合、長期保存性等の項目で優れる結果が得られる傾向がある。これは、水に自己分散可能な顔料は、他の添加剤による影響を受け難いためであると考えている。
【0048】
顔料は、インク質量に対し0.5から20質量%、好ましくは1から10質量%の範囲で使用される。インク中の顔料の量が0.5質量%未満の場合には、十分な光学濃度が得られない場合が存在し、顔料量が20質量%よりも多い場合には、インクの噴射特性が不安定となる場合が存在した。
【0049】
インクには、顔料を分散させるために高分子分散剤などの高分子物質を添加しても構わない。また、顔料として、水に自己分散可能な顔料を使用した場合においても、インクと液体組成物混合時の顔料凝集を加速させるために、高分子物質を添加することができる。本発明において、高分子物質としては、いわゆるオリゴマー、或いは、ポリマーのことを示し、分子量が1000以上の化合物を指す。高分子物質としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等のいずれを使用してもよく、例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの共重合体等が使用できる。
【0050】
具体的には、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0051】
上記α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独若しくは複数を共重合して得られる共重合体が高分子分散剤として使用される。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0052】
高分子物質は重量平均分子量で2000〜15000のものが好ましい。高分子物質の分子量が2000未満の場合、顔料が安定に分散しない場合が存在し、一方、分子量が15000を超える場合には、インクの粘度が高くなり、吐出性が悪化する場合が存在した。より好ましい重量平均分子量は、3500〜10000である。
【0053】
高分子物質は、インクに対して0.1〜3質量%の範囲で添加されることが好適である。この添加量が3質量%を超える場合には、インク粘度が高くなり、インクの噴射特性が不安定となる場合が存在した。一方、添加量が0.1質量%未満の場合には、顔料の分散安定性が低下する場合が存在した。特に、高分子分散剤としての添加量としては、より好ましくは0.15〜2.5質量%であり、更に好ましくは、0.2〜2質量%である。
【0054】
インクに含まれる水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることも出来る。
【0055】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用することが好ましい。水溶性有機溶媒の含有量としては、1〜60質量%、好ましくは、5〜40質量%で使用される。インク中の水溶性有機溶媒量が1質量%よりも少ない場合には、十分な光学濃度が得られない場合が存在し、逆に、60質量%よりも多い場合には、インク粘度が大きくなり、インクの噴射特性が不安定になる場合が存在した。
【0056】
インクには、界面活性剤を含ましても構わない。界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等を使用することが出来、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等のいずれを使用しても構わない。又、上記高分子分散剤を界面活性剤として使用することもできる。
【0057】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩およびスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩等が挙げられ、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ケリルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等も有効に使用される。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、脂肪族アルカノールアミド、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用できる。
【0058】
これらの中でも、顔料の分散安定性という観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。また、浸透性制御の観点より、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が特に好ましい。
【0059】
界面活性剤の添加量は、インクに対して10質量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%の範囲で使用される。添加量が10質量%以上の場合には、光学濃度、及び、顔料インクの保存安定性が悪化する場合が存在した。
【0060】
インクには、その他、インク吐出性改善等の特性制御を目的とし、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類及びその誘導体、その他水溶性ポリマー、アクリル系ポリマーエマルション、ポリウレタン系エマルション等のポリマーエマルション、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド等を用いることができる。また、導電率、pHを調整するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等を使用することが出来る。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加することができる。
【0061】
インクの表面張力は、25mN/m以上40mN/m未満であることが好ましい。より好ましくは27.5mN/m以上40mN/m未満であり、更に好ましくは30mN/m以上37.5mN/m未満である。この表面張力が25mN/m未満となるとインク浸透性が速くなり、印字順による色ムラ、光学濃度、滲みが悪化する場合がある。逆に、40mN/mを超えるとインク浸透性が遅くなり、ベタ部濃度ムラが発生する場合がある。
【0062】
ここで、表面張力は、23℃、55%RHの環境において、表面張力計(CBVP―Z/協和界面化学(株)製)を用いて測定することができる。
【0063】
インクの粘度は、1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満であることが好ましく、より好ましくは1.5mPa・s以上4.5mPa・s未満であり、更に好ましくは1.8mPa・s以上4.0mPa・s未満である。インクの粘度が6.0mPa・sより大きい場合には、インクの吐出性が低下し、信頼性が低下する場合が存在した。一方、インクの粘度が1.5mPa・sより小さい場合には、十分な光学濃度を得ることができなかった。これは、普通紙への浸透力が大きくなり、顔料が普通紙内部に浸透するためであると考えられる。
【0064】
ここで、粘度は、TVE―20L(東機産業(株)製)を測定装置として用いることができる。このとき、測定条件としては、測定温度23℃、せん断速度は750s−1とした。
【0065】
インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物について説明する。
液体組成物としては、インク中の特定成分と反応し、水難溶性の生成物を生じさせる化合物を含むものであれば構わない。表面にアニオン性基を有する色材を含有するインクに対しては、液体組成物中に電解質又はカチオン性化合物等を含有することが好ましい。本発明において有効に用いられる電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、および、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
【0066】
具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩、および、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
【0067】
一方、カチオン性化合物としては、1級、2級、3級および4級アミンおよびそれらの塩等が挙げられる。具体例としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩、ポリアミン等が挙げられ、例えば、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、ジプロピルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン重合体、モノアリルアミン重合体等が挙げられる。
【0068】
好ましい電解質としては、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸スズ、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸アルミニウム、モノアリルアミン重合体、ジアリルアミン重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体等が挙げられる。
【0069】
一方、表面にカチオン性基を有する色材を含有するインクに対しては、液体組成物中にアニオン性化合物等を含有することが好ましい。本発明において有効に用いられるアニオン化合物としては、有機カルボン酸または有機スルホン酸、およびそれらの塩等が挙げられる。具体的には、有機カルボン酸としては、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等が挙げられ、これらの基本構造を複数個有するオリゴマー、ポリマーでも構わない。また、有機スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の化合物が挙げられ、これら基本構造を複数個有するオリゴマー、ポリマーでも構わない。
【0070】
液体組成物には、上記化合物を単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、液体組成物中の上記化合物含有量としては、0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%で使用される。
【0071】
液体組成物には、インクと同様に界面活性剤を含ましても構わない。この界面活性剤については、上述したものと同様なものが挙げられる。
【0072】
本発明のインクジェット記録用インクセットにおいて、インク及び液体組成物混合液中の5μm以上粗粒数は、1×103個/μL以上であることが好ましく、より好ましくは5×103個/μL以上であり、更に好ましくは1×104個/μL以上である。インク及び液体組成物混合液中の5μm以上粗粒数が1×103個/μL未満である場合には、印字順による色ムラ、光学濃度、滲みで改善効果が低下することがある。
【0073】
ここで、インク及び液体組成物の混合液中の5μm以上粗粒数は、インクと液体組成物を質量比で1:1の割合で混合し、撹拌しながら混合液2μLを採取し、AccusizerTM 770 Optical Particle Sizer (Particle Sizing Systems社製)を用いて測定した。測定時のパラメータとして、分散粒子の密度には顔料の密度を入力した。この顔料の密度は、顔料分散液を加熱、乾燥させることによって得られた顔料紛体を比重計、または比重ビン等を用いて測定することにより求めることができるる。
【0074】
尚、本発明において、インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物とは、インクと液体組成物の質量比で1:1で混合した時に、5μm以上の粒子数が1×103個/μL以上であることが好適である。
【0075】
本発明のインクジェット記録用インクセットにおいて、インク及び液体組成物の混合液の普通紙に対する接触角時間変化率は、5度/秒以上であることが好ましく、より好ましくは5〜10度/秒、更に好ましくは5〜8度/秒である。インク及び液体組成物混合液の接触角時間変化率が5度/秒未満の場合には、インク乾燥時間が長くなる場合が存在する。
【0076】
ここで、インク及び液体組成物の混合液の普通紙に対する接触角時間変化率は、以下の測定条件に従って測定した。即ち、インクと液体組成物を質量比で1:1の割合で混合した混合液を用い、この混合液4.0μLのP紙(富士ゼロックス社製)に対する接触角の時間変化を、FIBRO 1100 DAT MKII(FIBRO system社製)装置を用いて測定した。
【0077】
なお、本発明においては、測定開始から1秒までの接触角の変化量を測定時間(1秒)で除した値を接触角の時間変化率として用いた。尚、接触角の時間変化率が大きく、測定時間が1秒未満に終了したものについては、終了時点までの接触角の時間変化率を用いた。
【0078】
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録方法は、上記本発明のインクジェット記録用インクセットを用い、インク及び前記液体組成物を記録媒体上に付与(吐出)して画像を記録する。当該方法では、記録媒体に対し、液体組成物を付与した後にインクを付与してもよいし、記録媒体に対しインクを付与した後に液体組成物を付与してもよい。ここで、インクと液体組成物は、質量比でインク1に対して液体組成物を0.1〜2の範囲で付与することが好ましい
【0079】
本発明のインクジェット記録方法では、インク及び液体組成物の吐出(付与)方式は、ヒータなどによりバブルを発生させて行うサーマル方式、圧電素子によって行うピエゾ方式のどちらでもよい。しかし、滲み及び色間滲みの改善効果という観点からサーマル方式(熱インクジェット記録方式)を採用することが好ましい。この原因は明らかとはなっていないが、吐出時にインクが加熱され、低粘度となっているが、記録媒体上でインクの温度が低下するため、粘度が急激に大きくなる。このため、滲み及び色間滲みに改善効果があると考えられる。
【0080】
本発明のインクジェット記録方法は、通常のインクジェット記録装置は勿論、インクのドライングを制御するためのヒーター等を搭載した記録装置、または、中間体転写機構を搭載し、中間体に記録材料を印字した後、紙等の記録媒体に転写する記録装置等も適用させることができる。
【0081】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0082】
[インクの作製]
下記Ink−1〜9、及びTL−1〜3の組成に従って、適量の顔料分散液に、水溶性有機溶媒、界面活性剤、イオン交換水等を適量加え、各材料が所定量含まれるように調製し、これを、混合、攪拌し、1μmフィルターをかけ、所望のインク(TL−1〜3は液体組成物)を得た。
【0083】
−顔料処理方法1−
顔料に次亜塩素酸ナトリウムで表面酸化処理を施した後、脱塩処理を行なった。このようにして得られた表面処理顔料を顔料濃度が20wt%となるようにイオン交換水中に加え、pHを7.5に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いて分散を行なった。この分散液を遠心分離装置で、遠心分離処理(8000rpm×30分)を施し、残渣部分(全量に対して20%)を除去した
【0084】
(Ink−1)
―組成―
・Cabojet−200 ・・・・5 質量%
・2−エチルヘキシルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.2質量%
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・グリセリン ・・・・5 質量%
・尿素 ・・・・4.5質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・2 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.5質量%
・水酸化ナトリウム10%水溶液 ・・・・0.5質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0085】
このインク(Ink−1)のゼータ電位は、−43mV、導電率は0.20S/m、体積平均粒子径80nm、粘度は2.1mPa・s、表面張力は31mN/mであった。
【0086】
(Ink−2)
―組成―
・IJX266 ・・・・4.5質量%
・スチレン−アクリル酸
−アクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.5質量%
・ジエチレングリコール ・・・・10 質量%
・プロピレングリコール ・・・・10 質量%
・尿素 ・・・・4.5 質量%
・ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル・・・・0.2 質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・4.5 質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0087】
このインク(Ink−2)のゼータ電位は、−11mV、導電率は0.11S/m、体積平均粒子径40nm、粘度は2.2mPa・s、表面張力は34mN/mであった。
【0088】
(Ink−3)
―組成―
・C.I.Pigment Blue 15:3 ・・・・4.5質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・スチレン−メタクリル酸 ・・・・0.15質量%
−メタクリル酸ナトリウム共重合体
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・1,5−ペンタンジオール ・・・・5 質量%
・尿素 ・・・・5 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物・・・・0.5 質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・3.0 質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0089】
このインク(Ink−3)のゼータ電位は、−38mV、導電率は0.06S/m、体積平均粒子径40nm、粘度は2.1mPa・s、表面張力は33mN/mであった。
【0090】
(Ink−4)
―組成―
・Black Pearls L ・・・・4.5質量%
・n−ブチルメタクリレート
−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.2質量%
・ジエチレングリコール ・・・・25 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.5質量%
・尿素 ・・・・4 質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・3.5質量%
・N,N’−Bis(2−hydroxyethyl)−2−aminoethasulfonic acid ・・・・0.5質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0091】
このインク(Ink−4)のゼータ電位は、−18mV、導電率は0.12S/m、体積平均粒子径90nm、粘度は2.8mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0092】
(Ink−5)
―組成―
・C.I.Pigment Yellow 128 ・・・・4 質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・スチレン―アクリル酸
−アクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.25質量%
・ジエチレングリコール ・・・・20 質量%
・尿素 ・・・・3 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.7質量%
・酢酸ナトリウム ・・・・1.5質量%
・水酸化ナトリウム10%水溶液 ・・・・0.2質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0093】
このインク(Ink−5)のゼータ電位は、−11mV、導電率は0.81S/m、体積平均粒子径180nm、粘度は2.7mPa・s、表面張力は31mN/mであった。
【0094】
(Ink−6)
―組成―
・C.I.Pigment Yellow 128 ・・・・4 質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・スチレン―メタクリル酸
−メタクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.35質量%
・ジエチレングリコール ・・・・20 質量%
・ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル ・・・・0.1質量%
・尿素 ・・・・3 質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0095】
このインク(Ink−6)のゼータ電位は、−15mV、導電率は0.12S/m、体積平均粒子径90nm、粘度は2.2mPa・s、表面張力は33mN/mであった。
【0096】
(Ink−7)
―組成―
・Black Pearls L ・・・・4.5質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・スチレン−マレイン酸
−マレイン酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.28質量%
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・トリエチレングリコール ・・・・5 質量%
・尿素 ・・・・4.5質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.2質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・6.0質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0097】
このインク(Ink−7)のゼータ電位は、−55mV、導電率は0.08S/m、体積平均粒子径35nm、粘度は2.1mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0098】
(Ink−8)
―組成―
・Special Black 4A ・・・・3.5質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・n−ブチルメタクリレート−メタクリル酸
−メタクリル酸ナトリウム共重合体 ・・・・0.1質量%
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・チオジエタノール ・・・・5 質量%
・尿素 ・・・・6 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.7質量%
・イソプロピルアルコール ・・・・4 質量%
・乳酸アンモニウム ・・・・3 質量%
・水酸化ナトリウム(5%水溶液) ・・・・0.5質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0099】
このインク(Ink−8)のゼータ電位は、−6mV、導電率は1.18S/m、体積平均粒子径220nm、粘度は3.1mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0100】
(Ink−9)
―組成―
・C.I.Pigment Blue 15:4 ・・・・3.5質量%
(上記顔料処理方法1に従って処理された表面処理顔料)
・ジエチレングリコール ・・・・10 質量%
・グリセリン ・・・・5 質量%
・スルフォラン ・・・・5 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.3質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0101】
このインク(Ink−9)のゼータ電位は、−60mV、導電率は0.10S/m、体積平均粒子径70nm、粘度は2.2mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0102】
(TL−1)
―組成―
・ジエチレングリコール ・・・・20 質量%
・グリセリン ・・・・5 質量%
・硝酸マグネシウム ・・・・5 質量%
・尿素 ・・・・5 質量%
・ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル ・・・・0.6質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0103】
(TL−2)
―組成―
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・プロピレングリコール ・・・・10 質量%
・尿素 ・・・・4 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.5質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0104】
(TL−3)
―組成―
・ジエチレングリコール ・・・・15 質量%
・スルフォラン ・・・・10 質量%
・尿素 ・・・・4 質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 ・・・・0.2質量%
・イオン交換水 ・・・・残部
【0105】
(実施例1〜7、比較例1〜3)
表1に従ったインクセットを用い、800dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを用い、液体組成物を記録媒体に付与した後に、インクを印字し、以下の評価を行なった。結果を表1〜2に示す。実施例1〜6及び比較例1〜2は一色のインクを用いて印字したものである。実施例7は4色のインクを用いて印字したものである。比較例3は2色のインクを用いて印字したものである。記録媒体としてはFX−P紙(富士ゼロックス社製)を用いた。また、以下特に記載が無い場合、印字は一般環境下(温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H)で行い、各種評価は印字後24時間一般環境下に放置した印字物に対して行った。
【0106】
−光学濃度−
100%カバレッジパターンを印字し、エックスライト404(エックスライト社製)を用いて光学濃度を測定した。評価基準は以下の通りである。
・ブラックインクの場合
◎・・・光学濃度が1.5以上
○・・・光学濃度が1.4以上
△・・・光学濃度が1.3以上1.4未満
×・・・光学濃度が1.3未満
・カラーインクの場合
◎・・・光学濃度が1.2以上
○・・・光学濃度が1.1以上
△・・・光学濃度が1.0以上1.1未満
×・・・光学濃度が1.0未満
【0107】
―滲み−
細線パターンを印字し、印字部の滲み度合いを限度見本に照合し、官能評価を行なった。評価基準は以下の通りである。
◎・・・滲みが殆ど発生していないもの
○・・・滲みが少ないもの
△・・・滲みは発生しているが、許容レベルのもの
×・・・滲みが激しく、許容範囲外のもの
【0108】
−乾燥時間−
100%カバレッジパターンを印字してから所定の時間経過後に印字パターン上に別のFX−P紙を1.9×104N/m2の荷重で押し当てる。この時、押し当てたFX−P紙側にインクが転写されなくなる時間を乾燥時間とした。評価基準は以下の通りである。
◎・・・乾燥時間が1秒未満
○・・・乾燥時間が3秒未満
△・・・乾燥時間が3秒以上5秒未満
×・・・乾燥時間が5秒以上
【0109】
−噴射安定性−
噴射安定性についてはインク噴射速度の経時変化を基準に判断した。即ち、初期状態において、インク噴射速度を測定する。その後、1×108pulse印字させた後、インク噴射速度を測定した。初期状態のインク噴射速度に対する1×108pulse印字後のインク噴射速度の比率を算出し、以下の評価基準に従って評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎・・・1×108pulse時点噴射速度が初期噴射速度の95%以上
○・・・1×108pulse時点噴射速度が初期噴射速度の90%以上
△・・・1×108pulse時点噴射速度が初期噴射速度の75%以上90%未満
×・・・1×108pulse時点噴射速度が初期噴射速度の75%未満
【0110】
−色間滲み−
色間滲みの評価は、異なる色が隣接するパターンを印字し、境界部分の滲み度合いを予め定めておいた限度見本に照合し、官能評価を行なった。評価基準は以下の通りである。
◎・・・滲みが殆ど発生していないもの
○・・・滲みが少ないもの
△・・・滲みは発生しているが、許容レベルのもの
×・・・滲みが激しく、許容範囲外のもの
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
表1〜2の結果から明らかなように、特定の範囲の物性を有するインクと、液体組成物とから構成されるインクセットを用いることで、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間が改善される共に、噴射安定性(噴射特性)も改善されることがわかる。
【0114】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間に優れると共に、噴射安定性にも優れたインクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
Claims (11)
- 少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むインクと、該インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物と、を含んで構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
前記インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下、導電率が1.0S/m以下、体積平均粒子径が200nm以下であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。 - 前記インクに高分子物質を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記顔料が、水に自己分散可能な顔料であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記液体組成物中に多価金属塩が含まれていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 少なくとも顔料、水溶性溶媒、及び水を含むインクと、該インク中の顔料を凝集させる作用を有する液体組成物と、を含んで構成されるインクジェット記録用インクセットを用い、前記インク及び前記液体組成物を記録媒体上に付与して画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクは、ゼータ電位絶対値が50mV以下、導電率が1.0S/m以下、体積平均粒子径が200nm以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記インクに高分子物質を含むことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
- 前記顔料が、水に自己分散可能な顔料であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
- 前記液体組成物中に多価金属塩が含まれていることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
- 熱インクジェット方式を用いてインク及び前記液体組成物を記録媒体上に付与することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体に対し、前記液体組成物を付与した後に、前記インクを付与することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体に対し、前記インクを付与した後に、前記液体組成物インクを付与することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
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JP2008285504A (ja) * | 2007-05-15 | 2008-11-27 | Kao Corp | インクジェット記録用水分散体の製造方法 |
JP2015014006A (ja) * | 2014-09-19 | 2015-01-22 | セイコーエプソン株式会社 | インクセットおよびそのインクセットを用いたインクジェット記録方法 |
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- 2002-06-05 JP JP2002164196A patent/JP2004009406A/ja active Pending
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