JP2004008336A - 製パン機 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間で天然酵母を使用したパンを焼き上げる。
【解決手段】加熱手段(ヒータ4)を有する焼成室3内に配置されるパンケース23と、該パンケース23内に装着した羽根部材26と、該羽根部材26を回転駆動する駆動手段(駆動モータ8)と、前記焼成室3またはパンケース23またはパンケース23内のパン材料の温度を検知する検知手段(サーミスタ)と、製パンコースの動作設定や実行操作を行う入力手段(スイッチ16a〜16i)とを備え、前記加熱手段および駆動手段を制御して混練、発酵および焼成の各工程を実行してパンを焼き上げる製パン機において、前記パン材料の1つとして天然酵母をケースに収容するとともに、該ケースを前記焼成室3に配置し、混練および発酵の工程を有する中種つくりコースを設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】加熱手段(ヒータ4)を有する焼成室3内に配置されるパンケース23と、該パンケース23内に装着した羽根部材26と、該羽根部材26を回転駆動する駆動手段(駆動モータ8)と、前記焼成室3またはパンケース23またはパンケース23内のパン材料の温度を検知する検知手段(サーミスタ)と、製パンコースの動作設定や実行操作を行う入力手段(スイッチ16a〜16i)とを備え、前記加熱手段および駆動手段を制御して混練、発酵および焼成の各工程を実行してパンを焼き上げる製パン機において、前記パン材料の1つとして天然酵母をケースに収容するとともに、該ケースを前記焼成室3に配置し、混練および発酵の工程を有する中種つくりコースを設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製パン機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の製パン機は、本体内に加熱ヒータを配設した焼成室と、該焼成室内に着脱可能に配置するパンケースとを備えている。このパンケースには、内部に収容させたパン材料を撹拌して混練するための羽根部材が底に回転可能に取り付けられている。また、前記本体には、動力伝達機構を介して前記羽根部材を回転駆動するための駆動モータが配設されている。前記動力伝達機構と羽根部材とは、パンケースを焼成室内に配置することにより連結される構成となっている。
【0003】
この製パン機では、パン材料として、小麦粉(強力粉)、食塩、砂糖、油脂(バター)、水、および、酵母であるドライイーストを所定の配合で前記パンケースに収容する。そして、操作パネルに設けた入力手段であるスイッチを操作して製パンコースの動作設定を行い、製パン動作の実行操作をすることにより、混練、発酵および焼成の各工程を実行してパンを焼き上げる。
【0004】
しかし、近年では、焼き上げたパンの風味や食感の面からドライイーストの代わりに天然酵母を使用してパンを製造できるようにすることが望まれている。これに対して、パン材料の1つである酵母として前記天然酵母を使用し、パンを製造するための生種を生成できるようにした製パン機が提供されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記製パン機では、生種の生成に非常に長い時間(約24時間)を要するうえ、生成した生種を使用してパンを焼き上げる時間もドライイーストを酵母として使用した場合と比較して長くなるという問題がある。また、生種を生成するために専用のケースが必要になるため、コスト高になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明では、短時間で天然酵母を使用したパンを焼き上げることができる製パン機を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の製パン機は、加熱手段を有する焼成室内に着脱可能に配置されるパンケースと、該パンケース内に回転可能に装着した羽根部材と、該羽根部材を回転駆動する駆動手段と、前記焼成室またはパンケースまたはパンケース内のパン材料の温度を検知する検知手段と、製パンコースの動作設定や実行操作を行う入力手段とを備え、前記加熱手段および駆動手段を制御して混練、発酵および焼成の各工程を実行して、前記パン材料の1つとして天然酵母をケースに収容するとともに、該ケースを前記焼成室に配置し、混練および発酵の工程を有する中種つくりコースを設けた構成としている。
【0008】
前記製パン機によれば、ドライイーストを使用してパンを焼き上げる製パン機において、天然酵母を使用した中種つくりコースを設けたため、その生成した中種を使用して天然酵母を用いたパンを焼き上げることができる。また、この中種を使用してパンを焼き上げる時間は、従来の生種を使用してパンを焼き上げる場合と比較して短時間でよいため、焼きたてのパンを効率的にユーザに提供することができる。
【0009】
前記製パン機では、前記ケースは、前記パンケースであることが好ましい。
この場合、前記パンケースの上端開口を閉塞する蓋部材を設けることが好ましい。
このようにすれば、専用のケースを新たに設ける必要がないため、コスト高になることを抑制できる。
【0010】
また、前記中種つくりコースの発酵工程の後に、まとめ撹拌工程を更に設けることが好ましい。このようにすれば、生成した中種をケースから離間させ、生成した中種を簡単に取り出せるようにすることができる。
【0011】
この場合、前記まとめ撹拌工程は、前記発酵工程の終了後に一旦動作を停止し、ユーザによる実行操作がなされると実行することが好ましい。このようにすれば、ユーザは、動作停止状態で、パンケースの内部に少量の小麦粉などを入れることができる。その結果、生成した中種を一層取り出し易くすることができる。
【0012】
また、前記中種つくりコースの発酵工程では、少なくとも1回撹拌動作を行うことが好ましい。このようにすれば、発酵させるパン材料がパンケースに付着したり、表面のみが乾燥するなどして、発酵に偏りが生じることを防止できる。
【0013】
また、前記中種つくりコースの発酵工程では、前記焼成室内を約30℃に維持することが好ましい。このようにすれば、天然酵母を確実に発酵させるとともに、増殖させることができる。
【0014】
また、前記中種つくりコースを構成する各工程のうち、少なくとも1つの工程が終了した際に動作させる報知手段を設けることが好ましい。このようにすれば、ユーザが動作状況を認識することができる。
【0015】
また、生成した中種を使用する専用の第2製パンコースを更に設けることが好ましい。
この場合、前記第2製パンコースは、その各工程の実行時間を第1製パンコースと略同一とすることができる。
【0016】
さらに、前記製パン機は、混練および発酵の各工程を実行してパン生地を生成する生地つくりコースを備え、生成した中種を使用する専用の第2生地つくりコースを更に設けることが好ましい。
この場合、前記第2生地つくりコースは、その各工程の実行時間を第1製パンコースまたは第1生地つくりコースと略同一とすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は本発明に係る実施形態の製パン機を示す。この製パン機は、上端開口の本体1に蓋体19が着脱かつ開閉可能に装着されるとともに、本体1の内部にパンケース23を着脱可能に装着するものである。
【0018】
前記本体1は、胴部材2aと底部材2bとからなる外装体2を備えている。この外装体2の内部には、隔壁によって区画された上端開口の焼成室3と、該焼成室3の下部の駆動機構収容室6と、遮熱板によって区画された前側の操作基板収容室14とが設けられている。
【0019】
前記焼成室3は、パンケース23を着脱可能に収容するもので、その内周下部には、前記パンケース23を加熱するヒータ4が配設されている。この焼成室3の底面中央には貫通孔が設けられ、この貫通孔の縁に補強部材5が配設されている。なお、この補強部材5には、所定間隔をもって後述する基体7に位置決めするための支持脚5aが設けられている。
【0020】
前記駆動機構収容室6には、前記焼成室3の下部を支持する基体7が配設され、この基体7に後述するパンケース23の羽根部材26を駆動するための駆動モータ8と、これら駆動モータ8と羽根部材26とを連結して動力を伝えるための動力伝達機構9と、前記ヒータ4や駆動モータ8などの負荷部品を制御する制御基板30とが配設されている。また、焼成室3の側面に接触するように、温度検知手段として図示しないサーミスタが配設されている。
【0021】
前記動力伝達機構9は、基体7において、前記焼成室3の中心と対応する位置に設けた軸受部材10と、該軸受部材10に回転可能に取り付けるとともに羽根部材26を着脱可能に連結する大径の第1プーリ11と、前記駆動モータ8の出力軸に設けた小径の第2プーリ12と、これらプーリ11,12に巻回したエンドレスベルト13とからなる。ここで、前記第1プーリ11の上面中央には、前記羽根部材26を着脱可能に装着するために、複数の差込溝を設けた連結部11aが設けられている。
【0022】
前記操作基板収容室14には、胴部材2aの正面に図2に示す操作パネル15が配設され、その背部には入力手段である操作スイッチ16a〜16i、図示しないマイコンおよび液晶パネル18などを実装したパネル基板17が配設されている。
【0023】
図2に示すように、操作パネル15は、液晶パネル18の周囲に処理を実行およびとりけしするためのスタート/とりけしスイッチ16aと、タイマー設定を増やす△スイッチ16bと、タイマー設定を減らす▽スイッチ16cと、酵母としてドライイーストを使用したメニューの選択スイッチ16dと、天然酵母を使用したメニューの選択スイッチ16eと、焼き上げるパンの焼き色を選択する焼き色スイッチ16fと、クッキー・パスタ生地の選択スイッチ16gと、ケーキの選択スイッチ16hと、ジャムの選択スイッチ16iとが設けられている。
【0024】
前記液晶パネル18には、その外周部に調理メニューである複数のコースの選択状態を示す△印の指示部18aと、タイマーの時間を示す数値表示部18bと、製パン機の動作状態などの示す「庫内高温」、「具入り」、「調理中」、「保温中」、「タイマー」、「ねかし」、「コネ」、「発酵」、「焼き」、および、「できあがり」などの文字18cが設けられている。
【0025】
前記蓋体19は、外装カバー20と、焼成室3の上端開口を閉塞する金属製の内側カバー21とからなり、前記本体1に背部でヒンジ構造により接続されたものである。前記外装カバー20と内側カバー21には、焼成室3の中央に対応する位置に貫通孔が設けられ、その貫通孔に耐熱性を有する透明なガラスからなる覗窓22が装着されている。
【0026】
前記パンケース23は、その外形が略四角形状をなし、その上端開口の対向位置には一対の軸受部24が設けられ、これら軸受部24に略凹字形状をなすハンドル部材25が回動可能に装着されている。このパンケース23の底面中央には、内部に収容したパン材料を撹拌するための羽根部材26が回転可能に装着されている。また、パンケース23の底中央の外面には、パンケース23を載置するための台座部材27が設けられている。この台座部材27には、前記羽根部材26の軸部を回転可能に軸着する軸受部27aが設けられている。また、前記羽根部材26の軸部には、その下端に前記動力伝達機構9の連結部11aに着脱可能に連結するための連結部材28が設けられている。
【0027】
なお、本実施形態では、前記パンケース23は、後述する天然酵母を使用する中種つくりコースにも兼用される。また、図1中、29は、この中種つくりコースで使用される蓋部材である。
【0028】
前記基体7に装着される制御基板30には、前記ヒータ4や駆動モータ8などの負荷部品をマイコンの指示に従って制御する電気部品が実装されている。
【0029】
前記パネル基板17に実装したマイコンは、前記操作スイッチ16a〜16iの操作により選択された条件に従って前記各負荷部品を制御する。
【0030】
本実施形態では、図2に指示部18aと対応する位置に刻設されているように、調理メニューとして、ドライイーストを使用する「食パン」コース、生地が柔らかい食パンである「ソフト」コース、「フランスパン」コース、「早焼き」コース、および、「パン・ピザ生地」コースと、天然酵母を使用する「中種つくり」コース、「食パン」コース、および、「パン・ピザ生地」コースとが設けられている。ここで、図2中、「ふつう」と「うすい」は焼き上げるパンの焼き色を意味する。
【0031】
即ち、本実施形態では、ドライイーストを使用する「食パン」、「ソフト」、「フランスパン」、「早焼き」のコースが従来と同様の第1製パンコースであり、「パン・ピザ生地」のコースが第1生地つくりコースである。また、天然酵母を使用する「食パン」のコースが新たに設けた第2製パンコースであり、「パン・ピザ生地」のコースが新たに設けた第2生地つくりコースである。これら第1製パンコースと第2製パンコース、および、第1生地つくりコースと第2生地つくりコースは、それぞれ同一の条件で所定の工程が実行される。
【0032】
前記天然酵母を使用する中種つくりコースは、前記パンケース23を使用して生成するもので、混練工程、発酵工程およびまとめ撹拌工程からなる。
【0033】
以下の表1に、第1および第2製パンコースのうち、食パンをつくるコースの工程、および、その実行条件を示す。また、表2に、第1および第2生地つくりコースの工程、および、その実行条件を示す。さらに、表3に、中種つくりコースの工程、および、その実行条件を示す。
【0034】
【表1】
【0035】
前記表1に示すように、食パンの製パンコースは、予熱、混練、第1発酵、第2発酵、第3発酵、および、焼成の工程を備え、この焼成工程が終了すると継続的に保温の工程を実行するものである。前記予熱工程では、22分、焼成室3内を25℃に維持し、パン材料の温度を整える。混練工程では、15分、ヒータ4を停止した状態で羽根部材26を回転動作させることにより、パンケース23内のパン材料を撹拌して混練りする。第1発酵工程では、68分、25℃、第2発酵工程では、20分、25℃、第3発酵工程では、25分、35℃をそれぞれ維持し、混練りしたパン材料を発酵させるものである。なお、第2発酵工程では、この工程の開始直後に18秒、羽根部材26を回転動作させてパンケース23内の材料をまるめる。また、第3発酵工程では、この工程の開始直後に8秒、羽根部材26を回転動作させてパンケース23内の材料をまるめる。焼成工程では、60分、150℃を維持し、パンを焼き上げる。保温工程では、60分、105℃に維持する。なお、前記焼成工程が終了すると、ユーザに焼き上げが終了したことを知らせるために、制御基板30に実装した周知の圧電ブザーにより報知音を出力する。
【0036】
【表2】
【0037】
前記表2に示すように、生地つくりコースは、予熱、混練、第1発酵、および、第2発酵の工程を備えている。これらの工程の実行条件は、製パンコースと同一である。
【0038】
【表3】
【0039】
前記表3に示すように、中種つくりコースは、混練、発酵、および、まとめ撹拌の工程を備え、これらの工程を順次実行して中種を生成する。次に、マイコンによる中種つくりコースの制御について具体的に説明する。
【0040】
まず、ユーザは、パンケース23に所定の配合で天然酵母と、小麦粉と、塩と、水とを収容させ、焼成室3内に配置するとともに、その上端開口を蓋部材29によって閉塞し、天然酵母メニューの選択スイッチ16eで中種つくりコースを選択してスタート/とりけしスイッチ16aを操作する。
【0041】
そうするとマイコンは、まず、中種つくりコースの混練工程を実行し、パンケース23内の材料を撹拌して混練りする。具体的には、この混練工程では、図3に示すように、まず、ステップS1で、駆動モータ8を動作させ、動力伝達機構9を介してパンケース23内の羽根部材26を回転動作させる。
【0042】
ついで、ステップS2で、12分タイマをオンした後、ステップS3で、12分タイマがカウントアップするまで待機する。即ち、12分間、ヒータ4を停止した状態で羽根部材26を回転動作させる。
【0043】
12分タイマがカウントアップすると、ステップS4で、12分タイマをリセットした後、ステップS5で、駆動モータ8を停止して終了(エンド)する。
【0044】
前記混練工程が終了すると、マイコンは、次に、発酵工程を実行し、混練りしたパン材料を発酵させる。具体的には、この発酵工程では、図4に示すように、まず、ステップS10で、ヒータ4をオンする。
【0045】
ついで、ステップS11で、この発酵工程の実行時間の終了を意味する1440分(24時間)タイマをオンした後、ステップS12で、撹拌動作を実行させるための240分(4時間)タイマをオンする。
【0046】
ついで、ステップS13で、前記ヒータ4による焼成室3内の温度調整処理を実行した後、ステップS14に進む。ここで、この温度調整処理は、サーミスタからの信号に基づいて焼成室3内が30℃に維持されるように温度調整するものである。即ち、この発酵工程では、1440分(24時間)、焼成室3内を30℃に維持するように構成されている。これにより、天然酵母を確実に発酵させるとともに、増殖させることができる。
【0047】
ステップS14では、1440分タイマがカウントアップしたか否かを検出し、カウントアップした場合にはステップS15に進み、カウントアップしない場合にはステップS18に進む。
【0048】
ステップS15では、1440分タイマをリセットし、ステップS16で、240分タイマをリセットした後、ステップS17で、ヒータ4をオフして終了(エンド)する。
【0049】
また、ステップS18では、240分タイマがカウントアップしたか否かを検出する。そして、カウントアップしていない場合にはステップS13に戻り、繰り返し温度調整処理を実行する。一方、カウントアップした場合にはステップS19に進む。
【0050】
ステップS19では、240分タイマをリセットして再度スタートさせた後、ステップS20で、駆動モータ8をオンして動力伝達機構9を介して羽根部材26を回転駆動させる。
【0051】
ついで、ステップS21で、30秒タイマをオンした後、ステップS22で、30秒タイマがカウントアップするまで待機する。即ち、この発酵工程では、24時間のうち、4時間毎に30秒、前記羽根部材26を回転動作させる。これにより、発酵させるパン材料がパンケース23に付着したり、表面のみが乾燥するなどして、発酵に偏りが生じることを防止することができる。
【0052】
30秒タイマがカウントアップすると、ステップS23で、30秒タイマをリセットした後、ステップS24で、駆動モータ8を停止してステップS13に戻り、繰り返し温度調整処理を実行する。
【0053】
前記発酵工程が終了すると、マイコンは、次に、まとめ撹拌工程を実行し、パンケース23から発酵させた生成した中種がパンケース23から取り出し易くなるようにする。具体的には、まとめ撹拌工程では、図5に示すように、まず、ステップS30で、前記発酵工程が終了したことを意味する報知音を圧電ブザーにより出力する。
【0054】
ついで、ステップS31で、360分(6時間)タイマをオンした後、ステップS32で、数値表示部18bのインクリメント処理を実行する。ここで、本実施形態では、このインクリメント処理は、発酵工程が終了した後の時間を10分毎にインクリメント(増加)させるように構成している。
【0055】
ついで、ステップS33で、ユーザがスタート/とりけしスイッチ16aを操作することによる実行操作がなされたか否かを検出する。そして、実行操作がなされた場合にはステップS34に進み、実行操作がなされない場合にはステップS42に進む。
【0056】
ステップS34では、報知音の出力を停止し、ステップS35で、360分タイマをリセットした後、ステップS36で、駆動モータ8をオンして動力伝達機構9を介して羽根部材26を回転動作させる。
【0057】
ついで、ステップS37で、1分タイマをスタートさせた後、ステップS38で、1分タイマがカウントアップするまで待機する。
【0058】
そして、1分タイマがカウントアップすると、ステップS39で、1分タイマをリセットした後、ステップS40で、駆動モータ8を停止する。ついで、ステップS41で、まとめ撹拌工程が終了したことを意味する報知音、言い換えれば、中種つくりコースが終了したことを意味する報知音を所定時間出力して終了(エンド)する。
【0059】
また、ステップS33で実行操作がなされない場合には、ステップS42で、360分タイマがカウントアップしたか否かを検出する。そして、カウントアップしていない場合にはステップS32に戻り、数値表示部18bのインクリメント処理を継続する。一方、カウントアップした場合にはステップS43に進む。
【0060】
ステップS43では、報知音の出力を停止した後、ステップS44で、360分タイマをリセットして終了(エンド)する。
【0061】
即ち、本実施形態では、発酵工程が終了すると、各負荷部品の動作を一旦停止し、ユーザの実行操作がなされるとまとめ撹拌工程を1分間実行する。言い換えれば、ユーザが実行操作をしないとまとめ撹拌工程は実行しない。また、発酵工程が終了したことを知らせる報知音は、まとめ撹拌工程の実行操作がなされるとその報知を終了するが、操作がなされない場合には6時間報知し続ける。そのため、ユーザは、製パン機の動作状況を確実に認識できる。
【0062】
なお、まとめ撹拌動作を実行するまでの停止状態では、ユーザは、蓋体19を開放して少量の小麦粉をパンケース23の内部に入れることができ、このようにすれば、生成した中種を一層取り出し易くすることができる。
【0063】
このようにして中種が生成されると、ユーザは、蓋体19を開いてパンを作るための残りのパン材料をパンケース23内に入れる。そして、操作パネル15の天然酵母コースの選択スイッチ16eを操作して「食パン」または「パン・ピザ生地」を選択し、スタート/とりけしスイッチ16aを操作すると、従来と同様の工程を実行し、天然酵母を使用した食パンまたは生地を作ることができる。
【0064】
なお、本発明の製パン機は前記実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、中種を生成するためのケースをパンを焼き上げるためのパンケース23を兼用するようにしたが、専用のケースを設けてもよい。
【0065】
また、前記実施形態では、ユーザに動作状況を知らせるための報知手段として制御基板30に実装した周知の圧電ブザーを使用したが、操作パネル15の液晶パネル18に表示してもよく、また、LEDを点灯または点滅させることにより知らせるようにしてもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の製パン機では、ドライイーストを使用してパンを焼き上げる製パン機において、天然酵母を使用した中種つくりコースを設けたため、その生成した中種を使用して天然酵母を用いたパンを焼き上げることができる。また、この中種を使用してパンを焼き上げる時間は、ドライイーストを使用したパンを焼き上げる条件と略同一とすることができ、その時間も約3時間30分程度である。即ち、従来の生種を使用してパンを焼き上げる場合と比較して大幅に焼き上げ時間を短くすることができる。そのため、焼きたてのパンを効率的にユーザに提供することができる。しかも、中種を生成するためのケースを、パンケースとしており、専用のケースを新たに設けないようにしているため、コスト高になることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製パン機を示す断面図である。
【図2】製パン機の操作パネルを示す正面図である。
【図3】中種つくりコースの混練工程を示すフローチャートである。
【図4】中種つくりコースの発酵工程を示すフローチャートである。
【図5】中種つくりコースのまとめ撹拌工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…本体、3…焼成室、4…ヒータ(加熱手段)、7…基体、8…駆動モータ(駆動手段)、9…動力伝達機構、15…操作パネル、16a〜16i…スイッチ(入力手段)、19…蓋体、23…パンケース、26…羽根部材、29…蓋部材、30…制御基板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、製パン機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の製パン機は、本体内に加熱ヒータを配設した焼成室と、該焼成室内に着脱可能に配置するパンケースとを備えている。このパンケースには、内部に収容させたパン材料を撹拌して混練するための羽根部材が底に回転可能に取り付けられている。また、前記本体には、動力伝達機構を介して前記羽根部材を回転駆動するための駆動モータが配設されている。前記動力伝達機構と羽根部材とは、パンケースを焼成室内に配置することにより連結される構成となっている。
【0003】
この製パン機では、パン材料として、小麦粉(強力粉)、食塩、砂糖、油脂(バター)、水、および、酵母であるドライイーストを所定の配合で前記パンケースに収容する。そして、操作パネルに設けた入力手段であるスイッチを操作して製パンコースの動作設定を行い、製パン動作の実行操作をすることにより、混練、発酵および焼成の各工程を実行してパンを焼き上げる。
【0004】
しかし、近年では、焼き上げたパンの風味や食感の面からドライイーストの代わりに天然酵母を使用してパンを製造できるようにすることが望まれている。これに対して、パン材料の1つである酵母として前記天然酵母を使用し、パンを製造するための生種を生成できるようにした製パン機が提供されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記製パン機では、生種の生成に非常に長い時間(約24時間)を要するうえ、生成した生種を使用してパンを焼き上げる時間もドライイーストを酵母として使用した場合と比較して長くなるという問題がある。また、生種を生成するために専用のケースが必要になるため、コスト高になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明では、短時間で天然酵母を使用したパンを焼き上げることができる製パン機を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の製パン機は、加熱手段を有する焼成室内に着脱可能に配置されるパンケースと、該パンケース内に回転可能に装着した羽根部材と、該羽根部材を回転駆動する駆動手段と、前記焼成室またはパンケースまたはパンケース内のパン材料の温度を検知する検知手段と、製パンコースの動作設定や実行操作を行う入力手段とを備え、前記加熱手段および駆動手段を制御して混練、発酵および焼成の各工程を実行して、前記パン材料の1つとして天然酵母をケースに収容するとともに、該ケースを前記焼成室に配置し、混練および発酵の工程を有する中種つくりコースを設けた構成としている。
【0008】
前記製パン機によれば、ドライイーストを使用してパンを焼き上げる製パン機において、天然酵母を使用した中種つくりコースを設けたため、その生成した中種を使用して天然酵母を用いたパンを焼き上げることができる。また、この中種を使用してパンを焼き上げる時間は、従来の生種を使用してパンを焼き上げる場合と比較して短時間でよいため、焼きたてのパンを効率的にユーザに提供することができる。
【0009】
前記製パン機では、前記ケースは、前記パンケースであることが好ましい。
この場合、前記パンケースの上端開口を閉塞する蓋部材を設けることが好ましい。
このようにすれば、専用のケースを新たに設ける必要がないため、コスト高になることを抑制できる。
【0010】
また、前記中種つくりコースの発酵工程の後に、まとめ撹拌工程を更に設けることが好ましい。このようにすれば、生成した中種をケースから離間させ、生成した中種を簡単に取り出せるようにすることができる。
【0011】
この場合、前記まとめ撹拌工程は、前記発酵工程の終了後に一旦動作を停止し、ユーザによる実行操作がなされると実行することが好ましい。このようにすれば、ユーザは、動作停止状態で、パンケースの内部に少量の小麦粉などを入れることができる。その結果、生成した中種を一層取り出し易くすることができる。
【0012】
また、前記中種つくりコースの発酵工程では、少なくとも1回撹拌動作を行うことが好ましい。このようにすれば、発酵させるパン材料がパンケースに付着したり、表面のみが乾燥するなどして、発酵に偏りが生じることを防止できる。
【0013】
また、前記中種つくりコースの発酵工程では、前記焼成室内を約30℃に維持することが好ましい。このようにすれば、天然酵母を確実に発酵させるとともに、増殖させることができる。
【0014】
また、前記中種つくりコースを構成する各工程のうち、少なくとも1つの工程が終了した際に動作させる報知手段を設けることが好ましい。このようにすれば、ユーザが動作状況を認識することができる。
【0015】
また、生成した中種を使用する専用の第2製パンコースを更に設けることが好ましい。
この場合、前記第2製パンコースは、その各工程の実行時間を第1製パンコースと略同一とすることができる。
【0016】
さらに、前記製パン機は、混練および発酵の各工程を実行してパン生地を生成する生地つくりコースを備え、生成した中種を使用する専用の第2生地つくりコースを更に設けることが好ましい。
この場合、前記第2生地つくりコースは、その各工程の実行時間を第1製パンコースまたは第1生地つくりコースと略同一とすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は本発明に係る実施形態の製パン機を示す。この製パン機は、上端開口の本体1に蓋体19が着脱かつ開閉可能に装着されるとともに、本体1の内部にパンケース23を着脱可能に装着するものである。
【0018】
前記本体1は、胴部材2aと底部材2bとからなる外装体2を備えている。この外装体2の内部には、隔壁によって区画された上端開口の焼成室3と、該焼成室3の下部の駆動機構収容室6と、遮熱板によって区画された前側の操作基板収容室14とが設けられている。
【0019】
前記焼成室3は、パンケース23を着脱可能に収容するもので、その内周下部には、前記パンケース23を加熱するヒータ4が配設されている。この焼成室3の底面中央には貫通孔が設けられ、この貫通孔の縁に補強部材5が配設されている。なお、この補強部材5には、所定間隔をもって後述する基体7に位置決めするための支持脚5aが設けられている。
【0020】
前記駆動機構収容室6には、前記焼成室3の下部を支持する基体7が配設され、この基体7に後述するパンケース23の羽根部材26を駆動するための駆動モータ8と、これら駆動モータ8と羽根部材26とを連結して動力を伝えるための動力伝達機構9と、前記ヒータ4や駆動モータ8などの負荷部品を制御する制御基板30とが配設されている。また、焼成室3の側面に接触するように、温度検知手段として図示しないサーミスタが配設されている。
【0021】
前記動力伝達機構9は、基体7において、前記焼成室3の中心と対応する位置に設けた軸受部材10と、該軸受部材10に回転可能に取り付けるとともに羽根部材26を着脱可能に連結する大径の第1プーリ11と、前記駆動モータ8の出力軸に設けた小径の第2プーリ12と、これらプーリ11,12に巻回したエンドレスベルト13とからなる。ここで、前記第1プーリ11の上面中央には、前記羽根部材26を着脱可能に装着するために、複数の差込溝を設けた連結部11aが設けられている。
【0022】
前記操作基板収容室14には、胴部材2aの正面に図2に示す操作パネル15が配設され、その背部には入力手段である操作スイッチ16a〜16i、図示しないマイコンおよび液晶パネル18などを実装したパネル基板17が配設されている。
【0023】
図2に示すように、操作パネル15は、液晶パネル18の周囲に処理を実行およびとりけしするためのスタート/とりけしスイッチ16aと、タイマー設定を増やす△スイッチ16bと、タイマー設定を減らす▽スイッチ16cと、酵母としてドライイーストを使用したメニューの選択スイッチ16dと、天然酵母を使用したメニューの選択スイッチ16eと、焼き上げるパンの焼き色を選択する焼き色スイッチ16fと、クッキー・パスタ生地の選択スイッチ16gと、ケーキの選択スイッチ16hと、ジャムの選択スイッチ16iとが設けられている。
【0024】
前記液晶パネル18には、その外周部に調理メニューである複数のコースの選択状態を示す△印の指示部18aと、タイマーの時間を示す数値表示部18bと、製パン機の動作状態などの示す「庫内高温」、「具入り」、「調理中」、「保温中」、「タイマー」、「ねかし」、「コネ」、「発酵」、「焼き」、および、「できあがり」などの文字18cが設けられている。
【0025】
前記蓋体19は、外装カバー20と、焼成室3の上端開口を閉塞する金属製の内側カバー21とからなり、前記本体1に背部でヒンジ構造により接続されたものである。前記外装カバー20と内側カバー21には、焼成室3の中央に対応する位置に貫通孔が設けられ、その貫通孔に耐熱性を有する透明なガラスからなる覗窓22が装着されている。
【0026】
前記パンケース23は、その外形が略四角形状をなし、その上端開口の対向位置には一対の軸受部24が設けられ、これら軸受部24に略凹字形状をなすハンドル部材25が回動可能に装着されている。このパンケース23の底面中央には、内部に収容したパン材料を撹拌するための羽根部材26が回転可能に装着されている。また、パンケース23の底中央の外面には、パンケース23を載置するための台座部材27が設けられている。この台座部材27には、前記羽根部材26の軸部を回転可能に軸着する軸受部27aが設けられている。また、前記羽根部材26の軸部には、その下端に前記動力伝達機構9の連結部11aに着脱可能に連結するための連結部材28が設けられている。
【0027】
なお、本実施形態では、前記パンケース23は、後述する天然酵母を使用する中種つくりコースにも兼用される。また、図1中、29は、この中種つくりコースで使用される蓋部材である。
【0028】
前記基体7に装着される制御基板30には、前記ヒータ4や駆動モータ8などの負荷部品をマイコンの指示に従って制御する電気部品が実装されている。
【0029】
前記パネル基板17に実装したマイコンは、前記操作スイッチ16a〜16iの操作により選択された条件に従って前記各負荷部品を制御する。
【0030】
本実施形態では、図2に指示部18aと対応する位置に刻設されているように、調理メニューとして、ドライイーストを使用する「食パン」コース、生地が柔らかい食パンである「ソフト」コース、「フランスパン」コース、「早焼き」コース、および、「パン・ピザ生地」コースと、天然酵母を使用する「中種つくり」コース、「食パン」コース、および、「パン・ピザ生地」コースとが設けられている。ここで、図2中、「ふつう」と「うすい」は焼き上げるパンの焼き色を意味する。
【0031】
即ち、本実施形態では、ドライイーストを使用する「食パン」、「ソフト」、「フランスパン」、「早焼き」のコースが従来と同様の第1製パンコースであり、「パン・ピザ生地」のコースが第1生地つくりコースである。また、天然酵母を使用する「食パン」のコースが新たに設けた第2製パンコースであり、「パン・ピザ生地」のコースが新たに設けた第2生地つくりコースである。これら第1製パンコースと第2製パンコース、および、第1生地つくりコースと第2生地つくりコースは、それぞれ同一の条件で所定の工程が実行される。
【0032】
前記天然酵母を使用する中種つくりコースは、前記パンケース23を使用して生成するもので、混練工程、発酵工程およびまとめ撹拌工程からなる。
【0033】
以下の表1に、第1および第2製パンコースのうち、食パンをつくるコースの工程、および、その実行条件を示す。また、表2に、第1および第2生地つくりコースの工程、および、その実行条件を示す。さらに、表3に、中種つくりコースの工程、および、その実行条件を示す。
【0034】
【表1】
【0035】
前記表1に示すように、食パンの製パンコースは、予熱、混練、第1発酵、第2発酵、第3発酵、および、焼成の工程を備え、この焼成工程が終了すると継続的に保温の工程を実行するものである。前記予熱工程では、22分、焼成室3内を25℃に維持し、パン材料の温度を整える。混練工程では、15分、ヒータ4を停止した状態で羽根部材26を回転動作させることにより、パンケース23内のパン材料を撹拌して混練りする。第1発酵工程では、68分、25℃、第2発酵工程では、20分、25℃、第3発酵工程では、25分、35℃をそれぞれ維持し、混練りしたパン材料を発酵させるものである。なお、第2発酵工程では、この工程の開始直後に18秒、羽根部材26を回転動作させてパンケース23内の材料をまるめる。また、第3発酵工程では、この工程の開始直後に8秒、羽根部材26を回転動作させてパンケース23内の材料をまるめる。焼成工程では、60分、150℃を維持し、パンを焼き上げる。保温工程では、60分、105℃に維持する。なお、前記焼成工程が終了すると、ユーザに焼き上げが終了したことを知らせるために、制御基板30に実装した周知の圧電ブザーにより報知音を出力する。
【0036】
【表2】
【0037】
前記表2に示すように、生地つくりコースは、予熱、混練、第1発酵、および、第2発酵の工程を備えている。これらの工程の実行条件は、製パンコースと同一である。
【0038】
【表3】
【0039】
前記表3に示すように、中種つくりコースは、混練、発酵、および、まとめ撹拌の工程を備え、これらの工程を順次実行して中種を生成する。次に、マイコンによる中種つくりコースの制御について具体的に説明する。
【0040】
まず、ユーザは、パンケース23に所定の配合で天然酵母と、小麦粉と、塩と、水とを収容させ、焼成室3内に配置するとともに、その上端開口を蓋部材29によって閉塞し、天然酵母メニューの選択スイッチ16eで中種つくりコースを選択してスタート/とりけしスイッチ16aを操作する。
【0041】
そうするとマイコンは、まず、中種つくりコースの混練工程を実行し、パンケース23内の材料を撹拌して混練りする。具体的には、この混練工程では、図3に示すように、まず、ステップS1で、駆動モータ8を動作させ、動力伝達機構9を介してパンケース23内の羽根部材26を回転動作させる。
【0042】
ついで、ステップS2で、12分タイマをオンした後、ステップS3で、12分タイマがカウントアップするまで待機する。即ち、12分間、ヒータ4を停止した状態で羽根部材26を回転動作させる。
【0043】
12分タイマがカウントアップすると、ステップS4で、12分タイマをリセットした後、ステップS5で、駆動モータ8を停止して終了(エンド)する。
【0044】
前記混練工程が終了すると、マイコンは、次に、発酵工程を実行し、混練りしたパン材料を発酵させる。具体的には、この発酵工程では、図4に示すように、まず、ステップS10で、ヒータ4をオンする。
【0045】
ついで、ステップS11で、この発酵工程の実行時間の終了を意味する1440分(24時間)タイマをオンした後、ステップS12で、撹拌動作を実行させるための240分(4時間)タイマをオンする。
【0046】
ついで、ステップS13で、前記ヒータ4による焼成室3内の温度調整処理を実行した後、ステップS14に進む。ここで、この温度調整処理は、サーミスタからの信号に基づいて焼成室3内が30℃に維持されるように温度調整するものである。即ち、この発酵工程では、1440分(24時間)、焼成室3内を30℃に維持するように構成されている。これにより、天然酵母を確実に発酵させるとともに、増殖させることができる。
【0047】
ステップS14では、1440分タイマがカウントアップしたか否かを検出し、カウントアップした場合にはステップS15に進み、カウントアップしない場合にはステップS18に進む。
【0048】
ステップS15では、1440分タイマをリセットし、ステップS16で、240分タイマをリセットした後、ステップS17で、ヒータ4をオフして終了(エンド)する。
【0049】
また、ステップS18では、240分タイマがカウントアップしたか否かを検出する。そして、カウントアップしていない場合にはステップS13に戻り、繰り返し温度調整処理を実行する。一方、カウントアップした場合にはステップS19に進む。
【0050】
ステップS19では、240分タイマをリセットして再度スタートさせた後、ステップS20で、駆動モータ8をオンして動力伝達機構9を介して羽根部材26を回転駆動させる。
【0051】
ついで、ステップS21で、30秒タイマをオンした後、ステップS22で、30秒タイマがカウントアップするまで待機する。即ち、この発酵工程では、24時間のうち、4時間毎に30秒、前記羽根部材26を回転動作させる。これにより、発酵させるパン材料がパンケース23に付着したり、表面のみが乾燥するなどして、発酵に偏りが生じることを防止することができる。
【0052】
30秒タイマがカウントアップすると、ステップS23で、30秒タイマをリセットした後、ステップS24で、駆動モータ8を停止してステップS13に戻り、繰り返し温度調整処理を実行する。
【0053】
前記発酵工程が終了すると、マイコンは、次に、まとめ撹拌工程を実行し、パンケース23から発酵させた生成した中種がパンケース23から取り出し易くなるようにする。具体的には、まとめ撹拌工程では、図5に示すように、まず、ステップS30で、前記発酵工程が終了したことを意味する報知音を圧電ブザーにより出力する。
【0054】
ついで、ステップS31で、360分(6時間)タイマをオンした後、ステップS32で、数値表示部18bのインクリメント処理を実行する。ここで、本実施形態では、このインクリメント処理は、発酵工程が終了した後の時間を10分毎にインクリメント(増加)させるように構成している。
【0055】
ついで、ステップS33で、ユーザがスタート/とりけしスイッチ16aを操作することによる実行操作がなされたか否かを検出する。そして、実行操作がなされた場合にはステップS34に進み、実行操作がなされない場合にはステップS42に進む。
【0056】
ステップS34では、報知音の出力を停止し、ステップS35で、360分タイマをリセットした後、ステップS36で、駆動モータ8をオンして動力伝達機構9を介して羽根部材26を回転動作させる。
【0057】
ついで、ステップS37で、1分タイマをスタートさせた後、ステップS38で、1分タイマがカウントアップするまで待機する。
【0058】
そして、1分タイマがカウントアップすると、ステップS39で、1分タイマをリセットした後、ステップS40で、駆動モータ8を停止する。ついで、ステップS41で、まとめ撹拌工程が終了したことを意味する報知音、言い換えれば、中種つくりコースが終了したことを意味する報知音を所定時間出力して終了(エンド)する。
【0059】
また、ステップS33で実行操作がなされない場合には、ステップS42で、360分タイマがカウントアップしたか否かを検出する。そして、カウントアップしていない場合にはステップS32に戻り、数値表示部18bのインクリメント処理を継続する。一方、カウントアップした場合にはステップS43に進む。
【0060】
ステップS43では、報知音の出力を停止した後、ステップS44で、360分タイマをリセットして終了(エンド)する。
【0061】
即ち、本実施形態では、発酵工程が終了すると、各負荷部品の動作を一旦停止し、ユーザの実行操作がなされるとまとめ撹拌工程を1分間実行する。言い換えれば、ユーザが実行操作をしないとまとめ撹拌工程は実行しない。また、発酵工程が終了したことを知らせる報知音は、まとめ撹拌工程の実行操作がなされるとその報知を終了するが、操作がなされない場合には6時間報知し続ける。そのため、ユーザは、製パン機の動作状況を確実に認識できる。
【0062】
なお、まとめ撹拌動作を実行するまでの停止状態では、ユーザは、蓋体19を開放して少量の小麦粉をパンケース23の内部に入れることができ、このようにすれば、生成した中種を一層取り出し易くすることができる。
【0063】
このようにして中種が生成されると、ユーザは、蓋体19を開いてパンを作るための残りのパン材料をパンケース23内に入れる。そして、操作パネル15の天然酵母コースの選択スイッチ16eを操作して「食パン」または「パン・ピザ生地」を選択し、スタート/とりけしスイッチ16aを操作すると、従来と同様の工程を実行し、天然酵母を使用した食パンまたは生地を作ることができる。
【0064】
なお、本発明の製パン機は前記実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、中種を生成するためのケースをパンを焼き上げるためのパンケース23を兼用するようにしたが、専用のケースを設けてもよい。
【0065】
また、前記実施形態では、ユーザに動作状況を知らせるための報知手段として制御基板30に実装した周知の圧電ブザーを使用したが、操作パネル15の液晶パネル18に表示してもよく、また、LEDを点灯または点滅させることにより知らせるようにしてもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の製パン機では、ドライイーストを使用してパンを焼き上げる製パン機において、天然酵母を使用した中種つくりコースを設けたため、その生成した中種を使用して天然酵母を用いたパンを焼き上げることができる。また、この中種を使用してパンを焼き上げる時間は、ドライイーストを使用したパンを焼き上げる条件と略同一とすることができ、その時間も約3時間30分程度である。即ち、従来の生種を使用してパンを焼き上げる場合と比較して大幅に焼き上げ時間を短くすることができる。そのため、焼きたてのパンを効率的にユーザに提供することができる。しかも、中種を生成するためのケースを、パンケースとしており、専用のケースを新たに設けないようにしているため、コスト高になることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製パン機を示す断面図である。
【図2】製パン機の操作パネルを示す正面図である。
【図3】中種つくりコースの混練工程を示すフローチャートである。
【図4】中種つくりコースの発酵工程を示すフローチャートである。
【図5】中種つくりコースのまとめ撹拌工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…本体、3…焼成室、4…ヒータ(加熱手段)、7…基体、8…駆動モータ(駆動手段)、9…動力伝達機構、15…操作パネル、16a〜16i…スイッチ(入力手段)、19…蓋体、23…パンケース、26…羽根部材、29…蓋部材、30…制御基板。
Claims (12)
- 加熱手段を有する焼成室内に着脱可能に配置されるパンケースと、該パンケース内に回転可能に装着した羽根部材と、該羽根部材を回転駆動する駆動手段と、前記焼成室またはパンケースまたはパンケース内のパン材料の温度を検知する検知手段と、製パンコースの動作設定や実行操作を行う入力手段とを備え、前記加熱手段および駆動手段を制御して混練、発酵および焼成の各工程を実行してパンを焼き上げる製パン機において、
前記パン材料の1つとして天然酵母をケース収容するとともに、該ケースを前記焼成室に配置し、混練および発酵の工程を有する中種つくりコースを設けたことを特徴とする製パン機。 - 前記ケースは、前記パンケースであることを特徴とする請求項1に記載の製パン機。
- 前記パンケースの上端開口を閉塞する蓋部材を設けたことを特徴とする請求項2に記載の製パン機。
- 前記中種つくりコースの発酵工程の後に、まとめ撹拌工程を更に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の製パン機。
- 前記まとめ撹拌工程は、前記発酵工程の終了後に一旦動作を停止し、ユーザによる実行操作がなされると実行することを特徴とする請求項4に記載の製パン機。
- 前記中種つくりコースの発酵工程では、少なくとも1回撹拌動作を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の製パン機。
- 前記中種つくりコースの発酵工程では、前記焼成室内を約30℃に維持することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の製パン機。
- 前記中種つくりコースを構成する各工程のうち、少なくとも1つの工程が終了した際に動作させる報知手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の製パン機。
- 生成した中種を使用する専用の第2製パンコースを更に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の製パン機。
- 前記第2製パンコースは、その各工程の実行時間を第1製パンコースと略同一としたことを特徴とする請求項9に記載の製パン機。
- 前記製パン機は、混練および発酵の各工程を実行してパン生地を生成する生地つくりコースを備え、生成した中種を使用する専用の第2生地つくりコースを更に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の製パン機。
- 前記第2生地つくりコースは、その各工程の実行時間を第1製パンコースまたは第1生地つくりコースと略同一としたことを特徴とする請求項9に記載の製パン機。
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Cited By (2)
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JP2008295625A (ja) * | 2007-05-30 | 2008-12-11 | Panasonic Corp | 自動製パン機 |
CN106308467A (zh) * | 2015-07-03 | 2017-01-11 | 浙江绍兴苏泊尔生活电器有限公司 | 面点机 |
-
2002
- 2002-06-04 JP JP2002163228A patent/JP2004008336A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008295625A (ja) * | 2007-05-30 | 2008-12-11 | Panasonic Corp | 自動製パン機 |
CN106308467A (zh) * | 2015-07-03 | 2017-01-11 | 浙江绍兴苏泊尔生活电器有限公司 | 面点机 |
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