JP2004006913A - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子 Download PDF

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Masayuki Senoo
妹尾 雅之
Takao Yamada
山田 孝夫
Shuji Nakamura
中村 修二
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Abstract

【目的】窒化物半導体を用いてレーザ素子を実現するにあたり、まず反射鏡となる適切な光共振面を形成することにより、レーザ発振が可能となるレーザ素子を提供する。
【構成】基板上に窒化物半導体(InXAlYGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が積層されてなるレーザ素子であって、そのレーザ素子の光共振面の少なくとも一方に誘電体多層膜が形成されていることにより、光共振面の反射率を高めレーザ発振させる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は窒化物半導体(InXAlYGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりなるレーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化物半導体はバンドギャップが1.95eV〜6.0eVまであり、直接遷移型の材料であるので、紫外〜赤色までの半導体レーザ素子の材料として従来より注目されていた。最近、窒化物半導体でダブルへテロ構造の青色LEDが実用化されたことにより、次なる目標として窒化物半導体を用いた青色レーザ素子の研究が活発に行われるようになった。
【0003】
レーザ素子では半導体層に光共振面を形成する必要がある。従来のGaAs系の化合物半導体よりなる赤外域に発振する半導体レーザは結晶の性質上、劈開性を有しており、その劈開面がレーザ素子の光共振面とされている。
【0004】
一方、窒化物半導体は六方晶系という結晶の性質上劈開性を有していない。従って、窒化物半導体でレーザ素子を作製する場合、劈開面を反射鏡として光共振面ができないのでレーザ発振まで至らなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
現在、紫外〜緑色の短波長半導体レーザはZnSe系半導体でしか確認されておらず、その半導体レーザは現在のところ寿命が数分しかない。一方、窒化物半導体は前記のようにダブルへテロ構造のLEDまで実現されており、この構造を用いればZnSeと比較してレーザが早期に実現できる可能性が高い。従って本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは窒化物半導体を用いてレーザ素子を実現するにあたり、まず反射鏡となる適切な光共振面を形成することにより、レーザ発振が可能となるレーザ素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
我々は窒化物半導体レーザ素子を実現するにあたり、従来では十分な反射率が得られなかった窒化物半導体層の光共振面に、さらに誘電体多層膜を形成して反射率を高めることにより、窒化物半導体層にレーザ発振が起こり得ることを新規に見いだし本発明を成すに至った。即ち、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、基板上に窒化物半導体(InXAlYGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が積層されてなるレーザ素子であって、そのレーザ素子の光共振面の少なくとも一方に誘電体多層膜が形成されていることを特徴とする。
【0007】
誘電体多層膜は基本的に互いに反射率の異なる無機材料を交互に積層してなり、例えばλ/4n(λ:波長、n:屈折率)の厚さで交互に積層することにより反射率を変化させることができる。誘電体多層膜の各薄膜の種類、厚さ等は発振させようとするレーザ素子の波長に応じてそれらの無機材料を適宜選択することにより設計可能である。例えばその無機材料には、高屈折率側の薄膜材料としてTiO2、ZrO2、HfO2、Sc2O3、Y2O3、MgO、Al2O3、Si3N4、ThO2の内の少なくとも一種類が選択でき、低屈折率側の薄膜材料としてSiO2、ThF4、LaF3、MgF2、LiF、NaF、Na3AlF6の内の少なくとも一種類が選択でき、これら高屈折率側の薄膜材料と、低屈折率側の薄膜材料とを適宜組み合わせ、発振する波長に応じて数十オングストローム〜数μmの厚さで数層〜数十層積層することにより誘電体多層膜を形成することができる。
【0008】
次に本発明の第二は、基板上に窒化物半導体が積層されてなるレーザ素子の発光波長が360nm〜460nmの範囲にあり、さらに光共振面に形成された前記誘電体多層膜がSiO2、TiO2、ZrO2よりなる群から選択された少なくとも二種類以上の薄膜を積層した多層膜であることを特徴とする。つまり、窒化物半導体で360nm〜460nmに発振するレーザ素子を実現した場合、その光共振面に形成する誘電体多層膜は、特にSiO2、TiO2、ZrO2より選択された少なくとも2種類以上が最も適している。なぜなら前記3種類の酸化物は360nm〜460nmの範囲で光吸収が少なく、窒化物半導体と非常に良く密着して剥がれることもない。さらに前記波長の光が連続的に長時間照射されても劣化することがなく、さらに好ましいことにレーザ素子の発熱に対して非常に耐熱性に優れているからである。
【0009】
誘電体多層膜は例えば、蒸着、スパッタ等の気相製膜技術を用いて形成することができる。またその他、上記化合物を含む溶媒にレーザ素子を浸漬(ディッピング)した後、乾燥するという操作を繰り返して形成することも可能である。例えばSiO2とZrO2よりなる誘電体多層膜を形成する場合、SiO2、ZrO2を蒸着、スパッタ等の気相製膜技術で形成する他、Siを含む有機金属化合物の溶媒にレーザ素子を浸漬した後、乾燥し、酸素雰囲気でベーキングして酸化物とし、次にZrを含む有機金属化合物の溶媒にレーザ素子を浸漬し、乾燥した後、ベーキングして酸化物とする操作を繰り返すことにより誘電体多層膜を製膜可能である。但し好ましく膜厚制御の面で気相製膜技術を用いる方がよい。
【0010】
基板の上に積層する窒化物半導体構造はダブルへテロ構造であればよく、例えば基板上に、n型コンタクト層、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層、p型コンタクト層を順に積層した構造で実現可能である。基板にはサファイア(C面、A面、R面も含む。)、SiC(4H、6Hも含む。)、ZnO、GaAs、Si等が使用でき、好ましくはサファイアあるいはSiCを用いる。n型コンタクト層としてはGaN、AlGaN等の二元混晶、または三元混晶の半導体層が結晶性の良いものが得られる。特にGaNとすると電極材料と好ましいオーミックが得られる。但し、n型とするには半導体層にSi、Ge、S等のドナー不純物をドープする。次のn型クラッド層は活性層よりもバンドギャップが大きい窒化物半導体であれば良く、例えばAlGaNが好ましい。次の活性層はノンドープのn型InGaNとすると、およそ635nm〜365nm付近のバンド間発光が得られる。好ましくはインジウムのモル比をガリウムに対して半分以下にしたn型InGaNが結晶性が良く、レーザ素子の寿命が長い。次のp型クラッド層はn型クラッド層と同じく活性層よりもバンドギャップの大きい窒化物半導体であれば良く、例えばAlGaNが好ましい。またp型とするにはZn、Mg、Cd等のII族元素、C(カーボン)等より構成されるアクセプター不純物を半導体層にドープする。またドープ後、さらに低抵抗なp型にする目的で400℃以上でアニーリングを行っても良い。次のp型コンタクト層はn型コンタクト層と同じくGaN、AlGaN等の二元混晶、または三元混晶の半導体層が結晶性の良いものが得られる。特にGaNとすると電極材料と好ましいオーミックが得られる。さらに前記レーザ素子の構造において、活性層を数十オングストロームの膜厚で3層以上積層した多層膜、つまり多重量子井戸構造としてもよい。さらにまた各窒化物半導体層の界面を格子整合させるため、各層のIII族元素のモル比を調整して四元混晶(InAlGaN)の窒化物半導体とすることもできるが、一般的には三元混晶、二元混晶の方が結晶性に優れている。特に好ましくは、活性層の膜厚を300オングストロームよりも薄くすると共に、その活性層とn型クラッド層との間、および/または前記活性層とp型クラッド層との間に、活性層よりもバンドギャップが大きいn型またはp型のInGaN層を挟むことにより、活性層とクラッド層との界面からくる歪で、活性層を弾性的に変形するようにすると、歪量子井戸構造のレーザ素子が実現されるので、さらにレーザ発振が容易となる。
【0011】
次に本発明の第三と第四について説明する。前記のように窒化物半導体層は劈開性を有していないので、劈開面を光共振面とすることは困難である。しかしなら、劈開面に近いような状態、つまり基板面に対し垂直で、鏡面に近い面を形成することにより、光共振面に近い状態とすることは可能である。その一つとして、第三の本発明のレーザ素子は、窒化物半導体がサファイア基板の[0001]面(以下、C面という。)の表面に積層されてなり、さらに前記光共振面は、そのサファイア基板が数1、数2、数3、数4、数5、数6面(以下、数1面〜数6面をまとめてM面という。)の内のいずれかの面方位で割られた窒化物半導体面であり、その共振面に誘電体多層膜が形成されていることを特徴とする。つまり、サファイア基板の表面にレーザ素子の構造となるように積層された窒化物半導体ウェーハを基板の特定の面方位で割ることにより、できるだけ劈開面に近いような光共振面を得る。サファイアと共に割られた窒化物半導体面は完全な劈開面ではないので光損失が多い。そこでその窒化物半導体面を光損失のほとんどない完全な光共振面とするため、さらに誘電体多層膜を形成したものである。
【0012】
図1にサファイア単結晶の面方位を表すユニットセル図を示す。本発明のレーザ素子を構成する窒化物半導体は、このユニットセル図に示すようなサファイア基板のC面に積層されて、C軸方向に配向されている。また、サファイア基板のC面とは[0001]面に完全に一致していることはいうまでもなく、[0001]面よりおよそ±10゜以内の範囲でオフ角を有するC面であっても本発明の範囲に含まれるものとする。第3の本発明のレーザ素子はユニットセル図のM面、つまり、斜線部に示すような6角柱の側面でサファイアを割った際にできる窒化物半導体層の分割面を光共振面としている。
【0013】
図2に本発明に係る一レーザ素子の斜視図を示し、図3に図2のレーザ素子をストライプ電極に垂直な方向で切断した際の断面図を示す。このレーザ素子はメサストライプ型の構造を示しており、サファイア基板1のC面上にGaNよりなるバッファ層2、Siドープn型GaNよりなるn型コンタクト層3、Siドープn型AlGaNよりなるn型クラッド層4、Siドープn型InGaNよりなる第二のn型クラッド層5、ノンドープInGaNよりなる活性層6、Mgドープp型AlGaNよりなるp型クラッド層7、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層8とが積層されたダブルへテロ構造を有している。さらにp型コンタクト層8の表面にストライプ状の正電極12と、n型コンタクト層3の表面に同じくストライプ状の負電極11が形成されている。
【0014】
このレーザ素子はサファイア基板のM面で割られた対向する窒化物半導体面を基本的には光共振面としており、さらにこの面を完全な光共振面とするために、この窒化物半導体面とサファイア基板とに亙って、SiO2とTiO2とがそれぞれ10層ずつ交互に積層されてなる誘電体多層膜20が形成されている。誘電体多層膜20は対向した窒化物半導体層の表面にそれぞれ形成されており、活性層の発光はこの誘電体多層膜20で反射されて完全な光共振面となる。なお、サファイアをM面で割った場合、窒化物半導体の光共振面は六方晶系の
【数7】
Figure 2004006913
面となることが多い。
【0015】
ウェーハを割る手段として例えばスクライバー、またはダイサーを用いることができる。スクライバーを用いた場合、窒化物半導体が積層された面と反対側のサファイア基板をスクライブするのであるが、スクライブする前にそのサファイア基板を150μm以下、さらに好ましくは100μm以下の厚さに研磨して薄くすることが望ましい。基板を150μm以下に研磨して薄くすることにより、M面から割れるように形成したスクライブラインからウェーハを割る際に、スクライブラインより真っ直ぐに割れ易くなり、割れた窒化物半導体層面が光共振面に近くなる。一方、ダイサーで割る場合には、同じく窒化物半導体が積層されていないサファイア基板側をハーフカットした後、ウェーハを圧し割ることにより光共振面を形成できる。ダイサーによるハーフカット、スクライバーでウェーハを割る際には前記のようにサファイア基板の厚さを150μm以下にすることにより、窒化物半導体層が基板に対して垂直に割れやすくなり、光共振面となる傾向にある。
【0016】
次に第四の本発明のレーザ素子は、基板に対してほぼ垂直にエッチングされた窒化物半導体の端面が光共振面であり、この垂直にエッチングされた窒化物半導体面に誘電体多層膜が形成されていることを特徴とする。つまりこのレーザ素子も第三のレーザ素子と同じく、エッチングのみでは光損失の多い共振面しか得ることができないので、光損失のほとんどない完全な光共振面を得るため、さらに窒化物半導体のエッチング面の表面に活性層の波長を反射する誘電体多層膜を形成して、エッチング面を完全な光共振面としているのである。
【0017】
エッチングされた窒化物半導体層を光共振面とするレーザ素子は特に図示しないが、例えば図2において、誘電体多層膜20を形成している面が、窒化物半導体層側からエッチングした際のその窒化物半導体の端面であっても、同一図となるので省略する。なおエッチングで光共振面を形成する場合、窒化物半導体が積層される基板は特にサファイアでなくでもよく、前記のようにSiC、ZnO等の材料でもよいことはいうまでもない。
【0018】
第四のレーザ素子の光共振面は、積層された窒化物半導体層の最表面に所定のマスクを形成した後、エッチングすることで形成可能である。エッチング手段としては、ドライエッチング、ウェットエッチング両方の手段があるが、窒化物半導体の端面を垂直にエッチングするにはドライエッチングが好ましい。ドライエッチングでは例えば、反応性イオンエッチング、イオンミリング、イオンビームアシストエッチング、集束イオンビームエッチング等の手段を用いることができる。
【0019】
レーザ素子の具体的な構造を挙げると、利得導波型ストライプ型レーザとしては、電極ストライプ型、メサストライプ型、ヘテロアイソレーション型等を挙げることができる。またその他、作りつけ導波機構をもつストライプ型レーザとして、埋め込みヘテロ型、CSP型、リブガイド型等を挙げることができる。これらの構造のレーザ素子に導波路として通常数μmから20μm程度の幅の電極を最上層(上記構造の例ではp型コンタクト層)に形成し、このストライプに沿って発振を起こさせる。発振するための光共振面には、例えばこのストライプに垂直な方向の窒化物半導体層表面に形成される。またこの他、面発光型のレーザを作製した場合、光共振面は窒化物半導体層中に形成されるが、本発明のレーザ素子では、面発光レーザの光共振面の少なくとも一方に前記した誘電体多層膜を形成することも可能である。
【0020】
【作用】
窒化物半導体という劈開性のない半導体材料を用いてレーザ素子を実現する際、最初に述べたように反射鏡となる光共振面を形成することが非常に重要である。本発明では窒化物半導体層の光共振面に誘電体多層膜が形成されているので、誘電体多層膜により光損失が少なく優れた反射鏡として作用する。また前述した誘電体多層膜は光共振面の両方に形成することについて説明しているが、いずれか一方に形成しても、レーザ発振は可能である。例えば、光共振面の片方に誘電体多層膜を形成し、もう片方に金属薄膜よりなる反射鏡を形成することもできる。
【0021】
さらに、その窒化物半導体レーザの発振波長が360nm〜460nmの領域にある場合、光共振面にSiO2、TiO2、ZrO2よりなる群から選択された少なくとも二種類以上の薄膜が積層された誘電体多層膜を形成することにより、世界で初めて短波長領域のレーザ素子が実現できる。しかも、SiO2、TiO2、ZrO2の材料は窒化物半導体と非常に良く密着して剥がれることもなく、前記短波長の光が連続的に長時間照射されても劣化することがなく、さらに好ましいことにレーザ素子の発熱に対して非常に耐熱性に優れているので、室温において長時間の連続発振可能となる。
【0022】
また、サファイアのC面に窒化物半導体を積層したレーザ素子において、基板となるサファイア単結晶は窒化ガリウム系化合物半導体と異なり結晶性が非常に良く、図1に示すようにほぼ正確な六方晶系を有している。一方、窒化物半導体は六方晶系といえどもサファイア基板の上に必ずしも基板と一致した結晶形で積層されるわけではない。しかしサファイアの結晶系が安定しているならば、安定したサファイアの方でウェーハを割ってやることにより、窒化物半導体を安定して割れ易くすることが可能となり、あたかも窒化ガリウム系化合物半導体で劈開面を形成したかのような状態にできるのである。特に、図1の斜線部で示すようにサファイアのM面は必ず対向するもう一方のM面を有しているため、それらのM面でウェーハを割ることによって対向する光共振面が形成される。この共振面にさらに誘電体多層膜が形成されると、完全な反射鏡ができるので窒化物半導体は容易にレーザ発振する。
【0023】
同様に、エッチングにより窒化物半導体層に垂直な端面を形成し、その端面を光共振面としても、反射鏡としては未だ不十分であるので、その端面に誘電体多層膜を形成しすることにより、光を完全に閉じこめられるので窒化物半導体が容易にレーザ発振する。
【0024】
【実施例】
[実施例1]
図2および図3を用いて実施例1を説明する。まず、厚さ350μmのサファイア基板1上に、GaNよりなるバッファ層2を200オングストローム、Siドープn型GaNよりなるn型コンタクト層3を5μm、Siドープn型Al0.3Ga0.7Nよりなるn型クラッド層4を0.1μm、Siドープn型In0.01Ga0.99Nよりなる第二のn型クラッド層5を500オングストローム、ノンドープIn0.08Ga0.92Nよりなる活性層6を100オングストローム、Mgドープp型Al0.3Ga0.7Nよりなるp型クラッド層7を0.1μm、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層8を0.5μmの膜厚で順に成長させたウェーハを用意する。
【0025】
次に、このウェーハのp型コンタクト層7の表面に所定の形状でマスクを形成した後、RIE(反応性イオンエッチング)を用いて、窒化物半導体層をエッチングし、n型コンタクト層3を露出させる。n型コンタクト層3を露出させた後、n型コンタクト層3にはTi/Alよりなる負電極11を20μmの幅で形成し、p型コンタクト層7にはNi/Auよりなる正電極12を3μmの幅で形成する。なお電極の形状は図2、図3に示すようなストライプ形状とする。
【0026】
次に、サファイア基板1の窒化物半導体層を形成していない方の面を研磨機で80μmの厚さまで研磨する。研磨後、サファイア基板の研磨面をスクライバーでスクライブする。スクライブ方向はストライプ電極と直交するスクライブラインがサファイア基板のM面と一致するようにし、もう一方のスクライブラインはストライプ電極と平行な方向とする。スクライブライン形成後、ウェーハをローラで押し割り、レーザチップとする。このレーザチップは図2に示すような形状を有しており、ウェーハを割って露出した窒化物半導体面が光共振面とされており、発光波長420nmである。
【0027】
次にレーザチップの電極面全体にマスクを施したのち、スパッタ装置で露出した窒化物半導体面にSiO2よりなる薄膜を75nmで形成し、その上にZrO2よりなる薄膜を同じく48nmで形成し、このペアを10ペア積層した透明な誘電体多層膜20を形成する。このようにして形成された誘電体多層膜の反射率曲線を図4に示す。図4に示すようにSiO2とZrO2よりなる誘電体多層膜は380nm〜450nm付近の波長を100%反射できる。
【0028】
このようにして得られたレーザ素子をヒートシンクに設置し、それぞれの電極をワイヤーボンドした後、室温でレーザ発振を試みたところ、しきい値電流密度1.5kA/cm2で発振波長420nmのレーザ発振が確認され、100時間以上の連続発振を示した。
【0029】
[実施例2]
実施例1のレーザ素子の活性層の組成をIn0.15Ga0.95Nとしたウェーハを用意する。なおこのレーザ素子の発光波長は460nmである。その後基板を研磨してストライプ状の電極を形成した後、ウェーハをサファイアのM面で割る迄は実施例1と同様にしてレーザチップを作製する。
【0030】
次に実施例1と同じく露出した窒化物半導体面にSiO2よりなる薄膜を82nm、TiO2よりなる薄膜を38nmの膜厚で10ペア形成する。なおSiO2とTiO2よりなる薄膜の反射率曲線は特に図示しないが、460nmの反射率はほぼ100%を示している。
【0031】
このようにして得られたレーザ素子を実施例1と同様にヒートシンクに設置し、それぞれの電極をワイヤーボンドした後、室温でレーザ発振を試みたところ、しきい値電流密度1.5kA/cm2で発振波長460nmのレーザ発振が確認され、同じく100時間以上の連続発振を示した。
【0032】
[実施例3]
実施例1のウェーハのn型コンタクト層を露出させた後、マスクを除去し、さらにp型コンタクト層の表面に所定の形状のマスク(このマスク形状は後に形成するストライプ状の電極と垂直、および平行となるようなラインが露出している。)を形成する。マスク形成後RIEエッチング装置を用いSiCl4ガスで窒化物半導体をサファイア基板が露出するまでエッチングする。
【0033】
エッチング後、実施例1と同様にして正電極、負電極を形成した後、先ほどのエッチングにより露出したサファイア基板をスクライブまたは、ダイシングしてチップ状のレーザ素子に分離する。後は実施例1と同様にして、電極と直交して露出した窒化物半導体面に誘電体多層膜を形成してレーザ素子とする。このようにして得られたレーザ素子も実施例1と同じく、室温でレーザ発振し、しきい値電流密度1.5kA/cm2で発振波長420nmのレーザ発振が確認され、100時間以上の連続発振を示した。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレーザ素子は光共振面となる窒化物半導体面に発振波長に応じた反射率を有する誘電体多層膜を形成しているので、反射鏡としての光共振面が活性層の光を互いにほぼ100%反射することにより、レーザ発振が可能となる。360nm〜460nmの短波長のレーザ発振において、SiO2、TiO2、ZrO2という窒化物半導体にふさわしい材料で誘電体多層膜を形成したことによって室温での短波長のレーザ発振が可能となる。このように短波長域のレーザ素子が実現されたことにより、書き込み用光源、コンパクトディスクの光源として記録密度が飛躍的に向上し、その産業上の利用価値は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】サファイア単結晶の面方位を表すユニットセル図。
【図2】本発明の一実施例に係るレーザ素子の形状を示す斜視図。
【図3】図2のレーザ素子の構造を示す模式断面図。
【図4】本発明の一レーザ素子の光共振面に形成された誘電体多層膜の反射率曲線を示す図。
【符号の説明】
1・・・・サファイア基板
2・・・・バッファ層
3・・・・n型コンタクト層
4・・・・n型クラッド層
5・・・・第二のn型クラッド層
6・・・・活性層
7・・・・p型クラッド層
8・・・・p型コンタクト層
11・・・負電極
12・・・正電極
20・・・誘電体多層膜

Claims (4)

  1. 基板上に窒化物半導体(InXAlYGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が積層されてなるレーザ素子であって、そのレーザ素子の光共振面の少なくとも一方に誘電体多層膜が形成されていることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記レーザ素子の発光波長が360nm〜460nmの範囲にあり、さらに光共振面に形成された前記誘電体多層膜がSiO2、TiO2、ZrO2よりなる群から選択された少なくとも二種類以上の薄膜を積層した多層膜であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記窒化物半導体はサファイア基板の[0001]面の表面に積層されてなり、さらに前記光共振面はそのサファイア基板が
    Figure 2004006913
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    Figure 2004006913
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    面の内のいずれかの面方位で割られた窒化物半導体面であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記光共振面は、基板に対してほぼ垂直にエッチングされた窒化物半導体の端面であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
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